説明

プローブ用の測定ヘッド

【課題】 触針の軌跡が、固定および固定解除の動作の際においてでさえも、完全に制御される測定ヘッドとを提供する。
【解決手段】支持要素(30)と、該支持要素(30)に接続され、支持要素(30)に対して第一軸(B)を中心に回転可能な第一可動要素(40)と、固定状態および固定解除状態にするためのアクチュエータとを有し、該アクチュエータが、固定解除状態にあるときに、第一可動要素(40)を支持要素(30)から離隔させ、第一軸(B)を中心に回転可能にするために第一可動要素(40)に固定解除力をかけるように構成され、固定状態にあるときに、支持要素(30)に対して第一可動要素(40)を再び締め付け、第一軸(B)の周囲の回転を防止するように第一可動要素(40)に固定力をかけるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブ用の測定ヘッドに関し、特に、電動方向付け可能なプローブ用の測定ヘッドに適した技術に関する。
詳細には、機械部品の三次元座標を測定するための方向付け可能な測定ヘッド、また特に、排他的ではないが、座標測定のための手動または自動の機械において使用することを目的とした方向付け可能な測定ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
接触プローブは、例えば、機械部品の生産ラインで、加工部品の寸法または表面の検査のために用いられる測定器具である。
接触プローブは、複雑な部品の三次元形状の捕捉にも用いられることによって、それらを再現する、またはモデリングする。
【0003】
プローブは、一般的に、測定機械のアームに固定されることを目的とした測定ヘッドと、伸長したロッドの端に球を備え、被測定部品と接触させることを目的とした可動触針を備えている。
【0004】
大半の用途分野において、接触プローブは、その空間位置が、例えば機械の軸上に配置された位置エンコーダなどの、手動または自動測定システムによって正確に求めることができる機械の可動アームに固定される。
可動アームは、プローブの測定触針を、被測定部品または被測定表面に接触させるために空間内に移動される。
接触中に、抗折力が触針にかけられ、触針をその初期静止位置から遠ざける。
センサは、触針のわずかな移動にも反応して、電気信号を発生し、該電気信号を、光信号の形で使用者に、あるいは機械の制御ソフトウェアに送信する。
該ソフトウェアは、測定システムのデータに基づいて、所与の基準フレームの範囲内で接触点の座標を決定する。
この目的のために、先行技術においては、電気機械センサまたは光学センサあるいは異なる原理に基づく移動センサ、例えば、歪みゲージから成るセンサを用いている。
【0005】
三次元接触プローブの場合、触針と測定ヘッドの固定部分との間の接続は、通常Boysの接続原理に従って、すなわち、例えば、固定装置と触針の間の六つの接触点を定義するように六個の球の上に載置された三つの円筒状のピンによって実現される。
しかしながら、二次元および一次元触針も知られている。
【0006】
凹凸のある複雑な形状の部品の測定にプローブが用いられるとき、測定ヘッドの固定部分または触針のロッドを被測定部品の要素と干渉させずに、触針を部品の全表面と接触させることは困難であり、さらには不可能である。
この欠点を解消するために、接触触針を空間内の複数の方向に向けることができる測定ヘッドが知られている。
一般的に、考えられる方向全体をカバーするには二つの独立した回転軸が要求される。
このタイプの一つの器具が、欧州特許出願第0392660号明細書に記載されている。
【0007】
しかしながら、このタイプの装置の使用は接触触針に限定されず、例えば、加工した部品の点検と検査のために、センサ、例えばビデオカメラとともに接触することなく使用することもできる。
【0008】
回転軸は、十分大きいが有限数の、所定のかつ正確に再現可能な静止位置を備えているという意味で、好適には割り出される。
この構成によって、触針の方向を変える度にその後で測定機械を再検定する必要がなくなる。
【0009】
触針の回転軸の割り出しは、例えば、中で三つのピンが噛み合う球の冠状のものによって、相互に係合し所望の静止位置を決定する割り出し表面によって達成される。
このタイプの割り出し機構の一例が、本出願人の名前で欧州特許出願第1443299号明細書に紹介されている。
【0010】
複雑な部品を測定するために、測定機械の制御プログラムからの指令によって、プローブの触針を自動的に方向付けるために測定ヘッドを電動とすることが望ましい。
