説明

パピローマウイルスのインヒビター

下記式(II):
【化1】


(式中、R11、X4、X5、X6、R13、R14、W、Z、Y、T、及びR18は、本出願で定義される)の化合物、又はそのエナンチオマー若しくはそのジアステレオイソマー或いはそれらの医薬的に許容しうる塩又はエステルの、パピローマウイルス、特に哺乳類のヒトパピローマウイルス感染の治療又は予防における使用。本発明は、新規化合物、医薬組成物及びこれら化合物及び組成物をパピローマウイルス感染の治療又は予防で使用する方法をも提供する。さらに詳細には、本発明は、ウイルスDNA複製に必須のE1-E2タンパク質-タンパク質相互作用を妨げることによって、パピローマウイルスDNA複製を阻害するための化合物、組成物及び方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、パピローマウイルス(PV)感染、特にヒトパピローマウイルス(HPV)感染の治療又は予防のための化合物、組成物及び方法に関する。特に、本発明は、新規化合物、該化合物を含有する医薬組成物及びパピローマウイルス感染の治療又は予防におけるこれら化合物の使用方法を提供する。さらに詳細には、本発明は、ウイルスDNA複製の開始の際にE1-E2タンパク質-タンパク質相互作用を妨げることによって、パピローマウイルスDNA複製を阻害するための化合物、組成物及び方法を提供する。
【0002】
(発明の背景)
パピローマウイルスは、上皮の過剰増殖傷害を誘発する非エンベロープ型DNAウイルスである。パピローマウイルスは、天然に蔓延しており、高等脊椎動物で同定されている。ウイルスは、とりわけヒト、ウシ、ウサギ、ウマ、及びイヌから特徴づけされている。最初のパピローマウイルスは、1933年にワタオウサギパピローマウイルス(CRPV)として記述された。それ以来、ワタオウサギのみならずウシパピローマウイルス1型(BPV-1)がパピローマウイルスに関する研究の実験プロトタイプとして役立っている。ほとんどの動物パピローマウイルスは純粋な上皮増殖傷害と関連しており、動物の多くの傷害は皮膚を冒す。ヒトでは、75種を超えるパピローマウイルスが同定されており、それらは感染部位によって目録が作られている:皮膚上皮及び粘膜上皮(口及び生殖器の粘膜)。皮膚関連疾患として、扁平いぼ、足底いぼ等が挙げられる。粘膜関連疾患として、咽頭パピローマ及び肛門生殖器疾患(例えば子宮頚癌)が挙げられる。
肛門生殖器に関係する25を超えるHPVの型があり、これらは“低リスク”及び“高リスク”型に分類されている。低リスク型として6型HPV及び11型HPVが挙げられ、尖圭コンジローマ(生殖器いぼ)及び低グレードの扁平上皮内傷害(SIL)のようなのほとんど良性の傷害が含まれる。米国では、性活動集団の1%が生殖器いぼを有し、その90%がHPV-6及びHPV-11に起因している。
高リスク型は高グレードSIL、子宮頚癌及び肛門癌に関連し、最も頻繁には16、18、31、33、35、45、52及び58型HPVが挙げられる。低グレードSILから高グレードSILへの進行は、低リスク型HPVを含む傷害に比べて高リスクHPV-16及びHPV-18を含む傷害でずっと高頻度である。さらに、子宮頚癌では4つの型(16、18、31及び45型)のHPVだけが頻繁に検出される。毎年世界中で頚部の侵襲性癌の約500,000の新しい事例がある。
【0003】
生殖器いぼの治療として、寒冷療法、CO2レーザー、電気手術、又は外科的切除術が挙げられる。トリクロロ酢酸(TCA)、ポドフィリン又はポドフィロックス(podofilox)のような細胞毒性薬も使用することができる。インターフェロン又はイミキモッド(imiquimod)のような免疫調節療法も利用可能である。これら治療はすべてのウイルス粒子を除去するのに完全には有効ではなく、かかる費用が高いか、又は治療に関連した不快な副作用がある。実際、再発性いぼはすべての現在の療法に共通するので、HPV感染の商業的に入手可能な有効な抗ウィルス治療は現在ない。
HPV感染を治療するための現在の方法が無効であることは、該感染を制御又は排除するための新しい手段を同定する必要性を実証している。近年、抗ウィルス化合物、特に感染の開始時にウイルス複製を妨害できる化合物の発見に労力が向けられている。
PVのライフサイクルはケラチノサイト分化に密接につながっている。感染は基底上皮内の組織分裂の部位で起こると考えられる。正常細胞と異なり、細胞が垂直分化を受けるにつれて細胞のDNA複製機構が維持される。感染細胞は進行性分化を受けるので、順次、最後に分化されるケラチノサイト内の最後の後期遺伝子発現とビリオン構築及びウイルス粒子の放出と共にウイルスゲノムコピー数及びウイルス遺伝子発現が増える。
【0004】
各パピローマウイルスのコーディング鎖は、約10種の命名された翻訳のオープンリーディングフレーム(ORF)を含み、ゲノム内のそれらの位置に基づいて初期ORF又は後期ORFとして分類されている。E1〜E8がウイルス複製サイクルの初期に発現され、2つの後期遺伝子(L1及びL2)がそれぞれキ主要キャプシドタンパク質及びマイナーキャプシドタンパク質をコードする。ウイルスDNA複製でE1及びE2遺伝子産物が作用し、宿主細胞増殖に関連してE5、E6及びE7が発現される。L1及びL2遺伝子産物はビリオン構造に関与する。E3及びE8遺伝子産物の機能は今のところ不明である。
HPVの研究は、タンパク質E1及びE2だけが、宿主のDNA複製機構に加えてウイルスDNAのインビトロ及びインビボ複製に必要な2種のウイルスタンパク質であることを示した。この要求は、ウシパピローマウイルス1型(BPV-1)の要求と同様である。確かに、ウイルスの種及び型に関係なく、すべてのパピローマウイルス(PV)のE1及びE2タンパク質と複製起点配列との間には高度の類似性がある。BPV-1の研究から発する証拠は、E1がウイルスDNA複製に必要なATPアーゼ及びヘリカーゼ活性を所有することを示した。
【0005】
E2タンパク質は、E1タンパク質に結合して複合体を形成し、それが複製起点配列に特異的に結合し(Mohr et al., 1990, Science 250:1694-1699)、ウイルスDNA複製に必須の相互作用をする転写活性体である。E2は、E1のBPV複製起点への結合を促進すると考えられている(Seo et al., 1993b, Proc. Natl. Acad. Sci., 90:2865-2869)。HPVでは、Liuらは、E2が複製起点へのE1の結合を安定化すると示唆した(1995, J. Biol. Chem., 270(45):27283-27291)。
従って、この疾患を妨げるためにはウイルスDNA複製を妨げるであろう化学エンティティーが望まれ、新規かつ特異的な抗-PV、特に抗-HPV治療の開発が高いプライオリティーを残している。
2002年6月27日公開のWO 02/50082は、新規なインダンジオン誘導体、該誘導体を含有する医薬組成物及びパピローマウイルス感染の治療でこれら化合物を使用する方法を開示している。
2001年2月1日公開のWO 01/07027(Vertex Pharmaceuticals Incorporated)は、フラビウイルス、ポックスウイル及びパポバウイルスを含むウイルスヘリカーゼの阻害で使うためのピリミジンを主成分とするインヒビター及びその類似体を開示している。
1999年11月4日に公開されたWO 99/55663(Vertex Pharmaceuticals Incorporated)は、ヒトパピローマウイルス複製を含むIMDH媒介プロセスを媒介するために有用なイノシン-5'-モノホスフェートデヒドロゲナーゼ酵素活性のインヒビターとして置換アリール化合物及びその誘導体を開示している。
先行技術は、パピローマウイルスDNA複製のインヒビターとして本発明の化合物を教示していない。
【0006】
本発明の化合物に関連する構造は以下の特許文献に記載されている:NeurosearchのWO 97/45400、WO 98/47879、及びWO 00/24707;WO 00/71508;WO 00/71507;Cor TherapeuticsのWO 00/71509及びWO 00/71493;SmithKline BeechamのWO 97/49286、WO 00/76501、及びWO 00/69435;Mitsui ChemicalsのEP 0 974 576;Bayer AGのWO 97/24328及びWO 01/02350;University of CaliforniaのWO 94/06280;Merck Sharpe & DohmeのWO 95/11880;及びSynthelaboのFR 2 763 590;US 5,312,924、US 5,216,167;Dr. Karl ThomaeのGB 2 124 220及びGB 2 090 834;BASF AGのUS 4,943,315、WO 01/90079及びGB 2 289 893;Kyowa Hakko Kogya Co.のJP 09 087237;Hoechst Schering AgrEvoのCA 2,191,757;Ono PharmaceuticalのEP 0 656 349及びEP 0 588 655;及びMerck & Co.のEP 0 528 586。これら文献は何もこのような関連化合物がパピローマウイルス感染の治療又は予防で役立ちうることを教示していない。
従って、本発明は、パピローマウイルス複製を阻害する新規な化合物、組成物及び方法を提供する。さらに詳細には、本発明の化合物及び組成物は、ウイルス複製サイクル中のE1-E2タンパク質-タンパク質相互作用を妨害する。
【0007】
(発明の概要)
第1局面では、本発明は、下記式(I)の化合物又はそのエナンチオマー若しくはそのジアステレオイソマー、或いはそれらの医薬的に許容しうる塩又はエステルを提供する。
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、R1はH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、(C3-7)シクロアルキル、フェニル、又は5-員若しくは6-員ヘテロ環であり;
1はCR2又はNであり;
フェニル環上のフリーな位置の一方又は両方がR2で置換されていてもよく、かつ各R2は、以下の基:H、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ及びジ((C1-6)アルキル)アミノから独立的に選択され;
Aは(C3-7)シクロアルキル、アリール又はヘテロ環であり、それぞれ任意に、以下の基:(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、又はジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、O-アリール、S-アリール、NH-アリール、(C1-6)アルキル-アリール、ヘテロアリール、O-ヘテロアリール、S-ヘテロアリール、NH-ヘテロアリール及び(C1-6)アルキル-ヘテロアリールから独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
或いはAはNHR3又はN(R3)2であり、ここで、
各R3は、H、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立的に選択され;
4は(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロ環、(C1-6)アルキル-アリール又は(C1-6)アルキル-ヘテロ環であり、それぞれ任意に、以下の基:(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、ヘテロアリール、(C1-6)アルキル-アリール、(C1-6)アルキル-ヘテロアリール、及び(C1-6)アルコキシ(前記(C1-6)アルコキシは任意にアリール又はヘテロアリールで置換されていてもよい)から独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
或いはR4は飽和若しくは不飽和4-員〜6-員環(任意に、N、O、及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子を含有していてもよい)で縮合されたフェニルであり;
ZはO又はSであり;
YはCH2、NH又はOであり;
Bは、下記式:

【0010】
【化2】

【0011】
(式中、R5はH、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、ヒドロキシル又はスルフヒドリルであり;
2はCR7又はNであり;
6及びR7は独立的にH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、ヒドロキシル又はスルフヒドリルであり;或いはX2がCR7の場合、任意に、R6とR7が一緒に結合して飽和若しくは不飽和5-員又は6-員環(任意に、S、O及びNから独立的に選択される1又は2個のヘテロ原子を含有していてもよい)を形成していてもよく;
3はO、S又はNR8(R8はH又は(C1-6)アルキルである)であり;かつ
cはCOOH、CONHR9、SO2NHR9、CONHSO29、CONHSO2NHR9、トリアゾリル又はテトラゾリルであり、ここで、
9はH、(C1-6)アルキル、(C3-6)シクロアルキル又はフェニルである)
から選択され;
但し、R5とR6が両方とも一緒にHであることはなく、R5又はR6がHの場合、R1はHでなく、かつYがNHの場合、R6はヒドロキシル又はスルフヒドリルでありえない。)
【0012】
少なくとも1つの“検出可能標識”、“アフィニティータグ”又は“光反応性基”が連結している、上述したとおりの式(I)の化合物はこの発明の範囲に包含される。
第2局面では、本発明は、上記式(I)の化合物の、哺乳類のパピローマウイルス感染の治療又は予防用薬物の製造での使用を提供する。
【0013】
第3局面では、本発明は、下記式(II)の化合物又はそのエナンチオマー若しくはそのジアステレオイソマー、或いはそれらの医薬的に許容しうる塩又はエステルの、哺乳類のパピローマウイルス感染の治療又は予防用薬物の製造での使用を提供する。







