説明

ナビゲーション装置

【課題】時間帯に応じて優先する経路を自動的に切り換える、利便性の高いナビゲーション装置を提供することである。
【解決手段】経路探索及び誘導案内を行うナビゲーション装置において、設定画面40で時間帯に応じて設定された優先経路を反映して、経路探索及び誘導案内を行う構成とする。優先経路は、一般道優先、高速道優先、距離優先からユーザが選択でき、時間帯もユーザが任意に設定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索及び誘導案内を行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置における経路探索は、一般道(幹線道)優先、高速道優先、距離優先のように、ユーザの好みに応じて異なる誘導経路を出力することができる。このような技術は種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、一般道路優先か有料道路優先かを利用者が設定して経路探索及び経路案内を行う場合に、利用者の意図に近い案内を行うことができる車載ナビゲーション装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−322536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ユーザは住んでいる地域に関して、いつの時間帯にどこが混雑するかということを経験的に把握していることが多い。例えば、朝夕の通勤通学ラッシュ時は一般道は人や自転車が多く、都会の深夜は一般道が空いているというような状況である。このような状況では、ユーザとしては、朝夕は一般道を避けて高速道路を使いたい、また深夜は一般道を使って安く済ませたい、というように時間帯に応じて優先して使う道路を変えたいというのが心情である。しかし、特許文献1では、そのたびに優先する経路の設定を手動で変更しなければならず、操作が煩雑になり利便性に欠ける。
【0005】
そこで本発明は、時間帯に応じて優先する経路を自動的に切り換える、利便性の高いナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、経路探索及び誘導案内を行うナビゲーション装置において、時間帯に応じて設定された優先経路を反映して経路探索及び誘導案内を行うことを特徴とする。
【0007】
この構成によると、時間帯に応じて優先する経路を自動的に切り換え、異なった誘導経路で案内することができる。
【0008】
上記ナビゲーション装置において、前記時間帯及び前記優先経路はユーザにより設定されるようにすることが望ましい。
【0009】
この構成によると、経路探索にユーザが経験的に把握している道路状況を反映することができる。
【0010】
また上記ナビゲーション装置において、前記優先経路は、具体的には、一般道優先、高速道優先、距離優先の何れかである。
【0011】
また上記ナビゲーション装置において、自宅が設定されている場合、自宅から所定距離の領域内で行う経路探索において、前記時間帯に応じて設定された優先経路を反映することが望ましい。
【0012】
この構成によると、ユーザが道路の混雑状況をよく把握している自宅近辺の領域内での経路探索に絞ってユーザの経験を生かすことができるので、より的確な経路探索が可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、時間帯に応じて設定された優先経路を反映して経路探索及び誘導案内を行うことにより、ユーザが経験的に把握している道路状況を反映し、時間帯に応じて優先する経路を自動的に切り換える、利便性の高いナビゲーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明のナビゲーション装置の主要な構成を示すブロック図である。
【0015】
ナビゲーション装置10は、車両搭載用であって、GPS(Global Positioning System)衛星から受信した電波に基づいて車両位置を特定し、車両位置とともにその付近の地図が示された誘導画面を表示して、誘導経路に沿って車両を目的地まで誘導することを主たる機能としている。
【0016】
ナビゲーション装置10は、GPS部11と、ジャイロセンサ12と、車速センサ13と、インターフェース部14と、制御部15と、記録媒体19と、ドライブ部20と、描画部21と、表示制御部22と、表示部23と、音源回路部24と、スピーカ25と、ハードキー26と、タッチパネル27と、位置検出部28と、インターフェース部29とを備えている。
【0017】
