説明

ハイブリッド位置判断システムにおける誤差推定値を判断するための方法および装置

【課題】マルチパシングによって生じる誤差を判断し、位置判断測定の誤差推定を向上する。
【解決手段】データベースを設定し、その中に、ビーコンに対する特定の疑似範囲の測定値に対して推定された誤差量を維持する。クラスタを定める。各クラスタは、選択したパラメータに対する値の範囲と関係付けられている。次に、疑似範囲の測定値は、疑似範囲の測定値をとった時間(または、その時間の前後を含む時間)における選択したパラメータ値に基づいて、特定のクラスタと関係付ける。求めた疑似範囲の測定値の推定値の数がより多くなると、クラスタのサイズ(すなわち、選択したパラメータ値の範囲)を小さくすることができる。選択したパラメータと疑似範囲の測定値における誤差との相関によって、クラスタのサイズが小さくなると、誤差推定値の分散が小さくなる。誤差推定値の平均値を使用して、将来の疑似範囲の測定値の誤差を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置判断に関する。とくに、本発明は、デバイスの位置を判断するときに行われる位置判断測定の誤差推定を向上するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人は、自分の地理的位置を知ることを常に望んできた。人の位置を判断するために、コンパス、地図、六分儀、測量装置(surveying equipment)、などのようなデバイスが使用されてきた。今日では、我々は、衛星システムの恩恵を受けており、衛星システムは、軌道に乗って地球を周回して、地上の受信機へ情報を供給している。各受信機は、衛星によって供給された情報を使用して、その位置を判断することができる。1つのこのようなシステムは、周知のグローバルポジショニングシステム(Global Positioning System, GPS)である。GPSには、24機から成る1“群(constellation)”の衛星が構成されていて、衛星群は、衛星間に十分な間隔をとって、軌道に乗って地球を周回している。GPSは、GPS受信機の位置をどこからでも、大抵の受信機については100ないし10メートル(の誤差)で、判断できる精度を有する。GPS衛星群内の各衛星は、コード化された信号を情報と共に送る。地上の受信機は、この情報により、任意の時間点を基準として、受信信号の到達時間を測定することができる。この相対的な到達時間の測定値を、一般に“疑似範囲(pseudo range)”の測定値と呼ぶ。
【0003】
GPSは、米国国防総省(U.S. Department of Defense)が所有し、操作しているが、世界中で一般的な用途に使用できる。簡潔にいうと、GPSは、21機の“正規”の衛星と、3機の予備の衛星とから構成されていて、地球上から10,600マイルの軌道に乗って周回している。衛星間には、間隔が空けられているので、地球上の任意の点からの水平線上には、少なくとも4機の衛星が位置する。各衛星には、コンピュータ、原子時計、および無線機が構成されている。各衛星は、衛星自身の軌道に関する知識およびクロックを使用して、移動している位置および時間を継続的に同報通信する。各衛星は、1日に1回、地上局を使用して、時間および位置についての衛星自身の判断力(sense)を検査して、必要に応じて情報を補正する。地上の各GPS受信機にはコンピュータが構成されていて、コンピュータは、3機の衛星からの方位を二次元の解で得ることによって、GPS受信機自身の位置を“三角測量で測量”する。その結果、地理的位置が求められる。この位置は、通常は経度と緯度とで与えられる。位置判断の精度は、通常は(誤差が)100メートル以内である。受信機にディスプレイスクリーンも装備されていて、ディスプレイスクリーン上にマップが表示されるときは、マップ上に位置を表示することができる。第4の衛星を受信できるときは、受信機/コンピュータは、高度と地理的位置とを計算することができる。受信機が移動しているときは、受信機は、受信機の移動の速度と方向とを計算し、推定到達時間を指定された宛先へ与えることもできる。
【0004】
都合の悪いことには、送信側の衛星と受信機との間の距離が比較的に大きいために、GPS衛星からの信号は比較的に低い電力レベルで受信される。このために、信号は信号路内の極めて小さい障害物により妨害または分散され、受信機は信号を受信できなくなる。例えば、大抵のGPS受信機は、建物内、密林の下、高層ビルが空のほとんどを塞いでいる都市環境、等では、信号を受信するのが非常に困難である。したがって、GPSに代わって、またはGPSを補助するために、他の技術が使用される。1つのこのようなシステムは、一般的に、“ハイブリッド位置判断”システムと呼ばれる。
【0005】
ハイブリッド位置判断システムには、位置判断端末が含まれ、位置判断端末には、GPS受信機と通信システムの受信機との両者が含まれる。このようなハイブリッド位置判断システムの1例において、通信システムの受信機はセルラ電話の受信機である。通信システム内の位置判断ビーコンは、ハイブリッド位置判断端末と通信する。
【0006】
GPS衛星からの信号は、使用可能であるときは、GPS受信機を介して、ハイブリッド位置判断端末によって受信される。ハイブリッド位置判断端末は、“補助情報”を位置判断ビーコンから通信システム受信機を介して受信する。補助情報には、GPS衛星信号を周波数および時間について迅速に位置付けることを可能にする情報が含まれる。さらに加えて、通信システム信号、例えば1つ以上の位置判断ビーコンを使用して、基地局に対する疑似範囲を判断することもできる。基地局に対する疑似範囲を、衛星に対する疑似範囲と一緒に使用して、受信機の位置を計算する。
【0007】
さらに加えて、基地局は、ハイブリッド位置判断端末内の位置判断受信機へ時間基準を与える。1つの特定のハイブリッドシステムでは、通信システムによって受信機へ与えられた時間基準は、GPS時間である。しかしながら、与えられたGPS時間は、位置判断ビーコンから位置判断受信機へGPS時間を伝える信号を伝搬するのに必要な時間量分ずれている。このずれは、信号が通信システムの受信機から位置判断ビーコンへ、さらに再び通信システムの受信機へ“往復”で送られるときの伝搬遅延を測定することによって判断できる。このずれは、全往復遅延(round trip delay, RTD)の2分の1に等しい。しかしながら、RTDへ加えられる遅延は、位置判断ビーコンが信号を受信して、再送信することに関係する内遅延(internal delay)であることに注意すべきである。したがって、位置判断ビーコンから位置判断端末へ正確なGPS時間を送るために、内遅延を判断して、測定されたRTDから減算しなければならない。これを、しばしば位置判断ビーコンの“較正”という。位置判断ビーコンの較正には、位置判断ビーコン内の遅延量を測定することが必要である。位置判断ビーコンの較正は、時間がかかり、かつ面倒な作業である。したがって、位置判断ビーコンの較正を必要とすることなく、ハイブリッド位置判断端末の位置を判断できるようにする方法および装置を提供することが好都合である。
【0008】
通信システム内の各位置判断ビーコンの各々を較正した後でも、位置判断端末と位置判断ビーコンとの間でとられる疑似範囲の測定値の精度は、必ずしも正確ではない。これは、“マルチパシング(multipathing)”として知られる現象による。マルチパシングは、信号が送信機(すなわち、位置判断ビーコン)と受信機(すなわち、位置判断端末)との間で間接経路をとるときに発生する。間接経路とは、送信機と受信機との最短距離よりも長い経路と定義する。マルチパシングという用語は、信号が送信機と受信機との間で2本以上の信号路を横切ることを示す。しかしながら、これを考察するために、信号が、送信機と受信機との間で1本のみの間接経路をとっても、その信号を依然としてマルチパシング信号であるとみなす。
【0009】
マルチパシングは、信号が位置判断ビーコンと位置判断端末との間の距離を横切るのに必要な時間量を増加する。この時間量の増加は、信号が、建物のような障害物からの反射の結果として、より長い距離を移動することによる。信号が受信機に到達するのに必要な時間量が増加すると、疑似範囲の測定値に誤差が生じる。疑似範囲の測定値の誤差により、疑似範囲の測定値から計算される位置の誤差が生じる。
【0010】
