説明

フィルムコンデンサ

【課題】フィルムを加工することなく、金属化フィルムとメタリコンとの接触部分の機械的強度を向上させること。
【解決手段】フィルムコンデンサ(10)は、それぞれの少なくとも片側の表面に金属膜(21)が形成された第1〜第4フィルム(13〜16)を順に重ね合わせて構成され、第1および第3フィルム(13,15)は第1フィルム対(11)を構成する一方、第2および第4フィルム部材(14,16)は第2フィルム対(12)を構成し、第1フィルム対(11)は、第2フィルム対(12)に対して幅方向の一方に突出して配置される一方、第1フィルム(13)を第3フィルム(15)に対して幅方向の一方向に突出させて金属膜(21)が露出するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムコンデンサに関し、特に、金属化フィルムと電極部材との接触不良対策に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、インバータ回路用の平滑用コンデンサとして、フィルムコンデンサが用いられたものがある(特許文献1参照)。図3に示すように、フィルムコンデンサ(a)は、2枚のフィルム(b,b)の表面にアルミニウム又は亜鉛等の金属膜(c)を蒸着して形成した金属化フィルム(d)を巻回して形成されている。このフィルム(b,b)は、互いを幅方向にずらして配置されている。そしてフィルムコンデンサ(a)は、ずらした端部に金属(e)を溶射(メタリコン)することで端子電極を形成している。
【0003】
ところで、近年のインバータ回路の出力容量の増大の要請から、フィルムコンデンサの耐電流性を向上させる必要があった。フィルムコンデンサの耐電流特性を向上させる方法としては、例えば、フィルムコンデンサのメタリコンとフィルムの接合部分の機械的強度を向上させる方法が知られている(特許文献2参照)。メタリコンとフィルムの接合部分の機械的強度が低いと、振動などによって接合部分の電気抵抗が上昇して発熱する。このため、耐電流特性が低下する。
【0004】
フィルムコンデンサのメタリコンとフィルムの接合部分の機械的強度を向上させる方法として、特許文献3には、フィルムの幅方向の端部(側端部)に長手方向に沿って切り欠きを形成し、フィルムを積層した際のメタリコンの接触面積を大きくしてフィルムとメタリコンとの接触部分の機械的強度を向上させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭54−98957号公報
【特許文献2】特開2008−140798号公報
【特許文献3】特開平2−198122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3に示す方法は、フィルム自身の側端部を加工して切り欠きを形成する必要があった。このため、フィルムへ加工を施すためだけに専用の加工設備が別途必要となる。これにより、フィルムコンデンサの製造コストが上昇するという問題があった。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、フィルムを加工することなく、金属化フィルムとメタリコンとの接触部分の機械的強度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者らは、永年の鋭意研究の結果、巻回されたフィルムの端面に沿ってメタリコンが連続的に接合するのでなく、不連続に接合されているという現象を見出した。具体的には、図4に示すように、メタリコン(e)は、所定の大きさの塊となって巻回されたフィルム(b)の端面に沿って所定の間隔おきに付着している。これは、メタリコン(e)の塊は、一枚のフィルム(b)の厚みよりも大きいため、巻回されたフィルム(b)の端面に衝突し、内側(図4では右側)に入り込むことができないためであると考えられる。そこで、本願発明は、メタリコン(e)の塊が巻回されたフィルム(b)の内側へ入り込めるような構造にしたものである。
【0009】
第1の発明は、少なくとも片側の表面に金属膜(21)が形成された複数のフィルム部材(13〜16)を有する金属化フィルム(22)を備え、該金属化フィルム(22)が巻回されて形成され、且つ巻回された金属化フィルム(22)の幅方向の両端のそれぞれに電極部材(23)が接続されたフィルムコンデンサであって、上記複数のフィルム部材(13〜16)は、それぞれの少なくとも片側の表面に金属膜(21)が形成された第1〜第4フィルム部材(13〜16)であり、それらを順に重ね合わせて構成され、上記第1および第3フィルム部材(13,15)は第1フィルム対(11)を構成する一方、上記第2および第4フィルム部材(14,16)は第2フィルム対(12)を構成し、上記第1フィルム対(11)は、上記第2フィルム対(12)に対して幅方向の一方に突出して配置される一方、上記第1フィルム部材(13)が上記第3フィルム部材(15)に対して幅方向の一方に突出させて金属膜(21)が露出するように配置されているものである。
