説明

ベッド・オブ・ネイル式形状測定におけるピンの高さ調節

システム、方法、装置及び製品は、ガラス基体等といった測定対象についてのベッド・オブ・ネイル式の形状測定ゲージにおけるピンの高さ調節の系統的な計算及び実行に関し、特に、液晶ディスプレイ(LCD)用板ガラスの製造に用いられるガラス基体等の物体の表面の無重力形状を測定するためのベッド・オブ・ネイル式ゲージの使用に関する。1つ以上の実施形態は、測定中に表面を支持するよう動作可能な複数のピンを備え得る。各ピンは、測定信号を送るよう動作可能なロードセルと、調節信号を受け取り、該調節信号を受け取ったらピンの高さ調節を実行するよう動作可能な高さ調節器とを備える。ピンの高さ調節の実行により、表面が各ピンに及ぼす測定された力が、無重力形状に対応する目標とする力に近づくよう、ピンが系統的に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基体等といった測定対象の基体についてのベッド・オブ・ネイル式(bed of nails)の形状測定ゲージにおけるピンの高さ調節の計算及び実行に関係する方法、システム、装置及び製品に関し、特に、液晶ディスプレイ(LCD)用板ガラス等といったガラス基体の系統的な形状測定のためのベッド・オブ・ネイル式ゲージの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
LCD等といったディスプレイ用の平坦なガラス製品の製造には、多くの課題がある。このプロセスにおける主要な要件は、大きな板ガラス製品における内部応力に起因する製品の歪みを最小限に抑える能力である。一般的な大きな板ガラス製品のサイズの範囲は3.3メートル四方までにもなる。
【0003】
製品の歪みは、例えば、光学的手段を用いた歪み測定を可能にするために過去数年間にわたって開発されてきた光学的な方法及び計測技術を用いて測定され得る。歪みの測定は、ガラスのせん断工程の前後において、ガラス製品にけがきされた基準マークと、精密にけがきされたガラス原板上の基準マークとを比較することによって行われ得る。このようなけがきマーク間の測定された差分は、ガラス製品内の応力レベルに関係付けることができる。
【0004】
ガラス製品のサイズが増加すると、残留応力及び形状変形の測定及び制御はより困難になる。それにも関わらず、より大きなサイズのガラス製品が所望されているため、許容範囲内の残留応力及び形状変形を有する、より大きなサイズのガラス製品を得るための、新たな製品及び方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の1つ以上の実施形態によるシステム、方法、装置及び製品は、ガラス基体等といった測定対象の基体についてのベッド・オブ・ネイル式の形状測定ゲージにおけるピンの高さ調節の系統的な計算及び実行に関し、特に、液晶ディスプレイ(LCD)用板ガラス等といったガラス基体の形状測定のためのベッド・オブ・ネイル式ゲージの使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つ以上の実施形態によれば、物体の表面の無重力形状を測定する方法は、ロードセルから測定信号を受け取る工程と、ピンの高さ調節を系統的に計算する工程と、高さ調節器に調節信号を送る工程とを含み得るものであり、ピンの高さ調節を実行することで、表面が各ピンに及ぼす測定された力が、無重力形状に対応する目標とする力に近づくと共に、ピンの高さの最終的な値の配列が表面の無重力形状の測定値を示すように、複数のピンが配置され得る。
【0007】
本発明の1つ以上の実施形態によれば、物体の表面の無重力形状を測定する装置は、測定中に表面を支持するよう動作可能な複数のピンであって、各ピンがロードセル及び高さ調節器を含み得る複数のピンを有するベッド・オブ・ネイル式形状測定ゲージを含み得る。この装置は更に、測定信号を受け取り、ピンの高さ調節を系統的に計算し、高さ調節器に調節信号を送るよう動作可能なプロセッサを含み得る。この装置は、本発明の一実施形態によるピン高さ調節処理に従って、ピンの高さ調節を計算し得る。
【0008】
本発明の1つ以上の実施形態によれば、物体の表面の無重力形状を測定するコンピュータ化されたシステムは、プロセッサに、ロードセルから測定信号を受け取らせ、ピンの高さ調節を系統的に計算させ、高さ調節器に調節信号を送らせるよう動作可能なコンピュータが実行可能な指示を含み得る。このシステムは更に、プロセッサ及びデータ記憶媒体を有するコンピュータを含み得る。コンピュータが実行可能な指示は、ロードセルと通信する測定ドライバと、高さ調節器を制御する調節ドライバと、計算を行う計算エンジンとを含み得る。コンピュータが実行可能な指示は更に、データベースと、入出力ドライバと、論理インターフェースと、グラフィカル・ユーザ・インターフェースとを含み得る。このシステムは、本発明の一実施形態によるピン高さ調節処理に従って、ピンの高さ調節を計算し得る。
【0009】
本発明の1つ以上の実施形態によれば、ベッド・オブ・ネイル式形状測定ゲージにおける系統的なピン高さ調節方法は、ロードセルから測定信号を受け取る工程と、ピンの高さ調節を系統的に計算する工程と、高さ調節器に調節信号を送る工程とを含み得るものであり、ピンの高さ調節の実行により、表面が各ピンに及ぼす測定された力が、無重力形状に対応する目標とする力に近づくよう、複数のピンが配置される。
