説明

ハイブリッド車両用パワーユニット

【課題】エンジンが発揮する駆動力ならびに電動モータが発揮する駆動力のいずれによっても駆動輪を回転駆動し得るようにしたハイブリッド車両用パワーユニットにおいて、部品点数の低減および小型化を可能とする。
【解決手段】駆動輪に伝動手段41を介して連動、連結される出力軸25Aと同軸に配置される遊星ギヤ式伝動機構26Aのリングギヤ70にエンジンEAのクランクシャフト29Aからの動力が入力され、リングギヤ70およびサンギヤ71に噛合する遊星ギヤ72を軸支する遊星キャリア73Aが出力軸25Aに連結され、出力軸25Aと同軸に配置される単一のモータ発電機27が発電可能としてサンギヤ71に連結され、サンギヤ71の回転が制動手段28で制動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンが発揮する駆動力ならびに電動モータが発揮する駆動力のいずれによっても駆動輪を回転駆動し得るようにしたハイブリッド車両用パワーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンのクランクシャフトと平行な軸線を有する動力伝達軸上に、発電機と、前記エンジンからの動力を前記発電機および後輪に対して分割する動力分配装置と、後輪を回転させる動力を発揮するようにして前記動力分配装置を前記発電機との間に挟む位置に配置される電動モータとが配設されるようにしたハイブリッド車両用パワーユニットが、特許文献1で既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−256468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが上記特許文献1で開示されるものでは、発電機および電動モータが別個に設けられており、パワーユニットの大型化および部品点数の増加を招いている。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、部品点数の低減および小型化を可能としたハイブリッド車両用パワーユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、エンジンのクランクシャフトからの動力が入力されるリングギヤ、該リングギヤで同軸に囲繞されるサンギヤ、前記リングギヤおよび前記サンギヤに噛合する遊星ギヤ、ならびに前記クランクシャフトと平行な軸線を有するとともに駆動輪に伝動手段を介して連動、連結される出力軸に連結されるとともに前記遊星ギヤを軸支する遊星キャリアを有して前記出力軸と同軸に配置される遊星ギヤ式伝動機構と、発電可能として前記サンギヤに連結されるとともに前記出力軸と同軸に配置される単一のモータ発電機と、前記サンギヤの回転を制動し得る制動手段とを備えることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記遊星キャリアの外周に、回転数センサで検出される複数の突起が突設されることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第1または第2の特徴の構成に加えて、前記遊星キャリアが発揮する回転トルクの変化に応じて前記出力軸の軸方向に作動する可動部材を含むとともに該可動部材の軸方向位置に応じて前記遊星キャリアの回転トルクを検出するように構成されるトルク検出手段が、前記遊星ギヤ式伝動機構に関して前記モータ発電機とは反対側で該遊星ギヤ式伝動機構に隣接して配設されることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第1〜第3の特徴の構成のいずれかに加えて、セルモータが、前記クランクシャフトからの正転方向の駆動力を遮断するものの前記クランクシャフトからの逆転方向の駆動力を伝達する一方向クラッチを介して前記クランクシャフトに連結され、前記エンジンの停止状態での前記モータ発電機の作動に応じて前記遊星ギヤ式伝動機構から前記クランクシャフトに作用する逆転方向の駆動トルクが前記セルモータのフリクショントルクよりも小さくなるように設定されることを第4の特徴とする。
【0010】
本発明は、第4の特徴の構成に加えて、前記モータ発電機の最大駆動力が前記セルモータのフリクショントルクよりも小さく設定されることを第5の特徴とする。
【0011】
本発明は、第4または第5の特徴の構成に加えて、前記制動手段が、正逆回転自在の前記セルモータの逆転作動に応じて前記サンギヤを制動するように構成されることを第6の特徴とする。
【0012】
さらに本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記クランクシャフトおよび前記遊星ギヤ式伝動機構間に設けられる回転部材の回転を制動可能な電磁ブレーキを備えることを第7の特徴とする。
【0013】
