説明

フィンチューブの欠陥検査装置

【課題】非破壊検査であって非接触の探傷手段で、フィンチューブの欠陥部位の検出が可能であり、かつ短時間で検査員の技量に頼らずに、信頼性の高い検出結果を達成できる。
【解決手段】外周面にスパイラルフィン102を固設してなるフィンチューブ100の欠陥検査装置10において、該スパイラルフィンの周囲に該スパイラルフィンの先端部に接して配置された移動体18、及び該移動体をフィンチューブ100の周方向に移動させる駆動手段24,28と、該移動体の内周面にフィンチューブのフィン間外周面に対向して設けられた非接触型の探傷子40と、を備え、該移動体をスパイラルフィンの先端部をガイドとしてフィンチューブの周囲を螺旋状に移動させながら、該探傷子でフィンチューブのフィン間肉厚部の欠陥を測定するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外周面にスパイラルフィンを固設してなるフィンチューブの欠陥検査装置にに関し、フィンチューブの外側に配置した探傷子を自動又は半自動で操作して信頼性の高い測定を可能にしたものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、排熱回収ボイラ等においては、伝熱管として、図9に示すように、外周面に螺旋形状のフィン102を設けたフィンチューブ100が用いられている。このフィンチューブは、通常炭素鋼(SS鋼など)でできているため、サビが発生したり、表面が燃焼灰等を含む排ガスに曝されるため、排ガス中に含まれるCl分等により腐食し、減肉しやすい。そのため、フィンチューブのサビや減肉部等の欠陥を検査して、その健全性を確保する必要がある。
【0003】
そのため、従来は、フィンチューブの一部をテストピースとして切り出し、該テストピースの欠陥を検査することにより、フィンチューブ全体の健全性を確認していた。しかし、この方法では、フィンチューブの一部を破壊することになると共に、テストピースの切り出し作業を要する。さらに、一部のテストピースでフィンチューブ全体の健全性を判断するので、その検出精度には限界がある。
【0004】
特許文献1(特開2001−165913号公報)には、フィンチューブの内部に超音波探傷子を挿入し、この超音波探傷子からフィンチューブの内面に超音波を照射して欠陥を検出する手段が開示されている。この手段では、例えば水のような超音波伝達物質をフィンチューブ内面と探傷子間の超音波照射空間に介在させ、超音波の伝達性を良くしながら欠陥検査を行っている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−165913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された検査手段では、フィンチューブを切断して超音波探傷子を管内に挿入する必要がある。また、超音波伝達物質としての水の導管や信号ケーブル等を設ける必要がある。このように、フィンチューブの切断や検査装置のセッティング等でコストと時間を要していた。
【0007】
そのため、フィンチューブを傷付けずに簡便に検査できる方法として、フィンチューブの外側から超音波等を用いた探傷子で欠陥を検査する方法が考えられる。この検査方法を図10に模式的に示す。図10において、検査員が超音波探傷子104を手動走査して、フィンチューブ100の外側から超音波をフィンチューブ100に照射して検査する。この場合、検査員が目視によって減肉部位fを特定する必要がある。しかし、フィンチューブ100の外周面は、スパイラルフィン102間の隙間に位置するため、フィン間外周面の減肉部位fを見つけるには熟練を要し、経験の浅い検査員では見逃す場合もある。
【0008】
また、先端の細い探傷子を使用して管の外面から肉厚部を測定するため、減肉部位fの形状によっては減肉部位fの最小肉厚部を検出できない場合がある。
例えば、図10(a)のように、減肉部位fがフィン間外周面の中央に位置している場合は、減肉部位fを測定可能であるが、図10(b)のように、減肉部位fの外径がスパイラルフィン102の根元近傍で最小肉厚となっている場合、該最小肉厚部の測定が困難である。
【0009】