【0014】
【化3】

【0015】
(式中、R11はH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、(C3-7)シクロアルキル、フェニル、又は5-員若しくは6-員ヘテロ環であり;
4、X5及びX6は、CR12及びNから独立的に選択され、ここで、
各R12は、以下の基:H、(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C1-6)アルキルチオ、(C1-6)ハロアルキル、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ及びジ((C1-6)アルキル)アミノから独立的に選択され;
13は(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、又はヘテロ環であり、前記(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール及びヘテロ環は、任意にR15で置換されていてもよく、ここで、
15はH、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、若しくはジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、O-アリール、S-アリール、NH-アリール、(C1-6)アルキル-アリール、ヘテロアリール、O-ヘテロアリール、S-ヘテロアリール、NH-ヘテロアリール又は(C1-6)アルキル-ヘテロアリールであり;
或いはR13はOR16、SR16、NHR16又はN(R16)2であり、ここで、
16は、各場合、以下の基:H、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立的に選択され;かつ
14はH、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロ環、(C1-6)アルキル-アリール又は(C1-6)アルキル-ヘテロ環であり、ここで、前記(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロ環、(C1-6)アルキル-アリール又は(C1-6)アルキル-ヘテロ環は、任意に、以下の基:
(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、ヘテロアリール、(C1-6)アルキル-アリール、(C1-6)アルキル-ヘテロアリール、及び(C1-6)アルコキシ(前記(C1-6)アルコキシは任意にアリール又はヘテロアリールで置換されていてもよい)から独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
或いはR14は、飽和若しくは不飽和4-員〜6-員環(任意に、N、O及びSから独立的に選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよい)で縮合されたフェニルであり;
或いはR14はCH2COOR17又はCH2CONHR17であり、ここで、
17は(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール又はヘテロ環であり、前記(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール及びヘテロ環は任意にさらにアリール又はヘテロアリール(両方とも任意に1〜4個のR11で置換されていてもよい)で置換されていてもよく;
WはNH又はCH2であり;
ZはO又はSであり;
YはCH2、NH又はOであり;
Tはアリール、又はヘテロアリールであり、前記アリール及びヘテロアリールは任意に、以下の基:1〜3個のR11、ヒドロキシル又はスルフヒドリルで置換されていてもよく;かつ
18はCOOH、COOR19、CONHR19、SO2NHR19、CONHSO219、CONHSO2NHR19、トリアゾリル又はテトラゾリルであり;ここで、
19はH、(C1-6)アルキル、(C3-6)シクロアルキル又はフェニルである。)
【0016】
好ましい実施態様では、パピローマウイルスはヒトパピローマウイルスである。さらに好ましい実施態様では、ヒトパピローマウイルスは低リスク型のヒトパピローマウイルス、好ましくは6型又は11型ヒトパピローマウイルスを含む。
第4局面では、本発明は、治療的に有効かつ許容量の式(I)の化合物を少なくとも1種の医薬的に許容しうる担体と共に含む医薬組成物を提供する。
第5局面では、本発明は、パピローマウイルス感染の治療又は予防で使う医薬組成物であって、治療的に有効かつ許容しうる量の式(I)又は式(II)の化合物を、少なくとも1種の医薬的に許容しうる担体と共に含む医薬組成物を提供する。
第6局面では、本発明は、抗-パピローマウイルスのウイルス的に有効量の式(I)の化合物、又は式(II)の化合物を、少なくとも1種の医薬的に許容しうる担体と共に含んでなる抗-パピローマウイルス医薬組成物を提供する。
第7局面では、本発明は、パピローマウイルスの複製を阻害するための、式(I)の化合物又は式(II)の化合物の使用を提供する。
【0017】
第8局面では、本発明は、哺乳類のパピローマウイルス感染の治療又は予防での、式(I)の化合物又は式(II)の化合物の使用を提供する。
第9局面では、本発明は、ヒトパピローマウイルスに感染した哺乳類でウイルスDNA複製を阻害するため、ヒトパピローマウイルスE2タンパク質のE2転写活性化ドメインに結合して、このE2タンパク質のヒトパピローマウイルスE1タンパク質への結合を阻害するための式(I)又は式(II)の化合物の使用を提供する。
第10局面では、本発明は、ヒトパピローマウイルスに感染した哺乳類でウイルスDNA複製を阻害するため、ヒトパピローマウイルスのE1-E2タンパク質-タンパク質相互作用を阻害するための式(I)又は式(II)の化合物の使用を提供する。
第11局面では、本発明は、哺乳類のヒトパピローマウイルス感染を治療又は予防する方法であって、前記哺乳類に、抗-パピローマウイルスのウイルス的に有効かつ許容しうる量の式(I)若しくは式(II)の化合物、又は該化合物を含有する組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0018】
第12局面では、本発明は、パピローマウイルスの複製を阻害する方法であって、前記ウイルスを、抗-ピローマウイルスのウイルス的に有効かつ許容しうる量の式(I)の化合物又は式(II)の化合物にさらし、それによってヒトパピローマウイルスのE1-E2タンパク質-タンパク質相互作用を阻害することを含む方法を提供する。
第13局面では、本発明は、パピローマウイルスの複製を阻害する方法であって、ウイルス感染した細胞を、抗-ピローマウイルスのウイルス的に有効かつ許容しうる量の少なくとも1種の式(I)の化合物及び式(II)の化合物にさらすことを含む方法を提供する。
第14局面では、本発明は、包装した医薬品であって、式(I)又は式(II)の化合物を含有する医薬組成物と、投与計画を特定する注意書きとを含む、包装した医薬品を提供する。
第15局面では、本発明は、哺乳類のパピローマウイルス感染の治療又は予防用の包装した医薬品であって、式(I)又は式(II)の化合物を含有する医薬組成物と、投与計画を特定する注意書きとを含む、包装した医薬品を提供する。
第16局面では、本発明は、パピローマウイルスを阻害するために有効な組成物を収容した包装材料を含み、かつ前記包装材料が、前記組成物を用いてパピローマウイルスによる感染を治療又は予防できることを表示するラベルを含む製品であって、前記組成物が式(I)の化合物又は式(II)の化合物を含む、前記製品を提供する。
【0019】
(好ましい実施態様の詳細な説明)
(定義)
別に定義しない限り、本明細書で用いる科学用語、技術用語及び学名は、この発明が属する技術の当業者に一般的に理解されるのと同一の意味を有するが、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
本明細書では、用語“オイトマー(eutomer)”は、高活性、すなわち最高の生物学的効力を有する1対のエナンチオマー由来のエナンチオマーを意味する。
本明細書では、用語“ディストマー(distomer)”は、低活性又は効力がない1対のエナンチオマー由来のエナンチオマーを意味する。
本明細書では、用語“ハロ”は、ブロモ、クロロ、フルオロ又はヨードから選択されるハロゲン基を意味する。
本明細書では、用語“ヒドロキシル”は-OH基を意味する。
本明細書では、用語“スルフヒドリル”は、-SH基を意味する。
【0020】
本明細書では、単独又は別の基と組み合わせた用語“(C1-n)アルキル”は、1〜n個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル基を意味し、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、1-メチルエチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル及び1,1-ジメチルエチルが挙げられる。
本明細書でが、単独又は別の基と組み合わせた用語“(C3-n)シクロアルキル”は、3〜n個の炭素原子を含有する飽和環式炭化水素基を意味する。用語“(C3-7)シクロアルキル”として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルが挙げられる。
本明細書で相互交換可能に使用される用語“(C1-n)アルコキシ”又は“O-(C1-n)アルキル”は、酸素原子で連結された1〜n個の炭素原子を含有する直鎖アルキル又は酸素原子で連結された3〜n個の炭素原子を含有する分岐鎖アルキル基を意味する。(C1-6)アルコキシの例として、限定するものではないが、メトキシ(CH3O-)、エトキシ(CH3CH2O-)、プロポキシ(CH3CH2CH2O-)、1-メチルエトキシ((CH3)2CHO-)、ブトキシ(CH3CH2CH2CH2O-)及び1,1-ジメチルエトキシ((CH3)3CO-)が挙げられる。最後の基は一般的にtert-ブトキシとして知られる。
(C1-n)アルコキシ基が1個以上の置換基、例えば、アリール又はヘテロアリール置換基で置換される場合、前記置換基は、アルコキシ基のアルキル部分に結合する。
本明細書では、用語“(C1-n)ハロアルキル”は、1〜n個の炭素原子を含有するアルキル基であって、1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されているアルキル基を意味する(例えば、トリフルオロメチル)。
【0021】
本明細書では、用語“(C1-n)アルキルチオ”又は“S-(C1-n)アルキル”は、イオウ原子で連結された1〜n個の炭素原子を含有する直鎖アルキル、又はイオウ原子で連結された3〜n個の炭素原子を含有する分岐鎖アルキル基を意味する。(C1-n)アルキルチオの例として、限定するものではないが、メチルチオ(CH3S-)、エチルチオ(CH3CH2S-)、プロピルチオ(CH3CH2CH2S-)、1-メチルエチルチオ((CH3)2CHS-)、ブチルチオ(CH3CH2CH2CH2S-)及び1,1-ジメチルエチルチオ((CH3)3CS-)が挙げられる。
本明細書では、用語“アミノ”は、式-NH2のアミノ基を意味する。本明細書では、用語“(C1-n)アルキルアミノ”は、1〜n個炭素原子を含有するアルキルアミノ基を意味し、限定するものではないが、メチルアミノ、プロピルアミノ、(1-メチルエチル)アミノ及び(2-メチルブチル)アミノが挙げられる。用語“ジ((C1-n)アルキル)アミノ”は、2つの同一の又は異なった(C1-n)アルキル置換基を有するアミノ基を意味し、限定するものではないが、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、エチルメチルアミノ等が挙げられる。
本明細書では、単独又は別の基と組み合わせた用語“アリール”は、任意に第2炭素環式環に縮合されていてもよい(前記炭素環式環は5〜7個の炭素原子を含み、かつ飽和、不飽和又は芳香族でよい)フェニル環を意味する。例えば、アリールとして、限定するものではないが、フェニル、ナフチル、下記基が挙げられる。
【0022】
【化4】

【0023】
本明細書で相互交換可能に使用される用語“アリールオキシ”又は“O-アリール”は、酸素原子で連結された、上記定義どおりのアリールを意味する。アリールオキシの例として、限定するものではないが、フェノキシが挙げられる。
本明細書では、単独又は別の基と組み合わせた用語“(C1-n)アルキル-アリール”は、アルキル基(1〜n個炭素原子を含有する上記定義どおりのアルキルである)で連結された上記定義どおりのアリールを意味する。(C1-6)アルキル-アリールとして、限定するものではないが、ベンジル及びフェニルブチルが挙げられる。
本明細書では、用語“Het”又は“ヘテロ環”は、窒素、酸素及びイオウから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する4-員〜7-員の飽和若しくは不飽和(芳香族を含む)環系から水素の除去で誘導される一価基を意味する。任意に、ヘテロ環は、1又は2個の置換基;例えば、N-オキシド、(C1-6)アルキル、(C1-3)アルキル-フェニル、(C1-6)アルコキシ、ハロ、アミノ又は(C1-6)アルキルアミノを保持しうる。この場合も任意に、4-員〜7-員ヘテロ環が第2の環系(飽和又は不飽和(芳香族を含む)でよく、かつ炭素環式でよく、又は窒素、酸素及びイオウから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子を含有してもよい)に縮合していてもよい。このような第2の環系の例として、限定するものではないが、シクロアルキル、アリール(例えば、フェニル)又は別のヘテロ環が挙げられる。
【0024】
好適なヘテロ環及び任意に置換されているヘテロ環の例として、限定するものではないが、モルフォリン、チアジアゾール、キノリン、ベンゾジオキソール、ベンゾチアゾール、ピロリジン、テトラヒドロフラン、チアゾリジン、ピロール、インドール、ベンズイミダゾール、1H-イミダゾール、1-メチル-1H-イミダゾール、ピラゾール、フラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、2-メチルチアゾール、2-アミノチアゾール、2-(メチルアミノ)チアゾール、ピペリジン、1-メチルピペリジン、1-メチルピペラジン、1,4-ジオキサン、ピリジン、ピリジンN-オキシド、ピリミジン、2,4-ジヒドロキシピリミジン、2,4-ジメチルピリミジン、2,6-ジメチルピリジン、1-メチル-1H-テトラゾール、2-メチル-2H-テトラゾール、ベンゾオキサゾール及びチアゾロ[4,5-b]-ピリジンが挙げられる。
本明細書では、用語“(C1-n)アルキル-ヘテロ環”は、上記定義どおりの(C1-n)アルキル鎖で連結された上記定義どおりのヘテロ環を意味する。
【0025】
本明細書では、用語“ヘテロアリール”は、窒素、酸素及びイオウから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する5-員又は6-員の芳香族環系から水素の除去で誘導される一価基を意味する。任意に、ヘテロアリールは1又は2個の置換基;例えば、N-オキシド、(C1-6)アルキル、(C1-3)アルキル-フェニル、(C1-6)アルコキシ、ハロ、アミノ又は(C1-6)アルキルアミノを保持しうる。この場合も任意に、5-員又は6-員ヘテロアリールが第2の芳香族環系(炭素環式でよく、又は窒素、酸素及びイオウから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子を含有してもよい)に縮合していてもよい。このような第2の環系の例として、限定するものではないが、アリール(例えば、フェニル)又は別のヘテロアリールが挙げられる。具体的には、ヘテロアリールとして、限定するものではないが、インドール、ベンズイミダゾール、イミダゾール、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、ピリジン及びピリミジンが挙げられる。
本明細書では、用語“(C1-n)アルキル-ヘテロアリール”は、上記定義どおりの(C1-n)アルキル鎖で連結された上記定義どおりのヘテロアリールを意味する。
【0026】
本明細書では、例えば下記式のように、環の中心から発するように結合を引き出す表現は、別に指定しない限り、その結合が、環上の、そうでなければ水素で置換されるであろういずれかのフリーな位置に結びつきうることを意味する。
【0027】
【化5】

【0028】
このような結合は、環の置換基に連結されることもあり、又は別の構造上の置換基として環の連結を示すこともある。
【0029】
本明細書では、用語“検出可能標識”は、本発明の化合物が標的、例えば、パピローマウイルスE2タンパク質の転写活性化ドメインと会合したとき、該標識により本化合物を直接又は間接的に認識できるように(該標識を検出、測定かつ定量できるように)、本化合物に連結しうるいずれの基をも意味する。このような“標識”の例として、限定するものではないが、蛍光標識、化学発光標識、比色分析標識、酵素マーカー、放射性同位体及びビオチンのようなアフィニティータグが挙げられる。このような標識は、周知の方法で化合物又はタンパク質に付着される。
本明細書では、用語“アフィニティータグ”は、リガンド(本発明の化合物に連結しうる)を意味し、受容体に対するその強力なアフィニティーを用いて該リガンドに結合しているエンティティーを溶液から抽出することができる。このようなリガンドの例として、限定するものではないが、ビオチン若しくはその誘導体、ヒスチジン、ポリペプチド、ポリアルギニン、アミロース糖成分又は特異的抗体で認識可能な定義済みエピトープが挙げられる。このようなアフィニティータグは、周知の方法で化合物に付着される。
本明細書では、用語“光反応性基”は、光による活性化によって、不活性基からフリーラジカルのような反応性種に変換される基を意味する。このような基は、例えば、光アフィニティー標識として使用することができる。このような例として、限定するものではないが、ベンゾフェノン、アジド等が挙げられる。
【0030】
本明細書では、用語“医薬的に許容しうる担体”は、無毒の一般的に不活性な、活性成分用媒体(該成分に有害な作用を及ぼさない)を意味する。
本明細書では、用語“有効量”は、抗ウィルス薬の予め定められた抗ウイルス量、すなわち、そのウイルスに対して生体内で十分有効であるその薬剤の量を意味する。
本明細書では、用語“治療”は、患者のパピローマウイルス感染を軽減若しくは排除し、及び/又は患者のウイルス荷重を減らすために本発明の化合物若しくは組成物を投与することを意味する。
本明細書では、用語“予防”は、個体のウイルスへの暴露後であるが、病状が現れる前に本発明の化合物又は組成物を投与して病状の出現を妨げることを意味する。
本発明の化合物は、治療的に許容しうる塩の形態で得ることができる。本明細書では、用語“医薬的に許容しうる塩”は、医薬的に許容しうる塩基から誘導される当該塩を包含する。好適な塩基の例として、エタノールアミン及びエチレンジアミンが挙げられる。Na+、K+、及びCa++塩も本発明の範囲内であると考えられる(Pharmaceutical salts, Birge, S.M. et al., J. Pharm. Sci. (1977), 66, 1-19も参照されたい)。
【0031】
本明細書では、単独又は別の基と組み合わせた用語“医薬的に許容しうるエステル”は、カルボキシル官能が下記アルコキシカルボニル官能で置換されている、化合物のエステルを意味する。
【0032】
【化6】

