説明

パターン形成方法

【課題】被処理基体への感光層の優れた密着性が得られ、感度が安定して作業効率に優れ、パターンを高精細に形成可能なパターン形成方法の提供。
【解決手段】本発明のパターン形成方法は、支持体と前記支持体に積層された感光層とを備えたパターン形成材料を用いて被処理基体の処理対象表面にパターンを形成するパターン形成方法であって、前記感光層が前記処理対象表面側になるようにして、前記パターン形成材料を前記被処理基体に真空ラミネートするラミネート工程と、前記ラミネート工程の後に、前記支持体を前記感光層から剥離する剥離工程と、前記剥離工程の後に、前記感光層に対して所望のパターンの露光をする露光工程と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン形成方法に関し、特に、ソルダーレジストなどに好適な、高精細なパターンを効率よく形成するパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配線パターンなどの永久パターンを形成するに際して、支持体上に感光性樹脂組成物を塗布、乾燥することにより感光層を形成させたフィルムタイプのパターン形成材料が用いられている。
前記永久パターンの製造方法としては、例えば、配線パターンが形成された銅張積層板等の基体上に、前記パターン形成材料を積層させて積層体を形成し、該積層体における前記感光層に対して露光を行い、該露光後、前記感光層を現像してパターンを形成させ、その後エッチング処理等を行うことにより前記永久パターンが形成される。
【0003】
しかし、永久パターンを形成する基体表面に、配線パターンなどによる凹凸が存在するため、積層されたパターン形成材料との間に気泡が残存し、前記基体と前記パターン形成材料との間に未接着部分が生じたり、凹部や隙間へのパターン形成材料の埋め込み性が悪化したりして、高精細な永久パターンを形成できないという問題がある。
また、未接着部分の存在により、前記基体と前記パターン形成材料との間に十分な密着性が得られず、特に高精細なパターンの製造においては、現像時に形成したレジストの剥離が生じるという問題がある。前記基体表面が平滑な場合であっても、前記基体と前記パターン形成材料との間に十分な密着性が得られない場合にも、同様の問題が生じることがある。
【0004】
そこで、パターン形成材料と基体との密着性を向上させる目的で、パターン形成材料と基体とを真空ラミネート装置を用いてラミネートする方法が一般的に用いられている。
このような方法を用い、図2(A)に示すような、プリント配線板510の処理対象表面510Aにパターンを形成する手順を説明する。図2(A)において、プリント配線板510は、基板511と、基板511上に形成されたプリント配線512とを備える。プリント配線512は、処理対象表面510Aに凸部を形成している。
【0005】
まず、図2(B)に示すように、支持体521と感光層522とを備えたパターン形成材料520を、感光層522が処理対象表面510A側になるようにして、被処理基体としてのプリント配線板510に真空ラミネートする。
このとき、真空引きによって感光層522及びその近傍の酸素濃度が低下し、一時的に感光層522の感度が高まるが、空気中に取り出されると次第に通常の感度に戻ってゆく不安定な状態となる。それゆえ、繰り返し安定してパターン形成するために、真空ラミネートの後、感光層522の感度が安定するまで(例えば、1時間程度)待ってから、次の工程に移る。
【0006】
次の工程では、図2(C)に示すように、感光層522の所望の領域に対して露光する。露光部分には硬化領域522Aが形成され、その他の部分は未硬化領域522Bとして残存する。なお、図2(C)では、プリント配線512上に位置する部分を未硬化領域522Bとしている。
この後、図2(D)に示すように、支持体521を剥離、除去する。最後に、図2(E)に示すように、現像液によって未硬化領域522Bを溶解、除去することで、プリント配線板510に所望のパターン(硬化領域522A)を形成することができる。
【0007】
しかしながら、このような従来の方法では、真空ラミネートの後、感光層522の感度が安定するまで待った後に、感光層522への露光を実施する必要があった。この待ち時間(ホールドタイム)によってタクトタイムが長くなり、作業効率が低下するという問題があった。
【0008】
特許文献1には、ドライフィルムラミネート法によって、ドライフィルムを透明基板に圧着し、支持体フィルムを剥離後、露光及び現像して均一な厚みの樹脂層を形成する方法が提案されている。
また、特許文献2には、支持フィルム及び保護フィルムを省略することで、基板へのラミネート時のラミネートボイド発生、ゴミの排出を抑制し、ロール品において巻き径を変えずに、同重量で長く製品を巻くことができる支持・保護フィルムレス型感光性フィルムが提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法、及び特許文献2に記載の感光性フィルムは、真空ラミネートを用いて効率よく高精細なパターンを形成することを目的としたものではない。また、真空ラミネート及びこれに伴う感度安定性の問題については、記載も示唆もされておらず、上記問題を解決することができない。
【0009】
よって、パターンを高精細に、かつ、効率よく形成可能であり、しかも、感度が安定しており、高い解像度と、被処理基体と感光層との密着性とを高度に両立したパターン形成方法は未だ提供されておらず、更なる改良開発が望まれているのが現状である。
【0010】
【特許文献1】特開2001−100221号公報
【特許文献2】特開2005−345698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、被処理基体への感光層の優れた密着性が得られ、感度が安定して作業効率に優れ、パターンを高精細に形成可能なパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 支持体と前記支持体に積層された感光層とを備えたパターン形成材料を用いて被処理基体の処理対象表面にパターンを形成するパターン形成方法であって、前記感光層が前記処理対象表面側になるようにして、前記パターン形成材料を前記被処理基体に真空ラミネートするラミネート工程と、前記ラミネート工程の後に、前記支持体を前記感光層から剥離する剥離工程と、前記剥離工程の後に、前記感光層に対して所望のパターンの露光をする露光工程と、を含むことを特徴とするパターン形成方法である。
該<1>に記載のパターン形成方法においては、前記ラミネート工程により前記処理対象表面と前記感光層とを隙間なく密着させることができる。ここで、真空ラミネートにより、前記感光層の感度が高まるが、前記ラミネート工程に続く前記剥離工程において、前記支持体を前記感光層から剥離するので、前記感光層が空気に暴露され感度が急速に安定化する。よって、前記処理対象表面と前記感光層とが密着し、かつ、前記感光層の感度が安定した状態が達成され、早期に前記露光工程を実施することができる。
<2> 処理対象表面は、凹凸を有する前記<1>に記載のパターン形成方法である。
<3> 被処理基体は、プリント配線を有するプリント配線板であり、前記プリント配線が、処理対象表面の凹凸を形成している前記<2>に記載のパターン形成方法である。
<4> 露光工程における露光量は、ラミネート工程、前記露光工程及び剥離工程をこの順に実施する場合の前記露光工程における露光量に対し1.1倍以上3.0倍以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<5> ラミネート工程は、真空ロールラミネータを用いて実施される前記<1>から<4>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<6> ラミネート工程は、真空プレスラミネータを用いて実施される前記<1>から<4>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
【0013】
<7> 露光工程の後に、感光層の現像をする現像工程を含む前記<1>から<6>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<8> 現像工程の後に、永久パターンを形成する永久パターン形成工程を含む前記<7>に記載のパターン形成方法である。
<9> 現像が行われた後、前記感光層に対して硬化処理を行う前記<8>に記載のパターン形成方法である。
<10> 硬化処理は、全面露光処理及び120℃〜200℃で行われる全面加熱処理の少なくともいずれかである前記<9>に記載のパターン形成方法である。
<11> 保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターンの少なくともいずれかを形成する前記<8>から<10>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<12> 永久パターンが、配線パターンであり、該永久パターンの形成がエッチング処理及びメッキ処理の少なくともいずれかにより行われる前記<8>に記載のパターン形成方法である。
<13> 配線パターンが、サブトラクティブ法及びセミアディティブ法のいずれかにより形成される前記<12>に記載のパターン形成方法である。
【0014】
<14> 感光層は、重合性化合物と、バインダーと、光重合開始剤とを含む前記<1>から<13>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<15> 感光層は、熱架橋剤を更に含む前記<14>に記載のパターン形成方法である。
<16> 重合性化合物が、プロピレンオキシド基を含む化合物、エチレンオキシド基を含む化合物、ウレタン基を含む化合物、及びアリール基を含む化合物から選択される少なくとも1種を有する前記<14>から<15>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<17> 重合性化合物が、プロピレンオキシド基を含む化合物、ウレタン基を含む化合物、及びアリール基を含む化合物を少なくとも含む前記<14>から<16>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<18> 重合性化合物が、ビスフェノール骨格を有する前記<14>から<17>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<19> バインダーが、酸性基を有する前記<14>から<18>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<20> バインダーが、ビニル共重合体を含む前記<14>から<18>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<21> バインダーが、スチレン及びスチレン誘導体の少なくともいずれかの共重合体を含む前記<14>から<20>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
【0015】
<22> 光重合開始剤が、ハロゲン化炭化水素誘導体、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、及びメタロセン類から選択される少なくとも1種を含む前記<14>から<21>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<23> 光重合開始剤が、ヘキサアリールビイミダゾールを含む前記<22>に記載のパターン形成方法である。
<24> 熱架橋剤が、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物にブロック剤を反応させて得られる化合物、及びメラミン誘導体から選択される少なくとも1種である前記<15>から<23>のいずれかに記載
のパターン形成方法である。
<25> 熱架橋剤が、β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも含むエポキシ化合物である前記<24>に記載のパターン形成方法である。
<26> 感光層の厚みが、1μm〜100μmである前記<1>から<25>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<27> 感光層が、バインダーを5質量%〜80質量%含有し、重合性化合物を5質量%〜50質量%含有し、光重合開始剤を0.1質量%〜30質量%含有する前記<14>から<26>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
【0016】
<28> 支持体が、長尺状である前記<1>から<27>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<29> パターン形成材料が、長尺状であり、ロール状に巻かれてなる前記<1>から<28>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<30> パターン形成材料における感光層上に保護フィルムを有する前記<1>から<29>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<31> 感光層上に、保護フィルムを有し、該保護フィルムが、ポリプロピレン樹脂、エチレン− プロピレン共重合樹脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂から選択される少なくとも1種を含む前記<1>から<30>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、前記従来における諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、被処理基体への感光層の優れた密着性が得られ、感度が安定して作業効率に優れ、パターンを高精細に形成可能なパターン形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(パターン形成方法)
本発明のパターン形成方法は、支持体と前記支持体に積層された感光層とを備えたパターン形成材料を用いて被処理基体の処理対象表面にパターンを形成するパターン形成方法であって、少なくともラミネート工程と、剥離工程と、露光工程と、を含み、さらに、必要に応じて適宜選択した、その他の工程を含む。
図1に、本発明のパターン形成方法の概略を示す。
【0019】
[ラミネート工程]
前記ラミネート工程は、前記感光層が前記処理対象表面側になるようにして、前記パターン形成材料を前記被処理基体に真空ラミネートする工程である。
前記真空ラミネートの方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、真空ロールラミネータ、真空プレスラミネータ、などを用いる方法が挙げられる。
特に、タクトの観点から、真空ロールラミネータを用いる方法が好ましく、また、埋め込み性の観点から、真空プレスラミネータを用いる方法が好ましい。
前記真空ラミネートの実施条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0020】
例えば、図1(A)に示すような、プリント配線板510の処理対象表面510Aにパターンを形成する場合、ラミネート工程では、図1(B)に示すように、支持体521と感光層522とを備えたパターン形成材料520を、感光層522が処理対象表面510A側になるようにして、被処理基体510に真空ラミネートする。
【0021】
[剥離工程]
前記剥離工程は、前記ラミネート工程の後に、前記支持体を前記感光層から剥離する工程である。例えば、図1(B)から図1(C)に示すように、支持体521を感光層522から剥離する工程である。
前記剥離工程の実施条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
タクトタイム短縮の観点から、前記剥離工程は、前記ラミネート工程の実施後、なるべく早く実施されることが好ましい。
【0022】
<被処理基体>
前記被処理基体としては、特に制限はなく、公知の材料の中から、表面平滑性の高いものから凹凸のある表面を有するものまで適宜選択することができるが、板状の被処理基体(基板)であって処理対象表面に凹凸を有するものが好ましく、具体的には、公知のプリント配線板(例えば、銅張積層板)、ガラス板(例えば、ソーダガラス板等)、合成樹脂性のフィルム、紙、金属板などが挙げられる。なお、前記プリント配線板は、プリント配線形成済みのものであってもよいし、プリント配線形成前の、プリント配線板形成用基板であってもよい。
【0023】
前記プリント配線板又はプリント配線板形成用基板としては、ガラスエポキシ基板、エポキシ含浸アラミド不織布、ポリイミド等の絶縁層の表面に、銅箔層をメッキ箔やスパッタ箔として設けたものが好適に挙げられる。前記スパッタ箔を設ける場合には、銅箔と絶縁層との密着性を向上させる目的で、他の金属箔(Ni、Cr等)を下地層として設けてもよい。
【0024】
前記被処理基体表面は、積層される前記パターン形成材料との密着性を向上させる目的で、化学研磨などの方法により、0.5〜2μm程度の凹凸を形成してもよい。
また、本発明のパターン形成方法では、表面平滑性の高い被処理基体は勿論、凹凸のある表面を有する被処理基体であっても、真空ラミネートにより、被処理基体と感光層との優れた凹部への埋め込み性が得られる。
【0025】
<パターン形成材料>
前記パターン形成材料としては、支持体上に少なくとも感光層を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記感光層は、支持体上に形成されているのが好ましく、また、本発明の効果を妨げない範囲で、前記支持体と前記感光層との間に、クッション層を設けてもよく、感光層上に保護フィルムを形成してもよい。さらに、適宜選択したその他の層を設けてもよい。
【0026】
<<感光層>>
前記感光層は、重合性化合物、バインダー、及び光重合開始剤を含み、好ましくは熱架橋剤を含み、必要に応じて適宜選択した増感剤、その他の成分を含んでいてもよい。
【0027】
−重合性化合物−
前記重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、分子中に少なくとも1個の付加重合可能な基を有し、沸点が常圧で100℃以上である化合物が好ましく、例えば、(メタ)アクリル基を有するモノマーから選択される少なくとも1種が好適に挙げられる。
【0028】
前記(メタ)アクリル基を有するモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンやグリセリン、ビスフェノール等の多官能アルコールに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加反応した後で(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号等の各公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号等の各公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレートやメタクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレートが好適に挙げられ、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレートが特に好適に挙げられる。
【0029】
前記重合性化合物としては、ウレタン基及びアリール基の少なくともいずれかを有するモノマー又はオリゴマーを使用してもよい。また、これらは、重合性基を2個以上有することが好ましい。
【0030】
前記重合性基としては、例えば、エチレン性不飽和結合(例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基、ビニルエステルやビニルエーテル等のビニル基、アリルエーテルやアリルエステル等のアリル基など)、重合可能な環状エーテル基(例えば、エポキシ基、オキセタン基等)などが挙げられ、これらの中でも、エチレン性不飽和結合が好ましく、例えば、特開2005−258431号公報の段落番号[0210]〜[0285]に記載の化合物などが挙げられる。
【0031】
前記重合性化合物の前記感光層中における固形分含有量としては、5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。該固形分含有量が、5質量%以上であれば、良好な現像性及び露光感度が得られ、50質量%以下であれば、感光層の粘着性が強くなりすぎることを防止できる。
【0032】
−バインダー−
前記バインダーとしては、例えば、アルカリ性液に対して膨潤性であることが好ましく、アルカリ性液に対して可溶性であることがより好ましい。
アルカリ性液に対して膨潤性又は溶解性を示すバインダーとしては、例えば、酸性基を有するものが好適に挙げられる。
【0033】
前記酸性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられ、これらの中でもカルボキシル基が好ましい。
カルボキシル基を有するバインダーとしては、例えば、カルボキシル基を有するビニル共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリアミド酸樹脂、変性エポキシ樹脂などが挙げられ、これらの中でも、塗布溶媒への溶解性、アルカリ現像液への溶解性、合成適性、膜物性の調整の容易さ等の観点からカルボキシル基を有するビニル共重合体が好ましい。また、現像性の観点から、スチレン及びスチレン誘導体の少なくともいずれかの共重合体も好ましい。
【0034】
前記カルボキシル基を有するビニル共重合体は、少なくとも(1)カルボキシル基を有するビニルモノマー、及び(2)これらと共重合可能なモノマーとの共重合により得ることができる。
【0035】
前記カルボキシル基を有するビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマー、水酸基を有する単量体(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等)と環状無水物(例えば、無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物)との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、共重合性やコスト、溶解性などの観点から(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
また、カルボキシル基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の無水物を有するモノマーを用いてもよい。
【0036】
前記その他の共重合可能なモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類(例えば、スチレン、スチレン誘導体等)、(メタ)アクリロニトリル、ビニル基が置換した複素環式基(例えば、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール等)、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクトン、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、リン酸モノ(2−アクリロイルオキシエチルエステル)、リン酸モノ(1−メチル−2−アクリロイルオキシエチルエステル)、官能基(例えば、ウレタン基、ウレア基、スルホンアミド基、フェノール基、イミド基)を有するビニルモノマーなどが挙げられ、これらの中でも配線パターンなどの永久パターンを高精細に形成することができる点、及び前記テント性を向上させることができる点で、前記スチレン類(スチレン及びスチレン誘導体)が好ましい。
【0037】
前記(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、アセトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、β−フェノキシエトキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、オクタフロロペンチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0038】
前記クロトン酸エステル類としては、例えば、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシルなどが挙げられる。
【0039】
前記ビニルエステル類としては、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、安息香酸ビニルなどが挙げられる。
【0040】
前記マレイン酸ジエステル類としては、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0041】
前記フマル酸ジエステル類としては、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどが挙げられる。
【0042】
前記イタコン酸ジエステル類としては、例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0043】
前記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
【0044】
前記スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えば、t−Boc等)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
【0045】
前記ビニルエーテル類としては、例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。
【0046】
前記官能基を有するビニルモノマーの合成方法としては、例えば、イソシアナート基と水酸基又はアミノ基の付加反応が挙げられ、具体的には、イソシアナート基を有するモノマーと、水酸基を1個含有する化合物又は1級若しくは2級アミノ基を1個有する化合物との付加反応、水酸基を有するモノマー又は1級若しくは2級アミノ基を有するモノマーと、モノイソシアネートとの付加反応が挙げられる。
【0047】
前記イソシアナート基を有するモノマーとしては、例えば、下記構造式(1)〜(3)で表される化合物が挙げられる。
【0048】
【化1】

