ヒドラジドタイプの化合物及び心臓血管系疾患の治療のための製薬組成物中における該化合物の使用
本発明は一般式(I)の化合物に関し、ここでR1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子、1乃至6個の炭素原子を有する分枝状若しくは直鎖状アルキル、又は1乃至6個の炭素原子と3乃至7個のフッ素原子を有するフルオロアルキル基から選択され、Aは一つ又は複数の環を備えた芳香族基であり、かつ選択的に一つ以上のヘテロ原子を含んでおり、かつBは選択的に置換されたフェニル基もしくは選択的に置換されたピリジンである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なヒドラジドタイプの化合物及び、特に心臓血管系疾患の治療又は予防のための製薬組成物中における活性成分としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
非常に活発な薬理学的研究や外科の分野における大きな進歩にもかかわらず、心臓血管系疾患、冠状動脈の損傷及び脳虚血は、先進諸国における死因及び疾病の主たるものである。高コレステロール血症、脂肪塊の増加により定義される肥満、高トリグリセリド血症及び複雑なリポタンパク質プロファイルにより特徴付けられるアテローム性異常脂質血症に関連した2型糖尿病及びメタボリック症候群はこれらの心臓血管系疾患の危険因子を構成するものとして認識されている。
【0003】
これらの病変は一般的にはリポタンパク質代謝の異常による。例えば、2型糖尿病及びメタボリック症候群のアテローム性異常脂質血症は、高レベルのトリグリセリド(150mg/dl以上)、低レベルの高密度リポタンパク質コレステロール(40mg/dl未満のHDLc)及び変動するレベルの低密度リポタンパク質コレステロール(LDLc)(100mg/dl未満又は以上)により特徴付けられる。多くの場合肥満と関係の深い高トリグリセリド血症は、リポタンパク質の構造に入りこむトリグリセリドの異常な増加により特徴付けられる(200mg/dlを超える)。
【0004】
これら全ての症候群の最も深刻な合併症はアテローム血栓症である。アテローム血栓症はこれらの代謝系疾患に関連した複雑な疾患であり、複数の連続した段階を含むその病状は静かに、かつ徐々に進行し、低年齢の時期より始まることもある。
【0005】
脂質に富んだ動脈プラークの形成は、通常数十年にわたって進行しているゆっくりとした過程である。リポタンパク質、泡沫マクロファージ及びカルシウムが動脈壁上へ徐々に蓄積される。プラークは、欧米先進国の動物性脂質に富んだ食事をしている人の大部分が影響を受けているが、プラークの進行及び延長速度には個人の間に大きな程度の差が存在し、それは一部には遺伝的な特性に起因している。
【0006】
プラークに多くの泡沫マクロファージが存在することにより攻撃を受けやすくなり、破裂の症状を引き起こす。アテローム動脈硬化性プラークの破裂及び血小板血栓の形成は、それらの急性の過程においては、例えば心筋梗塞、脳梗塞及び突然死のような疾病の複数の合併症の原因となる。従って、疾病の重篤度は、プラークの大きさ、その安定性、及びこのプラークの破裂により血栓が形成される様式に主として依存する。この現象はむしろあまり理解されておらず、多くの場合免疫応答に加えて慢性的な炎症状態を含む。現在のところ、これらの疾病の治療に対しては異なる治療方法の選択肢が可能である。
【0007】
スタチン又はエゼチマイブのような脂質低下薬は認められ得る効能を有している。スタチンは、コレステロールの合成に直接関与する3−ヒドロキシメチルグルタリルCoA還元酵素の阻害剤である。スタチンはコレステロールのレベルを効果的に低減し、トリグリセリドのレベルを更に制限された程度まで低減する。エゼチマイブはコレステロールの小腸吸収を阻害する。従って、これらの分子は高LDLcレベルである多くの患者の一次的及び二次的な予防薬として推奨される。しかしながら、心臓血管系の危険性に対する脂質低下薬の医療的な効果はわずか30乃至35%であるという臨床試験の結果が示されている。それらの使用は時として、治療の中断が必要となるような望ましくない有害な事態を伴うことがある。多くの場合、筋肉に関するもの、肝毒性及び不耐性といった現象が観察される。
【0008】
フィブレート又はフィブリン酸誘導体もまた、アテローム性異常脂質血症の治療に推奨されている。異常脂質血症は、低いコレステロールレベル、高いトリグリセリドレベル及び低いHDLcレベルという複雑な脂質プロファイルを伴う個々の患者に影響を与える。フィブレートの使用により心臓血管系の損傷の危険性が約40%低減される。残念ながら、これらの使用は、不耐性、肝毒性及び筋肉に関連する望ましくない影響が多くの患者に伴うものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
動脈プラークの破裂に起因する血栓症は、一般的にはアセチルサリチル酸、チエノピリジン、又はシアノピリジンのような抗血栓薬にて治療される。
従って、心臓血管系疾患の治療、特に、動脈プラークの成長及び脆弱性を治療することが可能な新たな化合物が必要とされている。
【0010】
本発明は、医薬組成物中の活性剤であって、特に心臓血管系疾患の治療又は予防のために使用される新規なヒドラジドタイプの化合物を主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の化合物は以下の一般式(I)に対応する:
【0012】
【化1】
ここで、R1及びR2は同一であるか又は異なっており、かつ水素原子、1乃至6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の低級アルキルラジカル、又は1乃至6個の炭素原子と3乃至7個のフッ素原子とを有するフルオロアルキルラジカルから選択され;
Aは、場合によっては一つ又は複数のヘテロ原子からなる一つ又は複数の環である芳香族基であり;
Bは、場合によっては、置換されたフェノール基又は置換されたピリジン基である。
【0013】
二重結合N=C並びにB及びR2基におけるヒドラジド機能により、本発明の式(I)の化合物は、(E)型又は(Z)型として周知の幾何学的な構造となり、両者、即ち(E)型及び(Z)型が平衡状態であるか、或いは優先的に単一の(E)型にて存在している:
ここで、トランス体として周知であるように、ACONR1基及びB基がイミン基N=Cのいずれかの側にある(E)型か、又は
シス体として周知であるように、ACONR1基及びB基がイミン基N=Cの同一の側にある(Z)型である。
【0014】
式(I)の好ましい化合物は、Bが以下の式(II)で表されるものである:
【0015】
【化2】
ここで、Y1はフェニル核を形成するための炭素原子であるか、又はピリジン核を形成するための窒素原子であり、かつR3、R4、R5、R6及びR7は同一であるか又は異なっているとともに、水素原子と、ハロゲンの原子であってより詳細にはフッ化物、塩化物及び臭化物であるハロゲンの原子と、−OH、−OR8又は−OCOR9(ここで、R8及びR9は1乃至6個の炭素である直鎖状又は分枝状低級アルキルラジカルを示す)である基と、アミノ基−NH2又は−N(r、r’)(ここで、r及びr’は同一であるか又は異なっており、かつ直鎖状又は分枝状の低級アルキルラジカル、アリールラジカル、或いはヘテロ環であってr及びr’を合わせて好ましくはパラ位にある変更可能な大きさのヘテロ環を形成するヘテロ環、である)とから選択される。
【0016】
好ましい化合物は、R3が式−OR8基であり、かつ置換基R4、R5、R6及びR7の少なくとも二つが水素原子である式(I)の化合物である。これらのうち、Y1が炭素原子である式(I)の化合物が特に好ましい。
【0017】
その他の好ましい化合物は、Bが式(II)である化合物(I)(ここで、Y1は炭素原子である)であり、以下の式(I’)に対応する。
【0018】
【化3】
本発明を具現化した第一の形態は、Aが以下の式(III)からなる基である式(I)の化合物に関する。
【0019】
【化4】
ここで、X1は:
酸素原子、この場合式(III)の基は、このヘテロ環のα又はβ炭素上の−(X4)n−アシル−ヒドラジド鎖の位置の官能基として2−フラニル又は3−フラニル核である;
硫黄原子、この場合式(III)の基は、α又はβ炭素上の−(X4)n−アシル−ヒドラジド鎖の位置の官能基として2−チオフェン又は3−チオフェン核であり、かつこの硫黄原子は、スルホキサイドを形成するために一つの酸素原子を保持することが可能であるか、若しくはスルホンを形成するために二つの酸素原子を保持することが可能である;
窒素原子、この場合式(III)の基は、このヘテロ環のα又はβ炭素上のアシル−ヒドラジド鎖の位置の官能基として2−ピロール又は3−ピロール核であり、かつこの窒素原子は、水素原子、1乃至6個の炭素原子の低級アルキルラジカル、1乃至6個の炭素原子と3乃至7個のフッ素原子とを備えたフルオロアルキルラジカル、アシルラジカル−COR10(ここで、R10は1乃至6個の炭素原子の直鎖状若しくは分枝状アルキル鎖又はアリール若しくはアラルキルラジカルである):
酸素原子、この場合式(III)の基は、N−オキシドである、
から選択され、
X2及びX3は、同一であるか又は異なっており、かつ以下の:
水素原子、1乃至6個の炭素原子の直鎖状若しくは分枝状低級アルキル鎖、1乃至6個の炭素原子と3乃至7個のフッ素原子とを備えたフルオロアルキルラジカル;
ハロゲンの原子であって、優先的にフッ化物、塩化物又は臭化物であるハロゲンの原子;
ニトロ−NO2基、アミノ−NH2基、又は−N(r,r’)基(ここで、r及びr’は同一であるか異なっており、かつ直鎖状又は分枝状低級アルキルラジカル、アリールラジカル或いは変更可能な大きさのヘテロ環である);
から選択され、
或いは更に、X2及びX3は、X1が酸素原子である場合に芳香性ベンゾフランヘテロ環を形成するために仮にこの環が窒素原子を含む場合には芳香性ベンゼン環又はアザベンゼン系の環に含まれ、X1が上述のようにフリーの又は置換された窒素原子である場合にはベンゾピロール核に含まれ、X1が上述のようにフリーの又は置換された硫黄原子である場合にはベンゾチオフェン核に含まれ、或いは更に仮に環内に窒素原子が存在する場合にはピリジノタイプの核に含まれ;
nは0又は1であり;
X4は存在する場合には、−CH2−、−OCH2−、又は−CH=CH−基である。
【0020】
Bが式(II)の基であり、かつAが式(III)の基である式(I)の化合物は、以下の式(IV)に対応し:
【0021】
【化5】
ここで、Y1、X1、X2、X3、R1及びR2は上記したものと同様の意味を有し、かつR3乃至R7は同一であるか異なっており、かつ水素原子と、ハロゲンの原子であって、より詳細には、フッ化物、塩化物及び臭化物であるハロゲンの原子と、式−OH、−OR8又は−OCOR9の基(R8及びR9は1乃至6個の炭素原子の直鎖状若しくは分枝状低級アルキルラジカル)と、アミノ基−NH2又は−N(r、r’)(ここで、r及びr’は同一であるか又は異なっており、かつ直鎖状又は分枝状の低級アルキルラジカル、アリールラジカル、或いはヘテロ環であってr及びr’を合わせて好ましくはパラ位にある変更可能な大きさのヘテロ環を形成するヘテロ環、である)と、から選択され、
nは0又は1であり;
X4は存在する場合には、−CH2−、−OCH2−、又は−CH=CH−基を示す。
【0022】
好ましい化合物は式(IV)の化合物であり、R3は式−OR8基であり、置換基R4、R5、R6及びR7の少なくとも二つは水素原子である。これらのうちで、特に好ましいのは式(IV)の化合物であり、Y1は炭素原子である。
【0023】
式(IV)の化合物のうちで、本発明はより詳細には以下の化合物を参照する:
・N’−[(1E)−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)メチレン]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボヒドラジド(CGP02−01と称される);
・(2Z)−3−(2−フリル)−N’−[(1E)−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)メチレン]アクリロヒドラジド(CGP02−02と称される);
・N’−[(1E)−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)メチレン]−5−メチルチオフェン−2−カルボヒドラジド(CGP02−03と称される);
・2−フランカルボン酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジド(CGP02−07と称される);
・(1H−インドール−3−イル)酢酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジド(CGP02−08と称される);
・ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(3,5−ジブロモ−2−ヒドロキシ−ベンジリデン)−ヒドラジド(CGP02−18と称される)。
【0024】
これらの中で、特に好ましいのは、N’−[(1E)−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)メチレン]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボヒドラジド(CGP02−01と称される)である。
【0025】
本発明を具現化した第二の形態は、式(I)の化合物であり、該式(I)においてAは以下の式(V)からなる基を有する:
【0026】
【化6】
ここで、nは0又は1であり;
X4は、存在する場合は、−CH2−、−OCH2−又は−CH=CH−基であり;
R11及びR12はそれぞれ同一であるか又は異なっており、−X4−を備えた結合に対して又はnが0の場合は−CO−を備えた結合に対して、オルト、メタ若しくはパラ位にあり、かつ1乃至6個の炭素原子の直鎖状若しくは分枝状低級アルキル若しくはアラルキル基と、1乃至6個の炭素原子と3乃至7個にフッ素原子とを有するフルオロアルキルラジカルと、−OHと、−OR13と、から選択され、ここで、R13ラジカルは1乃至6個の炭素原子の直鎖状若しくは分枝状低級アルキル基、又は特にこの場合に更に特定されてフッ素であるハロゲンであり、R11及びR12がフッ素原子の場合、それらはX4又は残りの−CO−を備えた結合のいずれかの側にてオルト位であり;
R12は水素原子であり、かつR11が−SO2NH2のスルホナミド基であり、−X4−を備えた結合又は残りの−CO−を備えた結合に対してパラ位であり;
又は更に、R11が水素原子であり、かつR12が、−X4−を備えた結合又は残りの−CO−を備えた結合に対してオルト位にある−Oフェニル基である。
【0027】
Bが式(II)の基であり、かつAが式(V)の基である式(I)の化合物は、以下の式(VI)に対応する:
【0028】
【化7】
ここで、Y1、X4、R1、R2、R11及びR12は、上記したものと同一のものであり、かつR3、R4、R5、R6及びR7は、同一であるか又は異なっており、かつ水素原子と、ハロゲン原子と、水素の原子と、ハロゲンの原子であってより詳細にはフッ化物、塩化物、臭化物であるハロゲンの原子と、式−OH、−OR8又は−OCOR9の基(R8及びR9は1乃至6の炭素の直鎖状若しくは分枝状低級アルキルラジカル)と、アミノ基−NH2又は−N(r、r’)(ここで、r及びr’は同一であるか又は異なっており、かつ直鎖状又は分枝状の低級アルキルラジカル、アリールラジカル、或いはヘテロ環であってr及びr’を合わせて好ましくはパラ位にある変更可能な大きさのヘテロ環を形成するヘテロ環、である)と、から選択される。
【0029】
好ましい化合物は、式(VI)のものであり、R3は式−OR8基であり、置換基R4、R5、R6及びR7のうちの少なくとも二つは水素原子である。これらのうちで、特に好ましいのは、Y1が炭素原子である式(VI)の化合物である。
【0030】
式(VI)の化合物のうちで、本発明はより詳細には以下の化合物を参照する:
・(4−ジメチルアミノ−N’−[(1E)−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)メチレン]ベンゾヒドラジド(CGP02−04と称される);
・2−フェネチル安息香酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジド(CGP02−05と称される);
・N−[3−2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシ−ベンジリデン−ヒドラジノカルボニル−フェニル)]−プロピオナミド(CGP02−06と称される);
・(3−クロロ−フェノキシ)−酢酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジド(CGP02−09と称される);
・2−フェノキシ−安息香酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジド(CGP02−11と称される);
・2,6−ジフルオロ安息香酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジド(CGP02−13と称される);
