説明

ポリマー半導体、デバイス、および関連する方法

式(I)または(II)で表されるポリマー鎖を含むポリマーを提供する。式(I)において、a、b、c、dおよびnは整数であり、aは0〜3であり、bは1〜5であり、cは1〜3であり、dは1〜5であり、かつnは2〜5000であり; R1およびR2は側鎖であり; R3およびR4はそれぞれ独立してHまたは側鎖であり; かつaが0である場合、R3およびR4は側鎖である。式(II)において、a、b、c、d、eおよびnは整数であり、aは1〜3であり、bおよびcは独立して0または1であり、dおよびeは独立して1または2であり、かつnは2〜5000であり; R1およびR2は-COOアルキルを除く側鎖であり; かつX1、X2およびX3は独立してO、SまたはSeである。このポリマーを含む半導体およびデバイスも提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年8月28日出願の米国特許仮出願第61/272,182号の恩典および優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本出願はまた、2009年10月22日出願のPCT特許出願番号PCT/SG2009/000393の恩典および優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0003】
発明の分野
本発明は、全体として半導体材料に関し、具体的には、ポリマー半導体、そのようなポリマー半導体を包含するデバイス、および関連する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
位置規則的なポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)またはポリ(クアテルチオフェン)(PQT)は、有機薄膜トランジスタ(OTFT)または有機光(OPV)電池における半導体として使用されている。位置規則的なP3HTまたはPQTは、スピンコーティングで塗布される場合に0.1〜0.2cm2/Vsだが、溶液を用いた印刷プロセスで塗布される場合ではこれよりも著しく低い電荷移動度を示す。さらに、P3HTは約1.9eVという幅広いバンドギャップを有する。より幅広いバンドギャップによって、より高い波長の光の吸光度が限定され、したがって太陽光の電力変換効率(PCE)が限定される。例えば計算により、1.9eVのバンドキャップでは波長650nmの光のわずか約22%しか吸収できないことが示されている。P3HTをベースにしたデバイスのPCEがわずか最大5%であることが報告されている(Ma, W. L. et al., "Thermally stable, efficient polymer solar cells with nanoscale control of the interpenetrating network morphology," Adv. Funct. Mater., 2005, vol. 15, p. 1617(非特許文献1)参照)。ポリマーバンドギャップを狭くすることは、吸収される太陽光の量を増大させることはできるが、OPV電池の等価開回路電圧を減少させることもあることから、電力変換効率を必ずしも改善するわけではない。これは、狭くなったバンドギャップからの利得を相殺する、電力変換効率の減少を招くことがある。公知の低バンドギャップポリマーOPV材料をベースとするデバイスについて報告されるPCEはわずか最大7.73%である(Hsiang-Yu Chen et. al., "Polymer solar cells with enhanced open-circuit voltage and efficiency," Nature Photonics, 2009, vol. 3, pp. 649-653(非特許文献2)参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Ma, W. L. et al., "Thermally stable, efficient polymer solar cells with nanoscale control of the interpenetrating network morphology," Adv. Funct. Mater., 2005, vol. 15, p. 1617
【非特許文献2】Hsiang-Yu Chen et. al., "Polymer solar cells with enhanced open-circuit voltage and efficiency," Nature Photonics, 2009, vol. 3, pp. 649-653
【発明の概要】
【0006】
したがって、電界効果トランジスタ、ダイオードまたは光電池などの電子デバイスにおける半導体材料または光起電材料としての使用に適した代替的ポリマーを提供することが望ましい。
【0007】
改善された電荷移動度を有するポリマーを提供することも望ましい。
【0008】
低バンドギャップ(1.9eV未満)を有し、有機光起電力(OPV)デバイスにおける改善された電力変換効率(PCE)を示し得る、代替的ポリマーを提供することがさらに望ましい。
【0009】
したがって、本発明の一局面によれば、下記式で表されるポリマー鎖を含むポリマーが提供される。

式中、a、b、c、dおよびnは整数であり、aは0〜3であり、bは1〜5であり、cは1〜3であり、dは1〜5であり、nは2〜5000であり;かつR1は第一の側鎖であり;R2は第二の側鎖であり;R3はHまたは第三の側鎖であり;R4はHまたは第四の側鎖であり; かつここで、aが0である場合、R3およびR4は側鎖である。側鎖の少なくとも1つは6〜30個の骨格原子、または8〜20個の骨格原子、例えば12個の骨格原子を有し得る。ポリマーは2,000〜1,000,000g/mol、例えば5,000〜500,000g/molの数平均分子量(Mn)を有し得る。側鎖の少なくとも1つはアルキル、シロキシ、アルケニル、アルキニル、アミン、エーテル、カルボニル、エステル、アミド、スルホニルまたはスルフィニルを含み得る。アルキルは1〜30個の炭素原子、例えば6〜20個の炭素原子、または12〜20個の炭素原子を有し得る。数nは5〜1,000であり得る。数aは1〜3、または0であり得る。R3およびR4はいずれもHであり得る。
【0010】
本発明の別の局面によれば、下記式で表されるポリマー鎖を含むポリマーが提供される。

