説明

マスク部材、塗布装置、塗布システムおよび塗布方法

【課題】マスキングテープの側面に形成されるメニスカスを小さくする。
【解決手段】マスキングテープ1は、テープ状の基材11、粘着剤層12、および、マスキングテープ1の両側面103内に設けられる吸収性部材13を備える。マスキングテープ1は、下面エッジ105を基板9上の塗布領域と非塗布領域92との境界に一致させつつ、基板9の主面90に貼付される。マスキングテープ1の側面103では、粘着剤層12の側方端面が有機EL液に対して非吸収性である非吸収領域1031となり、吸収性部材13の側面103における露出領域が、有機EL液に対して吸収性を有する吸収領域1032となる。基板9に有機EL液が塗布される際には、マスキングテープ1の側面103に付着した有機EL液93が吸収性部材13により吸収される。これにより、マスキングテープ1の側面103に形成されるメニスカス94の高さを小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の主面上の非塗布領域に密着して当該非塗布領域に対する流動性材料の付着を防止するマスク部材、および、当該マスク部材を密着させた基板に流動性材料を塗布する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、有機EL(Electro Luminescence)材料を利用した有機EL表示装置の開発が行われており、例えば、高分子有機EL材料を用いたアクティブマトリックス駆動方式の有機EL表示装置の製造では、ガラス基板(以下、単に「基板」という。)に対して、TFT(Thin Film Transistor)回路の形成、陽極となるITO(Indium Tin Oxide)電極の形成、隔壁の形成、正孔輸送材料を含む流動性材料(以下、「正孔輸送液」という。)の塗布、加熱処理による正孔輸送層の形成、有機EL材料を含む流動性材料(以下、「有機EL液」という。)の塗布、加熱処理による有機EL層の形成、陰極の形成、および、絶縁膜の形成による封止が順次行われる。
【0003】
有機EL表示装置の製造において、正孔輸送液または有機EL液を基板に塗布する装置の1つとして、特許文献1および特許文献2に示すように、流動性材料を連続的に吐出する複数のノズルを、基板に対して主走査方向および副走査方向に相対移動することにより、基板上に流動性材料をストライプ状に塗布する装置が知られている。
【0004】
有機EL表示装置用の基板の表面には、正孔輸送液や有機EL液等の流動性材料が塗布されるべき塗布領域(すなわち、発光領域)の周囲に、ドライバ回路が組み込まれた領域や絶縁膜による封止のために必要な領域が設けられている。有機EL表示装置の製造では、正孔輸送層や有機EL層の形成工程においてこれらの塗布領域の周囲の領域(以下、「非塗布領域」という。)に流動性材料が付着する可能性があり、流動性材料が付着した状態で後工程が行われると電極の特性劣化や封止不良等が発生する可能性がある。したがって、基板の非塗布領域に流動性材料が付着することを防止する必要がある。
【0005】
一方、特許文献3では、被貼付面に貼付されてマスク領域を覆うマスキング用の粘着テープが開示されており、当該粘着テープの側面(すなわち、基材および粘着層の側面)は液体吸収材により覆われている。特許文献3によれば、非マスク領域および粘着テープに対してブラシにより塗料が塗布される際に、粘着テープの側面に塗布された塗料を当該液体吸収材が吸収することにより、粘着テープの基材が塗料を吸収してしまうことが防止される。当該粘着テープでは、当該液体吸収材による塗料の吸収により、液体吸収材の内側において粘着層と被貼付面との間への塗料の侵入が防止される。特許文献3では、また、被貼付面上のマスク領域と非マスク領域との境界において、液体吸収材により粘着テープの側面に塗布された塗料の硬化を防止し、粘着テープをきれいに剥離する技術も開示されている。
【特許文献1】特開2004−111073号公報
【特許文献2】特開2004−89771号公報
【特許文献3】特表2005−524726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、有機EL表示装置用の基板に対する流動性材料の塗布において、非塗布領域にマスキングテープを貼付することにより流動性材料の非塗布領域への付着を防止する場合、通常のマスキングテープを利用すると、マスキングテープの側面に付着した流動性材料が、表面張力や重力の影響によりメニスカスを形成する。
【0007】
特許文献1および特許文献2に開示されるようなノズルによる流動性材料の塗布では、基板上に供給される流動性材料が微量であるため、塗布後の流動性材料は短時間で乾燥して硬化する。そして、マスキングテープの側面に形成されたメニスカスが、基板上の他の領域に塗布されて乾燥した流動性材料の薄膜から突出する。このため、マスキングテープが剥離されると、当該メニスカスが、流動性材料の薄膜から突出した状態で基板上に残置される可能性がある。
【0008】
上述のように、有機EL表示装置の製造では、基板上に様々な薄膜が積層される。例えば、有機EL層の形成に際して上記のようなメニスカスが形成されると、塗布領域のエッジ近傍において有機EL層の膜厚が所定の膜厚よりも大きくなってしまい、次工程において形成される陰極の厚さが塗布領域のエッジ近傍において不足してしまう恐れがある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、マスキングテープの側面に形成されるメニスカスを小さくすることを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、基板の主面上の非塗布領域に密着して前記非塗布領域に対する流動性材料の付着を防止するテープ状または薄板状のマスク部材であって、基板に密着する下面と、前記下面とは反対側の上面と、前記上面のエッジから前記下面のエッジへと上下に亘る側面とを備え、前記側面が、前記下面の前記エッジに接するとともに前記下面の前記エッジに沿って存在し、前記基板に塗布される流動性材料に対して非吸収性である非吸収領域と、前記非吸収領域の前記上面側において前記流動性材料に対して吸収性を有する吸収領域とを備える。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のマスク部材であって、前記上面が、テープ状の基材上の一の主面であり、前記基材の前記一の主面とは反対側の面上に粘着剤層が形成されており、前記下面が、前記粘着材層の前記基材とは反対側の面である。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のマスク部材であって、前記非吸収領域が、前記流動性材料に対して非吸収性である前記粘着剤層の側方端面であり、前記吸収領域が、前記流動性材料に対して吸収性を有する前記基材の側方端面である。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のマスク部材であって、前記基材および前記粘着剤層よりも前記流動性材料に対する吸収性が高い吸収性部材が前記側面内に設けられ、前記非吸収領域が、前記流動性材料に対して非吸収性である前記粘着剤層の側方端面であり、前記吸収領域が、前記吸収性部材の前記側面における露出領域である。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載のマスク部材であって、前記基材および前記粘着剤層よりも前記流動性材料に対する吸収性が高いシート状の吸収性部材が、前記基材と前記粘着剤層との間に設けられ、前記非吸収領域が、前記流動性材料に対して非吸収性である前記粘着剤層の側方端面であり、前記吸収領域が、前記吸収性部材の前記側面における露出領域である。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載のマスク部材であって、前記基材が、前記流動性材料に対して非吸収性である。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載のマスク部材であって、前記側面とは反対側に、前記側面と同様の非吸収領域および吸収領域を備えるもう1つの側面をさらに備える。
