説明

ハイブリッド自動車の制御装置

【課題】一方の変速機入力軸にのみモータを取り付けたデュアルクラッチ式変速機において、変速段の切替時等にクラッチの断接によってドライバに与える違和感を解消することができ、効率よくバッテリを駆動することができるハイブリッド電気自動車の制御装置を提供する。
【解決手段】変速ギア機構4は、エンジン1と第1クラッチ2Aを介して接続され且つモータ3が配置された第1入力軸40Aを備えて複数の変速段を有する第1変速機構4Aと、エンジン1と第2クラッチ2Bを介して接続された第2入力軸40Bを備えて複数の変速段を有する第2変速機構4Bと、を備え、ドライバの加速要求を検出するアクセルポジションセンサ58と、ドライバの加速要求が検出されると、第1変速機構4Aの発進変速段の使用時以外は、クラッチ2A,2Bの同時遮断を禁止するクラッチ制御手段60aを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるデュアルクラッチ式変速機を備えたハイブリッド自動車に用いて好適の、ハイブリッド自動車の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に装備される変速機に、いわゆるデュアルクラッチ式変速機(以下、DCTとも言う)と呼ばれるものがある。このDCTは、クラッチと変速ギア機構とが、奇数段系統と偶数段系統との二系統に分かれており、2つのクラッチを掛け替えることにより瞬間的に変速を行なうことができる。
2つのクラッチは、エンジンの出力軸線上に同軸に配置され、各クラッチにそれぞれ変速機入力軸が結合される。したがって、二つの変速機入力軸も同軸上に配置される。このため、一方の変速機入力軸は中空軸として構成され、この中空の一方の変速機入力軸が他方の変速機入力軸の外周に配置される。
【0003】
また、近年、自動車の走行駆動源として、内燃機関(以下、エンジンとも言う)と電動発電機(以下、モータとも言う)とを搭載したハイブリッド電気自動車(以下、HEVとも言う)が実用化されている。このハイブリッド自動車では、モータの力行時の電力供給や、モータの回生制動時の発電電力による充電を行なうために、バッテリが装備される。モータの力行によりバッテリの電力を消費し、モータの回生電力によりバッテリは充電される。
【0004】
そして、上述のDCTをハイブリッド電気自動車に適用した技術も、例えば特許文献1〜3等に開示されている。
これらの特許文献1〜3に開示された技術は、いずれも既存のDCTを可能な限り構造変更せずに、ハイブリッド化しており、例えば特許文献1の技術では、同軸上に配置される二つの変速機入力軸のうち外周に配置された一方の変速機入力軸にモータを配置している。この場合、一方の変速機入力軸の外周に回転子を設置し、回転子の外周に固定子を設置すればよく、既存のDCTをほとんど変更することなく、ハイブリッド化することができる。
【0005】
このように、一方の変速機入力軸にモータが配置されたシステムの場合、モータに電力供給するバッテリの充電率が高い状態(以下、高SOCと言う)では、2本のクラッチをともに遮断して、モータ単体走行を実施することで、エンジンをアイドリングで運転させ、燃費を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−035168号公報
【特許文献2】特開2005−186931号公報
【特許文献3】特開2005−147312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述のDCTを用いたハイブリッド電気自動車では、高SOCであって一方及び他方のクラッチを遮断してモータ単体走行をしている時に、モータ側のギア段(一方の変速ギア機構)を切り替える場合には、モータ側の変速ギア機構のトルクが抜けてしまうので、これを抑制するために、このモータ側のギア段の切り替え時には、他方のクラッチを係合してエンジントルクを利用できるようにして、トルク抜けを防止する制御を行なうことになる。
【0008】
モータ単体走行時には、エンジンはアイドル回転数で運転されているので、このトルク抜けを防止する制御をする際には、エンジン回転数をアイドル回転数から走行速度及び他方の変速ギア機構の選択変速段に応じた回転数に一旦上げた上で他方のクラッチを係合することになる。そして、モータ側のギア段の切替えが終了すると、他方のクラッチを遮断してエンジン回転数を下げてアイドリング状態にすることになる。
【0009】
したがって、モータ単体走行時に変速する場合、本来、アイドル回転数で運転されているエンジンの回転数が一時的に上がることになり、このようなエンジン回転数の増減は、車両の挙動とエンジン回転数とが一致しないことになるので、ドライバに違和感を与えるという課題がある。
また、高SOCであって一方及び他方のクラッチを遮断してモータ単体走行をしている時に、モータトルクだけではドライバの要求トルクを満たせなくなった場合、不足トルクをエンジンで補填することが必要になる。このためには、モータ単体走行時に何れも開放されていた2つのクラッチの何れかを係合することになり、このクラッチの係合にかかる時間分だけトルク増加にタイムラグが生じ、ドライバに違和感を与える。