【0010】
本発明の1つ以上の実施形態によれば、本発明の製品は、ベッド・オブ・ネイル式形状測定ゲージにおける系統的なピンの高さ調節のためのコンピュータプログラム製品を含み得る。この製品は、有体物としてコンピュータが使用可能な媒体に格納されるコンピュータが実行可能な指示であって、プロセッサに、ロードセルから測定信号を受け取らせ、ロードセルと調節信号を受け取ったらピンの高さ調節を実行するよう動作可能な高さ調節器とを有するピンに対するピンの高さ調節を系統的に計算させ、高さ調節器に調節信号を送らせるよう動作可能なコンピュータが実行可能な指示を含み得る。この製品は、本発明の一実施形態によるピン高さ調節処理に従って、ピンの高さ調節を計算し得る。
【0011】
本発明の様々な実施形態において、ロードセル及び高さ調節器はピンを構成し得るものであり、複数のピンは測定中に表面を支持するよう動作可能であり得、プロセッサは、測定信号を受け取り、ピンの高さ調節を系統的に計算し、高さ調節器に調節信号を送るよう動作可能であり得、ロードセルは、第1の回路を介してプロセッサに接続可能であり得ると共にプロセッサに測定信号を送るよう動作可能であり得、高さ調節器は、第2の回路を介してプロセッサに接続可能であり得ると共にプロセッサから調節信号を受け取るよう動作可能であり得る。
【0012】
また、本発明の様々な実施形態において、ピンの高さ調節の系統的な計算は、ピン高さ調節処理と関連付けられた動作を含み得るものであり、ピン高さ調節処理は、各ピンに対する目標とする力を計算する動作と、複数のピンに対する目標とする力の配列{F}を決定する動作と、高さの変更量に対する力の変化量の行列[K]及び逆行列[K]−1を計算する動作と、各ピンにかかる測定された力を表す測定信号を受け取ることによってFサイクルを開始する動作と、複数のピンにかかる測定された力の配列{F}を決定する動作と、測定された力の配列及び目標とする力の配列から、力の差分の配列{ΔF}を計算する動作と、力の差分の配列{ΔF}が許容可能な差分の範囲内であるか否かを判定する動作と、肯定された場合には、ピンの高さの最終的な値の配列{H}を得てFサイクル及びピン高さ調節処理から出る動作と、否定された場合には、各ピンに対するピンの高さ調節を計算することによって現在のFサイクルを継続する動作と、ピンの高さ調節を調節信号として送る動作と、新たなFサイクルを開始する動作とを含み得る。
【0013】
或いは、本発明の他の様々な実施形態において、ピン高さ調節処理は、各ピンに対する目標とする力を計算する動作と、複数のピンに対する目標とする力の配列{F}を決定する動作と、最初のピンの高さ調節を最初のピンjの高さを変えるための最初の調節信号として送る動作を含むCGサブサイクルのループを開始する動作を含むCGサイクルのループを開始する動作と、各ピンに対する測定された力を測定信号として受け取る動作と、各ピンに対する荷重の変化量を計算する動作と、ピンjに対する最初のピンの高さ調節に関する各ピンiの共役勾配CGijを計算する動作と、まだ全てのピンが選択されていない場合に、jに1を加え(例えば、j=j+1)て第2のピンjを選択し、CGサブサイクルのループにおいて新たなCGサブサイクルを開始する動作と、既に全てのピンが選択され、各ピンに対してCGijが計算されている場合に、共役勾配の行列[CG]を決定する動作と、共役勾配の逆行列[CG]−1を計算し、CGサブサイクルのループから出る動作と、各ピンにかかる測定された力を表す測定信号を受け取る動作を含むFサイクルのループを開始する動作と、複数のピンにかかる測定された力の配列{F}を決定する動作と、測定された力の配列及び目標とする力の配列から、力の差分の配列{ΔF}を計算する動作と、変数{ΔF}(前回の(previous))に前回のFサイクルの力の差分の配列の値を代入する動作と、変数{ΔF}(現在の(current))に現在のFサイクルの力の差分の配列{ΔF}の値を代入する動作と、力の差分の配列{ΔF}が許容可能な差分の範囲内であるか否かを判定する動作と、肯定された場合には、ピンの高さの最終的な値の配列{H}を得て現在のFサイクルから出て、CGサイクルから出て、ピン高さ調節処理から出る動作と、否定された場合には、各ピンに対するピンの高さ調節を計算することによって現在のFサイクルを継続する動作と、ピンの高さ調節を調節信号として送る動作と、現在のFサイクルの力の差分の配列{ΔF}(現在の)が、前回のFサイクルの力の差分{ΔF}(前回の)より小さいか否かを判定する動作と、肯定された場合には、現在の[CG]を用いて現在のCGサイクルを継続しながら新たなFサイクルを開始する動作と、否定された場合には、現在のFサイクルから出て、新たなCGサイクルを開始する動作とを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明の長所は、詳細な技術的説明を読んだ後に、既存のガラス品質制御プロセスとの関係において、最もよく理解されよう。以下にそれらの長所の一部を強調する。
【0015】
本発明の長所は、とりわけ、表面の無重力形状が系統的に判定され得る点にある。無重力形状の判定の高速化及び自動化が達成され得る。多数のピンの高さ調節を、一度に一つずつではなく同時に行う。更に、無重力形状の判定の精度及び可能性が高まる。効率及び効果が高まることにより、無重力形状の判定に関する時間及びコストが削減される。