・4−トリフルオロメチル安息香酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジド(CGP02−16と称される);
・3,4−ジメトキシ安息香酸(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンジリデン)−ヒドラジド(CGP02−17と称される)。
【0031】
本発明を具現化した第三の形態は、式(I)の化合物であり、該式(I)においてAは以下の式(VII)の基である:
【0032】
【化8】
ここで、R15は、水素原子と、ハロゲンの原子であってより詳細にはフッ化物、塩化物若しくは臭化物であるハロゲンの原子と、−OH基と、−OR16基とから選択され、ここで、R16は1乃至6個の炭素の直鎖状又は分枝状低級アルキルラジカル、或いは、より詳細にはトリフルオロメチルラジカルCF3である1乃至6個の炭素と3乃至7個のフッ素原子とを有するフルオロアルキルラジカルであり、かつR15は、3−オキソ−3,4−ジヒドロベンゾチアジン−イルビシクロ芳香性部分の4つの残りのフリーの部位の一つに配置され、かつ
R14は1乃至6個の炭素の直鎖状又は分枝状低級アルキルラジカルであり、より詳細にはシクロプロピルラジカルである。
【0033】
Bが式(II)の基であり、かつAが式(VII)の基である式(I)の化合物は、以下の式(VIII)に対応する:
【0034】
【化9】
ここで、Y1、R1、R2、R14及びR15は、上記したものと同じであり、R3乃至R7は同一であるか又は異なっており、かつ水素原子と、ハロゲンの原子であってより詳細にはフッ化物、塩化物及び臭化物であるハロゲンの原子と、−OH基と、−OR8基と、−OCOR9基(ここで、R8及びR9は1乃至6個の炭素の直鎖状又は分枝状低級アルキルラジカルである)と、アミノ基−NH2若しくは−N(r,r’)基(ここで、r及びr’は同一であるか又は異なっており、かつ直鎖状又は分枝状の低級アルキルラジカル、アリールラジカル、或いはヘテロ環であってr及びr’を合わせて好ましくはパラ位にある変更可能な大きさのヘテロ環を形成するヘテロ環、である)と、から選択される。
【0035】
好ましい化合物は、式(VIII)の化合物であり、R3は−OR8基であり、かつ置換基R4、R5、R6及びR7のうちの少なくとも二つは水素原子である。これらのうちで、Y1が炭素原子である式(VIII)の化合物が特に好ましい。
【0036】
式(VIII)の化合物のうち、本発明は特に詳細には以下の化合物を参照する:
・2−シクロプロピルキノリン−4−カルボン酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシ−ベンジリデン)−ヒドラジド(CGP02−14と称される)。
【0037】
好ましい化合物は、R14がキノリン基の2位にあり、かつAが以下の式(VII’)の基である式(I)の化合物である:
【0038】
【化10】
ここで、R14及びR15は上記したものと同じである。
【0039】
Bが式(II)の基であり、かつAが式(VII’)の基である式(I)の化合物は、以下の式(VIII’)に対応する:
【0040】
【化11】
ここで、Y1、R1、R2、R14及びR15は、上記したものと同じであり、R3、R4、R5、R6及びR7は同一であるか又は異なっており、かつ水素原子と、ハロゲンの原子であってより詳細にはフッ化物、塩化物及び臭化物であるハロゲンの原子と、−OH基と、−OR8基と、−OCOR9基(ここで、R8及びR9は1乃至6個の炭素の直鎖状又は分枝状低級アルキルラジカル)と、アミノ基−NH2若しくは−N(r,r’)基(ここで、r及びr’は同一であるか又は異なっており、かつ直鎖状又は分枝状の低級アルキルラジカル、アリールラジカル、或いはヘテロ環であってr及びr’を合わせて好ましくはパラ位にある変更可能な大きさのヘテロ環を形成するヘテロ環、である)と、から選択される。
【0041】
好ましい化合物は、式(VIII’)の化合物であり、R3は−OR8基であり、かつ置換基R4、R5、R6及びR7のうちの少なくとも二つは水素原子である。これらのうちで、Y1が炭素原子である式(VIII’)の化合物が特に好ましい。
【0042】
本発明を具現化した第四の形態は、Aが以下の式(IX)の基である式(I)の化合物に関する:
【0043】
【化12】
ここで、 X1及びX4は上記したものと同じであり;
nは0又は1であり;
R17は:
水素原子、1乃至6個の炭素原子の直鎖状または分枝状低級アルキルラジカル、1乃至6個の炭素原子と3乃至7個のフッ素原子を有するフルオロアルキルラジカル;
好ましくはフッ化物、塩化物又は臭化物であるハロゲンの原子;
OR’基(ここで、1乃至6個の炭素原子の直鎖状又は分枝状低級R’、1乃至6個の炭素原子と3乃至7個のフッ素原子を有するフルオロアルキルラジカル)、
から選択される。
【0044】
Bが式(II)の基であり、かつAが式(IX)の基である式(I)の化合物は以下の式(X)に対応する:
【0045】
【化13】
ここで、Y1、R1、R2、R17、X1及びX4は、上記したものと同じであり、R3、R4、R5、R6及びR7は同一であるか又は異なっており、かつ水素原子と、ハロゲンの原子であってより詳細にはフッ化物、塩化物及び臭化物であるハロゲンの原子と、−OH基、−OR8基、−OCOR9基(ここで、R8及びR9は1乃至6個の炭素の直鎖状又は分枝状低級アルキルラジカル)と、アミノ基−NH2若しくは−N(r,r’)基(ここで、r及びr’は同一であるか又は異なっており、かつ直鎖状又は分枝状の低級アルキルラジカル、アリールラジカル、或いはヘテロ環であってr及びr’を合わせて好ましくはパラ位にある変更可能な大きさのヘテロ環を形成するヘテロ環、である)と、から選択される。
【0046】
好ましい化合物は、式(X)の化合物であり、R3は−OR8基であり、かつ置換基R4、R5、R6及びR7のうちの少なくとも二つは水素原子である。これらのうちで、Y1が炭素原子である式(X)の化合物が特に好ましい。
【0047】
本発明は、可能な限り、生理学的に耐え得る製薬上の酸と、上述の化合物と、の塩に関する。
生理学的に許容可能な製薬上の塩の例としては、非限定的ではあるが、酢酸、塩酸、桂皮酸、クエン酸、ギ酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、マロン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、ピクリン酸、マレイン酸、乳酸、ニコチン酸、フェニル酢酸、リン酸、コハク酸及び酒石酸の塩、アンモニウム、ジエチルアミン、ピペラジン、ニコチンアミド、尿素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム、メチルアミノ、ジメチルアミノ、トリメチルアミノ及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの塩を挙げることができる。
【0048】
本発明は、上述の化合物又はその製薬的に許容可能な塩の少なくとも一つを活性成分として含むヒト又は動物のための製薬組成物に関する。
実際に、これらの化合物は、アテローム性動脈硬化及び動脈の再狭窄の治療に有用である。それらは、腹部脂肪の蓄積による体重増加を低減するという特性を有するとともに、総コレステロール及び遊離コレステロールレベルの増大及び動脈壁上のトリグリセリドの堆積を低減するという特性並びにアテロームプラークにおけるマクロファージの蓄積を低減するという特性を有する。これらの化合物は特に、細胞内脂質小胞の蓄積を阻害することによって泡沫マクロファージ細胞の形成を阻害する特性を有する。従って、拡大解釈すれば、これらの分子は、肝細胞、平滑筋細胞、含脂肪細胞及び内皮細胞のような細胞中における脂質小胞の蓄積を阻止することによって、肥満、2型糖尿病、脳虚血及び肝脂肪変性の治療を可能にする。
【0049】
従って、これらの化合物は、脂質代謝に関連した全ての疾病の治療及び可能性としては予防のための方法又は製薬組成物における活性成分として有用である。この点において、特に、これらの機能異常:即ち、アテローム性動脈硬化、肥満、2型糖尿病若しくはインシュリン耐性、心不全及び脳虚血(脳梗塞)に関連した疾患に加えて、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、異常リポタンパク血症、乳糜血症、脂肪異栄養症及び高血糖症が挙げられる。
【0050】
更に、これらの化合物は動脈壁の狭窄を低減する特性を有しているので、再狭窄の治療及び可能性として予防のための方法又は製薬組成物における活性成分として有用である。
本発明に従う製薬組成物は、上述の化合物の少なくとも一つを十分な量において含む。
【0051】
インビボにて得られた結果及び以下の実験の部に示された結果に基づいて、本発明の組成物は、治療の一部として、本発明の一つ若しくは複数の化合物が体重kg当り、0.01乃至500mg/日の複数回投与にて投与され得る。
【0052】
本発明に従う製薬組成物の製剤は、製薬の分野において一般的に使用されているタイプのものである。
一例として、これらは、塩若しくは電解質、スコルビック酸塩、水若しくは緩衝液、コロイド溶液、セルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリレート、ロウ、タンパク質に基づく物質、又は治療作用において有用な活性化合物を溶解するか或いは溶解して精製することが可能なその他任意の物質のような製薬的な担体を含む。
【0053】
本発明の組成物は、注射剤にて、又は経口若しくは非経口投与にて、噴霧剤にして経鼻投与にて、リザーバ若しくはディスペンサを埋め込むことによる直腸若しくは膣内投与にて、又は製薬の分野にて使用されるその他任意の剤型にて投与され得る。
【0054】
これらの組成物の注射剤は、水性又は油性の懸濁剤であり得る。これらの懸濁剤は、例えば1,3−ブタンジオールのような非毒性の溶媒又は希釈剤を使用することにより、当該技術分野において使用されている任意の工程に従って製剤化され得る。許容可能な溶媒のうち、水、緩衝液、リンガー溶液又は等張塩溶液を使用することができる。その他の許容可能な希釈剤は、合成モノ−またはジ−グリセリド、長鎖アルコール、カルボキシメチルセルロースのような分散剤、又は製薬懸濁剤の調製に使用される任意のその他の希釈剤又は乳化剤から形成され得る。
【0055】
経口にて投与される本発明の製薬組成物は、カプセル、錠剤若しくは水性縣濁剤の剤型であるか、又は乳剤の剤型であり得る。これらの製剤は、可能性として、風味を低減又は改善することを意図した化合物を含むこともできる。
【0056】
本発明の製薬組成物は、活性化合物を放出するために、非刺激性かつ非アレルギー性の賦形剤であって、室温で固体でありかつ直腸の温度にて液状となる賦形剤と該製品とを混合することにより坐剤として投与され得る。そのような製剤は例えば、蜜ロウ、ポリエチレングリコール又はカカオ脂を使用可能である。
【0057】
これらの製薬組成物はまた、本発明の一つ又は複数の化合物と一つ又は複数のその他の治療用分子との組み合わせを含み得る。これらの分子は、例えば、「スタチン」のようなコレステロール合成を低減させる脂質低下剤、例えばロザルタンのようなアンジオテンシンII転換酵素阻害剤、抗カルシウム剤、抗血栓剤、βブロッカー、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体のクラス(PPARクラス)の構成要素の阻害剤、フェノフィブレートのようなトリグリセリド合成若しくは代謝阻害剤、トログリタゾン又はピオグリタゾンのようなインシュリン耐性を増大させることが可能な活性剤、及び一般的に、本発明において記載された化合物の薬理学的特性を改善することが可能なその他任意の分子であり得る。
【0058】
本発明はまた、本発明に従う製薬組成物の調製において本発明に従う化合物を使用することに関する。
本発明はまた、式(I)の化合物の調製及び活性成分として上述の化合物の少なくとも一つを含む製薬組成物に関する。
【0059】
式(I)の化合物は、当該技術分野における当業者に周知の方法により調製され得る。この点において、本発明は、上記式により図示され、かつ以下の操作方法の例における合成の一般的な方法を記載しており、該方法において、出発化合物は市販にて入手可能であるか、又は当該技術分野の当業者に周知であり、かつ従来の有機化学の書物(エム.ビー.スミス(M.B.Smith)及びジェイ.マーチ(J.March)による「Advanced Origanic Chemistry」(John Wiley & Sons刊行)、エイ.アール.カトリッキー(A.R.Katritzky)による「Handbook of Heterocyclic Chemistry」(Pergamon刊行)及びジェイ.エイ.ジュール(J.A.Joule)及びケイ.ミルズ(K.Mills)による「Heterocyclic Chemistry」(Blackwell Science刊行))に記載の有用な方法に従って合成され得る。
【0060】
本発明は式(I)の化合物の特定の合成経路に制限されることはなく、該化合物の製造を可能にするその他の方法に拡張されることが意図されている。従って、一例として、式(I)の化合物は、液相又は固体媒体上の平行した相のいずれかにおいて調製され得る。以下に記載された方法は非限定的ではなく、本発明の化合物を調製するために、置換されたイミンN=Cタイプの二重結合の作製を可能にするその他任意の工程が使用され得る。
【0061】
【化14】
上述の式において、R1、R2、A及びBは既に述べたものと同じである。
【0062】
上述の式に従って、式(I)の本発明の化合物は、式A−CO−NR1−NH2により示されるカルボ−ヒドラジドを指定する出発物質と、式R2−CO−Bにより示されるアルデヒド又はケトンとの間の縮合反応により直接調製され、ここで、一方における置換基A及びR1と、他方における置換基B及びR2は式(II)乃至(VIII)において記載されたものと同様の意味をそれぞれ有する。使用されたこれらの出発物質は市販されており、メイブリッジ(Maybridge)社(英国)又はファルツ−バウアー(Pfaltz−Bauer)社(米国)のような化学会社から注文にて入手可能であるが、会社の選択に関しては絶対的なものではない。
【0063】
この縮合反応は、不活性雰囲気下、好ましくは室温である0乃至50℃にて、好ましくはヒューニッヒのイソプロピルエチルアミンDIETである第三級アミン有機塩基の存在下にて、好ましくは無水ジメチルホルムアミド(DMF)である非プロトン性両性溶媒若しくはエタノール中にて、6乃至8時間還流することにより優先的に実施される。反応の進行状況の監視はHPLC分析により実施され、好ましくは24時間未満である反応時間の制御を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
本発明のその他の利点及び特徴は、以下に記載されるとともに添付された図面を参照してなされる実施例から明らかであろう。
【実施例1】
【0065】
CGP02−01の合成
28mlの無水DMF中に溶解した510.08mgの市販の酸[ベンゾ(b)チオフェン]−2−カルボン酸ヒドラジドを、マグネチックスターラを備えた乾燥した三角フラスコ中に入れた。256μlのDIEA(ジエチルイソプロピルアミン)を加えた後、溶液を室温にて5分間攪拌した。この僅かに黄色を帯びた溶液中に、538.27mgの4,6−ジメトキシサリチルアルデヒドを加えて、媒体を室温にて24時間攪拌した。反応の進行状況を出発物質が完全に消費されるまで、HPLC分析にて監視した。溶媒を蒸発後、得られた固体残渣をCH3CNにて再結晶し、引き続きエチルエーテルにて洗浄した。N’−[(1E)−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)メチレン]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボヒドラジドの精製物が得られ、黄色固体であった(743.6mg、収率=71%)。
【0066】
物理的及び化学的特性:
分子量: 356.40 g/モル
融点:205.4°C
LC−MS純度:100%(M+1=357.33)
HPLC純度:95.8%(保持時間:20分、UV検出:200−400nm)
RMN 1H (DMSO−d6;400MHz):δ(ppm)3.799(s,3H,OCH3),3.862(s,3H,OCH3),6.16(s,1H,Ar),6.17(s,1H,Ar)7.495(m,2H,Ar),8.02(dd,1H,J=7.2Hz及び1.3Hz),8.07(dd,1H,Ar,J=7.2Hz及び1.4Hz),8.231(s,1H,CH=C),8.861(s,1H,CH=N),12.26(s,1H,CH=N),12.26(s,1H,OH),12.348(s,1H,N−NH−CO)。
【0067】
NMR C13(DMSO−d6,400MHz):δ(ppm)55.438(OCH3),55.948(OCH3),90.524(CH,Ar),93.843(CH,Ar),122.846(CH,Ar),125.097(CH,Ar),124.439(2CH,Ar),125.684(CH−C),126.577(CH=N),145.980(CO−NH=N)。
【0068】
