説明

ナビゲーション装置

【課題】移動における時間の経過を考慮した高精度な経路探索を行うことができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置は、交通情報テーブルデータ24d,51dとCPUとVICS(登録商標)受信装置と検索処理部35bと経路探索処理部35aとディスプレイとを備える。交通情報テーブルデータはエリア毎及び時刻毎に、各エリアを出発エリアとして任意のエリアまでの所要時間が設定されている複数の交通情報テーブルを記憶する。CPUは所望の施設を検索し、その施設が含まれるエリアを対象エリアと決定する。検索処理部は複数の交通情報テーブルの中から現在地が含まれる出発エリア及び出発時刻に該当する交通情報テーブルを使用テーブルとして選択する。ディスプレイは使用テーブルに基づいて対象エリアに該当する所要時間及び到着時刻を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の移動において、最適な経路を探索することができるナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両による移動を容易とするために、出発地からの経路を表示して行き先案内をするナビゲーション装置が開発されている。
このようなナビゲーション装置は、車両の現在位置をGPS等により検出し、その現在位置を道路地図と共にディスプレイ上に表示したり、入力された出発地からの経路探索を行い、その探索結果に基づいて設定された案内経路に従って移動案内を行ったりする。この経路探索に際しては、例えば、ダイクストラ法やそれに準じた手法により行われる。即ち、ナビゲーション装置は、ナビゲーション装置や外部のデータ装置に記憶された地図データを用いて、現況(探索時)の道路交通情報及び現在位置から任意の地点までの距離を基に、出発地から任意の地点までの経路計算コスト(経路に対する評価値)を算出する。そして、目的地までの全てのコスト計算が終了した段階で、総コストが最小となるルートを接続して、現在位置から目的地までの最適な経路とする。
【0003】
上記のナビゲーション装置は、現況の渋滞情報や交通規制情報等の道路交通情報を入手して、最短ルートの探索及び予想所要時間の算出を行うことができる。
また、過去の渋滞状況等の道路交通情報により算出された統計・予測交通情報の中から、所定の出発日時に該当する道路交通情報を検索することができるナビゲーション装置が提案されている(特許文献1参照)。これにより、所定の出発日時における最短ルート及び予想所要時間を正確に調べることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−148067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この場合の道路交通情報は出発日時に該当する道路交通情報であり、出発地付近、目的地付近において同じ時刻の交通情報を使用することになるため、出発地から目的地までの移動における時間の経過を考慮した経路探索を行うことができないという問題があった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、移動における時間の経過を考慮した高精度な経路探索を行うことができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載のナビゲーション装置は、エリア毎及び時刻毎に、各エリアを出発エリアとして任意のエリアまでの所要時間又は任意のエリアへの到着時刻が設定されている複数の交通情報テーブルを記憶するテーブル記憶手段と、規制時間の指定がある規制情報を受信する受信手段と、前記複数の交通情報テーブルの中から現在地が含まれる出発エリア及び出発時刻に該当する交通情報テーブルを使用テーブルとして選択する使用テーブル選択手段と、前記使用テーブルに設定されている前記規制情報が存在するエリアまでの所要時間又は前記規制情報が存在するエリアへの到着時刻と前記規制情報の前記規制時間との比較から、現在地から目的地までの経路探索に前記規制情報を使用するか否かを決定する経路探索手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、時刻毎に各エリアに含まれる予測交通情報を記憶する予測交通情報記憶手段を備え、前記経路探索手段は、前記使用テーブルに設定されている任意のエリアまでの所要時間又は任意のエリアへの到着時刻に基づいて任意のエリアに存在する予測交通情報を前記予測交通情報記憶手段から取得し、その予測交通情報を使用して現在地から目的地までの経路探索を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、移動における時間の経過を考慮した高精度な経路探索を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態におけるナビゲーションシステムの概略構成図。
【図2】ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図3】ナビゲーションシステムの構成を示すブロック図。
【図4】テーブルデータ作成装置の構成を示すブロック図。
【図5】交通情報テーブルの説明図。
【図6】交通情報テーブルの説明図。
【図7】(a)は交通情報テーブルの説明図、(b)は総交通情報テーブルの説明図。
【図8】出発時刻による所要時間の変化を説明するグラフ。
【図9】実施形態のテーブル作成処理を説明するフローチャート。
【図10】実施形態の経路探索処理を説明するフローチャート。
【図11】実施形態の経路探索処理を説明するフローチャート。
【図12】別例の経路探索の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化したナビゲーションシステム1の一実施形態を、図1乃至図11を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態のナビゲーションシステム1は、自動車CAに搭載されたナビゲーション装置10と、サーバ装置としてのナビゲーション管理センタSC(以下、ナビセンタという)とを有して構成されている。ナビゲーション装置10は、移動体通信機器4を備えている。
【0012】
