説明

ポリイミドポリアミド共重合体及び感光性樹脂組成物

【課題】低熱膨張係数(低CTE)、低残留応力、及び強靭性(高伸度)であり、有機溶剤及びアルカリ水溶液に対する溶解性に優れたポリマーを提供する。
【解決手段】下記式(1)の繰り返し単位及び式−[−NHCOZCONHY(OH)−]−の繰り返し単位を有するポリイミドポリアミド共重合体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の絶縁材料や半導体装置におけるパッシベーション膜、バッファーコート膜、層間絶縁膜、α線遮蔽膜などに好適に用いられるポリイミドポリアミド共重合体、及び該ポリイミドポリアミド共重合体を含む感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜等の用途において、優れた耐熱性、電気特性、機械特性などを併せ持つポリイミド樹脂及びポリベンゾオキサゾール樹脂が用いられている。
【0003】
このような用途に用いられる材料としては、パターン作成工程が簡略化でき、煩雑な製造工程を短縮することができるという特徴を有することから、感光性ポリイミド樹脂や感光性ポリベンゾオキサゾール樹脂が多く用いられている。従来の感光性ポリイミドは、有機溶剤を現像液とするものが主流であったが、有機溶剤廃液は通常焼却処理されるため、環境調和性の観点、及び焼却処理のコストの問題から、アルカリ水溶液により現像可能な感光性樹脂組成物の要求が高まっている。
【0004】
これまでの技術として、例えば、フェノール性水酸基を有するポリイミド樹脂に感光剤としてオルトキノンジアジド化合物を配合した、アルカリ現像液で現像可能なポジ型の感光性樹脂組成物が提案されている(例えば、以下の特許文献1参照)。また、ポリベンゾオキサゾール前駆体にジアゾナフトキノン化合物を配合したポジ型感光性樹脂組成物も提案されている(例えば、以下の特許文献2参照)。これらの組成物は、比較的良好な現像性を示すが、感光剤として芳香環を多数含むジアゾキノン化合物などを用いるため、感度が低く、感光剤の添加量を増やす必要があり、そのため、熱硬化後の機械物性を著しく低下させるという問題がある。また、ポジ型であるため、露光部と未露光部の溶解度差をとりにくく、パターン部の膜減りが大きいという問題もある。
【0005】
そこで、(a)末端フェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶性のポリマーと、(b)活性光線の照射により酸を発生する化合物と、(c)酸の発生により架橋又は重合し得る化合物とを含有することを特徴とするネガ型感光性樹脂組成物が、感度、解像度、及び耐熱性に優れ、良好な硬化膜特性が得られる組成物として提案されている(以下、特許文献3参照)。
【0006】
ところで、表面保護膜としての感光性材料とシリコンウエハの材質の違いにより、両材質間では熱膨張係数(CTE)差が存在するが、近年、基板となるシリコンウエハの径が大きくなるにつれ、該熱膨張係数(CTE)差に起因するシリコンウエハの反りが、以前より大きくなっている。また、形成された感光性材料膜とシリコンウエハとの間の密着性が低下したり、感光性材料膜が基材から剥離したり、基材が破壊されるといった問題が発生している。このシリコンウエハの反りは、製造工程での不良品、搬送不良、割れの要因、デバイス特性への影響等を考えると好ましくない。そのため、ウエハの反りを低減できる低残留応力の感光性材料の開発が強く望まれている。
【0007】
一般に、分子構造を剛直にして熱膨張係数(CTE)を下げることにより低残留応力は達成できるが、剛直構造を導入した場合、デバイス加工工程に必要な表面保護膜としての感光性樹脂膜の強靭性が失われ(以下、非特許文献1参照)、保護膜にクラックが発生し、製品の最終物性に大きなダメージを与える。また、有機溶剤及びアルカリ性水溶液に対する溶解性が著しく低下し、ワニス調製時のゲル化や塗布製膜時の白濁化が発生し、アルカリ現像液による現像時間が長くなり、実用的でなくなる。
【0008】
一方、耐熱性、長期環境安定性、有機溶剤可溶性、難燃性などの物性をポリイミド樹脂に付与するため、特定の酸二無水物と特定のジアミンを必須成分として反応させてポリイミド樹脂を合成する技術が開示されている(以下、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第2906637号
【特許文献2】特公平1−46862号公報
【特許文献3】特開2006―189788号公報
【特許文献4】特開2007−099842号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「最新ポリイミド〜基礎と応用」、エヌ・ティー・エス発行、p.114(2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、低熱膨張係数(低CTE)、低残留応力、及び強靭性(高伸度)であり、有機溶剤及びアルカリ水溶液に対する溶解性に優れたポリマーを提供することである。また、上記ポリマーを用いることにより、電子部品の絶縁材料や半導体装置におけるパッシベーション膜、バッファーコート膜、層間絶縁膜、α線遮蔽膜などに用いられる、低熱膨張係数(低CTE)、低残留応力、及び強靭性(高伸度)である薄膜パターンを形成するための感光性樹脂組成物が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、エステル構造と複数のベンゼン環が直接連結した剛直な構造を併せ持ち、さらに、上記ベンゼン環上にフェノール性水酸基を有するポリイミドと、ポリアミドとを共重合させることにより得られるポリイミドポリアミド共重合体が、予想外に良好な有機溶剤及びアルカリ水溶液溶解性、低熱膨張係数(低CTE)、低残留応力、及び強靭性(高伸度)を併せ持つことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち本発明は、以下の[1]〜[5]のとおりである。
[1]下記式(1):
【化1】

{式中、Xは、置換基を有していてもよいベンゼン環又はナフタレン環が1つ以上直接連結した2価の有機基であり、そしてYは、置換基を有していてもよいベンゼン環が2つ以上直接連結した4価の有機基である。}で表される繰り返し単位、及び下記式(2):
【化2】

{式中、Zは、芳香環を1つ以上含む2価の有機基であり、そしてYは、置換基を有していてもよいベンゼン環が2つ以上直接連結した4価の有機基である。}で表される繰り返し単位を有するポリイミドポリアミド共重合体。
【0014】
[2](A)前記[1]に記載のポリイミドポリアミド共重合体を含むポリマー100質量部、(B)光照射により酸を発生する化合物0. 5〜20質量部、及び(C)酸の作用により架橋し得る化合物3〜50質量部を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
【0015】
[3](1)前記[2]に記載の感光性樹脂組成物からなる層を基板上に形成する工程、(2)露光する工程、(3)加熱処理を行う工程、(4)現像する工程、及び(5)得られたレリーフパターンを加熱する工程を含む、硬化レリーフパターンの形成方法。
【0016】
[4]前記[3]に記載の硬化レリーフパターンの形成方法を包含する、半導体装置の製造方法。
