説明

パーキング無線通信システム

【課題】 本発明は、無線通信装置の無線通信可能エリアを拡大し併せて無線通信の安定性を向上することを目的とする。
【解決手段】本発明によるパーキング無線通信システムは、既存の通信装置等に自走するための移動手段を備えさせ、定められたエリア内を例えばダイクストラ法を利用したルート検索により適切に移動ルートを制御することにより、固定された通信装置よりも少ない台数の無線通信装置により広範囲かつ安定性のある通信を実現している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動可能な無線通信装置によって監視等を行うパーキング無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーキングエリア内で、料金の収受をする場合や駐車状況を管理するために、すべての駐車マスに料金収受のための装置を配置していた。そのため、それらの機器全てを設置するイニシャルコストの高額化や維持管理に困難性が伴ってしまっていた。そこで、無線通信を用いて駐車情報を集中管理することにより、機器のイニシャルコストを削減し、維持管理を容易にすることを図ったパーキング集中監視システムが発明されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−202544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載される技術では、パーキングを集中監視するといっても、各駐車マスに無線通信装置を最低限備える必要がある。また、無線通信装置による通信可能範囲には限界があるため、駐車場の面積が広くなればなるほど安定した通信ができない虞があった。また、無線通信を阻害する物体が存在するパーキング等では、集中管理装置と車両との安定した通信ができない場合もでてくる。
【0005】
本発明は、無線通信装置の無線通信可能エリアを拡大し併せて無線通信の安定性を向上させたパーキング無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明によるパーキング無線通信システムは、車両情報を通信する通信手段を有する車載器と、前記車載器と通信可能な位置へ移動する移動手段を有する可動通信装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、1台の無線通信装置あたりに対して従来よりも広い通信エリアを確保することができる。また、被対象物に対して無線通信を行う際に通信精度の安定性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るパーキング無線通信システムを示す図面。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る可動通信装置の構成要素を示すブロック図。
【図3】本発明の移動経路を設定するためのコスト概念を示す図面。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るパーキング無線通信システムを示す図面。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る可動通信装置の構成要素を示すブロック図。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るパーキング無線通信システムを示す図面。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る可動通信装置の構成要素を示すブロック図。
【図8】本発明の第5の実施形態に係るパーキング無線通信システムを示す図面。
【図9】本発明の第6の実施形態に係るパーキング無線通信システムを示す図面。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施態様について図面を参照しながら説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るパーキング無線通信システムを示す図面である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る無線通信装置の構成要素を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、このパーキング無線通信装置システムは、駐車エリア10と、車両20と、車両に搭載される車載器21と、可動通信装置30と、移動経路40とから構成される。
【0012】
駐車エリア10は、複数の駐車マス11―1,………11―nによって区分けされている。各駐車マス11―1,………,11―nは、1台の車両20を駐車させるマスのことをいう。
【0013】
車両20は、車載器21を搭載している。車両20は1台から複数台、駐車エリア10内の駐車マス11―1,………、11―nに存在する。車載器21は、少なくとも、通信部31から情報を受信することができる。車載器21は、可動通信装置30と通信を行う。可動通信装置30は、移動経路40上を自走移動することができる。
【0014】
図2は、可動通信装置30の構成を示す図である。可動通信装置30は、通信部31と、制御部32と、データベース33、移動装置41から構成されている。
【0015】
