説明

パターン検査装置および検査方法

【課題】ウエハとマスクのように同等の回路パターンが形成されているが形状が異なる試料を一つの装置で検査することができる検査装置または検査方法を提供する。
【解決手段】検査装置が、形状が異なる複数の試料に対応した複数の搬送ホルダを備えることにより、同一試料室で異なる試料の検査を可能とする。更に、双方の試料に対する検査結果を照合する機能を備えることにより、欠陥と欠陥が生じる原因との関係を容易に解析できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置や液晶やフォトマスクやナノインプリント等微細なパターンを有する基板製造方法及び装置に係わり、特に半導体装置とマスクのパターンに対して電子線を使用して検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2007−059176号公報)には、マスクを電子顕微鏡で観察する際に観察箇所清浄化のために紫外光を照射するようにする技術が開示されている。また、特許文献2(特開2007−220471号公報)には、予めマスク用の電子顕微鏡で取得したマスク上回路パターン画像を、ウエハ用の電子顕微鏡で電子線画像を取得する際に同時に表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−059176号公報
【特許文献2】特開2007−220471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
まず、本発明の背景について、半導体装置を例として説明する。
【0005】
半導体装置の製造においては、回路形成に必要なパターンをCADで設計し、この設計データをフォトマスク(レチクル)上に形成する。すなわち、透明な基板上に上記設計パターン形状が遮光膜として形成されるようにする。このフォトマスクを縮小露光装置内にロードし、感光体を塗布したウエハに対してフォトマスクを通過した光を露光,結像することで、半導体ウエハ上に回路パターンが形成される。縮小露光装置の縮小率は、一般に1/4〜1/5のため、マスク上のパターンはウエハ上のパターンに対して4〜5倍拡大したものになっている。
【0006】
近年、半導体装置の回路微細化に伴い、ウエハ上に形成されるパターンもマスク上に形成されるパターンも小さくなってきている。縮小露光装置で露光に用いられる光の波長より小さいサイズのパターンをウエハ上に形成するために、マスクにおいて位相シフト法やOPC技術が用いられている。逆に、マスク上で微小なパターン異常や欠陥が発生した場合に、露光装置の収差や回折の影響によりウエハ上でどのような形状やサイズに転写されるか予め把握することが困難となっている。このような状況で、さらにEUVリソグラフィーでは、マスクの保護膜がなくなるために、使用時・ハンドリング時にマスク上に異物や欠陥が発生する可能性がある。また、基板が多層膜であることから、マスク上に存在する欠陥がウエハに転写されない場合や、多層膜中に埋まってマスク検査では検知が困難な欠陥がウエハ上に転写される場合があるため、マスクのみの検査、あるいはウエハのみの検査では、両者での寸法の関係,欠陥の要因,致命性の判断が困難となっている。
【0007】
これまでの従来技術では、例えば半導体装置(ウエハ)については、ウエハ専用の検査装置で検査を行い、ウエハ用の検査座標データを用いてウエハ専用の電子顕微鏡で観察や寸法を測定していた。一方、フォトマスクについても同様で、マスク専用の検査装置で検査を行い、マスク用の座標データを用いてマスク専用の電子顕微鏡で観察や寸法を測定していた。上記のように、例えばEUVリソグラフィーでは、マスクの保護膜がなくなるために、使用時・ハンドリング時にマスク上に異物や欠陥が発生する可能性がある。
【0008】
また、基板が多層膜であることから、マスク上に存在する欠陥がウエハに転写されない場合や、多層膜中に埋まってマスク検査では検知が困難な欠陥がウエハ上に転写される場合があるため、マスク検査とウエハに転写された結果を照合する必要がある。従来技術では、このようなマスク検査結果とウエハ検査結果の照合やレビューに膨大な時間と手間を要していた。
【0009】
ナノインプリントにおいても同様に、プリントの型であるテンプレートと、転写されたパターンでの照合において、同一の装置では行えないため、別々の装置で別々に検査し、照合するのに膨大な時間を要していた。
