説明

ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤としてのキノリン−4−オン及び4−オキソジヒドロシンノリン誘導体

本発明は、式(I):
【化1】


の化合物、及びその薬学的に許容される塩又は互変異性体に関しており、これらはポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害剤であり、したがって、癌、炎症性疾患、再灌流損傷、虚血症状、卒中、腎不全、心臓血管疾患、心臓血管疾患以外の血管疾患、糖尿病、神経変性疾患、レトロウイルス感染症、網膜損傷、皮膚老化、及びUV誘導性皮膚損傷の治療に、また癌治療用の化学増感剤又は放射線増感剤として、有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既にポリ(ADP−リボース)シンターゼ及びポリ(ADP−リボシル)トランスフェラーゼとして知られた酵素であるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害剤である、キノリン−4−オン及び4−オキソジヒドロシンノリン誘導体に関する。本発明の化合物は、DNA修復経路に特異的欠損のある腫瘍、特にBRCA−1及びBRCA−2欠損腫瘍、における単一療法として有用である。それらはまた、併用療法においても、例えば、あるDNA損傷剤(例えば抗癌剤)及び放射線療法のエンハンサーとして有用である。さらに、本発明の化合物は、細胞壊死の低減(卒中及び心筋梗塞における)、炎症及び組織損傷のダウンレギュレーション、レトロウイルス感染症の治療、及び化学療法の毒性に対する保護のために有用である。
【背景技術】
【0002】
ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)は、PARP触媒ドメインを含有する18個のタンパク質からなるスーパーファミリーを構成する(「バイオエッセイズ(Bioessays)」、2004年、第26巻、p.1148)。これらのタンパク質は、PARP−1、PARP−2、PARP−3、タンキラーゼ−1、タンキラーゼ−2、vaultPARP、及びTiPARPを包含する。その最初からのメンバーであるPARP−1は、3つの主要なドメイン:2つのジンクフィンガーを含有するアミノ(N)−末端DNA結合ドメイン(DBD)、自己修飾ドメイン、及びカルボキシ(C)−末端触媒ドメイン、からなる。
【0003】
PARPは、NADをニコチンアミド及びADP−リボースに分解して、トポイソメラーゼ、ヒストン、及びPARP自体を含む標的タンパク質上に、長い分枝したADP−リボースポリマーを形成する、核及び細胞質酵素である。(「バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochem.Biophys.Res.Commun.)」、1998年、第245巻、p.1−10)。
【0004】
ポリ(ADP−リボシル)化は、DNA修復、遺伝子転写、細胞周期進行、細胞死、クロマチン機能、及びゲノム安定性を含む、いくつかの生物学的プロセスに関係づけられてきた。
【0005】
今日までのPARP阻害剤の大多数は、酵素のニコチンアミド結合ドメインと相互作用し、NADに対する競合阻害剤として行動する(「エキスパート・オピニオン・オン・セラピューティック・パテンツ(Expert Opin.Ther.Patents)」、2004年、第14巻、p.1531−1551)。ニコチンアミドの構造類似体、例えばベンズアミド及び誘導体は、なかんずく、PARP阻害剤として研究されるべき第1の化合物であった。しかしながら、これらの分子は弱い阻害活性をもち、かつPARP阻害に無関係な別の効果を有する。したがって、PARP酵素の強力な阻害剤を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の化合物は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害において有用である。それらは特に、PARP−1及び/又はPARP−2の阻害剤として有用である。さらに、本発明化合物は、それらがニコチンアミド結合部位に、水素結合相互作用のためのラクタム/第一級アミドNHを含有しないことにおいて、既知のPARP阻害剤とは異なっている。
【0007】
本発明は、式I:
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、
aは、0、1、2、3、又は4であり;
bは、0、1、2、3、又は4であり;
cは、0又は1であり;
dは、0又は1であり;
eは、0又は1であり;
fは、0、1、2、3、4、又は5であり;
gは、0又は1であり;
Xは、N又はCHであり;
Yは、フェニル、5員の不飽和ヘテロ環(これは、独立して、O、N、及びSから選択される、1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有するが、該ヘテロ原子のうち2個以上がO又はSであることはない)、或いは6員の不飽和ヘテロ環(これは、1、2、3、又は4個の窒素原子を含有する)であり;
Zは、C又はSOであり;
【0010】
各Rは、独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、又はハロC1−6アルコキシであり;
【0011】
各Rは、独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、又はハロC1−6アルコキシであり;
【0012】
は、水素又はC1−6アルキルであり;
【0013】
及びRの各々は、独立して、水素又はC1−6アルキルであり;
【0014】
は、水素又はC1−6アルキルであり;
【0015】
は、水素、ヒドロキシ、シアノ、オキソ、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシ、ニトロ、或いは、次に示される環:C6−10アリール;C6−10アリールオキシ;C6−10アリールカルボニル;C3−10シクロアルキル;アゼチジニル;5又は6員の飽和又は部分飽和ヘテロ環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、又は3個の原子を含有する);5員のヘテロ芳香環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有するが、該ヘテロ原子のうち2個以上がO又はSであることはない);6員のヘテロ芳香環(これは、1、2、又は3個の窒素原子を含有する);又は、7ないし13員の、不飽和、部分飽和、又は飽和ヘテロ環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有する)であり;その任意の環は、独立して、A−(CR10から選択される1個以上の基で置換されていてもよく;
【0016】
各Aは、独立して、単結合、O、(CH(C=O)、(C=O)NR11、NR11(C=O)、(C=O)O、O(C=O)、(C=S)NR11、NR11、又はS(O)であり;
各qは、独立して、0、1、2、3、又は4であり;
rは、0、1、又は2であり;
sは、0、1、2、又は3であり;
tは、1又は2であり;
【0017】
及びRの各々は、独立して、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキル、又はハロC1−6アルキルであり;
【0018】
各R10は、独立して、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、ハロC1−6アルキル、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノ、(C1−6アルキルカルボニル)アミノ、又は次に示される環:C3−10シクロアルキル;C6−10アリール、アゼチジニル;5又は6員の飽和又は部分飽和ヘテロ環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、又は3個の原子を含有する);5員のヘテロ芳香環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有するが、該ヘテロ原子のうち2個以上がO又はSであることはない);6員のヘテロ芳香環(これは、1、2、又は3個の窒素原子を含有する);或いは、7ないし13員の、不飽和、部分飽和、又は飽和ヘテロ環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有する)であり;その任意の環は、独立して、R12から選択される1個以上の基で置換されていてもよく;
【0019】
11は、水素又はR10であり;
【0020】
各R12は、独立して、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C2−10アルケニル、ハロC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、C1−6アルキルカルボニル、−O(C=O)C1−6アルキル、−(C=O)OC1−6アルキル、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノ、(C1−6アルキルスルホニル)アミノ、C6−10アリール、C6−10アリールC1−6アルキル、5員のヘテロ芳香環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有するが、該ヘテロ原子のうち2個以上がO又はSであることはない)、或いは、6員のヘテロ芳香環(これは、1、2、又は3個の窒素原子を含有する)であり;その任意の環は、独立して、ハロゲン、C1−6アルキル、及びハロC1−6アルキルから選択される、1個以上の基で置換されていてもよい]の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を提供する。
【0021】
誤解が生じないように言えば、R基は、縮合ベンゼン環の任意の置換可能な位置において置換されていてもよい。さらに、Y環上の点線は、5又は6員のY環を生ぜしめる、1又は2個の結合を表わす。さらに、R10がオキソであれば、Aはなく、かつqが0であることが明らかであろう。
【0022】
1つの実施態様においては、aは、0又は1である。
【0023】
別の実施態様においては、aは、1である。
【0024】
1つの実施態様においては、Rは、ヒドロキシ、ハロゲン、又はC1−6アルコキシである。
【0025】
具体的なR基は、フッ素、ヒドロキシ、及びメトキシを包含する。
【0026】
1つの実施態様においては、Rは、ハロゲン、例えばフッ素である。
【0027】
1つの実施態様においては、bは、1である。
【0028】
1つの実施態様においては、cは、0である。
【0029】
1つの実施態様においては、dは、0である。
【0030】
1つの実施態様においては、eは、0である。
【0031】
1つの実施態様においては、fは、0である。
【0032】
1つの実施態様においては、gは、0である。
【0033】
1つの実施態様においては、c、d、e、f、及びgの各々は、0である。
【0034】
1つの実施態様においては、Yは、フェニルであり、かつc、d、e、f、及びgの各々は、0である。
【0035】
1つの実施態様においては、Xは、CHである。別の実施態様においては、Xは、Nである。
【0036】
1つの実施態様においては、Yは、フェニルか、或いは1、2、3、又は4個の窒素原子を含有する6員の不飽和ヘテロ環である。
【0037】
特別なY基は、フェニルである。
【0038】
1つの実施態様においては、Rは、ハロゲンである。
【0039】
特別なR基は、フッ素である。
【0040】
1つの実施態様においては、R及びRの各々は、水素である。
【0041】
1つの実施態様においては、Rは、アセチジニル、5又は6員の飽和又は部分飽和ヘテロ環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、又は3個の原子を含有する)、7ないし13員の部分飽和又は飽和ヘテロ環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有する)であって;これらは、独立して、A−(CR10から選択される1個以上の基で置換されていてもよい。
【0042】
1つの実施態様においては、Rは、ジアザスピロデシル、ピペラジニル、ジアゼパニル、テトラヒドロトリアゾロピラジニル、ジアザスピロノニル、ジアザビシクロオクチル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロトリアゾロピリジニル、デカヒドロピリドピラジニル、又はオクタヒドロピラジノオキサジニルであって;これらは、独立して、A−(CR10から選択される1個以上の基で置換されていてもよい。
【0043】
1つの実施態様においては、Rは、ジアザスピロデシル、ピペラジニル、ジアゼパニル、テトラヒドロトリアゾロピラジニル、ジアザスピロノニル、又はジアザビシクロオクチルであって;これらは、独立して、A−(CR10から選択される1個以上の基で置換されていてもよい。
【0044】
1つの実施態様においては、Rが環であるとき、それは、独立して、A−(CR10から選択される1、2、又は3個の基で置換されていてもよい。
【0045】
別の実施態様においては、R環は、未置換、一置換、又は二置換である。
【0046】
別の実施態様においては、R環は、未置換又は一置換である。
【0047】
特別なR基は、ジアザスピロ[4.5]デシル、[(フルオロベンジル)プロリル]ピペラジニル、ジアゼパニル、プロピオニルピペラジニル、(トリフルオロメチル)テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジニル、ピペラジニル、ジアザスピロ[3.5]ノニル、ジアザビシクロ[2.2.2]オクチル、(メチルプロリル)ピペラジニル、(トリフルオロ−N,N−ジメチルアラニル)ピペラジニル、[(メチルアゼチジニル)カルボニル]ピペラジニル、及びエチルテトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジニルを包含する。さらなる特別なR基は、エチルオキソピペラジニル、オキソフェニルピペラジニル、シクロペンチルオキソピペラジニル、(フルオロフェニル)テトラヒドロピリジニル、(トリフルオロエチル)テトラヒドロ[1,2,3]トリアゾロ[4,5−c]ピリジニル、シクロヘキシルオキソピペラジニル、(ブトキシカルボニル)ピペラジニル、ピペラジニル、ピリミジニルピペラジニル、ブチリルピペラジニル、(トリフルオロアセチル)ピペラジニル、(ペンタフルオロエチル)テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジニル、(シクロフェニル)オキソピペラジニル、(クロロフルオロフェニル)オキソピペラジニル、(ジフルオロフェニル)オキソピペラジニル、[(ジメチルアミノ)メチル]テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジニル、シクロブチルテトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジニル、ブチルテトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジニル、(トリフルオロエチル)テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジニル、オキソデカヒドロピリド[1,2−a]ピラジニル、及びオキソオクタヒドロピラジノ[2,1−c][1,4]オキサジニルを包含する。
【0048】
具体的なR基は、1,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル、4−[2−(4−フルオロベンジル)プロリル]ピペラジン−1−イル、1,4−ジアゼパン−1−イル、4−プロピオニルピペラジン−1−イル、3−(トリフルオロメチル)−5,6−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル、ピペラジン−1−イル、2,6−ジアザスピロ[3.5]ノン−2−イル、2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクト−2−イル、4−(2−メチルプロリル)ピペラジン−1−イル、4−(3,3,3−トリフルオロ−N,N−ジメチルアラニル)ピペラジン−1−イル、4−[((2R)−2−メチルアゼチジン−2−イル)カルボニル]ピペラジン−1−イル、及び3−エチル−5,6−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イルを包含する。さらなる具体的なR基は、4−エチル−オキソピペラジン−1−イル、3−オキソ−4−フェニルピペラジン−1−イル、4−シクロペンチル−3−オキソピペラジン−1−イル、4−(4−フルオロフェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル、1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−5H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−c]ピリジン−5−イル、4−シクロヘキシル−3−オキソピペラジン−1−イル、4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、4−ピリミジン−1−イルピペラジン−1−イル、4−イソブチリルピペラジン−1−イル、4−(トリフルオロアセチル)ピペラジン−1−イル、4−{[(2S)−2−(4−フルオロベンジル)ピロリジニウム−2−イル]カルボニル}ピペラジン−1−イル、3−(ペンタフルオロエチル)−5,6−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル、4−(2−クロロフェニル)−3−オキソピペラジン−1−イル、4−(3−クロロフェニル)−3−オキソピペラジン−1−イル、4−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−オキソピペラジン−1−イル、4−(3,4−ジフルオロフェニル)−3−オキソピペラジン−1−イル、3−[(ジメチルアミノ)メチル]−5,6−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル、3−シクロブチル−5,6−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル、3−tert−ブチル−5,6−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル、3−(2,2,2−トリフルオロエチル)−5,6−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル、4−オキソオクタヒドロ−2H−ピリド[1,2−a]ピラジン−2−イル、及び6−オキソヘキサヒドロピラジノ[2,1−c][1,4]オキサジン−8(1H)−イルを包含する。
【0049】
1つの実施態様においては、Aは、単結合、O、CO、又はNHである。
【0050】
1つの実施態様においては、Aは、単結合、CO、又はCOOである。
【0051】
1つの実施態様においては、Aは、単結合又はCOである。
【0052】
1つの特別なA基は、COである。
【0053】
1つの実施態様においては、qは、0又は1である。
【0054】
1つの実施態様においては、R及びRの各々は、独立して、水素、ハロゲン、又はハロC1−6アルキルである。
【0055】
1つの実施態様においては、R及びRの一方は、水素であり、かつ他方は、ハロゲン又はハロC1−6アルキルである。
【0056】
1つの実施態様においては、R及びRの一方は、水素であり、かつ他方は、ハロC1−6アルキル、例えばトリフルオロメチルである。
【0057】
1つの実施態様においては、R及びRの各々は、独立して、水素、メチル、フッ素、又はトリフルオロメチルある。
【0058】
1つの実施態様においては、R及びRの各々は、独立して、水素、フッ素、又はトリフルオロメチルある。
【0059】
1つの実施態様においては、R10は、オキソ、ハロゲン、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノ、C3−7シクロアルキル、C6−10アリール、アゼチジニル、5又は6員の飽和又は部分飽和ヘテロ環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、又は3個の原子を含有す)、或いは6員のヘテロ芳香環(これは、1、2、又は3個の窒素原子を含有する)であり;その任意の環は、独立して、R12から選択される1個以上の基で置換されていてもよい。
【0060】
1つの実施態様においては、R10は、ハロゲン、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノ、アゼチジニル、或いは、5又は6員の飽和又は部分飽和ヘテロ環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、又は3個の原子を含有する)であり;その任意の環は、独立して、R12から選択される1個以上の基で置換されていてもよい。
【0061】
1つの実施態様においては、R10は、オキソ、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ジ(C1−6アルキル)アミノ、アゼチジニル、ピロリジニル、フェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピリミジニル、又はシクロブチルであり、;その任意の環は、独立して、R12から選択される1個以上の基で置換されていてもよい。
【0062】
1つの実施態様においては、R10は、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ジ(C1−6アルキル)アミノ、アゼチジニル、又はピロリジニルであり;その任意の環は、独立して、R12から選択される1個以上の基で置換されていてもよい。
【0063】
1つの実施態様においては、R10が環であるとき、それは、独立して、R12から選択される1、2、又は3個の基で置換されていてもよい。別の実施態様においては、R10環は、未置換、一置換、又は二置換である。別の実施態様においては、R10環は、一置換である。
【0064】
1つの実施態様においては、R12は、C1−6アルキル、C6−10アリール、又はC6−10アリールC1−6アルキルであり、その任意の環は、独立して、ハロゲン、C1−6アルキル、及びハロC1−6アルキルから選択される、1個以上の基で置換されていてもよい。さらなるR12基は、フッ素である。
【0065】
1つの実施態様においては、R12が環であるとき、それは、独立して選択される、1、2、又は3個の基で置換されていてもよい。別の実施態様においては、R12環は、一置換である。
【0066】
12環上の特別な置換基は、ハロゲン、例えばフッ素である。
【0067】
特別なR12基は、フルオロベンジル及びメチルである。さらなる特別なR12基は、フッ素及び塩素である。
【0068】
具体的なR12基は、4−フルオロベンジル及びメチルである。
【0069】
特別なR10基は、(フルオロベンジル)ピロリジニル、エチル、トリフルオロメチル、メチルピロリジニル、ジメチルアミノ、及びメチルアゼチジニルである。さらなる特別なR10基は、オキソ、フェニル、シクロペンチル、フルオロフェニル、シクロヘキシル、ブチル、ピリミジニル、プロピル、クロロフェニル、クロロフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、及びシクロブチルである。
【0070】
具体的なR10基は、2−(4−フルオロベンジル)ピロリジン−2−イル、エチル、トリフルオロメチル、2−メチルピロリジン−2−イル、ジメチルアミノ、及び2−メチルアゼチジン−2−イルである。さらなる具体的なR10基は、オキソ、フェニル、シクロペンチル、4−フルオロフェニル、シクロヘキシル、tertブチル、ピリミジン−1−イル、イソプロピル、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、及びシクロブチルである。
【0071】
1つの実施態様においては、R10は、オキソではない。
【0072】
1つの実施態様においては:
Yは、フェニルであり;
bは、1であり;
c、d、e、f、及びgの各々は、0であり;かつ
は、アゼチジニル、5又は6員の飽和又は部分飽和ヘテロ環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、又は3個の原子を含有する)、或いは7ないし13員の部分飽和又は飽和ヘテロ環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有する)であって;これらは、独立して、A−(CR10から選択される1個以上の基で置換されていてもよい。
【0073】
1つの実施態様においては:
Yは、フェニルであり;
Aは、単結合、CO、又はCOOであり;かつ
10は、オキソ、ハロゲン、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノ、C3−7シクロアルキル、C6−10アリール、アゼチジニル、5又は6員の飽和又は部分飽和ヘテロ環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、又は3個の原子を含有する)、或いは6員のヘテロ芳香環(これは、1、2、又は3個の窒素原子を含有する)であり;その任意の環は、独立して、R12から選択される1個以上の基で置換されていてもよい。
【0074】
本発明はまた、式II:
【0075】
【化2】

【0076】
[式中、
a、b、c、d、e、f、g、X、Z、R、R、R、R、R、R、及びRは、上記に定義した通りであり;
Yは、フェニルであるか、或いは6員の不飽和ヘテロ環(これは、1、2、3、又は4個の窒素原子を含有する)である]の化合物、
又は、その薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体も提供する。
【0077】
本発明はまた、式III:
【0078】
【化3】