マルチパシングは、GPS信号における問題になることがある。しかしながら、恐らくは、信号は依然として直接経路を介して位置判断端末に到達するので、GPS信号におけるマルチパシングの影響を軽減することがより簡単である。信号はGPS衛星と位置判断端末との間では、恐らくは、2本以上の経路をとる。しかしながら、これらの経路の中の1本の経路は、恐らくは、直接経路である。したがって、直接経路は、最初に到達する経路であると考えられる。さらに加えて、直接経路は、通常は、より強い信号強度を有する。対照的に、位置判断ビーコンから送られる通信信号が間接経路のみをとる可能性は、より高い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、マルチパシングによって生じる誤差を判断することが必要である。ハイブリッド位置判断システムにおいてとられる疑似範囲の測定値に含まれる誤差量の推定値を判断するための方法および装置を、これより開示することにする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書において開示する方法および装置では、選択したパラメータと、疑似範囲の測定値における誤差との間の相関を利用する。データベースを設定し、その中にビーコンに対する特定の疑似範囲の測定値の推定誤差量を維持する。クラスタを定める。各クラスタは、選択したパラメータの一定の範囲の値と関係付けられている。したがって疑似範囲の測定値は、疑似範囲の測定値をとった時間(または、その時間の前後を含む時間)における選択したパラメータ値に基づいて、特定のクラスタと関係付けられる。疑似範囲の測定値の推定値の数が増えると、クラスタのサイズ(すなわち、選択したパラメータ値の範囲)を小さくすることができる。選択したパラメータと疑似範囲の測定値の誤差とは相関しているので、クラスタのサイズを小さくすると、誤差推定値の分散が小さくなる。誤差推定値の平均値を使用して、将来の疑似範囲の測定値の誤差を補正する。
【0013】
開示されている方法および装置についての1つの実施形態では、選択したパラメータは、ビーコンに対する疑似範囲を測定する端末の位置である。その代わりに、選択したパラメータは、他の相関パラメータ、例えばビーコン信号の電力レベルであってもよい。データベースに含まれている特定の地理的領域における誤差推定値の数は比較的に少ないので、クラスタのサイズは、最初は比較的に大きい。しかしながら、誤差推定値の数が増えると、クラスタのサイズを小さくすることができ、したがって(最初の)より大きいクラスタと比較して、より小さいクラスタ内の誤差推定値の分散を小さくすることができる。
【0014】
1つの実施形態にしたがって、最初に、特定のビーコンに対する疑似範囲がとるべき値を計算することによって、誤差推定値を求める。この計算は、(非常に精密な第1の位置判断サブシステムを使用して)端末の現在の位置を判断し、これを使用して、ビーコンに対する疑似範囲の測定値を求めることによって行なわれる。端末の位置が分かると、ビーコンの疑似範囲の測定値を容易に計算することができ、ビーコンの位置が分かると考えられる。次に、精度のより低い第2の位置判断サブシステムを使用して、端末からビーコンへの疑似範囲を測定する。精度のより高い第1の位置判断サブシステムに基づいて計算した疑似範囲と、精度のより低い第2の位置判断サブシステムによってとった疑似範囲の測定値との差を判断する。この差は、精度のより低い第2の位置判断サブシステムによってとった測定値における誤差によると考えられる。
【0015】
したがって、データベースには、精度のより高い第1の位置判断サブシステムが使用できないときに、精度のより低い第2の位置判断サブシステムによってとった疑似範囲の測定値の補正を可能にする情報が含まれている。データベースは自己生成形であって、精度のより高い第1の位置判断サブシステムが使用可能であることに基づいて、端末の動作中に、データベースに必要な情報をとる。精度のより高い第1の位置判断サブシステムを使用して、端末が位置することができる地点の数が増えると、データベース内のクラスタはより小さくなる。クラスタがより小さくなると、データベース内に維持される誤差推定値の分散が小さくなる。
【0016】
端末の位置を判断するための手段が他にあり、かつその手段が幾つかの時間または場所において使用可能であるが、それ以外の時間または場所では使用可能でないときは、ハイブリッド位置判断システム以外の位置判断システムにおいて、本明細書に開示されている方法および装置を使用できることが分かるであろう。この場合は、上述の精度のより高いサブシステムから位置を判断したのと同じやり方で、疑似範囲の測定値における誤差量を判断するための基準として、端末の位置を使用する。
【0017】
開示されている方法および装置の1つの実施形態にしたがって、選択したパラメータが端末の位置であるときには、反復方法を使用する。精度のより高い第1の位置判断サブシステムが使用可能でなく、かつ十分な数の最初の誤差推定値がとられていると仮定すると、反復方法では、比較的に大きいクラスタに基づく疑似範囲の補正された測定値を使用して、端末の位置を判断する。このやり方で端末の位置が判断されているときは、相当により小さいクラスタにおいて統計上有効な数の誤差推定値が求められていると仮定すると、この相当により小さいクラスタに基づいて、疑似範囲の補正を再び計算することができる。
【0018】
本発明の特徴、目的、および長所は、後述の詳細な説明を、図面中の同じ要素を同じ参照符号によって全体的に同定している図面と共に参照することにより、より明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1には、ハイブリッド位置判断システム100が示されている。これを明らかにするために、ハイブリッド位置判断システムは、第1の位置判断サブシステムのみにより、または第2の位置判断サブシステムと組合せて、端末105の位置を判断するシステムとして定義する。第1の位置判断サブシステムは、第2のサブシステムから“独立”して、端末105の位置を判断できることが好ましい。この文脈において、“第2のサブシステムから独立している(independent of the second sub-system)”という表現は、第2のサブシステムの構成要素の一部または全てが使用可能でないときは、第1のサブシステムを使用して、端末の位置を判断することを意味する。しかしながら、本明細書に開示されている方法および装置についての1つの実施形態にしたがうと、第2のサブシステムの構成要素は、第1のサブシステムの不可欠な部分である。第1のサブシステムの構成要素、または第1のサブシステムからの情報を使用しないときは、第2のサブシステムは、位置を判断できるときと、できないときがあることに注意すべきである。
【0020】
さらに加えて、本明細書で開示されている方法および装置にしたがうハイブリッド位置判断システムでは、少なくとも1つの“パラメータ”は、位置判断サブシステムの一方における位置判断測定値の誤差の大きさに関係している。これを明らかにするために、パラメータは、位置判断サブシステムの一方における位置判断測定値の誤差の大きさに関係する変数(variable)である。例えば、位置判断端末105のパラメータには、(1)位置判断端末105の位置、(2)位置判断端末105が受信する位置判断信号の電力量、(3)位置判断端末105が現在位置している地理的領域内に存在する基地局の数、(4)位置判断端末105が現在位置している地理的領域内の建物のタイプ、(5)位置判断端末105が現在位置している地理的領域内の構造物の密度、などがある。これらの各変数は、地上の位置判断システム内の位置判断端末によってとられた測定値の精度に影響を与えるので、位置判断端末105のパラメータになると考えられる。しかしながら、第2のサブシステムによってとられた測定値の誤差の大きさに関係するパラメータは、第1のサブシステムによってとられた測定値の誤差の大きさと無関係である(または、その代わりに、関係が弱い)ことが好ましい。
【0021】
2つのサブシステムが構成されているハイブリッド位置判断システムの1例では、2つのサブシステムの各々には、1組の送信機が構成されている。各サブシステムの送信機は位置判断信号を送る。このようなハイブリッドシステムでは、両者のサブシステムからの伝送は、必ずしも、同時に使用可能ではない。図1に示されている実施形態では、4つの衛星101、3つの位置判断ビーコン103、および1つの位置判断端末105が示されている。衛星101は、位置判断信号を送る2つのタイプの送信機の中の第1の送信機であり、第1のサブシステムと関係付けられる。
【0022】
衛星101が供給する信号を、端末105が受信する。端末105が、十分な数の衛星信号の中から信号を受信し、かつその信号から受取った情報をデコードできると仮定すると、端末105はビーコン103から位置判断信号を受信する必要なしに、衛星101からの受信信号から端末105の位置を判断することができる。それにも関わらず、開示されている方法および装置についての幾つかの実施形態では、端末105は、捕捉および処理を補助するために、ビーコン103との通信を必要とする。捕捉の補助が望まれていても、望まれていなくても、十分な数の衛星101が捕捉されると、端末105の位置を計算するには、衛星101によって与えられた情報で十分である。
