説明

プラズマプロセス装置

【課題】 定在波の影響などにより処理室内で電界強度分布の変化が生じた場合でも電界強度を適切に制御して所望の電界強度分布を得ることが可能となるプラズマプロセス装置を提供する。
【解決手段】 プラズマプロセス装置は、被処理基板4が内部に配置される処理室12と、処理室12の内部に設けられ被処理基板4にプラズマ処理を施すためのプラズマを発生させるプラズマ放電発生部とを備える。プラズマ放電発生部は、被処理基板4の処理面と平行な方向にストライプ状に延びる複数の棒状電極部2bを含むアノード電極と、アノード電極と対向する位置に間隔をあけて配置されたプレート状のカソード電極2aとを有する。そして、棒状電極部2bの幅や棒状電極部2b間の間隔を異ならせることで、処理室12内部の電界強度分布を調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体・導体等の薄膜形成・加工用のプラズマプロセス装置に関し、より特定的には、電子産業における半導体膜や絶縁膜などの薄膜製造に用いられるプラズマ励起化学気相成長法によるプラズマ化学蒸着装置、半導体膜や導体膜などの薄膜パターン形成のためのドライエッチングを行うドライエッチング装置、薄膜パターン形成に用いるレジストを除去するアッシャー装置等、プラズマによりガスを分解して薄膜の形成や加工を行うプラズマプロセス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマを使用して半導体膜等を成膜し、集積回路、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス素子、太陽電池などの電子デバイスを製造する方法、いわゆるプラズマ励起化学気相成長(Chemical Vapor Deposition :CVD)法は、その簡便性や操作性に優れるので、さまざまな電子デバイスを製造するのに使用されている。
【0003】
プラズマCVD法を用いる装置の形態(プラズマ化学蒸着装置、以下「プラズマCVD装置」という)としては、図20および図21に示すものが一般的である。図20および図21を参照しながら、プラズマCVD装置について説明する。図20は、従来のプラズマCVD装置の電極部の概略構成図であり、図21は、従来のプラズマCVD装置を模式的に示す断面図である。
【0004】
図21に示すように、プラズマCVD装置は、処理室(真空容器)12を用いて構成された閉空間と、その中にお互いに電気的に絶縁され、対向する位置に平行に設置された2枚の導体板からなるカソード電極2aとアノード電極2bとを有する。2枚のカソード電極2aとアノード電極2bの間にプラズマ7を発生させ、そこに図21において矢印6で示す方向に材料ガスを流してガスを分解・解離させる。そして、アノード電極2bに取り付けられた、シリコンやガラスなどからなる被処理基板4の上に、半導体膜などを成膜する。
【0005】
成膜用の材料ガスを分解するためのプラズマ7を発生させる手段としては、高周波電源1からの、周波数が13.56MHz程度の高周波の電気的エネルギーが一般に使用される。図20に示すように、アノード電極2bを接地電位とし、対向するカソード電極2aに電圧を印加して、両電極2a,2b間に電界を発生させ、その絶縁破壊現象によりグロー放電現象としてプラズマ7を生成する。電圧が印加される側の電極、すなわち電気的エネルギーが印加される電極をカソード電極2aあるいは放電電極と呼ぶ。カソード電極2a近傍に大きな電界が形成されるので、その電界で加速されるプラズマ7中の電子が材料ガスの解離を促しラジカルを生成する。該ラジカルは、図21中の矢印8により示される方向に流れる。
【0006】
カソード電極2a近傍の大きな電界が形成される放電部分を、カソードシース部と呼ぶ。カソードシース部あるいはその近傍で生成されたラジカルは、接地電位のアノード電極2b上の被処理基板4まで拡散し、被処理基板4の表面に堆積して膜が成長する。接地電位にある電極をアノード電極2bと呼ぶ。このアノード電極2b近傍にも、ある程度の大きさの電界が形成され、その部分をアノードシース部と呼ぶ。このように互いに平行な2つの板状電極間でプラズマ7を生成し、アノード電極2b上の被処理基板4に成膜する装置を平行平板型装置と呼ぶ。
【0007】
このようなプラズマCVD装置は、様々な産業で作製されるTFT(Thin Film Transistor)、有機エレクトロルミネッセンス素子、太陽電池などの電子デバイスに対して広く利用されている。
【0008】
材料ガスをエッチングガスに変更して、プラズマCVD装置と同様にプラズマ7を発生させ、薄膜のエッチングを行うドライエッチング装置や、レジストの除去を行うアッシング装置も、総称してプラズマプロセス装置として知られている。プラズマ7の発生の仕方やラジカルの生成などは、プラズマCVD装置の場合と同様のメカニズムであり、被処理基板4へ到達したラジカルやイオンが薄膜等の除去を行う。
【0009】
従来から確立されてきたプラズマプロセス装置は、被処理基板4の大きさが小型および中型の場合は有効に活用できたが、被処理基板4が大型になると、被処理基板の処理面に対して均一なプラズマプロセス処理を施すことが困難となる。
【0010】
その一方で、液晶ディスプレイやアモルファス太陽電池などの大面積電子デバイスについては、近年、生産能力を向上させるために被処理基板4の大型化が必須となってきている。被処理基板4が大型になると、高周波電源1より供給される高周波が干渉してできる定在波の影響が無視できなくなり、プラズマの不均一性が生じる。そのため、上述のように均一なプラズマプロセス処理を被処理基板4に対し施すことが困難となり、従来のプラズマプロセス装置における課題となっている。
【0011】
これに対し、たとえば特開2003−73837号公報には、膜分布を均一化するために、次のような構成を備えた真空プラズマ処理装置が記載されている。すなわち、ガラス基板が対向配置される電極を備え、該電極は、一対の給電棒と、これらを電気的に接続する複数の平行な縦グリッドと、この縦グリッドに直交してこれらを電気的に接続する横グリッドとを有する真空プラズマ処理装置が記載されている。
【特許文献1】特開2003−73837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記特許文献1に開示されたプラズマ処理装置によれば、横グリッドを設けることで、給電部より離れたプラズマ処理部中心近辺に発生し得る薄膜部に起因する膜厚分布の不均一性は改善することができる。
【0013】
しかし、特許文献1に記載のプラズマ処理装置においても、被処理基板の大型化に伴い給電部より離れている中心近辺以外にも、例えば縦グリッドの長手方向と直交する方向における電磁波の干渉による定在波の影響が無視できなくなる。そのため、局所的に電界強度が低下する箇所が発生し得る。このような場合に、上記特許文献1記載の発明のように横グリッドを設けただけでは、上記垂直方向における電界強度の低下を補いきれず、当該方向におけるプラズマ処理の不均一性を充分に改善することができない。その結果、製造部品の歩留まりが悪くなり、製造コスト増加、生産能力低下などの悪影響を招くことになる。
