説明

マスクの清浄

【課題】適切にマスクを清浄する方法を提供する。
【解決手段】マスクを清浄するための方法および装置が、説明される。一実施形態において、本発明は、マスクを清浄する方法である。その方法は、マスクを清浄溶液の中に配置することを含む。また、この方法は、予め定められた攪拌レベルで予め定められた時間だけ清浄溶液を攪拌することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体処理の分野に関する。より詳細には、本発明は、半導体処理に使用されるマスクを清浄することに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの1つの形態は、半導体デバイスと外部回路とを接続するためのCバンプ技術を使用する。Cバンプ技術に使用される導体を形成するために、マスクが、集積回路のウェーハ上に直接に置かれ、導電性金属が、集積回路上のマスクによって決定された位置に成膜される。Cバンプ技術は、集積回路と外部の回路コンポーネント(その他の集積回路またはその他のデバイスのような)とをより迅速に(より高い頻度で)接続するのを可能にする。しかしながら、Cバンプ技術は、これらの結果を達成するために、複雑な厳格に制御された製造プロセスを必要とする。
【0003】
予想されるように、これらのマスクは、厳密な許容誤差を有する。1つのプロセスにおいて、マスクにおけるホールは、1%の許容誤差で直径が4ミル(101.6μm)であるように規定されている。更に、マスクが使用されるたびに、そのマスクは、ホールの寸法をプロセス許容誤差を越えて変化させることなく、清浄されなければならない。当然のことながら、マスクの清浄は、厄介な問題である。
【0004】
更に、プロセスによっては、マスクは、複数回、ある例においては、10回/1マスクほども使用および清浄されなければならない。したがって、マスクのホールに比較的にわずかな変化しか与えない清浄プロセスは、有益である。更に、半導体製造プラントは、24時間/1日、7日/1週間、稼働していることが知られている。その結果として、迅速な清浄プロセスは、有益なものである。更にまた、マスクの清浄は、製造の付加的な経費となる。清浄経費が、マスクの取り替えコストに比較して高すぎれば、清浄は、費用効果がない。ある場合においては、マスクを10回清浄することは、使用できるように清浄されるマスクの取り替えコストよりも費用が小さくなければならない。その結果として、費用のかからない清浄プロセスは、有益である。
【0005】
図1は、清浄を必要とするかもしれない従来技術によるマスクの実施形態を示す図である。マスク110は、集積回路上の所望の位置に導電性バンプを形成するのを可能にするように正確に配置された多くのホールを有する。一実施形態において、マスク110は、比較的に密度の高い元素であるモリブデンから製造される。ホール170は、規則的なアレイとして、あるいは、不規則な間隔で、マスク110の予め定められた位置に配置される。一実施形態において、ホール170は、隣接するホール間の距離Sでもって、規則的なアレイとして配置される。実施形態によっては、距離Sは、約120μmであることが要求されるかもしれず、また、それぞれのホールは、直径が約101.6μmであることが要求されるかもしれない。このように、マスク110の清浄は、困難かつ厳密な作業である。図2は、線A−Aに沿った断面図として見たときの図1の従来技術によるマスクの実施形態を示し、そのマスク上には、成膜された材料を有していない。図2に示されるマスク110は、以前に成膜された材料を清浄されたものであり、あるいは、未使用のものである。一実施形態において、清浄された後のDは、清浄される前のDの1%の範囲内、または、101.6μm+/−1μmでなければならない。更に、別の実施形態において、マスク110の10回までの清浄を可能にするために、清浄された後のDは、清浄される前のDの0.1%の範囲内、または、101.6μm+/−0.1μmでなければならない。図示されるように、Dは、ホールの外径であり、同様に、径の変化に対する類似する許容誤差を有してもよい。
【0006】