通信部31は、例えばアンテナ等の通信機器をいい、可動通信装置30の外部から送信されてくる交通渋滞情報や、その他の広告等の情報を受信して車載器21へ提供する。通信部31と車載器21との間の通信手段としては、例えばDSRC(Dedicated Short Range Communication)方式の無線通信が用いられる。なお、通信部31と車載器21との通信手段として、必要に応じて指向性を持つ種々の通信方式も利用することができる。また、可動通信装置30は、図示しない駆動装置によって、上下左右に旋回することができ、通信部31の主ビーム方向が車載器21へ向けて指向性良く通信できるように制御される。
【0016】
通信可能エリア31―aは、通信部31(アンテナ等)による通信可能な範囲をさし、各種アンテナの指向性を利用することにより一定の通信可能範囲(主ビーム)が生成される。
【0017】
制御部32は、移動装置41の移動する経路を制御する。この移動する経路を決定する際には、例えばダイクストラ法をはじめとするアルゴリズムを用いることができる。ダイクストラ法とは、図3に示すように例えば目的地Xまでの経路が2経路以上存在する場合に、それぞれの経路および経路の節点にコストを設定し、目的地までの合計コストが最も少ない経路を導き出すアルゴリズムである。巡回する必要性が低いと判断した場合に、当該経路または節点にはコストを高く、必要性が高いと判断した場合はコストを低く設定する。このようなコストを設定することにより移動装置41の移動する経路を制御することができる。コストの設定については、移動経路40内全域を移動し、その結果により、逐次変更することができるものとする。例えば、駐車車両の入れ替わりが多い区画については、コストを低くし通信回数を上げ、逆に駐車車両の入れ替わりが少ない区画についてはコストを高く設定することが考えられる。逐次変更するタイミングについては、例えば一定時間ごとに逐次探索するように設定する。
【0018】
データベース33は、制御部32から送られてくるデータを記憶・蓄積するもので、制御部32からの読み出し/書き込み指令に対応する。例えば、データベース33には、制御部32によって移動制御するための移動経路40上の移動データが予め記憶される。データが記憶される媒体としては、一般に使用されるディスク装置、光ディスク装置、半導体メモリ等の各種記憶媒体が利用できる。
【0019】
移動経路40は、可動通信装置30が自走する移動経路をいう。例えば、指定された区間は、駐車エリア10に専用のレールを敷設することによって指定することができる。また、モノレールのようなレールを空中に設置するものでもよい。また、自動車のようにタイヤを利用して可動通信装置30を移動させても良い。
【0020】
移動装置41は、駆動部(図示せず)を備えており、可動通信装置30を載置した状態で、上記制御部32によって指示された経路に従って、移動経路40上を移動する装置である。これにより、移動装置41は可動通信装置30と一体となって駐車エリア10内を移動する。
【0021】
ここから、第1の実施形態の動作について図1、図2、図3を用いて説明する。
【0022】
可動通信装置30は通信が必要とされる時間帯、例えばパーキング営業時間内は恒常的に作動しており、また、移動装置41により駐車エリア10内を移動している。この駐車エリア10内での移動は、データベース33に記憶される移動データに従って制御部32によって制御される。また、可動通信装置30は、上下左右に通信可能域31−aを動かしながら移動することにより、駐車エリア10の全ての駐車マス11―1,………,11―nを通信可能エリアとする。
【0023】
まず、車両20が入口から駐車エリア10内に進入し、任意の駐車マス11―kに駐車しようとする。この駐車した車両20が、移動中の可動通信装置30の通信可能域31―aに入れば、可動通信部30は、通信部31を介して買い物情報、レストラン情報、映画の上映情報や渋滞情報等の情報が車両20に向けて送信され、その情報を車載器21が受信する。車載器21には、図示しない表示器が搭載されており、そこに受信情報が映し出される。送信される情報は、その他広告等の情報であってもよい。
【0024】
以上のように可動通信装置30を駐車エリア10内に移動させることにより、固定された1台の通信装置に設置されるアンテナでは通信できない範囲であっても、可動通信装置30を順次移動させていくことにより通信可能域を広げることができる。これは、通信対象と通信装置との間に障害物が存在する場合や、通信対象との通信不良が生じた場合にも応用できる。通信装置の場所を移動させることにより、より通信が安定して行える位置に移動させて解決するという手段を提供することになるからである。すなわち、全ての範囲をカバーできるように設置されている複数台の通信装置と同様の機能、さらにはそれ以上の安定性を発揮することができる。
【0025】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態に係るパーキング無線通信システムを示す図面である。図5は、本発明の第2の実施形態に係る無線通信装置の構成要素を示すブロック図である。
【0026】
