説明

ナビゲーション装置

【課題】ナビゲーション装置において、案内経路上に存在し、通過時間を長引かせる複数種類の障害要素を、使用者に対してわかりやすく提示させる。
【解決手段】情報を表示する表示手段70と、地図情報Mpを記憶した地図情報記憶手段30と、出発地Sから目的地Gまでの経路Kを探索する経路探索手段20と、経路Kの途上に存在する障害要素を検出する障害要素検出手段40と、検出された障害要素をその種類ごとに分類した数量でリスト化して出力する障害要素リスト化手段50と、障害要素のリストのうち、任意の障害要素の種類を選択する入力を受ける入力手段10と、選択が入力された種類の障害要素であってリスト化された対象のものを、地図情報Mpにおける対応位置に、経路Kとともに表示させるように、表示手段70を制御する表示制御手段60と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関し、詳細には、道案内の経路上に存在する踏切や信号機等の、通過時間を長引かせる障害物(障害要素)の提示の仕方の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS等によって得られた車両の現在位置を、地図情報上の所定位置に対応させて、この地図情報に車両を表すマーカを重ねて表示するナビゲーション装置が知られている。
【0003】
このナビゲーション装置は、自車の現在位置や仮想の位置を出発地とし、この出発地から任意の目的地までの経路を、到達時間優先(高速道路等の有料道路優先)や、走行距離優先、あるいは走行コスト優先(一般道優先)等の条件に沿って求め、この経路を地図情報で表示したり、音声での案内を併せて行う。
【0004】
ここで、求められた経路を進行する際に、スムーズな進行を妨げる障害になりうる要素(例えば、踏切や橋、信号、渋滞箇所や工事等による車線規制、通行止めなどの、当該箇所を通過するのに要する時間が、それがないと仮定した場合における通過に要する時間よりも長くなるような障害要素をいう。)が経路上に存在する場合、この障害要素の存在を予め運転者に知らせておくことができれば、運転者は、その障害要素が存在する付近を事前に知っていることで、運転操作に余裕が生まれ、一層の安全運転を促すことができる。
【0005】
また、そのような障害要素の存在を予め知っている場合は、その障害要素を回避した経路を採用することも可能である。
【0006】
そこで、渋滞が予想され通行を回避したい領域を、使用者の操作によって指定し、この指定された領域を回避した経路を探索する技術(特許文献1)や、経路上に存在する信号機の数をカウントし、このカウントされた信号機に数を表示手段に表示させる技術(特許文献2)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−101169号公報
【特許文献2】特開平10−274544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1により開示されている技術は、渋滞が予想される領域だけを回避選択の対象とするものであるに過ぎず、通行の障害(通行不可乃至通過に要する時間の延長)となる他の障害要素については考慮されていない。
【0009】
また、特許文献2により開示されている技術は、信号機の数を提示することで、進路変更の目安とさせるものであるが、単に信号機の数量だけを提示するものであるに過ぎず、特許文献1と同様に、他の障害要素については考慮されていない。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、案内経路上に存在し、通過時間を長引かせる複数種類の障害要素を、使用者に対してわかりやすく提示させることができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るナビゲーション装置は、障害要素リスト化手段が、障害要素検出手段によって検出された障害要素を、その種類ごとに分類した数量で表したリスト形式で提示することで、使用者に対して、案内経路に存在する障害要素の種類、数をわかりやすく提示させることができるとともに、入力手段に対して、個々の種類の障害要素の選択を入力することで、表示制御手段が、その選択された種類の障害要素を、経路とともに表示させることで、経路上における障害要素の存在位置を使用者に対して予め知らせ、走行時における障害要素への接近に対する準備期間を与え、運転操作の安全性を一層高めるものである。
【0012】