【0010】
さらに、モータ単体走行を行なうには、トルク又は回転数が高い状態でモータを使用する必要も生じ、この場合、電力を余計に消費し、モータアシストが必要なときにバッテリのSOCを十分に確保することができないおそれがある。このため、モータ単体走行とモータ及びエンジンの併用走行との切替が、比較的頻繁に要求されることが予想され、その都度、ドライバに違和感を与えることになる。
【0011】
本発明は、かかる課題に鑑み創案されたものであり、デュアルクラッチ式変速機の一方の変速機入力軸にのみモータを取り付けたハイブリッド電気自動車において、変速段の切替時等にクラッチの断接によってドライバに与える違和感を解消することができ、効率よくバッテリを使用することができるようにした、ハイブリッド電気自動車の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明のハイブリッド電気自動車の制御装置は、エンジンと、モータと、前記エンジンと前記モータとの何れかまたは両方の出力トルクを入力され変速して駆動輪に伝達する変速機とを備えたハイブリッド電気自動車の制御装置であって、前記変速機は、前記エンジンと第1クラッチを介して接続され且つ前記モータが配置された第1入力軸を備え、複数の変速段を有する第1変速機構と、前記エンジンと第2クラッチを介して接続された第2入力軸を備え、複数の変速段を有する第2変速機構と、を備え、ドライバの加速要求を検出する加速要求検出手段と、前記加速要求検出手段によりドライバの加速要求が検出されると、前記第1変速機構の発進変速段の使用時以外は、前記第1及び第2クラッチの同時遮断を禁止するクラッチ制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0013】
また、上記ハイブリッド電気自動車の制御装置において、前記クラッチ制御手段は、前記第1変速機構の発進変速段の使用時に、前記第1及び第2クラッチの同時遮断を許可することを特徴としている。
また、上記ハイブリッド電気自動車の制御装置において、前記モータにより充放電されるバッテリの充電量を検出するバッテリ充電量検出手段をさらに備え、前記クラッチ制御手段は、前記バッテリ充電量検出手段により検出されたバッテリ充電量が所定充電量以上、且つ、前記第1変速機構の発進変速段の使用時に、前記第1及び第2クラッチの同時遮断を許可することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、クラッチ制御手段は、加速要求検出手段によりドライバの加速要求が検出されると、第1変速機構の発進変速段の使用時以外(高ギア段使用時)は、前記第1及び第2クラッチの同時遮断を禁止するため、発進時以外には、エンジンの回転数は第1又は第2クラッチを介して走行速度及び選択変速段に応じた回転数となるため、エンジン回転数と車両の挙動とが一致し、ドライバに違和感を与えることが無い。
【0015】
また、発進時以外には、エンジンの出力トルクは、第1又は第2クラッチを介して駆動輪に伝達されているため、クラッチ係合にかかるタイムラグを無くし、ドライバの加速要求に対して速やかに応答することができる。
また、発進時以外には、第1及び第2クラッチの同時遮断が禁止されるため、モータ単体走行が禁止され、モータに要求される最大トルク又は最高回転数を抑制することができ、バッテリの消費を抑制することができる。モータによるアシスト走行時のバッテリのSOCを確保することができる。
【0016】
さらに、発進時以外のモータ単体走行が禁止されることにより、モータ単体走行とモータ及びエンジンの併用走行との切替を頻繁にすることがなく、エンジン回転数と車両の挙動とが一致し、ドライバに与える違和感を解消することができる。
また、第1変速機構の発進変速段の使用時に、第1及び第2クラッチの同時遮断を許可すれば、モータ単体の出力による発進をすることができ、燃費の向上に寄与する。
【0017】
また、バッテリ充電量検出手段により検出されたバッテリ充電量が所定充電量より大きく、且つ、第1変速機構の発進変速段の使用時に、第1及び第2クラッチの同時遮断を許可すれば、バッテリの充電量を確保しつつ、モータ単体の出力による発進をすることができ、燃費の向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態にかかるハイブリッド自動車の制御装置の全体構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるハイブリッド自動車の制御装置の動力伝達を模式的に示す図であり、(a)はモータ単体走行時の動力伝達を示す図であり、(b)は第1及び第2変速ギア機構を介してモータ及びエンジンの併用走行時の動力伝達を示す図であり、(c)は第1変速ギア機構のみを介してモータ及びエンジンの併用走行時の動力伝達を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるハイブリッド自動車の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
