説明

ヒートシンク装置

【課題】加工が容易で冷却性能が高いヒートシンク装置を提供すること。
【解決手段】発熱体1が接合され、冷媒が流れる冷媒用流路10を有するベース板4と、上記冷媒用流路内へ挿入される板材で、上記ベース板の厚み方向に沿って立設され、かつ上記冷媒用流路における冷媒の主流方向31に交差して配向され、かつ上記冷媒が通過可能な開口21を有する板材20とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートシンク装置に関し、詳しくは発熱体としての例えば半導体装置が接合され強制冷却されるヒートシンク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のヒートシンク装置は、発熱体としての例えば半導体装置を取り付けた基盤に対して、上記半導体装置とは反対側にて、強制的な空気流が通過する流路を形成する板状の第1フィンが設けられている。この第1フィンには、該第1フィンを貫通する穴が形成されており、上記空気流は第1フィンの上記穴を通過する。該穴から噴出した気流が衝突する位置には、上記第1フィンに対向して第2フィンが上記基盤に設けられ上記空気流の流路を形成する。このように、第1フィンと第2フィンとが交互に上記基盤に配置されている。
【0003】
このような構成を採ることで、第1フィンの穴から噴出した気流が第2フィンに当たり、第2フィンの穴から噴出した気流が第1フィンに当たることから、上記半導体装置から上記基盤を介して上記第1フィン及び第2フィンに伝導した熱を効率良く除去することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−299871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のヒートシンク装置にあっては、上述のように対向する第1フィン及び第2フィンのそれぞれに貫通穴を設ける必要があった。一般的にフィンは、伝熱効率を増加させるため、熱伝導率の高い金属製であることが多い。しかし、金属製のフィンに穴を設けることは、加工工程が複雑になるという問題があった。
【0006】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、加工が容易で冷却性能が高いヒートシンク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の一態様におけるヒートシンク装置は、発熱体が接合され冷媒が流れる冷媒用流路を有するベース板と、上記冷媒用流路内へ挿入される板材で、上記ベース板の厚み方向に沿って立設され、かつ上記冷媒用流路における冷媒の主流方向に交差して配向され、かつ上記冷媒が通過可能な開口を有する板材と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様におけるヒートシンク装置によれば、ベース板に形成される冷媒用流路内へ挿入して配置される板材を備えた。この板材は、上記冷媒用流路内に配置されるもので、伝熱用部材として作用するものではない。よって、上記ベース板やフィンとは別の材料で、加工性に優れた例えば樹脂にて作製することが可能となる。また、既存の冷媒用流路を加工することなく上記板材を挿入すればよい。したがって、従来に比べてヒートシンク装置の加工が容易となり、コスト削減を図ることもできる。さらに、上記板材は、冷媒の主流方向に交差して配向されて上記冷媒用流路内に配置され、かつ冷媒が通過可能な開口を有する。よって、上記開口から噴出する冷媒は、冷媒用流路を形成する上記フィンへ噴射されフィンに当たる。したがって、ベース板からフィンに伝導した熱をフィンから効率的に除去することができ、冷却性能の向上を図ることができる。このように、本発明の一態様におけるヒートシンク装置によれば、加工が容易でかつ冷却性能が高いヒートシンクを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】本発明の実施の形態1におけるヒートシンク装置の構成を示す斜視図である。
【図1B】図1Aに示すA−A’部の一部を示す断面図である。
【図1C】図1Aに示すB−B’部における断面図である。
【図2】本発明の実施の形態2におけるヒートシンク装置の構成を示す斜視図である。
【図3A】本発明の実施の形態3におけるヒートシンク装置の板材部分を示す斜視図である。
【図3B】図3Aに示す板材における開口の変形例を示す斜視図である。
【図3C】図3Aに示す板材における開口の別の変形例を示す斜視図である。
【図3D】図3Aに示す板材における開口のさらに別の変形例を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態4におけるヒートシンク装置において、図1Cに相当する部分の断面図である。
【図5A】本発明の実施の形態5におけるヒートシンク装置の板材部分を示す斜視図である。
【図5B】図5Aに示す板材部分の変形例を示す斜視図である。
【図6A】本発明の実施の形態6におけるヒートシンク装置の板材部分を示す斜視図である。
【図6B】図6Aに示す板材部分の変形例を示す斜視図である。
【図7A】本発明の実施の形態7におけるヒートシンク装置の構成を示す斜視図である。
【図7B】図7Aに示すA−A’部の一部を示す断面図である。
【図7C】図7Aに示すヒートシンク装置の変形例の構成を示す斜視図である。
【図7D】図7Cに示すA−A’部の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態であるヒートシンク装置について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。
【0011】
実施の形態1.