【0010】
上記第1の発明に係るフィルムコンデンサでは、巻回された金属化フィルム(22)の幅方向の両端のそれぞれに電極部材(23)が接続されている。金属化フィルム(22)は、複数のフィルム部材(13〜16)を有している。複数のフィルム部材(13〜16)は、それぞれの少なくとも片側の表面に金属膜(21)が形成された第1〜第4フィルム部材(13〜16)であり、それらを順に重ね合わせて構成されている。
【0011】
第1および第3フィルム部材(13,15)は、第1フィルム対(11)を構成している。また、第2および第4フィルム部材(14,16)は、第2フィルム対(12)を構成している。第1フィルム対(11)は、第2フィルム対(12)に対して幅方向の一方に突出して配置されている。その一方で、第1フィルム対(11)では、第1フィルム部材(13)が第3フィルム部材(15)に対して幅方向の一方に突出して金属膜(21)が露出されて配置されている。
【0012】
こうすることで、積層方向に隣り合う第1フィルム部材(13)の相互間に第2〜第4フィルム部材(14〜16)を介在させることができるため、積層方向に隣り合う第1フィルム部材(13)の間隔が大きくなる。その一方で、第1フィルム対(11)では、第3フィルム部材(15)が第1フィルム部材(13)に対して幅方向の他方に凹んで配置されている。これらのため、積層方向に隣り合う第1フィルム部材(13)の相互間に電極部材(23)の塊が侵入し易くなる。
【0013】
また、第1フィルム対(11)では、第1フィルム部材(13)を第3フィルム部材(15)に対して幅方向の一方に突出させて金属膜(21)を露出させたため、第1フィルム部材(13)の金属膜(21)へ電極部材(23)を接続させ易くなる。
【0014】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記第1フィルム対(11)の上記第3フィルム部材(15)が上記第1フィルム部材(13)よりも短い幅寸法に形成されているものである。
【0015】
上記第2の発明では、第3フィルム部材(15)が第1フィルム部材(13)よりも短い寸法に形成されている。こうすることで、第1フィルム対(11)では、第3フィルム部材(15)が第1フィルム部材(13)に対して幅方向の他方に凹んで配置される。このため、積層方向に隣り合う第1フィルム部材(13)の相互間に電極部材(23)の塊が侵入し易くなる。
【0016】
また、第3フィルム部材(15)を第1フィルム部材(13)に対して幅方向に短い寸法に形成して第1フィルム部材(13)の金属膜(21)を露出させたため、第1フィルム部材(13)の金属膜(21)へ電極部材(23)を接続させ易くなる。
【0017】
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記第2フィルム対(12)が、上記第1フィルム対(11)に対して幅方向の他方に突出して配置される一方、上記第4フィルム部材(16)を上記第2フィルム部材(14)に対して幅方向の他方に突出させて金属膜(21)が露出するように配置されているものである。
【0018】
上記第3の発明に係るフィルムコンデンサでは、第2フィルム対(12)は、第1フィルム対(11)に対して幅方向の他方に突出して配置されている。その一方で、第2フィルム対(12)では、第4フィルム部材(16)が第2フィルム部材(14)に対して幅方向の他方に突出して金属膜(21)を露出させて配置されている。
【0019】
こうすることで、積層方向に隣り合う第4フィルム部材(16)の相互間に第1〜第3フィルム部材(15)を介在させることができるため、積層方向に隣り合う第4フィルム部材(16)の間隔が大きくなる。その一方で、第2フィルム対(12)では、第2フィルム部材(14)が第4フィルム部材(16)に対して幅方向の一方に凹んで配置されている。これらのため、積層方向に隣り合う第4フィルム部材(16)の相互間に電極部材(23)の塊が侵入し易くなる。
【0020】
また、第2フィルム対(12)では、第4フィルム部材(16)を第2フィルム部材(14)に対して幅方向の他方に突出させて金属膜(21)を露出させたため、第4フィルム部材(16)の金属膜(21)へ電極部材(23)を接続させ易くなる。
【0021】
第4の発明は、上記第3の発明において、上記第2フィルム対(12)の上記第2フィルム部材(14)が上記第4フィルム部材(16)よりも短い幅寸法に形成されているものである。
【0022】