なお実施の形態の伝動筒軸54が本発明の回転部材に対応し、実施の形態のリング板111が本発明の可動部材に対応し、実施の形態の後輪WRが本発明の駆動輪に対応する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の特徴によれば、モータ発電機によってサンギヤを回転駆動することによってモータ発電機からの動力を出力軸から伝動手段を介して駆動輪に伝達することができ、また遊星ギヤ式伝動機構におけるサンギヤの回転を制動手段で制動することによってモータ発電機を低速で回転させて発電しながらエンジンのクランクシャフトからの動力を出力軸から伝動手段を介して駆動輪に伝達することができ、さらに遊星ギヤ式伝動機構におけるサンギヤの回転を制動手段で停止した状態ではモータ発電機によるロスを無くしてエンジンの出力のみによる走行が可能であり、発電機および電動モータの機能を単一のモータ発電機に持たせるようにして部品点数の低減およびパワーユニットの小型化が可能となる。しかも制動手段は、サンギヤを制動すればよいので制動トルクが小さくてすみ、制動手段の小型化が可能である。
【0015】
本発明の第2の特徴によれば、前記遊星キャリアの外周に、回転数センサで検出される複数の突起が遊星キャリアの外周に突設されるので、遊星キャリアをパルスロータとしても機能させることができ、専用のパルスロータを設けることを不要として、部品点数の低減を図ることができるとともに、出力軸の短縮およびパワーユニットの小型化を図ることができる。
【0016】
本発明の第3の特徴によれば、トルク検出手段が遊星ギヤ式伝動機構に関してモータ発電機とは反対側で該遊星ギヤ式伝動機構に隣接して配設されるので、トルク検出手段のための専用の軸の増加を回避して、パワーユニットの小型化に寄与することができる。
【0017】
本発明の第4の特徴によれば、セルモータが一方向クラッチを介してクランクシャフトに連結されており、エンジンの停止状態では、モータ発電機の作動に応じてクランクシャフトに作用する逆転方向の駆動トルクが前記セルモータのフリクショントルクよりも小さいので、エンジンの停止状態でのモータ発電機の作動時にはクランクシャフトが回転することはなく、モータ発電機の出力による車両の発進が可能となる。
【0018】
本発明の第5の特徴によれば、モータ発電機の最大駆動力がセルモータのフリクショントルクよりも小さいので、セルモータの大型化を防止することができる。
【0019】
本発明の第6の特徴によれば、セルモータの正逆回転制御によって制動手段の作動制御すなわちモータ発電機の回転制御が可能となり、制動手段を作動せしめるための専用のアクチュエータを不要として部品点数を低減することができる。
【0020】
さらに本発明の第7の特徴によれば、クランクシャフトおよび遊星ギヤ式伝動機構間に設けられる回転部材の回転を制動する電磁ブレーキを設けるだけの簡単な構成で、モータ発電機による走行時のリングギヤの制動ならびに出力軸からの減速回生時のリングギヤの制動が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1の自動二輪車の側面図である。
【図2】パワーユニットおよび後輪間の動力伝達系を簡略化して示す図である。
【図3】図1の3−3線に沿うパワーユニットの断面図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。
【図5】図4の5−5線矢視図である。
【図6】実施例2のパワーユニットの図3に対応した断面図である。
【図7】図6の要部拡大図である。
【図8】実施例3のパワーユニットの要部の図7に対応した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0023】
本発明の実施例1について図1〜図5を参照しながら説明すると、先ず図1において、ハイブリッド式車両であるハイブリッド式自動二輪車の車体フレームFは、フロントフォーク11を操向可能に支承するヘッドパイプ12と、該ヘッドパイプ12から後下がりに延びるメインフレーム13と、メインフレーム13の後端から下方に延びる左右一対のピボットプレート14…と、該ピボットプレート14…の連設部よりも前方で前記メインフレーム13の後部に連設されて後上がりに延びる左右一対のシートフレーム15…とを備え、前記フロントフォーク11の下端に前輪WFが軸支され、フロントフォーク11の上部にはバー状の操向ハンドル16が連結される。
【0024】
前記車体フレームFには、パワーユニットPAが前記メインフレーム13の下方に配置されるようにして搭載される。また車体フレームFにおけるピボットプレート14…には、スイングアーム17の前端部が支軸18を介して揺動可能に支承されており、前記パワーユニットPAが出力する動力で回転駆動される駆動輪としての後輪WRの車軸19が前記スイングアーム17の後端部に軸支される。また車体フレームFにおけるシートフレーム15…の後部および前記スイングアーム17の後部間には左右一対のリヤクッションユニット20…が設けられる。
【0025】
前記両シートフレーム19には、たとえばタンデム型である乗車用シート21が支持される。また車体フレームFには、該車体フレームF、前記パワーユニットPAの一部を覆う合成樹脂製の車体カバー22が取付けられる。
【0026】
