説明

ナビゲーション装置

【課題】 日時に応じた有料道路の割引情報等を適切に表示することができる「ナビゲーション装置」を提供する。
【解決手段】 本発明のナビゲーション装置は、道路地図データを取得する取得手段と、日時情報を取得する時間情報取得手段と、有料道路の割引情報を含む割引条件を取得する割引条件取得手段と、取得された日時情報および取得された割引条件に基づき有料道路の割引対象となる割引対象区間を判別する判別手段と、取得された道路地図データを表示するとき、判別された割引対象区間が識別されるように表示する表示手段とを有する。割引対象区間は、無料化される区間R1a、割引が適用される区間R2a、R2bが識別表示され、吹き出しF1、F2、F3には、割引率や無料化される期間が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関し、特に、有料道路の通行料金に関する情報の表示に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置は、GPS衛星や自立航法センサを用いて自車位置を検出し、自車位置周辺の道路地図データをディスプレイに表示する。目的地までのルートが探索されている場合には、探索ルートが道路地図データ上に合成して表示され、目的地までの案内が行われる。目的地までのルート探索を行う場合、距離優先、時間優先、高速道路優先などの条件により複数のルート候補を提示し、その中から所望するルートをユーザーに選択させている。
【0003】
特許文献1は、無料道路を優先する条件でルートを探索した場合に、有料道路の無料区間を抽出し、当該無料区間を経由するルート探索を可能にしている。また、そのような無料区間を有料道路の区間と識別できるような表示を行っている。さらに、無料道路や有料道路の表示形態に関し、特許文献2は、高速道路優先の表示形態が選択されているとき高速道路だけを表示し、一般道路優先の表示形態が選択されるとき一般道路だけを表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−98143号公報
【特許文献1】特開2007−24762公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高速道路や有料道路の料金体系は、国や地方自治体の政策や運営会社の判断などによって適宜変更されることがある。例えば、休日(祝祭日、土曜日、日曜日)には、高速道路の一定区間に割引が適用されたり、一定区間が無料化されたりする。また、観光地の有料道路は、観光目的のために、オフシーズンに通行料金が割引されたり、早朝または夜間に無料化されたりする。さらに、渋滞緩和の目的で1台の車両に複数の人員が搭乗されている場合には、橋などの通行料金が割引され、かつ時間帯によっては無料化されることがある。このように、有料道路の割引や無料化がいつ適用されるのかをユーザがすべて知ることはできないので、ユーザは、どのようなルートを選択すれば、時間的、コスト的に優れているのかを判断しかねる。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、日時に応じた有料道路の割引情報等を適切に表示することができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るナビゲーション装置は、目的地までのルートを案内する機能を備えたものであって、道路地図データを取得する取得手段と、日時情報を取得する時間情報取得手段と、有料道路の割引情報を含む割引条件を取得する割引条件取得手段と、取得された日時情報および取得された割引条件に基づき有料道路の割引対象となる割引対象区間を判別する判別手段と、取得された道路地図データを表示するとき、判別された割引対象区間が識別されるように表示する表示手段とを有する。
【0008】
好ましくは前記表示手段は、割引情報に応じて割引対象区間の表示態様を変更する。好ましくは前記割引情報は、有料道路の通行料金の割引率に関する情報を含み、前記表示手段は、割引対象区間の表示色を割引率に応じて変更する。好ましくは前記表示手段は、割引対象区間のうち無料化される区間が識別されるように表示する。好ましくは前記表示手段はさらに、割引対象区間の割引率を示す文字を表示する。前記表示手段はさらに、割引対象区間に関し割引が適用される期間もしくは時間帯を示す文字を表示するようにしてもよい。好ましくは前記割引条件取得手段は、前記割引条件を更新する更新手段を含む。好ましくは前記判別手段は、時間経過に伴い割引対象区間の割引条件に変更が生じたか否かを判別し、前記表示手段は、変更された割引条件に応じて割引対象区間の表示を更新する。ナビゲーション装置はさらに、割引対象区間の割引条件に変更が生じたことが判別されたとき、その旨の警告を与える警告手段を含むことができる。
【0009】