式中、a、b、c、d、eおよびnは整数であり、aは1〜3であり、bおよびcはそれぞれ独立して0または1であり、dおよびeはそれぞれ独立して1または2であり、かつnは2〜5000であり;R1は-COOアルキルを除く第一の側鎖であり;R2は-COOアルキルを除く第二の側鎖であり; かつX1、X2およびX3はそれぞれ独立してO、SまたはSeである。側鎖の少なくとも1つは6〜30個の骨格原子、例えば8〜20個の骨格原子を有し得る。ポリマーは2,000〜1,000,000g/mol、例えば5,000〜500,000g/molの数平均分子量(Mn)を有し得る。数nは5〜1,000、例えば10〜1,000であり得る。側鎖の少なくとも1つはアルキル、シロキシ、アルケニル、アルキニル、アミン、エーテル、カルボニル、アミド、スルホニルまたはスルフィニルを含み得る。アルキルは1〜30個の炭素原子を有し得る。X1、X2およびX3はそれぞれSであり得る。
【0011】
本発明のさらなる局面によれば、本明細書に記載のポリマーを含む半導体が提供される。
【0012】
本発明の別の局面によれば、本明細書に記載の半導体を含む電子デバイスが提供される。デバイスは薄膜トランジスタを含み得る。
【0013】
本発明のさらなる局面によれば、本明細書に記載のポリマーを含むデバイスが提供される。デバイスは薄膜トランジスタ、光電池、フォトダイオード、発光ダイオード、センサまたはメモリを含み得る。光電池は、ポリマーとm=61または71であるフェニル-Cm-酪酸メチルエステル(PCBM)との混合物で形成される層を含み得る。層におけるポリマー対PCBMの重量比は約2:1〜約1:5であり得る。
【0014】
本発明の別の局面によれば、本明細書に記載のデバイスを形成するための方法が提供される。方法は、ポリマーを溶液に溶解させる工程; 該溶液を基板に塗布する工程; および該溶液を乾燥させて、該ポリマーを含む固体層を形成する工程を含む。
【0015】
好都合なことに、本明細書に開示されるポリマーの例示的な態様は、最大約0.5cm2/Vsなどの改善された電荷移動度を示すことができる。溶液を用いた印刷プロセスにおいてこの特定のポリマーを塗布して半導体を形成する場合、電荷移動度が依然として0.1cm2/Vsよりも高い可能性があると予想される。そのようなポリマーから形成された半導体が位置規則的なポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)またはポリ(クアテルチオフェン)(PQT)に比べて増大した電流オン/オフ比を有し得ることがわかった。
【0016】
本明細書に開示されるポリマーの別の例示的な態様は、1.9eV未満、例えば1.7または1.6eV未満のバンドギャップを有することができ、P3HTに比べて改善された光吸収効率を有することができる。得られる材料がOPVデバイスにおける使用に適するように、この特定のポリマーを、ポリマー材料にわたって十分な電荷分離を実現しかつ十分な電荷輸送を示すよう好都合に加工することができる。そのようなポリマーは、P3HTおよび一部の低バンドギャップポリマー材料に比べて改善された電力変換効率(PCE)を示すことができる。
【0017】
本発明の具体的な態様に関する以下の説明を添付図面と併せて検討すれば、本発明の他の局面および特徴は当業者に明らかになると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図面は、ほんの一例として本発明の態様を説明するものである。
【図1】本発明の態様の例示的なポリマーの化学式を示す。
【図2】本発明の態様の例示的なポリマーの化学式を示す。
【図3】本発明の態様の例示的な図1Aおよび図2Aに示すポリマーを形成するための合成経路を示す模式図である。
【図4】本発明の態様の例示的な有機電界効果トランジスタ(OFET)の断面正面図である。
【図5】本発明の態様の例示的なポリマーの化学式を示す。
【図6】本発明の態様の例示的な図1Bおよび図5に示すポリマーを形成するための合成経路を示す模式図である。
【図7】本発明の態様の例示的な図1Bおよび図5に示すポリマーを形成するための合成経路を示す模式図である。
【図8】試料ポリマーの紫外可視吸収スペクトルを示す線図である。
【図9】図4に示す試料OFETから測定したVd-Id関係を示す線グラフである。
【図10】図4に示す試料OFETから測定したVg-Id関係を示す線グラフである。
【図11】クロロベンゼン中の試料ポリマーの紫外可視吸収スペクトルを示す線グラフである。
【図12】本発明の態様の例示的な試料有機光(OPV)電池の断面正面図である。
【図13】図5に示す試料ポリマーを活性材料として含む試料有機光(OPV)電池の代表的な測定I-V曲線を示す線グラフである。
【図14】図5に示す試料ポリマーを活性材料として含む試料有機光(OPV)電池の代表的な測定I-V曲線を示す線グラフである。
【図15】図5に示す試料ポリマーを活性材料として含む試料有機光(OPV)電池の代表的な測定I-V曲線を示す線グラフである。
【図16】図5に示す試料ポリマーを含む試料膜の原子間力顕微鏡(AFM)画像である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
本発明の第一の例示的な態様は、本明細書において式(I)と呼ぶ、図1Aに示される式で表されるポリマー鎖を含むポリマーに関する。
【0020】
式(I)において、a、b、c、dおよびnは整数であり、aは0〜3であり、cは1〜3であり、bおよびdはそれぞれ独立して1〜5であり、かつnは2〜5000、例えば5〜1000、または10〜1000である。
【0021】
式(I)において、R1およびR2はそれぞれ側鎖であり、かつR3およびR4はそれぞれHまたは側鎖である。a=0である場合、R3およびR4が側鎖であるという制約を条件として、R1、R2、R3、R4を別途独立して選択することができる。1つまたは複数の側鎖はそれぞれ独立して10〜30個の骨格原子、例えば12〜20個の骨格原子または12個の骨格原子を有し得る。側鎖は6〜20個、12〜20個、または12〜25個の骨格原子を有してもよい。
【0022】
ポリマーは、2,000〜1,000,000g/mol、例えば5,000〜500,000g/molの数平均分子量(Mn)を有し得る。
【0023】
側鎖は、アルキル、シロキシ、アルケニル、アルキニル、アミン、エーテル、カルボニル、エステル、アミド、スルフィド、スルホニル、スルフィニル、オルガノシランまたはチオレートを含み得る。これらの列挙された基はそれぞれ、その基の誘導体、または置換された基を含み得る。側鎖は直鎖状または分岐状であり得る。いくつかの態様では、側鎖は直鎖状アルキル鎖であり得る。本明細書の他の箇所にさらに記載の通りに、側鎖は、使用中にポリマー分子の改善された溶解度および充填を示すように選択および配置される。
【0024】
アルキルは、1〜30個の炭素原子、例えば6〜30個または12〜25個の炭素原子を有し得る。適したアルキルとしてはアルコキシアルキル、シロキシル置換アルキル、パーハロアルキル、ハロゲン置換アルキルまたはニトリル置換アルキルも挙げられる。
【0025】
エーテルとしてはオリゴエチレンオキシドなどのポリエーテル、またはチオエーテルを挙げることができる。エステルは炭酸エステルであり得る。側鎖は置換アミン、チオカルボニル、カルボン酸エステル、チオエステル、チオアミドなども含み得る。
【0026】
文脈に応じて、アルキルは分岐状または直鎖状であり得、1〜30個の炭素原子を有し得る。アルキル基の例としてはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、sec-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシルなどが挙げられる。アルキル基は非置換でもよく、1個または複数の置換基で置換されていてもよい。
【0027】
別途指定されない限り、ポリマー中の任意の置換基はハロゲンまたはニトリルであり得る。
【0028】
アルキル基について、置換基は低級アルキルであってもよい。「低級」基は1〜6個の炭素原子、例えば1〜4個の炭素原子を有する。低級アルキル基の例としてはメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチルおよびヘキシルが挙げられるがそれに限定されない。低級アルキル基は非置換でもよく、1個または複数の置換基で置換されていてもよい。置換基としてはハロゲン、ニトリル、CF3、CCl3、CBr3、CI3、C2F5、C3F7、C4H9などを挙げることができる。
【0029】
置換アルキル基としてはハロアルキル基を挙げることができる。
【0030】
側鎖に含まれ得る基の例としてはCF3、CCl3、CBr3、CI3、C2F5、C3F7、C4H9、C5F11、C6H13、C7H15、C8H17、C9F19、C10F21、C11F23、C12F25、C14F29、C16F33、CF2CH3、CF2C2H5、CF2C3H7、CF2C4H9、CF2C5H11、CF2C7H15、CF2C11C23、CCl2C11H23、CBr2C11H23、CCI2C11H23、CF2C13H27、CF2C15H31などが挙げられる。他の置換アルキル基としては2-メチルヘキシル、2-エチルヘキシル、3,7,7-トリメチルオクチル、2-エチル-2-プロピルヘキシル、2-ブチルオクチル、2,2-ジメチルデシル、7-メチル-4-(1-メチルエチル)オクチル、2-メチルドデシル、11-メチルドデシル、2-エチルドデシル、3-エチルドデシル、4-エチルドデシル、2-ブチルデシル、2-ヘキシルオクチル、2-ペンチルノニル、4-ペンチルノニル、3,7,11-トリメチルドデシル、2-ブチルドデシル、1-メチルペンタデシル、2-ヘキシルデシル、2-(1,3,3-トリメチルブチル)-5,7,7-トリメチルオクチル、2-ヘキシルドデシル、2-オクチルデシル、1,1-ジメチルヘキサデシル、2-オクチルドデシル、4-オクチルドデシル、2-デシルテトラデシル、4-デシルテトラデシルなどが挙げられる。
【0031】
アルケニルは分岐状または直鎖状であり得、2〜20個の炭素原子を有し得、1個または複数の二重炭素結合を有する。アルケニル基の例としてはエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、ノネニル、デセニルなどが挙げられる。アルケニル基は非置換でもよく、1個または複数の置換基で置換されていてもよい。
【0032】
アルキニルは分岐状または直鎖状であり得、2〜20個の炭素原子を有し得、1個または複数の三重炭素結合を有する。アルキニル基の例としてはエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、ノニニル、デシニルなどが挙げられる。アルケニル基は非置換でもよく、1個または複数の置換基で置換されていてもよい。
【0033】
アミンまたはアミノは、-NH-または-NR-を含む基であり、Rはアルキル基であり得る。カルボニルは、-(C=O)-を含む基である。エステルは、-(C=O)O-または-O(C=O)-を含む基である。炭酸エステルは、-O(C=O)O-を含む基である。エーテルは、-O-を含む基である。スルフィドは、-S-を含む基である。オルガノシランは、-SiR0R00-を含む基であり、R0およびR00はそれぞれH、低級アルキルなどであり得る。チオエートは、-S(C=O)-または-(C=S)-を含む基である。ハロまたはハロゲンはF、Cl、BrまたはIであり得る。ニトリルは、-C≡Nを含む基である。
【0034】
異なる態様では、側鎖はまたヘテロアルキル、ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニルであり得る。側鎖中のヘテロ原子はN、O、S、P、Si、Cl、Br、Iなどから選択することができる。側鎖は5員環、6員環またはそれ以上の員数の環などの環も含み得る。例えば、側鎖はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルなど、またはそれらのヘテロシクロ対応物を含み得る。しかし、側鎖が上記ポリマー基を含む場合、異なるポリマー鎖を含みかつ嵩高くなりすぎないように側鎖を選択すべきである。側鎖が同様の嵩高い鎖である場合、得られる組成物を使用して膜を形成する際に膜の形態に負の影響を与える。
【0035】
一態様では、aは1〜3であり、R3およびR4はいずれも側鎖である。
【0036】
別の態様では、aは1〜3であり、R3およびR4はいずれもHである。この場合、ポリマー鎖は、本明細書において式(IA)と呼ぶ、図2Aに示される式で表すことができる。
【0037】
さらなる態様では、aは0であり、R3およびR4はいずれも側鎖である。この場合、ポリマー鎖は、本明細書において式(IB)と呼ぶ図2Bの式で表すことができる。
【0038】
本明細書において、式(I)、(IA)または(IB)のポリマー鎖を含むポリマーをそれぞれポリマー(I)、ポリマー(IA)またはポリマー(IB)と呼ぶ。
【0039】
理解され得る通り、各ポリマー(I)の骨格が、チエニレン繰り返し単位(チエニレン、ビチエニレンおよびジチエノチオフェン単位を含む)で形成され、これら繰り返し単位の少なくとも一部が、ポリマー骨格上に位置規則的に配置される側鎖を有する。骨格中のSは電子供与体として役立ち得る。位置規則的な位置にある側鎖は、適した加工条件下での、例えば溶液中でのポリマー鎖の自己整列を促進することができる。次に、適切な分子整列は、強化された分子構造秩序を例えば薄膜中で実現することを可能にし、強化された構造秩序は、膜中の効率的な電荷担体輸送を促進する。
【0040】
したがって、好都合なことに、ポリマー鎖は溶液中で自己整列することができ、また溶液および薄膜の両方の中で高密度充填構造に自己組織化することができ、したがって0.1cm2/Vsよりも高い、例えば約0.1〜約0.5cm2/Vsの電荷移動度を有する半導体が得られる。
【0041】
材料中の電荷移動度は、測定される材料がドレインとソースとの間に半導体チャネルを形成するTFTデバイス構成を使用して測定することができる。TFTデバイスは、暗中の周囲環境下でKeithley SCS-4200(商標)プローブステーションを使用して特性決定することができる。電界効果移動度(μ)は、ゲート掃引から以下の飽和領域の式を使用して抽出することができる。
ISD=μCi(VG-VT)2(W/2L)
式中、ISDはドレイン電流であり、Ciはゲート誘電体層の単位面積当たりのキャパシタンスであり(SiO2、200nm、Ci=17.25nF/cm2)、かつVGおよびVTはそれぞれゲート電圧および閾値電圧である。VTは、飽和領域におけるISDの平方根とVGとの間の関係から、測定データをISD=0に外挿することで導出した。WおよびLはそれぞれチャネルの幅および長さである。Iオン/Iオフは、ゲート電圧VGがドレイン電圧VDと等しいかまたはそれより大きい場合の飽和ソース・ドレイン電流の、ゲート電圧VGがゼロである場合のソース・ドレイン電流に対する比である。
【0042】
任意の特定の理論に制限されるわけではないが、電荷移動度の改善は、ポリマー骨格間の強力なπ-πスタッキングによる、例えば堆積後の薄膜層中のポリマーの高密度充填された秩序ある構造に起因すると予想される。例えば、式(I)の例示的なポリマーにおいて、チエニレン(ビチエニレンおよびジチエノチエニレンを含む)繰り返し単位で形成される骨格は、高密度で秩序ある構造を形成することができる。半導体の試験試料が示す結果的な電荷移動度は、有機電子デバイス用途における使用に十分な高さである。
【0043】
骨格は、強力なπ-πスタッキングによって秩序ある構造を形成する。側鎖を有するビチエニレンおよびジチエノチエニレン繰り返し単位の存在は、ポリマーの溶液加工性を可能にし、一方、側鎖を有さないチエニレン繰り返し単位は、ポリマー鎖が充填中に回転するために十分な可撓性を示し、したがって、使用中にポリマーを塗布する際に充填ポリマー構造の秩序化を促進する。
【0044】