ナビゲーション装置10は、ナビセンタSCに基地局アンテナBC及び通信手段としてのネットワークNを介して接続されており、同ナビセンタSCとの間で経路情報や現在位置情報などを含む各種情報の授受を行う。詳述すると、ナビゲーション装置10の移動体通信機器4からの現在位置情報や目的地決定情報などの送信データが、同移動体通信機器4のアンテナから電波信号となって発信される。そして、この電波信号は基地局アンテナBCで受信され、一般電話回線網などのネットワークNを介してナビセンタSCに送信される。反対に、同ナビセンタSCは、交通情報テーブルデータや統計・予測交通情報データなどを電波信号としてネットワークNの基地局アンテナBCからナビゲーション装置10に発信する。
【0013】
また、ナビセンタSCには、ユーザの自宅Hにあるパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)2が前記ネットワークNを介して接続されている。このパソコン2には、キーボード、マウス及びモニタが接続されている。このため、ユーザは、自宅Hのパソコン2からキーボード、マウス及びモニタを用いて、旅行の出発前に目的地の入力や経路の選択を行って、目的地についての経路情報や出発時刻などの情報を得ることができる。また、このパソコン2は、アンテナを介して無線回線によりナビゲーション装置10との情報の送受信が可能となっている。このため、ナビセンタSCは、予めユーザが決定した目的地についての経路情報を、自宅Hのパソコン2に送受信し、このパソコン2を介してナビゲーション装置10に送信することができる。
【0014】
先ず、自動車CAに搭載されたナビゲーション装置10について、図2を参照して説明する。
図2に示すように、ナビゲーション装置10は、入出力装置11、現在位置検出装置12、情報記憶装置13及び主制御装置14を備えている。また、移動体通信機器4を備えている。
【0015】
入出力装置11は、目的地を入力したり、ユーザが必要な時に案内情報を音声や画像にて出力できるようにしたりして、ユーザの意思によりナビゲーション処理を主制御装置14に指示する装置である。入出力装置11は、表示部を構成するタッチパネル15、ディスプレイ16及びスピーカ17を備えている。
【0016】
タッチパネル15は、ディスプレイ16上の略全面に亘って重ねられた透明な接触検知用のパネルであり、例えばユーザがディスプレイ16の表示画面に合わせて指先を接触させると、当該接触位置に応じた信号を主制御装置14に出力する。従って、このタッチパネル15によりディスプレイ16の表示画面に応じてタッチスイッチやキースイッチ(ジョグキー)等が構成されるようになっている。そして、ユーザは、このタッチパネル15の選択操作等により、目的地の設定や経路探索等を行う。なお、接触の検知としては圧力変化を感知する感圧式や、静電気による電気信号を感知する静電式、光の照射・遮断に応じた電気信号を感知する光電式などがある。
【0017】
ディスプレイ16は、例えば自動車CAのダッシュボードに隣接して搭載されており、カラー液晶ディスプレイを用いている。このディスプレイ16は、例えば、経路案内として例えば図5に示すような現在位置を含む地図を表示する。スピーカ17は、経路案内を音声で出力する。
【0018】
現在位置検出装置12は、車両の現在位置に関する情報を検出、或いは、受信する装置である。現在位置検出装置12は、GPS受信装置18、VICS(道路交通情報通信システム;Vehicle Information and Communication System)受信装置19、絶対方位センサ20、相対方位センサ21及び距離センサ22を備えている。なお、VICSは、渋滞情報や道路規制情報等を自動車CAに向けて送信するシステムである。
【0019】
GPS受信装置18は、衛星航法システム(GPS受信装置;Global Positioning System )を利用して自動車CAの現在位置や車両方位、車両速度等を検出する。VICS受信装置19は、データ配信局、FM多重放送局、ビーコン(道路に設置され、狭域の渋滞情報や道路規制情報等を自動車CAに向けて送信する発信機)が送信する道路情報を受信する受信装置である。絶対方位センサ20は、地磁気センサで構成されている。相対方位センサ21は、ステアリングセンサ、ジャイロで構成されている。距離センサ22は、車輪の回転数から走行距離を算出する。
【0020】
例えばハードディスクなどでなる情報記憶装置13は、ナビゲーションプログラムが記憶されたプログラム部23と、データが記憶されたデータ部24とを有している。
プログラム部23は、地図描画部、経路探索部、経路案内部、現在位置計算部、目的位置設定操作制御部等を備えて構成されている。つまり、プログラム部23は、経路探索や経路上の任意の地点の探索の処理を行うためのプログラムや、経路案内に必要な表示制御、音声案内に必要な音声出力制御を行うためのプログラムを備えている。
【0021】
一方、データ部24は、プログラム部23に記憶されたナビゲーションプログラムの実行に必要なデータ、更に、経路案内及び地図表示に必要な表示情報等を備えている。具体的には、図3に示すように、地図データ24a、エリアデータ24b、統計・予測交通情報データ24c、テーブル記憶手段としての交通情報テーブルデータ24dを含んでいる。
【0022】
地図データ24aは、道路地図、住宅地図、建物形状地図等を含んでいる。エリアデータ24bは、緯度及び経度からなる位置情報とその位置情報で示される位置に関する情報とが関連付けられている。具体的には、道路データ、駐車場データ、交差点データ、ノードデータ、リンクデータ、写真データ、登録地点データ等を含む。また、経路案内等において地図に重ねて表示する各種マークの画像データ等を含む。更には、案内データとして、目的地点データ、目的地読み込みデータ等を含む。予測交通情報記憶手段としての統計・予測交通情報データ24cは、過去の交通情報の統計により予測された予測交通情報を含み、時刻毎に、各エリアに含まれるリンクの予測交通情報を記憶している。交通情報テーブルデータ24dは、後述する総交通情報テーブルTaを含む。
【0023】
主制御装置14は、CPU(中央制御装置)25、フラッシュメモリ26、ROM27、RAM28、画像メモリ29、画像プロセッサ30、音声プロセッサ31、通信インターフェース32、センサ入力インターフェース33及び時計34等を備えている。
【0024】
CPU25は、種々の計算演算処理を実行する。CPU25は、処理部35を有しており、処理部35は、図3に示すように、経路探索処理部35aと検索処理部35bとを備えている。
【0025】