【0017】
[5]前記[4]に記載の方法により製造された半導体装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明のポリイミドポリアミド共重合体を用いることにより、アルカリ現像液により現像可能な感光性樹脂組成物が得られ、さらに加熱硬化させることにより、低熱膨張係数(低CTE)、低残留応力、及び強靭性(高伸度)である樹脂硬化膜が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】共重合体P−1の粉末におけるIRスペクトルである。
【図2】共重合体P−1の重水素化ジメチルスルホキシド溶液における1H−NMRスペクトルである。
【図3】共重合体P−2の粉末におけるIRスペクトルである。
【図4】共重合体P−2の重水素化ジメチルスルホキシド溶液における1H−NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のポリイミドポリアミド共重合体について、以下に詳細に説明する。
本発明のポリイミドポリアミド共重合体は、下記式(1):
【化3】

{式中、Xは、置換基を有していてもよいベンゼン環又はナフタレン環が1つ以上直接連結した2価の有機基であり、そしてYは、置換基を有していてもよいベンゼン環が2つ以上直接連結した4価の有機基である。}で表される繰り返し単位、及び下記式(2):
【化4】

{式中、Zは、芳香環を1つ以上含む2価の有機基であり、そしてYは、置換基を有していてもよいベンゼン環が2つ以上直接連結した4価の有機基である。}で表される繰り返し単位を有することを特徴とする。
【0021】
上記式(1)中のXは、ポリマー主鎖を剛直化し、熱膨張係数(CTE)を下げて残留応力を低減するという観点から、ベンゼン環又はナフタレン環が1つ以上直接連結した2価の有機基であることが好ましい。連結しているベンゼン環又はナフタレン環の数の上限は有機溶剤に対する溶解性を確保するという観点から3である。また、有機溶剤に対する溶解性を向上させるという観点から芳香環上に置換基を有していてもよい。このようなXの例として、以下の:
【化5】

{式中、Rは、ハロゲン基、炭素数が1〜3のアルキル基、炭素数が1〜3のハロゲン化アルキル基又は炭素数が1〜3のアルコキシ基であり、nは、0〜2の整数であり、Rが複数存在する場合、Rは、同一でも異なっていてもよい。}などを挙げることができる。
【0022】
上記式(1)又は式(2)中のYは、ポリマー主鎖を剛直化し、熱膨張係数(CTE)を下げて残留応力を低減するという観点から、ベンゼン環が2つ以上直接連結した4価の有機基であることが好ましい。また、有機溶剤に対する溶解性を向上させるという観点からベンゼン環上に置換基を有していてもよい。このようなYの例として、以下の:
【化6】

{式中、Rは、ハロゲン基、炭素数が1〜3のアルキル基、炭素数が1〜3のハロゲン化アルキル基又は炭素数が1〜3のアルコキシ基であり、nは0〜2の整数であり、Rが複数存在する場合、Rは、同一でも異なっていてもよい。}などを挙げることができる。
【0023】
上記式(2)中のZは、耐熱性の観点から、芳香環を1つ以上含む2価の有機基であることが好ましい。このようなZの例として、以下の:
【化7】

{式中、Rは、ハロゲン基、炭素数が1〜3のアルキル基、炭素数が1〜3のハロゲン化アルキル基又は炭素数が1〜3のアルコキシ基であり、Rが複数存在する場合、Rは、同一でも異なっていてもよい。}などを挙げることができる。これらの構造の中で、コート膜の強靭性(高伸度)、有機溶剤及びアルカリ水溶液に対する溶解性、及び基板密着性などを向上させるという観点から、2つの芳香環が1つ以上の原子を介して連結した構造がより好ましい。
ポリイミドポリアミド共重合体におけるX、Y及びZは、各々複数存在する場合は、同一であっても異なっていてもよい。
【0024】
本発明の共重合体においては、芳香環が直接結合した剛直な構造を有するポリイミドユニットを有することにより、熱膨張係数(CTE)が小さく、樹脂硬化膜を作製した際に残留応力の低いポリマーが得られ、さらに、ポリアミドユニットを共重合させることにより、強靭性(高伸度)、有機溶剤及びアルカリ水溶液に対する溶解性、及び基板密着性などに優れたポリマーとなる。このとき、上記ポリイミドユニット(1)に対する上記ポリアミドユニット(2)の共重合比(モル比)は0.1〜10であることが好ましく、より好ましくは0.3〜3であり、さらに好ましくは0.7〜1.5である。
【0025】
本発明のポリイミドポリアミド共重合体は、以下のようにして好適に合成することができる。
第一に、下記式(3):
【化8】

{式中、Xは、置換基を有していてもよいベンゼン環又はナフタレン環が1つ以上直接連結した2価の有機基である。}で表されるテトラカルボン酸二無水物1当量に対し、下記式(4):
【化9】

{式中、Yは、置換基を有していてもよいベンゼン環が2つ以上直接連結した4価の有機基である。}で表されるジアミン化合物1.2〜3当量、好ましくは1.8〜2当量を極性有機溶媒中、必要に応じて反応温度−5℃〜200℃で、2〜24時間攪拌反応させ、アミン末端のイミドオリゴマーを得る。
【0026】
本発明で好適に用いられる、上記式(3)で表されるエステル結合を有し2価の有機基Xを含むテトラカルボン酸二無水物としては、p−フェニレンビス(トリメリット酸エステル)二無水物、2−メチル−p−フェニレンビス(トリメリット酸エステル)二無水物、2−メトキシ−p−フェニレンビス(トリメリット酸エステル)二無水物、4,4’−ビフェニリレンビス(トリメリット酸エステル)二無水物、2,2’−ジメチル−4,4’−ビフェニリレンビス(トリメリット酸エステル)二無水物、4,4’’−p−テルフェニレンビス(トリメリット酸エステル)二無水物、1,4−ナフタレンビス(トリメリット酸エステル)二無水物などが挙げられる。これらのエステル結合を有し2価の有機基Xを含むテトラカルボン酸二無水物は、単独で又は混合して使用してもよい。
【0027】
本発明で好適に用いられる、上記式(4)で表されるフェノール性水酸基を有し4価の有機基Yを含むジアミン化合物としては、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメチルビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジヒドロキシビフェニルなどが挙げられる。これらのフェノール性水酸基を有し4価の有機基Yを含むジアミン化合物は、単独で又は複数の種類のジアミン化合物を混合して使用してもよい。
【0028】
また、上述の溶媒としては、アミド類、スルホキシド類、テトラメチル尿素、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類が好ましい。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ガンマブチロラクトン、スルホランなどが挙げられる。これらの中で、上記イミドオリゴマーを完全に溶解するものがより好ましい。例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ガンマブチロラクトン、スルホランなどが挙げられる。これらの溶媒は必要に応じて、単独で又は混合して使用してもよい。