【0010】
本発明の目的は、上記課題を解決し、半導体装置や液晶やフォトマスクのようなパターンが形成された基板において、例えばウエハとマスクのように同等の回路パターンが形成されているが形状が異なる試料を一つの装置で検査することができる検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明では、まず、複数の形状の試料に対し、各々搬送できるロードポートを複数設けた。また、試料室の前に試料交換室を複数設け、各々の試料交換室に試料を載置するホルダを設けた。ホルダの形状,高さ,試料保持方法は、各々の試料形状に応じており、試料室内の電子光学系で観察可能な高さに試料が設置されるようになっている。また、ホルダ底面のガイドおよびステージへのアタッチメントは同一の構造であるため、単一のステージで複数のホルダに対応することができるようにした。このようにして、例えばフォトマスクと半導体ウエハを、同一の装置にロードし、電子線顕微鏡で観察あるいは計測できるようにした。
【0012】
次に、マスクあるいはウエハを検査した結果ファイルあるいは測定する座標データファイルを、マスク座標とウエハ上の座標の両方に変換する座標変換手段および媒体を設けることにより、一つの検査結果でマスクとウエハの両方を同じ装置(電子顕微鏡)で観察あるいは計測できるようにした。
【0013】
さらに、ウエハとマスクの両方を観察した結果を照合し、照合結果により欠陥種を分類する機能および寸法を照合し転写時の倍率比率を求める機能を設け、分類されたコードあるいは転写時の倍率比率を検査結果に追加し、検査結果データを外部に出力できるようにした。
【0014】
これにより、複数の装置を用いたり人手による煩雑なデータ処理を行わなくても、同一の検査装置でマスクとウエハの両方についてSEM画像で観察あるいは寸法測定ができ、例えば欠陥がマスク起因であるかプロセス起因であるかを分類したり、例えば欠陥が致命であるか非致命であるかを分類したり、例えばパターン寸法の変動比率を求めたりすることができるようになる。
【0015】
ナノインプリントのテンプレートと転写基板についても、同様である。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、短時間で効率よくフォトマスクの品質およびウエハ転写の品質を評価でき、この技術により品質を管理されたマスクを適用することで、半導体装置の品質を向上することができるため、半導体装置等の信頼性を高めるとともに不良率を低減するまでに要する期間を短縮するのに寄与することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態1を説明するための装置構成図。
【図2A】図1に示す装置の上面図。
【図2B】図1に示す装置の上面図。
【図2C】図1に示す装置の上面図。
【図3A】試料ホルダに資料を載置した際の断面図。
【図3B】試料ホルダに資料を載置した際の断面図。
【図4】マスク座標系の説明図。
【図5】ウエハ座標系の説明図。
【図6】座標変換のフローを示す図。
【図7】検査のフローを示す図。
【図8】検査時の電子線画像を示す図。
【図9】照合結果の判定結果の事例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施例)
本実施例では、第一の試料としてフォトマスク、第二の試料としてウエハを検査する場合について図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、第一の実施形態に係る検査装置の全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施例の検査装置100は、試料カセット101を載置するローダと、試料104を搬送する搬送部102と、真空室である試料室106に試料104を搬送するための試料交換室103と、試料室106と、操作部124と、各部を制御する制御部123と、制御部123からの指令により電子光学系を制御するカラム制御部121と、ステージを制御するステージ制御部120と、検出器117からの信号を画像化したり記憶部122に保存したりする信号制御部119で構成されている。試料室106内には、電子光学系とステージがあり、電子源107,引き出し電極108,レンズ109,絞り110,二次電子収集用の反射板111,偏向器112,対物レンズ113,試料上電極114,Xステージ115,Yステージ116,高さセンサ117,検出器118から構成されている。