IR−FT(KBr 0.05%):3445.66(Ar−OH),1630.21(−CO−NH=N),1600.27(−NH−N=C−)cm−1。
元素分析:C18H16N2O4S+0.5H2O
【0069】
【表1】
【実施例2】
【0070】
細胞培養
分子CGP02−01が属するクラスの分子の、細胞内小胞における脂質の結合と蓄積に対する効果を示すために、複数の永久細胞系を使用した。これらの細胞はリポタンパク質や、例えば酸化若しくはアセチル化されたトリグリセリド若しくはカイロミクロンのような修飾リポタンパク質を組み込むことができる。これらの細胞は、自身を泡沫細胞に変形することが可能であり、従って粥腫形成表現型を表す。一例として、THP1、U937、KG1細胞又は、マクロファージ、内皮細胞、平滑筋細胞、肝細胞又は含脂肪細胞として活性化又は分化され、引き続いてリポタンパク質を含む媒体の存在下において培養することのできる任意のその他の細胞を使用することが可能である。
【0071】
リポタンパク質又は脂肪酸の結合の特異的な膜レセプタを発現するために遺伝的に修飾されたその他のタイプの細胞もまた使用可能である。これらの膜レセプタは、SRAI、SRAII、SRBI、CD36又は脂肪酸レセプタ(FABP)のファミリーの構成要素のようなタンパク質を含むスカベンジャ分子のファミリーの一部を形成することができる。
【0072】
一例として、10−7Mの濃度にて、フォルボール12−ミリステート−13−アセテート(PMA)の作用下にて分化されたTHP1細胞型の細胞をより詳細に述べることができ、それらは化合物CGP02−01の存在下又は非存在下にて泡沫マクロファージの形成時に観察される脂質小胞の形成及び蓄積を測定するために使用された。
【0073】
細胞は、96−ウェルプレート内にて、1%、2%、5%又は10%のウシ胎仔血清(FCS)、100ユニット/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、200mMのL−グルタミンを含むRPMI−1640培地又はMEM培地中に、1、2又は5×105細胞/mlの密度にて、37℃で、CO2インキュベータ内にて培養した。培養培地は、二日おきに取り替えた。
【0074】
本実施例において、細胞内の脂質小胞の蓄積は、該小胞を視認化するためにオイルレッドOタイプの蛍光マーカを含む溶液を使用して、PBS培地中にパラホルムアルデヒドを用いた固定化に続いてTHP1細胞を使用して測定した。小胞内に豊富に含まれる細胞の画像はCCDカメラと分析に必要なソフトウェアとを備えた顕微鏡を用いて分析した。
【0075】
THP−1細胞(5×105細胞/ml)(ECACC)は、10%のウシ胎仔血清(FCS)、200mMのL−グルタミン、100ユニット/mlのペニシリン及び100μg/mlのストレプトマイシン(インビトロージェン−ライフ テクノロジーズ(Invitrogen−Life Technologies)社)を含むRPMI−1640培地中に、37℃で、5%のCO2を備えたインキュベータ内にて維持及び培養した。培養培地は、2〜3日おきに取り替えた。
【0076】
THP−1の分化を誘導するために、1.25×105細胞/ウェルを、96−ウェル培養プレートのウェル内に、10−7のフォルボール12−ミリステート−13−アセテート(シグマ社)を含む培養培地に、37℃、5%のCO2にて24時間、堆積させた。分化したTHP−1は引き続いて、分子CGP02−01(10−5M乃至3.16×10−10Mの濃度)の存在下又は非存在下にて、シアニン3(1.5μg/ml)と結合したLDLoxとともに、37℃、5%のCO2にて24時間、インキュベートした。細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定した後、核をHoechst33342(10μg/ml)を用いて室温にて20分間標識化した。2回洗浄の後、シアニン3及びHoechst33342に関連したシグナルの16画像/ウェルを、CCDカメラに接続した蛍光顕微鏡を用いて撮影した。各画像は、メタモルフ(MetaMorph)ソフトウェア(ユニバーサル・イメージング(Universal Imaging)社)を用いて分析及び定量した。
【0077】
以下の表1は、スカベンジャCD36を発現する細胞による、シアニン3で標識化したリポタンパク質の脂質小胞の形成における結合及び蓄積の阻害率を報告する。細胞は、このクラスを構成する分子の各々の存在下にてインキュベートされ、2.5μMの各分子に対する最終濃度及び同一の濃度における分子CGP02−01にて示した。
【0078】
【表2】
別表1にある表は、上記表1に関連したそれらのコード及び同様にTHP1細胞における25μMの濃度での24時間の阻害率に加え、本発明の化合物の構造を与える。
【0079】
これらのクラスの好ましい化合物の一つは、化合物CGP02−01である。分化型THP1マクロファージ細胞が、1μMの濃度にてこの化合物の存在下にて培養された場合、脂質小胞の蓄積の強い阻害が観察される(図1)。この阻害効果は、生成物CGP02−01の濃度に依存する(図1)。
【0080】
化合物CGP02−01は参照生成物として選択したが、同一のクラスのその他の化合物も同様の活性を示し、かつ細胞内脂質の蓄積を阻止することが可能である。図7は、同一のクラスの分子の一部を形成する化合物CGP02−02及びCGP02−03の活性の阻害を示す。
【実施例3】
【0081】
アテロームマウスの処置
脂質代謝、動脈病巣の形成及びアテローム様プラークの進行における変化を研究するために異なるタイプの動物を使用した。これらの動物は市販されている。マウス、ラット、高脂血症ウサギ(HWWL)又はブタ若しくはサルのようなそれらより大きな動物が使用可能である。遺伝子操作された動物、例えば、ApoE−/−、LDL−R−/−及びApoAI−/−マウスもまた使用可能である。
【0082】
二つのタイプの動物モデルを使用した。
最初に、Apoリポタンパク質Eに対するコーディング遺伝子を欠いているマウス(ApoE−/−)を使用した。これらのマウスは、初期のアテローム性動脈硬化及び泡沫マクロファージに富んだプラークの発達を研究するために選択されたモデルである。ApoE遺伝子を欠いた雄性C57BL/6Jマウスホモ接合体は8週齢となるまで通常の食餌計画を受けた。引き続き、これらのマウス(一群n=8)は、12週間の間、コレステロール若しくは脂質が豊富ではない食餌計画又は豊富な食餌計画(牛乳由来の1.5g/kgのコレステロール及び200g/kgの脂質を含む)を適宜受けた。未処置のマウスは、DMS0を10%にて含む溶液の腹腔内注射を毎日受けた。処置マウスは、2又は20μgの化合物CGP02−01を含む同一の溶液(即ち、0.1mg/kg/日又は1mg/kg/日)の腹腔内注射を受けた。生化学分析のための血液サンプルを採取後、該マウスをと殺した。
【0083】
第二に、化合物CGP02−01の活性は、対照ラット−フルクトースモデルを使用して試験した。ウィスター系ラットの複数の群(n=12)は10%のフルクトースを含む食餌計画を三週間受けた。これらの条件下において、ラットは、高血糖症、高インシュリン血症、高コレステロール血症及び高トリグリセリド血症を含むメタボリック症候群が進行した。引き続き、ラットの群は、メチルセルロース中に調製した2%Tween溶液に溶解した50mg/kgの化合物CGP02−01の強制的な供給を受けた。生化学分析のための血液サンプルの採取を1、2及び3週間後に実施した。独立したラットの群は、50mg/kgの用量にて塩酸メトホルミンを用いて、同様の条件下にて処置した。メトホルミンは、このメタボリック症候群モデルにおける対照として供されている。
【実施例4】
【0084】
血漿中の遊離コレステロールの測定
遊離コレステロールの測定は、酵素法にて実施可能である。遊離コレステロールはコレステロールオキシダーゼにより酸化され、デルタ4コレステノンとなり、かつ同時に過酸化水素を生成する。次に、過酸化水素はDHESA及びアミノアンチピリンの酸化濃縮を可能にし、青色になる。次に、遊離コレステロールの量を青色の吸光度にて測定する。サンプルは、EDTA及びヘパリンを含むクエン酸緩衝液にて回収した。この試験は、キットの形態にて、市販にて入手可能である。
【0085】
ApoE−/−マウスが通常の豊富ではない食餌計画を受け、かつ化合物CGP02−01(1mg/kg)にて処置された場合、エステル化されていないコレステロールの血漿レベルは大いに減少した。3ヶ月にわたって処置されていない動物では変化が観察され、平均が136±19g/Lであった。同一の期間、処置された動物において観察された変化は、105±6g/Lであり、即ち、22.7%の効果(p<0.05)であった。
【実施例5】
【0086】
血漿中の総コレステロールの測定
循環する総コレステロールは、市販のキットを用いた酵素分析により測定した。この分析は、例えば、コレステロール−エステラーゼ/コレステロールオキシダーゼ/発色ペルオキシダーゼ型の一連の酵素を使用する。要するに、エステル化された総コレステロールは、コレステロールエステラーゼの活性により遊離のコレステロール及び脂肪酸に変換される。次に、非エステル化コレステロールは、コレステロールオキシダーゼ及びペルオキシダーゼの存在下によるキノンイミンの形成により測定される。キノンイミンの着色強度は、サンプル中に存在するコレステロールの量に比例する。
【0087】
以下の表2は、コレステロールに富んだ食餌計画にさらすとともに化合物CGP02−01で処置したApoE−/−マウスのHDL及び総コレステロールの血漿レベルの変化を示す。ApoE−/−マウスをCGP02−01(1mg/kg)にて三ヶ月間処置した場合、総コレステロールの血漿レベルは、処置していない動物よりより顕著に減少した。マウスをコレステロールに富んだ食餌計画にさらした場合、総コレステロールレベルは7.27±0.55g/Lの値から6.86±0.65g/Lの値まで減少し、即ち、5.6%変化した。観察されたこの効果は、CGP02−01の用量に依存する。
【0088】
【表3】
フルクトースに富んだ食餌計画を受け、経口投与(50mg/kg)にて処置されたラットのモデルにおいて、化合物CGP02−01は、総コレステロールレベルにおいて顕著な減少を生じ(p<0.01)、0.79±0.05g/Lの値から0.36±0.03g/Lの値まで減少し、即ち、処置後3週間で、54.5%(p<0.01)の減少率であった。同様の条件下にて経口投与にて投与されたメトホルミン(50mg/kg)は、0.66±0.02g/Lの平均値で総コレステロールの16%が減少した(図12)。
【実施例6】
【0089】
循環するトリグリセリドの測定
血清トリグリセリドの分析は、市販のキットを用いて酵素的に実施可能である。例えば、ビオメリュー社のキット(参照61.238)を使用することができる。要するに、トリグリセリドはリパーゼで処理され、脂肪酸を生成する。ATPの存在において、グリセロールはグリセロキナーゼにより、グリセロール3リン酸に変換される。次に、グリセロール3リン酸はジヒドロキシアセトンに変換され、その際に過酸化水素水(H2O2)を生成し、それはパラクロロフェノール、アミノ−4−アンチピリン及びペルオキシダーゼの存在下にてキノンイミンの形成にて検出される。次に、キノンイミンの着色強度を505nmにて測定した。この着色は、サンプル中に存在するトリグリセリドの量に比例する。
【0090】
ApoE−/−マウスがコレステロール及び脂質に富んだ食餌計画を受け、かつ化合物CGP02−01(1mg/kg)にて3ヶ月間処置された場合、その血漿トリグリセリドレベルは変化し、この変化は未処置マウスに対して処置マウスでは2倍も大きかった。この変化は、未処置マウスの−0.67±0.54g/Lから処置マウスの−1.49±0.57g/L(p<0.01)まで減少した(図9)。
【0091】
フルクトースに富んだ食餌計画下にて化合物CGP02−01をラットに経口投与した場合、その血漿トリグリセリドレベルは、1.39±0.13g/Lから0.47±0.07g/Lまで減少し、即ち、その変化は66.2%(p<0.01)であった。同一の条件下において、メトホルミンはいかなる効果をも示さず、1.21±0.08g/Lの平均値であった(図10)。
【実施例7】
【0092】
血漿中のインシュリンの測定
血漿中のインシュリンの分析は、マウス又はラットの特異的抗インシュリン抗体を含む市販のキットを用いた放射性免疫分析にて実施した。例えば、リンコリサーチ(Linco research)社のラット/マウスELISAキット(参照、EZRMI−13K)を使用できる。
【0093】
コレステロールに富んだ食餌計画を受けたApoE−/−マウスを0.1若しくは1mg/kgの用量にて化合物CGP02−01にて処置した場合、血漿インシュリンレベルにおいて顕著な減少(p<0.01)が観察され、1.17±0.2ng/mLの値から0.95±0.16ng/Lの値まで減少し、即ち、18.8%の変化であった(図11)。
【0094】
同様に、化合物CGP02−01は、フルクトースに富んだ食餌計画を受けたラットのインシュリンレベルを、1.85±0.04の値から1.64±0.03の値まで減少させ、即ち、11.3%の変化であった。同一の条件下において、メトホルミンは、インシュリンレベルを16.2%低減した(図12)。
【実施例8】
【0095】
血漿中のHDLレベルの測定
血漿HDLレベルは、高密度リポタンパク質分離剤を使用する試験済みの市販の方法と、これらの高分子量リポタンパク質に関連したコレステロールレベルの測定により測定された(例えば、ビオメリュー社のキット、参照61533)。
【0096】
コレステロール及び脂肪酸に富んだ食餌計画を受けたマウスを化合物CGP02−01で処置した場合、その血漿HDLレベルは0.11±0.005g/Lから0.15±0.005g/Lまで増大し、即ち38.2%の変化であった。
【実施例9】
【0097】
腹部脂肪塊の測定
コレステロール及び脂質に富んだ食餌計画を受けたApoEマウスを化合物CGP02−01の0.1mg/kg及び1mg/kgの用量にて3ヶ月間処置した後にと殺した。腹部脂肪塊を切開により回収し、乾燥し、かつ乾燥重量で表した。
【0098】
化合物CGP02−01は、一定した体重増加において、腹部脂肪塊の顕著な低減を認めた(p<0.01)。マウスを1mg/kgで処置した場合、この腹部塊は760±231mgの値から393±78mgの値まで減少し、48.3%の減少率であった(図13)。この効果は、CGP02−01の用量に依存する。
【実施例10】
【0099】
大動脈内のトリグリセリドの堆積
大動脈壁に蓄積するトリグリセリドを以下の方法にて測定した。即ち、切開後、動物の大動脈を生理食塩水にて洗浄した。外膜の脂質塊を切開にて除去し、かつ脈間内膜媒体を乾燥した。トリグリセリドレベルを測定し、組織の乾燥重量に対するトリグリセリドの重量として表した。
【0100】
ApoE−/−マウスを1mg/kgの用量にて化合物CGP02−01にて3ヶ月間処置した場合、大動脈壁へのトリグリセリドの堆積は185±33μg/mgの平均値(n=8)(乾燥重量)から131±42μg/mg(乾燥重量)まで減少した。この効果は、注射された用量に依存する。0.1mg/kgの注射は156±31μg/mgの中間の変化を生じた。図14はこの結果を示す。
【実施例11】
【0101】
大動脈病巣の分析
マウスの大動脈は、パラホルムアルデヒドで固定し、病巣の組織学的分析のために10μmの切片に切開した(図6)。
【実施例12】
【0102】
冠動脈虚血の分析
通常の食餌計画又はコレステロールに富んだ食餌計画を受けたApoE−/−マウスをと殺後、これらの動物の心臓を肉眼にて観察した。虚血性病巣の割合を観察し(図15)、病巣の存在又は非存在により定量化した(図16)。
【実施例13】
【0103】
糖尿病ラットモデルにおける血漿グルコースレベルの測定
血糖は市販のキットを使用するヘキソキナーゼ法により測定した。例えば、ビオメリュー社のキット(参照:61269/61 270)を使用することができる。
【0104】
ラットをフルクトースに富んだ食餌計画にさらした場合、その血糖は時間の関数として増大し、かつ6.4±0.15ミリモル/Lの平均値(n=12)から10.65±0.24ミリモル/Lの平均値まで増大した(図14)。化合物GCP02−01は、経口投与にて21日間の処置後に血糖におけるこの増大を安定化した(図17)。
【実施例14】
【0105】
高血糖試験時における保護効果の測定
ラット(n=12)は、フルクトースに富んだ(10%)食餌計画を21日間受けた。14日目の後に、経口にて投与された化合物CGP02−01の存在下又は非存在下にて、2g/kgのグルコースの投与により高血糖ショックを誘導した。次に、血漿グルコースレベルを測定した。図18は誘導された高血糖に対する生成物の保護効果を示す。
【0106】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】蛍光剤シアニン3を使用して標識化されたリポタンパク質の存在下において培養されたマクロファージ細胞中における脂質小胞の蓄積における化合物CGP02−01の用量の増大における効果を示す。用量反応曲線は、5×10−7MのIC50値を示す。
【図2】化合物CGP02−01で処置したApoE陰性マウスにおける腹部脂肪塊の低減による体重増加の減少を示す。マウスは、一日当り20μgの用量にて化合物CGP02−01で41日間処置された。対照マウスと処置マウスは、コレステロールが過剰に負荷されることなく通常の食餌計画にて給餌された。
