説明

ビピペリジニル化合物、その化合物を含有する組成物及び治療方法

式Iのビピペリジニル化合物は、2型糖尿病及び同様の症状を治療する又は予防するのに有用であることが開示されている。薬学的に許容される塩及び溶媒和物も含まれる。化合物は、Gタンパク質共役型レセプターGPR−119のアゴニストとして有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
【背景技術】
【0002】
本発明は、Gタンパク質共役型レセプターアゴニストに関する。とくに、本発明は、糖尿病、特に2型糖尿病、肥満症、メタボリック症候群、並びに関連する疾患及び症状の治療に有用であるGR119のアゴニストを対象とする。
【0003】
糖尿病は、多数の原因因子に由来する疾患である。空腹状態又は経口糖負荷試験の際のグルコースの投与後での血漿グルコース濃度の上昇(高血糖)により特徴づけられる。一般的に認識されている2つの糖尿病の形態がある。1型糖尿病又はインスリン依存性糖尿病(IDDM)では、患者は、グルコース利用を調節するホルモンであるインスリンをほとんど又は全く産生しない。2型糖尿病又はインスリン非依存性糖尿病(T2DM)では、インスリンは依然として体内で産生され、患者は、主なインスリン感受性組織、すなわち筋肉、肝臓及び脂肪組織においてグルコース及び脂質代謝を刺激するインスリンの効果に対して抵抗性を示す。これらの患者は、多くの場合に正常なインスリン値を有し、インスリンの分泌量を増加することによってインスリンの効果の低下を補おうとするため、高インスリン血症(高い血漿中インスリン濃度)を有する場合がある。
【0004】
インスリン抵抗性は、主に、インスリンレセプターの数が減少することによって引き起こされるのではなく、むしろ、未だに完全に理解されていない、インスリンレセプター結合後の欠陥により引き起こされる。インスリンの反応性の欠損は、筋肉内へのグルコースの取り込み、酸化及び貯蔵における不十分なインスリン仲介活性化、並びに脂肪組織における脂肪分解の及び肝臓におけるグルコース産生及び分泌の不十分なインスリン仲介抑制をもたらす。
【0005】
糖尿病により生じる持続的又は制御不能な高血糖は、増加した早期の罹患及び死亡に関連する。多く場合に異常なグルコースホメオスタシスが、肥満症、高血圧症、並びに脂質、リポタンパク質及びアポリポタンパク質代謝の変化、さらに、他の代謝及び血行動態疾患に、直接的にも間接的にも関連している。2型糖尿病の患者では、アテローム性動脈硬化症、冠動脈性心疾患、脳卒中、末梢血管疾患、高血圧症、腎症、神経障害及び網膜症を含む、大血管性及び微小血管性合併症の危険性が有意に増加する。したがって、グルコースホメオスタシス、脂質代謝、肥満症及び高血圧の治療による制御は、糖尿病の臨床管理及び治療において極めて重要である。
【0006】
インスリン抵抗性を有する患者は、多くの場合、シンドロームX又はメタボリック症候群と呼ばれるいくつかの症状をあわせ持つ。一つの広く使用されている定義によると、メタボリック症候群を有する患者は、以下の5つの群の症状:(1)腹部肥満;(2)高トリグリセリド血症;(3)低い高密度リポタンパクコレステロール(HDL);(4)高血圧;及び(5)空腹時グルコースの上昇から選択される3つ以上の症状を有すると特徴づけられ、これらは、患者が糖尿病でもある場合は、2型糖尿病の特徴でありうる。これらの症状は、それぞれ、Third Report of the National Cholesterol Education Program Expert Panel on Detection,Evaluation and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults(Adult Treatment Panel III or ATP III),National Institutes of Health,2001,NIH Publication No.01−3670において臨床的に定義されている。メタボリック症候群の患者は、明白な糖尿病を有するか又は発症するかに関わらず、アテローム性動脈硬化症及び冠動脈性心疾患のような、2型糖尿病で生じる大血管性及び微小血管性合併症を発症する危険性が増加する。
【0007】
多因子性の病態生理学的状態である肥満症は、体重に対する過剰な脂肪により特徴づけられる。臨床的には、肥満症は、体重指数[BMI=体重(kg)/身長(m)]により定義され、対応するBMIは≧30の値である。肥満症及び過体重は、高血圧、2型糖尿病、心臓疾患、脳卒中、変形性関節症、睡眠時無呼吸、胆嚢疾患、並びに乳癌、前立腺癌及び結腸癌のような状態を発症する危険性を増加する。体重が多いと、総死亡率の増加にもつながる。
【0008】
肥満症の主な治療は、食事のエネルギーを制限すること及び運動を増やすことである。そのような管理様式による肥満症の管理指針が発表されている(例えば、Snow et al.,Ann.Intern.Med.142:525[2005])。高いコンプライアンスを達成することは困難であるが、そのようなプログラムによって、約8%の平均体重減が可能になる。より対処困難な治療上の問題は、体重減の維持であると思われる。研究において10%以上の体重を減少することができた食事療法者のうち、80〜95%が2〜5年以内に体重が戻る。体重を調節する恒常的機構は、非常に強固であり、体重減に対して激しく抵抗すると思われる。
【0009】
肥満症の治療においては限定された薬理学的治療しか存在しない。膵臓リパーゼを阻害することにより腸の脂肪吸収を低減させるオーリスタット(Xenical(登録商標))及び中枢モノアミン再取込み阻害剤である食欲抑制剤シブトラミン(Reductil(登録商標)、Meridia(登録商標))は、肥満症を治療する主な作用物質であるが、それぞれ胃腸及び心臓血管の副作用に関連し、体重の低減に対して限定的な効能及び持続性しか持たない。フェンテルミン、ブプロピオン及びジエチルプロピオンのような他の食欲抑制剤は、副作用のために使用が制限されており、これらの薬剤の多くは、シブトラミンのように、依存の危険性のためにスケジュールIV規制物質である。近年、CB−1アンタゴニストであるリモナバン(Accomplia)が発売されたが、長時間の持続性及び効能は、依然として確定されておらず、この薬剤は神経不安を含むCNS副作用を有する。
【0010】
体重減の目標を(投薬を伴うか又は伴わないで)達成することに失敗し、かつ肥満関連合併症を発症したBMI>40の患者では、肥満学的外科手術が紹介されるが、他の外科的処置と同様に、合併症の危険性を伴う。
【0011】
2型糖尿病のためにいくつかの利用可能な治療があり、それぞれ独自の限界及び潜在的な危険性を有する。運動及び食事カロリー摂取量の低減は、多くの場合、糖尿病の症状を劇的に改善し、2型糖尿病及びインスリン抵抗性に関連する前糖尿病症状に通常推奨される第一線となる治療法である。この治療コンプライアンスは、十分に定着した座りがちな生活習慣及び過剰食物消費、特に多量の脂肪及び炭水化物を含有する食物の摂取のため、極めて不十分である。薬理学的治療は、3つの領域の病体生理学:(1)肝グルコース産生(ビグアナイド剤)、(2)インスリン抵抗性(PPARアゴニスト)及び(3)インスリン分泌に焦点を当ててきた。
【0012】
ビグアナイド剤は、2型糖尿病を治療するために広く使用されている種類の薬剤である。2つの最も知られているビグアナイド剤は、フェンホルミンとメトホルミンであり、高血糖をいくらか改善する。ビグアナイド剤は、主に肝グルコース産生を阻害することにより作用し、また、インスリン感受性を若干改善すると考えられている。ビグアナイド剤を、低血糖の危険性を増加することなく、単剤療法として又はインスリンもしくはインスリン分泌促進薬のような他の抗糖尿病薬と組み合わせて使用することができる。しかし、フェンホルミン及びメトホルミンは、乳酸アシドーシス及び嘔気/下痢を誘発する可能性がある。メトホルミンは、フェンホルミンよりも副作用の危険性が低く、2型糖尿病の治療において広く処方されている。
【0013】
グリタゾン(すなわち、5−ベンジルチアゾリジン−2,4−ジオン)は、2型糖尿病の高血糖症及び他の症状を改善できる新しい種類の化合物である。現在市販されているグリタゾン(ロシグリタゾン及びピオグリタゾン)は、ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)γサブタイプのアゴニストである。PPARγアゴニストは、いくつかの2型糖尿病の動物モデルにおいて、筋肉、肝臓及び脂肪組織でインスリン感受性を有意に増加し、低血糖症を生じることなく、上昇した血漿グルコース濃度に部分的又は完全な改善をもたらす。PPARγアゴニズムは、グリタゾンで治療されるヒトの患者において観察される改善されたインスリン感作の原因であると考えられる。新たなPPARアゴニストが現在開発されている。多くのより新しいPPAR化合物は、PPARα、γ及びδサブタイプのうちの1つ以上のアゴニストである。PPARα及びPPARγサブタイプの両方のアゴニストである化合物(PPARα/γデュアルアゴニスト)は、高血糖を低減し、また脂質代謝を改善するので、有望である。現在市販されているPPARγアゴニストは、血漿グルコース及びヘモグロビンA1Cの低減に若干有効である。現在市販されている化合物は、脂質代謝を著しく改善することはなく、実際には脂質プロフィールに悪影響を与える場合がある。したがって、PPAR化合物は、糖尿病療法における重要な進歩を示しているが、更なる改善が依然として求められている。
【0014】
広く使用されている別の薬剤治療には、スルホニル尿素(例えば、トルブタミド及びグリピジド)のようなインスリン分泌促進薬の投与がある。これらの薬剤は、膵臓β細胞を刺激してより多くのインスリンを分泌させることによって、インスリンの血漿中濃度を高める。膵臓β細胞におけるインスリン分泌は、グルコース、並びに一連の代謝、神経及びホルモンの信号により厳密に調節されている。グルコースは、ATP及び他の信号伝達分子を生成するその代謝によってインスリン産生及び分泌を刺激し、一方、他の細胞外信号は、原形質膜におけるGPCRの存在によってインスリン分泌のポテンシエーター又は阻害剤として作用する。スルホニル尿素及び関連するインスリン分泌促進薬は、β細胞においてATP依存性K+チャンネルを遮断するように作用し、それは、細胞の脱分極を引き起こし、電圧依存性Ca2+チャンネルの開放を引き起してインスリン放出を刺激する。この機構は非グルコース依存性であり、したがって、インスリン分泌は、周囲のグルコース濃度に関係なく生じえる。これは、グルコースレベルが低くてもインスリン分泌を引き起こす可能性があり、低血糖症をもたらし、重篤な場合では致命的になる可能性がある。したがって、インスリン分泌促進薬の投与は注意深く行わなければならない。インスリン分泌促進薬は、多くの場合、2型糖尿病の第一選択の薬剤治療として使用されている。
【0015】
グルコース依存性である膵島インスリン分泌が再び注目されている。この手法は、β細胞機能の安定化及び回復にとって潜在的な可能性を有する。このことに関して、いくつかのオーファンGタンパク質共役レセプター(GPCR)は、β細胞に優先的に発現すること及びグルコース依存性インスリン分泌(GDIS)に関与していることが最近確認されている。GPR119は、ヒト(及び齧歯類)膵島並びにインスリン分泌細胞株に高度に発現している細部表面Gs共役型GPCRである。天然に存在する長鎖脂肪酸アミド、オレオイルエタノールアミド(OED)、1−パルミトイル−リゾホスファチジルコリン及び2−オレオイル−リゾホスファチジルコリンのようないくつかの長鎖飽和及び不飽和リゾリン脂質、並びに合成化合物が、GPR119のリガンドとして最近確認されている(Overton,H.A.et al.,Cell Metab.3:167[2006];Soga,T.et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.326:744[2005])。合成小型分子GPR119アゴニストのラットへの急性投与は、運動活性を有意に変えることなく24時間の累積食餌摂取量を低減し、慢性試験では、累積食餌摂取量及び体重を低減しており(Overton,H.A.et al.,Cell Metab.3:167[2006])、GPR119アゴニストが、有効な抗肥満剤でありうることを示している。合成GPR119アゴニストは、また、高グルコースの条件下でのみ、単離した静置したマウス膵島からインスリンの放出を増加させ、糖尿病マウス及び食餌誘発肥満(OID)C57/B6マウスにおいて、低血糖症を引き起こすことなく耐糖性を改善する。したがって、GPR119アゴニストは、体重減を生じる抗高血糖症剤としての潜在能力を有する。2型糖尿病及び肥満症の治療における潜在的な標的としてのGPR119にはいくつかの潜在的な利点がある。第1には、GPR119仲介インスリン分泌がグルコース依存性であるので、低血糖症の危険性はほとんど又は全くない。第2には、GPR119アゴニストの体重減の効能は、糖尿病、前糖尿病症肥満の被験者において抗高血糖の効能に寄与するはずであり、GPR119の活性化は、肥満症の一般的な共存症及び耐糖能障害/糖尿病の同時治療を可能にしうる。第3には、ヒトにおけるGPR119の限定された組織分布(主に膵島及びGI管)は、他の組織におけるGPR119活性に関連する副作用の可能性が少ないことを示唆している。第4には、GPR119アゴニストが齧歯類においてGLP−1濃度を増加すると報告されているので(Chu,Z.L.et al Abstract Pl−19,ENDO 2005 87th Annual Meeting,San Diego,CA)、GPR119アゴニストは、膵島機能を回復又は保持する潜在的な可能性がありうる。GLP−1は、GDISを生じ、かつ膵島に対して抗アポトーシス及び増殖効果を及ぼすインクレチンホルモンである。GPR119アゴニズムによる膵島に対する保護効果は極めて有益であり、それは、長期間の糖尿病治療は多くの場合に膵島活性が次第に低下し、それにより、複数の経口抗高血糖剤による長期間の治療の後では、多くの場合、2型糖尿病の患者を毎日のインスリン注射により治療する必要があるからである。膵島機能を回復又は保持することによって、GPR119アゴニストは、2型糖尿病の患者において膵島機能の減少及び損失を遅延又は防止することができる。
【発明の概要】
【0016】
式I:
【0017】
【化1】

【0018】
[式中、
【0019】
【化2】

【0020】
のうちの一方は、少なくとも1の窒素原子、さらに0〜2の窒素原子及び0〜1の酸素又は硫黄原子を含む5〜10員の単環式又は二環式ヘテロアリール基を表し、他方は、フェニルか、又は少なくとも1の窒素原子、さらに0〜2の窒素原子及び0〜1の酸素もしくは硫黄原子を含む5〜10員の単環式もしくは二環式ヘテロアリール基を表し;
は、それぞれ、Hもしくはハロであるか、又は1〜2のR基は、
(1)CN又はOH;
(2)C1−6アルキル、OC1−6アルキル又はC3−6シクロアルキル(該基は、1〜3のハロ基及び、
i)S(O)1−3アルキル(xは0、1又は2であり、アルキル部分は1〜3のハロ原子で置換されていてもよい);
ii)5〜10員ヘテロアリール部分(1〜3のハロ原子又はC1−3アルキル基で置換されていてもよい);
iii)C1−3アルコキシ又はハロC1−3アルコキシ;
iv)CN;
v)NH、NHC1−3アルキル及びN(C1−3アルキル)(アルキル部分は1〜3のハロ基で置換されていてもよい);
vi)OH;
vii)C(O)C1−6アルキル(アルキル部分は1〜3のハロ原子で置換されていてもよい);
viii)1〜2のハロ原子又はC1−3アルキル基で置換されていてもよい、フェニル;
ix)C(O)NR(RはH及びC1−3アルキル基から選択され、RはH、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール基及びフェニルから選択される);
x)C(O)(Rは上記で定義されたとおりである);及び
xi)1〜2のハロ又はC1−3アルキル基で置換されていてもよい、ヘテロアリール
からなる群より選択される1〜2の基で置換されていてもよい);
(3)S(O)1−6アルキル及びSONR(C1−6アルキル基は1〜3のハロ基で置換されていてもよく、x、R及びRが上記で定義されたとおりである);
(4)NH、NH(C1−6アルキル)又はN(C1−6アルキル)(アルキル部分は1〜3のハロ基及び上記のi)〜xi)から選択される1の基により置換されていてもよい);
(5)C(O)NR(R及びRは上記で定義されたとおりである);
(6)1〜3のハロ原子で置換されていてもよい、C(O)C1−6アルキル;
(7)CO(Rは上記で定義されたとおりである);及び
(8)フェニル、5〜10員のヘテロアリール又は5〜10員の複素環部分(それぞれは、1〜3のハロ原子及び1〜2のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)
からなる群より選択され;
残りのR基は、H又はハロであり;
は、それぞれ、Hもしくはハロであるか、又は1〜2つは、Hもしくはハロであり、残りは、
1)CN;
2)NR(R及びRはそれぞれH又はC1−3アルキルを表す);
3)C1−6アルキル又はOC1−6アルキル(該アルキル及びアルキル部分は、1〜3のハロ基、0〜1のNR、S(O)1−3アルキル、SONR及びフェニルにより置換されていてもよい);
4)S(O)1−3アルキル;及び
5)SONR
からなる群より選択され;
及びRの少なくとも1つの基は、水素以外の部分を表す]
で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、特に指定のない限り、下記に定義されている用語を使用して本明細書において詳細に記載される。
【0022】
「アルキル」並びにアルコキシなどのような接頭辞「アルク(alk)」を有する他の基は、示されている数の炭素原子を含む、直鎖、分岐鎖もしくは環状、又はその組み合わせでありうる炭素鎖を意味する。数が指定されていない場合、直鎖のアルキル基では1〜6個の炭素原子が意図され、分岐鎖のアルキル基では3〜7個の炭素原子が意図される。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどが挙げられる。シクロアルキルは、アルキルのサブセットであり、原子の数が指定されていない場合、3〜7個の炭素原子が意図され、縮合している1〜3の炭素環式の環を形成する。「シクロアルキル」には、アリール基に縮合している単環式の環も含まれ、結合点は非芳香族部分にある。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロナフチル、デカヒドロナフチル、インダニルなどが挙げられる。ハロアルコキシ及びハロOアルキルは、置き換えて使用することができ、酸素原子を介して結合しているハロ置換アルキル基を意味する。ハロアルキル及びハロアルコキシには、ペルハロ置換のアルキル及びアルコキシまでの、単置換と多置換のアルキル及びアルコキシ基が含まれる。例えば、トリフルオロメチル及びトリフルオロメトキシが含まれる。
【0023】
「アリール」(Ar)は、フェニル又はナフチル、好ましくはフェニルを意味する。
【0024】
「ヘテロアリール」(HAR)は、特に指定のない限り、少なくとも1個がO、S、S(O)、SO及びNから選択されるヘテロ原子である5〜6の原子を含む、単環式の芳香族環系を意味する。例には、ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリールには、そのような基の荷電形態も含まれ、例えばピリジニウムである。
【0025】
「ヘテロシクリル」(Hetcy)及び「複素環部分」は、特に指定のない限り、N、S及びOから選択される少なくとも1のヘテロ原子を含む単環式及び二環式の飽和及び部分的に飽和された環系を意味し、前記環はそれぞれ3〜6の原子を有し、その結合点は、炭素又は窒素であることができる。「ヘテロシクリル」の例には、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロフラニル、1,4−ジオキサニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロチエニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。複素環は互変異性形態で存在することもできる。複素環には、更に、そのような基の荷電形態も含まれ、例えばピペリジニウムである。
【0026】
「ハロゲン」(Halo)には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が含まれる。
【0027】
興味深い本発明の一つの態様は、式I:
【0028】
【化3】