【0049】
【化2】

【0050】
【化3】

【0051】
ただし、前記構造式(1)〜(3)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
【0052】
前記モノイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシルイソシアネート、n−ブチルイソシアネート、トルイルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、フェニルイソシアネート等が挙げられる。
【0053】
前記水酸基を有するモノマーとしては、例えば、下記構造式(4)〜(12)で表される化合物が挙げられる。
【0054】
【化4】

【0055】
【化5】

【0056】
【化6】

【0057】
【化7】

【0058】
【化8】

【0059】
【化9】

【0060】
【化10】

【0061】
【化11】

【0062】
【化12】

【0063】
但し、前記構造式(4)〜(12)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、n、n1及びn2は、1以上の整数を表す。
【0064】
前記水酸基を1個含有する化合物としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−オクタデカノール、シクロペンタノール、シクロへキサノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等)、フェノール類(例えば、フェノール、クレゾール、ナフトール等)、更に置換基を含むものとして、フロロエタノール、トリフロロエタノール、メトキシエタノール、フェノキシエタノール、クロロフェノール、ジクロロフェノール、メトキシフェノール、アセトキシフェノール等が挙げられる。
【0065】
前記1級又は2級アミノ基を有するモノマーとしては、例えば、ビニルベンジルアミンなどが挙げられる。
【0066】
前記1級又は2級アミノ基を1個含有する化合物としては、例えば、アルキルアミン(メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、t−ブチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン)、環状アルキルアミン(シクロペンチルアミン、シクロへキシルアミン等)、アラルキルアミン(ベンジルアミン、フェネチルアミン等)、アリールアミン(アニリン、トルイルアミン、キシリルアミン、ナフチルアミン等)、更にこれらの組合せ(N−メチル−N−ベンジルアミン等)、更に置換基を含むアミン(トリフロロエチルアミン、ヘキサフロロイソプロピルアミン、メトキシアニリン、メトキシプロピルアミン等)などが挙げられる。
【0067】
また、上記以外の前記その他の共重合可能なモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、スチレン、クロルスチレン、ブロモスチレン、ヒドロキシスチレンなどが好適に挙げられる。
【0068】
前記その他の共重合可能なモノマーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0069】
前記ビニル共重合体は、それぞれ相当するモノマーを公知の方法により常法に従って共重合させることで調製することができる。例えば、前記モノマーを適当な溶媒中に溶解し、ここにラジカル重合開始剤を添加して溶液中で重合させる方法(溶液重合法)を利用することにより調製することができる。また、水性媒体中に前記モノマーを分散させた状態でいわゆる乳化重合等で重合を利用することにより調製することができる。
【0070】
前記溶液重合法で用いられる適当な溶媒としては、特に制限はなく、使用するモノマー、及び生成する共重合体の溶解性等に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メトキシプロピルアセテート、乳酸エチル、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、トルエンなどが挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0071】
前記ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス−(2,4’−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド等の過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩などが挙げられる。
【0072】
前記ビニル共重合体におけるカルボキシル基を有する重合性化合物の含有率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5〜50モル%が好ましく、10〜40モル%がより好ましく、15〜35モル%が特に好ましい。
前記含有率が、5モル%以上であれば、アルカリ水への現像性が良好となり、50モル%以下であれば、硬化部(画像部)の現像液耐性が良好となる。
【0073】
前記カルボキシル基を有するバインダーの分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、質量平均分子量として、2,000〜300,000が好ましく、4,000〜150,000がより好ましい。
前記質量平均分子量が、2,000以上であれば、膜の強度が十分であり、また安定な製造が可能となり、300,000以下であれば、現像性が良好となる。
【0074】
前記カルボキシル基を有するバインダーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記バインダーを2種以上併用する場合としては、例えば、異なる共重合成分からなる2種以上のバインダー、異なる質量平均分子量の2種以上のバインダー、異なる分散度の2種以上のバインダー、などの組合せが挙げられる。
【0075】
前記カルボキシル基を有するバインダーは、そのカルボキシル基の一部又は全部が塩基性物質で中和されていてもよい。また、前記バインダーは、さらにポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ゼラチン等の構造の異なる樹脂を併用してもよい。
【0076】
また、前記バインダーとしては、特許2873889号等に記載のアルカリ性液に可溶な樹脂などを用いることができる。
【0077】
前記バインダーがガラス転移温度(Tg)を有する物質である場合、該ガラス転移温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記パターン形成材料のタック及びエッジフュージョンの抑制、並びに前記支持体の剥離性向上の、少なくともいずれかの観点から、80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、120℃以上が特に好ましい。
前記ガラス転移温度が、80℃以上であれば、前記パターン形成材料のタックやエッジフュージョンが増加したり、前記支持体の剥離性が悪化したりすることを防止できる。
【0078】
前記バインダーとしては、更に、特開昭51−131706号、特開昭52−94388号、特開昭64−62375号、特開平2−97513号、特開平3−289656号、特開平61−243869号、特開2002−296776号などの各公報に記載の酸性基を有するエポキシアクリレート化合物、並びに、側鎖に(メタ)アクリロイル基及び酸性基を有するビニル共重合体、エポキシアクリレート化合物と側鎖に(メタ)アクリロイル基及び酸性基を有するビニル共重合体、無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
【0079】
前記エポキシアクリレート化合物とは、エポキシ化合物由来の骨格を有し、かつ分子中にエチレン性不飽和二重結合とカルボキシル基を含有する化合物である。このような化合物は、例えば、多官能エポキシ化合物とカルボキシル基含有モノマーとを反応させ、更に多塩基酸無水物を付加させる方法などで得られる。
【0080】
前記多官能エポキシ化合物としては、例えば、ビキシレノール型若しくはビスフェノール型エポキシ樹脂(「YX4000;ジャパンエポキシレジン社製」等)又はこれらの混合物、イソシアヌレート骨格等を有する複素環式エポキシ樹脂(「TEPIC;日産化学工業社製」、「アラルダイトPT810;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製」等)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等)、ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、グリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、ナフタレン基含有エポキシ樹脂(「ESN−190,ESN−360;新日鉄化学社製」、「HP−4032,EXA−4750,EXA−4700;大日本インキ化学工業社製」等)、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂(「HP−7200,HP−7200H;大日本インキ化学工業社製」等);フェノール、o−クレゾール、ナフトール等のフェノール化合物と、フェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合反応により得られるポリフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応物;フェノール化合物とジビニルベンゼンやジシクロペンタジエン等のジオレフィン化合物との付加反応によって得られるポリフェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応物;4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドの開環重合物を過酢酸等でエポキシ化したもの;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環を有するエポキシ樹脂;グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂(「CP−50S,CP−50M;日本油脂社製」等)、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ樹脂;フェノール及びクレゾールから選択される1種とp−ヒドロキシベンズアルデヒド縮合体をグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂;ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン型エポキシ樹脂;、ビス(グリシジルオキシフェニル)アダマンタン型エポキシ樹脂、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0081】
またカルボキシル基含有モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、α−シアノ桂皮酸、アクリル酸ダイマー;この他、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する単量体と無水マレイン酸、無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物等の環状酸無水物との付加反応物;ハロゲン含有カルボン酸化合物との反応生成物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、などが挙げられる。さらに、市販品としては、東亜合成化学工業(株)製のアロニックスM−5300、M−5400、M−5500及びM−5600、新中村化学工業(株)製のNKエステルCB−1及びCBX−1、共栄社油脂化学工業(株)製のHOA−MP及びHOA−MS、大阪有機化学工業(株)製のビスコート#2100などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0082】
また、多塩基酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水メチルコハク酸、無水2,3−ジメチルコハク酸、無水2,2−ジメチルコハク酸、無水エチルコハク酸、無水ドデセニルコハク酸、無水ノネニルコハク酸、無水マレイン酸、無水メチルマレイン酸、無水2,3−ジメチルマレイン酸、無水2−クロロマレイン酸、無水2,3−ジクロロマレイン酸、無水ブロモマレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水シスアコット酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸及び5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物などの二塩基酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の多塩基酸無水物なども使用できる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
それぞれを順次反応させて、エポキシアクリレートを得るが、それらを反応させる比率は、多官能エポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して、カルボキシル基含有モノマーのカルボキシル基0.8〜1.2当量、好ましくは、0.9〜1.1当量であり、多塩基酸無水物0.1〜1.0当量、好ましくは、0.3〜1.0当量である。
【0083】
また、特開平5−70528号公報記載のフルオレン骨格を有するエポキシアクリレート(カルボキシル基を有してはいない化合物)に酸無水物を付加させて得られる化合物なども本発明のエポキシアクリレートとして利用できる。
【0084】
前記エポキシアクリレート化合物の分子量は、1,000〜100,000が好ましく、2,000〜50,000がより好ましい。該分子量が1,000以上であれば、感光層表面のタック性が強くなり、後述する感光層の硬化後において、膜質が脆くなる、あるいは、表面硬度が劣化することを防止することができ、100,000以下であれば、現像性が良好となり、また樹脂の合成も容易となる。
【0085】
また、特開平6−295060号公報記載の酸性基、二重結合等の重合可能な基を少なくとも1つ有するアクリル樹脂も用いることができる。具体的には、分子内に少なくとも1つの重合可能な二重結合、例えば、(メタ)アクリレート基又は(メタ)アクリルアミド基等のアクリル基、カルボン酸のビニルエステル、ビニルエーテル、アリルエーテル等の各種重合性二重結合を用いることができる。より具体的には、酸性基としてカルボキシル基を含有するアクリル樹脂に、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、桂皮酸等の不飽和脂肪酸のグリシジルエステルや、同一分子中にシクロヘキセンオキシド等のエポキシ基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物等のエポキシ基含有の重合性化合物を付加させて得られる化合物などが挙げられる。また、酸性基及び水酸基を含有するアクリル樹脂に、イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有の重合性化合物を付加させて得られる化合物、無水物基を含有するアクリル樹脂に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を含有する重合性化合物を付加させて得られる化合物なども挙げられる。
【0086】
さらに、前記バインダーとしては、側鎖に(メタ)アクリロイル基、及び酸性基を有するビニル共重合体を用いることができ、具体的には、例えば、(1)酸性基を有するビニルモノマー、(2)必要に応じて後述する高分子反応に利用可能な官能基を有するビニルモノマー、及び(3)必要に応じてその他の共重合可能なビニルモノマーのビニル(共)重合で得られた(共)重合体を合成し、更に(4)該(共)重合体中の酸性基、又は高分子反応に利用可能な官能基の少なくとも1種に対して反応性を有する官能基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを高分子反応させることによって得られる。
【0087】
前記(1)酸性基を有するビニルモノマーの酸性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられ、これらの中でもカルボキシル基が好ましい。カルボキシル基を有するビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマー、水酸基を有する単量体(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等)と環状無水物(例えば、無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物)との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、共重合性やコスト、溶解性などの観点から(メタ)アクリル酸が特に好ましい。またこれらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、カルボキシル基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の無水物を有するモノマーを用いてもよい。
【0088】
前記(2)の高分子反応に利用可能な官能基を有するビニルモノマーにおける、高分子反応に利用可能な官能基としては水酸基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、酸ハライド基、活性ハライド基、などが挙げられる。また前述(1)のカルボシキル基や酸無水物基も利用可能な官能基として挙げられる。
【0089】
前記水酸基を有するビニルモノマーとしては、例えば、前記構造式(4)〜(12)で表される化合物が挙げられる。
【0090】
前記アミノ基を有するビニルモノマーとしては、例えば、ビニルベンジルアミン、アミノエチルメタクリレート、などが挙げられる。
【0091】
前記イソシアネート基を有するモノマーとしては、例えば、前記構造式(1)〜(3)で表される化合物が挙げられる。
【0092】
前記エポキシ基を有するビニルモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、下記構造式(13)で表される化合物などが挙げられる。
【0093】
【化13】