図3は、線A−Aに沿った断面図として見たときの従来技術によるマスクの実施形態を示し、そのマスク上には、成膜された材料を有する。マスク110は、半導体デバイス上に成膜される導体をパターン化するために半導体デバイスに接触するように設計されたマスクである。図3に示される図面は、正確な縮尺率で示されていないが、マスク110は、多くの規則的な間隔を有する正確に配置されたそれを貫通するホールを有する比較的に薄いディスク状のプレートであることが要求される。
【0007】
図3において、層120、130、140、および、150は、マスク110上に成膜されたものとして描写されている。層120は、集積回路に良好に付着することが要求されるクロム(Cr)層である。層130は、良好に電気を伝えることが要求される銅(Cu)層である。同様に、層140は、良好に電気を伝えることが要求される金(Au)層である。層150は、良好に電気を伝えかつ外部導体に良好に結合することが要求される鉛/スズ(Pb/Sn)はんだ層である。
【0008】
これらの層は、図2または図3の中央に示されるホールのようなマスク110を貫通するホールによって画成される位置において、半導体の裏側に成膜される。一実施形態において、マスク110のホールは、1%の許容誤差で幅が101.6μmであるように規定される(図2のDによって示されるように)。図4に示されるのは、不適切にマスク110を清浄した後の線A−Aに沿った従来技術によるマスクの断面図である。オーバーエッチングのために、D′は、この時点で径が広すぎ、また、D′も径が広すぎ、そのために、マスク110は、製造に使用される規定された許容誤差を越えたものとなる。そのような不適切な清浄は、マスク110を使用できないものし、場合によっては、当該の製造ラインが、作業を再開する前に、新しいマスクを作成しなければならないことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般的には、半導体プロセスにおける清浄またはエッチングは、様々な有機または無機の酸性溶液またはアルカリ性溶液を含む様々な材料または溶剤を用いて実施される。オーバーエッチングすることなく目的(マスクを実際に清浄するような)を達成する合理的な時間で製造するのを可能にする望ましいエッチング速度は、実験することなく予測することが難しい。様々な酸または塩基は、いくつかの金属には良好に作用するが、エッチングイオンと清浄されるべき金属との間の反応のために、その他の金属には良好に作用しないかもしれない。
【0010】
更に、場合によっては、アシストエッチングが、使用されることもあるが、アシストエッチング中に加えられるエネルギーは、エッチングバスの表面においてより高エネルギーの原子および乱れを発生させることがあるので、エッチングバスから発生する腐食性蒸気に関する問題をもたらし、また、それに対応して、エッチングバスからの浮遊物質を増加させる。注意すべきことは、1つのプロセスは、アシストのための電解液とともに酸を使用するエッチングを含むことである。残念ながら、これは、電気メッキおよび発熱反応が、含まれる金属間の関係に依存して発生することがあるので、エッチングする金属を選択するのに注意を要する。電気メッキは、清浄が一般的に取り除く結合を強化する恐れがあり、また、発熱反応は、安全上の問題を発生させる。与えられたエッチングプロセスのために適切な種類の溶剤およびアシストするための適切な方法(必要であれば)を選択することは、簡単な作業ではなく、あるいは、わかりきった作業ではない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
マスクを清浄するための方法および装置が、説明される。一実施形態において、本発明は、マスクを清浄する方法である。いくつかの実施形態において、本発明は、マスク上に成膜された材料をエッチングによって除去するために、マスクをエッチング溶液の中に配置し、その溶液を攪拌することを含む。別の実施形態において、本発明は、エッチング溶液を備える第1の容器、第1の容器を第2の溶液内に保持する第2の溶液、および、第2の容器に結合または接続された攪拌器を含む。更に別の実施形態において、本発明は、マスク上に成膜された材料をエッチングによって除去するために、マスクをエッチング溶液の中に配置することを含み、また、マスクを定期的にスクラブすることを含んでもよい。
【0012】