【0014】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その主な目的は、定在波の影響などにより処理室内で電界強度分布の変化が生じた場合でも電界強度を適切に制御して所望の電界強度分布を得ることが可能となるプラズマプロセス装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のプラズマプロセス装置は、1つの局面では、被処理基板が内部に配置される処理室と、処理室の内部に設けられ被処理基板にプラズマ処理を施すためのプラズマを発生させるプラズマ放電発生部とを備える。プラズマ放電発生部は、被処理基板の処理面と平行な方向にストライプ状に延びる複数の棒状電極部を含むアノード電極と、アノード電極と対向する位置に間隔をあけて配置されたプレート状のカソード電極とを有する。そして、棒状電極部の幅(棒状電極部の長手方向と直交する方向であって棒状電極部が並ぶ方向の幅)を異ならせることで処理室内部の電界強度分布を調節する。たとえば、処理室内部において電界強度が相対的に低くなる第1領域における棒状電極部の幅を、電界強度が相対的に高くなる第2領域における棒状電極部の幅よりも広くすることが考えられる。また、電力供給部からカソード電極への給電点から棒状電極部までの距離に応じて電界強度分布が異なる場合には、棒状電極部の幅を、上記給電点から棒状電極部までの距離に応じて異ならせてもよい。この場合、上記給電点からの距離が相対的に長い棒状電極部の幅を、給電点からの距離が相対的に短い棒状電極部の幅よりも広くすることが考えられる。
【0016】
上記の棒状電極部が並ぶ方向(棒状電極部の長手方向と直交する方向)の各棒状電極部の幅を段階的あるいは局所的に異ならせてもよい(同一幅の複数の棒状電極部を含むことも可能)が、棒状電極部の長手方向に該棒状電極部の幅を異ならせるようにしてもよい。たとえば、各棒状電極部の長手方向における幅を一定としながら棒状電極部が並ぶ方向の各棒状電極部の幅を段階的あるいは局所的に異ならせてもよく、棒状電極部が並ぶ方向の各棒状電極部の幅を一定としながら各棒状電極部の長手方向における幅を変化させてもよく、各棒状電極部の長手方向における幅を変化させかつ棒状電極部が並ぶ方向の各棒状電極部の幅を段階的あるいは局所的に異ならせてもよい。
【0017】
本発明のプラズマプロセス装置は、他の局面では、上記の処理室およびプラズマ放電発生部とを備え、プラズマ放電発生部は、被処理基板の処理面と平行な方向にストライプ状に延びる複数の棒状電極部を含むアノード電極と、アノード電極と間隔をあけて配置されたプレート状のカソード電極とを有する。そして、隣り合う棒状電極部間の間隔を異ならせることで処理室内部の電界強度分布を調節する。たとえば、処理室内部において電界強度が相対的に低くなる第1領域における棒状電極部間の間隔を、電界強度が相対的に高くなる第2領域における棒状電極部間の間隔よりも狭くすることが考えられる。また、電力供給部からカソード電極への給電点から棒状電極部までの距離に応じて電界強度分布が異なる場合には、隣り合う棒状電極部間の間隔を、上記給電点から棒状電極部までの距離に応じて異ならせてもよい。たとえば、上記給電点からの距離が相対的に長い第1の組の棒状電極部間の間隔を、給電点からの距離が相対的に短い第2の組の棒状電極部間の間隔よりも狭くすることが考えられる。ここで、給電点からの棒状電極部の組まで距離とは、典型的には、給電点に近い側の棒状電極部までの給電点からの最短距離をいう。
【0018】
上記アノード電極とカソード電極とを被処理基板に対し同じ側に配置し、アノード電極の棒状電極部とカソード電極との間に、棒状電極部と同じ方向にストライプ状に延び棒状電極部を支持する複数の絶縁体を設けることが好ましい。なお、アノード電極における棒状電極部の幅を変化させる場合には、上記の絶縁体の幅をアノード電極の幅の変化に応じて変化させてもよく、隣り合う棒状電極部間の距離を異ならせる場合には、棒状電極部間の距離の変化に応じて隣り合う絶縁体間の距離を異ならせてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のプラズマプロセス装置によれば、アノード電極における棒状電極部の幅を調整したり、隣り合う棒状電極部間の間隔を調整することにより、処理室内の電界強度分布を制御することができる。それにより、たとえば被処理基板の大型化に伴って電磁波の干渉が生じ、当該干渉による定在波の影響で処理室内の電界強度分布が悪化するのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。しかし、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1〜図8を参照しながら、本発明の実施の形態1におけるプラズマプロセス装置の構造について説明する。図1は、本実施の形態1のプラズマプロセス装置の構成の一例を模式的に表す断面図であり、図2は、本実施の形態1のプラズマプロセス装置における電極部の構成例を模式的に表す平面図である。
【0022】
図1に示すように、プラズマプロセス装置は、被処理基板4が内部に載置される処理室(真空容器)12と、この処理室12内に矢印6に従って材料ガスを導入するガス導入口5と、処理室12内に設けられ被処理基板4にプラズマ処理を施すためのプラズマを発生させるプラズマ放電発生部とを有する。典型的には、処理室12内に、被処理基板4を保持する基板ホルダ9が設けられており、被処理基板4は基板ホルダ9上に載置される。基板ホルダ9はサセプタ10に支持される。
【0023】
処理室12の外部には、プラズマ放電発生部に電力を供給する電力供給部としての高周波電源1と、材料ガスを処理室12内に供給するガス供給部11と、処理室12内のガスを排出するガス排出部13とが設けられている。ガス排出部13としては、例えば、メカニカル・ブースター・ポンプやロータリーポンプが用いられる。
【0024】
プラズマ放電発生部は、被処理基板4から離間し、被処理基板4に対向して処理室12内に設けられ、カソード電極2aと、棒状電極部2bを含むアノード電極とを有する。アノード電極の棒状電極部2bは、被処理基板4の処理面と平行な方向に延びる。図1の例では、プラズマ放電発生部は、カソード電極2aの電極面の一部上に形成された絶縁体(絶縁部)3を有し、該絶縁体3上にアノード電極の棒状電極部2bが載置される。
【0025】
図1に示すように、カソード電極2aと、アノード電極の棒状電極部2bとは、被処理基板4に対し同じ側に配置される。また、アノード電極の棒状電極部2bは、カソード電極2aよりも被処理基板4に近接して設けられている。図1の例では、絶縁体3の両側に傾斜面14aを有する導電性の凸状部14を配置し、該凸状部14とアノード電極の棒状電極部2bとの間で主にプラズマ放電を生じさせ、プラズマ7を生成するようにしている。
【0026】
次に、具体的な絶縁体3、アノード電極の棒状電極部2bおよびカソード電極2aの配置についてより詳しく説明する。
【0027】
図1および図2の例では、被処理基板4の面方向(処理面と平行な方向)のうち一方向に沿って、ストライプ状に延びる複数の絶縁体3が設けられ、隣り合う絶縁体3同士の間にカソード電極2aと、各絶縁体3における被処理基板4側の端部にカソード電極2aと電気的に絶縁分離した状態でアノード電極の棒状電極部2bが設けられる。カソード電極2aはほぼプレート状であり、被処理基板4の処理面と平行に配置される。各絶縁体3の上端面は、アノード電極の棒状電極部2bにより覆われている。つまり、アノード電極の棒状電極部2bもまた、ストライプ状に形成されている。
【0028】
図6に拡大して示すように、カソード電極2aは、隣り合う絶縁体3の間のほぼ中央から左右外側に斜め上方へ延びる一対の傾斜面14aを含む導電性の凸状部14を有している。本実施の形態1では、凸状部14は三角形の断面形状を有する。
【0029】