【0023】
ビーコン103は、2つの位置判断サブシステムの中の第2のサブシステムの一部分である。衛星101と同様に、ビーコン103が供給する信号を、端末105が受信する。開示されている方法および装置についての1つの実施形態にしたがうと、端末105はビーコン103からの信号により、衛星101からの位置判断信号を受信する必要なく、端末105自身の位置を判断することができる。しかしながら、代わりの実施形態では、第2のサブシステムは、第1のサブシステムの少なくとも1つの送信機が情報を供給することを要求して、端末105の位置を判断する。端末105は、要求した各送信機から情報を受信すると、単独で、またはビーコン103の1つからの捕捉および処理の補助を使って、位置を判断することができる。その代わりに、端末105の位置は、端末105から遠隔して位置するデバイス(図1には明示されていない)によって判断することもできる。この場合に、端末105は、端末105を判断するのに必要な情報を遠隔のデバイスへ送る。開示されている方法および装置の1つの実施形態では、遠隔のデバイスは、ビーコン103の1つか、またはビーコン103の1つの中のサブシステム104である。遠隔のデバイスは、図1において“オプション”として示されており、ビーコン103の内部に位置していても、またはビーコン103の外部に位置していていもよいことを強調しておく。
【0024】
当業者には、衛星101またはビーコン103は、図1に示されている数よりも多くても、少なくてもよく、端末105は2つ以上あってもよいことが分かるであろう。ハイブリッド位置判断システム100についての1つの実施形態では、衛星101はGPS衛星である。しかしながら、ハイブリッド位置判断システム100の代わりの実施形態では、衛星101は、他のタイプの送信機であって、比較的に独立していて、かつ比較的に正確な位置判断を行うことができる送信機であってもよい。衛星の代わりに、例えば、正確な位置判断を行うことができる地上位置判断システム(例えば、LORAIN)を使用してもよい。
【0025】
ハイブリッド位置判断システム100についての1つの実施形態では、ビーコン103は、セルラ基地局、例えば(1)基地局トランシーバサブシステム(base station transceiver sub-system, BTS)、(2)基地局制御装置(base station controller, BSC)、(3)位置判断装置(position determination equipment, PDE)である。しかしながら、他の実施形態では、ビーコン103には、これらの構成要素のサブセットが含まれることが分かるであろう。さらに加えて、ビーコン103は、端末105の位置の判断を可能にする位置判断信号を送ることができる他の送信機であってもよい。当業者には、PDEを含むビーコン103において、PDEは、恐らくは、図1に示されている遠隔のデバイス104として働くことも分かるであろう。
【0026】
本明細書において開示されている方法および装置にしたがうと、第1のタイプの送信機から受信した情報を使用すると、第2のタイプの送信機から受信した情報から判断できる位置よりも、相当により正確な位置判断を計算することができる。例えば、GPS衛星およびセルラ基地局の場合に、衛星に対する測定値を使用して行った位置判断の精度は、一般に、セルラ基地局に対する測定値を使用して行った位置判断の精度よりも高い。
【0027】
明らかにするために、本明細書において開示されている方法および装置は、衛星がGPS衛星であり、かつビーコンが符号分割多重アクセス(code division multiple access, CDMA)のセルラ基地局であるといったハイブリッド位置判断システムに関連して記載される。しかしながら、既に記載したように、本発明は、これらのシステムのユニークな特徴に依存していない。したがって、本発明は、位置を判断するための他のシステムを使用して構成してもよい。
【0028】
衛星がGPS衛星であり、かつビーコンがCDMAセルラ基地局である(BSCおよびPDEは含まれていても、または含まれていなくてもよい)する実施形態において、衛星101に対する“疑似範囲”の測定値ρs1ないしρs4とし、同様に、ビーコン103に対する疑似範囲の測定値ρb1ないしρb3とする。疑似範囲の測定値は、受信端末105と位置判断信号の源との間の相対的な距離を表わしている。位置を判断する特定のやり方は、本明細書に開示されている方法および装置と関連していないことに注意すべきである。しかしながら、開示されている方法および装置についての1つの実施形態の1例として、疑似範囲に基づく位置判断技術を記載する。疑似範囲を測定するための他の手段は周知であり、開示されている方法および装置を実行するのに使用してもよい。さらに加えて、疑似範囲の測定値を必要とせずに、位置を判断するための他の手段も周知であり、この手段を使用して、開示されている方法および装置を実行してもよい。
【0029】
疑似範囲の測定値は、通常は、任意の時間点と、信号が位置判断端末105に到達する時間との間の時間差を表わしている。しかしながら、疑似範囲は、通常はメートルの単位で与えられる。時間差を光速(メートル/秒)で乗算することによって、時間量を距離(メートル)へ変換することができる。
【0030】
開示されている方法および装置についての1つの実施形態では、ビーコン103をCDMAの基地局とし、位置判断端末は、前の任意の時間点を基準にして、CDMA信号の拡散コードを構成している一連のビットの中の最初のビットを受信したときを記録する。この一連のビットは、一般に“疑似乱数(pseudo-random noise, PN)拡散コード”と呼ばれる。
【0031】
CDMA通信システム内の各基地局によって送られる信号は、同じPN拡散コードでコード化されることに注意すべきである。しかしながら、1つの基地局から送られるコードの最初は、他の各基地局から送られるコードの最初に対して、時間がずれている。したがって、各ビーコン103からの受信信号における相互の相対的なタイミングを比較する前に、これらのずれを考慮しなければならない。周知のように、これらのずれは容易に判断し、差し引くことができる。事実、一般に、これらのずれを使用して、信号の発信元の特定の基地局を識別する。
【0032】
さらに加えて、クロックの継続期間(この例では、1ミリ秒と仮定する)は、あいまいさを解消できるようなものでなければならないことに注意すべきである。すなわち、受信信号と関係付けられているクロックの値が、受信信号間の1つの関係のみをユニークに識別するように、クロックの継続期間を定めなければならない。このために、クロックの継続期間は、各ビーコン103から送られるコードのタイミングにおけるずれを考慮して、各ビーコン103から信号を受信する時間の差の2倍よりも相当に長くなければならない。疑似範囲の測定は、この技術において非常によく知られていることに注意すべきである。
【0033】
疑似範囲の測定値がとられているビーコン103の中で、少なくとも3つのビーコン103の位置が分かると、その疑似範囲の測定値を使用して、端末105の位置を判断することができる。疑似範囲の測定値とビーコン103の位置とを、“最小二乗平均(Least Mean Square, LMS)”プロセスと一般に呼ばれる周知のプロセスへ適用する。同様に、逆も真である。すなわち、端末105の位置と3つのビーコン103の位置とが分かると、端末105と3つの各ビーコン103との間の距離を使用して、端末105の位置からビーコン103の位置への疑似範囲の値を判断することができる。
【0034】
本明細書において開示されている方法および装置では、ハイブリッド位置判断システムが、しばしば、別々に求めた2組の疑似範囲の測定値を有することを利用している。一般に、一方の組の測定値は、他方の組の測定値よりも正確になっている。したがって、端末105の位置を判断するのに、精度のより高い組の測定値で十分であるときは、精度のより高い組の測定値を使用して、精度のより低い組の測定値の誤差を判断することができる。さらに加えて、特定のパラメータ(例えば、端末105の位置)と、精度のより低い組の測定値における誤差量との間には、予測可能な関係があると判断されている。したがって、パラメータ値と、そのパラメータと関係付けられている誤差量との両者を知ることによって、精度のより低い測定値における誤差量を推定することができる。例えば、端末105の
