説明

バルブ機構およびバルブ装置

【課題】流体の流入部や流出部に対して弁体が弁室側に向かって移動することで、流体の流れを止めることが可能なバルブ機構であって、小型化が可能なバルブ機構を提供すること。
【解決手段】バルブ機構4は、内部に弁室10と流入部12と流出部13とが形成される本体部11と、流入部12を開閉するための弁体14とを備えている。流入部12には、小径部12aと大径部12bとが形成され、小径部12aは、大径部12bよりも弁室10側に配置されている。弁体14は、弁室10および流入部12に配置される軸部14fと、軸部14fと一体で形成され大径部12bに配置される弁部14cとを備えている。弁部14cの径は、小径部12aの径よりも大きくかつ大径部12bの径よりも小さく形成されており、弁部14cは、小径部12aと大径部12bとの境界部12dを開閉する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流れを制御するためのバルブ機構およびこのバルブ機構を備えるバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体の流れを制御するためのバルブ機構として、軸方向に往復移動して弁室から流体が流出する流出口の開閉を行う可動軸と、可動軸を駆動するためのコイルおよび永久磁石とを備えるバルブ機構が知られている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載のバルブ機構では、円筒状に巻回されたコイルと、円筒状に形成された永久磁石とが可動軸の軸方向で重なるように配置されている。また、可動軸は、磁性体で形成されており、コイルおよび永久磁石の内周側に配置されている。このバルブ機構では、コイルへの通電方向を切り替えることで、可動軸の端部に形成される磁極が切り替わり、可動軸が軸方向に移動して流出口の開閉を行う。具体的には、弁室側から流出口に向かって可動軸が移動すると、流出口が閉鎖される。
【0003】
また、流体の流れを制御するためのバルブ機構として、弁室に向かって流体が流入する流入口の開閉を軸方向に往復移動するピストンによって行うバルブ機構が知られている(たとえば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載のバルブ機構では、圧縮空気によってピストンが軸方向に移動して流入口の開閉を行う。具体的には、弁室側から流入口に向かってピストンが移動すると、流入口が閉鎖される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−16935号公報
【特許文献2】特開平5−248566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のバルブ機構では、弁室側から流出口に向かって可動軸が移動すると、流出口が閉鎖されて、流体の流れが止まる。また、特許文献2に記載のバルブ機構では、弁室側から流入口に向かってピストンが移動すると、流入口が閉鎖されて、流体の流れが止まる。このように、特許文献1または特許文献2に記載のバルブ機構では、可動軸やピストン等の弁体が弁室側から流出口や流入口に向かって移動すると、流体の流れが止まっており、流出口や流入口に対して弁体が弁室側に向かって移動することで、流体の流れを止めることが可能なバルブ機構は、特許文献1および特許文献2には開示されていない。
【0006】
そこで、本発明の課題は、流体の流入部や流出部に対して弁体が弁室側に向かって移動することで、流体の流れを止めることが可能なバルブ機構であって、小型化が可能なバルブ機構を提供することにある。また、本発明の課題は、かかるバルブ機構を備えるバルブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のバルブ機構は、内部に弁室が形成されるとともに弁室に流入する流体が通過する流入部と弁室から流出する流体が通過する流出部とが形成される本体部と、流入部または流出部を開閉するための弁体とを備え、流入部または流出部には、小径部と小径部よりも径の大きな大径部とが形成され、小径部は、大径部よりも弁室側に配置され、弁体は、弁室、小径部および大径部に配置される軸状部材を備え、軸状部材は、その一部が小径部に配置される軸部と、軸部よりも径が大きく大径部に配置されるとともに軸部と一体で形成される弁部とを備え、弁部の径は、小径部の径よりも大きくかつ大径部の径よりも小さく形成され、弁部は、小径部と大径部との境界部を開閉することを特徴とする。
【0008】
本発明のバルブ機構では、流入部または流出部に、小径部と大径部とが形成され、小径部は、大径部よりも弁室側に配置されている。また、軸状部材は、弁室、小径部および大径部に配置されている。さらに、軸状部材に形成され大径部に配置される弁部の径は、小径部の径よりも大きくかつ大径部の径よりも小さくなっており、弁部は、小径部と大径部との境界部を開閉する。そのため、本発明では、流入部や流出部に対して弁体が弁室側に向かって移動することで、流入部または流出部を閉鎖して、流体の流れを止めることが可能になる。
【0009】
また、本発明では、大径部に配置される弁部が、小径部に配置される軸部と一体で形成されている。そのため、弁部と軸部とが別体で形成される場合と比較して、弁体の構成を簡素化することが可能になる。したがって、バルブ機構の構成を簡素化して、バルブ機構を小型化することが可能になる。
【0010】
本発明において、境界部は、大径部に向かうにしたがって径方向の外側に広がるように傾斜する傾斜面状に形成され、弁部には、境界部に当接して境界部を閉鎖する斜面状の境界当接部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、境界部と弁部とを確実に接触させることが可能になる。したがって、流入部や流出部に対して弁体が弁室側に向かって移動して、流入部または流出部を閉鎖するバルブ機構であっても、弁部によって、流入部または流出部を確実に閉鎖することが可能になる。
【0011】
本発明において、軸状部材の軸方向に対する境界部の傾斜角度は、軸状部材の軸方向に対する境界当接部の傾斜角度よりも大きくなっていることが好ましい。このように構成すると、境界当接部が境界部により接触しやすくなるとともに、境界部から境界当接部を容易に離すことが可能になる。
【0012】
本発明において、小径部および大径部は、流入部に形成され、弁部は、流入部を開閉することが好ましい。このように構成すると、弁体が流入部を閉鎖しているときに、流体の流入側の圧力が大きくなっても、弁室への流体の流入を確実に止めることが可能になる。したがって、弁体が流入部を閉鎖しているときのバルブ機構からの流体の漏れを確実に防止することが可能になる。
【0013】
本発明において、本体部は、分割可能な第1本体部と第2本体部とを備え、弁体は、本体部に対する軸状部材の軸方向への相対移動が可能となるように軸状部材を保持する膜状部材を備え、膜状部材は、第1本体部と第2本体部との合せ目における弁室からの流体の漏れを防止するシール機能を果たしていることが好ましい。このように構成すると、第1本体部と第2本体部との合せ目に別途、シール部材を配置する必要がなくなる。したがって、バルブ機構の構成を簡素化することが可能になる。
【0014】
本発明において、弁体は、弾性材料で形成されていることが好ましい。このように構成すると、流入部または流出部に形成される境界部と弁部とを密着させることが可能になり、流体の漏れを効果的に抑制することが可能になる。
【0015】
本発明において、弁体は、本体部に対する軸状部材の軸方向への相対移動が可能となるように軸状部材を保持する膜状部材を備え、軸状部材の中心部は、軸状部材の表面部よりも縦弾性係数の大きな硬質材料で形成され、膜状部材は、軸状部材の中心部よりも横弾性係数の小さな軟質材料で形成されていることが好ましい。このように構成すると、軸状部材の軸方向への円滑な移動が可能になる。すなわち、軸状部材の中心部が硬質材料で形成されていると、軸方向へ移動させるための力が軸状部材に作用しても軸状部材が変形しにくくなるととともに、膜状部材が軟質材料で形成されていると、軸方向へ移動させるための力が軸状部材に作用したときに膜状部材が容易に変形するため、軸状部材の軸方向への円滑な移動が可能になる。