上述した第1の実施形態との違いは、可動通信装置30を移動させ、駐車エリア10内の駐車状況を把握しながら移動経路や駐車状況を管理制御する点である。この駐車状況を把握するために、複数の駐車マス11−1,………11−nからなる駐車区画12−1,………12−nを設定する。また、駐車状況を把握するために、可動通信装置30とは別に管理部50と駐車状況表示部51とを備える。さらに、駐車エリア10内には、駐車情報表示部52を各駐車区画12−1,………,12−nに設置する。その他、駐車状況を管理するために各構成要件に必要な機能を付加する。車両20、通信部31、データベース33、の機能は第1の実施形態と同様である。
【0027】
車両20に搭載される車載器21は、自己の車両情報等を可動通信装置30へ無線通信することができる。少なくとも、自車が駐車エリア10内に存在することを示す駐車信号を通信部31へ送出することができる。
【0028】
通信可能エリア31―aは、駐車区画12―1,………12―nの形状内を覆う通信可能範囲(主ビーム方向を含む)である。
【0029】
制御部32は、通信部31を介して車載器21から車両情報を取得する。その後、制御部32は、取得した車両情報をデータベース33に記憶する。制御部32はさらに車両情報を、管理部50に送出する。制御部32と管理部50との間の通信手段としては、有線、無線いずれのものでもよく、種々の通信方式が利用できる。また、制御部32による可動通信装置30の移動する経路を決定する手段については第1の実施形態と同様である。
【0030】
管理部50は、制御部32から車両20の車両情報を受け取ると、当該車両情報の受信数および可動通信装置30の位置情報とを照らし合わせ、駐車エリア10内の駐車状況を把握する。なお、駐車状況の把握は、制御部32が行ってもよい。管理部50は、上記把握した駐車状況を管理部内の駐車状況表示部51および駐車エリア10内の駐車情報表示部52に表示する。
【0031】
駐車状況表示部51は、管理部50内に設置される。駐車状況表示部51は、視覚的に駐車状況が把握できるように駐車状況を表示するものとする。この駐車状況を利用者が確認することにより、制御部32に指令を出し、車の移動する経路を制御してもよい。
【0032】
また、駐車状況表示部52は、駐車エリア10内の駐車区画12―1,………12―nごとに配置され、各駐車区画12―1,………12―n内の駐車状況を車両20の運転者に知らせる。例えば、駐車区画12−k内の全ての駐車マスが埋まっている場合は、一般道路に設置されている信号機のように赤信号を点灯させ、車両20の運転者に駐車区画12−k以外の他の駐車区画へ誘導する。一方、駐車マスが1つでも余っていれば青信号が点灯する。また、駐車マスの空き情報を文字や数字等により表示して、同様に車両20の運転者の駐車マス探索を補助しても良い。
【0033】
次に、図4、図5を用いて第2の実施形態の動作について説明する。
【0034】
可動通信装置30は、通信が必要とされる時間帯、例えばパーキング営業時間内は恒常的に作動しており、また、移動装置41により駐車エリア10内を移動している。この駐車エリア10内での移動は、データベース33に記憶される移動データに従って、制御部32によって制御される。また、可動通信装置30は、通信可能エリア31−aを各駐車区画12―1,………12―nのうち1つの駐車区画ずつ順次移動していく。例えば、駐車区画12―k内を通信可能エリアとするならば、その駐車区画12−k内のみを通信可能エリアとし、他の駐車区画は通信可能エリアから除外するよう移動する。
【0035】
ここで、車両20が駐車区画12―kの駐車マス11―mに駐車しようとする場合を考える。
【0036】
まず最初に、車両20が入口から駐車エリア10に進入し、駐車区画12−kに属する空駐車マス11−mに駐車しようとする。すると、可動通信装置30内の通信エリア31―a内に車両20が入った場合、可動通信装置30は車載器21から当該車両20の車両情報等を取得する。即ち、可動通信装置30内では、通信部31を介して制御部32が車載器21からの車両情報を受け取る。制御部32または管理部50は、可動通信装置30が通信対象としている駐車区画11−kに何台の車両が駐車されているかの駐車状況を認識することができる。この駐車状況を当該駐車状況表示部51および駐車情報表示部52に表示する。なお、駐車状況表示部51のみに当該駐車状況を表示させ、駐車情報表示部52については別途管理してもよい。
【0037】
次に、一つの駐車区画12―k内のすべての駐車マスに車両20a,20b,………が駐車されたとする。この際、制御部32または管理部50は、駐車区画12―kに存在する駐車マスの数と同数の車両情報を取得する。制御部32は、この駐車信号により当該駐車区画12―kが満車であると認識することができ、駐車状況表示部51およびまたは駐車情報表示部52に満車である旨を表示する。
【0038】
制御部32は、これらの駐車状況に基づき、移動する経路を探索しなおす。
【0039】
以上のように、可動通信装置30を駐車エリア10内で移動させながら通信することにより、固定された1台の通信装置に設置されるアンテナでは通信できない範囲であっても、可動通信装置30を順次移動させていくことにより結果的に通信可能域を広げ駐車状況を把握することができる。これは、障害物が存在する場合や、通信不良が生じた場合にも応用できる。可動通信装置30の場所を移動させることにより、より通信が安定して行える位置に移動させて解決するという手段を提供することになるからである。例えば、車両20の車高が高く、通信装置からみて裏側の他の車両20と通信できない場合に、他の方向から通信することにより、通信可能とすることができることになる。すなわち、全ての範囲をカバーできるように設置されている複数台の通信装置と同様の機能、さらにはそれ以上の安定性を発揮することができる。