【0029】
[式中、
【0030】
【化4】

【0031】
のうちの一方は、少なくとも1の窒素原子、さらに0〜2の窒素原子及び0〜1の酸素又は硫黄原子を含む5〜10員の単環式又は二環式ヘテロアリール基を表し、他方は、フェニルか、又は少なくとも1の窒素原子、さらに0〜2の窒素原子及び0〜1の酸素もしくは硫黄原子を含む5〜10員の単環式もしくは二環式ヘテロアリール基を表し;
は、それぞれ、Hもしくはハロであるか、又は1〜2のR基は、
(1)CN又はOH;
(2)C1−6アルキル、OC1−6アルキル又はC3−6シクロアルキル(該基は、1〜3のハロ基及び、
i)S(O)1−3アルキル(xは0、1又は2であり、アルキル部分は1〜3のハロ原子で置換されていてもよい);
ii)5〜10員ヘテロアリール部分(1〜3のハロ原子又はC1−3アルキル基で置換されていてもよい);
iii)C1−3アルコキシ又はハロC1−3アルコキシ;
iv)CN;
v)NH、NHC1−3アルキル及びN(C1−3アルキル)(アルキル部分は1〜3のハロ基で置換されていてもよい);
vi)OH;
vii)C(O)C1−6アルキル(アルキル部分は1〜3のハロ原子で置換されていてもよい);
viii)1〜2のハロ原子又はC1−3アルキル基で置換されていてもよい、フェニル;
ix)C(O)NR(RはH及びC1−3アルキル基から選択され、RはH、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール基及びフェニルから選択される);
x)C(O)(Rは上記で定義されたとおりである);及び
xi)1〜2のハロ又はC1−3アルキル基で置換されていてもよい、ヘテロアリール
からなる群より選択される1〜2の基で置換されていてもよい);
(3)S(O)1−6アルキル及びSONR(C1−6アルキル基は1〜3のハロ基で置換されていてもよく、x、R及びRが上記で定義されたとおりである);
(4)NH、NH(C1−6アルキル)又はN(C1−6アルキル)(アルキル部分は1〜3のハロ基及び上記のi)〜xi)から選択される1の基により置換されていてもよい);
(5)C(O)NR(R及びRは上記で定義されたとおりである);
(6)1〜3のハロ原子で置換されていてもよい、C(O)C1−6アルキル;
(7)CO(Rは上記で定義されたとおりである);及び
(8)フェニル、5〜10員のヘテロアリール又は5〜10員の複素環部分(それぞれは、1〜3のハロ原子及び1〜2のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)
からなる群より選択され;
残りのR基は、H又はハロであり;
は、それぞれ、Hもしくはハロであるか、又は1〜2つは、Hもしくはハロであり、残りは、
1)CN;
2)NR(R及びRはそれぞれH又はC1−3アルキルを表す);
3)C1−6アルキル又はOC1−6アルキル(該アルキル及びアルキル部分は、1〜3のハロ基、0〜1のNR、S(O)1−3アルキル、SONR及びフェニルにより置換されていてもよい);
4)S(O)1−3アルキル;及び
5)SONR
からなる群より選択され;
及びRの少なくとも1つの基は、水素以外の部分を表す]
で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
【0032】
興味深い本発明の一つの態様は、環Aが、少なくとも1の窒素原子、さらに0〜2の窒素原子及び、さらに0〜1の酸素又は硫黄原子を含む5〜6員の単環式アリール又はヘテロアリール基を表す、式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこの態様の範囲内において、その他の全ての変数は、最初に定義されたとおりである。
【0033】
より詳細には、興味深い本発明の態様は、環Aが、フェニル、チアゾール、チアジアゾール、ピリジル、ピリミジン及びピラジンからなる群より選択される基を表す、式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこの態様の範囲内において、その他の全ての変数は、最初に定義されたとおりである。
【0034】
さらにより詳細には、興味深い本発明の態様は、環Aが、フェニル、ピリジル、ピリミジン及びピラジンからなる群より選択される基を表す、式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこの態様の範囲内において、その他の全ての変数は、最初に定義されたとおりである。
【0035】
興味深い本発明の別の態様は、環Bが、少なくとも1個の窒素原子、さらに0〜2の窒素原子及び、さらに0〜1の酸素又は硫黄原子を含む5〜9員の単環式又は二環式ヘテロアリール基を表す、式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこの態様の範囲内において、その他の全ての変数は、最初に定義されたとおりである。
【0036】
より詳細には、興味深い本発明の態様は、環Bが、チアゾール、チアジアゾール、ピリジル、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン及びベンゾオキサゾールからなる群より選択される基を表す、式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこの態様の範囲内において、その他の全ての変数は、最初に定義されたとおりである。
【0037】
さらにより詳細には、興味深い本発明の態様は、環Bが、チアジアゾール、ピリジル、ピリミジン及びピラジンからなる群より選択される基を表す、式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこの態様の範囲内において、その他の全ての変数は、最初に定義されたとおりである。
【0038】
興味深い本発明の別の態様は、
が、それぞれ、Hもしくはハロであるか、又は1〜2のR基が、
(1)CN;
(2)1〜3のハロ基及び、
i)xが0、1もしくは2である、S(O)1−3アルキル;
ii)NH、NHCH及びN(CH
iii)OH;
iv)C(O)C1−4アルキル;
v)1〜2のハロ原子もしくはC1−3アルキル基で置換されていてもよい、フェニル;
vi)RがH及びCHから選択され、RがH、CH、CHCH、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、5〜6員ヘテロアリール基及びフェニルから選択される、C(O)NR
vii)Rが上記で定義されたとおりである、C(O)
viii)1〜2のハロもしくはCH基で置換されていてもよい、ヘテロアリール
からなる群より選択される1〜2の基で置換されていてもよい、C1−6アルキル;
(3)C1−6アルキルが1〜3のハロ基で置換されていてもよく、x、R及びRが上記で定義されたとおりである、S(O)1−6アルキル;
(4)NH、アルキル部分が1〜3のハロ基で置換されていてもよい、NH(C1−3アルキル)もしくはN(C1−3アルキル)
(5)R及びRが上記で定義されたとおりである、C(O)NR
(6)1〜3のハロ原子で置換されていてもよい、C(O)C1−6アルキル;
(7)Rが上記で定義されたとおりである、CO
(8)それぞれ1〜3のハロ原子及び1〜2のC1−3アルキル基で置換されていてもよい、フェニル、5〜6員ヘテロアリールもしくは5〜6員複素環部分
からなる群より選択され、
残りのR基が、Hもしくはハロであり、そして少なくとも1つのR及びR基が、水素以外の部分を表す、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこの態様の範囲内において、その他の全ての変数は、最初に定義されたとおりである。
【0039】
より詳細には、興味深い本発明の態様は、
が、それぞれ、HかもしくはF及びClから選択されるハロであるか、又は1〜2のR基が、
(1)CN;
(2)1〜3のハロ基及び、
i)S(O)CH
ii)1〜2のハロ原子もしくはCH基で置換されていてもよい、フェニル;
iii)RがH及びCHから選択され、RがH、CH、CHCH、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、メチルで置換されているシクロプロピル、5〜6員ヘテロアリール基及びフェニルから選択される、C(O)NR
からなる群より選択される1〜2の基で置換されていてもよい、C1−6アルキル;
(3)C1−2アルキル基が1〜3のハロ基で置換されていてもよく、x、R及びRが上記で定義されたとおりである、SO1−2アルキル;
(4)N(CH
(5)R及びRが上記で定義されたとおりである、C(O)NR
(6)COHもしくはCOCH
からなる群より選択され、
残りのR基が、HかもしくはF及びClから選択されるハロであり、そして少なくとも1つのR及びR基が、水素以外の部分を表す、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこの態様の範囲内において、その他の全ての変数は、最初に定義されたとおりである。
【0040】
さらにより詳細には、興味深い本発明の態様は、
1のR基が、
(1)CN;
(2)1〜3のフルオロ基及び、
i)SOCH
ii)1〜2のフルオロ、クロロもしくはCH基で置換されていてもよい、フェニル;
iii)RがHであり、RがH、CH、CHCH、シクロプロピル、メチルで置換されているシクロプロピル及びシクロプロピルメチルから選択される、C(O)NR
からなる群より選択される1の基で置換されていてもよい、C1−4アルキル;
(3)SOCH
(4)N(CH
(5)RがHであり、Rが上記で定義されたとおりである、C(O)NR
(6)COHもしくはCOCH
からなる群より選択され、
残りのR基が、HかもしくはF及びClから選択されるハロであり、そして少なくとも1つのR及びR基が、水素以外の部分を表す、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこの態様の範囲内において、その他の全ての変数は、最初に定義されたとおりである。
【0041】
興味深い本発明の別の態様は、
が、それぞれ、Hもしくはハロであるか、又は1〜2つが、Hもしくはハロであり、残りが、
1)CN;
2)R及びRがそれぞれHもしくはCHを表す、NR
3)1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい、C1−6アルキル;
4)SO1−3アルキル
からなる群より選択され、そして
少なくとも1つのR及びR基が、水素以外の部分を表す、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこの態様の範囲内において、その他の全ての変数は、最初に定義されたとおりである。
【0042】
より詳細には、興味深い本発明の別の態様は、
が、それぞれ、H、ClもしくはFであるか、又は1〜2つが、H、ClもしくはFであり、残りが、
1)CN;
2)NHもしくはNHCH
3)CHもしくはCF
4)SOCH
からなる群より選択され、そして
少なくとも1つのR及びR基が、水素以外の部分を表す、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこの態様の範囲内において、その他の全ての変数は、最初に定義されたとおりである。
【0043】
興味深い本発明の一つの態様は、式I:
【0044】
【化5】