図1(図1Aから図1Cの総称)は、本発明の実施の形態1によるヒートシンク装置101を示している。ヒートシンク装置101は、基本的構成部分として、冷媒用流路10を有するベース板4と、板材20とを備え、本実施形態では、半導体装置1の放熱用として機能する。しかしながら、ヒートシンク装置101は、半導体装置1の放熱用に限定されるものではなく、発熱体の冷却用として用いることができる。
【0012】
ベース板4は、板材にてなり、その接合面4aには、発熱体の一例に相当する半導体装置1が接合される。尚、本実施形態では発熱体が半導体装置1であることから、半導体装置1は、熱伝導性接着剤にてベース板4の接合面4aに固定される。このように、発熱体は、その種類に応じて、ベース板4に対してロウ付けや、半田付け等の、ベース板4と発熱体とが熱的に伝導可能となる材料、手法にて接合面4aへ接合されればよい。
【0013】
又、ベース板4の接合面4aに対向する部材面4bには、ベース板4の厚み方向に相当するZ方向に沿って、放熱用部材の一例に相当するフィン2が突設されている。尚、本実施形態では、図示するように、半導体装置1をY方向に沿って列状に配置したことから、ベース板4はY方向に延在するが、半導体装置1つまり発熱体の配置は、図示例に限定するものではなく、ベース板の形状も図示例に限定されない。
【0014】
フィン2は、本実施形態では板状の部材にてなり、ベース板4の延在方向に相当するY方向に沿って延在し、また、Y方向及びZ方向に直交するX方向に沿って規定の間隔にて複数並設される。本実施形態1では、フィン2は、X方向において図示するように3つ以上を設けているが、少なくとも一つの下記冷媒用流路10が形成されるように、最少2つが形成されればよい。
このようなフィン2とベース板4とは、熱伝導性が良好な材料、例えば金属材等にて一体的に成形される。
【0015】
さらに、部材面4b側でベース板4に対向して蓋板3が配置される。このような蓋板3は、ベース板4及びフィン2と共に、隣接するフィン2間に冷媒用流路10を形成する板材である。
冷媒用流路10には、例えば空気等の気体や、水等の液体、等の冷媒が供給され、冷媒用流路10の延在方向に沿って流れる。このように本実施形態では、冷媒の主流方向31は、ベース板4の延在方向に相当するY方向と一致するが、ベース板4の延在方向に一致させる必要はない。
【0016】
また、本実施形態では、ベース板4の部材面4bのX方向における両側部分には、側壁11が部材面4bからZ方向に立設されており、これらの側壁11の各先端に蓋板3を結合して、フィン2を収納する凹部が形成されている。このように本実施形態では、隣接するフィン2間も含めて上記凹部全体が冷媒用流路10を形成している。
このような構成を採ることから、蓋板3は、本実施形態ではベース板4及びフィン2と同じ材料にて形成されるが、これに限定されず蓋板3の材料は、ベース板4及びフィン2とは異なる材料にて作製することも可能である。
【0017】
又、本実施形態では上述のような構成にて冷媒用流路10を形成したが、その形成方法を問うものではない。要するに、発熱体が接合されるベース板4に冷媒用流路10が存在すればよい。
【0018】
次に、板材20について説明する。
