説明

マトリックスメタロプロテイナーゼの阻害剤

式(I)(式中、R1は、場合により置換C4−12アルキル、C2−10アルキルシクロアルキル、C2−6アルキルヘテロシクロアルキル、C2−6アルキルアリール、または場合により置換された5員または6員のアリールまたはヘテロアリール(ピリジニルを除く);Zは、結合、CH2、O、S、SO、SO2、NR4、OCR4R5、CR4R5O、あるいは、Z、R1およびQは、共に場合により置換された縮合三環式基を形成し;Qは、場合により置換された5員または6員のアリールまたはヘテロアリール環;Xは、COR3;R2は、CONH2、CO2H、CO2R7、SO2R7またはSO2NR8R9(ただしXがCONH2である場合、R2はCO2R7ではない);R3は、OR6またはNR8R9;R4およびR5は互いに独立して、H、C1−6アルキル、またはC1−4アルキルアリール;R6はH、C1−6アルキル;R7は、C1−6アルキル;R8およびR9は互いに独立して、HまたはC1−6アルキル、あるいは、R8およびR9は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、O、SおよびNから選択される1個または複数のヘテロ原子を含みうる5員環または6員環を形成する)の化合物およびその生理学上機能的な誘導体(ただし、[3−(アセチルアミノ)−4−シクロヘキシルフェニル]−ブタン二酸および3−(アセチルアミノ)−4−シクロヘキシルフェニル]−ブタン二酸ジエチルエーテル;ブタン二酸[3−メトキシ−4−(フェニルメトキシ)フェニル];ブタン二酸[4−(フェニルメトキシ)フェニル]およびその生理学上機能的な誘導体を除く)、その製造方法、それを含む医薬製剤、ならびにマトリックスメタロプロテイナーゼ酵素(MMP)の阻害剤としてのその使用が記載されている。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な化学化合物、それらの調製方法、それらを含有する医薬製剤、および治療におけるそれらの使用に関する。本発明の化合物は、マトリックスメタロプロテイナーゼ酵素(MMP)の阻害剤である。
【背景技術】
【0002】
マトリックスメタロプロテイナーゼ酵素は、細胞外マトリックス成分の分解と再構築において重要な役割を果たしている。MMPの例としては、コラゲナーゼ1、2および3、ゼラチナーゼAおよびB、ストロメリシン1、2および3、マトリリシン、マクロファージメタロエラスターゼ、エナメリシン、ならびに膜型1MMP、2MMP、3MMPおよび4MMPが挙げられる。これらの酵素は、結合組織細胞と炎症細胞によって分泌される。酵素活性化は、組織損傷を引き起こすだけでなく、炎症性細胞の組織への浸潤増大を誘発し、その結果、酵素がさらに生産され、その後組織損傷をもたらす。例えば、MMP分解によって産生されるエラスチン断片は、MMP活性の部位にマクロファージを誘引することにより炎症を刺激すると考えられている。このため、MMPを阻害することにより、不適切なメタロプロテアーゼ活性が結合組織分解と炎症を引き起こしている疾患状態を治療するための手段が得られる。
【0003】
国際公開公報WO97/18188は、ストロメリシンおよび腫瘍壊死因子α(TNFα)を含むMMPを阻害するといわれるビフェニルヒドロキサム酸化合物を開示する。この化合物は、幅広い範囲の活性を有し、すべてのMMPを阻害することが報告されている。
【0004】
本発明の化合物と構造的に類似する特定の化合物が、中間体としてJ Med Chem 1972, 15(9), 934−7に開示されている。
【発明の開示】
【0005】
一態様では、本発明は、式(I):
【化1】

【0006】
(式中、
R1は、場合により置換されたC4−12アルキル、C2−10アルキルシクロアルキル、C2−6アルキルヘテロシクロアルキル、C2−6アルキルアリール、場合により置換された5員または6員のアリールまたはヘテロアリール(ただしピリジニルを除く)を表し;
Zは、結合、CH2、O、S、SO、SO2、NR4、OCR4R5、CR4R5Oを表すか、あるいは、Z、R1およびQは、一緒になって、場合により置換された縮合三環式基を形成しており;
Qは、場合により置換された5員または6員のアリールまたはヘテロアリール環を表し;
Xは、COR3を表し;
R2は、CONH2、CO2H、CO2R7、SO2R7またはSO2NR8R9,を表し(ただしXがCONH2である場合、R2はCO2R7ではない);
R3は、OR6またはNR8R9を表し;
R4およびR5は、互いに独立して、H、C1−6アルキル、またはC1−4アルキルアリールを表し;
R6は、H、またはC1−6アルキルを表し;
R7は、C1−6アルキルを表し;
R8およびR9は互いに独立して、HまたはC1−6アルキルを表すか、あるいは、R8およびR9は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、O、SおよびNから選択される1個または複数のさらなるヘテロ原子を場合により含んでいてもよい5員環または6員環を形成しており;