好ましくはナビゲーション装置はさらに、目的地までのルートを探索する探索手段を含み、前記探索手段により複数の推奨ルートが探索されたとき、判別手段は、複数の推奨ルートに割引対象区間が含まれるか否かを判別し、前記表示手段は、目的地までの推奨ルート上に割引対象区間の割引情報が識別されるような探索結果画面を表示する。好ましくは前記表示手段は、前記探索結果画面に、各推奨ルートを走行したときの割引が適用されないときの通行料金と割引が適用されたときの通行料金とを表示する。好ましくは前記表示手段は、道路地図データ上に探索ルートを合成して表示するとき、探索ルートを割引対象区間から識別して表示する。前記時間情報取得手段は、ユーザの入力に基づき時間情報を取得することができる。前記時間情報取得手段は、自車が走行している日時に基づき時間情報を取得することができる。
【0010】
本発明に係るナビゲーション装置における道路地図データの表示方法は、道路地図データを取得するステップと、日時情報を取得するステップと、有料道路の割引情報を含む割引条件を取得するステップと、取得された日時情報および取得された割引条件に基づき有料道路の割引対象となる割引対象区間を判別するステップと、取得された道路地図データを表示するとき、判別された割引対象区間が識別されるように表示するステップとを有する。ナビゲーション装置が実施する道路地図データの表示プログラムもまた、上記と同様のステップを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、日時に応じて割引が適用される有料道路の状況を知ることができる。さらに割引対象区間がどのような割引を実施しているのかを一見して把握することができる。これにより、ユーザは、時間的、コスト的に満足する道路を走行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例のナビゲーション装置のリンクデータを説明する図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係るナビゲーション装置の道路地図データの表示動作を説明するフローチャートである。
【図4】日時入力画面の例を示す図である。
【図5】割引対象リンクの表示態様を決定する例を説明する図である。
【図6】割引表示モードでの道路地図データの表示例であり、図6Aは、休祝日の例、図6Bは平日の例を示している。
【図7】本発明の第2の実施例に係るナビゲーション装置の道路地図データの表示動作を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施例に係るナビゲーション装置の道路地図データの表示動作を説明するフローチャートである。
【図9】目的地入力画面の例である。
【図10】ルート探索結果を示す表示画面の例である。
【図11】本発明の第4の実施例に係るナビゲーション装置における有料道路の渋滞条件の更新動作を説明するフローチャートである
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態では、車両に搭載可能なナビゲーション装置を例示する。本明細書で用いる有料道路は、高速道路のみならず、自動車専用道路、首都高速道路などを含む。また、通行料金の割引は、一定の割引が適用される場合のみならず、100%の割引が適用される無料の場合も含み得る。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明の実施例に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。本実施例のナビゲーション装置10は、車両側から種々のデータを受け取る車内バスインターフェース(I/F)20、GPS衛星からの信号を受信して移動体の位置を検出するGPS受信機30、VICSセンタから配信される道路交通情報を受信するVICS受信機40、ユーザからの入力を受け取る入力部50、無線または有線を介して外部機器や車外のネットワーク等とデータ通信をする通信制御部60、大容量の記憶媒体を含む記憶部70、現在の時間情報を生成する時間生成部72、スピーカ82から音声案内等を出力させる音声出力部80、ディスプレイ92に道路地図画面等を表示させる表示制御部90、プログラムを記憶するプログラムメモリ100、データを一時的に記憶するデータメモリ110、プログラムを実行することで各部を制御する制御部120を含んで構成される。
【0015】
バスI/F20は、自立航法センサ(例えば、車速センサや加速度センサ、ジャイロセンサ等)によって検出された信号、自車のパーキングのオン/オフを示す信号などを受け取り、これを制御部120へ提供する。さらに必要に応じて、バスI/F20は、車両に搭載されている時計やカレンダー情報から現在の日時に関する情報を取得し、これを制御部120へ提供する。VICS受信機40は、光ビーコン、電波ビーコン、FM多重放送などによりVICSセンタ側から配信されたリアルタイムな渋滞情報や規制情報を受信し、これを制御部120へ提供する。入力部50は、ディスプレイ92に併設された操作(タッチ)パネル52、音声により入力を可能にする音声入力部54、およびリモコン56を含み、これらの入力信号を制御部120へ提供する。