【0017】
請求項8に記載の発明は、基板に流動性材料を塗布する塗布装置であって、請求項1ないし7のいずれかに記載のマスク部材が、基板上の非塗布領域と塗布領域との境界に前記下面の前記エッジを一致させつつ前記非塗布領域に密着している前記基板を保持する基板保持部と、前記基板に向けて流動性材料を連続的に吐出するノズルと、前記ノズルを前記基板の主面に平行であって前記エッジと交差する主走査方向に前記基板に対して相対的に移動することにより、前記基板上の前記マスク部材を含む領域に前記流動性材料を塗布する主走査機構と、前記基板の前記主面に平行であって前記主走査方向に垂直な副走査方向に前記ノズルを前記基板に対して相対的に移動する副走査機構とを備える。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の塗布装置であって、前記流動性材料が、平面表示装置用の画素形成材料を含む。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の塗布装置であって、前記画素形成材料が、有機EL表示装置用の有機EL材料または正孔輸送材料である。
【0020】
請求項11に記載の発明は、基板に流動性材料を塗布する塗布システムであって、請求項1ないし7のいずれかに記載のマスク部材を、基板上の非塗布領域と塗布領域との境界に前記下面の前記エッジを一致させつつ前記非塗布領域に密着させるマスク部材密着装置と、請求項8ないし10のいずれかに記載の塗布装置と、流動性材料が塗布された基板から前記マスク部材を剥離するマスク部材剥離装置と、前記マスク部材密着装置、前記塗布装置および前記マスク部材剥離装置へと順に基板を搬送する基板搬送機構とを備える。
【0021】
請求項12に記載の発明は、基板に流動性材料を塗布する塗布方法であって、a)請求項1ないし7のいずれかに記載のマスク部材が、基板上の非塗布領域と塗布領域との境界に前記下面の前記エッジを一致させつつ前記非塗布領域に密着している前記基板に向けて、ノズルから流動性材料を連続的に吐出しつつ前記ノズルを前記基板の主面に平行であって前記エッジと交差する主走査方向に相対的に移動することにより、前記基板上の前記マスク部材を含む領域に前記流動性材料を塗布する工程と、b)前記ノズルを前記基板の前記主面に平行であって前記主走査方向に垂直な副走査方向に相対的に移動する工程と、c)前記a)工程および前記b)工程を繰り返す工程とを備える。
【0022】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の塗布方法であって、前記流動性材料が、平面表示装置用の画素形成材料を含む。
【0023】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の塗布方法であって、前記画素形成材料が、有機EL表示装置用の有機EL材料または正孔輸送材料である。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、マスキングテープの側面に形成されるメニスカスを小さくすることができる。請求項8ないし14の発明では、膜厚の均一性を向上しつつ基板上に流動性材料を塗布することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るマスキングテープが貼付された基板に対して流動性材料を塗布する塗布システム8の構成を示す図である。塗布システム8は、平面表示装置用のガラス基板(以下、単に「基板」という。)に画素形成材料を含む流動性材料を塗布するシステムである。本実施の形態では、塗布システム8において、アクティブマトリックス駆動方式の有機EL(Electro Luminescence)表示装置用の基板に、有機EL材料を含む流動性材料(以下、「有機EL液」という。)が塗布される。有機EL液は、有機EL材料の他に、キシレンやメシチレン等の有機溶媒(本実施の形態では、キシレン)を含む。
【0026】
図2は、テープ状のマスク部材であるマスキングテープ1が貼付された基板9を示す平面図である。図2では、塗布システム8(図1参照)により有機EL液が塗布される領域(以下、「塗布領域」という。)91に平行斜線を付す。本実施の形態では、基板9上に4つの塗布領域91が設けられ、1枚の基板9から4つの有機EL表示装置用の基板が製造される。4つの塗布領域91の周囲の格子状の領域92は、ドライバ回路の組み込みや後工程における絶縁膜による封止等に利用されるため、有機EL液が塗布されるべきではない領域であり、以下、「非塗布領域92」という。マスキングテープ1は、図2に示すように、基板9の主面90上の非塗布領域92に貼付されて(すなわち、密着して)非塗布領域92に対する有機EL液の付着を防止する。
【0027】
図1に示すように、塗布システム8は、基板9上の非塗布領域92にマスキングテープ1(図2参照)を貼付するテープ貼付装置2、マスキングテープ1が貼付された基板9に向けて有機EL液をノズルから連続的に吐出しつつノズルを基板9に対して相対的に移動してマスキングテープ1を含む領域に有機EL液を塗布する塗布装置3、および、有機EL液が塗布された基板9からマスキングテープ1を剥離するテープ剥離装置4を備える。
【0028】
塗布システム8は、テープ貼付装置2と塗布装置3との間、および、塗布装置3とテープ剥離装置4との間に固定型の搬送ロボット6をさらに備える。塗布システム8では、2つの搬送ロボット6が、テープ貼付装置2、塗布装置3およびテープ剥離装置4へと順に基板9を搬送する基板搬送機構となっている。
【0029】
図3は、図2に示すマスキングテープ1および基板9の一部を、図2中のA−Aの位置にてマスキングテープ1の長手方向に垂直に切断した断面図である。図3に示すように、マスキングテープ1は、テープ状の基材11、基材11の一方の面112(すなわち、図3中における下側の面であり、以下、「基材下面112」という。)上に形成された粘着剤層12、並びに、マスキングテープ1の両側の側面103内に(具体的には、基材11および粘着剤層12の側方に形成された長手方向に伸びる溝部に)設けられる吸収性部材13を備える。
【0030】
吸収性部材13は、基材11および粘着剤層12よりも有機EL液に対する吸収性が高い材料により形成されている。本実施の形態では、基材11および粘着剤層12は、有機EL液に対して実質的に非吸収性である材料により形成されている。ここで、基材11および粘着剤層12の有機EL液に対する実質的な非吸収性とは、塗布装置3によりマスキングテープ1に塗布された微量の有機EL液が短時間(例えば、数秒)にて乾燥する間に、有機EL液が基材11および粘着剤層12にほとんど(あるいは、全く)吸収されないことを意味する。
【0031】
基材11は、例えば、プラスチックフィルムにより形成される。基材11として使用されるプラスチックフィルムは、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム、ナイロン等のポリアミド系フィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ポリイミドフィルム等である。耐溶剤性、耐水性等の観点からは、ポリエステル系フィルムにより基材11が形成されることが好ましく、また、耐熱性の観点からは、ポリイミドフィルムにより基材11が形成されることが好ましい。本実施の形態では、基材11は、ポリエチレンテレフタレート(PET)により形成される。
【0032】
粘着剤層12は、例えば、ポリエステル系粘着剤、または、アクリル系粘着剤により形成される。ポリエステル系粘着剤としては、粘着剤層12の濡れ性を向上するという観点から、例えば、ポリカーボネートジオールやポリカプロラクトンジオール等から選択されるジオール化合物(好ましくは、水酸基価が35〜130KOHmg/g(より好ましくは、45〜120KOHmg/g)であるもの)と、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸およびフタル酸から選択される二塩基酸とから得られるポリエステルを含有するものが好ましい。