GPS部11は、受信アンテナ及びチューナ等で構成されており、GPS衛星から受信した電波を処理して測位用データを取り出す。取り出された測位用データは、インターフェース部14を介して制御部15に送られる。制御部15は、GPS部11から送られた測位用データに基づいて車両の現在地を特定する。ナビゲーション装置10は、所謂ハイブリッド方式を採用しており、車両の向きを検知するためのジャイロセンサ12と、車両の速度を検知するための車速センサ13も併用する。ジャイロセンサ12や車速センサ13の検知信号はインターフェース部14を介して制御部15に送られ、制御部15はそれらの信号に基づいて車両の向きや速度を特定する。
【0018】
また、制御部15は、ナビゲーション装置10の制御を統括的に行うとともに、車両位置の特定や経路探索等の各種動作及び処理を実行する。制御部15は、例えばマイクロコンピュータで構成されており、制御や動作の手順が記述された各種プログラムを実行するCPU16と、CPU16で使用されるデータや、後述する記録媒体19から読み出されてCPU16で実行されるプログラムを一時的に記憶するRAM17と、立ち上げや入出力等に関する基本的な制御を記述したプログラムやフォントデータ等を記憶するROM18とを含んでいる。これらCPU16、RAM17、ROM18等は、バス(不図示)を介して接続されている。
【0019】
記録媒体19には、ハードディスク、メモリーカード、光ディスク等を採用できる。記録媒体19には、誘導画面の表示や経路探索などに必要となる地図データベースと、ナビゲーション装置10の各種動作を記述したプログラムとが格納されている。そして、制御部15は、記録媒体19からドライブ部20を介してこのプログラムを読み出して実行する。地図データベースには、道路、施設、背景等の情報を含む地図データ、地図データに基づいて地図や誘導画面を描画する際に参照される描画パラメータ、各種検索にて参照される索引データ、経路誘導用やその他の用途の音声の生成に使用される音声データ等が含まれている。そして、制御部15は、実行する動作に必要なデータを地図データベースから部分的に取り出して参照する。
【0020】
描画部21は、描画専用のCPU等を含むICチップであって、制御部15からの指示に基づいて、誘導画面の画像データや操作画面の画像データ等を作成する。描画部21で作成された画像データは、表示制御部22に送られ、表示制御部22が有するRAMに記憶される。表示制御部22は、記憶した画像データに基づいて表示部23に画像表示用の信号を送り、表示部23の表示領域に画像データに係る画面を表示させる。表示部23には、LCDや有機ELディスプレイなどが用いられる。
【0021】
音源回路部24は、制御部15から送られた音声データに基づいて、経路誘導用やその他の用途のアナログ音声信号を生成する。生成されたアナログ音声信号は、スピーカ25で再生される。
【0022】
ハードキー26は、電源のオン/オフをする電源キーや音量調整用のキー等を含んでいる。ハードキー26を構成するキーの1つが押下されると、そのキーの押下を通知する信号がインターフェース部29を介して制御部15に送られる。
【0023】
タッチパネル27は、例えば、格子状に配置された透明な電極を有する感圧式のパネルであって、表示部23の表示領域上に配設される。タッチパネル27が押下されると、位置検出部28は、タッチパネル27から送られた電圧信号に基づいて、押下された位置の座標情報を通知する信号を生成する。この信号は、インターフェース部29を介して制御部15に送られる。
【0024】
次に、ナビゲーション装置10が有する機能について説明する。ナビゲーション装置10は、経路探索において、時間帯に応じて、一般道(幹線道)優先、高速道(有料道路)優先、距離優先のように、ユーザの好みに応じて異なる誘導経路を出力することができる。一般道優先とは、幹線道があれば高速道路と路地をなるべく使わないように経路探索することであり、高速道優先とは高速道路があれば積極的に利用して経路探索することであり、距離優先とは路地などの狭い道路を含めて最短距離になるように経路探索することである。
【0025】
この機能を実現するため、ナビゲーション装置10は時間帯に応じて設定された優先経路の一覧を例えば記録媒体19に記憶しており、その内容はユーザにより予め設定される。なお、製造時に何らかの初期状態を設定しておいてもよい。
【0026】
図2は、時間帯に応じて優先経路を設定する画面の一例である。設定画面40では、3つの時間帯A〜Cと、それらの時間帯以外の時間である通常優先とに対してそれぞれ、一般道、高速道、距離の何れを優先するかが設定できるようになっている。設定画面40では、設定されている優先経路を四角の枠41a〜41dで囲んで表示しており、枠41a〜41dはユーザが任意に移動させて所望の優先経路を選択することができる。また、各時間帯A〜Cの時間も1分単位でユーザが任意に設定できる。設定画面40では、3つの時間帯A〜Cを設定しているが、時間帯の数はユーザが好みによって増減させることができる。
【0027】