図2において、前記パワーユニットPAは、単気筒のエンジンEAと、前記後輪WRに連動、連結される出力軸25Aおよび前記エンジンEA間に設けられる遊星ギヤ式伝動機構26Aと、該遊星ギヤ式伝動機構26Aを介して前記出力軸25Aに連結されるモータ発電機27と、該モータ発電機27の作動を制動し得る制動手段28とを備える。
【0027】
図3を併せて参照して、前記エンジンEAのエンジン本体30Aは、車幅方向に沿う軸線を有するクランクシャフト29Aを回転自在に支承するクランクケース31と、軸線Cをわずかに前上がりに傾斜させたシリンダボア35を有して前記クランクケース31の前部に結合されるシリンダブロック32と、該シリンダブロック32の前部に結合されるシリンダヘッド33と、クランクケース31の左側に結合される第1クランクケースカバー36と、前記クランクケース31の右側に結合される第2クランクケースカバー37Aとで構成され、前記クランクケース31は、前記クランクシャフト29Aの軸線に直交する結合面38で結合される左ケース半体31aおよび右ケース半体31bから成る。
【0028】
前記クランクケース31の後部には、前記クランクシャフト29Aと平行な軸線を有する前記出力軸25Aが回転自在に支承され、パワーユニットPAからの動力は、前記出力軸25Aの左端部に設けられた駆動スプロケット39と、該駆動スプロケット39に巻き掛けられる無端状のチェーン40とを含む伝動手段41を介して前記後輪WRに伝達される。
【0029】
前記クランクケース31および第1クランクケースカバー36間には、前記クランクシャフト29Aの左端部に固定される回転伝動体42が配置されており、この回転伝動体42との間に一方向クラッチ43を介在させたギヤ44が前記クランクシャフト29Aに相対回転可能に支承されており、前記クランクシャフト29Aに始動用回転動力を付与するためのセルモータ45(図1および図4参照)が、前記ギヤ44に連動、連結されつつ前記クランクケース31の上方に固定配置される。
【0030】
而して前記セルモータ45は、正逆回転自在のものであり、前記一方向クラッチ43は、前記クランクシャフト29Aからの正転方向の駆動力の前記セルモータ45側への伝達は遮断するものの前記クランクシャフト29Aからの逆転方向の駆動力を前記セルモータ45側に伝達するものであり、セルモータ45は、該一方向クラッチ43および前記回転伝動体42を介して前記クランクシャフト29Aに連結される。
【0031】
前記シリンダヘッド33には、前記クランクシャフト29Aと平行な軸線を有するカムシャフト46を含む動弁装置47が配設されており、前記クランクシャフト29Aおよび前記カムシャフト46間にはクランクシャフト29Aからの回転動力を1/2の減速比でカムシャフト46に伝達するための調時伝動手段48が設けられる。而して該調時伝動手段48は、前記ギヤ44に軸方向内方で隣接して前記クランクシャフト29Aに固定される駆動スプロケット49と、前記カムシャフト46の左端部に固定される被動スプロケット50とに無端状のカムチェーン51が巻き掛けられて成る。
【0032】
前記クランクケース31における右ケース半体31bからの突出部で前記クランクシャフト29Aには、前記クランクシャフト29Aおよび遊星ギヤ式伝動機構26A間に設けられる回転部材として円筒状の伝動筒軸54が相対回転自在に支承されており、この伝動筒軸54および前記クランクシャフト29A間には遠心クラッチ55が介設される。
【0033】
前記遠心クラッチ55は、前記クランクシャフト29Aに固定されるドライブプレート56と、前記伝動筒軸54に固定されて前記ドライブプレート56を同軸に覆う椀状のクラッチハウジング57と、クランクシャフト29Aの回転に伴う遠心力の作用に応じて前記クラッチハウジング57の内周に摩擦係合することを可能として前記ドライブプレート56に回動可能に軸支される複数のクラッチウエイト58…とを備える。
【0034】
また前記伝動筒軸54の一部を囲繞する円筒状の支持ケース59がクランクケース31に固定されており、コイル60を有する電磁ブレーキ61が前記伝動筒軸54を囲んで前記支持ケース59に支持される。而してコイル60に通電した状態で前記電磁ブレーキ61は、前記伝動筒軸54の回転を制動する。
【0035】
また第2クランクケースカバー37Aの内面には、前記クランクシャフト29Aの右端部を回転自在に嵌合せしめる円筒状の軸受ハウジング53が一体に突設される。前記遠心クラッチ55におけるドライブプレート56には遠心フィルタ62が固定され、第2クランクケースカバー37Aに設けられた油路63に通じる第1油孔64がクランクシャフト29Aの右端部に同軸に設けられる。ところでシリンダブロック32のシリンダボア35に摺動可能に嵌合されるピストン65はコネクティングロッド66およびクランクピン67を介してクランクシャフト29Aに連接されるものであり、クランンクピン67およびコネクティングロッド66間のオイルを供給するようにして前記クランクシャフト29Aに設けられる第2油孔68との間に前記遠心フィルタ62が介装される。
【0036】
