説明

ナビゲーション装置

【課題】ユーザの意図する目的地をユーザの負担を掛けずに類推して絞込み、煩雑な手間が係るのを防止するとともに、目的とする情報にたどり着くまでの時間を短縮可能なナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】現在位置検出部11と、過去に停止した停止地点の情報および過去に通過した通過経路の情報を蓄積する履歴メモリ14および走行履歴メモリ15と、履歴メモリ14および走行履歴メモリ15に蓄積された情報のうち、所定の条件を満たす停止地点の情報及び所定の条件を満たす通過経路の情報を格納する参照履歴DB17と、これら停止地点の情報および通過経路の情報に基づいて目的地の候補を表示するディスプレイ51と、表示された目的地の候補を選択可能な入力操作部18とを備え、選択された目的地の候補を目的地として設定して該目的地までのルート案内を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、過去に通過した地点と、その地点における車両の停車時間を蓄積し、この蓄積結果に基づいてユーザの嗜好を類推し、目的地のガイダンスを行う際のユーザの負担を軽減するナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3695995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術の一例に係るナビゲーション装置では、無作為に通過地点や通過経路などの走行履歴を残すため、例えば、ユーザが一度通過した程度の微かな記憶しかない場所を目的地としたい場合、履歴情報が多すぎて目的とする情報にたどり着くまでに手間と時間がかかってしまう場合がある。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ユーザの意図する目的地をユーザに負担を掛けずに類推して絞込み、煩雑な手間が係るのを防止するとともに、目的とする情報にたどり着くまでの時間を短縮可能なナビゲーション装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、車両の走行位置を検出する車両位置検出手段(例えば、実施の形態における現在位置検出部11)と、該車両位置検出手段の検出結果に基づいて、過去に停止した停止地点の情報および過去に通過した通過経路の情報のうち少なくとも一方を蓄積する第1の走行履歴蓄積手段(例えば、実施の形態における停止履歴メモリ14、走行履歴メモリ15)と、該第1の走行履歴蓄積手段に蓄積された情報のうち、所定の条件を満たす停止地点の情報及び所定の条件を満たす通過経路の情報を格納する第2の走行履歴蓄積手段(例えば、実施の形態における参照履歴DB17)と、該第2の走行履歴蓄積手段に格納された停止地点の情報および通過経路の情報に基づいて目的地の候補を表示する目的地候補表示手段(例えば、実施の形態におけるディスプレイ51)と、該目的地候補表示手段により表示された目的地の候補を選択可能な選択手段(例えば、実施の形態における入力操作部18)とを備え、該選択手段により選択された目的地の候補を目的地として設定して該目的地までのルート案内を行うことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の発明において、前記第2の走行履歴蓄積手段が、停止回数が所定の回数を下回っている停止地点の情報および通過回数が所定回数を下回っている通過経路の情報を蓄積することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載した発明によれば、第1の走行履歴蓄積手段に蓄積されている通過地点及び通過経路のうち少なくとも一方の情報の中から、所定の条件を満たすもの、すなわちユーザが望む情報を類推して絞り込んで第2の走行履歴蓄積手段に蓄積し、この第2の走行履歴蓄積手段に蓄積された通過地点および通過経路の情報に基づいて目的地候補表示手段によって目的地の候補を表示して、選択手段で選択された目的地の候補を目的地に設定してルート案内を行うことができるため、目的地を選択する際に参照する情報量を低減すると共に、目的地の選択肢が多すぎて煩雑な手間が係るのを防止し、したがって目的地を設定するまでの時間を短縮できる効果がある。
【0008】