【0045】
[式中、
環Aは、少なくとも1の窒素原子、さらに0〜2の窒素原子及びさらに0〜1の酸素又は硫黄原子を含む、5〜6員の単環式アリール又はヘテロアリール基を表し;
環Bは、少なくとも1個の窒素原子、さらに0〜2の窒素原子及びさらに0〜1の酸素又は硫黄原子を含む、5〜9員の単環式又は二環式ヘテロアリール基を表し;
は、それぞれ、Hもしくはハロであるか、又は1〜2のR基は、
(1)CN;
(2)1〜3のハロ基及び、
i)xが0、1もしくは2である、S(O)1−3アルキル;
ii)NH、NHCH及びN(CH
iii)OH;
iv)C(O)C1−4アルキル;
v)1〜2のハロ原子もしくはC1−3アルキル基で置換されていてもよい、フェニル;
vi)RがH及びCHから選択され、RがH、CH、CHCH、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、5〜6員ヘテロアリール基及びフェニルから選択される、C(O)NR
vii)Rが上記で定義されたとおりである、C(O)
viii)1〜2のハロもしくはCH基で置換されていてもよい、ヘテロアリール
からなる群より選択される1〜2の基で置換されていてもよい、C1−6アルキル;
(3)C1−6アルキル基が1〜3のハロ基で置換されていてもよく、x、R及びRが上記で定義されたとおりである、S(O)1−6アルキル;
(4)NH、アルキル部分が1〜3のハロ基で置換されていてもよい、NH(C1−3アルキル)もしくはN(C1−3アルキル)
(5)R及びRが上記で定義されたとおりである、C(O)NR
(6)1〜3のハロ原子で置換されていてもよい、C(O)C1−6アルキル;
(7)Rが上記で定義されたとおりである、CO
(8)それぞれ1〜3のハロ原子及び1〜2のC1−3アルキル基で置換されていてもよい、フェニル、5〜6員ヘテロアリールもしくは5〜6員複素環部分
からなる群より選択され、
残りのR基は、Hもしくはハロであり;
は、それぞれ、Hもしくはハロであるか、又は1〜2つは、Hもしくはハロであり、残りは、
1)CN;
2)R及びRがそれぞれHもしくはCHを表す、NR
3)1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい、C1−6アルキル;
4)SO1−3アルキル
からなる群より選択され、そして
少なくとも1つのR及びR基は、水素以外の部分を表す]により表される化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。本発明のこの態様の範囲内において、その他の全ての変数は、最初に定義されたとおりである。
【0046】
本発明の範囲内にある種の例は、本明細書に含まれる実施例において見出される。
【0047】
有用性
本発明の化合物は、GPR119レセプターの潜在的アゴニストである。本発明の化合物及びその薬学的に許容される塩は、GPR119として知られているレセプターの調節剤であり、したがって、GPR119リガンド及びアゴニストにより調節される疾患の治療に有用である。これらの疾患の多くを下記にまとめる。
【0048】
以下の疾患及び症状の治療及び予防は本発明に含まれる。また、本発明の化合物は、これらの疾患又は症状の1つ以上を治療する薬剤の製造のために使用することができる:
(1)インスリン非依存性糖尿病(2型糖尿病);
(2)高血糖症;
(3)メタボリック症候群;
(4)肥満症;
(5)虚血及び心筋梗塞;
(6)アルツハイマー病、統合失調症及び認知障害のような神経障害;
(5)高コレステロール血症;
(6)高トリグリセリド血症(トリグリセリドに富んだリポタンパク質の高値);
(7)混合性又は糖尿病性脂質異常症;
(8)低HDLコレステロール;
(9)高LDLコレステロール;
(10)高アポリポタンパク質B血症;及び
(11)アテローム性動脈硬化症。
【0049】
より詳細には、以下の疾患及び症状を、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を使用して治療することができる。化合物は、これらの疾患又は症状の1つ以上を治療又は予防する薬剤の製造のために使用することができる:
(1)2型糖尿病、特に高血糖症;
(2)メタボリック症候群;
(3)肥満症;及び
(4)高コレステロール血症又は脂質異常症。
【0050】
化合物はCGP119レセプターのアゴニストであるので、化合物は、糖尿病患者において、並びに耐糖能障害を有する及び/又は前糖尿病症状にある非糖尿病患者において、グルコース、脂質及びインスリン抵抗性を低下させるために有用である。化合物はしばしば糖尿病又は前糖尿病患者において生じる高インスリン血症を、これらの患者において生じる血漿グルコース濃度の変動を調節することによって改善するのに有用である。化合物は、インスリン抵抗性を治療又は低減するのに有用である。化合物は、妊娠糖尿病を治療又は低減するのに有用である。
【0051】
本明細書に記載されている化合物、組成物及び薬剤は、メタボリック症候群に関連する有害な後遺症の危険性を低減すること、並びにアテローム性動脈硬化症の進行の危険性を低減すること、アテローム性動脈硬化症の発症を遅延すること、及び/又はアテローム性動脈硬化症の後遺症の危険性を低減するのに有用である。アテローム性動脈硬化症の後遺症には、アンギナ、跛行、心臓発作、脳卒中などが含まれる。
【0052】
高血糖症を制御することによって、化合物は、血管再狭窄及び糖尿病性網膜症を遅延又は予防するのに有効である。
【0053】
本発明の化合物は、β細胞機能を改善又は回復するのにも有用であり、これにより1型糖尿病を治療すること又は2型糖尿病患者においてインスリン療法の必要性を遅らせるかもしくは防ぐのに有用でありうる。
【0054】
化合物は、肥満患者の食欲及び体重を低減させるのに有用であり、したがって、高血圧、アテローム性動脈硬化症、糖尿病及び脂質異常症のような肥満症に関連する併存疾患の危険性を低減するのに有用でありうる。
【0055】
活性GLP−1の濃度をin vivoで上昇させることによって、化合物は、アルツハイマー病、多発性硬化症及び統合失調症のような神経障害を治療するのに有用である。
【0056】
化合物は、一般に、次の疾患及び症状:(1)2型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病又はT2DMとしても知られている)、(2)高血糖症、(3)低耐糖能、(4)インスリン抵抗性、(5)肥満症、(6)脂質障害、(7)脂質異常症、(8)高脂血症、(9)高トリグリセリド血症、(10)高コレステロール血症、(11)低HDL濃度、(12)高LDL濃度、(13)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(14)血管再狭窄、(15)腹部肥満、(16)網膜症、(17)メタボリック症候群、(18)高血圧、(19)アルツハイマー病、(20)統合失調症、(21)多発性硬化症及び(22)インスリン抵抗性の治療に有用である。
【0057】
本発明の一つの態様は、混合性又は糖尿病性脂質異常症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDL濃度、高LDL濃度、高脂血症、及び/又は高トリグリセリド血症の治療及び制御の方法であって、治療有効量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、その治療の必要な患者に投与することを含む方法を提供する。化合物は、単独で使用することができるか、又は有利にはコレステロール生合成阻害剤と共に、特にロバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン又はZD−4522のようなHMG−CoA還元酵素阻害剤と共に投与することができる。化合物は、有利には、コレステロール吸収阻害剤(例えば、スタノールエステル、チクェシドのようなステロールグリコシド、エゼチミブのようなアゼチジノン)、ACAT阻害剤(例えば、アバシミベ)、CETP阻害剤(例えば、トルセトラピブ)、ナイアシン、胆汁酸抑制剤、ミクロソームトリグリセリド輸送阻害剤及び胆汁酸再取込み阻害剤のような他の脂質低下剤と組み合わせて使用することもできる。これらの併用治療は、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、高トリグリセリド血症、脂質異常症、高LDL及び低HDLからなる群より選択される症状の治療又は制御に有用である。
【0058】
本発明の別の態様は、肥満症又はメタボリック症候群の治療及び制御の方法であって、式Iの化合物の治療有効量又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、その治療の必要な患者に投与することを含む方法を提供する。化合物は、単独で使用ことができるか、又は有利には、抗肥満剤と共に、特に、オーリスタットのようなリパーゼ阻害剤又はシブトラミン、フェンテルミンなどのようなモノアミン神経伝達物質取込み阻害剤と共に投与することができる。化合物は、有利には、リモナバンのようなCB−1インバースアゴニスト又はアンタゴニストと組み合わせて使用することもできる。
【0059】
投与及び用量範囲
あらゆる適切な投与経路を用いて、哺乳動物、特にヒトに本発明の化合物の有効用量を提供することができる。例えば、経口、直腸内、局所、非経口、眼、肺、経鼻などを用いることができる。投与剤形には、錠剤、トローチ剤、分散剤、懸濁剤、液剤、カプセル剤、クリーム剤、軟膏剤、エアゾール剤などが含まれる。好ましくは、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、経口投与される。
【0060】
用いられる活性成分の有効用量は、用いられる特定の化合物、投与様式、治療される症状及び治療される症状の重篤度に応じて変えることができる。そのような用量は、当業者にとって容易に確認することができる。
【0061】
糖尿病及び/又は、高血糖症もしくは高トリグリセリド血症、又は式Iの化合物が適応となる他の疾患を治療又は制御する場合、本発明の化合物が、好ましくは、単回1日用量で、又は1日に2〜6回に分けた用量で、又は持続放出の形態で、動物の体重1キログラムあたり約0.1ミリグラムから約100ミリグラムの1日用量で投与されるとき、一般に満足できる結果が得られる。ほとんどの大型哺乳動物では、総1日用量は、約1.0ミリグラムから約1000ミリグラムである。70kgの成人の場合は、総1日用量は、一般に約1ミリグラムから約350ミリグラムである。特定の強力な化合物では、成人への用量は0.1mgの低量であることができる。用量は、最適な治療反応を得るために、この範囲内で又はこの範囲を越えて調整することができる。
【0062】
経口投与は、通常、錠剤又はカプセル剤を使用して実施される。錠剤及びカプセル剤の用量の例は、0.1mg、0.25mg、0.5mg、1mg、2mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、200mg、350mg、500mg、700mg、750mg、800mg及び1000mgである。他の経口形態も同じ又は同様の用量であることができる。
【0063】
医薬組成物
本発明の別の態様は、式Iの化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、活性成分として式Iの化合物又は薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、並びに薬学的に許容される担体及び場合により他の治療成分を含む。用語「薬学的に許容される塩」は、無機塩基又は酸及び有機塩基又は酸を含む、薬学的に許容される非毒性の塩基又は酸から調製される塩を意味する。医薬組成物は、プロドラッグ、又はプロドラッグが投与される場合はその薬学的に許容される塩を含むこともできる。
【0064】
組成物は、典型的には、経口、直腸内、局所、非経口(皮下、筋肉内及び静脈内を含む)、眼球(眼内)、肺(経鼻又は口腔吸入)、又は経鼻投与に適しているが、ある特定の場合において最も適切な経路は、治療される症状の性質及び重篤度、並びに選択される特定の活性成分によって決まる。これらは、単位投与形態で都合よく存在することができ、薬剤学の技術で周知の方法のいずれかによって調製することができる。
【0065】
実際の使用では、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、活性成分として、従来の医薬配合技術に従って医薬担体と密接に混合して組み合わせることができる。担体は、例えば経口又は非経口(静脈内を含む)の投与に望ましい調製形態に応じて、多種多様な形態を取ることができる。経口投与形態の組成物を調製するために、例えば、懸濁剤、エリキシル剤及び液剤のような経口液体調合剤の場合には、例えば、水、グリコール、油、アルコール、風味剤、防腐剤、着色剤などのような、又は、例えば、粉末剤、硬質及び軟質カプセル剤及び錠剤のような経口固体調合剤の場合には、担体、例えば、デンプン、糖、微晶質セルロース、稀釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などのような通常の医薬媒質のいずれかを用いることができ、固体経口調合剤が液体調合剤よりも好ましい。
【0066】
投与のし易さのために、錠剤及びカプセル剤は、最も有利な経口投与形態を表す。したがって固体医薬担体が典型的に用いられる。望ましい場合には、錠剤を、標準的な水性又は非水性技術によって被覆することができる。そのような組成物及び調合剤は、典型的には少なくとも約0.1パーセントの活性化合物を含み、組成物の残りの部分は担体である。これらの組成物中の活性化合物の率は、当然のことながら変わることができ、都合よくは、投与形態の重量の約2パーセントから約60パーセントである。そのような治療上有用な組成物中の活性化合物の量は、有効用量が送達されるようなものである。
【0067】
あるいは、活性化合物は、例えば液滴又は噴霧の形態で、鼻腔内に投与することができる。
【0068】
錠剤、カプセル剤などは典型的には結合剤も含有する。適切な結合剤の例には、トラガカントガム、アカシア、ゼラチン及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のような合成又は半合成デンプン誘導体;リン酸二カルシウムのような賦形剤;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸のような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤;並びにいくつかの場合ではスクロース、ラクトース又はサッカリンのような甘味剤が挙げられる。用いられる投与形態がカプセル剤である場合、上記の成分に加えて、脂肪油のような液体担体を含有することができる。
【0069】
被覆として、又は投与単位の物理的形態を変えるために、多様な他の材料が考えられる。例えば、錠剤を、セラック、糖又はその両方で被覆することができる。シロップ剤及びエリキシル剤は、典型的には、活性成分に加えて、甘味剤としてスクロース、防腐剤としてメチル又はプロピルパラベン、色素、及びチェリー又はオレンジ風味のような風味剤を含有する。
【0070】
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を非経口的に投与することもできる。これらの活性化合物の液剤又は懸濁剤は、界面活性剤、緩衝剤などと適切に混合した水、食塩水又は他の生体適合性ビヒクルによって調製することができる。分散剤を、グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びこれらの油中混合物によって調製することもできる。通常の保存及び使用条件下では、これらの調合剤は、微生物の増殖を防止するために防腐剤を含有することもできる。
【0071】
注入用途に適切な医薬形態には、滅菌水性液剤及び分散剤、並びに滅菌注入用液剤及び分散剤の即時調合用の滅菌粉末剤が含まれる。調合剤は、滅菌条件下で調製されるべきであり、容易な注入可能性が存在する程度に流体であるべきである。製造及び保存の条件下で十分に安定しているべきであり、細菌又は真菌のような微生物の増殖から保護されるべきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール)、それらの適切な混合物、及び適切な油を含有する溶媒又は分散体媒質であることができる。
【0072】
併用療法
式Iの化合物は、本明細書に記載されている疾患又は症状の治療又は改善に有用でもありうる他の薬剤と組み合わせて、使用することができる。そのような他の薬剤は、それに慣用的に使用される経路及び量によって、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と同時に又は連続して投与することができる。2型糖尿病、インスリン抵抗性、肥満症、メタボリック症候群、神経障害及びこれらの疾患を伴う共存症を有する患者を治療するには、慣用的に2つ以上の薬剤が投与される。本発明の化合物は、一般に、これらの症状のために既に1つ以上の他の薬剤を摂取している患者に投与することができる。
【0073】
式Iの化合物が1つ以上の他の薬剤と同時に使用される場合、そのような他の薬剤及び式Iの化合物を含有する単位投与形態の医薬組成物が好ましい。しかし、併用療法には、式Iの化合物及び1つ以上の他の薬剤が異なる重複スケジュールで投与される療法も含まれる。1つ以上の他の活性成分と組み合わせて使用する場合、本発明の化合物及び他の活性成分は、それぞれ単独で使用されるときよりも低い用量で使用することができることも考慮される。したがって、本発明の医薬組成物には、式Iの化合物に加えて、1つ以上の他の活性成分を含有するものが含まれる。
【0074】
式Iの化合物と組み合わせて投与することができ、別々に投与する又は同じ医薬組成物で投与することができる他の活性成分の例には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
(a)グリタゾンと非グリタゾン(例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾン、ネトグリタゾン、T−131、LY−300512及びLY−818)の両方を含むPPARγアゴニスト及び部分アゴニスト;
(b)メトホルミン及びフェンホルミンのようなビグアナイド剤;
(c)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;
(d)シタグリプチン、サクサグリプチン、デナグリプチン、SYR−322及びビルダグリプチンのようなジベプチジルペプチダーゼIV(DP−4)阻害剤;
(e)インスリン又はインスリン模倣薬;
(f)トルブタミド、グリメピリド、グリピシド及び関連する物質のようなスルホニル尿素;
(g)α−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース);
(h)患者の脂質プロフィールを改善する薬剤、例えば、(i)HMG−CoA還元酵素阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522及び他のスタチン)、(ii)胆汁酸抑制剤(コレスチラミン、コレスチポール、及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩、(iv)フェノフィブル酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレート及びベザフィブレート)のようなPPARαアゴニスト、(v)例えばエゼチミブのようなコレステロール吸収阻害剤、(vi)アバシミベのようなアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤、(vii)トルセトラピブのようなCETP阻害剤、並びに(viii)プロブコールのようなフェノール系酸化防止剤;
(i)ムラグリタザール、テサグリタザール、ファルグリタザール及びJT−501のようなPPARα/γデュアルアゴニスト;
(j)PPARδアゴニスト、例えばWO97/28149で開示されているもの;
(k)フェンフルラミン、デクスフェンフラミン、フェンチラミン、サビトラミン、オーリスタット、ニューロペプチドY5阻害剤、Mc4rアゴニスト、カンナビノイドレセプター1(CB−1)アンタゴニスト/インバースアゴニスト及びβアドレナリン作動性レセプターアゴニストのような抗肥満化合物;
(l)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;
(m)アスピリン、非ステロイド性抗炎症薬、グルココルチコイド、アズルフィジン及びシクロオキシゲナーゼ2選択的阻害剤のような、炎症性条件で使用されることが意図される作用物質;
(n)グルカゴンレセプターアンタゴニスト;
(o)GLP−1;
(p)GIP−1;
(q)エキセンジン、例えばエクセナチド(Byetta)、エクセナチド−LAR及びリラグルチドのようなGLP−1類似体;
(r)ヒドロキシステレロールデヒドロゲナーゼ1(HSD−1)阻害剤。
【0075】
上記の組み合わせには、本発明の化合物と、1つの他の活性化合物ばかりでなく、2つ以上の他の活性化合物との組み合わせも含まれる。非限定例には、式I又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する化合物と、ビグアナイド剤、スルホニル尿素、HMG−CoA還元酵素阻害剤、他のPPARアゴニスト、PTP−1B阻害剤、DP−4阻害剤及び抗肥満化合物から選択される2つ以上の活性化合物との組み合わせが挙げられる。
【0076】
興味深い本発明の別の態様は、薬学的に許容される担体と組み合わせた式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物から構成される医薬組成物である。
【0077】
興味深い本発明の別の態様は、高血糖症、糖尿病又はインスリン抵抗性を、その治療が必要な哺乳類患者において治療する方法であって、高血糖症、糖尿病又はインスリン抵抗性を治療するのに有効な量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0078】
より詳細には、興味深い本発明の別の態様は、2型糖尿病をその治療が必要な哺乳類患者において治療する方法であって、2型糖尿病を治療するのに有効な量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を患者に投与することを含む方法に関する。
【0079】
興味深い本発明のさらに別の態様は、インスリン非依存性糖尿病をその治療が必要な哺乳類患者において治療する方法であって、インスリン非依存性糖尿病を治療するのに有効な量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を患者に投与することを含む方法に関する。
【0080】
興味深い本発明のさらに別の態様は、肥満症をその治療が必要な哺乳類患者において治療する方法であって、肥満症を治療するのに有効な量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0081】
興味深い本発明のさらに別の態様は、シンドロームXをその治療が必要な哺乳類患者において治療する方法であって、シンドロームXを治療するのに有効な量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0082】
興味深い本発明のさらに別の態様は、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群より選択される脂質障害を、その治療の必要な哺乳類患者において治療する方法であって、前記脂質障害の治療に有効な量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0083】
興味深い本発明のさらに別の態様は、アテローム性動脈硬化症をその治療が必要な哺乳類患者において治療する方法であって、アテローム性動脈硬化症を治療するのに有効な量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0084】
興味深い本発明のさらに別の態様は、(1)高血糖症、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDL濃度、(11)高LDL濃度、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)シンドロームX、(21)高血圧、並びにインスリン抵抗性が成因となっている他の症状及び疾患からなる群より選択される症状を、その治療の必要な哺乳類患者において治療する方法であって、前記症状を治療するのに有効な量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を患者に投与することを含む方法に関する。
【0085】
興味深い本発明のさらに別の態様は、(1)高血糖症、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDL濃度、(11)高LDL濃度、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)シンドロームX、(21)高血圧、並びにインスリン抵抗性が成因となっている他の症状及び疾患からなる群より選択される症状の発症の遅延を、その必要性のある哺乳類患者において行う方法であって、前記症状の発症を遅延するのに有効な量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を患者に投与することを含む方法に関する。
【0086】
興味深い本発明のさらに別の態様は、(1)高血糖症、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDL濃度、(11)高LDL濃度、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)シンドロームX、(21)高血圧、並びにインスリン抵抗性が成因となっている他の症状及び疾患からなる群より選択される症状が進行する危険性の低減を、その必要性のある哺乳類患者において行う方法であって、前記症状の進行の危険性を低減するのに有効な量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を患者に投与することを含む方法に関する。
【0087】
興味深い本発明のさらに別の態様は、(1)高血糖症、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDL濃度、(11)高LDL濃度、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)シンドロームX、(21)高血圧、並びにインスリン抵抗性が成因となっている他の症状及び疾患からなる群より選択される症状を、その治療の必要な哺乳類患者において治療する方法であって、前記症状を治療するのに有効な量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物及び、
(a)DP−IV阻害剤;
(b)(i)PPARアゴニスト及び(ii)ビグアナイド剤からなる群より選択されるインスリン感受性改善薬;
(c)インスリン及びインスリン模倣剤;
(d)スルホニル尿素及び他のインスリン分泌促進薬;
(g)α−グルコシダーゼ阻害剤;
(f)グルカゴンレセプターアンタゴニスト;
(g)GLP−1、GLP−1模倣剤及びGLP−1レセプターアゴニスト;
(h)GIP、GIP模倣剤及びGIPレセプターアゴニスト;
(i)PACAP、PACAP模倣剤及びPACAPレセプター3アゴニスト;
(j)
(i)HMG−CoA還元酵素阻害剤、(ii)抑制剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸及びその塩、(iv)PPARαアゴニスト、(v)PPARα/γデュアルアゴニスト、(vi)コレステロール吸収阻害剤、(vii)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤及び(viii)酸化防止剤
からなる群より選択されるコレステロール低下剤;
(k)PPARδアゴニスト;
(l)抗肥満化合物;
(m)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;
(n)グルココルチコイドを除く抗炎症剤;
(o)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;
(p)アンジオテンシン又はレニン系に作用するもの、例えばアンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンIIレセプターアンタゴニスト又はレニン阻害剤、例えば、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラマプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタン及びバルサルタンを含む降圧薬
からなる群より選択される化合物を患者に投与することを含む方法に関し、
前記化合物は、前記症状を治療するのに有効な量で患者に投与される。
【0088】
興味深い本発明のさらに別の態様は、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDL、高LDL、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質異常症からなる群より選択される症状を、その治療の必要な哺乳類患者において治療する方法であって、前記症状を治療するのに有効な量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物及びHMG−CoA還元酵素阻害剤を患者に投与することを含む方法に関する。
【0089】
より詳細には、興味深い本発明の別の態様は、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDL、高LDL、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質異常症からなる群より選択される症状を、その治療の必要な哺乳類患者において治療する方法であって、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物及びスタチンの形態のHMG−CoA還元酵素阻害剤を患者に投与することを含む方法に関し、前記化合物は、前記症状を治療するのに有効な量で投与される。この点において有用なスタチンには、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522及びリバスタチンからなる群が含まれる。
【0090】
高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDL濃度、高LDL濃度、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質異常症からなる群より選択される症状、並びにそのような症状の後遺症の進行の危険性を低減する方法であって、治療有効量の請求項1記載の化合物及びHMG−CoA還元酵素阻害剤を、その治療が必要な哺乳類患者に投与することが含まれる。
【0091】
より詳細には、興味深い本発明の別の態様は、アテローム性動脈硬化症の発生を遅延すること又は進行の危険性を低減することを、その治療の必要なヒト患者において行う方法であって、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物及びスタチンの形態のHMG−CoA還元酵素阻害剤を患者に投与することを含む方法に関し、前記化合物は、前記症状を治療するのに有効な量で投与される。この点において有用なスタチンには、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522及びリバスタチンからなる群が含まれる。
【0092】
より詳細には、興味深い本発明の別の態様は、アテローム性動脈硬化症を治療する、その発生を遅延する又は進行の危険性を低減することを、その治療の必要なヒト患者において行う方法であって、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物及びコレステロール吸収阻害剤を患者に投与することを含む方法に関し、前記化合物は、アテローム性動脈硬化症を治療する、その発生を遅延する又は進行の危険性を低減する量で投与される。
【0093】
さらにより詳細には、興味深い本発明の別の態様は、アテローム性動脈硬化症を治療する、その発生を遅延する又は進行の危険性を低減することを、その治療の必要なヒト患者において行う方法であって、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物及びコレステロール吸収阻害剤を患者に投与することを含む方法に関し、ここでコレステロール吸収阻害剤は、エゼチミブであり、前記化合物は、アテローム性動脈硬化症を治療する、その発生を遅延する又は進行の危険性を低減する量で投与される。
【0094】
興味深い本発明のさらに別の態様は、
(1)式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、
(2)
(a)DP−IV阻害剤;
(b)(i)PPARアゴニスト及び(ii)ビグアナイド剤からなる群より選択されるインスリン感受性改善薬;
(c)インスリン及びインスリン模倣剤;
(d)スルホニル尿素及び他のインスリン分泌促進薬;
(e)α−グルコシダーゼ阻害剤;
(f)グルカゴンレセプターアンタゴニスト;
(g)GLP−1、GLP−1模倣剤及びGLP−1レセプターアゴニスト;
(h)GIP、GIP模倣剤及びGIPレセプターアゴニスト;
(i)PACAP、PACAP模倣剤及びPACAPレセプター3アゴニスト;
(j)(i)HMG−CoA還元酵素阻害剤、(ii)抑制剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸及びその塩、(iv)PPARαアゴニスト、(v)PPARα/γデュアルアゴニスト、(vi)コレステロール吸収阻害剤、(vii)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤及び(viii)酸化防止剤からなる群より選択されるコレステロール低下剤;
(k)PPARδアゴニスト;
(l)抗肥満化合物;
(m)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;
(n)グルココルチコイド以外の抗炎症剤;
(o)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;
(p)アンジオテンシン又はレニン系に作用するもの、例えばアンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンIIレセプターアンタゴニスト又はレニン阻害剤、例えば、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラマプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタン及びバルサルタンを含む降圧薬
からなる群より選択される化合物、並びに
(3)薬学的に許容される担体
から構成される医薬組成物に関する。
【0095】
興味深い本発明の別の態様は、本明細書に記載されている疾患又は症状の治療に使用される薬剤の製造における、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用に関する。
【0096】
本発明の化合物は、本明細書に記載される合成スキームを使用して調製することができる。以下の略語が合成スキームにおいて使用される:
Acは、アセチル[CHC(O)−]であり;AcOは、無水酢酸であり;AcAcは、アセチルアセトネートであり;Arは、アリールであり;ArXは、ハロゲン化アリールであり;9−BBNは、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンであり;Bnは、ベンジルであり;BOCは、tertブチルオキシカルボニルであり;DBUは、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンであり;DIADは、ジイソプロピルアゾジカルボキシレートであり;DIBALは、水素化ジイソブチルアルミニウムであり;DMFは、N,N−ジメチルホルムアミドであり;DMSOは、ジメチルスルホキシドであり;EDAC(又はEDC)は、1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−カルボジイミドHClであり;EtNは、トリエチルアミンであり;Etは、エチルであり;EtOAcは、酢酸エチルであり;EtOHは、エタノールであり;HClは、塩酸であり;Het−Xは、複素環式ハロゲン化物であり;HOBtは、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールであり;HPLCは、高圧液体クロマトグラフィーであり;LGは、脱離基であり;Mは、モルであり;mmolは、ミリモルであり;Meは、メチルであり;MeOHは、メタノールであり;MsClは、塩化メタンスルホニルであり;Nは、規定であり;NaHMDSは、ナトリウムヘキサメチルジシラジドであり;NaOAcは、酢酸ナトリウムであり;NaOtBuは、ナトリウムtert−ブトキシドであり;NMOは、N−メチルモルホリンNオキシドであり;NMPは、N−メチルピロリジノンであり;PGは、保護基であり;Pd(dba)は、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムであり;PdCl(PhP)は、ジクロロビス−(トリフェニルホスフェン)パラジウムであり;Phは、フェニルであり;PhMeは、トルエンであり;PPhは、トリフェニルホスフィンであり;PMBは、パラ−メトキシベンジルであり;RT及びr.t.は、室温を示し;TBAFは、テトラブチルアンモニウムフルオリドであり;TBSは、tert−ブチルジメチルシリルであり;tBuは、tert−ブチルであり;Tfは、トリフレートであり;TFAは、トリフルオロ酢酸であり;THFは、テトラヒドロフランであり;TLCは、薄層クロマトグラフィーであり;TMEDAは、テトラメチルエチレンジアミンであり;TMSは、トリメチルシリルであり;TPAPは、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウムである。一般スキームにおいて、名称R〜Rは、プレースホルダーの役割をする。下記に示されているHを含む環は、複素環を表す。スキーム4において、Eは、エステル形成基、例えばプロピル、ブチルなどである。
【0097】
一般スキーム
本発明の置換ビピペリジンは、いくつかの方法のいずれかによって調製することができる。下記に詳述されている特定の例は、以下の一般手順のうちのいくつかを用いることができる。
【0098】
スキームに示されている置換アリール及びヘテロアリールカップリング中間体は、市販されているか、又は多くのルートを介して容易に入手可能なアリール、複素環もしくは他の同族体から容易に調製することができる。中間体は、予め作ったヘテロアリール骨格の修飾により又はデノボ環合成により入手可能である。
【0099】
本発明の調製のために必要なピペリジン中間体の多くは、市販されているか又は公表されている手順によって入手可能である。最も有用な合成方法の一つは、適切なピリジンの還元を利用する。酢酸中、水素及び5〜10%のPd木炭又は同様の水素化触媒による低圧還元によって、適切なピペリジンがもたらされる(スキーム1)。
【0100】
【化6】