この目的のために、触針軸の回転と固定は、電磁アクチュエータ、例えば割り出し表面を離して軸に回転を伝えるモータまたはサーボモータによって実施される。
【0011】
既知の電動測定ヘッドの一つの限界は、ヘッドの固定が解除されたとき、割り出し表面間の距離も固定実施時間も正確に知られていないので、触針の位置を正確に定義するのが難しいことである。
この不確実性が、測定機械の応答時間を長くし、触針と被測定部品の間の不所望の衝突に至る可能性がある。
【0012】
既知の電動測定ヘッドのもう一つの限界は、固定解除システムが重力に依存すること、あるいは該ヘッドの作用が測定ヘッドの向きにより影響を受けるおそれがあることである。
該作用は従って、ヘッドが垂直に方向付けられていないときには、問題のあるものか不可能なものである。
【0013】
プローブ触針の質量に結びつけられる慣性力も、特に重い触針とかなり早い並進速度が用いられるときに、測定ヘッドの作用に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0014】
既知の測定ヘッドのもう一つの限界は、固定解除した位置で、割り出し表面間の距離が厳密に決められないことである。
したがって、割り出しボールと割り出しピンの間の衝突が、触針軸の回転の際に起きることがある。
この種の衝突は、割り出し精度に当然悪影響がある。
【特許文献1】欧州特許出願第0392660号明細書
【特許文献2】欧州特許出願第1443299号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の一つの目的は、既知の装置の限界がない測定ヘッドと、特に触針の軌跡が、固定および固定解除の動作の際においてでさえも、完全に制御される測定ヘッドとを提案することである。
【0016】
本発明のもう一つの目的は、プローブ触針の方向が、測定ヘッドのどの方向についても変えることができる、割り出された測定ヘッドを提案することである。
【0017】
本発明のもう一つの目的は、割り出し表面間の不所望のいかなる衝突も起こり得ない測定ヘッドを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
これらの目的を達成するのは、主請求項の対象である特徴の組み合わせから成る装置と、また特に、測定装置に対してプローブ触針を方向付けるための方向付け可能な測定ヘッドであって、支持要素と、前記支持要素に接続され前記支持要素に対して第一軸を中心に回転することのできる第一可動要素と、固定状態および固定解除状態にためのアクチュエータとを有し、前記アクチュエータが固定解除状態にあるときに前記第一可動要素を前記支持要素から離隔させ、前記第一軸を中心に回転可能にするために前記第一可動要素に固定解除力をかけ、前記アクチュエータが固定状態にあるときに支持要素に対して前記第一可動要素を再び締め付け、前記第一軸を中心に回転することを防止するように前記第一可動要素に固定力をかけるために、前記アクチュエータが構成された。
【0019】
すなわち、課題を解決するための手段は、つぎのとおりである。
【0020】
第1に、
測定装置に対してプローブ触針(60)を方向付けるためのプローブ用の測定ヘッド(10)であって、
該測定ヘッド(10)が、
支持要素(30)と、
該支持要素(30)に接続され、支持要素(30)に対して第一軸(B)を中心に回転可能な第一可動要素(40)と、
固定状態および固定解除状態にするための自動作成器であるアクチュエータとを有し、
該アクチュエータが、固定解除状態にあるときに、第一可動要素(40)を支持要素(30)から離隔させ、第一軸(B)を中心に回転可能にするために第一可動要素(40)に固定解除力をかけるように構成され、
また、
該アクチュエータが、固定状態にあるときに、支持要素(30)に対して第一可動要素(40)を再び締め付け、第一軸(B)の周囲の回転を防止するように第一可動要素(40)に固定力をかけるように構成されていることを特徴とする、測定ヘッド。
第2に、
前記第一可動要素(40)と連結する複数個の可動位置決要素(41)と、
前記支持要素(30)と連結し、固定された支持要素(30)に対して第一可動要素(40)の複数個の所定の方向を決定するために可動位置決要素(41)と係合することができる複数個の固定された位置決要素(31)とを有することを特徴とする、上記第1に記載の測定ヘッド。
第3に、
前記第一可動要素(40)と前記支持要素(30)が、アクチュエータが固定解除状態にあるときに、距離(d2)だけ離隔されることを特徴とする、上記第1または上記第2に記載の測定ヘッド。
第4に、
