説明

ポリベンゾオキサゾール前駆体、それを用いた感光性樹脂組成物及び半導体装置の製造方法

【課題】良好な破断伸び特性を有するレリーフ構造体を製造可能であり、高い感度、大きい残膜率を可能とし、またリソグラフィー工程後の加熱時にパターンサイズ変化が小さく、安定したパターン形成が可能であり、破断伸びが大きい膜の形成を可能とする感光性樹脂組成物、及び該組成物を用いた半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】特定の末端構造を有するポリベンゾオキサゾール前駆体、該前駆体を含有する感光性樹脂組成物、及び該組成物を用いた半導体装置の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリベンゾオキサゾール前駆体、感光性樹脂組成物に関し、より詳しくは、超小型電子素子技術の分野での応用に好適であり、アルカリ水溶液で現像可能なポジ型感光性樹脂組成物及び該組成物を用いた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超小型電子素子技術の分野では、高温での耐久性を示すポリマーが一般に広く知られている。ポリイミドおよびポリベンゾオキサゾール(PBO)といったこのようなポリマーの前駆体は、好適な添加剤によって光反応性にすることができる。この前駆体は高温への暴露のような既知の技術によって、ポリイミドおよびポリベンゾオキサゾール(PBO)に転化される。従って、保護層、断熱層、および高度に耐熱性のポリマーのレリーフ構造体を製造するためにポリマー前駆体が使用されている。
【0003】
そして、特許文献1〜5におけるように、PBO前駆体の末端を、アルケニル基又はアルキニル基などの不飽和基、環式化合物基、カルボン酸残基等の酸基などでキャップすることのより、PBO前駆体を含有する感光性組成物の性能の向上を図る種々の検討がなされている。
【0004】
PBO前駆体を含有する感光性組成物は、より高感度であること、現像後の残膜率が大きいこと、解像力が高いことが特徴であるが、リソグラフィー工程後の加熱時にパターンサイズ変化が起こると安定したパターン形成が困難となるため、これを改善する必要がある。更に形成された膜の破断伸びが大きいことが望まれている。
【0005】
【特許文献1】特開平5−197153号公報
【特許文献2】特開2003−241377号公報
【特許文献3】特開2003−241378号公報
【特許文献4】特開2003−248314号公報
【特許文献5】特開2002−53664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
良好な破断伸び特性を有するレリーフ構造体を製造可能であり、高い感度、大きい残膜率を可能とし、またリソグラフィー工程後の加熱時にパターンサイズ変化が小さく、安定したパターン形成が可能であり、破断伸びが大きい膜の形成を可能とするポリベンゾオキサゾール前駆体及び感光性樹脂組成物、さらには該組成物を用いた半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は下記構成により達せられた。
<1> 式(1)の構造を有するポリベンゾオキサゾール前駆体。
【0008】
【化1】

【0009】
式(1)中、R1a〜R4a、R1b〜R4bは、それそれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキニル基、または脂環基を表す。但し、R1a〜R4aのうち少なくとも一つ、R1b〜R4bのうち少なくとも一つはアルキニル基である。
1a〜R4a、またはR1b〜R4bについて、アルキニル基以外の基は、互いに結合して脂環基を形成しても良い。
1は式(2)又は(3)で表される基を表す。
【0010】
【化2】

【0011】
3は、4価の芳香族基、脂肪族基、複素環基またはこれらの混合基を表し、Ra及びRbは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アシル基、SO2Rc(Rcはアルキル基、アリール基、または脂環基を表す。)、酸の作用により脱離する基、又は−C(R3)2−COOR4(R3は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R4は酸の作用により脱離する基を表す。)を表す。
2は、珪素原子を含んでもよい、2価の芳香族基、複素環基、脂環式基または脂肪族基を表す。
1は、2価の芳香族基、脂肪族基、複素環基またはこれらの混合基を表す。
上記各基について、複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。
mは3〜1000を表す。
【0012】
<2> 式(1)のポリベンゾオキサゾール前駆体及び感光剤を含有する感光性樹脂組成物。
<3> 式(2)中の、X1またはY1で表される少なくとも一つが、式(A2−2)で表される構造を有することを特徴とする上記<2>に記載の感光性樹脂組成物。
【0013】
【化3】

【0014】
式(A2−2)中、Mは単結合又は2価の基を表し、R21及びR22は各々独立にフッ素原子又は1価の有機基を表し、r及びsは各々独立に1〜4の整数を表す。
【0015】
<4> 上記<2>または<3>に記載の感光性樹脂組成物を、半導体素子上に塗布し、プリベーク、露光、現像、加熱して得られることを特徴とする、半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体を含有する感光性樹脂組成物は、高感度、かつ高残膜率であり、破断伸びに優れ、耐熱性、機械特性、電気特性、耐薬品性に優れるレリーフ構造体を製造可能であり、半導体用途、特にバッファーコートとして好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
〔1〕式(1)の構造を有するポリベンゾオキサゾール前駆体
本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体(1)について説明する。
【0018】
【化4】

【0019】
式(1)中、R1a〜R4a、R1b〜R4bは、それそれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキニル基、または脂環基を表す。但し、R1a〜R4aのうち少なくとも一つ、R1b〜R4bのうち少なくとも一つはアルキニル基である。
1a〜R4a、またはR1b〜R4bについて、アルキニル基以外の基は、互いに結合して脂環基を形成しても良い。
【0020】
1a〜R4a、R1b〜R4bのそれぞれについて、アルキニル基の数は1〜3が好ましく、1が特に好ましい。
式(1)中、R1a〜R4a、R1b〜R4bとしてのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4であり、アルコキシ基は、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4であり、アルキニル基は好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜4であり、脂環基は好ましくは炭素数3〜10、より好ましくは炭素数3〜6である。
1a〜R4a及びR1b〜R4bとしての各基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、アルコキシ基、脂環基、芳香環基、ハロゲン原子などが挙げられ、炭素数10以下が好ましい。
【0021】
1a〜R4aのうち少なくとも一つ、R1b〜R4bのうち少なくとも一つはアルキニル基であるが、アルキニル基でないR1a〜R4a、またはR1b〜R4bは、互いに結合して脂環基を形成しても良い。この場合の脂環基はR1a〜R4a、またはR1b〜R4bとしての脂環基と同様である。
【0022】
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルを挙げることができる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシを挙げることができる。脂環基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチル、トリシクロデカニルを挙げることができる。
【0023】
アルキニル基としては、例えば、下式で表される。
【0024】
【化5】

