説明

マイクロデバイス及びそのパッケージング方法

【課題】MEMSなどの機能面に振動子または可動部を持つ機能素子を有するデバイス基板とキャップを異なるサイズにとした0―レベルパッケージを実装基板にハンダを介してマウント可能な形態にパッケージ化されたマイクロデバイス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】一主面に可動部または振動子を有する機能素子12が形成されたデバイス基板11の一主面に、機能素子に接続する接続パッド15が形成され、一主面から所定の高さで突出する段差形状となり、接続パッドの形成領域を除いて機能素子の形成領域を保護するキャビティCを構成する保護部材13,14が設けられ、接続部22により接続パッドと板状電極21aが電気的に接続され、板状電極の表面の一部を露出して少なくとも接続部と板状電極の接点、接続部、接続パッド及び保護部材を封止する絶縁樹脂層23が形成され、露出した板状電極の表面から外部接続される形態のパッケージとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロデバイス及びそのパッケージング方法に関し、特に、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、SAW(Surface Acoustic Wave)素子、あるいはF−BAR(Thin Film Bulk Acoustic Wave Resonators)などの機能面に可動部または振動子を持つ機能素子を有するマイクロデバイス及びそのパッケージング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やパーソナルコンピュータに代表されるモバイル機器においては、小型軽量化や多機能および高機能化が進んでおり、これらの機器を構成する部品や基板も同様に小型、薄型、軽量化や高密度実装化が進んでいる。また、半導体等のデバイスの実装に関しても、実装面積の小型化や伝達信号の高速化に伴い、モールドやセラミックパッケージによる実装から、いわゆるフリップチップ実装技術によりデバイスのベアチップを直接基板に実装し、封止する試みがとられている。
【0003】
ところが、このフリップチップによるデバイスのダイレクト実装方法は、たとえば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、SAW(Surface Acoustic Wave)素子あるいはF−BAR(Thin Film Bulk Acoustic Wave Resonators)などの機能面に可動部または振動子を持つマイクロデバイスの場合、機能面を封止材等で覆うことができないため、セラミックや金属、あるいはガラスなどの基板を用いて気密封止するパッケージ構造がとられている。
【0004】
従来、上記のSAW素子やMEMSは、キャビティ基板内に実装、パッケージングされているため、本来のデバイスのサイズより大きな実装エリアが必要であった。
また、デバイスの可動部分が浮いた状態で、個片化して取り扱うので、製造工程中にデバイスを破壊する問題も発生していた。
そこで、小型化とハンドリングを容易にする方法として、ウェハレベルのパッケージングが提案されている。
【0005】
ウェハレベルでのパッケージングができるSAW素子などのパッケージ構造として、特許文献1には、圧電基板上にIDTパターンでSAW素子を形成し、この際、IDTパターン上にキャビティが形成されるようにキャップに凹部を設け、さらにキャップにはSAW素子に電気信号を導入するための貫通穴を設けてなる構造及び製造方法が開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、ウェハレベルのパッケージングに際して、デバイス基板とキャップとなる部分を、その集合体であるウェハの状態で張り合わせてキャビティ構造を形成するが、個片化するときには、ダイシングにより基板となるウェハとキャップとなるウェハを同時に同じサイズに切断しており、異なるサイズに切断することが困難であった。これは、基板とキャップの張り合わせ部分の厚みが非常に薄いため、基板のウェハを切断せずにキャップを切断することが困難であるためである。
【0007】
上記のデバイス基板とキャップが同じサイズとなっている構成では、気密性を保持するためにデバイスの周りを囲むようにシールしていることから、上記のようにデバイスからの電気的な配線をデバイス基板またはキャップを貫通するようにして引き出す必要があり、これに起因して新たな技術課題や製造工程の追加によるコストアップなどの問題が発生している。