【0040】
(第3の実施形態)
図6は、本発明の第3の実施形態に係るパーキング無線通信システムを示す図である。
【0041】
上述した第2の実施形態との違いは、可動通信装置30が移動することにより、制御部32または管理部50が駐車エリア10内の駐車状況を確認するだけでなく、各駐車されている車両20を個別に認識して移動経路や駐車状況を管理制御する点である。この個別に認識するためには、車両位置情報が必要となる。車両位置情報とは、GPS(Global positioning system)等により生成される自己の位置情報をいう。
【0042】
また、可動通信装置30の通信可能エリア(主ビーム方向)は、駐車区画ごとに生成する必要はない点が第2の実施形態と相違する。このため、通信部31の最も通信が安定した主ビームを利用することができるため、さらなる通信の安定性を図ることができる。その他、各駐車車両の情報を個別に認識するために各構成要件に必要な機能を付加する。
【0043】
ここから、図6を用いて第3の実施形態の動作について説明する。
【0044】
最初に、車両20が入口から駐車エリア10に進入し、いずれかの駐車区画12―kに属する駐車マス12―mに駐車しようとする。この際、車両20の車載器21は、GPS等からの情報を基に自己の位置情報を生成する。可動通信装置30の通信部31は、通信可能エリア内と駐車車両の位置が重なれば、車載器21と通信が行える状態となる。この際、可動通信装置30は車載器21と通信を行い、車両20の車両情報および車両位置情報を取得する。制御部32または管理部50は、駐車エリア10内の駐車位置状況を作成し、駐車状況表示部51およびまたは駐車情報表示部52に表示する。このようにすることにより、駐車区画ごとではなく、駐車エリア内の車両の駐車位置までをも把握することができるようになる。また、第1の実施形態と同様に、通信部31より送られてきた情報を基に制御部32は、駐車状況表示部51に表示される駐車区画の駐車情報を更新する。
【0045】
移動する経路の逐次探索については、第2の実施形態と同様であるので省略する。
【0046】
以上のように、可動通信装置30を移動させながら通信することにより、第2の実施形態と同様の効果を得られ、さらに、各車両を識別でき駐車位置まで把握することができるため、料金収受など応用して利用することができるようになる。
【0047】
(第4の実施形態)
図7は、本発明の第4の実施形態に係るパーキング無線通信システムの構成を示す図面である。
【0048】
上述した第1乃至第3の実施形態との違いは、制御部32に映像撮影部44が接続されている点が異なっている。
【0049】
映像撮影部44は、駐車区画内の車両20を撮影して、その映像情報を制御部32に送信する。制御部32は、当該映像情報を解析することで、車両情報と車両位置情報を取得する。制御部32は、取得した車両情報および車両位置情報を基に第2の実施形態と同様に駐車マスの空き等を駐車状況表示部51に送信し、表示する。この映像撮影部44を利用すれば、第3の実施形態に比べ、制御部32は車載器21を搭載していない、または車載器21が機能を発揮していない車両20に対して、より正確な車両情報および駐車情報を取得することができる。よって、例えば、図7に示す車載器を搭載していない車両20a、車両20cについては、映像撮影部44によって車両情報および車両位置情報を取得する。一方、車載器21bを搭載している車両21bについては、通信部31を用いて通信し、車両位置情報および車両位置情報を取得する。これにより、駐車スペース10に駐車されている全ての車両20についての情報を制御部32が取得できる。
【0050】
また、映像撮影部44により駐車マス11−1,………,11−nに正常に駐車していない場合にも対応しやすくなる。例えば、2つの駐車マス11−1,11−2にまたがって駐車してしまっている場合、2台分の駐車スペースを利用していることを映像撮影部44からの映像により制御部32は認識することができ、電磁波の反射波のみでは対応しにくい状況にも対応できるようになる。
【0051】
このように、映像撮影部44は車載器21を搭載していても、通信を失敗した場合や、車載器が機能していない場合においても、補完することができる。
【0052】
また、第2の実施形態で示した車両20の車高が高いなどの理由により可動通信装置30の通信が阻害されるような場合も、画像を利用することにより視認できるため認識容易となる。
【0053】
なお、既存の超音波発生装置等を用いた反射波の減衰量等により対象物の位置情報を把握する機器を映像撮影部44に替えて使用することもできる。
【0054】
以上のように、通信部31と映像撮影部44を搭載する可動通信装置30を移動させながら使用することにより、第2の実施形態と同様の通信可能域を保ちながら車載器21を搭載しない、または機能しない車両20に対して、通信部31のみでは対応できない場面での対応がより容易になる。また、映像撮影部44の画像情報に基づき、通信可能エリア31−aの方向等の調整に利用できる。
【0055】