〔一実施形態〕
図1〜図3は、本発明の一実施形態にかかるハイブリッド電気自動車の制御装置を説明するもので、図1はその全体構成を示す図、図2(a)〜(c)はその動力伝達を模式的に示す図、図3はその制御を示すフローチャートである。
【0020】
〔動力系の構成〕
まず、本実施形態にかかる制御装置が適用されるハイブリッド電気自動車の動力系の構成を説明する。
本実施形態にかかるハイブリッド電気自動車は、例えば、トラック又はバスといった商用車であり、中でも、乗用車に比べて車体の大きい大型車,中型車であり、ディーゼルエンジンを搭載している。
【0021】
図1に示すように、車両(ここでは、車両前部)には、駆動系として、エンジン(内燃機関)1,クラッチユニット2,モータ(電動発電機)3及び変速ギア機構(変速機)4を備えており、更に、変速ギア機構4は、プロペラシャフト5,リヤディファレンシャル(リヤデフ)6,ドライブシャフト7,7を介して駆動輪である後輪8,8と動力伝達可能に接続されている。なお、前輪9,9は従動輪となっている。
【0022】
本実施形態では、変速ギア機構4に、いわゆるデュアルクラッチ式変速機(以下、DCTとも言う)が用いられている。このDCTは、クラッチと変速ギア機構とが、奇数段と偶数段との二系統に分かれており、2つのクラッチを掛け替えることにより極めて短時間(クラッチの掛け替え時間のみ)で変速を行なうことができる。
つまり、クラッチユニット2には、第1クラッチ2Aと第2クラッチ2Bとが同一軸線上に並んで配設されている。これらの第1クラッチ2A及び第2クラッチ2Bは、図示しないクラッチアクチュエータによってそれぞれの接続及び遮断が独立して行われるようになっている。
【0023】
また、変速ギア機構4には、2速,4速,6速の偶数段の変速段のギア対を装備した第1変速ギア機構(第1変速機構)4Aと、1速,3速,5速の奇数段の変速段のギア対を装備した第2変速ギア機構(第2変速機構)4Bとが、同一軸線上に並んで配設されている。
第1クラッチ2A及び第2クラッチ2Bの各入力側はエンジン1の出力軸1Aに接続され、第1クラッチ2Aの出力側は第1変速ギア機構4Aの入力軸(第1入力軸)40Aに、第2クラッチ2Bの出力側は第2変速ギア機構4Bの入力軸(第2入力軸)40Bに、それぞれ接続されている。
【0024】
第1入力軸40Aは中空軸であり、第2入力軸40Bの外周に同軸状に配置される。第1入力軸40Aには2速ドライブギア42a,4速ドライブギア44a,6速ドライブギア46aが回転自在に装備され、第2入力軸40Bの第1入力軸40Aの端部から突出した部分には1速ドライブギア41a,3速ドライブギア43a,5速ドライブギア45aが回転自在に装備されている。
【0025】
なお、モータ3は、クラッチユニット2と第1,第2変速ギア機構4A,4Bとの間の第1入力軸40Aの外周に装備されている。つまり、第1入力軸40Aの外周には、モータ3の回転子(ロータ)3Aが固設され、この回転子3Aの外周には、図示しない変速機ケーシングに支持されて固定子(ステータ)3Bが回転子3Aと対向して配置され、力行時には電力供給を受けて回転子3Aを回動させ、回生時には回転子3A側の回転によって発電し、回転子3A側に発電負荷に応じた制動力を付与する。
【0026】
また、第1入力軸40A及び第2入力軸40Bの隣には、カウンタ軸40Cが入力軸40A,40Bと平行に配備されている。カウンタ軸40Cには、2速ドリブンギア42b,4速ドリブンギア44b,6速ドリブンギア46b及び1速ドリブンギア41b,3速ドリブンギア43b,5速ドリブンギア45bが固設され、それぞれ対応する変速段のドライブギアと噛合している。このカウンタ軸40Cは、ギア対48を介してプロペラシャフト5と連結されており、カウンタ軸40Cは、プロペラシャフト5と連動する。
【0027】
上記のように、各ドライブギア41a〜46aはいずれも入力軸40A又は40Bに回転自在に軸支されているが、それぞれ同期装置47a〜47dを通じて、各入力軸40A,40Bと一体に回転するようになっている。2速ドライブギア42aを例示して説明すると、同期装置47aは、入力軸40Aに一体回転し且つ軸方向にスライド可能に装備されたスリーブ47slと、このスリーブ47slをスライド駆動する図示しないアクチュエータと、各ドライブギアにそれぞれ固設されたクラッチギア47cgとからなり、スリーブ47slがスライドしてクラッチギア47cgと係合すると、係合したクラッチギア47cgが固設されたドライブギアが対応する入力軸40Aと一体回転する。
【0028】
したがって、例えば2速段を達成する場合、2速ドライブギア42aのクラッチギア47cgに、対応するスリーブ47slをスライドさせて係合させれば、2速ドライブギア42aが入力軸40Aと一体に回転するようになり、この時、第1クラッチ2Aが接続されていれば、エンジン1,第1クラッチ2A,第1入力軸40A,2速ドライブギア42a,2速ドリブンギア42b,カウンタ軸40C,ギア対48,プロペラシャフト5,リヤデフ6,ドライブシャフト7,7,駆動輪8,8という動力伝達経路が形成され、エンジン1の回転は、2速段に応じた変速比で変速されて駆動輪8,8に伝達される。