また、フィンチューブ外側で探傷子を手動走査する場合、検査員の技量によって検査結果が変わる虞がある。さらにはフィンチューブ外側で探傷子を手動走査する場合、検査員が目視で確認できない領域、例えば管裏側などの検査ができないという問題があり、この場合、前述のようにフィンチューブの切断を要した。
【0010】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、非破壊検査であって、非接触の探傷手段で、フィンチューブの欠陥部位の検出を可能とすると共に、検査員の技量に頼らずに短時間で簡便に、信頼性の高い検出結果を得ることができる欠陥検出手段を実現することを目的とする。また、フィンチューブの寿命予測を左右する減肉部位の最小肉厚部を正確に検出できる検出手段を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明のフィンチューブの欠陥検査装置は、
外周面にスパイラルフィンを固設してなるフィンチューブの欠陥検査装置において、
スパイラルフィンの周囲にスパイラルフィンの先端部に接して配置された移動体、及び該移動体をフィンチューブの周方向に移動させる駆動手段と、
該移動体の内周面にフィンチューブのフィン間外周面に対向して設けられた非接触型の探傷子と、を備え、
該移動体をスパイラルフィンの先端部をガイドとしてフィンチューブの周囲を螺旋状に移動させながら、該探傷子でフィンチューブのフィン間肉厚部の欠陥を測定するように構成したものである。
【0012】
本発明装置では、内周面に非接触型の探傷子を装着した前記移動体をスパイラルフィンの先端部をガイドとして螺旋状にフィンチューブの周囲を移動させるようにしたので、探傷子をフィンチューブのフィン間外周面に常に一定距離をもって移動させながらフィン間肉厚部を検査できる。そのため、検査員の技量に頼らず高精度な検査を可能する。
また、前記移動体を検査員の手動ではなく前記駆動手段で移動させることで、半自動化又は自動化できるので、検査を短時間で容易に実施できる。
【0013】
なお、本発明装置で、前記探傷子による欠陥検出方法は、例えば、探傷子からフィンチューブに超音波を照射する方法や、探傷子からフィンチューブにレーザ光を照射する方法、又は探傷子によってフィンチューブの肉厚部に渦電流を形成して欠陥を検出する方法等、種々の非接触式検査法を用いることができる。
【0014】
本発明装置において、前記移動体をスパイラルフィンの外側を覆う筒状体で構成し、該移動体の駆動手段を、該筒状体の背面に設けられた歯形部と噛み合う駆動歯車と、該駆動歯車を回転する駆動モータと、を備えたものとすることができる。かかる構成とすることにより、移動体及びその駆動手段を簡素かつ低コストで実現できる。
また、前記駆動歯車の累計回転角度を計測可能な手段、例えばエンコーダ等を用いて計測することにより、移動体の移動距離を正確に検知できる。移動体の移動距離を検知できるので、検出した欠陥の位置を正確に検出できる。
【0015】
また、本発明装置において、前記移動体の駆動手段として、該移動体の外周側に複数のコイルを筒形に配置し、該コイルに電流を流すことにより、該移動体を移動させる駆動力を与える磁場を形成するように構成することができる。
例えば、該移動体をN極とS極とが周方向に交互に配置された磁石で構成し、前記複数のコイルに発生する磁極を同じ磁極が周方向に回転するように電流制御を行なうことによって、該移動体に回転力を与えるようにする。
【0016】
前記駆動手段の別な構成として、該移動体の外周側に複数のコイルを筒形に配置し、該コイルに電圧を付加し、該移動体の配置域に磁場を形成してなり、該移動体を移動させる駆動力を与える磁力を形成するように構成するようにしてもよい。
この場合、移動体の外周面にN極とS極とを交互に配置した電磁石を設け、移動体の配置域に移動体の周方向に回転する回転磁場を形成することにより、該移動体を回転させるようにするとよい。
【0017】
あるいは、移動体にもコイルを配置し、移動体の配置域に形成した磁場によって該コイルに誘導電流を発生させ、誘導モータの原理で移動体を回転させるようにしてもよい。
これによって、前記駆動手段のような駆動モータや歯車装置が不要になり、検査装置の容積及び重量を軽減できる。