【0094】
但し、前記構造式(13)中、RはH及びMeのいずれかを表す。
【0095】
前記酸ハライド基を有するビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸クロリド、などが挙げられる。
前記活性ハライド基を有するビニルモノマーとしては、例えば、クロロメチルスチレン、などが挙げられる。
また、前記各モノマーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0096】
前記(3)の必要に応じて用いられるその他の共重合可能なモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類(例えば、スチレン、スチレン誘導体等)、(メタ)アクリロニトリル、ビニル基が置換した複素環式基(例えば、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール等)、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクトン、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、リン酸モノ(2−アクリロイルオキシエチルエステル)、リン酸モノ(1−メチル−2−アクリロイルオキシエチルエステル)、官能基(例えば、ウレタン基、ウレア基、スルホンアミド基、イミド基)を有するビニルモノマーなどが挙げられる。
【0097】
前記(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、アセトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、β−フェノキシエトキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、オクタフロロペンチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0098】
前記クロトン酸エステル類としては、例えば、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシルなどが挙げられる。
【0099】
前記ビニルエステル類としては、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、安息香酸ビニルなどが挙げられる。
【0100】
前記マレイン酸ジエステル類としては、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0101】
前記フマル酸ジエステル類としては、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどが挙げられる。
【0102】
前記イタコン酸ジエステル類としては、例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0103】
前記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
【0104】
前記スチレン類としては、例えば、前記スチレン、前記スチレン誘導体(例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えば、t−Boc等)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン等)、などが挙げられる。
【0105】
前記ビニルエーテル類としては、例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。
【0106】
前記官能基としてウレタン基又はウレア基を有するビニルモノマーの合成方法としては、例えば、イソシアナート基と水酸基又はアミノ基の付加反応が挙げられ、具体的には、イソシアナート基を有するモノマーと、水酸基を1個含有する化合物又は1級若しくは2級アミノ基を1個有する化合物との付加反応、水酸基を有するモノマー又は1級若しくは2級アミノ基を有するモノマーと、モノイソシアネートとの付加反応が挙げられる。
【0107】
前記イソシアナート基を有するモノマーとしては、例えば、前述の(2)に示したものと同様に、前記構造式(1)〜(3)で表される化合物が挙げられる。
前記モノイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシルイソシアネート、n−ブチルイソシアネート、トルイルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、フェニルイソシアネート等が挙げられる。
前記水酸基を有するモノマーとしては、例えば、前述の(2)に示したものと同様に、前記構造式(4)〜(12)で表される化合物が挙げられる。
【0108】
前記水酸基を1個含有する化合物としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−オクタデカノール、シクロペンタノール、シクロへキサノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等)、フェノール類(例えば、フェノール、クレゾール、ナフトール等)、更に置換基を含むものとして、フロロエタノール、トリフロロエタノール、メトキシエタノール、フェノキシエタノール、クロロフェノール、ジクロロフェノール、メトキシフェノール、アセトキシフェノール等が挙げられる。
【0109】
前記1級又は2級アミノ基を有するモノマーとしては、例えば、ビニルベンジルアミンなどが挙げられる。
【0110】
前記1級又は2級アミノ基を1個含有する化合物としては、例えば、アルキルアミン(メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、t−ブチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン)、環状アルキルアミン(シクロペンチルアミン、シクロへキシルアミン等)、アラルキルアミン(ベンジルアミン、フェネチルアミン等)、アリールアミン(アニリン、トルイルアミン、キシリルアミン、ナフチルアミン等)、更にこれらの組合せ(N−メチル−N−ベンジルアミン等)、更に置換基を含むアミン(トリフロロエチルアミン、ヘキサフロロイソプロピルアミン、メトキシアニリン、メトキシプロピルアミン等)などが挙げられる。
【0111】
また、これらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらをビニル(共)重合させることにより酸性基、酸無水物基及び必要に応じて水酸基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、酸ハライド基、活性ハライド基などを含有する(共)重合体が得られる。前記ビニル(共)重合体は、それぞれ相当するモノマーを公知の方法により常法に従って共重合させることで調製することができる。例えば、前記モノマーを適当な溶媒中に溶解し、ここにラジカル重合開始剤を添加して溶液中で重合させる方法(溶液重合法)を利用することにより調製することができる。また、水性媒体中に前記モノマーを分散させた状態でいわゆる乳化重合等で重合を利用することにより調製することができる。
このようにして得られた(共)重合体に対して、前記(4)として、これらの共重合体中の酸性基、及び必要に応じて水酸基、アミノ基、イソシアネート基、グリシジル基、酸ハライド基の少なくとも1種に対して反応性を有する官能基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを高分子反応させることによって得られる。
【0112】
前記該(4)の(共)重合体中の酸性基、又は高分子反応に利用可能な官能基の少なくとも1種に対して反応性を有する官能基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、前述の(2)に示した化合物などが利用できる。
これらの高分子反応を行なう場合の官能基の組合せとしては、例えば、酸性基(カルボキシル基など)を有する共重合体とエポキシ基を有するビニルモノマーの組合せ、アミノ基を有する共重合体とエポキシ基を有するビニルモノマーの組合せ、アミノ基を有する共重合体とイソシアネート基を有するビニルモノマーの組合せ、水酸基を有する共重合体とイソシアネート基を有するビニルモノマーの組合せ、水酸基を有する共重合体と酸ハライド基を有するビニルモノマーの組合せ、アミノ基を有する共重合体と活性ハライド基を有するビニルモノマーの組合わせ、酸無水物基を有する共重合体と水酸基を有するビニルモノマーの組合せ、イソシアネート基を有する共重合体とアミノ基を有するビニルモノマーの組合せ、イソシアネート基を有する共重合体と水酸基を有するビニルモノマーの組合せ、活性ハライド基を有する共重合体とアミノ基を有するビニルモノマーの組合わせ、などが挙げられる。またこれらの組合せは2種以上を併用しても構わない。
【0113】
前記バインダーの市販品としては、例えば、「カネカレジンAXE;鐘淵化学工業(株)製」、「サイクロマー(CYCLOMER)A−200;ダイセル化学工業(株)製」、「サイクロマー(CYCLOMER)M−200;ダイセル化学工業(株)製」、「リポキシSPC−1X、リポキシSPC−2X、リポキシSPC−3X;昭和高分子(株)製」などを用いることができる。
更に、特開昭50−59315号公報記載のヒドロキシアルキルアクリレート又はヒドロキシアルキルメタクリレートとポリカルボン酸無水物及びエピハロヒドリンのいずれかとの反応物などを用いることができる。
【0114】
また、特開平5−70528号公報記載のフルオレン骨格を有するエポキシアクリレートに酸無水物を付加させて得られる化合物、特開平11−288087号公報記載のポリアミド(イミド)樹脂、特開平2−097502号公報や特開平11−282155号公報記載のポリイミド前駆体などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0115】
前記アクリル樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシアクリレート、ポリアミド(イミド)、アミド基含有スチレン/酸無水物共重合体、あるいは、ポリイミド前駆体などのバインダーの分子量は、3,000〜500,000が好ましく、5,000〜100,000がより好ましい。該分子量が3,000以上であれば、感光層表面のタック性が強くなり、後述する感光層の硬化後において、膜質が脆くなる、あるいは、表面硬度が劣化することを防止することができ、500,000以下であれば、現像性が良好となる。
【0116】
前記バインダーとしては、無水マレイン酸共重合体の無水物基に対して1級アミン化合物を1種以上反応させて得られる共重合体も利用できる。該共重合体は下記構造式(14)で表される、マレイン酸ハーフアミド構造を有するマレアミド酸ユニットBと、前記マレイン酸ハーフアミド構造を有しないユニットAと、を少なくとも含むマレアミド酸系共重合体であるのが好ましい。
前記ユニットAは1種であってもよいし、2種以上であってもよい。例えば、前記ユニットBが1種であるとすると、前記ユニットAが1種である場合には、前記マレアミド酸系共重合体が2元共重合体を意味することになり、前記ユニットAが2種である場合には、前記マレアミド酸系共重合体が3元共重合体を意味することになる。
前記ユニットAとしては、置換基を有していてもよいアリール基と、後述するビニル単量体であって、該ビニル単量体のホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が80℃未満であるビニル単量体(c)との組合せが好適に挙げられる。
【0117】
【化14】