【0029】
同様に、4速段,6速段の場合も、各クラッチギア47cgに対応するスリーブ47slを係合させ第1クラッチ2Aを接続させれば達成することができる。
1速段,3速段,5速段の場合も、同様に、各クラッチギア47cgに対応するスリーブ47slを係合させ第2クラッチ2Bを接続させれば達成することができる。
したがって、例えば、2速段から3速段にシフトアップするには、2速ドライブギア42aのクラッチギア47cgに、対応するスリーブ47slを係合させ、第1クラッチ2Aを接続した2速段走行状態において、第2クラッチ2Bを遮断した状態で、3速ドライブギア43aのクラッチギア47cgに、対応するスリーブ47slを係合させておく。その後、エンジン1のみによる単体走行する場合は、第1クラッチ2Aを切り離しつつ第2クラッチ2Bを接続していく、いわゆるクラッチ掛け替えを行なう。2速段走行中に、切替先の変速段(この場合、3速段)のクラッチギア47cgとスリーブ47slとの係合を予め実施しておくことができるので、トルク伝達に影響する変速動作はクラッチ掛け替えのみとなり、実質的に速やかな変速(変速段の切替)を行なえる。
【0030】
本駆動系の場合、第1入力軸40Aにモータ3が装備されているので、第1クラッチ2Aと第2クラッチ2Bとの両方を遮断しても、モータ3は動力伝達できるので、両クラッチ2A,2Bを遮断して、モータ3単独による駆動トルクでの走行や、エンジンブレーキを利用することなく回生制動主体の制動を実現することができる。また、クラッチ2A,2Bの少なくとも一方を接続してモータ3及びエンジン1による併用走行することもできる。
【0031】
なお、モータ3はインバータ31に接続され、インバータ31はバッテリ32に接続される。インバータ31によるバッテリ32の電力の授受の制御により、モータ3は作動を制御される。インバータ31は、力行時には、バッテリ(例えば、リチウムイオン電池等の充放電可能な二次電池の単電池(セル)が複数個直列接続された電池群)32からモータ3に電力を供給して出力トルクを発生させる電動機として機能させ、回生制動時には、車両の運動エネルギを用いて電力を発電(回生発電)する発電機としてモータ3を機能させ、回生発電による電力をバッテリ32の充電に用いる。
【0032】
〔制御系の構成〕
エンジン1,第1クラッチ2A,第2クラッチ2B,モータ3,変速ギア機構4の制御又は管理は、コンピュータを用いた電子制御によって行なわれるようになっている。
エンジン1を制御するためにエンジンECU61が、モータ3を操作するインバータ31を制御するためにインバータECU62が、バッテリ32を管理するためにバッテリECU63が、それぞれ設けられている。これらのエンジンECU61,インバータECU62,バッテリECU63を統合制御し、クラッチ2A,2B及び変速ギア機構4を制御するために、車両ECU60が設けられている。なお、車両ECU60には、後述するクラッチ制御手段60aがソフトウェアとして設けられている。
【0033】
バッテリ32は、過剰な充放電により劣化が進むため、充電量を一定帯域であるバッテリ使用帯域内に管理される。バッテリ使用帯域は、予め設定されたこれ以上の充電を制限する上限値とこれ以上の放電を制限する下限値とに挟まれる領域として規定される。車両ECU60は、バッテリECU63により検出されたバッテリ32の充電量がバッテリ使用帯域内におさまるように、インバータECU62を介して、モータ3の力行又は回生を制御する。
【0034】
なお、バッテリECU63には、バッテリ32の充放電電流を検出するバッテリ電流センサ51と、バッテリ32の充放電電圧を検出するバッテリ電圧センサ52と、バッテリ32の充放電回数を検出するバッテリ充放電カウンタ54とが接続されており、バッテリ32の充電量は、このバッテリECU63によって、バッテリ32の充放電時の電流,電圧に基づいて算出される。これらの各センサ51,52やカウンタ54は、バッテリ32の各セルに接続され、この各セルの電流,電圧,充放電回数を検出してもよいし、幾つかのセルに対して一つのセンサが接続され、この幾つかのセルの電流,電圧,充放電回数を検出してもよいし、これらの各セルに対してまたは幾つかのセルに対して1つのセンサを接続することを適宜組み合わせて各センサを配設してもよい。
【0035】
これらの各ECU60,61,62,63は、何れもCPU,ROM,RAM,入出力回路等からなるコンピュータであって、適宜の機器類が付設又は接続されている。
車両ECU60は、エンジンECU61,インバータECU62,バッテリECU63を制御可能に接続しており、エンジンECU61を介してエンジン1を制御し、インバータECU62を介してインバータ31に接続されたモータ3,バッテリ32の電力の授受を管理し、バッテリECU63により算出されたバッテリ32の充電量を入力される。
【0036】