【0018】
また、本発明装置において、前記移動体の移動に同期させて探傷子をフィンチューブの軸方向に揺動させる揺動機構を設け、該揺動機構によりフィンチューブのフィン間外周面全域の探傷を可能にするとよい。該揺動機構によって、フィンチューブのフィン間肉厚部の全域で検査が可能になり、欠陥の見逃しをなくすことができる。
【0019】
また、本発明装置において、前記揺動機構に加えて、移動体の内周面にフィンチューブのフィン間外周面に対向しかつ探傷子より移動方向上流側にブラシを設けると共に、前記揺動機構により該ブラシを該探傷子と同期させてフィンチューブの軸方向に揺動可能に構成し、該探傷子より移動方向上流側の該フィン間外周面を該ブラシで清掃可能にするとよい。これによって、検査面を予めブラシで清掃できるので、欠陥検出精度をさらに向上できる。
【0020】
また、本発明装置において、移動体とスパイラルフィン先端部間の摺接面にローラ又は低摩擦体を設けるようにするとよい。これによって、移動体とスパイラルフィン先端部間の摺接面を低摩擦とすることができるので、移動体の移動手段の動力を低減でき、低コストとなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明装置によれば、外周面にスパイラルフィンを固設してなるフィンチューブの欠陥検査装置において、スパイラルフィンの周囲にスパイラルフィンの先端部に接して配置された移動体、及び該移動体をフィンチューブの周方向に移動させる駆動手段と、該移動体の内周面にフィンチューブのフィン間外周面に対向して設けられた非接触型の探傷子と、を備え、該移動体をスパイラルフィンの先端部をガイドとしてフィンチューブの周囲を螺旋状に移動させながら、該探傷子でフィンチューブのフィン間肉厚部の欠陥を測定するするように構成したことにより、フィンチューブの欠陥検出を非破壊式でかつ非接触で管の外側から行なうように自動化又は半自動化でき、検査を容易にして検査時間を短縮できる。また、探傷子とフィンチューブ外周面との距離を常に一定として走査できるので、検査員の技量に頼ることなく、高精度な欠陥検出を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0023】
(実施形態1)
本発明の第1実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。図1〜図3において、被検査体が外周面に螺旋状をなすスパイラルフィン102を固着されたフィンチューブ100である。フィンチューブ100は排熱回収ボイラ等の伝熱管として用いられる。フィンチューブ100及びスパイラルフィン102は、通常炭素鋼(SS鋼等)で構成され、本実施形態の検査装置10により、フィンチューブ100の肉厚部を検査して、サビや腐食による減肉部位の有無を検査する。
【0024】
検査装置10は、スパイラルフィン102を囲んでその周囲に配置される円筒体12を備えている。円筒体12は、図2に示す分割線12aで分割された半円形状断面の円弧部材で製作され、製作後2つの円弧部材を組み立て、円筒形状をなす。円筒体12は、軸方向両端に開口14a及び14bを有し、これら開口にフィンチューブ100を挿入することにより、スパイラルフィン102の外周側に配置される。
【0025】
円筒体12の内部には、円筒形状の回転体18が配置される。円筒体12の両端部内周面に凹部16a及び16bが設けられている。一方、回転体18の軸方向両端に嵌合部20a及び20bが突設され、該嵌合部が凹部16a及び16bに挿入され遊嵌されている。回転体18の背面には、全周に亘り円弧状の歯形部22が固設されている。
【0026】
円筒体12の外周面には減速モータ24が取り付けられている。減速モータ24の出力軸26には、駆動歯車28が取り付けられている。円筒体12には駆動歯車28の歯先部が進入可能な長方形状の開口30が穿設され、駆動歯車28の歯先部は、開口30から円筒体12の内部に配置され、回転体18の背面に固設された歯形部22と噛み合っている。
【0027】