図6に示すように、プラズマ7は、向かい合う絶縁体3の2つの側面と、アノード電極の棒状電極部2bにおいて対向する2つの側面と、その間で露出しているカソード電極2aの上面により規定される領域において主に生じる。そして、プラズマ7中の電子が材料ガスの解離を促してラジカルを生成し、ラジカルは、図1および図6中の矢印8によって示される方向に流れ、被処理基板4の処理面に達する。
【0030】
図1および図6に示すように、ガス導入口5は、カソード電極2aの対向する一対の傾斜面14aの中間付近に設けられる。該ガス導入口5は、カソード電極2aを厚み方向に貫通するように複数個設けられているが、プラズマ放電発生部に均一に材料ガスを供給できるものであれば、これに制限されるものではない。たとえば、隣合う傾斜面14a間で複数列のガス導入口5を形成してもよい。
【0031】
本実施の形態1では、棒状電極部2bの幅(棒状電極部2bの長手方向と直交する方向であって棒状電極部2bが並ぶ方向の幅)d1を、処理室12内部の電界強度分布に応じて異ならせる。
【0032】
たとえば、処理室12の内部において電界強度が相対的に低くなる第1領域における棒状電極部2bの幅d1を、電界強度が相対的に高くなる第2領域における棒状電極部2bの幅d1よりも広くする。このように電界強度が低くなる領域内の棒状電極部2bの幅d1を広くすることにより、電界強度が低くなる領域内におけるアノード電極とカソード電極2a間の容量を増大させることができる。それにより、電界強度が低くなる領域の電界強度を増大することができ、処理室12内部での電界強度の低下を補償することができる。その結果、被処理基板4に対し、アノード電極の棒状電極部2bの長手方向と直交する方向であって棒状電極部2bが並ぶ方向に均等なプラズマプロセス処理を施せる。
【0033】
また、棒状電極部2bの幅d1を、電力供給部からカソード電極2aへの給電点15から棒状電極部2bまでの距離(典型的には最短距離)に応じて異ならせてもよい。
【0034】
たとえば、上記給電点15からの距離が相対的に長い棒状電極部2bの幅d1を、給電点15からの距離が相対的に短い棒状電極部2bの幅d1よりも広くする。この場合も、給電点15から離れた箇所におけるアノード電極とカソード電極2a間の容量を増大させることができ、処理室12内部での電界強度の低下を補償することができる。それにより、被処理基板4に対し、棒状電極部2bの長手方向と直交する方向であって棒状電極部2bが並ぶ方向に均等なプラズマプロセス処理を施すことができる。
【0035】
図5に、上記のように棒状電極部2bの幅を変化させた場合の電極部の等価回路図を示す。図5の左側が給電側、つまり処理室12の中央側に相当し、図5の右側が処理室12の端部側に相当する。処理室12の端部側に位置する棒状電極部2bの幅d1を広くすることで、図5に示すようにアノード電極とカソード電極2aとで形成されるキャパシタの電極面積を増大させたのと等価な状態となり、該キャパシタの容量を増大させることができる。それにより、処理室12の端部側における単位長さ当りの電極間の容量Cを増大することができ、定在波の影響で処理室12の端部側において電界強度が低下した場合でも、該電界強度の低下を補償することができる。
【0036】
ここで再び図2を参照して、図2の例では、各棒状電極部2bの幅d1を、処理室12の中央部から、複数の棒状電極部2bが並ぶ左右方向における処理室12の端部に向かうにつれて増大させている。
【0037】
たとえば、棒状電極部2bの幅d1を、処理室12の中央部から左右方向の端部に向かって3mm〜5mmに段階的に増大させることが考えられる。より具体的には、幅d1が3mmの複数の棒状電極部2bを処理室12の中央部に配置し、幅d1が4mmの複数の棒状電極部2bと、幅d1が5mmの複数の棒状電極部2bとをそれぞれ、上記の幅d1が3mmの複数の棒状電極部2bの両側に順に配置することなどが考えられる。
【0038】
また、各棒状電極部2bの幅d1を局所的に増大させるようにしてもよい。たとえば、幅d1が3mmの複数の棒状電極部2bを処理室12の中央部から端部近傍に配置し、処理室12の端部近傍のみに局所的に幅d1が4mm〜5mmの単数または複数の棒状電極部2bを配置したり、幅d1が3mmの複数の棒状電極部2bを処理室12の中央部と端部近傍とに配置し、処理室12の中央部と端部近傍との間の中間領域に局所的に幅d1が4mm〜5mmの単数または複数の棒状電極部2bを配置することなどが考えられる。
【0039】
また、図2の例では、カソード電極2aへの給電点15は、カソード電極2aのほぼ中央部に位置するので、給電点15からの距離が相対的に長い棒状電極部2bの幅d1を、給電点15からの距離が相対的に短い棒状電極部2bの幅d1よりも広くしていることとなる。
【0040】
図1および図2に示す例では、絶縁体3およびアノード電極の棒状電極部2bの組が複数あるが、絶縁体3の幅は、アノード電極の棒状電極部2bの幅d1とほぼ等しくなっている。したがって、絶縁体3の幅も、処理室12の中央部から、アノード電極の棒状電極部2bの長手方向と直交する方向であってプラズマプロセス装置の端部に向かう方向に増加させていることとなる。
【0041】
次に、図3と図4を用いて、アノード電極の棒状電極部2bの他の形状例について説明する。
【0042】
図3に示すように、処理室12の中央部および/またはその近傍に位置する複数のアノード電極の棒状電極部2bの幅d1を等しくする一方で、最も外側に位置するアノード電極の棒状電極部2bの幅d1をこれらより大きくしてもよい。この場合も、処理室12の中央部から離れた位置における電界強度の低下を補償することができ、被処理基板4に対し均等なプラズマプロセス処理を施すことができる。
【0043】
また、図4に示すように、処理室12内において外側に位置する複数のアノード電極の棒状電極部2bの幅d1を等しくする一方で、外側に位置するアノード電極の棒状電極部2bの幅d1を、処理室12の中央部に位置するアノード電極の棒状電極部2bの幅d1より大きくしてもよい。この場合も、処理室12の中央部から離れた位置における電界強度の低下を補償することができ、被処理基板4に対し均等なプラズマプロセス処理を施すことができる。
【0044】
次に、本実施の形態1におけるプラズマプロセス装置の構成について、より詳細に説明する。プラズマプロセス装置の電極サイズは、大型の被処理基板4(たとえば一辺が1000mm〜2000mm程度)に対し処理を行えるように、たとえば2000mm×1700mmとする。なお、以下に示す具体的な数値および具体的な材料は、本実施の形態の一例を示しているにすぎず、本発明を何ら限定するものではない。
【0045】
カソード電極2aは、板状のアルミニウムやステンレス等の金属で構成され、ガス導入口5が設けられた通称シャワープレートと呼ばれる板状部材と、該板状部材と接続され、傾斜面14aを有し、概略三角形の断面形状を有し、シャワープレートと平行にストライプ状に延び、アルミニウムやステンレス等の金属製の棒状部材で構成される凸状部14とを備える。なお、カソード電極2aは、一体の部材で作製してもよい。また、シャワープレートのみの構成も可能であり、必ずしも傾斜面14aを設ける必要はない。
【0046】
絶縁体3は、図1に示すように傾斜面14aを形成する概略三角形断面を有する金属部材に挟まれた部位に形成される。絶縁体3には、アルミナ等のセラミックを使用可能である。この絶縁体3の上にアノード電極の棒状電極部2bが載置される。しかし、例えば導電性の連結部材を用いて複数本の棒状電極部2bをその端部で連結し、処理室12内の支持部で連結部材を支持するような構成にすれば、必ずしも絶縁体3を設ける必要はない。
【0047】