【0033】
ポリエステルの重量平均分子量(Mw)は、粘着剤としての凝集力を確保して耐熱性や耐久性を向上するという観点からは、1万以上(より好ましくは、2万以上)とされることが好ましく、粘度が過剰に高くなることを防止して粘着剤層12の形成を容易とするという観点からは、10万以下(より好ましくは、8万以下)とされることが好ましい。ここで、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトフラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
【0034】
アクリル系粘着剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと親水性モノマーとを単量体単位として含むアクリル系ポリマーを含有するものが好ましい。アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、粘着剤としての凝集力を確保して耐熱性や耐久性を向上するという観点からは、30万以上(より好ましくは、50万以上)とされることが好ましく、粘度が過剰に高くなることを防止して粘着剤層12の形成を容易とするという観点からは、200万以下(より好ましくは、170万以下)とされることが好ましい。
【0035】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基としては、炭素数が2以上14以下(より好ましくは4以上8以下)であるものが好ましく、例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基が使用される。
【0036】
親水性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル等の水酸基含有単量体、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等のアミノ基含有単量体、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミド基含有単量体が使用される。また、(メタ)アクリロニトリル、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等も親水性モノマーとして使用される。さらには、上記親水性モノマーが2種類以上組み合わされて使用されてもよい。
【0037】
吸収性部材13としては、例えば、メンブレンフィルタ等に利用される多孔性ポリマが使用される。この場合、吸収性部材13からのパーティクルの発生を防止するために、多孔性ポリマにパーティクル防止対策が施されたものが好ましい。
【0038】
図3に示すマスキングテープ1では、基材下面112と、基材下面112とは反対側の基材11の主面111(図3中の上側の面であり、以下、「基材上面111」という。)との間の距離、すなわち、基材11の厚さが約37μmとされる。また、粘着剤層12の基材11側の主面121(図3中の上側の面)と、基材11側とは反対側の主面122(図3中の下側の面であり、以下、「粘着剤層下面122」という。)との間の距離、すなわち、粘着剤層12の厚さは約15μmとされる。なお、図3では、図示の都合上、マスキングテープ1の厚さを幅に比べて実際よりも厚く描いている(図16.Aないし図16.C、図18および図19においても同様)。
【0039】
マスキングテープ1では、粘着剤層下面122が、マスキングテープ1の基板9の主面90に密着する下面となり、基材上面111が、マスキングテープ1の下面とは反対側であって下面に平行な上面となる。また、マスキングテープ1の両側の側面103は、マスキングテープ1の上面(基材上面111)の幅方向の両側において長手方向に伸びるエッジ104(以下、「上面エッジ104」という。)から、マスキングテープ1の下面(粘着剤層下面122)の幅方向の両側において長手方向に伸びるエッジ105(以下、「下面エッジ105」という。)へと上下に亘って存在する。
【0040】
図2に示すように、3本のマスキングテープ1はそれぞれ、幅方向の両側の下面エッジ105の少なくとも一方を基板9上の塗布領域91と非塗布領域92との境界に一致させつつ、基板9の主面90に貼付される。
【0041】
図3に示すように、マスキングテープ1の両側の側面103ではそれぞれ、マスキングテープ1の下面エッジ105に沿って伸びる粘着剤層12の側方端面1031が、基板9に塗布される有機EL液に対して非吸収性を示す領域となり、吸収性部材13の側面103における露出領域1032が、粘着剤層12の側方端面1031の上側において有機EL液に対して吸収性を有する領域となる。以下、粘着剤層12の側方端面1031を、「非吸収領域1031」と呼び、吸収性部材13の露出領域1032を、「吸収領域1032」と呼ぶ。
【0042】
換言すれば、マスキングテープ1の両側面103(すなわち、一の側面103および当該一の側面103とは反対側の側面103)は、マスキングテープ1の下面エッジ105に接するとともに下面エッジ105に沿って存在する非吸収領域1031、および、非吸収領域1031の上側(すなわち、マスキングテープ1の上面である基材上面111側)に下面エッジ105から離れて配置される吸収領域1032を備える。
【0043】
図4ないし図6はそれぞれ、テープ貼付装置2の構成を示す平面図、正面図および左側面図である。図4ないし図6に示すように、テープ貼付装置2は、基板9を保持する基板保持部21、基板9を基板保持部21と共に移動する基板移動機構22、有機EL液が塗布される前の基板9上の非塗布領域92にマスキングテープ1(図2参照)を貼付するテープ貼付ヘッド23、および、テープ貼付ヘッド23を基板9の移動方向とは垂直な方向に移動するヘッド移動機構24を備える。
【0044】
テープ貼付装置2では、基板移動機構22により、基板9が基板保持部21と共にレール221に沿って水平方向に移動するとともに垂直方向を向く回転軸を中心として回転する。また、ヘッド移動機構24により、テープ貼付ヘッド23が基板9の移動範囲の上方においてレール241に沿って水平方向に移動する。
【0045】
図7.Aは、テープ貼付ヘッド23の構成を拡大して示す左側面図である。図7.Aでは、テープ貼付ヘッド23のハウジング231に収容される内部構成を描いている。テープ貼付ヘッド23では、ベーステープ251の一方の主面にマスキングテープ1が保持された2層構造のテープ25を利用してマスキングテープ1の貼付が行われる。
【0046】
図7.Aに示すように、テープ貼付ヘッド23は、未使用のテープ25が巻き付けられる供給リール232、テープ25からマスキングテープ1を分離して基板9に貼付する貼付部233、マスキングテープ1が分離された後のテープ25(すなわち、ベーステープ251)を巻き取って回収する回収リール234、および、これらの構成を収容するハウジング231を備える。
【0047】
テープ貼付装置2により基板9にマスキングテープ1が貼付される際には、まず、図4ないし図6に示すヘッド移動機構24によりテープ貼付ヘッド23が移動されて基板9の移動経路の上方に位置する。このとき、基板9は、図6におけるテープ貼付ヘッド23の右側に位置している。続いて、基板移動機構22により基板9が図6中の左側へと移動し、図7.Aに示す貼付開始位置に位置する。基板9が貼付開始位置に位置すると、テープ貼付ヘッド23の貼付部233の切断部235により、テープ25の切断部235と対向する側においてマスキングテープ1のみが切断される。
【0048】