請求項2に記載した発明によれば、例えば、1回程度停止した地点や1回程度通過した経路など、停止回数や通過回数が少なく記憶が定かでない地点や経路であっても、これらを容易かつ迅速に抽出して目的地として設定することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明のナビゲーション装置の一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態によるナビゲーション装置10は、図1に示すように、現在位置検出部11と、地図データ格納部12と、停止判定部13と、停止履歴メモリ14と、走行履歴メモリ15と、格納判定部16と、参照履歴データベース(以下、単に参照履歴DBと称す)17と、入力操作部18と、ECU19と、出力部20とを備えて構成されている。
【0010】
現在位置検出部11は、人工衛星を利用して車両の位置を測定するためのGPS(Global Positioning System)信号や、例えば適宜の基地局を利用してGPS信号の誤差を補正して測位精度を向上させるためのD(Differential)GPS信号等の測位信号を受信するGPS受信部21と、車両の速度(車速)を検出する車速センサ22と、水平面内での自車両の向きや鉛直方向に対する傾斜角度(例えば、車両の前後方向軸の鉛直方向に対する傾斜角度や車両重心の上下方向軸周りの回転角であるヨー角等)および傾斜角度の変化量(例えば、ヨーレート等)を検出するジャイロセンサ23とを備えて構成され、受信した測位信号によって、あるいは、車速やヨーレート等の検出信号に基づく自律航法の算出処理によって、車両の現在位置を算出する現在地判定部24を備えている。
【0011】
地図データ格納部12は、出力部20のディスプレイ51の表示画面51a(図2参照)上において地図を表示するための地図データと、緯度・経度などの位置情報、道路の接続状態及び形状等の情報からなる道路情報および沿道の施設や店舗情報などから構成されたいわゆるPOI(Point Of Interest)データとを格納している。ここで、道路情報は、例えばノード(つまり、道路形状を把握するための座標点)および各ノード間を結ぶ線であるリンクと、各リンクの距離と、道路の種別及び幅員及び交差角度および形状等のデータとを備えて構成され、地図データは、例えば地形図データと、例えば各種の施設および街区および湖沼等に対応したポリゴンのデータと、例えば各ポリゴンに対応付けられた施設名および地名等の文字のデータと、各種の記号のデータとを備えて構成されている。
【0012】
停止判定部13は、車速センサ22で検出された車速に基づいて車両が停止状態か否かを判定するものであり、車両が停止状態であると判定された場合には、停止信号を停止履歴メモリ14に対して出力する。ここで、停止判定部13は、例えば、車速センサ22で検出された車速が予め設定された所定の車速以下の状態で、かつ、この状態が所定時間経過した場合に車両が停止状態と判定する。なお、上記車速に限られず、例えば、イグニッションキーがACC(アクセサリ電源)からOFFに切り替えられた場合やパーキングブレーキの作動を検知した場合に車両が停止状態と判定するようにしてもよい。
【0013】
停止履歴メモリ14は、ユーザが感動を受けたことを検出する感情センサ(図示略)の検出値が所定の検出値以上になったことの履歴情報と、停止判定部13から停止信号が入力された位置の情報と、その停止した位置において過去に停止した累積回数の情報とがそれぞれ対応付けて記憶されるものである。ここで、車両が停止した位置の情報は、現在地判定部24で算出された車両の現在位置および、車両の現在位置に対応した地図データ格納部12の道路情報を用いることができる。
【0014】
走行履歴メモリ15は、ユーザが感動を受けたことを検出する感情センサ(図示略)の検出値が所定の検出値以上になったときに車両が走行している道路情報、より具体的には車両が走行している交差点間の道路情報と、走行中の道路を通過した累積回数の情報とがそれぞれ対応付けて記憶されるものである。道路情報は、緯度・経度や各リンク、ノードおよびその組み合わせにより構成されてなるものである。
【0015】
ここで、感情センサとは、ユーザが景色を見て綺麗と感じた場合など、感動してやや興奮した状態になったことを検出するセンサであり、例えば、ユーザの生体情報を取得するセンサである心拍センサ、発汗センサ、筋電位センサ、脳波センサ、画像処理装置、および、血圧センサ等のセンサを備えて構成されている。
これにより、例えば、心拍センサにより検出される心拍数、発汗センサによって検出される発汗量、筋電位センサにより検出される筋電位、画像処理装置により検出される瞳孔の変化、血圧センサにより検出される血圧など各検出結果が、所定の興奮状態を判定するために予め設定された閾値を超えた場合や、脳波センサにより検出された脳波(ベータ波、アルファ波およびシータ波)が興奮状態のときに出現する特定の脳波であった場合に、ユーザが感動したと判定することができる。