【0016】
本発明において、軸状部材の表面部と膜状部材とは、軸状部材の中心部よりも縦弾性係数および横弾性係数の小さな同じ軟質材料で形成されていることが好ましい。このように構成すると、軸状部材の表面部と膜状部材とが異なる軟質材料で形成されている場合と比較して、弁体の構成を簡素化することが可能になる。
【0017】
本発明において、バルブ機構は、流入部に繋がる流入孔と流出部に繋がる流出孔とが形成されるとともに弾性材料で形成されるゴム製のシール部材を備えることが好ましい。このように構成すると、1個のシール部材を用いた簡易な構成で、本体部に流入する流体の漏れ、および、本体部から流出する流体の漏れを防止することが可能になる。
【0018】
本発明において、流入孔または流出孔の一方は、大径部に繋がるように配置され、大径部に繋がる流入孔または流出孔の一方の径は、弁部の径よりも小さいことが好ましい。このように構成すると、シール部材に弁部を当接させて、弁体の可動範囲を規制することが可能になる。したがって、弁体の可動範囲を規制するための規制部材を別途、設ける必要がなくなり、バルブ機構の構成を簡素化することが可能になる。
【0019】
本発明のバルブ機構は、流入部または流出部に対する弁体の開閉動作を行うバルブ駆動機構を備えるバルブ装置に用いることができる。このバルブ装置では、流入部や流出部に対して弁体が弁室側に向かって移動することで、流入部または流出部を閉鎖して、流体の流れを止めることが可能になる。また、このバルブ装置では、バルブ機構を小型化することが可能になるため、装置を小型化することが可能になる。
【0020】
本発明において、バルブ装置は、弁部が境界部を閉鎖している状態を維持するための付勢機構を備えることが好ましい。この場合、付勢機構は、たとえば、バネ部材である。また、本発明において、付勢機構は、バネ部材であっても良いが、付勢機構は、磁気的吸引機構であることが好ましい。また、付勢機構が磁気的吸引機構である場合には、磁気的吸引機構は、軸状部材の一端に取り付けられる磁性部材と、弁部が境界部を閉鎖する方向へ磁性部材を吸引する保持用磁石とを備えることが好ましい。このように構成すると、流入部または流出部を弁部によって確実に閉鎖することが可能になり、弁室からの流体の漏れを防止することが可能になる。また、弁部が境界部を開放する方向へ弁体が移動するにしたがって、磁性部材と保持用磁石との間の磁気的吸引力は低下していくため、弁体の開閉動作を行うバルブ駆動機構の動力を低減することが可能になる。したがって、バルブ駆動機構の構成を簡素化することが可能になる。
【0021】
本発明において、たとえば、本体部は、分割可能な第1本体部と第2本体部とを備え、弁体は、本体部に対する軸状部材の相対移動が可能となるように軸状部材を保持する膜状部材を備え、膜状部材は、第1本体部と第2本体部との合せ目における弁室からの流体の漏れを防止するシール機能を果たし、バルブ機構では、バルブ駆動機構による弁体の開動作によって、弁部が境界部から離れるとともに、バルブ駆動機構による弁体の閉動作によって、弁部が境界部に当接するとともに、バルブ駆動機構による弁体の開閉動作によって、膜状部材が変形し、バルブ機構では、弁部が境界部から離れると、流入部から弁室に流体が流入するとともに、流出部から流体が流出し、かつ、弁部が境界部に当接すると、流入部から弁室への流体の流入が停止するとともに、流出部からの流体の流出が停止する。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明のバルブ機構およびバルブ装置では、流体の流入部や流出部に対して弁体が弁室側に向かって移動することで、流体の流れを止めることが可能になるとともに、小型化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態にかかるバルブ装置の斜視図である。
【図2】図1のバルブ装置の分解斜視図である。
【図3】図1に示すバルブ機構の斜視図である。
【図4】図3に示すバルブ機構の断面図である。
【図5】図3に示すバルブ機構の分解斜視図である。
【図6】図5に示すピストン保持部の具体的な構成を説明するための断面図である。
【図7】図3に示す第1本体部への弁体の取付工程を説明するための図であり、(A)は弁部が小径部を通過する前の状態を示す図、(B)は弁部が小径部を通過した後の状態を示す図である。
【図8】図1に示すバルブ装置からカバー部材を取り外した状態を示す平面図である。
【図9】図8のE−E断面の断面図である。
【図10】図2に示す減速板および連結部材の斜視図である。
【図11】図1に示すバルブ装置の、弁体が流入部を開放しているときの状態を示す平面図である。
【図12】本発明の他の実施の形態にかかる弁体の構成を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
(バルブ装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるバルブ装置1の斜視図である。図2は、図1のバルブ装置1の分解斜視図である。
【0026】
本形態のバルブ装置1は、図1に示すように、扁平な略直方体状に形成されている。このバルブ装置1は、非常に小さくかつ薄く形成されており、たとえば、その縦幅および横幅は15mm程度であり、その厚さは1.5mm程度である。バルブ装置1は、図1、図2に示すように、流体の流入口2および流出口3を有するバルブ機構4と、バルブ機構4を構成する後述の弁体14の開閉動作を行うためのバルブ駆動機構5とを備えている。また、バルブ装置1は、平板状に形成されるベース部材6と、ベース部材6上に配置されるバルブ駆動機構5を覆うカバー部材7とを備えている。
【0027】
なお、以下の説明では、図1に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とする。また、図1のX1方向側を「右」側、X2方向側を「左」側、Y1方向側を「前」側、Y2方向側を「後(後ろ)」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0028】
(バルブ機構の構成)
図3は、図1に示すバルブ機構4の斜視図である。図4は、図3に示すバルブ機構4の断面図である。図5は、図3に示すバルブ機構4の分解斜視図である。図6は、図5に示すピストン保持部14hの具体的な構成を説明するための断面図である。図7は、図3に示す第1本体部19への弁体14の取付工程を説明するための図であり、(A)は弁部14cが小径部12aを通過する前の状態を示す図、(B)は弁部14cが小径部12aを通過した後の状態を示す図である。
【0029】
バルブ機構4は、図4、図5に示すように、内部に弁室10が形成される本体部11を備えている。本体部11には、弁室10に流入する流体が通過する流入部12と弁室10から流出する流体が通過する流出部13とが形成されている。また、バルブ機構4は、流入部12を開閉する弁体14と、流入部12に繋がる流入孔17aと流出部13に繋がる流出孔17bとが形成されるシール部材17とを備えている。
【0030】
本体部11は、上下方向に扁平な略直方体状に形成されている。この本体部11は、前後方向に分割可能な樹脂製の第1本体部19と第2本体部20とを備えている。本形態では、第1本体部19が後ろ側に配置され、第2本体部20が前側に配置されており、第1本体部19と第2本体部20とは互いに固定されている。
【0031】
第1本体部19は、上下方向に扁平な略直方体状に形成されている。この第1本体部19の内部に、弁室10、流入部12および流出部13が形成されている。また、第1本体部19には、弁体14を構成する後述のダイヤフラム部14bが配置される第1配置凹部19aと、シール部材17が配置される第2配置凹部19bとが形成されている。第1配置凹部19aは、第1本体部19の前端面から後ろ側に向かって窪むように形成され、第2配置凹部19bは、第1本体部19の後端面から前側に向かって窪むように形成されている。