回転体18の軸方向両端付近には、脚部32a及び32bが内側方向に突設されている。脚部32a及び32bの先端部には、凹部36a及び36bが設けられ、該凹部36a及び36bには、夫々ローラ34a及び34bが回動可能に取り付けられている。
また、脚部32aには、スパイラルフィン102の後面102aに接するように球型ローラ38aが転動可能に設けられていると共に、脚部32bには、スパイラルフィン102の前面102bに接するように球型ローラ38bが転動可能に設けられている。
これらローラがスパイラルフィン102の先端部又は前後面に接していることにより、回転体18は、スパイラルフィン先端部に支持され、該先端部にガイドされながら螺旋状に回転可能になっている。
【0028】
回転体18の内部には、探傷子40が回転体18の内周面に揺動可能に枢支されている。また、探傷子40に対して、回転体18の螺旋状移動方向に対しスパイラルフィンの1ピッチだけ上流側の位置に、ブラシ42が回転体18の内周面に揺動可能に枢支されている。そして、探傷子40及びブラシ42を同期させてフィンチューブ100の軸方向に揺動させる首振り機構44が設けられている。
【0029】
首振り機構44は、第1の揺動バー46と第2の揺動バー48とから構成されている。第1の揺動バー46の一端は円筒体12の内周面に形成された波形溝50に挿入され、他端は回転体18に穿設された貫通孔52を通して回転体18の内部に挿入されている。回転体18の内部で第1の揺動バー46は第2の揺動バー48に連結されている。第2の揺動バー48はフィンチューブ100の軸方向に配置されている。第2の揺動バー48の両端は、脚部32a及び32bに設けられた溝に挿入され、フィンチューブ100の軸方向(矢印d方向)に往復動可能に支持されている。
【0030】
第2の揺動バー48には探傷子40及びブラシ42が回動可能に枢支されている。図4に示すように、波形溝50は円筒体12の内周面に周方向に波形に形成されているので、回転体18が回転して、第2の揺動バー48の一端が波形溝50内を移動するとき、回転体18内に配置された第1の揺動バー46の他端は矢印d方向に首振り運動を行なう。第1の揺動バー46に連結された第2の揺動バー48は矢印d方向に往復動し、これによって、探傷子40及びブラシ42が矢印d方向に首振り運動を行なう。
【0031】
減速モータ24の駆動歯車28に対面する面には光センサ54が設けられ、一方、駆動歯車28の光センサ54に対面する面には、図5に示すように、反射板56が設けられている。減速モータ24及び光センサ54には、減速モータ24を駆動する電源に接続された導線及び光センサ54の検知信号を図示しない信号処理装置に送信する導線等を束ねたコード線58が接続されている。反射板56から反射される光の反射光を光センサ54で検知することにより、光センサ54に対面する位置にある反射板56の目盛りを検知することができる。
【0032】
光センサ54の検知信号をコード線58を介して図示しない信号処理装置に送信し、該信号処理装置で該検知信号を処理演算することにより、駆動歯車28該回転角を算出できる。その回転角の検出値から探傷子40の位置を算出できる。探傷子40の位置を算出することで、探傷子40が欠陥を検知したときの欠陥の位置を特定できる。
【0033】
かかる構成の本実施形態において、検査装置10を図1の状態に配置し、減速モータ24を作動させて、フィンチューブ100の肉厚部の欠陥検出を行なう。図2に示すように、減速モータ24を作動させて駆動歯車28を矢印b方向に回転させると、駆動歯車28と歯形部22で噛合した回転体18は矢印c方向に移動する。
【0034】
回転体18が回転すると、回転体18の脚部32a、32bがローラ34a、34bを介してスパイラルフィン102の先端部に支持されながら該先端部に沿ってガイドされるため、回転体18は、螺旋状軌跡を辿る。そのため、回転体18は図1中の矢印a方向に進む。
【0035】
回転体18が螺旋状軌跡を移動すると、第1の揺動バー46の一端が波形溝50に沿って波形状に運動するため、第1の揺動バー46は首振り運動を行なう。第1の揺動バー46が首振り運動を行なうことで、第2の揺動バー48が矢印d方向に往復運動を行なう。