車両ECU60には、アクセルポジションセンサ(加速要求検出手段)58の検出信号が入力するように接続されている。アクセルポジションセンサ58は、アクセル開度を検出し、ドライバの加速要求の有無を検出する。加速要求の有無は、例えば、アクセル開度の有無により判定してもよいし、アクセル開度が一定以上である場合に加速要求がされているものと判定してもよいし、アクセル開度が増加している場合に加速要求がされているものと判定してもよい。
【0037】
車両ECU60は、車両の走行状態(例えば、車速),変速ギア機構4の選択段(選択変速段),車両への駆動又は制動指令の状態(例えば、アクセル開度やブレーキ操作量),バッテリECU63により算出されたバッテリ32の充電量等に基づいて、エンジン1,第1クラッチ2A,第2クラッチ2B,モータ3,第1変速ギア機構4A及び第2変速機構4Bの管理及び制御を行なう。なお、選択段は、変速ギア機構4A,4Bそれぞれの係合している変速段である。つまり、第1変速ギア機構4Aで係合するドライブギア42a,44a,46aの変速段および第2変速ギア機構4Bで係合するドライブギア41a,43a,45aの変速段のそれぞれである。
【0038】
車両ECU60は、駆動時には、アクセル開度に基づいて、車両に必要な駆動トルクを設定すると共に、エンジン1とモータ3との何れを使用するか或いは両方を使用するかを設定し、エンジン1とモータ3との両方を使う場合には駆動トルクの配分を行なう。エンジンECU61やインバータECU62は、車両ECU60により設定された駆動トルクを出力するようにエンジン1及びモータ3の何れか又は両方の作動を制御する。
【0039】
このエンジン1やモータ3の作動制御とともに行なわれる第1クラッチ2A,第2クラッチ2Bそれぞれの遮断及び係合は、車両ECU60のクラッチ制御手段60aが制御する。
つまり、車両ECU60は、車両に必要なトルクを設定すると共に、変速ギア機構4A,4Bの選択段に応じて、エンジン1とモータ3との一方又は双方の駆動源としての使用を判断する。
【0040】
クラッチ制御手段60aは、アクセルポジションセンサ58により加速要求が検出されると、バッテリECU63により算出されたバッテリ32の充電量が所定充電量以上、且つ、変速ギア機構4の第1変速ギア機構4Aの使用段(使用中の変速段)が発進段(発進変速段)である場合には、クラッチ2A,2Bを共に遮断してモータ3のみの駆動トルクを用いて発進する。すなわち、バッテリ32の充電量が所定充電量以上、且つ、モータ3の駆動トルクが入力される第1変速ギア機構4Aの使用段が、予め設定された発進段である場合には、クラッチ2A,2Bの同時遮断を許可する。なお、使用段は、発進時を含む走行時に、駆動源1,3による駆動トルクの伝達に使用される変速段である。すなわち、変速ギア機構4A,4Bのそれぞれがいずれかの変速段を選択され、この選択された変速段で駆動トルクの伝達に使用されるものは使用段である。
【0041】
ここで、バッテリ32の所定充電量とは、バッテリ使用帯域内の充電量として予め実験的,経験的に定められた充電量であって、モータ3により車両を発進して電力を消費しても、前述の下限値に対して余裕のある充電量として設定される。これにより、発進時にモータ3の単体力行により発進する機会を確保することができる。例えばこの所定充電量は、前述の上限値と前述の下限値との中間の充電量として適宜設定される。
【0042】
なお、エンジン1は、モータ3の始動と共に、又は、モータ3の始動の後、始動され、モータ3の単体走行時は、エンジン1はアイドル回転数で運転されている。この発進後、変速段を切替えてシフトアップしての走行時には、クラッチ制御手段60aは、エンジン1をアイドル回転数から走行速度および変速ギア機構4A,4Bの選択段に応じた回転数に上げてクラッチ2A,2Bの何れかを接続して、エンジン1及びモータ3を併用して、又は、エンジン1のみにより走行する。すなわち、クラッチ制御手段60aは、第1変速ギア機構4Aの使用段が発進段以外である場合には、クラッチ2A,2Bの同時遮断を禁止する。
【0043】
なお、変速ギア機構4の発進段は、モータ3が装備される第1変速ギア機構4Aの最も小さい変速段として設定される。ここでは、第1変速ギア機構4Aは、2速,4速及び6速の変速段を有し、これらの変速段のなかで最も小さい変速段である2速段が、発進段として設定されている。本実施形態にかかる自動車は、中,大型の商用車であり、2速発進が一般的なため、このような設定にしているが、例えば、モータ3が装備される第1変速ギア機構4Aが1速,3速及び5速の変速段を有する構成としてもよく、この場合には、ドライバ要求トルクや車両重量によって1速または3速が発進段として設定される。
【0044】
例えばドライバにより加速要求がされる発進時に、バッテリ充電量が所定充電量以上、且つ、変速ギア機構4の選択段が発進段(ここでは2速段)である場合、クラッチ制御手段60aは、クラッチ2A,2Bを同時遮断してモータ3の単体走行可能に制御する。この場合の動力伝達は、図2(a)に示すように、クラッチ2A,2Bが同時遮断され、エンジン1はアイドル回転数で運転し、モータ3の力行によるトルクのみ第1変速ギア機構4Aを介して発進段(2速段)のギア比に応じて変速されて駆動輪に伝達される。なお、この場合の第2変速ギア機構4Bの選択段は、3速段となっている。