【0032】
弁室10は、第1配置凹部19aに繋がるように、第1本体部19の前端側に形成されている。図5に示すように、弁室10と第1配置凹部19aとの境界部には、Z方向とX方向とから形成されるZX平面に平行な段差面19cが形成されている。流入部12は、弁室10の右端側の後面に繋がるように形成されるとともに、第2配置凹部19bに繋がるように形成されている。流出部13は、弁室10の左端側の後面に繋がるように形成されるとともに、第2配置凹部19bに繋がるように形成されている。
【0033】
流入部12には、前後方向から見たときの形状が略円形状となる丸孔状の小径部12aと、小径部12aよりも径の大きな丸孔状の大径部12bとが形成されている。図4に示すように、小径部12aは、流入部12の前端側に形成されており、小径部12aの前端は、前側に向かうにしたがって径方向の外側に広がるように傾斜する円錐台状の傾斜面部12cを介して弁室10に繋がっている。
【0034】
大径部12bは、流入部12の後端側に形成されており、大径部12bの後端は、第2配置凹部19bに繋がっている。また、小径部12aと大径部12bとの境界には、後ろ側に向かうにしたがって径方向の外側に広がるように傾斜する円錐台状の傾斜面部12dが形成されている。すなわち、本形態の傾斜面部12dは、小径部12aと大径部12bとの境界部となっており、大径部12bに向かうにしたがって径方向の外側に広がるように傾斜する傾斜面状に形成されている。本形態では、傾斜面部12dの表面は滑らかになっている。なお、流出部13は、前後方向から見たときの形状が略円形状となる径が一定の丸孔状に形成されている。
【0035】
段差面19cには、図5に示すように、前側に向かってわずかに突出する凸部19dが形成されている。具体的には、段差面19cの右端側に略円弧状の凸部19dが形成されている。この凸部19dは、その断面形状が略三角形状となるように形成されている。
【0036】
第2本体部20は、略平板状に形成されている。この第2本体部20には、弁体14を構成する後述のピストン部14aが配置されるピストン配置孔20aが前後方向に貫通するように形成されている。本形態では、流入部12の前方にピストン配置孔20aが形成されている。
【0037】
また、第2本体部20の後面には、図4に示すように、後ろ側に向かってわずかに突出する凸部20bが形成されている。この凸部20bは、弁体14を構成する後述のダイヤフラム部14bの前面に当接するように形成されている。具体的には、後述のように前後方向から見たときの形状が略前方後円墳状となるように形成されるダイヤフラム部14bの前面の外周側部分(図5の二点鎖線で示す部分)に当接するように形成されている。すなわち、凸部20bは、前後方向から見たときの形状がダイヤフラム部14bの外形よりもわずかに小さな略前方後円墳状となるように形成されている。また、凸部20bは、その断面形状が略三角形状となるように形成されている。
【0038】
弁体14は、弾性材料で形成されている。具体的には、本形態の弁部14は、ゴムで形成されている。この弁体14は、略円柱状に形成されるとともに前後方向を軸方向として配置される軸状部材としてのピストン部14aと、本体部11に対するピストン部14aの前後方向への相対移動が可能となるようにピストン部14aを保持する膜状部材としてのダイヤフラム部14bとを備えている。ピストン部14aの後端側の約半分は、弁室10、流入部12(すなわち、小径部12a、大径部12bおよび傾斜面部12c、12d)およびピストン配置孔20aの中に配置され、ピストン部14aの前端側の約半分は、本体部11から前側に向かって突出している。ダイヤフラム部14bは、第1配置凹部19aの中に配置されている。なお、弁部14は、ゴム性を有する樹脂材料で形成されても良い。
【0039】
ダイヤフラム部14bは、膜状に形成されるとともに、前後方向におけるピストン部14aの中間位置から前後方向に直交する方向に広がる略鍔状に形成されている。なお、ダイヤフラム部14bは、ピストン部14aと一体で形成されても良いし、ピストン部14aと別体で形成されてピストン部14aに固定されても良い。
【0040】
図5に示すように、ダイヤフラム部14bは、前後方向から見たときの形状が略前方後円墳状となるように形成されている。ダイヤフラム部14bの右端側に配置される円形部分の中心には、ピストン部14aを保持するピストン保持部14hが形成されている。図5、図6に示すように、ピストン保持部14hの前面には、後ろ側へ向かって窪む円形状の円形凹部14jが形成されている。また、ピストン保持部14hの後面にも、前側へ向かって窪む円形状の円形凹部14kが形成されている(図6参照)。図6に示すように、円形凹部14kの径は、円形凹部14jの径よりも大きくなっており、上下方向に直交する方向におけるピストン保持部14hの断面は、略波形状となっている。
【0041】
円形凹部14jおよび円形凹部14kは、ピストン部14aの移動を滑らかにするために形成されている。すなわち、ピストン保持部14hが平板状に形成されている場合と比較して、円形凹部14j、14kが形成されている場合には、ピストン保持部14hの、円形凹部14j、14kが形成されている箇所の厚さを薄くすることができるため、ピストン保持部14hを変形させやすくなり、その結果、ピストン部14aの移動を滑らかにすることができる。また、ピストン保持部14hを変形させやすくなるため、ピストン保持部14hが平板状に形成されている場合と比較して、ピストン部14aを動かすために必要とされる力を低減することができる。特に本形態では、円形凹部14kの径は、円形凹部14jの径よりも大きくなっており、上下方向に直交する方向におけるピストン保持部14hの断面は、略波形状となっているため、ピストン保持部14hをより変形させやすくなり、その結果、ピストン部14aの移動をより滑らかにすることができるとともに、ピストン部14aを動かすために必要とされる力をより低減することができる。
【0042】
ダイヤフラム部14bは、弁室10の前端側の全域を覆うように第1配置凹部19aの中に配置されている。具体的には、ダイヤフラム部14bの外周側部分が第2本体部20の後面と段差面19cとの間に挟まれた状態で、ダイヤフラム部14bは第1配置凹部19aの中に配置されている。本形態では、ダイヤフラム部14bの弾性変形を利用してピストン部14aが前後方向へ移動する。また、本形態のダイヤフラム部14bは、第1本体部19と第2本体部20との合せ目における弁室10からの流体の漏れを防止するシール機能を果たしている。
【0043】
本形態では、第1本体部19に形成される凸部19dは、図4に示すように、円形凹部14kの中に配置されている。具体的には、凸部19dは、円形凹部14kの底面が前側に向かってわずかに窪むように円形凹部14kの底面に当接した状態で、円形凹部14kの中に配置されている。また、第2本体部20に形成される凸部20bは、図4に示すように、ダイヤフラム部14bの前面の外周側部分(図5の二点鎖線で示す部分)が後ろ側に向かってわずかに窪むように、ダイヤフラム部14bの前面の外周側部分に当接している。このように、本形態では、凸部19d、20bによって、第1本体部19と第2本体部20との合せ目における弁室10からの流体の漏れを防止するシール機能が効果的に高められている。
【0044】
なお、円形凹部14kの中に配置される凸部19dは、後述のように、ピストン部14aが後ろ側へ押された際にダイヤフラム部14bが過度に変形するのを防止する機能を果たしている。また、円形凹部14kの中に配置される凸部19dは、ダイヤフラム部14bと第1本体部19との位置決めの機能も果たしている。
【0045】
ピストン部14aの後端には、後ろ側から傾斜面部12dに当接して流入部12を塞ぐ弁部14cが形成されている。また、ピストン部14aの前端には、バルブ駆動機構5に連結される連結部14dが形成されている。弁部14cおよび連結部14dの径は、ピストン部14aの、弁部14cおよび連結部14d以外の部分の径よりも大きくなっている。