ただし、R1がC4−12アルキルを表す場合、Zは結合、OまたはCH2以外を表す)
で表される化合物、ならびにその生理学上機能的な誘導体(ただし、[3−(アセチルアミノ)−4−シクロヘキシルフェニル]−ブタン二酸および3−(アセチルアミノ)−4−シクロヘキシルフェニル]−ブタン二酸ジエチルエーテル;ブタン二酸[3−メトキシ−4−(フェニルメトキシ)フェニル];ブタン二酸[4−(フェニルメトキシ)フェニル]およびその生理学上機能的な誘導体を除く)を提供する。
【0007】
本発明者らは、式(I)の化合物がMMPの潜在的な阻害剤であることを見出した。
【0008】
また、有利なことに、本発明の化合物は選択性があり、特にMMP−12の選択的阻害剤である。
【0009】
「アリール」という記載には、単環炭素環式芳香族環(例えば、フェニル)および二環炭素環式芳香族環(例えば、ナフチル)が含まれ、「ヘテロアリール」という記載には、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を含む、単環および二環ヘテロ環式芳香族環が含まれる。単環ヘテロ環式芳香族環の例としては、例えば、ピリミジニル、チエニル、フラニル、ピロリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリルまたはイミダゾリルが挙げられ、二環ヘテロ環式芳香族環の例としては、例えば、ベンズイミダゾリル、キノリニルまたはインドリルが挙げられる。炭素環式およびヘテロ環式芳香族環は例えば、1個または複数のC1−6アルキル、C2−6 アルケニル、ハロゲン、(CH20−4OR10、(CH20−4SR10、SO2R11、COR11、アリールオキシ、チオアリール、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、NR10R12、−NR10COR12、−OCF3、−CF3、COOR10、−OCHCF2、−SCF3、−CONR10R12、−SO2NR10R12などの基によって、場合により置換されていてもよい。式中、R10およびR12は独立して、HまたはC1−6アルキルを表し、かつR11はC1−6アルキルを表す。
【0010】
アルキルの記載には、対応するアルキルの直鎖および分枝鎖の両方の脂肪族異性体が含まれる。アルキレンおよびアルコキシの記載についても同様に判断すべきであることは理解されよう。
【0011】
シクロアルキルの記載には、シクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルのようなC3−8 シクロアルキルが含まれる。
【0012】
ヘテロシクロアルキルの記載には、ピロリジニル、ピペリジニルおよびピペラジニルのようなC3−8ヘテロシクロアルキルが含まれる。
【0013】
好適には、R1は、置換もしくは非置換のアリール、インドリルまたはチエニル、例えば、置換フェニルもしくは非置換フェニルを表す。
【0014】
好適には、R2は、CONH2またはCOOHまたはCO2CH3、例えば、CONH2を表す。第二のCONH2基を削除すべきか、あるいはより好ましいものとして保持すべきか?
好適には、R3は、OHまたはNH2、特に好ましくはOHを表す。
【0015】
本発明による化合物の一つの好ましいサブグループにおいて、XはCO2Hを表し、かつR2はCONH2を表す。
【0016】
好適には、Qは、非置換アリール、例えば非置換フェニルを表す。
【0017】
好適には、Zは結合またはO、例えば結合を表す。
【0018】
式(I)の化合物のさらに好ましいサブグループは、式(Ia):
【化2】

【0019】
(式中、
R13は、H、ハロ、CF3、−OCF3、シアノ、ニトロ、OR14、SR15またはCOR16を表し;
R14、R15、R16は独立して、H、C1−6アルキルまたはC1−4アルキルアリールを表す)
で表される化合物およびその生理学上機能的な誘導体である。
【0020】
好ましくは、R13はメタ位またはパラ位にある。
【0021】
好ましくは、R14はメチルまたはCF3を表す。
【0022】
好ましくは、R15はメチルを表す。
【0023】
好ましくは、R16はメチルを表す。
【0024】
「生理学上機能的な誘導体」という用語には、例えば、生体内で式(I)に変換可能であることによって、式(I)の遊離化合物と同様の生理機能を有する式(I)の化合物の化学的誘導体という意味があり、服用者へ投与した場合に、式(I)の化合物またはその活性代謝物または残基を(直接的または間接的に)提供し得る、式(I)の化合物の任意の製薬上許容可能なエステル、アミドおよびカルバメート、塩ならびに溶媒和物が含まれる。
【0025】