上記第4の発明では、第2フィルム部材(14)が第4フィルム部材(16)よりも短い寸法に形成されている。こうすることで、第2フィルム対(12)では、第2フィルム部材(14)が第4フィルム部材(16)に対して幅方向の一方に凹んで配置される。このため、積層方向に隣り合う第4フィルム部材(16)の相互間に電極部材(23)の塊が侵入し易くなる。
【0023】
また、第2フィルム部材(14)を第4フィルム部材(16)に対して幅方向に短い寸法に形成して第4フィルム部材(16)の金属膜(21)を露出させたため、第4フィルム部材(16)の金属膜(21)へ電極部材(23)を接続させ易くなる。
【発明の効果】
【0024】
上記第1の発明では、第1フィルム対(11)を第2フィルム対(12)に対して幅方向の一方に突出させつつ、第1フィルム対(11)において第1フィルム部材(13)を第3フィルム部材(15)に対して幅方向の一方に突出させるようにしたため、積層方向に隣り合う第1フィルム部材(13)端部の相互間に形成される空間を拡大することができる。これにより、金属化フィルム(22)の端部に電極部材(23)の塊を侵入させ易くすることができる。
【0025】
さらに、第1フィルム対(11)において、第1フィルム部材(13)を第3フィルム部材(15)に対して幅方向の一方に突出させて金属膜(21)を露出させるようにしたため、該露出させた金属膜(21)へ電極部材(23)を接続させ易くすることができる。
【0026】
以上により、金属膜(21)へ電極部材(23)が接続し易くなるため、金属化フィルム(22)と電極部材(23)との接触部分の機械的強度を向上させることができる。この結果、第1〜第4フィルム部材(13〜16)を加工することなく、金属化フィルム(22)と電極部材(23)との接触部分の機械的強度を向上させることができる。
【0027】
上記第2の発明によれば、第1フィルム対(11)において、第3フィルム部材(15)を第1フィルム部材(13)よりも短い幅寸法に形成したため、第1フィルム部材(13)を第3フィルム部材(15)に対して幅方向の一方に突出させて金属膜(21)を露出させることができる。このため、金属膜(21)へ電極部材(23)を接続させ易くすることができる。この結果、第1〜第4フィルム部材(13〜16)を加工することなく、金属化フィルム(22)と電極部材(23)との接触部分の機械的強度を向上させることができる。
【0028】
上記第3の発明によれば、第2フィルム対(12)を第1フィルム対(11)に対して幅方向の他方に突出させつつ、第2フィルム対(12)において、第4フィルム部材(16)を第2フィルム部材(14)に対して幅方向の他方に突出させるようにしたため、積層方向に隣り合う第4フィルム部材(16)の相互間に第1〜第3フィルム部材(15)を介在させることができる。これにより、積層方向に隣り合う第4フィルム部材(16)の間隔を大きくすることができると共に、積層方向に隣り合う第4フィルム部材(16)の相互間に形成される空間を拡大することができる。これにより、金属化フィルム(22)の端部に電極部材(23)の塊を侵入させ易くすることができる。
【0029】
さらに、第2フィルム対(12)において、第4フィルム部材(16)を第2フィルム部材(14)に対して幅方向の他方に突出させて金属膜(21)を露出させるようにしたため、第4フィルム部材(16)の金属膜(21)へ電極部材(23)を接続させ易くすることができる。
【0030】
以上により、金属膜(21)へ電極部材(23)が接続し易くなるため、金属化フィルム(22)と電極部材(23)との接触部分の機械的強度を向上させることができる。この結果、第1〜第4フィルム部材(13〜16)を加工することなく、金属化フィルム(22)と電極部材(23)との接触部分の機械的強度を向上させることができる。
【0031】
上記第4の発明によれば、第2フィルム対(12)において、第2フィルム部材(14)を第4フィルム部材(16)よりも短い幅寸法に形成したため、第4フィルム部材(16)を第2フィルム部材(14)に対して幅方向の他方に突出させて金属膜(21)を露出させることができる。このため、金属膜(21)へ電極部材(23)を接続させ易くすることができる。この結果、第1〜第4フィルム(13〜16)を加工することなく、金属化フィルム(22)と電極部材(23)との接触部分の機械的強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施形態に係るフィルムコンデンサを示す断面図である。
【図2】本実施形態に係るフィルムコンデンサの一部を拡大した断面図である。
【図3】従来例に係るフィルムコンデンサを示す断面図である。
【図4】従来例に係るフィルムコンデンサの一部を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0034】