図4を併せて参照して、前記遊星ギヤ式伝動機構26Aは、前記クランクシャフト29Aからの動力が入力されるリングギヤ70と、該リングギヤ70で同軸に囲繞されるサンギヤ71と、前記リングギヤ70および前記サンギヤ71に噛合する複数の遊星ギヤ72…と、それらの遊星ギヤ72…を軸支する遊星キャリア73Aとを備え、出力軸25Aと同軸に配置される。
【0037】
前記リングギヤ70には、一次減速ギヤ機構74Aおよびダンパゴム75を介してクランクシャフト29Aからの動力が入力されるものであり、一次減速ギヤ機構74Aは、前記伝動筒軸54に相対回転不能に結合されて前記クランクシャフト29Aで回転自在に支承される一次駆動ギヤ76と、前記クランクケース31で回転自在に支承されて前記一次駆動ギヤ76に噛合するアイドルギヤ77と、前記出力軸25Aと同軸の軸線まわりに回転することを可能として前記アイドルギヤ77に噛合する一次被動ギヤ78とから成り、一次被動ギヤ78は前記ダンパゴム75を介してリングギヤ70に連結される。
【0038】
前記クランクケース31の右ケース半体31bを回転自在に貫通する円筒状の回転軸80が前記出力軸25Aを同軸に囲繞するように配置されており、この回転軸80および前記右ケース半体31b間にはボールベアリング81が介装され、前記出力軸25Aおよび前記回転軸80間には一対のボールベアリング82…が介装される。また一次減速ギヤ機構74Aの一次被動ギヤ78は、前記回転軸80を同軸に囲繞して配置されており、一対のボールベアリング83…が一次被動ギヤ78および前記回転軸80間に介装される。
【0039】
遊星ギヤ式伝動機構26Aのサンギヤ71は、前記出力軸25Aとの間に一対のニードルベアリング84…を介在せしめて前記出力軸25Aを同軸に囲繞するものであり、前記回転軸80の右端部が前記サンギヤ71に相対回転不能に結合される。
【0040】
ところで遊星キャリア73Aは、遊星ギヤ72…を一次減速ギヤ機構74Aの一次被動ギヤ78との間に挟む位置に配置されており、前記出力軸25Aを同軸に囲繞しつつ該出力軸25Aに相対回転不能に結合される支持筒85に回転可能に支承される。しかも支持筒85には、該支持筒85との相対回転を不能としたシフタ86が、前記遊星キャリア73Aに相対回転不能に係合される係合位置と、遊星キャリア73Aとの係合を解除する係合解除位置との間で軸方向に移動することを可能として支持されており、図示しない操作手段の操作によって前記シフタ86を前記係合位置に移動せしめると、遊星キャリア73Aが出力軸25Aに相対回転不能に連結されることになる。また前記シフタ86を係合解除位置に操作すると、遊星キャリア73Aは出力軸25Aの軸線まわりに自由に回転可能となる。
【0041】
前記モータ発電機27は、前記クランクケース31内に収容されるものであり、前記回転軸80に固定されるロータ88と、該ロータ88を囲繞するようにして前記クランクケース31の左ケース半体31aに締結されるステータ89とから成る。すなわちモータ発電機27は、前記遊星ギヤ式伝動機構26Aのサンギヤ71に、回転軸80を介して同軸に連結されることになる。
【0042】
図5を併せて参照して、前記サンギヤ71およびモータ発電機27を制動する制動手段28は、前記ボールベアリング81,83…間で前記回転軸80に内周部が相対回転不能に結合されるドラム90と、一端部がボルト92で前記クランクケース31の右ケース半体31bに固定されて前記ドラム90の外周に巻き掛けられるベルト91とを備えており、ベルト91にその他端側から牽引力を作用せしめることで、前記ドラム90すなわち前記サンギヤ71およびモータ発電機27を制動することができる。
【0043】
ところでクランクケース31の上方に配置されるセルモータ45は、左ケース半体31aの上部に一体に設けられる支持板部93に取付けられており、該セルモータ45の出力軸94に設けられたピニオン95にアイドルギヤ96が噛合され、該アイドルギヤ96に被動ギヤ97が噛合される。而して前記アイドルギヤ96は、前記回転伝動体42との間に一方向クラッチ43を介在させて前記クランクシャフト29Aに相対回転可能に支承された前記ギヤ44に噛合するアイドルギヤ99に固着されており、このアイドルギヤ99が、前記クランクケース31の左ケース半体31aおよび第1クランクケースカバー36間に支持された軸98で回転自在に支承される。
【0044】
前記クランクケース31の左および右ケース半体31a,31bを回転自在に貫通してそれらのケース半体31a,31bで回転自在に支承される伝動軸100の一端部に、前記被動ギヤ97が一方向クラッチ101を介して装着される。而して前記セルモータ45は正逆回転自在なものであるが、前記一方向クラッチ101は前記セルモータ45の逆転方向の動力だけを前記伝動軸100に伝達する。
【0045】
前記伝動軸100の他端部には偏心した偏心軸部100aが設けられており、この偏心軸部100aにリング部材102が装着される。一方、前記制動手段28におけるベルト91の他端にはコイルばね103の一端部が連結されており、このコイルばね103の他端部が前記リング部材102に連結される。
【0046】