【0101】
種々のアリール(ヘテロアリール)/アミンカップリング方法がこれらの中間体の生成に十分に適している。一般的方法であるSnAr置換がスキーム2に示されている。
【0102】
【化7】

【0103】
一つの有用な合成方法は、スキーム3に概説され、いくつかの文献において記載されているBuchwaldカップリングである。スキーム3は、必要なパートナーのカップリングのために都合の良い方法を示している。
【0104】
【化8】

【0105】
Ar1又はHetフラグメントの複素環残基は、デノボ環合成により得ることができる。チアゾール及びピリミジンの場合におけるデノボ環合成の例が、スキーム4に示されている。数多くの方法を使用することができる。
【0106】
【化9】

【0107】
N−アリール又はN−ヘテロアリール残基が、X基(ここで、X=Cl、Br又はOTfである)により置換されている場合、パラジウム有機金属媒介カップリング反応を利用して残基を更に官能化することが可能である。極めて広範囲に適用可能な方法は、スキーム5に概説されているパラジウム媒介カップリングである。
【0108】
【化10】

【0109】
上記に記載されているN官能化誘導体から保護基を除去することによって、更に官能化することができる化合物を生成する。スキーム6に調製方法を記載する。
【0110】
【化11】

【0111】
上記のスキーム2〜5に記載されている方法を使用して、第2のアリール又はヘテロアリール基を付けることができる(スキーム7)。
【0112】
【化12】

【0113】
一般手順1.1(芳香族求核置換)
調製例1.1:1′−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0114】
【化13】

【0115】
DMF(5mL)中の、市販の供給元(Arch Chemical又はABChem Inc.)から入手した4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(100mg;0.373mmol)及び1−フルオロ−4−(メチルスルホニル)ベンゼン(65mg;0.373)の溶液を、炭酸セシウム(182mg;0.559mmol)で処理し、60℃で18時間攪拌した。反応を酢酸エチル(50mL)で希釈した。次に有機層を水(2×150mL)で2回洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、残渣とした。粗生成物を、酢酸エチルで溶出する、シリカゲルのクロマトグラフィーにより精製した。標記化合物を単離した。
500MHzNMR(CDCl3):δ7.74(d,2H,J=9Hz),6.93(d,2H,J=8.5Hz),4.13(bs,2H),3.91
(d,2H,J=13Hz),3.00(s,3H),2.84(t,2H,J=11.5Hz),2.64(t,2H,J=12.5Hz),1.81(d,2H,J=10Hz),1.68(d,2H,J=12.5Hz),1.45(s,9H),1.34(m,4H),1.15(m,2H).。LCMS計算値:422.59 実測値:423.13(M+H)。
【0116】
一般手順1.2(Buchwaldカップリング)
調製例1.2:1′−{4−[(トルフルオロメチル)スルホニル]フェニル}−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
【0117】
【化14】

【0118】
臭化アリール(35mg、0.12mmol)、ピペリジン(HCl塩、44.3mg、0.14mmol)、炭酸セシウム(118mg、0.36mmol)、酢酸パラジウム(1.36mg、0.006mmol)、2−(ジフェニルホスフィノ)−2′−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(4.6mg、0.012mmol)を含有するフラスコに、真空にすること及びアルゴンの再充填を交互に3回行った。DMF(0.24mL)をシリンジで加え、混合物を更に3回脱気した。反応混合物をアルゴン下、90℃で一晩撹拌し、冷ました後、酢酸エチル(4mL)を加え、混合物を水(0.5mL×2)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。分取TLC(30/70の酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって、標記化合物を得た。
LRMS計算値:476.2 実測値:377.1(M−99),321.1(M−55),499.1(M+23)。
【0119】
一般手順1.3
調製例1.23(表1):1′−{4−[(メチルスルホニル)メチル]フェニル}−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
【0120】
【化15】

【0121】
工程1:4−ブロモベンジルメチルスルホン
【0122】
【化16】

【0123】
p−ブロモベンジルブロミド(500mg、2mmol)をエタノール中でMeSONa(306mg、3mmol)と共に1時間還流した。反応を冷却し、濃縮し、フラッシュカラム(50%のアセトン/ヘキサン)により精製して、所望の生成物を得た。
【0124】
工程2:1′−{4−[(メチルスルホニル)メチル]フェニル}−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0125】
【化17】

【0126】
臭化アリール(50mg、0.2mmol)、ピペリジン(HCl塩、73mg、0.24mmol)、炭酸セシウム(163mg、0.5mmol)、酢酸パラジウム(2.24mg、0.01mmol)、ビス(トリ−tert−ブチルホスホラニル)パラジウム(3.4mg、0.067mmol)を含有するフラスコに、真空にすること及びアルゴンの再充填を交互に3回行った。ジオキサン(0.5mL)をシリンジで加え、混合物を更に3回脱気した。反応混合物をアルゴン下、80℃で3時間撹拌し、冷ました後、酢酸エチル(4mL)を加え、混合物を水(0.5mL×2)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。分取TLC(30%のアセトン/ヘキサン)による精製により、標記化合物を得た。
LRMS計算値:436.2 実測値:437.2(M+1)。
【0127】
一般手順1.4
調製例1.24(表1):1′−[4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
【0128】
【化18】

【0129】
工程1:1′−(4−ヨードフェニル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0130】
【化19】

【0131】
塩化メチレン(40mL)中の、実施例301と同様に合成した1′−フェニル−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(0.688g、2mmol)の溶液に、ビス(コリジン)ヨウ素(I)ヘキサフルオロホスフェート(2.05g、4mmol)を加えた。反応混合物を室温で10分間撹拌した後、溶媒を真空下で除去し、残渣をシリカゲル(ヘキサン/エーテル)のクロマトグラフィーにより精製した。
【0132】
工程2:1′−[4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0133】
【化20】

【0134】
工程1の1′−(4−ヨードフェニル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(17mg、0.036mmol)、1H−1,2,4−トリアゾール(7.5mg、0.108mmol)、CuI(0.7mg、0.0036mmol)、N,N′−ジメチルエタン−1,2−ジアミン(1mg、0.0072mg)、KPO(16mg、0.0756mmol)を1ドラムのバイアルの中で混合し、続いてDMF(0.1mL)を加えた。反応容器を脱気し、Arを3回充填し戻してから、100℃で20時間加熱した。反応を冷却し、水で希釈し、EtOAcで抽出し、濃縮し、PTLCにより精製して、標記化合物を得た。
500MHzNMR(CDCl3):δ8.49(s,1H),8.12(s,1H),7.53(d,2H,J=9Hz),7.03(d,2H,J=9Hz),4.17(bs,2H),3.81(d,2H,J=12.5Hz),2.75(dt,2H,J=12.3Hz,2.3Hz),2.69(bs,2H),1.85(d,2H,J=11.9Hz),1.74(d,2H,J=12.1Hz),1.49(s,9H),1.44(m,2H),1.29(m,2H),1.20(m,2H)。
【0135】
【表1−1】

【0136】
【表1−2】

【0137】
【表1−3】

【0138】
一般手順2.1:(芳香族求核置換)
調製例2.1:1′−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0139】
【化21】

【0140】
4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(2.15g、8.0mmol)及び炭酸セシウム(7.8g、24mmol)をNMP(80ml)中でスラリーにして、2,6−ジクロロピラジン(1.25mg、8.4mmol)を加えた。混合物を70℃で2時間撹拌した。反応混合物をr.t.に冷まし、100mLの酢酸エチルで希釈し、水80mL(×1)及びブライン80mL(×1)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、rotavaporで濃縮した。粗物質を、25%アセトン:ヘキサンを用いるシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を得た。表2に報告されている例は、容易に入手可能な出発原料及び4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルから、上記に記載された手順2.1により調製することができる。
【0141】
【表2−1】

【0142】
【表2−2】

【0143】
【表2−3】

【0144】
【表2−4】

【0145】
一般手順3.1:
1′−[2−(トルフルオロメチル)ピリミジン−4−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
工程1:4−ブロモ−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン
【0146】
【化22】

【0147】
2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−オール(328mg、2.0mmol)及びPBr(0.188mL、2.0mmol)を混合し、150℃で3時間加熱した。反応を冷まし、氷水で停止させ、DCM(20mL×2)で抽出して、標記化合物を得た。有機層を濃縮し、粗物質を、20%アセトン:ヘキサンを用いる分取TLCにより精製して、標記化合物を得た。
【0148】
工程2:1′−[2−(トルフルオロメチル)ピリミジン−4−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0149】
【化23】

【0150】
4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(28.5mg、0.11mmol)及び炭酸セシウム(106mg、0.32mmol)をNMP(0.5ml)中で混合し、4−ブロモ−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン(12mg、0.053mmol)を加えた。混合物を70℃で2時間加熱した。反応をr.t.に冷まし、酢酸エチル(5mL)で希釈し、水2mL(×1)及びブライン2mL(×1)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、rotavaporで濃縮した。粗物質を、30%アセトン:ヘキサンを用いる分取TLCにより精製して、標記化合物を得た。
LC−MS:415.60(M+H)。
【0151】
表3に報告されている調製例は、上記に記載された手順3.1により調製することができる。
【0152】
【表3−1】

【0153】
【表3−2】

【0154】
一般手順4.1:
1′−(6−メチルピラジン−2−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
工程1:1′−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル:手順2.1と同様にした。
【0155】
【化24】

【0156】
工程2:1′−(6−メチルピラジン−2−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0157】
【化25】

【0158】
1′−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(100mg、0.26mmol)をTHF及びNMP(5mL、1:1)にr.t.で溶解した。触媒のアセチルアセトン鉄(III)(18.4mg、0.052mmol)をN下で加えた。臭化メチルマグネシウム(3M、0.19mL、0.57mmol)を滴下した。反応を15分以上撹拌し、氷冷塩化アンモニア溶液(10mL)で停止させ、酢酸エチル(10mL)で抽出した。有機相をブライン(10mL、×1)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、rotavaporで濃縮した。粗物質を、30%アセトン:ヘキサンを用いる分取TLCにより精製して、標記化合物を得た。
LC−MS:361.63(M+H)。
【0159】
表4に報告されている調製例は、上記に記載された手順4.1により調製することができる。
【0160】
【表4−1】

【0161】
【表4−2】

【0162】
一般手順5.1:
1′−(6−シアノピラジン−2−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
工程1:1′−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル:手順2.1と同様にした。
工程2:1′−(6−シアノピラジン−2−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0163】
【化26】

【0164】
1′−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(500mg、1.3mmol)、酢酸パラジウム(II)(6mg、0.026mmol)、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン(0.15mL、0.26mmol)、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、シアン化カリウム(93mg、1.43mmol)を、13mLの無水トルエンを有する密閉ボトルの中に入れた。混合物をNにより脱気し、密閉し、160℃で一晩(16時間)加熱した。反応をr.t.に冷まし、酢酸エチル50mLで希釈し、セライトで濾過し、rotavaporで濃縮した。粗物質を、30%アセトン:ヘキサンを用いるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を得た。
LC−MS:394.11(M+23)。
【0165】
表5に報告されている調製例は、手順5.1により調製することができる。
【0166】
【表5−1】

【0167】
【表5−2】

【0168】
一般手順6.1:
1′−[6−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ピリミジン−4−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
工程1:1′−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル:2,6−ジクロロピラジンを4,6−ジクロロピリミジンに代えて、手順2.1と同様にした。
【0169】
【化27】

【0170】
工程2:1′−[6−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ピリミジン−4−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0171】
【化28】

【0172】
1′−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(190mg、0.50mmol)、1,2,4−トリアゾール(69mg、1.0mmol)、炭酸セシウム(488mg、1.5mmol)をNMP(5mL)に加え、140℃で1.5時間加熱した。反応粗物質をr.t.に冷まし、酢酸エチル(10mL)で希釈し、水(5mL、×1)及びブライン(5mL、×1)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、rotavaporで濃縮した。粗混合物を、50%酢酸エチル:ヘキサンを用いる分取TLCにより精製して、標記化合物を得た。
LC−MS:414.13(M+H)。
【0173】
表6に報告されている調製例は、上記に記載された手順6.1により調製することができる。
【0174】
【表6】

【0175】
一般手順7.1:
1′−[6−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
工程1:1′−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル:手順6.1と同様にした。
工程2:1′−[6−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0176】
【化29】

【0177】
1′−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(19mg、0.05mmol)を、密閉ボトルの中のMeOH中のメチルアミン(1N、2mL)に加え50℃で2日間加熱した。反応粗物質をr.t.に冷まし、rotavaporで濃縮した。粗混合物を、10%メタノール:ジクロロメタンを用いる分取TLCにより精製して、標記化合物を得た。
LC−MS:376.18(M+H)。
【0178】
表7に報告されている調製例は、上記に記載された手順7.1により調製することができる。
【0179】
【表7】

【0180】
一般手順8.1:
1′−[6−(ベンジルオキシ)ピリミジン−4−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
工程1:1′−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル:手順6.1と同様にした。
工程2:1′−[6−(ベンジルオキシ)ピリミジン−4−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
【0181】
【化30】

【0182】
1′−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(100mg、0.26mmol)、フェニルメタノール(0.031mL、0.29mmol)をDMF(2.6mL)に加え、次に水素化ナトリウム(7mg、0.29mmol)を混合物に加えた。反応を30℃で30分間加熱した。反応粗物質をr.t.に冷まし、氷塩化アンモニア溶液(10mL)で停止させ、酢酸エチル(10mL)で抽出した。有機層をブライン(10mL、×1)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、rotavaporで濃縮した。粗混合物を、30%酢酸エチル:ヘキサンを用いる分取TLCにより精製して、標記化合物を得た。
LC−MS:453.62(M+H)。
【0183】
表8に報告されている調製例は、上記に記載された手順8.1により調製することができる。
【0184】
【表8】

【0185】
一般手順9.1:
1′−(5−フルオロ−2−メトキシピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
工程1:1′−(2−クロロ−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル:2,6−ジクロロピラジンを2,4−ジクロロ−5−フルオロピリミジンに代えて、手順2.1と同様にした。
【0186】
工程2:1′−(5−フルオロ−2−メトキシピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0187】
【化31】

【0188】
1′−(2−クロロ−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(40mg、0.10mmol)をNMP(1mL)に加え、次にカリウムメトキシド(8.1mg、0.11mmol)を混合物に加えた。反応をr.t.で30分間撹拌し、塩化アンモニウム溶液(5mL)で停止させ、酢酸エチル(10mL)で抽出した。有機層をブライン(10mL、×1)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、rotavaporで濃縮した。粗混合物を、30%酢酸アセトン:ヘキサンを用いる分取TLCにより精製して、標記化合物を得た。
LC−MS:395.14(M+H)。
【0189】
一般手順10.1:
1′−[6−(メチルスルホニル)ピリミジン−4−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
工程1:1′−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル:手順6.1と同様にした。
工程2:1′−[6−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0190】
【化32】

【0191】
1′−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(100mg、0.26mmol)をNMP(2.6mL)に溶解し、ナトリウムメタンチオレート(18.2mg、0.26mmol)を加えた。反応をr.t.で30分間撹拌した。反応粗物質を酢酸エチル(10mL)で希釈し、水(10mL、×1)及びブライン(10mL、×1)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、rotavaporで濃縮した。粗混合物を、30%酢酸エチル:ヘキサンを用いる分取TLCにより精製して、標記化合物を得た。
LC−MS:393.64(M+H)。
【0192】
工程3:1′−[6−(メチルスルホニル)ピリミジン−4−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0193】
【化33】