式(I)の化合物の好適な塩としては、生理学上許容可能な塩、ならびに生理学上許容可能でないかもしれないが、式(I)の化合物およびその生理学上許容可能な塩の調製に有用であり得る塩が挙げられる。適切ならば、酸付加塩は無機酸または有機酸から誘導することができ、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、メタンスルホン酸塩、ギ酸塩またはトリフルオロ酢酸塩等が挙げられる。
【0026】
溶媒和物の例としては、水和物が含まれる。
【0027】
式(I)の化合物がキラル中心を含有する場合、本発明は、エナンチオマー(ラセミ混合物を含む)およびジアステレオ異性体の混合物、ならびに個々のエナンチオマーまで包含する。一般に、式(I)の化合物は精製された単一のエナンチオマーの形態で使用するのが好ましい。
【0028】
式(I)の化合物ならびにその塩および溶媒和物は、下に記載の方法によって調製することができるが、これは、本発明のさらなる態様を構成する。
【0029】
本発明はまた式(I)の化合物の調製方法も含む。この方法は以下の方法を包含する:
(A)式(I)(式中、Zは結合を表し、R1は、場合により置換された5員もしくは6員のアリールもしくはヘテロアリールを表す)の化合物を調製するために、式(II):
【化3】

【0030】
(式中、R2、QおよびXは、式(I)について前に定義したとおりであり、L1は脱離基を表す)
の化合物を、基R1を導入するのに好適な試薬(例えば、化合物R1B(OH)2)と反応させるステップ;あるいは、
(B)(i)式(I)(式中、ZはO、S、SO、SO2、NR4、OCR4R5を表す)の化合物を調製するために、式(III):
【化4】

【0031】
(式中、R2、QおよびXは、式(I)について前に定義したとおりであり、かつYはOH、SH、NHR4、HOCR4R5を表す)
の化合物を、式(IV):
R1L2 (IV)
(式中、R1は上記式(I)の化合物について上記で定義したとおりであり、かつL2 は脱離基を表す)
の化合物と反応させ;
(ii)Yが−SHである場合、場合によりその後必要に応じて対応するSOまたはSO2に酸化するステップ;あるいは、
(C)式(I)(式中、Zは、−CR4R5O−を表す)の化合物を調製するために、式(III)(式中、Yは、OHである)の化合物を、式(V):
R1CR4R5L3 (V)
(式中、R1、R4、R5は式(I)の化合物について上記で定義したとおりであり、かつL3は脱離基を表す)の化合物と反応させるステップ;あるいは
(D)式(I)(ZはCH2であり、かつR1は場合により置換された5員または6員のアリールまたはヘテロアリールを表す)の化合物を調製するために、
(i)式(VI):
【化5】

【0032】
(式中、Q、XおよびR2は上記に定義したとおりである)の化合物を、場合により置換された5員または6員のアリールまたはヘテロアリール求核試薬、例えば、式(VII):
【化6】

【0033】
(式中、Aは5員または6員のアリールまたはヘテロアリールであり、R17はHまたは1個もしくは複数の置換基(本明細書中に記載)であり、かつMは例えば、Mg、LiもしくはMgLiのような金属である)の化合物と反応させ;
(ii)生じたアルコールを還元および除去するステップ、あるいは;
(E)保護形態の式(I)の化合物を脱保護するステップ。
【0034】
方法(A)は、触媒、例えば、貴金属触媒(例えば、パラジウム)および適切な塩基、例えば、アルカリ金属炭酸塩(例えば、セシウム炭酸塩または好ましくは、カリウム炭酸塩)の存在下で実施することができる。この反応を適切な溶媒、例えば、極性有機溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)またはDME(ジメトキシエタン)中で実施するのが都合がよい。L1によって表される適切な脱離基には、ハロゲン化合物、特に臭化物またはヨウ化物が含まれる。
【0035】
方法(B)(i)は、塩基性条件下、例えば、水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム)溶液の存在下で、0〜100℃、好ましくは、70℃のような極温ではない温度で、適切な溶媒、例えば、アルコール溶媒(例えば、エタノール)中で実施することができる。
【0036】
ステップ(B)(ii)のチオール生成物の対応するスルホンへの任意の酸化は、標準的な条件下で過酸化水素を用いた酸化のような当業者に公知である方法によって行うことができる。ここでこの対応するスルホキシドは、例えば、Oxone(登録商標)(カリウムペルオキシモノサルフェート)を酸化剤として用いて標準的な条件下にて、またはメタ−クロロ過安息香酸下で適切な溶媒、例えばCH2Cl2中で調製できる。
【0037】
方法(C)は、上記方法(B)(i)の条件と類似した条件下で実施できる。
【0038】
方法(D)は、無水条件下、好ましくは、不活性気体(例えば、窒素)、適切な溶媒(例えば、THFまたはジエチルエーテル)中で、−78℃のような低温からその後暖めて室温にして、実施することができる。