【図3】ApoE陰性マウスにおける血漿中の遊離コレステロールレベルの増加における化合物CGP02−01の効果を示す。マウスは、図2に記載された様式と同様の様式にて処置された。
【図4】化合物CGP02−01で処置された、又は未処置のApoE陰性マウスの総コレステロールレベルの変動を示す。
【図5】化合物CGP02−01で処置された、又は未処置のApoE陰性マウスの大動脈に存在するトリグリセリドレベルの変動を示す。
【図6】化合物CGP02−01で処置された、又は未処置のApoE陰性マウスにおけるアテローム性プラークにおける改善を示す。未処置のマウスの病巣においては、多くの泡沫マクロファージに加えて炎症を起こしそうな状態が認められ、処置されたマウスの大動脈では炎症反応が認められないことに加えてこれらのマクロファージの顕著な減少が認められる。
【図7】化合物CGP02−02及びCGP02−03による泡沫細胞の形成阻害を示す。分化したTHP1細胞は、シアニン3で標識化された酸化リポタンパク質(3μg/ml oxLDL)の存在下にて37℃にて25時間培養した。細胞は、異なる濃度にある化合物CGP02−02及びCGP02−03で処置した。条件は、図1と同様である。
【図8】フルクトースに富んだ食餌計画(10%)を受けたラットモデル(n=12)の処置より3週間後に、経口投与にて投与された化合物CGP02−01(50mg/kg)の血漿総コレステロール濃度(g/L)に対する効果を示す。この動物モデルにおける標準対照を提供するために、メトホルミンを同一の用量にて注射した。
【図9】コレステロールに富んだ食餌計画を受け、かつ化合物CGP02−01で三ヶ月間処置したApoE−/−マウスにおける血漿トリグリセリドレベル(g/L)における変動を示す。
【図10】フルクトースに富んだ食餌計画を受けたラットモデル(n=12)の処置より3週間後に、経口投与にて投与された化合物CGP02−01(50mg/kg)のトリグリセリドの血漿レベル(g/L)に対する効果を示す。食餌計画は、化合物CGP02−01を加えて3週間引き続いて維持された。各ラットが別々に分析された。この動物モデルにおける標準対照を提供するために、メトホルミンを同一の用量にて投与した。
【図11】コレステロールに富んだ食餌計画を受けたApoE−/−マウスにおけるインシュリンの血漿レベル(ng/mL)に対する、IP経路にて投与された化合物CGP02−01の効果を示す。マウスは3ヶ月間処置された。
【図12】フルクトースに富んだ食餌計画(10%)を受けたラットモデル(n=12)の処置より3週間後に、経口投与にて投与された化合物CGP02−01(50mg/kg)のインシュリンの血漿レベル(ng/L)に対する効果を示す。ラットは、10%のフルクトースを含む食餌計画で3週間毎日給餌された。食餌計画は、化合物CGP02−01を3週間加えて、引き続き維持された。各ラットが別々に分析された。この動物モデルにおける標準対照を提供するために、メトホルミンを同一の用量にて投与した。
【図13】コレステロールに富んだ食餌計画を受けたApoE−/−マウスにおける腹部肥満に対する、IP経路にて異なる用量にて注射された化合物CGP02−01の効果を示す。マウスは3ヶ月間処置された。
【図14】コレステロールに富んだ食餌計画を受けたApoE−/−マウスにおける大動脈壁内のトリグリセリドの堆積に対する、IP経路にて異なる用量にて注射された化合物CGP02−01の効果を示す。マウスは3ヶ月間処置された。
【図15】ApoE−/−マウスが通常の食餌計画又はコレステロールに富んだ食餌計画を受けた場合の冠動脈微細血管の微細塞栓の存在による冠動脈虚血の発生を示す(図A)。これらのマウスに化合物CGP02−01が注射された場合、これら心臓の病巣はかなり低減した(図B)。
【図16】通常の食餌計画を受けた場合(図A)とコレステロールに富んだ食餌計画を受けた場合(図B)のApoE−/−マウスの冠動脈病巣に対する化合物CGP02−01の用量の効果を示す。
【図17】フルクトースに富んだ食餌計画(10%)を受けたラットにおける血糖の増大に対する化合物GCP02−01の効果を示す。食餌計画は21日間維持された。化合物は、フルクトースの食餌期間に続いて経口投与にて投与された。図は化合物の安定した効果を示す。
【図18】フルクトースに富んだ食餌計画(10%)を受けたラットのグルコース耐性に対する化合物CGP02−01の有効な効果を示す。化合物は、経口投与にて投与され、14日目の後に、更に一回量の2g/kgのグルコースが投与された。血糖は、この血糖ショック後の30、60及び120分にて測定された。
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なヒドラジドタイプの化合物及び、特に心臓血管系疾患の治療又は予防のための製薬組成物中における活性成分としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
非常に活発な薬理学的研究や外科の分野における大きな進歩にもかかわらず、心臓血管系疾患、冠状動脈の損傷及び脳虚血は、先進諸国における死因及び疾病の主たるものである。高コレステロール血症、脂肪塊の増加により定義される肥満、高トリグリセリド血症及び複雑なリポタンパク質プロファイルにより特徴付けられるアテローム性異常脂質血症に関連した2型糖尿病及びメタボリック症候群はこれらの心臓血管系疾患の危険因子を構成するものとして認識されている。
【0003】
これらの病変は一般的にはリポタンパク質代謝の異常による。例えば、2型糖尿病及びメタボリック症候群のアテローム性異常脂質血症は、高レベルのトリグリセリド(150mg/dl以上)、低レベルの高密度リポタンパク質コレステロール(40mg/dl未満のHDLc)及び変動するレベルの低密度リポタンパク質コレステロール(LDLc)(100mg/dl未満又は以上)により特徴付けられる。多くの場合肥満と関係の深い高トリグリセリド血症は、リポタンパク質の構造に入りこむトリグリセリドの異常な増加により特徴付けられる(200mg/dlを超える)。
【0004】
これら全ての症候群の最も深刻な合併症はアテローム血栓症である。アテローム血栓症はこれらの代謝系疾患に関連した複雑な疾患であり、複数の連続した段階を含むその病状は静かに、かつ徐々に進行し、低年齢の時期より始まることもある。
【0005】
脂質に富んだ動脈プラークの形成は、通常数十年にわたって進行しているゆっくりとした過程である。リポタンパク質、泡沫マクロファージ及びカルシウムが動脈壁上へ徐々に蓄積される。プラークは、欧米先進国の動物性脂質に富んだ食事をしている人の大部分が影響を受けているが、プラークの進行及び延長速度には個人の間に大きな程度の差が存在し、それは一部には遺伝的な特性に起因している。
【0006】
プラークに多くの泡沫マクロファージが存在することにより攻撃を受けやすくなり、破裂の症状を引き起こす。アテローム動脈硬化性プラークの破裂及び血小板血栓の形成は、それらの急性の過程においては、例えば心筋梗塞、脳梗塞及び突然死のような疾病の複数の合併症の原因となる。従って、疾病の重篤度は、プラークの大きさ、その安定性、及びこのプラークの破裂により血栓が形成される様式に主として依存する。この現象はむしろあまり理解されておらず、多くの場合免疫応答に加えて慢性的な炎症状態を含む。現在のところ、これらの疾病の治療に対しては異なる治療方法の選択肢が可能である。
【0007】
スタチン又はエゼチマイブのような脂質低下薬は認められ得る効能を有している。スタチンは、コレステロールの合成に直接関与する3−ヒドロキシメチルグルタリルCoA還元酵素の阻害剤である。スタチンはコレステロールのレベルを効果的に低減し、トリグリセリドのレベルを更に制限された程度まで低減する。エゼチマイブはコレステロールの小腸吸収を阻害する。従って、これらの分子は高LDLcレベルである多くの患者の一次的及び二次的な予防薬として推奨される。しかしながら、心臓血管系の危険性に対する脂質低下薬の医療的な効果はわずか30乃至35%であるという臨床試験の結果が示されている。それらの使用は時として、治療の中断が必要となるような望ましくない有害な事態を伴うことがある。多くの場合、筋肉に関するもの、肝毒性及び不耐性といった現象が観察される。
【0008】
フィブレート又はフィブリン酸誘導体もまた、アテローム性異常脂質血症の治療に推奨されている。異常脂質血症は、低いコレステロールレベル、高いトリグリセリドレベル及び低いHDLcレベルという複雑な脂質プロファイルを伴う個々の患者に影響を与える。フィブレートの使用により心臓血管系の損傷の危険性が約40%低減される。残念ながら、これらの使用は、不耐性、肝毒性及び筋肉に関連する望ましくない影響が多くの患者に伴うものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
動脈プラークの破裂に起因する血栓症は、一般的にはアセチルサリチル酸、チエノピリジン、又はシアノピリジンのような抗血栓薬にて治療される。
従って、心臓血管系疾患の治療、特に、動脈プラークの成長及び脆弱性を治療することが可能な新たな化合物が必要とされている。
【0010】
本発明は、医薬組成物中の活性剤であって、特に心臓血管系疾患の治療又は予防のために使用される新規なヒドラジドタイプの化合物を主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の化合物は以下の一般式(I)に対応する:
【0012】
【化1】
ここで、R1及びR2は同一であるか又は異なっており、かつ水素原子、1乃至6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の低級アルキルラジカル、又は1乃至6個の炭素原子と3乃至7個のフッ素原子とを有するフルオロアルキルラジカルから選択され;
Aは、場合によっては一つ又は複数のヘテロ原子からなる一つ又は複数の環である芳香族基であり;
Bは、場合によっては、置換されたフェノール基又は置換されたピリジン基である。
【0013】
二重結合N=C並びにB及びR2基におけるヒドラジド機能により、本発明の式(I)の化合物は、(E)型又は(Z)型として周知の幾何学的な構造となり、両者、即ち(E)型及び(Z)型が平衡状態であるか、或いは優先的に単一の(E)型にて存在している:
ここで、トランス体として周知であるように、ACONR1基及びB基がイミン基N=Cのいずれかの側にある(E)型か、又は
シス体として周知であるように、ACONR1基及びB基がイミン基N=Cの同一の側にある(Z)型である。
【0014】
式(I)の好ましい化合物は、Bが以下の式(II)で表されるものである:
【0015】
【化2】
ここで、Y1はフェニル核を形成するための炭素原子であるか、又はピリジン核を形成するための窒素原子であり、かつR3、R4、R5、R6及びR7は同一であるか又は異なっているとともに、水素原子と、ハロゲンの原子であってより詳細にはフッ化物、塩化物及び臭化物であるハロゲンの原子と、−OH、−OR8又は−OCOR9(ここで、R8及びR9は1乃至6個の炭素である直鎖状又は分枝状低級アルキルラジカルを示す)である基と、アミノ基−NH2又は−N(r、r’)(ここで、r及びr’は同一であるか又は異なっており、かつ直鎖状又は分枝状の低級アルキルラジカル、アリールラジカル、或いはヘテロ環であってr及びr’を合わせて好ましくはパラ位にある変更可能な大きさのヘテロ環を形成するヘテロ環、である)とから選択される。
【0016】
好ましい化合物は、R3が式−OR8基であり、かつ置換基R4、R5、R6及びR7の少なくとも二つが水素原子である式(I)の化合物である。これらのうち、Y1が炭素原子である式(I)の化合物が特に好ましい。
【0017】
その他の好ましい化合物は、Bが式(II)である化合物(I)(ここで、Y1は炭素原子である)であり、以下の式(I’)に対応する。
【0018】
【化3】
本発明を具現化した第一の形態は、Aが以下の式(III)からなる基である式(I)の化合物に関する。
【0019】
【化4】
ここで、X1は:
酸素原子、この場合式(III)の基は、このヘテロ環のα又はβ炭素上の−(X4)n−アシル−ヒドラジド鎖の位置の官能基として2−フラニル又は3−フラニル核である;
硫黄原子、この場合式(III)の基は、α又はβ炭素上の−(X4)n−アシル−ヒドラジド鎖の位置の官能基として2−チオフェン又は3−チオフェン核であり、かつこの硫黄原子は、スルホキサイドを形成するために一つの酸素原子を保持することが可能であるか、若しくはスルホンを形成するために二つの酸素原子を保持することが可能である;
窒素原子、この場合式(III)の基は、このヘテロ環のα又はβ炭素上のアシル−ヒドラジド鎖の位置の官能基として2−ピロール又は3−ピロール核であり、かつこの窒素原子は、水素原子、1乃至6個の炭素原子の低級アルキルラジカル、1乃至6個の炭素原子と3乃至7個のフッ素原子とを備えたフルオロアルキルラジカル、アシルラジカル−COR10(ここで、R10は1乃至6個の炭素原子の直鎖状若しくは分枝状アルキル鎖又はアリール若しくはアラルキルラジカルである):
酸素原子、この場合式(III)の基は、N−オキシドである、
から選択され、
X2及びX3は、同一であるか又は異なっており、かつ以下の:
水素原子、1乃至6個の炭素原子の直鎖状若しくは分枝状低級アルキル鎖、1乃至6個の炭素原子と3乃至7個のフッ素原子とを備えたフルオロアルキルラジカル;
ハロゲンの原子であって、優先的にフッ化物、塩化物又は臭化物であるハロゲンの原子;
ニトロ−NO2基、アミノ−NH2基、又は−N(r,r’)基(ここで、r及びr’は同一であるか異なっており、かつ直鎖状又は分枝状低級アルキルラジカル、アリールラジカル或いは変更可能な大きさのヘテロ環である);
から選択され、
或いは更に、X2及びX3は、X1が酸素原子である場合に芳香性ベンゾフランヘテロ環を形成するために仮にこの環が窒素原子を含む場合には芳香性ベンゼン環又はアザベンゼン系の環に含まれ、X1が上述のようにフリーの又は置換された窒素原子である場合にはベンゾピロール核に含まれ、X1が上述のようにフリーの又は置換された硫黄原子である場合にはベンゾチオフェン核に含まれ、或いは更に仮に環内に窒素原子が存在する場合にはピリジノタイプの核に含まれ;
nは0又は1であり;
X4は存在する場合には、−CH2−、−OCH2−、又は−CH=CH−基である。
【0020】
Bが式(II)の基であり、かつAが式(III)の基である式(I)の化合物は、以下の式(IV)に対応し:
【0021】
【化5】
ここで、Y1、X1、X2、X3、R1及びR2は上記したものと同様の意味を有し、かつR3乃至R7は同一であるか異なっており、かつ水素原子と、ハロゲンの原子であって、より詳細には、フッ化物、塩化物及び臭化物であるハロゲンの原子と、式−OH、−OR8又は−OCOR9の基(R8及びR9は1乃至6個の炭素原子の直鎖状若しくは分枝状低級アルキルラジカル)と、アミノ基−NH2又は−N(r、r’)(ここで、r及びr’は同一であるか又は異なっており、かつ直鎖状又は分枝状の低級アルキルラジカル、アリールラジカル、或いはヘテロ環であってr及びr’を合わせて好ましくはパラ位にある変更可能な大きさのヘテロ環を形成するヘテロ環、である)と、から選択され、
nは0又は1であり;
X4は存在する場合には、−CH2−、−OCH2−、又は−CH=CH−基を示す。
【0022】
好ましい化合物は式(IV)の化合物であり、R3は式−OR8基であり、置換基R4、R5、R6及びR7の少なくとも二つは水素原子である。これらのうちで、特に好ましいのは式(IV)の化合物であり、Y1は炭素原子である。
【0023】
式(IV)の化合物のうちで、本発明はより詳細には以下の化合物を参照する:
・N’−[(1E)−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)メチレン]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボヒドラジド(CGP02−01と称される);
・(2Z)−3−(2−フリル)−N’−[(1E)−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)メチレン]アクリロヒドラジド(CGP02−02と称される);
・N’−[(1E)−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)メチレン]−5−メチルチオフェン−2−カルボヒドラジド(CGP02−03と称される);
・2−フランカルボン酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジド(CGP02−07と称される);
・(1H−インドール−3−イル)酢酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジド(CGP02−08と称される);
・ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(3,5−ジブロモ−2−ヒドロキシ−ベンジリデン)−ヒドラジド(CGP02−18と称される)。
【0024】
これらの中で、特に好ましいのは、N’−[(1E)−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)メチレン]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボヒドラジド(CGP02−01と称される)である。