【0194】
1′−[6−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(100mg、0.25mmol)をジクロロメタン(2.5mL)に溶解し、mCPBA(126mg、0.55mmol、最大77%)を加えた。反応をr.t.で1時間撹拌し、ジクロロメタン(10mL)で希釈した。反応混合物をチオ硫酸ナトリウム溶液(10mL、1N、×1)及び飽和重炭酸ナトリウム溶液(10mL、×1)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、rotavaporで濃縮した。粗混合物を、30%アセトン:ヘキサンを用いるフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を得た。
LCMS:447.58(M+23)。
【0195】
表10に報告されている調製例は、上記に記載された手順10.1により調製することができる。
【0196】
【表10】

【0197】
一般手順11.1(芳香族求核置換)
工程1:5−クロロピラジン−2−アミンの調製
【0198】
【化34】

【0199】
ピラジン−2−アミン(15.0g、158mmol)をDMF(80ml)に溶解し、容器をRTの水浴で冷却した。N−クロロスクシンイミド(21.1g、158mmol)を3つに分けて(0.33当量)、30分毎に加え、暗色の溶液を一晩撹拌した。混合物をDCM(1000ml)及びアセトン(100ml)で希釈し、混合物をRTで5分間撹拌した。溶液を1インチのシリカプラグ(150mlのシリカ)で濾過し、フィルターケーキを15%アセトン:DCM(400ml×5)により、所望の物質が洗浄画分に存在しなくなるまで洗浄した。有機物を合わせ、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、真空下で濃縮した。残渣を、未希釈のDCMから始め、5%アセトン:DCMまで段階的に上げる段階勾配を使用する、シリカゲルのクロマトグラフィーにより精製した。
【0200】
工程2:2,5−ジクロロピラジンの調製
【0201】
【化35】

【0202】
5−クロロピラジン−2−アミン(5.0g、38.6mmol)をアセトニトリル(77ml)にNのバルーン下で溶解した。塩化銅(I)(5.7g、57.9mmol)及び塩化銅(II)(7.8g、57.9mmol)を加え、スラリーを氷:アセトン浴で−10℃に冷却した。亜硝酸t−ブチル(9.15g、89mmol、90%)を滴下し、溶液をRTに温めた。溶液を、ガスの急速な発生が止まるまで30分間撹拌した。混合物を65℃で2.5時間加熱した。混合物をRTに冷却し、465mlのフリットを充填した1.5インチのセライトパッドで濾過した。パッドをDCM(200ml×4)で洗浄し、所望の物質を含有する洗浄画分を合わせ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、2%エーテル:ペンタンを用いるシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を得た。
【0203】
工程3:1′−(5−クロロピラジン−2−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0204】
【化36】

【0205】
4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(1.27g、4.7mmol)及び2,5−ジクロロピラジン(670mg、4.5mmol)をNMP(5ml)に室温で溶解し、1,8−ジアザビシクロ[5.4.9]−ウンデカ−7−エン(1mL、6.8mmol)を滴下した。混合物を110℃で1時間加熱し、r.t.に冷まし、50mLの酢酸エチルで希釈した。溶液を、水(10mL×1)、ブライン(10mL、×1)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、10%アセトン:ヘキサンを用いるシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を得た。
LC−MS:381.25(M+H)。
【0206】
工程4:1′−(5−メチルピラジン−2−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0207】
【化37】

【0208】
1′−(5−クロロピラジン−2−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(1.1g、2.9mmol)を1:1のTHFとNMP(30mL)にr.t.で溶解した。アセチルアセトン鉄(III)(512mg、1.45mmol)をN下で加えた。臭化メチルマグネシウム(3M、3.9mL、11.6mmol)を滴下し、混合物を15分間撹拌した。飽和塩化アンモニウム(30mL、水溶液)及び酢酸エチル(30mL)の氷冷溶液を加えた後、混合物を振とうし、層を分離した。有機層をブライン(10mL、×1)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、12.5%アセトン:ヘキサンを用いるシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を得た。
LC−MS:361.32(M+H)。
【0209】
一般手順11.2(塩素化)
調製例11.2:1′−(5−クロロピラジン−2−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0210】
【化38】

【0211】
1′−ピラジン−2−イル−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(64mg、0.19mmol、実施例8に記載されたように調製)及びN−クロロスクシンイミド(27mg、0.20mmol)をDMF(0.9ml)に溶解し、溶液を50℃で一晩撹拌した。スラリーを、15%ブライン:水(40ml)で希釈し、酢酸エチル(3×25ml)で抽出した。合わせた有機画分をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、揮発物を真空下で除去した。粗物質を、10%アセトン:ヘキサンを用いるシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を得た。
LRMS計算値:380.2 実測値:403.0(M+Na)。
【0212】
一般手順11.3(臭素化)
調製例11.15:1′−(5−ブロモピラジン−2−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0213】
【化39】

【0214】
1′−ピラジン−2−イル−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(16mg、0.046mmol、実施例8に記載されたように調製)及びN−ブロモスクシンイミド(8.2mg、0.046mmol)をDMF(0.2ml)に溶解し、溶液を50℃で一晩撹拌した。スラリーを、15%ブライン:水(40ml)で希釈し、酢酸エチル(3×25ml)で抽出した。合わせた有機画分をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、揮発物を真空下で除去した。粗物質を、20%アセトン:ヘキサンを用いるシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を得た。
LRMS計算値:424.1 実測値:447.0(M+Na)。
【0215】
表11に報告されている調製例は、容易に入手可能な出発原料及び4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルから、一般手順11.1を使用して調製することができる。
【0216】
【表11−1】

【0217】
【表11−2】

【0218】
【表11−3】

【0219】
【表11−4】

【0220】
一般手順11.6(脱塩素化)
調製例11.16:1′−ピリミジン−4−イル−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0221】
【化40】

【0222】
1′−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(50mg、0.13mmol、実施例13に記載されたように調製)及び炭酸ナトリウム(11mg、0.13mmol)を、メタノール(1.3ml)に溶解し、パラジウム炭素(14mg)を加え、溶液を水素雰囲気下で一晩撹拌した。溶液を4:1の水:飽和重炭酸ナトリウム(40ml)で希釈し、酢酸エチル(3×25ml)で抽出した。合わせた有機画分をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、揮発物を真空下で除去した。粗物質を、35%アセトン:ヘキサンを用いるシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を得た。
LRMS計算値:346.2 実測値:347.1(M+H)。
【0223】
一般手順12.1(芳香族求核置換)
調製例12.1:1′−[4−(シアノ)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
【0224】
【化41】

【0225】
DMF(3mL)中の4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(181mg;0.674mmol)の溶液を、4−フルオロベンゾニトリル(98mg;0.809mmol)及び炭酸セシウム(264mg;0.809mmol)で処理した。混合物を70℃で18時間撹拌した。混合物を酢酸イソプロピル(25mL)とpH7のリン酸緩衝液(10mL)に分配した。有機物をpH7のリン酸緩衝液(2×10mL)で更に2回洗浄した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、固体にした。粗物質をシリカゲルのクロマトグラフィー(PTLC;2:1のヘキサン/MTBE)に付した。主バンドを回収し、標記化合物を得た。LRMS計算値:369.2 実測値:370.1(M+H),270.1(M−BOC+H)。
【0226】
一般手順12.2(銅媒介Nアリール化)
調製例12.2:1′−[4−(メチルチオ)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
【0227】
【化42】

【0228】
ジクロロメタン(6mL)中の4−メチルチオフェニルボロン酸(240mg;1.431mmol)の懸濁液を、活性粉末4Åモレキュラーシーブ(1.5g)、Cu(OAc)(87mg;0.477mmol)、4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(128mg;0.477mmol)及びトリエチルアミン(134μL;0.954mmol)で処理した。反応溶液を酸素でパージし、混合物を酸素雰囲気下、周囲温度で18時間撹拌した。褐色になった混合物をセライトで濾過した。溶出液をシリカゲルに吸着させた。シリカゲルを分画することなく十分に溶出した(1:1のヘキサン/MTBE)。溶出液を蒸発させて黄色の油状物にし、クロマトグラフィー(PTLC;2:1のヘキサン/MTBE)に付した。主バンドを集め、標記化合物を得た。LRMS計算値:390.2 実測値:391.1(M+H),291.1(M−BOC+H)。
【0229】
一般手順12.3(パラジウム媒介Nアリール化)
調製例12.3:1′−[4−(メトキシカルボニル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
【0230】
【化43】

【0231】
100mLの反応フラスコに、4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(1.14g;4.25mmol)、4−ブロモ安息香酸メチル(913mg;4.25mmol)、炭酸セシウム(4.15g;12.74mmol)、Pd(OAc)(48mg;0.212mmol)及び2−(ジフェニルホスフィノ)−2′−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(162mg;0.425mmol)を投入した。NMP(窒素を10分間泡立ててガス抜きした;10mL)を加え、混合物を90℃で18時間撹拌した。混合物をジクロロメタン(100mL)で希釈し、セライトで濾過した。濾液を水(4×25mL)で洗浄した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、固体にした。固体を還流(MTBE)により温浸した。冷却した後、白色の固体を濾過により回収した。濾液を蒸発させ、クロマトグラフィー(範囲;0%〜100%のEtOAc/ヘキサン;直線勾配)に付した。所望の化合物を含有する画分を回収し、固体と合わせて、標記化合物を得た。
LRMS計算値:402.3 実測値:403.2(M+H),303.2(M−BOC+H)。
【0232】
一般手順12.4(エステル加水分解)
調製例12.4:4−[1′−(tert−ブトキシカルボニル)−4,4′−ビピペリジン−1−イル]安息香酸の調製
【0233】
【化44】

【0234】
化合物12.3(305mg;0.758mmol)を、密閉可能な管の中のエタノール(5ml)に懸濁した。水酸化カリウム(225mg;3.41mmol)を加えた。管を密閉し、105℃の浴で1時間加熱した。固体塊を水で洗浄し、pHを1N HClで4.0に調整した。標記化合物を濾過により回収した。LRMS計算値:388.2 実測値:389.2(M+H),289.1(M−BOC+H)。
【0235】
一般手順12.5(アミド形成)
調製例12.5:1′−{4−[(1,2,4−チアジアゾール−5−イルアミノ)カルボニル]フェニル}−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
【0236】
【化45】

【0237】
化合物12.4(56mg;0.144mmol)を無水DMF(2ml)に懸濁した。2−アミノ−1,2,4−チアジアゾール(29mg;0.288mmol)を加え、続いてDMAP(35mg;0.288mmol)及びEDC(55mg;0.288mmol)を加えた。混合物を周囲温度で24時間撹拌した。反応をiPrOAc(50mL)で希釈し、重炭酸ナトリウム水溶液(10mL)で1回、水(2×10mL)で更に2回洗浄した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、黄色の固体にした。固体を還流MTBEで温浸した。混合物を冷却し、上澄みを取り除いた。残ったオフホワイトの固体を冷MTBEですすいで、標記化合物を得た。
LRMS計算値:471.2 実測値:472.1(M+H)、372.1(M−BOC+H)。
【0238】
表12に報告されている調製例は、容易に入手可能な出発物質及び4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルから、当業者によって、上記に記載された手順(12.1〜5)の1つ以上により調製することができる(=追加的な合成情報については、表12の下記を参照すること)。全てのBOC含有化合物のLRMSは、M+1及びM−100+1(M−BOC−1)イオンにより得た。
【0239】
【表12−1】

【0240】
【表12−2】

【0241】
【表12−3】

【0242】
【表12−4】

【0243】
【表12−5】

【0244】
【表12−6】

【0245】
【表12−7】

【0246】
【表12−8】

【0247】
追加情報
調製例12.2:1′−[4−(アミノカルボニル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
【0248】
【化46】

【0249】
EtOH(2mL)中の化合物12.1(26mg;0.070mmol)の溶液を、NaOH水溶液(280μL;2M;0.56mmol)で処理した。混合物を18時間還流した。反応をジクロロメタンと水に分配した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、標記化合物を白色の固体として得た。
LRMS計算値:387.3 実測値:388.2(M+H),288.3(M−BOC+H)。
【0250】
調製例12.4:1′−[4−(メチルスルフィニル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
【0251】
【化47】

【0252】
ジクロロメタン(2mL)中の化合物12.3(76mg;0.195mmol)の溶液を、mCPBA(45mg;75重量%;0.195mmol)で処理した。混合物を周囲室温で30分間撹拌した。反応をiPrOAc(50mL)と重炭酸ナトリウム水溶液(10mL)に分配した。有機物を重炭酸ナトリウム水溶液(3×10mL)で更に3回洗浄した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、固体にした。固体を還流ヘキサンで温浸した。混合物を冷却し、濾過して、標記化合物を白色の固体として得た。
LRMS計算値:406.2 実測値:407.1(M+H),307.2(M−BOC+H)。
【0253】
調製例12.20:1′−[4−(2−アミノ−2−オキソエチル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
【0254】
【化48】

【0255】
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(53mg;0.388mmol)を、メタノール中のアンモニア(5mL;7M)の溶液に溶解した。溶液を蒸発させて、白色の固体にした。DMF(2mL)中の{4−[1′−(tert−ブトキシカルボニル)−4,4′−ビピペリジン−1−イル]フェニル}酢酸(52mg;0.129mmol)を加え、続いてEDC(75mg;0.388mmol)を加えた。混合物を周囲室温で1時間撹拌した。反応をiPrOAc(50mL)と重炭酸ナトリウム水溶液(10mL)に分配した。有機物を水(2×10mL)で更に2回洗浄した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、固体にした。固体をクロマトグラフィー(PTLC;40:1のCHCl/MeOH)に付して、標記化合物を得た。
LRMS計算値:401.3 実測値:402.3(M+H),302.2(M−BOC+H)。
【0256】
調製例12.22:1′−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
【0257】
【化49】

【0258】
EtOH(1mL)中の1′−(4−ホルミルフェニル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(72mg;0.193mmol)の溶液を、NaBH(8mg;0.231mmol)で処理した。溶液を周囲室温で1時間撹拌した。反応をiPrOAcと水に分配した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、標記化合物を得た。
LRMS計算値:374.3 実測値:375.3(M+H),275.2(M−BOC+H)。
【0259】
調製例12.24:1′−[4−(1,3−チアゾール−2−イル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
工程1:1′−[4−(アミノカルボノチオイル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0260】
【化50】

【0261】
ジオキサン(8ml)中の化合物12.2(227mg;0.586mmol)の懸濁液を、Lawesson試薬(355mg;0.879mmol)で処理した。混合物を周囲室温で56時間撹拌した。混合物を濾過し、蒸発させて、黄色の固体にした。固体をシリカゲルに吸着させ、分画することなく溶出した(40:1のCHCl/MeOH)。溶出液を蒸発させて、黄色の固体にした。固体をクロマトグラフィー(範囲;0%〜7%のMeOH/CHCl;直線勾配)に付した。黄色の画分を集め、蒸発させて、標記化合物を得た。
LRMS計算値:403.2 実測値:404.2(M+H),304.1(M−BOC+H)。
【0262】
工程2:1′−[4−(1,3−チアゾール−2−イル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0263】
【化51】

【0264】
DMF(3ml)中の上記の例12.24、工程1の生成物(151mg;0.374mmol)の溶液を、AcO(1ml)及びクロロアセトアルデヒド(587mg;50%水溶液;3.74mmol)で処理した。溶液を80℃で1時間撹拌した。反応をiPrOAc(50mL)と重炭酸ナトリウム水溶液(20mL)に分配した。有機物を重炭酸ナトリウム水溶液(3×10mL)で更に3回洗浄した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、褐色の半固体にした。固体を温浸した(還流MTBE)。ほぼ均質の溶液を−10℃で1時間放置して、黄褐色の固体を沈殿させた。上澄みを取り除き、固体をMTBEですすいだ。揮発物を全て除去し、明黄褐色の固体をクロマトグラフィー(PTLC;40:1のCHCl/MeOH)に付して、標記化合物を得た。
LRMS計算値:427.2 実測値: 428.1(M+H),328.1(M−BOC+H)。
【0265】
調製例12.25:1′−{4−[2−(1,3−チアゾール−2−イル)エチル]フェニル}−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
工程1:1′−[4−(3−アミノ−3−オキソプロピル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0266】
【化52】

【0267】
この化合物は、上記の例12.20の方法を使用して調製した。
LRMS計算値:415.3 実測値:416.2(M+H),316.3(M−BOC+H)。
【0268】
工程2:1′−[4−(3−アミノ−3−チオオキソプロピル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0269】
【化53】

【0270】
この化合物は、例12.24、工程1の方法を使用して調製した。
LRMS計算値:431.3 実測値:432.3(M+H),332.3(M−BOC+H)。
【0271】
工程3:1′−{4−[2−(1,3−チアゾール−2−イル)エチル]フェニル}−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0272】
【化54】

【0273】
この化合物は、例12.24、工程2の方法を使用して調製した。LRMS計算値:455.3 実測値:456.2(M+H),356.2(M−BOC+H)。
【0274】
調製例12.26:1′−[4−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
工程1:1′−(4−ヨードフェニル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0275】
【化55】

【0276】
この化合物は、一般手順12.2の方法を使用して調製した。LRMS計算値:470.1 実測値:471.2(M+H),371.3(M−BOC+H)。
【0277】
工程2:1′−[4−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0278】
【化56】

【0279】
THF(1mL)中のMgBr(37mg;0.202mmol)の−10℃の溶液を、nBuLi(0.333mL;1.82M;0.606mmol)で処理した。溶液を−10℃で1時間撹拌した。THF(0.5mL)中のオキサゾール(42mg;0.606mmol)の溶液を加え、溶液を25℃で2時間撹拌した。この溶液を、THF(4mL)中の1′−(4−ヨードフェニル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(285mg;0.606mmol)及びPdCl(dppf)(495mg;0.606mmol)の還流溶液に加えた。混合物を1時間還流した。反応をCHClと水に分配した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、固体にした。固体をクロマトグラフィー(PTLC;40:1のCHCl/MeOH)に付して、標記化合物を得た。
LRMS計算値:411.3 実測値:412.2(M+H),312.3(M+H−BOC)。
【0280】
調製例12.27:1′−[4−(4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾール−2−イル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
工程1:1′−(4−{[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]カルボニル}フェニル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0281】
【化57】

【0282】
この化合物は、一般手順12.5の方法及び出発物質としてエタノールアミンを使用して調製した。
LRMS計算値:431.3 実測値:432.2(M+H),332.2(M−BOC+H)。
【0283】
工程2:1′−[4−(4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾール−2−イル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0284】
【化58】