図1Aを見ての通り、側鎖を有する骨格基は、位置規則的であるかまたは実質的に位置規則的である。しかし、塗布中のポリマーの効率的で秩序ある充填による潜在的な立体障害およびその充填との干渉を防止するかまたは減少させるために、隣接する側鎖間のヘッドトゥーヘッド結合を回避または制限するように側鎖を選択する。
【0045】
側鎖が長すぎず短すぎないように、側鎖の長さ(各側鎖中の骨格原子の数により測定)を選択する。一方で、ポリマーの溶解度が側鎖の長さに依存することから、側鎖の長さが短すぎる場合、ポリマーの溶解度は低くなる。他方で、ポリマーの凝集の起こりやすさは側鎖の長さが増大するに従って増大することから、側鎖の長さが長すぎる場合、ポリマーは溶液中で凝集して沈殿しさえするという傾向がある。したがって一態様では、有機溶媒または水であり得る選択される溶媒中での所望の溶解度を示す最短の可能な長さとなるように側鎖の長さを選択する。この場合、ポリマー中の側鎖は、同一の長さまたは実質的に同一の長さを有し得る。無論、異なる態様または用途において、側鎖の長さは異なるポリマー間または同一のポリマー内で変動し得る。当業者は、ポリマーが所与の溶媒中適切に可溶性であるか否か、あるいはポリマーが溶媒中に凝集もしくは沈殿するか否か、またはどのようにして凝集もしくは沈殿するかを容易に試験することができる。したがって当業者は、任意の特定の用途に必要な側鎖の長さを容易に調整することができる。
【0046】
ポリマー(I)は、位置規則的カップリング反応を必要としない重合技術、例えばスティルカップリング、鈴木カップリング、またはFeCl3媒介酸化カップリングにより調製することができる。これに比べて、ポリ(3-アルキルチオフェン-2,5-ジイル)などの位置規則的なポリチオフェンの調製は位置規則的カップリング反応を必要とし、これは位置規則性に関する複雑な問題を引き起こすことがある。
【0047】
例えば、本発明の例示的な態様では、ポリマー(I)の具体例である図3に示すポリマー(I-P1)を、図3に示す合成プロセスに従って調製することができる。a=b=c=d=1、R1=R2=RおよびR3=R4=Hである場合、式(I)は式(I-P1)に還元される。RはR1、R2について本明細書に記載の側鎖のいずれかであり得、各Rは独立して選択することができる。
【0048】
図3に示す通り、オリゴチオフェンモノマーとジチエノチオフェンジスタニルモノマーとのスティルカップリング反応によりポリマー(I-P1)を形成することができる。
【0049】
図3に示す通り、スティルカップリング反応を通じた4,4'-二置換5,5'-ジブロモ-2,2'-ビチオフェンと2-スタニル-チオフェンとの反応、続いてN-ブロモスクシンイミド(NBS)臭素化によって、オリゴチオフェンの前駆体モノマー(M1)を形成することができる。
【0050】
その内容全体が参照により本明細書に組み入れられるJ. Frey et al., Chem. Commun. 2002, vol. 20, pp. 2424-2425に記載の手順に従って、2,6-ビス-トリメチルスタニル-ジチエノ[3,2-b;2',3'-d]チオフェン(M2)を合成することができる。
【0051】
前駆体モノマー(M1)上の側鎖の位置は、得られるポリマー(I-P1)において側鎖(R)が骨格上に位置規則的に配置されることを確実にする。
【0052】
モノマー(M1)の調製プロセスにおいて、側鎖Rの配置を例えば図3上部に示す手順に従って行うことができる。その内容全体が参照により本明細書に組み入れられるM. Takahashi et al., "Palladium-Catalyzed C-H Homocoupling of Bromothiophene Derivatives and Synthetic Application to Well-Defined Oligothiophenes," J. Am. Chem. Soc., 2006, vol. 128, pp. 10930-10933も参照。
【0053】
当業者に理解される通り、合成プロセス中に公知の技術に従ってa〜cおよびdの値を制御することができる。例えば、異なる合成手順に従ってa、b、cおよびdの値の異なる組み合わせを得ることができる。反応時間または反応温度を調整すること、溶媒および触媒の選択、ならびに反応混合物中の異なるモノマーのモル比を変動させることが例えば挙げられる公知の技術によってnの値を制御することができる。
【0054】
スティルカップリングに基づいてポリマーIBを調製することもできる。例えば、以下の通りにポリマーIBを調製することができる。窒素下でシュレンクフラスコにチオフェン(もしくはビチオフェン、またはその両方)のジ-スタニル誘導体、2,6-ジブロモ-3,5-ジアルキル-ジチエノ[3,2-b;2',3'-d]チオフェン、トリ(o-トリル)ホスフィン、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムおよび乾燥クロロベンゼンを加える。ジ-スタニル化合物の全添加量は、反応に使用するジ-ブロモ化合物の量と等モルである。フラスコをしっかり封止し、120℃で72時間攪拌する。室温に冷却後、反応混合物をメタノールと濃塩酸との混合物中に析出させ、16時間攪拌する。析出物を収集した後、エタノール、ヘキサンおよびクロロホルムで順次ソックスレー抽出する。クロロホルム画分を収集し、真空下で乾燥させてポリマーIBを生成する。
【0055】
合成手順のさらなる詳細は実施例に示す。
【0056】
半導体または電荷輸送材料を形成するために、式(I)で表されるポリマーを好都合に使用することができる。これらの材料を電界効果トランジスタ(FET)、薄膜トランジスタ(TFT)、有機TFT(OTFT)、有機発光ダイオード(OLED)または有機光起電力ダイオードなどの電子デバイスにおいて使用することができる。
【0057】
例えば、図4に示す通り、ポリマーを薄膜トランジスタ(TFT)中の半導体材料または誘電体材料として使用することができる。
【0058】
図4は、ゲート層102を含むTFT 100を示す。誘電体層104がゲート層102上に形成される。半導体層106が誘電体層104上に形成される。ソース電極108およびドレイン電極110が半導体層104上でそれと接触している。半導体層104は式(I)のポリマーで形成される。
【0059】
当業者に理解される通り、他の態様では、TFTの構造は、図4に示すTFT 100のそれと異なってもよい。本明細書に記載の半導体ポリマーを使用する以外で、TFT 100およびその可能な変形を公知のTFT技術に従って構築することができる。
【0060】
例えば、可能な変形では、基板(図示せず)を設けることができる。半導体層を基板上に形成することができ、誘電体層を半導体層上に形成することができる。ゲート層を誘電体層上に形成することができる。ソース電極およびドレイン電極を基板上に形成するかまたは半導体層に埋め込むことができる。
【0061】
異なる態様では、絶縁層などのさらなる層および構成部品を設けることもできる。
【0062】
好都合なことに、半導体106を、スピンコーティング、スタンプ印刷、スクリーン印刷またはジェット印刷などの溶液を用いたプロセスを使用して形成することができる。ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極ならびに誘電体層などのTFT 100の他の構成部品も、スピンコーティング、溶液キャスティング、スタンプ印刷、スクリーン印刷またはジェット印刷などの溶液を用いたプロセスで形成することができる。溶液を用いたプロセスとしてはディップコーティングを挙げることもできる。
【0063】
この目的のために、電子デバイスの製造プロセスにおいて一般的に使用される溶媒、例えばクロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどであり得る有機溶媒中でのポリマーの溶解度が約0.1重量%(重量パーセント)を超えるように、半導体ポリマーを構成することができる。この結果、溶液を用いたプロセスによってポリマーを好都合に電子デバイスに製造することができる。
【0064】
電極108および110を金、ニッケル、アルミニウム、白金、インジウムチタン酸化物、導電性ポリマーまたは導電性組成物で形成することができる。導電性ポリマーは、ポリスチレンスルホネートでドープしたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)であり得る。導電性組成物としては、ポリマーバインダー中の銀のコロイド分散液から形成されるインク/ペースト化合物を挙げることができる。独立して選択することができる同一のまたは異なる材料で、異なる電極を形成することができる。
【0065】
誘電体層104を窒化ケイ素、酸化ケイ素、有機ポリマー、または無機酸化物粒子・ポリマー複合体で形成することができる。有機ポリマーはポリ(メチルメタクリレート)またはポリ(ビニルフェノール)であり得る。
【0066】
一態様では、誘電体層104を酸化ケイ素で形成することができ、ゲート層102をnドープまたはpドープケイ素で形成することができる。
【0067】
TFT 100の様々な層および電極は、任意の適した厚さまたはサイズを有し得る。特定の態様では、ゲート層102をn+-Siまたはp+-Siで形成することができる。誘電体層104はSiO2で作製することができ、約200nmの厚さを有し得る。半導体層106は、約35〜約40nmの厚さを有するポリマーの薄膜であり得る。ソース電極およびドレイン電極108、110はAuで作製することができ、約100nmの厚さを有し得る。
【0068】
半導体層106はスピンコーティングによってSiO2誘電体層104上に成長させることができる。シャドウマスクを使用してAu層を半導体層106上に堆積させることで、ソース電極およびドレイン電極108、110を形成することができる。
【0069】
半導体ポリマーを含むデバイスが、酸素の悪影響に対する強化された耐性を示し得ると予想される。任意の特定の理論に制限されるわけではないが、高いHOMOエネルギーレベル(例えばHOMO -5.0eV超)を有する半導体ポリマーが酸素によって比較的容易に攻撃され得ると予想される。ポリマー鎖中の酸化種は電荷担体を捕捉することがあり、したがってポリマーの電荷移動度を低下させることがある。さらに、酸化は材料の劣化を導くことがある。HOMOエネルギーレベルが例えば約-5.15eV以下に低下する場合、ポリマーは酸素攻撃に対して比較的高い耐性を示す。本明細書に記載のポリマーにおけるHOMOエネルギーレベルを-5.1eV未満に制御することができる。いくつかの態様によれば、ポリマー骨格構造、および側鎖間の結合を制御することで、HOMOエネルギーレベルを制御する。例えば、ジチエノチオフェン単位が骨格鎖に組み込まれる場合、アルキル基がジチエノチオフェン単位上に組み込まれて、得られるポリマーが所望の低いHOMOレベルを有し得ると予想される。その結果、デバイスの有用寿命を増大させることができる。
【0070】
ポリマーの特定の構造では、ポリマー中の拡張π共役および置換パターンを制御することで、例えばトランジスタの機能性と酸化ドーピングの安定性との間のバランスを実現することも可能である。
【0071】
試験は、試料半導体ポリマーで形成されるデバイスが約104などの相対的に高い電流オン/オフ比を示すことも示した。本発明の一態様のオン/オフ比が108超と高いことがあると予想される。
【0072】
TFT 100などのTFT、またはOTFTを以下の手順に従って形成することができる。
【0073】
n+-Siまたはp+-Siの層とSiO2の層とから形成される基板を得ることができる。異なる寸法のそのような基板は、商業的供給源からウェーハの形態で入手可能であり得る。基板を例えばアセトン、メタノールおよび脱イオン水中での超音波処理により洗浄することができる。洗浄した基板を窒素流下、約100℃の温度で約5分間乾燥させることができる。次に乾燥した基板を紫外線オゾン処理に約20分間供することができる。
【0074】
基板を表面処理することで、表面上の半導体ポリマーの整列を改善することもできる。例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられるA. Salleo et al., "Polymer thin-film transistors with chemically modified dielectric interfaces," Appl. Phys. Lett., 2002, vol. 81, no. 23, pp. 4383-4385に記載のSAM(自己集合単層)処理に基板を供することができる。例えば、オクチルトリクロロシラン(OTS) SAM処理を以下の通りに行うことができる。数滴のOTSを基板の表面上に置いた後、基板をデシケーター内に置く。デシケーターを例えば110℃で3時間の真空および加熱に供することができる。加熱後、基板を除去し、イソプロパノールですすぎ、窒素ガス流下で乾燥させることができる。
【0075】
次に溶液を用いたコーティング加工、例えばスピンコーティングによって、ポリマーの薄膜を基板上に成長させることができる。ポリマー溶液は、クロロベンゼンなどの有機溶媒中のポリマーの溶液であり得る。
【0076】
基板表面上の溶液膜を80、120、160または200℃などの適した温度でアニーリングすることができる。
【0077】
次にシャドウマスクを使用して金接点を乾燥した薄膜上に堆積させることができる。得られるOTFTデバイスは、ソース電極およびドレイン電極の設置に応じて異なるチャネル長さを有し得る。例えば、チャネル長さは50、100または200μmであり得る。チャネル幅は1mmまたは3mmであり得る。
【0078】
別の例示的な態様は、本明細書において式(II)と呼ぶ、図1Bに示される式で表されるポリマー鎖を有する半導体ポリマーに関する。本明細書において、式(II)のポリマーをポリマー(II)と呼ぶ。
【0079】
式(II)において、a、b、c、d、eおよびnは整数であり、aは1〜3であり、bおよびcは独立して0または1であり、dおよびeは独立して1または2であり、nは2〜5000である。
【0080】
式(II)において、R1およびR2は側鎖であり、以下で別途明確に指定されない限り、式(I)のR1およびR2について上記で述べた通りに選択することができる。
【0081】
X1、X2およびX3は独立してO、SまたはSeである。一態様では、X1、X2およびX3はそれぞれSであり得る。O、SまたはSeはそれらの良好な電子供与特性が理由で選択される。
【0082】
一態様では、側鎖R1またはR2は12〜25個の骨格原子を有し得る。
【0083】
ポリマー(II)は、2,000〜500,000g/molの数平均分子量(Mn)または4,000〜2,000,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有し得る。例えば、ポリマー(II)のMnは5,000〜200,000g/molであり得、ポリマー(II)のMwは10,000〜500,000g/molであり得る。
【0084】
いくつかの態様では、ポリマー(II)において、nは5〜1000または10〜1,000であり得る。
【0085】
ポリマー(II)のいくつかの具体例であるポリマー(II-P1)〜(II-P9)を図5に示し、ここで、Rは本明細書に記載のR1またはR2の側鎖のいずれかであり得、各Rは独立して選択することができる。
【0086】
一態様では、ポリマー(II)はポリマー(II-P1)である。別の態様では、ポリマー(II)はポリマー(II-P2)である。別の態様では、ポリマー(II)はポリマー(II-P3)である。別の態様では、ポリマー(II)はポリマー(II-P4)である。別の態様では、ポリマー(II)はポリマー(II-P5)である。別の態様では、ポリマー(II)はポリマー(II-P6)である。別の態様では、ポリマー(II)はポリマー(II-P7)である。別の態様では、ポリマー(II)はポリマー(II-P8)である。別の態様では、ポリマー(II)はポリマー(II-P9)である。
【0087】
式(II)の例示的な態様では、側鎖R1およびR2は-COOアルキルではない。特に、これらの態様では、式(II)は以下を除外する。