【0039】
生じたアルコール基の還元および除去は、例えばChem. Com. 2001, 13, 1168−69に説明されるように、塩化トリメチルシリルおよびヨウ化ナトリウムを用いて、室温のような極温ではない温度にて、アセトニトリルのような溶媒中で行うことができる。
【0040】
式(I)の化合物が酸化、還元、置換、脱保護などの、合成化学の分野において標準的な方法を用いた相互変換によって式(I)の他の化合物より調製しうることが、当業者には理解されるであろう。
【0041】
保護基とは、任意の従来の保護基、例えば、Theodora GreeneおよびPeter G.M. Wutsによる「Protective Groups in Organic Synthesis」(John Wiley and Sons Inc. 1999)に記載されるものでありうる。適切なカルボン酸保護基には、これらに限定されないが、カルボン酸エステル、例えば、メチルエステル、エチルエステル、t−ブチルエステル、アリールエステル、例えば、ベンジルエステルが含まれる。
【0042】
ベンジルエステルは、例えば、極温ではない温度で、適切な溶媒、例えば、アルコール(エタノールなど)中において、触媒(例えば、PtO2)の存在下で水素化分解することによって除去することができる。t−ブチルエステルは、例えば、極温ではない温度で、適切な溶媒(トルエンなど)中において、SiO2によって除去することができる。
【0043】
式(II)の化合物は以下の方法によって調製されうる:
(F)式(II)(式中、XはCOOHであり、かつR2はCOOHである)の化合物を調製する方法であって、式(VIII):
【化7】

【0044】
(式中、
Qは式(I)の化合物について前に定義したとおりであり、L5は脱離基、例えば、ハロゲン(例えば、クロロもしくはブロモ)またはマスクされた(masked)それらの誘導体(例えば、保護アルコール)を表し、かつP1およびP2 は独立して保護基を表す)
で表される化合物を、保護基P1およびP2を除去することによって脱保護し;
必要な場合には、都合の良い脱離基へL5を脱保護および/または変換するステップを含む方法;あるいは
(G)式(II)(式中、XはCOR3である)の化合物を調製する方法であって、
式(III)の化合物をP1の選択的な除去により脱保護し;
生じたカルボン酸を標準的な条件下でアミノ化またはエステル化し;
その後、適切な方法により保護基P2を除去し;
次いで所望されるエステル化剤またはアミノ化剤(例えば、アルコキシ求核試薬またはアンモニア)を用いて処理し;そして
必要な場合には、都合の良い脱離基へL5を脱保護および/または変換するステップを含む方法;
(H)式(II)の化合物(式中、R2はエステルCONH2であり、かつXはカルボン酸である)を調製する方法であって、
式(VIII)の化合物を選択的に脱保護することでP2を除去し;
次いで所望されるエステル化剤またはアミノ化剤(例えば、アルコキシ求核試薬もしくはアンモニア)を用いて処理し;
必要な場合には、L5を都合の良い脱離基へ変換し;
遊離カルボン酸を生成するためにP1を除去し;
その後、上記標準的な条件下で、所望されるエステル化剤またはアミノ化剤(例えば、アルコキシ求核試薬もしくはアンモニア)を用いて処理するステップを含む方法;あるいは
(I)式(II)(式中、XおよびR2 は同一である)の化合物を調製する方法であって、式(VIII)の化合物を脱保護し、その後、適切な試薬の少なくとも2モル当量を用いてアミノ化またはエステル化するステップを含む方法;
(J)式(II)(式中R2はSO2R7またはSO2NR8R9を表す)の化合物を調製する方法であって、
(i)式(IX):
【化8】

【0045】
(式中、
Qは上に定義したとおりであり、L6は脱離基、例えば、ハロゲン(クロロもしくはブロモなど)またはそれらのマスクされた誘導体(例えば、保護アルコール)を表し、かつR18はHまたはC1−6アルキルを表す)
で表される化合物を酸化して対応するスルホキシド、スルホンまたはスルホン酸にし;
(ii)ステップ(i)の生成物がスルホン酸である場合、続いてハロゲン化剤(例えば、POCl3)で処理し、その後、式(X):
NHR8R9 (X)
(式中、
R6およびR7は式(I)の化合物について前に定義したとおりである)
で表される化合物で処理し;
(iii)ステップ(i)またはステップ(ii)の生成物を、式(XI):
【化9】

【0046】
(式中、
L7は脱離基、例えば、ハロゲン(例えば、クロロまたはブロモ)を表し、かつP2は保護基を表す)
で表される化合物で、適切な塩基(例えば、LiHMDS(リチウムビス(トリメチルシリル)アミド)の存在下にて処理し;
(iv)その後、脱保護によって式(II)の化合物を得るステップを含む方法。
【0047】
方法(F)は、上記のように、例えば、ベンジルエーテルおよびt−ブチルエーテルに関して、標準的な条件下で行うことができる。L5に適切な基には、ハロゲン、例えば、クロロ、ブロモおよびヨードがある。