【0016】
通信制御部60は、赤外線通信、ブルーツース、USBケーブルなどを介して携帯端末装置との間でデータ通信を可能にしたり、ネットワークを介して外部のサーバにアクセスし、データ通信やインターネット通信などを可能にする。好ましくは、後述するように、外部サーバなどから最新の道路地図データや有料道路の割引情報などをダウンロードし、記憶部70に格納される道路地図データや有料道路の割引情報を更新する。
【0017】
記憶部70は、ナビゲーションに必要な地図データベースを格納する。道路地図データには、道路を識別するためのリンクデータ、交差点を識別するためのノードデータ、施設等のPOIを識別する施設データなどが含まれる。リンクデータは、道路種別、道路名称、幅員、規制、開始ノードと終端ノードの座標などを含んでいる。交差点ノードは、リンクノードの開始ノードや終端ノードとの接続関係を示す情報や交差点種別等の情報を含んでいる。施設データには、レストラン、ガソリンスタンド、観光地などの種々の施設に関する情報、例えば施設のカテゴリー(またはジャンル)、施設データに該当するランドマーク(またはアイコン)、施設の座標などが含まれる。記憶部70に格納された地図データベースは、通信制御部60などを利用して適宜更新することができる。
【0018】
図2は、本実施例のリンクデータの詳細を説明する図である。図2Aに示すように、リンクデータには、道路種別データが含まれ、道路種別データは、当該リンクが、一般道路、自動車専用道路、高速道路のどれに属するかを識別する。さらにリンクデータには、当該リンクが高速道路または専用道路であるとき、割引対象のリンク(区間)が設定されている否かを識別する割引対象識別データが含まれている。仮に、割引対象リンクであれば、フラグは、論理Hに設定され、割引対象リンクでなければ、フラグは、論理Lに設定される。
【0019】
また、割引対象リンクである場合には、当該リンクの付加データとして割引条件が関連付けられる。割引条件は、割引が適用される日時に関する日時情報、割引率などに関する割引情報が含まれる。日時情報は、例えば、割引が適用される期間、曜日、時間帯、季節、オンシーズン、オフシーズンなどの情報を含む。割引情報は、適用される割引率または無料などの情報を含む。例えば、有料道路の一定区間が、祝祭日に30%の割引となったり、平日の早朝および深夜に通行料金が無料になったり、観光地のオフシーズンが通行料金が無料になる、などの割引情報が記憶される。
【0020】
時間生成部72は、ナビゲーション装置が起動されたとき、バッテリーによってバックアップされた内部タイマーからの信号に基づき現在時間の情報を生成し、これを制御部120へ提供する。なお、時間生成部72によって現在時間を得ることができない場合には、バスI/F20を介して車載用の他の電子装置から現在時間を取得することができる。
【0021】
プログラムメモリ100は、自立航法センサやGPS受信機30からの検出信号に基づき自車位置を検出する自車位置検出プログラム102、検出された自車位置周辺の道路地図データを記憶部70から読み出しこれを表示制御部90を介してディスプレイ92に表示する道路地図表示プログラム104、有料道路に割引対象となる区間が設定されているか否かを判別する割引対象区間判別プログラム106、割引対象区間が設定されている場合には、割引条件を取得する割引条件取得プログラム108等を備えている。これ以外にも、プログラムメモリ100は、ナビゲーション装置に必要なプログラム、例えば、自車位置やその他の位置から目的地や誘導経路までの最適なルートを探索しこれを案内するルート探索プログラム、外部サーバから道路地図データの更新データをダウンロードする地図DB更新プログラムなどを備えている。
【0022】
データメモリ110は、GPS受信機30で受信された自車位置情報112、記憶部70から読み出した道路地図データ114、割引対象区間判別プログラム106によって判別された割引対象区間のリンクに関するデータ116、割引条件取得プルグラム108によって取得された割引対象リンクに関する割引条件118などを記憶する。
【0023】
次に、本発明の実施例に係るナビゲーション装置の道路地図の表示方法について図3のフローチャートを参照して説明する。前提として、自車位置が検出された状態で、自車位置周辺の道路地図データが記憶部70から読み出され、道路地図表示プログラム104によって自車位置周辺の道路地図データがディスプレイに表示されているものとする。
【0024】