【0020】
試料104は、ローダにある試料カセット101から、搬送部102により試料交換室103内の試料ホルダ105上にロードされる。試料交換室103では、試料104が載置されたら真空に引き、所定の真空度に達したら試料室106に搬送される。試料室106では、ステージ115,116が試料交換室103近くに移動し、試料ホルダ105が試料104を載せた状態でステージ115上に押し出され、固定され、試料交換室103の開口部127は閉じられる。開口部127が閉じられ、試料室106内が所定の真空度に達したら、ステージ115,116が所定の座標に移動し電子線画像を取得する。電子線は、電子源107から発せられ、引き出し電極108で加速され、レンズ109で絞られて絞り110を通過し、対物レンズ113で絞られ試料104上で焦点を結ぶ。この電子線は偏向器112で走査され、これと同期して検出器118で信号を逐次検出し、信号値を濃淡値に変換して電子線画像とする。検出器118に二次電子あるいは反射電子を収集するために、反射板111が用いられている。試料台105には電圧が印加できるようになっており、試料に照射される電子線のエネルギーを調整できる。電子源107と引き出し電極108にも電圧が印加されているので、これらの電圧調整の組み合わせにより試料へ照射されるエネルギーが制御される。検出器118で検出された信号は、信号制御部119にて変換・画像化され、保存する場合には記憶部122にデータを格納する。これらの一連の動作は、操作部124から命令が入力され、それに基づき制御部123が各部に制御命令を与えることで実行される。さらに、制御部123は外部とネットワーク通信等でつながっており、外部データベース125とアクセスできる。例えば、他の装置で検査した座標データを授受したり、本実施例の検査装置の検査結果データや保存した画像データを出力することができる。
【0021】
図2Aには、図1に示した本実施例の検査装置の上面図を示す。ローダ部には、第一の試料であるフォトマスクの入った試料カセット101と、第二の試料であるウエハが入った試料カセット101′が載置できる。片方のみを検査する場合にはいずれか一方を載置すれば良い。搬送系,試料交換室は、試料ホルダは各々2式あり、第一の試料の場合には、試料カセット101から搬送部102が試料104を取り出し、試料交換室103を真空開放し、開口部126が開き、試料104を試料ホルダ105に載せ、図1に示す開口部126を閉じ真空引きを行う。所定の真空度に達したら、開口部127が開き、ステージ115,116が試料交換室103近くに移動し、更に図2Bに示されるように試料ホルダ105がステージまで押し出され、所定の位置に達したら固定される。開口部127が閉じた後、ステージが所定の座標に移動し、電子線画像による検査を行う。検査が終了したら、上記の逆の手順で第一の試料104はもとのカセット101に戻される。
【0022】
第二の試料を検査する場合には、同様にカセット101′から搬送部102′により第二の試料104′を試料交換室103′内の試料ホルダ105′上に移動させる。ステージ115,116が試料交換室103′近くに移動し、開口部127′が開き、図2Cに示されるように試料104′が載った資料ホルダ105′がステージまで押し出され、所定の位置に達したら固定される。
【0023】
図3に、図1および図2で示した試料ホルダ105に試料を載置させ試料室に搬送させた場合の断面模式図を示す。図3Aが第一の試料(フォトマスク)の場合、図3Bが第二の試料(ウエハ)の場合である。第一の試料ホルダ105は、マスク104のサイズと矩形にあわせた保持形態となっており、マスク表面の高さが電子光学系に対して所定の高さになるようになっている。第二の試料ホルダ105′は、ウエハ104′のサイズと円形にあわせた保持形態となっており、第二の試料ホルダ105′上にウエハが載置された際にウエハ表面の高さが電子光学系に対して所定の高さになるようになっている。このように、複数の形状の被検査試料を同一の検査装置100で検査する場合に、ステージに対して各試料ホルダの下面構造が同じすることで、試料台への移動および固定方法を共通にでき、固定した後には、所定の座標への移動命令に従って移動すればよいことになる。