すなわち、本発明に係るナビゲーションは、情報を表示する表示手段と、地図情報を記憶した地図情報記憶手段と、出発地から目的地までの、前記地図情報における経路を探索する経路探索手段と、前記経路の途上に存在する、通過時間を長引かせる障害要素を検出する障害要素検出手段と、前記障害要素検出手段によって検出された前記障害要素を、前記障害要素の種類ごとに分類した数量でリスト化して出力する障害要素リスト化手段と、前記障害要素リスト化手段から出力された前記障害要素のリストのうち、任意の障害要素の種類を選択する入力を受ける入力手段と、前記障害要素リスト化手段から出力された前記障害要素のリストのうち、前記入力手段に入力された種類の障害要素であって前記リスト化された対象のものを、前記地図情報における対応位置に、前記経路探索手段によって探索された前記経路とともに表示させるように、前記表示手段を制御する表示制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
ここで、上記障害要素は、例えば、踏切や橋、信号、渋滞箇所や工事等による車線規制、通行止め(道路規制)などの、当該箇所を通過するのに要する時間が、それがないと仮定した場合における通過に要する時間よりも長くなるものをいう。
【0014】
障害要素検出手段は、地図情報に含まれる交差点、信号機、橋、踏切という交通要素の情報に基づいてこれらを検出するもの(経路探索手段がその機能を有するものであってもよい。)の他、「VICS(Vehicle Information and Communication System;道路交通情報通信システム)」(登録商標)などの公知の交通情報提供手段(電波ビーコン、光ビーコン、FM多重放送)によって提供された交通情報を取得する交通情報取得手段も適用することができる。
【0015】
また、障害要素リスト化手段による障害要素の種類ごとに分類した数量でのリスト化とは、障害要素の種類ごとの数量を求めて、その障害要素の種類に対応した数量を、その障害要素の種類と対応付けてリスト形式(表形式)にすることを意味する。
【0016】
このように構成された本発明に係るナビゲーション装置によれば、障害要素リスト化手段が、障害要素検出手段によって検出された障害要素を、その種類ごとの数量に分類してリスト化して提示することで、使用者に対して、案内経路上に存在する障害要素の数量を、その種類ごとにわかりやすく提示させることができる。
【0017】
しかも、この障害要素の種類に対応した数量のリストは階層的に構成されていて、入力手段に対して任意の種類の障害要素を選択する入力があったときは、その選択された種類の障害要素に分類された数の各障害要素を、それぞれ地図情報における対応位置に、経路探索手段によって探索された経路とともに表示させるように、表示制御手段が表示手段を制御するため、使用者が関心のある障害要素の存在位置を地図に対応させて個々に予め確認させることができ、使用者に対して、その障害要素を迂回した他の経路を選択させることもできる。
【0018】
また、本発明に係るナビゲーション装置においては、前記入力手段は、前記経路とともに表示された障害要素のうち任意のものを択一的に選択する入力を受ける入力手段としても機能し、前記表示制御手段は、前記入力手段に択一的に入力された障害要素について、前記地図情報における対応位置であって、その対応位置の近傍をより詳細に表した地図情報とともに個別的に表示させるように、前記表示手段を制御する表示制御手段としても機能することが好ましい。
【0019】
このように好ましく構成されたナビゲーション装置によれば、入力手段に、各経路とともに表示された障害要素のうち任意のものを択一的に選択する入力があったときは、表示制御手段が、その入力された障害要素について、地図情報における対応位置であって、その対応位置の近傍をより詳細に表した地図情報とともに個別的に表示させるように表示手段を制御するため、所望とする障害要素の種類に分類された個々の障害要素を、その存在位置および近傍を表す詳細地図によって、使用者に対して詳細に把握させることができる。
【0020】
また、本発明に係るナビゲーション装置においては、前記表示制御手段は、前記入力手段に入力された種類の障害要素として計数された障害要素を、それらの障害要素にそれぞれ対応する位置の近傍の前記地図情報とともに、サムネイル化して表示するように、前記表示手段を制御することが好ましい。
【0021】
このように好ましく構成されたナビゲーション装置によれば、選択された種類に分類されている一または二以上の障害要素を、サムネイル画像(一覧用に縮小された見本画像)で一覧的に表示させることで、個々の障害要素を選択する際の手がかりを一覧的にひと目で確認することができ、使用者による使い勝手を向上させることができる。
【0022】
また、本発明に係るナビゲーション装置においては、前記入力手段は、前記表示制御手段の制御により前記表示手段に表示された前記障害要素のうち回避しようとする障害要素の選択を入力する入力手段としても機能し、前記経路探索手段は、前記入力手段に入力された障害要素を回避する経路を再探索するものであることが好ましい。
【0023】
このように好ましく構成されたナビゲーション装置によれば、使用者が回避しようとする障害要素の選択を入力手段に入力すると、経路探索手段が、その入力された障害要素を回避する経路を再探索するため、使用者の回避意図に沿った経路を提示することができる。
【0024】
また、本発明に係るナビゲーション装置においては、前記経路探索手段は、所定の条件に応じて、前記経路として複数の経路を提示することが好ましい。