【0016】
図2は停止履歴メモリ14に格納された停止履歴、および、走行履歴メモリ15に格納された走行履歴の一例を示したものである。これら停止履歴および走行履歴にはそれぞれ位置情報である「緯度」・「経度」、感情センサの検出結果である「感情」、および、その場所を訪れた「回数」とがそれぞれ対応付けられている。ここで、感情センサの検出結果として興奮の有無を「○」,「×」で示す一例を説明したが、感情センサにより検出された数値などを対応付けるようにしても良い。また、上記「回数」は、停止履歴の場合、停止回数となり、走行履歴の場合、通過回数となる。なお、位置情報を「緯度」・「経度」とした一例を説明したが、道路情報に含まれるリンク・ノードに割り当てられた番号やそれらの組合せであってもよい。
【0017】
格納判定部16は、停止履歴メモリ14および走行履歴メモリ15の記憶情報に基づいて、参照履歴DB17の記憶情報の格納および消去を行うものである。格納判定部16は、例えば、24時間毎や、イグニッションがOFFとなるタイミングなど所定のタイミングで、停止履歴メモリ14および走行履歴メモリ15に記憶されている位置情報と、参照履歴DB17に記憶されている位置情報とを突合して参照履歴DB17への格納および参照履歴DB17に格納された位置情報の消去を行う。
【0018】
参照履歴DB17は、ユーザが入力操作部18により後述する所定の検索操作を行った際に参照されるデータベースであり、格納判定部16により格納された停止履歴メモリ14および走行履歴メモリ15に記憶されていた位置情報をそれぞれECU19に出力する。なお、参照履歴DB17の記憶領域が全て使用されている場合、古い情報から順次消去される。
【0019】
入力操作部18は、例えば図3〜図5に示すように、出力部20のディスプレイ51から下方側にずれた位置でインスツルメントパネルから突出する回転操作部材31およびスライド操作部材32を備えて構成されている。
略円筒状の回転操作部材31は、軸線P周り(例えば、図3に示す矢印R方向)に回転可能とされている。
回転操作部材31の内径よりも小さな外径を有する略円柱状のスライド操作部材32は、回転操作部材31と同軸に回転操作部材31の内部に配置され、スライド操作部材32の先端部32aは、回転操作部材31の開口端31aから突出するように配置され、スライド操作部材32は、軸線P方向および軸線Pに直交する任意の方向(例えば、図3に示す矢印X,Y方向)に変位可能とされている。
【0020】
スライド操作部材32には、軸線P方向および軸線Pに直交する方向に対して所定の基準位置が設定され、操作者からの入力操作(例えば、軸線P方向の押下操作、または、軸線Pに直交する方向のスライド操作等)が無い場合には、適宜の復帰機構(図示略)により基準位置に自動的に復帰するように設定されている。
また、入力操作部18は、回転操作部材31の回転角度および回転速度を検出するエンコーダ等のセンサ(図示略)と、スライド操作部材32の軸線P方向および軸線Pに直交する方向での各所定変位を検出するセンサ(図示略)とを備え、各センサから出力される検出値の信号はECU19に入力されている。
なお、入力操作部18は、以上説明したものの他に、例えばタッチパネル式等であってもよい。
【0021】
ECU19は、現在地判定部24から取得した車両の現在位置の情報に基づいて、地図データ格納部12から地図データを取得して出力部20のディスプレイ51に地図を表示し、さらに現在地判定部24から取得した車両の現在位置に基づいてマップマッチング等の処理を行って車両の現在位置を地図上に重ねて表示する。また、ECU19は、入力操作部18に対する入力操作に応じて設定された目的地に対して経路探索や経路誘導等の処理を実行し、出力部20のディスプレイ51およびスピーカ52の動作を指示する制御指令を出力する。さらに、ECU19は、入力操作部18により所定の検索操作がなされた場合には、参照履歴DB17に格納されている位置情報を参照して、ディスプレイ51に表示される地図上にその位置情報の場所を重ねて表示するための制御指令を出力する。
【0022】
出力部20は、地図および各種情報を表示する液晶などで構成されたディスプレイ51と、経路案内時のガイダンスや操作音などを出力するためのスピーカ52とを備え、これらディスプレイ51とスピーカ52とがそれぞれECU19の制御指令に従って駆動する。