【特許文献1】特開2004−80221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、MEMS、SAW素子あるいはF−BARなどの機能面に振動子または可動部を持つ機能素子を有するマイクロデバイスのパッケージングに際して、基板とキャップを異なるサイズにしてパッケージ化した0―レベルパッケージを、実装基板などにハンダを介してマウント可能な形態にパッケージ化されたマイクロデバイス及びそのパッケージング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明のマイクロデバイスは、一主面に可動部または振動子を有する機能素子が形成されたデバイス基板と、前記機能素子に接続するように前記デバイス基板の前記一主面に形成された接続パッドと、前記一主面から所定の高さで突出する段差形状となり、前記接続パッドの形成領域を除いて前記機能素子の形成領域を保護するキャビティを構成するように前記一主面上に設けられた保護部材と、前記接続パッドに電気的に接続するように設けられた板状電極と、前記接続パッドと前記板状電極を接続する接続部と、前記板状電極の表面の一部を露出し、かつ、少なくとも前記接続部と前記板状電極の接点、前記接続部、前記接続パッド及び前記保護部材を封止するように形成された絶縁樹脂層とを有し、露出した前記板状電極の表面から外部接続されるようにパッケージ化された構成である。
【0010】
上記の本発明のマイクロデバイスは、一主面に可動部または振動子を有する機能素子が形成されたデバイス基板において、機能素子に接続するように一主面に接続パッドが形成されており、さらに一主面から所定の高さで突出する段差形状となり、接続パッドの形成領域を除いて機能素子の形成領域を保護するキャビティを構成するように保護部材が一主面上に設けられている。
また、接続パッドに電気的に接続された板状電極と、接続パッドと板状電極を接続する接続部とが設けられており、板状電極の表面の一部を露出し、かつ、少なくとも接続部と板状電極の接点、接続部、接続パッド及び保護部材を封止するように絶縁樹脂層が形成されている。
さらに、露出した板状電極の表面から外部接続されるようにパッケージ化された構成となっている。
【0011】
また、上記の課題を解決するため、本発明のマイクロデバイスのパッケージング方法は、一主面に可動部または振動子を有する機能素子が形成され、前記機能素子に接続するように前記一主面に接続パッドが形成されたデバイス基板に、前記一主面から所定の高さで突出する段差形状となり、前記接続パッドの形成領域を除いて前記機能素子の形成領域を保護するキャビティを構成するように前記一主面上に保護部材を設ける工程と、板状電極がフレームに一体に成形されたリードフレームを前記デバイス基板に対して所定の位置に配置し、接続部を介して前記板状電極と前記接続パッドを電気的に接続する工程と、前記板状電極の表面の一部を露出し、かつ、少なくとも前記接続部と前記板状電極の接点、前記接続部、前記接続パッド及び前記保護部材を封止するように絶縁樹脂層を形成する工程と、前記フレームから前記板状電極を切断する工程とを有し、露出した前記板状電極の表面から外部接続されるようにパッケージ化する。
【0012】
上記の本発明のマイクロデバイスのパッケージング方法は、一主面に可動部または振動子を有する機能素子が形成され、機能素子に接続するように一主面に接続パッドが形成されたデバイス基板に、一主面から所定の高さで突出する段差形状となり、接続パッドの形成領域を除いて機能素子の形成領域を保護するキャビティを構成するように一主面上に保護部材を設ける。
次に、板状電極がフレームに一体に成形されたリードフレームをデバイス基板に対して所定の位置に配置し、接続部を介して板状電極と接続パッドを電気的に接続する。
次に、板状電極の表面の一部を露出し、かつ、少なくとも接続部と板状電極の接点、接続部、接続パッド及び保護部材を封止するように絶縁樹脂層を形成する。
さらに、フレームから板状電極を切断する。
上記のようにして、露出した板状電極の表面から外部接続されるようにパッケージ化する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のマイクロデバイスは、MEMS、SAW素子あるいはF−BARなどの機能面に振動子または可動部を持つ機能素子を有するマイクロデバイスとして、リードフレームから製造できる安価な板状電極として用いており、露出した板状電極の表面の側において、絶縁樹脂層の表面やデバイス基板の他主面で構成することで容易に平坦化された構成とすることが可能な、通常の実装基板にハンダで容易に実装できるパッケージ形態である。