【0029】
第二に、前記の方法により得られたアミン末端のイミドオリゴマー100部に対して、下記式(5):
【化10】

{式中、Zは、芳香環を1つ以上含む2価の有機基である。}で表されるジカルボン酸のハロゲン化物、又は活性エステル、又は適当な縮合剤やカルボン酸活性化剤の存在下、ジカルボン酸(以下、上記3つの化合物群を総称して「2価の有機基Zを含むジカルボン酸等」という。)を5〜100部、好ましくは50〜100部を、必要に応じて反応温度−20℃〜50℃で、2〜24時間攪拌反応させることによって共重合体を得る。
【0030】
具体的には、ジカルボン酸ジクロリドを用いる場合、前述の方法で得られたアミン末端のイミドオリゴマーの反応液に、酸捕捉剤として三級アミン化合物、例えば、ピリジン又はトリエチルアミンを添加し、その後、反応溶液を−20℃〜10℃の温度範囲に冷却し、予め別途溶媒に溶解又は分散させておいたジカルボン酸ジクロリドを滴下投入する。その後、好ましい反応温度である−20℃〜50℃、好ましい反応時間である2〜24時間反応させ、本発明の共重合体を得ることができる。
【0031】
この段階の反応には、2価の有機基Zを含むジカルボン酸等の混合物を使用してもよい。また、2価の有機基Zを含むジカルボン酸等を添加する前に、前述のフェノール性水酸基を有し4価の有機基Yを含むジアミン化合物を追加投入することにより、任意の共重合比を有する共重合体を得ることができる。
【0032】
本発明で好適に用いられる上記式(5)で表される2価の有機基Zを有するジカルボン酸としては、3,3’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルフィドジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−(2,2−ジフェニルプロパン)ジカルボン酸、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、テレフタル酸、及びイソフタル酸などが挙げられ、前述のように、これらジカルボン酸を塩素化した化合物が用いられる。これらの化合物は単独で又は混合して使用してもよい。
【0033】
共重縮合反応終了後、反応液中に水若しくは脂肪族低級アルコール又はその混合液などの貧溶媒を投入して共重合体を析出させる。更に、析出した共重合体を溶媒に再溶解させ、再沈による析出操作を繰り返すことによって精製し、真空乾燥を行い、目的の共重合体を単離する。なお、精製度を更に向上させるために、この共重合体の溶液を、イオン交換樹脂を充填したカラムに通し、イオン性不純物を除去してもよい。
【0034】
前記合成法により得られるポリイミドポリアミド共重合体の分子量は、重量平均分子量で4,000〜150,000が好ましく、5,000〜100,000がより好ましい。重量平均分子量は、材料の機械物性や耐熱性を確保する観点から、4,000以上が好ましく、また、材料の有機溶剤及びアルカリ水溶液に対する溶解性を確保する観点から、150,000以下が好ましい。
【0035】
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)前記共重合体を含むポリマー、(B)光照射により酸を発生する化合物、及び(C)酸の作用により架橋し得る化合物を含む。
(A)前記共重合体を含むポリマー
本発明の感光性樹脂組成物に用いられるポリマーは、上記合成法により得られる共重合体を単独で用いても又は他の耐熱性ポリマーと混合して用いてもよい。本発明の上記共重合体と他の耐熱性ポリマーを混合して用いる場合、硬化膜の残留応力を十分に低下させるという観点から、上記共重合体の使用量はポリマー全体の20質量%以上100質量%以下であることが好ましい。他の耐熱性ポリマーとしては、例えば、ポリイミド、ポリオキサゾール、ポリアミド、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリヒドロキシアミド、これらの共重合体等を挙げることができる。
【0036】
(B)光照射により酸を発生する化合物
本発明に使用される(B)光照射により酸を発生する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
i)トリクロロメチル−s−トリアジン類:
トリス(2,4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メトキシフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メトキシフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メチルチオフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メチルチオフェニル)ビス(4,6−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(2−メチルチオフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メトキシナフチル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メトキシナフチル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4,5−トリメトキシ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メチルチオ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メチルチオ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メチルチオ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン等。
【0037】
これらの化合物の内、2−(3−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−(4−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−(4−メチルチオフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−(4−メトキシ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−S−トリアジン等が好ましい。
【0038】
ii)ジアリルヨードニウム類:
ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロアセテート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム−p−トルエンスルホナート等。
【0039】
これらの化合物の内、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート等が好ましい。
【0040】
iii)トリアリルスルホニウム塩類:
トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、トリフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムメタンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、4−フェニルチオフェニルジフェニルテトラフルオロボレート、4−フェニルチオフェニルジフェニルヘキサフルオロホスホネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルヘキサフルオロアルセネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロメタンスルホナート、4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロアセテート、4−フェニルチオフェニルジフェニル−p−トルエンスルホナート等。
【0041】
これらの化合物の内、トリフェニルスルホニウムメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムメタンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロメタンスルホナート、4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロアセテート等が好ましい。
この他にも、以下に示す化合物を用いることができる。
【0042】
(1)ジアゾケトン化合物
ジアゾケトン化合物として、例えば、1,3−ジケト−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物等を挙げることができ、具体例としてはフェノール類の1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル化合物を挙げることができる。
【0043】
(2)スルホン化合物
スルホン化合物として、例えば、β−ケトスルホン化合物、β−スルホニルスルホン化合物及びこれらの化合物のα−ジアゾ化合物を挙げることができ、具体例として、4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェナシルスルホニル)メタン等を挙げることができる。
【0044】
(3)スルホン酸化合物
スルホン酸化合物として、例えば、アルキルスルホン酸エステル類、ハロアルキルスルホン酸エステル類、アリールスルホン酸エステル類、イミノスルホネート類等を挙げることができる。好ましい具体例としては、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジルp−トルエンスルホネート等を挙げることができる。
【0045】
(4)スルホンイミド化合物
スルホンイミド化合物の具体例として、例えば、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド等を挙げることができる。
【0046】
(5)オキシムエステル化合物
2−[2−(4−メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)]−2,3−ジヒドロチオフェン−3−イリデン]−2−(2−メチルフェニル)アセトニトリル(チバスペシャルティケミカルズ社商品名「イルガキュアPAG121」)、[2−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−2,3−ジヒドロチオフェン−3−イリデン]−2−(2−メチルフェニル)アセトニトリル(チバスペシャルティケミカルズ社商品名「イルガキュアPAG103」)等を挙げることができる。
【0047】
(6)ジアゾメタン化合物
ジアゾメタン化合物の具体例として、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン等を挙げることができる。
とりわけ、感度の観点から、上記(5)オキシムエステル化合物が好ましい。
【0048】
光照射により酸を発生する上記化合物の添加量は、上記(A)ポリマー100質量部に対して、好ましくは0.5〜20質量部、より好ましくは1〜15質量部である。この添加量が0.5質量部以上であれば、光照射により十分な量の酸が発生し、感度が向上する。また、この添加量が20質量部以下であれば、硬化後の機械物性が良好となる。
【0049】
(C)酸の作用により架橋し得る化合物
本発明に用いられる(C)酸の作用により架橋し得る化合物について説明する。この(C)酸の作用により架橋し得る化合物を添加することにより、塗布膜を加熱硬化する際に、上記(A)ポリマーを架橋し得るか又はそれ自身が架橋ネットワークを形成し得るので、耐熱性を強化することができる。
【0050】
(C)酸の作用により架橋し得る化合物としては、N位がメチロール基又はアルコキシメチル基で置換されたメラミン樹脂、尿素樹脂が好ましい。これらの例としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、グリコールウリル樹脂、ヒドロキシエチレン尿素樹脂、尿素樹脂、グリコール尿素樹脂、アルコキシメチル化メラミン樹脂、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン樹脂、アルコキシメチル化グリコールウリル樹脂、アルコキシメチル化尿素樹脂などを挙げることができる。これらの内、アルコキシメチル化メラミン樹脂、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン樹脂、アルコキシメチル化グリコールウリル樹脂、アルコキシメチル化尿素樹脂は、公知のメチロール化メラミン樹脂、メチロール化ベンゾグアナミン樹脂、メチロール化尿素樹脂のメチロール基をアルコキシメチル基に変換することにより得られる。
【0051】
このアルコキシメチル基の種類については、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基などを挙げることができるが、実用上市販されているサイメル300、301、303、370、325、327、701、266、267、238、1141、272、202、1156、1158、1123、1170、1174、UFR65、300(三井サイテック株式会社製)、ニカラックMX−270、−280、−290、ニカラックMS−11、ニカラックMW−30、−100、−300、−390、−750(三和ケミカル社製)等を好ましく使用することができる。これらの化合物は単独で又は混合して使用することができる。
この他にも酸の作用により架橋し得る化合物として、前記樹脂の単量体も用いられ、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン、ジメトキシメチル尿素等を挙げることができる。
【0052】
(C)酸の作用により架橋し得る化合物の添加量は、上記(A)ポリマー100質量部に対して、好ましくは3〜50質量部、より好ましくは5〜50質量部である。この添加量が3質量部以上であれば架橋が十分に進行し、パターニング性が良好となる。また、この添加量が50質量部以下であれば、キュア後の機械物性が良好である。
【0053】
(D)溶媒