切断されたマスキングテープ1は、供給リール232および回収リール234が図7.A中における反時計回りに回転することにより、ベーステープ251と共に貼付部233のテープ分離部材236の先端へと送られ、当該先端において、ベーステープ251が送られてきた方向とはおよそ反対側に導かれることにより、マスキングテープ1がベーステープ251から剥離し、その先端部がハウジング231の下部開口237から基板9に向かって移動する。
【0049】
これと並行して、エアシリンダ238により貼付ローラ239が下部開口237を介して下方に移動し、図7.Bに示すように、マスキングテープ1の先端部を上側から基板9の主面90に向けて押圧して貼付する。これと同時に、基板移動機構22(図6参照)により基板9が図7.Aの左方向へと移動を開始する。そして、供給リール232からテープ25が継続的に送り出されるとともに基板9が移動を継続することにより、図7.Bに示すように、基板9の主面90上にマスキングテープ1が貼付される。
【0050】
図7.Aに示すテープ貼付ヘッド23では、切断部235によりテープ25上のマスキングテープ1のみが再び切断され、マスキングテープ1が後端部まで基板9に貼付されることによりマスキングテープ1が基板9の主面90に密着する。なお、テープ貼付ヘッド23では、マスキングテープ1の先端部および後端部の貼付時以外は、貼付ローラ239はハウジング231内へと待避していてもよい。また、マスキングテープ1の貼付開始は、テープ25を供給しつつテープ25の供給速度に等しい速度で左方向へと移動している基板9に対して行われてもよい。
【0051】
テープ貼付装置2では、図2に示すように、基板9の格子状の非塗布領域92のうち、基板移動機構22による基板9の移動方向に平行に伸びる3つの領域(すなわち、図2中の上下方向に伸びる領域)にのみマスキングテープ1が貼付され、基板9の移動方向に垂直に伸びる領域(すなわち、図2中の左右方向に伸びる領域)にはマスキングテープ1の貼付は行われない。後述するように、塗布システム8では、マスキングテープ1の貼付が省略された領域に対しては有機EL液の塗布は行われない。
【0052】
図8および図9は、塗布装置3の構成を示す平面図および正面図である。図9に示すように、塗布装置3は、マスキングテープ1(図2参照)が非塗布領域92に貼付された(すなわち、密着している)基板9を保持する基板保持部31を備え、基板保持部31は内部にヒータによる加熱機構(図示省略)を備える。図8および図9では、図示の都合上、基板9の主面90上に貼付されたマスキングテープ1の図示を省略している。
【0053】
塗布装置3は、また、図8および図9に示すように、基板保持部31を基板9の主面に平行な所定の方向(すなわち、図8中の上下方向であり、以下、「副走査方向」という。)に水平移動するとともに垂直方向に向く軸を中心として回転する基板移動機構32、基板9上に形成された位置調整用目印(図示省略)を撮像して検出する目印検出部33、基板保持部31上の基板9に向けて3本のノズル37から有機EL液を連続的に吐出する吐出機構である塗布ヘッド34、塗布ヘッド34を基板9の主面に平行であって副走査方向に垂直な方向(すなわち、図8中の左右方向であり、以下、「主走査方向」という。)に水平移動するヘッド移動機構35、主走査方向に関して基板保持部31の両側に設けられるとともに塗布ヘッド34からの有機EL液を受ける2つの受液部36、および、塗布ヘッド34の3本のノズル37に有機EL液を供給する流動性材料供給部38を備える。塗布装置3では、ヘッド移動機構35および基板移動機構32が、3本のノズル37を基板9に対して主走査方向および副走査方向に相対的に移動する主走査機構および副走査機構となる。
【0054】
塗布ヘッド34では、3本のノズル37が、図8中の左右方向(すなわち、主走査方向)に関して略直線状に離れて配列されるとともに図8中の上下方向(すなわち、副走査方向)に僅かにずれて配置され、これらのノズル37から吐出された有機EL液が、基板9の塗布領域91(図2参照)に予め形成されている主走査方向に伸びる隔壁の間の溝に塗布される。本実施の形態では、隣接する2本のノズル37の間の副走査方向に関する距離は、隔壁間のピッチ(以下、「隔壁ピッチ」という。)に等しい。塗布ヘッド34では、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)と互いに色が異なる3種類の有機EL材料をそれぞれ含む3種類の有機EL液が3本のノズル37から吐出される。
【0055】
図10は、塗布装置3による有機EL液の塗布動作の流れを示す図である。塗布装置3により有機EL液の塗布が行われる際には、まず、テープ貼付装置2により非塗布領域92にマスキングテープ1(図2参照)が貼付された基板9が基板保持部31に載置されて保持され、目印検出部33からの出力に基づいて基板移動機構32が駆動されて基板9が図8中に実線にて示す塗布開始位置に位置する(ステップS11)。塗布ヘッド34は予め図8および図9中に実線にて示す位置に位置している。
【0056】
続いて、流動性材料供給部38から塗布ヘッド34へと有機EL液が供給されてノズル37から有機EL液の吐出が開始されるとともに、ヘッド移動機構35が駆動されて塗布ヘッド34の移動が開始される。塗布装置3では、ノズル37から有機EL液を基板9に向けて連続的に吐出しつつ、ノズル37を基板9に対して図8中の左側から右側へと(すなわち、基板9に貼付されたマスキングテープ1の上面エッジ104および下面エッジ105(図3参照)と交差する主走査方向に)相対的に移動することにより、基板9の隔壁間の3つの隣接する溝、および、マスキングテープ1上に有機EL液が塗布される(ステップS12)。
【0057】
塗布ヘッド34が図8および図9中に二点鎖線にて示す位置まで移動すると、基板移動機構32が駆動され、基板9が基板保持部31と共に図8中の上側に(すなわち、副走査方向に)隔壁ピッチの3倍の距離だけ移動する(ステップS13)。このとき、塗布ヘッド34では、3本のノズル37から受液部36に向けて有機EL液が連続的に吐出されている。
【0058】
副走査方向における基板9の移動が終了すると、基板9および基板保持部31が図8中に二点鎖線にて示す塗布終了位置まで移動したか否かが確認され(ステップS14)、塗布終了位置まで移動していない場合には、ステップS12に戻って塗布ヘッド34が有機EL液を吐出しつつ図8中において右側から左側へと(すなわち、主走査方向に)移動することにより、基板9上に3種類の有機EL液が塗布される(ステップS12)。そして、副走査方向における基板9の移動が再び行われた後、基板9が塗布終了位置まで移動したか否かが確認される(ステップS13,S14)。
【0059】
図11は、マスキングテープ1が貼付された基板9を示す平面図であり、図12は、図11中のB−Bの位置におけるマスキングテープ1および基板9の断面図である。塗布装置3では、基板9が塗布終了位置に位置するまで、塗布ヘッド34の主走査方向への移動、および、塗布ヘッド34の1回の主走査毎に行われる基板9の副走査方向へのピッチ移動が繰り返され(ステップS12〜S14)、これにより、図11および図12に示すように、基板9上のマスキングテープ1を含む領域(すなわち、非塗布領域92に貼付されたマスキングテープ1上の領域、および、塗布領域91の隔壁間の溝)に有機EL液93がストライプ状に塗布される。そして、基板9が図8中に二点鎖線にて示す塗布終了位置まで移動すると、ノズル37からの有機EL液の吐出が停止されて基板9に対する有機EL液の塗布が終了する。なお、図11では、図示の都合上、基板9上に塗布された有機EL液93の幅およびピッチを実際よりも大きく描いている。
【0060】
塗布装置3では、有機EL液93の塗布が行われている間、塗布ヘッド34のノズル37(図8および図9参照)から有機EL液93が連続的に吐出されている。塗布装置3では、非塗布領域92のうち基板9の移動方向に垂直に伸びる領域(すなわち、図11中において左右方向に伸びる領域であり、マスキングテープ1の貼付が省略されている領域)に対して、塗布ヘッド34を受液部36上に待機させた状態で、基板9を当該領域の幅(すなわち、図11中の上下方向の幅)と等しい距離だけ副走査方向に移動することにより、当該領域への有機EL液93の塗布が回避される。