【0048】
保護および脱保護の方法は、Theodora GreeneおよびPeter G.M. Wutsによる「Protective Groups in Organic Synthesis」(John Wiley and Sons Inc. 1999)に記載されている。選択的な脱保護が必要な場合、分子内の異なる官能基について保護基を選択するが、その保護基が異なる条件下で除去できるように(例えば、t−ブチルエステルは、ベンジルエステルの存在下においてトルエンのような溶媒中SiO2を用いて除去できる)選択しなければならない。
【0049】
方法(G)において、アミノ化は、標準的な条件下において、任意の適切な試薬を用いて行いうる。例えば、活性剤(例えば、O−(7−アザベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIPEA))の存在下で、適切な溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド(DMF))中で塩化アンモニウムを用いて行いうる。エステル化は、標準的な条件下において、任意の適切な試薬を用いて行いうる。例えば、適切な溶媒(例えば、アルコール溶媒)中においてアルコキシドを用いて行いうる。
【0050】
方法(H)および(I)については、方法(G)について上記した条件と類似する条件下で実施しうる。
【0051】
方法(J)(i)は、例えば、適切な溶媒(例えば、水)中でカリウムペルオキシモノサルフェート(Oxone(登録商標))を用いるか、または溶媒(例えば、ジクロロメタン)中でメタクロロ過安息香酸を用いて実施しうる。この反応は一般に、極温ではない温度、例えば、0℃〜40℃(例えば、室温)で実施される。
【0052】
方法(J)(ii)のハロゲン化ステップは一般に、溶媒を添加することなく、高温、例えば、30〜150℃(例えば105℃)で、POCl3のような試薬を用いて実施される。続くアミノ化ステップは一般的に、極温ではない温度、例えば、0℃〜100℃(例えば室温)で、適切な溶媒、例えば、THF、DMFまたはジクロロメタン(DCM)中で、弱塩基または非求核性塩基、例えば、トリエチルアミンの存在下において実施される。
【0053】
方法(J)(iii)は、一般的に、低温、例えば、−78〜20℃(例えば、−78℃)およびその後0℃まで暖めて実施される。
【0054】
ステップ(IV)の脱保護は当業者に周知の方法で行うことができる。
【0055】
式(III)の化合物は、式(XII):
【化10】

【0056】
で表される化合物またはそれらの保護誘導体(ここで、Y基および/またはR2基の官能基は保護されており、Q、YおよびR2は、式(III)の化合物について前に定義したとおりである)から、式(II)の化合物の調製について上記したものと類似の方法論によって調製することができる。
【0057】
さらに、場合によっては、例えば、水酸化物、チオール、アミノ、またはアルコキシ求核試薬ならびに適切な保護および脱保護のストラテジーを用いて、式(II)の化合物を式(III)の化合物に変換することが可能でありうる。
【0058】
式(VII)の化合物は、当業者に周知である金属交換反応法によって調製しえ、あるいはグリニャール試薬のような化合物は、マグネシウム金属を、必要とされるアリール/アルキルハロゲン化物に、適切な条件下で適切に添加することによって調製できる。
【0059】
この反応は、極温ではない温度、例えば、10℃〜室温で、不活性気体下において、適切な溶媒、例えば、無水THF中で実施しうる。
【0060】
式(VIII)の化合物は、式(XIV):
【化11】

【0061】
(式中、
QおよびP2 は上で定義したとおりであり、かつL7は脱離基またはマスクされた脱離基(例えば、保護アルコール)を表す)
で表される化合物から、
式(XV):
【化12】

【0062】
(式中、
P1は、上で定義したような保護基であり、かつL8は脱離基、例えば、ハロゲン(例えば、クロロ、ブロモまたはヨード)である)
で表される化合物を用いて調製しうる。
【0063】
式(IV)、(V)、(VI)、(X)、(XI)、(XII)、(XIII)および(XV)の化合物は公知であり、公知の方法によって調製しうる。
【0064】
式(II)、(III)、(VII)、(VIII)、(IX)および(XIV)の特定化合物は新規であり、本発明の一態様を形成する。
【0065】
式(I)の化合物を上記の種々の方法によって調製可能なことは当業者にとって明らかであろう。この上記種々の方法におけるステップを異なる順序で行うこと、ならびにその保護および脱保護のストラテジーを、必要に応じて所望される生成物の生成に適合させること、ならびにそのステップの順序を必要に応じて変化させてもよいことは当業者にとって明らかであろう。
【0066】