【0088】
式(II)のさらなる例示的な態様では、置換ジ-チオフェン部分が全体として電子受容体基とならないように側鎖R1およびR2を選択する。これらの態様では、置換ジ-チオフェン部分は全体として電子供与性基であり得る。例えば、R1およびR2がアルキル鎖である場合、置換ジ-チオフェン部分は全体として電子供与性基である。
【0089】
本明細書で使用する場合、特定の芳香族基またはヘテロ芳香族基の電子求引性(electron accepting)(電子吸引性(electron donating))の特性または電子供与性のいずれかを記述する際、そのような用語は非置換フェニル基の基準となる基に対して使用され、非置換フェニル基は、該当する基が末端基であるかまたは骨格鎖の範囲内にあるかに応じて一価または二価のいずれかである。ベンゼンは弱電子供与性であり、したがって本明細書に記載の電子供与性芳香族基またはヘテロ芳香族基は、フェニル基に比べて同等またはそれ以上の電子供与性の特性を有する。対照的に、本明細書に記載の電子求引性芳香族基またはヘテロ芳香族基は、フェニル基に比べて低い電子供与性の特性を有する。したがって、所与の芳香族基またはヘテロ芳香族基がフェニル基と共役している場合、フェニル基のπ電子雲が所与の芳香族基またはヘテロ芳香族基に向かって動けば、その基は電子吸引性であると考えられ、そうでなければ、その基は電子供与性であると考えられる。求電子置換反応、または電子密度の理論的計算をはじめとする慣習的な方法および技術を使用して、フェニル基のπ電子雲が所与の芳香族基またはヘテロ芳香族基に向かって動くか否かを決定することができる。分子の骨格に関して本明細書で使用する「共役」という用語は、分子の主鎖中に2個またはそれ以上のπ結合を有する分子であって、各π結合が単結合によって次の連続したπ結合と隔てられ、これによりπ軌道がπ結合と重なり合うだけでなく、隣接するπ結合間に位置する隣接する単結合と重なり合いもする分子を意味する。
【0090】
さらなる例示的な態様は、ポリマー(II)の例示的な態様の調製のための方法に関する。ポリマー(II)は、スティルカップリング、鈴木カップリング、還元、酸化反応などによって好都合に調製することができる。
【0091】
例えばポリマー(II-P1)は、図6に示す通りに、適切に構築されたオリゴチオフェンモノマーから鈴木カップリング反応またはスティルカップリング反応によって調製することができる。
【0092】
図6の経路1において、ポリマー(II-P1a)をモノマー(M1)および(M3)から鈴木カップリング反応によって形成する。モノマー(M1)は、上記で述べかつ図3に示す通りに調製することができる。
【0093】
図6の経路2において、ポリマー(II-P1b)をモノマー(M4)および(M5)からスティルカップリング反応によって形成する。モノマー(M4)は、上記で述べかつ図3に示す通りに調製することができる。
【0094】
図7に示す例示的な合成プロセスに従って、ポリマー(II-P3)をスティルカップリングによって調製することができる。モノマー(M1)および(M5)は、上記で述べた通りに調製するかまたは得ることができる。
【0095】
これらの例示的な合成経路のさらなる詳細は実施例において述べる。図6および7に示す合成経路において使用する試薬およびモノマーは、実施例に記載の通りに、または当業者に公知である任意の他の適した様式で、調製するかまたは得ることができる。
【0096】
ポリマー(I)に関して上記で述べた通りに、得られるポリマー(II-P1)または(II-P3)中の側鎖も骨格に沿って位置規則的に配置される。モノマー(M1)または(M4)などの適したモノマーを選択することで側鎖の位置を制御することができる。
【0097】
位置規則的位置に側鎖を有する半導体ポリマーは、適した加工条件下でのポリマー鎖の自己整列を促進することができる。
【0098】
ポリマー(II)が電子豊富な(供与体)オリゴチオフェンブロックおよび電子不足の(受容体)ベンゾチアジアゾールブロックを含むことから、例えばp型半導体または層を形成するためにポリマー(II)を電子デバイスにおいて使用することができる。半導体層としてはn型材料を挙げることもできる。
【0099】
ポリマー(II)の例示的な態様は1.9eV未満、例えば約1.6または1.7eV未満のバンドギャップを有し得る。そのようなポリマーをOPV用途で使用することで、P3HTなどのより幅広い(高い)バンドギャップを有するポリマーよりも広範な太陽光スペクトルをカバーすることができる。
【0100】
半導体業界において一般的に使用されるクロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの有機溶媒中でのポリマーの溶解度を改善するように、ポリマー(II)中の側鎖を選択することができる。例えば、溶解度の改善のために、側鎖は分岐状であり得る。有機溶媒に可溶性にするために、側鎖は親油性であり得る。水溶液に可溶性にするために、側鎖は親水性であり得る。ポリマー(II)とn型半導体材料、例えばPCBM(フェニル-Cm-酪酸メチルエステル、m=61または71)との混和性を改善するように側鎖を選択することもできる。そのような混和性は、溶液中の共連続網目構造の形成を促進し、したがって複合体の電荷分離および電荷輸送特性を改善する。
【0101】
例えば、ポリマー(II)が有機溶媒中での約0.1重量%(重量パーセント)を超える溶解度を有し得るように側鎖を選択することができる。一般的な溶媒中での相対的に高い溶解度により、費用対効果が高いことがあり得る溶液を用いた加工技術によってポリマー(II)をデバイスに組み込むことが好都合になる。一般的な溶液を用いたプロセスとしてはスピンコーティング、スクリーン印刷、スタンプ印刷、ディップコーティング、ジェット印刷などが挙げられる。
【0102】
有機光電池、有機薄膜電界効果トランジスタ(OFET)または有機発光ダイオード(OLED)などの電子デバイスにおける半導体または電荷輸送材料としてポリマー(II)を使用することができる。
【0103】
pチャネルTFT、フォトダイオード、有機発光ダイオード(OLED)、センサまたはメモリを形成するためにポリマー(II)を使用することもできる。
【0104】
ポリマーはp型であり、上記の通り、1.9eV未満のバンドギャップを有し得る。溶液を用いた堆積プロセスにおいて、ポリマーを塗布して、OPV電池などの電子デバイスにおける低バンドギャップ材料を形成することができる。得られるデバイスは約3.2〜約5.4%などの相対的に高いPCEを示し得る。
【0105】
OPVデバイスのPCEは、短絡電流(Jsc)、開放電圧(Voc)および曲線因子(FF)の測定値から下記式を使用して決定することができる。