【0016】
他の態様、特徴、長所等は、添付の図面を共に本願明細書における本発明の説明を読めば、当業者には明らかであろう。
【0017】
本発明の様々な態様を示す目的で、用いられ得る簡略化した形態を図示する(図面中、同一参照番号は同一要素を示す)が、本発明は、図示されている正確な構成及び手段に限定されず、特許される特許請求の範囲によってのみ限定されることを理解されたい。これらの図面は縮尺通りではない場合があり、これらの図面のアスペクトも互いに縮尺通りではない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の1つ以上の実施形態による例示的なベッド・オブ・ネイル式形状測定ゲージを示すブロック図。
【図2】本発明の1つ以上の実施形態によるピンの高さ調節の計算及び実行のために実行され得る例示的な処理動作を示すフロー図。
【図3】本発明の1つ以上の実施形態によるピンの高さ調節の計算及び実行のために実行され得る更に別の例示的な処理動作を示すフロー図。
【図4】本発明の1つ以上の実施形態によるピンの高さ調節の計算及び実行に関係するシステムを示すブロック図。
【発明を実施するための型態】
【0019】
本発明は、フュージョン・ドロー装置(FDM)で製造されるガラス基体等といった測定対象の基体についてのベッド・オブ・ネイル式の形状測定ゲージにおけるピンの高さ調節の計算及び実行に関係する方法、システム、装置及び製品に関する。本発明は、特に、液晶ディスプレイ(LCD)用板ガラス等といったガラス基体の形状測定のためのベッド・オブ・ネイル式ゲージの使用に関する。
【0020】
コーニング社(Corning Incorporated)は、フュージョン法(例えば、ダウンドロー法)として知られる、フラットパネルディスプレイのような様々な装置で用いられ得る高品質の薄い板ガラスを形成するためのプロセスを開発した。フュージョン法で製造された板ガラスは、他の方法で製造された板ガラスと比べて優れた平坦度及び平滑度を有する表面を有するので、フュージョン法は、フラットパネルディスプレイに用いられる板ガラスの製造に好ましい技術である。一般的なフュージョン法は、米国特許第3,338,696号及び第3,682,609号等といった多くの文献に記載されており、当該技術分野でよく知られている。
【0021】
フュージョン法の一実施形態は、フュージョン・ドロー装置(FDM)を用いて、板ガラスを形成し、次にその板ガラスを2つのロールの間で延伸して所望の厚さに引き伸ばすことを含む。移動アンビル装置(TAM)を用いて、板ガラスを、顧客に送られるより小さい板ガラスに切断する。
【0022】
例として、ガラス製品は、コーニング社のガラス組成物番号(CORNING INCORPORATED GLASS COMPOSITION NO.)1737又はコーニング社のガラス組成物番号EAGLE2000(商標)で構成され得る。これらのガラス材料は多くの用途を有し、特に、例えば液晶ディスプレイの製造に用途を有する。
【0023】
FDMとTAMとの間での板ガラスの移動が、板ガラスの応力(反り)の一因であることがわかった。また、板ガラスがTAMで切断される際の移動により、板ガラスが更に応力を受けることもわかった。板ガラスが応力を受けた場合に生じ得る幾つかの問題がある。例えば、応力を受けた板ガラスは、2マイクロメートル以上も歪み得るが、これは顧客にとって望ましい状況ではない。別の例として、大きな板ガラスは応力を受けても歪まないことがあるが、より小さい板ガラスに切断された際に歪みを生じる。
【0024】
フュージョン・ドロー技術では、アイソパイプにより、大きく薄い、粘度の高いシート状の溶融ガラスが形成される。この粘度の高いシートが冷えると、まず、硬化温度において大きく薄いガラスの帯が形成される。この帯が冷え続けると、帯に温度勾配が生じる。更に、板ガラスの両縁部に沿ったビードの厚さは、板ガラスの中心部の高品質領域の厚さより遥かに大きい。ビードの冷却速度は、高品質領域の冷却速度とは異なる。従って、延伸部分を下降する方向及び延伸部分を横断する方向の両方に温度のばらつきが生じる。この温度のばらつきにより、熱機械的応力が生じる。ガラスの帯の幅は一般的に2メートルほどであり、長さは2〜6メートルほどである。帯の厚さは0.7mm以下である。
【0025】
このような薄く大きなガラスの帯では、非常に小さい面内圧縮応力で帯の座屈が生じる。圧縮応力が臨界座屈応力より遥かに大きい場合には、多モードの不安定性がトリガされ得る。FDMを用いた場合、ガラスの帯の冷却により、数百psi(1psiは約6894.757Pa)程度の圧縮応力が生じ得るが、これは臨界座屈応力より遥かに大きい。このような大きな熱応力は、面外変形、多モードの座屈、湾曲した飛び出しを生じ得る。
【0026】
液晶ディスプレイ(LCD)用板ガラスのダウンフロー延伸及びその結果の溶融(フュージョン)においては、製造業者が、高いフロー密度及び大きな帯サイズで残留応力及び形状変形が抑制されたLCD用板ガラスの安定した製造を達成することが非常に重要である。LCDパネルの製造コストを削減するために、パネルメーカーは、Gen7、Gen8以上等といったますます大型化する板ガラスを必要としている。将来的に板ガラスのサイズが増加するにつれ、板ガラスの形状及び歪みの制御に対する要求はより厳密になる。