経路探索手段としての経路探索処理部35aは、情報記憶装置13のデータ部24から読み出されたナビゲーションプログラムに従って経路探索等の処理を行う。つまり、経路探索処理部35aは、自動車CAの現在位置に関する検出データから車両の現在位置を算出し、その現在位置や目的地の位置情報に基づいて、経路探索等の処理を行う。或いは、経路探索処理部35aは、ディスプレイ16の表示領域に自動車CAの現在位置を含む地図及び所要のマークを表示して経路案内を行う。
【0026】
使用テーブル選択手段としての検索処理部35bは、交通情報テーブルデータ24dに格納された複数の交通情報テーブルの中から、現在地が含まれるエリアを出発エリアとし、かつ出発時刻に該当する交通情報テーブルを使用テーブルとして選択する。また、検索処理部35bは、情報記憶装置13のデータ部24に記憶された地図データ24a、エリアデータ24b、統計・予測交通情報データ24cに格納されたデータの中から検索を行う。
【0027】
フラッシュメモリ26は、情報記憶装置13のプログラム部23から読み出したナビゲーションプログラムを格納する。ROM27は、フラッシュメモリ26に格納したナビゲーションプログラムのプログラムチェック、更新処理を行うプログラムを格納している。RAM28は、設定された目的地の地点座標、探索された経路案内情報、演算処理中のデータ等を一時的に格納する。
【0028】
画像メモリ29は、ディスプレイ16に表示する地図等の画像データを記憶する。画像プロセッサ30は、CPU25からの表示制御信号に基づいて、画像メモリ29から画像データを取り出し、画像処理を施してディスプレイ16に地図等を表示する。
【0029】
音声プロセッサ31は、CPU25からの音声出力制御信号に基づいて、経路案内情報に含まれる音声出力のための情報をアナログ信号に変換させてスピーカ17に出力する。例えば、音声プロセッサ31は、情報記憶装置13から読み出した走行案内のための音声、フレーズ、1つにまとまった文章、音等を合成してアナログ信号に変換させる。
【0030】
通信インターフェース32は、入出力装置11のタッチパネル15、現在位置検出装置12のGPS受信装置18、VICS受信装置19、情報記憶装置13、移動体通信機器4等と主制御装置14との間でのデータの授受を行う。センサ入力インターフェース33は、現在位置検出装置12の絶対方位センサ20、相対方位センサ21及び距離センサ22からのセンサ信号を取り込む。時計34は、内部ダイアログ情報に日付や時間を記入する。
【0031】
上記のCPU25は、探索された経路案内情報に基づいて、経路案内のための各種画面をディスプレイ16に表示させ、又は、経路案内のための音声をスピーカ17から出力させるための動作を行う。このとき、CPU25は、ユーザによる表示態様の設定、即ちディスプレイ16の表示画面に合わせたタッチパネル15の操作(接触)に応じた画面をディスプレイ16に表示させる。
【0032】
移動体通信機器4は、ナビセンタSCやパソコン2等の外部の装置との間で無線通信可能である。移動体通信機器4としては、携帯電話や無線LAN等が用いられる。
次に、ナビセンタSCについて説明する。
【0033】
図1に示すように、ナビセンタSCは、ナビゲーションサーバ50と、通信部53とを備えている。ナビゲーションサーバ50は、データ部51と処理部52とを有する。
データ部51は、ナビゲーションプログラム及びデータを記憶管理している。
【0034】
ナビゲーションプログラムは、地図描画部、経路探索部、経路案内部、現在位置検出部、目的位置設定操作制御部等を備えている。つまり、ナビゲーションプログラムは、一般的な経路探索や経路上の任意の地点の探索などの処理を行うためのプログラムや、経路案内に必要な表示制御、音声案内に必要な音声出力制御を行うためのプログラムからなる。具体的には、現在位置、目的地及び通過点を設定し、探索道路データを用いて経路探索を実行するプログラムを備える。また、地図描画やマップマッチング、経路に沿って音声出力タイミングや音声フレーズを決定するためのプログラムを備えている。
【0035】
一方、データは、ナビゲーションプログラムの実行に必要なデータ、更に、経路案内及び地図表示に必要な表示情報等からなる。具体的には、図3に示すように、地図データ51a、エリアデータ51b、統計・予測交通情報データ51c、交通情報テーブルデータ51d等を含んでいる。
【0036】
地図データ51aは、道路地図、住宅地図、建物形状地図等を含んでいる。エリアデータ51bは、緯度及び経度からなる位置情報とその位置情報で示される位置に関する情報とが関連付けられている。具体的には、道路データ、駐車場データ、交差点データ、ノードデータ、リンクデータ、写真データ、登録地点データ等を含む。更には、エリアデータ51bは、案内データとして、目的地点データ、目的地読み込みデータ等を含む。なお、地図データ51a、エリアデータ51b等のデータは、本実施形態の処理に先立って予め記録されている。また、これらのデータは、ナビセンタSCの管理者により入力された情報に基づいて、新たに記録され、又は、更新される。統計・予測交通情報データ51cは、過去の交通情報の統計により予測された予測交通情報を含む。交通情報テーブルデータ51dは、後述する総交通情報テーブルTaが記憶されている。
【0037】
また、処理部52は、図3に示すように、検索処理部52aを有している。この検索処理部52aは、上記データ部51に記憶された統計・予測交通情報データ51cや交通情報テーブルデータ51dから検索処理を行うためのプログラムが記憶されている。
【0038】
そして、ナビゲーションサーバ50は、ナビゲーションプログラムに従って経路探索等の処理を行うことができる。つまり、ナビゲーションサーバ50は、ナビゲーション装置10から送信される自動車CAの現在位置に関する検出データから、自動車CAの現在位置を算出し、その現在位置や目的地の位置情報に基づいて、経路探索等の処理を行う。
【0039】
なお、上記交通情報テーブルデータ24d,51dに記憶される総交通情報テーブルTaは、例えば、図4に示すテーブルデータ作成装置60にて作成される。テーブルデータ作成装置60は、テーブル作成手段に相当する。テーブルデータ作成装置60は、データ部61と処理部62とを備えている。
【0040】
データ部61は、地図データ61a、エリアデータ61b、統計・予測交通情報データ61c等を含んでいる。地図データ61aは上記の地図データ24a,51aと同様のデータであり、エリアデータ61bは上記のエリアデータ24b,51bと同様のデータであり、統計・予測交通情報データ61cは上記の統計・予測交通情報データ24c,51cと同様のデータである。