一実施形態において、本発明は、上部に成膜された一連の金属を有するモリブデンマスクを清浄する方法である。その方法は、塩酸を含む清浄溶液の中にモリブデンマスクを配置することを含む。また、この方法は、予め定められた時間の後にモリブデンマスクを清浄溶液から除去することを含む。モリブデンマスクは、一組のスルーホールを有してもよい。
【0013】
更なる実施形態において、本発明は、マスクを清浄するための装置である。その装置は、オープントップを有する第1の容器を含む。また、この装置は、オープントップを有する第2の容器を含み、第2の容器は、第1の容器を収容する。装置は、攪拌器を第2の容器内に更に含む。あるいは、攪拌器は、第2の容器に結合されてもよく、あるいは、第2の容器の外側に接触していてもよい。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、マスクを清浄する方法である。その方法は、マスクを清浄溶液の中に配置することを含む。また、この方法は、予め定められた攪拌レベルで予め定められた時間だけ清浄溶液を攪拌することを含む。
【0015】
更に別の実施形態において、本発明は、マスクを清浄するための装置である。その装置は、マスクを清浄するための第1の手段を含む。この装置は、マスクを保持するための第2の手段を含む。また、装置は、第1の手段および第2の手段を攪拌するための第3の手段を含む。装置は、第1の手段を含むための第4の手段を更に含む。また、装置は、第4の手段を取り囲むための第5の手段を含む。更に、装置は、第5の手段および第3の手段を保持するための第6の手段を含む。
【0016】
更に別の実施形態において、本発明は、マスクを清浄する方法である。その方法は、マスクをコンテナに入れることを含む。また、この方法は、コンテナを清浄溶液の中に配置することを含む。清浄溶液は、第1の容器内に含まれる。第1の容器は、第2の容器内に収容される。第2の容器は、第1の容器を取り囲む水溶液を含む。
【0017】
更に別の実施形態において、本発明は、上部に成膜された一連の金属を有するモリブデンマスクを清浄する方法である。本発明は、モリブデンマスクを清浄溶液の中に配置することを含む。また、この方法は、予め定められた時間の後に清浄溶液からモリブデンマスクを除去することを含む。この方法は、予め定められた攪拌レベルで予め定められた時間だけ清浄溶液を攪拌することを更に含んでもよい。一連の金属は、クロム、銅、金、および、鉛/スズ混合物を含んでもよい。
【0018】
本明細書に組み込まれかつ本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を示し、以下の説明とともに、本発明の原理を説明する役割をなす。それらの図面は、本発明を限定するものではなく、本発明を説明するためのものであることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来技術によるマスクの実施形態を示す図である。
【図2】図1に示される従来技術によるマスクの実施形態を線A−Aにおける断面図で示す図であり、上部に成膜された材料を備えていない。
【図3】図1に示される従来技術によるマスクの実施形態を線A−Aにおける断面図で示すもう1つの図であり、上部に成膜された材料を備える。
【図4】材料が清浄によって不適切に除去された後の図1に示される従来技術によるマスクの実施形態を線A−Aにおける断面図で示す図である。
【図5】清浄システムの実施形態を示す図である。
【図6】マスクを保持するウェーハホルダーの実施形態を図5の線B−Bに沿って見た図である。
【図7】ウェーハホルダーの実施形態を図6の線C−Cに沿って見たもう1つの図である。
【図8】ウェーハホルダーの実施形態を斜視図で示すもう1つの図である。
【図9】マスクを清浄するプロセスの実施形態を説明するフローチャートである。
【図10】マスクを清浄するプロセスの実施形態を説明するもう1つのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
マスクを清浄するための方法および装置が、説明される。以下の記述においては、本発明を十分に理解できるように、多くの特定の細部が、説明のために、記述される。しかしながら、当業者には、本発明がこれらの特定の細部を備えることなく実施されてもよいことは明白なことである。別の場合においては、構造体および装置は、本発明をわかりにくくするのを回避するために、ブロック図の形態で示される。