【0025】
本発明を具現化した第二の形態は、式(I)の化合物であり、該式(I)においてAは以下の式(V)からなる基を有する:
【0026】
【化6】
ここで、nは0又は1であり;
X4は、存在する場合は、−CH2−、−OCH2−又は−CH=CH−基であり;
R11及びR12はそれぞれ同一であるか又は異なっており、−X4−を備えた結合に対して又はnが0の場合は−CO−を備えた結合に対して、オルト、メタ若しくはパラ位にあり、かつ1乃至6個の炭素原子の直鎖状若しくは分枝状低級アルキル若しくはアラルキル基と、1乃至6個の炭素原子と3乃至7個にフッ素原子とを有するフルオロアルキルラジカルと、−OHと、−OR13と、から選択され、ここで、R13ラジカルは1乃至6個の炭素原子の直鎖状若しくは分枝状低級アルキル基、又は特にこの場合に更に特定されてフッ素であるハロゲンであり、R11及びR12がフッ素原子の場合、それらはX4又は残りの−CO−を備えた結合のいずれかの側にてオルト位であり;
R12は水素原子であり、かつR11が−SO2NH2のスルホナミド基であり、−X4−を備えた結合又は残りの−CO−を備えた結合に対してパラ位であり;
又は更に、R11が水素原子であり、かつR12が、−X4−を備えた結合又は残りの−CO−を備えた結合に対してオルト位にある−Oフェニル基である。
【0027】
Bが式(II)の基であり、かつAが式(V)の基である式(I)の化合物は、以下の式(VI)に対応する:
【0028】
【化7】
ここで、Y1、X4、R1、R2、R11及びR12は、上記したものと同一のものであり、かつR3、R4、R5、R6及びR7は、同一であるか又は異なっており、かつ水素原子と、ハロゲン原子と、水素の原子と、ハロゲンの原子であってより詳細にはフッ化物、塩化物、臭化物であるハロゲンの原子と、式−OH、−OR8又は−OCOR9の基(R8及びR9は1乃至6の炭素の直鎖状若しくは分枝状低級アルキルラジカル)と、アミノ基−NH2又は−N(r、r’)(ここで、r及びr’は同一であるか又は異なっており、かつ直鎖状又は分枝状の低級アルキルラジカル、アリールラジカル、或いはヘテロ環であってr及びr’を合わせて好ましくはパラ位にある変更可能な大きさのヘテロ環を形成するヘテロ環、である)と、から選択される。
【0029】
好ましい化合物は、式(VI)のものであり、R3は式−OR8基であり、置換基R4、R5、R6及びR7のうちの少なくとも二つは水素原子である。これらのうちで、特に好ましいのは、Y1が炭素原子である式(VI)の化合物である。
【0030】
式(VI)の化合物のうちで、本発明はより詳細には以下の化合物を参照する:
・(4−ジメチルアミノ−N’−[(1E)−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)メチレン]ベンゾヒドラジド(CGP02−04と称される);
・2−フェネチル安息香酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジド(CGP02−05と称される);
・N−[3−2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシ−ベンジリデン−ヒドラジノカルボニル−フェニル)]−プロピオナミド(CGP02−06と称される);
・(3−クロロ−フェノキシ)−酢酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジド(CGP02−09と称される);
・2−フェノキシ−安息香酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジド(CGP02−11と称される);
・2,6−ジフルオロ安息香酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジド(CGP02−13と称される);
・4−トリフルオロメチル安息香酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジド(CGP02−16と称される);
・3,4−ジメトキシ安息香酸(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンジリデン)−ヒドラジド(CGP02−17と称される)。
【0031】
本発明を具現化した第三の形態は、式(I)の化合物であり、該式(I)においてAは以下の式(VII)の基である:
【0032】
【化8】
ここで、R15は、水素原子と、ハロゲンの原子であってより詳細にはフッ化物、塩化物若しくは臭化物であるハロゲンの原子と、−OH基と、−OR16基とから選択され、ここで、R16は1乃至6個の炭素の直鎖状又は分枝状低級アルキルラジカル、或いは、より詳細にはトリフルオロメチルラジカルCF3である1乃至6個の炭素と3乃至7個のフッ素原子とを有するフルオロアルキルラジカルであり、かつR15は、3−オキソ−3,4−ジヒドロベンゾチアジン−イルビシクロ芳香性部分の4つの残りのフリーの部位の一つに配置され、かつ
R14は1乃至6個の炭素の直鎖状又は分枝状低級アルキルラジカルであり、より詳細にはシクロプロピルラジカルである。
【0033】
Bが式(II)の基であり、かつAが式(VII)の基である式(I)の化合物は、以下の式(VIII)に対応する:
【0034】
【化9】
ここで、Y1、R1、R2、R14及びR15は、上記したものと同じであり、R3乃至R7は同一であるか又は異なっており、かつ水素原子と、ハロゲンの原子であってより詳細にはフッ化物、塩化物及び臭化物であるハロゲンの原子と、−OH基と、−OR8基と、−OCOR9基(ここで、R8及びR9は1乃至6個の炭素の直鎖状又は分枝状低級アルキルラジカルである)と、アミノ基−NH2若しくは−N(r,r’)基(ここで、r及びr’は同一であるか又は異なっており、かつ直鎖状又は分枝状の低級アルキルラジカル、アリールラジカル、或いはヘテロ環であってr及びr’を合わせて好ましくはパラ位にある変更可能な大きさのヘテロ環を形成するヘテロ環、である)と、から選択される。
【0035】
好ましい化合物は、式(VIII)の化合物であり、R3は−OR8基であり、かつ置換基R4、R5、R6及びR7のうちの少なくとも二つは水素原子である。これらのうちで、Y1が炭素原子である式(VIII)の化合物が特に好ましい。
【0036】
式(VIII)の化合物のうち、本発明は特に詳細には以下の化合物を参照する:
・2−シクロプロピルキノリン−4−カルボン酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシ−ベンジリデン)−ヒドラジド(CGP02−14と称される)。
【0037】
好ましい化合物は、R14がキノリン基の2位にあり、かつAが以下の式(VII’)の基である式(I)の化合物である:
【0038】
【化10】
ここで、R14及びR15は上記したものと同じである。
【0039】
Bが式(II)の基であり、かつAが式(VII’)の基である式(I)の化合物は、以下の式(VIII’)に対応する:
【0040】
【化11】
ここで、Y1、R1、R2、R14及びR15は、上記したものと同じであり、R3、R4、R5、R6及びR7は同一であるか又は異なっており、かつ水素原子と、ハロゲンの原子であってより詳細にはフッ化物、塩化物及び臭化物であるハロゲンの原子と、−OH基と、−OR8基と、−OCOR9基(ここで、R8及びR9は1乃至6個の炭素の直鎖状又は分枝状低級アルキルラジカル)と、アミノ基−NH2若しくは−N(r,r’)基(ここで、r及びr’は同一であるか又は異なっており、かつ直鎖状又は分枝状の低級アルキルラジカル、アリールラジカル、或いはヘテロ環であってr及びr’を合わせて好ましくはパラ位にある変更可能な大きさのヘテロ環を形成するヘテロ環、である)と、から選択される。
【0041】
好ましい化合物は、式(VIII’)の化合物であり、R3は−OR8基であり、かつ置換基R4、R5、R6及びR7のうちの少なくとも二つは水素原子である。これらのうちで、Y1が炭素原子である式(VIII’)の化合物が特に好ましい。
【0042】
本発明を具現化した第四の形態は、Aが以下の式(IX)の基である式(I)の化合物に関する:
【0043】
【化12】
ここで、 X1及びX4は上記したものと同じであり;
nは0又は1であり;
R17は:
水素原子、1乃至6個の炭素原子の直鎖状または分枝状低級アルキルラジカル、1乃至6個の炭素原子と3乃至7個のフッ素原子を有するフルオロアルキルラジカル;
好ましくはフッ化物、塩化物又は臭化物であるハロゲンの原子;
OR’基(ここで、1乃至6個の炭素原子の直鎖状又は分枝状低級R’、1乃至6個の炭素原子と3乃至7個のフッ素原子を有するフルオロアルキルラジカル)、
から選択される。
【0044】
Bが式(II)の基であり、かつAが式(IX)の基である式(I)の化合物は以下の式(X)に対応する:
【0045】
【化13】
ここで、Y1、R1、R2、R17、X1及びX4は、上記したものと同じであり、R3、R4、R5、R6及びR7は同一であるか又は異なっており、かつ水素原子と、ハロゲンの原子であってより詳細にはフッ化物、塩化物及び臭化物であるハロゲンの原子と、−OH基、−OR8基、−OCOR9基(ここで、R8及びR9は1乃至6個の炭素の直鎖状又は分枝状低級アルキルラジカル)と、アミノ基−NH2若しくは−N(r,r’)基(ここで、r及びr’は同一であるか又は異なっており、かつ直鎖状又は分枝状の低級アルキルラジカル、アリールラジカル、或いはヘテロ環であってr及びr’を合わせて好ましくはパラ位にある変更可能な大きさのヘテロ環を形成するヘテロ環、である)と、から選択される。
【0046】
好ましい化合物は、式(X)の化合物であり、R3は−OR8基であり、かつ置換基R4、R5、R6及びR7のうちの少なくとも二つは水素原子である。これらのうちで、Y1が炭素原子である式(X)の化合物が特に好ましい。
【0047】
本発明は、可能な限り、生理学的に耐え得る製薬上の酸と、上述の化合物と、の塩に関する。
生理学的に許容可能な製薬上の塩の例としては、非限定的ではあるが、酢酸、塩酸、桂皮酸、クエン酸、ギ酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、マロン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、ピクリン酸、マレイン酸、乳酸、ニコチン酸、フェニル酢酸、リン酸、コハク酸及び酒石酸の塩、アンモニウム、ジエチルアミン、ピペラジン、ニコチンアミド、尿素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム、メチルアミノ、ジメチルアミノ、トリメチルアミノ及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの塩を挙げることができる。
【0048】
本発明は、上述の化合物又はその製薬的に許容可能な塩の少なくとも一つを活性成分として含むヒト又は動物のための製薬組成物に関する。
実際に、これらの化合物は、アテローム性動脈硬化及び動脈の再狭窄の治療に有用である。それらは、腹部脂肪の蓄積による体重増加を低減するという特性を有するとともに、総コレステロール及び遊離コレステロールレベルの増大及び動脈壁上のトリグリセリドの堆積を低減するという特性並びにアテロームプラークにおけるマクロファージの蓄積を低減するという特性を有する。これらの化合物は特に、細胞内脂質小胞の蓄積を阻害することによって泡沫マクロファージ細胞の形成を阻害する特性を有する。従って、拡大解釈すれば、これらの分子は、肝細胞、平滑筋細胞、含脂肪細胞及び内皮細胞のような細胞中における脂質小胞の蓄積を阻止することによって、肥満、2型糖尿病、脳虚血及び肝脂肪変性の治療を可能にする。
【0049】
従って、これらの化合物は、脂質代謝に関連した全ての疾病の治療及び可能性としては予防のための方法又は製薬組成物における活性成分として有用である。この点において、特に、これらの機能異常:即ち、アテローム性動脈硬化、肥満、2型糖尿病若しくはインシュリン耐性、心不全及び脳虚血(脳梗塞)に関連した疾患に加えて、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、異常リポタンパク血症、乳糜血症、脂肪異栄養症及び高血糖症が挙げられる。
【0050】
更に、これらの化合物は動脈壁の狭窄を低減する特性を有しているので、再狭窄の治療及び可能性として予防のための方法又は製薬組成物における活性成分として有用である。
本発明に従う製薬組成物は、上述の化合物の少なくとも一つを十分な量において含む。
【0051】
インビボにて得られた結果及び以下の実験の部に示された結果に基づいて、本発明の組成物は、治療の一部として、本発明の一つ若しくは複数の化合物が体重kg当り、0.01乃至500mg/日の複数回投与にて投与され得る。
【0052】
本発明に従う製薬組成物の製剤は、製薬の分野において一般的に使用されているタイプのものである。
一例として、これらは、塩若しくは電解質、スコルビック酸塩、水若しくは緩衝液、コロイド溶液、セルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリレート、ロウ、タンパク質に基づく物質、又は治療作用において有用な活性化合物を溶解するか或いは溶解して精製することが可能なその他任意の物質のような製薬的な担体を含む。
【0053】
本発明の組成物は、注射剤にて、又は経口若しくは非経口投与にて、噴霧剤にして経鼻投与にて、リザーバ若しくはディスペンサを埋め込むことによる直腸若しくは膣内投与にて、又は製薬の分野にて使用されるその他任意の剤型にて投与され得る。
【0054】
これらの組成物の注射剤は、水性又は油性の懸濁剤であり得る。これらの懸濁剤は、例えば1,3−ブタンジオールのような非毒性の溶媒又は希釈剤を使用することにより、当該技術分野において使用されている任意の工程に従って製剤化され得る。許容可能な溶媒のうち、水、緩衝液、リンガー溶液又は等張塩溶液を使用することができる。その他の許容可能な希釈剤は、合成モノ−またはジ−グリセリド、長鎖アルコール、カルボキシメチルセルロースのような分散剤、又は製薬懸濁剤の調製に使用される任意のその他の希釈剤又は乳化剤から形成され得る。
【0055】
経口にて投与される本発明の製薬組成物は、カプセル、錠剤若しくは水性縣濁剤の剤型であるか、又は乳剤の剤型であり得る。これらの製剤は、可能性として、風味を低減又は改善することを意図した化合物を含むこともできる。
【0056】
本発明の製薬組成物は、活性化合物を放出するために、非刺激性かつ非アレルギー性の賦形剤であって、室温で固体でありかつ直腸の温度にて液状となる賦形剤と該製品とを混合することにより坐剤として投与され得る。そのような製剤は例えば、蜜ロウ、ポリエチレングリコール又はカカオ脂を使用可能である。
【0057】
これらの製薬組成物はまた、本発明の一つ又は複数の化合物と一つ又は複数のその他の治療用分子との組み合わせを含み得る。これらの分子は、例えば、「スタチン」のようなコレステロール合成を低減させる脂質低下剤、例えばロザルタンのようなアンジオテンシンII転換酵素阻害剤、抗カルシウム剤、抗血栓剤、βブロッカー、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体のクラス(PPARクラス)の構成要素の阻害剤、フェノフィブレートのようなトリグリセリド合成若しくは代謝阻害剤、トログリタゾン又はピオグリタゾンのようなインシュリン耐性を増大させることが可能な活性剤、及び一般的に、本発明において記載された化合物の薬理学的特性を改善することが可能なその他任意の分子であり得る。
【0058】
本発明はまた、本発明に従う製薬組成物の調製において本発明に従う化合物を使用することに関する。
本発明はまた、式(I)の化合物の調製及び活性成分として上述の化合物の少なくとも一つを含む製薬組成物に関する。
【0059】
式(I)の化合物は、当該技術分野における当業者に周知の方法により調製され得る。この点において、本発明は、上記式により図示され、かつ以下の操作方法の例における合成の一般的な方法を記載しており、該方法において、出発化合物は市販にて入手可能であるか、又は当該技術分野の当業者に周知であり、かつ従来の有機化学の書物(エム.ビー.スミス(M.B.Smith)及びジェイ.マーチ(J.March)による「Advanced Origanic Chemistry」(John Wiley & Sons刊行)、エイ.アール.カトリッキー(A.R.Katritzky)による「Handbook of Heterocyclic Chemistry」(Pergamon刊行)及びジェイ.エイ.ジュール(J.A.Joule)及びケイ.ミルズ(K.Mills)による「Heterocyclic Chemistry」(Blackwell Science刊行))に記載の有用な方法に従って合成され得る。
【0060】
本発明は式(I)の化合物の特定の合成経路に制限されることはなく、該化合物の製造を可能にするその他の方法に拡張されることが意図されている。従って、一例として、式(I)の化合物は、液相又は固体媒体上の平行した相のいずれかにおいて調製され得る。以下に記載された方法は非限定的ではなく、本発明の化合物を調製するために、置換されたイミンN=Cタイプの二重結合の作製を可能にするその他任意の工程が使用され得る。