【0025】
このように好ましく構成されたナビゲーション装置によれば、経路探索手段が、所定の条件に応じて、経路として複数の経路を提示するため、提示された経路ごとに、障害要素の種類や数量に差異が生じることとなり、使用者は、各経路ごとに提示された障害要素の種類や数量を確認して、一つの経路を選択することができ、使用者による経路選択の自由度を高めることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るナビゲーション装置によれば、案内経路上に存在し、通過時間を長引かせる複数種類の障害要素を、使用者に対してわかりやすく提示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る車載型のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示したナビゲーション装置をより具体的な装置構成に展開したブロック図である。
【図3】表示手段に表示された、出発地から目的地までの経路、並びに走行距離、所要時間および所要料金の例を示す図である。
【図4】種類ごとの数量としてリスト化された障害要素の表示例を示す図である。
【図5】任意の種類の障害要素を選択したときに、その選択された種類の障害要素に分類されている障害要素の表示例を示す図である。
【図6】個々の障害要素をその存在位置の近傍の詳細地図とともに表示した例を示す図である。
【図7】選択された障害要素を回避した経路を再探索する場合の表示例を示す図である。
【図8】再探索後の経路の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係るナビゲーション装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係る車載型のナビゲーション装置100の構成を示すブロック図、図2は図1に示したナビゲーション装置100をより具体的な装置構成に展開したブロック図である。
【0030】
図示のナビゲーション装置100は、情報を表示する表示手段70と、地図情報(地図そのもの、道路、地図に含まれる個別のランドマーク(駐車場や特定の建物、商業施設(コンビニエンスストア、ガスステーション、ショッピングセンター、遊園地等)、工業施設(工場、研究所等)、公園等)の説明等を含む情報)Mpを記憶した地図情報記憶手段30と、出発地から目的地までの、地図情報Mpにおける経路Kを探索する経路探索手段20と、経路Kの途上に存在する、通過時間を長引かせる障害要素(交通情報(VICSにより検出することができる情報)で得られる渋滞箇所、工事規制箇所(通行止め等の箇所)、予め準備された統計的な渋滞DB(データベース;以下、統計渋滞DBという。)によって得られる統計的に渋滞が発生し易い箇所、踏切、右折または左折の動作となる交差点や幹線道路を横断する動作となる通過箇所、信号機、橋などの、当該箇所を通過するのに要する時間が、それがないと仮定した場合における通過に要する時間よりも長くなるもの)を検出する障害要素検出手段40と、障害要素検出手段40によって検出された障害要素を、障害要素の種類ごとに分類した数量でリスト化し、このリスト化されたリストLを出力する障害要素リスト化手段50と、障害要素リスト化手段50から出力された障害要素のリストLのうち、任意の障害要素の種類を選択する入力を受ける入力手段10と、障害要素リスト化手段50から出力された障害要素のリストLのうち、入力手段10に入力された特定種類の障害要素であってリスト化された対象のものを、地図情報Mpにおける対応位置に、経路探索手段20によって探索された経路とともに表示させるように、表示手段70を制御する表示制御手段60と、を備えた構成である。
【0031】
ここで、図2は、図1に示したナビゲーション装置100をより具体的な装置構成に展開したブロック図であるところ、符号81はナビゲーション装置100のシステム全体の制御を司るメインCPU、符号32はシステム計算の領域やプログラムの格納、運転時間の記憶等を行う記憶部、符号61は地図やメニューなどの描画制御を行う表示制御部、符号82は各デバイス用のI/F(インターフェイス)であるCPU周辺回路部、符号31はハードディスク等の書込みおよび読出しが可能な媒体であり、地図情報や統計渋滞DBを記憶した記憶メディア部、符号94はジャイロセンサなどの相対的な方位を検出する相対方位検出部、符号93はGPSなどの絶対位置・時刻を検出する時刻・絶対位置検出部、符号91はトランスミッションのパーキングポジションの検出やバック(リバース)ポジションの検出、イルミネーションの点灯検出、車速信号の検出、FM多重放送(FM−VICS信号)の検出等を行う車両I/F部、符号92は音声信号を取り込む音声認識部、符号72は映像信号を画面表示部71に表示させる映像信号処理部、符号71は地図、メニュー、運転時間等を表示させる画面表示部、符号95は音声信号を増幅して出力部(スピーカー)96に出力する音声信号増幅部、符号96は音声案内、運転時間などを聴覚的に認識可能な音声で出力する音声出力部である。
