説明

ナビゲーション装置

【課題】運転席のユーザは細街路を視認できないが、助手席のユーザは細街路を視認することができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】表示モニタ16の表示画面には、フィルタ21と視差バリア21とを備える。フィルタ21は縦ライン状の色フィルタ部21aと非色フィルタ部21bとを含む。色フィルタ部21aは、赤色や青色などで着色された透光部である。非色フィルタ部21bは、無色透明の透光部である。視差バリア22は、縦ライン状の透光性スリットを有するスクリーンである。視差バリア22の透光性スリットの位置と、フィルタ21の色フィルタ部21aおよび非色フィルタ部21bの位置は、運転席のユーザは色フィルタ部21aを通して表示画面を視認し、助手席のユーザは非色フィルタ部21bを通して表示画面を視認するように調整される。細街路の表示色を、色フィルタ部21aを通して見ると色フィルタ部21aの色により識別できない色にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者に対して細街路を表示しないようにしたナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが不必要に地域の住宅地などの細街路に入り込むことを防止するために、予め設定した所定エリアの細街路を非表示にする車載ナビゲーション装置が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−315064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のような従来の車載ナビゲーション装置では、細街路を非表示にする必要のない助手席のユーザに対しても細街路が表示されないという問題点がある。助手席のユーザは、主要な道路しか表示されていない地図を見て、違和感を覚えることになる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明のナビゲーション装置は、運転席側からは着色されたフィルタを通して表示画面が視認され、助手席側からは着色されたフィルタを通さないで表示画面が視認される表示モニタと、車両の現在地を検出する現在地検出手段と、地図データに基づいて車両の現在地周辺の地図を表示モニタに表示する表示制御手段とを備え、表示制御手段は、細街路の表示色を着色されたフィルタを通して観察すると細街路が識別できない色彩にすることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、表示モニタの表示画面に、縦ライン状の複数の透光性スリットを有する視差バリアと、複数の着色された縦ライン状の透光部を有するフィルタを交互に設けることを特徴とする。
(3)請求項3の発明のナビゲーション装置は、運転席側から視認される画像と助手席側から視認される画像とを異なるように表示できる表示モニタと、表示モニタの表示画面に設けられ、着色された透光部を有する色フィルタと、車両の現在地を検出する現在地検出手段と、地図データに基づいて車両の現在地周辺の地図を表示モニタに表示する表示制御手段と、運転席側から視認される画像と助手席側から視認される画像との各々の色味を制御する色味制御手段とを備え、色味制御手段は、運転席側から視認される画像を地図に表示された細街路の表示色が色フィルタによって識別できなくなる色味にし、助手席側から視認される画像を地図に表示された細街路の表示色が色フィルタによっても識別できる色味にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、運転席側からは着色されたフィルタを通して地図を視認できるようにし、助手席側からは着色されたフィルタを通さないで地図を視認できるようにした。そして、細街路の表示色を、色フィルタを通して観察すると色フィルタによって細街路が識別できない色にした。したがって、運転席のユーザは細街路を視認できないが、助手席のユーザは細街路を視認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施形態によるナビゲーション装置1の構成を図1に示す。ナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、スピーカ17、入力装置18およびディスクドライブ19を有している。ディスクドライブ19には、地図データが記憶されたDVD−ROM110が装填されている。
【0007】
制御回路11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。この制御回路11がDVD−ROM110に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行うと、その処理結果が推奨経路として表示モニタ16に表示される。
【0008】
現在地検出装置14は車両の現在地を検出する装置である。現在地検出装置14は、振動ジャイロ14a、車速センサ14b、GPS(Global Positioning System)センサ14cなどからなる。振動ジャイロ14aは、車両の進行方向を検出する。車速センサ14bは、車速を検出する。GPSセンサ14cは、GPS衛星からのGPS信号を検出する。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定するとともに、地図上にその現在地を表示する。
【0009】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを格納する。この画像データは地図描画用データや各種の図形データからなり、それらはDVD−ROM110に記憶された地図データに基づいて、適宜生成される。ナビゲーション装置1は、このようにして生成された画像データを用いることによって地図表示など行うことができる。