【0061】
【化14】
上述の式において、R1、R2、A及びBは既に述べたものと同じである。
【0062】
上述の式に従って、式(I)の本発明の化合物は、式A−CO−NR1−NH2により示されるカルボ−ヒドラジドを指定する出発物質と、式R2−CO−Bにより示されるアルデヒド又はケトンとの間の縮合反応により直接調製され、ここで、一方における置換基A及びR1と、他方における置換基B及びR2は式(II)乃至(VIII)において記載されたものと同様の意味をそれぞれ有する。使用されたこれらの出発物質は市販されており、メイブリッジ(Maybridge)社(英国)又はファルツ−バウアー(Pfaltz−Bauer)社(米国)のような化学会社から注文にて入手可能であるが、会社の選択に関しては絶対的なものではない。
【0063】
この縮合反応は、不活性雰囲気下、好ましくは室温である0乃至50℃にて、好ましくはヒューニッヒのイソプロピルエチルアミンDIETである第三級アミン有機塩基の存在下にて、好ましくは無水ジメチルホルムアミド(DMF)である非プロトン性両性溶媒若しくはエタノール中にて、6乃至8時間還流することにより優先的に実施される。反応の進行状況の監視はHPLC分析により実施され、好ましくは24時間未満である反応時間の制御を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
本発明のその他の利点及び特徴は、以下に記載されるとともに添付された図面を参照してなされる実施例から明らかであろう。
【実施例1】
【0065】
CGP02−01の合成
28mlの無水DMF中に溶解した510.08mgの市販の酸[ベンゾ(b)チオフェン]−2−カルボン酸ヒドラジドを、マグネチックスターラを備えた乾燥した三角フラスコ中に入れた。256μlのDIEA(ジエチルイソプロピルアミン)を加えた後、溶液を室温にて5分間攪拌した。この僅かに黄色を帯びた溶液中に、538.27mgの4,6−ジメトキシサリチルアルデヒドを加えて、媒体を室温にて24時間攪拌した。反応の進行状況を出発物質が完全に消費されるまで、HPLC分析にて監視した。溶媒を蒸発後、得られた固体残渣をCH3CNにて再結晶し、引き続きエチルエーテルにて洗浄した。N’−[(1E)−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)メチレン]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボヒドラジドの精製物が得られ、黄色固体であった(743.6mg、収率=71%)。
【0066】
物理的及び化学的特性:
分子量: 356.40 g/モル
融点:205.4°C
LC−MS純度:100%(M+1=357.33)
HPLC純度:95.8%(保持時間:20分、UV検出:200−400nm)
RMN 1H (DMSO−d6;400MHz):δ(ppm)3.799(s,3H,OCH3),3.862(s,3H,OCH3),6.16(s,1H,Ar),6.17(s,1H,Ar)7.495(m,2H,Ar),8.02(dd,1H,J=7.2Hz及び1.3Hz),8.07(dd,1H,Ar,J=7.2Hz及び1.4Hz),8.231(s,1H,CH=C),8.861(s,1H,CH=N),12.26(s,1H,CH=N),12.26(s,1H,OH),12.348(s,1H,N−NH−CO)。
【0067】
NMR C13(DMSO−d6,400MHz):δ(ppm)55.438(OCH3),55.948(OCH3),90.524(CH,Ar),93.843(CH,Ar),122.846(CH,Ar),125.097(CH,Ar),124.439(2CH,Ar),125.684(CH−C),126.577(CH=N),145.980(CO−NH=N)。
【0068】
IR−FT(KBr 0.05%):3445.66(Ar−OH),1630.21(−CO−NH=N),1600.27(−NH−N=C−)cm−1。
元素分析:C18H16N2O4S+0.5H2O
【0069】
【表1】
【実施例2】
【0070】
細胞培養
分子CGP02−01が属するクラスの分子の、細胞内小胞における脂質の結合と蓄積に対する効果を示すために、複数の永久細胞系を使用した。これらの細胞はリポタンパク質や、例えば酸化若しくはアセチル化されたトリグリセリド若しくはカイロミクロンのような修飾リポタンパク質を組み込むことができる。これらの細胞は、自身を泡沫細胞に変形することが可能であり、従って粥腫形成表現型を表す。一例として、THP1、U937、KG1細胞又は、マクロファージ、内皮細胞、平滑筋細胞、肝細胞又は含脂肪細胞として活性化又は分化され、引き続いてリポタンパク質を含む媒体の存在下において培養することのできる任意のその他の細胞を使用することが可能である。
【0071】
リポタンパク質又は脂肪酸の結合の特異的な膜レセプタを発現するために遺伝的に修飾されたその他のタイプの細胞もまた使用可能である。これらの膜レセプタは、SRAI、SRAII、SRBI、CD36又は脂肪酸レセプタ(FABP)のファミリーの構成要素のようなタンパク質を含むスカベンジャ分子のファミリーの一部を形成することができる。
【0072】
一例として、10−7Mの濃度にて、フォルボール12−ミリステート−13−アセテート(PMA)の作用下にて分化されたTHP1細胞型の細胞をより詳細に述べることができ、それらは化合物CGP02−01の存在下又は非存在下にて泡沫マクロファージの形成時に観察される脂質小胞の形成及び蓄積を測定するために使用された。
【0073】
細胞は、96−ウェルプレート内にて、1%、2%、5%又は10%のウシ胎仔血清(FCS)、100ユニット/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、200mMのL−グルタミンを含むRPMI−1640培地又はMEM培地中に、1、2又は5×105細胞/mlの密度にて、37℃で、CO2インキュベータ内にて培養した。培養培地は、二日おきに取り替えた。
【0074】
本実施例において、細胞内の脂質小胞の蓄積は、該小胞を視認化するためにオイルレッドOタイプの蛍光マーカを含む溶液を使用して、PBS培地中にパラホルムアルデヒドを用いた固定化に続いてTHP1細胞を使用して測定した。小胞内に豊富に含まれる細胞の画像はCCDカメラと分析に必要なソフトウェアとを備えた顕微鏡を用いて分析した。
【0075】
THP−1細胞(5×105細胞/ml)(ECACC)は、10%のウシ胎仔血清(FCS)、200mMのL−グルタミン、100ユニット/mlのペニシリン及び100μg/mlのストレプトマイシン(インビトロージェン−ライフ テクノロジーズ(Invitrogen−Life Technologies)社)を含むRPMI−1640培地中に、37℃で、5%のCO2を備えたインキュベータ内にて維持及び培養した。培養培地は、2〜3日おきに取り替えた。
【0076】
THP−1の分化を誘導するために、1.25×105細胞/ウェルを、96−ウェル培養プレートのウェル内に、10−7のフォルボール12−ミリステート−13−アセテート(シグマ社)を含む培養培地に、37℃、5%のCO2にて24時間、堆積させた。分化したTHP−1は引き続いて、分子CGP02−01(10−5M乃至3.16×10−10Mの濃度)の存在下又は非存在下にて、シアニン3(1.5μg/ml)と結合したLDLoxとともに、37℃、5%のCO2にて24時間、インキュベートした。細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定した後、核をHoechst33342(10μg/ml)を用いて室温にて20分間標識化した。2回洗浄の後、シアニン3及びHoechst33342に関連したシグナルの16画像/ウェルを、CCDカメラに接続した蛍光顕微鏡を用いて撮影した。各画像は、メタモルフ(MetaMorph)ソフトウェア(ユニバーサル・イメージング(Universal Imaging)社)を用いて分析及び定量した。
【0077】
以下の表1は、スカベンジャCD36を発現する細胞による、シアニン3で標識化したリポタンパク質の脂質小胞の形成における結合及び蓄積の阻害率を報告する。細胞は、このクラスを構成する分子の各々の存在下にてインキュベートされ、2.5μMの各分子に対する最終濃度及び同一の濃度における分子CGP02−01にて示した。
【0078】
【表2】
別表1にある表は、上記表1に関連したそれらのコード及び同様にTHP1細胞における25μMの濃度での24時間の阻害率に加え、本発明の化合物の構造を与える。
【0079】
これらのクラスの好ましい化合物の一つは、化合物CGP02−01である。分化型THP1マクロファージ細胞が、1μMの濃度にてこの化合物の存在下にて培養された場合、脂質小胞の蓄積の強い阻害が観察される(図1)。この阻害効果は、生成物CGP02−01の濃度に依存する(図1)。
【0080】
化合物CGP02−01は参照生成物として選択したが、同一のクラスのその他の化合物も同様の活性を示し、かつ細胞内脂質の蓄積を阻止することが可能である。図7は、同一のクラスの分子の一部を形成する化合物CGP02−02及びCGP02−03の活性の阻害を示す。
【実施例3】
【0081】
アテロームマウスの処置
脂質代謝、動脈病巣の形成及びアテローム様プラークの進行における変化を研究するために異なるタイプの動物を使用した。これらの動物は市販されている。マウス、ラット、高脂血症ウサギ(HWWL)又はブタ若しくはサルのようなそれらより大きな動物が使用可能である。遺伝子操作された動物、例えば、ApoE−/−、LDL−R−/−及びApoAI−/−マウスもまた使用可能である。
【0082】
二つのタイプの動物モデルを使用した。
最初に、Apoリポタンパク質Eに対するコーディング遺伝子を欠いているマウス(ApoE−/−)を使用した。これらのマウスは、初期のアテローム性動脈硬化及び泡沫マクロファージに富んだプラークの発達を研究するために選択されたモデルである。ApoE遺伝子を欠いた雄性C57BL/6Jマウスホモ接合体は8週齢となるまで通常の食餌計画を受けた。引き続き、これらのマウス(一群n=8)は、12週間の間、コレステロール若しくは脂質が豊富ではない食餌計画又は豊富な食餌計画(牛乳由来の1.5g/kgのコレステロール及び200g/kgの脂質を含む)を適宜受けた。未処置のマウスは、DMS0を10%にて含む溶液の腹腔内注射を毎日受けた。処置マウスは、2又は20μgの化合物CGP02−01を含む同一の溶液(即ち、0.1mg/kg/日又は1mg/kg/日)の腹腔内注射を受けた。生化学分析のための血液サンプルを採取後、該マウスをと殺した。
【0083】
第二に、化合物CGP02−01の活性は、対照ラット−フルクトースモデルを使用して試験した。ウィスター系ラットの複数の群(n=12)は10%のフルクトースを含む食餌計画を三週間受けた。これらの条件下において、ラットは、高血糖症、高インシュリン血症、高コレステロール血症及び高トリグリセリド血症を含むメタボリック症候群が進行した。引き続き、ラットの群は、メチルセルロース中に調製した2%Tween溶液に溶解した50mg/kgの化合物CGP02−01の強制的な供給を受けた。生化学分析のための血液サンプルの採取を1、2及び3週間後に実施した。独立したラットの群は、50mg/kgの用量にて塩酸メトホルミンを用いて、同様の条件下にて処置した。メトホルミンは、このメタボリック症候群モデルにおける対照として供されている。
【実施例4】
【0084】
血漿中の遊離コレステロールの測定
遊離コレステロールの測定は、酵素法にて実施可能である。遊離コレステロールはコレステロールオキシダーゼにより酸化され、デルタ4コレステノンとなり、かつ同時に過酸化水素を生成する。次に、過酸化水素はDHESA及びアミノアンチピリンの酸化濃縮を可能にし、青色になる。次に、遊離コレステロールの量を青色の吸光度にて測定する。サンプルは、EDTA及びヘパリンを含むクエン酸緩衝液にて回収した。この試験は、キットの形態にて、市販にて入手可能である。
【0085】
ApoE−/−マウスが通常の豊富ではない食餌計画を受け、かつ化合物CGP02−01(1mg/kg)にて処置された場合、エステル化されていないコレステロールの血漿レベルは大いに減少した。3ヶ月にわたって処置されていない動物では変化が観察され、平均が136±19g/Lであった。同一の期間、処置された動物において観察された変化は、105±6g/Lであり、即ち、22.7%の効果(p<0.05)であった。
【実施例5】
【0086】
血漿中の総コレステロールの測定
循環する総コレステロールは、市販のキットを用いた酵素分析により測定した。この分析は、例えば、コレステロール−エステラーゼ/コレステロールオキシダーゼ/発色ペルオキシダーゼ型の一連の酵素を使用する。要するに、エステル化された総コレステロールは、コレステロールエステラーゼの活性により遊離のコレステロール及び脂肪酸に変換される。次に、非エステル化コレステロールは、コレステロールオキシダーゼ及びペルオキシダーゼの存在下によるキノンイミンの形成により測定される。キノンイミンの着色強度は、サンプル中に存在するコレステロールの量に比例する。
【0087】
以下の表2は、コレステロールに富んだ食餌計画にさらすとともに化合物CGP02−01で処置したApoE−/−マウスのHDL及び総コレステロールの血漿レベルの変化を示す。ApoE−/−マウスをCGP02−01(1mg/kg)にて三ヶ月間処置した場合、総コレステロールの血漿レベルは、処置していない動物よりより顕著に減少した。マウスをコレステロールに富んだ食餌計画にさらした場合、総コレステロールレベルは7.27±0.55g/Lの値から6.86±0.65g/Lの値まで減少し、即ち、5.6%変化した。観察されたこの効果は、CGP02−01の用量に依存する。
【0088】
【表3】
フルクトースに富んだ食餌計画を受け、経口投与(50mg/kg)にて処置されたラットのモデルにおいて、化合物CGP02−01は、総コレステロールレベルにおいて顕著な減少を生じ(p<0.01)、0.79±0.05g/Lの値から0.36±0.03g/Lの値まで減少し、即ち、処置後3週間で、54.5%(p<0.01)の減少率であった。同様の条件下にて経口投与にて投与されたメトホルミン(50mg/kg)は、0.66±0.02g/Lの平均値で総コレステロールの16%が減少した(図12)。
【実施例6】
【0089】
循環するトリグリセリドの測定
血清トリグリセリドの分析は、市販のキットを用いて酵素的に実施可能である。例えば、ビオメリュー社のキット(参照61.238)を使用することができる。要するに、トリグリセリドはリパーゼで処理され、脂肪酸を生成する。ATPの存在において、グリセロールはグリセロキナーゼにより、グリセロール3リン酸に変換される。次に、グリセロール3リン酸はジヒドロキシアセトンに変換され、その際に過酸化水素水(H2O2)を生成し、それはパラクロロフェノール、アミノ−4−アンチピリン及びペルオキシダーゼの存在下にてキノンイミンの形成にて検出される。次に、キノンイミンの着色強度を505nmにて測定した。この着色は、サンプル中に存在するトリグリセリドの量に比例する。
【0090】
ApoE−/−マウスがコレステロール及び脂質に富んだ食餌計画を受け、かつ化合物CGP02−01(1mg/kg)にて3ヶ月間処置された場合、その血漿トリグリセリドレベルは変化し、この変化は未処置マウスに対して処置マウスでは2倍も大きかった。この変化は、未処置マウスの−0.67±0.54g/Lから処置マウスの−1.49±0.57g/L(p<0.01)まで減少した(図9)。
【0091】
フルクトースに富んだ食餌計画下にて化合物CGP02−01をラットに経口投与した場合、その血漿トリグリセリドレベルは、1.39±0.13g/Lから0.47±0.07g/Lまで減少し、即ち、その変化は66.2%(p<0.01)であった。同一の条件下において、メトホルミンはいかなる効果をも示さず、1.21±0.08g/Lの平均値であった(図10)。
【実施例7】
【0092】
血漿中のインシュリンの測定
血漿中のインシュリンの分析は、マウス又はラットの特異的抗インシュリン抗体を含む市販のキットを用いた放射性免疫分析にて実施した。例えば、リンコリサーチ(Linco research)社のラット/マウスELISAキット(参照、EZRMI−13K)を使用できる。
【0093】
コレステロールに富んだ食餌計画を受けたApoE−/−マウスを0.1若しくは1mg/kgの用量にて化合物CGP02−01にて処置した場合、血漿インシュリンレベルにおいて顕著な減少(p<0.01)が観察され、1.17±0.2ng/mLの値から0.95±0.16ng/Lの値まで減少し、即ち、18.8%の変化であった(図11)。
【0094】
同様に、化合物CGP02−01は、フルクトースに富んだ食餌計画を受けたラットのインシュリンレベルを、1.85±0.04の値から1.64±0.03の値まで減少させ、即ち、11.3%の変化であった。同一の条件下において、メトホルミンは、インシュリンレベルを16.2%低減した(図12)。
【実施例8】
【0095】
血漿中のHDLレベルの測定