さらに、他の利用方法として、映像撮影部44で全ての車両情報を管理し、車両が入れ替わったことを認識した場合のみ通信部31と通信させるよう移動させ制御部32で制御させる等の使用もすることができる。
【0056】
(第5の実施形態)
図8は、本発明の第5の実施形態に係るパーキング無線通信システムの構成要素を示すブロック図である。
【0057】
上述した第2の実施形態との違いは、通信部31として料金収受装置60を使用する点である。
【0058】
通常、料金収受装置60は通常は出口に設置されており移動はしない。しかし、出口付近で車両20が料金収受待ちの渋滞を形成してしまうことがある。このとき図8に示すように料金収受装置を移動させることにより、料金収受待ちの車両20の列に対して料金の収受を行うことができるようになる。この料金収受の際に上記第1および第3の実施形態によって取得された車両情報および車両位置情報により料金計算に利用することもできる。
【0059】
このようにすることで、料金収受装置60との通信による渋滞要因を軽減させることができ、例えば、駐車料金が時間により設定されている場合など、パーキング使用者へ迅速な対応をとることができることとなる。本実施形態においても、第4の実施形態において利用した映像撮影部44により、車両の特定することもできる。
【0060】
(第6の実施形態)
図9は、本発明の第6の実施形態に係るパーキング無線通信システムを示す図面である。
【0061】
上述した第1乃至第5の実施形態との違いは、車載器21同士が通信をすることが可能であることである。
【0062】
第1乃至第5の実施形態により、本実施形態を適用することによって、通信エリアの拡大及び安定性の向上を図ることも考えられる。例えば、通信する対象である車両20の駐車エリア10内の駐車量がおおく、また入出庫する車両20の数も多くなると、可動通信装置30を頻繁に稼働させなくてはならない。このような場合には車両20の車載器21の双方向通信機能を利用することが考えられる。これら双方向通信機能を持もって、それぞれの車載器21を通信媒体として働かすことにより、可動通信装置30の移動範囲を減らしつつも通信可能エリアを飛躍的に向上させることができる。
【0063】
このいわゆるメッシュネットワークを利用するに際し、車両の駐車位置が偏ってしまう場合がある。ここで、ダイクストラ法を用いて駐車密度の濃い経路および節点のコストを高くし、駐車密度の薄い部分のコストを低くし、可動通信装置30を巡回させることにより、効率的に情報収集することが可能となる。
【0064】
その他、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【符号の説明】
【0065】
10 … 駐車エリア
11―1,………,11―n… 駐車マス
12―1,………、12―n… 駐車区画
20 … 車両
21 … 車載器
30 … 駐車情報表示部
40 … 可動通信装置
41 … 通信部
41a … 通信可能エリア
42 … 制御部
42 … データベース
50 … 移動経路
51 … 移動装置
60 … 料金収受装置
70 … コスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、車両情報を通信する通信手段を有する車載器と、
前記車載器と通信可能な位置へ移動するための移動手段を有し、通信可能な前記車載器から前記車両情報を取得する可動通信装置と、
を備えることを特徴とするパーキング無線通信システム。
【請求項2】
第1の通信手段を有し、前記第1の通信手段から駐車時に駐車信号を発信する車両搭載の車載器と、
前記車載器の前記第1の通信手段と通信する第2の通信手段と、前記車両が駐車する駐車区画に向けて前記第2の通信手段から通信用ビームを送波できるように移動する移動手段と、を備えた可動通信装置と、
前記移動手段による移動する経路および停止位置を制御する管理制御手段と、
を備えることを特徴とするパーキング無線通信システム。
【請求項3】
第1の通信手段を有し、前記第1の通信手段から駐車時に車両位置情報を通信する車両搭載の車載器と、
前記車載器の前記第1の通信手段と通信する第2の通信手段と、前記車両を駐車することができる駐車エリア全体を通信可能エリアとするために移動する移動手段と、を備えた可動通信装置と、
前記移動手段による移動経路を駐車された前記車両の駐車状況に応じて制御する移動制御手段と、
を備えることを特徴とするパーキング無線通信システム。
【請求項4】
前記制御手段は、逐次経路探索することにより、経路を決定することを特徴とする請求項2または請求項3に記載するパーキング無線通信システム。
【請求項5】
前記可動通信装置とは、料金収受手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載するパーキング無線通信システム。
【請求項6】
前記車載器は、双方向通信機能をもち、それぞれが通信することにより通信可能エリアを拡大すること特徴とする請求項1または請求項2に記載するパーキング無線通信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−66576(P2011−66576A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213997(P2009−213997)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】