【0023】
この実施の形態によるナビゲーション装置10は上記構成を備えており、次に、このナビゲーション装置10の動作、特に、停止履歴メモリ14への格納処理、走行履歴メモリ15への格納処理、および、格納判定部16による参照履歴DB17に対する記憶情報の格納・消去処理を説明する。
【0024】
まず、図6を参照しながら停止履歴メモリ14への格納処理を説明する。
ステップS01においては、車両が停止したかつまり停止条件が成立したか否かを判定する。ステップS01の判定結果が「YES」(停止条件成立)である場合は、ステップS02に進み、「NO」(停止条件不成立)である場合は、ステップS01の処理を繰り返す。
【0025】
ステップS02においては、車両の現在地情報(位置情報)を特定する。
ステップS03においては、ステップS02の処理で特定された現在地情報と、停止履歴メモリ14に記憶されている位置情報とを比較する。
ステップS04においては、ステップS03の処理においてなされた比較の結果、特定された現在地情報(位置情報)と、停止履歴メモリ14に記憶されている位置情報とのうち、一致する位置情報があるか否かを判定する。ステップS04の判定結果が「YES」(一致情報あり)である場合は、ステップS05に進み、「NO」(一致情報なし)である場合は、ステップS06に進む。
【0026】
ステップS05においては、ステップS04の処理で一致していると判定された位置情報に対応付けて記憶されている回数情報をインクリメントする。
一方、ステップS06においては、特定された現在地情報(位置情報)にカウント「1」(回数情報)を対応付けて停止履歴メモリ14へ格納する。
【0027】
ステップS07においては、感情センサの検出結果を読み込み、この検出結果を今回比較を行った位置情報に対応付けて停止履歴メモリ14に記憶させて一連の処理を終了する。ここで、位置情報に対応付けて記憶される感情センサの検出結果は、最新の検出結果以外に、例えば現在までの検出結果の中で最大のものを記憶させるようにしても良い。
【0028】
次に、図7を参照しながら走行履歴メモリ15への格納処理を説明する。
まず、図7に示すステップS10においては、車両が走行開始した位置情報を取得する。
ステップS11においては、現在地情報に基づいてマップマッチング等により車両が走行している交差点および交差点間の道路の位置(例えば、緯度・経度やノード・リンク)を特定し、その道路情報を交差点ごとに切り出す。
ステップS12においては、ステップS11の処理で切り出した道路情報を、走行履歴メモリ15に記憶されている道路情報と比較する。
【0029】
ステップS13においては、ステップS11で切り出した道路情報と一致する道路情報が走行履歴メモリ15に記憶されているか否かを判定する。ステップS13の判定結果が「YES」(一致情報あり)である場合は、ステップS14に進み、「NO」(一致情報なし)である場合は、ステップS15に進む。
【0030】
ステップS14においては、道路情報に対応付けられて記憶されている回数情報をインクリメントする。
一方、ステップS15においては、ステップS11で切り出した道路情報にカウント「1」(回数情報)を対応付けて走行履歴メモリ15へ格納する。
ステップS16においては、ステップS07の処理と同様に、感情センサの検出結果を読み込み、この検出結果を今回比較を行った道路情報に対応付けて走行履歴メモリ15に記憶させて一連の処理を終了する。ここで、道路情報に対応付けて記憶される感情センサの検出結果は、最新の検出結果以外に、例えば現在までの検出結果の中で最大のものを用いても良い。
【0031】
次に、図8を参照しながら格納判定部16による参照履歴DB17に対する記憶情報の格納・消去処理を説明する。
まず、ステップS20においては、停止履歴メモリ14および走行履歴メモリ15の各メモリと参照履歴DB17との比較を行う。より具体的には、停止履歴メモリ14に記憶されている位置情報と参照履歴DB17に記憶されている位置情報とを比較すると共に、走行履歴メモリ15に記憶されている道路情報と参照履歴DB17に記憶されている道路情報とを比較する。
【0032】
ステップS21においては、参照履歴DB17に記憶されている位置情報および道路情報の中に、停止履歴メモリ14の位置情報および走行履歴メモリ15の道路情報と一致するものがあるか否かを判定する。ステップS21の判定結果が「YES」(一致情報あり)である場合は、ステップS22に進み、「NO」(一致情報なし)である場合は、ステップS25に進む。
