説明

ホースの製造方法及びワイヤ巻き付け装置

【課題】高圧ホースのワイヤ補強層を編み上げる際、ワイヤの浮きや弛みの発生を防止することができるとともに、ホース裁断時にホース端部の広がりを効果的に防ぐことができるホースの製造方法及びワイヤ巻き付け装置を提供する。
【解決手段】内管14の周囲にワイヤWを巻き付けてワイヤ補強層18を有するホースを製造する方法であって、前記ワイヤが前記内管の径方向外側に広がらないように該ワイヤにくせを付ける工程を含むことを特徴とするホースの製造方法。好ましくは、ワイヤ巻き付け装置10が、ワイヤが内管の径方向外側に広がらないように該ワイヤにくせを付けるくせ付け用ローラ48を備え、内管を支持したマンドレル12を回転定盤20の中心孔22に通過させるとともに該回転定盤を回転させることにより、マンドレルに支持された内管の周囲にくせが付けられたワイヤを巻き付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホースの製造方法及びワイヤ巻き付け装置に関し、具体的には、ワイヤ補強層を有する耐圧性の高いホースの製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
耐圧性を高めたホースとして、ゴム等からなる内管の周囲にワイヤ補強層を有する、いわゆる高圧ホースが知られている。
図7は、高圧ホースの断面を概略的に示している。このような構造の高圧ホース70を製造するには、例えば、ゴム等の弾性材料を押し出して内管(内管ゴム)72を形成し、その周囲にワイヤを螺旋状に巻き付けてワイヤ補強層74を編み上げる。次いで、補強層74の周囲を外皮ゴム76で被覆することにより高圧ホース70が製造される(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開昭56−86733号公報
【特許文献2】特開平11−247057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようにして製造された高圧ホースは、所定の長さに切断し、その端部に専用の口金具が取り付けられる。しかし、ワイヤ補強層を編み上げる際、内管ゴム72の周囲でワイヤの浮きや弛みが発生する場合がある。また、ワイヤの巻き付け力が不足し、ホース裁断時にホースの端部が広がってしまい、口金具への挿入性が悪いといった問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、高圧ホースのワイヤ補強層を編み上げる際、ワイヤの浮きや弛みの発生を防止することができるとともに、ホース裁断時にホース端部の広がりを効果的に防ぐことができるホースの製造方法及びワイヤ巻き付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明では以下のホースの製造方法等が提供される。
【0007】
<1> 内管の周囲にワイヤを巻き付けてワイヤ補強層を有するホースを製造する方法であって、前記ワイヤが前記内管の径方向外側に広がらないように該ワイヤにくせを付ける工程を含むことを特徴とするホースの製造方法。
ワイヤが内管の径方向外側に広がらないようにくせを付けることで、巻き付け時におけるワイヤの浮きや弛みが抑制されるとともに、ホース切断時における端部でのワイヤの広がりが極めて小さく抑えられる。
【0008】
<2> 前記ワイヤにくせを付ける手段として、くせ付け用ローラを用いることを特徴とする<1>に記載のホースの製造方法。
くせ付け用ローラを用いれば、ワイヤの移動に伴ってワイヤに容易にくせを付けることができ、高い巻き付け速度でワイヤを巻き付けることができる。
【0009】
<3> 前記ワイヤ径が0.20〜0.40mmの場合には、3〜15mmのローラ径を有するくせ付け用ローラを用い、前記ワイヤ径が0.40mmより大きい場合には、4〜18mmのローラ径を有するくせ付け用ローラを用いることを特徴とする<2>に記載のホースの製造方法。
上記のように使用するワイヤ径に応じたローラ径を有するくせ付け用ローラを用いれば、ワイヤに確実にくせを付けることができ、より強い巻き付け力で内管に巻き付けることができる。
【0010】
<4> 前記くせ付け用ローラを、前記ワイヤと接触する部分の円周角が90°以上となるように配置することを特徴とする<2>又は<3>に記載のホースの製造方法。
くせ付け用ローラを上記のように配置してワイヤと接触させることで、ワイヤに十分にくせを付けることができる。
【0011】
<5> 内管の周囲にワイヤを巻き付ける装置であって、
前記内管が通過する中心孔を有する回転定盤と、