【0118】
ただし、前記構造式(14)中、R及びRは水素原子及び低級アルキル基のいずれかを表す。x及びyは繰り返し単位のモル分率を表し、例えば、前記ユニットAが1種の場合、xは85〜50モル%であり、yは15〜50モル%である。
【0119】
前記構造式(14)中、Rとしては、例えば、(−COOR10)、(−CONR1112)、置換基を有していてもよいアリール基、(−OCOR13)、(−OR14)、(−COR15)などの置換基が挙げられる。ここで、前記R10〜R15は、水素原子(−H)、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基及びアラルキル基のいずれかを表す。該アルキル基、アリール基及びアラルキル基は、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。
前記R10〜R15としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、アリル、n−ヘキシル、シクロへキシル、2−エチルヘキシル、ドデシル、メトキシエチル、フェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、ベンジル、フェネチル、ナフチル、クロロフェニルなどが挙げられる。
前記Rの具体例としては、フェニル、α−メチルフェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル等のベンゼン誘導体;n−プロピルオキシカルボニル、n−ブチルオキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、n−ブチルオキシカルボニル、n−ヘキシルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、メチルオキシカルボニルなどが挙げられる。
【0120】
前記Rとしては、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。これらは、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。前記Rの具体例としては、ベンジル、フェネチル、3−フェニル−1−プロピル、4−フェニル−1−ブチル、5−フェニル−1−ペンチル、6−フェニル−1−ヘキシル、α−メチルベンジル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル、2−(p−トリル)エチル、β−メチルフェネチル、1−メチル−3−フェニルプロピル、2−クロロベンジル、3−クロロベンジル、4−クロロベンジル、2−フロロベンジル、3−フロロベンジル、4−フロロベンジル、4−ブロモフェネチル、2−(2−クロロフェニル)エチル、2−(3−クロロフェニル)エチル、2−(4−クロロフェニル)エチル、2−(2−フロロフェニル)エチル、2−(3−フロロフェニル)エチル、2−(4−フロロフェニル)エチル、4−フロロ−α,α−ジメチルフェネチル、2−メトキシベンジル、3−メトキシベンジル、4−メトキシベンジル、2−エトキシベンジル、2−メトキシフェネチル、3−メトキシフェネチル、4−メトキシフェネチル、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ラウリル、フェニル、1−ナフチル、メトキシメチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、3−メトキシプロピル、2−ブトキシエチル、2−シクロへキシルオキシエチル、3−エトキシプロピル、3−プロポキシプロピル、3−イソプロポキシプロピルアミンなどが挙げられる。
【0121】
前記バインダーは、特に、(a)無水マレイン酸と、(b)芳香族ビニル単量体と、(c)ビニル単量体であって、該ビニル単量体のホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が80℃未満であるビニル単量体と、からなる共重合体の無水物基に対して1級アミン化合物を反応させて得られる共重合体であるのが好ましい。該(a)成分と、該(b)成分と、からなる共重合体では、後述する感光層の高い表面硬度を得ることはできるものの、ラミネート性の確保が困難になることがある。また、該(a)成分と、該(c)成分と、からなる共重合体では、ラミネート性は確保することができるものの、前記表面硬度の確保が困難になることがある。
【0122】
−−(b)芳香族ビニル単量体−−
前記芳香族ビニル単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、本発明のパターン形成材料を用いて形成される感光層の表面硬度を高くすることができる点で、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が80℃以上である化合物が好ましく、100℃以上である化合物がより好ましい。
前記芳香族ビニル単量体の具体例としては、スチレン(ホモポリマーのTg=100℃)、α−メチルスチレン(ホモポリマーのTg=168℃)、2−メチルスチレン(ホモポリマーのTg=136℃)、3−メチルスチレン(ホモポリマーのTg=97℃)、4−メチルスチレン(ホモポリマーのTg=93℃)、2,4−ジメチルスチレン(ホモポリマーのTg=112℃)などのスチレン誘導体が好適に挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0123】
−−(c)ビニル単量体−−
前記ビニル単量体は、該ビニル単量体のホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が80℃未満であることが必要であり、40℃以下が好ましく、0℃以下がより好ましい。
前記ビニル単量体としては、例えば、n−プロピルアクリレート(ホモポリマーのTg=−37℃)、n−ブチルアクリレート(ホモポリマーのTg=−54℃)、ペンチルアクリレート、あるいはヘキシルアクリレート(ホモポリマーのTg=−57℃)、n−ブチルメタクリレート(ホモポリマーのTg=−24℃)、n−ヘキシルメタクリレート(ホモポリマーのTg=−5℃)などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0124】
−−1級アミン化合物−−
前記1級アミン化合物としては、例えば、ベンジルアミン、フェネチルアミン、3−フェニル−1−プロピルアミン、4−フェニル−1−ブチルアミン、5−フェニル−1−ペンチルアミン、6−フェニル−1−ヘキシルアミン、α−メチルベンジルアミン、2−メチルベンジルアミン、3−メチルベンジルアミン、4−メチルベンジルアミン、2−(p−トリル)エチルアミン、β−メチルフェネチルアミン、1−メチル−3−フェニルプロピルアミン、2−クロロベンジルアミン、3−クロロベンジルアミン、4−クロロベンジルアミン、2−フロロベンジルアミン、3−フロロベンジルアミン、4−フロロベンジルアミン、4−ブロモフェネチルアミン、2−(2−クロロフェニル)エチルアミン、2−(3−クロロフェニル)エチルアミン、2−(4−クロロフェニル)エチルアミン、2−(2−フロロフェニル)エチルアミン、2−(3−フロロフェニル)エチルアミン、2−(4−フロロフェニル)エチルアミン、4−フロロ−α,α−ジメチルフェネチルアミン、2−メトキシベンジルアミン、3−メトキシベンジルアミン、4−メトキシベンジルアミン、2−エトキシベンジルアミン、2−メトキシフェネチルアミン、3−メトキシフェネチルアミン、4−メトキシフェネチルアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、1−プロピルアミン、ブチルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、アニリン、オクチルアニリン、アニシジン、4−クロルアニリン、1−ナフチルアミン、メトキシメチルアミン、2−メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、2−ブトキシエチルアミン、2−シクロヘキシルオキシエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−プロポキシプロピルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミンなどが挙げられる。これらの中でも、ベンジルアミン、フェネチルアミンが特に好ましい。
前記1級アミン化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0125】
前記1級アミン化合物の反応量としては、前記無水物基に対して0.1〜1.2当量であることが必要であり、0.1〜1.0当量が好ましい。該反応量が1.2当量以下であれば、前記1級アミン化合物を1種以上反応させた場合に、溶解性が著しく悪化することを防止できる。
【0126】
前記(a)無水マレイン酸の前記バインダーにおける含有量としては、15〜50mol%が好ましく、20〜45mol%がより好ましく、20〜40mol%が特に好ましい。該含有量が、15mol%以上であれば、アルカリ現像性の付与ができ、50mol%以下であれば、良好な耐アルカリ性が得られ、また、前記共重合体の合成が容易になり、正常な永久パターンの形成を行うことができる。また、この場合における、前記(b)芳香族ビニル単量体、及び(c)ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が80℃未満であるビニル単量体の前記バインダーにおける含有量としては、それぞれ20〜60mol%、15〜40mol%が好ましい。該含有量が該数値範囲を満たす場合には、表面硬度及びラミネート性の両立を図ることができる。
【0127】
前記アクリル樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシアクリレート、ポリアミド(イミド)、前記無水マレイン酸共重合体の無水物基に1級アミン化合物を反応させた化合物、あるいは、ポリイミド前駆体などのバインダーの分子量は、3,000〜500,000が好ましく、5,000〜100,000がより好ましい。該分子量が3,000以上であれば、感光層表面のタック性が強くなり、後述する感光層の硬化後において、膜質が脆くなる、あるいは、表面硬度が劣化することを防止でき、500,000以下であれば、現像性が良好となる。
【0128】
前記バインダーの前記感光層中の固形分含有量としては、5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。該固形分含有量が、5質量%以上であれば、感光層の膜強度、及び該感光層の表面のタック性が良好となり、50質量%以下であれば、露光感度が良好となる。
【0129】
−光重合開始剤−
前記光重合開始剤としては、前記重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができるが、例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましく、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、前記光重合開始剤は、約300〜800nm(より好ましくは330〜500nm)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する成分を少なくとも1種含有していることが好ましい。
【0130】
前記光重合開始剤としては、例えば、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの、など)、ホスフィンオキサイド、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、メタロセン類などが挙げられる。
【0131】
前記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物、F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物、特開平5−34920号公報記載化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物、などが挙げられる。
【0132】
前記若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物としては、例えば、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0133】
前記英国特許1388492号明細書記載の化合物としては、例えば、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記特開昭53−133428号公報記載の化合物としては、例えば、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0134】
前記独国特許3337024号明細書記載の化合物としては、例えば、2−(4−スチリルフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−メトキシスチリル)フェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(1−ナフチルビニレンフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−クロロスチリルフェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−チオフェン−2−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−チオフェン−3−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−フラン−2−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(4−ベンゾフラン−2−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0135】
前記F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物としては、例えば、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−メチル−6−トリ(ブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−メトキシ−4−メチル−6−トリクロロメチル−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0136】
前記特開昭62−58241号公報記載の化合物としては、例えば、2−(4−フェニルエチニルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ナフチル−1−エチニルフェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−トリルエチニル)フェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−メトキシフェニル)エチニルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−イソプロピルフェニルエチニル)フェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−エチルフェニルエチニル)フェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0137】
前記特開平5−281728号公報記載の化合物としては、例えば、2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,6−ジクロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,6−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0138】
前記特開平5−34920号公報記載化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチルアミノ)−3−ブロモフェニル]−1,3,5−トリアジン、米国特許第4239850号明細書に記載されているトリハロメチル−s−トリアジン化合物、更に2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジンなどが挙げられる。
【0139】
前記米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物としては、例えば、オキサジアゾール骨格を有する化合物(例えば、2−トリクロロメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール;2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−n−ブトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリプロメメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール等)などが挙げられる。
【0140】
前記ホスフィンオキサイドとしては、例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキサイド、LucirinTPO、などが挙げられる。
【0141】
前記ヘキサアリールビイミダゾールとしては、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−フロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(3−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(4−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(4−メトキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−トリフルオロメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、WO00/52529号公報に記載の化合物、などが挙げられる。
前記ビイミダゾール類は、例えば、Bull.Chem.Soc.Japan,33,565(1960)、及びJ.Org.Chem,36(16)2262(1971)に開示されている方法により容易に合成することができる。
【0142】
前記オキシム誘導体としては、例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
【0143】
前記有機過酸化物としては、例えば、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、などが挙げられる。
前記チオ化合物としては、例えば、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−ベンゾイルメチレン−3−メチルナフトチアゾリン、などが挙げられる。
【0144】
前記ケトン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、2−エトキシカルボニルベンゾルフェノン、ベンゾフェノンテトラカルボン酸又はそのテトラメチルエステル、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン類(例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジシクロヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジヒドロキシエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、フェナントラキノン、フルオレノン、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシー2−メチル−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノールオリゴマー、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類(例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール)、などが挙げられる。
【0145】
前記芳香族オニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、テトラフェニルホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェート、などが挙げられる。
前記メタロセン類としては、例えば、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフロロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、η−シクロペンタジエニル−η−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフロロホスフェート(1−)、などが挙げられる。
【0146】
さらに、上記以外の光重合開始剤として、N−フェニルグリシンなど、ポリハロゲン化合物(例えば、四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトンなど)、アミン類(例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸n−ブチル、4−ジメチルアミノ安息香酸フェネチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−フタルイミドエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−メタクリロイルオキシエチル、ペンタメチレンビス(4−ジメチルアミノベンゾエート)、3−ジメチルアミノ安息香酸のフェネチル、ペンタメチレンエステル、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、2−クロル−4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−ジメチルアミノベンジルアルコール、エチル(4−ジメチルアミノベンゾイル)アセテート、4−ピペリジノアセトフェノン、4−ジメチルアミノベンゾイン、N,N−ジメチル−4−トルイジン、N,N−ジエチル−3−フェネチジン、トリベンジルアミン、ジベンジルフェニルアミン、N−メチル−N−フェニルベンジルアミン、4−ブロム−N,N−ジメチルアニリン、トリドデシルアミン、クリスタルバイオレットラクトン、ロイコクリスタルバイオレットなど)、特開昭53−133428号公報、特公昭57−1819号公報、同57−6096号公報、及び米国特許第3615455号明細書に記載された化合物などが挙げられる。
【0147】
前記光重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤の特に好ましい例としては、後述する露光において、波長が405nmのレーザ光に対応可能である、前記ホスフィンオキサイド類、前記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物とアミン化合物とを組合せた複合光開始剤、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物とヘテロ縮環系化合物、あるいは、メタロセン類、などが挙げられる。
更にこれらの開始剤とともに、連鎖移動剤(例えば、メルカプト化合物、より具体的には、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、など)を併用してもよい。
【0148】
前記光重合開始剤の前記感光層における含有量としては、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、0.5〜15質量%が特に好ましい。
【0149】
−熱架橋剤−
前記パターン形成材料をソルダーレジストなどに用いる場合は、前記感光層中に熱架橋剤を含んでいてもよい。前記熱架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記パターン形成材料を用いて形成される感光層の硬化後の膜強度を改良するために、現像性等に悪影響を与えない範囲で、例えば、1分子内に少なくとも2つのオキシラン基を有するエポキシ化合物、1分子内に少なくとも2つのオキセタニル基を有するオキセタン化合物を用いることができる。
前記1分子中に少なくとも2つのオキシラン環を有するエポキシ化合物としては、例えば、ビキシレノール型若しくはビフェノール型エポキシ樹脂(「YX4000ジャパンエポキシレジン社製」等)又はこれらの混合物、イソシアヌレート骨格等を有する複素環式エポキシ樹脂(「TEPIC;日産化学工業社製」、「アラルダイトPT810;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製」等)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂(例えば低臭素化エポキシ樹脂、高ハロゲン化エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂など)、アリル基含有ビスフェノールA型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジフェニルジメタノール型エポキシ樹脂、フェノールビフェニレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(「HP−7200,HP−7200H;大日本インキ化学工業社製」等)、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジグリシジルアニリン、トリグリシジルアミノフェノール等)、グリジジルエステル型エポキシ樹脂(フタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル等)ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルー3‘、4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジエポキシド、「GT−300、GT−400、ZEHPE3150;ダイセル化学工業製」等、)、イミド型脂環式エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、グリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、ナフタレン基含有エポキシ樹脂(ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、市販品としては「ESN−190,ESN−360;新日鉄化学社製」、「HP−4032,EXA−4750,EXA−4700;大日本インキ化学工業社製」等)、フェノール化合物とジビニルベンゼンやジシクロペンタジエン等のジオレフィン化合物との付加反応によって得られるポリフェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応物、4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドの開環重合物を過酢酸等でエポキシ化したもの、線状含リン構造を有するエポキシ樹脂、環状含リン構造を有するエポキシ樹脂、α―メチルスチルベン型液晶エポキシ樹脂、ジベンゾイルオキシベンゼン型液晶エポキシ樹脂、アゾフェニル型液晶エポキシ樹脂、アゾメチンフェニル型液晶エポキシ樹脂、ビナフチル型液晶エポキシ樹脂、アジン型エポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂(「CP−50S,CP−50M;日本油脂社製」等)、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ樹脂、ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン型エポキシ樹脂、ビス(グリシジルオキシフェニル)アダマンタン型エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0150】
また、1分子中に少なくとも2つのオキシラン環を有する前記エポキシ化合物以外に、β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも1分子中に2つ含むエポキシ化合物を用いることが出来、β位がアルキル基で置換されたエポキシ基(より具体的には、β−アルキル置換グリシジル基など)を含む化合物が特に好ましい。
前記β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも含むエポキシ化合物は、1分子中に含まれる2個以上のエポキシ基のすべてがβ−アルキル置換グリシジル基であってもよく、少なくとも1個のエポキシ基がβ−アルキル置換グリシジル基であってもよい。
【0151】
前記β位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物は、室温における保存安定性の観点から、前記感光層中に含まれる前記エポキシ化合物全量中における、全エポキシ基中のβ−アルキル置換グリシジル基の割合が、70%以上であることが好ましい。
前記β−アルキル置換グリシジル基としては、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−メチルグリシジル基、β−エチルグリシジル基、β−プロピルグリシジル基、β−ブチルグリシジル基、などが挙げられ、これらの中でも、前記パターン形成材料の保存安定性を向上させる観点、及び合成の容易性の観点から、β−メチルグリシジル基が好ましい。
【0152】
前記β位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物としては、例えば、多価フェノール化合物とβ−アルキルエピハロヒドリンとから誘導されたエポキシ化合物が好ましい。
【0153】
前記β−アルキルエピハロヒドリンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−メチルエピクロロヒドリン、β−メチルエピブロモヒドリン、β−メチルエピフロロヒドリン等のβ−メチルエピハロヒドリン;β−エチルエピクロロヒドリン、β−エチルエピブロモヒドリン、β−エチルエピフロロヒドリン等のβ−エチルエピハロヒドリン;β−プロピルエピクロロヒドリン、β−プロピルエピブロモヒドリン、β−プロピルエピフロロヒドリン等のβ−プロピルエピハロヒドリン;β−ブチルエピクロロヒドリン、β−ブチルエピブロモヒドリン、β−ブチルエピフロロヒドリン等のβ−ブチルエピハロヒドリン;などが挙げられる。これらの中でも、前記多価フェノールとの反応性及び流動性の観点から、β−メチルエピハロヒドリンが好ましい。
【0154】
前記多価フェノール化合物としては、1分子中に2以上の芳香族性水酸基を含有する化合物であれば、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール化合物、ビフェノール、テトラメチルビフェノール等のビフェノール化合物、ジヒドロキシナフタレン、ビナフトール等のナフトール化合物、フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物等のフェノールノボラック樹脂、クレゾール−ホルムアルデヒド重縮合物等の炭素数1〜10のモノアルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物、キシレノール−ホルムアルデヒド重縮合物等の炭素数1〜10のジアルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物、ビスフェノールA−ホルムアルデヒド重縮合物等のビスフェノール化合物−ホルムアルデヒド重縮合物、フェノールと炭素数1〜10のモノアルキル置換フェノールとホルムアルデヒドとの共重縮合物、フェノール化合物とジビニルベンゼンの重付加物などが挙げられる。これらの中でも、例えば、流動性及び保存安定性を向上させる目的で選択する場合には、前記ビスフェノール化合物が好ましい。
【0155】
前記β位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAのジ−β−アルキルグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジ−β−アルキルグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジ−β−アルキルグリシジルエーテル等のビスフェノール化合物のジ−β−アルキルグリシジルエーテル;ビフェノールのジ−β−アルキルグリシジルエーテル、テトラメチルビフェノールのジ−β−アルキルグリシジルエーテル等のビフェノール化合物のジ−β−アルキルグリシジルエーテル;ジヒドロキシナフタレンのジ−β−アルキルグリシジルエーテル、ビナフトールのジ−β−アルキルグリシジルエーテル等のナフトール化合物のβ−アルキルグリシジルエーテル;フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;クレゾール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル等の炭素数1〜10のモノアルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;キシレノール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル等の炭素数1〜10のジアルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;ビスフェノールA−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル等のビスフェノール化合物−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;フェノール化合物とジビニルベンゼンの重付加物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;などが挙げられる。
これらの中でも、下記構造式(i)で表されるビスフェノール化合物、及びこれとエピクロロフドリンなどから得られる重合体から誘導されるβ−アルキルグリシジルエーテル、及び下記構造式(ii)で表されるフェノール化合物−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテルが好ましい。
【0156】
【化15】