而して前記セルモータ45の逆転によって前記伝動軸100が回動することにより、前記ベルト91が牽引され、それによって制動手段28が制動作動することになる。また前記セルモータ45が逆転作動を停止したときには、前記コイルばね103が発揮するばね力によって伝動軸100が元の位置まで回動し、それによってベルト91に作用していた牽引力が解放されるので、制動手段28による制動状態が解除される。
【0047】
このようなパワーユニットPAにおいて、エンジンEAの運転時に遊星ギヤ式伝動機構26Aにおけるサンギヤ71の回転を制動手段28で制動することによって、モータ発電機27を低速で回転させて発電しながらエンジンEAのクランクシャフト29Aからの動力を出力軸25Aから伝動手段41を介して後輪WRに伝達することができ、またサンギヤ71の回転を制動手段28で停止した状態ではモータ発電機27によるロスを無くしてエンジンEAの出力のみによる走行が可能である。一方、電磁ブレーキ61のコイル60に通電して伝動筒軸54を制動した状態でモータ発電機27によってサンギヤ27を回転駆動すると、リングギヤ70が制動されているので遊星キャリア73Aが正方向に回転し、モータ発電機27からの動力を出力軸25Aから伝動手段41を介して後輪WRに伝達することができる。また減速時に前記電磁ブレーキ61のコイル60に通電して伝動筒軸54を制動すると、リングギヤ70が制動されているので出力軸25Aからの正転方向のトルクがモータ発電機27に入力され、モータ発電機27での回生発電が可能となる。
【0048】
ところで前記遊星ギヤ式伝動機構26Aにおける遊星キャリア73Aはパルスロータとしても機能するものであり、遊星キャリア73Aの外周に設けられる複数の突起104…に対向する回転数センサ105が、第2クランクケースカバー37Aに取付けられる。
【0049】
再び図1に注目して、前記モータ発電機27の作動を制御するパワードライブユニット106は、乗車用シート21の前部下方に配置されて車体カバー22で覆われており、前記モータ発電機27に接続されるバッテリ107は、乗車用シート21の後部下方に配置されて車体カバー22で覆われる。
【0050】
次にこの実施例1の作用について説明すると、パワーユニットPAは、単気筒のエンジンEAと、後輪WRに伝動手段41を介して連動、連結される出力軸25AおよびエンジンEA間に設けられる遊星ギヤ式伝動機構26Aと、該遊星ギヤ式伝動機構26Aを介して前記出力軸25Aに連結されるモータ発電機27と、制動手段28とを備えており、遊星ギヤ式伝動機構26Aは、クランクシャフト29Aからの動力が入力されるリングギヤ70と、該リングギヤ70で同軸に囲繞されるとともに出力軸25Aと同軸に配置される前記モータ発電機27が連結されるサンギヤ71と、リングギヤ70およびサンギヤ71に噛合する複数の遊星ギヤ72…と、出力軸25Aに連結されるとともに前記遊星ギヤ72…を軸支する遊星キャリア73Aとを有して出力軸25Aと同軸に配置され、制動手段28はサンギヤ71を制動可能である。
【0051】
このようなパワーユニットPAによれば、モータ発電機27によってサンギヤ71を回転駆動することによってモータ発電機27からの動力を出力軸25Aから伝動手段41を介して後輪WRに伝達することができ、またサンギヤ71の回転を制動手段28で制動することによってモータ発電機27を低速で回転させて発電しながらエンジンEAのクランクシャフト29Aからの動力を出力軸25Aから伝動手段41を介して後輪WRに伝達することができ、さらにサンギヤ71の回転を制動手段28で停止した状態ではモータ発電機27によるロスを無くしてエンジンEAの出力のみによる走行が可能であり、発電機および電動モータの機能を単一のモータ発電機27に持たせるようにして部品点数の低減およびパワーユニットPAの小型化が可能となる。しかも制動手段28は、サンギヤ71を制動すればよいので制動トルクが小さくてすみ、制動手段28の小型化が可能である。
【0052】
また制動手段28が、正逆回転自在のセルモータ45の逆転作動に応じてサンギヤ71を制動するように構成されているので、セルモータ45の正逆回転制御によって制動手段28の作動制御すなわちモータ発電機27の回転制御が可能となり、制動手段28を作動せしめるための専用のアクチュエータを不要として部品点数を低減することができる。
【0053】
さらにクランクシャフト29Aおよび遊星ギヤ式伝動機構26A間に設けられる伝動筒軸54の回転が電磁ブレーキ61で制動されるので、電磁ブレーキ61を設けるだけの簡単な構成で、モータ発電機27による走行時のリングギヤ70の制動ならびに出力軸25Aからの減速回生時のリングギヤ70の制動が可能となる。
【0054】
しかも遊星ギヤ式伝動機構26Aにおける遊星キャリア73Aの外周に、回転数センサ105で検出される複数の突起104…が突設されるので、遊星キャリア73Aをパルスロータとしても機能させることができ、専用のパルスロータを設けることを不要として、部品点数の低減を図ることができるとともに、出力軸25Aの短縮およびパワーユニットPAの小型化を図ることができる。
【実施例2】
【0055】