一端が第一可動要素(40)に連結して固定され、他端が固定力および固定解除力を伝達するためにアクチュエータに連結して固定されている、硬質ロッドを含むことを特徴とする、上記第1〜上記第3のいずれか一つに記載の測定ヘッド。
第5に、
前記アクチュエータが、モータ(45)を含むことを特徴とする、上記第1〜上記第4のいずれか一つに記載の測定ヘッド。
第6に、
前記硬質ロッドが、アクチュエータが固定状態にあるときに第一可動要素(40)を引っ張り、アクチュエータが解除状態にあるときに第一可動要素(40)を押すように構成されていることを特徴とする、上記第4に記載の測定ヘッド。
第7に、
前記アクチュエータが、モータ(45)およびレバー(62)を備え、
該レバー(62)のアームが、前記ロッドの一端と連結し、
該モータ(45)が、固定位置と固定解除位置の間でレバー(62)を揺動させるためにカム(54、55)に作用することを特徴とする、上記第4に記載の測定ヘッド。
第8に、
固定および固定解除が、重力に対する向きと独立していることを特徴とする、上記第1〜上記第7のいずれか一つに記載の測定ヘッド。
第9に、
アクチュエータが固定解除位置にあるときに、支持要素(30)に対して第一可動要素(40)を回転させるために回転アクチュエータを含むことを特徴とする、上記第1〜上記第8のいずれか一つに記載の測定ヘッド。
第10に、
前記第一可動要素(40)に対して第二軸(A)を中心に回転できるように、第一可動要素(40)と接続された第二可動要素(50)を備え、
前記アクチュエータが、固定解除状態にあるときに、該第二可動要素(50)を第一可動要素(40)から離隔させ、第二軸(A)を中心に回転可能にするために第二可動要素(50)に固定解除力をかけるように構成され、
また、
前記アクチュエータが、固定状態にあるときに、第二可動要素(50)を第一可動要素(40)と係合させるために固定力をかけるように、構成されていることを特徴とする、上記第1〜上記第9のいずれか一つに記載の測定ヘッド。
第11に、
一端が前記支持要素(30)に連結されるように固定され、他端が前記アクチュエータに連結されるように固定された第一ロッド(66)と、
一端が前記第二可動要素(50)に連接されるように固定され、他端が前記アクチュエータに連結されるように固定された第二ロッド(67)とを備え、
前記アクチュエータが、モータ(45)とレバー(62)とを有し、
該レバー(62)の一方のアームが、前記ロッドの一端と連結し、
前記モータ(45)が、固定位置と固定解除位置の間でレバー(62)を振動させるためにカム(54、55)に作用することを特徴とする、上記第10に記載の測定ヘッド。
第12に、
前記第一ロッド(66)と、第二ロッド(67)とが直交し、
第一ロッド(66)が第一軸(B)と心出しされ、
第二ロッド(67)が第二軸(A)と心出しされていることを特徴とする、上記第11に記載の測定ヘッド。
第13に、
アクチュエータが、固定解除状態にあるときに、第一可動要素を回転させるための回転アクチュエータを備えていることを特徴とする、上記第10に記載の測定ヘッド。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、触針の軌跡が、固定および固定解除の動作の際においてでさえも、完全に制御される測定ヘッドを提供できる。
また、本発明によると、プローブ触針の方向が、測定ヘッドのどの方向についても変えることができる。
さらに、本発明によると、割り出し表面間の不所望のいかなる衝突も起こり得ない測定ヘッドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による測定ヘッドの斜視図である。
【図2】固定位置にある本発明の測定ヘッドの縦断面図である。
【図3】固定解除位置にある本発明の測定ヘッドの縦断面図である。
【図4】本発明の測定ヘッドの固定/固定解除機構の要部の拡大図である。
【図5】本発明に係る固定と固定解除のためのアクチュエータの斜視図である。
【図6】本発明に係る固定と固定解除のためのアクチュエータの側面図である。
【図7】本発明に係る固定と固定解除のためのアクチュエータを底面側から見た斜視図である。
【図8】本発明に係る固定と固定解除のためのアクチュエータの図5と反対側から見た斜視図である。
【図9】図5〜図8のアクチュエータに含まれるクランクシャフトの詳細図である。
【符号の説明】
【0023】
10 測定ヘッド
20 取付ロッド
30 支持要素
31 位置決要素
35 光表示装置
40 第一可動要素
41 可動位置決要素
42 ピン
43 ボール
45 モータ
46 歯車
50 第二可動要素
51 歯車
53 セクタ
59 クランクシャフト