【0157】
【化16】

【0158】
ただし、前記構造式(i)中、Rは、水素原子及び炭素数1〜6のアルキル基のいずれかを表し、nは、0〜20の整数を表す。
ただし、前記構造式(ii)中、Rは、水素原子及び炭素数1〜6のアルキル基のいずれかを表し、R”は、水素原子、及びCHのいずれかを表し、nは、0〜20の整数を表す。
これらβ位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また1分子中に少なくとも2つのオキシラン環を有するエポキシ化合物、及びβ位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物を併用することも可能である。
【0159】
前記オキセタン化合物としては、例えば、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート又はこれらのオリゴマーあるいは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタン基を有する化合物と、ノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、シルセスキオキサン等の水酸基を有する樹脂など、とのエーテル化合物が挙げられ、この他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
【0160】
また、前記エポキシ樹脂化合物や前記オキセタン化合物の熱硬化を促進するため、例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミンなどのアミン化合物;トリエチルベンジルアンモニウムクロリドなどの4級アンモニウム塩化合物;ジメチルアミンなどのブロックイソシアネート化合物;イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩;トリフェニルホスフィンなどのリン化合物;メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンなどのグアナミン化合物;2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物などのS−トリアジン誘導体;などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、前記エポキシ樹脂化合物や前記オキセタン化合物の硬化触媒、あるいは、これらとカルボキシル基の反応を促進することができるものであれば、特に制限はなく、上記以外の熱硬化を促進可能な化合物を用いてもよい。
前記エポキシ樹脂、前記オキセタン化合物、及びこれらとカルボン酸との熱硬化を促進可能な化合物の前記感光層中の固形分含有量としては、通常0.01〜15質量%である。
【0161】
また、前記熱架橋剤としては、特開平5−9407号公報記載のポリイソシアネート化合物を用いることができ、該ポリイソシアネート化合物は、少なくとも2つのイソシアネート基を含む脂肪族、環式脂肪族又は芳香族基置換脂肪族化合物から誘導されていてもよい。具体的には、1,3−フェニレンジイソシアネートと1,4−フェニレンジイソシアネートとの混合物、2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネート、1,3−及び1,4−キシリレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネート−フェニル)メタン、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの2官能イソシアネート;該2官能イソシアネートと、トリメチロールプロパン、ペンタリスルトール、グリセリンなどとの多官能アルコール;該多官能アルコールのアルキレンオキサイド付加体と、前記2官能イソシアネートとの付加体;ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート及びその誘導体などの環式三量体;などが挙げられる。
【0162】
更に、本発明のパターン形成材料の保存性を向上させることを目的として、前記ポリイソシアネート及びその誘導体のイソシアネート基にブロック剤を反応させて得られる化合物を用いてもよい。
前記イソシアネート基ブロック剤としては、イソプロパノール、ターシャリーブタノールなどのアルコール類;ε−カプロラクタムなどのラクタム類;フェノール、クレゾール、p−ターシャリーブチルフェノール、p−セカンダリーブチルフェノール、p−セカンダリーアミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノールなどのフェノール類;3−ヒドロキシピリジン、8−ヒドロキシキノリンなどの複素環式ヒドロキシル化合物;ジアルキルマロネート、メチルエチルケトキシム、アセチルアセトン、アルキルアセトアセテートオキシム、アセトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどの活性メチレン化合物;などが挙げられる。これらの他、特開平6−295060号公報記載の分子内に少なくとも1つの重合可能な二重結合及び少なくとも1つのブロックイソシアネート基のいずれかを有する化合物などを用いることができる。
【0163】
また、前記熱架橋剤として、メラミン誘導体を用いることができる。該メラミン誘導体としては、例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン(メチロール基を、メチル、エチル、ブチルなどでエーテル化した化合物)などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、保存安定性が良好で、感光層の表面硬度あるいは硬化膜の膜強度自体の向上に有効である点で、アルキル化メチロールメラミンが好ましく、ヘキサメチル化メチロールメラミンが特に好ましい。
【0164】
前記熱架橋剤の前記感光層中の含有量としては、1〜50質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましい。該固形分含有量が、1質量%以上であれば、硬化膜の膜強度が向上し、50質量%以下であれば、現像性の低下や露光感度の低下を生ずることを防止できる。
【0165】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、例えば、増感剤、熱重合禁止剤、界面活性剤、可塑剤、発色剤、着色剤などが挙げられ、更に被処理基体表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、顔料、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、熱架橋剤、表面張力調整剤、連鎖移動剤等)を併用してもよい。また、これらの成分を適宜含有させることにより、目的とするパターン形成材料の安定性、写真性、膜物性等の性質を調整することもできる。
これらの中でも、前記感光層を露光し現像する場合において、該感光層の露光する部分の厚みを該露光及び現像後において変化させない前記光の最小エネルギー(感度)を向上させる観点から、例えば、前記増感剤を併用することが特に好ましい。
【0166】
−−増感剤−−
前記増感剤としては、特に制限はなく、前記光照射手段(例えば、可視光線や紫外光・可視光レーザ等)に合わせて適宜選択することができる。前記光照射手段として380〜420nmのレーザに合わせると、極大吸収波長が380〜450nmである増感剤が好ましい。
前記増感剤は、活性エネルギー線により励起状態となり、他の物質(例えば、ラジカル発生剤、酸発生剤等)と相互作用(例えば、エネルギー移動、電子移動等)することにより、ラジカルや酸等の有用基を発生することが可能である。
前記増感剤としては、特に制限はなく、公知の増感剤の中から適宜選択することができ、例えば、ヘテロ縮環系化合物が好ましい。前記ヘテロ縮環系化合物とは、環の中にヘテロ元素を有する多環式化合物を意味し、前記環の中に、窒素原子を含むのが好ましい。前記ヘテロ縮環系化合物としては、例えば、ヘテロ縮環系ケトン化合物、キノリン化合物、アクリジン化合物が挙げられる。
前記ヘテロ縮環系ケトン化合物としては、具体的には、例えば、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドン、などのアクリドン化合物;3−(2−ベンゾフロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、7−ベンゾトリアゾール−2−イルクマリン、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、また、特開平5−19475号、特開平7−271028号、特開2002−363206号、特開2002−363207号、特開2002−363208号、特開2002−363209号公報等に記載のクマリン化合物、などのクマリン類;などが挙げられる。
前記キノリン化合物としては、具体的には、例えば、キノリン、9−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロキノリン−2−オン、9−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン−2−オン、9−ジブチルアミノ−1,2−ジヒドロキノリン−2−オン、8−ヒドロキシキノリン、8−メルカプトキノリン、キノリン−2−カルボン酸、などが挙げられる。
前記アクリジン化合物としては、具体的には、例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン、などが挙げられる。これらヘテロ縮環系化合物の中でも、環の中に窒素元素を含有するものがより好ましい。前記環内に窒素元素を含有するものとしては、前記アクリジン化合物、アミノ基により置換されたクマリン化合物、アクリドン化合物、などが好適に挙げられる。この中でも前記アクリドン、アミノ基により置換されたクマリン、9−フェニルアクリジン、などが更に好ましく、これらの中でも、前記アクリドンが特に好ましい。
また公知の多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、インドカルボシアニン、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、などが挙げられる。
【0167】
前記光重合開始剤と前記増感剤との組合せとしては、例えば、特開2001−305734号公報に記載の電子移動型開始系[(1)電子供与型開始剤及び増感色素、(2)電子受容型開始剤及び増感色素、(3)電子供与型開始剤、増感色素及び電子受容型開始剤(三元開始系)]などの組合せが挙げられる。
【0168】
前記増感剤の含有量としては、感光層の全成分に対し、0.01〜4質量%が好ましく、0.02〜2質量%がより好ましく、0.05〜1質量%が特に好ましい。
前記含有量が、0.01質量%以上であれば、感度が良好となり、4質量%以下であれば、パターンの形状が良好となる。
【0169】
−−熱重合禁止剤−−
前記熱重合禁止剤は、前記感光層における前記重合性化合物の熱的な重合又は経時的な重合を防止するために添加してもよい。
前記熱重合禁止剤としては、例えば、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、アルキル又はアリール置換ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、塩化第一銅、フェノチアジン、クロラニル、ナフチルアミン、β−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−4−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ピリジン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ピクリン酸、4−トルイジン、メチレンブルー、銅と有機キレート剤反応物、サリチル酸メチル、及びフェノチアジン、ニトロソ化合物、ニトロソ化合物とAlとのキレート、などが挙げられる。
【0170】
前記熱重合禁止剤の含有量としては、前記感光層の前記重合性化合物に対して、0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜2質量%がより好ましく、0.01〜1質量%が特に好ましい。
前記含有量が、0.001質量%以上であれば、保存時の安定性が良好となり、5質量%以下であれば、活性エネルギー線に対する感度が良好となる。
【0171】
−−可塑剤−−
前記可塑剤は、前記感光層の膜物性(可撓性)をコントロールするために添加してもよい。
前記可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジフェニルフタレート、ジアリルフタレート、オクチルカプリールフタレート等のフタル酸エステル類;トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート、ジメチルグリコースフタレート、エチルフタリールエチルグリコレート、メチルフタリールエチルグリコレート、ブチルフタリールブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカブリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;4−トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−n−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−n−ブチルアセトアミド等のアミド類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセパケート、ジオクチルセパケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレート等の脂肪族二塩基酸エステル類;クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル、4,5−ジエポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジオクチル等、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類が挙げられる。
【0172】
前記可塑剤の含有量としては、前記感光層の全成分に対して、0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜40質量%がより好ましく、1〜30質量%が特に好ましい。
【0173】
−−発色剤−−
前記発色剤は、露光後の前記感光層に可視像を与える(焼きだし機能)ために添加してもよい。
前記発色剤としては、例えば、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン(ロイコクリスタルバイオレット)、トリス(4−ジエチルアミノフェニル)メタン、トリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン、トリス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ジブチルアミノフェニル)−〔4−(2−シアノエチル)メチルアミノフェニル〕メタン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−2−キノリルメタン、トリス(4−ジプロピルアミノフェニル)メタン等のアミノトリアリールメタン類;3,6−ビス(ジメチルアミノ)−9−フェニルキサンチン、3−アミノ−6−ジメチルアミノ−2−メチル−9−(2−クロロフェニル)キサンチン等のアミノキサンチン類;3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(2−エトキシカルボニルフェニル)チオキサンテン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)チオキサンテン等のアミノチオキサンテン類;3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9,10−ジヒドロ−9−フェニルアクリジン、3,6−ビス(ベンジルアミノ)−9,10−ジビドロ−9−メチルアクリジン等のアミノ−9,10−ジヒドロアクリジン類;3,7−ビス(ジエチルアミノ)フェノキサジン等のアミノフェノキサジン類;3,7−ビス(エチルアミノ)フェノチアゾン等のアミノフェノチアジン類;3,7−ビス(ジエチルアミノ)−5−ヘキシル−5,10−ジヒドロフェナジン等のアミノジヒドロフェナジン類;ビス(4−ジメチルアミノフェニル)アニリノメタン等のアミノフェニルメタン類;4−アミノ−4’−ジメチルアミノジフェニルアミン、4−アミノ−α、β−ジシアノヒドロケイ皮酸メチルエステル等のアミノヒドロケイ皮酸類;1−(2−ナフチル)−2−フェニルヒドラジン等のヒドラジン類;1,4−ビス(エチルアミノ)−2,3−ジヒドロアントラキノン類のアミノ−2,3−ジヒドロアントラキノン類;N,N−ジエチル−4−フェネチルアニリン等のフェネチルアニリン類;10−アセチル−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン等の塩基性NHを含むロイコ色素のアシル誘導体;トリス(4−ジエチルアミノ−2−トリル)エトキシカルボニルメンタン等の酸化しうる水素をもつていないが、発色化合物に酸化しうるロイコ様化合物;ロイコインジゴイド色素;米国特許3,042,515号及び同第3,042,517号に記載されているような発色形に酸化しうるような有機アミン類(例えば、4,4’−エチレンジアミン、ジフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリン、4,4’−メチレンジアミントリフェニルアミン、N−ビニルカルバゾール)が挙げられ、これらの中でも、ロイコクリスタルバイオレットなどのトリアリールメタン系化合物が好ましい。
【0174】
更に、前記発色剤は、前記ロイコ体を発色させるためなどの目的で、ハロゲン化合物と組み合わせることが一般に知られている。
前記ハロゲン化合物としては、例えば、ハロゲン化炭化水素(例えば、四臭化炭素、ヨードホルム、臭化エチレン、臭化メチレン、臭化アミル、臭化イソアミル、ヨウ化アミル、臭化イソブチレン、ヨウ化ブチル、臭化ジフェニルメチル、ヘキサクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2,2−テトラブロモエタン、1,2−ジブロモ−1,1,2−トリクロロエタン、1,2,3トリブロモプロパン、1−ブロモ−4−クロロブタン、1,2,3,4−テトラブロモブタン、テトラクロロシクロプロペン、ヘキサクロロシクロペンタジエン、ジブロモシキロヘキサン、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(4−クロロフェニル)エタンなど);ハロゲン化アルコール化合物(例えば、2,2,2−トリクロロエタノール、トリブロモエタノール、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、1,1,1−トリクロロ−2−プロパノール、ジ(ヨードヘキサメチレン)アミノイソプロパノール、トリブロモ−t−ブチルアルコール、2,2,3−トリクロロブタン−1,4−ジオールなど);ハロゲン化カルボニル化合物(例えば1,1−ジクロロアセトン、1,3−ジクロロアセトン、ヘキサクロロアセトン、ヘキサブロモアセトン、1,1,3,3−テトラクロロアセトン、1,1,1−トリクロロアセトン、3,4−ジブロモ−2−ブタノン、1,4−ジクロロ−2−ブタノン−ジブロモシクロヘキサノン等);ハロゲン化エーテル化合物(例えば、2−ブロモエチルメチルエーテル、2−ブロモエチルエチルエーテル、ジ(2−ブロモエチル)エーテル、1,2−ジクロロエチルエチルエーテル等);ハロゲン化エステル化合物(例えば、酢酸ブロモエチル、トリクロロ酢酸エチル、トリクロロ酢酸トリクロロエチル、2,3−ジブロモプロピルアクリレートのホモポリマー及び共重合体、ジブロモプロピオン酸トリクロロエチル、α,β−ジグロロアクリル酸エチル等);ハロゲン化アミド化合物(例えば、クロロアセトアミド、ブロモアセトアミド、ジクロロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、トリブロモアセトアミド、トリクロロエチルトリクロロアセトアミド、2−ブロモイソプロピオンアミド、2,2,2−トリクロロプロピオンアミド、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミドなど);硫黄やリンを有する化合物(例えば、トリブロモメチルフェニルスルホン、4−ニトロフェニルトリブロモメチルスルホン、4−クロルフェニルトリブロモメチルスルホン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート等)、2,4−ビス(トリクロロメチル)6−フェニルトリアゾールなどが挙げられる。有機ハロゲン化合物では、同一炭素原子に結合した2個以上のハロゲン原子を持つハロゲン化合物が好ましく、1個の炭素原子に3個のハロゲン原子を持つハロゲン化合物がより好ましい。前記有機ハロゲン化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、トリブロモメチルフェニルスルホン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−フェニルトリアゾールが好ましい。
【0175】
前記発色剤の含有量としては、前記感光層の全成分に対して、0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜10質量%がより好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。また、前記ハロゲン化合物の含有量としては、前記感光層の全成分に対して、0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜1質量%がより好ましい。
【0176】
−−着色剤−−
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、赤色、緑色、青色、黄色、紫色、マゼンタ色、シアン色、黒色等の公知の顔料又は染料が挙げられ、具体的には、ビクトリア・ピュアーブルーBO(C.I.42595)、オーラミン(C.I.41000)、ファット・ブラックHB(C.I.26150)、モノライト・エローGT(C.I.ピグメントエロー12)、パーマネント・エローGR(C.I.ピグメント・エロー17)、パーマネント・エローHR(C.I.ピグメント・エロー83)、パーマネント・カーミンFBB(C.I.ピグメント・レッド146)、ホスターバームレッドESB(C.I.ピグメント・バイオレット19)、パーマネント・ルビーFBH(C.I.ピグメント・レッド11)、ファステル・ピンクBスプラ(C.I.ピグメント・レッド81)、モナストラル・ファースト・ブルー(C.I.ピグメント・ブルー15)、モノライト・ファースト・ブラックB(C.I.ピグメント・ブラック1)、カーボンブラックが挙げられる。
【0177】
また、前記着色剤としては、更に、C.I.ピグメント・レッド97、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド149、C.I.ピグメント・レッド168、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド180、C.I.ピグメント・レッド192、C.I.ピグメント・レッド215、C.I.ピグメント・グリーン7、C.I.ピグメント・グリーン36、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:4、C.I.ピグメント・ブルー15:6、C.I.ピグメント・ブルー22、C.I.ピグメント・ブルー60、C.I.ピグメント・ブルー64、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントバイオレット23、特開2002−162752号公報の(0138)〜(0141)に記載のもの等が挙げられる。前記着色剤の平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。
【0178】
−−染料−−
前記感光層には、取り扱い性の向上のためにパターン形成材料用感光性樹脂組成物を着色し、又は保存安定性を付与する目的に、染料を用いることができる。
前記染料としては、ブリリアントグリーン(例えば、その硫酸塩)、エオシン、エチルバイオレット、エリスロシンB、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、フェノールフタレイン、1,3−ジフェニルトリアジン、アリザリンレッドS、チモールフタレイン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニル−イエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、オレンジIV、ジフェニルチロカルバゾン、2,7−ジクロロフルオレセイン、パラメチルレッド、コンゴーレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチル−レッド、ナイルブルーA、フェナセタリン、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフクシン、オイルブルー#603(オリエント化学工業社製)、ローダミンB、ローダミン6G、ビクトリアピュアブルーBOHなどを挙げることができ、これらの中でもカチオン染料(例えば、マラカイトグリーンシュウ酸塩、マラカイトグリーン硫酸塩等)が好ましい。該カチオン染料の対アニオンとしては、有機酸又は無機酸の残基であればよく、例えば、臭素酸、ヨウ素酸、硫酸、リン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の残基(アニオン)などが挙げられる。
【0179】
前記染料の含有量としては、前記感光層の全成分に対して、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましく、0.1〜2質量%が特に好ましい。
【0180】
−−密着促進剤−−
各層間の密着性、又はパターン形成材料と被処理基体との密着性を向上させるために、各層に公知のいわゆる密着促進剤を用いることができる。
【0181】
前記密着促進剤としては、例えば、特開平5−11439号公報、特開平5−341532号公報、及び特開平6−43638号公報等に記載の密着促進剤が好適挙げられる。具体的には、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、3−モルホリノメチル−1−フェニル−トリアゾール−2−チオン、3−モルホリノメチル−5−フェニル−オキサジアゾール−2−チオン、5−アミノ−3−モルホリノメチル−チアジアゾール−2−チオン、及び2−メルカプト−5−メチルチオ−チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、アミノ基含有ベンゾトリアゾール、シランカップリング剤などが挙げられる。
【0182】
前記密着促進剤の含有量としては、前記感光層の全成分に対して、0.001〜20質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。
【0183】
前記感光層は、例えば、J.コーサー著「ライトセンシテイブシステムズ」第5章に記載されているような有機硫黄化合物、過酸化物、レドックス系化合物、アゾ又はジアゾ化合物、光還元性色素、有機ハロゲン化合物などを含んでいてもよい。
【0184】
前記有機硫黄化合物としては、例えば、ジ−n−ブチルジサルファイド、ジベンジルジサルファイド、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、チオフェノール、エチルトリクロロメタンスルフェネート、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
【0185】
前記過酸化物としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイドを挙げることができる。
【0186】
前記レドックス化合物は、過酸化物と還元剤の組合せからなるものであり、第一鉄イオンと過硫酸イオン、第二鉄イオンと過酸化物などを挙げることができる。
【0187】
前記アゾ及びジアゾ化合物としては、例えば、α,α’−アゾビスイリブチロニトリル、2−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、4−アミノジフェニルアミンのジアゾニウム類が挙げられる。
【0188】
前記光還元性色素としては、例えば、ローズベンガル、エリスロシン、エオシン、アクリフラビン、リポフラビン、チオニンが挙げられる。
【0189】
−−界面活性剤−−
本発明の前記パターン形成材料を製造する際に発生する面状ムラを改善させるために、公知の界面活性剤を添加することができる。