【0046】
ピストン部14aの、ダイヤフラム部14bと弁部14cとの間の部分は、弁室10や小径部12a等に配置される軸部14fとなっている。軸部14fの後端側の径は、小径部12aの径よりも小さくなっている。また、軸部14fの径は、後ろ側に向かうにしたがって次第に小さくなっている。すなわち、軸部14fは、後ろ側に向かうにしたがって細くなるテーパ状に形成されている。なお、軸部14fの径は、前後方向において一定であっても良い。すなわち、軸部14fは、テーパ状ではなくて、円柱状に形成されても良い。
【0047】
弁部14cの径は、流入部12の小径部12aの径よりも大きく、かつ、大径部12bの径よりも小さく形成されており、弁部14cの前端側が傾斜面部12dに当接可能となっている。弁部14cの前端側は、後ろ側に向かうにしたがって径方向の外側に広がるように傾斜する円錐台状に形成されている。本形態では、弁部14cの前端側は、傾斜面部12dに当接して傾斜面部12dを閉鎖する斜面状の境界当接部14eとなっている。弁部14cは、弁体14が流入部12を閉鎖している状態では、大径部12bおよび傾斜面部12dの内周側に配置されている。
【0048】
なお、本形態では、傾斜面部12dと境界当接部14eとが当接した際の傾斜面部12dと境界当接部14eとの接触面積を限定して、傾斜面部12dと境界当接部14eとの粘着力を低減するため、前後方向に対する傾斜面部12dの傾斜角度は、前後方向に対する境界当接部14eの傾斜角度よりも大きくなっている。また、傾斜面部12dと境界当接部14eとの粘着力を低減するため、第1ケース体19は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の潤滑性に優れた樹脂で形成されても良いし、第1ケース体19の表面(より具体的には、少なくとも傾斜面部12dの表面)にフッ素コーティングが施されても良い。
【0049】
また、本形態では、傾斜面部12dの表面は滑らかになっているが、傾斜面部12dの表面に、断面形状が略三角形状となる凸部が、たとえば、同芯状あるいは放射状等に形成されても良い。ただし、傾斜面部12dに境界当接部14eが食いつかないように、かつ、境界当接部14eが傾斜面部12dを通過することがないように、傾斜面部12dの表面に凸部が形成される必要がある。また、後述のように、ピストン部14aが後ろ側に押され、弁部14cが傾斜面部12dから離れたときに、圧力損失が生じないように(あるいは、圧力損失がそれほど生じないように)、かつ、境界当接部14eと傾斜面部12dとの間の流路が確保されるように、傾斜面部12dの表面に凸部が形成される必要がある。
【0050】
シール部材17は、弾性材料で形成されている。具体的には、本形態のシール部材17は、ゴムで形成されている。このシール部材17は、第2配置凹部19bの中に配置されている。具体的には、流入部12に流入孔17aが繋がり、流出部13に流出孔17bが繋がるように、シール部材17は第2配置凹部19bの中に配置されている。本形態では、流入孔17aの後端が流入口2となり、流出孔17bの後端が流出口3となっている。なお、シール部材17は、ゴム性を有する樹脂材料で形成されても良い。
【0051】
上述のように、流入孔17aは流入部12に繋がっている。具体的には、流入孔17aは、大径部12bに繋がっている。本形態では、流入孔17aの径は、弁部14cの径よりも小さくなっている。そのため、弁体14が後ろ側に移動していくと、やがて、弁部14cの後端は、シール部材17に当接する。
【0052】
以上のように構成されたバルブ機構4では、ピストン部14aが前側に引っ張られると、弁部14cが流入部12の傾斜面部12dに当接して、流入部12が閉鎖される。また、ピストン部14aが後ろ側に押されると、弁部14cが傾斜面部12dから離れ、流入部12が開放される。すなわち、バルブ機構4では、弁部14cが傾斜面部12dを開閉する。
【0053】
なお、本形態では、図4に示すように、ピストン配置孔20aとピストン部14aとの間には、所定の隙間が形成されているため、ピストン部14aが前側に引っ張られたときには、ピストン部14aは円滑に前側へ移動して、弁部14cが傾斜面部12dに確実に当接する。すなわち、ピストン配置孔20aとピストン部14aとの間に隙間がないと、ピストン部14aが前側に引っ張られたときに、ピストン保持部14hが第2本体部20に後面に当接してしまうため、ピストン部14aが円滑に前側へ移動せず、弁部14cを傾斜面部12dに確実に当接させることが困難になるが、本形態では、ピストン部14aが円滑に前側へ移動して、弁部14cが傾斜面部12dに確実に当接する。このように、ピストン配置孔20aとピストン部14aとの間の隙間は、ピストン部14aを円滑に前側に移動させて、弁部14cを傾斜面部12dに確実に当接させるための逃しスペースとして機能している。
【0054】
また、以上のように構成されたバブル機構4では、たとえば、以下のように、第1本体部19に弁体14が取り付けられる。まず、図7に示すように、第1本体部19に取り付けられる前の弁体14には、弁部14cよりも後ろ側へ突出する取付用突起部14mが一体で形成されている。図7(A)に示すように、取付用突起部14mを前側から流入部12に挿通し、流入部12の後方から後ろ側に向かって引っ張ると、図7(B)に示すように、小径部12aよりも径の大きな弁部14cが弾性変形しながら、小径部12aを通過して大径部12bに配置される。また、ダイヤフラム部14bは、第1配置凹部19aの中に配置される。
【0055】
その後、弁部14cの後端面となる切断面14nが第1本体部19の後端面よりも後ろ側に突出するように、取付用突起部14mを後ろ側に引っ張ってから、切断面14nで取付用突起部14mを切断する。取付用突起部14mが切断されると、第1本体部19への弁体14の取付が完了する。なお、切断面14nに、多少の凹凸が形成されても、切断面14nが傾斜面部12dに当接するわけではないため、特に問題はない。一方で、境界当接部14eは、傾斜面部12dに当接するため、金型で弁体14を製作する場合には、弁体14を製作する際に、境界当接部14eを精度良く形成する必要がある。また、金型で第1ケース体19を製作する場合には、傾斜面部12dに金型のパーティングラインやバリが発生しないように、傾斜面部12dを精度良く形成する必要がある。
【0056】
(バルブ駆動機構の構成)
図8は、図1に示すバルブ装置1からカバー部材7を取り外した状態を示す平面図である。図9は、図8のE−E断面の断面図である。図10は、図2に示す減速板29および連結部材41の斜視図である。なお、以下の説明では、図8の時計方向を「時計方向」、図8の反時計方向を「反時計方向」とする。また、図8では、弁体14が流入部12を閉鎖しているときのバルブ装置1の状態を図示している。
【0057】
バルブ駆動機構5は、流入部12に対する弁体14の開閉動作を行うためのものであり、図2に示すように、表面上に駆動用コイル26が形成される樹脂製の基板25と、ベース部材6の上面に固定される駆動用磁石27と、上下方向を軸方向とする回動が可能となるように基板25を支持する軸受部28とを備えている。このバルブ駆動機構5は、駆動用磁石27に対して基板25が軸受部28を中心とする揺動動作を行うように構成されている。
【0058】
また、バルブ駆動機構5は、基板25の揺動を減速して弁体14に伝達するための減速板29と、減速板29と弁体14とを連結するための連結機構30と、駆動用コイル26の両端部のそれぞれが連結される2個の端子31と、端子31を保持する端子台32とを備えている。本形態では、減速板29は、ベース部材6に固定される支点軸33を中心にして回動可能となっている。
【0059】
基板25は、図2に示すように、平板状に形成されている。また、基板25は、円周方向の一部に切欠部25aを有する略扇形状に形成されている。具体的には、基板25は、その中心角θ(図8参照)が180°以上となる略扇形状に形成されている。本形態の基板25の中心角θは、略270°となっている。
【0060】