60 プローブ触針
62 レバー
63 分岐
64 分岐
65 軸
66 第一ロッド
67 第二ロッド
70 球
75 軸
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、例としてあげられ、付属の図面により図示された、説明を読むことによってよりよく理解される。
【0025】
図1を参照すると、本発明による方向付け可能な測定ヘッド10は、測定機械のアームに固定されることを目的とし、例えば、測定空間内の三つの座標軸X、Y、Zにそって移動することのできる、支持要素30を備えている。
それは、例えば、取付ロッド20によって、あるいはその他の締結手段で固定することができる。
【0026】
以下において、単純化のために、図1の第一軸Bの方向を指すのに「垂直」と言うものとする。
この言い方は、図の約束上の方向を指すと同時に本発明の装置が通常用いられる方向も指すものであり、プローブが取り付けられる測定機械の垂直軸Zの方向と普通は一致する。
しかしながら、プローブは、空間内の任意の方向で用いることができる。
【0027】
第一可動要素40は、垂直軸である第一軸Bを中心に回転できるように支持要素30に固定される。
第一可動要素40は、例えば10度の、多数の所定の小さな角度に対応する、複数個の割り出し位置に好適には対応できる。
既知の仕方で、これらの割り出し位置は、例えば、大きな精度で位置が決定される位置決要素の間に六つの静止位置を定義する均衡接続によって決定される。
【0028】
第二可動要素50は、第一可動要素40に関連する水平軸である第二軸Aを中心に自由に回転する。
第二軸Aを中心とする第二可動要素50の回転は、上述の第一可動要素40と同様に、連続または割り出し位置に対応して段階的に行われる。
第二可動要素50の回転は、電動または手動とすることができる。
【0029】
プローブ触針60は、第二可動要素50に固定され、被測定部品と接触することを目的とした球70をその先端に担持している。
図示されていない検出機構は、このようにして静止位置に対する球70のわずかな移動に電気信号で応答し、該信号は、図示されていないコネクタによって、光表示装置35または機械の制御ソフトウェアに送られる。
【0030】
次に図2と図3を参照して、本発明の一つの態様による軸の固定および固定解除機構について説明する。
【0031】
支持要素30は、通常は規則的に間隔を置いた一連の割り出し位置を定義するように、位置決要素31として、通常一定の角度距離で、例えば10度で、円周に沿って配置された一連のボールを担持している。
第一可動要素40は、位置決要素であるボール31に対応して、120度の距離でボール31と係合できる可動位置決要素としての三本のピン41を担持している。
固定位置で(図2参照)、第一可動要素40は、第一ロッド66に引っ張られることで、固定要素である支持要素30に押しつけられる。
このとき、可動位置決要素であるピン41のそれぞれは、二つの隣接するボール31と接触し、Boysの接続原理に従って支持要素30と第一可動要素40の間に均衡接続を持つようにする。
【0032】
同等な仕方で、本発明の範囲内において、図示は省略するが、ボールを第一可動要素側に、ピンを支持要素側に配置して、前者と後者の位置を交換することも可能である。
ボールとピンを、支持要素30と第一可動要素40の間に六つの接触点を定義するのに適したその他の位置決要素に代えることもできる。
【0033】
垂直ロッドである第一ロッド66の一端は、支持要素30に連結して固定され、一方、第一ロッド66の他端は、第一可動要素40に対して固定された、軸65を中心に旋回することのできるレバー62に一本のアームに連結して固定される。
第一ロッド66は、好適には第一軸Bと心出しされる。
【0034】
図2の固定状態において、第一ロッド66は張力をかけられ、可動位置決要素である割出ピン41が位置決要素であるボール31と係合するように引っ張る。
この状態においては第一軸Bを中心とするいかなる回転も不可能であり、第一可動要素40は割り出し位置の一つにおいて固定される。
【0035】
第一ロッド66によって加えられた力は、ボール31とピン41の間の接触点に対して中心にかけられ、第一軸Bにそって方向づけられる。
このようにして、最大割り出し精度のために、ボール31とピン41の間に接触力の均等配分が達成される。
【0036】
第二可動要素50も、第二軸Aと心出しされた水平ロッドである第二ロッド67の張力によって第一可動要素40に押しつけられる。
第二ロッド67は、一方では第二可動要素50に対して、他方ではレバー62に対して連結される。
【0037】