【0285】
ジオキサン(5mL)中の1′−(4−{[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]カルボニル}フェニル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(234mg;0.542mmol)の溶液を、N,N′−ジイソプロピルカルボジイミド(68mg;0.084mmol)及びCu(OTf)(10mg;0.027mmol)で処理した。混合物を5時間還流した。反応を蒸発させ、クロマトグラフィー(PTLC;40:1のCHCl/MeOH)に付して、標記化合物を得た。
LRMS計算値:413.3 実測値:414.3(M+H),314.2(M−BOC+H)。
【0286】
調製例12.29:1′−{4−[(1,3−チアゾール−2−イルカルボニル)アミノ]フェニル}−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
工程1:1′−(4−ニトロフェニル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0287】
【化59】

【0288】
一般手順12.1を使用し、出発物質として4−フルオロ−ニトロベンゼンを用いて、標記化合物を得た。
LRMS計算値:389.2 実測値:390.2(M+H),290.1(M−BOC+H)。
【0289】
工程2:1′−(4−アミノフェニル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0290】
【化60】

【0291】
EtOH/EtOAc混合物(15mL;1:2容量比)中の上記の例12.29、工程1の生成物(640mg;1.643mmol)の懸濁液を、10%PdC触媒(150mg)の存在下で1時間水素化(35psi)した。混合物をセライトで濾過し、蒸発させて、標記化合物を灰色の固体として得た。
LRMS計算値:359.3 実測値:360.2(M+H),260.3(M−BOC+H)。
【0292】
工程3:チアゾール−2−カルボン酸
EtOH(10ml)中の、文献の方法(HeIv.Chim Acta 1945,28,p.924)によって得られたチアゾール−2−カルボン酸エチル(1.46g;9.29mmol)の溶液を、密閉式容器の中に入れ、KOH(3.07g;46.4mmol)で処理した。容器を密閉し、120℃で30分間加熱した。冷却した後、溶液を水(50mL)に注ぎ、pHを濃HClで4.0に調整した。濁った混合物をiPrOAc(50mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、褐色の油状物にした。油状物をCHClに溶解し、濾過し、次に蒸発させて、標記化合物を褐色でペースト状の固体として得た。
【0293】
工程4:1′−{4−[(1,3−チアゾール−2−イルカルボニル)アミノ]フェニル}−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0294】
【化61】

【0295】
DMF(1ml)中の上記の例12.29、工程2(50mg;0.139mmol)及び例12.29、工程3(36mg;0.278mmol)の生成物の溶液を、PyBOP(145mg;0.278mmol)で処理した。反応を周囲温度で4時間撹拌した。反応をiPrOAc(50mL)とpH7のリン酸緩衝液(10mL)に分配した。有機物をpH7の緩衝液(2×10mL)で更に2回洗浄した。湿った有機物を蒸発させ、CHClと水に再分配した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。生じた残渣を還流MTBEで温浸した。赤褐色の上澄みには標記化合物が濃縮されていることが分かった。溶液を蒸発させて油状物にし、クロマトグラフィー(PTLC;20:1のCHCl/MeOH)に付した。標記化合物はさび色の固体であった。この物質を再びクロマトグラフィー(PTLC;MTBE)に付した。ベースラインのバンドを回収し、標記化合物を明いさび色で粉末状の固体として得た。
LRMS計算値:470.2 実測値:471.2(M+H),371.3(M−BOC+H)。
【0296】
調製例12.30:1′−{4−[(1,3−チアゾール−4−イルカルボニル)アミノ]フェニル}−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
【0297】
【化62】

【0298】
この化合物は、例12.29、工程4の方法に従って調製した。
【0299】
調製例12.31:1′−{3−クロロ−4−[(1,3−チアゾール−4−イルカルボニル)アミノ]フェニル}−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
工程1:1′−(3−クロロ−4−ニトロフェニル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0300】
【化63】

【0301】
例12.29、工程1の方法を使用し、出発物質として2−クロロ−4−フルオロ−ニトロベンゼンを用いて、標記化合物を得た。
LRMS計算値:423.2 実測値:424.1(M+H),324.1(M−BOC+H)。
【0302】
工程2:1′−(3−クロロ−4−アミノフェニル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0303】
【化64】

【0304】
例12.29、工程2の方法を使用して、標記化合物を得た。
LRMS計算値:393.2 実測値:394.1(M+H),294.2(M−BOC+H)。
【0305】
工程3:1′−{3−クロロ−4−[(1,3−チアゾール−4−イルカルボニル)アミノ]フェニル}−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0306】
【化65】

【0307】
例12.29、工程4の方法及びチアゾール−4−カルボン酸を使用して、標記化合物を得た。
LRMS計算値:504.2 実測値:505.1(M+H),405.1(M−BOC+H)。
【0308】
一般手順13.1(BOC基の除去)
【0309】
【化66】

【0310】
CHCl(20mL)中の1′−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(4.95g、11.71mmol)の溶液をトリフルオロ酢酸(4mL)で処理し、室温で3時間撹拌した。反応をCHCl(50mL)で希釈し、1N HCl(50mL)で洗浄した。水層を合わせ、5N NaOH(100ml)で洗浄した。混合物をCHClで抽出し、NaSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、標記化合物を得た。
500MHzNMR(CD3OD):δ7.69(d,2H,J=9Hz),7.02(d,2H,J=9.5Hz),3.99(d,2H,J=13Hz),3.02(m,5H),2.83(t,2H,J=12Hz),2.52(t,2H,J=12Hz),1.83(d,2H,J=10Hz),1.72(d,2H,J=11Hz),1.24(m,6H)。LCMS計算値:322.47 実測値:323.17(M+H)。
【0311】
一般手順13(芳香族求核置換)
実施例13:1−(1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1′−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン
【0312】
【化67】

【0313】
1−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン(70mg、0.22mmol)及び炭酸セシウム(212mg、0.65mmol)をNMP(0.43ml)でスラリーにし、クロロベンゾオキサゾール(20.3mmol)を加えた。混合物を120℃で一晩撹拌した。スラリーを、15%飽和重炭酸ナトリウム:水(40ml)で希釈し、DCM(3×25ml)で抽出した。合わせた有機画分をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、揮発物を真空下で除去した。粗物質を、5%アセトン:DCMを用いるシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を得た。LRMS計算値:478.1 実測値:478.8,480.8(M+H)。
【0314】
以下の表の化合物は、本発明に含まれ、上記の実施例13に記載された手順に従って作製される。
【0315】
【表13−1】

【0316】
【表13−2】

【0317】
一般手順14.1:
1−(5−フルオロ−2−メチルピリミジン−4−イル)−1′−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4′−ビピペリジンの調製
工程1:1′−(2−クロロ−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル:手順9.1と同様にした。
工程2:1′−(5−フルオロ−2−メチルピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル:手順4.1、工程2と同様にした。
【0318】
【化68】

【0319】
工程3:1−(5−フルオロ−2−メチルピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン
【0320】
【化69】

【0321】
1′−(5−フルオロ−2−メチルピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(22mg、0.058mmol)を、0.2mLのTFAと混合し、r.t.で5分間撹拌し、rotavaporで濃縮して、標記化合物を得て、それを次の工程に直接使用した。
【0322】
工程4:1−(5−フルオロ−2−メチルピリミジン−4−イル)−1′−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4′−ビピペリジン
【0323】
【化70】

【0324】
1−(5−フルオロ−2−メチルピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン(16mg、0.058mmol)及び炭酸セシウム(57mg、0.17mmol)をNMP(0.6ml)の中で撹拌し、2−クロロ−5−フルオロピリミジン(0.014mL、0.116mmol)を加えた。混合物を70℃で1時間加熱した。反応混をr.t.に冷まし、酢酸エチル(5mL)で希釈し、水2mL(×1)及びブライン2mL(×1)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、rotavaporで濃縮した。粗物質を、30%アセトン:ヘキサンを用いる分取TLCにより精製して、標記化合物を得た。LC−MS:375.06(M+H)。表14に報告されている実施例は、手順14.1に従って調製する。
【0325】
【表14−1】

【0326】
【表14−2】

【0327】
【表14−3】

【0328】
【表14−4】

【0329】
【表14−5】

【0330】
【表14−6】

【0331】
【表14−7】

【0332】
一般手順15.1:
1−(5−フルオロ−2−メチルピリミジン−4−イル)−1′−ピリミジン−2−イル−4,4′−ビピペリジンの調製
工程1:1′−(2−クロロ−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル:手順6.1と同様にした。
【0333】
【化71】

【0334】
工程2:1′−(5−フルオロ−2−メチルピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル:手順4.1、工程2と同様にした。
【0335】
【化72】

【0336】
工程3:1−(5−フルオロ−2−メチルピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン、一般手順12と同様にした。
【0337】
【化73】

【0338】
工程4:1−(5−フルオロ−2−メチルピリミジン−4−イル)−1′−ピリミジン−2−イル−4,4′−ビピペリジン
【0339】
【化74】

【0340】
1−(5−フルオロ−2−メチルピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン(10mg、0.036mmol)及び炭酸セシウム(35mg、0.11mmol)をNMP(2ml)の中で撹拌し、2−クロロ−5−フルオロピリミジン(8.2mg、0.72mmol)を加えた。混合物を110℃で2時間加熱した。反応をr.t.に冷まし、酢酸エチル(5mL)で希釈し、水2mL(×1)及びブライン2mL(×1)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、rotavaporで濃縮した。粗物質を、30%アセトン:ヘキサンを用いる分取TLCにより精製して、標記化合物を得た。
LC−MS:357.60(M+H)。
【0341】
表15に報告されている実施例は、上記に記載された手順15.1により調製することができる。
【0342】
【表15−1】

【0343】
【表15−2】

【0344】
一般手順16.1:
6−[1′−(5−クロロピリミジン−2−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−イル]ピリミジン−4−カルボニトリルの調製
工程1:1′−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル:手順2.1と同様にした。
【0345】
【化75】

【0346】
工程2:1′−(6−シアノピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル:手順5.1、工程2と同様にした。
【0347】
【化76】

【0348】
工程3:6−(4,4′−ビピペリジン−1−イル)ピリミジン−4−カルボニトリル:手順11.1、工程3と同様にした。
【0349】
【化77】

【0350】
工程4:6−[1′−(5−クロロピリミジン−2−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−イル]ピリミジン−4−カルボニトリル:手順11.1、工程4と同様にした。
【0351】
【化78】

【0352】
LC−MS:384.05(M+H)。
【0353】
表16に報告されている実施例は、手順16.1に従って調製することができる。
【0354】
【表16−1】

【0355】
【表16−2】

【0356】
一般手順17.1:
6−(1′−ピリミジン−2−イル−4,4′−ビピペリジン−1−イル)ピリミジン−4−カルボニトリルの調製
工程1:1′−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル:手順2.1と同様にした。
【0357】
【化79】

【0358】
工程2:1′−(6−シアノピリミジン−4−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル:手順5.1、工程2と同様にした。
【0359】
【化80】

【0360】
工程3:6−(4,4′−ビピペリジン−1−イル)ピリミジン−4−カルボニトリル:手順11.1、工程3と同様にした。
【0361】
【化81】

【0362】
工程4:6−(1′−ピリミジン−2−イル−4,4′−ビピペリジン−1−イル)ピリミジン−4−カルボニトリル:手順12.1、工程4と同様にした。
【0363】
【化82】

【0364】
LC−MS:350.13(M+H)。
【0365】
表17に報告されている実施例は、手順17.1に従って調製することができる。
【0366】
【表17−1】

【0367】
【表17−2】

【0368】
一般手順18.1
工程1:1−(5−メチルピラジン−2−イル)−4,4′−ビピペリジン
【0369】
【化83】

【0370】
1′−(5−メチルピラジン−2−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(1g、2.8mmol)をトリフルオロ酢酸に溶解し、r.t.で5分間撹拌した。溶液を真空下で濃縮した。残渣をトルエン(10mL)に溶解し、真空下で濃縮して(×2)、標記化合物を得た。
LC−MS:261.32(M+H)。
【0371】
工程2:1−(2−クロロ−6−メチルピリミジン−4−イル)−1′−(5−メチルピラジン−2−イル)−4,4′−ビピペリジン
【0372】
【化84】

【0373】
1−(5−メチルピラジン−2−イル)−4,4′−ビピペリジン(720mg、2.8mmol)及び2,4−ジクロロ−6−メチル−ピリミジン(502mg、3.1mmol)をNMP(30mL)に溶解し、溶液を−20℃に冷却した。1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデカ−7−エン(4.2mL、28mmol)を滴下し、溶液を10分間撹拌した。混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、ブライン(30mL×2)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、30%アセトン:ヘキサンを用いるシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を得た。
LC−MS:387.32(M+H)。
【0374】
工程3:4−メチル−6−[1′−(5−メチルピラジン−2−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−イル]ピリミジン−2−カルボニトリル
【0375】
【化85】

【0376】
1−(2−クロロ−6−メチルピリミジン−4−イル)−1′−(5−メチルピラジン−2−イル)−4,4′−ビピペリジン(700mg、1.8mmol)を圧力管の中に入れ、無水トルエン(4mL)を加えた。撹拌した溶液に、酢酸パラジウム(II)(41mg、0.18mmol)、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン(159mg、0.36mmol)、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン(0.11mL、0.724mmol)及びシアン化カリウム(235mg、3.62mmol)を加えた。容器をNで脱気し、密閉し、140℃で16時間加熱した。混合物をr.t.に冷まし、酢酸エチル(50mL)で希釈し、ブライン(10mL×1)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、20%アセトン:ヘキサンを用いるシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を得た。
LC−MS:378.27(M+H)。
【0377】
一般手順18.2(芳香族求核置換、150℃)
1−(3−メチルピラジン−2−イル)−1′−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン
【0378】
【化86】

【0379】
1−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン(80mg、0.25mmol、実施例1、工程2と同様に調製)及び炭酸セシウム(243mg、0.75mmol)をNMP(0.5ml)でスラリーにし、2−クロロ−3−メチルピラジン(38mg、0.30mmol)を加えた。混合物を150℃で一晩撹拌した。スラリーを、15%飽和重炭酸ナトリウム:水(40ml)で希釈し、DCM(3×25ml)で抽出した。合わせた有機画分を4:1の水:飽和重炭酸ナトリウム(2×)、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、揮発物を真空下で除去した。粗物質を、5%アセトン:DCMを用いるシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を得た。
LRMS計算値:414.2 実測値:415.2(M+H)。
【0380】
一般手順18.3(2,5−ジクロロピリミジンの調製)
【0381】
【化87】

【0382】
塩化物(600mg、3.27mmol)をMeOH(6.5ml)に溶解し、10%パラジウム炭素(200mg)を加え、溶液を水素雰囲気下、50℃で撹拌した。溶液をRTに冷却し、濾過し、4:1の水:飽和重炭酸ナトリウム(40ml)で希釈し、酢酸エチル(3×25ml)で抽出した。合わせた有機画分をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、揮発物を真空下で除去した。粗物質を、エーテル:ヘキサンを用いるシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を得た。
【0383】
一般手順18.4(チアゾールの調製)
工程1:1′−(アミノカルボノチオイル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0384】
【化88】

【0385】
4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(2.0g、7.3mmol)及び9H−フルオレン−9−イルメチルイソチオシアナチドカルボネート(2.0g、7.3mmol)をDCM(14ml)に溶解し、RTで1時間撹拌した。溶媒を真空下で除去した。残渣をDMF(15ml)に溶解し、ピペリジン(8ml)を加え、溶液をRTで1時間撹拌した。溶液を4:1の水:飽和重炭酸ナトリウム(900ml)で希釈し、酢酸エチル(3×300ml)で抽出した。合わせた有機画分を水(500ml)、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、揮発物を真空下で除去した。粗物質を、10%アセトン:ヘキサンから始まり、次に10%アセトン:DCMに変えるシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を得た。
【0386】
工程2:1′−(4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0387】
【化89】

【0388】
1−クロロアセトン(57mg、0.61mmol)及び1′−(アミノカルボノチオイル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(実施例175、工程1と同様に調製)(200mg、0.61mmol)を、エタノール(1.2ml)に溶解し、75℃で一晩加熱した。溶液をRTに冷却し、溶媒を真空下で除去した。残渣を更に精製することなく後の手順に使用した。
【0389】
一般手順18.5(2−クロロ−5−メチルピリミジン)
【0390】
【化90】

【0391】
2,4−ジクロロ−5−メチルピリミジン(3g、18.4mmol)を、28%アンモニア(6.6mL)、ベンゼン(12mL)及び水(30ml)の混合物中でZn粉末(3.61g、55.2mmol)と共に一晩還流した。反応を冷却し、濾過した。濾液をエーテルで抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、粗2−クロロ−5−メチルピリミジンを得た。
【0392】
表18に示されている化合物は、一般手順18の一般的手順を使用して調製することができる。
【0393】
【表18−1】

【0394】
【表18−2】

【0395】
【表18−3】

【0396】
【表18−4】

【0397】
【表18−5】

【0398】
【表18−6】

【0399】
【表18−7】

【0400】
【表18−8】

【0401】
【表18−9】

【0402】
一般手順19.1(芳香族求核置換)
実施例19.1:1′−(3−クロロ−1,2,4−チアジアゾール−5−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
【0403】
【化91】

【0404】
無水THF(10mL)中の4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(537mg;2.00mmol)の溶液を、トリエチルアミン(307μL;2.20mmol)で処理した。THF(5mL)中の3,5−ジクロロ−1,2,4−チアジアゾール(341mg;2.20mmol)の溶液を周囲温度で滴下した。直後に穏やかな発熱を伴って沈殿が生じた。混合物を、周囲温度に戻るまで撹拌した。混合物を濾過し、濾液を蒸発させて、標記化合物を得た。LRMS計算値:386.2 実測値:387.2(M+H),287.1(M−BOC+H)。
【0405】
一般手順19.2(ジメチルアミノ化)
実施例19.2:1′−[3−(ジメチルアミノ)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
【0406】
【化92】

【0407】
密閉可能な管中で、DMF(10mL)中の化合物19.1(755mg;1.95mmol)の−10℃の溶液に、無水ジメチルアミンを、初期容量がおよそ15mLに増加するまで浸透させた。容器を密閉し、溶液を100℃の浴で4時間加熱した。冷却した後、溶液を窒素により周囲温度で30分間ガス抜きした。反応をiPrOAc(75mL)と水に(20mL)分配した。有機物を水(3×20mL)で更に3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、固体にした。固体を還流MTBEで温浸し、冷却し、周囲温度で72時間放置した。上澄みを取り除き、固体をMTBEですすいで、標記化合物を得た。LRMS計算値:395.2 実測値:396.2(M+H),296.2(M−BOC+H)。
【0408】
一般手順19.3(BOC保護基の除去)
実施例19.3:5−(4,4′−ビピペリジン−1−イル)−N,N−ジメチル−1,2,4−チアジアゾール−3−アミンの調製
【0409】
【化93】