【0033】
(式中、エステルのR成分は、アルキル(例えばメチル、エチル、n-プロピル、tert-ブチル、n-ブチル);アルコキシアルキル(例えばメトキシメチル);アシルオキシアルキル(例えばアセトキシメチル);(C1-6)アルキル-アリール(例えばベンジル);アリールオキシアルキル(例えばフェノキシメチル);アリール(例えばフェニル)から選択され、任意に、ハロゲン、(C1-4)アルキル又は(C1-4)アルコキシで置換されていてもよい。他の好適なプロドラッグエステルはDesign of prodrugs, Bundgaard, H. Ed. Elsevier (1985)で見出すことができる。このような医薬的に許容しうるエステルは、通常、哺乳類に注入されると生体内で加水分解されて式(I)の化合物の酸形態に変換される。
上述したエステルに関しては、別に特定しない限り、存在するいずれのアルキル成分も、有利には1〜16個の炭素原子、特に1〜6個の炭素原子を含有する。このようなエステルに存在するいずれのアリール成分も、有利にはフェニル基を含む。
特に、エステルは、(C1-16)アルキルエステル、無置換ベンジルエステル又は少なくとも1個のハロゲン、(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ニトロ若しくはトリフルオロメチルで置換されているベンジルエステルでよい。
【0034】
(好ましい実施態様)
(化合物)
選択的実施態様により、本発明は、下記式(I)の化合物又はそのエナンチオマー若しくはそのジアステレオイソマー、或いはそれらの医薬的に許容しうる塩又はエステルを提供する。







【0035】
【化7】

【0036】
(式中、R1はH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、(C3-7)シクロアルキル、フェニル、又は5-員若しくは6-員ヘテロ環であり;
1はCR2又はNであり;
2は、H、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ又はジ((C1-6)アルキル)アミノから独立的に選択され;
Aは(C3-7)シクロアルキル、(C6若しくはC10)アリール又はヘテロ環であり、すべて任意に、以下の基:(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、若しくはジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、O-アリール、S-アリール、NH-アリール、(C1-6)アルキル-アリール、ヘテロアリール、O-ヘテロアリール、S-ヘテロアリール、NH-ヘテロアリール又は(C1-6)アルキル-ヘテロアリールで置換されていてもよく;
或いはAはNHR3又はN(R3)2であり、ここで、
3は、H、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立的に選択され;
4は、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、(C6若しくはC10)アリール、ヘテロ環、(C1-6)アルキル-アリール又は(C1-6)アルキル-ヘテロ環であり、すべて任意に、以下の基:(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、ヘテロアリール、(C1-6)アルキル-アリール、(C1-6)アルキル-ヘテロアリール、(C1-6)アルコキシ-アリール又は(C1-6)アルコキシ-ヘテロアリールで置換されていてもよく;
或いは前記(C6)アリールは、飽和若しくは不飽和4-員〜6-員環(任意に、N、O、及びSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含有していてもよい)で縮合されており;
ZはO又はSであり;
YはCH2、NH又はOであり;
Bは、下記式:







【0037】
【化8】

【0038】
(式中、R5はH、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、ヒドロキシル又はスルフヒドリルであり;
2はCR7又はNであり;
6及びR7は独立的にH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、ヒドロキシル又はスルフヒドリルであり;或いはX2がCR7の場合、任意に、R6とR7が一緒に結合して飽和若しくは不飽和5-員又は6-員環(任意に、S、O及びNから選択される1又は2個のヘテロ原子を含有していてもよい)を形成していてもよく;
3はO、S又はNR8(R8はH又は(C1-6)アルキルである)であり;かつ
cはCOOH、CONHR9、SO2NHR9又はテトラゾリルであり、ここで、
9はH、(C1-6)アルキル、(C3-6)シクロアルキル又はフェニルである)
から選択され;
但し、R5とR6が両方とも一緒にHであることはなく、R5又はR6がHの場合、R1はHでなく、かつYがNHの場合、R6はヒドロキシル又はスルフヒドリルでありえない。)
【0039】
好ましい実施態様により、本発明は、下記式(I)の化合物又はそのエナンチオマー若しくはそのジアステレオイソマー、或いはそれらの医薬的に許容しうる塩又はエステルを提供する。
【0040】
【化9】

【0041】
(式中、R1はH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、(C3-7)シクロアルキル、フェニル、又は5-員若しくは6-員ヘテロアリールであり;
1はCR2又はNであり;
フェニル環上の一方又は両方のフリーな位置がR2で置換されていてもよく、かつ各R2は、H、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ及びジ((C1-6)アルキル)アミノから独立的に選択され;
Aは(C3-7)シクロアルキル、フェニル、又は5-員若しくは6-員単環式ヘテロ環であり、それぞれ任意に、以下の基:(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ及びアリールオキシから独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
或いはAはNHR3又はN(R3)2であり、ここで、
各R3は、H、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立的に選択され;
4は、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C1-6)アルキル-アリール又は(C1-6)アルキル-ヘテロアリールであり、それぞれ任意に、以下の基:(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、ヘテロアリール、(C1-6)アルキル-アリール、(C1-6)アルキル-ヘテロアリール及び(C1-6)アルコキシ(前記(C1-6)アルコキシは、任意にアリール又はヘテロアリールで置換されていてもよい)から独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
或いはR4は、飽和若しくは不飽和4-員〜6-員環(任意に、N、O、及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子を含有していてもよい)で縮合されたフェニルであり; ZはO又はSであり;
YはCH2又はNHであり;
Bは、下記式:
【0042】
【化10】

【0043】
(式中、R5はH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、ヒドロキシル又はスルフヒドリルであり;
2はCR7又はNであり;
6及びR7は独立的にH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、ヒドロキシル又はスルフヒドリルであり;或いはX2がCR7の場合、任意に、R6とR7が一緒に結合して飽和若しくは不飽和5-員又は6-員環(任意に、S、O及びNから独立的に選択される1又は2個のヘテロ原子を含有していてもよい)を形成していてもよく;
3はO、S又はNR8(R8はH又は(C1-6)アルキルである)であり;かつ
cはCOOH、CONHR9、SO2NHR9又はテトラゾリルであり、ここで、
9はH、(C1-6)アルキル、(C3-6)シクロアルキル又はフェニルである)
から選択され;
但し、R5とR6が両方とも一緒にHであることはなく、R5又はR6がHの場合、R1はHでなく、かつYがNHの場合、R6はヒドロキシル又はスルフヒドリルでありえない。)
【0044】
さらに好ましくは、本発明の化合物は、下記式(I)の化合物又はそのエナンチオマー、そのジアステレオイソマー、或いはそれらの医薬的に許容しうる塩又はエステルである。
【0045】
【化11】

【0046】
(式中、R1はH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、又はジ((C1-6)アルキル)アミノであり;
1はCR2又はNであり;
フェニル環上の一方又は両方のフリーな位置がR2で置換されていてもよく、かつ各R2は、H又はハロから独立的に選択され;
Aは(C3-7)シクロアルキル、フェニル、又は5-員若しくは6-員単環式ヘテロ環であり、それぞれ任意に、以下の基:(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ及びアリールオキシから独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
或いはAはNHR3又はN(R3)2であり、ここで、
各R3は、H、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立的に選択され;
4は、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C1-6)アルキル-アリール又は(C1-6)アルキル-ヘテロアリールであり、それぞれ任意に、以下の基:(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、ヘテロアリール、(C1-6)アルキル-アリール、(C1-6)アルキル-ヘテロアリール及び(C1-6)アルコキシ(前記(C1-6)アルコキシは、任意にアリール又はヘテロアリールで置換されていてもよい)から独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
或いはR4は、飽和若しくは不飽和4-員〜6-員環(任意に、N、O、及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子を含有していてもよい)で縮合されたフェニルであり; ZはOであり;
YはCH2又はNHであり;
Bは、下記式:
【0047】
【化12】

【0048】
(式中、R5はH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、又はジ((C1-6)アルキル)アミノであり;
2はN又はCR7であり;
6及びR7は独立的にH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、(C1-6)アルキルアミノ、又はジ((C1-6)アルキル)アミノであり;或いはX2がCR7の場合、任意に、R6とR7が一緒に結合して飽和若しくは不飽和5-員又は6-員環(任意に、S、O及びNから独立的に選択される1又は2個のヘテロ原子を含有していてもよい)を形成していてもよく;
3はO、S又はNR8(R8はH又は(C1-6)アルキルである)であり;かつ
cはCOOH又はSO2NH2である)
から選択され;
但し、R5とR6が両方とも一緒にHであることはなく、R5又はR6がHの場合、R1はHでない。)
【0049】
最も好ましくは、本発明の化合物は、下記式(I)の化合物又はそのエナンチオマー、そのジアステレオイソマー、或いはそれらの医薬的に許容しうる塩又はエステルである。
【0050】
【化13】

【0051】
(式中、R1は(C1-6)であり;
1はCHであり;
2はHであり;
Aは(C3-7)シクロアルキル、フェニル、又は5-員若しくは6-員単環式ヘテロ環であり、それぞれ任意に、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル及びアリールオキシから独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
或いはAはNHR3又はN(R3)2であり、ここで、
各R3は、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立的に選択され;
4はアリール、又はヘテロアリールであり、両方とも任意に、以下の基:(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、ヘテロアリール、及び(C1-6)アルコキシ(前記(C1-6)アルコキシは、任意にアリール又はヘテロアリールで置換されていてもよい)から独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
或いはR4は、飽和若しくは不飽和4-員〜6-員環(任意に、N、O及びSから独立的に選択される1又は2個のヘテロ原子を含有していてもよい)で縮合されたフェニルであり;
ZはOであり;
YはCH2であり;
Bは下記式:
【0052】
【化14】

【0053】
(式中、R5は(C1-6)アルコキシであり;
2はCR7であり;
6は(C1-6)アルキル、ハロ又は(C1-6)ハロアルキルであり、かつR7はHであり;或いは、任意に、R6とR7が一緒に結合して飽和若しくは不飽和5-員又は6-員環(任意に、S、O及びNから独立的に選択される1又は2個のヘテロ原子を含有していてもよい)を形成していてもよい)
である。)
【0054】
或いは、式(I)の化合物に関し、さらに好ましくはR1はメチル又はエチルである。
或いは、さらに好ましくは、Aは、シクロヘキシル、フェニル、1-ピペリジニル、4-モルフォリニル、N(H)シクロヘキシル又はN(CH3)シクロヘキシルであり、前記シクロヘキシル、フェニル、1-ピペリジニル及び4-モルフォリニルは、任意に、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル又はフェノキシで一又は二置換されていてもよい。
或いは、さらに好ましくは、Aはシクロヘキシルである。
或いは、さらに好ましくは、Aはフェニルでえる。
或いは、さらに好ましくは、Aは1-ピペリジニル又は4-モルフォリニルであり、それぞれ任意に、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル又はフェノキシで一又は二置換されていてもよい。
或いは、さらに好ましくは、AはN(H)シクロヘキシル又はN(CH3)シクロヘキシルである。
或いは、なおさらに好ましくは、Aが、任意にハロ又はフェノキシで一又は二置換されていてもよい1-ピペリジニルであり、かつR1が、H又は(C1-6)アルキルである。
【0055】
或いは、なおさらに好ましくは、Aが1-ピペリジニルであり、かつR1がH、CH3、又はエチルである。
或いは、さらに好ましくは、R4がチエニル、フラニル又はナフチルであり、任意に、メトキシ及び(C1-6)アルキルから独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい。
或いは、さらに好ましくは、R4が、任意にメトキシ、ハロ、及びフェニルから独立的に選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、又はR4が飽和若しくは不飽和4-員〜6-員環(任意に、N、O、及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子を含有していてもよい)で縮合されたフェニルである。
或いは、さらに好ましくは、R5がメトキシ又はエトキシである。
或いは、好ましくは、R6がアルキル又はハロである。或いは、なおさらに好ましくは、R6がハロである。
或いは、好ましくは、X2がCR7であり、R7とR6が一緒に結合して不飽和6-員環(任意に、S、O、及びNから独立的に選択される1又は2個のヘテロ原子を含有していてもよい)を形成している。
或いはさらに好ましくは、X2がCR7であり、R7とR6が一緒に結合してフェニル環を形成している。
【0056】
或いは、好ましくは、本発明の化合物は式(I)の化合物であって、式中、
1がH、メチル、又はエチルであり;
1とX2が両方ともCHであり;
フェニル環の一方又は両方のフリーな位置がR2で置換され、かつ各R2がH及びハロから独立的に選択され;
Aがシクロヘキシル、フェニル、1-ピペリジニル、4-モルフォリニル、N(H)シクロヘキシル、又はN(CH3)シクロヘキシルであり、前記シクロヘキシル、フェニル、1-ピペリジニル及び4-モルフォリニルは、任意に、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、又はアリールオキシで一又は二置換されていてもよく;
4がアリール、又はヘテロアリールであり、両方とも任意に、以下の基:
(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、ヘテロアリール、及び(C1-6)アルコキシ(前記(C1-6)アルコキシは任意にアリール又はヘテロアリールで置換されていてもよい)から独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
或いはR4が、飽和若しくは不飽和4-員〜6-員環(任意に、N、O及びSから独立的に選択される1又は2個のヘテロ原子を含有していてもよい)で縮合されたフェニルであり;
ZがOであり;
YがCH2又はNHであり;
Bが下記式:







【0057】
【化15】

【0058】
(式中、
5がメトキシ又はエトキシであり;
6がハロであり;かつ
cがCOOHである)である。
【0059】
或いは、さらに好ましくは、本発明の化合物は、式(I)の化合物であって、式中、
1がH又はメチルであり;
1がCHであり;
2がHであり;
Aが4-モルフォリニル、N(H)シクロヘキシル、N(CH3)シクロヘキシル又は1-ピペリジニルであり、前記4-モルフォリニル及び1-ピペリジニルは、任意にMe若しくはフェノキシで置換され、又は任意にジェムナルに二フッ素化されていてもよく;
4がチエニル、フラニル又はナフチルであり、任意に、メトキシ及び(C1-6)アルキルから独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、或いはR4が1〜4個のメトキシ、ハロ、又はフェニルで任意に置換されていてもよいフェニルであり、或いは
4が、飽和若しくは不飽和4-員〜6-員環(任意に、N、O及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子を含有していてもよい)で縮合されたフェニルであり;
ZがOであり;
YがCH2であり;
Bが、下記式:












【0060】
【化16】

【0061】
(式中、R5がメトキシであり;
2がCHであり;
6がブロモであり;かつ
cがCOOHである)
である。
或いは、好ましくは、本発明の化合物は、下記式(III)の化合物である。
【0062】
【化17】

【0063】
(式中、R1、R2、A、R4、Y、R5、及びR6は、本明細書、特に下表1に示されるとおりである。)
或いは、さらに好ましくは、本発明の化合物は下記式(IV)の化合物である。








【0064】
【化18】

【0065】
(式中、Y及びR6は、本明細書、特に下表2に示されるとおりであり、かつR40、R41、R42、R43、及びR44は、それぞれ独立的に、H、-CH3、-CH(CH3)2、-C(CH3)3、-OCH3、-N(CH3)2、-SCH3、-CF3、クロロ、フルオロ、フェニル、及び
【0066】
【化19】