以下に、各部材の寸法および図1、図2に示されている部材同士の間隔の値を示す。なお、これらの値は一例であり、本発明を何ら限定するものではない。
【0048】
アノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の幅d1は、上述のように3mm〜5mmであり、隣接するアノード電極の棒状電極部2b間の間隔d3は、15mmであり、隣接するカソード電極2aの凸状部14間の間隔d4は、2〜4mmであり、カソード電極2aの端部からアノード電極の棒状電極部2bまでの高さd5は、5mmであり、カソード電極2aの凸状部14の底面幅d6は、6.5mmであり、アノード電極の棒状電極部2bの高さは、4mmであり、アノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の長さは1900mmである。
【0049】
電力供給部である高周波電源1は、カソード電極2aに接続される。また絶縁体3でカソード電極2aと電気的に絶縁されたアノード電極は、該アノード電極の端部で処理室12の壁面などの金属部と電気的に接続され、該金属部を介して接地される。
【0050】
被処理基板4は、アノード電極の棒状電極部2bおよびカソード電極2aと対向した位置に設置された基板ホルダ9に取付けられる。基板ホルダ9の裏側(被処理基板4の処理面とは反対側)には、被処理基板4を加熱するためのヒータを内蔵したサセプタ10が設けられる。
【0051】
ところで、プラズマプロセス装置の構成を3次元高周波電磁界シミュレータで解析することにより、処理室12内に発生する電界の様子を観察することができる。該シミュレータによれば電界を源として発生するプラズマ放電の様子を推測することが可能であり、装置の詳細設計の手助けとなる。
【0052】
3次元高周波電磁界解析を行うためのシミュレータとしては、Ansoft社のHFSS(High-Frequency Structure Simulator)バージョン8.5を使用した。解析したモデルの概要を説明するために、解析モデルの断面図を図7に示す。なお、本実施例に示すプラズマプロセス装置は、被処理基板面の法線をZ方向としたとき、X−Z断面およびY−Z断面で対称であるため、図7に示すように4分の1領域のみを計算し、各断面には対象境界条件を設定した。
【0053】
図7に示したプラズマプロセス装置の解析モデルは、アノード電極の棒状電極部2b、絶縁体3、凸状部14を有するカソード電極2a、サセプタ10、高周波電源、カソード電極2aの外周絶縁部24、電極分離用絶縁部22、23、空間(処理室)21、プラズマプロセス装置の外周金属面25、空間21を規定する処理室内面とサセプタ10とを連結する金属体部26を備える。
【0054】
上記解析モデルにおけるアノード電極の棒状電極部2bは、3mm〜5mmの幅d1を有し、高さ4mm、長さ1900mmであり、材料は完全導体とした。ここで完全導体を仮定したのは、有限の導電率を持つ金属を使用すると、金属表面部において、モデルのメッシュ分割を余計に行ってしまい、肝心なアノード電極の棒状電極部2bおよびカソード電極2a間の面内における電界分布の解析精度が悪化してしまうためである。なお、アルミニウムを用いた場合と完全導体を用いた場合で、得られる電界分布は変化が無かったことをシミュレーション解析により確認している。以下シミュレーションに用いた金属部は完全導体を仮定し、断りが無い限りシミュレーションモデル中の金属は完全導体とする。
【0055】
上記解析モデルにおけるカソード電極2aは、大きさ1900mm×1600mm、厚さ10mmの金属板と、該金属板上に取付けられ、底面幅6.5mmの直角二等辺三角形の断面形状を有し、1900mmの長さの凸状部(金属棒)14とを備える。
【0056】
上記解析モデルにおける絶縁体3は、アノード電極の棒状電極部2bと等しい3mm〜5mmの幅d1を有し、高さは10mm、長さは1900mmである。絶縁体3の材質はマセライト(登録商標)とした。マセライトの物性は、比透磁率1、比誘電率6、導電率0を仮定した。
【0057】
上記解析モデルにおけるサセプタ10は、アノード電極の棒状電極部2bからカソード電極2aとは反対側に30mm離間しており、アノード電極の棒状電極部2bと対向する位置に配置される。サセプタ10は金属板で構成され、大きさは1900mm×1600mm、厚さは10mmである。電極分離用絶縁部22、23の上には金属体部26が載置される。なお、基板ホルダ9および被処理基板4はシミュレーション解析の簡略化のため省略した。
【0058】
上記解析モデルにおける電力供給部は、カソード電極2aの中心に設置される。直径が30mmで長さ100mmの金属円柱がカソード電極2aと接続されており、該金属円柱はプラズマプロセス装置の外周部と絶縁するために直径50mmのポリテトラフルオロエチレンの円柱により被覆する。つまり、電力供給部は、直径50mmのポリテトラフルオロエチレンの円柱内に、中心軸が一致するように直径30mmの円柱金属を嵌め込んだ構造としている。
【0059】
上記外周金属面25は、カソード電極2b、アノード電極2a、絶縁体3、サセプタ10、電力供給部の外周を覆う処理室12の内壁に相当する金属部である。この外周金属面25とカソード電極2aで挟まれる空間はカソード電極外周の絶縁部24であり、大気を想定している。また、カソード電極2aとサセプタ10とで挟まれる空間21は真空と仮定した。さらに、カソード電極2bと金属体部26を電気的に絶縁する電極分離用絶縁部22、23としては、厚さ15mmのアルミナおよびポリテトラフルオロエチレンとしている。
【0060】
上記のような構成を有する解析モデルにおいて、電力供給部より周波数27.12MHzの高周波を印加すると仮定して、3次元高周波電磁界シミュレーション解析を行った。なお、アノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の組が複数あり、それらが異なる幅d1を持つという本実施の形態1の効果を確認するために、比較例としてアノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の幅d1を、全て5mmと一定にしたモデルの解析も併せて行った。
【0061】
解析結果は、アノード電極の棒状電極部2bおよびカソード電極2aの中間面の電界強度を、棒状電極部2b間の間隔d3で平均した平均電界強度として算出した。以下、断りが無い限り、電界強度は平均電界強度のことを意味する。
【0062】
棒状電極部2bおよび絶縁体3の幅d1を5mmと一定にしたときの棒状電極部2bとカソード電極2aの中間面の平均電界強度をシミュレーションすると、電極が解析モデルのように1600mm×1900mmと大きくなると、プラズマプロセス装置の中央部より端部に向かうに従い、従来のプラズマプロセス装置と同様に電界強度が低下するという典型的な定在波の影響が観察された。しかし、棒状電極部2bおよび絶縁体3の幅d1を3mm〜5mmとプラズマプロセス装置の中央部から端部に向かって適正に増加させたときのシミュレーション結果は、棒状電極部2bおよび絶縁体3の長手方向と直交しプラズマプロセス装置の端部に向かう方向への電界強度の低下は観察されなかった。
【0063】
棒状電極部2bおよび絶縁体3の幅d1が5mmで均一な場合(Case1とする)とプラズマプロセス装置の中央部から端部に向かって3mm〜5mmと棒状電極部2bおよび絶縁体3の幅d1を適正に増加させた場合(Case2とする)の結果を定量的に評価するため、例えばプラズマプロセス装置の中央部における棒状電極部2bと絶縁体3の長手方向と直交しプラズマプロセス装置の端部に向かう方向をX方向として、プラズマプロセス装置の中心部をX軸の原点とし、X方向における電界強度をY軸にプロットしたものを図8に示す。