基板25の中心部には、軸受部28を構成する後述の転がり軸受35が挿通される円形の貫通孔25bが形成されている。基板25の外周側には、減速板29に形成される後述の係合突起29bに係合する係合溝25cが形成されている。係合溝25cは、基板25の径方向外側端から径方向の内側に向かって窪むように形成されている。切欠部25aの径方向内側部分には、径方向の内側に向かって窪む略半円状の2個の凹部25dが周方向で隣接するように形成されている。
【0061】
基板25の下面には、2個の駆動用コイル26が形成されている。本形態では、図2に示すように、略扇形状に巻回された導線パターンが基板25の下面に印刷されており、印刷された導線パターンによって2個の駆動用コイル26が形成されている。2個の駆動用コイル26は、導線パターンが同じ方向に順次、巻回されて形成されており、直列に接続されている。
【0062】
2個の駆動用コイル26を形成する導線パターンの一端は、2個の凹部25dのうちの一方の凹部25dの側面に配置されている。また、導線パターンの他端は、他方の凹部25dの側面に配置されている。すなわち、導線パターンの一端側は、一方の凹部25dの側面まで形成され、導線パターンの他端側は、他方の凹部25dの側面まで形成されている。
【0063】
駆動用磁石27は、図2に示すように、平板状に形成されている。また、駆動用磁石27は、円周方向の一部に切欠部27aを有する略扇形状に形成されている。具体的には、駆動用磁石27は、その中心角が180°以上となる略扇形状に形成されている。また、駆動用磁石27の中心角は、基板25の中心角θよりも大きく形成されている。具体的には、駆動用磁石27の中心角は、基板25の揺動角度と略同程度分だけ、基板25の中心角θより大きく形成されている。
【0064】
駆動用磁石27の中心には、軸受部28が配置される貫通孔27bが形成されている。貫通孔27bは、切欠部27aに繋がる略丸孔状に形成されている。駆動用磁石27は、図2に示すように、円周方向で多極に着磁されている。駆動用磁石27は、たとえば、上面がN極に着磁された略扇形状の2個の磁石片27Aと、上面がS極に着磁された略扇形状の2個の磁石片27Bとが時計方向に交互に配置されて構成されている。なお、駆動用磁石27が1個の磁石片で構成され、この1個の磁石片の上面が円周方向で多極に着磁されていても良い。
【0065】
軸受部28は、下端がベース部材6の中心部に固定されるとともに軸受部28の中心に配置される中心軸34と、内輪が中心軸34に固定される転がり軸受35と、転がり軸受35の外輪に固定されるとともに基板25を支持する基板支持部材36と、転がり軸受35の上下両側に配置される円環状のスペーサ37とを備えている。
【0066】
基板支持部材36は、円筒状に形成されており、その内周面が転がり軸受35の外輪に固定されている。また、基板25の貫通孔25bの周縁部分が基板支持部材36の上端面に載置されて固定されており、基板25は中心軸34を中心にして回動可能となっている。なお、基板25は、引張りコイルバネ等の付勢部材(図示省略)によって、反時計方向に付勢されている。
【0067】
スペーサ37は、転がり軸受35の内輪の上下両端に当接している。また、スペーサ37は、図9に示すように、カバー部材7を構成する後述の上面部7aの下面またはベース部材6の上面に当接している。
【0068】
減速板29は、非磁性材料で形成されている。また、減速板29は、平板状に形成されている。図2に示すように、減速板29の中心には、軸受部28との接触を防止するための貫通孔29aが形成されている。また、減速板29には、基板25の係合溝25cに係合する係合突起29bと、支点軸33に支持される支持部29cとが形成されている。
【0069】
係合突起29bは、減速板29の外周側部分に形成されている。また、係合突起29bは、減速板29の上面から上方向へ突出する円柱状に形成されている。本形態では、係合溝25cと係合突起29bとによって、基板25と減速板29とが連結される第1連結部39が構成されている。第1連結部39では、第1連結部39を中心とする基板25と減速板29との相対回動が可能になるように、基板25と減速板29とが連結されている。
【0070】
支持部29cは、径方向の外側へ突出するように形成されている。具体的には、支持部29cは、貫通孔29aに対して、係合突起29bが形成された部分と反対側に向かって突出するように形成されている。また、貫通孔29aから支持部29cに向かって直線状の溝29dが形成されている。具体的には、係合突起29bの中心、溝29dの中心および貫通孔29aの中心が略同一直線上に配置されるように、溝29dが形成されている。
【0071】
支持部29cの径方向外側端は、連結機構30を構成する後述の連結部材41に当接する当接部29eとなっている。また、支持部29cの径方向外側部分は、後述の連結部材41に形成される配置溝部41cの中に配置されている。
【0072】
支点軸33は、略円柱状に形成されている。この支点軸33は、その軸方向と上下方向とが略一致するように、ベース部材6の上面に固定されている。支点軸33の軸方向の中間位置には、径が小さくなった小径部33aが形成されている。小径部33aの上下方向の幅は、減速板29の厚さよりもわずかに広くなっている。また、小径部33aの径は、減速板29の溝29dの幅よりもわずかに小さくなっており、小径部33a以外の支点軸33の径は、溝29dの幅よりも大きくなっている。小径部33aは、溝29dに係合しており、減速板29は、支点軸33を中心とする回動が可能となるように、支点軸33に保持されている。
【0073】
図8に示すように、基板25の切欠部25aと駆動用磁石27の切欠部27aとが上下方向で重なるように、基板25が基板支持部材36の上端面に固定され、駆動用磁石27がベース部材6の上面に固定されている。また、減速板29は、上下方向において、基板25と駆動用磁石27との間に配置されている。すなわち、減速板29は、上下方向において、基板25の下面に形成される駆動用コイル26と駆動用磁石27との間に配置されており、駆動用コイル26の下面と駆動用磁石27の上面とは、その間に減速板29が配置された状態で、上下方向で対向している。
【0074】
本形態では、駆動用コイル26の、基板25の径方向に略平行な径方向辺26a、26bのうちの、反時計方向側に配置される径方向辺26aと磁石片27Aとが対向している。また、径方向辺26a、26bのうちの、時計方向側に配置される径方向辺26bと磁石片27Bとが対向している。また、図9に示すように、上下方向において、基板25の下面と減速板29の上面との間にはわずかな隙間が形成され、減速板29の下面と駆動用磁石27の上面との間にはわずかな隙間が形成されている。なお、駆動用磁石27の上面には、減速板29の下面に当接して減速板29を支持する支持部材(図示省略)が固定されている。この支持部材は、摺動性に優れた材料で形成されており、減速板29は、この支持部材と支点軸33とによって支持されている。
【0075】
連結機構30は、弁体14の連結部14dを保持する保持凹部41aが形成される連結部材41と、連結部材41の右端側を回動可能に保持する保持部材42と、弁体14が流入部12を閉鎖している状態を維持するための保持用磁石43と、保持用磁石43のバックヨークとなる磁性部材44とを備えている。
【0076】
連結部材41は、磁性材料で形成されている。また、連結部材41は、略ブロック状に形成されている。連結部材41には、図10に示すように、上述の保持凹部41aに加え、保持部材42に保持される回動中心部41bと、減速板29の支持部29cの径方向外側部分が配置される配置溝部41cと、減速板29の当接部29eが当接する当接面41dとが形成されている。連結部材41は、減速板29からの動力を弁体14に伝達する機能を果たしている。すなわち、連結部材41は、減速板29と弁体14とを連結する機能を果たしている。
【0077】
保持凹部41aは、連結部材41の後面から前側に向かって窪むように形成されている。保持凹部41aの縁には、保持凹部41a内に配置される弁体14の連結部14dの抜けを防止するための一対の抜止め突起41eが形成されている(図10参照)。本形態では、連結部14dと保持凹部41aとによって、弁体14と連結部材41とが連結される第2連結部45が構成されている。