【0079】
[式中、
a、b、q、A、R、R、R、R、及びR10は、上記に定義した通りであり;
Yは、フェニルであるか、或いは6員の不飽和ヘテロ環(これは、1、2、3、又は4個の窒素原子を含有する)であり;
wは、0、1、2,3、又は4であり;
Bは、アゼチジニル、5又は6員の飽和又は部分飽和ヘテロ環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、又は3個の原子を含有する)、或いは、7ないし13員の部分飽和又は飽和ヘテロ環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有する)である]の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体も提供する。
【0080】
式II及びIIIに関する好適な形態は、式Iについて先に定義された通りに準じる。
【0081】
1つの実施態様においては、Bは、ジアザスピロデシル、ピペラジニル、ジアゼパニル、テトラヒドロトリアゾロピラジニル、ジアザスピロノニル、又はジアザビシクロオクチルである。さらなるB基は、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロトリアゾロピリジニル、デカヒドロピリドピラジニル、及びオクタヒドロピラジノオキサジニルである。
【0082】
特別なB基は、ジアザスピロ[4,5]デシル、ピペラジニル、ジアゼパニル、テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジニル、ジアザスピロ[3.5]ノニル、及びジアザビシクロ[2.2.2]オクチルを包含する。さらなる特別なB基は、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロ[1.2.3]トリアゾロ[4,5−c]ピリジニル、デカヒドロピリド[1,2−a]ピラジニル、及びオクタヒドロピラジノ[2,1−c][1,4]オキサジニルを包含する。
【0083】
具体的なB基は、1,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル、ピペラジン−1−イル、1,4−ジアゼパン−1−イル、5,6−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル、2,6−ジアザスピロ[3.5]ノン−2−イル、及び2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクト−2−イルを包含する。さらなる具体的なB基は、3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル、1,4,6,7−テトラヒドロ−5H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−c]ピリジン−5−イル、オクタヒドロ−2H−ピリド[1,2−a]ピラジン−2−イル、及びヘキサヒドロピラジノ[2,1−c][1,4]オキサジン−8(1H)−イルを包含する。
【0084】
1つの実施態様においては、wは、0、1、又は2である。
【0085】
本発明はまた、その範囲内に、上記式Iの化合物のN−オキシドも包含する。一般に、かかるN−オキシドは、任意の利用可能な窒素原子上に生成されてよい。N−オキシドは、通常の手段、例えば、式Iの化合物を湿潤アルミナの存在下でオキソンと反応させること、によって生成してもよい。
【0086】
本発明は、その範囲内に、上記式Iの化合物のプロドラッグを包含する。一般に、かかるプロドラッグは、式Iの化合物の機能性の誘導体であって、式Iの所望の化合物へ、インビボで容易に変換し得るものであろう。適当なプロドラッグ誘導体の選択及び調製のための通常法は、例えば、バンドガード(H.Bundgaard)編、「Design of Prodrugs(プロドラッグのデザイン)」エルゼビア、1985年、に記載されている。
【0087】
プロドラッグは、生物活性物質(「親薬物」又は「親分子」)の薬理学的に不活性な誘導体でよく、それは、活性薬物を放出するために、体内での変換を必要とするものであり、かつ親薬物分子に対し改善された送達特性を有するものである。インビボの変換、例えば、ある代謝プロセス、例えば、カルボキシエステル、リン酸エステル、又は硫酸エステルの化学的又は酵素的加水分解か、或いは感受性の官能基の還元又は酸化の結果としてであってよい。
【0088】
本発明は、その範囲内に、式Iの化合物の溶媒和物、及びその塩、例えば水和物を包含する。
【0089】
本発明の化合物は、不斉中心、キラル軸、及びキラル面を有してよく(エリエル(E.L.Eliel)及びウィレン(S.H.Wilen)著、「Streochemistry of Carbon Compounds(炭素化合物の立体化学)」、ジョン・ウィリー&サンズ、ニューヨーク、1994年、p.1119−1190、に記載のように)、かつ、ラセミ体として、ラセミ混合物、及び個々のジアステレオマーとして生じ、全ての可能な異性体、及びそれらの混合物は、光学異性体を含め、かかる立体異性体の全てが本発明に含まれている。
【0090】
本明細書に開示された化合物は、互変異性体として存在してもよく、たとえ一方の互変異性体構造のみが描かれている場合でも、双方の互変異性体型が本発明の範囲によって包含されることが意図されている。例えば、式Iの化合物は、以下の構造:
【0091】
【化4】