だいたいの位置、およびその位置と誤差量との間の関係を知ることによって、精度のより低い測定値における誤差量を推定することができる。
【0035】
特定のパラメータと、精度のより低い疑似範囲の測定値における誤差量との間の関係を利用するために、本明細書において開示されている方法および装置についての1つの実施形態にしたがって、“測定値の統計データベース(Measurement Statistics Database, MSD)”を生成する。パラメータ値と、精度のより低い位置判断サブシステムによってとられた測定値の誤差量とを関係付けるのに、データベース以外の手段を使用してもよいことに注意すべきである。
【0036】
しかしながら、MSDは、パラメータ(例えば、端末105の位置)を補正係数と関係付けて、精度のより低い疑似範囲の測定値に適用するための効果的な手段を用意している。したがって、パラメータ値が分かっているときは、関係付けられている補正係数をMSDから判断して、疑似範囲の測定値へ適用することができる。
【0037】
次の例では、本明細書において開示されている方法および装置を、問題のパラメータが端末105の位置であって、端末105によってとられた本質的に補正されていない疑似範囲の測定値から判断したものである場合について記載する。本明細書において開示されている方法および装置についての1つの実施形態では、疑似範囲の測定値は完全に補正されているわけではない。しかしながら、当業者には、本明細書において開示されている方法および装置の技術的範囲から逸脱することなく、疑似範囲の測定値に対して若干の補正を行ってもよいことが明らかであろう。例えば、異なるビーコンから同一コードが送られる時間の差によって、疑似範囲の測定値を時間のずれについて補正する。
【0038】
当業者には、問題のパラメータが、多数の他のパラメータの中の1つであることも分かるであろう。端末105またはビーコン103は、問題のパラメータ値を直接に測定できることに注意すべできある。端末105またはビーコン103がパラメータを直接に測定することにより、開示されている方法および装置を、外部の源からの入力がなくても動作することができる。しかしながら、外部の源、例えば端末のオペレータ、または遠隔の源から受信した信号によって、パラメータ値を入力することができる。
【0039】
可能なパラメータには、(1)端末105が位置判断信号を受信するときの電力量、(2)端末105の最も近くにある建物のタイプ、(3)端末105のほぼ付近の市街地開発の量、(4)ビーコン103から、位置判断信号を受信することになる端末105への距離、および(5)受信信号と既知のPN拡散コードとの相関から判断される相関ピークの形状とが含まれるが、これらに制限される訳ではない。このリストは、単に、多数のタイプのパラメータ、すなわち、疑似範囲の測定値内に恐らくは含まれる誤差量を予測するのに使用されるパラメータのサンプルを少し与えているだけであることは明らかである。本発明は、ここに記載されているパラメータのタイプに制限されるべきではない。むしろ、本発明の開示の技術的範囲には、第1の組の疑似範囲の測定値とは相関しているが、第2の組の疑似範囲の測定値とは相関していない(または、その代わりに、相関の度合いがより低い)パラメータを使用して、第1の組の測定値の誤差量を予測することが含まれると考えられるべきである。
【0040】
MSDの生成
図2には、MSDを生成するためのプロセスが示されている。図2は、とくに、端末105のだいたいの位置と、端末105によってとられた疑似範囲の測定値における予測誤差とが関連している例に関する。
【0041】
最初に、精度のより高い位置判断サブシステムが使用可能であるかどうかについて判断する(ステップ201)。使用可能であるときは、精度のより高い位置判断サブシステムからの測定値のみを使用することによって、端末105の地位を判断する(ステップ203)。MSDを生成するプロセスには、精度のより高い位置判断能力が使用可能であることが必要である。精度のより高い位置判断能力が、使用可能でないときは、使用可能になるまで、MSDを生成するプロセスをさらに進めることはできない。それにも関わらず、この場合に、MSDが、既に十分に生成されているときは、これを使用して、精度のより低いサブシステムにおける誤差を推定できることが分かるであろう。
【0042】
本明細書で開示されている方法および装置についての1つの実施形態では、端末105は、衛星101に対する疑似範囲の測定値か、またはビーコン103に対する疑似範囲の測定値の何れかに基づいて位置を判断する能力を有する。衛星101に対する疑似範囲の測定値は、より正確である傾向がある。したがって、このような実施形態では、可能なときは、衛星101に対する疑似範囲を使用して、端末105の位置を判断する。代わりの実施形態では、使用可能な衛星101の疑似範囲の数が不十分であるときは、衛星の疑似範囲の測定値を補足するためにだけ、ビーコンの疑似範囲を使用する。しかしながら、衛星の疑似範囲を使用することは、ビーコンの疑似範囲を衛星の疑似範囲と共に使用して、端末105の位置を判断する場合と同様に、ビーコンの疑似範囲を使用することよりも好ましい。
【0043】
端末105の位置は、上述と本質的に同じやり方で、ビーコン103からの疑似範囲の測定値を基準にして、衛星101に対する疑似範囲から判断される。幾つかの要素、例えば衛星101が頭上にあるといったときは、一般に、衛星101に対する疑似範囲の測定値の判断における精度は、ビーコン103からの疑似範囲の判断における精度よりも高くなる。衛星101から受信した信号が直接経路上で端末105に到達する確率は、ビーコン103からの信号が端末105に直接に到達する確率よりも高い。信号がビーコン103から端末105へ直接に到達するのに失敗すると、信号によってビーコン103から端末105へ伝搬される経路に沿う距離が直接的に増加する。ビーコン103からの疑似範囲を使用するときは、追加の距離のために、端末105の位置の計算に誤差が生じる。
【0044】
精度のより高い位置判断サブシステムを使用して、端末105の位置が判断されると、ビーコン103に対する疑似範囲を計算することができる(ステップ207)。特定のビーコン103に対する予測の疑似範囲は、端末105の位置についての知識と、ビーコン103の位置についての知識とから、容易に判断できることが分かる。開示されている方法および装置についての1つの実施形態では、ビーコン103に対する疑似範囲が求められると、特定の端末105から特定のビーコン103への予測の疑似範囲が判断される。端末が判断して、計算するときは、本明細書において開示されている方法および装置では、端末105はビーコン103の位置についての知識にアクセスすると考えられる。例えば、ビーコン103がCDMAの基地局であるシステムでは、基地局は、端末105に、端末105自身の位置に関する情報を与える。その代わりに、端末105はデータベースを維持し、端末105はデータベースから、ビーコン103から端末105への伝送の一部として受信される識別表示に基づいて、ビーコン103の位置を得る。開示されている方法および装置についてのさらに別の実施形態では、端末105は、ビーコン103へ処理情報を送る。ビーコン103は、領域内のビーコンの位置について知るか、またはアクセスする。
【0045】
次に、端末105は、各ビーコン103に対する疑似範囲を測定する(ステップ209)。1つのビーコン103と関係付けられている各測定された疑似範囲は、そのビーコン103と関係付けられていて、かつステップ207において計算された疑似範囲と比較される(ステップ211)。計算された疑似範囲と測定された疑似範囲との間の差は、測定された疑似範囲における誤差であると考えられる。ステップ207においてビーコンの疑似範囲を計算する前に、ビーコン103に対する疑似範囲と衛星101に対する疑似範囲との両者を測定して、処理のためにビーコン103へ送ることができるのは明らかである。
【0046】
ビーコン103に対する測定された疑似範囲の誤差が判断されると、端末105が現在位置している“クラスタ”が判断される(ステップ213)。クラスタは、多数のやり方で定義することができる。好ましい実施形態にしたがうと、クラスタは、連続するパラメータ値の組として定義される。例えば、パラメータが端末105の位置であるときは、クラスタは連続する地理的領域である。連続するパラメータ値の組は、幾つかの誤差測定値を含むほど、十分に大きいことが好ましい。したがって、クラスタ内において十分な数の誤差推定値をとって、精度のより低いサブシステムによってとられたクラスタ内の任意の位置における疑似範囲の誤差の平均値を合理的な精度で計算することが好ましい。
【0047】