【0027】
残留応力及び形状歪みには、熱機械的応力、湾曲した飛び出し、帯の座屈、シートの動き、引張り力、重力、TAMの適用、及び帯の切断の力学等といった多くの要因が寄与する。ガラスの帯は大きく且つ薄いので、非常に小さい圧縮応力でも帯の座屈が生じ得る。座屈は不安定性を生じ、座屈モードのジャンプや湾曲した飛び出しは、高レベルの応力及び形状変形を生じる。
【0028】
応力及び形状変形を抑制するための先進的な技術が幾つか開発されているが、応力及び形状変形を制御することの当然の帰結は、内部応力の指標を提供する形状変形の測定である。従来の形状変形の測定手法の大半は、測定対象の表面を撮像するための光学的な方法及び装置を含む。このような光学的な装置の例としては、上述の光学的な歪みゲージが挙げられる。光学的な手法には、ガラス基体等といった測定対象とゲージとの接触が最小限になり、測定プロセスにおけるガラス基体の損傷の可能性が低くなるという長所がある。しかし、光学的な方法では、一般的に、「無重力」での基体の測定は行わないので、基体の無重力形状は測定されない。
【0029】
一方、本発明はベッド・オブ・ネイル(BoN)式のゲージを用いて可撓性の板状物の無重力形状を測定する。例示的な可撓性の板状物としては、フュージョン・ドロー法で製造されたガラス基体が挙げられる。これらの板ガラスは、LCDパネルの製造に用いられる前に、最小形状歪みを含む品質制御ガイドラインを満たす必要がある。基本的に、基体は、通常は個々にピンと呼ばれるネイル(釘)のベッドに支持され、これらのピンは垂直方向に移動可能であり、基体からの被支持力も測定できる。
【0030】
ピンの高さは、各ピンが指定された目標重量を支持するまで調節される。例えば、均等に配分されたピンの上に載置された均一で平坦な基体についての目標重量は、基体の全重量を当分したものとなろう。しかしながら、各目標重量は隣とは異なる可能性が高く、これらの目標重量は有限要素解析に基づく応力解析を用いて決定され得る。全てのピンが指定された重量になった時、これらは無重力形状にある特定の基体を支持していることになる。これらのピンを無重力位置に配列すると、基体の表面を走査しピン上及びピン間で全表面にわたる高さを測定する光学的手段によって、無重力形状が測定され得る。
【0031】
BoNゲージに伴う問題は、1つのピンの高さを変えると、他の全てのピンにかかる重量が変わり得ることである。例えば極端な例では、1つのピンが、アソートされた複数のピンの頂部より上方に基体を持ち上げるほどの高さにされると、アソートされたピンは基体に接触せず、もはやいかなる重量も支えない。従って、1つのピンの高さを、一時的に目標重量を支持するように調節しても、他のピンの高さを変えると、支持される重量は変化する。システムを手作業で調節する場合には、これらのピンの調節に多大な時間がかかる。システムを自動化する場合には、これらのピンを調節するためのアルゴリズムが必要である。
【0032】
手作業で調節される前者のシステムでは、各ピンは個別に調節される。各ピンの高さは、目標重量が達成されるまで調節される。この1回の調節動作は、最初のピンから最後のピンまで、一度に1つのピンについて行われる。しかし、1つのピンを調節すると、他の全てのピンにかかる荷重が変わるので、各サイクルで前回のサイクルで生じた小さなずれを直しながら、この手順を何度も繰り返さなければならない。
【0033】
1つ以上の実施形態によれば、本発明は、複数のピンの高さを、全てのピンに対する目標重量を同時に支持するように調節する方法を含む。特に、本発明は、配列されたピンに対する適切なピンの高さ調節の系統的な計算及び実行を提供する。全てのピンが指定された重量になるよう調節された時、それらの高さは特定の基体についての無重力の高さになる。無重力の高さに配列されたピンは、無重力形状の測定と、潜在的な形状歪み(あれば)の測定とを提供する。ピンの高さ調節器がピンの高さも記録するので、光学スキャナ等といった高さ測定手段を追加する必要はない。
【0034】
本発明によれば、全てのピンが同時に調節され得る。全てのピンが調節されるまで、ピンの力を評価する必要はない。ピンの力とは、ピンからの上向きの力であり、ピンが動いていない場合に、ピンによって支持される下向きの力と等しい。このプロセスは、複数のピンを1つのグループとして調節することにより、1つのピンの調節が他の全てのピンに影響するという事実を考慮したものとなる。その結果、本発明は、ほぼ全ての場合において、全てのピンに対する目標のピンの力を達成するという長所を有し得る。
【0035】
図1を参照すると、ブロック図は、本発明の1つ以上の実施形態による例示的なベッド・オブ・ネイル式形状測定ゲージ100を示す。BoNゲージ100は複数のピン110(少なくとも3つのピン110を有する)と、ゲージ基台120と、プロセッサ130とを含み得る。可撓性の板状物は測定対象140であり、ここではガラス基体140として示されている。基体140は複数のピン110の上に載置され、この測定対象140が重力下で撓むと、各ピン110は特定の重量を支える。各ピン110は、ピン110によって支持される特定の重量を測定するためのロードセル112を有する。ロードセル112は高さ調節器114の上に取り付けられ得る。高さ調節器114は、公知の方法でピン110の高さを調節する装置であり、モータを有し得る。他の構成として、ロードセル112を下に設け、高さ調節器114の重量を考慮する等といったことも考えられる。