【0021】
実施形態によっては、本発明は、マスク上に成膜された材料をエッチングによって除去するために、エッチング溶液の中にマスクを配置し、溶液を攪拌することを含む。別の実施形態において、本発明は、エッチング溶液を備える第1の容器、第1の容器を第2の溶液中に保持する第2の容器、および、第2の容器に結合または接続された攪拌器を含む。更に別の実施形態において、本発明は、マスク上に成膜された材料をエッチングによって除去するために、エッチング溶液の中にマスクを配置することを含み、また、マスクを定期的にスクラブすることを含んでもよい。
【0022】
一実施形態において、本発明は、上部に成膜された一連の金属を有するモリブデンマスクを清浄する方法である。その方法は、塩酸を含む清浄溶液の中にモリブデンマスクを配置することを含む。また、この方法は、予め定められた期間の後に、清浄溶液からモリブデンマスクを除去することを含む。モリブデンマスクは、一組のスルーホールを有してもよい。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、マスクを清浄するための装置である。その装置は、オープントップを有する第1の容器を含む。また、この装置は、オープントップを有する第2の容器を含み、第2の容器は、第1の容器を収容する。装置は、更に、第2の容器内に攪拌器を含む。あるいは、攪拌器は、第2の容器に結合されてもよく、あるいは、第2の容器の外側に接触していてもよい。
【0024】
別の実施形態において、本発明は、マスクを清浄する方法である。その方法は、清浄溶液の中にマスクを配置することを含む。また、この方法は、予め定められた攪拌レベルで予め定められた期間だけ清浄溶液を攪拌することを含む。
【0025】
更に別の実施形態において、本発明は、マスクを清浄するための装置である。その装置は、マスクを清浄するための第1の手段を含む。この装置は、マスクを保持するための第2の手段を含む。また、装置は、第1の手段および第2の手段を攪拌するための第3の手段を含む。装置は、更に、第1の手段を収容するための第4の手段を含む。また、装置は、第4の手段を取り囲むための第5の手段を含む。更に、装置は、第5の手段および第3の手段を保持するための第6の手段を含む。
【0026】
更に別の実施形態において、本発明は、マスクを清浄する方法である。その方法は、マスクをコンテナに入れることを含む。また、この方法は、清浄溶液の中にコンテナを配置することを含む。清浄溶液は、第1の容器内に収容される。第1の容器は、第2の容器内に収容される。第2の容器は、第1の容器を取り囲む水溶液を収容する。
【0027】
更に別の実施形態において、本発明は、上部に成膜された一連の金属を有するモリブデンマスクを清浄する方法である。本発明は、清浄溶液の中にモリブデンマスクを配置することを含む。また、この方法は、予め定められた期間の後に、清浄溶液からモリブデンマスクを除去することを含む。この方法は、更に、予め定められた攪拌レベルで予め定められた期間だけ清浄溶液を攪拌することを含んでもよい。一連の金属は、クロム、銅、金、および、鉛/スズ混合物を含んでもよい。
【0028】
図5は、清浄システムの実施形態である。いくつかの実験の後、マスク110およびそれに類似するマスクは、エッチング溶液を用いて、清浄されてもよく、また、アシストエッチングは、有益なものであることが確認された。第1のあるいは内部の容器310は、エッチング溶液320を収容し、また、キャップ330によって覆われる。内部容器310の中には、ウェーハボート340が、配置され、ウェーハボート340は、マスク110のようなマスクを保持する。好ましくは、ウェーハボート340は、幾つかのマスクを同時に保持し、流体がマスクの表面に接触するのを可能にする。
【0029】
内部容器310は、外部のまたは第2の容器350の底面に配置されたベース360によって支持される。容器350は、水溶液370を収容し、また、キャップ380によって覆われてもよい。外部容器350は、攪拌器390によって支持され、その攪拌器390は、例えば、振動機構に取り付けられたスラブであってもよい。したがって、エッチング溶液または清浄溶液320は、攪拌器390を使用することによって攪拌されてもよく、その攪拌器の振動は、容器350、ベース360、および、容器310に伝達される。攪拌器390は、振動の周波数に基づいて、あるいは、振動を介して出力される電力に基づいて評価されてもよい。