板材20は、冷媒用流路10内へ挿入される板状の部材である。本実施形態1では、板材20は、短冊状の帯材であり、一つの冷媒用流路10に対して1枚の板材20が挿入される。冷媒用流路10内において、板材20は、ベース板4の厚み方向に相当するZ方向に沿って、つまり図1Cに示すようにフィン2の立設方向と同方向に沿って配置され、さらに、それぞれの冷媒用流路10において、板材20は、冷媒の主流方向31に交差して配向される。即ち、本実施形態1では、図1Bに示すように、冷媒用流路10の主流方向31における両端部10a,10bに位置する対角部2a、2bを結んで、板材20は配置される。尚、後述の実施の形態7にて述べるように、板材20の配置は、上記対角部2a、2bを結ぶ形態に限定されない。
【0019】
このように配置される板材20は、さらに、冷媒用流路10を流れる冷媒が通過可能な開口を有する。本実施形態1では、上記開口は、板材20を貫通する、直径が約10mmの穴21(21a〜21d)の形態を採っている。本実施形態では、図1Aに示すように、板材20は、4つの穴21a〜21dを有するが、少なくとも1つの穴21を有すればよく、また5つ以上を有してもよい。又、穴21の形状及び大きさ、さらには配置位置についても、図示の形態に限定するものではなく、それぞれ適宜設定することができる。
【0020】
上述のような構成を有する板材20は、本実施形態の場合、例えば、それぞれの冷媒用流路10を構成する2つのフィン2の上記対角部2a、2bに板材20の両端部を固定してそれぞれの冷媒用流路10に設置される。尚、コスト低減のため、フィン2への板材20の固定を止め、単に、冷媒用流路10内へ板材20を挿入する形態を採ることもできる。
【0021】
又、上述のように板材20は冷媒用流路10内に挿入される部材であり、伝熱用の部材として作用させるものではない。したがって、板材20は、熱伝導性を考慮して金属材にて作製する必要はなく、むしろ、金属よりも加工性に優れる樹脂材等にて作製するのが好ましい。よって、従来に比べてヒートシンク装置の加工が容易となるという利点、また、低コストになるという利点がある。
【0022】
本実施形態では、上述のようにして板材20を冷媒用流路10内に設置した後、ベース板4の延在方向に相当するY方向におけるベース板4の両端には、冷媒の供給排出口5を有する端板6がそれぞれ接合される。尚、供給排出口5には、冷媒を強制的に供給する冷却装置例えばポンプ90が接続される。
【0023】
以上のように構成される本実施形態1におけるヒートシンク装置101の動作、つまり発熱体の冷却動作について、以下に説明する。
発熱体である半導体装置1から発生した熱は、ベース板4及びフィン2に伝導する。
【0024】
一方、端板6の供給排出口5を通して、冷媒としての例えば空気がそれぞれの冷媒用流路10に供給される。進入した空気は、冷媒の主流方向31に沿って各冷媒用流路10を流れる。このとき、該空気は、冷媒用流路10内の板材20に当たり、板材20の穴21a〜21dを通過する。この通過時に、空気は、流速の速い噴流32a、32b、32c、32dとして穴21a〜21dから噴出し、対向するフィン2の表面に衝突する。
【0025】
したがって、板材20を設けていない従来の構成に比べると、フィン2の表面では、熱伝達率が増加する。よって、フィン2における放熱能力は、板材20を設けていない従来の構成に比べて向上し、ヒートシンク装置101における冷却特性を従来のヒートシンク装置に比べて向上させることができる。
このように、本実施形態のヒートシンク装置101によれば、加工が容易で、かつ冷却性能が高いヒートシンクを提供することができる。
【0026】
尚、本実施形態では放熱用部材の一例としてのフィン2は、板材で形成したが、板材に限定するものではなく、放熱用部材は、例えば棒状部材がY方向及びX方向に行列状に配置される形態であってもよい。
【0027】
実施の形態2.