本発明の実施例2について図6および図7を併せて参照しながら説明するが、図1〜図5の実施例1に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0056】
先ず図6において、パワーユニットPAは、単気筒のエンジンEBと、後輪WR(実施例1参照)に連動、連結される出力軸25Bおよび前記エンジンEB間に設けられる遊星ギヤ式伝動機構26Bと、該遊星ギヤ式伝動機構26Bを介して前記出力軸25Bに連結されるモータ発電機27と、該モータ発電機27の作動を制動し得る制動手段28とを備える。
【0057】
前記エンジンEBのエンジン本体30Bは、車幅方向に沿う軸線を有するクランクシャフト29Bを回転自在に支承するクランクケース31と、軸線Cをわずかに前上がりに傾斜させたシリンダボア35を有して前記クランクケース31の前部に結合されるシリンダブロック32と、該シリンダブロック32の前部に結合されるシリンダヘッド33と、クランクケース31の左側に結合される第1クランクケースカバー36と、前記クランクケース31の右側に結合される第2クランクケースカバー37Bとで構成される。
【0058】
前記クランクケース31の後部には、前記クランクシャフト29Bと平行な軸線を有する前記出力軸25Bが回転自在に支承され、パワーユニットPAからの動力は、前記出力軸25Bから伝動手段41を介して前記後輪WRに伝達される。
【0059】
前記クランクケース31および第1クランクケースカバー36間には、前記クランクシャフト29Bの左端部に固定される回転伝動体42が配置されており、この回転伝動体42との間に、前記クランクシャフト29Bからの正転方向の駆動力の前記セルモータ45側への伝達は遮断するものの前記クランクシャフト29Bからの逆転方向の駆動力を前記セルモータ45側に伝達する一方向クラッチ43を介在させたギヤ44が前記クランクシャフト29Bに相対回転可能に支承されており、前記クランクシャフト29Bに始動用回転動力を付与するためのセルモータ45(実施例1参照)が、前記ギヤ44に連動、連結されつつ前記クランクケース31の上方に固定配置される。
【0060】
前記セルモータ45は、正逆回転自在のものであり、エンジンEBの停止状態での前記モータ発電機27の作動に応じて前記遊星ギヤ式伝動機構26からクランクシャフト29Bに作用する逆転方向の駆動トルクがセルモータ45のフリクショントルクよりも小さくなるように設定される。また望ましくは、モータ発電機27の最大駆動力が前記セルモータ45のフリクショントルクよりも小さく設定される。
【0061】
第2クランクケースカバー37Bの内面には、前記クランクシャフト29Bの右端部を回転自在に嵌合せしめる円筒状の軸受ハウジング108が一体に突設され、クランクシャフト29Bの右端部には遠心フィルタ62が固定され、第2クランクケースカバー37Bに設けられた油路109に通じる第1油孔64がクランクシャフト29Bの右端部に同軸に設けられる。またクランンクピン67およびコネクティングロッド66間のオイルを供給するようにして前記クランクシャフト29Bに設けられる第2油孔68との間に前記遠心フィルタ62が介装される。
【0062】
図7を併せて参照して、遊星ギヤ式伝動機構26Bは、前記クランクシャフト29Bからの動力が入力されるリングギヤ70と、該リングギヤ70で同軸に囲繞されるサンギヤ71と、前記リングギヤ70および前記サンギヤ71に噛合する複数の遊星ギヤ72…と、それらの遊星ギヤ72…を軸支する遊星キャリア73Bとを備え、出力軸25Bと同軸に配置される。
【0063】
前記リングギヤ70には、一次減速ギヤ機構74Bおよびダンパゴム75を介してクランクシャフト29Bからの動力が入力されるものであり、一次減速ギヤ機構74Bは、前記クランクシャフト29Bに相対回転不能に結合される一次駆動ギヤ110と、前記クランクケース31で回転自在に支承されて前記一次駆動ギヤ110に噛合するアイドルギヤ77と、前記出力軸25Bと同軸の軸線まわりに回転することを可能として前記アイドルギヤ77に噛合する一次被動ギヤ78とから成り、一次被動ギヤ78は前記ダンパゴム75を介してリングギヤ70に連結される。
【0064】
遊星ギヤ式伝動機構26のサンギヤ71は、前記出力軸25Bとの間に一対のニードルベアリング84…を介在せしめて前記出力軸25Bを同軸に囲繞するものであり、モータ発電機27のロータ88に同軸に連なる回転軸80の右端部が前記サンギヤ71に相対回転不能に結合される。
【0065】
ところで遊星キャリア73Bは、遊星ギヤ72…を一次減速ギヤ機構74Bの一次被動ギヤ78との間に挟む位置に配置されており、前記出力軸25Bを同軸に囲繞しつつ該出力軸25Bに相対回転可能に支承される。この遊星キャリア73Bと、前記遊星ギヤ72…とは反対側から前記遊星キャリア73Bの内周部に対向しつつ相対回転不能かつ軸方向相対移動を可能として前記出力軸25Bに係合されるリング板111との間に、遊星キャリア73Bおよびリング板111間に介在する複数のボール112…を含むトルクカム機構113が設けられる。
【0066】