場合によっては、脱離基は官能誘導体(本明細書中においてはマスクされた誘導体とも称される)として、例えば、保護アルコールとして保護される。この官能誘導体は、次いで、公知の方法でハロゲン化剤(POCl3もしくはSOCl2など)またはトリフレートもしくはメシレートもしくはトシレートにより、合成の後期で脱離基(例えばハロゲン)に変換できる。
【0067】
本発明のエナンチオマー化合物は、(a)対応するラセミ混合物の成分の分離によって、例えば、キラルクロマトグラフィー、酵素的分割方法、または好適なジアステレオ異性体の調製および分離によって、(b)上述の方法により適当なキラル出発原料から直接合成することによって、あるいは、(c)キラル試薬を用いた上述の方法と同様の方法によって得ることができる。
【0068】
式(I)の化合物の対応する塩への任意変換は、好ましくは、適当な酸または塩基との反応により行うことができる。式(I)の化合物の対応する溶媒和物または他の生理学上機能的な誘導体への任意変換は、当業者に既知の方法により行うことができる。
【0069】
式(I)の化合物は、マトリックスメタロプロテイナーゼの阻害が有効なすべての症状の治療において、特に、炎症性疾患および自己免疫障害の治療において有用であり得る。
【0070】
本発明の化合物が薬効を有し得る炎症性症状および自己免疫障害の例としては、呼吸器疾患、例えば、喘息(アレルゲン誘発型喘息反応を含む)、嚢胞性繊維症、気管支炎(慢性気管支炎を含む)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、成人型呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性経肺炎症、鼻炎および上気道炎症性障害(URID)、ベンチレーター誘発型肺損傷、珪肺症、肺サルコイドーシス、特発性肺線維症、気管支肺異形成、関節炎、例えば、慢性関節リウマチ、骨関節炎、感染性関節炎、乾癬性関節炎、外傷性関節炎、風疹関節炎、ライター症候群、痛風性関節炎および人工器官関節機能不全、痛風、急性滑膜炎、脊椎炎および非関節炎症症状、例えば、椎間板ヘルニア/破損椎間板/脱出椎間板症候群、粘液嚢炎、腱炎、腱滑膜炎、結合組織炎症候群ならびに靭帯捻挫および限局性筋骨格損傷に随伴する他の炎症性症状、胃腸管の炎症性疾患、例えば、潰瘍性大腸炎、憩室炎、クローン病、炎症性腸疾患、過敏性大腸症候群および胃炎、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、硬皮症、自己免疫性外分泌腺症、自己免疫性脳脊髄炎、糖尿病、腫瘍血管形成および転移、乳癌、結腸癌、直腸癌、肺癌、腎癌、卵巣癌、胃癌、子宮癌、膵臓癌、肝癌、口腔癌、喉癌および前立腺癌をはじめとする癌、黒色腫、急性白血病および慢性白血病、歯槽膿漏症、神経変性障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、てんかん、筋変性、鼡径ヘルニア、網膜変性、糖尿病性網膜症、黄斑変性、眼球炎症、骨吸収疾患、骨粗鬆症、大理石骨病、移植片対宿主反応、同種異系移植片拒絶反応、敗血症、内毒素血症、毒素性ショック症候群、結核、通常型間質性器質化肺炎および特発性器質化肺炎、細菌性髄膜炎、全身性悪液質、感染または悪性腫瘍続発性悪液質、後天性免疫不全症候群(AIDS)続発性悪液質、マラリア、ハンセン病、皮膚リーシュマニア症、ライム病、糸球体腎炎、糸球体硬化症、腎線維症、肝臓線維症、膵臓炎、肝炎、子宮内膜症、疼痛、例えば、炎症および/または外傷に伴う疼痛、皮膚の炎症性疾患、例えば、皮膚炎、皮膚病、皮膚潰瘍、乾癬、湿疹、全身性脈管炎、血管性認知症、血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、再潅流傷害、プラーク石灰化、心筋炎、動脈瘤、卒中、肺高血圧症、左心室リモデリング、および心不全が挙げられる。
【0071】
重要な主たる疾患としては、COPDおよび呼吸器管の炎症性疾患、ならびに関節疾患および血管疾患が挙げられる。
【0072】
治療に関する本明細書の記載が所定の疾患の予防並びに治療にまで及ぶことは、当業者には明らかであろう。
【0073】
従って、本発明のさらなる態様として、薬剤で使用するための式(I)の化合物またはその生理学上許容可能な誘導体を提供する。
【0074】
本発明の別の態様によれば、炎症性症状または自己免疫障害治療用薬剤の製造における式(I)の化合物またはその生理学上許容可能な誘導体の使用を提供する。
【0075】
また、さらなる態様または代替の態様では、自己免疫疾患または炎症性疾患に罹患しているか、または罹患しやすいヒトまたは動物の被験体の治療方法であって、前記ヒトまたは動物被験体に、有効量の式(I)の化合物またはその生理学上機能的な誘導体を投与することを含む、前記方法を提供する。
【0076】