【0014】
また、本発明のマイクロデバイスのパッケージング方法は、MEMS、SAW素子あるいはF−BARなどの機能面に振動子または可動部を持つ機能素子を有するマイクロデバイスのパッケージングに際して、安価なリードフレームを板状電極として用いており、露出した板状電極の表面の側において、絶縁樹脂層の表面やデバイス基板の他主面で構成することで容易に平坦化することができ、通常の実装基板にハンダで容易に実装できるパッケージ形態に安価に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係るマイクロデバイス及びそのパッケージング方法について図面を参照して説明する。
【0016】
第1実施形態
図1(a)は本実施形態に係るパッケージ化されたマイクロデバイスの斜視図であり、図1(b)は図1(a)中のX−X’における断面図である。
図1(a)及び(b)に示すマイクロデバイスは、MEMS、SAW素子あるいはF−BARなどの可動部または振動子を持つ機能素子を備えたマイクロデバイス20である。
【0017】
例えば、半導体からなるデバイス基板11の一主面に、MEMS、SAW素子あるいはF−BARなどの可動部または振動子を持つ機能素子12が形成されており、機能素子12に接続するように一主面に接続パッド15が形成されており、さらに一主面から所定の高さで突出する段差形状となり、接続パッド15の形成領域を除いて機能素子12の形成領域を保護するキャビティCを構成するようにガラスなどからなるキャップ13が樹脂などの接着層14で接着されて構成される保護部材が、デバイス基板11の一主面上に設けられている。
上記の一主面と保護部材の内面から構成されるキャビティCは、例えば、真空、減圧、還元雰囲気、あるいは不活性ガス雰囲気に保持されている。
【0018】
例えば、リードフレームから切断されて構成された複数の板状電極21aの接点が、接続パッド15と対向するように配置されており、接続部として接続パッド15に形成されたバンプ(突起電極)22によって、接続パッド15と板状電極21aが電気的に接続されている。バンプ22は、板状電極21a側に形成されていてもよい。
ここで、例えば、上記の構成において、複数の板状電極21aが所定の距離で離間して配置されており、離間した複数の板状電極21aの間に、段差形状となっている保護部材(13,14)が入り込むような配置となっている。
【0019】
さらに、例えば、板状電極21aの表面の一部を露出し、かつ、少なくとも接続部であるバンプ22と板状電極21aの接点、バンプ22、接続パッド15及び保護部材(13,14)を封止するように、絶縁樹脂層23が形成されている。
【0020】
ここで、例えば、露出した板状電極21aの表面の側において、絶縁樹脂層の表面と、露出した板状電極21aの表面が実質的に同一の面となるように形成されている。実質的に同一の面であるとは、板状電極21aの表面がハンダづけで実装基板に実装されるときに、ハンダ接続の障害とならない程度の多少の段差は許容するものである。
上記のようにパッケージ化されたマイクロデバイス20が構成されており、露出した板状電極21aの表面から外部接続される構成となっている。
【0021】
上記の機能素子12が形成されたデバイス基板11、接続パッド15及び保護部材(13,14)の構成は、例えばウェハレベルでのプロセスでこの形態まで加工されたものであり、0−レベルパッケージと称せられる。
【0022】
図2(a)は上記の0−レベルパッケージ10の斜視図であり、図2(b)は図2(a)中のX−X’における断面図である。
例えば、デバイス基板11の一主面に可動部または振動子を持つ機能素子12が形成されており、機能素子12に接続する接続パッド15が一主面に形成されている。
また、上記の一主面から所定の高さで突出する段差形状となり、接続パッド15の形成領域を除いて機能素子12の形成領域を保護するキャビティCを構成するように、ガラスなどからなるキャップ13が樹脂などの接着層14で接着されて構成される保護部材が設けられている。
0−レベルパッケージは、パッケージングやマウント工程におけるアクティブエリアのダメージを防ぐことができる構造となっている。この状態で気密性が確保され、可動部分も保護された状態で、パッケージ部品と同等の取り扱いができる。
【0023】
図3(a)は、図1(a)及び(b)に示すマイクロデバイスの絶縁樹脂層中における板状電極21aとバンプ22のレイアウトを示す模式平面図である。