【0024】
一方、電子光学系に対しては、形状の異なる試料であっても表面高さがほぼ同じになるように、形状の異なる各試料の形状や厚みに対して試料ホルダの保持方法および厚さで調整することで、同じ電子光学系により電子線画像を取得することができるようになる。試料によっては、絶縁物である石英基板を用いる場合や、シリコン結晶のような半導体基板を用いる場合や、金属のような導電性基板を用いる場合があり、同じ電子光学系であっても照射する電子線の条件(照射エネルギー,電子ビーム電流)を各々最適化する必要がある。照射エネルギーを変える手段については、前記のとおりなのでここでは省略する。このような最適条件は、操作部124より検査条件やレシピ情報を入力することで予め登録しておいた最適条件を呼び出し適用することができる。その際に、被検査試料表面の帯電状態を制御するため、上記電子線の照射条件に加えて試料上電極114に印加する電圧の条件も変える場合がある。
【0025】
次に、本実施例の検査装置100を用いて検査する方法について説明する。まず、第一の試料であるマスクの座標系の一例を図4に示す。形状は矩形で、マスクの四隅の交点であるマスク中心が原点200となっている。縮小露光装置で転写される時に、パターン形状が反転して転写されるため、マスクのX座標201はミラー反転した向きとなっており、Y座標202はウエハ上と同じ向きである。また、縮小露光時の縮小率に応じて、パターン寸法がウエハより大きいため、座標も同じ倍率で換算する必要がある。本実施例では、縮小率が1:4の場合について説明する。
【0026】
次に、ウエハ上での座標系の一例を図5に示す。露光される単位でのショット203,繰り返しの単位であるダイ209毎に分割されている。ショット203の座標系は、ショットの左下のコーナーが原点204であり、ショットX方向205とショットY方向206の座標となっている。ダイ207単位の場合にも同様に、ダイの左下のコーナーが原点208であり、ダイX方向209とダイY方向210の座標となっている。
【0027】
このように、形状や倍率の異なる試料でマスク上とウエハ上で等価のパターン箇所を検査する場合、図6に示す座標換算が必要になる。図6のA図は、マスク座標をウエハ座標に変換するフローを示している。マスク座標値MX1,MY1(300)に対し、装置固有の原点ずれ量のオフセットを調整する(301)。次に、マスク中心となっている原点200を露光パターンのコーナー原点に変換し(302)、ウエハでの座標倍率にあわせるため、ここでは座標値を縮小率にあわせて4分の1にする(303)。そして、座標系の向きをミラー反転し(304)、ウエハ座標のショット原点にあわせてさらにオフセット調整する。もしダイ座標にする場合には、さらにダイ分割とダイサイズにあわせて原点位置を調整する(306)。逆に、ウエハの座標をマスク座標に変換するフローを図6のB図に示す。
【0028】
図1の検査装置を用いて、実際に被検査試料を検査する方法について、図7を参照しながら説明する。操作部125より必要な情報を入力して検査を開始する(400)。最初に、被検査試料のタイプを選択する(401)。これにより、カセットや試料ホルダが選択され、最適な検査レシピの登録ディレクトリも選択される。操作画面より、電子線照射条件および検査レシピをロードする(402,403)。検査レシピには、検査すべき座標データの選択および被検査ウエハに転写されているパターンの情報選択が含まれる。次に、レシピでロードした座標データが、被検査試料と同一の座標系でない場合には、図6に示した方法で座標変換を行い(404)、被検査試料の座標系での検査ポイントを指定する。そして、指定した第一の被検査試料をロードする(405)。
【0029】
次に、被検査試料上に形成されたパターンの光学顕微鏡画像や電子線画像を用いて、試料の位置や回転量を求め補正するためのアライメントを実行する(406)。さらに、既知のパターンに移動し、座標のオフセット量を補正した後(407)、上記レシピでロードし座標変換された座標に基づきステージを移動し電子線画像を取得し、必要に応じて画像を保存したり寸法を計測する(408)。このようにして、所望の箇所について検査を実行し、結果をファイルとして保存し、必要に応じて結果を出力する(409)。
【0030】