【0067】
から独立的に選択される。)
或いは、さらに好ましくは、本発明の化合物は下記式(V)の化合物である。











【0068】
【化20】

【0069】
(式中、R1、A、R4、Y、R5、R6、X2及びRcは、本明細書、特に下表3に示されるとおりである。)
或いは、さらに好ましくは、本発明の化合物は下記式(VI)の化合物である。
【0070】
【化21】

【0071】
(式中、R1、A、R4、Z、Y、X3及びRcは、本明細書、特に下表4に示されるとおりである。)
本発明の化合物は、立体異性体の混合物として合成されることがあり、この場合はそれぞれ単一の立体異性体に分離することができる。すべてのこのような立体異性体が本発明の範囲内にあるとして考慮される。
【0072】
(特有の実施態様)
下表1〜4に示されるそれぞれ単一の化合物(そのエナンチオマー及びジアステレオマーを含む)はこの発明の範囲内に包含される。
(抗-パピローマウイルス活性)
本発明の第2実施態様によれば、本発明の化合物は、パピローマウイルス感染、特にヒトパピローマウイルス感染の治療又は予防に有用である。
この本発明の第2実施態様により、下記式(II)の好ましい化合物が提供される。



【0073】
【化22】

【0074】
(式中、R11はH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、(C3-7)シクロアルキル、フェニル、又は5-員若しくは6-員ヘテロアリールであり;
4、X5及びX6は、CR12及びNから独立的に選択され;
各R12は、H、(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C1-6)アルキルチオ、(C1-6)ハロアルキル、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ及びジ((C1-6)アルキル)アミノから独立的に選択され;
13は(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、フェニル、又は5-員若しくは6-員単環式ヘテロ環であり、前記(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、フェニル、及び5-員若しくは6-員単環式ヘテロ環は、任意にR15で置換されていてもよく、ここで、
15は、H、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、アリールオキシ、及びヘテロアリールから独立的に選択され;
【0075】
或いはR13は-OR16、SR16、NHR16又はN(R16)2であり、ここで、
16は、各場合、H、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立的に選択され;
14はH、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C1-6)アルキル-アリール又は(C1-6)アルキル-ヘテロアリールであり、前記(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C1-6)アルキル-アリール及び(C1-6)アルキル-ヘテロアリールは、任意に、以下の基:
(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、ヘテロアリール、(C1-6)アルキル-アリール、(C1-6)アルキル-ヘテロアリール、及び(C1-6)アルコキシ(前記(C1-6)アルコキシは、任意にアリール又はヘテロアリールで置換されていてもよい)から独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
【0076】
或いはR14は飽和若しくは不飽和4-員〜6-員環(任意に、N、O、及びSから独立的に選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよい)で縮合されたフェニルであり; WはNHであり;
YはCH2、NH又はOであり;
ZはO又はSであり;
Tはアリール、又はヘテロアリールであり、前記アリール、又はヘテロアリールは、任意に、1〜3つの位置でR11、ヒドロキシル又はスルフヒドリルで置換されていてもよく;かつ
18はCOOH、COOR19、CONHR19、SO2NHR19又はテトラゾリルであり;ここで、R19はH、(C1-6)アルキル、(C3-6)シクロアルキル又はフェニルである。)
好ましくは、式(II)の本発明の化合物は、パピローマウイルス感染、特にヒトパピローマウイルス感染の治療又は予防に有用である。
【0077】
本発明のこの第2実施態様の好ましい局面により、哺乳類のパピローマウイルス感染の治療又は予防用薬物の製造で、下記式(II)の化合物、又はそのエナンチオマー若しくはそのジアステレオイソマーが提供される。
【0078】
【化23】

【0079】
(式中、R11はH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、(C3-7)シクロアルキル、フェニル、又は5-員若しくは6-員ヘテロアリールであり;
4、X5及びX6は、CR12及びNから独立的に選択され;
各R12は、H、(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C1-6)アルキルチオ、(C1-6)ハロアルキル、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ及びジ((C1-6)アルキル)アミノから独立的に選択され;
13は(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、フェニル、又は5-員若しくは6-員単環式ヘテロ環であり、前記(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、フェニル、5-員若しくは6-員単環式ヘテロ環は、任意にR15で置換されていてもよく;ここで、
15は、H、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、アリールオキシ、及びヘテロアリールから独立的に選択され;
【0080】
或いはR13は-OR16、SR16、NHR16又はN(R16)2であり、ここで、
16は、各場合、H、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立的に選択され;
14はH、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C1-6)アルキル-アリール及び(C1-6)アルキル-ヘテロアリールであり、前記(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C1-6)アルキル-アリール及び(C1-6)アルキル-ヘテロアリールは、任意に、以下の基:
(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、ヘテロアリール、(C1-6)アルキル-アリール、(C1-6)アルキル-ヘテロアリール、及び(C1-6)アルコキシ(前記(C1-6)アルコキシは、任意にアリール又はヘテロアリールで置換されていてもよい)から独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
【0081】
或いはR14は、飽和若しくは不飽和4-員〜6-員環(任意に、N、O、及びSから独立的に選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもい)で縮合されたフェニルであり;
WはNHであり;
YがCH2、NH又はOであり;
ZはO又はSであり;
Tはアリール、又はヘテロアリールであり、前記アリール、又はヘテロアリールは、任意に、1〜3つの位置でR11、ヒドロキシル又はスルフヒドリルで置換されていてもよく(但し、Tはピリミジンでない);かつ
18はCOOH、COOR19、CONHR19、SO2NHR19又はテトラゾリルであり;ここで、R19はH、(C1-6)アルキル、(C3-6)シクロアルキル又はフェニルである。)
【0082】
さらに好ましくは、式(I)の本発明の化合物は、パピローマウイルス感染、特にヒトパピローマウイルス感染の治療又は予防に有用である。
或いは、さらに好ましくは、式(III)の本発明の化合物は、パピローマウイルス感染、特にヒトパピローマウイルス感染の治療又は予防に有用である。
或いは、さらに好ましくは、式(IV)の本発明の化合物は、パピローマウイルス感染、特にヒトパピローマウイルス感染の治療又は予防に有用である。
或いは、さらに好ましくは、式(V)の本発明の化合物は、パピローマウイルス感染、特にヒトパピローマウイルス感染の治療又は予防に有用である。
或いは、さらに好ましくは、式(VI)の本発明の化合物は、パピローマウイルス感染、特にヒトパピローマウイルス感染の治療又は予防に有用である。
ウイルスDNA複製に及ぼす本化合物の阻害効果を示す生化学的手順及び生物学的手順によって、本発明の化合物の抗ウィルス活性を実証することができる。
好ましくは、上述した本発明の化合物は、パピローマウイルス、好ましくはヒトパピローマウイルス(HPV)に対して阻害性である。さらに好ましくは、本化合物は、低リスク型又は高リスク型HPVに対して活性である。なおさらに好ましくは、本化合物は、低リスク型HPV(すなわち6型及び11型、特に11型HPV)に対して活性である。或いは、前記高リスク型は、16、18、31、33、35、45、52、及び58から成る群より選択され、好ましくは16型である。最も好ましくは、本発明の化合物は6型HPV及び11型HPV、さらに最も好ましくはHPV-11に向けられる。
【0083】
本発明の化合物の抗-パピローマウイルス活性を実証するための生化学的手順は、後述する実施例で記載される。この特定のアッセイは、試験化合物がHPV-11 DNA複製の活性を阻害する能力(IC50)を決定する。さらに具体的には、本明細書で述べるアッセイで、E1-E2-DNA複製起点相互作用を妨害し、それによってウイルスDNA複製の開始を阻害する試験化合物の能力に基づいて試験化合物の阻害活性を評価する。White et al., J. Biol. Chem. 2003, 278(29), p. 26765-26772に記載されているとおりのアッセイでこれら化合物を試験することによって、E1とE2との間のタンパク質-タンパク質相互作用がこれら化合物の特異的標的であることが分かった。
本発明の化合物又はその治療的に許容しうる塩の1つを抗ウィルス薬として利用する場合、哺乳類、例えばヒト、ウサギ又はマウスに、単独又は1種以上の医薬的に許容しうる担体を含む媒体中で(その比率は、化合物の溶解度や化学的性質、選択した投与経路及び標準的な生物学的プラクティスによって決まる)、経口投与、局所投与又は非経口投与することができる。
治療と称されようと又は予防と称されようと、本発明の化合物を用いて、出産前に本化合物を母親に投与することで、HPVの母親から赤ん坊への出生時伝達を防止することもできる。さらに詳細には、本発明の化合物を用いて赤ん坊の喉頭乳頭腫症を予防することができる。
【0084】
経口投与のためには、それぞれ所定量の活性成分(約1〜1000mgの範囲、或いは約25〜約1000mgの範囲)を薬学的に許容しうる担体中に含有するカプセル剤又は錠剤のような単位剤形で、本化合物又はその治療的に許容しうる塩を製剤化することができる。
局所投与のためには、0.1〜5%、好ましくは0.5〜5%の活性薬を含有する医薬的に許容しうる媒体中で本化合物を製剤化することができる。このような製剤は溶液、クリーム又はローションの形態でよい。
非経口投与では、医薬的に許容しうる媒体又は担体と併用して静脈内、皮下又は筋肉内注射で本発明の化合物を投与することができる。注射で投与するためには、緩衝液又は保存剤及び溶液を等張にするために十分な量の医薬的に許容しうる塩又はグルコースのような他の溶質も含有しうる無菌の水性媒体中の溶液で本化合物を使用することが好ましい。
上述した製剤に好適な媒体又は担体は、標準的な医薬品テキスト、例えば、"Remington's The Science and Practice of Pharmacy", 19th ed., Mack Publishing Company, Easton, Penn., 1995、又は"Pharmaceutical Dosage Forms And Drugs Delivery Systems", 6th ed., H.C. Ansel et al., Eds., Williams & Wilkins, Baltimore, Maryland, 1995に記載されている。
【0085】
本化合物の用量は、投与形態及び選択した特定の活性薬で変わる。さらに、用量は、治療中の特定の宿主によって変わる。一般的に、その状況下で最適効果に達するまで、少ない増量で治療を開始する。一般に、如何なる有害又は有毒な副作用も引き起こさずに通常抗ウィルス的に有効な効果を与える濃度レベルで本発明の化合物を投与することが最も望ましい。本発明の化合物の許容しうる量は、治療中の宿主に投与すると、そのような濃度レベルを生じさせるだろう。
経口投与では、1日約0.01〜約15mg/kg(体重)の範囲、好ましくは約0.05〜約10mg/kgの範囲で本化合物又はその治療的に許容しうる塩を投与することができる。或いは、1日約0.5〜約15mg/kg(体重)の範囲、好ましくは約0.5〜約5mg/kgの範囲で本化合物又はその治療的に許容しうる塩を投与することができる。
局所投与では、体の感染部位、例えば、皮膚、生殖器に適した製剤形態で、感染部位をカバーするのに十分な量で、本発明の化合物を投与することができる。治療は、例えば、傷害が治癒するまで4〜6時間毎、繰り返してよい。
非経口投与では、上述した変化が生じるが、1日約0.01mg〜約10mg/kg(体重)の用量で本発明の化合物を投与することができる。しかし、有効な結果を達成するためには、1日約0.05mg〜約5mg/kg(体重)の範囲の用量レベルを採用することが最も望ましい。或いは、1日約0.1mg〜約1mg/kg(体重)の用量、好ましくは1日約0.1mg〜約0.5mg/kg(体重)の用量で本発明の化合物を投与することができる。
【0086】
本明細書で開示される製剤は、パピローマウイルス感染を治療又は予防するために有効かつ比較的安全な薬物であると示されるが、有益な結果を得るために他の薬物又は薬剤とのこれら製剤の同時投与の可能性も考慮される。このような他の薬物又は薬剤としてTCA、ポドフィリン、ポドフィロックス、インターフェロン又はイミキモッドが挙げられる。
上記抗ウィルス薬に加え、再発を回避するため寒冷療法後又は外科手術後に本発明の化合物を使用し、或いは物理的にいぼを除去するための他のいずれの治療と併用するこもできる。
【0087】
(方法論及び合成)
当業者には、パピローマウイルス感染の治療又は予防で使うための本発明の化合物の調製の多くの方法論が容易に分かるだろう。
本発明の化合物は、ラセミ混合物として合成されることがあり、当業者には容易に分かるであろう種々の経路でその個々の立体異性体に分離することができる。
【0088】
一般に、本発明の化合物の左手側フラグメントは、下記式のようにA、R1及びR2基を有するニトリル又はアルデヒドとして調製されうる。
【0089】
【化24】

【0090】
左手側フラグメントのA基は、典型的に、ハロ-置換芳香族環の求核置換によって左手側フラグメントの芳香族骨格上に導入される(下記実施例1参照)。
A、R1、R2、及びR4基を有するアミン中間体フラグメントは、当業者には容易に分かるであろう種々の経路で調製されうる。アミン中間体フラグメントの一般構造は下記式のとおりである。
【0091】
【化25】

【0092】
左手側フラグメントがニトリルの場合、アミン中間体フラグメントは、ニトリルへの求核攻撃によってR4基を導入して中間体イミン複合体を形成後、このイミン中間体の所望アミン生成物への還元によって調製されうる(下記実施例7参照)。左手側フラグメントがアルデヒドの場合、まずホスホリルイミンを生じさせ、引き続きR4基のリチウムアニオンと反応させてホスホリルアミン中間体を得ることによって中間体アミンフラグメントが生成されうる(下記実施例9参照)。
右手側フラグメントのアミン中間体へのカップリングは、当業者には容易に分かるであろう種々の経路で達成されうる。本発明が、YがCH2である式(I)の化合物を包含する場合、下記式のようにアミン中間体が適切なカルボン酸にカップリングされる。










【0093】
【化26】

【0094】
このようなカップリングは当業者には容易に分かるだろう。本発明が、YがNHである式(I)の化合物を包含する場合、尿素官能性は、当業者が容易には容易に分かるであろう種々の経路によるアミン中間体の適切な右手側アニリンフラグメントへのカップリングによって達成され、下記式のようなイソシアネート中間体経由が挙げられる。
【0095】
【化27】