【0041】
処理部62は、経路探索処理部62a、検索処理部62b、統計処理部62c等を含んでいる。経路探索処理部62aは、ナビゲーションプログラムに従って経路探索の処理を行う。検索処理部62bは、データ部61に記憶された地図データ61a、エリアデータ61b、統計・予測交通情報データ61c等に基づき、検索処理を行う。統計処理部62cは、交通情報の統計処理を行う。
【0042】
なお、本実施形態においては、ナビセンタSCのナビゲーションサーバ50がテーブルデータ作成装置60とされている。つまり、ナビゲーションサーバ50のデータ部51がテーブルデータ作成装置60のデータ部61とされ、処理部52が処理部62とされている。これにより、ナビゲーション装置10とナビセンタSCとを備えてナビゲーションシステム1が構成されている。
【0043】
ここで、上記の総交通情報テーブルTaを構成する交通情報テーブルTについて説明する。
図5に示すように、所定領域が、図中横方向に一定間隔で1からnまで、図中縦方向に一定間隔でAからCまで区分されて、メッシュ状に複数のエリアに分割されている。このように分割された各エリアは、エリアA−1やエリアC−n等の識別番号が付される。この分割された各エリアは、経路探索可能な範囲であり、交通情報設置エリア(以下、単にエリアという)とされる。図6には、ある時刻におけるB−3エリアの交通情報テーブルTB−3を示す。
【0044】
図6に示す交通情報テーブルTB−3には、所定領域を分割して得られた各エリアに対して、交通情報((t1,n1),(t2,n2))が示されている。交通情報(t1,n1)は有料道路以外の一般道を使用した場合の交通情報であり、交通情報(t2,n2)は有料道路(高速道路)を使用した場合の交通情報である。即ち、各エリアに対応する交通情報((t1,n1),(t2,n2))は、一般道を使用する場合の交通情報(t1,n1)と有料道路を使用する場合の交通情報(t2,n2)とを含み、各交通情報はエリアに到達するまでの所要時間t1,t2と、対応する交通情報の使用優先度n1,n2とを含む。なお、図5に示す各エリアに示されている時間は、図6に示される交通情報テーブルTB−3のデータによるものである。
【0045】
交通情報((t1,n1),(t2,n2))は、具体的には、以下のことを意味する。即ち、一般道を使用する場合は、そのエリアを所要時間t1後に通過する。そして、この所要時間t1を基に、出発エリアから各エリアへの距離を参照して、各エリアの使用優先度n1が算出されている。このとき、全エリアの所要時間t1が算出された状態で、出発エリアB−3から目的エリアまでの所要時間が最短となる経路が使用優先度「1」とされている。同様に、有料道路の交通情報(t2,n2)についても、所要時間t2及び使用優先度n2が算出されている。
【0046】
出発エリアB−3に対して目的エリアがない場合は、所要時間t1,t2は、出発エリアB−3の任意の地点と各エリアの任意の地点との間の所要時間の平均が示されている。そして、各エリアの使用優先度n1,n2は、出発エリアB−3からの距離及び出発エリアB−3からの所要時間t1,t2を基に算出されている。なお、使用優先度n1,n2は、値が小さい交通情報を値が大きい交通情報よりも優先的に使用されるように設定されている。
【0047】
また、出発エリアB−3に対して目的エリアがある場合は、所要時間t1,t2は、出発エリアB−3の任意の地点と目的エリアの任意の地点までの間に様々な経路を引き、それぞれの経路における各エリアを通過するまでの所要時間の平均が示されている。出発エリアB−3から目的エリアまでの経路において通過しなかったエリアについては、上記目的エリアがない場合の交通情報が適用される。なお、各エリアの使用優先度n1,n2は、上記目的エリアがない場合の判定に加えて、目的エリアまで様々な経路を引いた際の通過する可能性、及び経路の距離も考慮される。
【0048】
上記の所要時間t1,t2は、テーブルデータ作成装置60(ナビゲーションサーバ50)の統計・予測交通情報データ61c(51c)から、出発エリアB−3を起点として、各エリアの統計・予測交通情報がタイムスライドされながら使用されて算出されている。ここで、タイムスライドとは、出発エリアB−3から離れたエリアとなるに従い、順次、統計・予測交通情報データ61c(51c)により所要時間t1,t2が加算されていくことを意味する。
【0049】
具体的には、出発エリアB−3は所要時間t1,t2が「現況」とされ、出発エリアB−3に隣接するエリア(例えば、エリアA−2,エリアB−2等)は、所要時間t1,t2として出発エリアB−3からの所要時間が算出されている。そして、更に隣接するエリア(例えば、エリアA−1,エリアB−1等)については、出発エリアB―3に隣接するエリアの所要時間に、そのエリアから該当エリアまでの所要時間が加算されている。このように、出発エリアB−3を起点として、各エリア毎に順次所要時間が加算されていく。なお、有料道路のないエリアについては、交通情報(t2,n2)は存在しない。
【0050】
なお、本実施形態においては、出発エリアに対して、各エリアの交通情報テーブルTには、各エリアまでの所要時間t1,t2が算出され記憶されるものとしたが、これに代えて、各エリアの到着時刻が算出され記憶されるようにしてもよい。即ち、交通情報テーブルTに設定されている時刻に、各エリアの所要時間を加算したものが記憶されるようにしてもよい。
【0051】
そして、各エリアの出発エリアB−3からの所要時間t1,t2に基づいて使用優先度n1,n2が算出される。この使用優先度n1,n2は、出発地から目的地までの経路と算出された所要時間t1,t2の両方のデータを加味して算出される。
【0052】
また、上記の交通情報テーブルTB−3と同様の交通情報テーブルTが、所定領域を分割して得られた他のすべてのエリアに対しても作成される。本実施形態では、所定領域は日本全国とされている。また、曜日毎の交通情報テーブルTが作成される。このため、本実施形態においては交通情報テーブルTは、(分割された日本全国のエリア数)×(設定された時刻数)×(曜日数)だけ作成されることとなる。
【0053】