本発明による化合物は、任意の都合のよい方法で投与用に製剤化することができる。従って、本発明はその範囲内に、式(I)の化合物またはその生理学上許容可能な誘導体を、所望の場合、1種または複数の生理学上許容可能な希釈剤または担体とともに含む医薬組成物も包含する。
【0077】
さらにまた、それらの成分を混合することを含んでなる、かかる医薬製剤の調製方法も提供する。
【0078】
本発明による化合物は、例えば、経口投与、吸入投与、鼻腔内投与、局所投与、口腔内投与、非経口投与、または直腸内投与用に、好ましくは経口投与用に製剤化することができる。
【0079】
経口投与用の錠剤およびカプセルは、慣用の添加剤、例えば結合剤、例えば、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカントゴム、デンプン粘液、セルロース、またはポリビニルピロリドン;充填剤、例えば、ラクトース、微結晶性セルロース、糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、またはソルビトール;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール、またはシリカ;崩壊剤、例えば、ジャガイモデンプン、クロスカルメロースナトリウム、またはデンプングリコール酸ナトリウム;あるいは湿潤剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムを含み得る。錠剤は、当技術分野で周知の方法によりコーティングすることができる。経口液体製剤は、例えば、水性または油性の懸濁液、溶液、乳剤、シロップ剤、またはエリキシル剤の形態であってよい。あるいは、使用前に水または他の好適なビヒクルで構成するための乾燥製品として提供することができる。かかる液体製剤は、慣用の添加剤、例えば沈澱防止剤、例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/糖シロップ、ゼラチン、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル、または水素化食用脂;乳化剤、例えば、レシチン、ソルビタンモノオレエート、またはアラビアゴム;非水性ビヒクル(食用油を含み得る)、例えば、アーモンド油、精製ヤシ油、油状エステル、プロピレングリコール、またはエチルアルコール;あるいは保存剤、例えば、メチルまたはプロピルp-ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸が含まれ得る。これらの調製物には、必要に応じて、緩衝塩、着香剤、着色剤および/または甘味剤(例えばマンニトール)も含み得る。
【0080】
局所投与用の本発明による化合物は、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤またはローション剤として、あるいは経皮貼布剤として製剤化することができる。かかる組成物は、例えば、好適な粘稠化剤、ゲル化剤、乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤および/または着色剤を添加して、水系基剤または油系基剤と一緒に製剤化することができる。
【0081】
ローション剤は水系基剤または油系基剤を用いて製剤化することができるが、一般には、1種または複数の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、粘稠化剤または着色剤も含有し得る。またローション剤は保存剤を含有していてもよい。
【0082】
口腔内投与では、本組成物は慣用の方法で製剤化した錠剤またはトローチ剤の形態であってよい。
【0083】
また本化合物は、ココアバターまたは他のグリセリド等の慣用の坐剤用基剤を含有する坐剤としても製剤化することができる。
【0084】
本発明による化合物は、ボーラス注射または連続注入による非経口投与用として製剤化することもでき、例えば、アンプル、バイアル、少量輸液、または予充填注射器としての単位投与形態で、あるいは追加保存剤が入った多回投与容器で提供することができる。本組成物は、水性ビヒクルまたは非水性ビヒクルに溶解した溶液、懸濁液または乳剤などの形態であってよく、酸化防止剤、バッファー、抗菌剤、および/または等張化剤等の製剤化剤(formulatory agent)を含有していてもよい。あるいは、本有効成分は、使用前に好適なビヒクル(例えば、殺菌済みの発熱物質非含有水)を用いて構成することを目的とした粉末形態であってよい。本乾燥固形物形態は、殺菌済み粉末を無菌的に個々の滅菌容器に充填することによって、あるいは無菌液を無菌的に各容器に充填して凍結乾燥することによって調製することができる。
【0085】