【0030】
図6は、図5の線B−Bに沿って見たときのマスクを保持するウェーハホルダーの実施形態である。ウェーハホルダー410は、例えば、図3のウェーハボート340の一部として使用されてもよい。ウェーハホルダー410は、突起420、ラッチ430、および、ヒンジ部分440を含む。一実施形態において、ウェーハホルダー410は、Teflon(登録商標)から製造される。別の実施形態において、ウェーハホルダー410は、高密度ポリエチレンから製造される。いずれの実施形態においても、ウェーハホルダー410は、マスク110が嵌り込むことのできる溝(v字形の溝のような)を有することが要求されてもよい。そのような溝は、ウェーハホルダー410の1つかまたはそれ以上の内面に沿って存在してもよく、マスクが曲がるのを防止するために、マスクのぴったりした嵌め合いおよびしっかりとした包囲を可能にする。
【0031】
図7は、図6の線C−Cに沿って見たときのウェーハホルダーの実施形態を示す更なる図面である。溝450は、ウェーハホルダー410の内面の一部として示される。図8は、ウェーハホルダーの実施形態を斜視図で示す更にもう1つの図面である。ウェーハホルダー410A(突起420A、ラッチ430A、および、ヒンジ440Aを含む)は、第2のウェーハホルダー410B(突起420B、ラッチ430B、および、ヒンジ440Bを含む)に接続される。ウェーハホルダー410Aおよび410Bは、ともに、ウェーハボート340のようなウェーハボートの全体または一部を構成する。ウェーハホルダー410の正確な形状は、本発明のウェーハホルダーの精神および範囲内において、様々に変化してもよいことに注意されたい。
【0032】
清浄システムおよびウェーハホルダーは、様々な形で使用されてもよい。図9は、清浄マスクのプロセスの実施形態である。ブロック510において、清浄されるべきマスクが、例えば、製造ラインから受け取られる。ブロック520において、清浄システムまたは装置の外部容器は、例えば、脱イオン水を満たされる。ブロック530において、清浄装置の内部容器は、例えば、エッチング溶液を満たされ、そして、内部容器は、外部容器の中に配置される。ブロック540において、マスクが、マスクホルダーまたはウェーハホルダーのようなコンテナの中に配置される。ブロック550において、コンテナは、内部容器の中に配置され、それによって、マスクをエッチング溶液の中に浸す。ブロック560において、内部容器は、蓋をされ、それによって、エッチング溶液のヒュームまたは漏れ出る分子を減少させる。
【0033】
ブロック570において、清浄システムは、攪拌され、エネルギーをシステムに取り込み、エッチング溶液のエッチング速度を潜在的に増加させる。予め定められた時間の後に、ブロック580において、コンテナが、内部容器から取り出される。ブロック590において、マスクは、脱イオン水によって洗浄される。ブロック595において、マスクは、窒素によって乾燥させられる。このようにして、上部にそれまでに成膜された材料のないマスクが、得られる。
【0034】
攪拌は使用されなくてもよいことに注意されたい。図10は、マスクを清浄するプロセスの別の実施形態を示す図である。ブロック610において、清浄されるべきマスクは、例えば、製造ラインから受け取られる。ブロック620において、清浄システムまたは清浄装置の外部容器は、例えば、脱イオン水を満たされる。ブロック630において、清浄システムの内部容器は、例えば、エッチング溶液を満たされる。内部容器は、外部容器の中に配置され、あるいは、そこにあらかじめ取り付けられていてもよい。ブロック640において、マスクは、マスクホルダーまたはウェーハホルダーのようなコンテナの中に配置される。ブロック650において、コンテナは、内部容器の中に配置され、それによって、マスクをエッチング溶液に浸す。
【0035】