具体的には、例えば、エリアA−1について、図7(a)に示すように交通情報テーブルTA―1が作成されている。図7(a)に示すように、エリアA−1において、月曜日から日曜日までの7通りの交通情報テーブルTm〜Tsが作成されている。更に、各交通情報テーブルTm〜Tsは、それぞれ時刻毎の交通情報テーブルが作成されている。月曜日の交通情報テーブルTmは、0時から23時までの間で1時間毎に作成された交通情報テーブルTm0〜Tm23を有している。同様に、火曜日から日曜日の交通情報テーブルTt〜Tsも各時刻の交通情報テーブルを有している。これらすべての交通情報テーブルを備えて、図7(b)に示すように、総交通情報テーブルTaが作成される。
【0054】
そして、図3に示すように、作成された総交通情報テーブルTaは、ナビゲーション装置10のデータ部24に、交通情報テーブルデータ24dとして記憶されている。また、ナビセンタSCのデータ部51に、交通情報テーブルデータ51dとして記憶されている。このように、ナビゲーション装置10及びナビセンタSCに、予め交通情報テーブルデータ24d,51dが記憶された状態で、ナビゲーション装置10において経路探索が行われる。
【0055】
ところで、ナビゲーション装置10の統計・予測交通情報データ24c、及びナビセンタSCの統計・予測交通情報データ51cには、通過所要時間の変動量に応じた時間間隔にて作成された任意のリンクの予測交通情報が所定時刻毎に記憶されている。任意のリンクの通過所要時間は、24時間のうちで変化する。図8に示すグラフでは、ある1日の、任意のリンクにおける通過所要時間を出発時刻毎に示している。この日の通過所要時間は、0時から7時、及び17時から24時までの間は比較的変動がなく、9時から17時までの間は若干変動し、7時から9時までの間は他の時間帯と比較して変動が激しいという条件の日のものである。即ち、0時から7時、及び17時から24時までの間の交通情報は、ほぼ同じ内容である。従って、この時間帯における通過所要時間は、当該時間帯における予測交通情報の何れを用いてもほぼ同じ時間として算出される、即ち、通過所要時間の算出精度は、ほとんど落ちない。一方、単位時間における通過所要時間の変動が大きい時間帯では、正確な出発時刻に対応する予測交通情報を用いなければ、算出される所要時間は大きな誤差を含む、即ち、算出精度が劣化する。このように、出発時刻の時間帯によって、通過所要時間が変動する時間帯においては、その変動に対応する時間単位の予測交通情報を記憶し、通過所要時間の変動が少ない時間帯においては上記の時間単位よりも長い時間単位でサンプリングした予測交通情報を記憶する。
【0056】
なお、本実施形態では、0時から7時まで、及び17時から24時までの間は3時間毎に、7時から9時までの間は15分毎に、9時から17時までの間は1時間毎にサンプリングした予測交通情報が統計・予測交通情報データ24c及び統計・予測交通情報データ51cに格納されている。なお、サンプリングする時間帯を適宜変更してもよい。これにより、予測交通情報のデータ数が少なくなっており、統計・予測交通情報データ24c,51cのデータ量が少ない。
【0057】
次に、上記のナビゲーションシステム1の作用について説明する。
先ず、図9に示すように、ナビセンタSCのナビゲーションサーバ50により、予めテーブル作成処理が行われる。
【0058】
日本全国がメッシュ状或いはパーセル状に分割されて、各エリアについてA−1,B−1等の識別番号が付されている(図5参照)。このように分割された各エリアは、交通情報設置エリアとされる。つまり、交通情報設置エリアとは、経路探索可能範囲に含まれるエリアのことである。そして、これらエリアの中からあるエリアが選択されて出発エリアとして決定される(ステップS1)。その後、ステップS1で決定された出発エリアに対して目的エリア指定があるか否かが判定される(ステップS2)。
【0059】
目的エリア指定がないと判定されれば(ステップS2,NO)、目的エリアなしの場合の使用交通情報の決定が行われる(ステップS3)。本実施形態においては、使用交通情報として、各交通情報設置エリアの出発エリアからの所要時間t1,t2が算出される。所要時間t1,t2は、前記決定されたエリアの任意の地点から、各交通情報設置エリアの任意の地点まで多様な経路を引き、その所要時間の平均時間として算出される。所要時間t1,t2を算出する際には、統計・予測交通情報データ51c(61c)のデータをタイムスライドさせながら使用して算出される。また、所要時間t1,t2の算出は、有料道路とそれ以外の道路(一般道路)のそれぞれに対して行われる。そして、目的エリアなしの場合の使用優先度の決定が行われる(ステップS4)。この使用優先度は、出発エリアからの距離及び出発エリアからの所要時間t1,t2を基に決定される。なお、有料道路が存在しないエリアについては、所要時間t2及び使用優先度n2の算出は行われない。
【0060】
また、目的エリア指定があると判定されれば(ステップS2,YES)、目的エリアありの場合の使用交通情報、即ち所要時間t1,t2の決定が行われる(ステップS5)。この場合、出発エリアの任意の地点から目的エリアの任意の地点まで多様な経路を引き、この引いた経路における各エリアの通過時刻の平均を所要時間t1,t2とする。通過しなかったエリアについては、上記の目的エリアがない場合のステップS3にて算出される所要時間t1,t2が使用交通情報とされる。
【0061】
その後、目的エリアありの場合の使用優先順位の決定が行われる(ステップS6)。この使用優先度は、上記の目的エリアがない場合と同様に決定されると共に、目的エリアへ経路を引いた際の通過する可能性及び経路からの距離も考慮して決定される。
【0062】
上記のテーブル作成処理が、本実施形態においては、日本全国を分割して得られたすべてのエリアについて行われる。更には、前記各エリアに対して、時刻毎に、及び曜日毎に行われる。即ち、ステップS1からステップS6までの処理がエリア毎に行われると共に、各エリアについて設定された時刻毎に、また、曜日毎に、ステップS2からステップS6までの処理が行われる。そして、交通情報テーブルは、日本全国のエリアについて、時刻毎、及び曜日毎に作成される。このため、交通情報テーブルTは、(日本全国のエリア数)×(設定された時刻数)×(曜日数)だけ作成されることとなる。そして、作成された総交通情報テーブルTa(図7参照)は、ナビゲーション装置10のデータ部24に交通情報テーブルデータ24dとして記憶される。又は、ナビセンタSCのデータ部51に、交通情報テーブルデータ51dとして記憶される。
【0063】
次に、図10及び図11に示すように、上記テーブル作成処理により作成された総交通情報テーブルTaを使用して、経路探索処理が行われる。