本発明の感光性樹脂組成物には、任意に溶媒を添加して粘度を調整することが好ましい。好適な溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、ピリジン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどが挙げられる。これらの溶媒は単独又は二種以上の組合せで用いることができる。これらの中でも、N−メチル−2−ピロリドンやγ−ブチロラクトンが、特に好ましい。
【0054】
これらの溶媒は、塗布膜厚、粘度に応じて、本発明の感光性樹脂組成物に適宜加えることができるが、添加する場合は、上記(A)ポリマー100質量部に対し、溶媒10〜1000質量部、特に100〜800質量部の範囲で用いることが好ましい。
【0055】
塗布性を改良する目的で、上記の溶媒に、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等の有機溶剤を混合して用いることもできる。有機溶剤を含有する場合の添加量は、上記(A)ポリマー100質量部に対し、2〜900質量部が好ましく、より好ましくは5〜600質量部である。
さらに本発明の感光性樹脂組成物の経時的な保存安定性を向上させるために、上記に記載した溶剤に加えて、アルコール類を併用することもできる。
【0056】
これらのアルコール類としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコール、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ(n−プロピル)エーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ(n−プロピル)エーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル等のモノアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のジアルコール類を挙げることができる。これらの中でも、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノフェニルエーテルが特に好ましい。
これらアルコール類は、上記溶媒とアルコール類の総量中に占める含量が1〜50質量%、特に3〜40質量%であれば、上記(A)ポリマーの溶解性が良好であるため好ましい。
【0057】
(E)増感剤
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じ、光感度向上のための増感剤を添加することができる。
このような増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジメチルアミノベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、2−(4’−ジメチルアミノシンナミリデン)インダノン、2−(4’−ジメチルアミノベンジリデン)インダノン、2−(p−4’−ジメチルアミノビフェニル)ベンゾチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンジリデン)アセトン、1,3−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン、4−モルホリノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、ベンズトリアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、1−シクロヘキシル−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、1−(tert−ブチル)−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2−p)チアゾール、2−(p−ジメチルアミノベンゾイル)スチレンなどが挙げられる。これらの中で、ベンズトリアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、1−シクロヘキシル−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、1−(tert−ブチル)−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、3−位及び/又は7−位に置換基を持つクマリン類、フラボン類、ジベンザルアセトン類、ジベンザルシクロヘキサン類、カルコン類、キサントン類、チオキサントン類、ポルフィリン類、フタロシアニン類、アクリジン類、9−位に置換基を有するアントラセン類からなる群から選ばれる1つ以上の増感剤を添加することが好ましい。また、これらの増感剤は単独でも2種以上の混合物としても用いることができる。
増感剤を含有する場合の添加量は、上記(A)ポリマー100質量部に対して0.5〜15質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。
【0058】
(F)重合禁止剤
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じ、保存時の組成物溶液の粘度や光感度の安定性を向上させるために重合禁止剤を添加することができる。
このような重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、N−ニトロソジフェニルアミン、p−tert−ブチルカテコール、フェノチアジン、N−フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6−ジ−tert−ブチル−p−メチルフェノール、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、2−ニトロソ−5−(N−エチル−N−スルフォプロピルアミノ)フェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N−(1−ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチル)フェニルメタンなどを用いることができる。
重合禁止剤を含有する場合の添加量は、上記(A)ポリマー100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましく、0.1〜1質量部であることがより好ましい。
【0059】
(G)シランカップリング剤