前記界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素含有界面活性剤などから適宜選択できる。
【0190】
前記界面活性剤の含有量としては、感光層の全成分に対して、0.001〜10質量%が好ましい。
前記含有量が、0.001質量%以上であれば、面状改良の効果が得られ、10質量%以下であれば、密着性が良好となる。
【0191】
前記界面活性剤としては、上述の界面活性剤の他、フッ素系の界面活性剤として、炭素鎖3〜20でフッ素原子を40質量%以上含み、かつ、非結合末端から数えて少なくとも3個の炭素原子に結合した水素原子がフッ素置換されているフルオロ脂肪族基を有するアクリレート又はメタクリレートを共重合成分として有する高分子界面活性剤も好適に挙げられる。
【0192】
前記感光層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1〜100μmが好ましく、2〜50μmがより好ましく、4〜30μmが特に好ましい。
【0193】
<<支持体>>
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記感光層を剥離可能であり、かつ光の透過性が良好であるものが好ましく、更に表面の平滑性が良好であることがより好ましい。
【0194】
前記支持体は、合成樹脂製で、かつ透明であるものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロファン、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフロロエチレン、ポリトリフロロエチレン、セルロース系フィルム、ナイロンフィルム等の各種のプラスチックフィルムが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0195】
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、2〜150μmが好ましく、5〜100μmがより好ましく、8〜50μmが特に好ましい。
【0196】
前記支持体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、長尺状が好ましい。前記長尺状の支持体の長さとしては、特に制限はなく、例えば、10〜20,000mの長さのものが挙げられる。
【0197】
<<保護フィルム>>
前記パターン形成材料は、前記感光層上に保護フィルムを形成してもよい。
前記保護フィルムに含まれる材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、及び前記支持体として使用するものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、前記保護フィルムは、2層以上に積層してなる積層フィルムであってもよく、該積層フィルムとしては、例えば、ポリプロピレン樹脂フィルムとエチレン−プロピレン共重合樹脂フィルムとを積層した積層フィルムが好適に挙げられる。
【0198】
前記保護フィルムの市販品としては、例えば、王子製紙株式会社製、アルファンE−501、MA−410、E−200;帝人株式会社製、PSシリーズ(PS−25等);タマポリ株式会社製、GF−1、GF−3、GF−8、などが挙げられる。また、市販のフィルムをサンドブラスト加工することにより、前記保護フィルムを製造することも可能である。
【0199】
前記保護フィルムの厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5〜100μmが好ましく、8〜50μmがより好ましく、10〜30μmが特に好ましい。
【0200】
前記保護フィルムは、前記保護フィルムと前記感光層との接着性を調整するために表面処理してもよい。前記表面処理は、例えば、前記保護フィルムの表面に、ポリオルガノシロキサン、弗素化ポリオレフィン、ポリフルオロエチレン、ポリビニルアルコール等のポリマーからなる下塗層を形成させる。該下塗層の形成は、前記ポリマーの塗布液を前記保護フィルムの表面に塗布した後、30〜150℃(特に50〜120℃)で1〜30分間乾燥させることにより形成させることができる。
前記保護フィルムを用いる場合、例えば、前記感光層及び該感光層と隣接し、かつ前記保護フィルム以外の層の接着力Aと、前記感光層及び保護フィルムの接着力Bとが、接着力A>接着力Bの関係であることが好ましい。
【0201】
前記支持体と保護フィルムとの組合せ(支持体/保護フィルム)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリイミド/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。また、支持体及び保護フィルムの少なくともいずれかを表面処理することにより、上述のような接着力の関係を満たすことができる。前記支持体の表面処理は、前記感光層との接着力を高めるために施されてもよく、例えば、下塗層の塗設、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、高周波照射処理、グロー放電照射処理、活性プラズマ照射処理、レーザ光線照射処理などを挙げることができる。
【0202】
また、前記支持体と前記保護フィルムとの静摩擦係数としては、0.3〜1.4が好ましく、0.5〜1.2がより好ましい。
前記静摩擦係数が、0.3以上であれば、滑り過ぎにより、ロール状にした場合に巻ズレが発生することを防止でき、1.4以下であれば、良好なロール状に巻くことが可能である。
【0203】
<<その他の層>>
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クッション層、バリア層、剥離層、接着層、光吸収層、表面保護層等の層が挙げられる。前記パターン形成材料は、これらの層を1種単独で有していてもよく、2種以上を有していてもよい。また、同種の層を2以上有していてもよい。
【0204】
−クッション層−
前記クッション層(以下、熱可塑性樹脂層ともいう。)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、アルカリ性液に対して膨潤性乃至可溶性であってもよく、不溶性であってもよい。
【0205】
前記クッション層がアルカリ性液に対して膨潤性乃至可溶性である場合には、前記熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレンとアクリル酸エステル共重合体のケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のケン化物、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体などが挙げられる。
【0206】
この場合の熱可塑性樹脂の軟化点(Vicat)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、80℃以下が好ましい。
前記軟化点が80℃以下の熱可塑性樹脂としては、上述した熱可塑性樹脂の他、「プラスチック性能便覧」(日本プラスチック工業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会発行、1968年10月25日発行)による軟化点が約80℃以下の有機高分子の内、アルカリ性液に可溶なものが挙げられる。また、軟化点が80℃以上の有機高分子物質においても、該有機高分子物質中に該有機高分子物質と相溶性のある各種の可塑剤を添加して実質的な軟化点を80℃以下に下げることも可能である。
【0207】
また、前記クッション層がアルカリ性液に対して膨潤性乃至可溶性である場合には、前記パターン形成材料の層間接着力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、各層の層間接着力の中で、前記支持体と前記クッション層との間の層間接着力が、最も小さいことが好ましい。このような層間接着力とすることにより、前記積層体から前記支持体のみを剥離し、前記クッション層を介して前記感光層を露光した後、アルカリ性の現像液を用いて該感光層を現像することができる。また、前記支持体を残したまま、前記感光層を露光した後、前記積層体から前記支持体のみを剥離し、アルカリ性の現像液を用いて該感光層を現像することもできる。
【0208】
前記層間接着力の調整方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記熱可塑性樹脂中に公知のポリマー、過冷却物質、密着改良剤、界面活性剤、離型剤などを添加する方法が挙げられる。
【0209】
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート等のアルコール類やエステル類;トルエンスルホンアミド等のアミド類、などが挙げられる。
【0210】
前記クッション層がアルカリ性液に対して不溶性である場合には、前記熱可塑性樹脂としては、例えば、主成分がエチレンを必須の共重合成分とする共重合体が挙げられる。
前記エチレンを必須の共重合成分とする共重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)などが挙げられる。
【0211】
前記クッション層がアルカリ性液に対して不溶性である場合には、前記パターン形成材料の層間接着力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各層の層間接着力の中で、前記感光層と前記クッション層との接着力が、最も小さいことが好ましい。このような層間接着力とすることにより、前記積層体から前記支持体及びクッション層を剥離し、前記感光層を露光した後、アルカリ性の現像液を用いて該感光層を現像することができる。また、前記支持体を残したまま、前記感光層を露光した後、前記積層体から前記支持体と前記クッション層を剥離し、アルカリ性の現像液を用いて該感光層を現像することもできる。
【0212】
前記層間接着力の調整方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記熱可塑性樹脂中に各種のポリマー、過冷却物質、密着改良剤、界面活性剤、離型剤などを添加する方法、以下に説明するエチレン共重合比を調整する方法などが挙げられる。
【0213】
前記エチレンを必須の共重合成分とする共重合体におけるエチレン共重合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、60〜90質量%が好ましく、60〜80質量%がより好ましく、65〜80質量%が特に好ましい。
前記エチレンの共重合比が、60質量%以上であれば、前記クッション層と前記感光層との層間接着力が高くなり、該クッション層と該感光層との界面で剥離することが困難となることを防止でき、90質量%以下であれば、前記クッション層と前記感光層との層間接着力が小さくなりすぎて、該クッション層と該感光層との間で非常に剥離しやすくなり、前記クッション層を含むパターン形成材料の製造が困難となることを防止できる。
【0214】
前記クッション層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、5〜50μmが好ましく、10〜50μmがより好ましく、15〜40μmが特に好ましい。
前記厚みが、5μm以上であれば、被処理基体の表面における凹凸や、気泡等への凹凸追従性が良好となり、高精細な永久パターンを形成でき、50μm以下であれば、製造上の乾燥負荷が増大することを防止できる。
【0215】
前記パターン形成材料は、例えば、円筒状の巻芯に巻き取って、長尺状でロール状に巻かれて保管されることが好ましい。前記長尺状のパターン形成材料の長さとしては、特に制限はなく、例えば、10〜20,000mの範囲から適宜選択することができる。また、ユーザーが使いやすいようにスリット加工し、100〜1,000mの範囲の長尺体をロール状にしてもよい。なお、この場合には、前記支持体が一番外側になるように巻き取られることが好ましい。また、前記ロール状のパターン形成材料をシート状にスリットしてもよい。保管の際、端面の保護、エッジフュージョンを防止する観点から、端面にはセパレーター(特に防湿性のもの、乾燥剤入りのもの)を設置することが好ましく、また梱包も透湿性の低い素材を用いる事が好ましい。
【0216】
<<パターン形成材料の製造方法>>
前記パターン形成材料は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、前記感光層に含まれる材料を、水又は溶剤に溶解、乳化又は分散させて、感光性樹脂組成物溶液を調製する。
【0217】
前記感光性樹脂組成物溶液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−n−アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、及びメトキシプロピルアセテートなどのエステル類;トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン、モノクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノールなどのエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、スルホランなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、公知の界面活性剤を添加してもよい。
【0218】
次に、前記支持体上に前記感光性樹脂組成物溶液を塗布し、乾燥させて感光層を形成し、パターン形成材料を製造することができる。
【0219】
前記感光性樹脂組成物溶液の塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、スリットコート法、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、ダイコート法、グラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ナイフコート法等の各種の塗布方法が挙げられる。
前記乾燥の条件としては、各成分、溶媒の種類、使用割合等によっても異なるが、通常60〜110℃の温度で30秒間〜15分間程度である。
【0220】
[露光工程]
前記露光工程は、前記剥離工程の後に、前記感光層に対して所望のパターンの露光をする工程である。例えば、図1(D)に示すように、感光層522の所望の領域に対して露光する。露光部分には硬化領域522Aが形成され、その他の部分は未硬化領域522Bとして残存する。なお、図1(D)では、プリント配線512上に位置する部分を未硬化領域522Bとしている。
タクトタイム短縮の観点から前記露光工程は、前記剥離工程の実施後、なるべく早く実施することが好ましい。
露光の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、デジタル露光、アナログ露光等が挙げられるが、これらの中でもデジタル露光が好ましい。
【0221】
前記デジタル露光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、形成するパターン形成情報に基づいて制御信号を生成し、該制御信号に応じて変調させた光を用いて行うことが好ましい。
【0222】
前記デジタル露光の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、光を照射する光照射手段、形成するパターン情報に基づいて該光照射手段から照射される光を変調させる光変調手段などが挙げられる。
【0223】
前記露光工程における露光量は、前記ラミネート工程、前記露光工程及び前記剥離工程をこの順に実施する場合の前記露光工程における露光量(即ち、従来のパターン形成方法における露光量)に対し、1.1倍以上3.0倍以下であることが好ましく、1.5倍以上2.5倍以下であることがより好ましく、1.8倍以上2.2倍以下であることが特に好ましい。
本発明のパターン形成方法では、前記露光工程の前に前記剥離工程が実施され、前記感光層が空気に暴露される。これにより、前記感光層の感度が急速に安定化するが、反面、感度が低下する結果をも招く。この感度低下に対応するため、前記露光工程では、従来よりも露光量を増加させる必要がある。
前記露光工程における露光量が、従来の露光量の1.1倍以上であれば、十分な硬化が得られ、高精細な現像ができ3.0倍以下であれば、オーバー露光によるパターンのつぶれを防止することができる。
【0224】
[その他の工程]
前記その他の工程としては、特に制限はなく、公知のパターン形成における工程の中から適宜選択することが挙げられるが、例えば、現像工程、硬化処理工程、などが挙げられる。
【0225】
<現像工程>
前記現像工程は、前記露光工程により前記パターン形成材料における感光層を露光し、該感光層の露光した領域を硬化させた後、現像することにより未硬化領域を除去し、パターンを形成する工程である。例えば、図1(E)に示すように、現像液によって未硬化領域522Bを膨潤剥離で除去することで、プリント配線板510に所望のパターン(硬化領域522A)を形成することができる。
【0226】
前記未硬化領域の除去方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、現像液を用いて除去する方法などが挙げられる。
【0227】
前記現像液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤などが挙げられ、これらの中でも、弱アルカリ性の水溶液が好ましい。該弱アルカリ水溶液の塩基成分としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、硼砂などが挙げられる。
【0228】
前記弱アルカリ性の水溶液のpHとしては、例えば、約8〜12が好ましく、約9〜11がより好ましい。前記弱アルカリ性の水溶液としては、例えば、0.1〜5質量%の炭酸ナトリウム水溶液又は炭酸カリウム水溶液などが挙げられる。
前記現像液の温度としては、前記感光層の現像性に合わせて適宜選択することができるが、例えば、約25℃〜40℃が好ましい。
【0229】
前記現像液は、界面活性剤、消泡剤、有機塩基(例えば、エチレンジアミン、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、ジエチレントリアミン、トリエチレンペンタミン、モルホリン、トリエタノールアミン等)や、現像を促進させるため有機溶剤(例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、ラクトン類等)などと併用してもよい。また、前記現像液は、水又はアルカリ水溶液と有機溶剤を混合した水系現像液であってもよく、有機溶剤単独であってもよい。
【0230】
<硬化処理工程>
前記硬化処理工程は、前記現像工程が行われた後、形成されたパターンにおける感光層に対して硬化処理を行う工程である。
【0231】
前記硬化処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、全面露光処理、全面加熱処理などが好適に挙げられる。
【0232】
前記全面露光処理の方法としては、例えば、前記現像工程の後に、前記パターンが形成された前記感光性積層体上の全面を露光する方法が挙げられる。該全面露光により、前記感光層を形成する感光性組成物中の樹脂の硬化が促進され、前記パターンの表面が硬化される。
前記全面露光を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、超高圧水銀灯などのUV露光機が好適に挙げられる。
【0233】
前記全面加熱処理の方法としては、前記現像工程の後に、前記パターンが形成された前記感光性積層体上の全面を加熱する方法が挙げられる。該全面加熱により、前記パターンの表面の膜強度が高められる。
前記全面加熱における加熱温度としては、120〜250℃が好ましく、120〜200℃がより好ましい。該加熱温度が、120℃以上であれば、加熱処理による膜強度の向上が得られ、250℃以下であれば、前記感光性組成物中の樹脂の分解により、膜質が弱く脆くなることを防止できる。
前記全面加熱における加熱時間としては、10〜120分が好ましく、15〜60分がより好ましい。
前記全面加熱を行う装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、IRヒーターなどが挙げられる。
【0234】
なお、前記被処理基体が多層配線板などのプリント配線板である場合は、該プリント配線板上に本発明のパターンを形成し、更に、以下のように半田付けを行うことができる。
即ち、前記現像工程により、前記永久パターンである硬化層が形成され、前記プリント配線板の表面に金属層が露出される。該プリント配線板の表面に露出した金属層の部位に対して金メッキを行った後、半田付けを行う。そして、半田付けを行った部位に、半導体や部品などを実装する。このとき、前記硬化層による永久パターンが、保護膜あるいは絶縁膜(層間絶縁膜)としての機能を発揮し、外部からの衝撃や隣同士の電極の導通が防止される。
【0235】
本発明のパターン形成方法においては、保護膜、層間絶縁膜、ソルダーレジストの少なくともいずれかを形成するのが好ましい。前記パターン形成方法により形成されるパターンが、前記保護膜又は前記層間絶縁膜であると、配線を外部からの衝撃や曲げから保護することができ、特に、前記層間絶縁膜である場合には、例えば、多層配線板やビルドアップ配線板などへの半導体や部品の高密度実装に有用である。
【0236】
本発明のパターン形成方法は、配線パターンの形成にも用いることができる。この場合は、前記その他の工程として、エッチング工程、メッキ工程などが挙げられる。
例えば、プリント配線板の製造行う場合、該製造をサブトラクティブ法で行う場合には、前記現像工程後にエッチング工程が行われ、セミアディティブ法で行う場合には、前記現像工程後にメッキ工程及びエッチング工程が行われる。
【0237】
<エッチング工程>
前記エッチング工程としては、公知のエッチング処理方法の中から適宜選択した方法により行うことができる。
前記エッチング処理に用いられるエッチング液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記金属層が銅で形成されている場合には、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素系エッチング液などが挙げられ、これらの中でも、エッチングファクターの点から塩化第二鉄溶液が好ましい。
前記エッチング工程によりエッチング処理した後に前記パターンを除去することにより、前記被処理基体の表面に永久パターンを形成することができる。
前記永久パターンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、配線パターンなどが好適に挙げられる。
【0238】
<メッキ工程>
前記メッキ工程としては、公知のメッキ処理の中から適宜選択した方法により行うことができる。
前記メッキ処理としては、例えば、硫酸銅メッキ、ピロリン酸銅メッキ等の銅メッキ、ハイフローはんだメッキ等のはんだメッキ、ワット浴(硫酸ニッケル−塩化ニッケル)メッキ、スルファミン酸ニッケル等のニッケルメッキ、ハード金メッキ、ソフト金メッキ等の金メッキなど処理が挙げられる。
前記メッキ工程によりメッキ処理した後に前記パターンを除去することにより、また更に必要に応じて不要部をエッチング処理等で除去することにより、前記被処理基体の表面に永久パターンを形成することができる。
【0239】
〔プリント配線板の製造方法〕
本発明のパターン形成方法は、プリント配線板の製造にも好適に用いることができる。以下、本発明のパターン形成方法を利用したプリント配線板の製造方法の一例について説明する。
【0240】
(1)ラミネート工程
まずスルーホールを有し、表面が金属メッキ層で覆われたプリント配線板形成用基板を用意する。前記プリント配線板形成用基板としては、例えば、銅張積層基板及びガラス−エポキシなどの絶縁基材に銅メッキ層を形成した基板、又は、これらの基板に層間絶縁膜を積層し、銅メッキ層を形成した基板(積層基板)を用いることができる。
次に、前記パターン形成材料上に保護フィルムを有する場合には、該保護フィルムを剥離して、前記パターン形成材料における感光層が前記プリント配線板形成用基板の表面に接するようにして、前記パターン形成材料を前記プリント配線板形成用基板に真空ラミネートする。
【0241】
(2)剥離工程
前記ラミネート工程の後に、前記パターン形成材料の前記支持体を前記感光層から剥離する。
(3)露光工程
次に、前記積層体の基体とは反対側の面から(前記パターン形成材料面から)、光を照射して感光層を硬化させる。
【0242】
(4)現像工程
前記プリント配線板形成用基板上の感光層の未硬化領域を、適当な現像液にて溶解除去して、配線パターン形成領域の硬化層と、テント形成領域の硬化層のパターンを形成し、前記プリント配線板形成用基板の表面に金属層を露出させる。
また、現像後に必要に応じて後加熱処理や後露光処理によって、硬化部の硬化反応を更に促進させる処理をおこなってもよい。現像は上記のようなウエット現像法であってもよく、ドライ現像法であってもよい。
【0243】
(5)配線部形成工程
その後、前記形成したパターンを用いて、前記プリント配線板形成用基板をエッチング処理した後に硬化した前記感光層を剥離する方法(例えば、サブトラクティブ法)、又は、メッキ処理した後に硬化した前記感光層を剥離し、不要な銅箔層をエッチング処理する方法(例えば、セミアディティブ法)により処理すればよい。
これらの中でも、工業的に有利なテンティングでプリント配線板を形成するためには、前記サブトラクティブ法が好ましいが、より解像度の高い(ライン/スペースの小さな)パターンを形成するためには、前記セミアディティブ法が好ましい。
【0244】
前記エッチング処理を行うエッチング液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記金属層が銅で形成されている場合には、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素系エッチング液などが挙げられ、これらの中でも、エッチングファクターの点から塩化第二鉄溶液が好ましい。
【0245】
前記硬化した感光層を剥離するには、強アルカリ水溶液などで処理し、プリント配線板上から剥離片として除去する。
前記強アルカリ水溶液における塩基成分としては、特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
前記強アルカリ水溶液のpHとしては、例えば、約12〜14が好ましく、約13〜14がより好ましい。
前記強アルカリ水溶液としては、特に制限はなく、例えば、1〜10質量%の水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液などが挙げられる。
【0246】
また、プリント配線板は、多層構成のプリント配線板であってもよい。
なお、前記パターン形成材料は上記のエッチングプロセスのみでなく、メッキプロセスに使用してもよい。前記メッキ法としては、例えば、硫酸銅メッキ、ピロリン酸銅メッキ等の銅メッキ、ハイフローはんだメッキ等のはんだメッキ、ワット浴(硫酸ニッケル−塩化ニッケル)メッキ、スルファミン酸ニッケル等のニッケルメッキ、ハード金メッキ、ソフト金メッキ等の金メッキなどが挙げられる。
【0247】
本発明のパターン形成方法は、被処理基体への感光層の優れた密着性が得られ、感度が安定して作業効率に優れ、パターンを高精細に形成可能なパターン形成方法として好適に使用することができる。
【実施例】
【0248】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0249】
(実施例1)
<パターン形成材料の製造>
前記支持体としての16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、16QS52)上に下記の組成からなる感光性樹脂組成物溶液を塗布し乾燥させて、前記支持体上に厚み30μmとする感光層を形成し、前記パターン形成材料を製造した。
【0250】
[感光性樹脂組成物溶液の組成]
・フェノチアジン 0.0049質量部
・メタクリル酸/メチルメタクリレート/スチレン共重合体(共重合体組成(質量比):
29/19/52、質量平均分子量:60,000、酸価189)
11.8質量部
・下記構造式(15)で表される重合性モノマー
5.6質量部
・ヘキサメチレンジイソシアネートとテトラエチレンオキシドモノメタクリレートの1/
2モル比付加物 5.0質量部
・ドデカプロピレングリコールジアクリレート
0.56重量部
・2,2−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダ
ゾール 1.7質量部
・10−ブチル−2−クロロアクリドン
0.09質量部
・マラカイトグリーンシュウ酸塩
0.016質量部
・ロイコクリスタルバイオレット
0.1質量部
・メチルエチルケトン 40質量部
・1−メトキシ−2−プロパノール
20質量部
・フッ素系界面活性剤(大日本インキ社製、F780F)
0.021質量部
なお、前記フェノチアジンは、前記重合禁止剤であり、分子内に芳香環、複素環、及びイミノ基を有する化合物である。
【0251】
【化17】