パッケージの中央部にキャビティCを構成するキャップ13などの保護部材が配置され、この外周部を取り囲むように、複数(図面上は18個)の板状電極21aが配置されており、それぞれにバンプ22が接続して形成されている。
【0024】
図3(b)は、図1(a)及び(b)に示すマイクロデバイスを構成する0−レベルパッケージのレイアウトを示す模式平面図である。
デバイス基板11の中央部にキャビティCを構成するキャップ13などの保護部材が配置され、この外周部を取り囲むように、板状電極21aに対応する個数の接続パッド15が配置されており、それぞれにバンプ22が接続して形成されている。
【0025】
図4は本実施形態に係るパッケージ化されたマイクロデバイス20の実装形態を示す断面図である。
実装基板30は、例えば3層の樹脂層(31,32,33)及びパターン加工された配線(34,35,36,37)が交互に積層し、樹脂層(31,32,33)のうちの1層または複数の層を貫通して各配線(34,35,36,37)間を接続する垂直配線(38,39,40)が形成されて構成されている。
上記のような実装基板30の表面に形成された配線37上に、本実施形態のパッケージ化されたマイクロデバイス20が、板状電極21aの表面に露出している側を実装基板30に向けて、ハンダ50により接続されて実装されている。
【0026】
上記の本実施形態に係るマイクロデバイスは、好ましくは、パッケージ化されたマイクロデバイスのトータルの厚みが400μm以下である。
上記のように、パッケージの総厚は0−レベルパッケージの厚みと、保護部材等を被覆する部分の絶縁樹脂層の厚みの和に相当し、0−レベルパッケージを薄く加工することで、パッケージのトータルでも400μm以下の厚みにすることができる。
【0027】
本実施形態のパッケージ化されたマイクロデバイス20は、MEMS、SAW素子あるいはF−BARなどの機能面に振動子または可動部を持つ機能素子を有するマイクロデバイスとして、リードフレームから製造できる安価な板状電極として用いており、露出した板状電極の表面の側が絶縁樹脂層の表面で構成されて容易に平坦化されており、通常の実装基板にハンダで容易に実装できるパッケージ形態となっている。
【0028】
次に、本実施形態に係るパッケージ化されたマイクロデバイスのパッケージング方法について説明する。
図5は、本実施形態で使用するリードフレームの平面図である。
例えば、所定の厚みの金属板が打ち抜きなどでパターン加工されており、板状電極21が所定の間隔で離間して配置され、フレームFと一体に形成された構成となっている。
通常のリードフレームで中央部に設けられる、内蔵部品を支持する部分は設けられていない。
【0029】
図5に示すリードフレームを用いてマイクロデバイスをパッケージ化する工程について、工程の断面図である図6(a)〜(c)を参照して説明する。
図6(a)は図5のX−X’における断面図に相当し、例えば、上記のリードフレームにおける複数の板状電極21が所定の間隙をもって配置されている状態を示している。
【0030】
一方で、例えば、一主面に可動部または振動子を有する機能素子12が形成され、機能素子12に接続するように一主面に接続パッド15が形成されたデバイス基板11に、一主面から所定の高さで突出する段差形状となり、接続パッドの形成領域を除いて機能素子12の形成領域を保護するキャビティCを構成するように一主面上に保護部材(13,14)を設け、さらに接続パッド15にハンダボールバンプやスタッドバンプなどのバンプ22を設けて、図2(a)及び(b)に示す形態の0−レベルパッケージ10を形成しておく。
【0031】
次に、図6(b)に示すように、例えば、板状電極21がフレームFに一体に成形されたリードフレームを0−レベルパッケージ10のデバイス基板11に対して、接続パッド15と板状電極21を対向させて、所定の位置に配置し、バンプ22を介して板状電極21と接続パッド15を電気的に接続して、0−レベルパッケージをリードフレームにマウントする。
ここで、例えば、上記のリードフレームの板状電極21をデバイス基板11に対して所定の位置に配置し、バンプ22を介して板状電極21と接続パッド15を電気的に接続するときに、離間した複数の板状電極21の間に、段差形状となっている保護部材(13,14)が入り込むように配置して、マウントする。
【0032】
次に、図6(c)に示すように、例えば射出成形により、板状電極21の表面の一部を露出し、かつ、少なくともバンプ22と板状電極21の接点、バンプ22、接続パッド15及び保護部材(13,14)を封止するように絶縁樹脂層23を形成する。