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じ、シランカップリング剤を添加することができる。シランカップリング剤の具体例としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名 KBM803、チッソ株式会社製:商品名 サイラエースS810)、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(アヅマックス株式会社製:商品名 SIM6475.0)、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名 LS1375、アヅマックス株式会社製:商品名 SIM6474.0)、メルカプトメチルトリメトキシシラン(アヅマックス株式会社製:商品名 SIM6473.5C)、メルカプトメチルメチルジメトキシシラン(アヅマックス株式会社製:商品名 SIM6473.0)、3−メルカプトプロピルジエトキシメトキシシラン、3−メルカプトプロピルエトキシジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルジエトキシプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルエトキシジプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルメトキシジプロポキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルジエトキシメトキシシラン、2−メルカプトエチルエトキシジメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2−メルカプトエチルエトキシジプロポキシシラン、2−メルカプトエチルジメトキシプロポキシシラン、2−メルカプトエチルメトキシジプロポキシシラン、4−メルカプトブチルトリメトキシシラン、4−メルカプトブチルトリエトキシシラン、4−メルカプトブチルトリプロポキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)ウレア(信越化学工業株式会社製:商品名 LS3610、アヅマックス株式会社製:商品名 SIU9055.0)、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ウレア(アヅマックス株式会社製:商品名 SIU9058.0)、N−(3−ジエトキシメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−エトキシジメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−ジエトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−エトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−ジメトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−メトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリメトキシシリルエチル)ウレア、N−(3−エトキシジメトキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−エトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−ジメトキシプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−メトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリメトキシシリルブチル)ウレア、N−(3−トリエトキシシリルブチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルブチル)ウレア、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン(アヅマックス株式会社製:商品名 SLA0598.0)、m−アミノフェニルトリメトキシシラン(アヅマックス株式会社製:商品名 SLA0599.0)、p−アミノフェニルトリメトキシシラン(アヅマックス株式会社製:商品名 SLA0599.1)、アミノフェニルトリメトキシシラン(アヅマックス株式会社製:商品名 SLA0599.2)、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン(アヅマックス株式会社製:商品名 SIT8396.0)、2−(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、2−(ジメトキシシリルメチルエチル)ピリジン、2−(ジエトキシシリルメチルエチル)ピリジン、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸などが挙げられる。
シランカップリング剤を含有する場合の添加量は、上記(A)ポリマー100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましく、3〜15質量部であることがより好ましい。
【0060】
(H)アクリロイル基又はメタアクリロイル基を有する化合物
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じ、加熱処理時の残膜率や得られた硬化レリーフパターン表面の平坦性を向上させるために、アクリロイル基又はメタアクリロイル基を有する化合物を添加することができる。
アクリロイル基又はメタアクリロイル基を有する化合物の例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、カプロラクトン2−(メタクリロイロキシ)エチルエステル、ジカプロラクトン2−(メタクリロイロキシ)エチルエステル、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、1,3−アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロパン、1,3−メタクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジメタクリロイロキシ尿素、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリメタクリレートなどが挙げられる。
アクリロイル基又はメタアクリロイル基を有する化合物を添加する場合の添加量は、上記(A)ポリマー100質量部に対して、5〜500質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜200質量部であり、更に好ましくは10〜50質量部である。
【0061】
(I)アリル化合物
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じ、アリル化合物を添加して用いることもできる。
このようなアリル化合物として、例えば、トリメリット酸トリアリル、ピロメリット酸テトラアリル、アリルフェニルエーテル、アリルフェノール、ジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジアリル、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
アリル化合物を添加する場合の添加量は、上記(A)ポリマー100質量部に対して、2〜100質量部であることが好ましく、3〜50質量部であることがより好ましい。
【0062】
(J)その他の添加剤