【0078】
回動中心部41bは、連結部材41の右端側に形成され、配置溝部41cは、連結部材41の左端側に形成されている。当接面41dは、連結部材41の前面の一部を構成するとともに、配置溝部41cの右側に形成されている。
【0079】
保持部材42は、矩形の平板状に形成されている。この保持部材42の後端には、図2に示すように、連結部材41の回動中心部41bが回動可能に保持される保持溝42aが前側に向かって窪むように形成されている。保持用磁石43は、矩形の平板状に形成され、連結部材41の前方に配置されている。磁性部材44は、矩形の平板状に形成され、保持部材42の前端に固定されている。また、磁性部材44の後面には、保持用磁石43の前面が固定されている。
【0080】
上述のように、連結部材41は、磁性材料で形成されている。そのため、連結部材41と保持用磁石43との間には、連結部材41と保持用磁石43との距離に応じた磁気的吸引力が生じている。本形態では、連結部材41と保持用磁石43とによって、弁部14cが傾斜面部12dに当接している状態を維持するための付勢機構としての磁気的吸引機構48が構成されている。また、本形態の連結部材41は、ピストン部14aの前端となる連結部14dに取り付けられる磁性部材である。
【0081】
本形態では、減速板29が時計方向に回動すると、減速板29の当接部29eが当接面41dに当接して、当接面41dを後ろ側へ押す。当接面41dが後ろ側へ押されると、連結部材41は、回動中心部41bを中心にして反時計方向に回動する。連結部材41が反時計方向に回動すると、連結部材41によってピストン部14aが後ろ側に移動する。
【0082】
一方、ピストン部14aが後ろ側に押された状態で、減速板29が反時計方向に回動すると、連結部材41と保持用磁石43との間の吸引力やダイヤフラム部14bの復元力によって、連結部材41は、回動中心部41bを中心にして時計方向に回動し、ピストン部14aは、前側に移動する。
【0083】
図8等に示すように、切欠部25a、27aは、バルブ装置1の右後端部分に配置されている。また、切欠部25a、27aには、バルブ機構4、連結機構30および支点軸33が配置されている。具体的には、バルブ機構4はバルブ装置1の右後端に配置され、連結機構30はバルブ機構4の前側に配置され、支点軸33は連結機構30の左側に配置されている。また、本形態では、流入口2および流出口3がバルブ装置1の後面に配置されるように、バルブ機構4が配置されている。
【0084】
また、図8に示すように、第1連結部39から支点軸33までの距離は、第1連結部39から軸受部28までの距離よりも長くなっている。また、第1連結部39から支点軸33までの距離は、第2連結部45から支点軸33までの距離よりも長くなっている。そのため、基板25の揺動は減速されて弁体14に伝達される。
【0085】
ベース部材6は、磁性材料で形成されている。ベース部材6の中心には、図9に示すように、中心軸34の下端が固定される固定孔6aが形成されている。カバー部材7は、磁性材料で形成されている。このカバー部材7は、基板25の上面側を覆う上面部7aと、バルブ駆動機構5の側面を覆う側面部7bとを備えている。上面部7aには、中心軸34の上端が固定される固定孔7cが形成されており、中心軸34の上端は、固定孔7cに挿入されて固定されている。また、側面部7bの下端は、ベース部材6の端部に固定されている。
【0086】
端子31は、端子台32に保持された状態で、バルブ装置1の右前端および左後端に配置されている。本形態では、リード線47を介して、駆動用コイル26の端部と端子31とが接続されている。リード線47は、基板25の側面に沿って引き回されている。具体的には、リード線47は、基板25の側面に沿って、基板25の凹部25dから端子31まで引き回されている。
【0087】
(バルブ装置の概略動作)
図11は、図1に示すバルブ装置1の、弁体14が流入部12を開放しているときの状態を示す平面図である。
【0088】
以上のように構成されたバルブ装置1の概略動作を説明する。
【0089】
駆動用コイル26に電流が供給されていないときには、図8に示すように、基板25は、付勢部材(図示省略)によって反時計方向に付勢されている。このときには、減速板29も反時計方向に付勢されている。また、連結部材41は保持用磁石43に近づいた位置に配置されており、連結部材41と保持用磁石43との間に生じる所定の吸引力によって、ピストン部14aは前側に引っ張られている。
【0090】
したがって、このときには、弁部14cは流入部12の傾斜面部12dに当接しており、流入部12が閉鎖されている。すなわち、駆動用コイル26に電流が供給されていないときには、弁体14によって流入部12が閉鎖されており、流入口2から流出口3に向かって流体は流れない。なお、このときには、連結部材41と保持用磁石43との間に生じる吸引力によって、弁体14が流入部12を閉鎖している状態が維持されている。
【0091】
駆動用コイル26に電流が供給されると、図11に示すように、基板25が軸受部28を中心にして時計方向へ回動する。また、減速板29も支点軸33を中心にして時計方向へ回動する。減速板29が時計方向に回動すると、減速板29の当接部29eが当接面41dを後ろ側へ押し、連結部材41が回動中心部41bを中心にして反時計方向に回動する。連結部材41が反時計方向に回動すると、ピストン部14aは後ろ側に移動して、弁部14cが傾斜面部12dから離れ、流入部12が開放される。流入部12が開放されると、流入口2から流出口3に向かって流体が流れる。このように、バルブ駆動機構5による弁体14の開動作によって、弁部14cが傾斜面部12dから離れ、流入部12から弁室10に流体が流入するとともに、流出部10から流体が流出する。
【0092】
また、流入口2から流出口3に向かって流体が流れている状態で、駆動用コイル26への電流の供給が停止されると、図示を省略する付勢部材の付勢力で、基板25が軸受部28を中心にして反時計方向へ回動する。また、減速板29も支点軸33を中心にして反時計方向へ回動する。減速板29が反時計方向に回動すると、連結部材41と保持用磁石43との間の吸引力やダイヤフラム部14bの復元力によって、連結部材41が回動中心部41bを中心にして時計方向に回動し、ピストン部14aは前側に移動する。ピストン部14aが前側に移動すると、弁部14cが流入部12の傾斜面部12dに当接して、流入部12が閉鎖され、流入口2から流出口3への流体の流れが止まる。このように、バルブ駆動機構5による弁体14の閉動作によって、弁部14cが傾斜面部12dに当接して、流入部12から弁室10への流体の流入が停止するとともに、流出部13からの流体の流出が停止する。
【0093】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、流入部12に、小径部12aと大径部12bとが形成され、小径部12aが大径部12bよりも前側に配置されている。また、ピストン部14aの軸部14fは、弁室10および小径部12a等に配置されている。さらに、弁部14cの径は、小径部12aの径よりも大きくかつ大径部12bの径よりも小さくなっており、弁部14cは、傾斜面部12dを開閉する。そのため、本形態では、ピストン部14aが前側に移動することで(すなわち、流入部12に対してピストン部14aが弁室10側に向かって移動することで)、流入部12を閉鎖して、流体の流れを止めることができる。
【0094】
本形態では、大径部12bに配置される弁部14cと小径部12a等に配置される軸部14fとが一体で形成されている。そのため、弁部14cと軸部14fとが別体で形成される場合と比較して、弁体14の構成を簡素化することができる。したがって、バルブ機構4の構成を簡素化することができ、バルブ機構4を小型化することが可能になる。
【0095】