【0033】
上記の射出成形での絶縁樹脂層23の形成工程において、例えば、露出した板状電極21の表面の側において、絶縁樹脂層23の表面と、露出した板状電極21の表面が実質的に同一の面となるように、形成する。
次に、フレームFから板状電極21を切断する。これにより、板状電極21aはフレームから独立され、バンプ22に接続して絶縁樹脂層23中に埋め込まれたブロック状の導電体として構成される。
【0034】
上記のようにして、本実施形態に係るマイクロデバイスは、露出した板状電極21aの表面から外部接続されるようにパッケージ化することができる。
【0035】
本実施形態のマイクロデバイスのパッケージング方法は、MEMS、SAW素子あるいはF−BARなどの機能面に振動子または可動部を持つ機能素子を有するマイクロデバイスのパッケージングに際して、安価なリードフレームを板状電極として用いており、露出した板状電極の表面の側において、絶縁樹脂層の表面やデバイス基板の他主面で構成することで容易に平坦化することができ、通常の実装基板にハンダで容易に実装できるパッケージ形態に安価に製造することができる。
【0036】
第2実施形態
図7(a)は本実施形態に係るパッケージ化されたマイクロデバイスの斜視図であり、図7(b)は図7(a)中のX−X’における断面図である。
図7(a)及び(b)に示すマイクロデバイスは、MEMS、SAW素子あるいはF−BARなどの可動部または振動子を持つ機能素子を備えたマイクロデバイス20’である。
【0037】
第1実施形態と同様にして、機能素子12が形成されたデバイス基板11、接続パッド15及び保護部材(13,14)からなる0−レベルパッケージ10のデバイス基板11の外周部において、複数の板状電極21aが所定の距離で離間して配置されており、離間した複数の板状電極21aの間に、デバイス基板11が入り込むような配置となっている。
【0038】
また、デバイス基板11の接続パッド15と板状電極21aの接続部との接点が同じ側を向くように配置されており、接続部としてボンディングワイヤ24により接続パッド15と板状電極21aが電気的に接続されている。
さらに、例えば、板状電極21aの表面の一部を露出し、かつ、少なくとも接続部であるボンディングワイヤ24と板状電極21aの接点、ボンディングワイヤ24、接続パッド15及び保護部材(13,14)を封止するように、絶縁樹脂層23が形成されている。
【0039】
ここで、例えば、露出した板状電極21aの表面の側において、絶縁樹脂層23の表面及びデバイス基板11の他主面と、露出した板状電極21aの表面が実質的に同一の面となるように形成されている。実質的に同一の面であるとは、板状電極21aの表面がハンダづけで実装基板に実装されるときに、ハンダ接続の障害とならない程度の多少の段差は許容するものである。
上記のようにパッケージ化されたマイクロデバイス20’が構成されており、露出した板状電極21aの表面から外部接続される構成となっている。
【0040】
図8は、図7(a)及び(b)に示すマイクロデバイスの絶縁樹脂層中における板状電極21aと接続パッド15及びそれらを接続するボンディングワイヤ24のレイアウトを示す模式平面図である。
パッケージの中央部にキャビティCを構成するキャップ13などの保護部材が配置され、この外周部を取り囲むように、デバイス基板11上に、複数(図面上は18個)の接続パッド15が配置されている。
上記の接続パッド15に対応するように、その外周部において板状電極21aが配置されており、それぞれボンディングワイヤ24で接続されている。
【0041】
図9は本実施形態に係るパッケージ化されたマイクロデバイス20’の実装形態を示す断面図である。
実装基板30は、第1実施形態と同様に、例えば3層の樹脂層(31,32,33)及びパターン加工された配線(34,35,36,37)及び垂直配線(38,39,40)などから構成されている。
上記のような実装基板30の表面に形成された配線37上に、本実施形態のパッケージ化されたマイクロデバイス20’が、板状電極21aの表面に露出している側を実装基板30に向けて、ハンダ50により接続されて実装されている。
【0042】
上記の本実施形態に係るマイクロデバイスは、好ましくは、パッケージ化されたマイクロデバイスのトータルの厚みが400μm以下である。
上記のように、パッケージの総厚は0−レベルパッケージの厚みと、保護部材を被覆する部分の絶縁樹脂層の厚みの和に相当し、0−レベルパッケージを薄く加工することで、パッケージのトータルでも400μm以下の厚みにすることができる。