【0092】
の化合物へ互変異性化されてもよい。
【0093】
該化合物は、種々の異性体型で存在してよく、その全てが本発明により包含される。
【0094】
該化合物は、多数の異なる結晶多形で存在してもよい。
【0095】
任意の変数(例えば、R及びR、など)が任意の構成成分において1回より多く出現する場合、その出現ごとの定義は、他の全ての出現とは無関係である。また、置換基及び変数の組合せは、かかる組合せが結果として安定な化合物を生じる場合にのみ許容される。置換基から環系内へ描かれた線は、示された結合が、置換可能な任意の環原子へ結合されてよいことを表わしている。
【0096】
本発明の化合物上の置換基及び置換パターンが、化学的に安定な化合物でありかつ、当該技術分野における技術上既知の方法並びに以下に示される方法により、容易に入手可能な出発物質から容易に合成し得る化合物、を提供するべく、当業者により選択可能であることが理解される。もし置換基自体が1個より多くの基で置換されているなら、結果として安定な構造を生じる限り、これらの多数の基が、同じ炭素上か、又は異なる炭素上にあってもよいことが理解される。語句「置換されていてもよい」は、語句「未置換か、又は1以上の置換基で置換されている」と同等であると理解されるべきであり、かかる場合、好適な実施態様は、ゼロないし3個の置換基を有するであろう。さらに特別には、ゼロないし2個の置換基がある。飽和、部分飽和、又は不飽和ヘテロ環上の置換基は、任意の置換可能な位置に結合可能である。
【0097】
本明細書で用いる場合、「アルキル」は、特定の数の炭素原子を有している、分枝、直鎖双方、及び環式の、飽和脂肪族炭化水素基を包含することを意味する。例えば、「C1−6アルキル」は、直鎖、分枝鎖、又は環式の配置の、1、2、3、4、5、又は6個の炭素を有する基を包含すると定義される。例えば、「C1−6アルキル」は、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルなどを包含する。好適なアルキル基は、メチル及びエチルである。用語「シクロアルキル」は、特定の数の炭素原子を有している、単環、二環、又は多環式の、飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「C3−7シクロアルキル」は、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、シクロヘキシル、などを包含する。本発明の1つの実施態様においては、用語「シクロアルキル」は、直前に記載された基を包含し、かつさらに、単環式の不飽和脂肪族炭化水素基を包含する。例えば、本実施態様において定義された「シクロアルキル」は、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル、シクロブテニル、7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプチルなどを包含する。好適なシクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルである。
【0098】
本明細書で用いる場合、用語「C2−6アルケニル」は、2ないし6個の炭素原子と、少なくとも1つの炭素・炭素二重結合とを含有する、直鎖又は分枝鎖の、非芳香族炭化水素基を指す。好ましくは、1つの炭素−炭素二重結合が存在し、かつ4個までの非芳香族炭素−炭素二重結合が存在してよい。アルケニル基は、エテニル、プロペニル、ブテニル、及び2−メチルブテニルを包含する。好適なアルケニル基は、エテニル及びプロペニルを包含する。
【0099】
本明細書で用いる場合、用語「C2−6アルキニル」は、2ないし6個の炭素原子と、少なくとも1つの炭素・炭素三重結合とを含有する、直鎖又は分枝鎖の炭化水素基を指す。3個までの炭素・炭素三重結合が存在してよい。アルキニル基は、エチニル、プロピニル、ブチニル、及び3−メチルブチニルなどを包含する。好適なアルキニル基は、エチニル及びプロピニルを包含する。
【0100】
「アルコキシ」は、酸素架橋を介し結合した、指示された数の炭素原子からなるアルキル基を表わす。「アルコキシ」は、それ故、上記のアルキルの定義を包含する。適当なアルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、及びシクロペンチルオキシを包含する。好適なアルコキシ基は、メトキシ及びエトキシである。用語「C6−10アリールオキシ」は、同様に理解可能であり、この基の例はフェノキシである。
【0101】
用語「ハロC1−6アルキル」及び「ハロC1−6アルコキシ」は、1個以上(特に、1ないし3個)の水素原子が、ハロゲン原子、特にフッ素又は塩素原子により置換されている、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシ基を意味する。好適であるのは、フルオロC1−6アルキル及びフルオロC1−6アルコキシ基、特にフルオロC1−3アルキル及びフルオロC1−3アルコキシ基、例えば、CF、CHF、CHF、CHCHF、CHCHF、CHCF、OCF、OCHF、OCHF、OCHCHF、OCHCHF、又はOCHCF、最も具体的にはCF、OCF、及びOCHFである。
【0102】
本明細書で用いる場合、用語「ヒドロキシC1−6アルキル」は、1個以上(特に、1ないし3個)の水素原子がヒドロキシ基により置換されている、C1−6アルキル基を意味する。好適であるのは、CHOH、CHCHOH、及びCHOHCHである。
【0103】
本明細書で用いるとき、用語「C1−6アルキルカルボニル」又は「C1−6アルコキシカルボニル」は、カルボニル(C=O)基を介して結合した、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシ基をそれぞれ意味する。C1−6アルキルカルボニル基の適当な例は、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、及びtert−ブチルカルボニルを包含する。C1−6アルコキシカルボニルの例は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、及びtert−ブトキシカルボニルを包含する。用語「C6−10アリールカルボニル」は、同様に理解可能であり、この基の例はベンゾイルである。
【0104】
本明細書で用いる場合、「C6−10アリール」は、6ないし10個の原子からなる任意の安定な単環又は二環式の炭素環であって、これにおいて少なくとも1つの環が芳香環である環を意味する。かかるアリール基の例は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、及びテトラヒドロベンゾ[7]アヌレンを包含する。好適なアリール基は、フェニル又はナフチル、特にフェニルである。
【0105】
7ないし13員のヘテロ環は、7、8、9、10、11、12、及び13員の環を包含する。
【0106】
本発明の特別なヘテロ環の例は、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフランジオニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾロニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、エポキシジル、フリル、フラザニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドリジニル、インドリニル、イソインドリニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリニル、イソオキサゾリニル、オキセタニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、テトラジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、キノリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、ジヒドロイソクロメニル、ジヒドロクロメニル、ジヒドロイミダゾロニル、ジヒドロトリアゾロニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ジヒドロチアゾロピリミジニル、ジヒドロイミダゾピラジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリジノニル、イミダゾロニル、イソインドリノニル、オクタヒドロキノリジニル、オクタヒドロイソインドリル、イミダゾピリジニル、アザビシクロヘプタニル、クロメノニル、トリアゾロピリミジニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、チアゾロトリアゾリル、アゾニアビシクロヘプタニル、アゾニアビシクロオクタニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、ジヒドロキナゾリニル、ジヒドロフタラジニル、ベンゾイソオキサゾリル、テトラヒドロナフチリジニル、ジベンゾ[b、d]フラニル、ジヒドロベンゾチアゾリル、イミダゾチアゾリル、テトラヒドロインダゾリル、テトラヒドロベンゾチエニル、ヘキサヒドロナフチリジニル、テトラヒドロイミダゾピリジニル、テトラヒドロイミダゾピラジニル、ピロロピリジニル、ジアゼパニル、及びそのN−オキシドである。ヘテロシクリル置換基の結合は、炭素原子を介するか、又はヘテロ原子を介して生じ得る。
【0107】
好適な5又は6員の、飽和又は部分飽和ヘテロ環は、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラン、及びチオモルホリニルである。
【0108】
好適な7員の飽和ヘテロ環は、ジアゼパニルである。
【0109】
好適な5員のヘテロ芳香環は、チエニル、チアゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、チアジアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、及びピロリルである。
【0110】
好適な6員のヘテロ芳香環は、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、及びピラジニルである。
【0111】
好適な7ないし10員の、部分飽和又は不飽和のヘテロ環は、テトラヒドロキノリニル、キノリニル、インドリル、イミダゾピリジニル、ベンゾチアゾリル、キノキサリニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾジオキソリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロインドリル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンゾイソチアゾリル、ジヒドロイミダゾピラジニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサジアゾリル、チアゾロトリアゾリル、ジヒドロチアゾロピリミジニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロキナゾリニル、ジヒドロフタラジニル、インダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、テトラヒドロナフチリジニル、トリアゾロピリミジニル、ジベンゾ[b,d]フラニル、ナフチリジニル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロイソクロメニル、ジヒドロクロメニル、ジヒドロベンゾチアゾリル、イミダゾチアゾリル、テトラヒドロインダゾリル、テトラヒドロベンゾチエニル、ヘキサヒドロナフチリジニル、テトラヒドロイミダゾピリジニル、テトラヒドロイミダゾピラジニル、ピロロピリジニル、キナゾリニル、及びインドリジニルである。
【0112】
本明細書で用いる場合、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を指し、このうち、フッ素及び塩素が好ましい。
【0113】
本発明の範囲内の特別な化合物は:
1−[3−(8−アザ−1−アゾニアスピロ[4.5]デカ−8−イルカルボニル)−4−フルオロベンジル]−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリニウムビス(トリフルオロアセテート);
1−[4−フルオロ−3−({4−[2−(4−フルオロベンジル)プロリル]ピペラジン−1−イル}カルボニル)ベンジル]キノリン−4(1H)−オン;
1−[3−(8−アザ−1−アゾニアスピロ[4.5]デカ−8−イルカルボニル)−4−フルオロベンジル]−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムビス(トリフルオロアセテート);
1−[3−(1,4−ジアゼパン−1−イルカルボニル)−4−フルオロベンジル]キノリン−4(1H)−オン;
1−{4−フルオロ−3−[(4−プロピオニルピペラジン−1−イル)カルボニル]ベンジル}キノリン−4(1H)−オン;
1−(4−フルオロ−3−{[3−(トリフルオロメチル)−5,6−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル]カルボニル}ベンジル)キノリン−4(1H)−オン;
1−[3−(1,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イルカルボニル)−4−フルオロベンジル]キノリン−4(1H)−オン;
1−[4−フルオロ−3−(ピペラジン−1−イルカルボニル)ベンジル]キノリン−4(1H)−オン;
1−[3−(2,6−ジアザスピロ[3.5]ノン−2−イルカルボニル)−4−フルオロベンジル]キノリン−4(1H)−オン;
1−[3−(2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクト−2−イルカルボニル)−4−フルオロベンジル]キノリン−4(1H)−オン;
1−(4−フルオロ−3−{[4−(2−メチルプロリル)ピペラジン−1−イル]カルボニル}ベンジル)キノリン−4(1H)−オン;
1−(4−フルオロ−3−{[4−(3,3,3−トリフルオロ−N,N−ジメチルアラニル)ピペラジン−1−イル]カルボニル}ベンジル)キノリン−4(1H)−オン;
(2R)−2−[(4−{2−フルオロ−5−[(4−オキソキノリン−1(4H)−イル)メチル]ベンゾイル}ピペラジン−1−イル)カルボニル]−2−メチルアゼチジニウムトリフルオロアセテート;
1−{4−フルオロ−3−[(4−プロピオニルピペラジン−1−イル)カルボニル]ベンジル}−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−{3−[(3−エチル−5,6−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−2−イウム−7(8H)−イル)カルボニル]−4−フルオロベンジル}−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムビス(トリフルオロアセテート);
1−(4−フルオロ−3−{[3−(トリフルオロメチル)−5,6−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル]カルボニル}ベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
及び他の、その薬学的に許容される塩、遊離塩基、及び互変異性体である。
【0114】
本発明の範囲内のさらなる特別な化合物は、
8−フルオロ−1−(4−フルオロ−3−{[3−(トリフルオロメチル)−5,6−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル]カルボニル}ベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−{3−[(4−エチル−3−オキソピペラジン−1−イル)カルボニル]−フルオロベンジル}−8−ヒドロキシシンノリン−4(1H)−オン;
1−{4−フルオロ−3−[(3−オキソ−4−フェニルピペラジン−1−イル)カルボニル]ベンジル}−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリニウムトリフルオロアセテート;
1−{3−[(4−シクロペンチル−3−オキソピペラジン−1−イル)カルボニル]−4−フルオロベンジル}−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリニウムトリフルオロアセテート;
1−(4−フルオロ−3−{[4−(4−フルオロフェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル]カルボニル}ベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリニウムトリフルオロアセテート;
1−(4−フルオロ−3−{[1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−5H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−c]ピリジン−5−イル]カルボニル}ベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−{3−[(4−シクロヘキシル−3−オキソピペラジン−1−イル)カルボニル]−4−フルオロベンジル}−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−{3−[(4−シクロペンチル−3−オキソピペラジン−1−イル)カルボニル]−4−フルオロベンジル}−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−(3−{[4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル]カルボニル}−4−フルオロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−[4−フルオロ−3−(ピペラジン−1−イルカルボニル)ベンジル]シンノリン−4(1H)−オン;
2−(4−{2−フルオロ−5−[(4−オキソシンノリン−1(4H)−イル)メチル]ベンゾイル})ピペラジン−1−イル)ピリミジン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−{4−フルオロ−3−[(3−オキソ−4−フェニルピペラジン−1−イル)カルボニル]ベンジル}−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−{4−フルオロ−3−[(4−イソブチリルピペラジン−1−イル)カルボニル]ベンジル}−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−(4−フルオロ−3−{[4−(トリフルオロアセチル)ピペラジン−1−イル]カルボニル}ベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−{4−フルオロ−3−[(4−{[(2S)−2−(4−フルオロベンジル)ピロリジニウム−2−イル]カルボニル}ピペラジン−1−イル)カルボニル]ベンジル}−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムビス(トリフルオロアセテート);
1−{4−フルオロ−3−[(4−{[(2R)−2−メチルアゼチジン−2−イル]カルボニル}ピペラジン−1−イル)カルボニル]ベンジル}シンノリン−4(1H)−オン;
1−[3−(2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクト−2−イルカルボニル)−4−フルオロベンジル]シンノリン−4(1H)−オン;
1−[3−(1,4−ジアゼパン−1−イルカルボニル)−4−フルオロベンジル]シンノリン−4(1H)−オン;
1−(4−フルオロ−3−{[3−(ペンタフルオロエチル)−5,6−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル]カルボニル}ベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−(3−{[4−(2−クロロフェニル)−3−オキソピペラジン−1−イル]カルボニル}−4−フルオロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−(3−{[4−(3−クロロフェニル)−3−オキソピペラジン−1−イル]カルボニル}−4−フルオロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−(3−{[4−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−オキソピペラジン−1−イル]カルボニル}−4−フルオロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−(3−{[4−(3,4−ジヒドロフェニル)−3−オキソピペラジン−1−イル]カルボニル}−4−フルオロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−(3−{[3−[(ジメチルアミノ)メチル]−5,6−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル]カルボニル}−4−フルオロベンジル)シンノリン−4(1H)−オン;
1−{3−[(3−シクロブチル−5,6−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル)カルボニル]−4−フルオロベンジル}−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−{3−[(3−tert−ブチル−5,6−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル)カルボニル]−4−フルオロベンジル}−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−(4−フルオロ−3−{[3−(2,2,2−トリフルオロエチル)−5,6−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル]カルボニル}ベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−(4−フルオロ−3−{[4−(4−フルオロフェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル]カルボニル}ベンジル)シンノリン−4(1H)−オン;
5−フルオロ−1−(4−フルオロ−3−{[3−(トリフルオロメチル)−5,6−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル]カルボニル}ベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−{3−[(4−シクロヘキシル−3−オキソピペラジン−1−イル)カルボニル]−4−フルオロベンジル}−5−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−{3−[(4−シクロペンチル−3−オキソピペラジン−1−イル)カルボニル]−4−フルオロベンジル}−5−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−[3−(2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクト−2−イルカルボニル)−4−フルオロベンジル]−5−フルオロシンノリン−4(1H)−オン
6−フルオロ−1−(4−フルオロ−3−{[3−(トリフルオロメチル)−5,6−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル]カルボニル}ベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−{3−[(4−シクロヘキシル−3−オキソピペラジン−1−イル)カルボニル]−4−フルオロベンジル}−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−{3−[(4−シクロペンチル−3−オキソピペラジン−1−イル)カルボニル]−4−フルオロベンジル}−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−[3−(2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクト−2−イルカルボニル)−4−フルオロベンジル]−6−フルオロシンノリン−4(1H)−オン;
7−フルオロ−1−(4−フルオロ−3−{[3−(トリフルオロメチル)−5,6−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル]カルボニル}ベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−{3−[(4−シクロヘキシル−3−オキソピペラジン−1−イル)カルボニル]−4−フルオロベンジル}−7−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−{3−[(4−シクロペンチル−3−オキソピペラジン−1−イル)カルボニル]−4−フルオロベンジル}−7−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−[3−(2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクト−2−イルカルボニル)−4−フルオロベンジル]−7−フルオロシンノリン−4(1H)−オン;
1−{3−[(4−シクロヘキシル−3−オキソピペラジン−1−イル)カルボニル]−4−フルオロベンジル}−8−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−{3−[(4−シクロペンチル−3−オキソピペラジン−1−イル)カルボニル]−4−フルオロベンジル}−8−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−[3−(2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクト−2−イルカルボニル)−4−フルオロベンジル]−8−フルオロシンノリン−4(1H)−オン;
1−(4−フルオロ−3−{[3−(トリフルオロメチル)−5,6−ジヒドロ[1,24]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル]カルボニル}ベンジル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−{3−[(4−シクロヘキシル−3−オキソピペラジン−1−イル)カルボニル]−4−フルオロベンジル}−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−{3−[(4−シクロペンチル−3−オキソピペラジン−1−イル)カルボニル]−4−フルオロベンジル}−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−[3−(2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクト−2−イルカルボニル)−4−フルオロベンジル]−7−メトキシシンノリン−4(1H)−オン;
1−(4−フルオロ−3−{[3−(トリフルオロメチル)−5,6−ジヒドロ[1,24]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル]カルボニル}ベンジル)−8−ヒドロキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−{3−[(4−シクロペンチル−3−オキソピペラジン−1−イル)カルボニル]−4−フルオロベンジル}−8−ヒドロキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−(3−{[4−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−オキソピペラジン−1−イル]カルボニル}−4−フルオロベンジル)−8−ヒドロキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−{4−フルオロ−3−[(4−プロピオニルピペラジン−1−イル)カルボニル]ベンジル}−8−ヒドロキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−{4−フルオロ−3−[(4−オキソオクタヒドロ−2H−ピリド[1,2−a]ピラジン−2−イル)カルボニル]ベンジル}−8−ヒドロキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
1−{4−フルオロ−3−[(6−オキソヘキサヒドロピラジノ[2,1−c][1,4]オキサジン−8(1H)−イル)カルボニル]ベンジル}−8−ヒドロキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート;
及び他の、その薬学的に許容される塩、遊離塩基、及び互変異性体である。
【0115】
本発明に包含されるのは、式Iの化合物の遊離塩基、並びにその薬学的に許容される塩及び立体異性体である。本発明の化合物は、アミン及び/又はN含有ヘテロ環基のN原子においてプロトン化して塩を生成することができる。用語「遊離塩基」は、非塩型のアミン化合物を指す。包含される薬学的に許容される塩は、本明細書記載の具体的な化合物に例示される塩を包含するだけでなく、式Iの化合物の遊離型の全ての典型的な薬学的に許容される塩も包含する。記載された具体的な塩化合物の遊離型は、当該技術分野における技術上既知の方法を用いて単離されてよい。例えば、遊離型は、その塩を、適当な塩基の希釈水溶液、例えばNaOH、炭酸カリウム、アンモニア、及び炭酸水素ナトリウムの希釈水溶液、で処理することにより再生してもよい。遊離型は、極性溶媒中の溶解度のような、ある物理的性質において、その各々の塩型と幾分異なってもよいが、本発明では、他の点において、酸及び塩基塩はその各々の遊離型と医薬的に同等である。
【0116】
本化合物の薬学的に許容される塩は、塩基性又は酸性の基を含有する本発明化合物から、通常の化学的方法により合成することができる。一般に、塩基性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによるか、又は、遊離塩基を化学量論的な量の、又は過剰の、所望の塩形成性無機又は有機酸と、適当な溶媒又は溶媒の種々の組合せの中で反応させることにより調製される。同様に、酸性化合物の塩は、適切な無機又は有機塩基との反応により生成される。
【0117】
したがって、本発明化合物の薬学的に許容される塩は、塩基性の当該化合物を無機又は有機酸又は高分子酸と反応させることにより生成される、本発明化合物の通常の非毒性塩を包含する。例えば、通常の非毒性塩は、無機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、スルファミン酸、リン酸、亜リン酸、硝酸など)から誘導される塩、並びに有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、パルミチン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、桂皮酸、ピルビン酸、エタンスルホン酸、エタン、ジスルホン酸、吉草酸、トリフルオロ酢酸など)から調製される塩を包含する。適当な高分子塩の例は、高分子酸、例えばタンニン酸、カルボキシメチルセルロースから誘導されるものを包含する。好ましくは、本発明の薬学的に許容される塩は、1当量の式(I)の化合物と、1、2、又は3当量の無機又は有機酸とを含有する。さらに特別には、本発明の薬学的に許容される塩は、トリフルオロアセテート又はクロリド塩、特にトリフルオロ酢酸塩である。
【0118】
本発明化合物が酸性である場合、適当な「薬学的に許容される塩」は、無機塩基及び有機塩基を含む、薬学的に許容される非毒性塩基から調製される塩を指す。無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩を包含する。特に好適な塩は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、及びナトリウムの塩である。薬学的に許容される有機の非毒性塩基から誘導される塩は、第一級、第二級、及び第三級のアミンの塩;天然産置換アミンを含む置換アミンの塩;環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、リジン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン、ジシクロヘキシルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、トロメタミンなどの塩を包含する。
【0119】
上記記載の薬学的に許容される塩及び他の典型的な薬学的に許容される塩の調製は、バーグ(Berg)ら著、「ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・サイエンセズ(J.Pharm.Sci.)、医薬用塩類(‘Pharmaceutical Salts’)」、1977年、第66巻、p.1−19により、さらに充分に記載されている。
【0120】
生理的条件下では、該化合物中の脱プロトン化された酸性基、例えばカルボキシル基が、アニオン性であってよく、かつ、この電子電荷が次に、プロトン化又はアルキル化された塩基性基、例えば第四級窒素原子のカチオン性電荷に対し、内部で平衡化されるかもしれないことから、本発明化合物が潜在的に内部塩又は両性イオンであることもまた注目されよう。
【0121】
本発明化合物は、療法により、ヒト又は動物の身体の治療法において使用することができる。
【0122】
本発明は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害により改善可能な症状の、治療又は予防において使用するための化合物を提供する(例えば、「ネイチャー・レビュー・ドラッグ・ディスカバリー(Nature Review Drug Discovery)」、2005年、第4巻、p.421−440参照)。
【0123】
したがって本発明は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害により改善可能な症状の、治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物を提供する。
【0124】
本発明はまた、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害により改善可能な症状の、治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物又は式Iの化合物を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0125】
本発明のPARP阻害剤は、WO2005/082368に特定された疾患の治療のために有用である。
【0126】
本発明化合物は、臓器移植拒絶から結果として生じる症状を含む炎症性疾患、例えば;関節炎、リウマチ様関節炎、変形性関節症、骨吸収増大に関連した骨疾患を含む、関節の慢性炎症性疾患;炎症性腸疾患、例えば、回腸炎、潰瘍性大腸炎、バレット症候群、及びクーロン病;炎症性肺疾患、例えば、喘息、成人呼吸促迫症候群、及び慢性閉塞性気道疾患;角膜異栄養症、トラコーマ、オンコセルカ症、ブドウ膜炎、交感性眼炎、及び眼内炎を含む、眼の炎症性疾患;歯肉炎及び歯周炎を含む、歯肉の慢性炎症性疾患;結核;らい病;尿毒症性合併症、糸球体腎炎、及びネフローゼを含む、腎臓の炎症性疾患;硬化性皮膚炎、乾癬、及び湿疹を含む、皮膚の炎症性疾患;神経系の慢性脱髄疾患、多発性硬化症、AID関連神経変性疾患、及びアルツハイマー病、感染性髄膜炎、脳髄膜炎、パーキンソン病、ハンチントン病、筋委縮性側索硬化症、及びウイルス性又は自己免疫性脳炎を含む、中枢神経系の炎症性疾患;制限されることなく、免疫複合体型血管炎、全身性エリテマトーデス(SLE)を含む、糖尿病合併症;心臓の炎症性疾患、例えば、心筋症、虚血性心疾患、高コレステロール血症、及びアテローム性動脈硬化症;並びに、子癇前症、慢性肝不全、脳及び脊髄の外傷、及び多臓器不全症候群(MODS)(多臓器不全(MOF))を含む、有意な炎症性成分を有し得る種々の他の疾患、を含めた炎症性疾患の治療のために有用である。炎症性疾患はまた、グラム陽性又はグラム陰性性ショック、出血性又はアナフィラキシー性ショック、又は前炎症性サイトカインに対する応答において癌化学療法により誘導されるショック、例えば前炎症性サイトカインに関連したショック、により例示される身体の全身性炎症であってもよい。かかるショックは、例えば癌の治療として投与される化学治療剤によって誘導され得る。
【0127】
したがって、本発明は、炎症性疾患の治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物を提供する。
【0128】
本発明はまた、炎症性疾患の治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物又は式Iの化合物を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0129】
本発明の化合物はまた、自然に発生する事象から、及び外科手術手順の間に生ずる、再灌流損傷、例えば、腸の再灌流損傷;心筋の再灌流損傷;心肺バイパス手術、大動脈瘤修復手術、頸動脈血管内膜切除術、又は出血性ショックから結果として生じる再灌流損傷;及び、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、腸、及び角膜のような臓器の移植から結果として生じる再酸素化損傷、の治療又は予防においても有用であってよい。
【0130】
したがって、本発明は、再灌流損傷の治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物を提供する。
【0131】
本発明はまた、再灌流損傷の治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物又は式Iの化合物を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0132】
本発明の化合物はまた、臓器移植に由来するもの、例えば安定狭心症、不安定狭心症、心筋虚血、肝虚血、腸間膜虚血、腸虚血、重篤な四肢虚血、慢性の重篤な四肢虚血、脳虚血、急性心虚血、虚血性腎疾患、虚血性肝疾患、虚血性網膜疾患、敗血症性ショック、及び中枢神経系の虚血性疾患、例えば卒中又は脳虚血を含む、虚血症状の治療又は予防においても有用であってよい。
【0133】
したがって、本発明は、虚血性症状の治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物を提供する。
【0134】
本発明はまた、虚血性症状の治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物又は式Iの化合物を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0135】
本発明は、卒中の治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物を提供する。
【0136】
本発明はまた、卒中の治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物又は式Iの化合物を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0137】
本発明化合物はまた、慢性又は急性の腎不全の治療又は予防のためにも有用であってよい。
【0138】
したがって、本発明は、腎不全の治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物を提供する。
【0139】
本発明はまた、腎不全の治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物又は式Iの化合物を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0140】
本発明化合物はまた、心臓血管疾患以外の血管疾患、例えば、末梢動脈閉塞、閉塞性血栓血管炎、レイノー病及び現象、先端チアノーゼ、先端紅痛症、静脈血栓症、静脈瘤、動静脈ろう、リンパ浮腫、及び脂肪性浮腫の、治療又は予防のために有用であってよい。
【0141】
したがって、本発明は、心臓血管疾患以外の血管疾患の治療又は予防用医薬品の製造において使用するための、式Iの化合物を提供する。
【0142】
本発明はまた、心臓血管疾患以外の血管疾患の治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物又は式Iの化合物を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0143】
本発明化合物はまた、心臓血管疾患、例えば、慢性心不全、アテローム性動脈硬化症、うっ血性心不全、循環ショック、心筋症、心臓移植、心筋梗塞、及び心不整脈、例えば心房細動、上室性頻拍、心房粗動、及び発作性心房頻拍の、治療又は予防のために有用であってよい。
【0144】
したがって、本発明は、心臓血管疾患の治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物を提供する。
【0145】
本発明はまた、心臓血管疾患の治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物又は式Iの化合物を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0146】
本発明化合物はまた、I型糖尿病(インスリン依存性糖尿病)、II型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)、妊娠糖尿病、自己免疫性糖尿病、インスリン異常症、膵臓疾患による糖尿病、他の内分泌疾患に関連した糖尿病(例えばクッシング症候群、先端巨大症、褐色細胞腫、グルカゴノーマ、原発性アルドステロン症、又はソマトスタチノーマ)、A型インスリン抵抗性症候群、B型インスリン抵抗性症候群、リパトロフィック(脂肪栄養性)糖尿病、及び3−細胞毒素に誘導される糖尿病を含む、糖尿病の、治療又は予防のために有用であってよい。本発明化合物はまた、糖尿病合併症、例えば糖尿病性白内障、緑内障、網膜症、腎症、(例えば、ミクロアルブミン尿症及び進行性糖尿病性腎症)、多発性神経炎、脚の壊疽、アテローム硬化症性冠動脈疾患、末梢動脈疾患、非ケトン性高血糖性−高浸透圧性昏睡、単神経障害、自律神経障害、脚潰瘍、関節問題、及び、皮膚又は粘膜合併症(例えば、感染症、シンスポット(脛斑点)、カンジダ感染症、又は糖尿病性リポイド類壊死症)、高脂血症、高血圧、インスリン抵抗性症候群、冠動脈疾患、網膜症、糖尿病性神経障害、多発性神経障害、単神経障害、自律神経障害、脚潰瘍、関節問題、真菌感染症、細菌感染症、及び心筋症、の治療又は予防のために有用であってよい。
【0147】
したがって、本発明は、糖尿病の治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物を提供する。
【0148】
本発明はまた、糖尿病の治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物又は式Iの化合物を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0149】