【0410】
CHCl(5mL)中の化合物19.2(410mg;1.036mmol)の溶液を、CFCOH(5mL)で処理した。ピンク色の溶液を周囲室温で1時間撹拌した。反応を蒸発させて粘性の油状物にした。油状物をCHCl(50mL)に再溶解し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(10mL)で処理した。固体の重炭酸ナトリウムを、pHが>7.5になるまで加えた。有機物を回収し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、標記化合物を得た。
【0411】
一般手順19.4(芳香族求核置換)
実施例19.4:N,N−ジメチル−5−{1′−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−イル}−1,2,4−チアジアゾール−3−アミンの調製
【0412】
【化94】

【0413】
DMF(2mL)中の化合物19.3(98mg;0.332mmol)の溶液を、メチル4−フルオロフェニルスルホン(115mg;0.664mmol)により、続いて炭酸セシウム(216mg;0.664mmol)により処理した。混合物を100℃で5時間撹拌した。反応をCHCl(50mL)で希釈し、水(4×20mL)で洗浄した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、固体にした。固体を温浸し(還流MTBE)、冷却した。上澄みを取り除き、白色となった固体を1回すすいで(MTBE)、標記化合物を得た。LRMS計算値:449.2 実測値:450.1(M+H)。
【0414】
一般手順19.5(パラジウム媒介Nアリール化)
実施例19.5:4−{1′−[3−(ジメチルアミノ)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−イル}安息香酸メチルの調製
【0415】
【化95】

【0416】
100mLの反応フラスコに、化合物19.3(1.14g;3.86mmol)、4−ブロモ安息香酸メチル(829mg;3.86mmol)、炭酸セシウム(3.77g;11.47mmol)、Pd(OAc)(44mg;0.192mmol)及び2−(ジフェニルホスフィノ)−2′−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(147mg;0.386mmol)を投入した。NMP(窒素を10分間泡立ててガス抜きした;8mL)を加え、混合物を90℃で18時間撹拌した。混合物をジクロロメタン(100mL)で希釈し、セライトで濾過した。濾液を水(4×25mL)で洗浄した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、固体にした。固体を還流(MTBE)により温浸した。冷却した後、白色の固体を濾過により回収した。濾液を蒸発させ、クロマトグラフィー(範囲;0%〜100%のEtOAc/ヘキサン;直線勾配)に付した。所望の化合物を含有する画分を回収し、固体と合わせて、標記化合物を得た。LRMS計算値:429.2 実測値:430.2(M+H)。
【0417】
一般手順19.6(エステル加水分解)
実施例19.6:4−{1′−[3−(ジメチルアミノ)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−イル}安息香酸の調製
【0418】
【化96】

【0419】
化合物19.5(305mg;0.710mmol)を、密閉可能な管の中のエタノール(5ml)に懸濁した。水酸化カリウム(225mg;3.41mmol)を加えた。管を密閉し、105℃の浴で1時間加熱した。固体塊を水で洗浄し、pHを1N HClで4.0に調整した。標記化合物を濾過により回収した。LRMS計算値:415.2 実測値:416.2(M+H)。
【0420】
一般手順19.7(アミド形成)
実施例19.7:N−シクロプロピル−4−{1′−[3−(ジメチルアミノ)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−イル}ベンズアミドの調製
【0421】
【化97】

【0422】
DMF(1ml)中の化合物19.6(50mg;0.120mmol)及びシクロプロピルアミン(21mg;0.360mmol)の溶液を、PyBOP(187mg;0.360mmol)で処理した。反応を周囲室温で1時間撹拌した。反応をiPrOAc(30mL)と水に(10mL)分配した。有機物を水(2×10mL)で更に2回洗浄した。湿った有機物(エマルションを有する)を蒸発させ、CHClと水に再分配した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。溶液を蒸発させて油状物にし、クロマトグラフィー(PTLC;40:1のCHCl/MeOH)に付して、標記化合物を白色の固体として得た。LRMS計算値:454.3 実測値:455.2(M+H)。
【0423】
一般手順19.8(銅媒介Nアリール化)
実施例19.8:4−{1′−[3−(ジメチルアミノ)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−イル}−N,N−ジメチルベンズアミドの調製
【0424】
【化98】

【0425】
ジクロロメタン(10mL)中の4−(ジメチルアミノカルボニル)フェニルボロン酸(276mg;1.431mmol)の懸濁液を、活性粉末4Åモレキュラーシーブ(1.5g)、Cu(OAc)(87mg;0.477mmol)、化合物19.3(141mg;0.477mmol)及びトリエチルアミン(134μL;0.954mmol)で処理した。反応溶液を酸素でパージし、混合物を酸素雰囲気下、周囲温度で18時間撹拌した。褐色になった混合物をセライトで濾過した。溶出液をシリカゲルに吸着させた。シリカゲルを分画することなく十分に溶出した(40:1のCHCl/MeOH)。溶出液を蒸発させて黄色の油状物にし、クロマトグラフィー(PTLC;40:1のCHCl/MeOH)に付した。主バンドを集め、標記化合物を得た。LRMS計算値:442.3 実測値:443.2(M+H)。
【0426】
表19の化合物は、容易に入手可能な出発物質及び4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを使用し、一般手順19に従って調製する。これらの化合物の合成に有用な追加情報が、下記に示されている(=追加の合成情報については、表19の下記を参照すること)。
【0427】
【表19−1】

【0428】
【表19−2】

【0429】
【表19−3】

【0430】
【表19−4】

【0431】
【表19−5】

【0432】
【表19−6】

【0433】
【表19−7】

【0434】
【表19−8】

【0435】
【表19−9】

【0436】
追加情報
実施例19.13:N,N−ジメチル−5−(1′−{4−[(メチルスルホニル)メチル]フェニル}−4,4′−ビピペリジン−1−イル)−1,2,4−チアジアゾール−3−アミンの調製
工程1:4−ブロモベンジルメチルスルホン
【0437】
【化99】

【0438】
p−ブロモベンジルブロミド(500mg、2mmol)をエタノール中のMeSONa(306mg、3mmol)と1時間還流した。反応を冷却し、濃縮し、フラッシュカラム(50%のアセトン/ヘキサン)により精製して、所望の生成物を得た。
【0439】
工程2:1′−{4−[(メチルスルホニル)メチル]フェニル}−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0440】
【化100】

【0441】
一般手順19.5の方法及び出発物質として1−ブロモ−4−[(メチルスルホニル)メチル]ベンゼンを使用して、標記化合物を得た。LRMS計算値:463.2 実測値:464.2(M+H)。
【0442】
実施例19.16:N,N−ジメチル−5−{1′−[6−(メチルスルホニル)−3−ピリジニル]−4,4′−ビピペリジン−1−イル}−1,2,4−チアジアゾール−3−アミンの調製
工程1:1′−[6−(メチルチオ)−3−ピリジニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0443】
【化101】

【0444】
一般手順19.5を使用し、2−メチルチオ−5−ブロモピリジンを用いて、標記化合物を得た。LRMS計算値:391.2 実測値:392.1(M+H)、292.2(M−BOC+H)。
【0445】
工程2:1−[6−(メチルスルホニル)−3−ピリジニル]−4,4′−ビピペリジン
【0446】
【化102】

【0447】
CHCl(3mL)中の1′−[6−(メチルチオ)−3−ピリジニル]−4,4′−ビピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(165mg;0.421mmol)の溶液をTFA(3mL)で処理した。溶液を25℃で1時間撹拌した。mCPBA(193mg;75重量%;0.84mmol)を加えた。混合物を25℃で18時間撹拌した。混合物を濾過し、重炭酸ナトリウム水溶液で処理した。層を分離し、回収した有機物を硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過及び蒸発によって、標記化合物を得た。LRMS計算値:323.2 実測値:324.1(M+H)。
【0448】
工程3:1−(3−クロロ−1,2,4−チアジアゾール−5−イル)−1′−[6−(メチルスルホニル)−3−ピリジニル]−4,4′−ビピペリジン
【0449】
【化103】

【0450】
この化合物は、一般手順19.1の方法及び実施例19.16、工程2の生成物を使用して調製した。LRMS計算値:441.1 実測値:442.2(M+H)。
【0451】
工程4:N,N−ジメチル−5−{1′−[6−(メチルスルホニル)−3−ピリジニル]−4,4′−ビピペリジン−1−イル}−1,2,4−チアジアゾール−3−アミン
【0452】
【化104】

【0453】
この化合物は、一般手順19.2の方法及び実施例19.16、工程3の生成物を使用して調製した。LRMS計算値:450.2 実測値:451.3(M+H)。
【0454】
実施例19.19:5−{1′−[3−ブロモ−4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−イル}−N,N−ジメチル−1,2,4−チアジアゾール−3−アミンの調製
工程1:2−ブロモ−4−フルオロフェニルメチルスルフィド
【0455】
【化105】

【0456】
25%HSO水溶液(20mL)中の2−ブロモ−4−フルオロアニリン(1.50g;7.89mmol)の0℃の溶液を、亜硝酸ナトリウム(583mg;8.45mmol)で処理した。溶液を25℃に温め、水(50mL)中のCuSCH(6.11g;55.3mmol)の懸濁液に加えた。混合物を25℃で1時間撹拌し、次にiPrOAcで抽出した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、赤色の油状物にした。クロマトグラフィー(範囲;0%〜20%のMTBE/ヘキサン;直線勾配)によって、標記化合物を得た。
【0457】
工程2:2−ブロモ−4−フルオロフェニルメチルスルホン
【0458】
【化106】

【0459】
CHCl(10mL)中の2−ブロモ−4−フルオロフェニルメチルスルフィド(614mg;2.78mmol)の溶液を、mCPBA(1.278g;75重量%;5.55mmol)で処理した。混合物を25℃で18時間撹拌した。混合物を濾過し、重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、固体にした。固体をクロマトグラフィー(PTLC;2:1のヘキサン/MTBE)に付して、標記化合物を得た。
【0460】
工程3:5−{1′−[3−ブロモ−4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−イル}−N,N−ジメチル−1,2,4−チアジアゾール−3−アミン
【0461】
【化107】

【0462】
この化合物は、一般手順19.4の方法を使用し、出発物質として2−ブロモ−4−フルオロフェニルメチルスルホンを用いて調製した。LRMS計算値:527.1 実測値:528.2(M+!)。
【0463】
実施例19.34:6−{1′−[3−(ジメチルアミノ)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−イル}−N−(1−メチルシクロプロピル)ニコチンアミドの調製
工程1:1−メチルシクロプロパンカルボキサミド
【0464】
【化108】

【0465】
CDCl(40mL)中の1−メチルシクロプロパンカルボン酸(2.01g;20.08mmol)の溶液を、塩化オキサリル(2.29mL;26.1mmol)で処理した。溶液を25℃で48時間撹拌した(経過はNMRで追跡した)。反応を過剰量の気体アンモニアで浸透した。混合物を濾過し、濾液を蒸発させて、標記化合物を白色の固体として得た。
【0466】
工程2:N−ブロモ−1−メチルシクロプロパンカルボキサミド
【0467】
【化109】

【0468】
水中の1−メチルシクロプロパンカルボキサミド(1.082g;10.92mmol)の溶液を、臭素(0.57mL;11.06mmol)で処理した。固体のKOH(850mg;15.15mmol)を加えた。25℃で1時間撹拌した後、不均質となった混合物をCHClで抽出した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、標記化合物を橙黄色の固体として得た。
【0469】
工程3:1−メチルシクロプロピル−1−アミン塩酸塩
【0470】
【化110】

【0471】
水(7mL)中の上記のN−ブロモ−1−メチルシクロプロパンカルボキサミドの懸濁液を、NaOH(900mg;22.50mmol)で処理した。混合物を25℃で2時間撹拌した。不均質になった溶液を1N HClでpH1に酸性化し、凍結乾燥した。固体残渣をエタノールで温浸し、冷却し、濾過した。蒸発によって、標記化合物を得た。
【0472】
工程4:6−{1′−[3−(ジメチルアミノ)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−イル}−N−(1−メチルシクロプロピル)ニコチンアミド
【0473】
【化111】

【0474】
この化合物は、一般手順19.7の方法及び1−メチルシクロプロピル−1−アミンHClを使用して調製した。LRMS計算値:469.3 実測値:470.2(M+H)。
【0475】
実施例19.35:4−{1′−[3−(ジメチルアミノ)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−イル}−N−(1−メチルシクロプロピル)ベンズアミドの調製
【0476】
【化112】

【0477】
この化合物は、一般手順19.7の方法及び1−メチルシクロプロピル−1−アミンHClを使用して調製した。LRMS計算値:468.3 実測値:469.3(M+H)。
【0478】
実施例19.36:4−{1′−[3−(ジメチルアミノ)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−イル}−2−フルオロ−N−(1−メチルシクロプロピル)ベンズアミド
【0479】
【化113】

【0480】
この化合物は、一般手順19.7の方法及び出発物質として1−メチルシクロプロピル−1−アミンHClを使用して調製した。LRMS計算値:486.3 実測値:487.2(M+H)。
【0481】
環状AMP(cAMP)均一時間分解蛍光(HTRF)アッセイを使用するGPR119信号伝達の測定
許容グアニンヌクレオチド結合タンパク質α15(Gα15)及びGPR119のヒトSNR変種又はネズミGPR119で安定して形質移入されたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株を、FBS、ペニシリン−ストレプトマイシン、ピューロマイシン及びG418を含有するDMEM培地において維持した。GPR119レセプター活性化のための均一時間分解蛍光(HTRF)アッセイを、製造者(CisBio,Bedford,MA)の説明書に従って使用して、本発明の化合物とインキュベートしたときの形質移入細胞におけるcAMPの蓄積を測定した。細胞は、化合物と室温で60分間、続いてXL−665及び抗cAMPクリプテートと更に60分間インキュベートした。このアッセイは、96ハーフウエルプレートフォーマットにより実施し、プレートは、Perkin Elmer Envisionプレート読み取り機を使用して読み取った。本発明の化合物では、cAMP HTRFアッセイにおけるGPR119レセプターの「活性化」は、細胞内cAMP濃度の約5倍の増加を誘導することを意味する。
【0482】
単離した静置マウス膵島におけるグルコース依存性インスリン分泌(GDIS)の評価
膵臓のランゲルハンス島は、Lacy及びKostianovskyの原法(Lacy&Kostianovsky,1967 Diabetes 16−35−39)の変更である、コラゲナーゼ消化及び不連続フィコール勾配分離によって、10〜12週齢のC57BL/6マウスの膵臓から単離した。膵島を、実験処理する前に、RPMI1640培地(11mMのグルコース、10%FCS)で一晩培養した。GDISに対する本発明の化合物の急性効果は、クレブス−リンガー重炭酸(KRB)培地において膵島と共に60分間静置インキュベーションすることによって決定した。KRB培地は、2mg/mlのウシ血清アルブミン及び2(G2)又は16(G16)mMのグルコース(pH7.4)に加えて、(単位はmM)143.5のNa、5.8のK、2.5のCa2+、1.2のMg2+、124.1のC、1.2のPO3−、1.2のSO2+、25のCO2−及び10のHEPESをpH7.4で含有した。静置インキュベーションは、丸底96ウエルプレート(200μlのKRB培地を有するウエル1つあたり1つ膵島)により実施した。化合物を、60分のインキュベーションを始める直前に、KRB培地に加えた。インキュベーション緩衝液のアリコート中のインスリン濃度は、ALPCO Diagnostics(Windham,NH)からの超高感度ラットインスリンEIAキットにより測定した。
【0483】
医薬製剤の例
本発明の化合物の経口組成物のための特定の実施態様として、いずれかの例からの50mgを、十分に微粉化した乳糖と配合して、総量を580〜590mgとし、Oサイズの硬質ゼラチンカプセルに充填する。
【0484】
本発明を特定の実施態様を参照して記載及び説明してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく多様な変更、修正及び置換を行うことができる。例えば、治療を受ける患者の反応に基づいて、代替的な有効用量を適用することができる。同様に、薬理学的反応は、選択される特定の活性化合物、製剤及び投与様式に応じて変わりうる。そのような変更は全て本発明の範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
【化2】