探傷子40はフィンチューブ100のフィン間肉厚部の欠陥を検知するもので、その計測手段は、超音波法、レーザ法又は渦流探傷法など、種々の計測手段を採用してもよい。例えば、超音波法を採用するのであれば、探傷子40から超音波を発信し、欠陥部から反射してくるエコー波を検知し、そのエコー波を解析することで、欠陥の有無を計測できる。
【0036】
探傷子40の移動軌跡のフィン1ピッチ前方にブラシ42を配置しているので、検査箇所を事前に清掃できる。これによって、フィンチューブ表面のさびなどが排除され、検査精度を向上できる。また、前記首振り機構44により、探傷子40はフィン間領域全域を検査できる分だけ矢印d方向に首振り運動できると共に、ブラシ42はフィン間領域をすべて清掃できる分だけ矢印d方向に首振り運動できるように構成されている。そのため、フィン間領域を漏れなく清掃した後、検査可能になる。
【0037】
本実施形態によれば、回転体18をスパイラルフィン102の先端部に接触しながら自動又は半自動で移動させるので、探傷子40とフィンチューブ100のフィン間外周面との距離を常に一定に保持しながら欠陥検出が可能になる。従って、検査精度を向上できると共に、検査員の技量に依ることなく、信頼性の高い検査データを得ることができる。
また、検査員では検査できない範囲、例えばフィンチューブ100の裏側等の検査も可能になる。
【0038】
また、回転体18を移動させながら探傷子40の探傷領域及びブラシ42の清掃領域がフィン間外周面の全域に亘る範囲で首振り運動させるので、フィン間領域を漏れなく清掃及び検査可能になる。
また、回転体18はローラ34a、34bを介してスパイラルフィン102の先端部に接しているので、回転体18を低摩擦で移動でき、回転体18の駆動力を低減できる。
また、駆動歯車28の回転角度を減速モータ24に設けられた光センサ54と駆動歯車28に設けられた反射板56とで検出可能にしているので、駆動歯車28の出発位置からの累計回転角度を検出することで、欠陥位置を正確に特定できる。
【0039】
なお、ローラ34a及び34bに磁石を埋め込み、ローラ34a、34bに該磁石によりスパイラルフィン102への吸着力を付与するようにしてもよい。これによって、スパイラルフィン102による回転体18の支持をさらに安定させることができる。
【0040】
また、ローラ34a又は34bか、あるいは嵌合部20a又は20bにエンコーダを設けて、回転体18の移動距離を計測するようにして、回転体18の位置情報を得るようにしてもよい。
なお、ローラ34a、34bを設ける代わりに、回転体18とスパイラルフィン先端部との摺接面に低摩擦部材(例えばフッ素樹脂膜など)を介在させるようにしてもよい。
【0041】
(実施形態2)
次に、本発明の第2実施形態を図6〜図8に基づいて説明する。本実施形態では、前記第1実施形態の回転体18の代わりに、図8に示すように、移動台62を配置する。そして、円筒体12の内部に移動台62の移動軌跡を囲むように複数の巻き線64を筒状に埋設する。そして、各巻き線64毎に導線66を接続する。
【0042】
導線66に交流電流を流すことにより、移動台62の配置領域に磁場を形成する。この場合、複数の巻き線64に流す電流を制御することにより、巻き線64に移動台62の回転方向と同方向に回転する回転する回転磁界を形成するようにする。また、移動台62の外周面にN極とS極とを交互に配置した電磁石を設ける。
この回転磁界によって形成される駆動力により、移動台62をスパイラルフィン102の先端部に支持しながら、移動台62を該先端部にガイドさせて螺旋状軌跡を移動させるようにする。
【0043】
なお、移動台62は、前記第1実施形態と同様の構成でスパイラルフィン102の先端部に支持される。また、移動台62の内周面には、前記第1実施形態と同様の構成で探傷子40及びブラシ42が設けられ、第1実施形態と同様の首振り機構44でフィンチューブ100の軸方向に揺動する構成となっている。
【0044】