次に、ナビゲーション装置10の動作について説明する。図3は、ナビゲーション装置10の経路探索に関する動作を示すフローチャートである。以下では、ナビゲーション装置10は適時現在地を特定しているものとし、その処理動作の説明は省略する。
【0028】
経路探索を行うにあたり、ナビゲーション装置10はステップS10において目的地が設定されるのを待つ。目的地の設定は、ユーザが地図上から選んだり、住所から検索したり、電話番号から検索したりすることで設定される。
【0029】
図4は、目的地を設定する画面の一例である。図4は地図上から目的地を設定する例を示している。目的地設定画面50には、地図に重ねてその中心にカーソル51が表示され、右下に設定ボタン52が表示されている。地図の縮尺は任意に変更でき、カーソル51はタッチパネル27又はハードキー26を操作することで所望の方向に移動させることができる。実際にはカーソル51は常に目的地設定画面50の中心にあり、地図がスクロールする。そして、所望の目的地にカーソル51を合わせ、設定ボタン52を押下すると、カーソル51の位置が目的地として設定される。
【0030】
このようにしてステップS10において目的地が設定されると、ステップS11へ進んで現在時刻を取得する。現在時刻は、GPS衛星から受信した電波を処理して取り出したり、ナビゲーション装置10が有する時計(不図示)から取得することができる。
【0031】
次に、ステップS12へ進んで、時間帯に応じて設定された優先経路の一覧において何れかの時間帯に現在時刻が含まれるか否かを判別する。ステップS12において、現在時刻が何れの時間帯にも含まれない場合は、ステップS13へ進んで、通常優先で設定されている優先経路を反映して経路探索する。例えば、図2のように通常優先で高速道が設定されている場合は、高速道路を優先的に利用するような経路探索を行う。
【0032】
一方、ステップS12において、現在時刻が何れかの時間帯に含まれる場合は、ステップS14へ進んで、設定されている優先経路を優先して経路探索してよいかどうかについてユーザの選択を促す意思確認テロップを表示する。
【0033】
図5は、意思確認テロップ60の一例である。図5では現在時刻が図2の時間帯Cに含まれる場合について示しており、「この時間帯は一般道を優先しますか?」という確認メッセージと、それについてユーザが選択するための、「はい」ボタン61及び「いいえ」ボタン62とが表示されている。ユーザは、このメッセージにしたがって、現在の時間帯に応じて予め設定されている優先経路である一般道を優先して経路探索してよいと考える場合は「はい」ボタン61を、通常優先で設定されている優先経路(図2では高速道)を優先して経路探索したいと考える場合は「いいえ」ボタン62を、それぞれ押下する。
【0034】
ステップS14からステップS15へ進んで、時間帯に応じて設定されている優先経路を反映して経路探索してよいか否かを判別する。例えば、図5の意思確認テロップ60の場合は、「はい」ボタン61が押下されたか否かを判別する。
【0035】
ステップS15において設定されている優先経路でよいと判別した場合、つまり図5で「はい」ボタン61が押下された場合は、ステップS16へ進んで現在の時間帯に応じて予め設定されている優先経路を反映して経路探索する。例えば、現在時刻が図2の時間帯Cに含まれる場合は、一般道を優先的に利用するような経路探索を行う。なお、ステップS14及びステップS15は省略しても問題はない。
【0036】
そして、ステップS13、ステップS16からは共にステップS17へ進み、経路探索の結果である誘導経路を表示する。図6は一般道を優先経路とした誘導経路の一例を示す案内画面であり、図7は高速道を優先経路とした誘導経路の一例を示す案内画面である。
【0037】
図6の案内画面70は、例えば、現在時刻が図2の時間帯Cに含まれる場合の、現在地71から目的地72までの誘導経路73を示している。この誘導経路73では、高速道路74を避けて一般道75を使う経路となっている。
【0038】
図7の案内画面80は、例えば、現在時刻が図2の何れの時間帯にも含まれない場合、つまり通常優先に含まれる場合の、現在地71から目的地72までの誘導経路81を示している。この誘導経路81では、一般道75を避けて高速道路74を使う経路となっている。
【0039】
図6や図7の画面を表示した後は誘導案内に移り、現在地の移動にしたがって曲がり角での進行方向などの案内を開始する。そして、誘導案内時には適宜見やすい画面に切り替える。
【0040】
このように、時間帯に応じて設定された優先経路を反映して経路探索及び誘導案内を行うことにより、ユーザが経験的に把握している道路状況を反映し、時間帯に応じて優先する経路を自動的に切り換える、利便性の高いナビゲーション装置を提供することができる。
【0041】
また、上記のナビゲーション装置10で、予めユーザにより自宅の位置が設定されている場合は、自宅から所定距離の領域内で行う経路探索において、時間帯に応じて設定された優先経路(例えば図2)を反映して経路探索するようにしてもよい。所定距離は予め製造時に設定しておいてもよいし、ユーザが任意の距離を設定できるようにしてもよい。