【0061】
図13は、テープ剥離装置4の構成を示す平面図である。図13に示すように、テープ剥離装置4は、図4ないし図6に示すテープ貼付装置2のテープ貼付ヘッド23に代えてテープ剥離ヘッド43を備える。テープ剥離装置4のその他の構成はテープ貼付装置2とほぼ同様である。
【0062】
テープ剥離装置4は、基板9を保持する基板保持部41、基板9を基板保持部41と共に移動する基板移動機構42、マスキングテープ1(図2参照)を保持して剥離するテープ剥離ヘッド43、および、テープ剥離ヘッド43を基板9の移動方向とは垂直な方向に移動するヘッド移動機構44を備える。テープ剥離装置4では、基板移動機構42により、基板9が基板保持部41と共にレール421に沿って水平方向に移動するとともに垂直方向を向く回転軸を中心として回転する。また、ヘッド移動機構44により、テープ剥離ヘッド43が基板9の移動範囲の上方においてレール441に沿って水平方向に移動する。
【0063】
図14.Aは、テープ剥離ヘッド43の構成を拡大して示す左側面図である。図14.Aでも、図7.Aと同様に、テープ剥離ヘッド43のハウジング431の内部構成を描いている。図14.Aに示すように、テープ剥離ヘッド43は、マスキングテープ1に粘着することによりマスキングテープ1の少なくとも一部を保持する剥離テープ45、剥離テープ45の粘着面をマスキングテープ1に対向させつつ剥離テープ45を案内して基板9上のマスキングテープ1に順次粘着させる剥離テープ案内部である粘着機構433、未使用の剥離テープ45を粘着機構433に供給する剥離テープ供給部である供給リール432、剥離テープ45を剥離テープ45に粘着されたマスキングテープ1と共に基板9から引き上げて回収する剥離テープ回収部である回収リール434、および、これらの構成を収容するハウジング431を備える。粘着機構433は、エアシリンダ436および押圧ローラ437を備える。また、剥離テープ45の幅は、マスキングテープ1の幅よりも大きい。
【0064】
テープ剥離装置4により基板9からマスキングテープ1が剥離される際には、まず、基板移動機構42およびヘッド移動機構44(図13参照)により基板9およびテープ剥離ヘッド43が移動されて剥離開始位置に位置する。すなわち、剥離対象であるマスキングテープ1の先端が、テープ剥離ヘッド43のハウジング431の下部開口435の下方に位置する。
【0065】
続いて、エアシリンダ436により押圧ローラ437が下部開口435を介して下方に移動し、剥離テープ45を上側(すなわち、剥離テープ45の粘着面とは反対側)からマスキングテープ1の先端部に押圧して粘着する。次に、基板移動機構42により基板9が図14.A中の左方向に移動を開始する。これと同時に、供給リール432および回収リール434の図14.A中における時計回りの回転が開始されて供給リール432に巻き付けられている剥離テープ45が送り出されるとともに、押圧ローラ437が上方に移動して元の位置に戻ることにより、図14.Bに示すように、剥離テープ45に粘着されたマスキングテープ1の先端部が基板9から剥離する。そして、供給リール432から剥離テープ45が継続的に送り出されるとともに基板9が移動を継続することにより、基板9上のマスキングテープ1が剥離テープ45に粘着されつつ基板9から剥離し、回収リール434により巻き取られて回収される。
【0066】
図15は、図12に対応する基板9の断面図である。テープ剥離装置4では、有機EL液93が塗布された基板9からマスキングテープ1が剥離されることにより、図15に示すように、基板9の塗布領域91上にのみ有機EL液93が残置される。このように、図13に示すテープ剥離装置4では、テープ剥離ヘッド43によりマスキングテープ1を保持して持ち上げた状態で、基板移動機構42により基板9をマスキングテープ1が貼付されている方向に沿って移動することにより、基板9からのマスキングテープ1の剥離が行われる。
【0067】
テープ剥離装置4では、有機EL液が付着したマスキングテープ1の上面を剥離テープ45により覆ってマスキングテープ1を基板9から剥離するため、マスキングテープ1上に付着した有機EL液を基板9に落下させることなくマスキングテープ1を回収することができる。なお、剥離テープ45のマスキングテープ1への粘着開始は、剥離テープ45を供給しつつ剥離テープ45の供給速度に等しい速度で移動している基板9に対して行われてもよい。
【0068】
以上のように、塗布システム8では、テープ貼付装置2およびテープ剥離装置4がそれぞれ、基板9の非塗布領域92(図2参照)にマスク部材であるマスキングテープ1を密着させるマスク部材密着装置、および、基板9からマスク部材を剥離するマスク部材剥離装置となっている。
【0069】
次に、塗布システム8による基板9への有機EL液の塗布動作について説明する。塗布システム8では、まず、基板9が図4ないし図6に示すテープ貼付装置2に搬入される。基板9上には予め、TFT回路、ITO電極、隔壁および正孔輸送層が形成されている。続いて、テープ貼付装置2において、基板9上の非塗布領域92にマスキングテープ1が順次貼付された後、搬送ロボット6(図1参照)により基板9がテープ貼付装置2から搬出され、図8および図9に示す塗布装置3に搬入される。
【0070】
塗布装置3では、非塗布領域92にマスキングテープ1が貼付された基板9に向けて有機EL液が吐出され、マスキングテープ1を含む基板9上の領域(すなわち、マスキングテープ1上の領域、および、塗布領域91の隔壁間の溝)に有機EL液がストライプ状に塗布される。
【0071】
図16.Aおよび図16.Bは、有機EL液93が塗布された基板9の一部をマスキングテープ1の一部と共に示す断面図である。図16.Aは、有機EL液93が基板9に塗布された直後の様子を示し、図16.Bは、有機EL液93の塗布から僅かな時間(例えば、数秒)が経過した後の様子を示す。図16.Aおよび図16.Bでは、図示の都合上、有機EL液93の厚さを実際よりも大きく描いている(後述の図16.Cにおいても同様)。
【0072】
図16.Aに示すように、塗布直後の有機EL液93は、基板9の主面90およびマスキングテープ1の基材上面111においてほぼ均一な厚さとなっており、マスキングテープ1の側面103では、重力の影響により、下面エッジ105側が上面エッジ104側よりも厚くなっている。
【0073】
ここで、仮に、マスキングテープ1に代えて、図17.Aに示す側面に吸収性部材が設けられていない比較例のマスキングテープ71(すなわち、有機EL液に対して非吸収性を示す基材711と粘着剤層712のみにより構成されるマスキングテープ71)に対して有機EL液793が塗布されたとすると、有機EL液793は、基板79およびマスキングテープ71の表面張力および重力の影響により流動して図17.Aに示す形状となり、マスキングテープ71の側面7103においてメニスカス794が形成される。
【0074】
具体的には、マスキングテープ71の側面7103では、側面7103に付着した有機EL液793が、重力により上面エッジ7104側から下面エッジ7105側へと引っ張られるが、表面張力により反対向きにも(すなわち、下面エッジ7105側から上面エッジ7104側へと)引っ張られるため、側面7103上に有機EL液793の膜がメニスカス794として形成される。また、有機EL液793は、表面張力により、マスキングテープ71の基材上面7111において上面エッジ7104から離れる側へと流動し、基板79の主面790においてマスキングテープ71の下面エッジ7105から離れる方向へと流動する。
【0075】
これに対し、マスキングテープ1では、図16.Bに示すように、側面103内に吸収性部材13による吸収領域1032が設けられているため、側面103に付着した有機EL液93が塗布直後に吸収性部材13により迅速に吸収される。これにより、マスキングテープ1の側面103に形成されるメニスカス94の高さ(すなわち、基板9の主面90からの高さ)を、非吸収領域1031の高さと同等程度まで小さくすることができる。