【0025】
5は水素原子、メチル、エチル、プロピル等のアルキル基、フェニル、トルイル等のアリール基、ベンジル、フェネチル等のアラルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル等の脂環基を表す。
【0026】
上記式で表わされるアルキニル基の好ましい基としては以下を挙げることができるが、これに限定するものではない。
【0027】
【化6】

【0028】
1は、2価の芳香族基、脂肪族基、複素環基またはこれらの混合基を表し、芳香族基又は芳香族複素環基が好ましい。
1は式(2)又は(3)で表される基を表す。
【0029】
【化7】

【0030】
3は、4価の芳香族基、脂肪族基、複素環基またはこれらの混合基を表し、芳香族基又は芳香族複素環基が好ましい。
Ra及びRbは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アシル基、SO2Rc(Rcはアルキル基、アリール基、または脂環基を表す。)、酸の作用により脱離する基、又は−C(R3)2−COOR4(R3は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R4は酸の作用により脱離する基を表す。)を表す。
2は、珪素原子を含んでもよい、2価の芳香族基、複素環基、脂環式基または脂肪族基を表し、芳香族基又はアルキレン基が好ましい。
【0031】
Ra及びRbは、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル)、アシル基(好ましくは炭素数1〜10、例えば、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、イソブチリル、ペンタノイル)、SO2Rc(Rcはアルキル基(好ましくは炭素数1〜10、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14、例えばフェニル、トルイル、メシチル)、脂環基(炭素数3〜15、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチル)、酸の作用により脱離する基、又は−C(R3)2−COOR4(R3は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R4は酸の作用により脱離する基を表す。)を表す。
mは3〜1000を表す。
【0032】
酸の作用により脱離する基としては、アルコキシカルボニル基(好ましい炭素数2〜5)、アルコキシアルキル基(好ましい炭素数2〜5)、アルキルシリル基(好ましい炭素数1〜20)又はアセタール若しくはケタールを構成する基を挙げることができる。
アセタール若しくはケタールを構成する基としては、例えば次の構造を有するものが挙げられる。
【0033】
【化8】

【0034】
式中、R'、R''及びR'''は、各々独立に炭素数5以下のアルキル基を表し、Xは炭素数3以上(好ましくは20以下)の2価のアルキレン基(側鎖を有していても良い)を表す。
【0035】
酸の作用により脱離する基の具体例としては、t−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、メトキシメチル基、エトキシエチル基等のアルコキシアルキル基、メチルシリル基、エチルシリル基等のアルキルシリル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、アルコキシ置換テトラヒドロピラニル基、アルコキシ置換テトラヒドロフラニル基等が典型的な例として例示されるが、これらに限定されるものではない。酸の作用により脱離する基として最も好ましい基はエトキシエチル基、テトラヒドロピラニル基である。
【0036】
−C(R3)2−COOR4で表される基におけるR3としてはメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルが挙げられ、R4の酸の作用により脱離する基としては、t−ブチル基、t−アミル基、1−メチルシクロペンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基を挙げることができる。
【0037】
3としての4価の芳香族基、脂肪族基、複素環基またはこれらの混合基の具体例は、例えば、後述の原料として対応するモノマーにおけるものを挙げることができる。
2としての、珪素原子を含んでもよい、2価の芳香族基、複素環基、脂環式基または脂肪族基、Y1としての2価の芳香族基、脂肪族基、複素環基またはこれらの混合基は、例えば、後述の原料として対応するモノマーにおけるものを挙げることができる。
【0038】
a及びRbで表される基の導入方法としては、ヒドロキシル基を有するポリマーを塩基性条件下、アルキルハライドやアシルハライドとの反応によるエーテル化(Ra、Rb=ア
ルキル基に対応)、エステル化(Ra、Rb=アシル基に対応)、ヒドロキシル基を有するポリマーを酸性条件化、ビニルエーテル類と反応させるアセタール化、ヒドロキシル基を有するポリマーと炭酸アルキルとの反応によるアルコキシカルボニル化、ヒドロキシル基を有するポリマーを塩基性条件下にシリルクロリド化合物やアセト酢酸エステル類と反応させるシリルエーテル化、アセト酢酸エステル化を挙げることができる。
また、塩基性条件下、ヒドロキシル基を有するポリマーとスルホニルクロリドやスルホン酸無水物を反応させることでエステル化できる。
ヒドロキシル基を有するポリマーにRa及びRbで表される基を導入する、いわゆるキャッピングにおいて、そのキャッピング率は、全ヒドロキシル基中の40モル%以下であり、好ましくは0.5〜30モル%である。40モル%以下であると、破断伸びが低下しない点で好ましい。
【0039】
PBO前駆体の固有粘度は、25℃において、濃度0.5g/dL、NMP中で測定し、0.1〜0.7dL/gが好ましく、0.12〜0.6dL/gがより好ましい。
【0040】
PBO前駆体は、一般的に5〜1000の重合度を有し、下記モノマー(A)、(B)を、すなわち(A1)、(A2)、(B)を塩基もしくは脱水縮合剤の存在下で反応させることにより合成される。
【0041】
【化9】