誤差推定値の数が不十分であるときは、クラスタのサイズは大きくなり、より多くの誤差推定値が含まれる。その代わりに、統計上、十分な数の誤差推定値が求められるまで、クラスタは未完成であるとみなす。誤差推定値の数が、2つのクラスタを支援するのに十分なほど求められた時点で、クラスタは2つに分割される。各クラスタ内には、そのクラスタと関係付けられている計算された誤差平均値が、そのクラスタからとった本質的に無限数の誤差推定値から計算される平均値を、合理的な精度で反映するのに十分な数の誤差推定値が含まれる。連続するクラスタ内の誤差平均値が同じであるときは、誤差推定値の数が2以上のクラスタを支援するのに十分な数があっても、これらのクラスタは結合される。しかしながら、開示されている方法および装置についての1つの実施形態にしたがって、1つのクラスタを分割して、各クラスタが十分な数の誤差推定値を有し、かつその誤差推定値の平均値が異なるように、2つのクラスタを生成するのであれば、クラスタを2つに異なるように分割してもよい。
【0048】
各クラスタを1つのパラメータ値か、または1組のパラメータ値と関係付けることが望ましい。端末105によって検出されるパラメータ値が、クラスタと関係付けられているときは、端末105は、関係付けられているクラスタ内にあると考えられる。例えば、パラメータが端末105の位置であるときは、クラスタは地理的位置の範囲と関係付けられる。端末105がクラスタ内に位置することが検出されると、開示されている方法および装置の目的のために、端末105はそのクラスタ内にあるとみなされる。その代わりに、問題のパラメータを、受信信号の電力レベルであると仮定してもよい。端末105が、受信信号が特定のクラスタと関係付けられている電力レベルの範囲内であることを検出すると、端末105は、関係付けられているクラスタ内であるとみなされる。
【0049】
パラメータと、精度のより低い位置判断サブシステムによってとられた疑似範囲の測定値における誤差量とが相関するように、パラメータを選択する。したがって、各パラメータ値は、精度のより低い位置判断サブシステムによってとられた位置判断の特定の誤差値と関係付けられる。したがって、パラメータが特定の値(または、特定の範囲の値)であると端末105が記録すると、必ず、精度のより低い位置判断サブシステムによってとられた位置判断の誤差は特定の値(または特定の範囲の値)となる。
【0050】
端末105の位置が問題のパラメータである例を再び参照する。端末105の各位置は、精度のより低い位置判断サブシステムを使用して端末105がとった位置判断の測定値における特定の誤差量と関係付けられている。したがって、適切なパラメータとして、位置を選択するときは、端末105の各位置は、精度のより低い位置判断サブシステムによってとられた位置判断の測定値における特定の誤差量と関連していなければならない。したがって、端末が位置Xにあるとき、誤差量はYである。この誤差値は、本質的に一定で、予測可能であり、許容可能な不確実性の範囲内である。
【0051】
より分かり易い例として、図3および4を参照する。領域300が示されており、領域300内には、11箇所の位置が識別される。これらの各位置301において、疑似範囲の誤差推定値が求められている。誤差推定値は、これらの位置301において測定された疑似範囲と、精度のより高い位置判断サブシステムに基づく位置の知識から計算した疑似範囲との差に基づいている。
【0052】
図3は、全領域300を単一クラスタとして示している図である。その理由は、領域300において最初に求められた誤差推定値の数は比較的に少ない(11個)からである。十分な数を構成するのに必要とされる推定値の特定の数は、特定の応用に依存することに注意すべきである。したがって、応用に依存して、11個よりも相当に多くても、少なくてもよい。図3では、ビーコン103は領域300の外部に示されているが、ビーコン103と領域との間の位置的な関係は、本発明に関連していないことにも注意すべきであり、むしろビーコン103からの信号を領域300内から受信できることに注意すべきである。
【0053】
時間の経過に伴って、領域300内の種々の位置302における誤差推定値が追加される。位置400において、これらの誤差推定値が追加されると、クラスタの一部分において十分な数の誤差推定値が得られ、クラスタをより小さいクラスタへ細分することができる。図4には、1つのより大きいクラスタ300から細分された4つのより小さいクラスタ401、403、405、および407が示されている。
【0054】
次に、各小さいクラスタ401、403、405、および407においてとられた疑似範囲の測定値における誤差平均値を判断する。より小さいクラスタ403、405、および407の中の2つ以上の平均値が十分に近い値であるときは、これらのクラスタを再び一緒にして、1つのクラスタを形成する。図5には、図4のクラスタ401、403、および407を結合して、誤差推定値を求めた位置500が含まれるように、さらに別の新しいクラスタ501を形成した例が示されている。したがって、比較的に簡単な形状のクラスタを使用して、比較的に複雑な形状のクラスタを形成することができる。クラスタ内の異なる位置において求めた誤差推定値の数がより多くなると、クラスタを再び形成する機会がより多くなる。
【0055】
クラスタ内でとられる測定値の誤差量は、通常は異なる。誤差値の組は、特定のクラスタ内の特定のビーコン103と関係付けられた配列を形成する。配列内の値は、ある範囲内の平均値付近でばらついている。統計によって、このばらつきの範囲のサイズを特徴付けるのには、配列の“分散”を計算するといったやり方がある。その代わりに、範囲のサイズは、配列の“偏差”によって特徴付けてもよい。
【0056】
その代わりに、測定された疑似範囲の誤差推定値に基づいて、クラスタの境界を判断することができる。この場合に、配列内に含まれる誤差推定値のばらつきは、最小化される。クラスタ内の領域は、クラスタ内の位置判断端末105によって求められた誤差推定値の分散が所定の範囲内であるように定められる。測定値が所定の範囲外であるときは、クラスタの形状を変更して、やっかいな位置を取り除く。したがって、精度のより低い位置判断サブシステムによってとられた測定値に適用される補正を判断するときの精度が向上する。これは、精度のより低いサブシステムからの少なくとも1つの測定値に依存して、端末105の位置を判断することが必要であるときに、とくに有用である。
【0057】
端末105が位置している特定のクラスタと関係付けられている配列に対して、新しい分散および平均値を計算すると、古い分散および平均値は、新しい分散および平均値に入れ替えられる(ステップ217)。分散および平均値について前の値が計算されていない場合は、誤差自身が平均値であり、分散はゼロに等しい。クラスタと関係付けられているより新しい各誤差値は、より古い値の配列へ入れ替えられる。本明細書において開示されている方法および装置についての1つの実施形態では、MSD内に全配列が維持されている。その代わりに、新しい分散、平均値、および配列内の要素数のみが維持されていることもある。このクラスタと関係付けられている誤差の分散および平均値を更新するには、全配列が使用可能でなければならないことに注意すべきである。その代わりに、分散、平均値、および配列内の要素数は分かっていればよいこともある。平均値、分散、および配列内の要素数を更新することによって、端末105はその度に測定を行ない、MSDが動的に生成される。
【0058】
その代わりに、配列内の全要素の値は、MSD内に記憶される。平均値および分散値は、各測定後に計算するのではなく、記憶されている配列の要素から、必要に応じて、計算することができる。開示されている方法および装置についての1つの実施形態にしたがって、配列内の一定の要素に対してより大きい重要度を与えることによって、平均値および分散を重み付けできることに注意すべきである。1つのこのような実施形態にしたがって、より大きい重みを与えられた要素は、1つの理由のために、または別の理由のために、より信頼できることが分かっている要素である。例えば、端末105が、比較的に弱い受信信号に基づいて疑似範囲の測定値をとるときは、このような疑似範囲の測定値の重みは、より強い信号からとられる他の測定値の重みと比較して低減される。
【0059】
さらに加えて、本明細書において開示されている方法および装置についての1つの実施形態にしたがって、衛星の疑似範囲の測定値における誤差と、ビーコンの疑似範囲の測定値の誤差との間には、本質的に相関がないと仮定されることに注意すべきである。したがって、この仮定に照らして、通常は、衛星の誤差(すなわち、衛星の疑似範囲の測定値を使用して判断された位置の誤差)により、クラスタ内における誤差の平均値が偏らされることはない。しかしながら、本明細書で開示されている方法および装置についての別の実施形態にしたがうと、このような仮定を立てられていない。