【0045】
その後、変速ギア機構4の変速段として3速段が選択された場合には、車両ECU60は、エンジン1による3速段相当の出力トルクが2速段とモータ3とにより出力可能か否かを判断する。出力可能と判断された場合は、引き続き、クラッチ制御手段60aは、クラッチ2A,2Bの同時遮断を継続し、エンジン1による3速段相当の出力トルクを2速段のモータ3の単体走行を継続するように制御する。また、車両ECU60が、エンジン1の3速段相当の出力トルクを2速段とモータ3とにより出力できないと判断した場合には、クラッチ制御手段60aは、エンジン1をアイドル回転数から走行速度および第2変速機構4Bの選択変速段(3速段)に応じた回転数に上げて第2クラッチ2Bを接続する。そして、エンジン1及びモータ3の併用走行又はエンジン1の単体により走行する。エンジン1及びモータ3の併用走行の動力伝達は、図2(b)に示すように、第1クラッチ2Aの遮断状態を維持しながら、第2クラッチ2Bを接続状態としてモータ3を力行運転することにより、第2変速機構4Bの変速段である3速段を介してエンジン1の出力トルクが駆動輪に伝達されるとともに、第1変速ギア機構4Aの変速段である2速段を介してモータ3の力行によるトルクも駆動輪に伝達される。つまり、エンジン1及びモータ3の併用走行を行なう。
【0046】
なお、使用段が3速段等の奇数段である場合にエンジン1による単体走行の動力伝達を行なうには、第1クラッチ2Aの遮断状態を維持しながら、第2クラッチ2Bを接続状態としてモータ3を無負荷状態とする。これにより、第2変速機構4Bの変速段である3速段等の奇数段のギアを介してエンジン1の出力トルクのみが駆動輪に伝達される。
また、例えば、モータ3の駆動トルクが第1変速ギア機構4Aの2速段を介し、エンジン1の駆動トルクが第2変速ギア機構4Bの3速段を介するエンジン1及びモータ3の併用走行状態から第1変速ギア機構4Aの4速段に切替えてエンジン1の駆動トルクを出力する場合、クラッチ制御手段60aは、エンジン1を走行速度及び第2変速機構4Bの選択変速段(3速段)に応じた回転数から走行速度及び第1変速ギア機構4Aの選択変速段(4速段)に応じた回転数に制御して第2クラッチ2Bを遮断し第1クラッチ2Aを接続してクラッチを掛け替え、エンジン1及びモータ3を併用又はエンジン1単体により走行する。エンジン1及びモータ3の併用走行の場合の動力伝達は、図2(c)に示すように、第1クラッチ2Aのみ接続され、エンジン1の出力トルクは、第1変速ギア機構4Aを介して選択段のギア比に応じて変速されて駆動輪に伝達されるとともに、モータ3の力行によるトルクも第1変速ギア機構4Aを介して駆動輪に伝達される。つまり、発進段以外の変速段を使用してモータ3の装備された第1変速ギア機構4Aのみ介して走行する場合、モータ3の単体走行は禁止される。
【0047】
また、例えば第1変速機構4Aの2速段から第1変速ギア機構4Aの4速段に切替える場合は、上記の2速段から3速段への変速段の切替えと上記の3速段から4速段への変速段の切替えを連続的に素早く行なう。この変速後の動力伝達は、第2変速機構4Bの3速段から第1変速ギア機構4Aの4速段に切替えた場合と同様に、第1クラッチ2Aのみ接続され、エンジン1及びモータ3の併用又はエンジン1単体により走行する。エンジン1及びモータ3の併用走行の場合の動力伝達は、図2(c)に示すように、第1クラッチ2Aのみ接続され、エンジン1の出力トルクは、第1変速ギア機構4Aを介して選択段のギア比に応じて変速されて駆動輪に伝達されるとともに、モータ3の力行によるトルクも第1変速ギア機構4Aを介して駆動輪に伝達される。すなわち、モータ3の装備された第1変速ギア機構4Aのみ介して走行する場合であっても、モータ3の単体走行は禁止される。
【0048】
なお、使用段が4速段等の偶数段である場合にエンジン1による単体走行の動力伝達を行なうには、図2(c)に示すように、第2クラッチ2Bを遮断状態としながら第1クラッチ2Aを接続状態としてモータ3を無負荷状態とする。これにより、第1変速ギア機構4Aの何れかの変速段のギアを介してエンジン1の出力トルクのみが駆動輪に伝達される。
【0049】
つまり、クラッチ制御手段60aは、バッテリ充電量が所定充電量であれば、選択段が2速段及び3速段である場合、第1変速ギア機構4Aの選択段が発進段である2速段であるため、両方のクラッチ2A,2Bを遮断して走行することを許可する。その後、使用段を4速段に変速する前に必ず第1変速ギア機構4Aの変速段を2速段から4速段へ切り替えるが、この第1変速ギア機構4Aの変速段が4速段に切り替わった時点でモータ単体走行を禁止し、第1クラッチ2Aを接続する。
【0050】
また、第1変速ギア機構4Aの2速段から4速段への変速については、モータ3が無負荷状態とされ、第1変速ギア機構4Aに負荷がかからないようにして変速を行なう。この変速時には、第1クラッチ2Aは遮断され、第2クラッチ2Bは接続されて、動力伝達はエンジン1のみにより行なわれる。