【0096】
(実施例)
以下の非限定例で本発明をさらに詳細に説明する。
本明細書で使用する略語又は記号として以下のものが挙げられる。
AcOH: 酢酸;
DEAD: ジエチル アゾジカルボキシレート;
DIAD: ジイソプロピルアゾジカルボキシレート;
DIPEA: ジイソプロピルエチルアミン;
DMAP: 4-(ジメチルアミノ)ピリジン;
DMSO: ジメチルスルホキシド;
DMF: ジメチルホルムアミド;
ES+ MS:エレクトロンスプレーポジティブモード質量分析;
Et: エチル;
EtOAc: 酢酸エチル;
Et2O: ジエチルエーテル;
HATU: [O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,2,3,3,テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート];
HMPA: ヘキサメチル ホスホラミド;
HPLC:高速液体クロマトグラフィー;
【0097】
i-Pr: イソプロピル;
LDA: リチウム ジイソプロピルアミド;
Me: メチル;
MeOH: メタノール;
MeCN: アセトニトリル;
Ph: フェニル;
RBF: 丸底フラスコ;
RT: 室温;
TBE: トリス-ボレート-EDTA;
t-Bu; tert-ブチル;
TBTU: 2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート;
TFA: トリフルオロ酢酸;
THF: テトラヒドロフラン;
TLC: 薄層クロマトグラフィー。
以下の非限定例で本発明をさらに詳細に説明する。
(インヒビターの左手側フラグメント)
実施例1:2-メチル-6-ピペリジン-1-イルベンゾニトリル(1b)の合成
【0098】
【化28】

【0099】
2-メチル-6-ピペリジン-1-イルベンゾニトリル(1b)は、Grell, W. J. Med. Chem. 1998, 41, 5219に記載されている方法に従って調製した。2-クロロ-6-メチルベンゾニトリル(1a,8.5g)、ピペリジン(16.6mL,3当量)及びN-ホルミルピペリジン(12.5mL)の混合物をN2下、油浴内で150℃にて加熱した。4日の期間後、HPLCが出発原料の生成物への完全な変換を示した。反応混合物をRTに冷ました後、100mLのEtOAcに溶かし、水、10% HCl、及びNaHCO3(飽和)で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥させ、木炭で処理した。生成物を真空下濃縮して粗生成物(1b)を淡黄色油として得(12.01g);C18逆相HPLCは220nmで88%の均質性を示した。この粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-EtOAc, 1:0→20:1→10:1)で精製して2-メチル-6-ピペリジン-1-イルベンゾニトリル(1b)を無色油として得、静置すると凝固した(収率約80%)。
実施例2:2-ピペリジン-1-イル-6-チオフェン-3-イルベンゾニトリル(2c)の合成
【0100】
【化29】

【0101】
2-フルオロ-6-ヨードベンゾニトリル(2a,1.5g,6.1mmol)、3-チオフェンホウ素酸(0.99g,7.7mmol)、LiCl(0.51g,12.0mol)、Na2CO3(1.6g,15.1mmol)、トルエン(10mL)、エタノール(10mL)及びH2O(7mL)の混合物を脱気し、アルゴン下で45分間撹拌しながら脱酸素した。Pd(Ph3P)4触媒(0.28g,0.24mmol)を加え、混合物を80℃に約15時間加熱した。反応混合物をRTに冷まし、残留物をH2O(40mL)とEtOAc(40mL)に分配した。水層をEtOAcで2回以上抽出して混ぜ合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発乾固させて化合物2bを得、実施例1で述べた手順でピペリジンと反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー後、純粋生成物2-ピペリジン-1-イル-6-チオフェン-3-イルベンゾニトリル(2c)(約1.2g,>収率98%)を得た。
実施例3:2-メチル-6-ピペリジン-1-イルベンズアルデヒド(3c)の合成
【0102】
【化30】

【0103】
乾燥DMF(160mL)中のアルデヒド3a(20g,161.1mmol)の溶液に、ピペリジン(19.1mL,193.4mmol,1.2当量)と炭酸カリウム(26.73g,193.4mmol,1.2当量)を連続的に加えた。この懸濁液を130℃で3時間加熱した。反応混合物を冷水中に注ぎ、クエン酸でpH 5まで酸性にした。水層を3回EtOAcで抽出し、混ぜ合わせた有機抽出液を水、飽和NaHCO3及び食塩水で連続的に洗浄した。この有機抽出液をMgSO4上で乾燥させた後、ろ過かつ濃縮して所望の2-ピペリジノベンズアルデヒド3bを赤色油として単離した(28.23g,収率92%)。
-20℃に冷却した乾燥THF(110mL)中のN,N,N'-トリメチルエチレンジアミンの溶液に、n-BuLi(27.3mL,ヘキサン中1.6M溶液,43.68mmol,1.0当量)を一滴ずつ加えた。15分後、THF(20mL)中の2-ピペリジン-1-イルベンズアルデヒド3b(8.0g,42.27mmol)の溶液を、温度を-20℃に維持しながらゆっくり加えた。さらに15分後、さらにn-BuLi(79.25mL,ヘキサン中1.6M溶液,126.8mmol,3.0当量)をゆっくり添加した。冷却装置で反応混合物を-20℃で90時間維持してから-78℃に冷却してヨウ化メチル(15.8mL,253.8mmol,6.0当量)を加えた。添加後、冷浴を除去し、反応混合物がRTに戻ったら、仕上げを行った。混合物をNH4Clの飽和冷却溶液に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。混ぜ合わせた有機層を食塩水で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮して褐色油を得、溶出液として5% EtOAc-95%ヘキサンから成る混合物を用いてフラッシュクロマトグラフィーで精製した。所望の2-メチル-6-ピペリジン-1-イルベンズアルデヒド3cを淡黄色油として単離した(3.74g,収率43%)。
実施例4:2-メチル-6-(4-フェノキシピペリジン-1-イル)ベンゾニトリル(4c)の合成
【0104】
【化31】

【0105】
ニトリル4a(1.25g,8.25mmol)と4-ヒドロキシピペリジン(2.50g,24.7mmol)の混合物をバイアル中180℃で2時間加熱した。反応混合物をEtOAcで希釈し、有機層を0.1N HCl、次いでNaHCO3飽和水溶液及び食塩水で洗浄した。有機層を無水MgSO4上で乾燥させ、蒸発乾固させた。20%から100%のEtOAc(ヘキサン中)の溶剤勾配を用いて、フラッシュカラムクロマトグラフィーで残留物を精製して純粋な所望の中間体アルコール4bを白色固体(1.44g)として得た。
上記アルコール中間体の試料(4b,153mg,0.71mmol)を無水THFに溶かし、その溶液を0℃に冷却した。トリフェニルホスフィン(278mg,1.1mmol)とジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD,209μL,1.06mmol)を加え、混合物を0℃で10分撹拌後、フェノール(133mg,1.4mmol)を添加した。そして、氷浴を除去し、反応混合物をRTで一晩中撹拌した。真空下、まずTHF溶媒を蒸発させ、残留物を再びEtOAcに溶かし、H2O、1N NaOH、H2O及び食塩水で洗浄した。有機層を無水MgSO4上で乾燥させ、蒸発乾固させた。5%から20%のEtOAc(ヘキサン中)の溶剤勾配を用いて、フラッシュカラムクロマトグラフィーで粗製混合物を精製して純粋な2-メチル-6-(4-フェノキシピペリジン-1-イル)ベンゾニトリル生成物4cを白色固体として単離した(180mg,収率87%)。
実施例5:2-シクロヘキシル-6-メチルベンゾニトリル(5b)の合成








【0106】
【化32】

【0107】
2-シクロヘキシル-6-メチルベンゾニトリルは、G. Cahiez, F. Lepifre and P. Ramiandrasoa, Synthesis, 1999, No. 12, 2138-2144の方法に従って調製した。0℃の乾燥THF(5mL)中のニトリル5a(303.2mg,2.00mmol)とMnCl2四水和物(細かく粉砕,39.6mg,0.2mmol,0.1当量)の混合物に、グリニャール試薬シクロヘキシル臭化マグネシウム(4mL,THF中1.0M溶液,4.0mmol,2.0当量)をゆっくり加えた。反応混合物を0℃で2時間撹拌してからNH4Cl飽和水溶液を添加してクエンチした。水層をジエチルエーテル(3×)で抽出し、混ぜ合わせた有機層を水と食塩水で連続的に洗浄した。MgSO4上で乾燥後、ろ過かつ濃縮して所望物質、2-シクロヘキシル-6-メチルベンゾニトリル5bを単離した(168mg)。
実施例6:2-エチル-6-ピペリジン-1-イルベンゾニトリル(6b)の合成
【0108】
【化33】

【0109】
アルゴン-乾燥した、磁気撹拌棒、温度計及びアルゴン入口のあるセプタを備えた50mLの三つ口丸底フラスコに、無水THF(20mL)とDIPEA(0.84mL,6mmol,1.2当量)を連続的に導入した。混合物を-30℃に冷却し、1.6Mのn-BuLi溶液(3.75mL,6mmol,1.2当量)を注射器で一滴ずつ加えた。30分間-30℃で撹拌後、元の位置に生じたLDA溶液を-76℃に冷却し、HMPA(1.3mL,7.5mmol,1.5当量)を添加後、THF(5mL)中の2-メチル-6-ピペリジニル-1-イルベンゾニトリル(6a,1.0g,5mmol)を加えると、反応混合物が暗色を呈した。反応を-76℃で2時間撹拌し、MeI(0.4mL,6.5mmol,1.3当量)を加えた。即座に暗褐色溶液がわずかに黄色くなり、アルキル化反応の完了を示した。反応をRTに戻し、NH4Cl飽和溶液(20mL)でクエンチし、生成物をジエチルエーテル(3×30mL)で抽出した。混ぜ合わせた有機抽出液を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーで精製(ヘキサン中5%のEtOAcで溶出)して純粋な2-エチル-6-ピペリジン-1-イルベンゾニトリルを得た(6b,0.8 g,収率82%)。
(インヒビターのアミン中間体フラグメント)
実施例7:1-(2-メチル-6-ピペリジン-1-イル-フェニル)-1-フェニル-メチルアミン(7c)の合成
【0110】
【化34】

【0111】
乾燥THF(2mL)中のブロモベンゼン(118mg,0.75mmol)の溶液を-78℃に冷却、n-BuLi(ヘキサン中1.6M,0.375mL,0.6mmol)を加えた。反応混合物を30分間-78℃で撹拌してから、ニトリル1bの溶液(100mg,0.5mmol,1mLのTHF)を加え、-78℃でさらに5分以上撹拌を続けた。反応混合物をRTに戻し、撹拌を2時間続けた。飽和NH4Cl(1.5mL)及びNH4OH(1.5mL)を添加して反応をクエンチ後、30分撹拌した。有機層を分け、水層をEtOAcで再抽出し、混ぜ合わせた有機層を食塩水で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥させ、減圧下濃縮して粗製イミン中間体7bを得、精製せずに次工程で使用した。
この粗製イミン中間体7bをTHF(3mL)に溶かし、BH3.SMe2(10M,100μL,1.0mmol)を加え、反応混合物を6時間加熱還流させた。減圧下で溶媒を除去し、粗製残留物を3mLの1N HClで酸性にし、EtOAcで洗浄した(2×10mL)。10N NaOHを添加して水層のpHを8〜10に調整し、生成物をEtOAc中に抽出した(2×10mL)。混ぜ合わせた有機層を食塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、蒸発乾固させて淡黄色油を得た。この粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで(ヘキサン-EtOAc 10:1→5:1、次いでCH2Cl2-MeOH 1:0→10:1の勾配を用いて)精製してラセミ混合物として7cを得た。収率は35〜70%で変化した。ES+ MS m/z: 281 (M+H)+
実施例8:1-(4-メトキシフェニル)-1-(2-メチル-6-ピペリジン-1-イルフェニル)メチルアミン(8c)の合成



















【0112】
【化35】

【0113】
撹拌棒と冷却器を備えた25mLの乾燥三つ口丸底フラスコにアルゴンを流した。トルエン(10mL)中のニトリル1b(0.33g,1.43mmol)の溶液を加え、いくらかのトルエンを蒸留して溶液の体積を約1/5に減らした。溶液をRTに戻し、グリニャール試薬4-メトキシフェニル-臭化マグネシウム(5.75mL,THF中0.5M)を加えた。反応混合物を還流温度に加熱し、まずTHFを蒸留で除去後、約15時間撹拌しながら混合物を還流させた。反応をRTに戻し、BH3.SMe2(1.0M,3mL)を加え、混合物を15時間加熱還流させた。減圧下で溶媒を除去し、10%のHCl水溶液を加え(20mL)、混合物を再び2.5時間加熱還流させた。反応混合物をまずジエチルエーテル(2×10mL)で抽出し、水層をNH4OHで中和し、EtOAc(3×15mL)で抽出した。EtOAc層を無水MgSO4上で乾燥させ、蒸発乾固させた。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーでCH2Cl2中1〜2%のCH3OHを用いて精製してラセミ生成物1-(4-メトキシ-フェニル)-1-(2-メチル-6-ピペリジン-1-イル-フェニル)-メチルアミン8cを黄色油として得た(0.44g,収率90%)。
キラルHPLCを利用してエナンチオマー的に富化した試料を得た。2種のエナンチオマーの分離は、分取用スケールのHPLCで、ChiralCel ODカラム(2.00cm×25cm)、溶出溶媒として40%のCH3CN水溶液(0.06%のTFAを含有)を用い、流速7ml/分で行った。第1溶出アミンのエナンチオマーは、分析用キラルHPLCによる決定で98.8%のe.e.値を有しており、これを用いてHPVの効力のあるインヒビター(オイトマー)を合成した。第2溶出ピークに対応するエナンチオマーで合成される化合物は、HPVのインヒビターとして有意に活性が低かった(ディストマー)。
実施例9:1-(2-メチル-6-ピペリジニルフェニル)-1-[4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)フェニル]メチルアミン(9d)

【0114】
【化36】

【0115】
0℃で乾燥CH2Cl2(6mL)中のアルデヒド3c(1.17g,4.92mmol)、ジフェニルホスフィンアミド(1.068g,4.92mmol,1.0当量)、及びトリエチルアミン(2.07mL,14.84mmol,3.0当量)の溶液に、ジクロロメタン(2.68mL,2.68mmol)中の1.0M TiCl4溶液を一滴ずつ加えた。混合物を0℃で10分間撹拌してからRTで一晩中撹拌した。この不均一混合物ををCeliteのパッドに通してろ過した。ろ液を濃縮し、残留物をエーテルで2回処理し、各回に沈殿したトリエチルアンモニウム塩酸塩をろ過で除去した。濃縮後、所望のイミン9bが黄色油として単離された(1.532g,3.80mmol,収率77%)。所望イミンは、C-HとPとの間の約32Hzのカップリング定数という特徴的な二重線を示した。
-78℃で乾燥THF(500μL)中の1-[2-(4-ブロモフェノキシ)エチル]ピロリジン(41.4μL,0.2mmol,2.0当量)にゆっくりn-BuLi(230μL,0.368mmol,1.8当量)を加えた。1時間後、THF(250μL)中の粗製イミン9b(40.2mg,0.10mmol)を加えた。添加完了後、反応混合物をRTに戻し、この温度で15分間撹拌した。NH4Clの飽和水溶液を加え(600μL)、水層をEtOAc(3×)で抽出した。混ぜ合わせた有機抽出液を食塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮して粗製の保護されたアミン9cを得た。この粗製中間体を無水メタノール(500μL)に溶かし、ジオキサン(500μL)中の4N HClを加えた。反応混合物をRTで一晩中撹拌し、濃縮乾固させて所望の1-(2-メチル-6-ピペリジニルフェニル)-1-[4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)フェニル]メチルアミン9dの塩酸塩を得、さらに精製せずにインヒビターの合成で用いた。
(X2=CHのインヒビターの右手側フラグメント)
実施例10:5-ブロモ-4-カルボキシメチル-2-メトキシ安息香酸メチル(10d)の合成