本発明化合物はまた、固形腫瘍、例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、大腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、膵臓癌、骨癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、食道癌、胃癌、口腔癌、鼻腔癌、咽頭癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、絨毛癌、性上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、子宮癌、精巣癌、小細胞肺癌、膀胱癌、肺癌、上皮癌、皮膚癌、黒色腫、神経芽細胞腫、及び網膜芽細胞腫;血液−骨癌、例えば、急性リンパ芽球性白血病(「ALL」)、急性リンパ芽球性B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性骨髄芽球性白血病(「AML」)、急性前骨髄芽球性白血病(「APL」)、急性単芽球性白血病、急性赤白血病性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性骨髄単芽球性白血病、急性非骨髄単球性白血病、急性未分化白血病、慢性骨髄性白血病(「CML」)、慢性リンパ球性白血病(「CLL」)、ヘアリーセル白血病、及び多発性骨髄腫;急性及び慢性白血病、例えば、リンパ芽球性、骨髄性、リンパ球性、骨髄球性白血病;リンパ腫、例えばホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストローム型マクログロブリン血症、重鎖病、及び真性赤血球増加症;CNS及び脳癌、例えば、神経膠腫、毛様細胞性星状細胞腫、星状細胞腫、未分化星状細胞腫、多型性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、前庭神経鞘腫、腺腫、転移性脳腫瘍、髄膜腫、脊髄腫瘍、及び髄芽細胞腫を含む、の治療又は予防のために有用であってよい。
【0150】
したがって、本発明は、癌の治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物を提供する。
【0151】
本発明はまた、癌の治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物又は式Iの化合物を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0152】
本発明化合物はまた、相同組換え(HR)依存DNA DSB修復活性を欠失する癌の治療のために使用してもよい(WO2006/021801参照)。
【0153】
HR依存DNA DSB修復経路は、連続したDNAヘリックスを改修するための相同的メカニズムにより、DNA中の二重鎖切断(DSB)を修復する(「ネイチャー・ジェネティクス(Nat.Genet.)」、2001年、第27巻、第3号、p.247−254)。HR依存DNA DSB修復経路の成分は、制限されることなく、ATM(NM−000051)、RAD51(NM−002875)、RAD51L1(NM−002877)、RAD51C(NM−002876)、RAD51L3(NM−002878)、DMC1(NM−007068)、XRCC2(NM7005431)、XRCC3(NM−005432)、RAD52(NM−002879)、RAD54L(NM−003579)、RAD54B(NM−012415)、BRCA−1(NM−007295)、BRCA−2(NM−000059)、RAD5O(NM−005732)、MREI1A(NM−005590)、NBS1(NM−002485)、ADPRT(PARP−1)、ADPRTL2(PARP−2)、CTPS、RPA、RPA1、RPA2、RPA3、XPD、ERCC1、XPF、MMS19、RAD51p、RAD51D、DMC1、XRCCR、RAD50、MRE11、NB51、WRN、BLMKU70、RU80、ATRCHK1、CHK2、FANCA、FANCB、FANCC、FANCD1、FANCD2、FANCE、FANCF、FANCG、RAD1、及びRAD9を包含する。HR依存DNA DSB修復経路に包含される他のタンパク質は、EMSYのような調節因子(「セル(Cell)」、2003年、第115巻、p.523−535)を包含する。
【0154】
HR依存DNA DSB修復経路を欠失する癌は、正常細胞に比較して低減又は消失した、当該経路を介するDNA DSB修復能を有している、1つ以上の癌細胞を含んでなるか又は1つ以上の癌細胞からなってもよく、すなわち、HR依存DNA DSB修復経路の活性は、1つ以上の癌細胞において、低減又は消失してもよい。
【0155】
HR依存DNA DSB修復経路の1つ以上の成分の活性は、HR依存DNA DSB修復経路を欠失する癌を有する個体の1つ以上の癌細胞において、消失してもよい。HR依存DNA DSB修復経路の成分は、当該技術分野において充分に明らかにされており(例えば、「サイエンス(Science)」、2001年、第291巻、p.1284−1289参照)、上記にリストされた成分を包含する。
【0156】
本発明は、HR依存DNA DSB修復活性を欠失する癌の、治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物を提供する。
【0157】
本発明はまた、HR依存DNA DSB修復活性を欠失する癌の、治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物又は式Iの化合物を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0158】
1つの実施態様においては、癌細胞は、ATM(NM−000051)、RAD51(NM−002875)、RAD51L1(NM−002877)、RAD51C(NM−002876)、RAD51L3(NM−002878)、DMC1(NM−007068)、XRCC2(NM7005431)、XRCC3(NM−005432)、RAD52(NM−002879)、RAD54L(NM−003579)、RAD54B(NM−012415)、BRCA−1(NM−007295)、BRCA−2(NM−000059)、RAD5O(NM−005732)、MREI1A(NM−005590)、NBS1(NM−002485)、ADPRT(PARP−1)、ADPRTL2(PARP−2)、CTPS、RPA、RPA1、RPA2、RPA3、XPD、ERCC1、XPF、MMS19、RAD51p、RAD51D、DMC1、XRCCR、RAD50、MRE11、NB51、WRN、BLMKU70、RU80、ATRCHK1、CHK2、FANCA、FANCB、FANCC、FANCD1、FANCD2、FANCE、FANCF、FANCG、RAD1、及びRAD9から選択される1つ以上の表現型の、HR依存DNA DSB修復活性を欠失する。
【0159】
別の実施態様においては、癌細胞は、BRCA1及び/又はBRCA2欠失性の表現型を有する。この表現型をもつ癌細胞は、BRCA1及び/又はBRCA2を欠失してよく、すなわち、BRCA1及び/又はBRCA2の発現及び/又は活性は、例えば、エンコーディング核酸における突然変異又は多型によるか、又は、調節因子、例えばBRCA2調節因子をコードしているEMSY遺伝子における増幅、突然変異、又は多型により、当該癌細胞において低減又は消失してもよい(「Cell」、2003年、第115巻、p.523−535)。
【0160】
BRCA−1及びBRCA−2は、周知の腫瘍サプレッサーであり、その野生型アレル(対立遺伝子)は、異型接合キャリアの腫瘍においてしばしば喪失される(「オンコジーン(Oncogene)」、2002年、第21巻、第58号、p.8981−93;「トレンズ・イン・モレキュラー・メディスン(Trends Mol Med.)」、2002年、第8巻、第12号、p.571−6)。BRCA−1及び/又はBRCA−2突然変異と、乳癌との関連は、充分に明らかにされてきた(「Exp Clin Cancer Res.」、2002年、第21巻、付録3、p.9−12)。BRCA−2結合因子をコードしているEMSY遺伝子の増幅もまた、乳癌及び卵巣癌に関連することが知られている。BRCA−1及び/又はBRCA−2における突然変異の保因者もまた、卵巣、前立腺、及び膵臓の癌のリスクが高い。BRCA−1及びBRCA−2における変異の検出は、当該技術分野において周知であり、例えば、EP699 754、EP705 903、「ジェネティック・テスティング(Genet Test)」、1992年、第1巻、p.75−83;「キャンサー・トリートメント・アンド・リサーチ(Cancer Treat Res)」、2002年、第107巻、p.29−59;「ネオプラズマ(Neoplasm)」、2003年、第50巻、第4号、p.246−50;「チェスカ・ガイネコロジー(Ceska Gynekol)」、2003年、第68巻、第1号、p.11−16)に記載されている。BRCA−2結合因子EMSYの増幅の検出は、「Cell」、第115巻、p.523−535に記載されている。PARP阻害剤は、BRCA−1及びBRCA−2欠失性腫瘍を特異的に殺すのに有用であると示されてきた(「Nature」、2005年、第434巻、p.913−916、及び917−920)。
【0161】
したがって、本発明は、BRCA−1又はBRCA−2欠失性腫瘍の、治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物を提供する。
【0162】
本発明はまた、BRCA−1又はBRCA−2欠失性腫瘍の、治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物又は式Iの化合物を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0163】
1つの実施態様においては、本PARP阻害剤は、BRCA−2欠失性細胞の除去のための予防療法において使用可能である(「キャンサー・リサーチ(Cancer Res.)」、2005年、第65巻、p.10145参照)。
【0164】
本発明化合物は、ポリグルタミン伸長関連神経変性、ハンチントン病、ケネディー病、脊髄小脳失調、歯状核赤核淡蒼球ルイ体委縮症(DRPLA)、タンパク質凝集関連神経変性、マシャド・ジョセフ病、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋委縮性側索硬化症、海綿状脳症、プリオン関連疾患、及び多発性硬化症(MS)を含む、神経変性疾患の治療又は予防のために有用であってよい。
【0165】
したがって、本発明は、神経変性疾患の治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物を提供する。
【0166】
本発明はまた、神経変性疾患の治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物又は式Iの化合物を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0167】
本発明化合物はまた、レトロウイルス感染症(US 5652260)、網膜損傷(「カレント・アイ・リサーチ(Curr.Eye Res.)」、2004年、第29巻、p.403)、皮膚老化、及びUV誘導性皮膚損傷(US5589483及び「バイオケミカル・ファーマコロジー(Biochem.Pharmacol)」、2002年、第63巻、p.921)のために有用であってよい。
【0168】
本発明化合物は、早期老化の治療又は予防、及び、年齢関連性の細胞機能障害開始の延期のために有用である(「ファーマコロジカル・リサーチ(Pharmacological Research)」、2005年、第52巻、p.93−99)。
【0169】
本発明化合物は、哺乳類、好ましくはヒトに対し、単独で、又は医薬組成物において、薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、アジュバント、充填剤、緩衝剤、安定化剤、保存剤、潤滑剤と組合せて、標準的薬学のプラクティスに従って投与してもよい。
【0170】
本発明化合物は、制限されることなく、経口(例えば、消化により);局所(例えば、経皮、鼻腔内、眼、口腔、及び舌下を含む);肺(例としては、例えばエアロゾルを使用して、例えば口又は鼻からの、吸入又は通気療法により);直腸;膣;非経口(例えば、皮下、皮内、筋肉内、静脈内、動脈内、心臓内、髄腔内、脊髄内、嚢内、被膜下、眼窩内、腹腔内、気管内、表皮下、関節内、クモ膜下、及び胸骨内を含む注射により);及び、デポー剤の移植(例えば、皮下又は筋肉内)によるものを含め、全身/末梢であろうと、所望の活性の部位においてであろうと、任意の便利な投与経路により、患者へ投与してもよい。
【0171】
患者は、真核生物、動物、脊椎動物、哺乳類、げっ歯類(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ類(例えば、マウス)、イヌ類(例えば、イヌ)、ネコ類(例えば、ネコ)、ウマ類(例えば、ウマ)、霊長類、シミアン(例えば、サル又は類人猿)、サル(例えば、マーモセット、ヒヒ)、類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル)、又はヒトであってよい。
【0172】
本発明はまた、1つ以上の本発明化合物と薬学的に許容される担体とを含んでなる、医薬組成物も提供する。活性成分を含有する医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性又は油性懸濁液、分散性粉末又は顆粒、エマルジョン、硬又は軟カプセル、或いはシロップ又はエリキシルのような、経口使用に適した形態であってよい。経口使用を意図した組成物は、医薬組成物製造のための当該技術分野において周知の任意の方法に従って調製してもよく、かかる組成物は、医薬的に適切で口当たりの良い製剤を提供するため、甘味剤、着香剤、着色剤、及び保存剤からなる群より選択される、1つ以上の薬剤を含有してもよい。錠剤は、活性成分を、錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容される賦形剤との混合物中に含有する。これらの賦形剤は、例としては、不活性な希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム;造粒及び崩壊剤、例えば、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、コーンスターチ、又はアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン、ポリビニル−ピロリドン、又はアラビアゴム、及び潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルクであってよい。錠剤は、コートしなくてもよく、或いはそれらを、周知の技術によりコートして、薬物の不快な味をマスクするか、又は消化管内での崩壊及び吸収を遅延させ、それにより長期間にわたり持続作用を提供するようにしてもよい。例えば、例えばヒドロキシプロピル−メチルセルロース若しくはヒドロキシプロピルセルロースのような、水溶性の味覚マスキング剤、又は、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレートのような、時間遅延物質を使用してもよい。
【0173】
経口使用用の製剤はまた、活性成分が、不活性な固形希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセルとして、或いは、活性成分が、水溶性担体、例えばポリエチレングリコール、又は油性媒体、例えば、ラッカセイ油、流動パラフィン、又はオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセルとして供してもよい。
【0174】
水性懸濁液は、活性成分を、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物中に含有する。かかる賦形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、及びアカシアゴムであり;分散又は湿潤剤は、天然産ホスファチド、例えばレシチン、又は、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、又は、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はエチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合物、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、又はエチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合物、例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタンでよい。水性懸濁液はまた、1つ以上の保存剤、例えば、エチル、又はn−プロピル p−ヒドロキシベンゾアート、1つ以上の着色剤、1つ以上の着香剤、及び1つ以上の甘味剤、例えばスクロース、サッカリン、又はアスパルテームも含有してよい。
【0175】
油性懸濁液は、活性成分を、植物油、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油又はヤシ油か、或いは鉱物油、例えば流動パラフィン中に懸濁することにより製剤してもよい。油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜蝋、固形パラフィン、又はセチルアルコールを含有してもよい。上記に示したような甘味剤、及び着香剤を添加して、口当たりの良い経口用製剤を提供するようにしてもよい。これらの組成物は、酸化防止剤、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール又はアルファー−トコフェロールの添加により調製してもよい。
【0176】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末及び顆粒は、活性成分を、分散又は湿潤剤、懸濁化剤、及び1つ以上の保存剤との混合物中に提供する。適当な分散又は湿潤剤、及び懸濁化剤は、上記のすでに列挙されたものに例示される。付加的な賦形剤、例えば、甘味剤、着香剤、及び着色剤もまた存在してよい。これらの組成物は、アスコルビン酸のような酸化防止剤の添加により保存してもよい。
【0177】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型エマルジョンの形態であってもよい。油性相は、植物油、例えばオリーブ油又はラッカセイ油、或いは鉱物油、例えば流動パラフィン、又はこれらの混合物でよい。適当な乳化剤は、天然産ホスファチド、例えばダイズレシチン、及び、脂肪酸とヘキシトール無水物とから誘導されるエステル又は部分エステル、例えばモノオレイン酸ソルビタン、及び、前記部分エステルと、エチレンオキシドとの縮合物、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンでよい。エマルジョンはまた、甘味剤、着香剤、保存剤、及び酸化防止剤を含有してもよい。
【0178】
シロップ及びエリキシルは、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、又はスクロースを用いて製剤してもよい。かかる製剤はまた、粘滑剤、保存剤、着香剤及び着色剤、及び酸化防止剤を含有してもよい。
【0179】
医薬組成物はまた、無菌の注射用水溶液の形態であってもよい。使用してもよい許容されるビヒクル及び溶媒は、なかんずく、水、リンガー液、及び等張の塩化ナトリウム溶液である。
【0180】
無菌の注射用製剤はまた、活性成分が油性相中に溶解されている、無菌の注射可能な水中油型マイクロエマルジョンでよい。例えば、活性成分を、まず、ダイズ油及びレシチンの混合物中に溶解してもよい。この油性溶液を、次に、水とグリセロールとの混合物中へ投入し、マイクロエマルジョンを生成するべく加工する。
【0181】
注射用の溶液又はマイクロエマルジョンは、局所ボーラス注射により、患者の血中へ投入してもよい。別法として、該溶液又はマイクロエマルジョンを、本発明化合物の一定の循環濃度を維持するような方法で、投与することが有利であってもよい。かかる一定濃度を維持するため、持続静脈内送達装置を利用してもよい。かかる装置の一例は、デルテック(Deltec)CADD−PLUS(登録商標)モデル5400静脈内ポンプである。
【0182】
医薬組成物は、筋肉内及び皮下投与用の、無菌の注射用水性又は油脂性懸濁液の形態でもよい。この懸濁液は、当該技術分野において周知の方法により、上記に列挙されてきた適当な分散又は湿潤剤及び懸濁化剤を用いて製剤してもよい。無菌の注射用製剤はまた、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液のような、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の、無菌の注射用溶液又は懸濁液であってもよい。さらに、無菌の固定油が、溶媒又は懸濁媒体として慣習的に使用される。この目的のためには、合成モノ−、又はジグリセリドを含む、任意の無刺激性の固定油を使用してもよい。さらに、オレイン酸のような脂肪酸は、注射用物質の調製において用途がある。
【0183】
式Iの化合物はまた、薬物の直腸投与用の坐剤の形態で投与してもよい。これらの組成物は、該薬物を、常温では固定であるが直腸温度では液体であり、それ故直腸内で融解して該薬物を放出することができる、適当な非刺激性の賦形剤と混合することにより調製し得る。かかる物質は、カカオバター、グリセリンゼラチン、硬化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物、及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルを包含する。
【0184】
局所使用には、式Iの化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液その他が使用される。(本出願では、局所適用はマウスウォッシュ及びうがい薬を含むものとする。)
【0185】
本発明化合物は、適当な鼻腔内ビヒクル及び送達装置の局所使用により鼻腔内型で、又は、当業者に周知の経皮パッチの形態のものを用いて経皮経路により、投与することができる。経皮送達系の形態において投与されるためには、用量投与は、もちろん、用法用量全体を通し、断続的であるよりもむしろ連続的となるであろう。本発明化合物はまた、基剤、例えば、カカオバター、グリセリンゼラチン、硬化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物、及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルを用いた、坐剤として送達してもよい。
【0186】
本発明による化合物が患者へ投与される場合、選択される用量レベルは、制限されることなく、特定の化合物の活性、個々の症状の重さ、投与経路、投与時間、化合物の排出速度、治療継続時間、併用して使用する他の薬物、化合物、及び/又は物質、及び、患者の年齢、性別、体重、症状、全身の健康、及び以前の病歴を含む、多様な因子に依存するであろう。化合物の量及び投与経路は、最終的には医師の自由裁量にあるが、一般に、用量は、実質的に危険又は有害な副作用を引き起こすことなく所望の効果を達成する局所濃度を、活性部位において達成するためのものであろう。
【0187】
インビボの投与は、1つの用量で、連続的に、又は断続的に(例えば、適当な間隔での分割用量で)治療のコース全体を通して達成することができる。最も有効な投与手段及び用量を決定するための方法は、当該技術分野において周知であり、療法に使用される製剤、療法の目的、治療されている標的細胞、及び治療されている患者によって異なるであろう。治療する医師によって選択される用量レベル及びパターンを用いて、単回又は複数回の投与を行うことができる。
【0188】
一般に、活性化合物の適当な用量は、1日当たり患者の体重1キログラムあたり、約100μgないし約250mgの範囲内にある。活性化合物が塩、エステル、プロドラッグなどの場合、投与する量は、親化合物を基準に計算され、それ故、使用するべき正確な重量は、比例して増やされる。
【0189】
本化合物はまた、抗癌剤又は化学療法薬との組合せにおいても有用である。
【0190】
本発明化合物は、癌治療用の化学増感剤及び放射線増感剤としても有用であってよい。それらは、癌の治療を事前に受けてきたか、又は現在受けている哺乳類の治療に有用である。かかる事前の治療は、事前の化学療法、放射線療法、外科手術、又は免疫療法、例えば癌ワクチンを包含する。
【0191】
したがって、本発明は、同時の、別々の、又は連続した投与のための、式Iの化合物と抗癌剤との組合せを提供する。
【0192】
本発明はまた、癌療法における補助剤としての使用のため、或いは、電離放射線又は化学療法剤を用いた治療に向けて腫瘍細胞を活性化するための、医薬の製造において使用するための、式Iの化合物を提供する。
【0193】
本発明はまた、化学療法又は放射線療法の方法であって、有効量の式Iの化合物、又は式Iの化合物を含んでなる組成物を、電離放射線又は化学療法薬と組合せて、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる方法も提供する。
【0194】
併用療法では、本発明化合物は、それを必要とする患者への、他の抗癌剤の投与の前(例えば、5分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間前)か、同時か、又は後(例えば、5分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間後)に、投与することができる。種々の実施態様において、本化合物及び他の抗癌剤は、1分間離して、10分間離して、30分間離して、1時間未満離して、1時間ないし2時間離して、2時間ないし3時間離して、3時間ないし4時間離して、4時間ないし5時間離して、5時間ないし6時間離して、6時間ないし7時間離して、7時間ないし8時間離して、8時間ないし9時間離して、9時間ないし10時間離して、10時間ないし11時間離して、11時間ないし12時間離して、24時間以上離さず、又は、48時間以上離さずに投与する。
【0195】
本発明化合物、及び他の抗癌剤は、相加的に、又は相乗的に作用し得る。本発明化合物と他の抗癌剤との相乗的組合せにより、これらの薬剤の一方又は双方の、より低い用量の使用、及び/又は、本化合物及び他の抗癌剤の一方又は双方の、より低い頻度の投与が可能となり、及び/又は、該薬剤をより低い頻度で投与することで、癌の治療において、薬剤の効果を低減することなく、患者への薬剤投与に付随するいかなる毒性も低減することができる。さらに、相乗効果は、これらの薬剤の改善した効果を癌治療において生ぜしめ、及び/又は、いずれかの薬剤の単独使用に付随するいかなる有害作用又は望ましくない副作用も低減するであろう。
【0196】
本発明化合物との併用使用のための、癌の薬剤又は化学療法剤の例は、デビータ(V.T.Devita)及びヘルマン(S.Hellman)共編による、「Cancer Principles and Practice of Oncology(癌の原理及び腫瘍学のプラクティス)」、第6版、リピンコット・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンス出版(Lippincott Williams&Wilkins Publishers)、2001年2月15日、において見出すことができる。当業者は、薬物及び関係する癌の、特定の性質に基づき、どの薬剤の組合せが有用であるかを識別することができるであろう。かかる抗癌剤は、制限されることなく以下を包含する:HDAC阻害剤、エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、レチノイド受容体モジュレータ、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤及び他の血管形成阻害剤、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、アポトーシス誘導剤、及び細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤。本化合物は、放射線療法と同時投与した場合、特に有用である。
【0197】
「HDAC阻害剤」の例は、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、LAQ824、LBH589、PXD101、MS275,FK228、バルプロ酸、酪酸、及びCI−994を包含する。
【0198】
「エストロゲン受容体モジュレータ」は、メカニズムにかかわらず、受容体へのエストロゲンの結合を妨害又は阻害する化合物を指す。エストロゲン受容体モジュレータの例は、制限されることなく、タモキシフェン、ラロキシフェン、ヨードキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノアート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニル−ヒドラゾン、及びSH646を包含する。
【0199】
「アンドロゲン受容体モジュレータ」は、メカニズムにかかわらず、受容体へのアンドロゲンの結合を妨害又は阻害する化合物を指す。アンドロゲン受容体モジュレータの例は、フィナステリド及び他の5α−レダクターゼ阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾール、及びアビラテロンアセテートを包含する。
【0200】
「レチノイド受容体モジュレータ」は、メカニズムにかかわらず、受容体へのレチノイドの結合を妨害又は阻害する化合物を指す。かかるレチノイド受容体モジュレータの例は、ベキサロテン、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、及びN−4−カルボキシフェニルレチンアミドを包含する。
【0201】
「細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤」は、主として細胞の機能化を直接妨害するか又は細胞有糸分裂を阻害若しくは妨害することにより、細胞死を引き起こすか又は細胞増殖を阻害する化合物を指し、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレーター、低酸素活性化化合物、微小管阻害剤/微小管安定化剤、有糸分裂キネシンの阻害剤、有糸分裂の進行に関与するキナーゼの阻害剤、代謝拮抗物質、生物応答調節剤;ホルモン/抗ホルモン治療剤、造血成長因子、モノクローナル抗体標的化治療剤、トポイソメラーゼ阻害剤、プロテオソーム阻害剤、及びユビキチンリガーゼ阻害剤を包含する。
【0202】
細胞傷害剤の例は、制限なされることなく、シクロホスファミド、クロランブシル カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、ブスルファン、トレオスルファン、セルテネフ、カケクチン、イフォスファミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニムスチン、ジブロモダルシトール、ラニムスチン、フォテムスチン、ネダプラチン、アロプラチン、オキザリプラチン、テモゾロミド、メタンスルホン酸メチル、プロカルバジン、ダカルバジン、ヘプタプラチン、エストラムスチン、インプロスルファントシラート、トロホスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム、プミテパ、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン、シスプラチン、イロフルベン、デキシホスファミド、シス−アミンジクロロ(2−メチル−ピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルホスファミド、GPX100、(トランス、トランス、トランス)−ビス−ミュー−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−ミュー−[ジアミン−白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロリド、ジアリジジニルスペルミン、三酸化ヒ素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビサントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド、バルルビシン、アムルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、アンチネオプラストン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アナマイシン、ガラルビシン、エリナフィド、MEN10755、及び4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニル−ダウノルビシン(WO00/50032参照)を包含する。
【0203】
1つの実施態様においては、本発明化合物はアルキル化剤と組合せて使用可能である。
【0204】
アルキル化剤の例は、制限されることなく、ナイトロジェンマスタード:シクロホスファミド、イフォスファミド、トロホスファミド、及びクロランブシル;ニトロソ尿素:カルムスチン(BCNU)及びロムスチン(CCNU);アルキルスルホナート:ブスルファン及びトレオスルファン;トリアゼン:ダカルバジン、プロカルバジン、及びテモゾロミド;白金含有錯体:シスプラチン、カルボプラチン、アロプラチン、及びオキサリプラチンを包含する。
【0205】
1つの実施態様においては、アルキル化剤は、ダカルバジンである。ダカルバジンは、約150mg/m2(患者の体表面積の)ないし約250mg/m2の範囲の用量で、患者に投与することができる。別の実施態様においては、ダカルバジンは、約150mg/m2ないし約250mg/m2の範囲の用量で、1日1回、連続5日間にわたり、患者に静脈内投与される。
【0206】
1つの実施態様においては、アルキル化剤は、プロカルバジンである。プロカルバジンは、約50mg/m2(患者の体表面積の)ないし約100mg/m2の範囲の用量で、患者に投与することができる。別の実施態様においては、プロカルバジンは、約50mg/m2ないし約100mg/m2の範囲の用量で、1日1回、連続5日間にわたり、患者に静脈内投与される。
【0207】
1つの実施態様においては、アルキル化剤は、テモゾロアミドである。テモゾロアミドは、約150mg/m2(患者の体表面積の)ないし約200mg/m2の範囲の用量で、患者に投与することができる。別の実施態様においては、テモゾロミドは、約150mg/m2ないし約200mg/m2の範囲の用量で、1日1回、連続5日間にわたり、動物に経口投与される。
【0208】
抗有糸分裂剤の例は、アロコルヒチン、ハリコンドリンB、コルヒチン、コルヒチン誘導体、ドラスタチン10、メイタンシン、リゾキシン、チオコルヒチン、及びトリチルシステインを包含する。
【0209】
低酸素活性化化合物の例は、チラパザミンである。
【0210】
プロテオソーム阻害剤の例は、制限されることなく、ラクタシスチン、ボルテゾミブ、エポキソミシン、及びペプチドアルデヒド、例えばMG132、MG115、及びPSIを包含する。
【0211】
微小管阻害剤/微小管安定化剤の例は、パクリタキセル、硫酸ビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキソール、リゾキシン、ドラスタチン、ミボブリンイセチオナート、アウリスタチン、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258、エポチロン(例えば米国特許第6,284,781及び6,288,237号参照)、及び、BMS188797を包含する。
【0212】
トポイソメラーゼ阻害剤のいくつかの例は、トポテカン、ハイカプタミン、イリノテカン、ルビテカン、エキサテカン、ジマテカン(gimetecan)、ジフロモテカン、シリル−カンプトテシン、9−アミノカンプトテシン、カンプトテシン、クリスナトール、マイトマイシンC、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソ−ベンジリデン−カルトロイシン、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:b,7]−インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ルルトテカン、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、エトポシドホスファート、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシ−エトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]−フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソキノリン−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−de]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オン、及び、ジメスナ;非カンプトテシントポイソメラーゼ−1阻害剤、例えばインドロカルバゾール;及びデュアルトポイソメラーゼ−I及びII阻害剤、例えばベンゾフェナジン、XR 20 115761MLN576、及びベンゾピリドインドールである。
【0213】
1つの実施態様においては、トポイソメラーゼ阻害剤は、イリノテカンである。イリノテカンは、約50mg/m2(患者の体表面積の)ないし約150mg/m2の範囲の用量で、患者に投与することができる。別の実施態様においては、イリノテカンは、患者に対し、1−5日目に、約50mg/m2ないし約150mg/m2の範囲の用量で、1日1回、連続5日間にわたり静脈内へ、次いで28−32日目に、約50mg/m2ないし約150mg/m2の範囲の用量で、1日1回、連続5日間にわたり再び静脈内へ、次に、55−59日目に、約50mg/m2ないし約150mg/m2の範囲の用量で、1日1回、連続5日間にわたり再度静脈内へ投与される。
【0214】
有糸分裂キネシン、及び特にヒト有糸分裂キネシンKSPの阻害剤の例は、PCT公開WO01/30768、WO01/98278、WO02/056880、WO03/050,064、WO03/050,122、WO03/049,527、WO03/049,679、WO03/049,678、WO03/039460、WO03/079973、WO03/099211、WO2004/039774、WO03/105855、WO03/106417、WO2004/087050、WO2004/058700、WO2004/058148、及びWO2004/037171、及び米国出願US 2004/132830、及びUS 2004/132719に記載されている。1つの実施態様においては、有糸分裂キネシンの阻害剤は、制限されることなく、KSPの阻害剤、MKLP1の阻害剤、CENP−Eの阻害剤、MCAKの阻害剤、Kif14の阻害剤、Mphosph1の阻害剤、及びRab6−KIFLの阻害剤を包含する。
【0215】
「有糸分裂の進行に関与するキナーゼの阻害剤」は、制限されることなく、オーロラキナーゼの阻害剤、ポロ様キナーゼの阻害剤(PLK;特にPLK−1の阻害剤)、bub−1の阻害剤、及びbub−R1の阻害剤を包含する。
【0216】
「抗増殖剤」は、アンチセンスRNA及びDNAオリゴヌクレオチド、例えばG3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231、及びINX3001;及び、代謝拮抗物質、例えばエノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキセート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクフォスファート、フォステアビン(fosteabine)ナトリウム水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド、エミテフール、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジンン、N−[5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノ−ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクチナサイジン、トロキサシタビン、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b][1,4]チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)−テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワインソニン、ロメトレキソール、デクスラゾキサン、メチオニナーゼ、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシン、及び3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾンを包含する。
【0217】
モノクローナル抗体標的化治療剤の例は、癌細胞特異又は標的細胞特異モノクローナル抗体へ結合された、細胞傷害剤又は放射性同位元素を有する治療剤を包含する。例は、ベクサールを包含する。
【0218】
「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼの阻害剤を指す。使用してもよいHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の例は、制限されることなく、ロバスタチン(メバコール(MEVACOR)(登録商標);米国特許第4,231,938、4,294,926、及び4,319,039号参照)、シンバスタチン(ゾコール(ZOCOR)(登録商標);米国特許第4,444,784、4,820,850、及び4,916,239号参照)、プラバスタチン(プラバコール(PRAVACHOL)(登録商標);米国特許第4,346,227、4,537,859、4,410,629、5,030,447、及び5,180,589号参照)、フルバスタチン(レスコール(LESCOL)(登録商標);米国特許第5,354,772、4,911,165、4,929,437、5,189,164、5,118,853、5,290,946、及び5,356,896号参照)、及びアトルバスタチン(リピトール(LIPITOR)(登録商標);米国特許第5,273,995、4,681,893、5,489,691、及び5,342,952号参照)を包含する。これらの、及び、本方法において使用してもよい付加的なHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の構造式は、ヤルパニ(M.Yalpani)著、「Cholesterol Lowering Drugs(コレステロール低下薬)」、ケミストリー・アンド・インダストリー(Chemistry&Industry)、1996年2月5日、p.85−89の第87頁、及び、米国特許第4,782,084及び4,885,314号に記載されている。本明細書で用いる場合、用語、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、全ての薬学的に許容されるラクトン及びオープン酸型(すなわち、ラクトン環が開裂されて遊離酸を生成する場合)、並びに、HMG−CoAレダクターゼ阻害活性を有する化合物の塩及びエステル型を包含し、それ故、かかる塩、エステル、オープン酸、及びラクトン型の使用は、本発明の範囲内に包含される。
【0219】
「プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤」は、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ(FPTアーゼ)、ゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼI型(GGPTアーゼ−I)、及び、ゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼII型(GGPTアーゼ−II、またRab GGPTアーゼとも呼ばれる)を含めた、プレニルタンパク質トランスフェラーゼ酵素の、任意の1つ又は任意の組合せを阻害する化合物を指す。
【0220】
プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤の例は、以下の刊行物及び特許に見出すことができる:WO96/30343、WO97/18813、WO97/21701、WO97/23478、WO97/38665、WO98/28980、WO98/29119、WO95/32987、米国特許第5,420,245号、米国特許第5,523,430号、米国特許第5,532,359号、米国特許第5,510,510号、米国特許第5,589,485号、米国特許第5,602,098号、欧州特許公開第0 618 221号、欧州特許公開第0 675 112号、欧州特許公開第0 604 181号、欧州特許公開第0 696 593号、WO94/19357、WO95/08542、WO95/11917、WO95/12612、WO95/12572、WO95/10514、米国特許第5,661,152号、WO95/10515、WO95/10516、WO95/24612、WO95/34535、WO95/25086、WO96/05529、WO96/06138、WO96/06193、WO96/16443、WO96/21701、WO96/21456、WO96/22278、WO96/24611、WO96/24612、WO96/05168、WO96/05169、WO96/00736、米国特許第5,571,792号、WO96/17861、WO96/33159、WO96/34850、WO96/34851、WO96/30017、WO96/30018、WO96/30362、WO96/30363、WO96/31111、WO96/31477、WO96/31478、WO96/31501、WO97/00252、WO97/03047、WO97/03050、WO97/04785、WO97/02920、WO97/17070、WO97/23478、WO97/26246、WO97/30053、WO97/44350、WO98/02436、及び米国特許第5,532,359号。血管新生に対するプレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤の役割の1つの例については、「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・キャンサー(European J.of Cancer)」、1999年、第35巻、第9号、p.1394−1401参照。
【0221】
「血管新生阻害剤」は、メカニズムにかかわらず、新たな血管の形成を阻害する化合物を指す。血管新生阻害剤の例は、制限されることなく、チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、チロシンキナーゼ受容体Flt−1(VEGFR1)及びFlk−1/KDR(VEGFR2)の阻害剤、上皮由来、線維芽細胞由来、又は血小板由来の成長因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリン阻害剤、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサン多硫酸塩、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(アスピリン及びイブプロフェンのような、非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、並びに、セレコキシブ及びロフェコキシブのような、選択的シクロオキシ−ゲナーゼ−2阻害剤を含む)(「PNAS」、1992年、第89巻、p.7384;「ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャンサー・インスチチュート(JNCI)」、1982年、第69巻、p.475;「アーカイブズ・オブ・オフサルモロジー(Arch.Opthalmol.)」、1990年、第108巻、p.573;「ディ・アナトミカル・レコード(Anat.Rec.)」、1994年、第238巻、p.68;「フェブス・レターズ(FEBS Letters)」、1995年、第372巻、p.83;「クリニカル・オルソペディックス(Clin.Orthop.)」、1995年、第313巻、p.76;「ジャーナル・オブ・モレキュラー・エンドクリノロジー(J.Mol.Endocrinol.)」、1996年、第16巻、p.107;「ザ・ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Jpn.J.Pharmacol.)」、1997年、第75巻、p.105;「Cancer Res.」、1997年、第57巻、p.1625;「Cell」、1998年、第93巻、p.705;「インターナショナル・ジャーナル・オブ・モレキュラー・メディズン(Intl.J.Mol.Med.)」、1998年、第2巻、p.715;「ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)」、1999年、第274巻、p.9116)、ステロイド系抗炎症剤(例えばコルチコステロイド、ミネラルコルチコイド、デキサメタゾン、プレドニソン、プレドニソロン、メチルプレド、ベタメタゾン)、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、(6−O−クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、アンギオテンシンIIアンタゴニスト(「ザ・ジャーナル・オブ・ラボラトリー・アンド・クリニカル・メディスン(J.Lab.Clin.Med.)」、1985年、第105巻、p.141−145参照)、及びVEGFに対する抗体(「ネイチャー・バイオテクノロジー(Nature Biotechnology)」、1999年、第17巻、p.963−968;キム(Kim)ら著、「Nature」、1993年、第362巻、p.841−844;WO00/44777;及び、WO00/61186参照)を包含する。
【0222】
血管新生を調節又は阻害し、かつ本発明化合物と組合せて使用してもよい他の治療剤は、凝固及び線溶系を調節又は阻害する薬剤を包含する(「クリニカル・ケミストリー・アンド・ラボラトリー・メディスン(Clin.Chem.La.Med.)」、2000年、第38巻、p.679−692の総説を参照)。凝固及び線溶経路を調節又は阻害する、かかる薬剤の例は、制限されることなく、ヘパリン(「トロンボーシス・アンド・ヘモスタシス(Thromb.Haemost.)」、1998年、第80巻、p.10−23)、低分子ヘパリン、及びカルボキシペプチダーゼU阻害剤(活性型のトロンビン活性化線溶抑制因子[TAFIa]の阻害剤としても公知)(「トロンボーシス・リサーチ(Thrombosis Res.)」、2001年、第101巻、p.329−354参照)を包含する。TAFIa阻害剤は、PCT公開WO03/013,526、及び米国特許出願番号60/349,925号(2002年1月18日出願)に記載されている。
【0223】
「細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤」は、細胞周期チェックポイントシグナルを変換するプロテインキナーゼを阻害し、それにより癌細胞をDNA損傷剤に対し感受性化する化合物を指す。かかる薬剤は、ATR、ATM、Chk1及びChk2キナーゼの阻害剤、及び、cdk及びcdcキナーゼ阻害剤を包含し、特に、7−ヒドロキシスタウロスポリン、スタウロスポリン、フラボピリドール、CYC202(サイクラセル(Cyclacel))、及びBMS−387032に例示される。
【0224】
「細胞増殖及び生存シグナリング経路の阻害剤」は、細胞表面受容体と、これらの表面受容体の下流のシグナル伝達カスケードとを阻害する薬剤を指す。かかる薬剤は、EGFRの阻害剤(例えばゲフィチニブ及びエルロチニブ)、ERB−2の阻害剤(例えばトラツズマブ)、IGFRの阻害剤(例えばWO03/059951に開示されたもの)、サイトカイン受容体の阻害剤、METの阻害剤、PI3Kの阻害剤(例えばLY294002)、セリン/スレオニンキナーゼ(制限されることなく、Aktの阻害剤、例えば(WO03/086404、WO03/086403、WO03/086394、WO03/086279、WO02/083675、WO02/083139、WO02/083140、及びWO02/083138に開示されたものを包含する)、Rafキナーゼの阻害剤(例えばBAY−43−9006)、MEKの阻害剤(例えば、CI−1040及びPD−098059)、及びmTORの阻害剤(例えばワイス(Wyeth)CCI−779及びアリアド(Ariad)AP23573)を包含する。かかる薬剤は、低分子阻害剤化合物及び、抗体アンタゴニストを包含する。
【0225】
「アポトーシス誘導剤」は、TNF受容体ファミリーメンバー(TRAIL受容体を含む)の活性化剤を包含する。
【0226】
本発明化合物はまた、以下の治療剤の任意の1つ以上との併用において、癌を治療するために有用である:アバレリックス(プレナキシス・デポ(Plenaxis depot)(登録商標));アルデスロイキン(プロカイン(Prokine)(登録商標));アルデスロイキン(プロロイキン(Proleukin)(登録商標));アレムツズマブ(キャンパス(Campath)(登録商標));アリトレチノイン(パンレチン(Panretin)(登録商標));アロプリノール(ザイロプリム(Zyloprim)(登録商標));アルトレタミン(ヘキサレン(Hexalen)(登録商標));アミフォスチン(エチヨル(Ethyol)(登録商標));アナストロゾール(アリミデックス(Arimidex)(登録商標));三酸化ヒ素(トリセノックス(Trisenox)(登録商標));アスパラギナーゼ(エルスパル(Elspar)(登録商標));アザシチジン(ビダザ(Vidaza)(登録商標));ベバシズマブ(アバスチン(Avastin)(登録商標));ベキサロテン・カプセル(タルグレチン(Targretin)(登録商標));ベキサロテン・ゲル(タルグレチン(Targretin)(登録商標));ブレオマイシン(ブレノキサン(Blenoxane)(登録商標));ボルテゾミブ(ベルケード(Velcade)(登録商標));ブスルファン・静脈内(ブスルフェックス(Busulfex)(登録商標));ブスルファン・経口(マイレラン(Myleran)(登録商標));カルステロン(メトサーブ(Methosarb)(登録商標));カペシタビン(ゼローダ(Xeloda)(登録商標));カルボプラチン(パラプラチン(Paraplatin)(登録商標));カルムスチン(BCNU(登録商標)、BiCNU(登録商標));カルムスチン(グリアデル(Gliadel)(登録商標));インプラント型ポリフェプロサン20カルムスチン(グリアデル・ウエファー(Gliadel Wafer)(登録商標));セレコキシブ(セレブレックス((Celebex)(登録商標));セツキシマブ(アービタックス(Erbitux)(登録商標));クロランブシル(ロイケラン(Leukeran)(登録商標));シスプラチン(プラチノール(Platinol)(登録商標));クラドリビン(ロイスタチン(Leustatin)(登録商標)、2−CdA(登録商標));クロファラビン(クロラール(Clolar)(登録商標));シクロホスファミド(サイトキサン(Cytoxan)(登録商標)、ネオサール(Neosar)(登録商標));シクロホスファミド(サイトキサン注射薬(Cytoxan Injection)(登録商標));シクロホスファミド(サイトキサン・タブレット(Cytoxan Tablet)(登録商標));シタラビン(サイトサール−U(Cytosar−U)(登録商標));リポソーム化シタラビン(DepoCyt(登録商標));ダカルバジン(DTIC−Dome(登録商標));ダクチノマイシン、アクチノマイシンD(コスメゲン(Cosmegen)(登録商標));ダルベポエチン・アルファ(アラネスプ(Arnesp)(登録商標));リポソーム化ダウノルビシン(DanuoXome(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(ダウノルビシン(Daunorubicin)(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(セルビジン(Cerbidine)(登録商標));デニロイキン・ディフィトックス(オンタック(Ontak)(登録商標));デクスラゾキサン(ザインカード(Zinecard)(登録商標));ドセタキセル(タキソテール(Taxotere)(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシンPFS(Adriamycin PFS)(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシン(Adriamycin)(登録商標)、ルベックス(Rubex)(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシンPFS注射薬(Adriamycin PFS Injection)(登録商標));リポソーム化ドキソルビシン(ドキシル(Doxil)(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(ドロモスタノロン(Dromostanolone)(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(マステロン注射薬(Masterone Injection)(登録商標));エリオットのB溶液(エリオットのB溶液(Elliott’s B Solution)(登録商標));エピルビシン(エレンス(Ellence)(登録商標));エポエチン・アルファ(エポジェン(epogen)(登録商標));エルロチニブ(タルセバ(Tarceva)(登録商標));エストラムスチン(Emcyt(登録商標));エトポシドリン酸塩(エトポフォス(Etopophos)(登録商標));エトポシド、VP−16(ベペシド(Vepesid)(登録商標));エキセメスタン(アロマシン(Aromasin)(登録商標));フィルグラスチム(ノイポゲン(Neupogen)(登録商標));フロクスウリジン(動脈内)(FUDR(登録商標));フルダラビン(フルダラ(Fludara)(登録商標));フルオロウラシル、5−FU(アドルシル(Adrucil)(登録商標));フルベストラント(ファスロデックス(Faslodex)(登録商標));ゲフィチニブ(イレッサ(Iressa)(登録商標));ゲムシタビン(ゲムザール(Gemzar)(登録商標));ゲムツズマブ・オゾガマイシン(マイロターグ(Mylotarg)(登録商標));ゴセレリン酢酸塩(ゾラデックス・インプラント(Zoladex Implant)(登録商標));ゴセレリン酢酸塩(ゾラデックス(Zoladex)(登録商標));ヒストレリン酢酸塩(ヒストレリン・インプラント(Histrelin implant)(登録商標));ヒドロキシウレア(ハイドレア(Hydrea)(登録商標));イブリツモマブ・チウキセタン(ゼヴァリン(Zevalin)(登録商標));イダルビシン(イダマイシン(Idamycin)(登録商標));イフォスファミド(IFEX(登録商標));イマチニブメシル酸塩(グリベック(Gleevec)(登録商標));インターフェロンアルファ2a(ロフェロンA(Roferon A)(登録商標));インターフェロンアルファ−2b(イントロンA(Intron A)(登録商標));イリノテカン(カンプトサール(Camptosar)(登録商標));レナリドマイド(レブリミド(Revlimid)(登録商標));レトロゾール(フェマーラ(Femara)(登録商標));ロイコボリン(ウェルコボリン(Wellcovorin)(登録商標)、ロイコボリン(Leucovorin)(登録商標));酢酸ロイプロリド(エリガード(Eligard)(登録商標));レバミソール(エルガミゾール(Ergamisol)(登録商標));ロムスチン、CCNU(CeeBU(登録商標));メクロレタミン、ナイトロジェンマスタード(マスタルゲン(Mustargen)(登録商標));酢酸メゲストロール(メゲース(Megace)(登録商標));メルファラン、L−PAM(アルケラン(Alkeran)(登録商標));メルカプトプリン、6−MP(プリネトール(Purinethol)(登録商標));メスナ(メスネックス(Mesnex)(登録商標));メスナ(メスネックス錠(Mesnex tabs)(登録商標));メトトレキサート(メトトレキセート(Methotrexate)(登録商標));メトキサレン(ウヴァデクス(Uvadex)(登録商標));マイトマイシンC(ミュータマイシン(Mutamycin)(登録商標));ミトタン(リソドレン(Lysodren)(登録商標));ミトキサントロン(ノバントロン(Novantrone)(登録商標));フェンプロピオン酸ナンドロロン(デュラボリン−50(Durabolin−50)(登録商標));ネララビン(アラノン(Arranon)(登録商標));ノフェツモマブ(ヴァールマ(Verluma)(登録商標));オプレルベキン(ニューメガ(Neumega)(登録商標));オキサリプラチン(エロキサチン(Eloxatin)(登録商標));パクリタキセル(パクセン(Paxene)(登録商標));パクリタキセル(タキソール(Taxol)(登録商標));パクリタキセル・タンパク質結合粒子(アブラキサン(Abraxane)(登録商標));パリフェルミン(ケピバンス(Kepivance)(登録商標));パミドロネート(アレディア(Aredia)(登録商標));ペグアデマーゼ(アダジェン(Adagen)(ウシ・ペグアデマーゼ(Pegademase Bovine))(登録商標));ペグアスパラガーゼ(オンキャスパー(Oncaspar)(登録商標));ペグフィルグラスチム(ニューラスタ(Neulasta)(登録商標));ペメトレキセド2ナトリウム(アリムタ(Alimta)(登録商標));ペントスタチン(ナイペント(Nipent)(登録商標));ピポブロマン(バーサイト(Vercyte)(登録商標));プリカマイシン、ミトラマイシン(ミトラシン(Mythracin)(登録商標));ポルフィマー・ナトリウム(フォトフリン(Photofrin)(登録商標));プロカルバジン(マツラン(Matulane)(登録商標));キナクリン(アタブリン(Atabrine)(登録商標));ラスブリカーゼ(エリテック(Elitek)(登録商標));リツキシマブ(リツキサン(Rituxan)(登録商標));サルグラモスチン(リューカイン(Leukine)(登録商標));サルグラモスチン(プロカイン(Prokine)(登録商標));ソラフェニブ(ネクサバール(Nexavar)(登録商標));ストレプトゾシン(ザノサール(Zanosar)(登録商標));スニチニブ・マレイン酸塩(スーテント(Sutent)(登録商標));タルク(スクレロゾール(Sclerosol)(登録商標));タモキシフェン(ノルバデックス(Nolvadex)(登録商標));テモゾロミド(テモダール(Temodar)(登録商標));テニポシド、VM−26(ヴァモン(Vumon)(登録商標));テストラクトン(テスラク(Teslac)(登録商標));チオグアニン、6−TG(チオグアニン(Thioguanine)(登録商標));チオテパ(チオプレックス(Thioplex)(登録商標));トポテカン(ハイカムチン(Hycamtin)(登録商標));トレミフェン(フェアストン(Fareston)(登録商標));トシツモマブ(ベキサール(Bexxar)(登録商標));トシツモマブ/I−131 トシツモマブ(ベキサール(Bexxar)(登録商標));トラツズマブ(ハーセプチン(Herceptin)(登録商標));トレチノイン、ATRA(ベサノイド(Vesanoid)(登録商標));ウラシル・マスタード(ウラシル・マスタード・カプセル(Uracil Mustard Capsules)(登録商標));バルルビシン(バルスター(Valstar)(登録商標));ビンブラスチン(ベルバン(Velban)(登録商標));ビンクリスチン(オンコビン(Oncovin)(登録商標));ビノレルビン(ナベルビン(Navelbine)(登録商標));ボリノスタット(ゾリンザ(Zolinza)(登録商標));ゾレドロネート(ゾメタ(Zometa)(登録商標));ニロチニブ(タシグナ(Tasigna(登録商標))、及びダサチニブ(スプリセル(Sprycel)(登録商標))。
【0227】
本発明はまた、選択的なCOX−2阻害剤である、NSAIDとの併用も包含する。本明細書では、選択的COX−2阻害剤であるNSAIDは、細胞又はミクロソームアッセイにより評価される、COX−1のIC50に対するCOX−2のIC50の比率によって測定されるとき、少なくとも100倍の、COX−1に対するCOX−2阻害特異性を有するものとして定義される。かかる化合物は、制限されることなく、米国特許5,474,995、米国特許5,861,419、米国特許6,001,843、米国特許6,020,343、米国特許5,409,944、米国特許5,436,265、米国特許5,536,752、米国特許5,550,142、米国特許5,604,260、米国特許5,698,584、米国特許5,710,140、WO94/15932、米国特許5,344,991、米国特許5,134,142、米国特許5,380,738、米国特許5,393,790、米国特許5,466,823、米国特許5,633,272、及び米国特許5,932,598に開示されているものを包含し、これらは全て、参考として本明細書に含まれる。
【0228】
本治療法において特に有用であるCOX−2の阻害剤は、5−クロロ−3−(4−メチルスルホニル)フェニル−2−(2−メチル−5−ピリジニル)ピリジン;又は、その薬学的に許容される塩である。
【0229】
COX−2の特異的阻害剤として記載されてきており、それ故本発明において有用である化合物は、制限されることなく、パレコキシブ、セレブレックス(CELEBREX(登録商標))及びベクストラ(BEXTRA(登録商標))、又はその薬学的に許容される塩を包含する。
【0230】
血管形成阻害剤の他の例は、制限されることなく、エンドスタチン、ウクライン、ランピルナーゼ、IM862、5−メトキシ−4−[2−メチル−3−(3−メチル−2−ブテニル)オキシラニル]−1−オキサスピロ[2,5]オクト−6−イル(クロロアセチル)カルバメート、アセチルジナナリン(acetyldinanaline)、5−アミノ−1−[[3,5−ジクロロ−4−(4−クロロベンゾイル)フェニル]メチル]−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド、CM101、スクワラミン、コンブレタスタチン、RPI4610、NX31838、硫酸化マンノペンタオースホスファート、7,7−(カルボニル−ビス[イミノ−N−メチル−4,2−ピロロカルボニルイミノ[N−メチル−4,2−ピロール]−カルボニルイミノ]−ビス−(1,3−ナフタレンジスルホナート)、及び、3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチレン]−2−インドリノン(SU5416)を包含する。
【0231】
前記に使用されたように、「インテグリン阻害剤」は、生理的リガンドの、αβインテグリンへの結合を選択的に拮抗するか、阻害するか、又は反対に作用する化合物;生理的リガンドの、αβインテグリンへの結合を選択的に拮抗するか、阻害するか、又は反対に作用する化合物;生理的リガンドの、αβインテグリン及びαβインテグリン双方への結合を拮抗するか、阻害するか、又は反対に作用する化合物;及び、毛細血管内皮細胞上に発現された特定のインテグリンの活性を拮抗するか、阻害するか、又は反対に作用する化合物を指す。当該用語はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、及びαβインテグリンのアンタゴニストも指す。当該用語はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、及びαβインテグリンの任意の組合せのアンタゴニストも指す。
【0232】
チロシンキナーゼ阻害剤のいくつかの具体的な例は、N−(トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミド、3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]インドリン−2−オン、17−(アリルアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシン、4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−メトキシ−6−[3−(4−モルホリニル)プロポキシル]キナゾリン、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンアミン、BIBX1382、2,3,9,10,11,12−ヘキサヒドロ−10−(ヒドロキシメチル)−10−ヒドロキシ−9−メチル−9,12−エポキシ−1H−ジインドロ[1,2,3−fg:3’,2’,1’−kl]ピロロ[3,4−i][1,6]ベンゾジアゾシン−1−オン、SH268、ゲニステイン、STI571、CEP2563、4−(3−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジメチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンメタンスルホナート、4−(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、4−(4’−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、SU6668、STI571A、N−4−クロロフェニル−4−(4−ピリジルメチル)−1−フタラジンアミン、及びEMD121974を包含する。
【0233】
1つの実施態様においては、本発明化合物は、選択的N3−アデニンメチル化剤、例えばMeOSO(CH)−レキシトロプシン(Me−Lex)により誘導される壊死の出現を、治療又は予防するために有用である。
【0234】
抗癌化合物以外の化合物との併用もまた、本方法に包含される。例えば、本願にクレームされた化合物と、PPAR−γ(すなわち、PPAR−ガンマ)アゴニスト及びPPAR−δ(すなわち、PPAR−デルタ)アゴニストとの併用は、特定の悪性疾患の治療において有用である。PPAR−γ及びPPAR−δは、核のペルオキシゾーム増殖剤活性化受容体γ及びδである。PPAR−γの、内皮細胞上での発現、及びその血管新生における関与は、文献に報告されている(「ジャーナル・オブ・カルディオバスキュラー・ファーマコロジー(J.Cardiovasc.Pharmacol.)」、1998年、第31巻、p.909−913;「ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)」、1999年、第274巻、p.9116−9121;「インベスティゲイティブ・オフサルモロジー・アンド・ビジュアル・サイエンス(Invest.Ophthalmol Vis.Sci.)」、2000年、第41巻、p.2309−2317参照)。より最近では、PPAR−γアゴニストが、VEGFに対する血管新生応答をインビトロで阻害することが開示されている;トログリタゾン及びマレイン酸ロシグリタゾンの双方は、マウスにおいて、網膜血管新生の発生を阻害する(「Arch Ophthamol」、2001年、第119巻、p.709−717)。PPAR−γアゴニスト及びPPAR−γ/αアゴニストの例は、制限されることなく、チアゾリジンジオン(例えばDRF2725、CS−011、トログリタゾン、ロシグリタゾン、及びピオグリタゾン)、フェノフィブラート、ゲンフィブロジル、クロフィブラート、GW2570、SB219994、AR−H039242、JTT−501、MCC−555、GW2331、GW409544、NN2344、KRP297、NP0110、DRF4158、NN622、GI262570、PNU182716、DRF552926、2−[(5,7−ジプロピル−3−トリフルオロメチル−1,2−ベンゾイソオキサゾール−6−イル)オキシ]−2−メチルプロピオン酸(USSN 09/782,856に開示)、及び2(R)−7−(3−(2−クロロ−4−(4−フルオロフェノキシ)フェノキシ)プロポキシ)−2−エチルクロマン−2−カルボン酸(USSN 60/235,708及び60/244,697に開示)を包含する。
【0235】
本発明の別の実施態様は、癌の治療のための、抗ウイルス剤(例えば、ガンシクロビルを含むヌクレオシド類似体)と組合せた本明細書に示された化合物の使用である。WO98/04290参照。
【0236】
本発明の別の実施態様は、癌の治療のための、遺伝子療法と組合せた本開示化合物の使用である。癌を治療するための遺伝学的戦略の概要に関しては、ホール(Hall)ら(「アメリカン・ジャーナル・オブ・ヒューマン・ジェネティクス(Am.J.Hum,Genet.)」、1997年、第61巻、p.785−789)、及びクーフェ(Kufe)ら(「Cancer Medicine(癌医療)」、第5版、BCデッカー(Decker)、ハミルトン、2000年、p.876−889)を参照のこと。遺伝子療法を用いて、任意の腫瘍抑制遺伝子を送達することができる。かかる遺伝子の例は、制限されることなく、組換えウイルス媒介性の遺伝子導入により送達可能であるp53(例えば、米国特許第6,069,134号参照)、uPA/uPARアンタゴニスト(「Adenovirus−Mediated Delivery of a uPA/uPAR Antagonist Suppresses Angiogenesis−Dependent Tumor Growth and Dissemination in Mice(uPA/uPARアンタゴニストのアデノウイルス媒介送達は、血管新生依存性の腫瘍増殖及び播種をマウスにおいて抑制する)」、ジーン・セラピー(Gene Therapy)、1998年8月、第5巻、第8号、p.1105−13)、及びインターフェロンガンマ(「ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immunol.)」、2000年、第164巻、p.217−222)を包含する。
【0237】
本発明化合物はまた、生来多剤耐性(MDR)、特に、トランスポータ−タンパク質の高レベルの発現に関与しているMDR、の阻害剤と併用して投与してもよい。かかるMDR阻害剤は、p−糖タンパク質(P−gp)の阻害剤、例えばLY335979、XR9576、OC144−093、R101922、VX853、ベラパミル、及びPSC833(バルスポダール)を包含する。
【0238】
本発明化合物を、抗嘔吐剤と一緒に使用して、本発明化合物の、単独での、又は放射線療法との使用の結果として生じるかもしれない、急性、遅発性、遅延相、及び予測性嘔吐を含めた、悪心又は嘔吐を治療してもよい。嘔吐の予防又は治療のためには、本発明化合物を、他の抗嘔吐剤、特に、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト;5HT3受容体アンタゴニスト、例えばオンダンセトロン、グラニセトロン、トロピセトロン、及びザチセトロン;GABA受容体アゴニスト、例えばバクロフェン;コルチコステロイド、例えばデカドロン(Decadron)(デキサメタゾン)、ケナログ(Kenalog)、アリストコート(Aristocort)、ナサライド(Nasalide)、プレフェリド(Preferid)、ベネコルテン(Benecorten)、又は他の、米国特許第2,789,118、2,990,401、3,048,581、3,126,375、3,929,768、3,996,359、3,928,326、及び3,749,712号に開示されたもの;抗ドーパミン作動薬、例えばフェノチアジン類(例えばプロクロペラジン、フルフェナジン、チオリダジン、及びメソリダジン)、メトクロプラマイド、又はドロナビノールと一緒に使用しもよい。1つの実施態様においては、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、5HT3受容体アンタゴニスト、及びコルチコステロイドから選択される抗嘔吐剤が、本化合物の投与の結果として生じるかもしれない嘔吐の治療又は予防のためのアジュバントとして投与される。
【0239】
本発明化合物との併用使用のためのニューロキニン−1受容体アンタゴニストは、例えば、米国特許第5,162,339、5,232,929、5,242,930、5,373,003、5,387,595、5,459,270、5,494,926、5,496,833、5,637,699、5,719,147号;欧州特許公開番号EP 0 360 390、0 394 989、0 428 434、0 429 366、0 430 771、0 436 334、0 443 132、0 482 539、0 498 069、0 499 313、0 512 901、0 512 902、0 514 273、0 514 274、0 514 275、0 514 276、0 515 681、0 517 589、0 520 555、0 522 808、0 528 495、0 532 456、0 533 280、0 536 817、0 545 478、0 558 156、0 577 394、0 585 913、0 590 512、0 599 538、0 610 793、0 634 402、0 686 629、0 693 489、0 694 535、0 699 655、0 699 674、0 707 006、0 708 101、0 709 375、0 709 376、0 714 891、0 723 959、0 733 632、及び0 776 893;PCT国際特許公開番号WO90/05525、90/05729、91/09844、91/18899、92/01688、92/06079、92/12151、92/15585、92/17449、92/20661、92/20676、92/21677、92/22569、93/00330、93/00331、93/01159、93/01165、93/01169、93/01170、93/06099、93/09116、93/10073、93/14084、93/14113、93/18023、93/19064、93/21155、93/21181、93/23380、93/24465、94/00440、94/01402、94/02461、94/02595、94/03429、94/03445、94/04494、94/04496、94/05625、94/07843、94/08997、94/10165、94/10167、94/10168、94/10170、94/11368、94/13639、94/13663、94/14767、94/15903、94/19320、94/19323、94/20500、94/26735、94/26740、94/29309、95/02595、95/04040、95/04042、95/06645、95/07886、95/07908、95/08549、95/11880、95/14017、95/15311、95/16679、95/17382、95/18124、95/18129、95/19344、95/20575、95/21819、95/22525、95/23798、95/26338、95/28418、95/30674、95/30687、95/33744、96/05181、96/05193、96/05203、96/06094、96/07649、96/10562、96/16939、96/18643、96/20197、96/21661、96/29304、96/29317、96/29326、96/29328、96/31214、96/32385、96/37489、97/01553、97/01554、97/03066、97/08144、97/14671、97/17362、97/18206、97/19084、97/19942、及び97/21702;及び英国特許公開番号2 266 529、2 268 931、2 269 170、2 269 590、2 271 774、2 292 144、2 293 168、2 293 169、及び2 302 689に充分に記載されている。かかる化合物の調製は、参考として本明細書に含まれる、上記特許及び刊行物において充分に記載されている。
【0240】
1つの実施態様においては、本発明化合物との併用使用のためのニューロキニン−1受容体アンタゴニストは、2−(R)−(1−(R)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)−3−(S)−(4−フルオロフェニル)−4−(3−(5−オキソ−1H,4H−1,2,4−トリアゾロ)メチル)モルホリン、又は、その薬学的に許容される塩から選ばれ、それは、米国特許第5,719,147号に記載されている。
【0241】
本発明化合物はまた、貧血症の治療において有用な薬剤とともに投与してもよい。かかる貧血症治療剤は、例えば、持続性の赤血球形成受容体活性化剤(例えばエポエチン・アルファ)である。
【0242】
本発明化合物はまた、好中球減少症の治療において有用な薬剤とともに投与してもよい。かかる好中球減少症治療剤は、例えば、ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)のような、好中球の産生及び機能を調節する造血成長因子である。G−CSFの例は、フィルグラスチムを包含する。
【0243】
本発明化合物はまた、レバミソール、イソプリノシン、及びザダキシン(Zadaxin)といった、免疫強化薬とともに投与してもよい。
【0244】
本発明化合物はまた、ビスホスホネート(ビスホスホネート、ジホスホネート、ビスホスホン酸、及びジホスホン酸を包含するべく理解される)と併用して、骨癌を含む癌の治療又は予防のために有用であってよい。ビホスホネートの例は、制限されることなく:エチドロネート(ダイドロネル(Didronel))、パミドロネート(アレディア(Aredia))、アレンドロネート(フォサマックス(Fosamax))、リセドロネート(アクトネル(Actonel))、ゾレドロネート(ゾメタ(Zometa))、イバンドロネート(ボニバ(Boniva))、インカドロネート又はシマドロネート、クロドロネート、EB−1053、ミノドロネート、ネリドロネート、ピリドロネート、及びチルドロネートを包含し、任意の及び全ての、その薬学的に許容される塩、誘導体、水和物、及び混合物を包含する。
【0245】
したがって、本発明の範囲は、本願にクレームされた化合物の、電離放射線との併用、及び/又は、HDAC阻害剤、エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、レチノイド受容体モジュレータ、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、血管新生阻害剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、抗ウイルス剤、生来多剤耐性の阻害剤、抗嘔吐薬、貧血症の治療に有用な薬剤、好中球減少症の治療に有用な薬剤、免疫強化薬、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤、アポトーシス誘導薬、及びビスホスホネートから選択される、第2の化合物との併用における使用を包含する。
【0246】
本発明化合物に関し、用語「投与」及びその変形(例えば、化合物を「投与すること」)は、該化合物又は該化合物のプロドラッグを、治療を必要とする動物の系内へ投入することを意味する。本発明化合物又はそのプロドラッグを、1つ以上の他の活性薬剤(例えば、細胞傷害剤など)と組合せて供する場合、「投与」及びその変形は、各々、該化合物又はそのプロドラッグと他の薬剤との、同時の、及び連続した投入を包含することが理解される。
【0247】
本明細書で用いる場合、用語「組成物」は、指定された量の指定された成分を含んでなる生成物、並びに指定された量の指定された成分の組合せから結果として直接又は間接的に生じる任意の生成物を包含することが意図される。
【0248】
用語「治療有効量」は、本明細書で用いる場合、組織、系、動物、又はヒトにおいて、研究者、獣医師、医師、又は他の臨床家によって求められている生物学的又は医学的応答を誘発する、活性化合物又は医薬品の量を意味する。
【0249】
用語「治療」は、病的症状に苦しんでいる哺乳類の治療を指し、かつ、癌性細胞を殺すことにより該症状を軽減する効果を指すが、また症状の進行の阻害の結果として生じる効果も指し、そして進行速度の減少、進行速度の停止、症状の改善、及び症状の回復を包含する。予防的措置としての治療(すなわち予防)もまた包含される。
【0250】
用語「薬学的に許容される」は、本明細書において使用される場合、安全な医学的判断の範囲内にあり、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、又は他の問題又は合併症なく患者(例えばヒト)の組織との接触使用に適し、妥当な便益/リスク比に相応する、化合物、材料、組成物、及び/又は剤形に関する。各担体、賦形剤その他もまた、製剤の他の成分と適合性であるという意味で「許容される」べきである。
【0251】
用語「補助剤」は、化合物を、既知の治療手段と一緒に使用することに関連する。かかる手段は、種々の癌タイプの治療において使用されるような、細胞毒性の薬物体制及び/又は電離放射線を包含する。特に、活性化合物は、癌の治療において使用される、トポイソメラーゼクラスの毒素(例えば、トポテカン、イリノテカン、ルビテカン)、殆どの既知のアルキル化剤(例えば、DTIC、テモゾラミド)、及び白金を主成分とする薬剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン)を包含する、数多くの癌化学療法処置の作用を強化することが知られている。
【0252】
1つの実施態様においては、第2の化合物として使用されるべき血管新生阻害剤は、
チロシンキナーゼ阻害剤、上皮由来の成長因子の阻害剤、線維芽細胞由来の成長因子の阻害剤、血小板由来の成長因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリン阻害剤、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサン多硫酸塩、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、又はVEGFに対する抗体から選択される。1つの実施態様においては、エストロゲン受容体モジュレータは、タモキシフェン又はラロキシフェンである。
【0253】
また本クレームの範囲に含まれるのは、癌を治療する方法であって、式Iの化合物の治療有効量を、放射線療法と組合せて、及び/又は、HDAC阻害剤、エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、レチノイド受容体モジュレータ、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、血管新生阻害剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、抗ウイルス剤、生来多剤耐性の阻害剤、抗嘔吐薬、貧血症の治療に有用な薬剤、好中球減少症の治療に有用な薬剤、免疫強化薬、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤、アポトーシス誘導薬、及びビスホスホネートから選ばれる化合物、と組合せて投与することを含んでなる該方法である。
【0254】
そして本発明のなお別の実施態様は、式Iの化合物の治療有効量を、パクリタキセル又はトラツズマブと組合せて投与することを含んでなる、癌を治療する方法である。
【0255】
本発明はさらに、式Iの化合物の治療有効量を、COX−2阻害剤と組合せて投与することを含んでなる、癌を治療又は予防する方法を包含する。
【0256】
本発明はまた、癌を治療又は予防するために有用な医薬組成物であって、治療有効量の式Iの化合物と、HDAC阻害剤、エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、レチノイド受容体モジュレータ、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生阻害剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、抗ウイルス剤、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤、アポトーシス誘導薬、及びビスホスホネートから選択される、化合物とを含んでなる、該医薬組成物も包含する。
【0257】
本発明の、これらの及び他の観点は、本明細書に含まれている教示から明らかとなるであろう。
【0258】
化学の記載において、及び以下の実施例において使用される略号は
ACN(アセトニトリル);Boc(tert−ブトキシカルボニル);DCM(ジクロロメタン);DIPEA(ジイソプロピルエチルアミン);DMF(ジメチルホルムアミド);EtOAc(酢酸エチル);HO(水);LiOH(水酸化リチウム);MeOH(メタノール);RT(室温);TBTU(O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート);TEA(トリエチルアミン);TFA(トリフルオロ酢酸);及びTHF(テトラヒドロフラン)である。
【0259】
式Iの化合物は、式IAの化合物を、式IB:
【0260】
【化5】