先ず、メニュー画面などを操作し、道路地図画面を通常表示モードから割引表示モードに変更すると(ステップS101)、制御部120は、日時を入力するための日時入力画面をディスプレイに表示させる(ステップS101)。図4は、日時入力画面の一例である。ユーザは、日時入力画面から日付および時刻を入力し、入力された日時に、有料道路にどのような割引が設定されているのかを知ることができる。
【0025】
次に、制御部120は、日時入力画面から日時が入力されると、ディスプレイに表示されている道路地図データの中から有料道路のリンクを抽出し、されに有料道路のリンク中に割引対象となるリンクが含まれているか否かを検索する(ステップS103)。割引対象のリンクか否かは、図2の割引対象識別のフラグをチェックすることにより行うことができる(図2Aを参照)。
【0026】
割引対象のリンク(以下、割引対象リンクという)が存在する場合には、制御部120は、入力された日時で割引を受けることができるか否かを判定する(ステップS104)。割引対象リンクであったとしても、入力された日時が割引条件の日時に合致しない場合には、割引を受けることができない。このため、制御部120は、割引対象リンクに関する割引条件を記憶部70から読出し、入力された日時と割引条件に含まれる日時条件とを比較し、割引が適用されるか否かを判定する。
【0027】
次に、割引対象リンクが日時条件を満足していると判定した場合には、制御部120は、割引対象リンクの割引情報を抽出する(ステップS105)。割引情報は、図2Bに示したように、割引対象リンクに関連する割引率等の情報を含んでいる。
【0028】
次いで、制御部120は、抽出された割引情報に基づき割引対象リンクの表示形態を決定する(ステップS106)。好ましい例では、道路地図画面において、有料道路のどの区間がどのような割引対象となっているのかが一見して容易に認識できるようにする。例えば、割引対象リンクの表示色を割引率に応じて変更したり、割引対象リンクの表示態様を割引率に応じて変更したりする。さらに好ましい例では、割引対象リンクに関する割引率を示す文字やアイコンを吹き出し表示したり、割引が適用される期間や時間を示す文字やアイコンを吹き出し表示する。
【0029】
図5は、表示形態を決定するための一例を示すテーブルである。図5Aにおいて、割引対象リンクは、抽出された割引情報に基づき、無料、割引、通常の3つに分類される。そして、無料の場合には、リンク(区間)を緑色、一定の割引がある場合には、リンクを青色、割引がない通常料金の場合にはリンクを赤色で表示する。割引対象リンクの表示色を異ならせることで、割引対象リンクの割引内容を容易が認識できるようにする。また、割引対象リンクの表示形態は、図5Bに示すように、表示色を変更するのではなく、点滅などを用いることができる。例えば、無料であれば、リンクを早い点滅で表示し、割引があればリンクを遅い点滅で表示する。また、図5Aと図5Bの組合せでリンクを表示させるようにしてもよい。割引率や割引期間などの具体的な文字やアイコンを表示する場合、制御部120は、図2Bの割引情報を表すテキスト文字を抽出し、これを吹き出しの表示形態にて表示させる。
【0030】
次に、制御部120は、自車位置周辺の道路地図画面を生成し(ステップS107)、自車位置周辺の道路地図データに有料道路の割引情報を反映させる。図6Aは、休祝日の道路地図データの表示例である。道路地図画面200には、入力された日時情報210、自車位置マークMが表示される。さらに、画面200に表示される道路のうち、有料道路HW1には、通行料金が無料となる区間R1が識別表示(図中、黒塗り表示)されている。また、区間R1に関する吹き出しF1には、無料となる期間として2010年1月1〜6日が表示されている。また、有料道路HW2には、割引が適用となる区間R2(図中、ハッチング表示)が識別表示される。区間R2に関する吹き出しF2には、割引率を示す20%が表示されている。有料道路HW3にも同様に割引対象となる区間R3とその吹き出しF3が表示される。
【0031】
他方、図6Bは、図6Aと同一エリアの平日の道路地図データの表示例である。平日の場合には、有料道路HW1に通行料金が無料となる区間は存在せず、その代わりに割引が適用される区間R1が存在することが識別表示(ハッチングで示す)されている。また、その割引率が20%であることを示す吹き出しF1が表示される。また、他の有料道路HW2、HW3には、割引が適用される区間がないこと、すなわち有料道路HW2、HW3は、通常の表示形態で表示される。このように、道路地図データの表示から、有料道路の割引対象区間を一見して容易に認識することができる。
【0032】
上記例では、自車位置周辺の道路地図を例示したが、これに限るものではない。例えば、ユーザが道路地図画面をスクロールさせて、所望のエリアの道路地図データを記憶部70から取得し、これを表示させた状態で、日時入力画面から日時情報を入力し、当該エリア内の有料道路の割引状況を表示するようにしてもよい。