【0116】
【化37】

【0117】
5-ブロモ-4-カルボキシメチル-2-メトキシ安息香酸メチルをWO 01/35900に記載されている方法で合成した。滴下ロート、冷却器及び磁気撹拌棒を備えた1Lの三つ口RBFを4-メチルサリチル酸10a(50g,0.33mol)、K2CO3(91.1g,0.66mol,2当量)及び乾燥アセトン(500mL)で充填した。この混合物を、硫酸ジメチル(112.3g,0.891mol,2.7当量)を一滴ずつ添加しながら加熱還流させた。反応混合物を約14時間(TLCが反応完了を示した)還流させた。無機塩をろ過し、THFろ液を減圧下でエバポレートして黄色油を得た。この残留物を400mLのMeOHに溶かし、濃NH4OH溶液(115mL)を加えた。結果混合物をRTで30分間撹拌した。蒸留してMeOHを除去し、残留物を水(500mL)で希釈し、油状生成物をジエチルエーテルで抽出した(3×300mL)。混ぜ合わせた有機抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下ジエチルエーテルを除去して純粋な2-メトキシ-4-メチル安息香酸メチル10bを黄色油として得た(57g,収率96%)。
【0118】
アルゴン入口、温度計、磁気撹拌棒及びセプタムを備えた2Lの乾燥三つ口RBFをTHF(220mL)とジイソプロピルアミン(54.6mL,0.39mol,1.2当量)で充填した。結果混合物を-50℃に冷却し、2.5Mのn-BuLi溶液(156mL,0.39mol,1.2当量)をカニューレでゆっくり加えた。-50℃で30分の撹拌後、LDA生成溶液を-78℃に冷却し、HMPA(67.8mL,0.39mol,1.2当量)を添加後、温度を-78℃に維持しながらTHF(220mL)中の2-メトキシ-4-メチル安息香酸メチル10b(57g,0.32mol)の溶液を加えた。反応混合物を2時間以上-78℃で撹拌してから、100gのドライアイスとTHF(200mL)を含有するフラスコにカニューレで入れた。-78℃で30分の撹拌後、反応混合物を緩徐にRTに戻してから水中(1.5L)に注いだ。有機層を分離し、水層をさらにエーテル(3×1L)で抽出した。水層を10%のH2SO4溶液(150mL)で酸性にし、反応生成物をCH2Cl2(3×1.5L)中に抽出した。混ぜ合わせた有機抽出液を無水Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で溶媒を除去し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(溶出液EtOAc:ヘキサン 3:7)、次いでCH2Cl2:ヘキサン 1:1からの再結晶で精製して純粋な4-カルボキシメチル-2-メトキシ安息香酸メチル10cを得た(38.8g,収率54.7%)。
4-カルボキシメチル-2-メトキシ安息香酸メチル10c(12.7g,0.0567mol)を氷AcOH(100mL)に溶かし、内部温度を20〜25℃の間で維持維持しながら臭素(3.2mL,0.0624mol,1.1当量)を注射器で一滴ずつ加えた。RTで4時間の攪拌後、AcOHを蒸発させ、橙色油を2回トルエンと一緒に蒸発させて橙色固体を得た。この物質をCH2Cl2と摩砕し、いくらかの沈殿生成物をろ過で除去した。ろ液中に留まった残りの生成物を濃縮し、シリカゲルカラム上に装填し、EtOAc:ヘキサン(6:4比)中1%のAcOHで溶出した。生成物を2回目のクロマトグラフィー及びEtOAc:ヘキサンからの再結晶でさらに精製して純粋な5-ブロモ-4-カルボキシメチル-2-メトキシ安息香酸メチルを白色固体10dとして得た(総量9g,収率52%)。
実施例11:4-カルボキシメチルナフタレン-1-カルボン酸メチル(11c)の合成
【0119】
【化38】

中間体4-カルボキシメチルナフタレン-1-カルボン酸メチルエステル11cの合成は、実施例10で中間体4-カルボキシメチル-2-メトキシ安息香酸メチルの合成について既述した手順と同一の実験手順に従って行った。
実施例12:(2-ブロモ-5-メトキシ-4-スルファモイルフェニル)酢酸(12f)の合成
【0120】
【化39】

【0121】
磁気撹拌棒、温度計及び滴下ロートを備えた250mlの三つ口RBFを2-メトキシ-4-メチル安息香酸メチル10b(10g,0.056mol)とAcOH(70mL)で充填した。この溶液に、反応温度を25℃未満に維持しながら臭素(3mL,0.06mol)を一滴ずつ加えた。臭素の添加が終了したら、反応混合物をRTで2時間撹拌してから600mLの冷却水中に注ぎ、Na2CO3でpHを8〜9に調整した。粗生成物をEt2Oで中間体し(3×300mL)、混ぜ合わせた抽出液を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で溶媒を除去して5-ブロモ-2-メトキシ-4-メチル安息香酸メチルを橙色油として得、静置すると凝固した(14.3g,収率99%,1H NMRで90%を超える純度)。
5-ブロモ-2-メトキシ-4-メチル安息香酸メチル(11.64g,0.045mol)をEtOH:H2O(1:1比,150mL)の混合物に溶かし、NaOH(5.8g,0.145mol)を加え、反応混合物を30分間還流させた。蒸留で混合物からEtOH溶媒を除去すると、所望生成物がそのナトリウム塩として沈殿した。残留物をH2O(75mL)で希釈し、濃HClでpHを約2に調整した。ろ過で沈殿を集め、H2Oで洗浄し(3×50mL)、空気乾燥させて純粋な5-ブロモ-2-メトキシ-4-メチル安息香酸12a(9g,収率82%)をベージュ色固体として得た。
5-ブロモ-2-メトキシ-4-メチル安息香酸12a(9g,0.037mol)、塩化チオニル(5ml,0.069mol)及びベンゼン(90mL)の混合物を4時間加熱還流させてから減圧下で蒸発乾固させた。クロロアンヒドリド中間体の残渣を乾燥ベンゼン(40mL)に溶かし、150mLの濃水酸化アンモニウム溶液を含有する氷冷フラスコ内にゆっくり注いだ。反応混合物を1時間RTで撹拌し、沈殿した固形物質をろ過で集め、水(3×25mL)、ベンゼン(2×20mL)で洗浄し、空気乾燥させて純粋な5-ブロモ-2-メトキシ-4-メチルベンズアミド12b(8.5g,収率95%)をベージュ色固体として得た。
【0122】
磁気撹拌棒、温度計、滴下ロート及び冷却器を備えた250mlの三つ口RBFを5-ブロモ-2-メトキシ-4-メチルベンズアミド12b(6g,24.6mmol)、無水MeOH(40mL)及びMeOH中25%のNaOMe溶液(21mL,98.4mmol)の混合物で充填した。このスラリーを5℃に冷却し、臭素(1.4mL,27.1mmol)を一滴ずつ加えると、発熱反応が起こり、曇った溶液が生成した。この反応混合物をRTで30分間撹拌してから1時間加熱還流させた。減圧下で溶媒を除去し、残留物を再びEtOH(50mL)に溶かし、KOH(5.5g,98.4mmol)を加えた。16時間混合物を還流させながら反応させ、中間体カルバミン酸メチルを加水分解した。この反応混合物をH2O(300mL)で希釈し、生成物をEt2O中に抽出した(3×100mL)。混ぜ合わせた有機層をシリカゲルのパッドに通してろ過し、蒸発乾固させて5-ブロモ-2-メトキシ-4-メチルアニリン12c(4.8g,収率90%)を1H NMRで純粋な明褐色固体として得た。
5-ブロモ-2-メトキシ-4-メチルアニリン塩酸塩[5-ブロモ-2-メトキシ-4-メチルアニリン(4.32g,20mmol)と濃HCl(20ml)の反応で生成]の懸濁液を0℃に冷却し、反応温度を5℃未満に保持しながらNaNO2の水溶液(1.224g,5mLのH2O中24mmol)をゆっくり加えた。ニトリルの添加完了後、反応混合物を30分間0℃で撹拌してから、AcOH(30mL)中の30% SO2、15mLのH2O中のCuCl2.2H2O(5.13g,30mmol)の溶液及びベンゼン(20mL)を含有する前もって調製した混合物中に注いだ。反応混合物を緩徐に35℃に加熱すると、この時点で窒素の発生が観察された。ガスの発生が停止したとき、反応混合物を水(200mL)で希釈し、有機層を分離し、NaHCO3飽和水溶液で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、蒸発乾固させて粗製塩化スルホニル12dを褐色油として得た(約3g)。この中間体をヘキサン(20mL)に溶かし、濃NH4OH溶液(20mL)を加え、反応混合物をRTで一晩中激しく撹拌した。生じた褐色固体をろ過で集め、10%のKOH溶液(20mL)で処理した。ろ過で如何なる不溶性不純物をも除去し、ろ液を酸性にしてベージュ色の沈殿を得、ろ過し、水洗し、空気乾燥させて純粋生成物5-ブロモ-2-メトキシ-4-メチルベンゼンスルホンアミド12eを得た(0.586g,全体的な収率10.4%)。
【0123】
磁気撹拌棒、温度計及びAr入口のあるセプタムを備えた25mLの乾燥三つ口RBFを5-ブロモ-2-メトキシ-4-メチルベンゼン-スルホンアミド12e(0.586g,2.1mmol)、無水THF(5mL)及びHMPA(0.37mL,2.1mmol)で充填した。混合物を-75℃に冷却し、LDAの2.0M溶液(4.2mL,8.4mmol)を注射器で一滴ずつ加えた。反応混合物を-75℃で1.5時間撹拌してから、20gのドライアイスと5mLのTHFを含有するフラスコにカニューレで入れ、緩徐にRTに戻した。減圧下で溶媒を除去し、残留物にH2O(20mL)を加えた。この時点で、いくらかの未反応の出発原料が沈殿したのでろ過で除去した。ろ液を酸性にし、溶液をEtOAcで抽出した(3×20mL)。混ぜ合わせた有機層を蒸発乾固させ、残留物をNaHCO3飽和水溶液(10mL)で処理し、不溶性物質をろ過で分離した。ろ液を濃HClで酸性にし、曇った溶液を再びEtOAc(3×5mL)で抽出した。混ぜ合わせた有機層を約1mLに濃縮すると、生成物が結晶化し、ろ過で集めて純粋な(2-ブロモ-5-メトキシ-4-スルファモイルフェニル)酢酸(20mg)12fを得た(収率約3%)。
(インヒビターの合成)
実施例13:2-(2-ブロモ-5-メトキシ-4-スルファモイルフェニル)-N-[1-(4-メトキシ-フェニル)-1-(2-メチル-6-ピペリジン-1-イルフェニル)メチル]アセトアミド(301)







【0124】
【化40】

【0125】
THF(1mL)とDMF(0.3mL)の溶媒混合物中、実施例12の(2-ブロモ-5-メトキシ-4-スルファモイルフェニル)酢酸2f(18mg,0.06mmol)、実施例8の1-(4-メトキシフェニル)-1-(2-メチル-6-ピペリジン-1-イルフェニル)メチルアミン8c(25.9mg,0.08mmol)、HATU(45.6mg,0.12mmol)及びDIPEA(0.06ml,0.3mmol)を含有する反応混合物をアルゴン下、RTで1時間撹拌した。混合物をEtOAc(7mL)で希釈し、有機層を1.0MのHCl水溶液(2mL)、飽和NaHCO3(2mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、最小量に濃縮し(約1mL)、分取TLCで精製し(溶出液 EtOAc:ヘキサン:AcOH 60:40:1)、31mgの半純粋な最終インヒビター(1H-NMRによる純度、約85%)を得た。C18逆相HPLCでさらに精製して、純粋インヒビター2-(2-ブロモ-5-メトキシ-4-スルファモイルフェニル)-N-[1-(4-メトキシフェニル)-1-(2-メチル-6-ピペリジン-1-イルフェニル)メチル]アセトアミド301(表3)を単離した。
1H NMR (400 MHz, DMSO, 325 K) δ:1.2-1.6 (m, 4H, ピペリジン環), 2.20 (s, 3H, -CH3), 2.5-2.8 m (2H, ピペリジン環), 3.71 (s, 3H, -OCH3), 3.85 (s, 3H, -OCH3), 3.8-4.0 (m, 2H, -CO-CH2-), 6.83 (d, J= 8.3 Hz, 2H), 6.97 (br d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.1-7.2 (m, 4H), 7.30 (s, 1H), 7.83 (s, 1H), 8.36 (br s, NH)。
ES+ MS m/z: 616.2及び618.2 (M+H)+
実施例14:5-クロロ-2-メトキシ-4-{3-[(2-メチル-6-ピペリジン-1-イル-フェニル)(フェニル)メチル]ウレイド}安息香酸(201)
【0126】
【化41】

【0127】
市販の酸から標準的なエステル化法で調製した4-アミノ-5-クロロ-2-メトキシ安息香酸メチル14b(19.4mg,0.09mmol)をジクロロメタン(0.5mL)に溶かし、0℃に冷却し、DIPEA(0.1mL,0.57mmol)とホスゲン(トルエン中20%,0.2mL,0.40mmol)を逐次添加した。反応混合物をRTで2時間撹拌してから減圧下濃縮した。残留物をジクロロメタン(0.5mL)に溶かしてからDIPEA(0.1mL,0.57mmol)及び実施例7の中間体アミン7c(25mg,0.089mmol)で逐次処理した。反応混合物をRTで2時間撹拌してから真空下濃縮した。5% KHSO4水溶液を加え、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥させた。ろ過及び濃縮後、残留物をTHF(0.1mL)、メタノール(0.2mL)及び水(0.2mL)の混合物に溶かしてから10NのNaOH水溶液(0.1mL,1.0mmol)を加えた。反応混合物をRTで一晩中撹拌してから濃縮乾固させた。残留物を氷酢酸に溶かし、逆相HPLCで精製して所望化合物5-クロロ-2-メトキシ-4-{3-[(2-メチル-6-ピペリジン-1-イルフェニル)(フェニル)メチル]ウレイド}安息香酸201(表2)をそのTFA塩として得た(23mg,収率48%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO, 325 K) δ:1.5-1.7 (m, 4H, ピペリジン環), 2.02 (s, 3H, -CH3), 2.8-2.9 m (2H, ピペリジン環), 3.76 (s, 3H, -OCH3), 6.94 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.08 (2d, J= 7.6 Hz, 2H), 7.16-7.22 (m, 3H), 7.29 (dd, J =7.6 Hz, 1H), 7.7 (s, 1H), 7.70 (br, 〜1H, NH), 8.16 (s, 1H), 8.64 (br, 〜1H, NH)。
ES+ MS m/z: 509.3 (M+H)+
実施例15:HPV E1-E2相互作用インヒビター(105)の絶対配置の決定
【0128】
【化42】