【0043】
本実施形態のパッケージ化されたマイクロデバイス20’は、MEMS、SAW素子あるいはF−BARなどの機能面に振動子または可動部を持つ機能素子を有するマイクロデバイスとして、リードフレームから製造できる安価な板状電極を用いており、露出した板状電極の表面の側が絶縁樹脂層の表面及びデバイス基板の他主面で構成されて容易に平坦化されており、通常の実装基板にハンダで容易に実装できるパッケージ形態となっている。
【0044】
次に、本実施形態に係るパッケージ化されたマイクロデバイスのパッケージング方法について説明する。
リードフレームとしては、第1実施形態と同様のものを使用する。
即ち、例えば、所定の厚みの金属板が打ち抜きなどでパターン加工されており、板状電極21が所定の間隔で離間して配置され、フレームFと一体に形成された構成となっている。
【0045】
上記のようなリードフレームを用いてマイクロデバイスをパッケージ化する工程について、工程の断面図である図10(a)〜(c)及び図11(a)及び(b)を参照して説明する。
まず、図10(a)に示すように、リードフレームにモールドシート25を貼り合わせる。図10(a)は、上記のリードフレームにおける複数の板状電極21が所定の間隙をもって配置されている状態を示している。
【0046】
一方で、第1実施形態と同様に、図2(a)及び(b)に示す形態の0−レベルパッケージ10を形成しておく。
【0047】
次に、図10(b)に示すように、例えば、上記のリードフレームの離間した複数の板状電極21の間に0−レベルパッケージ10のデバイス基板11が入り込むように、また、接続パッド15と板状電極21の接続部との接点が同じ側を向くようにして、0−レベルパッケージ10をモールドシート25上に配置する。
【0048】
次に、図10(c)に示すように、ボンディングワイヤ24を形成して板状電極21と接続パッド15を電気的に接続する。
上記のようにして、0−レベルパッケージとリードフレームを接続する。
【0049】
次に、図11(a)に示すように、例えば射出成形により、板状電極21の表面の一部を露出し、かつ、少なくともボンディングワイヤ24と板状電極21の接点、ボンディングワイヤ24、接続パッド15及び保護部材(13,14)を封止するように絶縁樹脂層23を形成する。
【0050】
上記の射出成形での絶縁樹脂層23の形成工程において、上記のようにモールドシート25を用いているので、露出した板状電極21の表面の側において、絶縁樹脂層23の表面及びデバイス基板の他主面と、露出した板状電極21の表面が実質的に同一の面となる。
【0051】
次に、図11(b)に示すように、モールドシート25を剥離し、さらに、フレームFから板状電極21を切断する。これにより、板状電極21aはフレームから独立され、ボンディングワイヤ24に接続して絶縁樹脂層23中に埋め込まれたブロック状の導電体として構成される。
【0052】
上記のようにして、本実施形態に係るマイクロデバイスは、露出した板状電極21aの表面から外部接続されるようにパッケージ化することができる。
【0053】
本実施形態のマイクロデバイスのパッケージング方法は、MEMS、SAW素子あるいはF−BARなどの機能面に振動子または可動部を持つ機能素子を有するマイクロデバイスのパッケージングに際して、安価なリードフレームを板状電極として用いており、露出した板状電極の表面の側において、絶縁樹脂層の表面やデバイス基板の他主面で構成することで容易に平坦化することができ、通常の実装基板にハンダで容易に実装できるパッケージ形態に安価に製造することができる。
【0054】
以上の本実施形態のマイクロデバイスによれば、以下の効果を享受できる。
0−レベルパッケージで気密封止された部品を、リードフレームを用いてパッケージ化することにより、中空構造を要求されるような部品の、薄型チップサイズパッケージングが可能になり、チップサイズに近く、且つ、安価な平面基板への実装が可能になる。その結果、より高密度の実装が可能となり、製品の小型化が実現する。
0−レベルパッケージをそのまま実装しようとすると、実装基板にキャップ用の凹部を設ける必要が生じたり、実装基板上でキャップを封止する樹脂層により実装の高さや面積が大きくなってしまうことがあるが、本実施形態のようにパッケージ化することにより、小さい実装面積で、通常の実装基板に実装可能となる。
【0055】
また、このパッケージは、実装基板にはんだ付け実装が可能であり、接続信頼性も向上し、さらに、実装基板への実装のハンダづけを他の表面実装用部品と一括リフローにより実装することができ、製造加工費の低減も実現できる。