このトルクカム機構113は、前記遊星キャリア73Bの回転トルクが大きくなるにつれて前記リング板111を前記遊星キャリア73Bから遠ざけるようにして、遊星キャリア73Bが発揮する回転トルクの変化に応じて前記リング板111を出力軸25Bの軸方向に移動せしめるものである。
【0067】
前記遊星ギヤ式伝動機構26Bに関して前記モータ発電機27とは反対側には、前記リング板111を構成要素の一部とするトルク検出手段130が、前記遊星キャリア73Bの回転トルクを検出するようにして、前記遊星ギヤ式伝動機構26Bに隣接して配設される。
【0068】
前記トルク検出手段130は、前記リング板111と、該リング板111を前記遊星キャリア73Bとの間に挟むリング体114と、該リング体114との間に環状の液圧室118を形成するようにして前記リング体114に摺動自在に嵌合されるリング状のピストン119と、前記液圧室118の液圧を検出することで前記遊星キャリア73Bの回転トルクを得るようにして前記リング体114に取付けられるトルクセンサ122とを備える。
【0069】
前記リング体114は、前記出力軸25Bとの軸方向相対移動を可能として該出力軸25Bを囲繞するように配置されており、リング体114および前記リング板111間にはスラストベアリング115…が介装される。また前記リング体114を前記リング板111との間に挟むリング状の支持板116が前記出力軸25Bに固定される。
【0070】
前記リング体114には、前記支持板116側に開放した円形の凹部117が設けられており、該凹部117の閉塞端との間に環状の液圧室118を形成するリング状のピストン119が凹部117に液密にかつ摺動可能に嵌合され、ピストン119の外端および前記支持板116間にはスラストベアリング120…が介装される。しかも前記液圧室118には、該液圧室118の容積を増大するばね力を発揮するようにして前記リング体114および前記ピストン119間に介設されるばね131が収容される。
【0071】
而して前記遊星キャリア73Bの回転トルクが大きくなるにつれて前記トルクカム機構113がリング板111を前記遊星キャリア73Bから遠ざけるように軸方向に移動せしめるのに伴って前記液圧室118の容積は縮小されることになる。
【0072】
前記リング体114の上部には、作動液を貯留する作動液貯留部114aが上方に開放するようにして一体に設けられており、この作動液貯留部114a内には、作動液貯留部内114a内の作動液を前記液圧室118側に導く一方向弁121が配設される。またリング体114には、前記液圧室118に通じる通路123を形成するセンサ取付け部114bが一体に設けられており、前記リング板111の軸方向移動に応じて変化する前記液圧室118および前記通路123の液圧を検出することで前記遊星キャリア73Bの回転トルクを得るようにしたトルクセンサ122が取付けられる。
【0073】
この実施例2によっても上記実施例1と同様に、モータ発電機27によってサンギヤ71を回転駆動することによってモータ発電機27からの動力を出力軸25Bから伝動手段41を介して後輪WRに伝達することができ、またサンギヤ71の回転を制動手段28で制動することによってモータ発電機27を低速で回転させて発電しながらエンジンEBのクランクシャフト29Bからの動力を出力軸25Bから伝動手段41を介して後輪WRに伝達することができ、さらにサンギヤ71の回転を制動手段28で停止した状態ではモータ発電機27によるロスを無くしてエンジンEBの出力のみによる走行が可能であり、発電機および電動モータの機能を単一のモータ発電機27に持たせるようにして部品点数の低減およびパワーユニットPBの小型化が可能となる。
【0074】
またセルモータ45が、クランクシャフト29Bからの正転方向の駆動力を遮断するものの前記クランクシャフト29Bからの逆転方向の駆動力を伝達する一方向クラッチ43を介してクランクシャフト29Bに連結されており、エンジンEBの停止状態でのモータ発電機27の作動に応じて遊星ギヤ式伝動機構26Bからクランクシャフト29Bに作用する逆転方向の駆動トルクがセルモータ45のフリクショントルクよりも小さくなるように設定されるので、エンジンEBの停止状態でのモータ発電機27の作動時にはクランクシャフト29Bが回転することはなく、モータ発電機27の出力による車両の発進が可能となる。
【0075】
しかもモータ発電機27の最大駆動力が前記セルモータ45のフリクショントルクよりも小さく設定されるので、セルモータ45の大型化を防止することができる。
【0076】
さらに遊星ギヤ式伝動機構26Bに関して前記モータ発電機27とは反対側には、遊星キャリア73Bが発揮する回転トルクの変化に応じて出力軸25Bの軸方向に作動するリング板111を含むとともに該リング板111の軸方向位置に応じて前記遊星キャリア73Bの回転トルクを検出するように構成されるトルク検出手段130が、遊星ギヤ式伝動機構26Bに隣接して配設されるので、トルク検出手段130のための専用の軸の増加を回避して、パワーユニットPBの小型化に寄与することができる。
【実施例3】
【0077】
本発明の実施例3について図8を参照しながら説明するが、図1〜図5の実施例1ならびに図6および図7の実施例2に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0078】