式中、Pは、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられる、例えばChristoph Winder and Niyazi Serdar Sariciftci, "Low bandgap polymers for photon harvesting in bulk heterojunction solar cells," J. Mater. Chem., 2004, vol. 14, pp. 1077-1086に記載の通り、照射光の電力強度である(AM 1.5グローバル、100mW/cm2)。一般に、Vocは、活性材料中の供与体のHOMOエネルギーレベルおよび受容体のLUMOエネルギーレベルに依存し、Jscは、活性層、および供与体受容体界面において発生する電荷担体の光子吸収、ならびに電極における電荷収集効率に依存する。したがって、本明細書に記載の低バンドギャップポリマーは、強化された光吸収による増大した光電流を提供することができる。本明細書に記載の低バンドギャップポリマーは、より高いVoc、より高いJsc、およびより良いFF、したがってより高いPCEを示し得る。
【0106】
FFは電荷解離、電荷担体輸送、および再結合プロセスに依存する。正孔輸送と電子輸送とが不均衡である場合、空間電荷の蓄積によって光電流の電圧への平方根依存性が生じ、これにより低い曲線因子が生じるということがある。ポリマー(II)で形成される材料のFFは相対的に高い。これはポリマーの良好な電荷移動度およびポリマーの秩序ある構造が理由であると予想される。ポリマーは、受容体と相互作用することで実質的な相分離を防止し、したがって受容体との相互侵入網目の形成を促進すると予想される。ポリマーの構造秩序化は、正孔移動度などの輸送特性を強化すると予想される。
【0107】
別の態様は、ポリマー(II)を包含する電子デバイスを形成する方法に関する。例示的な方法では、スピンコーティング、スタンプ印刷、スクリーン印刷またはジェット印刷を含む溶液を用いた加工によってポリマー(II)の層を形成する。ポリエステル、ポリカーボネートまたはポリイミドで形成されるプラスチックシートであり得る基板(図示せず)上に、ポリマーの層または膜を形成することができる。
【0108】
一態様では、デバイスを形成するための方法は、ポリマー(II)を溶液に溶解させる工程、該溶液を基板に塗布する工程、および該基板上の該溶液を乾燥させて、ポリマー(II)を含む固体層を形成する工程を含み得る。
【0109】
ポリマー(II)をベースとする光電池は、ポリマー(II)とPCBMとの混合物で形成される層を含み得る。この層は電池の活性層であり得る。
【0110】
小さなドメインサイズを有する共連続相を形成するようにポリマー(II)とPCBMとを好都合に混合することで、p型材料とn型材料との間の効率的な電荷分離、および得られる膜を通じた良好な電荷輸送を実現することができる。ポリマー(II)対PCBMの重量比は約2:1〜1:5で変動し得る。
【0111】
ポリマー(II)を有機半導体デバイスにおいて使用することができる。
【0112】
例示的なプロセスでは、ポリマー(II)の溶液を基板上に堆積させることができる。溶液は、ポリマー(II)とPCBMなどの電子受容体材料との混合物を含み得る。この溶液を用いて有機半導体層を基板上に形成する。
【0113】
溶液を乾燥させて活性層を形成することができる。活性層は、約100nm未満の平均ドメインサイズを有する共連続網目構造を含み得る。一方の相はポリマー(II)で形成され、他方の相はPCBMで形成される。ドメインサイズは50nm未満、例えば約20〜約30nm、または約10nmでさえあり得る。
【0114】
任意の特定の理論に制限されるわけではないが、以下の理由により、ポリマー(II)が改善されたPCEを示し得ると予想される。ポリマー(II)は、改善された電荷輸送特性と、良好な電荷分離を可能にする形態との両方を有する。ポリマー(II)のバンドギャップは相対的に狭く/低く、例えば約1.3〜1.9eV、または約1.4〜約1.7eVの範囲である。オリゴチオフェン単位とベンゾチアジアゾール単位との両方がポリマー(II)中に存在して規則的に配設されていることから、供与体受容体構造は低バンドギャップを生じさせる。ポリマー(II)中の選択されたオリゴチオフェンブロック、ならびに側鎖の選択および位置は共に、得られるポリマー(II)が所望の電荷輸送特性、ならびに所望の形態を実現する溶解度およびPCBMとの混和性を有することを確実にする。
【0115】
異なる態様では、ポリマー(II)をデバイスの活性層において使用することができる。例えば、デバイスがn型層とp型層との両方を有する場合、ポリマー(II)を使用してp型層(pチャネル層)を形成することができる。活性層はn型材料とポリマー(II)(p型材料としての)との混合物でもあり得る。
【0116】
以下の実施例を用いて本発明の例示的な態様をさらに説明するが、これらは限定的であることを意図されるものではない。
【実施例】
【0117】
実施例において、別途指定されない限り、出発原料を受領した状態のままで使用した。
【0118】
実施例において、1Hおよび13C NMRデータは、Bruker(商標)DPX 400 MHz分光計を使用し、CDCl3を化学シフトの基準物質として得た。マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI-TOF)質量スペクトルは、Bruker Autoflex TOF/TOF機器上で、ジスラノールをマトリックスとして使用し、必要な場合はトリフルオロ酢酸銀をイオン化塩として使用して得た。示差走査熱量測定(DSC)は、窒素下、DSC Q100機器(走査速度10℃/分-1)上で行った。熱重量分析(TGA)は、TGA Q500機器(加熱速度10℃/分-1)を使用して行った。サイクリックボルタンメトリー(CV)実験は、Echochimie(商標)のAutolab(商標)ポテンシオスタット(モデルPGSTAT30)を使用して行った。かつ紫外可視スペクトルは、Shimadzu(商標)モデル2501-PC紫外可視分光計上で記録した。
【0119】
CV測定は、ジクロロメタン中、室温で、0.1Mテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートを支持電解質とし(走査速度100mV/秒-1)、白金線作用電極、金対電極、および3M KCl中Ag/AgCl基準電極を有する3電極構成を使用して行った。電位測定値をSCE(飽和カロメル電極)に変換し、対応するイオン化電位(IP)および電子親和力(EA)の値を、真空に対するSCEエネルギーレベルとしての-4.4eVに基づいて開始酸化還元電位から導いた(EA=E還元開始+4.4eV、IP=E酸化開始+4.4eV)。
【0120】
実施例I. 3-(2-オクチルドデシル)チオフェンの合成
マグネシウムの削り物1.3g(54mmol)、触媒量のヨウ素および乾燥THF 50mLをフラスコ中で混合し、窒素下で加熱してわずかに還流させた。2-オクチルドデシルブロミド(18.1g、50mmol)および乾燥THF 25mLの溶液を混合物中に滴下により添加した。次に混合物を3時間還流させた。得られた灰色溶液を室温に冷却した後、乾燥滴下漏斗に移し、3-ブロモチオフェン(6.5g、40mmol)およびNi(dppp)Cl2 (160mg、1.2mmol)の乾燥THF溶液に0℃で滴下により添加した。混合物を窒素雰囲気下で終夜加熱還流させた。次に混合物を冷却し、希塩酸水溶液を加えて過剰のグリニャール試薬を反応停止させた。粗生成物を混合物からヘキサンで抽出し、水で洗浄し、ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。最終生成物は無色油状物7.2g (49%)であった。生成物は、