【0042】
式中、X1〜X、Y1はすでに定義した通りであり、WはCl、OR、またはOHであり、ここでRは炭素数1〜10の、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜10の、好ましくは炭素数3〜6のシクロアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表し、これらの基の具体例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、p−トリルなどが挙げられる。
【0043】
(A)と(B)の比は一般に(A)/(B)>1にある。好ましくは、1.2≧(A)/(B)>1である。(A)/(B)>1とすることによりアミノ基を末端に有するポリベンゾオキサゾール前駆体の合成が可能である。モノマー(A1)は(A)の、すなわち[(A1)+(A2)]の約50〜100モル%であり、モノマー(A2)は(A)の、すなわち[(A1)+(A2)]の約0〜50モル%である。
【0044】
なお、モノマー(A1)において、X3は4価の芳香族基、脂肪族基、または複素環基を表し、例えば、以下の基を具体例として挙げることができる。
【0045】
【化10】

【0046】
式中、L1は−O−、−S−、−C(CF3)2−、−C(CH3)2−、−CH2−、−SO2
−、−NHCO−、−COO−または、下記の基を表す。
【0047】
【化11】

【0048】
0は、各々独立に、炭素数1〜10の、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基または炭素数3〜10の、好ましくは炭素数3〜6のシクロアルキル基(例えば、−CH3、−C25、n−C37、i−C37、n−C49、t−C49、シクロヘキシル基)を表す。
【0049】
3は、これらの基に限定されるものではない。さらに、モノマー(A)として、2つ
またはそれ以上のモノマーの混合物を用いてもよい。
【0050】
モノマー(A2)では、X2は珪素を含んでいてもいなくてもよい、2価の芳香族基、複素環基、脂環式基または脂肪族基を表す。X2が珪素原子を含む場合には、2価のシロキサン構造を含むことが好ましい。
2を含むモノマー(A2)には、例えば5(6)−ジアミノ−1−(4−アミノフェ
ニル)−1,3,3−トリメチルインダン(DAPI)、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノ−1,1′−ビフェニル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、2,4−トリレンジアミン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、3,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルケトン、3,3′−ジアミノジフェニルケトン、3,4′−ジアミノジフェニルケトン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(γ−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、メチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレ
ンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2,5−ジメチルノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、2,11−ジアミノドデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,17−ジアミノエイコサン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、3,3′−ジアミノジフェニルエタン、4,4′−ジアミノジフェニルエタン、4,4′−ジアミノジフェニルサルファイド、2,6−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノ−4−トリフルオロメチルピリジン、2,5−ジアミノ−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、4,4′−メチレンジアニリン、4,4′−メチレンジ−ビス(o−クロロアニリン)、4,4′−メチレン−ビス(3−メチルアニリン)、4,4′−メチレン−ビス(2−エチルアニリン)、4,4′−メチレン−ビス(2−メトキシアニリン)、4,4′−オキシ−ジアニリン、4,4′−オキシ−ビス−(2−メトキシアニリン)、4,4′−オキシ−ビス−(2−クロロアニリン)、4,4′−チオ−ジアニリン、4,4′−チオ−ビス−(2−メチルアニリン)、4,4′−チオ−ビス−(2−メトキシアニリン)、4,4′−チオ−ビス−(2−クロロアニリン)、3,3′−スルホニル−ジアニリン、3,3′−スルホニル−ジアニリン、および、これらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
モノマー(B)において、Y1は2価の芳香族基、脂肪族基、または複素環基を表し、具体例としては例えば以下の基が挙げられる。
【0052】
【化12】

【0053】
(式中、L2は、−O−、−S−、−C(CF3)2−、−CH2−、−SO2−または−NH
CO−、−COO−である)
【0054】
1はこれらの基に限定されるものではない。さらに、モノマー(B))として、2つまたはそれ以上のモノマーの混合物を用いてもよい。
【0055】
モノマーを重合する際の好ましい反応溶媒はN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメ
チルアセトアミド(DMAc)、ジメチル−2−ピペリドン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、およびジグリムである。最も好ましい溶媒はN−メチル−2−ピロリドン(NMP)およびγ−ブチロラクトン(GBL)である。 ジカルボン酸あるいはその塩化物またはエステルを、少なくとも1つの芳香族および/または複素環のジヒドロキジアミンと、そして場合によっては少なくとも1つのジアミンと反応させるために、慣用されている任意の反応が用いられてよい。反応は一般に約−30〜約30℃で約6〜48時間実施される。
この様にして得られたアミノ基を末端に有するポリベンゾオキサゾール前駆体を本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体に化学変換するためには以下のような方法で行われる。
【0056】
【化13】

【0057】
反応の方法としては40〜100℃程度の加熱や脱水剤、脱水剤と塩基性触媒、塩基性触媒など種々の公知の方法を用いることができる。このとき使う脱水剤としては従来公知の脱水剤を使用することができ、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸、無水トリフルオロ酢酸、アセチルクロライド、トシルクロライド、メシルクロライド、クロルギ酸エチル、トリフェニルホスフィンとジベンゾイミダゾリルジスルフィド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−カルボニルジイミダゾール、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン、シュウ酸N,N’−ジスクシニミジルエステルなど、塩基性触媒を使う場合はピリジン、ピコリン、2,6−ルチジン、コリジン、トリエチルアミン、N−メチルモルフォリン、4−N,N’−ジメチルアミノピリジン、イソキノリン、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。さらには、イミド化法を選べば両末端がアミノ基のポリマーに末端縮合用の酸無水物とイミド化剤を同時に加えることによって中間体を経由せずに本発明のヒドロキシポリアミドを得ることができる。また、本発明のヒドロキシルポリアミドを得る別の方法としては、ビス−(O−アミノフェノール)類の1つのアミノ基のみを酸無水物と反応させてからイミド化させた化合物を合成しておき、これを芳香族ジカルボン酸またはその誘導体とビス−(O−アミノフェノール)類との重縮合時に加えておいてもよい。
【0058】
上記反応に用いる有機溶媒としては、生成するヒドロキシポリアミドを完全に溶解する
極性溶媒が一般に好ましく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。その他、この極性溶媒以外に一般的有機溶媒であるケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類として例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等も使用することができる。この反応生成物は、そのままレジスト組成物に供することができるが、必要に応じて水又はメタノール等のヒドロキシポリアミドの貧溶媒中に投入し、さらに再沈を繰り返すことによって精製して使用することもできる。
【0059】
PBO前駆体の添加量は、本発明の感光性樹脂組成物の全固形分(溶媒を除いた、最終的に得る硬化物を構成する成分の総量)に対して、50〜99.5質量%、好ましくは60〜97質量%である。
【0060】
好ましいPBO前駆体として、式(1)中、X1、X2及びY1、Y2の少なくとも一つが、一般式(A2−2)で表される構造を有するPBO前駆体が、熱膨張率低減の観点で好ましい。
【0061】
【化14】