図2は、本発明の実施の形態2によるヒートシンク装置102を示している。
上述の実施の形態1では、蓋板3は予めベース板4に立設した側壁11と接合されており、板材20は、冷媒用流路10内へ挿入される。
これに対し本実施の形態2では、蓋板3に板材20を予め立設し、板材20を冷媒用流路10内へ挿入するようにして、蓋板3を上記側壁11に接合する形態を採る。蓋板3が側壁11と接合するとともに、板材20が冷媒用流路10に挿入されたとき、板材20は、上述のように冷媒用流路10の主流方向31における両端部10a,10bに位置する対角部2a、2bを結んで位置する。
実施の形態2によるヒートシンク装置102のその他の構成は、実施の形態1によるヒートシンク装置101の構成に同じであり、ここでの説明は省略する。
【0028】
このように構成される実施の形態2によるヒートシンク装置102においても、上述のヒートシンク装置101と同じ効果を奏することができる。さらに、本実施の形態2のヒートシンク装置102によれば、板材20が蓋板3に固定されているため、板材20と蓋板3とをそれぞれ別個に加工して接合する工程が無くなり、板材20と蓋板3とは一体加工することが可能である。よって、低コストにてヒートシンク装置を提供することができる。尚、実施の形態1にて、フィン2への板材20の固定を止め、単に、冷媒用流路10内へ板材20を挿入した形態を採った場合に比べると、板材20の配置位置が冷媒の流れによって変化するということも無くなる。
【0029】
実施の形態3.
上述した実施の形態1、2では、板材20が有する開口は、円形の穴21である。これに対し本実施の形態3では、図3Aから図3Dに示すように、上記開口が円形以外の形状の穴である場合を示している。その他の構成は、上述の各実施形態の場合に同じである。尚、図3Aから図3Dでは、実施の形態2のように蓋板3に板材20を固定した形態を示すが、勿論、本実施形態3の板材20を実施の形態1の構成に適用することも可能である。
【0030】
図3Aは、上記穴が楕円穴21−1の場合を示し、図3Bは、上記穴が四角形穴21−2の場合を示し、図3Cは、上記開口が長方形状の切欠21−3の場合を示し、図3Dは、上記開口が三角形状の切欠21−4の場合を示している。ここで切欠21−3、21−4は、ベース板4の厚み方向に相当するZ方向に沿って板材20の全高にわたり形成された開口に相当する。
【0031】
また、図示しないが、板材20の延在方向において、各開口の形状を同じにする必要はなく、変化させてもよい。さらに、板材20毎に、開口の形状を変化させてもよい。
【0032】
このような実施の形態3の板材20を有するヒートシンク装置においても、上述の各実施の形態のヒートシンク装置が奏する効果を奏することができる。また、実施の形態3によれば、板材20における開口は、どのような形状でも構わないことから、板材20の加工における歩留まりが向上するという効果が得られる。
このように実施の形態3によれば、上記開口から噴出する冷媒の速度を容易に調整可能となることから、フィン2の全面に渡って熱伝達率を等しく向上させることが可能となるという効果も得られる。
【0033】
実施の形態4.
上述した実施の形態1〜3では、図1Cに示すように、板材20は、ベース板4の上記部材面4bに接する高さを有している。これに対し本実施の形態4のヒートシンク装置104では、図4に示すように、全ての板材20−4は、ベース板4の部材面4bとの間に隙間Dを有する高さにてなる。又、板材20−4が有する穴は、上述の実施の形態1から3に示す中から任意の形態を採る。その他の構成は、上述の各実施形態の場合に同じである。
【0034】
本実施の形態4によれば、上述の各実施の形態のヒートシンク装置が奏する効果を奏することができる。さらに、本実施の形態4のヒートシンク装置によれば、以下のような効果を得ることができる。即ち、上述した実施の形態1〜3では、冷媒が冷媒用流路10を通過するとき、冷媒は、穴21や、穴21−1〜21−4のみを通ることができる。よって、実施の形態1〜3の構成では、冷媒が上記穴を通過する際に発生する圧力損失の増大が懸念される。
【0035】
これに対し本実施の形態4の構成によれば、冷媒は、上記隙間Dをも通過することができる。よって、穴21や、穴21−1〜21−4から噴出する冷媒の速度を抑えることができ、ヒートシンク装置104全体の圧力損失を低く抑えることが可能となる。したがって、ヒートシンク装置に接続される冷却装置の負荷低減による小型化を図ることも可能となる。
【0036】
実施の形態5.