図10に示すように、先ず、ナビゲーション装置10において、出発エリア及び目的エリアの設定が行われる(ステップS11)。このとき、現在位置検出装置12により検出された現在位置、又はユーザにより入力された現在位置を含むエリアが出発エリアとされる。また、目的地がある場合には、ユーザにより目的地が入力されて、この目的地を含むエリアが目的エリアとされる。なお、このときに出発時刻(目的地設定時の現在時刻)が決まる。
【0064】
そして、ナビセンタSCを使用するか否か判定される(ステップS12)。このとき、ナビゲーション装置10において、探索する地域の交通情報テーブルTがデータ部24の交通情報テーブルデータ24dにあるか否かが判定される。又は、インターチェンジが新たにできた等の交通条件の変更があるために最新の交通情報と取得したい場合には、ユーザによりナビセンタSCを使用する旨が入力され、ナビセンタSCを使用すると判定される(ステップS12,YES)。
【0065】
そして、ナビセンタSCの交通情報テーブルデータ51dから、出発地及び出発時刻に基づき、曜日の条件も加味して使用する交通情報テーブルTが決定される(ステップS13)。このとき決定される交通情報テーブルTが使用テーブルに相当する。その後、ステップS13にて決定された交通情報テーブルTに設定されている任意のエリアまでの所要時間(到着時刻)に基づいて、任意のエリアに存在するリンクの予測交通情報を、統計・予測交通情報データ51cから取得する(ステップS14)。
【0066】
また、ナビセンタSCを使用しないと判定された場合(ステップS12,NO)、ナビゲーション装置10のデータ部24の交通情報テーブルデータ24dから、出発地及び出発時刻に基づき、曜日の条件も加味して使用する交通情報テーブルTが決定される(ステップS15)。このとき決定された交通情報テーブルTが使用テーブルに相当する。そして、ステップS15にて決定された交通情報テーブルTに設定されている任意のエリアまでの所要時間(到着時刻)に基づいて、任意のエリアに存在するリンクの予測交通情報を、統計・予測交通情報データ24cから取得する(ステップS16)。
【0067】
ステップS14,S16にて使用する予測交通情報が取得された後、経路の探索が行われて、経路が決定される(ステップS17)。このとき、取得された各エリアの予測交通情報を使用し、交通情報テーブルTに示された各エリアの使用優先度(図3参照)を参照して、経路探索が行われる。なお、この経路探索においては、交通情報テーブルTに記憶された各エリアのデータのうち、所定の使用優先度を有するデータのみを使用することもできる。例えば、広範囲に亘って通過可能な経路を知りたい場合には、使用優先度の低いものまで使用するように設定すればよい。
【0068】
このように、ナビゲーション装置10は、予め記憶された交通情報テーブルTに基づいて、各エリアに存在するリンクの予測交通情報を取得することができるため、実際にそのエリアを通過する時刻の情報を正確に得ることができる。そして、各エリアを接続して、各エリア間の経路評価価値を算出し、出発エリアから目的エリア、或いは任意のエリアに至るまでの総合評価価値を算出することで経路探索を行う。なお、このとき、出発エリアから目的エリア、或いは任意のエリアに至るまでの総合評価価値は、所要時間のみによらなくてもよい。例えば、所要金額に重点をおいて検索するようにしてもよい。そして、ステップS17にて決定された経路における出発エリアからの所要時間の算出が行われる(ステップS18)。このとき、所要時間は、経路探索に使用した交通情報テーブルTに記憶されたデータにより算出される。
【0069】
また、自宅Hのパソコン2や携帯電話から出発地や目的地等のデータを入力する場合には、図11に示す経路探索処理が好適に行われる。この場合、パソコン2や携帯電話は、ナビセンタSCから交通情報テーブルTを選択し取得して経路探索を行う。
【0070】
図11に示すように、先ず、ユーザにより出発地及び目的地の設定が行われる(ステップS21)。ユーザは、自宅Hのパソコン2、又は携帯電話から、ネットワークNを介してナビセンタSCに接続する。このとき、ユーザが入力した出発地が含まれるエリアが出発エリアとされる。なお、このときに出発時刻(目的地設定時の現在時刻)が決まる。
【0071】
そして、ナビセンタSCにおいて、データ部51に記憶された交通情報テーブルデータ51dから、出発地及び出発時刻に基づき、曜日の条件も加味して使用する交通情報テーブルTが選択されて決定される(ステップS22)。このとき決定された交通情報テーブルTが使用テーブルに相当する。そして、ステップS22にて決定された交通情報テーブルTに基づいて、前記データ部51の統計・予測交通情報データ51cから、予測交通情報が取得される(ステップS23)。
【0072】
ステップS23にて予測交通情報が取得された後、経路探索が行われて経路が決定される(ステップS25)。このとき、図10に示す処理と同様に経路探索が行われる。そして、ステップS24にて決定された経路における所要時間の算出が行われる(ステップS25)。
【0073】
以上説明したように、本実施形態のナビゲーション装置10においては、先ず、出発エリア及び出発時刻に基づき、曜日等の交通条件を加味して、使用する交通情報テーブルTが決定される。そして、その交通情報テーブルTに記憶された出発エリアからの所要時間(到着時刻)等の情報を参照して、各エリアに存在するリンクの予測交通情報の取得が行われ、その予測交通情報を使用して経路探索が行われる。
【0074】
仮に、車両の移動に伴い順次交通情報を取得して、変化する実際の交通情報を使用しながら動的に経路探索を行うと、確実に現在の交通情報を反映させた経路探索を行うことができる。しかし、そうすると、経路探索を行う地点のデータしか得ることができず出発地以外の地点のデータを得ることはできないため、出発地(経路探索を行う地点)と任意の地点、或いは目的地との間の経路探索を行う際に、出発地側からしか経路探索を行うことができない。
【0075】
この点、本実施形態においては、出発エリアの交通情報(現況の交通情報)と各エリアの予測交通情報とを得て、出発エリアと任意のエリアの両側から経路探索を行うことができるため、上述したように出発地(出発エリア)側からしか経路探索することができない場合と比較して、経路探索に要する時間が少なくてすむ。このとき、各エリアで使用される予測交通情報は、出発エリアからその出発時刻において到達するまでの所要時間等を考慮し、経路探索時の曜日等を加味した高精度のものとされる。従って、本実施形態のナビゲーション装置10によれば、高精度で時間を要することなく経路探索を行うことができる。
【0076】