【0062】
式中、Mは単結合又は2価の基を示し、R21及びR22は各々独立にフッ素原子又は1価の有機基で、r及びsは各々独立に1〜4の整数である。式(1)中の−NH−及び−CO−は、式(A2−2)中のベンゼン環上に結合する。
一般式(A2−2)で表される構造は、一般式(A2−3)で表される構造が好ましい。
【0063】
【化15】

【0064】
この場合、R21’、R21”、R22’及びR22”は各々独立に水素原子、フッ素原子又は1価の有機基(炭素数1〜10の、アルキル基、アルコキシ基、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基等)を表し、R21’及びR21”の少なくとも1つと、R22’及びR22”の少なくとも1つはフッ素原子又は1価の有機基であることが好ましく、R21’及びR21”の少なくとも1つと、R22’及びR22”の少なくとも1つが1価の有機基であることがさらに好ましい。式(1)中の−NH−及び−CO−は、式(A2−2)中のベンゼン
環上に結合する。
【0065】
Mは単結合が、低応力で高透明性の重合体を与えることから最も好ましく、R21’、R21”、R22’及びR22”としては、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等が好ましい。
【0066】
一般式(A2−2)で示される構造(一般式(A2−3)の構造を含む)を与えるジアミン成分としては、2,2’−ビス(トリフロオロメチル)−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノ)ビフェニル、2,2’−ジメチル−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノ)ビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)スルホン等が挙げられ、同様のジカルボン酸としては、2,2’−ジメチル−4,4’−ビフェニルカルボン酸、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ビフェニルカルボン酸、4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ジメチルジフェニルエーテル等が挙げられる。
一般式(A2−2)で表される部分構造が含まれる繰り返し単位は、全繰り返し単位中の20〜70mol%であることが好ましく、より好ましくは20〜60mol%である。熱膨張率改善効果の点から20mol%以上が好ましく、破断伸びの低下を避ける点から70mol%以下が好ましい。
【0067】
前記PBO前駆体の分子量に特に制限はないが、数平均分子量で2,000〜100,000であることが好ましい。なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し標準ポリスチレン換算することなどにより決定することができる。
【0068】
〔2〕感光剤
感光剤は、特に限定されるものではなく、例えば、公知のキノンジアジド感光剤、ジアリールスルホニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、アリールジアゾニウム塩、芳香族テトラカルボン酸エステル、芳香族スルホン酸エステル、ニトロベンジルエステル、芳香族N‐オキシイミドスルフォネート、芳香族スルファミド、オキシムスルフォネートなどが用いられる。中でもo−キノンジアジド感光剤やオキシムスルフォネートが好ましく用いることができる。
オキシムスルフォネートとしては好ましくは下記構造である。
【0069】
【化16】

【0070】
は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、または樟脳基を表し、アルキル基またはシクロアルキル基としては例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリール基としてはフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基を挙げることができる。
【0071】
o−キノンジアジド感光剤は、例えば、o−キノンジアジドスルホニルクロリド類とヒドロキシ化合物、アミノ化合物などとを脱塩酸剤の存在下で縮合反応させることで得られる。
【0072】
前記o−キノンジアジドスルホニルクロリド類としては、例えば、ベンゾキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリド、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリド、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリド等が使用できるが、感度の点ではナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリドの使用が好ましい。
【0073】
前記ヒドロキシ化合物としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、ピロガロール、ビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’,3’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン,2,3,4,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン、4b,5,9b,10−テトラヒドロ−1,3,6,8−テトラヒドロキシ−5,10−ジメチルインデノ[2,1−a]インデン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが使用できる。
【0074】
アミノ化合物としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどが使用できる。
【0075】
o−キノンジアジドスルホニルクロリドとヒドロキシ化合物及び/又はアミノ化合物とは、o−キノンジアジドスルホニルクロリド1モルに対して、ヒドロキシ基とアミノ基の合計が0.5〜1当量になるように配合されることが好ましい。脱塩酸剤とo−キノンジアジドスルホニルクロリドの好ましい割合は、1/1〜1/0.9の範囲である。好ましい反応温度は0〜40℃、好ましい反応時間は1〜24時間とされる。
【0076】
反応溶媒としては、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、N−メチルピロリドン等の溶媒が用いられる。脱塩酸剤としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンなどが挙げられる。
【0077】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物において、キノンジアジド感光剤の配合量は、露光部と未露光部の溶解速度差と、感度の許容幅の点から、PBO前駆体100質量部に対して、5〜50質量部が好ましく、8〜20質量部がより好ましい。
キノンジアジド感光剤以外の感光剤の配合量は、PBO前駆体100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
【0078】
キノンジアジド感光剤としては、例えば、以下の構造を有する化合物を挙げることができる。
【0079】
【化17】