【0252】
但し、構造式(15)中、m+nは、10を表す。
【0253】
前記パターン形成材料の感光層の上に、前記保護フィルムとして12μm厚のポリプロピレンフィルム(王子製紙株式会社製、アルファンE−501)を積層した。
【0254】
<ラミネート工程>
ガラス基板又はシリコンウエハを被処理基体とし、前記パターン形成材料の感光層がガラス基板又はシリコンウエハに接するようにして、前記パターン形成材料における保護フィルムを剥がしながら、真空ラミネーター(名機製作所製、MVLP500)を用いて積層させ、前記ガラス基板又はシリコンウエハと、前記感光層と、前記支持体とがこの順に積層された積層体を調製した。圧着条件は、圧着温度70℃、圧着圧力0.4MPa、真空プレス時間を35秒間(真空到達時間15秒間、真空プレス時間20秒間、平坦プレスなし)とした。
【0255】
<剥離工程>
ラミネート工程の後、室温にて1分間静置した後、前記積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取った。
【0256】
<露光工程>
パターン形成装置を用いて、感光層への露光を実施した。
なお、露光量としては、露光強度が30mJ(露光時間30秒)である。これは、ラミネート工程、露光工程及び剥離工程をこの順に実施する場合の露光工程における露光量に対し1.0倍である。
【0257】
<<パターン形成装置>>
光照射手段と、光変調手段と、マイクロレンズアレイとを備えた露光装置(型番:INPREX、富士フイルム社製)をパターン形成装置として用いた。
ここで、光変調手段は、光照射手段から受光した光を変調させて出射する描素部を複数有する。また、マイクロレンズアレイには、複数のマイクロレンズが配列されており、各マイクロレンズは、描素部から出射された光の収差を補正可能な非球面(トーリック面)を有する。
具体的には、光照射手段は合波レーザ光源、光変調手段はDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)である。DMDは、一方の面がトーリック面であるマイクロレンズ474をアレイ状に配列したマイクロレンズアレイを備えている。
【0258】
<現像工程>
30℃の1%NaCO水溶液を用い、シャワー方式(0.15MPa)にて30秒〜60秒の時間で現像を行った。その後、工業用水(25℃前後温調なし)にて60秒〜120秒の水洗を行った。
【0259】
<評価>
作製したパターンについて、以下のように評価を実施した。
【0260】
<<感度安定性の評価>>
上述の製造方法、及びラミネート工程、露光工程及び剥離工程をこの順に実施する従来の製造方法により、ラミネート工程実施後、露光工程の実施までの時間を下記のように変動させて、L/S=50/50μmのパターンを作成し、線幅を評価した。
【0261】
【表1】