血漿HDLレベルは、高密度リポタンパク質分離剤を使用する試験済みの市販の方法と、これらの高分子量リポタンパク質に関連したコレステロールレベルの測定により測定された(例えば、ビオメリュー社のキット、参照61533)。
【0096】
コレステロール及び脂肪酸に富んだ食餌計画を受けたマウスを化合物CGP02−01で処置した場合、その血漿HDLレベルは0.11±0.005g/Lから0.15±0.005g/Lまで増大し、即ち38.2%の変化であった。
【実施例9】
【0097】
腹部脂肪塊の測定
コレステロール及び脂質に富んだ食餌計画を受けたApoEマウスを化合物CGP02−01の0.1mg/kg及び1mg/kgの用量にて3ヶ月間処置した後にと殺した。腹部脂肪塊を切開により回収し、乾燥し、かつ乾燥重量で表した。
【0098】
化合物CGP02−01は、一定した体重増加において、腹部脂肪塊の顕著な低減を認めた(p<0.01)。マウスを1mg/kgで処置した場合、この腹部塊は760±231mgの値から393±78mgの値まで減少し、48.3%の減少率であった(図13)。この効果は、CGP02−01の用量に依存する。
【実施例10】
【0099】
大動脈内のトリグリセリドの堆積
大動脈壁に蓄積するトリグリセリドを以下の方法にて測定した。即ち、切開後、動物の大動脈を生理食塩水にて洗浄した。外膜の脂質塊を切開にて除去し、かつ脈間内膜媒体を乾燥した。トリグリセリドレベルを測定し、組織の乾燥重量に対するトリグリセリドの重量として表した。
【0100】
ApoE−/−マウスを1mg/kgの用量にて化合物CGP02−01にて3ヶ月間処置した場合、大動脈壁へのトリグリセリドの堆積は185±33μg/mgの平均値(n=8)(乾燥重量)から131±42μg/mg(乾燥重量)まで減少した。この効果は、注射された用量に依存する。0.1mg/kgの注射は156±31μg/mgの中間の変化を生じた。図14はこの結果を示す。
【実施例11】
【0101】
大動脈病巣の分析
マウスの大動脈は、パラホルムアルデヒドで固定し、病巣の組織学的分析のために10μmの切片に切開した(図6)。
【実施例12】
【0102】
冠動脈虚血の分析
通常の食餌計画又はコレステロールに富んだ食餌計画を受けたApoE−/−マウスをと殺後、これらの動物の心臓を肉眼にて観察した。虚血性病巣の割合を観察し(図15)、病巣の存在又は非存在により定量化した(図16)。
【実施例13】
【0103】
糖尿病ラットモデルにおける血漿グルコースレベルの測定
血糖は市販のキットを使用するヘキソキナーゼ法により測定した。例えば、ビオメリュー社のキット(参照:61269/61 270)を使用することができる。
【0104】
ラットをフルクトースに富んだ食餌計画にさらした場合、その血糖は時間の関数として増大し、かつ6.4±0.15ミリモル/Lの平均値(n=12)から10.65±0.24ミリモル/Lの平均値まで増大した(図14)。化合物GCP02−01は、経口投与にて21日間の処置後に血糖におけるこの増大を安定化した(図17)。
【実施例14】
【0105】
高血糖試験時における保護効果の測定
ラット(n=12)は、フルクトースに富んだ(10%)食餌計画を21日間受けた。14日目の後に、経口にて投与された化合物CGP02−01の存在下又は非存在下にて、2g/kgのグルコースの投与により高血糖ショックを誘導した。次に、血漿グルコースレベルを測定した。図18は誘導された高血糖に対する生成物の保護効果を示す。
【0106】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】蛍光剤シアニン3を使用して標識化されたリポタンパク質の存在下において培養されたマクロファージ細胞中における脂質小胞の蓄積における化合物CGP02−01の用量の増大における効果を示す。用量反応曲線は、5×10−7MのIC50値を示す。
【図2】化合物CGP02−01で処置したApoE陰性マウスにおける腹部脂肪塊の低減による体重増加の減少を示す。マウスは、一日当り20μgの用量にて化合物CGP02−01で41日間処置された。対照マウスと処置マウスは、コレステロールが過剰に負荷されることなく通常の食餌計画にて給餌された。
【図3】ApoE陰性マウスにおける血漿中の遊離コレステロールレベルの増加における化合物CGP02−01の効果を示す。マウスは、図2に記載された様式と同様の様式にて処置された。
【図4】化合物CGP02−01で処置された、又は未処置のApoE陰性マウスの総コレステロールレベルの変動を示す。
【図5】化合物CGP02−01で処置された、又は未処置のApoE陰性マウスの大動脈に存在するトリグリセリドレベルの変動を示す。
【図6】化合物CGP02−01で処置された、又は未処置のApoE陰性マウスにおけるアテローム性プラークにおける改善を示す。未処置のマウスの病巣においては、多くの泡沫マクロファージに加えて炎症を起こしそうな状態が認められ、処置されたマウスの大動脈では炎症反応が認められないことに加えてこれらのマクロファージの顕著な減少が認められる。
【図7】化合物CGP02−02及びCGP02−03による泡沫細胞の形成阻害を示す。分化したTHP1細胞は、シアニン3で標識化された酸化リポタンパク質(3μg/ml oxLDL)の存在下にて37℃にて25時間培養した。細胞は、異なる濃度にある化合物CGP02−02及びCGP02−03で処置した。条件は、図1と同様である。
【図8】フルクトースに富んだ食餌計画(10%)を受けたラットモデル(n=12)の処置より3週間後に、経口投与にて投与された化合物CGP02−01(50mg/kg)の血漿総コレステロール濃度(g/L)に対する効果を示す。この動物モデルにおける標準対照を提供するために、メトホルミンを同一の用量にて注射した。
【図9】コレステロールに富んだ食餌計画を受け、かつ化合物CGP02−01で三ヶ月間処置したApoE−/−マウスにおける血漿トリグリセリドレベル(g/L)における変動を示す。
【図10】フルクトースに富んだ食餌計画を受けたラットモデル(n=12)の処置より3週間後に、経口投与にて投与された化合物CGP02−01(50mg/kg)のトリグリセリドの血漿レベル(g/L)に対する効果を示す。食餌計画は、化合物CGP02−01を加えて3週間引き続いて維持された。各ラットが別々に分析された。この動物モデルにおける標準対照を提供するために、メトホルミンを同一の用量にて投与した。
【図11】コレステロールに富んだ食餌計画を受けたApoE−/−マウスにおけるインシュリンの血漿レベル(ng/mL)に対する、IP経路にて投与された化合物CGP02−01の効果を示す。マウスは3ヶ月間処置された。
【図12】フルクトースに富んだ食餌計画(10%)を受けたラットモデル(n=12)の処置より3週間後に、経口投与にて投与された化合物CGP02−01(50mg/kg)のインシュリンの血漿レベル(ng/L)に対する効果を示す。ラットは、10%のフルクトースを含む食餌計画で3週間毎日給餌された。食餌計画は、化合物CGP02−01を3週間加えて、引き続き維持された。各ラットが別々に分析された。この動物モデルにおける標準対照を提供するために、メトホルミンを同一の用量にて投与した。
【図13】コレステロールに富んだ食餌計画を受けたApoE−/−マウスにおける腹部肥満に対する、IP経路にて異なる用量にて注射された化合物CGP02−01の効果を示す。マウスは3ヶ月間処置された。
【図14】コレステロールに富んだ食餌計画を受けたApoE−/−マウスにおける大動脈壁内のトリグリセリドの堆積に対する、IP経路にて異なる用量にて注射された化合物CGP02−01の効果を示す。マウスは3ヶ月間処置された。
【図15】ApoE−/−マウスが通常の食餌計画又はコレステロールに富んだ食餌計画を受けた場合の冠動脈微細血管の微細塞栓の存在による冠動脈虚血の発生を示す(図A)。これらのマウスに化合物CGP02−01が注射された場合、これら心臓の病巣はかなり低減した(図B)。
【図16】通常の食餌計画を受けた場合(図A)とコレステロールに富んだ食餌計画を受けた場合(図B)のApoE−/−マウスの冠動脈病巣に対する化合物CGP02−01の用量の効果を示す。
【図17】フルクトースに富んだ食餌計画(10%)を受けたラットにおける血糖の増大に対する化合物GCP02−01の効果を示す。食餌計画は21日間維持された。化合物は、フルクトースの食餌期間に続いて経口投与にて投与された。図は化合物の安定した効果を示す。
【図18】フルクトースに富んだ食餌計画(10%)を受けたラットのグルコース耐性に対する化合物CGP02−01の有効な効果を示す。化合物は、経口投与にて投与され、14日目の後に、更に一回量の2g/kgのグルコースが投与された。血糖は、この血糖ショック後の30、60及び120分にて測定された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式(I)を備えた化合物:
【化1】
ここで、R1及びR2は同一であるか又は異なっており、かつ水素原子、1乃至6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の低級アルキルラジカル、又は1乃至6個の炭素原子と3乃至7個のフッ素原子とを有するフルオロアルキルラジカルから選択され、
Aは、一つ又は複数のヘテロ原子からなる一つ又は複数の環である芳香族基であり、かつ
Bは、置換されたフェノール基又は置換されたピリジン基である。
【請求項2】
Bが以下の式(II)の基であることを特徴とする請求項1に記載の式(I)の化合物:
【化2】
ここで、Y1はフェニル核を形成するための炭素原子であるか、又はピリジン核を形成するための窒素原子であり、かつR3、R4、R5、R6及びR7は同一であるか又は異なっているとともに、水素原子と、ハロゲンの原子であってより詳細にはフッ化物、塩化物及び臭化物であるハロゲンの原子と、−OH、−OR8又は−OCOR9(ここで、R8及びR9は1乃至6個の炭素である直鎖状又は分枝状低級アルキルラジカルを示す)である基と、アミノ基−NH2又は−N(r、r’)(ここで、r及びr’は同一であるか又は異なっており、かつ直鎖状又は分枝状の低級アルキルラジカル、アリールラジカル、或いはヘテロ環であってr及びr’を合わせて好ましくはパラ位にある変更可能な大きさのヘテロ環を形成するヘテロ環、である)と、から選択される。
【請求項3】
R3が−OR8基であり、かつ置換基R4、R5、R6及びR7のうちの少なくとも二つが水素原子であることを特徴とする請求項2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
Y1が炭素原子であることを特徴とする請求項2又は3に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
Aが以下の式(III)の基であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物:
【化3】
ここで、X1は:
酸素原子、この場合式(III)の基は、このヘテロ環のα又はβ炭素上の−(X4)n−アシル−ヒドラジド鎖の位置の官能基として2−フラニル又は3−フラニル核である;
硫黄原子、この場合式(III)の基は、α又はβ炭素上の−(X4)n−アシル−ヒドラジド鎖の位置の官能基として2−チオフェン又は3−チオフェン核であり、かつこの硫黄原子は、スルホキサイドを形成するために一つの酸素原子を保持することが可能であるか、若しくはスルホンを形成するために二つの酸素原子を保持することが可能である;
窒素原子、この場合式(III)の基は、このヘテロ環のα又はβ炭素上のアシル−ヒドラジド鎖の位置の官能基として2−ピロール又は3−ピロール核であり、かつこの窒素原子は水素原子、1乃至6個の炭素原子の低級アルキルラジカル、1乃至6個の炭素原子と3乃至7個のフッ素原子とを備えたフルオロアルキルラジカル、アシルラジカル−COR10(ここで、R10は1乃至6個の炭素原子の直鎖状又は分枝状アルキル鎖或いはアリール若しくはアラルキルラジカルである;
から選択され、
X2及びX3は、同一であるか又は異なっており、かつ以下の:
水素原子、1乃至6個の炭素原子の直鎖状若しくは分枝状低級アルキル鎖、1乃至6個の炭素原子と3乃至7個のフッ素原子とを備えたフルオロアルキルラジカル;
ハロゲンの原子であって、優先的にフッ化物、塩化物又は臭化物であるハロゲンの原子;
ニトロ−NO2基、アミノ−NH2基、又は−N(r,r’)基(ここで、r及びr’は同一であるか異なっており、かつ直鎖状又は分枝状低級アルキルラジカル、アリールラジカル或いは変更可能な大きさのヘテロ環である);
から選択され、
或いは更に、X2及びX3は、X1が酸素原子である場合に芳香性ベンゾフランヘテロ環を形成するために仮にこの環が窒素原子を含む場合には芳香性ベンゼン環又はアザベンゼン系の環に含まれ、X1が上述のようにフリーの又は置換された窒素原子である場合にはベンゾピロール核に含まれ、X1が上述のようにフリーの又は置換された硫黄原子である場合にはベンゾチオフェン核に含まれ、或いは更に仮に環内に窒素原子が存在する場合にはピリジノタイプの核に含まれ;
nは0又は1であり、
X4は存在する場合には、−CH2−、−OCH2−、又は−CH=CH−基である。
【請求項6】
N’−[(1E)−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)メチレン]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボヒドラジドと、
(2Z)−3−(2−フリル)−N’−[(1E)−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)メチレン]アクリロヒドラジドと、
N’−[(1E)−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)メチレン]−5−メチルチオフェン−2−カルボヒドラジドと、
2−フランカルボン酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジドと、
(1H−インドール−3−イル)酢酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジドと、
ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(3,5−ジブロモ−2−ヒドロキシ−ベンジリデン)−ヒドラジドと、
からなる群より選択されることを特徴とする請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
N’−[(1E)−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)メチレン]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボヒドラジド。
【請求項8】
Aが以下の式(V)の基であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物:
【化4】
ここで、nは0又は1であり、
X4は、存在する場合は、−CH2−、−OCH2−又は−CH=CH−基であり、
R11及びR12はそれぞれ同一であるか又は異なっており、−X4−を備えた結合に対して又はnが0の場合は−CO−を備えた結合に対して、オルト、メタ若しくはパラ位にあり、かつ1乃至6個の炭素原子の直鎖状若しくは分枝状低級アルキル若しくはアラルキル基、1乃至6個の炭素原子と3乃至7個にフッ素原子とを有するフルオロアルキルラジカル、−OH、−OR13から選択され、ここで、R13ラジカルは1乃至6個の炭素原子の直鎖状若しくは分枝状低級アルキル、又は特にこの場合に更に特定されてフッ化物であるハロゲンであり、R11及びR12がフッ素原子の場合、それは、X4又は残りの−CO−を備えた結合の側のいずれかにてオルト位にあり、
R12は水素原子であり、かつR11が−SO2NH2のスルホナミド基であり、−X4−を備えた結合又は残りの−CO−を備えた結合に対してパラ位であり、
又は更に、R11が水素原子であり、かつR12が、−X4−を備えた結合又は残りの−CO−を備えた結合に対してオルト位にある−Oフェニル基である。
【請求項9】
4−ジメチルアミノ−N’−[(1E)−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)メチレン]ベンゾヒドラジドと、
2−フェネチル安息香酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジドと、
N−[3−2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシ−ベンジリデン−ヒドラジノカルボニル−フェニル)]−プロピオナミドと、
(3−クロロ−フェノキシ)−酢酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジドと、
2−フェノキシ−安息香酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジドと、
2,6−ジフルオロ安息香酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジドと、
4−トリフルオロメチル安息香酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジドと、