【0036】
各ロードセル112は、回路116を介してプロセッサ130に、測定されたピンの力に関する測定信号132を送り得る。そして、プロセッサ130は、各ピン110に対する必要な高さ調節を計算するアルゴリズムを実行し得る。プロセッサ130は、回路116を介して各高さ調節器114に、計算された高さ調節を実行するための調節信号134を送り得る。大抵の場合、アルゴリズムが良好であるほど、ロードセル112が目標の荷重を読み取る速度が速くなる。
【0037】
本発明は、1つのピン110のピン高さを変えると、一般的に、全てのピン110にかかる荷重が変わるという事実を利用したものである。ゲージ100にはN本のピン110が用いられているとする。目的は、各ピン110にかかる力が特定の値となるピン高さを見出すことである。例えば、厚さ及び密度が比較的均一な略平面状の基体140では、N個のピン110の分布が均等であるとすると、ほぼ均等な質量分布が仮定され、特定の重量の値は基体重量の1/Nとなり得る。
【0038】
本発明の或る実施形態によれば、ピン110のうち3つのピンは調節されず、各調節サイクルにおいて静止している。静止した3つのピン110は基準面を定める。この理由から、これらのピン110は一直線上に存在すべきではない。各サイクルにおいて、3つのピンは固定されたままである。これらは後のサイクルで調節されてもよい。その後、残りのN−3個のピン110全ては、以下で計算されるように、特定の重量を支持するように調節され得る。
【0039】
残りのN−3個のピン110に対するピン高さの調節の計算は、複数のピンの高さの変更量を複数のピンにおける重量の変化量と関係付けるN−3個の式とN−3個の未知数とを有する連立方程式のセットとして考えることができる。3つのピンは固定されており、連立方程式が関係付けを行う基準となる基準面を定める。物理的な観点からは、力の合計、1つの軸回りのモーメントの合計、及び別の軸回りのモーメントの合計が、満足されるべき3つの式を表す。3つのピンを固定することにより、これらのピンの目標重量は、他のピンをそれらの目標重量が満足されるように調節することによって、系統的に満足される。幾何学的な観点からは、3つの点を固定しなければ、剛体運動が可能であるが、望ましくない。剛体運動は、基体を平行移動させ得ると共に2つの異なる軸回りに回転させ得るものであり、これにより、ピンの高さ調節のための式のセットに対して2つ以上の解が生じる。従って、3つの点を固定して、ピンの高さ調節のための式のセットに対して1つの解のみが存在するようにする。しかしながら、これらの式は既知である必要はない。本発明は、実際にこれらの式を知らないまま、これらの式を解く手段を示す。
【0040】
図2を参照すると、フロー図は、本発明の1つ以上の実施形態による、測定対象140に関してベッド・オブ・ネイル式形状測定ゲージ100におけるピンの高さ調節を計算及び実行するために実行され得る処理動作を示す。例示的な調節処理200は、列挙される動作の一部又は全部を含み得る。
【0041】
処理200では、最初の仮定として、形状がついた基体140を平坦であるものと見積もる。撓みは小さいものであるとし、線形弾性板理論及びこの系の有限要素モデルを用いて、他の全てのピン110が固定されている状態における1つのピン110の高さの単位変化量に対する、各ロードセル112にかかる荷重の変化量を計算する。これは、各支持ピン110毎に、一度に1つのピン110に対して行うことができる。撓みは小さいものであると仮定しているので、線形弾性板理論の重ね合わせが有効であるものとする。即ち、N−3個のピン110の全てがそれぞれ異なる量だけ動かされる場合の、全てのピン110にかかる荷重の変化量が計算され得る。ピンiにかかる荷重の変化量は、式1で表すことができる。
式1
【数1】

【0042】
式中、ΔFはピンiにかかる力の変化量であり、kijはピンjの高さの単位変化量に対するピンiにかかる力の変化量であり、ΔHはピンjの高さの変更量である。行列の形式で、以下の式2が導かれ得る。
【0043】
式2 {ΔF}=[K]{ΔH}
上述したように、kijは平坦な板についての有限要素解析から計算できる。プロセッサ130は、[K]の要素を計算したら、支持ピンの高さ調節を導出し得る。基体140がゲージ100上に載置されたら、プロセッサ130は、全てのピン110にかかる力を対応するロードセル112から読み取る。プロセッサ130は、これらの力の測定値を、目標とする力の具体的な値と比較し、その差分は以下の式3を用いて{ΔF}となる。
【0044】
式3 {ΔF}={F−F
式中、FはN−3個のピン110の各々に対する目標とする力の値を含む配列であり、FはN−3個のピン110の各々の測定された力の値を含む配列である。プロセッサ130は、[K]の逆行列を求めることにより、{ΔH}の解を求め得る。以下の式4は、この計算を要約したものである。
【0045】
式4 {ΔH}=[K]−1({F−F})
測定値が、ピンの高さ調節の最初のサイクルにおける、目標とする力の許容可能な誤差の範囲内にない場合には、許容可能な誤差の範囲内で目標値が得られるまで、ピンの高さ調節のサイクルが繰り返され得る。