【0033】
次に、本発明の第2の実施例について図7のフローチャートを参照して説明する。第2の実施例では、自車の現在の走行時間に応じて有料道路の割引状態が認識できるようにする。先ず、GPS受信機や自立航法センサによって自車位置が検出されると(ステップS201)、制御部120は、自車位置周辺の道路地図データを記憶部70から読み出す(ステップS202)。道路地図データは、通常、複数の図葉に分割され、図葉単位で管理される。道路地図データの表示スケールに基づき、自車位置が存在する図葉を含む複数の図葉の道路地図データが記憶部70から読み出される。
【0034】
次に、制御部120は、自車の現在の走行時刻を時間生成部72またはバスI/F20から取得し(ステップS203)、次に、ディスプレイに表示される道路地図データ(または読み出された複数の図葉の道路地図データ)の中から有料道路のリンクを抽出し、されに有料道路のリンクの中に割引対象リンクが存在するか否かを検索する(ステップS204)。ステップS205以降の処理は、図3に示したステップS104以降の処理と同様である。
【0035】
そして、自車の移動とともに、道路地図画面がスクロールされ、これに応じて、新たに有料道路が表示される場合には、当該有料道路が割引対象リンクか否かが判別され、割引対象リンクであれば、割引情報に応じた表示形態となるように割引対象リンクの表示が更新される。また、自車の走行とともに時間が経過し、割引対象リンクの割引条件に変更が生じる場合には、制御部120は、音声などによって旨の警告を与えることが望ましい。これにより、ユーザは、有料道路の割引条件に変化があったことを知ることができる。
【0036】
次に、本発明の第3の実施例について図8のフローチャートを参照して説明する。第3の実施例では、ルート探索時に、有料道路の割引内容が分かるような探索結果画面を表示するものである。
【0037】
先ず、ディスプレイ上に、目的地入力画面が表示される(ステップS301)。目的地入力画面は、例えばメニュー画面から操作することによって表示させることができる。図9は、目的地入力画面の例であり、目的地入力画面には、出発地の入力ボックス、目的地の入力ボックス、出発時間か目的地の到着時間のいずれかを選択して日付を入力するボックスが含まれている。目的地入力画面を介して、ユーザによって、目的地および日時が入力される(ステップS302)。
【0038】
次に、制御部120は、出発地から目的地までの複数の推奨ルートを検索する(ステップS303)。複数の推奨ルートは、例えば、距離を優先する条件、時間を優先する条件、高速道路を優先する条件、コストを優先する条件などである。
【0039】
次に、制御部120は、各々の推奨ルートから有料道路を抽出し、さらに有料道路に割引対象リンクが含まれるか否かを判別する(ステップS304)。割引対象リンクが含まれている場合、制御部120は、割引対象リンクが日時条件を満足するか否かを判定する(ステップS305)。満足する場合には、割引対象リンクの割引情報を取得し(ステップS306)、これに基づきリンクの表示形態を決定する(ステップS307)。さらに制御部120は、推奨ルートに有料道路が含まれる場合には、当該ルートを走行すると仮定したときの通常料金(割引が適用されない)と割引が適用された通行料金を算出する(ステップS308)。次に、制御部120は、ルート探索結果画面を生成する(ステップS309)。
【0040】
図10は、探索結果画面の例を示している。図の例では、出発地Sおよび目的地Gが一般道路上にあり、一般道路に近い位置に有料道路HWが通っているものとする。距離優先による推奨ルートは、出発地Sから交差点K1、K2、K3を通り目的地Gに到達するものであり、すべて一般道路を通過する。この推奨ルートは、探索結果画面の道路地図データ上に識別表示(図では省略してある)される。また、距離優先の推奨ルートを走行するときに発生する通常時と割引適用時の料金が表示される。ここでは、有料道路を走行しないので、双方の料金は0である。
【0041】
時間優先の推奨ルートは、出発地Sから交差点K1、有料道路HWのインターチェンジIC1、IC2を通過し、一般道路の交差点K2、K3を通り目的地Gに到達する。有料道路HWのIC1とIC2の区間は、通行料金が無料であることを示す識別表示(図中、黒塗りで表示)される。時間優先の推奨ルートを走行するときの通常料金(IC1〜IC2の区間)は、例えば2.000円であり、割引適用時の料金は0円となり、差額は、−2.000円と表示される。
【0042】
高速優先の推奨ルートは、出発地Sから交差点K1を通り、有料道路HWのIC1、IC2、IC3を通り、再び一般道路の交差点K3を通り目的地Gに到達する。高速優先の推奨ルートを走行するときの通常料金(IC1〜IC3の区間)は、例えば3.000円であり、割引適用時の料金(IC2〜IC3の区間)は、例えば1,400円となり、差額は、−1.600円と表示される。