以上の他にも、本発明の感光性樹脂組成物には、散乱光吸収剤、及び塗膜平滑性付与剤など、必要に応じて種々の添加剤を適宜配合することができる。
【0063】
<硬化レリーフパターンと半導体装置の製造方法>
次に、感光性樹脂組成物を用いて画像を形成する方法の一例を示す。まず、この組成物を、基材上に、乾燥後の膜厚が1〜50μm、好ましくは5〜30μmとなるように塗布する。この時、あらかじめ基材上をシランカップリング剤等の接着助剤により処理しておいてもよい。塗布した膜を乾燥した後、通常のフォトマスクを通して露光し、その後加熱処理(PEB)を行う。このPEB工程は、本組成物の感度を増感するための処理であり、本発明の目的を達成するためには必要である。
【0064】
このPEB温度は、感度や得られるパターン形状等を考慮すると、90〜160℃、好ましくは100〜150℃の温度が良い。露光後加熱処理された基板は、適当な濃度のアルカリ水溶液で現像処理されることにより、基板上に微細な樹脂パターンを転写することができる。このとき用いる現像液としては、露光膜を適当な時間内で完全に溶解除去できるものが好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機アルカリ性水溶液、プロピルアミン、ブチルアミン、モノエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、コリンなどの有機アルカリ性水溶液などを、単独又は二種以上混合して用いる。
【0065】
また、このアルカリ性水溶液には必要に応じてアルコール類などの有機溶剤や、各種の界面活性剤を含有させることもできる。現像後、リンス液で洗浄することにより耐熱性材料前駆体の画像が得られる。このようにして得られた画像は、高温加熱処理(約200〜400℃)することによって、耐熱性、耐薬品性、及び機械的物性に優れた耐熱性材料に変換することができ、良好なレリーフパターンを有する樹脂硬化物となる。
【実施例】
【0066】
次に、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。なお、各例中の特性は以下のようにして測定した。
(1)重量平均分子量
各共重合体の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(以下、「GPC」という。)(東ソー株式会社製、TSK標準ポリスチレン換算)で測定した。GPCの分析条件を以下に記す:
カラム:昭和電工株式会社製、商標名Shodex805/804/802直列
容離液:N−メチル−2−ピロリドン、40℃
流速 :1.0ml/分
検出器:日本分光株式会社製、RI−2031
【0067】
(2)プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)スペクトルの測定
各共重合体を重水素化ジメチルスルホキシドに濃度が5wt%になるように溶解し、得られた溶液のプロトン核磁気共鳴スペクトル(以下、「1H−NMRスペクトル」という。)を日本電子株式会社製、JNM−LA400 FT−NMR装置を用いて256回積算することにより測定した。
【0068】
(3)赤外吸収(IR)スペクトルの測定
各共重合体の粉末における赤外吸収スペクトル(以下、「IRスペクトル」という。)をThermo Nicolet社製、AVATAR 360 FT−IR装置、及びCentaurus顕微鏡分光分析装置を用いてATR法により測定した。
【0069】
(4)残留応力の測定
6インチシリコンウエハに、本発明における実施例及び比較例で得られた感光性樹脂組成物を硬化後の膜厚が約7〜12μmとなるように回転塗布し、110℃で180秒間プリベーク後、高圧水銀灯を用いて、i線換算にて600mJ/cmの全波長露光を行い、続けて、120℃で180秒間加熱処理を行った。その後、300℃で2時間加熱して樹脂硬化膜を得た。樹脂硬化膜による基板の曲率半径の変化を薄膜ストレス測定装置(ケーエルエー・テンコール株式会社製、FLX−2320)を用いて、窒素ガスを流速5.0mL/minで流しながら測定した。そして下記式(1)を用いて基板の曲率半径から樹脂硬化膜の残留応力を求めた:
δ=Eh/{(1−v)6RT} ・・・(1)
δ : 薄膜の平均ストレス
E : ヤング率
v : ポアソン比
h : 基板の厚さ
R : 基板の曲率半径
T : 膜厚
【0070】
(5)熱膨張係数(CTE)の測定
最表面にアルミ蒸着層を設けた6インチシリコンウェハを使用する以外、上記(4)と同様にして得られた樹脂硬化膜を塩酸に浸漬することによりウエハから剥がし、5mm幅の樹脂硬化膜のテープを作製した。得られた樹脂硬化膜のテープを用いて、熱機械試験機(島津製作所製、TMA−50)を用いて、窒素雰囲気下において、200g/mm2 の荷重をかけながら、昇温速度10℃/分で加熱して、熱膨張係数(CTE)を測定した。
【0071】
(6)伸度の測定
上記(5)と同様にして得られた樹脂硬化膜のテープを用いて、ASTMD−882−88を用いて、40mm/minの速度で引っ張り試験をおこない、テープが破断した時点での伸度(測定前のサンプル長さに対する伸び率)を測定した。
【0072】
以下、本発明の具体的な実施の形態を実施例に基づいて説明する。
〔実施例1〕
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、水分分離装置、及び冷却管を備えた1リットルのセパラブルフラスコ中に、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル(以下「HAB」という。)64.9g(0.3モル)と1−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」という。)480gを仕込み、攪拌溶解した。ここに、p−フェニレンビス(トリメリット酸エステル)二無水物(以下、「TAHQ」という。)68.7g(0.15モル)を加えて室温で30分時間攪拌した後、イミド化反応時に生じる水との共沸溶媒としてトルエン100gを加え、オイルバスを用いて180℃で3時間加熱還流して、適宜フラスコ中から水分を除去することによりイミド化を行った。
【0073】
この反応液を室温に戻した後、ピリジン19.8g(0.25モル)を加え、NMP70gに溶解した4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド(以下、「DEDC」という。)36.9g(0.125モル)を、反応液の温度を−5〜5℃に保ちながら少量ずつ添加し、添加終了後室温まで昇温してさらに4時間攪拌を続けた。得られた反応液をイオン交換水に攪拌しながら滴下し、析出した共重合体をろ過、洗浄した後、真空乾燥することにより、共重合体(P−1)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は15,000であった。
共重合体P−1の粉末におけるIRスペクトルを図1に示す。イミド基の特性吸収が、1384、1719、及び1780cm−1に見られ、アミド基の特性吸収が1650cm−1に見られることから、ポリイミドポリアミド共重合体であることが確認できた。