【0064】
また、図8にプロットした電界強度より電界分布(Distribution)を、下記の数式(1)の定義に従い算出した。その結果を表1に示す。なお電界分布は、アノード電極の棒状電極部2bと絶縁体3の中間面の電界強度の最大値(max)および最小値(min)の中間値より、最大値(max)および最小値(min)がどれだけ離れているかを表す指標である。
【0065】
【数1】

【0066】
【表1】

【0067】
図8に示した、アノード電極の棒状電極部2bの長手方向と直交し、プラズマプロセス装置の中央部から端部に向かう方向の電界強度の結果および算出した電界分布より、棒状電極部2bおよび絶縁体3の幅d1が5mmと均一な場合と比較し、プラズマプロセス装置の中央部より端部に向かうに従い幅d1を適正に増加させることで、電界分布を37.3%から9.3%に改善できることがわかる。
【0068】
なお、本シミュレーション解析では、解析モデルの煩雑さを防ぐため複数あるアノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の幅d1を1本毎に調整せず、また棒状電極部2bおよび絶縁体3の幅d1を小数点2位以下の精度で調整しなかったことで、十分な電界分布が得られていないが、棒状電極部2bおよび絶縁体3の幅d1を1本毎に変化させることはコストアップに繋がるので、必要な電界分布に応じて棒状電極部2bおよび絶縁体3の幅d1を調整すればよい。
【0069】
次に、上前記シミュレーション解析より導かれた、アノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の幅d1の制御方法を用いた本実施の形態1のプラズマCVD装置を作製し、その装置において、窒化シリコン(SiN)膜を成膜した結果を以下に示す。
【0070】
まず、成膜条件を示す。用いた材料ガスは、SiH(2slm)、H(10slm)およびN(20slm)、NH(4slm)である。ここで、「slm」とは、毎分流れるリットル単位のガス流量である。材料ガスの導入は、図1に示すように、カソード電極2aに設けたガス導入口5から行った。また電気的エネルギーの印加は、電力供給部より行った。プラズマプロセス装置内の成膜圧力は100Paから300Paとし、基板温度を200度、高周波電力を10kWから20kWとした。
【0071】
本実施の形態1のプラズマプロセス装置で成膜を行った結果、アノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の幅d1が、5mmと均一な場合で作製した膜厚分布と比較して、その時のプロセス条件に依存するものの、50〜85%の改善が確認された。
【0072】
すなわち、アノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の幅d1を、プラズマプロセス装置の中央部から端部に向かって適正に増加させることで、アノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の長手方向と直交しかつプラズマプロセス装置の中央部から端部に向かう方向において生じ得る、電磁波の定在波の影響による電界強度の低下を補償することができる。それにより、被処理基板4に対して棒状電極部2bの長手方向と直交する方向であってプラズマプロセス装置の中央部から端部に向かう方向に均等なプラズマプロセス処理を施すことができる。
【0073】
(実施の形態2)
次に、図9〜図11を用いて、本発明の実施の形態2とその変形例について説明する。図9〜図11は、本実施の形態2におけるプラズマプロセス装置の電極構成例を模式的に示す平面図である。なお、以下の説明では、実施の形態1のプラズマプロセス装置と実質的に同じ機能を有する構成要素を同じ参照符号で示し、その説明を省略する。
【0074】
本実施の形態2では、棒状電極部2bの幅d1を、処理室12内部の電界強度分布に応じて棒状電極部2bの長手方向に変化させることにより電界強度を調整し、プラズマプロセス処理の均一化を図るようにしている。なお、各棒状電極部2bの長手方向における幅は、徐々に変化させてもよいが、段階的に変化させてもよい。
【0075】
たとえば、処理室12の内部において電界強度が相対的に低くなる第1領域における棒状電極部2bの第1部分の幅d1を、電界強度が相対的に高くなる第2領域における棒状電極部2bの第2部分の幅d2よりも広くする。このように電界強度が低くなる領域内の棒状電極部2bの幅d1を広くすることにより、電界強度が低くなる領域内における電極間の容量を増大させることができ、電界強度が低くなる領域の電界強度を増大することができる。それにより、処理室12内部での電界強度の低下を補償することができ、被処理基板4に対し、アノード電極の棒状電極部2bの長手方向に均等なプラズマプロセス処理を施せる。
【0076】
また、棒状電極部2bの幅を、電力供給部からカソード電極2aへの給電点15から棒状電極部2bの各部までの距離(典型的には最短距離)に応じて異ならせてもよい。たとえば、上記給電点15からの距離が相対的に長い棒状電極部2bの第1部分の幅d1を、給電点15からの距離が相対的に短い棒状電極部2bの第2部分の幅d2よりも広くする。この場合も、給電点15から離れた箇所における電極間の容量を増大させることができ、処理室12内部での電界強度の低下を補償することができる。それにより、被処理基板4に対し、棒状電極部2bの長手方向に均等なプラズマプロセス処理を施すことができる。
【0077】
図9の例では、アノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の組は複数あり、棒状電極部2bおよび絶縁体3の長手方向の両端部の幅d1を、棒状電極部2bおよび絶縁体3の長手方向の中央部の幅d2よりも広くしている。より詳しくは、棒状電極部2bおよび絶縁体3の長手方向の中央部から両端部に向かうにつれて棒状電極部2bおよび絶縁体3の幅を直線的に増加させている。
【0078】
しかし、図10に示すように、棒状電極部2bおよび絶縁体3の長手方向の両端部の幅d1のみを局所的に、棒状電極部2bおよび絶縁体3の長手方向の中央部の幅d2より広くしてもよく、図11に示すように、棒状電極部2bおよび絶縁体3の長手方向の中央部から両端部に向かって段階的に棒状電極部2bおよび絶縁体3の幅を広くしてもよい。
【0079】
次に、本実施の形態2の具体的構成例を挙げる。アノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の長手方向の中央部(プラズマプロセス装置の中央部)の幅d2を3mmとし、当該中央部から、棒状電極部2bおよび絶縁体3の長手方向の両端部(プラズマプロセス装置の端部)に向かい徐々に5mmまで、棒状電極部2bおよび絶縁体3の幅を増加させる。このような構成により、実施の形態1の場合と同様に、アノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の長さ方向におけるプラズマプロセス処理の均一化を図ることができる。
【0080】
次に、本実施の形態2のアノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の長さ方向の幅の制御方法を確立し、棒状電極部2bおよび絶縁体3の長さ方向に均一な電界強度が得られる幅を算出するために、3次元高周波電磁界シミュレーションを行ったので、その結果について説明する。