【0032】
また、図2における映像信号処理部72と画面表示部71とは図1における表示手段70に相当し、図2における表示制御部61は図1における表示制御手段60に相当し、図2における記憶メディア部31は図1における地図情報記憶手段30に相当し、図2におけるメインCPU81、CPU周辺回路部82および時刻・絶対位置検出部93(GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等)は図1における経路探索手段20、障害要素検出手段40およびリスト化手段50に相当し、図2における車両I/F部91の一部は図1における障害要素検出手段40に相当する。
【0033】
なお、画面表示部71の表示面にはタッチセンサ11が配設されていて、このタッチセンサ11は図1における入力手段10として機能する。
【0034】
この入力手段10は、探索された経路とともに表示手段70に表示された障害要素(1つでも2つ以上の個数であってもよい。)のうち任意のものを択一的に使用者が選択する入力を受ける入力手段としても機能し、表示制御手段60は、この入力手段10に択一的に入力された障害要素について、その地図情報Mpにおける対応位置であって、その対応位置の近傍をより詳細に表した地図情報Mpとともに個別的に表示手段70に表示させるように、表示手段70を制御する表示制御手段としても機能する。
【0035】
さらに、この入力手段10は、表示制御手段60の制御により表示手段70に表示された障害要素のうち、回避しようとする障害要素の選択を入力する入力手段としても機能し、経路探索手段20は、入力手段10に入力された障害要素を回避する経路を再探索する機能も有している。
【0036】
なお、経路探索手段20は、使用者によって入力手段10に入力された所定の条件(出発地(現在地を出発地とするときは入力の省略が可能)、目的地、必要に応じて経由地等)に応じて、目的地までの経路として複数の経路を提示するように機能する。
【0037】
複数の経路としては、有料道路等の車両専用道路を除く一般道だけの経路である一般道優先の経路、有料道路等の車両専用道路も利用して到着時間が最も短い経路である時間優先の経路、走行距離が最も短い経路である距離優先の経路などを適用することができる。
【0038】
障害要素検出手段40は、経路探索手段20によって読み出された地図情報Mpに含まれる交差点、信号機、橋、踏切という交通要素の情報に基づいてこれらの障害要素を検出するものの他、VICSなどの公知の交通情報提供手段(電波ビーコン、光ビーコン、FM多重放送)によって提供された交通情報を取得する交通情報取得手段も含まれる。
【0039】
なお、障害要素検出手段40としてのVICSなどの交通情報提供手段は、図2における車両I/F部91に含まれる。
【0040】
障害要素リスト化手段50による障害要素の種類ごとに分類した数量でのリスト化は、障害要素の種類ごとの数量を求めて、その障害要素の種類に対応した数量を、その障害要素の種類と対応付けてリスト形式(表形式)にする動作である。
【0041】
次に、本実施形態の車載型ナビゲーション装置100の作用について説明する。
【0042】
この車載型ナビゲーション装置100は、車両に搭載されて、運転者等の使用者により、画面表示部71のタッチセンサ11に入力された目的地G等、および時刻・絶対位置検出部93により検出された情報に基づいて、経路探索手段20が、検出された現在地または設定された位置である出発地Sから目的地Gまでの経路K(誘導ルート)を求め、この求められた経路Kは、図3に示すように、出発地Sから目的地Gまでの経路Kに沿った走行距離(「走行距離 25km」)、目的地Gに到着するのに要する時間(「所要推定時間 50分」)および利用する有料道路の所要料金(有料道路料金 0円)とともに、表示手段70に表示される。
【0043】
このとき、表示手段70には、出発地(例えば、時刻・絶対位置検出部93により検出された現在地)Sから目的地Gまでの経路Kが表示されて、使用者に全体の経路Kの確認を求める。すなわち、この表示された経路Kによる案内にしたがうことを使用者が了解した場合は、使用者は、表示手段70に表示された入力手段10としての「案内開始」のボタン11a(以下、案内開始ボタン11aという。)にタッチして、この提示された経路Kにしたがった案内を受ける。
【0044】
この案内の際には、時刻・絶対位置検出部93により検出された絶対位置、相対方位検出部94により検出された車両の進行向きの変化および車両I/F部91により検出された車両の挙動(向き、車速等)などに基づいて、車両の逐次の位置を更新しながら、必要に応じて経路Kの更新を行う。
【0045】
また、経路Kが分岐した箇所(右折や左折、側道も含む)や障害要素に差し掛かるときは、事前にその案内を、音声として使用者に認識させるように、CPU周辺回路部82が音声信号増幅部95を介して音声出力部96に音声信号を出力し、音声出力部96はこの音声信号を受けて、人間の可聴域の周波数の音声として、その案内を出力する。