第一の試料の検査が終了したら、次に続けて第二の試料を検査するかどうかを選択する。第二の試料を選択した場合には、図7のフロー401に示す、試料タイプの選択から同様のフローで検査を実行する。第二の試料の検査が終了したら、第一の試料と同様に結果をファイルとして保存する(409)。その後、第一の試料の検査結果と第二の検査結果を照合し(412)、欠陥の種類や要因、寸法比率等を分類し(413)、分類結果を第一および第二の試料の検査結果ファイルに追記あるいは変更し、必要に応じて結果を出力し(414)、検査を終了する(415)。なお、試料のアンロードのタイミングは、図7のフロー通りでなくても良い。また、続けて第二の試料を検査しない場合には、過去の別の検査結果を選択し、該選択した結果ファイルと照合することができる(412)。さらに、2種の検査結果だけでなく、3種以上の検査結果を照合することもできる(412)。
【0031】
図8に、検査時に取得した画像の例を示す。図8の(1)図は、マスク検査時に取得されたポイント1の電子線画像500で、基板502上に線状のパターン501が形成されている。線と線の間の基板502上に欠陥503が存在している。このマスク上の座標に相当する箇所(ポイント1)を、次にウエハ上で検査した。その結果が(2)図に示すウエハ上の電子線画像504である。下層に形成された膜506上にフォトレジスト等の材料で形成されたパターン505が存在している。電子線画像を検査した結果、ポイント1の箇所に欠陥507が転写されていることが判明した。よって、マスク上のポイント1の欠陥503は、ウエハに転写される致命性の欠陥であることが判定された。ポイント2の座標について、同様に検査した。(3)図はマスク上ポイント2の電子線画像508である。パターンと基板が同様に形成されている。ポイント2では、線状のパターンに沿って欠陥509が存在している。このポイント2に相当する箇所をウエハで検査した。(4)図はポイント2のウエハ上での電子線画像510である。この電子線画像510を検査した結果ウエハ上では、欠陥は認識できなかった。従って、ポイント2のマスク状の欠陥は、ウエハに転写されない非致命の欠陥であるが、マスク上に存在が確認されたので要注意と判定された。さらに、ポイント3の箇所を同様に検査した。(5)図はポイント3の箇所をマスク上で検査した電子線画像511である。検査の結果、欠陥は認識できなかった。ウエハ上のポイント3についても、(6)図に示す電子線画像512の検査の結果、欠陥は認識されなかった。従って、ポイント3の座標は、事前の検査装置での誤検出と判定された。
【0032】
図8の検査結果で照合され、判定された結果を図9の表Aに示す。このようにして、マスクとウエハの両方を同じ検査結果の座標データを用いて照合検査することで、欠陥の致命性および欠陥発生要因がマスクであるかプロセスであるかを大まかに分類できる。図9の表Bは、ウエハ検査結果の座標をもとに照合検査を行った場合についてのものである。さらに図9の表Cについては、予め登録したパターンの座標について、マスクとウエハの両方で寸法を計測し、その寸法比率を求めた検査となっている。
【0033】
本実施例の検査装置および検査方法により、複数の形状の試料を同じ装置にロードすることができ、同じ座標データに基づいて電子線画像により検査することができるようになった。また、例えばマスクとウエハのように、転写元と転写先の試料を照合して検査することができるため、例えばマスク上の欠陥座標データを用いると、照合により該欠陥の致命性を判定することができる。一方、ウエハ上での欠陥座標データを用いると、欠陥の要因がプロセス起因かマスク起因かを判定することができるようになる。このようにして、マスクの欠陥および品質管理を行うことができるようになるので、半導体装置製造の信頼性を向上することができるようになる。また、露光プロセスマージンとの関連性や、寸法管理もできるため、露光プロセスの品質管理もできるようになり、マスク品質および露光プロセスの最適化を図ることができ、結果として半導体の歩留まりや生産性を高めることに寄与できる。
【0034】
(第2の実施例)
本実施例では、第1の実施例で説明した第一の試料(フォトマスク)がナノインプリントで用いられるテンプレートであり、第二の試料がウエハの場合のパターン検査装置の構成例を示す。装置の全体構成および機能・動作は第1の実施例と同様であり、説明は省略する。
【0035】
テンプレートは、マスクと同様に回路パターンを形成されているが、転写時に縮小されないために座標変換時の倍率変換が不要となる。また、パターンの凹凸が、テンプレートとウエハで反転するという特徴がある。