【0261】
[式中、a、b、c、d、e、f、g、R、R、R、R、R、R、R、X、Y、及びZは、上記に定義した通りであり、かつLは、ヒドロキシのような脱離基である]の化合物と縮合させることにより調製することができる。この反応は一般に、TBTU、HBTU、及びTEAといった、一種以上のカップリング剤の存在下で、DMFのような溶媒中で、ほぼ室温において行なう。カップリング剤である、HATU、HOBt、及びDIPEAもまた、約50℃において使用してもよい。
【0262】
がヒドロキシである式IAの化合物は、式ID:
【0263】
【化6】

【0264】
[式中、a、b、R、X、及びYは、上記に定義した通りであり、かつRは、C1−6アルキル、例えばメチルである]の化合物を、加水分解することにより調製し得る。標準的な加水分解条件を使用してよく、例えば、LiOHのような強塩基を、THF及び水といった溶媒中で、ほぼ室温で使用する。
【0265】
式IDの化合物は、式IEの化合物を、式IF:
【0266】
【化7】

【0267】
[式中、a、b、R、R、X、Y、及びRは、上記に定義した通りであり、かつLは、ハロゲンのような脱離基、例えば臭素である]の化合物と縮合させることにより調製することができる。この反応は一般に、KCOのような塩基の存在下で、DMFのような溶媒中で、約100℃で行う。
【0268】
別法として、式IDの化合物は、式IFの化合物を、式IG:
【0269】
【化8】