図1に本実施形態に係るフィルムコンデンサ(10)を示す。このフィルムコンデンサ(10)は、金属化フィルム(22)と、メタリコン(23)と、巻芯(図示なし)とで構成されている。
【0035】
具体的には、フィルムコンデンサ(10)の形成では、まず、第1〜第4フィルム(13〜16)のそれぞれの片面に金属膜(21)を蒸着形成し、それらを順に上下に重ねて金属化フィルム(22)を形成する。次に、金属化フィルム(22)を巻芯に巻回し、巻回した金属化フィルム(22)の幅方向(図1における上下方向)の両端にメタリコン(23,23)を溶射することでフィルムコンデンサ(10)を形成している。尚、本実施形態では、説明の便宜上、図1における第1〜第4フィルム(13〜16)の幅方向(図1の上下方向)を左右方向として説明し、第1〜第4フィルム(13〜16)の積層方向(図1の左右方向)を上下方向として説明する。また、上記第1〜第4フィルム(13〜16)は、本発明に係る第1〜第4フィルム部材を構成している。
【0036】
本実施形態に係るフィルムコンデンサ(10)は、例えばインバータ回路とコンバータ回路との間の平滑コンデンサとして用いられる。
【0037】
上記金属化フィルム(22)は、第1〜第4フィルム(13〜16)を順に上下に重ね合わせることで形成されている。そして、第1フィルム(13)と第3フィルム(15)とは、第1フィルム対(11)を構成し、第2フィルム(14)と第4フィルム(16)とは、第2フィルム対(12)を構成している。
【0038】
上記第1フィルム対(11)は、幅方向の長さが異なる第1フィルム(13)と第3フィルム(15)とで構成されている。上記第1フィルム(13)は、第3フィルム(15)よりも幅方向に長い幅広形状に形成され、該第3フィルム(15)は、第1フィルム(13)よりも幅方向に短い幅狭形状に形成されている。
【0039】
上記第1および第3フィルム(13,15)は、その片側の表面(図1では上側の面)にアルミニウム(Al)の金属膜(21)が蒸着形成されている。この金属膜(21)は、その膜厚が50Å〜400Å程度に形成されている。第1および第3フィルム(13,15)は、その上側面の他端側にサイドマージン(20)が形成されている。
【0040】
上記第2フィルム対(12)は、幅方向の長さが異なる第2フィルム(14)と第4フィルム(16)とで構成されている。上記第4フィルム(16)は、第2フィルム(14)よりも幅方向に長い幅広形状に形成され、該第2フィルム(14)は、第4フィルム(16)よりも幅方向に短い幅狭形状に形成されている。
【0041】
上記第2および第4フィルム(14,16)は、その片側の表面(図1では上側の面)にアルミニウム(Al)の金属膜(21)が蒸着形成されている。この金属膜(21)は、その膜厚が50Å〜400Å程度に形成されている。第2および第4フィルム(14,16)は、その上側面の一端側にサイドマージン(20)が形成されている。
【0042】
尚、第1フィルム(13)と第4フィルム(16)は幅方向に略同じ長さに形成される一方、第2フィルム(14)と第3フィルム(15)とは幅方向に略同じ長さに形成されている。
【0043】
上記第1〜第4フィルム(13〜16)は、同じ材質のフィルムで構成されている。第1〜第4フィルム(13〜16)は、フィルム材質がPET(ポリエチレンテレフタラート、又はポリエチレンテレフタレート)で構成されている。尚、第1〜第4フィルム(13〜16)の材質は、例示であって、これに限られるものではない。
【0044】
また、上記第1〜第4フィルム(13〜16)は、略同じ厚みに形成されている。第1〜第4フィルム(13〜16)は、厚みが約4μmに形成された帯状のフィルムである。また、第1〜第4フィルム(13〜16)の厚みは例示であって、この厚みは3〜10μm程度に形成することができる。
【0045】
上記サイドマージン(20)は、各フィルム(13〜16)の表面のうち、金属膜(21)が蒸着形成されていない領域である。このサイドマージン(20)は、後述するメタリコン(23,23)と金属膜(21)との間に設けられて両部材を電気的に絶縁するものである。サイドマージン(20)は、各フィルム(13〜16)の金属膜(21)の形成面の幅方向の一方の端部から他方の端部に向かって所定幅をもって形成されている。
【0046】
図1および図2に示すように、上記第1フィルム対(11)と第2フィルム対(12)は、互いを左右方向にずらした状態で重ねられている。つまり、図1における第1フィルム対(11)は、第2フィルム対(12)に対して左方向に突出して配置される一方、第2フィルム対(12)は、第1フィルム対(11)に対して右方向に突出して配置されている。この状態で金属化フィルム(22)を巻回し、巻回した金属化フィルム(22)の両端にメタリコン(23)を溶射する。
【0047】