【0046】
一方、使用者が、表示手段70に表示された経路Kとは異なる経路での案内を欲する場合は、表示手段70に表示された入力手段10としての「戻る」のボタン11c(以下、戻るボタン11cという。)にタッチすることで、図示を省略した、経路Kの探索前の目的地等の入力用の画面に戻る。
【0047】
また、使用者が、経路Kによる案内にしたがうのに先だって、経路Kに存在する障害要素(交通障害情報)を確認したい場合、またはその障害要素を確認した上でその障害要素を回避するなどの策を講じたい場合には、使用者は、表示手段70に表示された入力手段10としての「交通障害情報」のボタン11b(以下、交通障害ボタン11bという。)にタッチする。
【0048】
すると、障害要素検出手段40が、経路K上に存在する障害要素を検出し、この障害要素検出手段40によって検出された障害要素を、障害要素リスト化手段50が、その障害要素の種類ごとに分類した数量でリスト化し、表示制御手段60が図4に示すように、そのリスト化された障害要素を表示手段70に表示させるように表示手段70を制御する。
【0049】
図4で示した、リスト化された障害要素の種類としては、VICS情報に基づく障害要素、統計渋滞DBに基づく障害要素、踏切、交差点(右折・左折を伴うもの)、信号機であるが、この他の種類で障害要素を分類してもよく、そのような種類の障害要素は、図4の△(内部を塗りつぶした上向き三角マーク)ボタン11iや▽(内部を塗りつぶした下向き三角マーク)ボタン11jをタッチすることにより、分類された障害要素の種類名を下方向または上方向にスクロールさせて表示させることができる。
【0050】
ここで、リスト化された障害要素の各種類名の末尾にそれぞれ付された隅付き括弧内には、各種類名に分類された障害要素の数が表示されている。
【0051】
すなわち、図4に示した例では、VICS情報に基づく障害要素に分類された障害要素の数が1つであり、踏切に分類された障害要素の数が1つであり、交差点(右折・左折を伴うものや幹線道路の横断を伴うもの)に分類された障害要素の数が4つであり、信号機に分類された障害要素の数が30個である。
【0052】
なお、図4において、統計渋滞DBに基づく障害要素に分類された障害要素の数は示していないが、この統計渋滞DBに基づく障害要素に分類された障害要素の数も、他の障害要素の種類名と同様に隅付き括弧を用いて表示するようにしてもよい。
【0053】
このようにして、経路K上に存在する障害要素を、その種類名で分類したリストで表示することにより、使用者に対して、経路K上に存在する障害要素の数量を、その種類ごとにわかりやすい提示とすることができる。
【0054】
ここで、使用者が、個々の障害要素についてより詳細に確認することを求める障害要素の種類に対しては、各種類名に対応した入力手段10の機能を有するボタン(VICS情報に基づく障害要素に対応したVICS情報ボタン11d、統計渋滞DBに基づく障害要素に対応した統計渋滞DBボタン11e、踏切に分類された障害要素に対応した踏切ボタン11f、交差点に分類された障害要素に対応した交差点ボタン11g、信号機に分類された障害要素に対応した信号機ボタン11h)にタッチしてその障害要素の種類名を選択することで、対応するボタン11d,11e,11f,11g,11hの左隣にそれぞれ設けられたチェックボックスにチェックマークを付し(図4の例では、VICS情報ボタン11d、踏切ボタン11f、交差点ボタン11g)、さらに、「情報を見る」ボタン11kにタッチすることで、チェックボックスにチェックが付されたボタン(選択が入力された種類の障害要素)にそれぞれ分類された個々の障害要素を、図5に示すように、経路Kに沿って出発地に近い順序で、表示手段70に、経路Kとともに表示するように表示制御手段60が表示手段70を制御する。
【0055】
つまり、図5では、VICS情報による障害要素1個、踏切が1個、右折または左折を伴う交差点および幹線道路を横断する動作を伴う交差点が4個、という合計6個の障害要素が表示される。具体的には、「1.幹線道路の横断」(「交差点」に分類された障害要素。ただし、図5では上側にスクロールされて隠れた状態であるため表示されていない)、「2.右折」(「交差点」に分類された障害要素。)、「3.左折」(「交差点」に分類された障害要素。)、「4.踏切」(「踏切」に分類された障害要素。)、「5.道路規制」(「VICS情報」に基づくものに分類された障害要素。)、「6.右折」(「交差点」に分類された障害要素。)というように、個々の障害要素が表示され、経路Kに沿って付された番号(1,2,…,7)が、各障害要素「1.幹線道路の横断」、「2.右折」、「3.左折」、「4.踏切」、「5.道路規制」、「6.右折」の先頭に付された番号に対応している。
【0056】