【0270】
[式中、a、R、及びXは、上記に定義した通りである]の化合物と、一般にはACNのような溶媒中で、還流下で縮合させることにより調製することができる。
次いで、これに続く加水分解を、標準的な加水分解条件、例えば、NaOHのような強塩基を、水のような溶媒中で、ほぼ室温で使用して行う。
【0271】
XがNである式IGの化合物は、式IH:
【0272】
【化9】

【0273】
[式中、a及びRは、上記に定義した通りである]の化合物を、まずNOBFのようなニトロソ化試薬の存在下で、DCMのような溶媒中で約0℃において、次にNaOHのような塩基をほぼ室温で添加して、環化することにより調製することができる。ニトロソ化試薬である、亜硝酸イソアミルもまた、一般にはHCl及びMeOHのような溶媒中で、約0℃で使用してもよい。
【0274】
中間体及び出発物質の合成が記載されていない場合、これらの化合物は市販されているか、或いは、市販の化合物から、標準法によるか、又は、本明細書の合成、スキーム、及び実施例に記載された化学的作用を拡大解釈することにより作成することができる。
【0275】
式Iの化合物を、既知の方法によるか、又は、実施例に記載された方法により、式Iの別の化合物に変換してもよい。
【0276】
本明細書に記載された任意の合成順序の間に、関与する任意の分子上の、感受性又は反応性の基を保護することが必要、及び/又は望ましいことがある。このことは、通常の保護基、例えば、グリーン(Greene,T.W.)及びウーツ(Wuts,P.G.)著、「Protecting Groups in Organic Synthesis」(有機合成における保護基)」、第3版、ウィリー・インターサイエンス(Wiley Interscience)、1999年、及びコチェンスキー(Kocienski,P.J.)著、「Protecting Groups(保護基)」、ティーム(Thieme)、1994年、に記載された方法によって達成してもよい。保護基は、当該技術分野における技術上既知の方法を用いて、後続の都合の良い工程において除去してもよい。例えば、Boc基が存在する場合、それを、TFA/DCMのような溶媒を、ほぼ室温で添加することにより除去してもよい。
【0277】
本発明化合物を、以下のスキームに従って調製した。式中の全ての変数は、上記に定義したとおりである。
【0278】
【化10】

【0279】
【化11】

【0280】
本発明化合物は、一般的なスキーム1及び2に従って調製することができる:
【0281】
4−ヒドロキシキノリン又は4−ヒドロキシシンノリンを、ハロゲン化アルキルでアルキル化して、O−及びN−アルキル化された生成物の混合物を得ることができる。4−ヒドロキシシンノリンのアルキル化により、1−アルキル−4−シンノロン及び2−アルキルシンノリン−2−イウム−4−オラートの混合物を得る。双方の場合とも、2つの生成物は、例えばクロマトグラフィーのような標準法により分離することができる。
【0282】
突き出しているベンジル環上にエステル基をもつ類似体は、標準法により加水分解することができる(スキーム2)。得られたカルボン酸を、標準的なアミドカップリング反応により、アミドに変換することができる。
【0283】
スキーム3
【0284】
芳香環において置換されているシンノリン−4(1H)−オンは、置換アントラニン酸から、「シンセシス(Synthesis)」、1987年、p.288、に記載された方法を用いて調製することができる。そのカルボン酸を、標準法(例えば、MeOH中のHCl、還流下)でエステル化した後、「インシトゥ(in situ)」で生成したメチレントリフェニルホスホランと反応させることで、トリフェニルホスホニウムメチリドを生成させる。これらの誘導体は、NOBFのようなニトロソ化試薬とDCM中で0℃で反応させることにより調製された、対応するジアゾニウムイオンを、NaOHのような塩基の存在下で自発的に分子内カップリングさせることにより、シンノリノン環へ環化した。シンノリノン環の1位における選択的アルキル化は、適当なアルキル化試薬の存在下で、アセトニトリルのような溶媒中で、還流下で行った。そのホスホラン及びエステル基の塩基性加水分解は、「Synthesis」、1986年、p.1059、に記載されたように、MeOH/水のような溶媒中で、室温において、NaOHのような塩基を用いて行った。得られたカルボン酸は、標準的なアミドカップリング反応により、TBTUのようなカップリング試薬、TEAのような塩基を、DMFのような溶媒中で、ほぼ室温で使用して、アミドに変換した。
【0285】
【化12】

【0286】
スキーム4
【0287】
その芳香環において、ヒドロキシ又はメトキシ基により置換されたシンノリン−4(1H)−オンは、対応するフルオロ類似体(スキーム3に記載した方法に従って合成)から、適当な求核試薬(例えば、LiOH)と、マイクロウェーブ照射下で、水のような溶媒中で反応させることにより調製した。得られたカルボン酸を、標準的なアミドカップリング反応により、TBTUのようなカップリング試薬、TEAのような塩基を、DMFのような溶媒中で、ほぼ室温で使用して、アミドに変換した。
【0288】
【化13】

【0289】
本明細書に記載された例示化合物を、以下に記載したアッセイにより試験して、5μM未満のIC50値をもつことが判明した。
【0290】
PARP−1 SPAアッセイ
作業試薬
アッセイ緩衝液:100mM トリスpH8、4mM MgCl、4mM スペルミン、200mM KCl、0.04% ノニデットP−40。
【0291】
酵素混合物:アッセイ緩衝液(12.5ul)、100mM DTT(0.5ul)、PARP−1(5nM、トレビゲン(Trevigen)4668−500−01)、HO(35ulまで)。
【0292】
ニコチンアミド−アデニンジヌクレオチド(NAD)/DNA混合物:[H−NAD](250uCi/ml、0.4ul、パーキンエルマー(Perkin−Elmer)NET−443H)、NAD(1.5mM、0.05ul、シグマ(SIGMA)N−1511)、ビオチニル化−NAD(250μM、0.03ul、トレビゲン 4670−500−01)、活性化仔ウシ胸腺(1mg/ml、0.05ul、アマシャム・バイオサイエンシズ(Amersham Biosciences) 27−4575)、HO(10ulまで)。
【0293】
展開混合物:500mM EDTA中に溶解された、ストレプトアビジンSPAビーズ(5mg/ml、アマシャム・バイオサイエンシズ RPNQ0007)。
【0294】
実験デザイン
反応は、96穴マイクロプレート中で、最終体積50uL/ウェルで行う。5ulの
5%DMSO/化合物溶液を添加し、酵素混合物(35ul)を添加し、NAD/DNA混合物(10uL)の添加により反応を開始し、そして室温で2時間インキュベートする。展開混合物(25ul)の添加により反応を停止し、そして室温で15分間インキュベートする。パッカード・トップ・カウント(Packard TOP COUNT)装置を用いて測定する。
【実施例】
【0295】
実施例1
1−[3−(8−アザ−1−アゾニアスピロ[4.5]デカ−8−イルカルボニル)−4−フルオロベンジル]−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリニウムビス(トリフルオロアセテート)(A3)
工程1:メチル2−フルオロ−5[(4−オキソキノリン−1(4H)−イル)メチル]ベンゾアート(A1)
無水DMF中(0.1M溶液)の、キノリン−4−オール、メチル5−(ブロモメチル)−2−フルオロベンゾアート(US 2007/0021427 A1に記載の通り調製、1当量)、及び炭酸カリウム(1.2当量)の混合物を、100℃で1時間攪拌した。溶媒を蒸発させた後、残渣をDCM中に溶解し、そしてHOで2回、及び食塩水で1回洗浄した。有機相をNaSO上で脱水し、そして減圧下で濃縮乾燥した。得られた粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/PE 9:1)により精製して、標題化合物を得た。O−アルキル化された異性体を、標題化合物に先立ち溶出した。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ:8.22(1H,d,J=7.83Hz),8.20−8.13(1H,m),7.85−7.75(1H,m),7.67−7.54(2H,m),7.53−7.45(1H,m),7.41−7.28(2H,m),6.16(1H,d,J=7.83Hz),5.57(2H,s),3.82(3H,s)。MS(ES)C1814FNO 要求値:311,実測値:312(M+H)
【0296】
工程2:1−(3−カルボキシ−4−フルオロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリニウムクロリド(A2)
THF中(0.15M)のA1の溶液に、水酸化リチウムの水溶液(0.7M、2当量)を、0℃で攪拌しながら添加した。混合物を、室温で5時間攪拌した。減圧下でTHFを除去し、そして残りの水溶液を、6N HClによりpH1まで酸性化した。生成した沈殿を濾過し、そして水で洗浄して、標題化合物を白色粉末として得た。
HNMR(300MHz,DMSO−d)δ:13.30(1H,br.s),8.28−8.12(2H,m),7.80−7.69(1H,m),7.68−7.54(2H,m),7.53−7.42(1H,m),7.41−7.22(2H,m),6.16(1H,d,J=7.86Hz),5.56(2H,s)。MS(ES)C1712FNO 要求値:297,実測値:298(M+H)
【0297】
工程3:1−[3−(8−アザ−1−アゾニアスピロ[4.5]デカ−8−イルカルボニル)−4−フルオロベンジル]−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリニウムビス(トリフルオロアセテート)(A3)
無水DMF中(0.3M)の、A2、HBTU(1当量)、及びTEA(2当量)の溶液を、室温で5分間攪拌し、そして次にTEA(1当量)及びtert−ブチル1,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−1−カルボキシラートを添加した。混合物を、室温で16時間攪拌した。生成物を、分離用RP−HPLCにより、HO/ACN(0.1%TFA)を溶出液として用いて精製した。プールした生成物分画を、凍結乾燥し、そして油性残渣(A3)を、DCM/TFA混合物(9:1)で、45℃において1時間処理した。減圧下で溶媒を除去した後、油性残渣を、HO/ACNから凍結乾燥して、標題化合物を無色の油として得た。
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ:8.70(2H,br.s),8.25(1H,d,J=7.83Hz),8.22−8.14(1H,m),7.70−7.58(2H,m),7.44−7.35(2H,m),7.34−7.23(2H,m),6.20(1H,d,J=7.86Hz),5.56(2H,s),3.38−3.19(4H,m),3.18−3.03(1H,m),2.07(1H,m),2.03−1.74(6H,m),1.69−1.57(2H,m)。MS(ES)C2526FN 要求値:419,実測値:420(M+H)
【0298】
実施例2:
1−[4−フルオロ−3−({4−[2−(4−フルオロべンジル)プロリル]ピペラジン−1−イル}カルボニル)ベンジル]キノリン−4(1H)−オン(B3)
工程1:tert−ブチル4−{2−フルオロ−5−[(4−オキソキノリン−1(4H)−イル)メチル]ベンゾイル}ピペラジン−1−カルボキシラート(B1)
DMF中(0.3M)の実施例1のA2の攪拌された溶液に、TEA(2.4当量)及びTBTU(1.3当量)を添加した。混合物を20分間攪拌し、そしてtert−ブチルピペラジン−1−カルボキシラート(1.5当量)を添加した。1時間後、混合物をEtOAcで希釈し、そして水、飽和NaHCO水溶液、及び食塩水で洗浄した。有機相をNaSO上で脱水し、濾過し、そして濃縮乾燥して、標題化合物を橙色の泡沫として得た。
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ:8.22−8.12(m,2H),7.68−7.53(m,2H),7.41−7.22(m,4H),6.15(d,J=7.9Hz,1H),5.53(s,2H),3.58(s,2H),3.37(s,2H),3.19(s,2H),3.10(s,2H),1.40(s,9H)。MS(ES)C2628FN 要求値:465,実測値:466(M+H)
【0299】
工程2:1−[4−フルオロ−3−(ピペラジン−1−イルカルボニル)ベンジル]キノリン−4(1H)−オン(B2)
工程1からのB1を、DCM及びTFAの1:1混合物中(0.1M)で、30分間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、そして残渣をMeOH中に溶解した。溶液を、SCX陽イオン交換樹脂にアプライし、樹脂をHO及びMeOHで洗浄し、そして生成物を、MeOH中のアンモニア(2N)で溶出した。溶媒を減圧下で除去して、標題化合物をベージュ色の固体として得た。
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ:8.22−8.11(m,2H),7.67−7.54(m,2H),7.36−7.18(m,4H),6.14(d,J=7.7Hz,1H),5.53(s,2H),3.52(s,2H),3.30(s,2H),2.75−2.64(m,2H),2.60−2.52(m,2H)。MS(ES)C2120FN 要求値:365,実測値:366(M+H)
【0300】
工程3:1−[4−フルオロ−3−({4−[2−(4−フルオロべンジル)プロリル]ピペラジン−1−イル}カルボニル)ベンジル]キノリン−4(1H)−オン(B3)
DMF中(0.45M)の1−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(4−フルオロベンジル)プロリン(B2に対し1.5当量)の溶液に、HATU(B2に対し1.5当量)、HOBT(B2に対し1.5当量)、及びDIPEA(B2に対し1.5当量)を添加した。混合物を室温で15分間攪拌し、そしてB2(1当量)を添加した。攪拌を、50℃で16時間継続した。生成物を、分離用RP−HPLCにより、HO/ACN(0.1%TFA)を溶出液として用いて精製した。プールした生成物分画を、減圧下で濃縮し、そして油性残渣を、DCM及びTFAの1:1混合物中に溶解した。30分後、減圧下で溶媒を除去した。得られた油を、MeOH中に溶解し、そして溶液を、SCX陽イオン交換樹脂にアプライした。樹脂を、HO及びMeOHで洗浄し、そして生成物を、MeOH中のアンモニア(2N)で溶出した。溶媒を減圧下で除去し、そして残渣を、水/ACNの1:1混合物から凍結乾燥して、標題化合物をオフホワイトの粉末として得た。
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ:8.23−8.12(m,2H),7.67−7.52(m,2H),7.40−7.24(m,4H),7.22−7.18(m,2H),7.10−7.01(m,2H),6.15(d,J=7.8Hz,1H),5.54(s,2H),4.05−3.50(m,6H),3.16(s,2H),3.03−2.80(m,3H),2.72−2.61(m,1H),2.20−1.95(m,1H),1.90−1.72(m,1H),1.67−1.50(m,2H)。MS(ES)C3332 要求値:570,実測値:571(M+H)
【0301】
実施例3
1−[3−(8−アザ−1−アゾニアスピロ[4.5]デカ−8−イルカルボニル)−4−フルオロベンジル]−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムビス(トリフルオロアセテート)(C3)
工程1:メチル2−フルオロ−5−[(4−オキソシンノリン−1(4H)−イル)メチル]ベンゾアート(C1)
DMF中(0.1M)のシンノリン−4(1H)の溶液に、KCO(1.2当量)及びメチル5−(ブロモメチル)−2−フルオロベンゾアート(US 2007/0021427 A1に記載の通り調製、1当量)を添加した。混合物を攪拌し、そして100℃で1時間加熱した。室温に冷却後、溶媒を減圧下で除去し、そして残渣を、DCMとHOとの間で分配した。有機相を食塩水で洗浄し、脱水し(NaSO)、濾過し、そして溶媒を減圧下で除去した。生成物を、シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーにより、DCM/MeOHの勾配(0%から10% MeOH(10CV(カラム体積)中)を使用して単離した。2−[4−フルオロ−3−(メトキシカルボニル)ベンジル]シンノリン−2−イウム−4−オラートを、標題化合物の後に溶出した。
MS(ES)C1813FN 要求値:312,実測値:313(M+H)
【0302】
工程2:1−(3−カルボキシ−4−フルオロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムクロリド(C2)
THF中(0.1M)のC1の攪拌された溶液に、室温で、HO中のLiOH(2当量、0.7M)の溶液を添加した。2時間後、THFを減圧下で除去し、そして残留する溶液を、6N HClで酸性化した。生成した沈殿を、濾過し、HOで洗浄し、そして高真空下に置き、標題化合物をベージュ色の粉末として得た。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ:13.33(s,br,1H),8.18−8.10(m,1H),7.87(s,1H),7.86−7.74(M,3H),7.56−7.44(m,2H),7.30−7.24(m,1H),5.76(s,2H)。
MS(ES)C1611FN 要求値:298,実測値:299(M+H)
【0303】
工程3:1−[3−(8−アザ−1−アゾニアスピロ[4.5]デカ−8−イルカルボニル)−4−フルオロベンジル]−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムビス(トリフルオロアセテート)(C3)
DMF中(0.3M)のC2及びTEA(1.2当量)の攪拌された溶液に、TBTU(1.3当量)を添加した。混合物を1時間攪拌し、そしてtert−ブチル1,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−1−カルボキシラートを、TEAとともに(4当量)添加した。混合物を2時間攪拌し、そして生成物を、分離用RP−HPLCにより、HO/ACN(0.1%TFA)を溶出液として用いて精製した。プールした生成物分画を、減圧下で濃縮し、そして残留する油(C3)を、TFA/DCM(1:1)の混合物中で、30分間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、そして残渣を、HO/ACNから凍結乾燥した。標題化合物を、淡橙色の泡沫として得た。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ:8.65(2H,br.s),8.17−8.10(1H,m),7.86(s,1H),7.84−7.75(m,2H),7.52−7.41(m,2H),7.36−7.25(m,2H),5.74(s,2H),4.10−3.99(m,1H),3.31−3.07(m,5H),2.00−1.72(m,6H),1.69−1.60(m,2H)。MS(ES)C2425FN 要求値:420,実測値:421(M+H)
【0304】
以下の実施例を、上記の実施例の方法に従って調製した。
【0305】
【化14−1】