【0060】
図6は、別途記載するように、衛星の測定値における誤差に関する仮定がない場合に、MSDを構築するためのプロセスを示している。
【0061】
端末105は、衛星101に対する疑似範囲の測定値をとる(ステップ601)。さらに加えて、端末は衛星の測定値が分散していることを記録する(ステップ603)。これは、測定値には一定量の誤差が含まれているので、測定値は平均値付近のある範囲内でばらついているからである。このばらつきは、衛星の測定値における誤差の分散を計算することによって特徴付けられる。その代わりに、誤差をその偏差によって特徴付けることもできる。衛星の測定値における誤差の分散(または偏差)および平均値は、通常は分かっている。一般に、当業者にはよく知られているように、分散および平均値は、各衛星101と関係付けられている共分散行列において与えられる。
【0062】
衛星の測定値と、(通常は共分散行列の形態で与えられている)衛星の測定値と関係付けられた誤差の統計値とを、周知のLMSプロセスへ供給する(ステップ604)。さらに加えて、開示されている方法についての1つの実施形態では、LMSプロセスは、衛星の幾何学的形状も考慮する。衛星の測定値、衛星の測定値と関係付けられている誤差の統計値、および衛星の幾何学的形状をLMSプロセスへかけて、位置判断の解を求める。位置判断の解は、疑似範囲の測定値をとった端末105の位置を与える。さらに加えて、LMSプロセスにより、解の誤差量に関する誤差の統計値を示す解の共分散行列が求められる。このような解の共分散行列は、この技術においてよく知られている。衛星から受信した信号にはマルチパシングの誤差がないと仮定されていることによって、平均値はゼロであると仮定される。
【0063】
解は、x、y、z、およびbで表わされ、なお、x、y、およびzは、端末105と選択された基準(例えば、地球の中心)とのデカルト座標であり、bは、真のGPS時間に対する端末105内のクロックの偏りである。位置判断の解から、端末105へ位置判断信号を送信する各ビーコン103に対する疑似範囲の測定値を推定することができる(ステップ606)。疑似範囲の推定値を、端末105が各ビーコン103に対してとった実際の疑似範囲の測定値と比較し(ステップ608)、その差を判断する。この差は、測定された疑似範囲における誤差の推定値であると考えられる。さらに加えて、ビーコンの共分散行列は、解の共分散行列から計算することができる(ステップ610)。ビーコンの共分散行列は、衛星の共分散行列から判断されるように、衛星の疑似範囲の測定値における誤差量に基づいて、計算された各誤差推定値の誤差量を特徴付ける。したがって、ビーコンの疑似範囲の測定値の誤差推定値は、計算された疑似範囲が完全に正確であるという仮定に基づいている。しかしながら、誤差の統計値は、計算された疑似範囲を求めるのに使用される衛星の測定値として知られている。したがって、ビーコンの疑似範囲における誤差量の推定値には誤差がある。誤差の推定値における誤差の統計値を、解の共分散行列から判断し、次に、それを衛星の共分散行列から計算することができる。これは、当業者には、よく知られている方法にしたがって行うことができる。
【0064】
本明細書に開示されている方法および装置についてのこの実施形態にしたがって、MSDの各エントリーをクラスタ;ビーコンのグループ;各ビーコンに対する疑似範囲の推定値の誤差推定値の配列の平均値;およびマルチパシングによって与えられる誤差による疑似範囲の各測定値の誤差を特徴付けるビーコンの共分散行列を関係付けることによって、MSDを生成する(ステップ612)。その代わりに、各エントリには、関係付けられているクラスタの識別、関係付けられたビーコンの識別、ビーコンに関係付けられている疑似範囲の測定値の誤差推定値の配列、および関係付けられたビーコンについてのビーコンの共分散行列とが含まれている。異なるエントリと関係付けられているビーコン間の共分散は判断できないことに注意すべきである。したがって、1つのエントリと関係付けられているビーコンが1つのみであるとき、そのエントリについて共分散行列を判断することはできない。既に記載したように、本明細書に開示されている方法および装置についての1つの実施形態にしたがって、配列の誤差推定値は、このような各推定値の信頼性にしたがって重み付けされる。
【0065】
一般に、より大きい領域量をカバーするクラスタを選択することによって、各クラスタ内の分散は、より大きくなることが分かるであろう。これは、より大きいクラスタ内では、分散がより大きいからである。しかしながら、クラスタが比較的に大きいときは、クラスタ内における分散および誤差平均値を正確に判断するのに必要なデータはより少なくなる(したがって、平方キロメートル当りの点の数は低減する)といった長所がある。
【0066】
クラスタ内で特定のビーコンと関係付けられている分散および誤差平均が分かると、これらの値を使用することができる。とくに、クラスタ内の端末105によって疑似範囲の測定値がとられるときは、これらの値を使用して、特定のビーコン103に対する疑似範囲の誤差を推定する。次にビーコンの疑似範囲の測定値における誤差推定値を使用して、測定されたビーコンの疑似範囲を補正することができる。これは、衛星の疑似範囲の測定値が少な過ぎるときに、とくに有益である。したがって、衛星の測定値のみに基づいて位置を判断するのに使用可能な衛星の数が十分でないときは、ビーコン103に対する補正された疑似範囲を使用することができる。
【0067】
本明細書において開示されている方法および装置では、MSDが端末105内で生成されて、記憶されると仮定していることが分かるであろう。しかしながら、MSDは、ビーコンか、または端末105から離れている他の構成要素内で生成されて、記憶されてもよい。例えば、当業者には、端末105が疑似範囲の測定値をとることのみに責務を負うことは明らかである。次に、これらの測定値をビーコン103へ送る。次に、ビーコン103は、既に記載したように、ビーコン103内のデバイス104において疑似範囲の測定値を処理する。その代わりに、デバイス104がビーコン103から離れていて、ビーコン103は疑似範囲の測定値を遠隔のデバイス104へ伝えてもよい。次に、遠隔のデバイス104は、疑似範囲の測定値を処理する。1つのデバイスにおいて処理の一部を行い、残りのデバイスにおいて残りの処理を行うように、処理を分散してもよいことが分かるであろう。それでもなお、何れのデバイスが何れの処理を行うことに責務を負っているかに関わらず、開示されている方法は、本質的は、上述で定義されているように実行される。
【0068】
既に検討したように、本発明の方法および装置では、精度のより低い位置判断サブシステムからの位置判断を、単一の補正ステップで補正できる手段を提供する。しかしながら、上述のプロセスについての代わりの実施形態では、図7に示し、かつ別途記載する反復プロセスを実行することができる。
【0069】
最初に、精度のより低いサブシステムを使用して、端末105の位置を判断する(ステップ701)。次に、第1の比較的に大きいクラスタと関係付けられている補正係数に基づいて、その判断を補正する(ステップ703)。第1のクラスタが意図的に比較的に大きくされているのは、クラスタが小さくされているならば、端末105が何れのクラスタ内に位置しているかを正確に判断するのが困難になるほど、精度のより低いサブシステムの最初の位置推定値の誤差が大きいからである。第1の比較的に大きいクラスタから、補正係数を使用して、位置を補正すると、端末105の位置は、精度がより高くなることが分かるであろう。次に、第1の補正によって精度を高めると、端末105が現在位置している、クラスタをより小さく判断できるので、より小さいクラスタを使用して、より精密な補正係数を判断する(ステップ705)。
【0070】
幾つかの時間または位置では有効であるが、それ以外では有効でない端末の位置を判断するための手段が他にあるときは、本明細書において開示されている方法および装置をハイブリッド位置判断システム以外の位置判断システムに使用できることが分かるであろう。この場合は、上述の精度のより高いサブシステムからの位置判断を使用するのと同じやり方で、疑似範囲の測定値における誤差量を判断するための基準として、端末の位置を使用する。
【0071】
本発明において開示されている方法についての1つの実施形態を実行するのに使用する装置