さらに、ベアチップの実装基板へのダイレクト実装と比較して、ヒートサイクル等の実装信頼性の面でも有利である。
以上のことから、総じて、製品のコストダウンを実現できる。
【0056】
本発明は上記の実施形態に限定されない。
例えば、MEMSの他、SAW素子やF−BARなどの機能素子を有するマイクロデバイスを内蔵した半導体装置とすることも可能である。
実装基板としては上記で一例を挙げているだけであり、種々のインタポーザなどの実装基板やチップなどに実装できる。
0−レベルパッケージの製造方法には限定はなく、種々の方法を適用できる。
その他、本発明の観点を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明のパッケージ化されたマイクロデバイスは、MEMS、SAW素子あるいはF−BARなどの機能面に可動部または振動子を持つ機能素子を有してパッケージ化されたマイクロデバイスに適用できる。
本発明のマイクロデバイスのパッケージング方法は、MEMS、SAW素子あるいはF−BARなどの機能面に可動部または振動子を持つ機能素子を有するマイクロデバイスをパッケージングする方法に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1(a)は本発明の第1実施形態に係るパッケージ化されたマイクロデバイスの斜視図であり、図1(b)は図1(a)中のX−X’における断面図である。
【図2】図2(a)は0−レベルパッケージ10の斜視図であり、図2(b)は図2(a)中のX−X’における断面図である。
【図3】図3(a)は、図1(a)及び(b)に示すマイクロデバイスの絶縁樹脂層中における板状電極とバンプのレイアウトを示す模式平面図であり、図3(b)は、図1(a)及び(b)に示すマイクロデバイスを構成する0−レベルパッケージのレイアウトを示す模式平面図である。
【図4】図4は本発明の第1実施形態に係るパッケージ化されたマイクロデバイスの実装形態を示す断面図である。
【図5】図5は本発明の第1実施形態で使用するリードフレームの平面図である。
【図6】図6(a)〜(c)は本発明の第1実施形態の係るマイクロデバイスのパッケージング方法の工程の断面図である。
【図7】図7(a)は本発明の第2実施形態に係るパッケージ化されたマイクロデバイスの斜視図であり、図7(b)は図7(a)中のX−X’における断面図である。
【図8】図8は、図7(a)及び(b)に示すマイクロデバイスの絶縁樹脂層中における接続パッド、板状電極及びボンディングワイヤのレイアウトを示す模式平面図である。
【図9】図6は本発明の第2実施形態に係るパッケージ化されたマイクロデバイスの実装形態を示す断面図である。
【図10】図10(a)〜(c)は本発明の第2実施形態の係るマイクロデバイスのパッケージング方法の工程の断面図である。
【図11】図11(a)及び(b)は本発明の第2実施形態の係るマイクロデバイスのパッケージング方法の工程の断面図である。
【符号の説明】
【0059】
10…0−レベルパッケージ、11…デバイス基板、12…機能素子、13…キャップ、14…接着層、15…接続パッド、20,20’…マイクロデバイス、21,21a…板状電極、22…バンプ(突起電極)、23…絶縁樹脂層、24…ボンディングワイヤ、25…モールドシート、30…実装基板、31,32,33…樹脂層、34,35,36,37…配線、38,39,40…垂直配線、50…ハンダ、C…キャビティ、F…フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一主面に可動部または振動子を有する機能素子が形成されたデバイス基板と、
前記機能素子に接続するように前記デバイス基板の前記一主面に形成された接続パッドと、
前記一主面から所定の高さで突出する段差形状となり、前記接続パッドの形成領域を除いて前記機能素子の形成領域を保護するキャビティを構成するように前記一主面上に設けられた保護部材と、
前記接続パッドに電気的に接続するように設けられた板状電極と、
前記接続パッドと前記板状電極を接続する接続部と、
前記板状電極の表面の一部を露出し、かつ、少なくとも前記接続部と前記板状電極の接点、前記接続部、前記接続パッド及び前記保護部材を封止するように形成された絶縁樹脂層と
を有し、露出した前記板状電極の表面から外部接続されるようにパッケージ化された
マイクロデバイス。
【請求項2】
露出した前記板状電極の表面の側において、前記絶縁樹脂層の表面及び/または前記デバイス基板の他主面と、露出した前記板状電極の表面が実質的に同一の面となるように形成されている