【0046】
以下の動作は処理200の概要を示すものである。
【0047】
処理200の動作210では、N−3個のピン110の各々に対する目標とする力の配列{F}を計算する。
【0048】
処理200の動作220では、例えば式1及び式2を用いて、高さの変更量に対する力の変化量の行列[K]、その逆行列[K]−1を計算する。
【0049】
動作230では、各ピン110にかかる力を測定することによりFサイクルを開始し、N−3個のピン110の各々にかかる測定された力の配列{F}を決定する。
【0050】
動作240では、例えば式3を用いて、ピンの測定された力と目標とする力との差分を計算する。
【0051】
動作250では、力の差分{ΔF}が許容可能な差分の範囲内であるか否かを判定する。YESの場合には、動作280に進み、Fサイクルから出る。NOの場合には、動作260に進み、現在のFサイクルを継続する。
【0052】
動作260では、例えば式4を用いて、各ピン110に対するピンの高さ調節を計算する。
【0053】
動作270では、ピンの高さ調節を実行し、動作230に戻って、新たなFサイクルを開始する。
【0054】
動作280では、基体140の測定された表面形状を示すピンの高さの最終的な値の配列{H}を得て、ピン高さ調節処理200から出る。
【0055】
図3を参照すると、フロー図は、本発明の1つ以上の実施形態による、測定対象140についてベッド・オブ・ネイル式形状測定ゲージ100におけるピンの高さ調節を系統的に計算及び実行するために実行され得る処理動作を示す。例示的な調節処理300は、以下の動作の一部又は全部を含み得る。
【0056】
上述したように、このタスクは、N−3個の未知数を有するN−3個の連立方程式のセットであると特徴付けられ得る。しかし、処理200とは対照的に、線形板理論は有効ではなく、大きな撓みを有するものと仮定している。有限要素解析(FEA)を用いて平坦な基体140についての行列[K]を計算してもよいが、この行列は、平坦ではない基体については正確ではない場合がある。
【0057】
処理300では、最初の仮定として、形状がついた基体140は平坦ではないものと見積もる。処理300は、非線形連立方程式の系の解を求めるために、共役勾配解析を用い得る。処理200と同様に、処理300は、式1〜4と類似の以下のように修正された式を用い得る。例えば、式5を用いて、ピンの支持高さの変更量に対する解を求め得る。
【0058】
式5 {ΔH}=[CG]−1({F−F})
式中、[CG]は、N−3個の支持ピン110の各々に対する共役勾配を含む行列である。
【0059】
共役勾配CGijは、ピンiにかかる力の、ピンjの高さに関する導関数である。複雑な非線形連立方程式の系については、勾配の導出は簡便には行えないが、計算的に行われ得る。ここでは、僅かな変化量を1つの変数として、応答を計算する。勾配は、以下の式6のように、応答の変化量を変数の変化量で割ったものである。
【0060】
式6 CGij=ΔF/ΔH
この変更/測定/計算の組み合わせを全ての変数(i,j=1からN−3)について行い、行列[CG]を計算する。
【0061】
処理300では、プロセッサ130は、1つのピン110(ピンj)の高さを調節して、ピンjの高さ調節の前後の測定された力の値に基づき、全てのN−3個のピン110にかかる荷重の変化量を計算し得る。上記の式6のように、ピン(i)にかかる荷重の変化量をピン(j)の高さの変更量で割ることにより、CGijが得られる。全てのN−3個のピン110に対してこのような共役勾配解析を実行することにより、[CG]を計算できる。[CG]が得られたら、[CG]−1が決定され、プロセッサ130は、例えば上記の式5を用いて{ΔH}を計算し、それに従ってピンの高さ調節を実行し得る。
【0062】
共役勾配の計算は時間がかかるものであり得ると共に、全てのサイクルで必要なものではない可能性もあり、その場合には、複数のサイクルで同じ行列[CG]を用いてもよい。一般的には、プロセッサ130が、所与の[CG]に基づいて更にピンの高さ調節を行っても、測定された力の値がそれ以上は目標値に収束しないと判断するまで、所与の行列[CG]を用いてもよく、その決定がなされた時点で、新たな[CG]を計算してもよい。
【0063】
以下の動作は処理300の概要を示すものである。
【0064】
処理300の動作310では、N−3個のピン110の各々に対する目標とする力の配列{F}を計算する。
【0065】
動作320ではCGサイクルを開始し、例えば動作321〜329を用いて、共役勾配の行列[CG]及びその逆行列[CG]−1を計算する。
【0066】
動作321では、1つのピン110(即ち、ピンj)の高さを変えることにより、CGサブサイクルを開始する。
【0067】
動作323では、全てのピン110(即ち、i=1からN−3であるピンi)にかかる荷重を測定し、全てのピン110に対する荷重の変化量を計算する。
【0068】
動作325では、例えば式6を用いて、ピンjに対するピン高さ調節に関する各ピン110(ピンi)の共役勾配CGijを計算する。
【0069】