【0080】
【化18】

【0081】
【化19】

【0082】
【化20】

【0083】
【化21】

【0084】
(式中、Dは、独立して、Hまたは以下の基のいずれかである。
【0085】
【化22】

【0086】
ただし、各々の化合物において少なくとも1つのDが、上記のキノンジアジド基であればよい。
キノンジアジド感光剤は、市販のものを用いてもよいし、公知の方法にて合成してもよい。
【0087】
〔3〕フェノール化合物
本発明のポジ型感光性樹脂組成物においては、低分子のフェノール化合物を添加することも可能である。フェノール化合物をポジ型レジスト組成物に添加する技術としては、例えば、特開平3−200251号公報、特開平3−200252号公報、特開平3−200253号公報、特開平3−200254号公報、特開平4−1650号公報、特開平4−11260号公報、特開平4−12356号公報、特開平4−12357号公報等に開示されている。
低分子フェノール化合物の好ましい例としては、一般式(3−1)で示される構造を含むフェノール化合物または一般式(3−2)で示される構造を有するフェノール化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つのフェノール化合物を挙げることができる。
【0088】
【化23】

【0089】
12〜R15は、各々独立に、アルキル基、アルコキシ基またはシクロアルキル基を表す。
【0090】
【化24】

【0091】
16〜R17は、各々独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、シクロアルキル基またはシクロアルコキシ基を表す。m及びnはそれぞれ0〜5の整数である。R16及びR17は各々、複数存在する場合は同じでも異なっていてもよい。
p及びqはそれぞれ0〜3の整数であり、p+q≧2である。
18は、単結合、メチレン基、アルキレン基、酸素原子、カルボニル基、カルボニルエーテル基、硫黄原子、スルホニル基、またはアゾ基を表す。
【0092】
これらフェノール化合物は、本発明におけるポリベンゾオキサゾール前駆体をベース樹脂としたポジ型感光性樹脂組成物に用いた場合、感度向上の効果が大きい。
一般式(3−1)で示される構造を含むフェノール化合物としては下記のもの等を挙げることができるがこれらに限定されない。又2種類以上用いても良い。
【0093】
【化25】



【0094】
【化26】



【0095】
【化27】

【0096】
【化28】



【0097】
【化29】

【0098】
【化30】

【0099】
一般式(3−2)で示される構造を含むフェノール化合物としては下記のもの等を挙げることができるがこれらに限定されない。又2種類以上用いても良い。
【0100】
【化31】



【0101】
【化32】



【0102】
【化33】

【0103】
【化34】



【0104】
【化35】

【0105】
【化36】

【0106】
また、本発明では一般式(3−1)で示される構造を含むフェノール化合物又は(3−2)で示される構造を有するフェノール化合物以外に下記のフェノール化合物も必要に応じて添加することもできるが、これらに限定されるものではない。
【0107】
【化37】