のうちの一方は、少なくとも1の窒素原子、さらに0〜2の窒素原子及び0〜1の酸素又は硫黄原子を含む5〜10員の単環式又は二環式ヘテロアリール基を表し、他方は、フェニルか、又は少なくとも1の窒素原子、さらに0〜2の窒素原子及び0〜1の酸素もしくは硫黄原子を含む5〜10員の単環式もしくは二環式ヘテロアリール基を表し;
は、それぞれ、Hもしくはハロであるか、又は1〜2のR基は、
(1)CN又はOH;
(2)C1−6アルキル、OC1−6アルキル又はC3−6シクロアルキル(該基は、1〜3のハロ基及び、
i)S(O)1−3アルキル(xは0、1又は2であり、アルキル部分は1〜3個のハロ原子で置換されていてもよい);
ii)5〜10員ヘテロアリール部分(1〜3のハロ原子又はC1−3アルキル基で置換されていてもよい);
iii)C1−3アルコキシ又はハロC1−3アルコキシ;
iv)CN;
v)NH、NHC1−3アルキル及びN(C1−3アルキル)(アルキル部分は1〜3のハロ基で置換されていてもよい);
vi)OH;
vii)C(O)C1−6アルキル(アルキル部分は1〜3個のハロ原子で置換されていてもよい);
viii)1〜2のハロ原子又はC1−3アルキル基で置換されていてもよい、フェニル;
ix)C(O)NR(RはH及びC1−3アルキル基から選択され、RはH、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール基及びフェニルから選択される);
x)C(O)(Rは上記で定義されたとおりである);及び
xi)1〜2のハロ又はC1−3アルキル基で置換されていてもよい、ヘテロアリール
からなる群より選択される1〜2の基で置換されていてもよい);
(3)S(O)1−6アルキル及びSONR(C1−6アルキル基は1〜3のハロ基で置換されていてもよく、x、R及びRが上記で定義されたとおりである);
(4)NH、NH(C1−6アルキル)又はN(C1−6アルキル)(アルキル部分は1〜3のハロ基及び上記のi)〜xi)から選択される1の基により置換されていてもよい);
(5)C(O)NR(R及びRは上記で定義されたとおりである);
(6)1〜3のハロ原子で置換されていてもよい、C(O)C1−6アルキル;
(7)CO(Rは上記で定義されたとおりである);及び
(8)フェニル、5〜10員のヘテロアリール又は5〜10員の複素環部分(それぞれは、1〜3のハロ原子及び1〜2のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)
からなる群より選択され;
残りのR基は、H又はハロであり;
は、それぞれ、Hもしくはハロであるか、又は1〜2つは、Hもしくはハロであり、残りは、
1)CN;
2)NR(R及びRはそれぞれH又はC1−3アルキルを表す);
3)C1−6アルキル又はOC1−6アルキル(該アルキル及びアルキル部分は、1〜3のハロ基、0〜1のNR、S(O)1−3アルキル、SONR及びフェニルにより置換されていてもよい);
4)S(O)1−3アルキル;及び
5)SONR
からなる群より選択され;
及びRの少なくとも1の基は、水素以外の部分を表す]
で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
環Aが、少なくとも1の窒素原子、さらに0〜2の窒素原子及び0〜1の酸素又は硫黄原子を含む、5〜6員の単環式アリール又はヘテロアリール基を表す、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
環Aが、フェニル、チアゾール、チアジアゾール、ピリジル、ピリミジン及びピラジンからなる群より選択される基を表す、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
環Aが、フェニル、ピリジル、ピリミジン及びピラジンからなる群より選択される基を表す、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
環Bが、少なくとも1の窒素原子、さらに0〜2の窒素原子及び0〜1の酸素又は硫黄原子を含む、5〜9員の単環式又は二環式ヘテロアリール基を表す、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
環Bが、チアゾール、チアジアゾール、ピリジル、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン及びベンゾオキサゾールからなる群より選択される基を表す、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
環Bが、チアジアゾール、ピリジル、ピリミジン及びピラジンからなる群より選択される基を表す、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
が、それぞれ、Hもしくはハロであるか、又は1〜2のR基が、
(1)CN;
(2)C1−6アルキル(該アルキルは、1〜3のハロ基、及び
i)S(O)1−3アルキル(xは0、1又は2である);
ii)NH、NHCH及びN(CH
iii)OH;
iv)C(O)C1−4アルキル;
v)1〜2のハロ原子又はC1−3アルキル基で置換されていてもよい、フェニル;
vi)C(O)NR(RはH及びCHから選択され、RはH、CH、CHCH、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、5〜6員のヘテロアリール基及びフェニルから選択される);
vii)C(O)(Rは上記で定義されたとおりである);及び
viii)1〜2のハロ又はCH基で置換されていてもよい、ヘテロアリール
からなる群より選択される1〜2の基で置換されていてもよい);
(3)S(O)1−6アルキル(C1−6アルキル基は1〜3のハロ基で置換されていてもよく、x、R及びRは上記で定義されたとおりである);
(4)NH、NH(C1−3アルキル)又はN(C1−3アルキル)(アルキル部分は1〜3のハロ基で置換されていてもよい);
(5)C(O)NR(R及びRが上記で定義されたとおりである);
(6)1〜3のハロ原子で置換されていてもよい、C(O)C1−6アルキル;
(7)CO(Rは上記で定義されたとおりである);及び
(8)フェニル、5〜6員のヘテロアリール又は5〜6員の複素環部分(それぞれ1〜3のハロ原子及び1〜2のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)
からなる群より選択され;
残りのR基が、H又はハロであり、さらにR及びRの少なくとも1つが、水素以外の部分を表す、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
が、それぞれ、H又はF及びClから選択されるハロであるか、あるいは1〜2のR基が、
(1)CN;
(2)C1−6アルキル(該アルキルは、1〜3のハロ基、及び
i)S(O)CH
ii)1〜2のハロ原子又はCH基で置換されていてもよい、フェニル;及び
iii)C(O)NR(RはH及びCHから選択され、RはH、CH、CHCH、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、メチルで置換されているシクロプロピル、5〜6員のヘテロアリール基及びフェニルから選択される)
からなる群より選択される1〜2の基で置換されていてもよい);
(3)SO1−2アルキル(C1−2アルキル基は1〜3のハロ基で置換されていてもよく、x、R及びRは上記で定義されたとおりである);
(4)N(CH
(5)C(O)NR(R及びRは上記で定義されたとおりである);及び
(6)COHもしくはCOCH
からなる群より選択され;
残りのR基が、H又はF及びClから選択されるハロであり、さらにR及びRの少なくとも1の基が、水素以外の部分を表す、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
1のR基が、
(1)CN;
(2)C1−4アルキル(該アルキルは、1〜3のフルオロ基、及び
i)SOCH
ii)1〜2のフルオロ、クロロ又はCH基で置換されていてもよい、フェニル;
iii)C(O)NR(RはHであり、RはH、CH、CHCH、シクロプロピル、メチルで置換されているシクロプロピル、及びシクロプロピルメチルから選択される)
からなる群より選択される1の基で置換されていてもよい);
(3)SOCH
(4)N(CH
(5)C(O)NR(RはHであり、Rは上記で定義されたとおりである);及び
(6)COH又はCOCH
からなる群より選択され;
残りのR基が、H又はF及びClから選択されるハロであり、さらにR及びRの少なくとも1つの基が、水素以外の部分を表す、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
が、それぞれ、H又はハロであるか、或いは1〜2つが、H又はハロであり、残りが、
1)CN;
2)NR(R及びRは、それぞれH又はCHを表す);
3)1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい、C1−6アルキル;及び
4)SO1−3アルキル
からなる群より選択され;
かつ、少なくともR及びRの1つの基が、水素以外の部分を表す、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
が、それぞれ、H、Cl又はFであるか、あるいは1〜2つが、H、Cl又はFであり、残りが、
1)CN;
2)NH又はNHCH
3)CH又はCF;及び
4)SOCH
からなる群より選択され;
さらに、R及びRの少なくとも1つの基が、水素以外の部分を表す、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
環Aが、少なくとも1の窒素原子、さらに0〜2の窒素原子及び0〜1の酸素又は硫黄原子を含む、5〜6員の単環式アリール又はヘテロアリール基を表し;
環Bが、少なくとも1の窒素原子、さらに0〜2の窒素原子及び0〜1の酸素又は硫黄原子を含む、5〜9員の単環式又は二環式ヘテロアリール基を表し;
が、それぞれ、H又はハロであるか、あるいは1〜2のR基が、
(1)CN;
(2)C1−6アルキル(該アルキルは、1〜3のハロ基、及び
i)S(O)1−3アルキル(xは0、1又は2である);
ii)NH、NHCH及びN(CH
iii)OH;
iv)C(O)C1−4アルキル;
v)1〜2個のハロ原子又はC1−3アルキル基で置換されていてもよい、フェニル;
vi)C(O)NR(RはH及びCHから選択され、RはH、CH、CHCH、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、5〜6員のヘテロアリール基及びフェニルから選択される);
vii)C(O)(Rは上記で定義されたとおりである);及び
viii)1〜2のハロ又はCH基で置換されていてもよい、ヘテロアリール
からなる群より選択される1〜2の基で置換されていてもよい);
(3)S(O)1−6アルキル(C1−6アルキル基は1〜3のハロ基で置換されていてもよく、x、R及びRは上記で定義されたとおりである);
(4)NH、NH(C1−3アルキル)又はN(C1−3アルキル)(アルキル部分は1〜3のハロ基で置換されていてもよい);
(5)C(O)NR(R及びRは上記で定義されたとおりである);
(6)1〜3のハロ原子で置換されていてもよい、C(O)C1−6アルキル;
(7)CO(Rは上記で定義されたとおりである);及び
(8)フェニル、5〜6員ヘテロアリール又は5〜6員複素環部分(それぞれは、1〜3のハロ原子及び1〜2のC1−3アルキル基で置換されていてもよい)
からなる群より選択され;
残りのR基が、H又はハロであり;
が、それぞれ、H又はハロであるか、あるいは1〜2つが、H又はハロであり、かつ残りが、
1)CN;
2)NR(R及びRがそれぞれH又はCHを表す);
3)1〜3のフッ素原子で置換されていてもよい、C1−6アルキル;及び
4)SO1−3アルキル
からなる群より選択され、さらにR及びRの少なくとも1つの基が、水素以外の部分を表す、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
1−(1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1′−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン;
1−(5−フルオロ−2−メチルピリミジン−4−イル)−1′−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4′−ビピペリジン;
1−(5−フルオロ−2−メチルピリミジン−4−イル)−1′−ピリミジン−2−イル−4,4′−ビピペリジン;
6−[1′−(5−クロロピリミジン−2−イル)−4,4′−ビピペリジン−1−イル]ピリミジン−4−カルボニトリル;
6−(1′−ピリミジン−2−イル−4,4′−ビピペリジン−1−イル)ピリミジン−4−カルボニトリル;
1−(5−ブロモピリミジン−2−イル)−1′−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン;
1−(3−メチルピラジン−2−イル)−1′−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン;
N,N−ジメチル−5−{1′−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−イル}−1,2,4−チアジアゾール−3−アミン;
4−{1′−[3−(ジメチルアミノ)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−イル}安息香酸メチル;
4−{1′−[3−(ジメチルアミノ)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−イル}安息香酸;
N−シクロプロピル−4−{1′−[3−(ジメチルアミノ)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−イル}ベンズアミド;
4−{1′−[3−(ジメチルアミノ)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−イル}−N,N−ジメチルベンズアミド;
N,N−ジメチル−5−(1′−{4−[(メチルスルホニル)メチル]フェニル}−4,4′−ビピペリジン−1−イル)−1,2,4−チアジアゾール−3−アミン;
N,N−ジメチル−5−{1′−[6−(メチルスルホニル)−3−ピリジニル]−4,4′−ビピペリジン−1−イル}−1,2,4−チアジアゾール−3−アミン;
5−{1′−[3−ブロモ−4−(メチルスルホニル)フェニル]−4,4′−ビピペリジン−1−イル}−N,N−ジメチル−1,2,4−チアジアゾール−3−アミン;
6−{1′−[3−(ジメチルアミノ)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−イル}−N−(1−メチルシクロプロピル)ニコチンアミド;
4−{1′−[3−(ジメチルアミノ)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−イル}−N−(1−メチルシクロプロピル)ベンズアミド;
4−{1′−[3−(ジメチルアミノ)−1,2,4−チアジアゾール−5−イル]−4,4′−ビピペリジン−1−イル}−2−フルオロ−N−(1−メチルシクロプロピル)ベンズアミド;
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

【表1−7】

【表1−8】

【表1−9】

【表1−10】

【表1−11】

【表1−12】

【表1−13】

【表1−14】

【表1−15】

【表1−16】

【表1−17】

からなる群より選択される請求項1記載の化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩もしくは又は溶媒和物。
【請求項15】
薬学的に許容される担体と組み合わせた請求項1記載の化合物から構成される医薬組成物。
【請求項16】
高血糖症、糖尿病又はインスリン抵抗性を、その治療の必要な哺乳類患者において治療する方法であって、高血糖症、糖尿病又はインスリン抵抗性を治療するのに有効な量の請求項1記載の化合物を前記患者に投与することを含む方法。
【請求項17】
2型糖尿病をその治療が必要な哺乳類患者において治療する方法であって、2型糖尿病を治療するのに有効な量の請求項1記載の化合物を患者に投与することを含む方法。
【請求項18】
インスリン非依存性糖尿病をその治療が必要な哺乳類患者において治療する方法であって、インスリン非依存性糖尿病を治療するのに有効な量の請求項1記載の化合物を患者に投与することを含む方法。
【請求項19】
肥満症をその治療が必要な哺乳類患者において治療する方法であって、肥満症を治療するのに有効な量の請求項1記載の化合物を前記患者に投与することを含む方法。
【請求項20】
シンドロームXをその治療が必要な哺乳類患者において治療する方法であって、シンドロームXを治療するのに有効な量の請求項1記載の化合物を前記患者に投与することを含む方法。
【請求項21】
脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群より選択される脂質障害を、その治療の必要な哺乳類患者において治療する方法であって、脂質障害を治療するのに有効な量の請求項1記載の化合物を前記患者に投与することを含む方法。
【請求項22】
アテローム性動脈硬化症をその治療が必要な哺乳類患者において治療する方法であって、アテローム性動脈硬化症を治療するのに有効な量の請求項1記載の化合物を前記患者に投与することを含む方法。
【請求項23】
(1)高血糖症、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDL濃度、(11)高LDL濃度、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)シンドロームX、(21)高血圧、並びにインスリン抵抗性が成因となっている他の症状及び疾患からなる群より選択される症状を、その治療の必要な哺乳類患者において治療する方法であって、前記症状を治療するのに有効な量の請求項1記載の化合物を患者に投与することを含む方法。
【請求項24】
(1)高血糖症、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDL濃度、(11)高LDL濃度、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)シンドロームX、(21)高血圧、並びにインスリン抵抗性が成因となっている他の症状及び疾患からなる群より選択される症状の発症の遅延を、その必要性のある哺乳類患者において行う方法であって、前記症状の発症を遅延するのに有効な量の請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を患者に投与することを含む方法。
【請求項25】
(1)高血糖症、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDL濃度、(11)高LDL濃度、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)シンドロームX、(21)高血圧、並びにインスリン抵抗性が成因となっている他の症状及び疾患からなる群より選択される症状が進行する危険性の低減を、その必要性のある哺乳類患者において行う方法であって、前記症状の進行の危険性を低減するのに有効な量の請求項1記載の化合物を患者に投与することを含む方法。
【請求項26】
(1)高血糖症、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDL濃度、(11)高LDL濃度、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)シンドロームX、(21)高血圧、並びにインスリン抵抗性が成因となっている他の症状及び疾患からなる群より選択される症状を、その治療の必要な哺乳類患者において治療する方法であって、請求項1記載の化合物及び、
(a)DP−IV阻害剤;
(b)(i)PPARアゴニスト及び(ii)ビグアナイド剤からなる群より選択されるインスリン感受性改善薬;
(c)インスリン及びインスリン模倣剤;
(d)スルホニル尿素及び他のインスリン分泌促進薬;
(e)α−グルコシダーゼ阻害剤;
(f)グルカゴンレセプターアンタゴニスト;
(g)GLP−1、GLP−1模倣剤及びGLP−1レセプターアゴニスト;
(h)GIP、GIP模倣剤及びGIPレセプターアゴニスト;
(i)PACAP、PACAP模倣剤及びPACAPレセプター3アゴニスト;
(j)(i)HMG−CoA還元酵素阻害剤、(ii)抑制剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸及びその塩、(iv)PPARαアゴニスト、(v)PPARα/γデュアルアゴニスト、(vi)コレステロール吸収阻害剤、(vii)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、及び(viii)酸化防止剤
からなる群より選択されるコレステロール低下剤;
(k)PPARδアゴニスト;
(l)抗肥満化合物;
(m)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;
(n)グルココルチコイドを除く抗炎症剤;
(o)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;
(p)アンジオテンシン又はレニン系に作用するもの、例えばアンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンIIレセプターアンタゴニスト又はレニン阻害剤、例えば、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラマプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタン及びバルサルタンを含む降圧薬
からなる群より選択される化合物を患者に投与することを含み、
前記化合物が、前記症状を治療するのに有効な量で患者に投与される
方法。
【請求項27】
高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDL、高LDL、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質異常症からなる群より選択される症状を、その治療の必要な哺乳類患者において治療する方法であって、前記症状を治療するのに有効な量の請求項1記載の化合物及びHMG−CoA還元酵素阻害剤を患者に投与することを含む方法。
【請求項28】
高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDL、高LDL、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質異常症からなる群より選択される症状を、その治療の必要な哺乳類患者において治療する方法であって、請求項1記載の化合物及びスタチンの形態のHMG−CoA還元酵素阻害剤を患者に投与することを含み、前記化合物が、前記症状を治療するのに有効な量で投与される方法。
【請求項29】
スタチンが、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522及びリバスタチンからなる群より選択される、請求項28記載の方法。
【請求項30】
高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDL濃度、高LDL濃度、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質異常症からなる群より選択される症状、並びにそのような症状の後遺症が進行する危険性を低減する方法であって、治療有効量の請求項1記載の化合物及びHMG−CoA還元酵素阻害剤を、その治療が必要な哺乳類患者に投与することを含む方法。
【請求項31】
アテローム性動脈硬化症の発症を遅延すること又は進行の危険性を低減することを、その治療の必要なヒト患者において行う方法であって、請求項1記載の化合物及びスタチンの形態のHMG−CoA還元酵素阻害剤を患者に投与することを含み、前記化合物が、前記症状を治療するのに有効な量で投与される方法。
【請求項32】
スタチンが、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522及びリバスタチンからなる群より選択される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
アテローム性動脈硬化症の発症を遅延すること又は進行の危険性を低減することを、その治療の必要なヒト患者において行う方法であって、請求項1記載の化合物及びコレステロール吸収阻害剤を患者に投与することを含み、前記化合物が、アテローム性動脈硬化症を治療する、その発症を遅延する又は進行の危険性を低減するのに有効な量で投与される方法。
【請求項34】
コレステロール吸収阻害剤がエゼチミブである、請求項33記載の方法。
【請求項35】
(1)請求項1記載の化合物、
(2)
(a)DP−IV阻害剤;
(b)(i)PPARアゴニスト及び(ii)ビグアナイド剤からなる群より選択されるインスリン感受性改善薬;
(c)インスリン及びインスリン模倣剤;
(d)スルホニル尿素及び他のインスリン分泌促進薬;
(e)α−グルコシダーゼ阻害剤;
(f)グルカゴンレセプターアンタゴニスト;
(g)GLP−1、GLP−1模倣剤及びGLP−1レセプターアゴニスト;
(h)GIP、GIP模倣剤及びGIPレセプターアゴニスト;
(i)PACAP、PACAP模倣剤及びPACAPレセプター3アゴニスト;
(j)(i)HMG−CoA還元酵素阻害剤、(ii)抑制剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸及びその塩、(iv)PPARαアゴニスト、(v)PPARα/γ二重アゴニスト、(vi)コレステロール吸収阻害剤、(vii)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤及び(viii)酸化防止剤からなる群より選択されるコレステロール低下剤;
(k)PPARδアゴニスト;
(l)抗肥満化合物;
(m)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;
(n)グルココルチコイド以外の抗炎症剤;
(o)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;及び
(p)アンジオテンシン又はレニン系に作用するもの、例えばアンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンIIレセプターアンタゴニスト又はレニン阻害剤、例えば、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラマプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタン及びバルサルタンを含む降圧薬
からなる群より選択される化合物、及び
(3)薬学的に許容される担体
とを含む医薬組成物。

【公表番号】特表2010−513488(P2010−513488A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542826(P2009−542826)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/025687
【国際公開番号】WO2008/085316
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】