前記内管を支持し、前記回転定盤の中心孔を通過するマンドレルと、
前記ワイヤが巻かれ、前記回転定盤の中心孔の周りに配置されたボビンと、
前記ボビンから送り出されたワイヤを、前記マンドレルに支持された内管の周囲に巻き付ける位置に導くガイド手段と、
前記ワイヤが前記内管の径方向外側に広がらないように該ワイヤにくせを付けるくせ付け手段と、を備え、
前記内管を支持したマンドレルを前記回転定盤の中心孔に通過させるとともに該回転定盤を回転させることにより、前記マンドレルに支持された内管の周囲に前記くせが付けられたワイヤを巻き付けることを特徴とするワイヤの巻き付け装置。
上記のようなくせ付け手段を備えた巻き付け装置であれば、ワイヤを内管の周囲に浮きや弛みを抑えて巻き付けるとともに、切断部でのワイヤの広がりが小さいワイヤ補強層を形成することができる装置となる。
【0012】
<6> 前記くせ付け手段が、くせ付け用ローラであることを特徴とする<5>に記載のワイヤの巻き付け装置。
くせ付け用ローラを備えていれば、ボビンから引き出されたワイヤの移動に伴ってワイヤにくせを付けることができ、高い巻き付け速度でワイヤを巻き付けることができる巻き付け装置となる。
【0013】
<7> 前記くせ付け用ローラが、前記ワイヤと接触する部分の円周角が90°以上となるように配置されていることを特徴とする<6>に記載のワイヤの巻き付け装置。
くせ付け用ローラが上記のように配置されていれば、ワイヤに十分にくせを付けることができる巻き付け装置となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ワイヤ補強層を有する高圧ホースを製造する際、内管の周囲にワイヤを高い巻き付け力で巻き付けることができる。これによりワイヤの浮きや弛みの発生を抑制することができるとともに、ホース裁断時にはホース端部の広がりを効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るホースの製造方法及びワイヤ巻き付け装置について説明する。
本発明者は、ゴム等の内管の周囲にワイヤを巻き付けてワイヤ補強層を有するホースを製造する際、前記ワイヤが前記内管の径方向外側に広がらないようにくせを付けることにより、ワイヤが高い巻き付け力で巻きつき、ワイヤの浮きや弛みの発生を防止するとともに、ホース裁断時の広がりも極めて効果的に防ぐことができることを見出した。
【0016】
図1は、本発明に係るワイヤ巻き付け装置の構成の一例を概略的に示している。このワイヤ巻き付け装置10は、回転定盤20、ボビン16、マンドレル12、ガイドローラ42,44,46、くせ付け用ローラ48、巻き付け位置決めガイド50等を備えている。
【0017】
回転定盤20の中心部には、内管ゴム14を通過させるための中心孔22が形成されている。回転定盤20の中心孔22の周りには、ワイヤWが巻かれたボビン16が複数配置されている。なお、ワイヤWの材質は、要求される補強層の強度等に応じて適宜選べばよい。
【0018】
ボビン16の数は特に限定されず、要求されるワイヤ補強層18の強度等に応じて適宜設定すればよい。
また、ボビン16の配置も特に限定されるものではないが、例えば図2に示すように、回転定盤20の中心孔22を中心とした2つの同心円上にそれぞれ所定の間隔でボビン16を配置することができる。このようにボビン16を配置すれば、各ボビン16から略等間隔でワイヤWが供給され、内管ゴム14の周囲に多数のワイヤWを同時に巻き付けることができる。
【0019】
回転定盤20のボビン16が配置された反対側の面の中央部にはギヤ24が設けられており、ギヤ24は駆動モータ26の駆動ギヤ28と噛み合わされている。駆動モータ26の駆動力が、駆動ギヤ28及びギヤ24を介して回転定盤20に伝達されることで回転定盤20が回転することになる。
【0020】
マンドレル12は、内管ゴム14の周囲にワイヤWを巻き付ける際、内管ゴム14に挿入された状態で支持し、回転定盤20の中心孔22を通過することができる。
【0021】
回転定盤20と同軸上には、ローラ支持盤30が設けられている。ローラ支持盤30の中心部には、回転定盤20と同様にマンドレル12に支持された内管ゴム14を通過させるための中心孔32が形成されている。ローラ支持盤30は回転定盤20と支柱34を介して連結されており、回転定盤20と同期して回転することができる。
【0022】
ローラ支持盤30上には個々のボビン16に対応したローラ支持体40が固定されている。各ローラ支持体40には、ガイドローラ42,44,46及びくせ付け用ローラ48が取り付けられている。