【0108】
一般式(3−1)で示される構造を含むフェノール化合物又は(3−2)で示される構造を有するフェノール化合物の好ましい添加量は、PBO前駆体100質量部に対して1〜30質量部である。感度の点から1質量部以上が好ましく、現像時の著しい未露光部の膜減り防止、冷凍保存中における析出防止の点で30質量部以下が好ましい。
【0109】
〔4〕溶剤
本発明の感光性樹脂組成物は、一般的には、少なくとも感光剤及びPBO前駆体を、溶剤中に溶解された溶液として調製される。
【0110】
好適な溶剤としては、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチル−2−ピペリドン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレンカーボネート(PC)、シクロヘキサノン(CH)、乳酸エチル(EL)およびこれらの混合物のような有機溶媒があるが、これらに限定されない。好ましい溶媒はγ−ブチロラクトンおよびN−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート(PC)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)及びその混合溶媒である。
【0111】
本発明の感光性樹脂組成物中の全固形分濃度(乾燥後の膜を構成する全固形分に相当)は、一般的には15〜50質量%、好ましくは25〜45質量%である。
【0112】
〔5〕接着促進剤、その他の添加剤
本発明の感光性樹脂組成物は、硬化膜の基板との接着性を高めるために、有機シラン化合物、アルミキレート化合物等を含むことができる。有機シラン化合物としては、例えば、γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、γ‐アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、メチルフェニルシランジオール、エチルフェニルシランジオール、n−プロピルフェニルシランジオール、イソプロピルフェニルシランジオール、n−ブチルシフェニルシランジオール、イソブチルフェニルシランジオール、tert−ブチルフェニルシランジオール、ジフェニルシランジオール、エチルメチルフェニルシラノール、n−プロピルメチルフェニルシラノール、イソプロピルメチルフェニルシラノール、n−ブチルメチルフェニルシラノール、イソブチルメチルフェニルシラノール、tert−ブチルメチルフェニルシラノール、エチルn−プロピルフェニルシラノール、エチルイソプロピルフェニルシラノール、n−ブチルエチルフェニルシラノール、イソブチルエチルフェニルシラノール、tert−ブチルエチルフェニルシラノール、メチルジフェニルシラノール、エチルジフェニルシラノール、n−プロピルジフェニルシラノール、イソプロピルジフェニルシラノール、n−ブチルジフェニルシラノール、イソブチルジフェニルシラノール、tert−ブチルジフェニルシラノール、フェニルシラントリオール、1,4−ビス(トリヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(メチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(エチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(プロピルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ブチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジメチルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジエチルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジプロピルドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジブチルヒドロキシシリル)ベンゼン等が挙げられる。アルミキレート化合物としては、例えば、トリス(アセチルアセトネート)アルミニウム、アセチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
【0113】
これらの密着性付与剤を用いる場合は、PBO前駆体100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10重質量部がより好ましい。
【0114】
また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、塗布性、例えばストリエーション(膜厚のムラ)を防いだり、現像性を向上させるために、適当な界面活性剤あるいはレベリング剤を添加することができる。このような界面活性剤あるいはレベリング剤としては、例えば、ポリオキシエチレンウラリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル等があり、市販品としては、メガファックスF171、F173、R−08(大日本インキ化学工業株式会社製商品名)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム株式会社商品名)、オルガノシロキサンポリマーKP341、KBM303、KBM403、KBM803(信越化学工業株式会社製商品名)等が挙げられる。
【0115】
さらに、本発明の感光性樹脂組成物は、塩基性化合物、特に含窒素有機塩基性化合物を含有することも好ましい。
塩基性化合物としては、有機アミン、塩基性のアンモニウム塩、塩基性のスルホニウム塩、塩基性のヨードニウム塩などが用いられ、化学増幅型レジストにおいて使用されるものと同様のものを使用することげできる。
有機アミンとして、例えば、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、芳香族アミン類、イミダゾール誘導体などの複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体、シアノ基を有する含窒素化合物等が挙げられる。
塩基性化合物は、単独或いは2種以上用いることができる。
塩基性化合物の添加量は、感光剤に対して、一般的に0.01〜30質量%、好ましくは0.5〜20質量%である。
【0116】
〔6〕パターン形成方法
本発明の感光性樹脂組成物を用いて、レリーフパターンを形成する方法としては、(a)感光性樹脂組成物を適当な基板上にコートし、(b)コートされたこの基板をベーキングし、(c)活性光線または放射線で露光し、(d)水性現像剤で現像し、そして(e)硬化することにより、硬化されたレリーフパターンを形成することができる。
【0117】
コートされ、露光された基板を、現像に先立って、高温でベーキングすることもできる。また、現像された基板を、硬化前にリンスしてもよい。
【0118】
このように、本発明の感光性樹脂組成物により、加熱硬化後の厚みが所定厚み(例えば0.1〜30μm)になるように、半導体素子上に塗布し、プリベーク、露光、現像、加熱硬化して半導体装置を製造できる。
【0119】
以下、レリーフパターンを形成する方法についてより詳細に説明する。
【0120】
本発明の感光性樹脂組成物は、好適な基板上にコートされる。基板は、例えばシリコンウエーハのような半導体材料またはセラミック基材、ガラス、金属またはプラスチックである。コーティング方法には、噴霧コーティング、回転コーティング、オフセット印刷、ローラーコーティング、スクリーン印刷、押し出しコーティング、メニスカスコーティング、カーテンコーティング、および浸漬コーティングがあるが、これらに限られることはない。
【0121】
該コーティング膜は、残留する溶媒を蒸発させるために、方法に応じて、約70〜120℃の高められた温度で数分から半時間予めベーキングされる。引き続いて、得られる乾燥フィルムはマスクを通して好ましいパターンで活性光線または放射線に露光される。活性光線または放射線として、X線、電子ビーム、紫外線、可視光線などが使用し得る。最も好ましい放射線は波長が436nm(g−ライン)および365nm(i−ライン)を有するものである。
【0122】
活性光線または放射線への露光に続いてコートされ、露光された基板を約70〜120
℃の温度に加熱するのが有利である。コートされ、露光された基板は短時間、一般的には数秒〜数分、この温度範囲で加熱される。本方法のこの段階は普通、露光後ベーキングと技術上称される。
【0123】
次いで、該コーティング膜は水性現像剤で現像され、そしてレリーフパターンが形成される。水性現像剤には、無機アルカリ(例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア水)、1級アミン(例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン)、2級アミン(例えば、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン)、3級アミン(例えば、トリエチルアミン)、アルコールアミン(例えば、トリエタノールアミン)、4級アンモニウム塩(例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド)、およびこれらの混合物のようなアルカリ溶液がある。最も好ましい現像剤はテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドを含有するものである。加えて、現像剤に適当な量の界面活性剤が添加されてよい。現像は浸漬、噴霧、パドリング、または他の同様な現像方法によって実施されることができる。
【0124】
場合によっては、レリーフパターンは次いで脱イオン水を使用してすすぎ洗いされる。次いで、耐熱性の大きいポリマーの最終的なパターンを得るために、レリーフパターンを硬化することによりオキサゾール環が形成される。硬化は耐熱性の大きい最終的なパターンを形成するオキサゾール環を得るように、ポリマーのガラス転移温度Tgで基板をベー
キングすることにより実施される。一般的には、約200℃を越える温度が用いられる。約250〜400℃の温度を用いるのが好ましい。
【実施例】
【0125】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0126】
〔PBO前駆体の調製〕
【0127】
合成例1:樹脂A−1の合成
3つ口フラスコ3lに、293g(0.8mol)のヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(日本化薬(株)製)、126.6g(1.6mol)のピリジンおよび1.2kgのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加した。これを室温で撹拌、次いでドライアイス/アセトンバスで−25℃まで冷却した。この溶液に、反応温度を−20℃〜−30℃で維持しながら、73.9g(0.364mol)のイソフタロイルクロライド(東京化成(株)製)、107.4g(0.364mol)の4,4’−オキシビスベンゾイルクロライド(4,4’−オキシビス安息香酸(Aldrich製)を定法にて酸クロリドに変換して得た。)、NMP700gの混合溶液を滴下した。
【0128】
添加が完了した後、得られる混合物を室温で16時間撹拌した。この反応液をアセトン2Lで希釈し、激しく攪拌した50Lの脱イオン水中に投入し、析出した白色粉体を濾過によって回収し、そして脱イオン水および水/メタノール(50/50質量比)混合物によって洗浄した。真空下でポリマーを40℃において24時間乾燥させ、樹脂a−1を得た。収量はほとんど定量的であり、また樹脂a−1の数平均分子量は、ポリスチレン換算で6.4×10、分散度2.1であった。
【0129】
得られた樹脂a−1(400g)をNMPに溶解し20質量%溶液とした。これにCKK−1(富士写真フイルム(株)製)45g、ピリジン30gを添加し、60℃で8時間攪拌した。
【0130】
【化38】

【0131】
ヒドロキシル基を保護するため、この反応液に更にトリフルオロメタンスルフォニルクロリド(Aldrich製)13gとピリジン10gを添加し、更に3時間攪拌した。反応終了後、反応液を蒸留水40Lに滴下し、目的物である樹脂A−1(下記構造式参照)を析出させた。析出した桃色粉体である樹脂A−1を濾取、乾燥し、目的物である樹脂A−1を得た。収率は90%、また樹脂A−1の数平均分子量は、ポリスチレン換算で6.5×10、分散度2.1であった。HNMRよりCKK−1に対応する末端イミド基が定量的に導入されていることを、またFNMR、HNMRよりトリフルオロメタンスルフォニル基の導入(X3に結合したヒドロキシル基の5mol%)を確認した。
【0132】
【化39】