【0081】
シミュレーション解析を行ったモデルは、アノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の長さ方向の幅をプラズマプロセス装置の中央部より端部に向かうに従い3mm〜5mmと適正に増加する場合(Case4)である。なお、サセプタ10、電力供給部、電極サイズ、装置サイズ等は実施の形態1の場合と基本的に同様である。また比較のために、アノード電極幅2bおよび絶縁体3の長さ方向の幅を5mmと均一にした場合(Case3)についても同様にシミュレーション解析を行った。
【0082】
その結果、アノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の幅d2を5mmと均一にした場合では、棒状電極部2bおよび絶縁体3の長さ方向に電磁波の定在波が発生し、プラズマプロセス装置の中央部より端部に向かい電界強度が低下したが、棒状電極部2bおよび絶縁体3の長さ方向の幅を、プラズマプロセス装置の中央部より端部に向かって3mm〜5mmに適当に増加させることで、電磁波の定在波の影響によるプラズマプロセス装置の端部の電界強度の低下を改善できることを確認することができた。
【0083】
下記の表2に、Case3およびCase4の電界分布を示す。Case3では±16.4%であった電界分布が、Case4では±5.9%と改善することがわかり、アノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の長さ方向の幅を適正に制御することで、棒状電極部2bおよび絶縁体3の長さ方向の、電磁波の定在波の影響による電界強度の低下を補償することができる。
【0084】
【表2】

【0085】
次に、実際に本実施の形態2の電極構成を備えたプラズマプロセス装置を準備し、窒化シリコン膜の成膜を行った。成膜条件は、実施の形態1の場合と同様である。
【0086】
その結果、アノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の長さ方向の幅が5mmと均一な場合と比較して、本実施の形態2のプラズマプロセス装置では、プロセス条件において多少異なるが膜厚分布において60〜80%改善できることを確認することができた。
【0087】
すなわち、アノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の長さ方向の幅を、プラズマプロセス装置の中央部から端部に向かって適正に増加させることで、棒状電極部2bおよび絶縁体3の長さ方向の電磁波の定在波の影響による電界強度の低下を補償することができる。それにより、均一なプラズマを発生させることができ、被処理基板4に対して、アノード電極の棒状電極部2bの長さ方向に均等なプラズマプロセス処理を施すことができる。
【0088】
(実施の形態3)
次に、図12を用いて、本発明の実施の形態3について説明する。図12は、本実施の形態3のプラズマプロセス装置における電極構成例を模式的に示す平面図である。
【0089】
本実施の形態3では、上述の実施の形態1の思想と実施の形態2の思想とを組み合わせている。つまり、複数のアノード電極の棒状電極部2bの幅を、棒状電極部2bの長手方向と直交する方向であってプラズマプロセス装置の中央部から端部に向かう方向に変化させるとともに、棒状電極部2bの長手方向の幅も変化させている。
【0090】
このような構成により、棒状電極部2bの長手方向と直交する方向であってプラズマプロセス装置の中央部から端部に向かう方向と、棒状電極部2bの長手方向との双方における電界強度の低下を抑制することができる。その結果、被処理基板4のどの場所に対しても均一なプラズマプロセス処理を施すことができる。
【0091】
(実施の形態4)
次に、図13〜図16を用いて、本発明の実施の形態4について説明する。図13と図14は、本実施の形態4のプラズマプロセス装置における電極構成例を模式的に示す平面図である。
【0092】
本実施の形態4では、アノード電極の隣り合う棒状電極部2b間の間隔d3を、処理室12の内部の電界強度分布に応じて異ならせる。たとえば、処理室12内部において電界強度が相対的に低くなる第1領域における棒状電極部2b間の間隔d3を、電界強度が相対的に高くなる第2領域における棒状電極部2b間の間隔d3よりも狭くする。
【0093】
このように電界強度が低くなる領域内の棒状電極部2b間の間隔d3を狭くすることにより、電界強度が低くなる領域内において、アノード電極とカドード電極2aとで形成されるキャパシタの密度を増大したのと等価な状態となり、電界強度が低くなる領域内におけるアノード電極とカドード電極2a間の容量を増大させることができる。それにより、電界強度が低くなる領域の電界強度を増大することができ、処理室12内部での電界強度の低下を補償することができる。その結果、被処理基板4に対し、アノード電極の棒状電極部2bの長手方向と直交する方向であってプラズマプロセス装置の中央部から端部に向かう方向に均等なプラズマプロセス処理を施せる。
【0094】
また、アノード電極の隣り合う棒状電極部2b間の間隔を、電力供給部からカソード電極2aへの給電点15から棒状電極部2bまでの距離に応じて異ならせてもよい。たとえば、給電点15からの距離(典型的には、給電点15に近い側の棒状電極部2bと給電点15との間の最短距離)が相対的に長い第1の組の棒状電極部2b間の間隔を、給電点15からの距離が相対的に短い第2の組の棒状電極部2b間の間隔よりも狭くすることが考えられる。
【0095】
この場合も、給電点15から離れた箇所におけるキャパシタ密度を増大したのと等価な状態となり、給電点15から離れた箇所での電極間の容量を増大させることができる。それにより、処理室12内部での電界強度の低下を補償することができ、被処理基板4に対し、棒状電極部2bの長手方向と直交する方向であってプラズマプロセス装置の中央部から端部に向かう方向に均等なプラズマプロセス処理を施すことができる。
【0096】
図15に、上記のように隣合う棒状電極部2b間の間隔を変化させた場合の電極部の等価回路図を示す。図15の左側が給電側、つまり処理室12の中央側に相当し、図15の右側が処理室12の端部側に相当する。
【0097】
処理室12の中央側に給電した場合、処理室12の端部側において電界強度が低くなる領域が生じ得る。そこで、処理室12の端部側に位置する棒状電極部2b間の間隔d3を狭くすることで、図15に示すように、処理室12の端部側の領域において、アノード電極とカソード電極2aとで形成されるキャパシタの密度を増大したのと等価な状態とすることができる。それにより、処理室12の端部側における単位長さ当りの電極間の容量Cを増大することができ、定在波の影響で処理室12の端部側において電界強度が低下した場合でも、該電界強度の低下を補償することができる。
【0098】
図13の例では、アノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の幅d1を全て等しくする一方で、隣り合う棒状電極部2bおよび絶縁体3間の間隔d3を異ならせている。より詳しくは、隣合う各組の棒状電極部2bおよび絶縁体3間の間隔d3を、処理室12の中央部から端部に向かうにつれて徐々に小さくしている。
【0099】
なお、図13の例のように全ての組の棒状電極部2bおよび絶縁体3間の間隔d3を異ならせる必要はなく、図14に示すように、隣合う複数組の棒状電極部2bおよび絶縁体3の間隔d3を等しくしながら、処理室12の中央部から端部に向かって段階的に間隔d3を大きくするようにしてもよい。
【0100】