図4に示すように、第一可動要素40と第二可動要素50との間に配置された、ボール43とピン42の第二セットは、割り出し位置での第二可動要素50の回転を固定することを可能にする。
【0038】
随意に、第一ロッド66および第二ロッド67は、ピン41、ピン42と、ボール31、ボール43の間に一定の割り出し力を確保するために、図示されていない弾性要素、例えば、金属バネを備えている。
同様に、弾性要素をレバー62の中に、あるいは第一可動要素および第二可動要素の中に含めることもできる。
【0039】
図5から図9を参照すると、レバー62の位置は、モータ45、歯車46、歯車51によって軸75を中心に回転駆動される、図9に詳細を示したクランクシャフト59によって、決定される。
同様に、クランクシャフト59は、クランクシャフト59の同じ軸75に配置したモータによって、あるいはいかなる機械的伝導装置、例えば、プーリー装置によっても直接駆動することができる。
【0040】
レバー62の一本のアームは一本のフォークを備え、図5に示す該フォークの二本の分岐63と分岐64は、クランクシャフト59のクランクピンであるカム55の二つの対向する側に接触して(図6参照)、クランクシャフト59が180度回転したときにレバー62を固定位置から固定解除位置に移動させる。
随意に、固定および/または固定解除の際の摩擦を減らすために、クランクピンであるカム55とフォークの間にボールベアリングを介在させる。
図示した実施態様において、固定力を伝達する分岐63に対応するためだけにベアリングが備えられている。
固定解除のための、フォークの他の分岐64に対応するために要求される力は小さく、単純な減摩ベアリングを用いることができる。
【0041】
軸75を中心としたクランクシャフト59の回転は、セクタ53と第一可動要素40に取り付けたピン55によって、180度よりわずかに大きい回転角度に制限される。
セクタ53の両端に対するピン55の停止位置は、均衡点を追い越し、それによって固定状態と固定解除状態にそれぞれ対応する安定静止位置を定義するように配置される。
【0042】
図3および図4は、固定解除状態にある本発明による測定ヘッドを示している。
この場合、レバー62は傾けられ、第一ロッド66は、位置決要素である割出要素31、可動位置決要素である割出要素41を、所定の距離d1だけ離隔させるように、また、第二ロッド67は、割出要素としてのピン42、割出要素としてのボール43を、所定の距離d2だけ離隔させるようにする。
【0043】
変型実施態様において、第一ロッド66および第二ロッド67は、ラックアンドピニオンユニットで駆動することができる。
【0044】
割り出し表面の離隔および閉鎖は、重力と慣性力の方向の影響を受けず、バネや弾性要素を用いる必要のない第一ロッド66と第二ロッド67の二重作用によって行われる。
このように本発明の機構は、測定ヘッドの向きを問わず信頼でき、高速である作動を保証することができる。
【0045】
固定解除位置において、二本の軸Aおよび軸Bの周囲の回転は、測定機械のソフトウェアによって制御された図示されていないサーボモータによって、あるいは同等の他のアクチュエータによって保証される。
【0046】
本書に記載の実施態様は、同時に二本の軸AおよびBを同時に固定し、固定を解除するために単一のアクチュエータを備えている。
しかしながら本発明は、それぞれの回転軸が、独立したアクチュエータによって固定され、そして固定を解除されるという変型例も含んでいる。
【0047】
一つの実施変形例において、本発明の測定ヘッドは、単一の回転軸、例えば、水平軸Aだけを備えている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定装置に対してプローブ触針(60)を方向付けるためのプローブ用の測定ヘッド(10)であって、
該測定ヘッド(10)が、
支持要素(30)と、
該支持要素(30)に接続され、支持要素(30)に対して第一軸(B)を中心に回転可能な第一可動要素(40)と、
固定状態および固定解除状態にするためのアクチュエータとを有し、
該アクチュエータが、固定解除状態にあるときに、第一可動要素(40)を支持要素(30)から離隔させ、第一軸(B)を中心に回転可能にするために第一可動要素(40)に固定解除力をかけるように構成され、
また、
該アクチュエータが、固定状態にあるときに、支持要素(30)に対して第一可動要素(40)を再び締め付け、第一軸(B)の周囲の回転を防止するように第一可動要素(40)に固定力をかけるように構成されていることを特徴とする、測定ヘッド。
【請求項2】