【0133】
合成例2:樹脂A−2の合成
合成例1で得た樹脂a−1を使用し、CKK−1の代わりにCKK−2を使用した他は合成例1と同様にして樹脂A−2を合成した。
【0134】
【化40】

【0135】
樹脂A−2の数平均分子量は、ポリスチレン換算で6.5×10、分散度2.1であった。HNMRよりCKK−2に対応する末端イミド基が定量的に導入されていることを、またFNMR、HNMRよりトリフルオロメタンスルフォニル基の導入(X3に結合したヒドロキシル基の5mol%)を確認した。
【0136】
合成例3:樹脂A−3の合成
得られた樹脂a−1(400g)をジグライム/PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)の50/50(質量比)の混合溶媒に溶解し20質量%溶液とした。これにCKK−1(富士写真フイルム(株)製)45g、ピリジン30gを添加し、60℃で8時間攪拌した。得られた反応液に酢酸エチルを加え、水洗し、得られた有機溶媒層に、再度PGMEAを加え、共沸脱水により系中の水分をのぞくため60℃で溶媒を減圧留去し、固形分濃度15質量%の溶液とした。系中の水分は0.01質量%であった。得られた溶液にエチルビニルエーテル5g及びp−トルエンスルホン酸0.1gを添加、室温で3時間撹拌した。得られた溶液にトリエチルアミン1gを加え、反応液を3回水洗し、PGMEA(1L)を加えていったん希釈した後、共沸脱水により系中の水分をのぞくため60℃で溶媒を減圧留去し、固形分濃度40質量%の樹脂A−3 PGMEA溶液とした。樹脂A−3の数平均分子量は、ポリスチレン換算で6.5×10、分散度2.1であった。HNMRよりCKK−1が定量的に導入されていること、またヒドロキシル基へのエチルアセタール基の導入(7mol%)を確認した。
【0137】
合成例4:樹脂A−4の合成
合成例1の4,4’−オキシビスベンゾイルクロライドの代わりに下記酸クロリドを用い、合成例1と同様にして樹脂A−4を合成した。樹脂A−4の数平均分子量は、ポリスチレン換算で6.2×103、分散度2.2であった。HNMRよりCKK−1に対応する末端イミド基が定量的に導入されていること、またFNMR、HNMRよりトリフルオロメタンスルフォニル基の導入(X3に結合したヒドロキシル基の5mol%)を確認した。
【0138】
【化41】

【0139】
合成例5:比較用樹脂A−5の合成
3つ口フラスコ3lに、293g(0.8mol)のヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(日本化薬(株)製)、126.6g(1.6mol)のピリジンおよび1.2kgのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加した。これを室温で撹拌、次いでドライアイス/アセトンバスで−25℃まで冷却した。この溶液に、反応温度を−20℃〜−30℃で維持しながら、73.9g(0.364mol)のイソフタロイルクロライド(東京化成(株)製)、107.4g(0.364mol)の4,4’−オキシビスベンゾイルクロライド、NMP700gの混合溶液を滴下した。
添加が完了した後、得られる混合物を室温で16時間撹拌した。これにCKK−1(富士写真フイルム(株)製)45g、ピリジン30gを添加し、室温で8時間攪拌した。
この反応液をアセトン2Lで希釈し、激しく攪拌した50Lの脱イオン水中に投入し、析出した白色粉体を濾過によって回収し、そして脱イオン水および水/メタノール(50
/50質量比)混合物によって洗浄した。真空下でポリマーを40℃において24時間乾燥させ、樹脂a−5を得た。収量はほとんど定量的であり、また樹脂a−6の数平均分子量は、ポリスチレン換算で6.5×10、分散度2.1であった。
【0140】
上で得られた樹脂a−5(400g)をNMPに溶解し20質量%溶液とした。この反応液に更にトリフルオロメタンスルフォニルクロリド13gとピリジン10gを添加し、更に3時間攪拌した。反応終了後、反応液を蒸留水40Lに滴下し、目的物である樹脂A−5を析出させた。析出した桃色粉体である樹脂A−1を濾取、乾燥し、目的物である樹脂A−1を得た。収率は90%、また樹脂A−5の数平均分子量は、ポリスチレン換算で6.6×10、分散度2.1であった。HNMRよりCKK−1に対応する下記末端基が定量的に導入されていること、FNMR、HNMRよりトリフルオロメタンスルフォニル基の導入(5mol%)を確認した。
【0141】
【化42】


【0142】
合成例6:比較用樹脂A−6の合成
合成例1で得た樹脂a−1を使用し、CKK−1の代わりにノルボルネンジカルボン酸無水物(Aldrich製)を使用した他は合成例1と同様にして樹脂A−6を合成した。
樹脂A−6の数平均分子量は、ポリスチレン換算で6.5×10、分散度2.1であった。1HNMRより下記末端イミド基が定量的に導入されていること、FNMR、HNMRよりトリフルオロメタンスルフォニル基の導入(5mol%)を確認した。
【0143】
【化43】

【0144】
〔感光剤の合成〕
(1)感光剤(P−1)の合成
3つ口フラスコにフェノール化合物(BP−1)21.6gと1,4−ジオキサン20
0mLを加え均一になるまで溶解した。次に1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルフ
ォニルクロリド27gを加え溶解した。反応容器を氷水で10℃まで冷却し、ついでトリエチルアミン11.1gを1時間かけて滴下した。滴下終了後24時間撹拌した。反応終了後蒸留水を加え析出した塩を溶解し30分撹拌し、希塩酸で中和した後、蒸留水1Lに添加して晶析した。析出した濃黄色の粉体を濾取した。濾物をジオキサン200mLに再度溶解し、これを蒸留水1Lに添加して晶析した。析出した濾物を濾取し、濾物を1Lの蒸留水で洗浄し、濃黄色の粉体である目的物(P−1)39gを回収した。得られた(P−1)を高速液体クロマトグラフィー(Waters社製S1525)により分析した結果、純度は
98%であった(検出波長254nm)。
【0145】
【化44】