ガイドローラ42,44,46は各ボビン16から送り出されたワイヤWと接触し、ワイヤWの移動に伴ってそれぞれ軸回転する。このようなガイドローラ42,44,46によりワイヤWが内管ゴム14の周囲に円滑に導かれる。
【0023】
第1のガイドローラ42と第2のガイドローラ44との間には、ワイヤWが内管ゴム14の径方向外側に広がらないようにワイヤWにくせを付けるためのくせ付け用ローラ48が設けられている。くせ付け用ローラ48もワイヤWの移動に伴って軸回転することができる。
【0024】
内管ゴム14にワイヤWを巻き付ける位置には、巻き付け位置決めガイド50が設けられている。巻き付け位置決めガイド50の中心部にも内管ゴム14を通過させるための中心孔52が形成されている。巻き付け位置決めガイド50は、ワイヤWが通過するスリットを有する脚部材54を介してローラ支持盤30に連結されており、回転定盤20及びローラ支持盤30と同期して回転することができる。
【0025】
次に、このような構成のワイヤ巻き付け装置10を用いて高圧ホースを製造する方法について説明する。
図1に示されるように、各ボビン16から引き出したワイヤWを、第1のガイドローラ42、くせ付け用ローラ48、第2のガイドローラ44、及び第3のガイドローラ46に順次巻きまわし、巻き付け位置決めガイド50の中心孔52を経て内管ゴム14の周囲に巻き付ける位置まで導く。
【0026】
一方、マンドレル12を矢印Aの方向に所定の速度で移動させるとともに、押出機(図示ぜず)からマンドレル12上に内管ゴム14を所定の寸法で押し出す。内管ゴム14はマンドレル12が挿入された状態で支持され、回転定盤20、ローラ支持盤30、及び巻き付け位置決めガイド50の各中心孔22,32,52を順次通過することになる。
【0027】
そして、各ボビン16から引き出され、巻き付け位置決めガイド50の内側に導かれたワイヤWを内管ゴム14の周囲に接触させた状態とし、回転定盤20を所定の方向に回転させる。これにより、ワイヤWが内管ゴム14の周囲に螺旋状に同時に巻き付けられるとともに各ボビン16からワイヤWが連続的に引き出される。このとき、第1のガイドローラ42を通過したワイヤWは、ガイドローラ42と接触する面とは反対側の面がくせ付け用ローラ48と接触して湾曲し、さらに第2及び第3のガイドローラ44,46を経て位置決めガイド50へと移動する。このようにワイヤWを内管14の周囲に巻き付ける前にワイヤWがくせ付け用ローラ48を介して巻かれることで、内管ゴム14の周囲に巻かれたときに内管ゴム14の内側の方向に向けて湾曲し、径方向外側に広がらないようなくせが付くことになる。
【0028】
上記のように各ボビン16から引き出されたワイヤWは、くせ付け用ローラ48等を経た後、内管14の周囲に一定間隔をおいて平行して巻き付けられ、螺旋状のワイヤ層(補強層)18が形成される。そして、ワイヤWの巻き付けの際、各ワイヤWには内管ゴム14の内管14の径方向外側に広がらないように内管ゴム14の周囲に自ら巻き付くようなくせが付いているため、強い巻き付け力で内管ゴム14に巻き付けることができる。
【0029】
くせ付け用ローラ48の大きさ(ローラ径)は特に限定されないが、本発明者の実験によれば、ワイヤ径が0.20〜0.40mmの場合には、3〜15mmのローラ径を有するくせ付け用ローラ48を用い、ワイヤ径が0.40mmより大きい場合、4〜18mmのローラ径を有するくせ付け用ローラ48を用いることが好ましい。なお、使用するワイヤWの径は特に限定されないが、ワイヤの巻き付け時に破断したり、ワイヤ補強層により耐圧性の、ワイヤが太過ぎると内管の周囲に巻き付け難くなるなどの問題があるため、ワイヤ径の上限は1.0mm程度である。
このようにワイヤ径に応じてくせ付け用ローラ48のローラ径を採用すれば、ワイヤWに確実にくせを付けることができ、より強い巻き付け力で内管ゴム14に巻き付けることができる。
【0030】
また、くせ付け用ローラ48の位置は、ワイヤWを内管14の周囲に巻き付ける前にくせを付けることができれば特に限定されないが、確実にくせを付けることができるように配置することが好ましい。図3は、ワイヤWがくせ付け用ローラ48に巻かれている部分の巻き付け角度(円周角)θを示している。くせ付け用ローラ48におけるワイヤWの巻き付け角度θが90°以上となるようにくせ付け用ローラ48を配置すれば、ワイヤWに十分にくせを付けることができるため好ましい。なお、ワイヤWは、くせ付け用ローラ48に一周以上巻き付けてくせ付けを行うこともできるが、巻き付けテンションの上昇を招くおそれもあるため、巻き付け角度θは好ましくは270°以下、より好ましくは180°以下とする。