一方、使用者が、図4において、表示手段70に表示された、リスト化された障害要素について、詳しく参照することを求めない場合は、表示手段70に表示された入力手段10としての戻るボタン11cにタッチすることで、図3に示した経路Kの表示画面に戻る。
【0057】
図5に示すように、選択された種類名の障害要素の個々について、使用者が詳細に確認することを求める障害要素に対しては、各障害要素に対応した入力手段10の機能を有するボタン(「1.幹線道路の横断」(表示省略)に対応したボタン(表示省略)、「2.右折」に対応したボタン11m、「3.左折」に対応したボタン11n、「4.踏切」に対応したボタン11o、「5.道路規制」に対応したボタン11p、「6.右折」に対応したボタン11q)にタッチしてその障害要素を選択することで、その選択が入力されたいずれか1つ(択一的選択)のボタン11m,11n,11o,11p,11qに対応する障害要素について、地図情報Mpにおける対応位置であって、その対応位置の近傍をより詳細に表した地図情報とともに個別的に表示させるように、表示制御手段60が表示手段70を制御する。
【0058】
ここで、各障害要素「1.幹線道路の横断」(図示省略)、「2.右折」、「3.左折」、「4.踏切」、「5.道路規制」、「6.右折」にそれぞれ対応したボタン11m〜11qは、それぞれ通過に要する時間の長短に応じた色分けがなされている。
【0059】
すなわち、通過に比較的長い時間を要する障害要素については赤色(図面では濃度の濃い網掛けで表現している)、通過に要する時間が比較的短い障害要素については黄色(図面では濃度の淡い網掛けで表現している)、その存在の有無による通過時間に差異が生じない程度にスムーズに車両が進行している障害要素については青色(図面では網掛け無しで表現している)、というように、障害要素としての障害の程度を色の違いで表現することにより、渋滞の程度を使用者に認識させ易くすることができる。
【0060】
ここで、例えば図5において、「4.踏切」に対応したボタン11oがタッチされた場合は、図6に示すように、表示制御手段60が、ボタン11oのタッチにより択一的に選択入力された障害要素である「4.踏切」について、その経路Kとともに、地図情報における対応位置であって、その対応位置の近傍をより詳細に表した地図情報Mpとともに個別的に表示させるように、表示手段70を制御する。
【0061】
この図6で表示される地図情報Mpは、図3〜5に示した経路Kの地図情報(出発地Sから目的地Gまでの経路Kの全体を含む地図情報(広域地図))とは異なり、個別の障害要素「4.踏切」の近傍だけを含む詳細地図(市街地地図などの、広域地図よりも縮尺の大きい(縮尺の分母(縮尺分母)が小さい)地図)である。
【0062】
一方、使用者が、図5において、表示手段70に表示された障害要素について、個々の詳細地図を参照することを求めない場合は、表示手段70に表示された入力手段10としての戻るボタン11cにタッチすることで、図4に示した障害要素のリストに戻る。
【0063】
また、図5において、案内開始ボタン11aにタッチされたときは、図4,3の状態を飛び越して、提示された経路Kにしたがった案内が開始される。
【0064】
なお、図5における各障害要素ごとのボタン11m〜11qの左方に設けられたチェックボックスは、後述する図6において個々に回避箇所として設定された場合にチェックマークが付される部分であり、図5に示した状態においては、個別に選択できるものではない。
【0065】
図6に示した表示では、詳細な地図情報Mpとともに個別の障害要素「4.踏切」を表示するとともに、その障害要素に到達する予想時刻(「通過時刻: 18:30頃」の表示)およびその障害要素を通過するのに要する所用時間(「通過所用時間: 約15分」の表示)が表示されている。
【0066】
また、この表示された障害要素について、回避箇所として経路Kから除外するか否かの、使用者の選択を入力する入力手段10としてのボタン(回避箇所に「する」ボタン11r、回避箇所に「しない」ボタン11s)が表示され、使用者は、この個別の障害要素を回避箇所として選択する場合は、「する」ボタン11rをタッチし、個別の障害要素を回避箇所として選択しない場合は、「しない」ボタン11sをタッチする。
【0067】
「する」ボタン11rがタッチされたときは、図5と同様の画面である図7の画面に遷移し、図6において回避箇所として選択された「4.踏切」に対応するチェックボックスにチェックマークが付される。
【0068】
そして、「回避ルート計算」のボタン11tがタッチされると、経路探索手段20は、この障害要素「4.踏切」を通過しない他の経路Kを再探索して、図3と同様の図8に示すように、再探索された他の経路Kが、出発地Sから目的地Gまでの経路Kに沿った走行距離(「走行距離 26km」)、目的地Gに到着するのに要する時間(「所要推定時間 48分」)および利用する有料道路の所要料金(有料道路料金 0円)とともに、表示手段70に表示される。
【0069】