本実施の形態5の構成は、上述した実施の形態1〜3に示す構成と、実施の形態4に示す構成とを組み合わせたものである。即ち、図5A及び図5Bに示すように、本実施の形態5における板材20−5は、実施の形態1〜3(実施の形態3では図3A及び図3Bに示す形態)に示す穴21等を有し上記隙間Dを有しない高部分20Hと、穴21等を有さず上記隙間Dを有する低部分20Lとを有する。その他の構成は、上述の各実施形態の場合に同じである。
【0037】
尚、図5A及び図5Bでは、実施の形態2の構成のように蓋板3に板材20−5を固定した形態を図示するが、実施の形態1のように構成してもよい。また、開口に相当する穴は、図5Aでは図3Aに示す楕円穴21−1の場合を、図5Bでは図3Bに示す四角形穴21−2の場合をそれぞれ図示しているが、穴の形状は、勿論これらに限定するものではない。
【0038】
このような構成を有する本実施の形態5においても、上述の各実施の形態のヒートシンク装置が奏する効果を奏することができる。さらに、本実施の形態5のヒートシンク装置によれば、以下のような効果を得ることができる。
即ち、冷媒用流路10を冷媒が流れるとき、板材20−5における楕円穴21−1や四角形穴21−2のみならず、隙間Dからも流速の増した冷媒が噴出する。よって、板材20−5における見かけ上の開口の数が増加する。そのため、これらの開口に対向するフィン2の面における熱伝達率が向上するという効果が得られる。さらにその上、上述の実施の形態4の場合と同様に、ヒートシンク装置全体の圧力損失を低く抑えることが可能となり、ヒートシンク装置の冷却性能を、より向上させることが可能となる。
【0039】
実施の形態6.
実施の形態5では、実施の形態3に関して図3A及び図3Bに示す形態を例に採ったが、本実施の形態6では、図3C及び図3Dに示す形態を例に採る場合の構成である。即ち、図6A及び図6Bに示すように、本実施の形態6における板材20−6は、上記隙間Dを有しない高部分20Hと、上記隙間Dを有する低部分20Lとを有する。又、板材20−6は、切欠21−3又は切欠21−4を有する。その他の構成は、上述の各実施形態の場合に同じである。
【0040】
このような実施の形態6における構成によっても、上述の実施の形態5の場合と同じ効果を得ることができる。
【0041】
実施の形態7.
上述した実施の形態1〜6では、図1Bに示すように、一つの、例えば板材20は、一つの冷媒用流路10において、主流方向31における両端部10a,10bに位置する対角部2a、2bを結ぶ一直線上に沿って配置される。
【0042】
これに対し、本実施の形態7において、図7A及び図7Bに示すヒートシンク装置107−1では、板材20−7Aを備え、図7C及び図7Dに示すヒートシンク装置107−2では、板材20−7Bを備える。
【0043】
上記板材20−7Aは、ベース板4の厚み方向に相当するZ方向に沿って立設されるものの、一つの冷媒用流路10において、上記主流方向31に交差して配向されかつ上記開口を有する、複数の板材20−7a〜20−7dにて構成される。板材20−7Aにおける複数の板材20−7a〜20−7dは、図7Bに示すように、全て同方向に配向されている。
【0044】
又、ヒートシンク装置107−2の上記板材20−7Bは、上記複数の板材20−7a〜20−7dから構成されるが、図7Dに示すように、板材20−7a〜20−7dは、隣接する板材間では互いに異なる向きに配向されている。
【0045】
このようなヒートシンク装置107−1、107−2におけるその他の構成は、上述の各実施形態の場合に同じである。
尚、板材20−7A、20−7Bは、4つの板材20−7a〜20−7dから構成しているが、板材20−7の数は複数であればよく4つに限定されない。
また、図7Aから図7Dでは、板材20−7A、20−7Bにおける開口は、円形穴の形態の場合を示しているが、勿論、これに限定されず、上述した実施の形態3〜6に示した形態を採ることができる。よって、板材20−7a〜20−7dの中には、開口を有しないものが存在してもよい。
また、図7Aから図7Dでは、板材20−7A、20−7Bは、蓋板3に立設、固定した形態を示しているが、勿論、これに限定されず、上述した実施の形態1に示した形態を採ることもできる。
【0046】