【0031】
また、内管ゴム14の周囲に巻き付けるワイヤ層の数は特に限定されず、要求される補強層の強度等に応じて適宜決めればよい。例えば、巻き付け装置10を同軸上に複数配置してワイヤWを連続的に巻き付けることで、複数のワイヤ層が重なった補強層を効率的に形成することができる。
【0032】
例えば、図4に示すように内管ゴム14の周囲に網目状の補強層18を編み上げる場合には、上記のような構成の巻き付け装置10を2台用意し、それぞれの回転定盤20が同軸上で回転するように対向配置する。各装置10の回転定盤20を所定の方向にそれぞれ回転させるとともに、マンドレル12が挿入された状態で内管ゴム14を各装置10の中心孔22,32,52を通過させる。マンドレル12に支持された内管ゴム14は、一方の装置では矢印Aの方向に移動し、他方の装置では逆方向に移動し、それぞれ内管ゴム14の径方向外側に広がらないようにワイヤWが螺旋状に巻き付きつくことになる。これにより、各装置においてワイヤWを対称的な螺旋状となるように巻き付け、内管ゴム14の周囲に高い巻き付け力で巻かれた網目状のワイヤ補強層18を編み上げることができる。
【0033】
内管ゴム14の周囲にワイヤ補強層18を編み上げた後は、保護層として外皮ゴムで被覆する。
【0034】
上記のように内管ゴム14の周囲に巻き付けたワイヤが内管ゴム14の径方向外側に広がらないようなくせを付ければ、ワイヤWが内管ゴム14の表面から浮いたり、弛んだりすることを防止することができる。さらに、製造されたホースを所定の長さに裁断する時にホース端部の広がりを効果的に防ぐことができる。例えば、スカイブ方式により、すなわちホースの外皮ゴムを除去して口金具を締結する場合、外皮を除去してワイヤ補強層18を露出させても、ワイヤW(補強層)が外側にはほとんど広がらず、内管ゴム14にほぼ密着した状態に保たれるため、口金具に容易に挿入して締結することができる。
【0035】
図1に示したワイヤ巻き付け装置では、ワイヤWのくせ付け手段としてローラ48を採用したが、ワイヤWが内管ゴム14の径方向外側に広がらないようにくせを付けることができれば他の手段を採用することもできる。
例えば図5(A)に示すように、第1及び第2のガイドローラ42,44の間に湾曲したエッジを有する部材62を固定しておき、ワイヤWを、ガイドローラ42,44と接触する面とは反対側の面でエッジ部材62と接触するように通過させてくせを付けてもよい。また、図5(B)に示すように、第1のガイドローラ42と第2のガイドローラ44との間に円柱状又は円筒状のピン64を固定し、ワイヤWをピン64の周囲に沿わせて通過させることでくせを付けてもよい。
【0036】
ただし、上記のようなくせ付け用のエッジ部材62やピン64は、ローラ48のようにワイヤWの移動に伴って回転しないため、くせ付け用ローラ48を用いる場合に比べて編上げテンションが高くなり、ワイヤWを巻き付ける速度が低下し、生産性が低くなる傾向がある。従って、くせ付け用ローラ48を用いることがより好ましい。
【実施例】
【0037】
以下、実施例について説明する。
図1に示したような構成のワイヤ巻き付け装置において、ガイドローラ及びくせ付け用ローラの大きさ及び配置を変更し、図6(A)〜(E)に示したような5タイプのローラ構成を採用した。42a〜42eは第1ガイドローラを、44a〜44eは第2ガイドローラを、46a〜46dは第3ガイドローラをそれぞれ示している。また、48a〜48eはくせ付け用ローラを示している。
【0038】
各タイプのローラ構成を備えた装置をそれぞれ2台対向配置し、各装置において内管ゴムの周囲にワイヤ(材質:炭素鋼、ワイヤ径:0.60mm)を螺旋状に連続して巻き付けた。これにより、図4に示したような編み目状のワイヤ補強層を形成した後、ワイヤの巻き付け力等を測定した。各ローラ径、巻き付け力等は表1に示した通りである。なお、表1中、内管ゴムに巻きつけたワイヤのカール径、ピッチ、及び曲率半径については、図8に示す通りである。
いずれも強い巻き付け力でワイヤを巻き付けることができ、特にくせ付け用ローラが小径(13mm)の場合に巻き付け力が高かった。
【0039】
【表1】

【0040】
さらに、図6(A)及び図6(D)に示したローラ構成を有する巻き付け
装置によりそれぞれ3本の内管ゴムの周囲にワイヤ補強層を編上げてホースを製造した。なお、ワイヤ径等の製造条件は以下の通りである。
ワイヤ径:0.60mm
ホース内径:25mm
ホース編上げ外径:36.6mm
上記のようにして製造した各ホースを切断し、切断した箇所(端部)におけるワイヤの広がりを測定した。表2にその測定値を示す。