このように、本実施形態によれば、巻き線64によって形成される回転磁界によって移動台62の駆動力を付与するようにしているので、前記第1実施形態のように、減速モータ24や駆動歯車28を円筒体12に装着する必要がなくなり、検査装置10の容積及び重量を軽減できる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、排熱回収ボイラ等に設けられたフィンチューブのサビや腐食による減肉等の欠陥検出を非破壊式で容易に行なうことができ、かつ検査精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1実施形態に係る検査装置の縦断正面図である。
【図2】図1中のA−A線に沿う断面図である。
【図3】前記第1実施形態に係る検査装置の斜視図である。
【図4】前記第1実施形態に係る円筒体12の一部を示す斜視図である。
【図5】前記第1実施形態に係る駆動歯車28の一面を示す説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る検査装置の縦断正面図である。
【図7】前記第2実施形態に係る検査装置の斜視図である。
【図8】前記第2実施形態に係る検査装置を円筒体12の一部を省略して示す斜視図である。
【図9】スパイラルフィンを備えたフィンチューブの斜視図である。
【図10】従来の超音波法による検査装置の説明図である。
【符号の説明】
【0047】
10,60 検査装置
12 円筒体
18 回転体(移動体)
20a、20b 嵌合部
22 歯形部
24 減速モータ
28 駆動歯車
40 超音波探傷子
42 ブラシ
44 首振り機構(揺動機構)
46 第1の揺動バー
48 第2の揺動バー
50 波形溝
54 光センサ
56 反射板
62 移動台(移動体)
100 フィンチューブ
102 スパイラルフィン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面にスパイラルフィンを固設してなるフィンチューブの欠陥検査装置において、
スパイラルフィンの周囲にスパイラルフィンの先端部に接して配置された移動体、及び該移動体をフィンチューブの周方向に移動させる駆動手段と、
該移動体の内周面にフィンチューブのフィン間外周面に対向して設けられた非接触型の探傷子と、を備え、
該移動体をスパイラルフィンの先端部をガイドとしてフィンチューブの周囲を螺旋状に移動させながら、該探傷子でフィンチューブのフィン間肉厚部の欠陥を測定するように構成したことを特徴とするフィンチューブの欠陥検査装置。
【請求項2】
前記移動体をスパイラルフィンの外側を覆う筒状体で構成し、該移動体の駆動手段が、該筒状体の背面に設けられた歯形部と噛み合う駆動歯車と、該駆動歯車を回転する駆動モータと、からなることを特徴とする請求項1に記載のフィンチューブの欠陥検査装置。
【請求項3】
前記移動体の駆動手段が、該移動体の外周側に複数のコイルを筒形に配置し、該コイルに電圧を付加し、該移動体の配置域に磁場を形成してなり、該移動体を移動させる駆動力を与える磁力を形成するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のフィンチューブの欠陥検査装置。
【請求項4】
前記移動体の移動に同期させて前記探傷子をフィンチューブの軸方向に揺動させる揺動機構を設け、該揺動機構によりフィンチューブのフィン間外周面全域の探傷を可能にしたことを特徴とする請求項1に記載のフィンチューブの欠陥検査装置。
【請求項5】
前記移動体の内周面にフィンチューブのフィン間外周面に対向しかつ前記探傷子より移動方向上流側にブラシを設けると共に、前記揺動機構により該ブラシを該探傷子と同期させてフィンチューブの軸方向に揺動可能に構成し、該探傷子より移動方向上流側の該フィン間外周面を該ブラシで清掃可能にしたことを特徴とする請求項4に記載のフィンチューブの欠陥検査装置。
【請求項6】
前記移動体とスパイラルフィン先端部間の摺接面にローラ又は低摩擦体を設けたことを特徴とする請求項1に記載のフィンチューブの欠陥検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−117160(P2010−117160A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288746(P2008−288746)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】