上記メタリコン(23,23)は、フィルムコンデンサ(10)の電極を構成するものであって、本発明に係る電極部材を構成するものである。メタリコン(23,23)は、上記金属膜(21)と電気的に接続されると共に、外部へ延びる接続端子となるものである。このメタリコン(23,23)は、巻回させた金属化フィルム(22)の端部に、亜鉛(Zn)等の金属を溶融噴射することで形成されている。
【0048】
具体的には、巻回された金属化フィルム(22)の左側の端部では、第1フィルム対(11)が第2フィルム対(12)に対して幅方向に突出している。そして、突出部分が吹き付けられたメタリコン(23)の内部に埋没する。こうすることで、第1フィルム対(11)がメタリコン(23)に固定支持される。つまり、メタリコン(23)が第1および第3フィルム(13,15)の突出部分を上下方向から挟み込むことで、メタリコン(23)と金属膜(21)との電気的な接触性を確保すると共に、第1および第3フィルム(13,15)を機械的に安定して固定支持している。
【0049】
さらに、第1フィルム対(11)では、幅広の第1フィルム(13)が幅狭の第3フィルム(15)に対して幅方向の一方(図1では左側)に突出するため、第1フィルム(13)の突出部分に形成された金属膜(21)を露出させることができる。この金属膜(21)の露出部分にメタリコン(23)が接続される。こうすることで、メタリコン(23)を金属膜(21)に接続し易くすることができる。
【0050】
巻回された金属化フィルム(22)の右側の端部では、第2フィルム対(12)が第1フィルム対(11)に対して幅方向に突出している。このため、突出部分が吹き付けられたメタリコン(23)の内部に埋没する。こうすることで、第2フィルム対(12)がメタリコン(23)に固定支持される。つまり、メタリコン(23)が第2および第4フィルム(14,16)の突出部分を上下方向から挟み込むことで、メタリコン(23)と金属膜(21)との電気的な接触性を確保すると共に、該第2および第4フィルム(14,16)を機械的に安定して固定支持している。
【0051】
さらに、第2フィルム対(12)では、幅広の第4フィルム(16)が幅狭の第2フィルム(14)に対して幅方向の他方(図1では右側)に突出するため、第4フィルム(16)の突出部分に形成された金属膜(21)を露出させることができる。この金属膜(21)の露出部分にメタリコン(23)が接続される。こうすることで、メタリコン(23)を金属膜(21)に接続し易くすることができる。
【0052】
−実施形態の効果−
上記実施形態によれば、第1フィルム対(11)を第2フィルム対(12)に対して幅方向の一方に突出させつつ、第1フィルム対(11)において第1フィルム(13)を第3フィルム(15)に対して幅方向の一方に突出させるようにしたため、積層方向に隣り合う第1フィルム(13)端部の相互間に形成される空間を拡大させることができる。これにより、金属化フィルム(22)の端部にメタリコン(23)の塊を侵入させ易くすることができる。
【0053】
さらに、第1フィルム対(11)において、第1フィルム(13)を第3フィルム(15)に対して幅方向の一方に突出させて金属膜(21)を露出させるようにしたため、該露出させた金属膜(21)へメタリコン(23)を接続させ易くすることができる。
【0054】
以上により、金属膜(21)へメタリコン(23)が接続し易くなるため、金属化フィルム(22)とメタリコン(23)との接触部分の機械的強度を向上させることができる。この結果、第1〜第4フィルム(13〜16)を加工することなく、金属化フィルム(22)とメタリコン(23)との接触部分の機械的強度を向上させることができる。尚、メタリコン(23)と金属化フィルム(22)との接合部分の機械的強度が向上すると、該接合部分の電気抵抗の上昇が抑えられて発熱し難くなる。このため、フィルムコンデンサ(10)の耐電流特性が向上する。
【0055】
上記実施形態によれば、第1フィルム対(11)において、第3フィルム(15)を第1フィルム(13)よりも短い幅寸法に形成したため、第1フィルム(13)を第3フィルム(15)に対して幅方向の一方に突出させて金属膜(21)を露出させることができる。このため、第1フィルム(13)の金属膜(21)へメタリコン(23)を接続させ易くすることができる。この結果、第1〜第4フィルム(13〜16)を加工することなく、金属化フィルム(22)とメタリコン(23)との接触部分の機械的強度を向上させることができる。
【0056】