【0042】
例えば、所定距離を30kmとした場合、自宅から半径30kmの円内に現在地と目的地がある場合には、時間帯に応じて設定された優先経路を反映して経路探索する。また、自宅から半径30kmの円内に現在地と目的地の一方がない場合には、自宅から半径30kmの円内では時間帯に応じて設定された優先経路を反映して経路探索し、自宅から半径30kmの円外では通常優先で設定されている優先経路を反映して経路探索する。また、自宅から半径30kmの円内に現在地と目的地の両方がない場合には、通常優先で設定されている優先経路を反映して経路探索する。
【0043】
この構成によれば、ユーザが道路の混雑状況をよく把握している自宅近辺の領域内での経路探索に絞ってユーザの経験を生かすことができるので、より的確な経路探索が可能となる。
【0044】
また、上記のナビゲーション装置10で、誘導案内中に現在地が案内経路から外れてしまった場合は、自動的に現在地から経路探索し直すようにすればよい。その際は、最初に経路探索したときに該当した時間帯に応じて設定された優先経路を反映して経路探索することが望ましい。これにより、現在時刻が最初に経路探索したときと異なる時間帯に入っている場合でも、急に優先経路を変えた誘導経路となることを防ぐことができ、ユーザは違和感なく受け入れることができる。
【0045】
また、上記のナビゲーション装置10で、経路探索する際に通過地点の通過予定時刻を算出できる機能を備えていてもよい。この場合、経路探索時に通過予定時刻と図2の時間帯とを比較し、複数の時間帯に跨って誘導案内する必要がある場合には、経路の途中でそれぞれの時間帯の優先経路を反映させて経路探索すればよい。
【0046】
例えば、図2を採用して経路探索する場合であって現在時刻が17:30であるときに1時間ほどかかる目的地までの経路探索を行う例について説明する。この場合、まず、時間帯Cの優先経路である一般道を優先して経路探索し、現在地から18:00に通過予定の通過地点まではこの経路を採用し、続きの経路、つまり18:00以降の経路については通常優先の優先経路である高速道を優先して経路探索する。
【0047】
この構成によれば、時間帯に応じて設定された優先経路の特徴を最大限に利用することができるので、より的確な経路探索が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のナビゲーション装置は、車載用をはじめ、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話機などに搭載できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明のナビゲーション装置の主要な構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の時間帯に応じて優先経路を設定する画面の一例である。
【図3】本発明のナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の目的地を設定する画面の一例である。
【図5】本発明の意思確認テロップの一例である。
【図6】本発明の一般道を優先経路とした誘導経路の一例を示す案内画面である。
【図7】本発明の高速道を優先経路とした誘導経路の一例を示す案内画面である。
【符号の説明】
【0050】
10 ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路探索及び誘導案内を行うナビゲーション装置において、
時間帯に応じて設定された優先経路を反映して経路探索及び誘導案内を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記時間帯及び前記優先経路はユーザにより設定されることを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記優先経路は、一般道優先、高速道優先、距離優先の何れかであることを特徴とする請求項1又は2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
自宅が設定されている場合、
自宅から所定距離の領域内で行う経路探索において、前記時間帯に応じて設定された優先経路を反映することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−54197(P2010−54197A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216060(P2008−216060)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】