によって特性決定された。
【0121】
実施例II. 2-ブロモ-3-(2-オクチルドデシル)チオフェンの合成
3-(2-オクチルドデシル)チオフェン(4.90g、13.2mmol)のDMF 300溶液にN-ブロモスクシンイミド(2.58g、14.5mmol)のジメチルホルムアミド(DMF)100mL溶液を-20℃で滴下により添加した。混合物を室温で終夜攪拌した。次にDMFを真空下で除去し、水100mLを加えた。混合物をヘキサンで3回抽出し、有機層を収集した。ヘキサンの除去後、粗生成物を得てカラムにより精製し、無色油状物の形態の最終生成物5.60g(96%)を得た。

【0122】
実施例III. 5,5'-ジブロモ-4,4'-ビス(2-オクチルドデシル)-2,2'-ビチオフェンの合成
2-ブロモ-3-(2-オクチルドデシル)チオフェン(5.32g、12mmol)、PdCl2(PhCN)2(46.5mg、0.12mmol)、フッ化カリウム(1.39mg、24mmol)およびジメチルスルホキシド(DMSO)(60mL)、AgNO3(4.06g、24mmol)を100mLシュレンク管に一度に加えた。得られた混合物を120℃で3時間攪拌した。次にさらなるフッ化カリウム(1.39mg、24mmol)およびAgNO3(4.06g、24mmol)を混合物に加え、混合物を120℃で8時間攪拌した。次に反応混合物を冷却し、セライトパッドに通して黒色固形分を除去した。得られたケーキを酢酸エチルで繰り返し洗浄した。濾液を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して最終生成物の淡黄色油状物2.54g(48%)を生成した。

【0123】
実施例IV. 3',4''-ビス(2-オクチルドデシル)-2,2':5',2'':5'',2'''-クアテルチオフェンの合成
20mLマイクロ波バイアルに2-(トリブチルスタニル)チオフェン(1.03g、2.77mmol)、5,5'-ジブロモ-4,4'-ビス(2-オクチルドデシル)-2,2'-ビチオフェン(1.11g、1.26mmol)、Pd(PPh3)4(160mg、0.14mmol)およびDMF 15mLを装入した。バイアルをマイクロ波反応器中、180℃で20分間加熱した。反応が完了した後、混合物を水に注ぎ、混合物を3回抽出した。一緒にした有機画分を水、ブラインで順次洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒除去後、ヘキサンを溶離液とするシリカゲルクロマトグラフィーで残渣を精製して最終生成物0.84g(黄色油状物、75%)を生成した。

【0124】
実施例V. 5,5'''-ジブロモ-3',4''-ビス(2-オクチルドデシル)-2,2':5',2'':5'',2'''-クアテルチオフェンの合成
3',4''-ビス(2-オクチルドデシル)-2,2':5',2'':5'',2'''-クアテルチオフェン(840mg、0.94mmol)のDMF(150mL)およびクロロホルム(30mL)溶液にN-ブロモスクシンイミド(351mg、1.97mmol)のDMF 30mL溶液を-20℃で滴下により添加した。混合物を室温で終夜攪拌した。DMFを真空下で除去し、水100mLを混合物に加えた。混合物をヘキサンで3回抽出し、一緒にした有機層を無水MgSO4で乾燥させた。ヘキサンの除去後、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して最終生成物986mg(黄色油状物、98%)を得た。