また、重水素化ジメチルスルホキシド溶液における1H−NMRスペクトルを図2に示す。8.48、及び8.56ppmに見られるTAHQ由来のベンゼン環上の4個のプロトンと、9.57ppmに見られるアミド基の窒素原子上の2個のプロトンとの積分比より算出した、ポリイミドユニット(1)に対するポリアミドユニット(2)の共重合比(モル比)は、0.77であった。
【0074】
〔実施例2〕
実施例1におけるジカルボン酸ジクロリドとして、DEDC18.4g(0.062モル)とイソフタル酸ジクロリド(以下、「IPC」という。)12.7g(0.063モル)の混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法により共重合体(P−2)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は16,400であった。
共重合体P−2の粉末におけるIRスペクトルを図3に示す。イミド基の特性吸収が、1384、1720、及び1780cm−1に見られ、アミド基の特性吸収が1649cm−1に見られることから、ポリイミドポリアミド共重合体であることが確認できた。
また、重水素化ジメチルスルホキシド溶液における1H−NMRスペクトルを図4に示す。8.50、及び8.57ppmに見られるTAHQ由来のベンゼン環上の4個のプロトンと、9.57ppmに見られるアミド基の窒素原子上の2個のプロトンとの積分比より算出した、ポリイミドユニット(1)に対するポリアミドユニット(2)の共重合比(モル比)は、0.73であった。
【0075】
〔比較例1〕
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、水分分離装置、及び冷却管を備えた1リットルのセパラブルフラスコ中に、HAB21.6g(0.1モル)とNMP250gを仕込み、攪拌溶解した。ここに、TAHQ38.0g(0.083モル)を加えて室温で30分攪拌した後、イミド化反応時に生じる水との共沸溶媒としてトルエン50gを加え、オイルバスを用いて180℃で2時間加熱還流して、適宜フラスコ中から水分を除去することによりイミド化を行った。
この反応溶液を室温に戻したところ、ポリマーが析出してゲル化し、目的とするポリマーは得られなかった。
【0076】
〔比較例2〕
攪拌機、温度計、及び窒素ガス導入管を備えた1リットルのセパラブルフラスコ中に、HAB21.6g(0.1モル)とNMP130g、及びピリジン13.1g(0.17モル)を仕込み、攪拌溶解した。ここに、NMP50gに溶解したDEDC24.5g(0.083モル)を、反応液の温度を−5〜5℃に保ちながら少量ずつ添加し、添加終了後室温まで昇温してさらに4時間攪拌を続けた。得られた反応液について、実施例1と同様の後処理を行い、ポリアミド(P−3)を得た。P−3の重量平均分子量(Mw)は16,600であった。
【0077】
〔比較例3〕
実施例1におけるジアミンとして、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(以下「6FAP」という)109.9g(0.3モル)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により共重合体(P−4)を得た。P−4の重量平均分子量(Mw)は7,900であった。
【0078】
〔実施例3〕
共重合体(P−1)100質量部、光照射により酸を発生する化合物として、2−[2−(4−メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)−2,3−ジヒドロチオフェン−3−イリデン]−2−(2−メチルフェニル)アセトニトリル(Irgacure PAG121、チバ・ジャパン社製)5質量部、酸の作用により架橋し得る化合物として、アルコキシメチル化尿素樹脂(品番MX−270、三和ケミカル社製、商標名ニカラック、単量体95%以上)20質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート10質量部、3−(トリエトキシシリル)−N−(フェニルカルボニル)プロピルアミン(SI)2質量部をNMP150質量部に溶解した後、1μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過して感光性ワニスを得た。
【0079】
〔実施例4〕
共重合体P−2を用いた以外は、実施例3と同じように調合して感光性ワニスを得た。
【0080】
〔比較例4〕
ポリアミドP−3を用いた以外は、実施例3と同じように調合したが攪拌溶解中にゲル化し、目的とする感光性ワニスは得られなかった。
【0081】
〔比較例5〕
共重合体P−4を用いた以外は、実施例3と同じように調合して感光性ワニスを得た。
上記実施例3〜4、及び比較例4〜5から得られた感光性樹脂組成物を使って、6インチシリコンウエハに硬化後の膜厚が約9〜10μmとなるように回転塗布し、ホットプレート上で110℃、3分間プリベークして、高圧水銀灯を用いて600mJ/cm(i線換算)全波長露光を行い、続けて、120℃、180秒間加熱処理を行った。その後、300℃で2時間加熱して樹脂硬化膜を得た。得られた樹脂硬化膜について、残留応力、及び機械物性を評価した。結果を以下の表1に示す。
【0082】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の感光性樹脂組成物は、電子部品や半導体装置における分野で好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1):
【化1】

{式中、Xは、置換基を有していてもよいベンゼン環又はナフタレン環が1つ以上直接連結した2価の有機基であり、そしてYは、置換基を有していてもよいベンゼン環が2つ以上直接連結した4価の有機基である。}で表される繰り返し単位、及び下記式(2):
【化2】

{式中、Zは、芳香環を1つ以上含む2価の有機基であり、そしてYは、置換基を有していてもよいベンゼン環が2つ以上直接連結した4価の有機基である。}で表される繰り返し単位を有するポリイミドポリアミド共重合体。
【請求項2】
(A)請求項1に記載のポリイミドポリアミド共重合体を含むポリマー100質量部、(B)光照射により酸を発生する化合物0. 5〜20質量部、及び(C)酸の作用により架橋し得る化合物3〜50質量部を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項3】
(1)請求項2に記載の感光性樹脂組成物からなる層を基板上に形成する工程、(2)露光する工程、(3)加熱処理を行う工程、(4)現像する工程、及び(5)得られたレリーフパターンを加熱する工程を含む、硬化レリーフパターンの形成方法。
【請求項4】
請求項3に記載の硬化レリーフパターンの形成方法を包含する、半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法により製造された半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−174195(P2010−174195A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20807(P2009−20807)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【Fターム(参考)】