ブロック655において、内部容器は、蓋をされ、それによって、エッチング溶液のヒュームまたは漏れ出る分子を減少させる。予め定められた時間の後に、ブロック660において、内部容器は、開けられ、あるいは、蓋を外され、マスクにアクセスするのを可能にする。ブロック665において、コンテナは、内部容器から取り出される。ブロック670において、マスクは、スクラブされ、形成されたかもしれないすべての膜(保護膜またはパッシベーション膜のような)が除去される。ブロック675において、マスクが清浄なものかどうかについて判断がなされる。もし清浄なものでなければ、プロセスは、ブロック650に戻り、コンテナは、再度、内部容器の中に配置される。
【0036】
マスクが清浄なものであれば、ブロック680において、マスクは、脱イオン水によって洗浄される。ブロック690において、マスクは、窒素によって乾燥させられる。このようにして、上部にそれまでに成膜された材料のないマスクが、得られる。異なる様々なエッチング溶液は、スクラブまたは攪拌を必要としてもよく、あるいは、必要としなくてもよく、また、マスク上に成膜された材料に依存して、異なる時間が、適切なものであるかもしれないことに注意されたい。
(実施例1)
【0037】
一実施形態において、塩酸(HCl)からなるエッチング溶液が、使用された。約10重量%から約37重量%までの範囲にある塩酸の様々な濃度が、検査された。約37%の濃度は、とりわけ、攪拌とともに有効であることがわかった。37%の濃度および約25W/ガロンの攪拌電力の液体による約20分のエッチングは、マスクにあまり損傷をつけることなく(+/−0.1μm規格の範囲内において)、マスク上に成膜された材料を迅速に取り除いた。マスクへの損傷は、SEM(走査型電子顕微鏡)で検査された。
【0038】
攪拌器の異なる様々な電力設定が、約5W/ガロンの液体から約50W/ガロンの液体までの範囲で試された。例えば、100W/ガロンのような更に高いレベルにおける攪拌電力が、使用されてもよい。同様に、エッチング時間が、数分から40分またはそれ以上の分数の範囲で検査され、また、温度が、ほぼ室温(25℃)から約40℃までの範囲で検査された。
(実施例2)
【0039】
別の実施形態において、塩酸からなるエッチング溶液が、使用された。塩酸は、約37重量%において最も有効であることがわかった。攪拌は、使用されなかった。Pb/Sn層は、塩化物と結合する傾向があり、不溶性の物質を形成し、そのために、マスクは、清浄エッチングを達成するのに20分よりかなり要することがわかった(ある場合には、約20時間)。
(実施例3)
【0040】
更に別の実施形態において、塩酸からなるエッチング溶液が、使用された。塩酸は、約37%の重量濃度で最も有効であることがわかった。攪拌は、使用されなかった。Pb/Sn層は、塩化物と結合する傾向があり、不溶性の物質を形成し、そのために、マスクは、清浄エッチングを達成するためには、繰り返しスクラブされなければならないことがわかった。プロセス全体は、20分よりかなり要するが、それでも、20時間以下であることがわかった。
(実施例4)
【0041】
更にまた別の実施形態において、塩酸および酢酸からなるエッチング溶液が、使用された。塩酸は、90%(塩酸:酢酸=9:1)までの低い重量%が検査されたが、エッチング溶液における総酸の約99%の重量濃度で最も有効であることがわかった。攪拌は、使用されなかった。Pb/Sn層は、塩化物と結合する傾向があり、そのために、マスクは、清浄エッチングを達成するのに20分よりかなり(場合によっては、約20時間)を要することがわかった。
(その他の実施例)
【0042】
その他の様々なエッチング溶液が、試みられた。これらには、硝酸(HNO)、リン酸(HPO)、弗酸(HF)、水酸化ナトリウム(NaOH)、硫酸(HSO)、および、過酸化水素(H)が含まれた。更に、電解液(マスクと溶液中の電極との間の電界を使用)が、様々な塩基とともに使用された。これらの酸および塩基は、使用された金属の特定の組み合わせに対して異なる結果を有し、また、いくつかは、金属の様々な組み合わせによって有益でありそうな潜在的可能性を示した。濃度は、約5%から約99.9%までの範囲を有し、様々な濃度が、それぞれの酸ごとに検査された。検査された幾つかの範囲の濃度が、次の表に記載される。
【0043】
【表1】

【0044】