【0262】
<<ラインタクト>>
ラミネート工程開始から露光工程終了までの時間を測定し、ラインタクトとした。
【0263】
<<感光層の感度>>
現像工程終了後、ステップ段数に基づいて、以下の3段階に評価した。
ΔOD=0.05にて
○:クリア22〜23段
△:クリア24〜25段
×:クリア26段以上
【0264】
<<埋め込み性>>
基材への密着性を目視により観察し、下記基準により評価した。
○・・・気泡もシワも全くなく、良好に密着している。
△・・・シワはないが、気泡が混入している。
×・・・シワもあり気泡も混入している。
なお、銅張積層板を基材とする後述の実施例、比較例では、L/S/L=500/100/500μmの配線パターン間への、感光層の埋め込み状態を目視により観察し、下記基準により評価した。
○・・・気泡もシワも全くなく、良好に埋め込めている。
△・・・シワはないが、気泡が混入している。
×・・・シワもあり気泡も混入している。
【0265】
<<パターン解像度>>
L/S=50/50μmのパターン線幅を測定(観察)し、以下の3段階に評価した。
○:50μm以上54μm未満
△:54μm以上56μm未満
×:56μm以上
【0266】
<<パターン密着度>>
L:S=1:5パターン(L=10〜100μmで10μm刻み)を測定(観察)し、以下の3段階に評価した。
○:L=〜35μm未満
△:L=35μm以上45μm未満
×:L=45μm以上
【0267】
(実施例2)
実施例1において、露光工程における露光強度を変更し、露光量を1.0倍から3.1倍に変えた以外は、実施例1と同様にしてパターンを形成し、評価した。
【0268】
(実施例3)
実施例1において、露光工程における露光強度を変更し、露光量を1.0倍から1.1倍に変えた以外は、実施例1と同様にしてパターンを形成し、評価した。
【0269】
(実施例4)
実施例1において、露光工程における露光強度を変更し、露光量を1.0倍から2.0倍に変えた以外は、実施例1と同様にしてパターンを形成し、評価した。
【0270】
(実施例5)
実施例1において、露光工程における露光強度を変更し、露光量を1.0倍から3.0倍に変えた以外は、実施例1と同様にしてパターンを形成し、評価した。
【0271】
(実施例6)
実施例1において、被処理基体を以下の銅張積層板に代えた以外は、実施例1と同様にしてパターンを形成し、評価した。
<銅張積層板の作製>
表面を研磨、水洗、乾燥した銅板にDFRフィルムをラミネートし、露光、現像をしてL/S/L=500/100/500μmのパターンを形成した後、銅板をエッチングし、硬化膜を剥離することにより、表面に配線パターン501aを有する銅張積層板(スルーホールなし、銅厚み30μm)を形成した。前記配線パターン501aの形成高さは、30μmである。
【0272】
(実施例7)
実施例6において、露光工程における露光量を1.0倍から2.0倍に変えた以外は、実施例6と同様にしてパターンを形成し、評価した。
【0273】
(実施例8)
実施例6において、ラミネート工程を真空ロールラミネータによって実施した以外は、実施例6と同様にしてパターンを形成し、評価した。
【0274】
(比較例1)
実施例6において、ラミネート工程、露光工程及び剥離工程をこの順に実施した以外は、実施例6と同様にしてパターンを形成した。
なお、ラミネート工程の1分後に露光工程を実施したところ、感光層の感度が安定しておらず、L/S=50/50の線幅が62μmとなったので、ラミネート工程後、感度の安定を待って露光工程を実施した。その結果、タクトタイムが、61分20秒となった。
【0275】
(比較例2)
実施例6において、ラミネート工程を真空でないプレスラミネータによって、70℃、圧着圧力0.4MPa、プレス20秒の条件で実施した以外は、実施例6と同様にしてパターンを形成し、評価した。
【0276】
(比較例3)
実施例6において、ラミネート工程を真空でないロールラミネータによって実施した以外は、実施例6と同様にしてパターンを形成し、評価した。
上述の各実施例、比較例における評価の結果を、以下の表2に示す。
また、各種ラミネータよるラミネート工程の所要時間を、以下の表3に示す。
【0277】
【表2】

【0278】
【表3】

【0279】
表2から、本発明のパターン形成方法を用いた実施例1〜8では、処理対象表面と感光層とが密着し、かつ、早期に感光層の感度が安定した状態が達成され、タクトタイムを短縮できることがわかる。
これに対し、露光工程の後に剥離工程を実施する従来の方法を用いた比較例1では、感光層の感度を安定させるために長時間を要し、タクトタイムが極端に長くなっていることがわかる。
また、真空でないラミネータを用いた比較例2,3では、十分な埋め込み性が得られないことがわかる。
【0280】
実施例1〜5の対比により、露光量が1.1倍以上3.0倍以下の範囲において、良好なパターン解像度及びパターン密着度が得られることがわかる。
また、実施例6,7より、本発明のパターン形成方法によれば、基体に配線パターンなどの凹凸があっても、良好な埋め込み性が得られることがわかる。
実施例8では、真空プレスラミネータによるラミネート工程の実施時間が50秒であるのに対し、真空ロールラミネータによるラミネート工程の実施時間が20秒であるため、実施例6に比べタクトタイムが30秒短縮した。
【産業上の利用可能性】
【0281】
本発明のパターン形成方法は、被処理基体への感光層の優れた密着性が得られ、感度が安定して作業効率に優れ、パターンを高精細に形成可能なパターン形成方法として好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0282】
【図1】図1は、本発明のパターン形成方法の概略を示す図である。
【図2】図2は、従来のパターン形成方法の概略を示す図である。
【符号の説明】
【0283】
510 プリント配線板(被処理基体)
510A 処理対象表面
511 基板
512 プリント配線
520 パターン形成材料
521 支持体
522 感光層
522A 硬化領域
522B 未硬化領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と前記支持体に積層された感光層とを備えたパターン形成材料を用いて被処理基体の処理対象表面にパターンを形成するパターン形成方法であって、
前記感光層が前記処理対象表面側になるようにして、前記パターン形成材料を前記被処理基体に真空ラミネートするラミネート工程と、
前記ラミネート工程の後に、前記支持体を前記感光層から剥離する剥離工程と、
前記剥離工程の後に、前記感光層に対して所望のパターンの露光をする露光工程と、を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
処理対象表面は、凹凸を有する請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
被処理基体は、プリント配線を有するプリント配線板であり、
前記プリント配線が、処理対象表面の凹凸を形成している請求項2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
露光工程における露光量は、ラミネート工程、前記露光工程及び剥離工程をこの順に実施する場合の前記露光工程における露光量に対し1.1倍以上3.0倍以下である請求項1から3のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項5】
ラミネート工程は、真空ロールラミネータを用いて実施される請求項1から4のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項6】
ラミネート工程は、真空プレスラミネータを用いて実施される請求項1から4のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項7】
露光工程の後に、感光層の現像をする現像工程を含む請求項1から6のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項8】
現像工程の後に、永久パターンを形成する永久パターン形成工程を含む請求項7に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
感光層は、重合性化合物と、バインダーと、光重合開始剤とを含む請求項1から8のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項10】
感光層は、熱架橋剤を更に含む請求項9に記載のパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−79089(P2010−79089A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249157(P2008−249157)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】