遊星ギヤ機構26Bにおけるサンギヤ71およびモータ発電機27の回転を制動し得る制動手段125は、ボールベアリング81,83…間で回転軸80に内周部が相対回転不能かつ軸方向相対移動可能に係合される回転板126と、該回転板126に対向してクランクケース31における右ケース半体31bに取付けられるコイル127とから成り、コイル127に通電することで回転板126を右ケース半体31b側に吸引することで前記サンギヤ71およびモータ発電機27を制動することができる。
【0079】
この実施例3によっても実施例2と同様の効果を奏することができる。
【0080】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0081】
25A,25B・・・出力軸
26A,26B・・・遊星ギヤ式伝動機構
27・・・モータ発電機
28,125・・・制動手段
29A,29B・・・クランクシャフト
41・・・伝動手段
43・・・一方向クラッチ
45・・・セルモータ
54・・・回転部材である伝動筒軸
61・・・電磁ブレーキ
70・・・リングギヤ
71・・・サンギヤ
72・・・遊星ギヤ
73A,73B・・・遊星キャリア
104・・・突起
105・・・回転数センサ
111・・・可動部材であるリング板
130・・・トルク検出手段
EA,EB・・・エンジン
PA,PB・・・パワーユニット
WR・・・駆動輪である後輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(EA,EB)のクランクシャフト(29A,29B)からの動力が入力されるリングギヤ(70)、該リングギヤ(70)で同軸に囲繞されるサンギヤ(71)、前記リングギヤ(70)および前記サンギヤ(71)に噛合する遊星ギヤ(72)、ならびに前記クランクシャフト(29A,29B)と平行な軸線を有するとともに駆動輪(WR)に伝動手段(41)を介して連動、連結される出力軸(25A,25B)に連結されるとともに前記遊星ギヤ(72)を軸支する遊星キャリア(73A,73B)を有して前記出力軸(25A,25B)と同軸に配置される遊星ギヤ式伝動機構(26A,26B)と、発電可能として前記サンギヤ(71)に連結されるとともに前記出力軸(25A,25B)と同軸に配置される単一のモータ発電機(27)と、前記サンギヤ(71)の回転を制動し得る制動手段(28,125)とを備えることを特徴とするハイブリッド車両用パワーユニット。
【請求項2】
前記遊星キャリア(73A,73B)の外周に、回転数センサ(105)で検出される複数の突起(104)が突設されることを特徴とする請求項1記載のハイブリッド車両用パワーユニット。
【請求項3】
前記遊星キャリア(73B)が発揮する回転トルクの変化に応じて前記出力軸(25B)の軸方向に作動する可動部材(111)を含むとともに該可動部材(111)の軸方向位置に応じて前記遊星キャリア(73B)の回転トルクを検出するように構成されるトルク検出手段(130)が、前記遊星ギヤ式伝動機構(26B)に関して前記モータ発電機(27)とは反対側で該遊星ギヤ式伝動機構(26B)に隣接して配設されることを特徴とする請求項1または2記載のハイブリッド車両用パワーユニット。
【請求項4】
セルモータ(45)が、前記クランクシャフト(29B)からの正転方向の駆動力を遮断するものの前記クランクシャフト(29B)からの逆転方向の駆動力を伝達する一方向クラッチ(43)を介して前記クランクシャフト(29B)に連結され、前記エンジン(EB)の停止状態での前記モータ発電機(27)の作動に応じて前記遊星ギヤ式伝動機構(26B)から前記クランクシャフト(29B)に作用する逆転方向の駆動トルクが前記セルモータ(45)のフリクショントルクよりも小さくなるように設定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のハイブリッド車両用パワーユニット。
【請求項5】
前記モータ発電機(27)の最大駆動力が前記セルモータ(45)のフリクショントルクよりも小さく設定されることを特徴とする請求項4記載のハイブリッド車両用パワーユニット。
【請求項6】
前記制動手段(28)が、正逆回転自在の前記セルモータ(45)の逆転作動に応じて前記サンギヤ(71)を制動するように構成されることを特徴とする請求項4または5記載のハイブリッド車両用パワーユニット。
【請求項7】
前記クランクシャフト(29A)および前記遊星ギヤ式伝動機構(26A)間に設けられる回転部材(54)の回転を制動可能な電磁ブレーキ(61)を備えることを特徴とする請求項1記載のハイブリッド車両用パワーユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−31646(P2011−31646A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177200(P2009−177200)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】