次に、本実施の形態4におけるプラズマプロセス装置の具体的な構成例について説明する。なお、後述する電極構成以外の構成は、実施の形態1の場合と基本的に同様である。
【0101】
本実施の形態4のプラズマプロセス装置では、アノード電極の隣り合う棒状電極部2bおよび絶縁体3の間の間隔d3(以下、「電極ピッチ」とも言う)を、たとえば15mm〜25mmの範囲で調整する。より詳しくは、プラズマプロセス装置の中央部の電極ピッチを25mmとし、プラズマプロセス装置の端部に向かうに従い電極ピッチを15mmにまで適正に減少させる。このような構成により、プラズマプロセス装置の端部における電磁波の定在波の影響による電界強度の低下を抑制することができ、被処理基板4に対して均一なプラズマプロセス処理を施すことができる。
【0102】
本実施の形態4の場合も、電極ピッチの制御手法の確立および均一電界強度が得られる電極ピッチを算出するため3次元高周波電磁界シミュレーション解析を行った。
【0103】
解析モデルとしては、プラズマプロセス装置の中央部より、アノード電極の棒状電極部2bの長手方向と直交する方向であってプラズマプロセス装置の端部に向かう方向に300mmまでの領域内の電極ピッチを25mmとし、300mm〜600mmまでの領域内の電極ピッチを20mmとし、600mm〜800mmまでの領域内の電極ピッチを15mmとしたもの(Case6)を採用し、該解析モデルについてシミュレーション解析を行った。なお、サセプタ10、電力供給部、上記以外の電極部サイズ、装置サイズ等は全て実施の形態1の場合と基本的に同様である。また、比較のため、電極ピッチを15mmと一定にした場合(Case5)についても同様にシミュレーション解析を行った。
【0104】
また、解析結果を評価するため、プラズマプロセス装置の中央部におけるアノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の長手方向と直交し、かつプラズマプロセス装置の端部に向かう方向をX方向とし、プラズマプロセス装置の中心部をX軸の原点とし、X方向の位置における電界強度をY軸にプロットしたものを図16に示す。また、図16にプロットされた電界強度から式(1)に定義された計算で面内の電界分布を求めた結果を下記の表3に示す。
【0105】
【表3】

【0106】
図16に示した、アノード電極の棒状電極部2bの長手方向と直交する方向であってプラズマプロセス装置の端部に向かう方向の電界強度の結果および表3に示した電界分布の結果より、電極ピッチをプラズマプロセス装置の中央部から離れるに従い適正に減少させることで、棒状電極部2bの長手方向と直交する方向であってプラズマプロセス装置の端部に向かう方向に発生する定在波の影響による電界強度の低下を抑制できることがわかった。
【0107】
図16に示すCase6では、電極ピッチを3段階にしか調整していないことからか、プラズマプロセス装置の中央部から端部に向かうに従って電界強度が増加する、いわゆる反転した電界強度が得られている。しかし、このように反転した電界分布が得られることから、電極ピッチを調整することで電界強度を調整できることがわかる。したがって、電極ピッチを適正に調整することで、処理室12内における均一な電界強度分布が得られるものと考えられる。
【0108】
なお、電極ピッチをアノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の隣合う一組毎に変化させると、電極構成が複雑化してコストアップに繋がるので、必要な電界強度分布を満足するように数段階に分けて電極ピッチを調整することが好ましい。
【0109】
次に、実際に本実施の形態4の電極構成を含むプラズマプロセス装置を準備し、実施の形態1の場合と同様の成膜条件で窒化シリコン膜の成膜を行ったところ、電極ピッチが15mmと均一な場合と比較して、本実施の形態4のプラズマプロセス装置では、プロセス条件で多少異なるものの膜厚分布において50〜70%改善することを確認することができた。
【0110】
すなわち、棒状電極部2b間の電極ピッチ(隣合う棒状電極部2b間の間隔d3)を、プラズマプロセス装置の中央部から端部に向かって適正に制御することで、アノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の長手方向と直交する方向であってプラズマプロセス装置の端部に向かう方向における電磁波の定在波の影響による電界強度の低下を補償することができる。それにより、被処理基板4に対して棒状電極部2bの長手方向と直交する方向であってプラズマプロセス装置の端部に向かう方向に均等なプラズマプロセス処理を施すことができる。
【0111】
(実施の形態5)
次に、図17を用いて、本発明の実施の形態5について説明する。図17は、本実施の形態5のプラズマプロセス装置における電極構成例を模式的に示す平面図である。
【0112】
本実施の形態5のプラズマプロセス装置では、上述の各実施の形態の特徴を組み合わせている。図17に示すように、アノード電極の棒状電極部2bの幅d1を処理室12の中央部から端部に向かうにつれて増大させ、かつ棒状電極部2bの長手方向の幅を処理室12の中央部から端部に向かうにつれて増大させ、さらに隣り合う棒状電極部2b間の間隔d3を処理室12の中央部から端部に向かうにつれて増大させるようにしている。
【0113】
上述の実施の形態3のようなプラズマプロセス装置でも、例えば被処理基板4の大きさが2m×2mを超えるような大型基板になると、アノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の幅d1,d2をプラズマプロセス装置の端部で5mmとした場合、均一な電界強度分布を得るためには、プラズマプロセス装置の中央部における棒状電極部2bおよび絶縁体3の幅d1,d2を2mm以下にしなければならない。棒状電極部2bおよび絶縁体3の幅d1,d2が2mm以下になると、長さ2m、高さ4mm程度の棒状電極部2bや絶縁体3を作製するのは困難であると考えられる。
【0114】
そこで、本実施の形態5では、棒状電極部2b間の電極ピッチを適切に調整することで、電磁波の定在波の影響によりプラズマプロセス装置の端部に向かって低下する電界強度をある程度補償した上で、実施の形態3のようにアノード電極の棒状電極部2bおよび絶縁体3の幅d1,d2を調整することで、実施の形態1〜4では棒状電極部2b等の作製が困難になるため電界分布の改善が難しいような2m×2mを超える超大型基板に対しても、均一なプラズマプロセス処理を施すことが可能となる。
【0115】
前述のように棒状電極部2bの幅d1,d2や電極ピッチ(d3)などの各パラメータを各々単独で制御しても処理室12内での電界制御効果が得られるが、複数のパラメータの組み合わせにより、各々の効果を加算した効果が得られ、電界強度の制御範囲および制御方法を拡張することができる。
【0116】
(実施の形態6)
次に、図18および図19を用いて、本発明の実施の形態6について説明する。図18および図19は、本実施の形態6のプラズマプロセス装置により得ることが可能な電界強度分布例を示す模式図である。
【0117】
上述の各実施の形態では、被処理基板4が大型化しても均一電界強度が得られ、大型の被処理基板4に対して均等なプラズマプロセス処理が施すことができるようなプラズマプロセス装置について述べてきたが、本発明は、均等なプラズマプロセス処理を施すことだけに限定されるものではない。
【0118】