【0125】
実施例VI. ポリ((3',4''-ビス(2-オクチルドデシル)-2,2':5',2'':5'',2'''-クアテルチオフェン-2,2'''-ジイル)-(ジチエノ[3,2-b;2',3'-d]チオフェン-2,6-ジイル))(PQTDTT)の合成
2,6-ビス-トリメチルスタニル-ジチエノ[3,2-b;2',3'-d]チオフェン(96mg、0.184mmol、1当量)、5,5'''-ジブロモ-3',4''-ジ(2-オクチルドデシル)-[2,2';5',2'';5'',2''']クアテルチオフェン(193mg、0.184mmol、1当量)、トリ(o-トリル)ホスフィン(4.5mg、14.7μmol、8mol%当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(3.4mg、3.68μmol、2mol%当量)および乾燥クロロベンゼン(20ml)を窒素下でシュレンクフラスコに加えた。フラスコをしっかり封止し、120℃で72時間攪拌した。室温に冷却後、反応混合物をメタノール(200ml)と濃塩酸(15ml)との混合物中に析出させ、混合物を16時間攪拌した。析出物を収集し、エタノール、ヘキサンおよびクロロホルムでそれぞれ48時間、順次ソックスレー抽出した。残りの固体をクロロベンゼンに溶解させ、メタノール溶液中に析出させた。収集した固体を真空下で乾燥させた。この手順によるバルク生成物収率は40%であった。
【0126】
図8は、生成された試料PQTDTTポリマーの代表的な紫外可視スペクトルを示す。図8において、線(a)は、試料PQTDTTから形成されたキャスト薄膜から測定したデータを表し、線(b)は、クロロベンゼンを溶媒とする希釈溶液中の試料PQTDTTから室温で測定したデータを表し、かつ線(c)は、線(b)の希釈溶液から但し60℃で測定したデータを表す。
【0127】
TGA測定は、試料ポリマーの5%重量減が370℃で起きたことを示した。DSC測定は234℃の融点を示した。材料の高い分解温度は良好な熱安定性を示し、高い融点は膜試料の良好な形態安定性を示す。
【0128】
また、白金円板を作用電極、銀線を基準電極として使用するサイクリックボルタンメトリー測定に試料ポリマーを供した。フェロセンを電位較正に使用した(Fc+/Fc: 0.5V)。試験結果は、-5.15eVのHOMOレベルに対応する0.85V(開始)の酸化電位を示した。
【0129】
実施例VII
図4に示す試料OFET(OTFT)を上記の通りに製造した。ゲート層用の基板は、200nmのSiO2 (ゲート誘電体)を上側とするn+-Siまたはp+Siとした。スピンコーティング技術によって有機薄膜(35〜40nm)をSiO2上に成長させた。シャドウマスクを使用して約100nm厚のAu層を薄膜上に堆積させてソース接点およびドレイン接点を形成した。
【0130】
アセトン、メタノールおよび脱イオン水中での超音波処理を使用する日常的な洗浄に基板(ウェーハ)を供した。洗浄したウェーハを窒素流下で乾燥させ、100℃で5分間加熱した。
【0131】
洗浄しかつ乾燥させたp+-Si(またはn+-Si)/SiO2ウェーハを紫外線オゾン処理に20分間供した。p+-Si(またはn+-Si)/SiO2基板上での有機分子の組織化を改善するために、いくつかの基板を使用前にSAM処理に供した。
【0132】
オクチルトリクロロシラン(OTS)SAM処理を以下の通りに行った。p+-Si(またはn+-Si)/SiO2基板を数滴のOTSと共にデシケーター中に保持した。デシケーターを真空に3分間供した後、オーブン中に110℃で3時間置いた。次にp+-Si(またはn+-Si)/SiO2基板をデシケーターから取り除き、イソプロパノールで徹底的に洗浄し、窒素ガス流下で乾燥させた。
【0133】
処理した基板上に、PQTDTTのクロロベンゼン中8mg/ml溶液を使用するスピンコーティングによってPQTDTTの薄膜を成長させた。コーティング薄膜を高温でアニーリングした。アニーリング温度をそれぞれ80、120、160または200℃に変動させて、デバイス性能に対するアニーリングの効果を試験した。
【0134】
有機薄膜を基板上に成長させた時点で、シャドウマスクを使用して約100nmの金をソース接点およびドレイン接点として堆積させることにより、図4に模式的に示すトップコンタクトボトムゲートOTFTを製造した。典型的なOTFTデバイスは50、100または200μmのチャネル長さ(L)を1mmまたは3mmのチャネル幅(W)と併せて有していた。
【0135】
製造した試料OTFTの特性決定をグローブボックス中、窒素下でKeithley 4200(商標)パラメータ分析計を使用して行った。L/W(100/1000)を有するOTS処理p+-Si/SiO2基板上にPQTDTTを有機活性(チャネル)層として有する試料OTFTに特徴的である代表的なVDS-IDSおよびVGS-IDSを、それぞれ図9および図10に示す。図10の結果はVds=-60Vで得られた。図9および10の試料OTFTは、PQTDTTの薄膜から形成された半導体チャネル層を有しており、PQTDTT半導体薄膜は200℃で予備アニーリングされていた。図9は、凡例に列挙された異なるゲート電圧で測定したデータを示す。
【0136】
理解され得る通り、試料OTFTがpチャネル材料に典型的なV-I特性を示した。試料OTFTが、非アニーリングPQTDTT薄膜を有する試料デバイスについて0.14cm2/V-秒(VTH: -14.0ボルト、Iオン/Iオフ: 約104)、または200℃で予備アニーリングしたPQDTDTT薄膜を有する試料デバイスについて最大0.44cm2/V-秒(VTH: -10.6ボルト、Iオン/Iオフ: 約104)の正孔移動度を示したこともわかった。デバイス性能に対するアニーリングの効果を表1に要約する。ここで、試料1〜4は同一の材料で形成されたが異なるアニーリング温度に供された。
【0137】
次にTFTデバイスを、暗中の周囲環境下でKeithley SCS-4200プローブステーションを使用して特性決定した。FET移動度を、ゲート掃引から以下の飽和領域の式を使用して算出した。
ISD=μCi(VG-VT)2(W/2L)
式中、ISDはドレイン電流であり、μは電界効果移動度であり、Ciはゲート誘電体層の単位面積当たりのキャパシタンスであり(SiO2、200nm、Ci=17.25nF/cm2)、かつVGおよびVTはそれぞれゲート電圧および閾値電圧である。VTは、飽和領域におけるISDの平方根とVGとの間の関係から、測定データをISD=0に外挿することで導出した。WおよびLはそれぞれチャネルの幅および長さである。Iオン/Iオフは、ゲート電圧VGがドレイン電圧VDと等しいかまたはそれより大きい場合の飽和ソース・ドレイン電流の、ゲート電圧VGがゼロである場合のソース・ドレイン電流に対する比である。
【0138】
室温で製造されたTFTデバイスは0.14cm2/Vsという高い移動度を示した。予備アニーリングを施したデバイスは例えば200℃でより高い移動度を示し、移動度は0.44cm2/Vsに増大した。予備アニーリングを施したTFTデバイスの増大した移動度は、熱アニーリング後のポリマー鎖の改善された充填が理由であると予想された。
【0139】
(表1)PQTDTTのOTFT性能

【0140】
実施例VIII. 2,1,3-ベンゾチアジアゾール-4,7-ビス(ボロン酸ピナコールエステル)の合成
4,7-ジブロモ-2,1,3-ベンゾチアジアゾール(2.94g、10mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(5.59g、22mmol)、PdCl2(dppf)(490mg、0.6mmol)およびKOAc(2.95g、30mmol)の脱気した1,4-ジオキサン(30mL)中の混合物を80℃で6時間攪拌した。冷却混合物を水で反応停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を収集し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去し、ヘキサン/酢酸エチル勾配で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで残渣を精製して、カーキ色粉末である最終生成物(1.71g、44%)を生成した。

【0141】
実施例IX. 4,7-ビス(2-トリメチルスタニルチエン-5-イル)-2,1,3-ベンゾチアジアゾールの合成
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(TMP)(0.55g、4mmol)の乾燥THF(25mL)の機械攪拌溶液をアルゴン下で-78℃に冷却した。次に、n-ブチルリチウム(3.9mmol)を速やかに溶液に加えた。得られた溶液を室温に昇温した。それを室温に10分間保持し、続いて-78℃に再度冷却した。次に、4,7-ビス(2-チエニル)-2,1,3-ベンゾチアジアゾールの乾燥THF 5mL溶液を冷却溶液に滴下により添加した。得られた溶液は濃紫色を有しており、-78℃で30分間攪拌した。次に塩化トリメチルスズのヘキサン中1M溶液(3.9mL)を加えた。反応混合物を室温に昇温し、終夜攪拌した。水を加えて反応液を反応停止させた。ジエチルエーテルを加え、混合物を0.1M HClで3回洗浄してTMPを除去した。次に溶液をMgSO4で乾燥させた。溶媒を除去し、最終生成物(0.42g、45%)をエタノール中で再結晶させて橙色針状物を得た。

【0142】
実施例X. 試料ポリマーII-P1aの合成
本実施例では図6の合成経路1に従った。
【0143】
25mL丸底フラスコに5,5'''-ジブロモ-3',4''-ビス(2-オクチルドデシル)-2,2':5',2'':5'',2'''-クアテルチオフェン(実施例Vからの)(398.7mg、0.38mmol)、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-4,7-ビス(ボロン酸ピナコールエステル)(147.5mg、0.38mmol)およびAliquate 336(商標)(20mg、0.05mmol)を装入した。グローブボックス中のこのフラスコにPd(PPh3)4(2mg)を加えた。このフラスコ中の混合物に脱気したトルエン(1.45mL)および2M K2CO3水溶液(0.72mL)をシリンジによって加えた。混合物を窒素雰囲気下83℃で48時間加熱した後、末端封止試薬として過剰のフェニルボロン酸およびブロモベンゼンを12時間間隔で順次加えた。混合物をクロロホルムで3回抽出した。収集した有機抽出物を水およびブラインで洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥混合物から塩を濾去し、濾液を小体積に濃縮した。ポリマー溶液を攪拌メタノールに滴下により添加した。濾過後、収集した固体をメタノールおよびヘキサンによるソックスレー抽出で順次精製した。次に生成物を真空下で乾燥させて試料ポリマーII-P1a 318mg(82%)を生成した。
【0144】
生成物を特性決定し、以下の性質を有することがわかった。