これらの酸のそれぞれは、様々な程度の有効性を有することがわかった。攪拌は、振動の周波数の関数として、評価または設定されてもよいことに注意すべきであり、また、25〜40kHzの範囲に存在する周波数は、とりわけ、有効であることがわかった。また、ウェーハボートは、様々なやり方で形成されてもよく、ボートおよびトップ設計ならびにクラムシェル設計の両方が、潜在的に有効であることに注意すべきである。上記から、本発明の特定の実施形態が、説明のために、ここに説明されたが、様々な変更が、本発明の精神および範囲を逸脱することなくなされてもよいことがわかる。場合によっては、様々な実施形態またはいくつかの実施形態に存在しそうな特徴が、参照されたが、同様に、これらの特徴は、本発明の精神および範囲を必ずしも限定するとは限らない。図面および明細書において、構造が、提供されたが、その構造は、本発明の精神および範囲内に存在するその他の形で、形成されてもよく、あるいは、組み立てられてもよい。同様に、方法が、線形処理として図示および説明されたが、そのような方法は、本発明の精神および範囲内において、並べ替えられた動作または並行して実施される動作を有してもよい。このように、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0045】
310…第1の容器、320…エッチング溶液、330…キャップ、340…ウェーハボート、350…第2の容器、360…ベース、370…水溶液、380…キャップ、390…攪拌器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に成膜された一連の金属を有するモリブデンマスクを清浄する方法であって、
ウェーハホルダーを提供するステップであって、前記ウェーハホルダーが、突起、ラッチ、ヒンジ部分、及び溝を含み、前記溝が、マスクが曲がるのを防止するために、前記マスクにぴったり嵌め合うと共に前記マスクをしっかり包囲するように構成される、ステップと、
前記ウェーハホルダーの中に前記モリブデンマスクを配置するステップと、
塩酸を含む清浄溶液の中に前記モリブデンマスクを配置するステップであって、前記清浄溶液の中に前記ウェーハホルダーを配置する工程を含むステップと、
予め定められた時間の後に前記清浄溶液から前記モリブデンマスクを除去するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
予め定められた攪拌レベルで予め定められた時間だけ前記清浄溶液を攪拌するステップ、を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウェーハホルダーを閉じるステップを更に備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記清浄溶液が、第1の容器内に収容され、
前記第1の容器が、第2の容器内に収容され、
前記第2の容器が、前記第1の容器を取り囲む水溶液を更に収容する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の容器を蓋で覆うステップを更に備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記マスクを窒素で乾燥させるステップを更に備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記マスクを脱イオン水で洗浄するステップを更に備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記攪拌レベルが、攪拌周波数及び攪拌電力のうちの一つによって定量化された、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記モリブデンマスクが、一組のスルーホールを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
マスクを清浄する方法であって、
ウェーハホルダーを提供するステップであって、前記ウェーハホルダーが、突起、ラッチ、ヒンジ部分、及び溝を含み、前記溝が、マスクが曲がるのを防止するために、前記マスクにぴったり嵌め合うと共に前記マスクをしっかり包囲するように構成される、ステップと、
前記ウェーハホルダーの中に前記モリブデンマスクを配置するステップと、
清浄溶液の中に前記マスクを配置するステップであって、前記清浄溶液の中に前記ウェーハホルダーを配置する工程を含むステップと、