動作327では、j<N−3である場合には動作321に進み、新たなCGサブサイクルを開始して、例えばjの値に1を加えることにより(例えば、j=j+1)、異なるピン110を選択し、その異なるピン110(ピンj)の高さを変える。j=N−3となるまでCGサブサイクルを継続すべきである。全てのピン110(j=1からN−3)が選択され、[CG]の全ての要素CGijが計算されたら、動作329に進む。
【0070】
動作329では、共役勾配行列[CG]の逆行列、即ち[CG]−1を計算する。
【0071】
動作330では、各ピン110にかかる力を測定することによりFサイクルを開始し、N−3個のピン110の各々にかかる測定された力の配列{F}を決定する。
【0072】
動作340では、例えば式3を用いて、ピンの測定された力と目標とする力との差分{ΔF}を計算する。変数{ΔF}(previous)に前回のFサイクルの差分の値を代入し、変数{ΔF}(current)に現在のFサイクルの差分の値(例えば{ΔF})を代入する。
【0073】
動作350では、力の差分{ΔF}(current)が許容可能な差分の範囲内であるか否かを判定する。YESの場合には動作390に進み、Fサイクルのループから出る。NOの場合には動作360に進み、現在のFサイクルを継続する。
【0074】
動作360では、例えば式5を用いて、各ピン110に対するピンの高さ調節を計算する。
【0075】
動作370では、ピンの高さ調節を実行する。
【0076】
動作380では、現在のFサイクルの力の差分{ΔF}(current)が、前回のFサイクルの力の差分{ΔF}(previous)より小さいか否かを判定する。YESの場合には動作330に進み、現在の[CG]を用いて(現在の[CG]が、測定された力の値を目標とする力の値に収束させ続けているため)現在のCGサイクルを継続しつつ、新たなFサイクルを開始する。NOの場合には動作320に進み、新たな[CG]を計算し、新たなCGサイクルを開始する。
【0077】
動作390では、基体140の測定された表面形状を示すピンの高さの最終的な値の配列{H}を得て、ピン高さ調節処理から出る。
【0078】
図4を参照すると、ブロック図は、本発明の1つ以上の実施形態によるシステム400を示す。システム400は、一方では、ベッド・オブ・ネイル式形状測定ゲージ100におけるピンの高さ調節を計算し実行するシステムであり、他方では、物体の表面の無重力形状を測定するシステムである。システム400はコンピュータソフトウェア410を含み得る。コンピュータソフトウェア410は、有体物としてコンピュータが使用可能な媒体420に格納されるコンピュータプログラム製品であり得る。コンピュータが使用可能な媒体420は、光ディスク、磁気的にプログラムされたメディア、半導体メモリ(例えば、フラッシュメモリ)、磁気光メモリ、パンチカード、ホログラムメモリ、分子メモリ、相変化メモリ等といった様々な有形のデータストレージ技術を含み得る。ソフトウェア410は、例えばコンピュータ430内にあるプロセッサ130を制御するよう動作可能な、コンピュータが実行可能な指示を含む。更に、システム400は、プロセッサ130、コンピュータ430、ピン110、ロードセル112、高さ調節器114、並びにプロセッサ130をロードセル112及び高さ調節器114に接続する回路116等といった1つ以上のハードウェアコンポーネントを含み得る。例えば、ロードセル112及び高さ調節器114は、コンピュータ430に接続され得る。別の実施形態では、プロセッサ130は、データ記憶媒体上のソフトウェア410を、例えばコンピュータ430の内部又は外部のメモリ440に直接又はハードドライブ450に間接的に格納し得る。
【0079】
本発明の全ての計算的及び信号関連の態様は、適切なソフトウェア410を有する従来のコンピュータ430又はコンピュータシステムによって実行され得るものであり、仮定、測定された力の値、目標とする力の値、ピンの高さ調節等といった様々なデータポイントは、ソフトウェア410を用いて入力及び記録され得る。ソフトウェア410は、ロードセル112と通信する測定ドライバ412、高さ調節器114を制御する調節ドライバ414、データストレージ用のデータベース415、回路116とのやりとりのための入出力ドライバ416、論理、規則及び条件を格納する論理インターフェース417、コンピュータのオペレータとのやりとりのためのグラフィカル・ユーザ・インターフェース418、及びコンピュータ430のプロセッサ130を用いて必要な計算を実行する計算エンジン419等といったソフトウェアコンポーネントを含み得る。ソフトウェア410は、コンピュータ430とのやりとりを介して、コンピュータ430に、ロードセル112から測定信号132を受け取って処理し、計算(例えば、処理200及び300の計算)を実行し、高さ調節器114に調節信号134を送るよう自動的に指示するよう設計され得る。システム400は、全てのハードウェアコンポーネントと連動して、処理200及び/又は処理300を自動化するよう構成され得る。
【0080】
本願明細書においては、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これらの実施形態は、単に本発明の原理及び適用例を説明するためのものであることを理解されたい。従って、これらの例示的な実施形態には多くの変更がなされ得るものであり、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の精神及び範囲を逸脱することなく他の構成が考案され得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0081】