すなわち、選択段が2速段及び3速段の場合はモータ単体走行を許可し、3速段及び4速段の場合はモータ単体走行を禁止する。
【0051】
また、クラッチ制御手段60aは、エンジン1及びモータ3の併用走行後はクラッチ2A,2Bの同時遮断を禁止する。
すなわち、モータ3の単体走行が禁止されると、エンジン1及びモータ3による併用走行、或いは、モータ3が無負荷状態にされてエンジン1のみにより走行する。
また、クラッチ制御手段60aは、クラッチ2A,2Bの同時遮断を禁止する条件として、変速ギア機構4の第1変速ギア機構4Aの使用段が発進段以外であることのみを条件としてもよい。すなわち、クラッチ制御手段60aは、第1変速ギア機構4Aの使用段が発進段である場合に、クラッチ2A,2Bの同時遮断を許可する構成としてもよい。ただし、この構成によれば、クラッチ制御手段60aは、バッテリ32の充電量が所定充電量以上であるかを判定せずに、クラッチ2A,2Bの同時遮断を禁止又は許可するが、バッテリ32の充電量は、別途車両ECU60により前述の上限値と下限値との間におさまるように管理されている。
【0052】
この構成によれば、クラッチ制御手段60aは、第1変速ギア機構4Aの使用段が発進段以外であれば、クラッチ2A,2Bの同時遮断を禁止し、図2(b),(c)に示すようなエンジン1及びモータ3による併用走行を行なう。また、第1変速ギア機構4Aの使用段が発進段であれば、クラッチ2A,2Bの同時遮断を許可し、図2(a)に示すようなモータ3による単体走行を行なう。
【0053】
また、クラッチ制御手段60aは、制動時には、クラッチ2A,2Bを共に遮断する。これにより、駆動輪8の回転エネルギをモータ2に伝達し、回生発電を行なってバッテリ32を充電する。もちろん、回生制動では要求された制動力に満たない場合は、車両ECU60により、適宜エンジンブレーキを作動させたり、各車輪に設けられた機械式の制動機構を作動させたりする。
【0054】
〔作用・効果〕
本発明の一実施形態にかかるハイブリッド電気自動車の制御装置は上述のように構成されるため、例えば、図3に示すような制御が車両ECU60のクラッチ制御手段60aにより行なわれる。この制御フローは、例えば数10ms毎に、周期的に行なわれる。
まず、アクセルポジションセンサ58からの検出信号,バッテリECU63によるバッテリ32の充電量の情報及び変速ギア機構4の使用段の情報を入手する(ステップS10)。
【0055】
次に、アクセルポジションセンサ58により検出されるアクセル開度に基づいて加速要求がされているかを判定する(ステップS20)。
加速要求がされていると判定すると、バッテリ32の充電量が所定充電量よりも大きいかを判定する(ステップS30)。
なお、ステップS30は無くてもよい。つまり、加速要求がされていると判定すると、後述のステップS40の判定を行なってもよい。
【0056】
バッテリ32の充電量が所定充電量より大きいと判定されると、第1変速ギア機構4Aの選択段が発進段であるかを判定する(ステップS40)。発進段は、例えば、モータ側の変速機構であるの第1変速ギア機構4Aの2速段として予め設定されている。
第1変速ギア機構4Aの選択段が発進段であると判定されると、クラッチ2A,2Bの同時遮断を許可する(ステップS50)。これにより、モータ3の単体走行が許可される。
【0057】
そして、制御フローを終了する(リターン)。
また、ステップS20において、加速要求がされていないと判定されると、制御フローを終了する(リターン)。
一方、ステップS30において、バッテリ32の充電量が所定充電量以下と判定されると、又は、ステップS40において、第1変速ギア機構4Aの選択段が発進段ではないと判定されると、クラッチ2A,2Bの同時遮断を禁止する(ステップS100)。これにより、モータ3の単体走行が禁止される。
【0058】
したがって、クラッチ制御手段60aは、アクセルポジションセンサ58によりドライバの加速要求が検出されると、第1変速ギア機構4Aの発進変速段の使用時以外は、クラッチ2A,2Bの同時遮断を禁止するため、発進時以外及びエンジン併用走行後には、エンジン1の回転数は第1クラッチ2A又は第2クラッチ2Bを介して走行速度及び選択変速段に応じた回転数となるため、エンジン回転数と車両の挙動とが一致し、ドライバに違和感を与えることが無い。
【0059】
また、発進時以外及びエンジン併用走行後には、エンジン1の出力トルクは、クラッチ2A,2Bを介して駆動輪8に伝達されているため、クラッチ2A,2Bを係合にかかるタイムラグを無くし、ドライバの加速要求に対して速やかに応答することができる。
また、発進時以外には、クラッチ2A,2Bの同時遮断が禁止されるため、モータ3の単体走行が禁止され、モータ3に要求される最大トルク及び最高回転数を抑制することができ、バッテリ32の消費を抑制することができる。モータ3によるアシスト走行時のバッテリ32のSOCを確保することができる。
【0060】