一方、図7において、回避箇所に「しない」ボタン11sがタッチされたときは、図7の状態に遷移したとき、障害要素「4.踏切」に対応したチェックボックスにチェックマークは付されず、ここで「回避ルート計算」のボタン11tがタッチされても、元の経路Kと同じ経路Kが探索される。
【0070】
また、図7において、「回避ルート計算」のボタン11tがタッチされる以前に、他の障害要素のボタン(例えば、「6.右折」のボタン11q)がタッチされると、図6と同様に、そのタッチされた障害要素「6.右折」に対応した詳細地図が表示され、この障害要素「6.右折」を回避するか否かの選択が入力でき(回避箇所に「する」ボタン11rのタッチまたは回避箇所に「しない」ボタン11sのタッチ)、回避箇所に「する」ボタン11rがタッチされたときは、図7において、障害要素「4.踏切」および障害要素「6.右折」にそれぞれ対応したチェックボックスにチェックマークが付されて、「回避ルート計算」ボタン11tのタッチにより、これら障害要素「4.踏切」および障害要素「6.右折」が経路Kから除外された他の経路Kが再探索される。
【0071】
以上のように、本実施形態に係るナビゲーション装置100によれば、障害要素リスト化手段50が、障害要素検出手段40によって検出された障害要素を、その種類ごとの数量に分類してリスト化して表示手段70に表示することで、使用者に対して、経路K上に存在する障害要素の数量を、その種類ごとにわかりやすく提示させることができる。
【0072】
しかも、この障害要素の種類に対応した数量のリストは階層的に構成されていて、入力手段10に対して任意の種類の障害要素を選択する入力があったときは、その選択された種類の障害要素に分類された数の各障害要素を、それぞれ地図情報Mpにおける対応位置に、経路探索手段20によって探索された経路Kとともに表示させるように、表示制御手段60が表示手段70を制御するため、使用者が関心のある障害要素の存在位置を地図に対応させて個々に予め確認させることができ、使用者に対して、その障害要素を迂回した他の経路を選択させることもできる。
【0073】
また、本実施形態に係るナビゲーション装置100は、入力手段10が、経路Kとともに表示された障害要素のうち任意のものを択一的に選択する入力を受ける入力手段としても機能し、表示制御手段60は、入力手段10に択一的に入力された障害要素について、図6に示すように、地図情報Mpにおける対応位置であって、その対応位置の近傍をより詳細に表した地図情報Mpとともに個別的に表示させるように表示手段70を制御するため、所望とする障害要素の種類に分類された個々の障害要素を、その存在位置および近傍を表す詳細地図によって、使用者に対して詳細に把握させることができる。
【0074】
本実施形態に係るナビゲーション装置100は、入力手段10が、表示制御手段60の制御により表示手段70に表示された障害要素のうち回避しようとする障害要素の選択を入力する入力手段としても機能し、経路探索手段20は、入力手段10に入力された障害要素を回避する他の経路を再探索するものであるため、個々の障害要素について回避するか否かという使用者の回避意図にしたがった経路を提示することができる。
【0075】
また、本実施形態に係るナビゲーション装置100は、経路探索手段20が、一般道優先の経路、時間優先の経路、距離優先の経路など、経路として複数の経路を提示するが、障害要素の種類や数量は、提示された経路ごとに異なるため、使用者は、各経路ごとに提示された障害要素の種類や数量を確認して、そのうち一つの経路を選択することができ、使用者による経路選択の自由度を高めることができる。
【0076】
なお、本発明に係るナビゲーション装置においては、必ずしも複数の経路を提示するものに限定されるものではなく、単一の経路だけを提示するものであっても、本発明を適用することができる。
【0077】
また、本実施形態に係るナビゲーション装置100は、表示制御手段60が、入力手段10に入力された種類の障害要素として計数された障害要素を、図5に示すように表示する際に、それらの個々の障害要素を単に羅列して表示するのに代えて、それらの障害要素にそれぞれ対応する位置の近傍の地図情報Mp(図6に示す詳細地図Mp)とともにサムネイル化して表示するように、表示手段70を制御するようにしてもよい。
【0078】
このように構成され形態のナビゲーション装置100によれば、選択された種類に分類されている一または二以上の障害要素を、サムネイル画像(一覧用に縮小された見本画像)で一覧的に表示させることで、個々の障害要素を選択する際の手がかりを一覧的にひと目で確認することができ、使用者による使い勝手を向上させることができる。
【0079】
本実施形態のナビゲーション装置100についての上述した説明は、経路Kにしたがった案内開始前の動作についてであるが、このナビゲーション装置100は、経路Kによる案内中においては、検出された障害要素の存在箇所に接近してきたら、CPU周辺回路部82の制御により、音声出力部96から、その障害要素への接近を案内する音声を出力するようにしてもよい。
【0080】