図8は、本明細書において開示されている方法を実行するのに使用される端末105についての1つの実施形態の簡略化されたブロック図である。端末105には、受信機501、デコーダ503、相関器505、基準コード発生器507、プロセッサ509、クロック511、およびメモリ513が構成されている。受信機501には、通常は、従来の無線周波数フロントエンド部が構成されていて、従来の無線周波数のフロントエンド部には、アンテナ、ダウンコンバータ、フィルタ、増幅器、などが含まれるが、これらの全ては周知であり、簡潔化のために省略する。受信機501は、信号、例えば位置判断信号を受信する。受信信号は、デコーダ503へ入力するのに必要に応じて、ダウンコンバートされ、フィルタされ、増幅される(なお、処理の順番は、この通りでなくてもよい)。当業者には、本明細書において開示されていない他の処理を、受信機501において行なってもよいが、それは本明細書において開示されている方法および装置の新規な態様にとって、本質的に重要でないことが分かるであろう。
【0072】
受信機501からの出力は、デコーダ503へ接続される。デコーダ503は、受信信号からの情報をデコードする。位置判断信号を受信して、デコードすると、デコーダからの出力は、コード系列になる。(デコーダ503は)デコードされた情報により相関器505へ接続される。相関器505は基準コード生成器507へ接続される。基準コード生成器507が基準コード系列を相関器505へ供給すると、相関器505は、受信したコード系列内に所定の点を識別することができる。相関器505は、基準コード系列および受信コード系列が同期しているときを示す信号を、プロセッサ509へ出力する。基準コード生成器507は、プロセッサ509へも接続される。基準コード系列および受信コード系列が同期すると、基準コード生成器507からプロセッサ509への出力により、プロセッサ509は受信コード系列のタイミングを判断することができる。
【0073】
プロセッサ509は、クロック511へも接続される。クロック511は、自走形であるか、または外部のクロック基準と同期する。クロックが外部のクロック基準と同期しているときは、外部のクロック基準を基準にして、受信コード系列のタイミングを判断することができる。プロセッサ509は、受信機501へも接続される。受信機501は、受信機501が同調する周波数についての情報をプロセッサ509へ供給する。
【0074】
受信信号の1つのタイプにしたがうと、プロセッサ509は、受信したコード系列のタイミングから、コード系列の送信元の特定の送信機101、103を示す情報を、信号を受信した周波数と共に受信する。多数の相関器505を使用して、多数の信号を同時に相関させることに注意すべきである。プロセッサ509は、プロセッサ509に与えられる全情報をとり、全受信信号の相対的なタイミング(すなわち、疑似範囲)を判断する。さらに加えて、プロセッサ509は、上述の疑似範囲の処理機能の全てを実行する。
【0075】
本明細書において開示されている方法および装置についての1つの応用では、“セクターの受信可能範囲のマップ”をより正確に生成することができる。セクターの受信可能範囲のマップは、ビーコン103の特定のセクターが何れの地理的領域をサービスするかを示すマップである。別々のアンテナを使用して、サーバによって送られた信号を特定の地理的セクターへ方向付けて、その特定の地理的セクターから信号を受信するときは、ビーコン103はセクターに区切られる(すなわち、複数のセクターを供給する)と言われている。一般的に、問題のセクターは、ビーコン103から得られる本質的にパイを扇形に切り取った形であると仮定される。セルラ基地局は、3つのこのようなセクターで構成されることが一般的であり、各セクターは、幅120°の重なり合っていないパイを扇形に切り取った形を形成している。しかしながら、幾つかの要因によって、実際は、ビーコン103のセクターは、通常はセクター内にないと考えられる領域との間で信号を送受信する。したがって、セクターの受信可能範囲のマップにより、端末105とビーコン103との両者は、ビーコン103の何れのセクターが端末105にサービスしているかを判断することができる。
【0076】
本明細書において開示されている方法および装置にしたがうと、(1)ビーコン103が端末105から信号を受信するセクター、(2)精度のより高い位置判断サブシステムによって判断される端末105の位置、および(3)精度のより低い位置判断サブシステムによって判断される端末105の位置とを関係付けることによって、セクターの受信可能範囲のマップを生成することができる。したがって、既に記載したように生成されるセクターの受信可能範囲のマップを、精度のより低いサブシステムによって判断された端末の位置の情報と共に使用して、端末にサービスしているビーコン103のセクターをより確実に求めることができる。これは、2以上のセクターが端末105から信号を受信するときに、とくに有益である。これがより相当に有益であるのは、2以上のセクターが、端末105へサービスを報告しているとき、および精度のより低い位置判断サブシステムによって判断された位置が、端末105にサービスしていることを報告している何れのセクター内にも端末105が存在しないと判断されるときである。
【0077】
開示されている方法および装置についての好ましい実施形態の上述の説明は、別途記載されている特許請求項に記載されている本発明を生成または使用できるように与えられている。特許請求項において権利を主張している本発明の技術的範囲を超えて拡張せずに、これらの実施形態の種々の変更をすることができる。したがって、本明細書において開示されている原理は、別途記載されている特許請求項に記載されている本発明の技術的範囲を超えて拡張することなく、開示されている方法および装置についての他の開示されていない実施形態に応用できることが分かるであろう。本発明は、本明細書に示した実施形態に制限されることを意図されていないが、別途記載されている特許請求項に一致する最も幅広い技術的範囲に一致することを意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】開示されている方法および装置にしたがうハイブリッド位置判断システムを示す図。
【図2】開示されている方法であって、端末のだいたいの位置と、端末によってとられた疑似範囲の測定値における予測誤差とが関係していることを示すフローチャート。
【図3】単一のクラスタとして示されている全領域を示す図。
【図4】1つのより大きいクラスタから細分された4つのより小さいクラスタを示す図。
【図5】図4のクラスタの一部を結合して、新しいクラスタを形成した例を示す図。
【図6】衛星の測定値における誤差に関する仮定がない場合に、MSDを構築するためのプロセスを示す図。
【図7】位置判断における誤差を補正するための反復プロセスについての1つの実施形態の簡略化したブロック図。
【図8】本明細書において開示されている方法を実行するのに使用する端末についての1つの実施形態の簡略化したブロック図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のサブシステムによって与えられる情報を使用して、誤差推定値を判断し、誤差推定値を使用して、第2のサブシステムによってとられた位置判断における誤差を補正するための方法であって、
a)第1のサブシステムを使用して、端末の位置を判断するステップと、
b)判断された位置を使用して、第2のサブシステム内の少なくとも1つの送信機に対する疑似範囲を計算するステップと、
c)第2のサブシステム内の少なくとも1つの送信機に対する疑似範囲を測定するステップと、
d)少なくとも1つの送信機について、計算された疑似範囲と測定された疑似範囲とを比較して、誤差推定値を判断するステップとが含まれている方法。
【請求項2】
第1の位置判断サブシステムが、通常は、第2のサブシステムよりも、より高い精度で端末の位置を判断する請求項1記載の方法。
【請求項3】
集合値を使用して、位置判断サブシステムによってとられた疑似範囲の測定値を補正するための方法であって、
a)クラスタと関係付けられている1組の誤差推定値を判断するステップであって、組内の各誤差推定値は、少なくとも1つの送信機に対する疑似範囲の誤差を表わし、各疑似範囲はクラスタ内の位置から測定されるステップと、
b)誤差推定値の組の集合値を計算するステップと、
c)集合値を使用して、クラスタ内で測定された追加の疑似範囲における誤差を補正するステップとが含まれている方法。
【請求項4】
誤差推定値の組の平均値を計算することによって、集合値を計算する請求項3記載の方法。
【請求項5】
平均値を計算する前に、誤差推定値の組を重み付けする請求項4記載の方法。
【請求項6】
各誤差推定値の相対的な信頼度に基づいて、重み付けが行なわれる請求項5記載の方法。
【請求項7】
a)クラスタと、パラメータ値の範囲とを関係付けるステップと、