【0129】
ラセミアミンフラグメント前駆体15(このアミンフラグメントは実施例1及び8で述べた方法と類似の方法で調製した)をその2種のエナンチオマー15aと15bにキラルHPLCで分離し、この2種のエナンチオマー的に富化したアミンを独立的に樟脳塩化スルホニルにカップリングさせて化合物15c及び15dを得;後の化合物がX線結晶学のための高品質の結晶を生成した。相関目的のため、2種のエナンチオマー的に富化した試料(15a及び15b)も右手側カルボン酸にカップリングさせて1種の効力のあるインヒビター(オイトマー15e)とディストマー(15f)を生成した。スルホンアミド15dのX線結晶学は、この化合物をこれまでは未知のキラル中心でのR-配置と割り当てた。同じアミン前駆体(15b)も用いてディストマー15fを調製した。対照的に、Sキラルアミン15aから調製したオイトマー15e(化合物105,表1)は、HPV 11 E1-E2 DNAアッセイで効力のあるインヒビターであることが分かった。
【0130】
実施例16:E2-依存性E1 DNA結合アッセイ
E2-依存性E1 DNA結合アッセイのプロトコロルはWO 02/50082に詳述されている。
実施例17:SV40 T抗原-DNA結合アッセイ
SV40 T抗原-DNA結合アッセイのプロトコルはWO 02/50082に詳述されている。
実施例18:細胞ベースDNA複製アッセイ
細胞ベースDNA複製アッセイのプロトコルはWO 02/50082に詳述されている。
実施例19:化合物の表
下表1〜4に列挙したすべての化合物は、実施例16で言及したE1-E2 DNAアッセイで活性であり、HPV-11に対して20μM未満のIC50値を有することが分かった。
特定化合物は実施例17のSV40 TAgアッセイでも試験し、E1-E2 DNAアッセイにおけるよりも不活性又は低活性であることが分かり、これら化合物がパピローマウイルスに対して選択性である良い証拠を提示した。
さらに、少なくとも1種の化合物を実施例18のDNA複製細胞アッセイで試験した。得られた結果は、これら化合物がウイルスDNA複製を阻害できることを示す。

































【0131】
【表1】



【0132】
【表2】






【0133】
【表3】







【0134】
【表4】















【0135】
【表5】



【0136】
【表6】

【0137】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)の化合物又はそのエナンチオマー若しくはそのジアステレオイソマー、或いはそれらの医薬的に許容しうる塩又はエステル。
【化1】

(式中、R1はH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、(C3-7)シクロアルキル、フェニル、又は5-員若しくは6-員ヘテロ環であり;
1はCR2又はNであり;
フェニル環上のフリーな位置の一方又は両方がR2で置換されていてもよく、かつ各R2は、以下の基:H、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ及びジ((C1-6)アルキル)アミノから独立的に選択され;
Aは(C3-7)シクロアルキル、アリール又はヘテロ環であり、それぞれ任意に、以下の基:(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、又はジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、O-アリール、S-アリール、NH-アリール、(C1-6)アルキル-アリール、ヘテロアリール、O-ヘテロアリール、S-ヘテロアリール、NH-ヘテロアリール及び(C1-6)アルキル-ヘテロアリールから独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
或いはAはNHR3又はN(R3)2であり、ここで、
各R3は、H、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立的に選択され;
4は(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロ環、(C1-6)アルキル-アリール又は(C1-6)アルキル-ヘテロ環であり、それぞれ任意に、以下の基:(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、ヘテロアリール、(C1-6)アルキル-アリール、(C1-6)アルキル-ヘテロアリール、及び(C1-6)アルコキシ(前記(C1-6)アルコキシは任意にアリール又はヘテロアリールで置換されていてもよい)から独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
或いはR4は飽和若しくは不飽和4-員〜6-員環(任意に、N、O、及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子を含有していてもよい)で縮合されたフェニルであり;
ZはO又はSであり;
YはCH2、NH又はOであり;
Bは、下記式:
【化2】

(式中、R5はH、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、ヒドロキシル又はスルフヒドリルであり;
2はCR7又はNであり;
6及びR7は独立的にH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、ヒドロキシル又はスルフヒドリルであり;或いはX2がCR7の場合、任意に、R6とR7が一緒に結合して飽和若しくは不飽和5-員又は6-員環(任意に、S、O及びNから独立的に選択される1又は2個のヘテロ原子を含有していてもよい)を形成していてもよく;
3はO、S又はNR8(R8はH又は(C1-6)アルキルである)であり;かつ
cはCOOH、CONHR9、SO2NHR9、CONHSO29、CONHSO2NHR9、トリアゾリル又はテトラゾリルであり、ここで、
9はH、(C1-6)アルキル、(C3-6)シクロアルキル又はフェニルである)
から選択され;
但し、R5とR6が両方とも一緒にHであることはなく、R5又はR6がHの場合、R1はHでなく、かつYがNHの場合、R6はヒドロキシル又はスルフヒドリルでありえない。)
【請求項2】
1はH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、(C3-7)シクロアルキル、フェニル、又は5-員若しくは6-員ヘテロ環であり;
1はCR2又はNであり;
各R2は、H、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C16)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ又はジ((C1-6)アルキル)アミノから独立的に選択され;
Aは(C3-7)シクロアルキル、(C6若しくはC10)アリール又はヘテロ環であり、すべて任意に、以下の基:(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、若しくはジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、O-アリール、S-アリール、NH-アリール、(C1-6)アルキル-アリール、ヘテロアリール、O-ヘテロアリール、S-ヘテロアリール、NH-ヘテロアリール又は(C16)アルキル-ヘテロアリールで置換されていてもよく;
或いはAはNHR3又はN(R3)2であり、ここで、
3は、H、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立的に選択され;
4は、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、(C6若しくはC10)アリール、ヘテロ環、(C1-6)アルキル-アリール又は(C1-6)アルキル-ヘテロ環であり、すべて任意に、以下の基:(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、ヘテロアリール、(C1-6)アルキル-アリール、(C1-6)アルキル-ヘテロアリール、(C1-6)アルコキシ-アリール又は(C1-6)アルコキシ-ヘテロアリールで置換されていてもよく;
或いは前記(C6)アリールは、飽和若しくは不飽和4-員〜6-員環(任意に、N、O、及びSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含有していてもよい)で縮合されており;
ZはO又はSであり;
YはCH2、NH又はOであり;
Bは、下記式:
【化3】

(式中、R5はH、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、ヒドロキシル又はスルフヒドリルであり;
2はCR7又はNであり;
6及びR7は独立的にH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、ヒドロキシル又はスルフヒドリルであり;或いはX2がCR7の場合、任意に、R6とR7が一緒に結合して飽和若しくは不飽和5-員又は6-員環(任意に、S、O及びNから選択される1又は2個のヘテロ原子を含有していてもよい)を形成していてもよく;
3はO、S又はNR8(R8はH又は(C1-6)アルキルである)であり;かつ
cはCOOH、CONHR9、SO2NHR9又はテトラゾリルであり、ここで、
9はH、(C1-6)アルキル、(C3-6)シクロアルキル又はフェニルである)
から選択され;
但し、R5とR6が両方とも一緒にHであることはなく、R5又はR6がHの場合、R1はHでなく、かつYがNHの場合、R6はヒドロキシル又はスルフヒドリルでありえない、
請求項1に記載の化合物、又はその医薬的に許容しうる塩若しくはエステル。
【請求項3】
1がメチル又はエチルである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
Aが、シクロヘキシル、フェニル、1-ピペリジニル、4-モルフォリニル、N(H)シクロヘキシル又はN(CH3)シクロヘキシルであり、前記シクロヘキシル、フェニル、1-ピペリジニル及び4-モルフォリニルは、任意に、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル又はフェノキシで一又は二置換されていてもよい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
Aが、任意にハロ又はフェノキシで一又は二置換されていてもよい1-ピペリジニルであり、かつR1が、H又は(C1-6)アルキルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
4が、チエニル、フラニル又はナフチルであり、任意に、メトキシ及び(C1-6)アルキルから独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
4が、任意にメトキシ、ハロ、及びフェニルから独立的に選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、又はR4が、飽和若しくは不飽和4-員〜6-員環(任意に、N、O、及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子を含有していてもよい)で縮合されたフェニルである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
5がメトキシ又はエトキシである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
6がアルキル又はハロである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
2がCR7であり、R7とR6が一緒に結合して不飽和6-員環(任意に、S、O及びNから独立的に選択される1又は2個のヘテロ原子を含有していてもよい)を形成している、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
1はH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、又はジ((C1-6)アルキル)アミノであり;
1はCR2又はNであり;
各R2は、H又はハロから独立的に選択され;
Aは(C3-7)シクロアルキル、フェニル、又は5-員若しくは6-員単環式ヘテロ環であり、それぞれ任意に、以下の基:(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ及びアリールオキシから独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
或いはAはNHR3又はN(R3)2であり、ここで、
各R3は、H、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立的に選択され;
4は、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C1-6)アルキル-アリール又は(C1-6)アルキル-ヘテロアリールであり、それぞれ任意に、以下の基:(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、ヘテロアリール、(C1-6)アルキル-アリール、(C1-6)アルキル-ヘテロアリール及び(C1-6)アルコキシ(前記(C1-6)アルコキシは、任意にアリール又はヘテロアリールで置換されていてもよい)から独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
或いはR4は、飽和若しくは不飽和4-員〜6-員環(任意に、N、O、及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子を含有していてもよい)で縮合されたフェニルであり; ZはOであり;
YはCH2又はNHであり;
Bは、下記式:
【化4】

(式中、R5はH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、(C1-6)アルキルアミノ、又はジ((C1-6)アルキル)アミノであり;
2はN又はCR7であり;
6及びR7は独立的にH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、(C1-6)アルキルアミノ、又はジ((C1-6)アルキル)アミノであり;或いはX2がCR7の場合、任意に、R6とR7が一緒に結合して飽和若しくは不飽和5-員又は6-員環(任意に、S、O及びNから独立的に選択される1又は2個のヘテロ原子を含有していてもよい)を形成していてもよく;
3はO、S又はNR8(R8はH又は(C1-6)アルキルである)であり;かつ
cはCOOH、又はSO2NH2である)
から選択され;
但し、R5とR6が両方とも一緒にHであることはなく、R5又はR6がHの場合、R1はHでない、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
1が(C1-6)であり;
1がCHであり;
2がHであり;
Aが(C3-7)シクロアルキル、フェニル、又は5-員若しくは6-員単環式ヘテロ環であり、それぞれ任意に、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル及びアリールオキシから独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
或いはAがNHR3又はN(R3)2であり、ここで、
各R3は、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立的に選択され;
4がアリール、又はヘテロアリールであり、両方とも任意に、以下の基:(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、ヘテロアリール、及び(C1-6)アルコキシ(前記(C1-6)アルコキシは、任意にアリール又はヘテロアリールで置換されていてもよい)から独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
或いはR4が、飽和若しくは不飽和4-員〜6-員環(任意に、N、O及びSから独立的に選択される1又は2個のヘテロ原子を含有していてもよい)で縮合されたフェニルであり;
ZがOであり;
YがCH2であり;
Bが下記式:
【化5】

(式中、R5は(C1-6)アルコキシであり;
2はCR7であり;
6は(C1-6)アルキル、ハロ又は(C1-6)ハロアルキルであり、かつR7はHであり;或いは、任意に、R6とR7が一緒に結合して飽和若しくは不飽和5-員又は6-員環(任意に、S、O及びNから独立的に選択される1又は2個のヘテロ原子を含有していてもよい)を形成していてもよい)
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
1がH、メチル、又はエチルであり;
1とX2が両方ともCHであり;
各R2がH及びハロから独立的に選択され;
Aがシクロヘキシル、フェニル、1-ピペリジニル、4-モルフォリニル、N(H)シクロヘキシル、又はN(CH3)シクロヘキシルであり、前記シクロヘキシル、フェニル、1-ピペリジニル及び4-モルフォリニルは、任意に、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、又はアリールオキシで一又は二置換されていてもよく;
4がアリール、又はヘテロアリールであり、両方とも任意に、以下の基:
(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、ヘテロアリール、及び(C1-6)アルコキシ(前記(C1-6)アルコキシは任意にアリール又はヘテロアリールで置換されていてもよい)から独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
或いはR4が、飽和若しくは不飽和4-員〜6-員環(任意に、N、O及びSから独立的に選択される1又は2個のヘテロ原子を含有していてもよい)で縮合されたフェニルであり;
ZがOであり;
YがCH2又はNHであり;
Bが下記式:
【化6】

(式中、
5がメトキシ又はエトキシであり;
6がハロであり;かつ
cがCOOHである)
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
1がH又はメチルであり;
1がCHであり;
2がHであり;
Aが4-モルフォリニル、N(H)シクロヘキシル、N(CH3)シクロヘキシル又は1-ピペリジニルであり、前記4-モルフォリニル及び1-ピペリジニルは、任意にMe若しくはフェノキシで置換され、又は任意にジェムナルに二フッ素化されていてもよく;
4がチエニル、フラニル又はナフチルであり、任意に、メトキシ又は(C1-6)アルキルで置換されていてもよく、或いはR4が1〜4個のメトキシ、ハロ、又はフェニルで任意に置換されていてもよいフェニルであり、或いは
4が、飽和若しくは不飽和4-員〜6-員環(任意に、N、O及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子を含有していてもよい)で縮合されたフェニルであり;
ZがOであり;
YがCH2であり;
Bが、下記式:
【化7】

(式中、
5がメトキシであり;
2がCHであり;
6がブロモであり;かつ
cがCOOHである)
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
下記式の、請求項1に記載の化合物、又はそのエナンチオマー若しくはそのジアステレオマー。
【化8】

(式中、R1、R2、A、R4、Y、R5及びR6は、下表中のとおりに定義され;
2に関し、数はフェニル環上の置換の位置を示す。)
【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【請求項16】
下記式の、請求項1に記載の化合物、又はそのエナンチオマー若しくはそのジアステレオマー。
【化14】