100 ベッド・オブ・ネイル式形状測定ゲージ
110 ピン
112 ロードセル
114 高さ調節器
120 ゲージ基台
130 プロセッサ
134 調節信号
140 測定対象(基体)
400 システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)各測定された力Fが、ベッド・オブ・ネイル式測定ゲージの、物体の表面と係合して該表面を支持するよう動作可能な複数の高さ調節可能なピンのうち関連付けられた1つのピンに前記物体の前記表面によって加えられる力を示す、複数の測定された力{F}を受け取る工程と、
(b)各ピンに対する目標とする力{F}と各ピンにおける前記測定された力{F}との間の力の差分{ΔF}を計算する工程と、
(c)各前記ピンに1つの高さが対応する複数の高さに対する高さの変更量{ΔH}を前記力の差分{ΔF}の関数として計算する工程と、
(d)全ての前記複数のピンの高さを1つのグループとして前記高さの変更量{ΔH}に従った新たな複数の高さに調節するための調節信号を送る工程と、
(e)前記複数のピンの前記新たな複数の高さが前記物体の前記表面の無重力形状を示すような、前記目標とする力{F}が実質的に得られるまで、前記工程(a)〜(d)を繰り返す工程と
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記複数の高さに対する高さの変更量{ΔH}を計算する前記工程が、
他のピンの高さの変更から生じる各ピンにかかる力の変化量を表す関係の行列[Δf/Δh]を決定し、
行列式{ΔH}=[Δf/Δh]−1{F−F}に従って前記高さの変更量{ΔH}を計算する
各工程を備えることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記行列[Δf/Δh]=[CG]の各値が、前記複数のピンの所与の1つのピンにかかる力の、他のピンの高さに関する導関数をとることによって得られる
ことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記行列[CG]を得る前記工程が、
(i)前記複数のピンの所与の1つのピンの高さの変更に応答した各前記ピンにかかる荷重の変化量を測定する工程と、
(ii)前記工程(i)における測定に基づき、前記所与のピンについての前記行列[CG]の値を計算する工程と、
(iii)前記行列[CG]が完成するまで前記工程(i)〜(ii)を繰り返す工程と
を備えることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
物体の表面の無重力形状を測定する方法であって、
測定中に前記表面を支持するよう動作可能な複数のピンであって、各ピンがロードセル及び高さ調節器を含み、該高さ調節器が調節信号に応答して関連付けられたピンの高さを調節するように動作可能である、複数のピンから、測定信号を受け取る工程と、
前記複数のピンの高さによって、前記表面が各ピンに対して及ぼす測定された力が、前記無重力形状に対応する目標とする力に近づくと共に、ピンの高さの最終的な値の配列が前記表面の前記無重力形状の測定値を示すように、ピンの高さ調節を系統的に計算して前記調節信号を生成する工程と
を備え、
前記ピンの高さ調節を計算する前記工程が、
(a)各前記ピンに対する目標とする力を計算する工程と、
(b)前記複数のピンに対する目標とする力の配列{F}を決定する工程と、
(c)高さの変更量に対する力の変化量の行列[K]及び逆行列[K]−1を計算する工程と、
(d)各ピンにかかる測定された力を表す測定信号を受け取る工程と、
(e)前記複数のピンにかかる測定された力の配列{F}を決定する工程と、
(f)前記測定された力の配列及び前記目標とする力の配列から、力の差分の配列{ΔF}を計算する工程と、
(g)前記力の差分の配列{ΔF}が許容可能な差分の範囲内であるか否かを判定し、前記判定が肯定であった場合には工程(i)に進み、前記判定が否定であった場合には工程(h)に進む工程と、
(h)前記力の差分の配列{ΔF}の関数としてピン高さ調節値の配列{ΔH}を計算し、該ピン高さ調節値の配列{ΔH}に基づき、前記ピンの高さ調節を調節信号として生成し、前記工程(d)〜(g)の新たなサイクルを開始する工程と、
(i)前記ピンの高さの最終的な値の配列{H}を得てFサイクル及びピン高さ調節処理から出る工程と
を備えることを特徴とする測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−510518(P2010−510518A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538391(P2009−538391)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/024045
【国際公開番号】WO2008/063550
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】