【0036】
本実施例により、ナノインプリントによるパターン描画を行うウェハに対しても第1の実施例と同様な作用効果が実現でき、更にテンプレートの品質管理に寄与でき、生産性を高めることができるようになる。
【0037】
以上、本発明の代表的な装置構成および検査方法について具体的な各部の作用,検査フロー,操作手順,照合方法等の実施例について説明してきたが、特許請求の範囲あるいは各実施例に掲げた複数の特徴を組み合わせた検査装置および検査方法についても、本発明の範囲を逸脱しない範囲で実施可能であることは言うまでもない。
【0038】
また、これまでに述べてきた検査装置および検査方法により、複数の形状の試料を同じ装置にロードすることができ、同じ座標データに基づいて電子線画像により検査することができるようになった。また、例えばマスクとウエハのように、転写元と転写先の試料を照合して検査することができるため、例えばマスク上の欠陥座標データを用いると、照合により該欠陥の致命性を判定することができる。一方、ウエハ上での欠陥座標データを用いると、欠陥の要因がプロセス起因かマスク起因かを判定することができるようになる。
【0039】
このようにして、マスクの欠陥および品質管理を行うことができるようになるので、半導体装置製造の信頼性を向上することができるようになる。また、露光プロセスマージンとの関連性や、寸法管理もできるため、露光プロセスの品質管理もできるようになり、マスク品質および露光プロセスの最適化を図ることができ、結果として半導体の歩留まりや生産性を高めることに寄与できる。
【符号の説明】
【0040】
100 検査装置
101 試料カセット
102 搬送部
103 試料交換室
104 被検査試料
105 試料ホルダ
106 試料室
107 電子源
108 引き出し電極
109 レンズ
110 絞り
111 反射板
112 偏向器
113 対物レンズ
114 試料上電極
115 Xステージ
116 Yステージ
117 高さセンサ
118 検出器
119 信号制御部
120 ステージ制御部
121 光学系制御部
122 記憶部
123 制御部
124 操作部
125 外部データベース,媒体
126 搬送部側開口部
127 試料室側開口部
200 マスク原点
201 マスクX座標
202 マスクY座標
203 ショット
204 ショット原点
205 ショットX座標
206 ショットY座標
207 ダイ
208 ダイ原点
209 ダイX座標
210 ダイY座標
300 マスク座標(フロー)
301,311 オフセット調整(フロー)
302 センター原点→コーナー原点(フロー)
303 倍率変換(4分の1)(フロー)
304,308 ミラー変換(フロー)
305 ショット座標系→ダイ座標系変換(フロー)
306 ダイ座標系(フロー)
307 ダイ座標系→ショット座標系(フロー)
309 倍率変換(4倍)(フロー)
310 コーナー原点→センター原点(フロー)
400〜415 検査フローの各動作
500 ポイント1のマスク上の電子線画像
501 マスク上のパターン
502 マスク上の基板
503 マスク上で見つかった欠陥
504 ポイント2のウエハ上の電子線画像
505 ウエハ上のパターン
506 ウエハ上下層の膜
507 ウエハ上で見つかった欠陥

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンが形成された基板表面に電子線を照射する手段と、該基板から発生する信号を検出する手段と、検出手段により検出された信号を画像化する手段から成るパターン検査装置であって、
複数の試料ロードポートと複数の試料交換室を有し、該試料交換室に各々形状の異なる試料を載置するための複数のホルダを有し、該試料ホルダにより形状の異なる試料を同一ステージに載置する手段を備えていることを特徴とするパターン検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパターン検査装置において、
試料の一つは、半導体装置のマスク(第一の試料)であり、もう一つは半導体ウエハ(第二の試料)であることを特徴とするパターン検査装置。
【請求項3】
請求項1に記載のパターン検査装置において、