従って、本実施形態のナビゲーション装置10及びナビゲーションシステム1によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、ナビゲーション装置10のデータ部24は、総交通情報テーブルTaを記憶している。即ち、総交通情報テーブルTaは、日本全国を分割して得られるエリア毎に、各エリアを出発エリアとして任意のエリアまでの所要時間(所要時刻)が設定されている複数の交通情報テーブルTを記憶している。そして、CPU25の検索処理部35bは、現在地が含まれるエリアを出発エリアとし、かつ出発時刻に該当する交通情報テーブルTを使用テーブルとして選択する。更に、使用テーブルの各エリアの所要時間に対応する予測交通情報を取得し、その予測交通情報を使用して経路探索を行う。
【0077】
このように、日本全国を分割して得られるエリア毎に、予測交通情報を用いて各エリアを起点として任意のエリアまでの所要時間が算出されており、この所要時間に対応する予測交通情報を用いて経路探索を行うことができる。このため、各エリアの予測交通情報と任意のエリアの実際に通過する時刻の予測交通情報とを取得して、これらの予測交通情報を基に両エリア間の経路探索を行うことができる。従って、移動における時間の経過を考慮した高精度な経路探索を行うことができる。
【0078】
(2)本実施形態では、ナビゲーション装置10に記憶された交通情報テーブルTは、各エリアに対して任意のエリアの使用優先度が記憶されている。このため、各エリアの使用優先度を参照して経路探索を行うことができる。
【0079】
(3)本実施形態では、ナビゲーション装置10のCPU25は、交通情報テーブルTに記憶されたデータのうち、所定の使用優先度のエリアのみを使用して経路探索を行うことができる。このため、経路探索を行う際にあまり必要のないデータは用いられず使用するデータ量を軽減することができ、経路探索を効率よく簡略することができる。
【0080】
(4)本実施形態では、ナビゲーション装置10に交通情報テーブルTは曜日毎に記憶されている。このため、曜日の条件を加味したデータを得ることができ、より高精度で経路探索を行うことができる。
【0081】
(5)本実施形態では、ナビゲーション装置10の各交通情報テーブルTのデータは、道路の種類毎(一般道路と有料道路)に作成されている。このため、道路の種類毎に経路探索を行うことができる。
【0082】
(6)本実施形態では、CPU25の検索処理部35bは、使用する交通情報テーブルTを、ネットワークNを介して通信可能なナビセンタSCのデータ部51に記憶された交通情報テーブルTの中から選択することができる。このため、ナビゲーション装置10に記憶されていない交通情報テーブルTを取得することができる。これにより、例えば、ナビゲーション装置10の交通情報テーブルデータ24dに記憶されたデータの中に所望の領域のデータがない場合や最新のデータが欲しい場合、又はより細密に設定されたデータが欲しい場合には、ナビセンタSCから交通情報テーブルTを取得することができる。このため、経路探索可能範囲を高精度で広範囲とすることができる。
【0083】
(7)本実施形態では、ナビゲーション装置10に記憶された予測交通情報は、任意のリンクにおける通過所要時間の変化の大きい時間帯ほど短い間隔でサンプリングした予測交通情報が記憶され、通過所要時間の変化の小さい時間帯では長い時間間隔でサンプリングした予測交通情報が記憶されている。このように、予測交通情報は通過所要時間の変化の小さい時間帯ほど記憶される予測交通情報の数が少なくなり、通過所要時間の変化量に応じてサンプリングすることで、精度を下げることなく、ナビゲーション装置10に記憶される予測交通情報のデータサイズを小さくすることができる。
【0084】
(8)本実施形態では、ナビゲーションシステム1は、ナビゲーション装置10とナビセンタSCとを備えている。ナビゲーション装置10は、ネットワークNを介してナビセンタSCに接続可能とされており、同ナビセンタSCは日本全国を分割して得られるエリア毎に、参照すべき予測交通情報を設定する交通情報テーブルを作成することができる。そして、ナビゲーション装置10及びナビセンタSCには、ナビセンタSCにおいて作成された交通情報テーブルを記憶することができる。このため、ナビゲーションシステム1において、日本全国を分割して得られるエリア毎に、参照すべき予測交通情報を設定する交通情報テーブルを作成することができる。
【0085】
なお、上記実施形態は以下のような別例に変更して具体化してもよい。
・本実施形態では、交通情報テーブルTは所定領域を分割して得られるエリア毎に記憶されており、前記所定領域を日本全国とした。しかし、この所定領域は日本全国に限られず、例えば各都道府県や市町村としてもよい。
【0086】
・本実施形態では、所定領域としての日本全国が、例えば図5に示すように分割されるものとしたが、所定エリアの分割はどのように行ってもよい。また、使用するときに、分割の程度を選択できるようにしてもよい。例えば、旅行時など長距離を移動する場合と町内を移動するのみの場合とは、日本全国地図において必要とされる地図の精度が異なる。前者の場合は大きく分割されて作成された交通情報テーブルを用いればよいし、後者の場合は細かく分割されて作成された交通情報テーブルを用いればよい。
【0087】
・本実施形態では、交通情報テーブルTは、1時間毎に、また、曜日毎に作成されるものとしたが、交通情報テーブルTが作成される条件はこれに何ら限定されない。例えば、1日につき1つの時刻のみ作成してもよいし、より細かい時刻毎に作成してもよい。また、曜日毎であっても、平日、週末、祝日毎に作成してもよいし、季節毎に作成してもよい。
【0088】
・本実施形態では、統計・予測交通情報データ24c,51cには、例えば図8に示すように、交通状況の変化の大きい時間帯ほど短い間隔で交通情報が取得できるように構成したが、統計・予測交通情報データはどのように作成されていてもよい。種々の条件により生じる交通条件に即するように作成するようにすればよい。例えば、週末の方が交通情報が変動する場合や、盆・正月等の長期休暇に交通情報が変動する場合には、その状況に合わせて統計・予測交通情報データ24c,51cに情報を記憶させておけばよい。
【0089】