【0146】
(2)感光剤(P−2)の合成
使用したフェノール化合物を(BP−2)に変更し、使用した1,2−ナフトキノンジ
アジド−4−スルフォニルクロリドの量を2倍にした他は上記合成例と同様の方法で感光剤(P−2)を合成した。得られた(P−2)を高速液体クロマトグラフィー(Waters社製S1525)により分析した結果、純度は97.5%であった(検出波長254nm)。
【0147】
【化45】

【0148】
〔感光性樹脂組成物の調製〕
(1)組成物の調製1
樹脂A−1及び樹脂A−2を使用し、表1に記載した樹脂、樹脂に対して12質量%の感光剤、樹脂に対して2質量%の下記密着促進剤C(アルコキシシラン化合物)、さらに組成物2関しては樹脂に対して8質量%のフェノール化合物(DE)を加え、γ−ブチロラクトンに溶解し固形分濃度38質量%の溶液100gを調製し、ついでPTFE製カセット型フィルター(0.1μm)で濾過し、感光性樹脂組成物1、2を調製した。
【0149】
【化46】

【0150】
【化47】

【0151】
(2)組成物の調製2
樹脂A−3のPGMEA溶液使用し、樹脂に対して2質量%の感光剤(オキシムスルフォネートP−3)、感光剤に対して5質量%のトリフェニルイミダゾール、樹脂に対して2質量%の上記密着促進剤C(アルコキシシラン化合物)をγ−ブチロラクトンに加えて溶解し、固形分濃度38質量%の溶液100gを調製し、ついでPTFE製カセット型フィルター(0.1μm)で濾過し、感光性樹脂組成物3を調製した。
【0152】
【化48】

【0153】
(3)比較組成物の調製
樹脂A−1に替えて合成例1で得た樹脂a−1を用いた以外は組成物1の調製と同様にして比較組成物を調製した。
【0154】
(4)感度、残膜率評価
調製した組成物をシリコンウエーファ上にスピンコートし、そしてホットプレート上で、120℃で3分間ベーキングを行って厚さ10μmのフィルムを得た。このフィルムをi−ラインステッパーを使用し、10ミクロンのビアホール繰り返しパターンのマスクを使用して、露光し、組成物3に関してのみ3分間ベーキングを行って、100℃で次いで0.262NのTMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)水溶液を用いて現像し、続いて脱イオン水ですすいだ。10ミクロンのビアホールパターンを再現する露光量を露光感度とした。乾燥後の試料の未露光部分の残膜量を、大塚電子の光学式膜厚測定装置FE-3000を用いて膜厚として測定し、現像前の膜厚で除することにより残膜率を算出した。
(5)パターン変形の評価
4ミクロンのビアホールパターンを窒素条件下200℃で30分、350℃で30分間加熱し、再度4ミクロンのビアホールパターンのサイズを計測し、変化率をパターン変形率とした。
パターン変形率(%)=100×|加熱前サイズ−加熱後サイズ|/加熱前サイズ
【0155】
(6)破断伸びの評価
調製した樹脂溶液をシリコンウエーハー上にスピンコートし、そしてホットプレート上で、120℃で3分間ベーキングを行い、更に窒素条件下150℃で30分、350℃で1時間加熱硬化し、得られたウエハーより樹脂膜をはがしとり、更に幅3mm長さ7cmのサイズにカットした。
得られたサンプルをテンシロンにて両端1cmずつを固定して引っ張り(1mm/分)
、JIS K 6760に準じて、23℃にて、破断するまでの伸び率(破断伸び)を測定した。
【0156】
(7)熱膨張率の評価
破断伸び測定時と同様に調製したサンプル(サイズ10mm×3mm)をTA Instrument社製TMA Q400を使用し、測定を行った。
【0157】
【表1】

【0158】
本発明の感光性樹脂組成物は、感度、残膜率のバランスに優れ、リソグラフィー後に得られたパターンの熱変形が小さく、安定したパターン形成が可能である。破断伸びが良好であることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の構造を有するポリベンゾオキサゾール前駆体。
【化1】

式(1)中、R1a〜R4a、R1b〜R4bは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキニル基、または脂環基を表す。但し、R1a〜R4aのうち少なくとも一つ、R1b〜R4bのうち少なくとも一つはアルキニル基である。
1a〜R4a、またはR1b〜R4bについて、アルキニル基以外の基は、互いに結合して脂環基を形成しても良い。
1は式(2)又は(3)で表される基を表す。
【化2】

は、4価の芳香族基、脂肪族基、複素環基またはこれらの混合基を表し、Ra及びRbは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アシル基、SO2Rc(Rcはアルキル基、アリール基、または脂環基を表す。)、酸の作用により脱離する基、又は−C(R3)2−COOR4(R3は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R4は酸の作用により脱離する基を表す。)を表す。
2は、珪素原子を含んでもよい、2価の芳香族基、複素環基、脂環式基または脂肪族基を表す。
1は、2価の芳香族基、脂肪族基、複素環基またはこれらの混合基を表す。
上記各基について、複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。
mは3〜1000を表す。
【請求項2】
式(1)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体及び感光剤を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項3】
式(2)中の、X1またはY1で表される少なくとも一つが、式(A2−2)で表される構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【化3】

式(A2−2)中、Mは単結合又は2価の基を表し、R21及びR22は各々独立にフッ素原子又は1価の有機基を表し、r及びsは各々独立に1〜4の整数を表す。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を、半導体素子上に塗布し、プリベーク、露光、現像、加熱して得られることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【公開番号】特開2008−74902(P2008−74902A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−253001(P2006−253001)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】