【0145】
II-P1aのバンドギャップ値は約1.59eVであることがわかった。
【0146】
クロロベンゼン中の試料ポリマーII-P1aの紫外可視吸収スペクトルを測定した。代表的なスペクトルを図11に示す。吸光度が約400nm〜約760nmのものであり、約730nmにおいて最大化した(本明細書においてUV maxと呼ぶ)ことがわかる。
【0147】
実施例XI. 試料ポリマーII-P1bの合成
本実施例では図6の合成経路2に従った。
【0148】
メカニカルスターラーを備えた100mLバイアルに4,7-ビス(2-トリメチルスタニルチエン-5-イル)-2,1,3-ベンゾチアジアゾール(183.2mg、0.29mmol)、5,5'-ジブロモ-4,4'-ジ(2-オクチルドデシル)-2,2'-ビチオフェン(259mg、0.29mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(10.71mg、4mol%)およびトリ(o-トリル)ホスフィン(14.25mg、16mol%)を加えた。バイアルをアルゴンで掃流した後、封止した。セプタムを通じてクロロベンゼン(20mL)を加えた後、油浴を使用して反応混合物を120℃で72時間加熱した。次に反応混合物をメタノール200mLおよびHCl 10mLに注いだ。ポリマーを濾過し、メタノール(24時間)、ヘキサン(24時間)、アセトン(12時間)、クロロホルム(24時間)およびクロロベンゼン(24時間)による順次のソックスレー抽出に供した。クロロベンゼン画分を濃縮し、メタノール200mL中に析出させた。粗生成物を濾過により精製して、黒色固体である精製ポリマー生成物(118mg、39%)を得た。
【0149】
生成物を特性決定し、以下の性質を有することがわかった。Mn/Mw=62000/174000; Td=405℃; クロロホルム中のUV max=716nm; バンドギャップ=1.59eV; HOMO/LUMO=-5.23/-3.64 eV。
【0150】
実施例XII. 試料ポリマーII-P3の合成
本実施例で使用した合成経路を図7に示す。5,5'-ジブロモ-4,4'-ジ(2-オクチルドデシル)-2,2'-ビチオフェンを5,5'''-ジブロモ-3',4''-ジ(2-オクチルドデシル)-2,2':5',2'':5'',2'''-クアテルチオフェン(190mg、0.181mmol)に置換し、4,7-ビス(2-トリメチルスタニルチエン-5-イル)-2,1,3-ベンゾチアジアゾールの添加量を113.3mg(0.181mmol)に減少させたという変更を伴う、試料ポリマーII-P1bを調製するための実施例Xの手順に従って、ポリマーII-P3を調製した。得られた黒色固体生成物がポリマーII-P3(178mg、83%)であった。
【0151】
生成物を特性決定し、以下の性質を有することがわかった。Td=351℃; クロロホルム中のUV max=626nm; バンドギャップ=1.67eV; HOMO/LUMO=-5.21/-3.54eV。
【0152】
実施例XIII. 試料OPVデバイス
試料ポリマーII-P1aまたはII-P1bとPCBMとを混合してOPV電池および光起電力デバイスを製造した。ポリマー濃度10mg/mlで各試料ポリマーおよびPCBMをジクロロベンゼンに溶解させた(重量比=1:1、1:2、1:4)。パターン形成インジウムスズ酸化物(ITO)コーティングガラスを、ITO 160nmおよび平均シート抵抗14Ω/スクウェアの基板として使用した。ITO/ガラス基板を洗浄剤(30分)、蒸留水(10分、2回)、アセトン(15分)およびイソプロパノール(20分)中で洗浄した。次に基板を60℃でベーキングして残留溶媒を除去した。乾燥した基板を10分間の酸素プラズマ洗浄、次にポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)正孔輸送層40nmのスピンコーティング、続いて120℃で10分間のベーキングに供した。続いて、不活性ガスグローブボックス中、回転速度500rpmで120秒間、ポリマー:PCBMブレンドを含む試料組成物をPEDOT:PSS層上にスピンコーティングした。次にシャドウマスクを通じて圧力8×10-5Paで金属陰極層(Ca/Ag)を蒸着させて、9mm2の作用面積を有するデバイスを得た。電力強度100mW/cm2での誘導AM1.5G太陽光照射下で有機太陽電池を特性決定した。
【0153】
本発明の一態様の例示的な試料OPVデバイス200の構造を図12に模式的に示す。デバイス200は多層構造を有しており、多層構造は基板層202(ガラスなどの剛性基板、またはPET、PENなどの可撓性基板であり得る)、基板層202上の陽極層204(ITOまたは他の陽極材料であり得る)、陽極層204上の正孔注入層206(例えばPEDOT:PSSまたはMoO3)、層206上の集光層208(ここでは開示されるポリマーとPCBMとのブレンドである)、および層208上の陰極層210(Ca/Ag、Al、LiF/Al、CsCO3/Alなどであり得る)を含んでいた。層202、204、206および210を慣習的なOPVデバイスと同様の材料で構築および作製した。層208を本明細書に記載の試料ポリマーまたはポリマー膜で形成した。
【0154】
代表的な試験結果を図13(ポリマーII-P1aおよびPC60BM)、図14(ポリマーII-P1bおよびPC60BM)ならびに図15(ポリマーII-P1bおよびPC70BM)に示し、ここでPC60BMは[6,6]-フェニルC61-酪酸メチルエステルであり、PC70BMは[6,6]-フェニルC71-酪酸メチルエステルである。凡例に列挙された比は、活性層におけるポリマー対PCBMの重量比を示す。異なる活性層組成を有する試料デバイスの性能のいくつかの測定値および計算値を表2に列挙する。
【0155】
図16は、重量比1:4の試料ポリマーII-1bおよびPC60BM膜で形成される試料膜のAFM画像を示す。
【0156】
(表2)

【0157】
理解され得る通り、試料デバイスのPCEが約3.21〜約5.42%で変動した。
【0158】
項目のリストを最後の項目の前の「または」を伴って本明細書に示す場合、列挙された項目のいずれか、または列挙された項目のいずれかの適した組み合わせを選択および使用することができる。本明細書に示す可能な要素または特徴のあらゆるリストについて、所与のリストの範囲内のあらゆる部分リストがやはり意図される。同様に、示されるあらゆる範囲について、所与の範囲内のあらゆる部分範囲もやはり意図される。
【0159】
無論、上記の態様は、単に例示的であることをに意図されるものであり、決して限定的であることを意図されるものではない。記載される態様は、形態、部品配設、詳細、および操作順序に関する多くの修正を許容する。本発明はむしろ、特許請求の範囲により定義されるその範囲内にすべてのそのような修正を包含することを意図されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式で表されるポリマー鎖を含む、ポリマー:

式中、
a、b、c、dおよびnは整数であり、aは0〜3であり、bは1〜5であり、cは1〜3であり、dは1〜5であり、かつnは2〜5000であり; かつ
R1は第一の側鎖であり;
R2は第二の側鎖であり;
R3はHまたは第三の側鎖であり;
R4はHまたは第四の側鎖であり; かつ
ここで、aが0である場合、R3およびR4は側鎖である。
【請求項2】
前記側鎖の少なくとも1つが6〜30個の骨格原子を有する、請求項1記載のポリマー。
【請求項3】
前記側鎖の少なくとも1つが8〜20個の骨格原子を有する、請求項1または請求項2記載のポリマー。
【請求項4】
前記側鎖の少なくとも1つが12個の骨格原子を有する、請求項1〜3のいずれか一項記載のポリマー。
【請求項5】
2,000〜1,000,000g/molの数平均分子量(Mn)を有する、請求項1〜4のいずれか一項記載のポリマー。
【請求項6】
Mnが5,000〜500,000g/molである、請求項5記載のポリマー。
【請求項7】
前記側鎖の少なくとも1つが、アルキル、シロキシ、アルケニル、アルキニル、アミン、エーテル、カルボニル、エステル、アミド、スルホニルまたはスルフィニルを含む、請求項1〜6のいずれか一項記載のポリマー。
【請求項8】
前記アルキルが1〜30個の炭素原子を有する、請求項7記載のポリマー。
【請求項9】
前記アルキルが6〜20個の炭素原子を有する、請求項8記載のポリマー。
【請求項10】
前記アルキルが12〜20個の炭素原子を有する、請求項8記載のポリマー。
【請求項11】
nが5〜1,000である、請求項1〜10のいずれか一項記載のポリマー。
【請求項12】
aが1〜3である、請求項1〜11のいずれか一項記載のポリマー。
【請求項13】
aが0である、請求項1〜11のいずれか一項記載のポリマー。
【請求項14】
R3およびR4がHである、請求項1〜11のいずれか一項記載のポリマー。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項記載のポリマーを含む、半導体。
【請求項16】
請求項15記載の半導体を含む、電子デバイス。
【請求項17】
薄膜トランジスタを含む、請求項16記載のデバイス。
【請求項18】
下記式で表されるポリマー鎖を含む、ポリマー:

式中、
a、b、c、d、eおよびnは整数であり、aは1〜3であり、bおよびcはそれぞれ独立して0または1であり、dおよびeはそれぞれ独立して1または2であり、かつnは2〜5000であり;
R1は-COOアルキルを除く第一の側鎖であり;
R2は-COOアルキルを除く第二の側鎖であり;かつ
X1、X2およびX3はそれぞれ独立してO、SまたはSeである。
【請求項19】
前記側鎖の少なくとも1つが6〜30個の骨格原子を有する、請求項18記載のポリマー。
【請求項20】
前記側鎖の少なくとも1つが8〜20個の骨格原子を有する、請求項18または請求項19記載のポリマー。
【請求項21】
2,000〜1,000,000g/molの数平均分子量(Mn)を有する、請求項18〜20のいずれか一項記載のポリマー。
【請求項22】
Mnが5,000〜500,000g/molである、請求項21記載のポリマー。
【請求項23】
nが5〜1,000である、請求項18〜請求項22のいずれか一項記載のポリマー。
【請求項24】
nが10〜1,000である、請求項18〜請求項22のいずれか一項記載のポリマー。
【請求項25】
前記側鎖の少なくとも1つが、アルキル、シロキシ、アルケニル、アルキニル、アミン、エーテル、カルボニル、アミド、スルホニルまたはスルフィニルを含む、請求項18〜24のいずれか一項記載のポリマー。
【請求項26】
前記アルキルが1〜30個の炭素原子を有する、請求項25記載のポリマー。
【請求項27】
X1、X2およびX3がそれぞれSである、請求項18〜26のいずれか一項記載のポリマー。
【請求項28】
請求項18〜27のいずれか一項記載のポリマーを含む、デバイス。
【請求項29】
薄膜トランジスタ、光電池、フォトダイオード、発光ダイオード、センサまたはメモリを含む、請求項28記載のデバイス。
【請求項30】
前記ポリマーとm=61または71であるフェニル-Cm-酪酸メチルエステル(PCBM)との混合物で形成される層を含む前記光電池を含む、請求項29記載のデバイス。
【請求項31】
前記層における前記ポリマー対前記PCBMの重量比が約2:1〜約1:5である、請求項30記載のデバイス。
【請求項32】
以下の工程を含む、請求項16、17および28〜31のいずれか一項記載のデバイスを形成するための方法:
前記ポリマーを溶液に溶解させる工程;
該溶液を基板に塗布する工程; および
該溶液を乾燥させて、該ポリマーを含む固体層を形成する工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2013−503236(P2013−503236A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526691(P2012−526691)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際出願番号】PCT/SG2010/000172
【国際公開番号】WO2011/025453
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(508305029)エージェンシー フォー サイエンス, テクノロジー アンド リサーチ (36)
【Fターム(参考)】