3,4−ジメトキシ安息香酸(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンジリデン)−ヒドラジドと、
からなる群より選択されることを特徴とする請求項8に記載の式(I)の化合物。
【請求項10】
Aが以下の式(VII)の基であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物:
【化5】
ここで、R15は、水素原子と、ハロゲンの原子であってより詳細にはフッ化物、塩化物若しくは臭化物であるハロゲンの原子と、−OH基と、−OR16基とから選択され、ここで、R16は1乃至6個の炭素の直鎖状又は分枝状低級アルキルラジカル、或いは、より詳細にはトリフルオロメチルラジカルCF3である1乃至6個の炭素と3乃至7個のフッ素原子とを有するフルオロアルキルラジカルであり、かつR15は、3−オキソ−3,4−ジヒドロベンゾチアジン−イルビシクロ芳香性部分の4つの残りのフリーの部位の一つに配置され、かつ
R14は1乃至6個の炭素の直鎖状又は分枝状低級アルキルラジカルであり、より詳細にはシクロプロピルラジカルである。
【請求項11】
R14がキノリン基の2位にあり、かつAが以下の式(VII’)の基であることを特徴とする請求項10に記載の式(I)の化合物:
【化6】
ここで、R14及びR15は請求項10に記載のR14及びR15と同じである。
【請求項12】
2−シクロプロピルキノリン−4−カルボン酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシ−ベンジリデン)−ヒドラジドであることを特徴とする請求項10に記載の式(I)の化合物。
【請求項13】
Aが以下の式(IX)の基であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物:
【化7】
ここで、 X1及びX4は上記したものと同じであり、
nは0又は1であり、
R17は:
水素原子、1乃至6個の炭素原子の直鎖状または分枝状低級アルキルラジカル、1乃至6個の炭素原子と3乃至7個のフッ素原子を有するフルオロアルキルラジカル;
好ましくはフッ化物、塩化物又は臭化物の原子であるハロゲンの原子;
OR’基(ここで、1乃至6個の炭素原子の直鎖状又は分枝状低級R’、1乃至6個の炭素原子と3乃至7個のフッ素原子を有するフルオロアルキルラジカル);
から選択される。
【請求項14】
製薬的に許容可能な酸と請求項1乃至13のいずれか一項に記載の化合物との塩。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の少なくとも一つの化合物を活性成分として含む製薬組成物。
【請求項16】
脂質代謝障害に関連した疾患の治療及び予防の少なくとも一方を行うための請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
心臓血管系疾患の治療及び予防の少なくとも一方を行うための請求項15又は16に記載の組成物。
【請求項18】
請求項15乃至17のいずれか一項に記載の組成物であって、
アテローム性動脈硬化、動脈再狭窄、肥満、2型糖尿病、脳虚血、肝脂肪変性、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、異常リポタンパク血症、乳糜血症、脂肪異栄養症、高血糖症及びアテローム性動脈硬化からなる群より選択される疾患の治療及び予防の少なくとも一方を行うための組成物。
【請求項19】
請求項16乃至18のいずれか一項に記載の製薬組成物の調製のために、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の化合物を使用する方法。
【請求項1】
以下の一般式(I)を備えた化合物:
【化1】
ここで、R1及びR2は同一であるか又は異なっており、かつ水素原子、1乃至6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の低級アルキルラジカル、又は1乃至6個の炭素原子と3乃至7個のフッ素原子とを有するフルオロアルキルラジカルから選択され、
Aは、一つ又は複数のヘテロ原子からなる一つ又は複数の環である芳香族基であり、かつ
Bは、置換されたフェノール基又は置換されたピリジン基である。
【請求項2】
Bが以下の式(II)の基であることを特徴とする請求項1に記載の式(I)の化合物:
【化2】
ここで、Y1はフェニル核を形成するための炭素原子であるか、又はピリジン核を形成するための窒素原子であり、かつR3、R4、R5、R6及びR7は同一であるか又は異なっているとともに、水素原子と、ハロゲンの原子であってより詳細にはフッ化物、塩化物及び臭化物であるハロゲンの原子と、−OH、−OR8又は−OCOR9(ここで、R8及びR9は1乃至6個の炭素である直鎖状又は分枝状低級アルキルラジカルを示す)である基と、アミノ基−NH2又は−N(r、r’)(ここで、r及びr’は同一であるか又は異なっており、かつ直鎖状又は分枝状の低級アルキルラジカル、アリールラジカル、或いはヘテロ環であってr及びr’を合わせて好ましくはパラ位にある変更可能な大きさのヘテロ環を形成するヘテロ環、である)と、から選択される。
【請求項3】
R3が−OR8基であり、かつ置換基R4、R5、R6及びR7のうちの少なくとも二つが水素原子であることを特徴とする請求項2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
Y1が炭素原子であることを特徴とする請求項2又は3に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
Aが以下の式(III)の基であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物:
【化3】
ここで、X1は:
酸素原子、この場合式(III)の基は、このヘテロ環のα又はβ炭素上の−(X4)n−アシル−ヒドラジド鎖の位置の官能基として2−フラニル又は3−フラニル核である;
硫黄原子、この場合式(III)の基は、α又はβ炭素上の−(X4)n−アシル−ヒドラジド鎖の位置の官能基として2−チオフェン又は3−チオフェン核であり、かつこの硫黄原子は、スルホキサイドを形成するために一つの酸素原子を保持することが可能であるか、若しくはスルホンを形成するために二つの酸素原子を保持することが可能である;
窒素原子、この場合式(III)の基は、このヘテロ環のα又はβ炭素上のアシル−ヒドラジド鎖の位置の官能基として2−ピロール又は3−ピロール核であり、かつこの窒素原子は水素原子、1乃至6個の炭素原子の低級アルキルラジカル、1乃至6個の炭素原子と3乃至7個のフッ素原子とを備えたフルオロアルキルラジカル、アシルラジカル−COR10(ここで、R10は1乃至6個の炭素原子の直鎖状又は分枝状アルキル鎖或いはアリール若しくはアラルキルラジカルである;
から選択され、
X2及びX3は、同一であるか又は異なっており、かつ以下の:
水素原子、1乃至6個の炭素原子の直鎖状若しくは分枝状低級アルキル鎖、1乃至6個の炭素原子と3乃至7個のフッ素原子とを備えたフルオロアルキルラジカル;
ハロゲンの原子であって、優先的にフッ化物、塩化物又は臭化物であるハロゲンの原子;
ニトロ−NO2基、アミノ−NH2基、又は−N(r,r’)基(ここで、r及びr’は同一であるか異なっており、かつ直鎖状又は分枝状低級アルキルラジカル、アリールラジカル或いは変更可能な大きさのヘテロ環である);
から選択され、
或いは更に、X2及びX3は、X1が酸素原子である場合に芳香性ベンゾフランヘテロ環を形成するために仮にこの環が窒素原子を含む場合には芳香性ベンゼン環又はアザベンゼン系の環に含まれ、X1が上述のようにフリーの又は置換された窒素原子である場合にはベンゾピロール核に含まれ、X1が上述のようにフリーの又は置換された硫黄原子である場合にはベンゾチオフェン核に含まれ、或いは更に仮に環内に窒素原子が存在する場合にはピリジノタイプの核に含まれ;
nは0又は1であり、
X4は存在する場合には、−CH2−、−OCH2−、又は−CH=CH−基である。
【請求項6】
N’−[(1E)−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)メチレン]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボヒドラジドと、
(2Z)−3−(2−フリル)−N’−[(1E)−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)メチレン]アクリロヒドラジドと、
N’−[(1E)−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)メチレン]−5−メチルチオフェン−2−カルボヒドラジドと、
2−フランカルボン酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジドと、
(1H−インドール−3−イル)酢酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジドと、
ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(3,5−ジブロモ−2−ヒドロキシ−ベンジリデン)−ヒドラジドと、
からなる群より選択されることを特徴とする請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
N’−[(1E)−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)メチレン]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボヒドラジド。
【請求項8】
Aが以下の式(V)の基であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物:
【化4】
ここで、nは0又は1であり、
X4は、存在する場合は、−CH2−、−OCH2−又は−CH=CH−基であり、
R11及びR12はそれぞれ同一であるか又は異なっており、−X4−を備えた結合に対して又はnが0の場合は−CO−を備えた結合に対して、オルト、メタ若しくはパラ位にあり、かつ1乃至6個の炭素原子の直鎖状若しくは分枝状低級アルキル若しくはアラルキル基、1乃至6個の炭素原子と3乃至7個にフッ素原子とを有するフルオロアルキルラジカル、−OH、−OR13から選択され、ここで、R13ラジカルは1乃至6個の炭素原子の直鎖状若しくは分枝状低級アルキル、又は特にこの場合に更に特定されてフッ化物であるハロゲンであり、R11及びR12がフッ素原子の場合、それは、X4又は残りの−CO−を備えた結合の側のいずれかにてオルト位にあり、
R12は水素原子であり、かつR11が−SO2NH2のスルホナミド基であり、−X4−を備えた結合又は残りの−CO−を備えた結合に対してパラ位であり、
又は更に、R11が水素原子であり、かつR12が、−X4−を備えた結合又は残りの−CO−を備えた結合に対してオルト位にある−Oフェニル基である。
【請求項9】
4−ジメチルアミノ−N’−[(1E)−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)メチレン]ベンゾヒドラジドと、
2−フェネチル安息香酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジドと、
N−[3−2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシ−ベンジリデン−ヒドラジノカルボニル−フェニル)]−プロピオナミドと、
(3−クロロ−フェノキシ)−酢酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジドと、
2−フェノキシ−安息香酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジドと、
2,6−ジフルオロ安息香酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジドと、
4−トリフルオロメチル安息香酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシベンジリデン)−ヒドラジドと、
3,4−ジメトキシ安息香酸(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンジリデン)−ヒドラジドと、
からなる群より選択されることを特徴とする請求項8に記載の式(I)の化合物。
【請求項10】
Aが以下の式(VII)の基であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物:
【化5】
ここで、R15は、水素原子と、ハロゲンの原子であってより詳細にはフッ化物、塩化物若しくは臭化物であるハロゲンの原子と、−OH基と、−OR16基とから選択され、ここで、R16は1乃至6個の炭素の直鎖状又は分枝状低級アルキルラジカル、或いは、より詳細にはトリフルオロメチルラジカルCF3である1乃至6個の炭素と3乃至7個のフッ素原子とを有するフルオロアルキルラジカルであり、かつR15は、3−オキソ−3,4−ジヒドロベンゾチアジン−イルビシクロ芳香性部分の4つの残りのフリーの部位の一つに配置され、かつ
R14は1乃至6個の炭素の直鎖状又は分枝状低級アルキルラジカルであり、より詳細にはシクロプロピルラジカルである。
【請求項11】
R14がキノリン基の2位にあり、かつAが以下の式(VII’)の基であることを特徴とする請求項10に記載の式(I)の化合物:
【化6】
ここで、R14及びR15は請求項10に記載のR14及びR15と同じである。
【請求項12】
2−シクロプロピルキノリン−4−カルボン酸(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシ−ベンジリデン)−ヒドラジドであることを特徴とする請求項10に記載の式(I)の化合物。
【請求項13】
Aが以下の式(IX)の基であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物:
【化7】
ここで、 X1及びX4は上記したものと同じであり、
nは0又は1であり、
R17は:
水素原子、1乃至6個の炭素原子の直鎖状または分枝状低級アルキルラジカル、1乃至6個の炭素原子と3乃至7個のフッ素原子を有するフルオロアルキルラジカル;
好ましくはフッ化物、塩化物又は臭化物の原子であるハロゲンの原子;
OR’基(ここで、1乃至6個の炭素原子の直鎖状又は分枝状低級R’、1乃至6個の炭素原子と3乃至7個のフッ素原子を有するフルオロアルキルラジカル);
から選択される。
【請求項14】
製薬的に許容可能な酸と請求項1乃至13のいずれか一項に記載の化合物との塩。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の少なくとも一つの化合物を活性成分として含む製薬組成物。
【請求項16】
脂質代謝障害に関連した疾患の治療及び予防の少なくとも一方を行うための請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
心臓血管系疾患の治療及び予防の少なくとも一方を行うための請求項15又は16に記載の組成物。
【請求項18】
請求項15乃至17のいずれか一項に記載の組成物であって、
アテローム性動脈硬化、動脈再狭窄、肥満、2型糖尿病、脳虚血、肝脂肪変性、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、異常リポタンパク血症、乳糜血症、脂肪異栄養症、高血糖症及びアテローム性動脈硬化からなる群より選択される疾患の治療及び予防の少なくとも一方を行うための組成物。
【請求項19】
請求項16乃至18のいずれか一項に記載の製薬組成物の調製のために、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の化合物を使用する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2007−519691(P2007−519691A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550247(P2006−550247)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000199
【国際公開番号】WO2005/082882
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(505233583)
【氏名又は名称原語表記】CLINIGENETICS
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000199
【国際公開番号】WO2005/082882
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(505233583)
【氏名又は名称原語表記】CLINIGENETICS
【Fターム(参考)】
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