【0010】
ディスクドライブ19は、DVD−ROM110から地図データを読み出す。地図データは、地図表示用データ、経路探索用データなどを含む。地図表示用データおよび経路探索用データには、地図データに格納されている道路のリンク情報およびノード情報が含まれている。道路のリンク情報には、高速道路、国道などといった道路種別の情報が含まれており、道路種別の情報より、その道路が細街路であるか否かが検出できる。地図表示用データは、広域から詳細まで複数の縮尺の地図データを有し、ユーザの要求にしたがって、表示地図の縮尺を変更することができる。なお、DVD−ROM110以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより地図データを読み出してもよい。
【0011】
表示モニタ16は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の地図などの各種情報を画面表示としてユーザに提供する。表示モニタ16の表示画面には、図2に示すように、フィルタ21と視差バリア22とを備えている。フィルタ21は、複数の縦ライン状の色フィルタ部21aと非色フィルタ部21bとを含む。色フィルタ部21aと非色フィルタ部21bとは交互に設けられている。色フィルタ部21aは、赤色や青色などで着色された透光部である。非色フィルタ部21bは、無色透明の透光部である。視差バリア22は、縦ライン状の透光性スリットを有するスクリーンである。視差バリア22の透光性スリットの位置と、フィルタ21の色フィルタ部21aおよび非色フィルタ部21bの位置は、以下のように調整される。つまり、運転席のユーザは色フィルタ部21aを通して表示モニタ16の表示画面を視認し、助手席のユーザは非色フィルタ部21bを通して表示画面を視認するように調整される。
【0012】
スピーカ17は、各種入力操作をユーザに指示したり、経路誘導したりするための音声を出力する。入力装置18は、ユーザが各種コマンドの設定などするための操作キーを有し、操作パネル上のボタンスイッチやパネル周囲のハードスイッチなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16の表示画面の指示に従ってパネル上のボタンスイッチを指で押圧することにより、目的地選択などの設定操作を行う。
【0013】
目的地がユーザにより設定されると、ナビゲーション装置1は現在地検出装置14により検出された現在地を出発地として目的地までの経路演算を所定のアルゴリズムに基づいて行う。このようにして求められた経路(以下、推奨経路という)は、表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、ほかの道路とは区別して画面表示される。これにより、ユーザは地図上の推奨経路を画面上で認識することができる。また、ナビゲーション装置1は、推奨経路に従って車両が走行できるように、ユーザに対して画面や音声などによる進行方向指示を行い、車両を経路誘導する。
【0014】
次に、本発明の実施形態における細街路の表示について図3を参照して説明する。ナビゲーション装置1は、表示モニタ16に自車位置周辺の地図を表示しているものとして説明する。
【0015】
図3(a)は、運転席側から視認される表示モニタ16の表示画面を説明するための図である。表示モニタ16には、地図30が表示されている。運転席のユーザは、上述したようにフィルタ21の色フィルタ部21aを通して地図30を視認することになる。地図30に重ねて、自車位置マーク31と細街路以外の道路32a〜32eとが視認される。地図30には、細街路も表示されている。しかし、色フィルタ部21aの色(たとえば、赤色)と細街路の表示色(赤色)とが同じ色彩であるため、細街路を視認できない。
【0016】
図3(b)は、助手席側から視認される表示モニタ16の表示画面を説明するための図である。助手席のユーザは、上述したようにフィルタ21の非色フィルタ部21bを通して地図30を視認することになる。助手席のユーザは、自車位置マーク31と細街路以外の道路32a〜32eとともに細街路も視認できる。
【0017】
本発明の実施形態によるナビゲーション装置1の地図表示処理について図4のフローチャートを参照して説明する。図4の処理は、ナビゲーション装置1の電源がオンになるとスタートするプログラムにより、制御回路11において実行される。
【0018】
ステップS401では、現在地検出装置14によって車両の現在地を検出する。ステップS402では、ディスクドライブ19によって、DVD−ROM110に記憶されている自車位置周辺の地図データを読み込む。ステップS403では、読み込んで地図データに基づいて、表示モニタ16に表示する地図の画像データを作成する。このとき、細街路については、フィルタ21の色フィルタ部21aの色で識別できない色彩で作成する。ステップS404では、地図の画像データを画像メモリ15に格納する。ステップS405では、画像メモリ15に格納された画像データを用いて表示モニタ16に地図を表示する。
【0019】
以上の本発明の実施の形態によるナビゲーション装置1は次のような作用効果を奏する。
運転席側からはフィルタ21の色フィルタ部21aを通して地図30を視認できるようにし、助手席側からは色フィルタ部21aを通さないで地図30を視認できるようにした。そして、細街路の表示色を、色フィルタ部21aを通して観察すると識別できない色にした。したがって、運転席のユーザは細街路を視認できないが、助手席のユーザは細街路を視認することができる。
【0020】
以上の実施の形態を次のように変形することができる。