さらに、発進時以外のモータ3の単体走行が禁止されることにより、モータ3の単体走行とモータ3及びエンジン1の併用走行との切替を頻繁にすることがなく、エンジン回転数と車両の挙動とが一致し、ドライバに与える違和感を解消することができる。
また、第1変速ギア機構4Aの発進段の使用時であっても、バッテリECU63により検出されたバッテリ32の充電量が所定充電量よりも小さい場合に、クラッチ2A,2Bの同時遮断を禁止すれば、所定充電量以下でのモータ3の単体走行を禁止し、バッテリ32の充電量を確保することができる。
【0061】
また、第1変速ギア機構4Aの発進段の使用時に、クラッチ2A,2Bの同時遮断を許可すれば、モータ3の単体の出力による発進をすることができ、燃費の向上に寄与する。
また、バッテリECU33により検出されたバッテリ充電量が所定充電量より大きく、且つ、第1変速ギア機構4Aの発進段の使用時に、クラッチ2A,2Bの同時遮断を許可すれば、バッテリ32の充電量を確保しつつ、モータ3の単体の出力により発進をすることができ、燃費の向上に寄与する。
【0062】
クラッチ制御手段60aは、エンジン1及びモータ3の併用走行後はクラッチ2A,2Bの同時遮断を禁止するため、モータ3の単体走行とモータ3及びエンジン1の併用走行との切替を頻繁にすることがなく、エンジン回転数と車両の挙動とが一致し、ドライバに与える違和感を解消することができる。
【0063】
〔その他〕
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0064】
上述の実施形態では、エンジン1、インバータ31、バッテリ32は、各ECU61,62,63により直接制御され、これらの各ECU61,62,63を車両ECU60が統合制御する構成であるが、かかる制御構成でなく、車両ECUが一括してエンジン1、インバータ31、バッテリ32を直接制御してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明のデュアルクラッチ式変速機を備えたハイブリッド電気自動車は、トラック又はバスといった乗用車に比べて大きい商用車のみならず普通自動車にも適用でき、ディーゼルエンジンでないガソリンエンジンにも適用できる。
【符号の説明】
【0066】
1 エンジン
1A 出力軸
2 クラッチユニット
2A 第1クラッチ
2B 第2クラッチ
3 モータ(電動発電機)
3A 回転子(ロータ)
3B 固定子(ステータ)
4 変速ギア機構
4A 第1変速ギア機構(第1変速機構)
4B 第2変速ギア機構(第2変速機構)
5 プロペラシャフト
6 リヤディファレンシャル
7 ドライブシャフト
8 後輪
9 前輪
31 インバータ
32 バッテリ
40A 第1入力軸
40B 第2入力軸
40C カウンタ軸
42a 2速ドライブギア
42b 2速ドリブンギア
47a 同期装置
47cg クラッチギア
47sl スリーブ
48 ギア対
51 バッテリ電流センサ
52 バッテリ電圧センサ
54 バッテリ充放電カウンタ
58 アクセルポジションセンサ(加速要求検出手段)
60 車両ECU
60a クラッチ制御手段
61 エンジンECU
62 インバータECU
63 バッテリECU(バッテリ充電量検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、モータと、前記エンジンと前記モータとの何れかまたは両方の出力トルクを入力され変速して駆動輪に伝達する変速機とを備えたハイブリッド電気自動車の制御装置であって、
前記変速機は、
前記エンジンと第1クラッチを介して接続され且つ前記モータが配置された第1入力軸を備え、複数の変速段を有する第1変速機構と、
前記エンジンと第2クラッチを介して接続された第2入力軸を備え、複数の変速段を有する第2変速機構と、を備え、
ドライバの加速要求を検出する加速要求検出手段と、
前記加速要求検出手段によりドライバの加速要求が検出されると、前記第1変速機構の発進変速段の使用時以外は、前記第1及び第2クラッチの同時遮断を禁止するクラッチ制御手段とを備えている
ことを特徴とするハイブリッド電気自動車の制御装置。
【請求項2】
前記クラッチ制御手段は、
前記第1変速機構の発進変速段の使用時に、前記第1及び第2クラッチの同時遮断を許可する
ことを特徴とする請求項1記載のハイブリッド電気自動車の制御装置。
【請求項3】
前記モータにより充放電されるバッテリの充電量を検出するバッテリ充電量検出手段をさらに備え、
前記クラッチ制御手段は、
前記バッテリ充電量検出手段により検出されたバッテリ充電量が所定充電量以上、且つ、前記第1変速機構の発進変速段の使用時に、前記第1及び第2クラッチの同時遮断を許可する
ことを特徴とする請求項1記載のハイブリッド電気自動車の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−121449(P2012−121449A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273795(P2010−273795)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】