上述のように構成されるヒートシンク装置107−1、107−2は、上述の実施の形態1〜6にて説明した効果を奏することができる。さらに、ヒートシンク装置107−1、107−2において、板材20−7a〜20−7dのそれぞれが穴21a〜21dを有する構成を採った場合、各穴21a〜21dを通る冷媒の噴出速度32a〜32bは、比較的一定に保つことができる。よって、フィン2の全面に渡って、等しい割合で熱伝達率を向上させることができ、又、噴出速度32a〜32dが一定となることから、ヒートシンク装置107−1、107−2全体における圧力損失の低減にも効果がある。
【0047】
尚、各実施の形態における説明の際に既に述べているが、各実施の形態1〜7における構成を適宜組み合わせた構成を採ることも可能である。この場合、組み合わせた実施の形態が奏する効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 半導体装置、2 フィン、2a,2b 対角部、3 蓋板、
4 ベース板、4a 接合面、4b 部材面、10 冷媒用流路、
20 板材、20H 高部分、20L 低部分、21 穴、
21−3、21−4 切欠、31 主流方向、
101、102、104、107 ヒートシンク装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体が接合され、冷媒が流れる冷媒用流路を有するベース板と、
上記冷媒用流路内へ挿入される板材で、上記ベース板の厚み方向に沿って立設され、かつ上記冷媒用流路における冷媒の主流方向に交差して配向され、かつ上記冷媒が通過可能な開口を有する板材と、
を備えたことを特徴とするヒートシンク装置。
【請求項2】
上記ベース板は、上記発熱体を接合した接合面に対向する部材面に当該ベース板の厚み方向へ突出しかつ冷媒の上記主流方向に沿って配置される複数の放熱用部材を有し、
上記冷媒用流路は、上記ベース板及び上記放熱用部材と、上記部材面側で上記ベース板に対向して配置される蓋板とによって、隣接する上記放熱用部材間に形成される、請求項1記載のヒートシンク装置。
【請求項3】
上記板材は、上記蓋板に立設されている、請求項2記載のヒートシンク装置。
【請求項4】
上記板材は、一つの上記冷媒用流路における冷媒の上記主流方向における両端部に位置する対角部を結んで配置され、上記開口は、当該板材を貫通する穴である、請求項1から3のいずれか1項に記載のヒートシンク装置。
【請求項5】
上記板材は、一つの上記冷媒用流路における冷媒の上記主流方向における両端部に位置する対角部を結んで配置され、上記開口は、上記厚み方向に沿って上記板材の全高にわたり形成された切欠である、請求項1から4のいずれか1項に記載のヒートシンク装置。
【請求項6】
上記板材は、一つの上記冷媒用流路における冷媒の上記主流方向における両端部に位置する対角部を結んで配置され、かつ上記蓋板に立設され上記ベース板との間に隙間を形成する高さを有し、上記開口は、当該板材を貫通する穴である、請求項2記載のヒートシンク装置。
【請求項7】
上記板材は、上記隙間を形成することなく上記穴を有する高部分と、上記穴を有することなく上記隙間を形成した低部分とを有する、請求項6記載のヒートシンク装置。
【請求項8】
上記板材は、一つの上記冷媒用流路における冷媒の上記主流方向における両端部に位置する対角部を結び上記蓋板に立設されて配置され、上記ベース板との間に隙間を形成する高さを有する低部分と上記隙間を形成しない高さを有する高部分とを有し、上記開口は、上記厚み方向に沿って上記板材の全高にわたり形成された切欠である、請求項2記載のヒートシンク装置。
【請求項9】
上記板材は、一つの上記冷媒用流路において冷媒の上記主流に対して複数枚配置され、上記開口は、それぞれの板材を貫通する穴である、請求項1から3のいずれか1項に記載のヒートシンク装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【公開番号】特開2010−278286(P2010−278286A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130108(P2009−130108)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】