本形態では、小径部12aと大径部12bとの境界部となる傾斜面部12dは、後ろ側に向かうにしたがって径方向の外側に広がるように傾斜する傾斜面状に形成されている。また、弁部14cの前端側は、後ろ側に向かうにしたがって径方向の外側に広がるように傾斜する円錐台状に形成された境界当接部14eとなっている。そのため、傾斜面部12dと弁部14cとを確実に接触させることが可能になる。特に本形態では、弁体14がゴムで形成されているため、傾斜面部12dと弁部14cとを密着させることが可能になる。したがって、流入部12に対してピストン部14aが弁室10側に向かって移動して、流入部12を閉鎖するバルブ機構4であっても、弁部14cによって、流入部12を確実に閉鎖することが可能になる。また、本形態では、前後方向に対する傾斜面部12dの傾斜角度が、前後方向に対する境界当接部14eの傾斜角度よりも大きくなっているため、境界当接部14eが傾斜面部12dにより接触しやすくなるとともに、傾斜面部12dから境界当接部14eを容易に離すことが可能になる。
【0096】
本形態では、弁部14cによって、流入部12が閉鎖されている。したがって、弁体14が流入部12を閉鎖しているときに、流体の流入側の圧力が大きくなると、圧力に比例した押付力で、弁部14cが傾斜面部12dに押し付けられるため、弁室10への流体の流入を確実に止めることが可能になる。その結果、弁体14が流入部12を閉鎖しているときのバルブ機構4からの流体の漏れを確実に防止することが可能になる。
【0097】
本形態では、ピストン部14aを移動可能に保持するダイヤフラム部14bが、第1本体部19と第2本体部20との合せ目における弁室10からの流体の漏れを防止するシール機能を果たしている。そのため、第1本体部19と第2本体部20との合せ目に別途、シール部材を配置する必要がなくなる。したがって、バルブ機構4の構成を簡素化することができる。
【0098】
本形態では、バルブ機構4は、流入部12に繋がる流入孔17aと流出部13に繋がる流出孔17bとが形成されるゴム製のシール部材17を備えている。そのため、1個のシール部材17を用いた簡易な構成で、本体部11に流入する流体の漏れ、および、本体部11から流出する流体の漏れを防止することが可能になる。
【0099】
本形態では、大径部12bに繋がるように配置される流入孔17aの径は、弁部14cの径よりも小さくなっている。そのため、上述のように、弁体14が後ろ側に移動していくと、弁部14cの後端がシール部材17に当接する。したがって、シール部材17によって、弁体14の後ろ側への可動範囲を規制することができる。その結果、弁体14の後ろ側への可動範囲を規制して、ダイヤフラム部14bに過剰な応力がかかるのを防止するための規制部材を別途、設ける必要がなくなり、バルブ機構4の構成を簡素化することが可能になる。
【0100】
本形態では、連結部材41と保持用磁石43との間に生じる磁気的吸引力によって、弁体14が流入部12を閉鎖している状態が維持されている。そのため、弁体14によって流入部12を確実に閉鎖することが可能になり、弁室10からの流体の漏れを防止することが可能になる。また、弁部14cが傾斜面部12dを開放する方向となる後ろ側へ弁体14が移動するにしたがって、連結部材41と保持用磁石43との間の磁気的吸引力は低下していくため、バルブ駆動機構5の動力を低減することが可能になる。したがって、バルブ駆動機構5の構成を簡素化することが可能になる。
【0101】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0102】
上述した形態では、弁体14によって、流入部12の開閉が行われているが、弁体14によって、流出部13の開閉が行われても良い。この場合には、流入部12の小径部12aに相当する小径部と、流入部12の大径部12bに相当する大径部と、流入部12の傾斜面部12dに相当する傾斜面部とが流出部13に形成される。
【0103】
上述した形態では、小径部12aと大径部12bとの境界に傾斜面部12dが形成されている。この他にもたとえば、小径部12aと大径部12bとの境界にZX平面に平行な段差面が形成されても良い。この場合には、この段差面が小径部12aと大径部12bとの境界部となり、この段差面に弁部14cが当接する。
【0104】
上述した形態では、弁体14はゴムで形成されている。この他にもたとえば、弁体14を構成するピストン部14aの中心部を金属あるいは硬質の樹脂等で形成し、その回りにゴムを焼き付けてピストン部14aを形成しても良い。すなわち、ピストン部14aの中心部を金属あるいは硬質の樹脂等で形成するとともに、ピストン部14aの中心部を除くその他の部分をゴムで形成しても良い。具体的には、図12に示すように、金属あるいは硬質の樹脂等のゴムよりも縦弾性係数および横弾性係数の大きな材料で形成された棒状(あるいは線状)の芯部材50が、ピストン部14aの中心部に配置されても良い。芯部材50が金属で形成されている場合には、ゴムで形成されたピストン部14aの中心部に芯部材50を刺し込むことで、芯部材50をピストン部14aの中心部に配置しても良いし、インサート成型によって、芯部材50をピストン部14aの中心部に配置しても良い。また、芯部材50が硬質の樹脂で形成されている場合には、インサート成型によって、芯部材50をピストン部14aの中心部に配置しても良い。
【0105】
このように、ピストン部14aの中心部が、ピストン部14aの表面部およびダイヤフラム部14bよりも縦弾性係数および横弾性係数の大きな硬質材料で形成され、ピストン部14aの表面部およびダイヤフラム部14bが、ピストン部14aの中心部よりも縦弾性係数および横弾性係数の小さな軟質材料で形成されても良い。この場合には、ピストン部14aの前後方向への円滑な移動が可能になる。すなわち、ピストン部14aの中心部が硬質材料で形成されていると、前後方向へ移動させるための力がピストン部14aに作用してもピストン部14aが変形しにくくなるととともに、ダイヤフラム部14bが軟質材料で形成されていると、前後方向へ移動させるための力がピストン部14aに作用したときにダイヤフラム部14bが容易に変形するため、ピストン部14aの前後方向への円滑な移動が可能になる。
【0106】
なお、この場合には、ピストン部14aの表面部とダイヤフラム部14bとが同じ材質からなるゴムで形成されても良いし、異なる材質からなるゴムで形成されても良い。ピストン部14aの表面部とダイヤフラム部14bとが同じ材質からなるゴムで形成される場合には、異なる材質からなるゴムで形成されている場合と比較して、弁体14の構成を簡素化することができる。また、ピストン部14aの表面部およびダイヤフラム部14bは、ゴム性を有する樹脂材料で形成されても良い。
【0107】
上述した形態では、駆動用磁石27に対する基板25の揺動動作によって、弁体14の開閉動作を行っている。この他にもたとえば、駆動用磁石27に対して基板25が前後方向へ直進動作を行うように、バルブ駆動機構5を構成し、基板25の直進動作によって、弁体14の開閉動作を行っても良い。また、ソレノイドを用いて、弁体14の開閉動作を行っても良いし、圧縮空気を用いて弁体14の開閉動作を行っても良い。
【0108】
上述した形態では、ベース部材6に固定された駆動用磁石27に対して基板25が揺動する。この他にもたとえば、ベース部材6またはカバー部材7に基板25が固定され、基板25に対して駆動用磁石27が揺動しても良い。すなわち、基板25に対する軸受部28を中心とした駆動用磁石27の揺動動作によって、弁体14の開閉動作を行っても良い。この場合には、駆動用磁石27が減速板29に連結される。
【0109】
上述した形態では、駆動用コイル26に電流が供給されていないときに、連結部材41と保持用磁石43との間に生じる所定の磁気的吸引力によって、ピストン部14aが前側に引っ張られ、弁部14cが傾斜面部12dを閉鎖している状態が維持されている。この他にもたとえば、保持用磁石43に代えて、ピストン部14aを前側に付勢する引張りコイルバネや板バネ等のバネ部材を配置しても良い。すなわち、弁部14cが傾斜面部12dを閉鎖している状態を維持するための付勢機構は、引張りコイルバネや板バネ等のバネ部材であっても良い。また、弁部14cが傾斜面部12dを閉鎖している状態を維持するための付勢機構は、ゴム等の弾性部材であっても良い。