上記実施形態によれば、第2フィルム対(12)を第1フィルム対(11)に対して幅方向の他方に突出させつつ、第2フィルム対(12)において、第4フィルム(16)を第2フィルム(14)に対して幅方向の他方に突出させるようにしたため、積層方向に隣り合う第4フィルム(16)の相互間に第1〜第3フィルム(13〜15)を介在させることができる。これにより、積層方向に隣り合う第4フィルム(16)の間隔を大きくすることができると共に、積層方向に隣り合う第4フィルム(16)の相互間に形成される空間を拡大することができる。これにより、金属化フィルム(22)の端部にメタリコン(23)の塊を侵入させ易くすることができる。
【0057】
さらに、第4フィルム(16)を第2フィルム(14)に対して幅方向の他方に突出させて金属膜(21)を露出させるようにしたため、第4フィルム(16)の金属膜(21)へメタリコン(23)を接続させ易くすることができる。
【0058】
以上により、金属膜(21)へメタリコン(23)が接続し易くなるため、金属化フィルム(22)とメタリコン(23)との接触部分の機械的強度を向上させることができる。この結果、第1〜第4フィルム(13〜16)を加工することなく、金属化フィルム(22)とメタリコン(23)との接触部分の機械的強度を向上させることができる。
【0059】
上記実施形態によれば、第2フィルム対(12)において、第2フィルム(14)を第4フィルム(16)よりも短い幅寸法に形成したため、第4フィルム(16)を第2フィルム(14)に対して幅方向の他方に突出させて金属膜(21)を露出させることができる。このため、第4フィルム(16)の金属膜(21)へメタリコン(23)を接続させ易くすることができる。この結果、第1〜第4フィルム(13〜16)を加工することなく、金属化フィルム(22)とメタリコン(23)との接触部分の機械的強度を向上させることができる。
【0060】
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0061】
上記実施形態では、第1〜第4フィルム(13〜16)の金属膜(21)としてアルミニウムを材料としたが、金属膜(21)の材料は、これに限られず、他に亜鉛等の金属材料を用いることができる。
【0062】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上説明したように、本発明は、フィルムコンデンサについて有用である。
【符号の説明】
【0064】
11 第1フィルム対
12 第2フィルム対
13 第1フィルム
14 第2フィルム
15 第3フィルム
16 第4フィルム
21 金属膜
22 金属化フィルム
23 メタリコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフィルム部材(13〜16)を有する金属化フィルム(22)を備え、該金属化フィルム(22)が巻回されて形成され、且つ巻回された金属化フィルム(22)の幅方向の両端のそれぞれに電極部材(23)が接続されたフィルムコンデンサであって、
上記複数のフィルム部材(13〜16)は、それぞれの少なくとも片側の表面に金属膜(21)が形成された第1〜第4フィルム部材(13〜16)であり、それらを順に重ね合わせて構成され、
上記第1および第3フィルム部材(13,15)は第1フィルム対(11)を構成する一方、上記第2および第4フィルム部材(14,16)は第2フィルム対(12)を構成し、
上記第1フィルム対(11)は、上記第2フィルム対(12)に対して幅方向の一方に突出して配置される一方、上記第1フィルム部材(13)を上記第3フィルム部材(15)に対して幅方向の一方に突出させて金属膜(21)が露出するように配置されている
ことを特徴とするフィルムコンデンサ。
【請求項2】
請求項1において、
上記第1フィルム対(11)は、上記第3フィルム部材(15)が上記第1フィルム部材(13)よりも短い幅寸法に形成されている
ことを特徴とするフィルムコンデンサ。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記第2フィルム対(12)は、上記第1フィルム対(11)に対して幅方向の他方に突出して配置される一方、上記第4フィルム部材(16)を上記第2フィルム部材(14)に対して幅方向の他方に突出させて金属膜(21)が露出するように配置されている
ことを特徴とするフィルムコンデンサ。
【請求項4】
請求項3において、
上記第2フィルム対(12)は、上記第2フィルム部材(14)が上記第4フィルム部材(16)よりも短い幅寸法に形成されている
ことを特徴とするフィルムコンデンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−4908(P2013−4908A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137530(P2011−137530)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】