【0043】
コスト優先の推奨ルートは、通行料金、走行距離および走行時間を予め用意された数式に基づき算出し、コストパフォーマンスの高いルートとなる。ここでは、コスト優先の推奨ルートは、時間優先の推奨ルートと同じルートである。
【0044】
本実施例によれば、ルート探索の際に、割引対象リンク(区間)を識別表示するとともに、割引が適用されないときの通常料金と割引が適用されるときの割引料金とをそれぞれ提示することで、ユーザは、コストパフォーマンスのよい推奨ルートを選択することができる。
【0045】
また、目的地までの誘導ルートが決定されると、当該誘導ルートに従い目的地までの案内が行われる。このとき、道路地図画面が割引表示モードであれば、有料道路の割引情報に応じた割引対象リンク(区間)が識別表示される。この際、誘導経路が、割引対象リンク上に重なる場合には、両者の表示が区別される必要がある。例えば、誘導経路と割引対象リンクのそれぞれの異なる色を交互に表示させたり、リンクの中央を一方の色で表示し、リンクの縁取りを他方の色で表示したり、誘導経路の道路幅を割引対象リンクの狭くしたり(あるいはその逆)することで、両リンクを区別することができる。
【0046】
次に、本発明の第4の実施例について図11のフローチャートを参照して説明する。有料道路の割引条件は、国等の政策や運営会社の判断によって変更されることがある。第4の実施例は、記憶部70に記憶された割引条件を最新のものに更新する。先ず、日時入力画面または目的地入力画面が表示されると(ステップS401)、制御部120は、通信制御部60を介して外部のサーバまたは電子装置にアクセスし、通信を確立する(ステップS402)。次に、制御部120は、更新情報が存在するか否かを判定し(ステップS403)、更新情報がある場合には、更新情報をダウンロードし、記憶部70の割引条件を更新する(ステップS404)。そして、更新された割引条件に基づき割引対象リンクの識別表示を行う。これにより、有料道路の正確な割引条件を反映した道路地図データを表示することができる。
【0047】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0048】
上記実施例では、車両に搭載可能なナビゲーション装置を例示したが、本発明のナビゲーション装置は、着脱可能な携帯用ナビゲーション装置はもとりより、ナビゲーション機能を一部に包含する携帯電話機、携帯情報端末装置も含む。さらに、ナビゲーション機能、オーディオ機能、ビデオ機能を有するような電子装置も含む。
【符号の説明】
【0049】
10:ナビゲーション装置 20:バスインターフェース(I/F)
30:GPS受信機 40:VICS・FM多重レシーバ
50:入力部 60:通信制御部
70:記憶部 80:音声出力部
90:表示制御部 100:プログラムメモリ
110:データメモリ 120:制御部
200:道路地図画面 210:日時情報表示
HW、HW1、HW2、HW3:有料道路
R1a:無料区間の識別表示
R2a、R2b:割引区間の識別表示
R1b、R2b、R3b:通常の表示
F1、F2、F3:吹き出し表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までのルートを案内する機能を備えたナビゲーション装置であって、
道路地図データを取得する取得手段と、
日時情報を取得する時間情報取得手段と、
有料道路の割引情報を含む割引条件を取得する割引条件取得手段と、
取得された日時情報および取得された割引条件に基づき有料道路の割引対象となる割引対象区間を判別する判別手段と、
取得された道路地図データを表示するとき、判別された割引対象区間が識別されるように表示する表示手段と、
を有するナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示手段は、割引情報に応じて割引対象区間の表示態様を変更する、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記割引情報は、有料道路の通行料金の割引率に関する情報を含み、前記表示手段は、割引対象区間の表示色を割引率に応じて変更する、請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記表示手段は、割引対象区間のうち無料化される区間が識別されるように表示する、請求項1ないし3いずれか1つに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記表示手段はさらに、割引対象区間の割引率を示す文字を表示する、請求項1ないし4いずれか1つに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