【0076】
マスキングテープ1では、側面103において吸収領域1032と下面エッジ105との間に非吸収領域1031が設けられており、さらに、吸収性部材13が非吸収性の粘着剤層12により基板9の主面90から隔てられているため、吸収性部材13に一旦吸収された有機EL液93が、マスキングテープ1の下側からしみ出して基板9の非塗布領域92に付着してしまうことを防止することができる。また、有機EL液の吸収により脆くなった吸収性部材13の一部がマスキングテープ1から脱落し、基板9の主面90上に残渣として残ってしまうことを防止することができる。
【0077】
有機EL液の塗布が終了すると、図1に示す搬送ロボット6により基板9が塗布装置3から搬出される。基板9上では、塗布装置3により塗布された有機EL液の溶媒成分が塗布装置3の基板保持部31(図9参照)の加熱機構により蒸発し、有機EL液が乾燥した状態にてマスキングテープ1および塗布領域91上に付着している。
【0078】
有機EL液が塗布された基板9は、搬送ロボット6により、図13に示すテープ剥離装置4に搬入され、有機EL液が塗布されたマスキングテープ1が基板9から剥離される。塗布システム8では、マスキングテープ1の基板9からの剥離が終了すると、基板9がテープ剥離装置4から塗布システム8外へと搬出されて基板9に対する有機EL液の塗布が終了する。なお、塗布システム8では、実際には、有機EL液の塗布が複数の基板に対して連続的に行われる。
【0079】
図16.Cは、マスキングテープ1が剥離された基板9の一部を示す断面図である。また、図17.Bは、上記比較例のマスキングテープ71が剥離された基板79の一部を示す断面図である。上述のように、塗布装置3では、図16.Bに示すように、マスキングテープ1の側面103において有機EL液93が吸収性部材13により吸収されるため、図16.Cに示すように、マスキングテープ1の剥離後に塗布領域91のエッジ近傍(すなわち、塗布領域91の非塗布領域92近傍の部位)に残る有機EL液93のメニスカス94の高さを、図17.Bに示す比較例の基板79上のメニスカス794に比べて小さくすることができる。すなわち、塗布装置3では、有機EL液の膜厚の均一性を向上しつつ基板9上に有機EL液を塗布することができる。
【0080】
これにより、後工程(ベーク工程)において、基板9を加熱して有機EL液93から溶媒成分を完全に蒸発させて有機EL層を基板9上に定着させる際に、塗布領域91のエッジ近傍の有機EL層の厚さが、メニスカス94に含まれる有機EL材料により厚くなってしまうことを抑制することができる。その結果、以降の工程において有機EL層の上に積層される他の層(本実施の形態では、陰極層)の厚さが、塗布領域91のエッジ近傍において不足することを防止することができる。
【0081】
ところで、有機EL液における有機EL材料の含有率は通常2%〜3%程度であり、ベークにより形成される有機EL層の厚さは、ベーク前の有機EL液93の厚さに比べて小さくなる。また、有機EL層の厚さは、有機EL表示装置の性能に大きく影響するため、高精度にコントロールされる必要がある。したがって、メニスカス94の高さを小さくして有機EL層の膜厚の均一性を向上することができる塗布装置3は、有機EL液の塗布に特に適しているといえる。
【0082】
マスキングテープ1では、図16.Bに示すように、側面103内に基材11および粘着剤層12とは別部材である吸収性部材13が設けられて吸収領域1032が形成される。したがって、吸収領域1032を形成する材料として、基材11または粘着剤層12に要求される仕様に制限されることなく、有機EL液に対する吸収性が高い材料を使用することができる。これにより、マスキングテープ1の側面103における有機EL液に対する吸収性をより高くすることができる。
【0083】
特に、塗布装置3のようにノズル37からの吐出による有機EL液の塗布では、基板9上に供給される有機EL液が微量であるため、塗布後の有機EL液は短時間で乾燥して硬化する。上述のように、マスキングテープ1は、側面103において有機EL液に対する高い吸収性を有し、塗布後の有機EL液を乾燥前に迅速に吸収することができるため、ノズル37から有機EL液を吐出する塗布装置3、および、塗布装置3を備える塗布システム8における有機EL液の塗布に特に適している。
【0084】
また、マスキングテープ1では、吸収性部材13が基材11および粘着剤層12の側方に設けられることにより、吸収領域1032の下端をマスキングテープ1の下面エッジ105に近接させることができるとともに、吸収領域1032を基材11と粘着剤層12とに亘って大面積にて形成することができる。その結果、メニスカス94の高さをより小さくすることができる。
【0085】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るマスキングテープについて説明する。図18は、第2の実施の形態に係るマスキングテープ1aを基板9の一部と共に長手方向に垂直に切断した断面図である。図18に示すように、マスキングテープ1aは、図3に示すマスキングテープ1の吸収性部材13とは形状および配置が異なる吸収性部材13aを備える。その他の構成は図3と同様であり、以下の説明において同符号を付す。
【0086】
図18に示すように、マスキングテープ1aでは、シート状の吸収性部材13aが基材11と粘着剤層12との間に設けられ、吸収性部材13aにより基材11と粘着剤層12とが接続される。基材11および粘着剤層12は、第1の実施の形態と同様に、有機EL液93に対して実質的に非吸収性の材料により形成されており、吸収性部材13aは、基材11および粘着剤層12よりも有機EL液93に対する吸収性が高い材料により形成されている。また、マスキングテープ1aの両側面103では、粘着剤層12の側方端面が非吸収領域1031となり、吸収性部材13aの側面103における露出領域が吸収領域1032となる。
【0087】
マスキングテープ1aが貼付された基板9に対する塗布装置3(図8参照)による有機EL液の塗布の流れは、第1の実施の形態と同様である。有機EL液の塗布では、第1の実施の形態と同様に、マスキングテープ1aの側面103内に吸収領域1032が設けられているため、側面103に付着した有機EL液を塗布直後に迅速に吸収することができる。これにより、マスキングテープ1aの側面103に形成されるメニスカスの高さを、非吸収領域1031の高さと同等程度まで小さくすることができる。マスキングテープ1aは、特に、基材11、吸収性部材13aおよび粘着剤層12を厚さ方向に積層することにより容易に形成することができる。
【0088】
次に、本発明の第3の実施の形態に係るマスキングテープについて説明する。図19は、第3の実施の形態に係るマスキングテープ1bを基板9と共に長手方向に垂直に切断した断面図である。図19に示すように、マスキングテープ1bは、図3に示すマスキングテープ1の両側の吸収性部材13、および、有機EL液に対して非吸収性である基材11に代えて、有機EL液に対して吸収性を有する基材11aを備える。その他の構成は図3と同様であり、以下の説明において同符号を付す。基材11aは、例えば、紙等の繊維質の材料により形成され、塗布装置3(図8参照)によりマスキングテープ1bに塗布された微量の有機EL液を乾燥する前に迅速に吸収する。
【0089】
図19に示すように、マスキングテープ1bの両側面103では、粘着剤層12の側方端面が非吸収領域1031となり、基材11aの側方端面が吸収領域1032となる。塗布装置3による有機EL液の塗布では、第1の実施の形態と同様に、マスキングテープ1bの側面103に付着した有機EL液が、基材11aの吸収領域1032から塗布直後に迅速に吸収される。このため、マスキングテープ1bの側面103に形成されるメニスカスの高さを、非吸収領域1031の高さと同等程度まで小さくすることができる。マスキングテープ1bは、特に、基材11aおよび粘着剤層12のみにより形成されているため、マスキングテープ1bの構造を簡素化することができる。
【0090】