【0041】
【表2】

【0042】
いずれのホースでもワイヤの広がりは2.4mm以下であり、小さかった。特に、ローラ構成(A)によりホースを製造した場合、ホース端部におけるワイヤの広がりが極めて小さく、ローラ構成(D)の場合に比べ約40%のワイヤ広がり防止効果が確認された。
【0043】
以上、本発明に係るホースの製造方法及びワイヤの巻き付け装置について説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。
例えばガイドローラ及びくせ付け用ローラの数は特に限定されず、1つのボビン16に対してガイドローラとくせ付け用ローラをそれぞれ1つとすることもできる。
また、内管はゴム製に限定されず、例えば、ナイロン、ポリエステル、テフロン(登録商標)等の樹脂製の管状体を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係るワイヤ巻き付け装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】ボビンとガイドローラの配置の一例を示す概略平面図である。
【図3】くせ付け用ローラにおけるワイヤ巻き付け角度(円周角)を示す説明図である。
【図4】ワイヤを編み上げて形成される補強層の一例を示す概略図である。
【図5】くせ付け手段の他の例を示す概略図である。(A)エッジ部材によるくせ付け手段 (B)ピンによるくせ付け手段
【図6】実施例におけるローラの配置を示す概略図である。
【図7】ワイヤ補強層を有する高圧ホースの断面を示す概略図である。
【図8】内管ゴムに巻きつけたワイヤのカール径、ピッチ、及び曲率半径を説明する図である。
【符号の説明】
【0045】
10・・・ワイヤ巻き付け装置
12・・・マンドレル
14・・・内管
16・・・ボビン
18・・・ワイヤ補強層
20・・・回転定盤
42,44,46・・・ガイドローラ
48・・・くせ付け用ローラ
50・・・巻き付け位置決めガイド
W・・・ワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内管の周囲にワイヤを巻き付けてワイヤ補強層を有するホースを製造する方法であって、前記ワイヤが前記内管の径方向外側に広がらないように該ワイヤにくせを付ける工程を含むことを特徴とするホースの製造方法。
【請求項2】
前記ワイヤにくせを付ける手段として、くせ付け用ローラを用いることを特徴とする請求項1に記載のホースの製造方法。
【請求項3】
前記ワイヤ径が0.20〜0.40mmの場合には、3〜15mmのローラ径を有するくせ付け用ローラを用い、前記ワイヤ径が0.40mmより大きい場合には、4〜18mmのローラ径を有するくせ付け用ローラを用いることを特徴とする請求項2に記載のホースの製造方法。
【請求項4】
前記くせ付け用ローラを、前記ワイヤと接触する部分の円周角が90°以上となるように配置することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のホースの製造方法。
【請求項5】
内管の周囲にワイヤを巻き付ける装置であって、
前記内管が通過する中心孔を有する回転定盤と、
前記内管を支持し、前記回転定盤の中心孔を通過するマンドレルと、
前記ワイヤが巻かれ、前記回転定盤の中心孔の周りに配置されたボビンと、
前記ボビンから送り出されたワイヤを、前記マンドレルに支持された内管の周囲に巻き付ける位置に導くガイド手段と、
前記ワイヤが前記内管の径方向外側に広がらないように該ワイヤにくせを付けるくせ付け手段と、を備え、
前記内管を支持したマンドレルを前記回転定盤の中心孔に通過させるとともに該回転定盤を回転させることにより、前記マンドレルに支持された内管の周囲に前記くせが付けられたワイヤを巻き付けることを特徴とするワイヤの巻き付け装置。
【請求項6】
前記くせ付け手段が、くせ付け用ローラであることを特徴とする請求項5に記載のワイヤの巻き付け装置。
【請求項7】
前記くせ付け用ローラが、前記ワイヤと接触する部分の円周角が90°以上となるように配置されていることを特徴とする請求項6に記載のワイヤの巻き付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−168451(P2008−168451A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−1360(P2007−1360)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】