【0033】
ステップS22においては、ステップS21で一致した位置情報および道路情報に対応付けられている回数情報が所定回数(例えば、1回)以内か否かを判定する。ステップS22の判定結果が「YES」(所定回数以内)である場合は、ステップS23に進み、「NO」(所定回数より多い)である場合は、ステップS24に進む。
ステップS23においては、位置情報および道路情報にそれぞれ対応付けられている感情センサの検出結果に基づいて、ドライバー(ユーザ)が所定以上の感動を受けたか否かを判定する。ステップS23の判定結果が「YES」(感動を受けた)である場合は、一連の処理を終了し、「NO」(感動を受けていない)である場合は、ステップS24に進む。
ステップS24においては、参照履歴DB17からステップS21で一致した位置情報および道路情報を消去して一連の処理を終了する。
【0034】
一方、ステップS25においては、ステップS23と同様に、位置情報および道路情報に対応付けられている感情センサの検出結果に基づいてドライバー(ユーザ)が所定以上の感動を受けたか否かを判定する。ステップS25の判定結果が「YES」(感動を受けた)である場合は、ステップS26に進み、「NO」(感動を受けていない)である場合は、一連の処理を終了する。
ステップS26においては、一致した位置情報および道路情報を参照履歴DB17に格納して一連の処理を終了する。
【0035】
そして、ECU19においては、例えば、図9に示すディスプレイ51のように、地図上に自車位置Cが表示されている図9(a)の状態で、入力操作部18により所定の操作が行われると、ディスプレイ51の下部に図9(b)に示すようにマップメニュー(MAP MENU)60が表示される。ここで、マップメニュー60は、種々の情報を表示する為の項目名61が配列されて構成されるものであり、表示された複数の項目名61のうち選択可能なものだけが太字になるなどアクティブ表示され、さらに、このアクティブ表示された項目名61のうち一つの項目名61が所定の枠62で囲まれて選択状態となっている。この枠62は入力操作部18の回転操作部材31の回動操作によりその回動方向に応じた方向に隣接する項目名61に移動するようになっている。そして、マップメニュー60の複数の項目名61の中には、トラベルヒストリー(図中「Travel History」)という項目名が表示されるようになっている。
【0036】
ECU19は、入力操作部18により、マップメニュー60の「Travel History」という項目名61が選択され決定操作がなされると、図9(c)に示すように、マップメニュー60を非表示にして、ディスプレイ51の表示縮尺内の位置情報および道路情報を参照履歴DB17から取得して、これら位置情報および道路情報に対応する地図上の位置および道路を、例えば、位置の場合にはその位置に丸印63を表示し、道路の場合はその道路に太線64を重ねて表示する。ここで、「Travel History」という項目名61は、以前に行ったことがある場所の中から、ユーザが景色を綺麗と感じたりして、感動を受けたと類推される場所を検索してピックアップするための項目名である。また、地図上に表示された丸印63および太線64は、上述した項目名61と同様に、それぞれ入力操作部18により選択可能となっており、丸印63又は太線64が選択されて決定操作がなされると、当該丸印63のある地図上の地点又は太線64のある地図上の道路が目的地として設定されて、ECU19によりルート計算が開始され、現在位置から目的地までのルート案内が開始されることとなる。なお、図9(c)において、図示都合上、地図を省略している。また、参照履歴DB17から取得した位置情報および道路情報に対応する位置および道路を示すための表示方法はユーザが認識し易いものであれば上記の表示方法以外に限れられるものではない。
【0037】
したがって、上述の実施の形態によれば、停止履歴メモリ14に記憶されている位置情報および走行履歴メモリ15に記憶されている道路情報から、ユーザが望む情報を類推して絞り込んで参照履歴DB17に蓄積し、この参照履歴DB17に蓄積された道路情報に基づいて導出された目的地を、ルート案内を行う目的地として設定することができるため、目的地を導出する際に参照する情報量を低減して煩雑な手間が係るのを防止するとともに目的地を設定するまでの時間を短縮できる。
【0038】
また、ユーザが確実に覚えている目的地は履歴を参照するまでもなく周知の他の方法によりその目的地を探すことができるが、1回程度しか通過していない地点や経路など、通過回数が少なく記憶が定かでない地点や経路を探す際に、これらを容易に抽出することができる。