【0306】
【化14−2】

【0307】
実施例17
8−フルオロ−1−(4−フルオロ−3−{[3−(トリフルオロメチル)−5,6−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル]カルボニル}ベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート(D6)
工程1:メチル2−アミノ−3−フルオロベンゾアート(D1)
2−アミノ−3−フルオロ安息香酸を、HCl中(MeOH中3M溶液)に溶解した。反応混合物を、加熱して2時間還流した。次に、溶媒を蒸発させ、そして残渣をDCMと飽和NaHCO水溶液との間で分配した。水相を分離し、そしてDCM中に数回抽出した。合わせた有機層を、脱水し(NaSO)、そして溶媒を減圧下で蒸発させて、標題化合物を黄色の油として得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ:7.72−7.58(m,1H),7.18−7.02(m,1H),6.65−6.48(m,1H),3.88(s,3H)。MS(ES)CFNO 要求値:169,実測値:170(M+H)
【0308】
工程2:1−(2−アミノ−3−フルオロフェニル)−2−(トリフェニルホスホラニリデン)エタノン(D2)
トルエン中(0.1M)の、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(2.4当量)及びナトリウムアミド(3.2当量)の懸濁液を、室温で3時間攪拌した。0℃に冷却後、トルエン中(0.1M)のD1の溶液を懸濁液に添加し、そして反応混合物を50℃で3時間30分加熱した。次いで、沈殿を濾去し、そして溶媒を減圧下で蒸発させて、粗生成物を得て、これをシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーにより、AcOEt/PE(7:3)を溶媒として用いて精製し、標題化合物を黄色の粉末として得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:7.78−7.68(m,6H),7.62−7.54(m,3H),7.52−7.45(m,7H),6.97−6.89(m,1H),6.56−6.48(m,1H),5.76(bs,2H),4.32−4.20(m,1H)。MS(ES)C2621FNOP 要求値:413,実測値:414(M+H)
【0309】
工程3:8−フルオロ−3−(トリフェニルホスホラニリデン)シンノリン−4(3H)−オン(D3)
亜硝酸イソアミル(1.9当量)を、HCl中(MeOH中0.5M溶液)のD2の攪拌された溶液に、0℃において添加した。出発物質が消費された後(15ないし30分)、溶液を室温に温め、そして10%NaOHの添加により、アルカリ化した(pH=9)。得られた沈殿を、濾過により収集して、標題化合物を白色固体として得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:8.06−7.99(m,1H),7.82−7.73(m,6H),7.72−7.65(m,3H),7.71−7.53(m,6H),7.42−7.36(m,2H)。MS(ES)C2618FNOP 要求値:424,実測値:425(M+H)
【0310】
工程4:{8−フルオロ−1−[4−フルオロ−3−(メトキシカルボニル)ベンジル]−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−3−イル}(トリフェニル)ホスホニウムブロミド(D4)
ACN中(0.1M)の、D3及びメチル5−(ブロモメチル)−2−フルオロベンゾアート(US2007/0021427に記載の通り調製)(1当量)の溶液を、加熱して1時間30分還流した。冷却後、減圧下で溶媒を除去して、標題化合物を黄色の泡沫として得た。
H NMR(500MHz,DMSO−d)δ:8.05−8.01(m,1H),8.01−7.98(m,1H),7.92−7.86(m,3H),7.84−7.69(m,14H),7.54−7.48(m,1H),7.29−7.21(m,1H),5.74(s,2H),3.83(s,3H)。MS(ES)C3526Br 要求値:591,実測値:591(M)。
【0311】
工程5:1−(3−カルボキシ−4−フルオロベンジル)−8−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムクロリド(D5)
MeOH/20%NaOH中(6:1、0.1M)のD4の溶液を、室温で15分間攪拌した。溶媒を蒸発させた後、残渣を水とDCMとの間で分配した。水相を分離し、そして6N HClでpH1とした。得られた沈殿を濾過により収集し、そして水で洗浄して、標題化合物を黄色の固体として得た。
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ:13.3(bs,1H),8.03−7.97(m,1H),7.94(s,1H),7.76−7.66(m,2H),7.52−7.43(m,2H),7.32−7.24(m,1H),5.76(s,2H)。MS(ES)C1611Cl 要求値:316,実測値:317(M+H)
【0312】
工程6:8−フルオロ−1−(4−フルオロ−3−{[3−(トリフルオロメチル)−5,6−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル]カルボニル}ベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート(D6)
DMF中(0.15M)の、D5、TBTU(1.5当量)、及びTEA(2当量)の溶液を、室温で5分間攪拌した。次に、TEA(3当量)及び3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7−イウムクロリド(1.5当量)を添加した。得られた反応混合物を、室温で3時間攪拌し、そして生成物を、分離用RP−HPLCにより、HO/ACN(0.1%TFA)を溶出液として用いて精製した。プールした生成物分画を、凍結乾燥して、標題化合物を白色固体として得た。
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ:8.01−7.94(m,1H),7.93−7.86(m,1H),7.75−7.63(m,1H),7.51−7.42(m,2H),7.40−7.28(m,2H),5.75(s,2H),5.02−4.80(m,1H),4.72−4.64(m,1H),4.28−4.19(m,1H),4.18−4.08(m,1H),4.01−3.93(m,1H),3.68−3.59(m,1H)。MS(ES)C2216 要求値:490,実測値:491(M+H)
【0313】
実施例18
1−{3−[(4−エチル−3−オキソピペラジン−1−イル)カルボニル]−4−フルオロベンジル}−8−ヒドロキシシンノリン−4(1H)−オン(E2)
工程1:1−(3−カルボキシ−4−フルオロベンジル)−8−ヒドロキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムクロリド(E1)
9%LiOH中(0.05M)のD5の溶液を、マイクロウェーブ照射下で、160℃で15分間加熱した。水相を、37%HClで酸性化した。得られた沈殿を、濾過により収集して、標題化合物を黄色の固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ:11.1(s,1H),7.82(s,1H),7.76−7.69(m,1H),7.64−7.58(m,1H),7.49−7.40(m,1H),7.35−7.25(m,2H),7.25−7.18(m,1H),5.99(s,2H)。MS(ES)C1612FNCl 要求値:314,実測値:315(M+H)
【0314】
工程2:1−{3−[(4−エチル−3−オキソピペラジン−1−イル)カルボニル]−4−フルオロベンジル}−8−ヒドロキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロシンノリン−1−イウムトリフルオロアセテート(E2)
無水DMF中(0.15M)の、E1、及びTBTU(1.0当量)の溶液を、室温で5分間攪拌し、次いでDIPEA(1.0当量)及び1−エチルピペラジン−2−オン(2.0当量)を添加した。反応混合物を室温で3時間攪拌し、そして生成物を、分離用RP−HPLCにより、HO/ACN(0.1%TFA)を溶出液として用いて精製した。プールした生成物分画を、凍結乾燥して、標題化合物を白色固体として得た、
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ:11.04(bs,1H),7.80(s,1H),7.60(d,1H,J=7.4Hz),7.40−7.30(m,4H),7.20(d,1H,J=7.4Hz),5.99(s,2H),4.20−4.10(m,1H),3.90−3.80(m,1H),3.80−3.70(m,1H),3.45−3.35(m,2H),3.35−3.25(m,2H),3.20−3.10(m,1H),1.10−1.00(m,3H)。MS(ES)C2221FN 要求値:424,実測値:425(M+H)
【0315】
以下の実施例を、上記の実施例の方法に従って調製した。
【0316】
【化15−1】

【0317】
【化15−2】

【0318】
【化15−3】

【0319】
【化15−4】

【0320】
【化15−5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
aは、0、1、2、3、又は4であり;
bは、0、1、2、3、又は4であり;
cは、0又は1であり;
dは、0又は1であり;
eは、0又は1であり;
fは、0、1、2、3、4、又は5であり;
gは、0又は1であり;
Xは、N又はCHであり;
Yは、フェニル、5員の不飽和ヘテロ環(これは、独立して、O、N、及びSから選択される、1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有するが、該ヘテロ原子のうち2個以上がO又はSであることはない)、或いは、6員の不飽和ヘテロ環(これは、1、2、3、又は4個の窒素原子を含有する)であり;
Zは、C又はSOであり;
各Rは、独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、又はハロC1−6アルコキシであり;
各Rは、独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、又はハロC1−6アルコキシであり;
は、水素又はC1−6アルキルであり;
及びRの各々は、独立して、水素又はC1−6アルキルであり;
は、水素又はC1−6アルキルであり;
は、水素、ヒドロキシ、シアノ、オキソ、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシ、ニトロ、或いは、次に示される環:C6−10アリール;C6−10アリールオキシ;C6−10アリールカルボニル;C3−10シクロアルキル;アゼチジニル;5又は6員の飽和又は部分飽和ヘテロ環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、又は3個の原子を含有する);5員のヘテロ芳香環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有するが、該ヘテロ原子のうち2個以上がO又はSであることはない);6員のヘテロ芳香環(これは、1、2、又は3個の窒素原子を含有する);又は、7ないし13員の、不飽和、部分飽和、又は飽和ヘテロ環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有する)であり;その任意の環は、独立して、A−(CR10から選択される1個以上の基で置換されていてもよく;
各Aは、独立して、単結合、O、(CH(C=O)、(C=O)NR11、NR11(C=O)、(C=O)O、O(C=O)、(C=S)NR11、NR11、又はS(O)であり;
各qは、独立して、0、1、2、3、又は4であり;
rは、0、1、又は2であり;
sは、0、1、2、又は3であり;
tは、1又は2であり;
及びRの各々は、独立して、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキル、又はハロC1−6アルキルであり;
各R10は、独立して、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、ハロC1−6アルキル、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノ、(C1−6アルキルカルボニル)アミノ、或いは、次に示される環:C3−10シクロアルキル;C6−10アリール、アゼチジニル;5又は6員の飽和又は部分飽和ヘテロ環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、又は3個の原子を含有する);5員のヘテロ芳香環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有するが、該ヘテロ原子のうち2個以上がO又はSであることはない);6員のヘテロ芳香環(これは、1、2、又は3個の窒素原子を含有する);又は、7ないし13員の、不飽和、部分飽和、又は飽和ヘテロ環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有する)であり;その任意の環は、独立して、R12から選択される1個以上の基で置換されていてもよく;
11は、水素又はR10であり;
各R12は、独立して、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C2−10アルケニル、ハロC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、C1−6アルキルカルボニル、−O(C=O)C1−6アルキル、−(C=O)OC1−6アルキル、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノ、(C1−6アルキルスルホニル)アミノ、C6−10アリール、C6−10アリールC1−6アルキル、5員のヘテロ芳香環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有するが、該ヘテロ原子のうち2個以上がO又はSであることはない)、或いは、6員のヘテロ芳香環(これは、1、2、又は3個の窒素原子を含有する)であり;その任意の環は、独立して、ハロゲン、C1−6アルキル、及びハロC1−6アルキルから選択される、1個以上の基で置換されていてもよい]の化合物、或いは、その薬学的に許容される塩、立体異性体、又は互変異性体。
【請求項2】
式II:
【化2】

[式中、
a、b、c、d、e、f、g、X、Z、R、R、R、R、R、R、及びRが、請求項1に定義した通りであり;
Yが、フェニルであるか、或いは、6員の不飽和ヘテロ環(これは、1、2、3、又は4個の窒素原子を含有する)である]で示される、請求項1に記載の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体。
【請求項3】
Yがフェニルであり、かつ、c、d、e、f、及びgの各々が0である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
Yが、フェニルであり;
bが、1であり;
c、d、e、f、及びgの各々が、0であり;かつ
が、アセチジニル、5又は6員の飽和又は部分飽和ヘテロ環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、又は3個の原子を含有する)、或いは、7ないし13員の部分飽和又は飽和ヘテロ環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有する)であって;これらは、独立して、A−(CR10から選択される1個以上の基で置換されていてもよい、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
式III:
【化3】

[式中、
a、b、q、A、R、R、R、R、及びR10が、請求項1に定義した通りであり;
Yが、フェニルであるか、或いは、6員の不飽和ヘテロ環(これは、1、2、3、又は4個の窒素原子を含有する)であり;
wが、0、1、2,3、又は4であり;
Bが、アゼチジニル、5又は6員の飽和又は部分飽和ヘテロ環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、又は3個の原子を含有する)、或いは、7ないし13員の部分飽和又は飽和ヘテロ環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有する)である]で示される、請求項1に記載の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体。
【請求項6】
Yが、フェニルであり;
Aが、単結合、CO、又はCOOであり;かつ
10が、オキソ、ハロゲン、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノ、C3−7シクロアルキル、C6−10アリール、アゼチジニル、5又は6員の飽和又は部分飽和ヘテロ環(これは、独立して、N、O、及びSから選択される、1、2、又は3個の原子を含有する)、或いは、6員のヘテロ芳香環(これは、1、2、又は3個の窒素原子を含有する)であり;その任意の環が、独立して、R12から選択される1個以上の基で置換されていてもよく;
12が、請求項1に定義された通りである、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体を、薬学的に許容される担体とともに含んでなる医薬組成物。
【請求項8】
同時の、別々の、又は連続した投与のための、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体と、抗癌剤との組合せ。
【請求項9】
治療において使用するための、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体。
【請求項10】
ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害により改善可能な症状の、治療又は予防において使用するための、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは互変異性体。
【請求項11】
癌、炎症性疾患、再灌流損傷、虚血症状、卒中、腎不全、心臓血管疾患、心臓血管疾患以外の血管疾患、糖尿病、神経変性疾患、レトロウイルス感染症、網膜損傷、皮膚老化、又はUV誘導性皮膚損傷の、治療又は予防において使用するための、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは互変異性体。
【請求項12】
ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害により改善可能な症状の、治療又は予防用医薬の製造のための、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体の使用。
【請求項13】
癌治療用の化学増感剤又は放射線増感剤としての、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、若しくは互変異性体の使用。
【請求項14】
癌、炎症性疾患、再灌流損傷、虚血症状、卒中、腎不全、心臓血管疾患、心臓血管疾患以外の血管疾患、糖尿病、神経変性疾患、レトロウイルス感染症、網膜損傷、皮膚老化、又はUV誘導性皮膚損傷を、治療又は予防する方法であって、請求項1に記載の化合物の有効量、又は請求項1に記載の化合物を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる該方法。

【公表番号】特表2010−536842(P2010−536842A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521488(P2010−521488)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際出願番号】PCT/GB2008/050731
【国際公開番号】WO2009/027730
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(501209427)イステイチユート・デイ・リチエルケ・デイ・ビオロジア・モレコラーレ・ピ・アンジエレツテイ・エツセ・ピー・アー (90)
【Fターム(参考)】