請求項1に記載のマイクロデバイス。
【請求項3】
前記接続パッドと前記板状電極の前記接続部との接点が対向して配置されており、
前記接続部が突起電極である
請求項1に記載のマイクロデバイス。
【請求項4】
複数の前記板状電極が所定の距離で離間して配置されており、
離間した前記複数の板状電極の間に前記段差形状となっている前記保護部材が入り込むように配置されている
請求項3に記載のマイクロデバイス。
【請求項5】
前記接続パッドと前記板状電極の前記接続部との接点が同じ側を向くように配置されており、
前記接続部がボンディングワイヤである
請求項1に記載のマイクロデバイス。
【請求項6】
複数の前記板状電極が所定の距離で離間して配置されており、
離間した前記複数の板状電極の間に前記デバイス基板が入り込むように配置されている
請求項5に記載のマイクロデバイス。
【請求項7】
一主面に可動部または振動子を有する機能素子が形成され、前記機能素子に接続するように前記一主面に接続パッドが形成されたデバイス基板に、前記一主面から所定の高さで突出する段差形状となり、前記接続パッドの形成領域を除いて前記機能素子の形成領域を保護するキャビティを構成するように前記一主面上に保護部材を設ける工程と、
板状電極がフレームに一体に成形されたリードフレームを前記デバイス基板に対して所定の位置に配置し、接続部を介して前記板状電極と前記接続パッドを電気的に接続する工程と、
前記板状電極の表面の一部を露出し、かつ、少なくとも前記接続部と前記板状電極の接点、前記接続部、前記接続パッド及び前記保護部材を封止するように絶縁樹脂層を形成する工程と、
前記フレームから前記板状電極を切断する工程と
を有し、
露出した前記板状電極の表面から外部接続されるようにパッケージ化する
マイクロデバイスのパッケージング方法。
【請求項8】
前記板状電極と前記接続パッドを電気的に接続する工程及び/または前記絶縁樹脂層を形成する工程において、露出した前記板状電極の表面の側において、前記絶縁樹脂層の表面及び/または前記デバイス基板の他主面と、露出した前記板状電極の表面が実質的に同一の面となるように、形成する
請求項7に記載のマイクロデバイスのパッケージング方法。
【請求項9】
前記接続パッドまたは前記板状電極に突起電極を形成する工程とさらに有し、
前記板状電極と前記接続パッドを電気的に接続する工程においては、前記接続パッドと前記板状電極を対向させて、前記接続部として前記突起電極を介して前記板状電極と前記接続パッドを接続する
請求項7に記載のマイクロデバイスのパッケージング方法。
【請求項10】
板状電極がフレームに一体に成形されたリードフレームとして、複数の前記板状電極が所定の距離で離間して配置された構成のリードフレームを用い、
前記リードフレームを前記デバイス基板に対して所定の位置に配置し、接続部を介して前記板状電極と前記接続パッドを電気的に接続する工程においては、離間した前記複数の板状電極の間に前記段差形状となっている前記保護部材が入り込むように配置して、前記突起電極を介して前記板状電極と前記接続パッドを電気的に接続する
請求項9に記載のマイクロデバイスのパッケージング方法。
【請求項11】
前記リードフレームを前記デバイス基板に対して所定の位置に配置し、接続部を介して前記板状電極と前記接続パッドを電気的に接続する工程においては、前記接続パッドと前記板状電極の前記接続部との接点が同じ側を向くように配置し、前記接続部としてボンディングワイヤを介して前記板状電極と前記接続パッドを接続する
請求項7に記載のマイクロデバイスのパッケージング方法。
【請求項12】
板状電極がフレームに一体に成形されたリードフレームとして、複数の前記板状電極が所定の距離で離間して配置された構成のリードフレームを用い、
前記リードフレームを前記デバイス基板に対して所定の位置に配置し、接続部を介して前記板状電極と前記接続パッドを電気的に接続する工程においては、離間した前記複数の板状電極の間に前記デバイス基板が入り込むように配置して、前記ボンディングワイヤを介して前記板状電極と前記接続パッドを電気的に接続する
請求項11に記載のマイクロデバイスのパッケージング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−42786(P2007−42786A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−224068(P2005−224068)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】