試料の一つはテンプレートであり、もう一つ該テンプレートで転写されたパターンが形成された基板あるいはフィルムであることを特徴とするパターン検査装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のパターン検査装置において、
他の装置で被検査試料を検査した結果の座標データをもとに、該座標データを複数の試料形状にあわせて各々変換する手段と、
変換した結果に基づきアライメントを行う手段と、
アライメント後に該座標に移動し画像を取得する手段を備えていることを特徴とするパターン検査装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載のパターン検査装置において、
検査手段として、他の装置で検出された座標に基づき該試料の当該箇所を観察する手段と、
予め登録された座標に基づき当該箇所を観察する手段または予め登録された座標に基づき当該パターンの寸法を計測する手段のいずれか一つの手段を備えていることを特徴とするパターン検査装置。
【請求項6】
請求項2および5のいずれか1項に記載のパターン検査装置において、
前記複数の試料ホルダのうち一つが第一の試料用試料ホルダであり、一つが第二の試料用試料ホルダであって、
前記第一の試料の当該箇所寸法を計測した結果と第二の試料の当該箇所寸法を計測した結果を比較する手段と、比較した結果より転写倍率を求める手段と、各箇所の転写倍率計測結果を出力する手段とを有することを特徴とするパターン検査装置。
【請求項7】
請求項2または3のいずれか1項に記載のパターン検査装置において、
前記第一の試料を検査した結果と第二の試料を検査した結果を照合する手段と、
当該照合した結果に基づき欠陥を分類するデータ処理手段と、
当該分類した結果を出力する手段を有することを特徴とするパターン検査装置。
【請求項8】
第一の試料を試料室に搬送する工程と、被検査試料を検査する座標データをロードする工程と、該座標データを試料形状タイプに応じて変換する工程と、変換座標に応じてアライメントする工程と、変換された座標データに基づき第一の試料を移動する工程と、電子線画像を取得する工程と、第二の試料を試料室に搬送する工程と、該座標データを第二の試料タイプに応じて変換する工程と、変換座標に応じてアライメントする工程と、変換された座標データに基づき第二の試料を移動する工程と、電子線画像を取得する工程とを含むパターン検査方法であって、
第一の試料を検査した結果と第二の試料を検査した結果を照合する工程と、
照合した結果に基づき欠陥を分類する工程と、
分類された結果を追加された検査結果データを出力する工程を含むことを特徴とするパターン検査方法。
【請求項9】
請求項8に記載の検査方法であって、
第一の試料における所定の検査対象座標を第二の試料形状にあわせて変換する工程を含むことを特徴とするパターン検査方法。
【請求項10】
請求項8に記載の検査方法であって、
前記照合した結果に基づき欠陥を分類する工程および前記分類された結果を検査結果データに追加する工程と該検査結果データを出力する工程において、最初の検査対象座標データを求めた装置あるいは媒体に対し変更を施す工程を含むことを特徴とするパターン検査方法。
【請求項11】
請求項1に記載のパターン検査装置において、
第一の試料ホルダと第二の試料ホルダの下面は同じ構造であることを特徴とするパターン検査装置。
【請求項12】
請求項1に記載のパターン検査装置において、
第一の試料が第一の試料ホルダに載置され試料室内の試料台に載置された際の試料表面高さと、第二の試料が第二の試料ホルダに載置され試料室内の試料台に載置された際の試料表面高さとが、ほぼ同等になる構造であることを特徴とするパターン検査装置。
【請求項13】
請求項1および2の検査装置で検査を施され品質を管理されたマスクおよび該マスクで転写された半導体装置。
【請求項14】
請求項1および3の検査装置で検査を施され品質を管理されたテンプレートおよび該テンプレートで転写された基板あるいはフィルム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−243831(P2012−243831A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110002(P2011−110002)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】