記表示手段はさらに、割引対象区間に関し割引が適用される期間もしくは時間帯を示す文字を表示する、請求項1ないし5いずれか1つに記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記割引条件取得手段は、前記割引条件を更新する更新手段を含む、請求項1ないし6いずれか1つに記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記判別手段は、時間経過に伴い割引対象区間の割引条件に変更が生じたか否かを判別し、前記表示手段は、変更された割引条件に応じて割引対象区間の表示を更新する、請求項1ないし7いずれか1つに記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
ナビゲーション装置はさらに、割引対象区間の割引条件に変更が生じたことが判別されたとき、その旨の警告を与える警告手段を含む、請求項7に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
ナビゲーション装置はさらに、目的地までのルートを探索する探索手段を含み、
前記探索手段により複数の推奨ルートが探索されたとき、判別手段は、複数の推奨ルートに割引対象区間が含まれるか否かを判別し、
前記表示手段は、目的地までの推奨ルート上に割引対象区間の割引情報が識別されるような探索結果画面を表示する、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項11】
前記表示手段は、前記探索結果画面に、各推奨ルートを走行したときの割引が適用されないときの通行料金と割引が適用されたときの通行料金とを表示する、請求項10に記載のナビゲーション装置。
【請求項12】
前記表示手段は、道路地図データ上に探索ルートを合成して表示するとき、探索ルートを割引対象区間から識別して表示する、請求項1ないし11いずれか1つに記載のナビゲーション装置。
【請求項13】
前記時間情報取得手段は、ユーザの入力に基づき時間情報を取得する、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項14】
前記時間情報取得手段は、自車が走行している日時に基づき時間情報を取得する、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項15】
ナビゲーション装置における道路地図データの表示方法であって、
道路地図データを取得するステップと、
日時情報を取得するステップと、
有料道路の割引情報を含む割引条件を取得するステップと、
取得された日時情報および取得された割引条件に基づき有料道路の割引対象となる割引対象区間を判別するステップと、
取得された道路地図データを表示するとき、判別された割引対象区間が識別されるように表示するステップと、
を有する道路地図データの表示方法。
【請求項16】
表示するステップは、割引情報に応じて割引対象区間の表示態様を変更する、請求項15に記載の表示方法。
【請求項17】
表示するステップはさらに、割引対象区間の割引率を示す文字を表示する、請求項15または16に記載の表示方法。
【請求項18】
表示するステップはさらに、割引対象区間に関し割引が適用される期間もしくは時間帯を示す文字を表示する、請求項15ないし17いずれか1つに記載の表示方法。
【請求項19】
ナビゲーション装置が実施する道路地図データの表示プログラムであって、
道路地図データを取得するステップと、
日時情報を取得するステップと、
有料道路の割引情報を含む割引条件を取得するステップと、
取得された日時情報および取得された割引条件に基づき有料道路の割引対象となる割引対象区間を判別するステップと、
取得された道路地図データを表示するとき、判別された割引対象区間が識別されるように表示するステップと
を有する道路地図データの表示プログラム。
【請求項20】
表示するステップは、割引情報に応じて割引対象区間の表示態様を変更する、請求項19に記載の表示プログラム。
【請求項21】
表示するステップはさらに、割引対象となる区間の割引率を示す文字を表示する、請求項19または20に記載の表示プログラム。
【請求項22】
表示するステップはさらに、割引対象区間に関し割引が適用される期間もしくは時間帯を示す文字を表示する、請求項19ないし21いずれか1つに記載の表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−209249(P2011−209249A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80008(P2010−80008)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】