【化15】

【請求項17】
下記式の、請求項1に記載の化合物、又はそのエナンチオマー若しくはそのジアステレオマー。
【化16】

【請求項18】
下記式の、請求項1に記載の化合物、又はそのエナンチオマー若しくはそのジアステレオマー。
【化17】

【請求項19】
治療的に有効量の請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物を少なくとも1種の医薬的に許容しうる担体と共に含む医薬組成物。
【請求項20】
パピローマウイルス感染の治療又は予防用である請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記パピローマウイルスがヒトパピローマウイルスである、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記ヒトパピローマウイルスが低リスク6型及び11型である、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記ヒトパピローマウイルスが11型である、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
哺乳類のパピローマウイルス感染を治療又は予防する方法であって、前記哺乳類に、抗-パピローマウイルスのウイルス的に有効量の請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物、又は請求項19に記載の組成物を投与することを含む方法。
【請求項25】
前記パピローマウイルスがヒトパピローマウイルスである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ヒトパピローマウイルスが低リスク6型及び11型である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ヒトパピローマウイルスが11型である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
パピローマウイルスの複製を阻害するための、請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項29】
パピローマウイルスの複製を阻害する方法であって、抗-パピローマウイルスのウイルス的に有効量の請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物に前記ウイルスをさらすことを含む方法。
【請求項30】
哺乳類のパピローマウイルス感染の治療又は予防用薬物を製造するための請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項31】
前記パピローマウイルスがヒトパピローマウイルスである、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
前記ヒトパピローマウイルスが低リスク6型及び11型である、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記ヒトパピローマウイルスが11型である、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
パピローマウイルスを阻害するために有効な組成物を収容した包装材料を含み、かつ前記包装材料が、前記組成物を用いてパピローマウイルスによる感染を治療又は予防できることを表示するラベルを含む製品であって、前記組成物が請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物を含む、前記製品。
【請求項35】
抗-パピローマウイルスのウイルス的に有効量の、下記式(II)の化合物又はそのエナンチオマー若しくはそのジアステレオイソマー、或いはそれらの医薬的に許容しうる塩又はエステルを含んでなる医薬組成物。
【化18】

(式中、R11はH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、(C3-7)シクロアルキル、フェニル、又は5-員若しくは6-員ヘテロ環であり;
4、X5及びX6は、CR12及びNから独立的に選択され、ここで、
各R12は、以下の基:H、(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C1-6)アルキルチオ、(C1-6)ハロアルキル、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ及びジ((C1-6)アルキル)アミノから独立的に選択され;
13は(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、又はヘテロ環であり、前記(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール及びヘテロ環は、任意にR15で置換されていてもよく、ここで、
15はH、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、若しくはジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、O-アリール、S-アリール、NH-アリール、(C1-6)アルキル-アリール、ヘテロアリール、O-ヘテロアリール、S-ヘテロアリール、NH-ヘテロアリール又は(C1-6)アルキル-ヘテロアリールであり;
或いはR13はOR16、SR16、NHR16又はN(R16)2であり、ここで、
16は、各場合、以下の基:H、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立的に選択され;かつ
14はH、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロ環、(C1-6)アルキル-アリール又は(C1-6)アルキル-ヘテロ環であり、ここで、前記(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロ環、(C1-6)アルキル-アリール又は(C1-6)アルキル-ヘテロ環は、任意に、以下の基:
(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、ヘテロアリール、(C1-6)アルキル-アリール、(C1-6)アルキル-ヘテロアリール、及び(C1-6)アルコキシ(前記(C1-6)アルコキシは任意にアリール又はヘテロアリールで置換されていてもよい)から独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
或いはR14は、飽和若しくは不飽和4-員〜6-員環(任意に、N、O及びSから独立的に選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよい)で縮合されたフェニルであり;
或いはR14はCH2COOR17又はCH2CONHR17であり、ここで、
17は(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール又はヘテロ環であり、前記(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール及びヘテロ環は任意にさらにアリール又はヘテロアリール(両方とも任意に1〜4個のR11で置換されていてもよい)で置換されていてもよく;
WはNH又はCH2であり;
ZはO又はSであり;
YはCH2、NH又はOであり;
Tはアリール、又はヘテロアリールであり、前記アリール及びヘテロアリールは任意に、以下の基:1〜3個のR11、ヒドロキシル又はスルフヒドリルで置換されていてもよく;かつ
18はCOOH、COOR19、CONHR19、SO2NHR19、又はテトラゾリルであり;ここで、R19はH、(C1-6)アルキル、(C3-6)シクロアルキル又はフェニルである。)
【請求項36】
前記パピローマウイルスがヒトパピローマウイルスである、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記ヒトパピローマウイルスが低リスク6型及び11型である、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記ヒトパピローマウイルスが11型である、請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
哺乳類のパピローマウイルス感染の治療又は予防用薬物を製造するための、式(II)の化合物又はそのエナンチオマー若しくはそのジアステレオイソマー(それらの医薬的に許容しうる塩又はエステルを含む)の使用であって、前記式(II)の化合物が請求項35で定義したとおりである、前記使用。
【請求項40】
前記パピローマウイルスがヒトパピローマウイルスである、請求項39に記載の使用。
【請求項41】
前記ヒトパピローマウイルスが低リスク6型及び11型である、請求項40に記載の使用。
【請求項42】
前記ヒトパピローマウイルスが11型である、請求項41に記載の使用。
【請求項43】
哺乳類のパピローマウイルス感染を治療又は予防する方法であって、前記哺乳類に、抗-パピローマウイルスのウイルス的に有効量の、式(II)の化合物又はそのエナンチオマー若しくはそのジアステレオイソマー(それらの医薬的に許容しうる塩又はエステルを含む)、或いは請求項35に記載の組成物を投与することを含む方法であって、前記式(II)の化合物が請求項35で定義したとりである、前記方法。
【請求項44】
前記パピローマウイルスがヒトパピローマウイルスである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記ヒトパピローマウイルスが低リスク6型及び11型である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記ヒトパピローマウイルスが11型である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
パピローマウイルスを阻害するために有効な組成物を収容した包装材料を含み、かつ前記包装材料が、前記組成物を用いてパピローマウイルスによる感染を治療又は予防できることを表示するラベルを含む製品であって、前記組成物が式(II)の化合物又はそのエナンチオマー若しくはそのジアステレオイソマー(それらの医薬的に許容しうる塩又はエステルを含む)を含み、前記式(II)の化合物が請求項35で定義したとりである、前記製品。
【請求項48】
少なくとも1種の検出可能標識、アフィニティータグ又は光反応性基が連結されている、請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)の化合物又はそのエナンチオマー若しくはそのジアステレオイソマー、或いはそれらの医薬的に許容しうる塩又はエステル。
【化1】

(式中、R1はH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、(C3-7)シクロアルキル、フェニル、又は5-員若しくは6-員ヘテロ環であり;
1はCR2又はNであり;
フェニル環上のフリーな位置の一方又は両方がR2で置換されていてもよく、かつ各R2は、以下の基:H、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ及びジ((C1-6)アルキル)アミノから独立的に選択され;
Aは(C3-7)シクロアルキル、アリール又はヘテロ環であり、それぞれ任意に、以下の基:(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、又はジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、O-アリール、S-アリール、NH-アリール、(C1-6)アルキル-アリール、ヘテロアリール、O-ヘテロアリール、S-ヘテロアリール、NH-ヘテロアリール及び(C1-6)アルキル-ヘテロアリールから独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
或いはAはNHR3又はN(R3)2であり、ここで、
各R3は、H、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立的に選択され;
4は(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロ環、(C1-6)アルキル-アリール又は(C1-6)アルキル-ヘテロ環であり、それぞれ任意に、以下の基:(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、ヘテロアリール、(C1-6)アルキル-アリール、(C1-6)アルキル-ヘテロアリール、及び(C1-6)アルコキシ(前記(C1-6)アルコキシは任意にアリール又はヘテロアリールで置換されていてもよい)から独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
或いはR4は飽和若しくは不飽和4-員〜6-員環(任意に、N、O、及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子を含有していてもよい)で縮合されたフェニルであり;
ZはO又はSであり;
YはCH2、NH又はOであり;
Bは、下記式:
【化2】

(式中、R5はH、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、ヒドロキシル又はスルフヒドリルであり;
2はCR7又はNであり;
6及びR7は独立的にH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、ヒドロキシル又はスルフヒドリルであり;或いはX2がCR7の場合、任意に、R6とR7が一緒に結合して飽和若しくは不飽和5-員又は6-員環(任意に、S、O及びNから独立的に選択される1又は2個のヘテロ原子を含有していてもよい)を形成していてもよく;
3はO、S又はNR8(R8はH又は(C1-6)アルキルである)であり;かつ
cはCOOH、CONHR9、SO2NHR9、CONHSO29、CONHSO2NHR9、トリアゾリル又はテトラゾリルであり、ここで、
9はH、(C1-6)アルキル、(C3-6)シクロアルキル又はフェニルである)
から選択され;
但し、R5とR6が両方とも一緒にHであることはなく、R5又はR6がHの場合、R1はHでなく、かつYがNHの場合、R6はヒドロキシル又はスルフヒドリルでありえない。)
【請求項2】
1がメチル又はエチルである、請求項に記載の化合物。
【請求項3】
Aが、シクロヘキシル、フェニル、1-ピペリジニル、4-モルフォリニル、N(H)シクロヘキシル又はN(CH3)シクロヘキシルであり、前記シクロヘキシル、フェニル、1-ピペリジニル及び4-モルフォリニルは、任意に、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル又はフェノキシで一又は二置換されていてもよい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項4】
4が、チエニル、フラニル又はナフチルであり、任意に、メトキシ及び(C1-6)アルキルから独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい、請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
4が、任意にメトキシ、ハロ、及びフェニルから独立的に選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、又はR4が、飽和若しくは不飽和4-員〜6-員環(任意に、N、O、及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子を含有していてもよい)で縮合されたフェニルである、請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
5がメトキシ又はエトキシである、請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
6がアルキル又はハロである、請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
2がCR7であり、R7とR6が一緒に結合して不飽和6-員環(任意に、S、O及びNから独立的に選択される1又は2個のヘテロ原子を含有していてもよい)を形成している、請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
治療的に有効量の請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物を少なくとも1種の医薬的に許容しうる担体と共に含む医薬組成物。
【請求項10】
パピローマウイルス感染の治療又は予防用である請求項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記パピローマウイルスがヒトパピローマウイルスである、請求項10記載の医薬組成物。
【請求項12】
請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物を含有するパピローマウイルス複製阻害剤
【請求項13】
抗-パピローマウイルスのウイルス的に有効量の請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物を含有するパピローマウイルス複製阻害剤
【請求項14】
哺乳類のパピローマウイルス感染の治療又は予防用薬物を製造するための請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項15】
前記パピローマウイルスがヒトパピローマウイルスである、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
パピローマウイルスを阻害するために有効な組成物を収容した包装材料を含み、かつ前記包装材料が、前記組成物を用いてパピローマウイルスによる感染を治療又は予防できることを表示するラベルを含む製品であって、前記組成物が請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物を含む、前記製品。
【請求項17】
抗-パピローマウイルスのウイルス的に有効量の、下記式(II)の化合物又はそのエナンチオマー若しくはそのジアステレオイソマー、或いはそれらの医薬的に許容しうる塩又はエステルを含んでなる医薬組成物。
【化3】

(式中、R11はH、(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、(C3-7)シクロアルキル、フェニル、又は5-員若しくは6-員ヘテロ環であり;
4、X5及びX6は、CR12及びNから独立的に選択され、ここで、
各R12は、以下の基:H、(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C1-6)アルキルチオ、(C1-6)ハロアルキル、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ及びジ((C1-6)アルキル)アミノから独立的に選択され;
13は(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、又はヘテロ環であり、前記(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール及びヘテロ環は、任意にR15で置換されていてもよく、ここで、
15はH、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C1-6)アルキルアミノ、若しくはジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、O-アリール、S-アリール、NH-アリール、(C1-6)アルキル-アリール、ヘテロアリール、O-ヘテロアリール、S-ヘテロアリール、NH-ヘテロアリール又は(C1-6)アルキル-ヘテロアリールであり;
或いはR13はOR16、SR16、NHR16又はN(R16)2であり、ここで、
16は、各場合、以下の基:H、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立的に選択され;かつ
14はH、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロ環、(C1-6)アルキル-アリール又は(C1-6)アルキルヘテロ環であり、ここで、前記(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、ヘテロ環、(C1-6)アルキル-アリール又は(C1-6)アルキル-ヘテロ環は、任意に、以下の基:
(C1-6)アルキル、ハロ、(C1-6)ハロアルキル、(C1-6)アルキルチオ、アミノ、(C16)アルキルアミノ、ジ((C1-6)アルキル)アミノ、アリール、ヘテロアリール、(C1-6)アルキル-アリール、(C1-6)アルキル-ヘテロアリール、及び(C1-6)アルコキシ(前記(C1-6)アルコキシは任意にアリール又はヘテロアリールで置換されていてもよい)から独立的に選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
或いはR14は、飽和若しくは不飽和4-員〜6-員環(任意に、N、O及びSから独立的に選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよい)で縮合されたフェニルであり;
或いはR14はCH2COOR17又はCH2CONHR17であり、ここで、
17は(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール又はヘテロ環であり、前記(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、アリール及びヘテロ環は任意にさらにアリール又はヘテロアリール(両方とも任意に1〜4個のR11で置換されていてもよい)で置換されていてもよく;
WはNH又はCH2であり;
ZはO又はSであり;
YはCH2、NH又はOであり;
Tはアリール、又はヘテロアリールであり、前記アリール及びヘテロアリールは任意に、以下の基:1〜3個のR11、ヒドロキシル又はスルフヒドリルで置換されていてもよく;かつ
18はCOOH、COOR19、CONHR19、SO2NHR19、又はテトラゾリルであり;ここで、R19はH、(C1-6)アルキル、(C3-6)シクロアルキル又はフェニルである。)
【請求項18】
前記パピローマウイルスがヒトパピローマウイルスである、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
哺乳類のパピローマウイルス感染の治療又は予防用薬物を製造するための、式(II)の化合物又はそのエナンチオマー若しくはそのジアステレオイソマー(それらの医薬的に許容しうる塩又はエステルを含む)の使用であって、前記式(II)の化合物が請求項17で定義したとおりである、前記使用。
【請求項20】
前記パピローマウイルスがヒトパピローマウイルスである、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
パピローマウイルスを阻害するために有効な組成物を収容した包装材料を含み、かつ前記包装材料が、前記組成物を用いてパピローマウイルスによる感染を治療又は予防できることを表示するラベルを含む製品であって、前記組成物が式(II)の化合物又はそのエナンチオマー若しくはそのジアステレオイソマー(それらの医薬的に許容しうる塩又はエステルを含む)を含み、前記式(II)の化合物が請求項17で定義したとりである、前記製品。
【請求項22】
少なくとも1種の検出可能標識、アフィニティータグ又は光反応性基が連結されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物。

【公表番号】特表2006−527206(P2006−527206A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515579(P2006−515579)
【出願日】平成16年6月7日(2004.6.7)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000839
【国際公開番号】WO2004/108673
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】