【0039】
なお、この発明は本実施の形態に限られるものではなく、他の実施例として、例えば、感情センサの検出結果による一連の判定処理(例えば、ステップS07、ステップS16、ステップS23、ステップS25)を省略するようにしても良い。
また、上記実施の形態では停止履歴メモリ14および走行履歴メモリ15の両方が設けている場合について説明したが、何れか一方のみを設けた構成であってもよい。
【0040】
さらに、上述の実施の形態に限られるものではなく、例えば、感情センサの閾値を複数設定して、ユーザが感動した度合いに応じて、例えば異なった色で示すなど表示形態を区別してディスプレイ51に選択可能な地点や経路などを表示するようにしても良い。
また、感情センサによりユーザが感動を受けるなど興奮した地点および経路の情報を参照履歴DB17へ格納する場合について説明したが、ユーザの感情が普通よりも落ち着いていることを検出してこの落ち着く場所の位置情報および道路情報を参照履歴DB17へ格納して目的地の候補とするようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の停止履歴メモリ、走行履歴メモリおよび参照履歴DBに記憶されるデータ構造の説明図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の入力操作部の配置状態の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の入力操作部の斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の入力操作部の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作、特に、停止履歴メモリへの格納処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作、特に、走行履歴メモリへの格納処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作、特に、格納判定部による参照履歴DBに対する記憶情報の格納・消去処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置のディスプレイの表示画面の例を示す図であり、(a)は通常時の表示画面、(b)はマップメニューが表示された状態の表示画面、(c)はマップメニューでトラベルヒストリーが選択決定された後に表示される表示画面を示している。
【符号の説明】
【0042】
11 現在位置検出部(車両位置検出手段)
14 停止履歴メモリ(第1の走行履歴蓄積手段)
15 走行履歴メモリ(第1の走行履歴蓄積手段)
17 参照履歴DB(第2の走行履歴蓄積手段)
18 入力操作部(選択手段)
51 ディスプレイ(目的地候補表示手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行位置を検出する車両位置検出手段と、
該車両位置検出手段の検出結果に基づいて、過去に停止した停止地点の情報および過去に通過した通過経路の情報のうち少なくとも一方を蓄積する第1の走行履歴蓄積手段と、
該第1の走行履歴蓄積手段に蓄積された情報のうち、所定の条件を満たす停止地点の情報及び所定の条件を満たす通過経路の情報を格納する第2の走行履歴蓄積手段と、
該第2の走行履歴蓄積手段に格納された停止地点の情報および通過経路の情報に基づいて目的地の候補を表示する目的地候補表示手段と、
該目的地候補表示手段により表示された目的地の候補を選択可能な選択手段とを備え、
該選択手段により選択された目的地の候補を目的地として設定して該目的地までのルート案内を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記第2の走行履歴蓄積手段は、停止回数が所定の回数を下回っている停止地点の情報および通過回数が所定回数を下回っている通過経路の情報を蓄積することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−180651(P2009−180651A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21050(P2008−21050)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】