運転席側から視認される画像と助手席側から視認される画像とを異ならせることが可能なディスプレイ、いわゆるデュアル・ビュー・ディスプレイにも本願発明は適用できる。この場合、図5に示すように、デュアル・ビュー・ディスプレイ51の表示画面に色フィルタ52を設ける。この色フィルタ52には、実施例のフィルタ21と異なり、着色された透光部によって構成される。そして、同じ地図30の画像について、運転席側から視認される画像と助手席側から視認される画像とを色味を変えて表示する。運転席側から視認される画像は、地図上に表示された細街路が色フィルタ52の色によって識別できなくなる色味に調整する。たとえば、色フィルタ52の色が赤色の場合、赤味に地図30の色味を調整し、細街路の表示色が赤色になるようにする。一方、助手席側から視認される画像は、地図上に表示された細街路が色フィルタ52の色によっても識別できる色味に調整する。たとえば、色フィルタ52の色が赤色の場合、青味に地図30の色味を調整する。そうすると、同じ色フィルタ52を通して表示されて地図30でも、図6(a)に示すように、運転席側から視認される画像では、細街路は識別できず、図6(b)に示すように、助手席側から視認される画像では、細街路は識別できる。したがって、運転席のユーザは細街路を視認できないが、助手席のユーザは細街路を視認することができる。
【0021】
運転席側から視認される画像には細街路を表示せず、助手席から視認される画像には細街路を表示すれば、色フィルタ52を設けなくても本願発明の目的は達成できるとも考えられる。しかし、この場合、細街路を表示した地図の画像および細街路を表示しない地図の画像の2つの異なった画像を作成しなければならず、処理負担が大きくなる。一方、本願発明の変形例では、同じ地図の画像を作成し、表示するときの色味を変えるだけでよいので、処理負担は小さくなる。
【0022】
以上の説明はあくまで一例であり、発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではない。
【0023】
特許請求の範囲の要素と実施の形態との対応関係を説明する。
本発明の現在地検出手段は現在地検出装置14に対応し、表示制御手段は制御回路11に対応する。色味制御手段は制御回路11に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係になんら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】表示モニタの表示画面に設けられたフィルタと視差バリアとを説明するための図である。
【図3】図3(a)は本願発明の一実施形態における運転席側から視認される表示画面を説明するための図であり、図3(b)は本願発明の一実施形態における助手席側から視認される表示画面を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の地図表示処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】表示モニタの表示画面に設けられた色フィルタを説明するための図である。
【図6】図6(a)は本願発明の変形例における運転席側から視認される表示画面を説明するための図であり、図6(b)は本願発明の変形例における助手席側から視認される表示画面を説明するための図である。
【符号の説明】
【0025】
1 ナビゲーション装置
11 制御回路
14 現在地検出装置
15 画像メモリ
16 表示モニタ
18 入力装置
19 ディスクドライブ
21 フィルタ
21a 色フィルタ部
21b 非色フィルタ部
30 地図
32a〜32e 細街路以外の道路
51 デュアル・ビュー・ディスプレイ
52 色フィルタ
110 DVD−ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席側からは着色されたフィルタを通して表示画面が視認され、助手席側からは前記着色されたフィルタを通さないで表示画面が視認される表示モニタと、
車両の現在地を検出する現在地検出手段と、
地図データに基づいて前記車両の現在地周辺の地図を前記表示モニタに表示する表示制御手段とを備え、
前記表示制御手段は、細街路の表示色を前記着色されたフィルタを通して観察すると前記細街路が識別できない色彩にすることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記表示モニタの表示画面に、縦ライン状の複数の透光性スリットを有する視差バリアと、複数の着色された縦ライン状の透光部を有するフィルタを交互に設けることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
運転席側から視認される画像と助手席側から視認される画像とを異なるように表示できる表示モニタと、
前記表示モニタの表示画面に設けられ、着色された透光部を有する色フィルタと、
車両の現在地を検出する現在地検出手段と、
地図データに基づいて前記車両の現在地周辺の地図を前記表示モニタに表示する表示制御手段と、
前記運転席側から視認される画像と前記助手席側から視認される画像との各々の色味を制御する色味制御手段とを備え、
前記色味制御手段は、前記運転席側から視認される画像を前記地図に表示された細街路の表示色が前記色フィルタによって識別できなくなる色味にし、前記助手席側から視認される画像を前記地図に表示された細街路の表示色が前記色フィルタによっても識別できる色味にすることを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−157776(P2008−157776A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347422(P2006−347422)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】