前記第一可動要素(40)と連結する可動位置決要素(41)と、
前記支持要素(30)と連結し、固定された支持要素(30)に対して第一可動要素(40)の所定の方向を決定するために可動位置決要素(41)と係合することができる固定された位置決要素(31)とを有することを特徴とする、請求項1に記載の測定ヘッド。
【請求項3】
前記第一可動要素(40)と前記支持要素(30)が、アクチュエータが固定解除状態にあるときに、距離(d2)だけ離隔されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の測定ヘッド。
【請求項4】
一端が第一可動要素(40)に連結して固定され、他端が固定力および固定解除力を伝達するためにアクチュエータに連結して固定されている、ロッドを含むことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の測定ヘッド。
【請求項5】
前記アクチュエータが、モータ(45)を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載の測定ヘッド。
【請求項6】
前記ロッドが、アクチュエータが固定状態にあるときに第一可動要素(40)を引っ張り、アクチュエータが解除状態にあるときに第一可動要素(40)を押すように構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の測定ヘッド。
【請求項7】
前記アクチュエータが、モータ(45)およびレバー(62)を備え、
該レバー(62)のアームが、前記ロッドの一端と連結し、
該モータ(45)が、固定位置と固定解除位置の間でレバー(62)を揺動させるためにカム(54、55)に作用することを特徴とする、請求項4に記載の測定ヘッド。
【請求項8】
固定および固定解除が、重力に対する向きと独立していることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれか一つに記載の測定ヘッド。
【請求項9】
アクチュエータが固定解除位置にあるときに、支持要素(30)に対して第一可動要素(40)を回転させるために回転アクチュエータを含むことを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれか一つに記載の測定ヘッド。
【請求項10】
前記第一可動要素(40)に対して第二軸(A)を中心に回転できるように、第一可動要素(40)と接続された第二可動要素(50)を備え、
前記アクチュエータが、固定解除状態にあるときに、該第二可動要素(50)を第一可動要素(40)から離隔させ、第二軸(A)を中心に回転可能にするために第二可動要素(50)に固定解除力をかけるように構成され、
また、
前記アクチュエータが、固定状態にあるときに、第二可動要素(50)を第一可動要素(40)と係合させるために固定力をかけるように、構成されていることを特徴とする、請求項1〜請求項9のいずれか一つに記載の測定ヘッド。
【請求項11】
一端が前記支持要素(30)に連結されるように固定され、他端が前記アクチュエータに連結されるように固定された第一ロッド(66)と、
一端が前記第二可動要素(50)に連接されるように固定され、他端が前記アクチュエータに連結されるように固定された第二ロッド(67)とを備え、
前記アクチュエータが、モータ(45)とレバー(62)とを有し、
該レバー(62)の一方のアームが、前記ロッドの一端と連結し、
前記モータ(45)が、固定位置と固定解除位置の間でレバー(62)を振動させるためにカム(54、55)に作用することを特徴とする、請求項10に記載の測定ヘッド。
【請求項12】
前記第一ロッド(66)と、第二ロッド(67)とが直交し、
第一ロッド(66)が第一軸(B)と心出しされ、
第二ロッド(67)が第二軸(A)と心出しされていることを特徴とする、請求項11に記載の測定ヘッド。
【請求項13】
アクチュエータが、固定解除状態にあるときに、第一可動要素を回転させるための回転アクチュエータを備えていることを特徴とする、請求項10に記載の測定ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−153880(P2006−153880A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−346106(P2005−346106)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(503395793)
【氏名又は名称原語表記】TESA S.A.
【Fターム(参考)】