次に、本発明の第4の実施の形態に係るマスク部材について説明する。図20は、第4の実施の形態に係る薄板状のマスク部材1cを基板9と共に示す平面図であり、図21は、図20中のC−Cの位置におけるマスク部材1cおよび基板9の断面図である。なお、図21では、図示の都合上、マスク部材1cの厚さを幅に比べて実際よりも厚く描いている。
【0091】
図20に示すように、マスク部材1cは、平面視において基板9の非塗布領域92と同形状の格子状であり、図21に示すように、下面102にて基板9の非塗布領域92に密着する。マスク部材1cと基板9の主面90との密着は、例えば、静電気力を利用して行われる。マスク部材1cは、有機EL液に対して非吸収性の部材本体14、および、格子状の部材本体14の4つの開口140(図20参照)の側面103aに設けられるとともに有機EL液に対して吸収性を有する(すなわち、部材本体14よりも有機EL液に対する吸収性が高い)吸収性部材13bを備える。
【0092】
マスク部材1cでは、下面102に平行な上面101のエッジ104から下面102のエッジ105(以下、「下面エッジ105」という。)へと上下に亘る一方の側面103aにおいて、部材本体14の側方端面が、有機EL液に対して非吸収性である非吸収領域1031となり、吸収性部材13bの側面103aにおける露出領域が有機EL液に対して吸収性を有する吸収領域1032となる。側面103aでは、第1の実施の形態と同様に、非吸収領域1031がマスク部材1cの下面エッジ105に接するとともに下面エッジ105に沿って存在し、吸収領域1032が非吸収領域1031の上面101側に下面エッジ105から離れて配置される。
【0093】
本実施の形態に係る塗布システムでは、図1に示す塗布システム8のテープ貼付装置2に代えて、マスク部材1cを、基板9上の非塗布領域92と塗布領域91との境界に、側面103a側の下面エッジ105を一致させつつ静電気力により非塗布領域92に密着させるマスク部材密着装置が設けられる。また、テープ剥離装置4に代えて、マスク部材1cを有機EL液が塗布された基板9から剥離するマスク部材剥離装置が設けられる。
【0094】
マスク部材1cが密着された基板9に対する塗布装置3による有機EL液の塗布では、第1の実施の形態と同様に、マスク部材1cの側面103aに付着した有機EL液が、吸収性部材13bの吸収領域1032から塗布直後に迅速に吸収される。このため、マスク部材1cの側面103aに形成されるメニスカスの高さを、非吸収領域1031の高さと同等程度まで小さくすることができる。
【0095】
塗布システム8では、1枚のマスク部材1cにより非塗布領域92の全体を被覆することができるため、マスク部材1cの基板9に対する密着工程および剥離工程を迅速に行うことができる。また、マスク部材1cの基板9に対する密着や基板9からの剥離に際して、マスク部材1cの取り扱いを容易とすることができる。
【0096】
一方、第1の実施の形態のように、基板9の非塗布領域92を被覆するマスク部材としてマスキングテープ1を利用する場合、マスキングテープ1を様々な長さに切断して使用することができるため、非塗布領域92が様々な大きさや形状を有するものであっても容易に対応することができ、非塗布領域92を確実に被覆することができる。
【0097】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0098】
例えば、第1の実施の形態に係るマスキングテープ1では、吸収性部材13の上側が基材11の一部により覆われているが、吸収性部材13は、その上面が基材上面111に一致するように、換言すれば、吸収性部材13の上面がマスキングテープ1の上面において露出するように設けられてもよい。
【0099】
また、マスキングテープ1では、必ずしも幅方向の両側の側面103に吸収領域1032が設けられる必要はなく、幅方向の一方側においてのみ、側面103に吸収領域1032が設けられてもよい。このようなマスキングテープは、例えば、当該一方側の下面エッジ105を、基板9の塗布領域91と非塗布領域92との境界に一致させるとともに、他方側の下面エッジ105を基板9の非塗布領域92上の切断領域(すなわち、1枚の基板9から複数枚の有機EL表示装置用の基板を得る際に切断されるため製品として使用されない領域であり、隣接する塗布領域91の間に位置する非塗布領域92のほぼ中央に位置する。)に位置させて貼付される。
【0100】
上記実施の形態に係る塗布システム8の塗布装置3では、塗布ヘッド34に設けられるノズルの本数は3本には限定されず、また、必ずしも3種類の有機EL液が同時に塗布される必要もない。例えば、3本以上のノズルから同一種類の有機EL液が同時に吐出されて基板9に塗布されてもよい。この場合、隣接する2本のノズルの間の副走査方向に関する距離は、隔壁ピッチの3倍と等しくされる。
【0101】
マスキングテープ1,1a,1bおよびマスク部材1cは、上述の有機EL液の塗布以外に、有機EL表示装置用の基板9に対して正孔輸送材料を含む流動性材料(以下、「正孔輸送液」という。)を塗布する際に、非塗布領域92に対する正孔輸送液の付着防止に利用されてもよい。ここで、「正孔輸送材料」とは、有機EL表示装置の正孔輸送層を形成する材料であり、「正孔輸送層」とは、有機EL材料により形成された有機EL層へと正孔を輸送する狭義の正孔輸送層のみを意味するのではなく、正孔の注入を行う正孔注入層も含む。
【0102】
正孔輸送液は通常、正孔輸送材料を水に溶かした(あるいは、混入した)流動性材料である。このような水系の流動性材料を基板9に塗布する場合、マスキングテープ1,1aおよびマスク部材1cに設けられる吸収性部材は、吸水性ポリマー(例えば、SAP(Super Absorbent Polymer))等、水に対する高い吸収性を有する材料により形成される。
【0103】
また、マスキングテープ1,1a,1bおよびマスク部材1cは、必ずしも有機EL表示装置用の有機EL材料または正孔輸送材料を画素形成材料として含む流動性材料の塗布の際にのみ利用されるわけではなく、例えば、液晶表示装置やプラズマ表示装置等の平面表示装置用の基板に対し、着色材料や蛍光材料等の他の種類の画素形成材料を含む流動性材料を塗布する場合やその他の流動性材料を塗布する場合に利用されてもよい。さらには、有機薄膜太陽電池用基板や半導体ウエハ、光ディスク用基板等の様々な基板に対する流動性材料の塗布の際に利用されてもよい。
【0104】
上記実施の形態では、ノズルから基板に向けて流動性材料を連続的に吐出して塗布する方法について説明したが、マスキングテープ1,1a,1bおよびマスク部材1cは、これ以外の塗布方法(例えば、インクジェット法やスピンコート法)により流動性材料を基板に塗布する際にも利用されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】第1の実施の形態に係る塗布システムの構成を示す図である。
【図2】基板の平面図である。
【図3】基板の断面図である。
【図4】テープ貼付装置の平面図である。
【図5】テープ貼付装置の正面図である。
【図6】テープ貼付装置の左側面図である。
【図7.A】テープ貼付ヘッドを拡大して示す左側面図である。
【図7.B】テープ貼付ヘッドの一部を拡大して示す左側面図である。
【図8】塗布装置の平面図である。
【図9】塗布装置の正面図である。
【図10】有機EL液の塗布の流れを示す図である。
【図11】マスキングテープおよび基板の平面図である。
【図12】マスキングテープおよび基板の断面図である。
【図13】テープ剥離装置の平面図である。
【図14.A】テープ剥離ヘッドを拡大して示す左側面図である。
【図14.B】テープ剥離ヘッドの一部を拡大して示す左側面図である。
【図15】基板の断面図である。
【図16.A】マスキングテープおよび基板の一部を示す断面図である。
【図16.B】マスキングテープおよび基板の一部を示す断面図である。
【図16.C】基板の一部を示す断面図である。
【図17.A】比較例のマスキングテープおよび基板の一部を示す断面図である。
【図17.B】比較例の基板の一部を示す断面図である。