・本実施形態では、ネットワークNを介して、ナビセンタSCに接続して、ナビセンタSCから交通情報テーブルTや、交通情報テーブルTに対応する交通情報を取得することができる。しかし、ナビゲーション装置10と接続可能なサーバ装置はナビセンタSCに何ら限定されない。例えば、ナビゲーション装置10に記憶されたデータ及びナビセンタSCに記憶されたデータを使用しても十分なデータを取得できない場合に、ナビゲーション装置10は通信手段を介して他のサーバ装置に接続可能とし、そのサーバ装置からデータを取得すればよい。
【0090】
・本実施形態では、交通情報テーブルTにおいて、各エリアの道路の使用優先度が算出されているものとしたが、この使用優先度はなくてもよい。
・本実施形態では、各交通情報テーブルTは、一般道と有料道路毎に作成されているが、どちらか一方のみのデータを作成するようにしてもよい。また、他の種類の道路についてのデータも算出するようにしてもよい。
【0091】
・本実施形態では、各交通情報テーブルTは、目的エリアが設定されているが、目的エリアを設定しなくてもよい。交通情報テーブルTが目的エリアがないもののみとすれば、交通情報テーブルデータ24d,51dのデータサイズを小さくすることができる。
【0092】
・本実施形態では、交通情報テーブルTは曜日が設定されたものとしたが、他の条件、例えば、路面状況や車線数、道路幅員、或いは、季節や天候等を条件として設定してもよい。そうすると、所望の条件により効率よくデータを記憶することができるとともに、所望の精度を有する経路探索を行うことができる。
【0093】
・本実施形態では、予測交通情報を使用して経路探索を行うものとしたが、予測交通情報に加えてVICS受信装置19において受信した現在の交通情報も使用して経路探索を行うものとしてもよい。例えば、VICS受信装置19において受信した交通情報の中に所定時刻までの通行止め、速度制限等の時間指定のある規制情報が含まれている場合は、出発エリアから規制情報が存在するエリアへの所要時間と規制情報の規制時間との比較から規制情報を使用するか否かを決定してもよい。
【0094】
・本実施形態では、ナビゲーション装置10を、交通情報テーブルTを現在地から目的地までの経路探索に利用できるようにしたが、所望の施設(ホテル、休憩所等)の検索に利用できるようにしてもよい。例えば、上記ナビゲーション装置10を用いて、図12に示すように、半径10km以内に存在する所望の施設を検索する場合を説明する。先ず、ユーザにより所望の施設が入力されると、CPU25により施設が検索され、検索された施設が存在するエリアが決定されて対象エリアとされる。具体的には、例えば、図12に示すように、施設G1,G2,G3が検索され、それぞれの施設が含まれるエリアが対象エリアB−2,D−2,C−5とされる。なお、このときCPU25は検索手段及び対象エリア決定手段に相当する。
【0095】
そして、検索処理部35b(使用テーブル選択手段)により、現在地を含むエリアが出発エリアとされて、出発時刻に該当する交通情報テーブルが交通情報テーブルデータ24d(テーブル記憶手段)の中から使用テーブルとして選択される。その後、前記使用テーブルにより、施設G1,G2,G3が存在する対象エリアB−2,D−2,C−5までの所要時間(又は、到着時刻としてもよい)がディスプレイ16(出力手段)に表示出力される。図12においては、対象エリアB−2,D−2,C−5までの所要時間はそれぞれ15分、10分、20分とされている。これにより、現在位置から所望の施設まで移動するのに必要な所要時間をユーザに提供することができる。つまり、対象エリアまでのみの所要時間がディスプレイ16に表示されるため、すべてのエリアに所要時間が表示される場合と比較してユーザは明確に所望の施設までの情報を視認することができる。
【0096】
更には、ユーザは、出発エリアから各対象エリアまでの所要時間又は到着時刻を参照して、対象エリアの中から特定の施設を選択し、これを目的エリアとして本実施形態と同様の経路探索を行うことも可能である。
【符号の説明】
【0097】
1…ナビゲーションシステム、10…ナビゲーション装置、24…データ部(テーブル記憶手段)、24c…統計・予測交通情報データ(予測交通情報記憶手段)、35a…経路探索処理部(経路探索手段)、35b…検索処理部(使用テーブル選択手段)、51…データ部(テーブル記憶手段)、51c…統計・予測交通情報データ(予測交通情報記憶手段)、52,62…処理部(テーブル作成手段)、A−1,B−2,C−5,…エリア、T,TB−3,TA−1,Tm,Ts,Tm0,Tm23…交通情報テーブル、t1,t2…所要時間、n1,n2…使用優先度、SC…ナビゲーション管理センタ(サーバ装置)、N…ネットワーク(通信手段)、G1,G2,G3…施設。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エリア毎及び時刻毎に、各エリアを出発エリアとして任意のエリアまでの所要時間又は任意のエリアへの到着時刻が設定されている複数の交通情報テーブルを記憶するテーブル記憶手段と、
規制時間の指定がある規制情報を受信する受信手段と、
前記複数の交通情報テーブルの中から現在地が含まれる出発エリア及び出発時刻に該当する交通情報テーブルを使用テーブルとして選択する使用テーブル選択手段と、
前記使用テーブルに設定されている前記規制情報が存在するエリアまでの所要時間又は前記規制情報が存在するエリアへの到着時刻と前記規制情報の前記規制時間との比較から、現在地から目的地までの経路探索に前記規制情報を使用するか否かを決定する経路探索手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
時刻毎に各エリアに含まれる予測交通情報を記憶する予測交通情報記憶手段を備え、
前記経路探索手段は、前記使用テーブルに設定されている任意のエリアまでの所要時間又は任意のエリアへの到着時刻に基づいて任意のエリアに存在する予測交通情報を前記予測交通情報記憶手段から取得し、その予測交通情報を使用して現在地から目的地までの経路探索を行うことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−69827(P2011−69827A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232245(P2010−232245)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【分割の表示】特願2006−348148(P2006−348148)の分割
【原出願日】平成15年7月10日(2003.7.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】