【0110】
上述した形態では、シール部材17によって、本体部11に流入する流体の漏れ、および、本体部11から流出する流体の漏れを防止している。この他にもたとえば、シール部材17に代えて、2個のOリングを用いて、本体部11に流入する流体の漏れ、および、本体部11から流出する流体の漏れを防止しても良い。この場合には、たとえば、第1本体部19には、第2配置凹部19bが形成されずに、流入部12および流出部13が第1本体部19の後端面まで形成される。また、この場合には、流入口2となる流入部12の後端の周縁および流出口3となる流出部13の後端の周縁にOリングが配置される。
【0111】
上述した形態では、駆動用コイル26に電流が供給されていないときに、流入部12が閉鎖され、駆動用コイル26に電流が供給されると、弁体14が後ろ側に移動して、流入部12が開放される。この他にもたとえば、駆動用コイル26に電流が供給されていないときに、流入部12が開放され、駆動用コイル26に電流が供給されると、弁体14が前側に移動して、流入部12が閉鎖されても良い。この場合には、ピストン部14aを後ろ側に付勢する付勢部材を設ければ良い。
【0112】
上述した形態では、バルブ機構4の後面に流入口2および流出口3が形成されているが、流入口2および/または流出口3は、バルブ機構4の上面や下面に形成されても良い。
【符号の説明】
【0113】
1 バルブ装置
4 バルブ機構
5 バルブ駆動機構
10 弁室
11 本体部
12 流入部
12a 小径部
12b 大径部
12d 傾斜面部(境界部)
13 流出部
14 弁体
14a ピストン部(軸状部材)
14b ダイヤフラム部(膜状部材)
14c 弁部
14e 境界当接部
14f 軸部
17 シール部材
17a 流入孔
17b 流出孔
19 第1本体部
20 第2本体部
41 連結部材(磁性部材)
43 保持用磁石
48 磁気的吸引機構(付勢機構)
50 芯部材(軸状部材の中心部)
Y 前後方向(軸状部材の軸方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に弁室が形成されるとともに前記弁室に流入する流体が通過する流入部と前記弁室から流出する前記流体が通過する流出部とが形成される本体部と、前記流入部または前記流出部を開閉するための弁体とを備え、
前記流入部または前記流出部には、小径部と前記小径部よりも径の大きな大径部とが形成され、前記小径部は、前記大径部よりも前記弁室側に配置され、
前記弁体は、前記弁室、前記小径部および前記大径部に配置される軸状部材を備え、
前記軸状部材は、その一部が前記小径部に配置される軸部と、前記軸部よりも径が大きく前記大径部に配置されるとともに前記軸部と一体で形成される弁部とを備え、
前記弁部の径は、前記小径部の径よりも大きくかつ前記大径部の径よりも小さく形成され、
前記弁部は、前記小径部と前記大径部との境界部を開閉することを特徴とするバルブ機構。
【請求項2】
前記境界部は、前記大径部に向かうにしたがって径方向の外側に広がるように傾斜する傾斜面状に形成され、
前記弁部には、前記境界部に当接して前記境界部を閉鎖する斜面状の境界当接部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のバルブ機構。
【請求項3】
前記軸状部材の軸方向に対する前記境界部の傾斜角度は、前記軸状部材の軸方向に対する前記境界当接部の傾斜角度よりも大きくなっていることを特徴とする請求項2記載のバルブ機構。
【請求項4】
前記小径部および前記大径部は、前記流入部に形成され、
前記弁部は、前記流入部を開閉することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のバルブ機構。
【請求項5】
前記本体部は、分割可能な第1本体部と第2本体部とを備え、
前記弁体は、前記本体部に対する前記軸状部材の軸方向への相対移動が可能となるように前記軸状部材を保持する膜状部材を備え、
前記膜状部材は、前記第1本体部と前記第2本体部との合せ目における前記弁室からの流体の漏れを防止するシール機能を果たしていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のバルブ機構。
【請求項6】
前記弁体は、弾性材料で形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のバルブ機構。
【請求項7】
前記弁体は、前記本体部に対する前記軸状部材の軸方向への相対移動が可能となるように前記軸状部材を保持する膜状部材を備え、
前記軸状部材の中心部は、前記軸状部材の表面部よりも縦弾性係数の大きな硬質材料で形成され、
前記膜状部材は、前記軸状部材の中心部よりも横弾性係数の小さな軟質材料で形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のバルブ機構。
【請求項8】
前記軸状部材の表面部と前記膜状部材とは、前記軸状部材の中心部よりも縦弾性係数および横弾性係数の小さな同じ軟質材料で形成されていることを特徴とする請求項7記載のバルブ機構。
【請求項9】
前記流入部に繋がる流入孔と前記流出部に繋がる流出孔とが形成されるとともに弾性材料で形成されるシール部材を備えることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のバルブ機構。
【請求項10】
前記流入孔または前記流出孔の一方は、前記大径部に繋がるように配置され、
前記大径部に繋がる前記流入孔または前記流出孔の一方の径は、前記弁部の径よりも小さいことを特徴とする請求項9記載のバルブ機構。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載のバルブ機構と、前記流入部または前記流出部に対する前記弁体の開閉動作を行うバルブ駆動機構とを備えるバルブ装置。
【請求項12】
前記弁部が前記境界部を閉鎖している状態を維持するための付勢機構を備えることを特徴とする請求項11記載のバルブ装置。
【請求項13】
前記付勢機構は、バネ部材であることを特徴とする請求項12記載のバルブ装置。
【請求項14】
前記付勢機構は、磁気的吸引機構であることを特徴とする請求項12記載のバルブ装置。
【請求項15】
前記磁気的吸引機構は、前記軸状部材の一端に取り付けられる磁性部材と、前記弁部が前記境界部を閉鎖する方向へ前記磁性部材を吸引する保持用磁石とを備えることを特徴とする請求項14記載のバルブ装置。
【請求項16】
前記本体部は、分割可能な第1本体部と第2本体部とを備え、
前記弁体は、前記本体部に対する前記軸状部材の相対移動が可能となるように前記軸状部材を保持する膜状部材を備え、
前記膜状部材は、前記第1本体部と前記第2本体部との合せ目における前記弁室からの流体の漏れを防止するシール機能を果たし、
前記バルブ機構では、前記バルブ駆動機構による前記弁体の開動作によって、前記弁部が前記境界部から離れ、前記バルブ駆動機構による前記弁体の閉動作によって、前記弁部が前記境界部に当接するとともに、前記バルブ駆動機構による前記弁体の開閉動作によって、前記膜状部材が変形し、
前記バルブ機構では、前記弁部が前記境界部から離れると、前記流入部から前記弁室に前記流体が流入するとともに、前記流出部から前記流体が流出し、かつ、前記弁部が前記境界部に当接すると、前記流入部から前記弁室への前記流体の流入が停止するとともに、前記流出部からの前記流体の流出が停止することを特徴とする請求項11から15のいずれかに記載のバルブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−210066(P2010−210066A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59774(P2009−59774)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】