b)誤差推定値と関係付けられている疑似範囲をとった端末によって判断されるパラメータ値が範囲内であるときは、誤差推定値をクラスタと関係付けられていると判断するステップとがさらに含まれている請求項3記載の方法。
【請求項8】
a)幾つかの位置から少なくとも1つの送信機に対する疑似範囲と関係付けられている誤差推定値を判断するステップと、
b)クラスタ内の位置判断端末によって求められた誤差推定値のばらつきが所定の範囲内であるように、クラスタの範囲を定めるステップとがさらに含まれている請求項3記載の方法。
【請求項9】
第1のサブシステムにおいて、第2のサブシステムによって与えられた情報を使用して、誤差推定値を判断するための方法であって、
a)第2のサブシステムを使用して、位置判断端末の位置を判断するステップと、
b)判断された位置における誤差量に関して、第2のサブシステムの誤差の統計値を判断するステップと、
c)判断された位置を使用して、少なくとも1つの送信機に対する第1のサブシステムの疑似範囲を計算するステップと、
d)第2のサブシステムの誤差の統計値から、計算された第1のサブシステムの疑似範囲の誤差の統計値を判断するステップと、
e)第1のサブシステムの疑似範囲を測定するステップと、
f)計算された第1のサブシステムの疑似範囲と、測定された第1のサブシステムの疑似範囲とを比較して、誤差推定値を判断するステップとが含まれている方法。
【請求項10】
第1の位置判断サブシステムが、通常は、第2のサブシステムよりも、端末の位置をより高い精度で判断する請求項9記載の方法。
【請求項11】
a)請求項9に記載されている方法にしたがってクラスタ内の幾つかの位置から少なくとも1組の誤差推定値を判断するステップであって、同じ組の各誤差推定値が同じビーコンと関係付けられていて、かつ同じクラスタ内の端末によってとられたものであるステップと、
b)少なくとも1組の誤差推定値の集合値を計算するステップと、
c)集合値を使用して、クラスタ内でとられ、かつ集合値と関係付けられている同じビーコンと関係付けられている疑似範囲の次の測定値における誤差を補正するステップとがさらに含まれている請求項9記載の方法。
【請求項12】
誤差推定値の組の平均値を計算することによって、集合値を計算する請求項11記載の方法。
【請求項13】
平均値を計算する前に、誤差推定値の組を重み付けする請求項12記載の方法。
【請求項14】
位置判断端末の位置を判断するのに使用される計算された疑似範囲の相対的な確実度に基づいて、重み付けが行われる請求項13記載の方法。
【請求項15】
a)クラスタと、パラメータ値の範囲とを関係付けるステップと、
b)位置判断端末のパラメータ値が、そのクラスタと関係付けられている値の範囲内であるときに、位置判断端末がクラスタ内にあると判断するステップとがさらに含まれている請求項11記載の方法。
【請求項16】
a)幾つかの位置から少なくとも1つの端末への疑似範囲と関係付けられている誤差推定値を判断するステップと、
b)クラスタ内の位置判断端末によって求められた誤差推定値のばらつきが、所定の範囲内であるように、クラスタの範囲を定めるステップとがさらに含まれている請求項11記載の方法。
【請求項17】
疑似範囲の測定値における誤差を補正するための方法であって、
a)ビーコンに対する疑似範囲を測定するステップと、
b)パラメータ値を測定するステップと、
c)パラメータ値と、適用される補正係数との間の所定の関係に基づいて、各ビーコンに対する測定された疑似範囲へ適用するための補正量を判断するステップと、
d)判断された補正量を、測定された各疑似範囲の各々へ適用するステップとが含まれている方法。
【請求項18】
疑似範囲の測定値における誤差を補正するための方法であって、
a)特定のビーコンに対する疑似範囲を測定するステップと、
b)パラメータ値を測定するステップと、
c)特定のビーコンに基づいて測定された疑似範囲へ、パラメータ値と特定のビーコンへ適用される補正係数との間の所定の関係を適用するための補正量を判断するステップと、
d)所定の補正量を、各測定された疑似範囲へ適用するステップとがさらに含まれている方法。
【請求項19】
パラメータが、補正されていない疑似範囲の測定値から判断される端末の位置である請求項18記載の方法。
【請求項20】
疑似範囲の測定値における誤差を補正するための方法であって、
a)特定のビーコンに対する疑似範囲を測定するステップと、
b)パラメータ値を測定するステップと、
c)測定されたパラメータ値に基づいて、端末が現在位置しているクラスタを判断するステップと、
d)端末が位置するクラスタに基づいて、特定のビーコンに対する測定された疑似範囲へ適用するための補正量を判断するステップと、
e)判断された補正量を、特定のビーコンに対する測定された各疑似範囲へ適用するステップとが含まれている方法。
【請求項21】
セクターの受信可能範囲のマップを生成するための方法であって、
a)ビーコンに対する何れの疑似範囲の測定値からも独立している第1の位置判断サブシステムを使用して、端末の位置を判断するステップと、
b)ビーコンの何れのセクターが端末にサービスしているかを判断するステップと、
c)衛星の位置判断サブシステムが判断する位置であり、かつセクターが端末へサービスを与える各位置を示すセクターの受信可能範囲のマップを、各セクターごとに生成するステップとが含まれている方法。
【請求項22】
a)端末が、第1の位置判断サブシステムが判断した位置にとどまっている一方で、第2の位置判断サブシステムを使用して、端末の位置を判断するステップと、
b)第1の位置判断サブシステムによって判断された位置と、第2の位置判断システムによって判断された位置とを関係付けるステップとがさらに含まれている請求項21記載の方法。
【請求項23】
端末が位置するビーコンの特定のセクターを判断するためのデータ構造でコード化されたコンピュータ読み出し媒体であって、
a)ビーコンの特定のセクターと関係付けられている位置の第1のリストであって、各位置が、第1の位置判断サブシステムによって判断された位置であり、関係付けられているセクターが端末にサービスする位置である第1のリストと、
b)特定のセクターと関係付けられている位置の第2のリストであって、各位置が、第2の位置判断サブシステムによって判断された位置であり、位置のリストと関係付けられている特定のセクターが端末にサービスする位置である第2のリストとが含まれているコンピュータ読み出し媒体。
【請求項24】
第1の位置判断サブシステムがとった疑似範囲の測定値に適用される補正係数を判断するためのデータ構造でコード化されたコンピュータ読み出し媒体であって、
a)関係付けられているビーコンに対する疑似範囲の測定値を補正するのに使用される1組の誤差推定値と、
b)関係付けられているビーコンを識別するための誤差推定値の組と関係付けられている指標とが含まれているコンピュータ読み出し媒体。
【請求項25】
第1の位置判断サブシステムがとった疑似範囲の測定値に適用される補正係数を判断するためのデータ構造でコード化されたコンピュータ読み出し媒体であって、
a)関係付けられているビーコンに対する疑似範囲の測定値を補正するのに使用される集合の誤差推定値であって、集合の誤差推定値が1組の誤差推定値から計算され、誤差推定値の組内の各誤差推定値が、関係付けられているビーコンに対する測定された疑似範囲と計算された疑似範囲との差から計算される集合の誤差推定値と、
b)関係付けられているビーコンを識別するための集合の誤差推定値と関係付けられている指標とが含まれているコンピュータ読み出し媒体。
【請求項26】
誤差推定値内の誤差量を特徴付けるための統計値がさらに含まれている請求項25記載のコンピュータ読み出し媒体。
【請求項27】
統計値には、共分散行列が含まれる請求項26記載のコンピュータ読み出し媒体。
【請求項28】
統計値には、誤差推定値の組の平均値が含まれる請求項26記載のコンピュータ読み出し媒体。
【請求項29】
統計値には、誤差推定値の組の分散が含まれる請求項28記載のコンピュータ読み出し媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−32730(P2008−32730A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−206357(P2007−206357)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【分割の表示】特願2002−548471(P2002−548471)の分割
【原出願日】平成13年10月24日(2001.10.24)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】