例えば被処理基板4の端部近傍においてのみ、他の部分より厚膜に成膜したり、他の部分より多くエッチングするなどの他の部分と比較して強いプラズマプロセス処理を局所的に施したい場合には、図18のような強プラズマ処理部16が必要となる。また、被処理基板4のある特定の部位のみに選択的に強いプラズマプロセス処理を施したい場合には、図19のように局所的に強プラズマ処理部16が必要となる。
【0119】
この場合に、被処理基板4において強いプラズマプロセス処理を施したい部位に対向するアノード電極の棒状電極部2bの幅d1,d2を大きくしたり、棒状電極部2b間の電極ピッチ(d3)を狭めるようにする。それにより、被処理基板4の所望の部位上における電界強度を強めることができ、他の部位と比較して所望の部位に強いプラズマプロセス処理を施すことが可能となる。
【0120】
このように、本実施の形態6によれば使用目的、装置固有の分布等に応じて、前述の各電極パラメータを適切に調整することにより、所望のプラズマプロセス処理を施すことが可能である。
【0121】
なお、上述の各実施の形態では、プラズマプロセス処理の一例であるプラズマCVD法について主に記述したが、プラズマ発生方法やプラズマの分布等に及ぼす要因は、ドライエッチングやアッシング等の他のプラズマプロセス処理と基本的に同様であることから、ドライエッチングやアッシング等の他のプラズマプロセス処理にも各実施の形態の思想は適用可能である。したがって、各実施の形態のプラズマプロセス装置は、ドライエッチング装置等にも適用可能である。
【0122】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、上述の各実施の形態の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
【0123】
また、今回開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変形が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、プラズマによりガスを分解して薄膜の形成や加工を行うプラズマプロセス装置に有効に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明の実施の形態1のプラズマプロセス装置を模式的に示す断面図である。
【図2】実施の形態1のプラズマプロセス装置における電極構成例を模式的に示す平面図である。
【図3】図2の電極構成の変形例を模式的に示す平面図である。
【図4】図2の電極構成の他の変形例を模式的に示す平面図である。
【図5】図2〜図4のタイプの電極部の等価回路図である。
【図6】プラズマ放電発生部を拡大した断面図である。
【図7】3次元高周波電磁界シミュレーションに用いた解析モデルの断面図である。
【図8】実施の形態1のプラズマプロセス装置の中央部から端部に向かう方向の電界強度分布を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2のプラズマプロセス装置における電極構成例を模式的に示す平面図である。
【図10】図9の電極構成の変形例を模式的に示す平面図である。
【図11】図9の電極構成の他の変形例を模式的に示す平面図である。
【図12】本発明の実施の形態3のプラズマプロセス装置における電極構成例を模式的に示す平面図である。
【図13】本発明の実施の形態4のプラズマプロセス装置における電極構成例を模式的に示す平面図である。
【図14】図13の電極構成の変形例を模式的に示す平面図である。
【図15】図13および図14のタイプの電極部の等価回路図である。
【図16】実施の形態4のプラズマプロセス装置の中央部から端部に向かう方向の電界強度分布を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態5のプラズマプロセス装置における電極構成例を模式的に示す平面図である。
【図18】本発明の実施の形態6のプラズマプロセス装置を用いて被処理基板に処理を施したときのプラズマプロセス分布の一例を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態6のプラズマプロセス装置を用いて被処理基板に処理を施したときのプラズマプロセス分布の他の例を示す図である。
【図20】従来のプラズマCVD装置の電極部の概略構成を示す斜視図である。
【図21】従来のプラズマCVD装置の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0126】
1 高周波電源、2a カソード電極、2b 棒状電極部、3 絶縁体、4 被処理基板、5 ガス導入口、6,8 矢印、7 プラズマ、9 基板ホルダー、10 サセプタ、11 ガス供給部、12 処理室、13 ガス排出部、14 凸状部、14a 傾斜面、15 給電点、16 強プラズマ処理部、21 空間、22,23 電極分離用絶縁部、24 外周絶縁部、25 外周金属面、26 金属体部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板が内部に配置される処理室と、
前記処理室の内部に設けられ、前記被処理基板にプラズマ処理を施すためのプラズマを発生させるプラズマ放電発生部とを備えるプラズマプロセス装置であって、
前記プラズマ放電発生部は、前記被処理基板の処理面と平行な方向にストライプ状に延びる複数の棒状電極部を含むアノード電極と、前記アノード電極と対向する位置に間隔をあけて配置されたプレート状のカソード電極とを有し、
前記棒状電極部の幅を異ならせることで前記処理室内部の電界強度分布を調節するようにした、プラズマプロセス装置。
【請求項2】
前記処理室内部において電界強度が相対的に低くなる第1領域における前記棒状電極部の幅を、電界強度が相対的に高くなる第2領域における前記棒状電極部の幅よりも広くした、請求項1に記載のプラズマプロセス装置。
【請求項3】
前記棒状電極部の長手方向に、前記棒状電極部の幅を異ならせた、請求項1または請求項2に記載のプラズマプロセス装置。
【請求項4】
被処理基板が内部に配置される処理室と、
前記処理室の内部に設けられ、前記被処理基板にプラズマ処理を施すためのプラズマを発生させるプラズマ放電発生部とを備えるプラズマプロセス装置であって、
前記プラズマ放電発生部は、前記被処理基板の処理面と平行な方向にストライプ状に延びる複数の棒状電極部を含むアノード電極と、前記アノード電極と間隔をあけて配置されたプレート状のカソード電極とを有し、
隣り合う前記棒状電極部間の間隔を異ならせることで前記処理室内部の電界強度分布を調節するようにした、プラズマプロセス装置。
【請求項5】
前記処理室内部において電界強度が相対的に低くなる第1領域における前記棒状電極部間の間隔を、電界強度が相対的に高くなる第2領域における前記棒状電極部間の間隔よりも狭くした、請求項4に記載のプラズマプロセス装置。
【請求項6】
前記アノード電極と前記カソード電極とを前記被処理基板に対し同じ側に配置し、
前記アノード電極の前記棒状電極部と、前記カソード電極との間に設けられ、前記棒状電極部と同じ方向にストライプ状に延び前記棒状電極部を支持する複数の絶縁体をさらに備えた、請求項1から請求項5のいずれかに記載のプラズマプロセス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−80192(P2006−80192A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260677(P2004−260677)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】