【図18】第2の実施の形態に係るマスキングテープの断面図である。
【図19】第3の実施の形態に係るマスキングテープの断面図である。
【図20】第4の実施の形態に係るマスク部材および基板の平面図である。
【図21】マスク部材および基板の一部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0106】
1,1a,1b マスキングテープ
1c マスク部材
2 テープ貼付装置
3 塗布装置
4 テープ剥離装置
6 搬送ロボット
8 塗布システム
9 基板
11,11a 基材
12 粘着剤層
13,13a,13b 吸収性部材
31 基板保持部
32 基板移動機構
35 ヘッド移動機構
37 ノズル
90 主面
91 塗布領域
92 非塗布領域
93 有機EL液
101 上面
102 下面
103,103a 側面
104 上面エッジ
105 下面エッジ
111 基材上面
122 粘着剤層下面
1031 非吸収領域
1032 吸収領域
S11〜S14 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の主面上の非塗布領域に密着して前記非塗布領域に対する流動性材料の付着を防止するテープ状または薄板状のマスク部材であって、
基板に密着する下面と、
前記下面とは反対側の上面と、
前記上面のエッジから前記下面のエッジへと上下に亘る側面と、
を備え、
前記側面が、
前記下面の前記エッジに接するとともに前記下面の前記エッジに沿って存在し、前記基板に塗布される流動性材料に対して非吸収性である非吸収領域と、
前記非吸収領域の前記上面側において前記流動性材料に対して吸収性を有する吸収領域と、
を備えることを特徴とするマスク部材。
【請求項2】
請求項1に記載のマスク部材であって、
前記上面が、テープ状の基材上の一の主面であり、
前記基材の前記一の主面とは反対側の面上に粘着剤層が形成されており、
前記下面が、前記粘着材層の前記基材とは反対側の面であることを特徴とするマスク部材。
【請求項3】
請求項2に記載のマスク部材であって、
前記非吸収領域が、前記流動性材料に対して非吸収性である前記粘着剤層の側方端面であり、
前記吸収領域が、前記流動性材料に対して吸収性を有する前記基材の側方端面であることを特徴とするマスク部材。
【請求項4】
請求項2に記載のマスク部材であって、
前記基材および前記粘着剤層よりも前記流動性材料に対する吸収性が高い吸収性部材が前記側面内に設けられ、
前記非吸収領域が、前記流動性材料に対して非吸収性である前記粘着剤層の側方端面であり、
前記吸収領域が、前記吸収性部材の前記側面における露出領域であることを特徴とするマスク部材。
【請求項5】
請求項2に記載のマスク部材であって、
前記基材および前記粘着剤層よりも前記流動性材料に対する吸収性が高いシート状の吸収性部材が、前記基材と前記粘着剤層との間に設けられ、
前記非吸収領域が、前記流動性材料に対して非吸収性である前記粘着剤層の側方端面であり、
前記吸収領域が、前記吸収性部材の前記側面における露出領域であることを特徴とするマスク部材。
【請求項6】
請求項4または5に記載のマスク部材であって、
前記基材が、前記流動性材料に対して非吸収性であることを特徴とするマスク部材。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のマスク部材であって、
前記側面とは反対側に、前記側面と同様の非吸収領域および吸収領域を備えるもう1つの側面をさらに備えることを特徴とするマスク部材。
【請求項8】
基板に流動性材料を塗布する塗布装置であって、
請求項1ないし7のいずれかに記載のマスク部材が、基板上の非塗布領域と塗布領域との境界に前記下面の前記エッジを一致させつつ前記非塗布領域に密着している前記基板を保持する基板保持部と、
前記基板に向けて流動性材料を連続的に吐出するノズルと、
前記ノズルを前記基板の主面に平行であって前記エッジと交差する主走査方向に前記基板に対して相対的に移動することにより、前記基板上の前記マスク部材を含む領域に前記流動性材料を塗布する主走査機構と、
前記基板の前記主面に平行であって前記主走査方向に垂直な副走査方向に前記ノズルを前記基板に対して相対的に移動する副走査機構と、
を備えることを特徴とする塗布装置。
【請求項9】
請求項8に記載の塗布装置であって、
前記流動性材料が、平面表示装置用の画素形成材料を含むことを特徴とする塗布装置。
【請求項10】
請求項9に記載の塗布装置であって、
前記画素形成材料が、有機EL表示装置用の有機EL材料または正孔輸送材料であることを特徴とする塗布装置。
【請求項11】
基板に流動性材料を塗布する塗布システムであって、
請求項1ないし7のいずれかに記載のマスク部材を、基板上の非塗布領域と塗布領域との境界に前記下面の前記エッジを一致させつつ前記非塗布領域に密着させるマスク部材密着装置と、
請求項8ないし10のいずれかに記載の塗布装置と、
流動性材料が塗布された基板から前記マスク部材を剥離するマスク部材剥離装置と、
前記マスク部材密着装置、前記塗布装置および前記マスク部材剥離装置へと順に基板を搬送する基板搬送機構と、
を備えることを特徴とする塗布システム。
【請求項12】
基板に流動性材料を塗布する塗布方法であって、
a)請求項1ないし7のいずれかに記載のマスク部材が、基板上の非塗布領域と塗布領域との境界に前記下面の前記エッジを一致させつつ前記非塗布領域に密着している前記基板に向けて、ノズルから流動性材料を連続的に吐出しつつ前記ノズルを前記基板の主面に平行であって前記エッジと交差する主走査方向に相対的に移動することにより、前記基板上の前記マスク部材を含む領域に前記流動性材料を塗布する工程と、
b)前記ノズルを前記基板の前記主面に平行であって前記主走査方向に垂直な副走査方向に相対的に移動する工程と、
c)前記a)工程および前記b)工程を繰り返す工程と、
を備えることを特徴とする塗布方法。
【請求項13】
請求項12に記載の塗布方法であって、
前記流動性材料が、平面表示装置用の画素形成材料を含むことを特徴とする塗布方法。
【請求項14】
請求項13に記載の塗布方法であって、
前記画素形成材料が、有機EL表示装置用の有機EL材料または正孔輸送材料であることを特徴とする塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7.A】
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【図7.B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14.A】
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【図14.B】
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【図15】
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【図16.A】
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【図16.B】
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【図16.C】
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【図17.A】
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【図17.B】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−678(P2008−678A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172359(P2006−172359)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】