予め定められた攪拌レベルで予め定められた時間だけ前記清浄溶液を攪拌するステップと、
を備える方法。
【請求項11】
マスクを清浄する方法であって、
ウェーハホルダーを提供するステップであって、前記ウェーハホルダーが、突起、ラッチ、ヒンジ部分、及び溝を含み、前記溝が、マスクが曲がるのを防止するために、前記マスクにぴったり嵌め合うと共に前記マスクをしっかり包囲するように構成される、ステップと、
前記マスクを前記ウェーハホルダーに入れるステップと、
前記マスクが前記ウェーハホルダーの中に配置された後、前記ウェーハホルダーを清浄溶液の中に配置するステップと、を備え、
前記清浄溶液が、第1の容器内に収容され、
前記第1の容器が、第2の容器内に収容され、
前記第2の容器が、前記第1の容器を取り囲む水溶液を更に収容する、方法。
【請求項12】
マスクを清浄するための装置であって、
オープントップを有する第1の容器と、
オープントップを有する第2の容器であり、前記第2の容器が、前記第1の容器を収容する、前記第2の容器と、
前記第1の容器内に存在するウェーハホルダーであって、前記ウェーハホルダーが、突起、ラッチ、ヒンジ部分、及び溝を含み、前記溝が、マスクが曲がるのを防止するために、前記マスクにぴったり嵌め合うと共に前記マスクをしっかり包囲するように構成される、ウェーハホルダーと、
前記第2の容器内に存在する攪拌器と、
を備える装置。
【請求項13】
マスクを清浄するための装置であって、
前記マスクを清浄するための第1の手段と、
前記マスクを保持するための第2の手段であって、前記第2の手段がウェーハホルダーを含み、前記ウェーハホルダーが、突起、ラッチ、ヒンジ部分、及び溝を含み、前記溝が、マスクが曲がるのを防止するために、前記マスクにぴったり嵌め合うと共に前記マスクをしっかり包囲するように構成される、第2の手段と、
前記第1の手段および前記第2の手段を攪拌するための第3の手段と、
前記第1の手段を収容するための第4の手段と、
前記第4の手段を取り囲むための第5の手段と、
前記第5の手段および前記第3の手段を保持するための第6の手段と、
を備える装置。
【請求項14】
上部に成膜された一連の金属を有するモリブデンマスクを清浄する方法であって、
ウェーハホルダーを提供するステップであって、前記ウェーハホルダーが、突起、ラッチ、ヒンジ部分、及び溝を含み、前記溝が、モリブデンマスクが曲がるのを防止するために、前記モリブデンマスクにぴったり嵌め合うと共に前記モリブデンマスクをしっかり包囲するように構成される、ステップと、
前記ウェーハホルダーの中に前記モリブデンマスクを配置するステップと、
前記モリブデンマスクを清浄溶液の中に配置するステップであって、前記清浄溶液の中に前記ウェーハホルダーを配置する工程を含むステップと、
予め定められた時間の後に前記清浄溶液から前記モリブデンマスクを除去するステップと、
を備える方法。
【請求項15】
上部に成膜されたクロム、銅、金、および、鉛/スズ混合物を含む一連の金属を有するモリブデンマスクを清浄する方法であって、
ウェーハホルダーを提供するステップであって、前記ウェーハホルダーが、突起、ラッチ、ヒンジ部分、及び溝を含み、前記溝が、マスクが曲がるのを防止するために、前記マスクにぴったり嵌め合うと共に前記マスクをしっかり包囲するように構成される、ステップと、
前記ウェーハホルダーの中に前記モリブデンマスクを配置するステップと、
前記モリブデンマスクを清浄溶液の中に配置するステップであって、前記清浄溶液の中に前記ウェーハホルダーを配置する工程を含むステップと、
予め定められた時間の後に前記清浄溶液から前記モリブデンマスクを除去するステップと、
を備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−17085(P2011−17085A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−202226(P2010−202226)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【分割の表示】特願2006−521239(P2006−521239)の分割
【原出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】