例えば、「この先に渋滞予測地点があります。」や、「この先に道路工事箇所があります」などの音声を、音声出力部96から出力すればよく、このような音声による案内を行いことで、経路Kの案内(右折、左折、側道への移動等、進行方向が変化する際の音声による事前の案内)と同様に、障害要素への接近を、聴覚的に使用者に事前に知らせることができるため、表示手段70から視線を外しているために、障害要素への接近を、使用者が視覚的に認識していない場合であっても、その障害要素への接近を知らせることができる。
【0081】
また、障害要素に到達する前に、その障害要素を通過するのに要する時間の目安(図6に示した通過所要時間)を、音声で案内するようにしてもよい。例えば、「この先の渋滞を抜けるために○○分かかりそうです。」などの音声案内を適用することができる。
【0082】
さらにまた、踏切、交差点、信号機などの障害要素については、それらを通過した際に、経路Kにおいて未通過の障害要素(これから通過することとなる残りの要害要素)の数を、音声で案内するようにしてもよい。例えば、「踏切、あと○○箇所です。」や、「右折(または左折)、あと△△回です。」や、「信号機、あと□□箇所です。」などである。
【0083】
このように、障害要素を経路Kにおけるチェックポイント(通過の区切りとなるポイント)に見立てて、通過すべき残りの障害要素の数を、運転中に音声でカウントダウンすることにより、目的地Gに到達するまでの目安となるとともに、このカウントダウンを運転者に対して、運転中のアミューズメントとして捉えさせることもでき、本来は通行の障害となる障害要素を通過する愉しみとして捉えさせることで、運転者の精神衛生上好ましいものとすることができる。
【符号の説明】
【0084】
10 入力手段
20 経路探索手段
30 地図情報記憶手段
40 障害要素検出手段
50 障害要素リスト化手段
60 表示制御手段
70 表示手段
100 車載型ナビゲーション装置(ナビゲーション装置)
Mp 地図情報
K 経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示する表示手段と、
地図情報を記憶した地図情報記憶手段と、
出発地から目的地までの、前記地図情報における経路を探索する経路探索手段と、
前記経路の途上に存在する、通過時間を長引かせる障害要素を検出する障害要素検出手段と、
前記障害要素検出手段によって検出された前記障害要素を、前記障害要素の種類ごとに分類した数量でリスト化して出力する障害要素リスト化手段と、
前記障害要素リスト化手段から出力された前記障害要素のリストのうち、任意の障害要素の種類を選択する入力を受ける入力手段と、
前記障害要素リスト化手段から出力された前記障害要素のリストのうち、前記入力手段に入力された種類の障害要素であって前記リスト化された対象のものを、前記地図情報における対応位置に、前記経路探索手段によって探索された前記経路とともに表示させるように、前記表示手段を制御する表示制御手段と、を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記入力手段は、前記経路とともに表示された障害要素のうち任意のものを択一的に選択する入力を受ける入力手段としても機能し、
前記表示制御手段は、前記入力手段に択一的に入力された障害要素について、前記地図情報における対応位置であって、その対応位置の近傍をより詳細に表した地図情報とともに個別的に表示させるように、前記表示手段を制御する表示制御手段としても機能することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記入力手段に入力された種類の障害要素として計数された障害要素を、それらの障害要素にそれぞれ対応する位置の近傍の前記地図情報とともに、サムネイル化して表示するように、前記表示手段を制御することを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記入力手段は、前記表示制御手段の制御により前記表示手段に表示された前記障害要素のうち回避しようとする障害要素の選択を入力する入力手段としても機能し、
前記経路探索手段は、前記入力手段に入力された障害要素を回避する経路を再探索するものであることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記経路探索手段は、所定の条件に応じて、前記経路として複数の経路を提示することを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項に記載のナビゲーション装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−281622(P2010−281622A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133807(P2009−133807)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】