また本発明による医薬組成物は、他の治療薬、例えば、抗炎症剤(コルチコステロイド等、(例えば、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、フランカルボン酸モメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、もしくはブデソニド)またはNSAID(例えば、クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウム、PDE-4阻害剤、ロイコトリエンアンタゴニスト、CCR-3アンタゴニスト、iNOS阻害剤、トリプターゼ阻害剤およびエラスターゼ阻害剤、β-2インテグリンアンタゴニストおよびアデノシン2aアゴニスト))、またはβアドレナリン作動薬(例えば、サルメテロール、サルブタモール、ホルモテロール、フェノテロールもしくはテルブタリンおよびそれらの塩)、または抗感染薬(例えば、抗生物質、抗ウイルス薬)と組み合わせて用いることができる。
【0086】
本発明の化合物を、通常吸入または鼻腔経路によって投与される他の治療薬と組み合わせて投与する場合、その得られる医薬組成物は吸入または鼻腔経路により投与され得ることは理解されよう。
【0087】
本発明の化合物は、例えば、0.01〜100mg/kg体重、好ましくは0.1〜25mg/kg体重、さらに好ましくは0.3〜5mg/kg体重の量で投与するのが好都合である。本化合物は、全日用量に等しくなるよう1日2回以上投与することができる。正確な用量は、当然、患者の年齢および症状、並びに選択した特定の投与経路に応じて変わるが、最終的には担当医師の判断による。
【0088】
本発明による化合物を上述の用量範囲内で投与する場合、毒性作用はないものと思われる。
【0089】
本発明の化合物は、以下のアッセイに従ってin vitro活性について試験することができる。
【0090】
MMP-12アッセイで用いられる蛍光性ペプチド基質は、FAM-Gly-Pro-Leu-Gly-Leu-Phe-Ala-Arg-Lys(TAMRA)である。式中、FAMはカルボキシフルオレセインを表し、TAMRAはテトラメチルローダミンを表す。MMP12触媒ドメイン(残基106〜268)タンパク質は、大腸菌内で不溶性封入体の形態で発現させ、変性条件(8Mの塩酸グアニジン)下、濃縮溶液中に保管した。酵素は、アッセイ反応開始してから直接稀釈によりin situで活性型へリフォールディングした。反応液51μLを、NUNC(商標)の黒色で正方形の384ウェルプレート(各ウェルは、50mM HEPES、pH 7.5、150mM NaCl、10mM CaCl2、1μM ZnAc、0.6mM CHAPS、および2% DMSOに溶解した2μMの基質、20nMの酵素および0.001〜100μMの阻害剤を含有する)に注入する。ポジティブコントロールのウェルは阻害剤を含んでいない。ネガティブコントロールのウェルは、EDTAクエンチングを事前に施すか(下記を参照されたい)、または酵素を除くことにより行なう。室温にて120分間、反応液をインキュベートし、次いで、100mM EDTAを15μL添加することによってクエンチングする。各ウェル中の生成物形成は、Molecular Devices Acquestを用いて蛍光を測定することにより定量する。励起波長は485nMで設定し、発光波長は530nMである。IC50値は、まず、各阻害剤濃度における阻害パーセント(%I)((%I = 100*(1-(I-C2)/(C1-C2))(式中、C1はポジティブコントロールの平均値であり、C2はネガティブコントロールの平均値である)を算出し、次いで、次式:%I = A+((B-A)/(1+((C/[I]^D)))(式中、Aは下方漸近線であり、Bは上方漸近線であり、CはIC50値であり、Dはスロープファクターである)に、%I対阻害剤濃度[I]データを挿入することによって取得した。このアッセイで試験したところ、実施例1〜11の化合物は、IC50が100ミクロモル未満であった。
【実施例】
【0091】
本発明を以下の実施例を参照することにより説明するが、本発明がこれらに限定されるものと解釈すべきではない。
【0092】
中間体1
tert−ブチル(4−ブロモフェニル)アセテート
三フッ化ホウ素エーテラート(0.46mL)を、窒素雰囲気下、室温にて、THF(50mL)に溶解したブロモフェニル酢酸(5.00g, 23.2mmol)およびt−ブチルトリクロロアセトイミダート(10g, 8.3mL, 46mmol)の撹拌溶液に一度に添加した。得られた溶液を16時間撹拌し、次いで、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50mL)でクエンチした。得られた懸濁液を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、次いで、有機抽出物を合わせ、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、そして蒸発乾固させた。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーにかけ(20%ジエチルエーテル:シクロヘキサン)、無色のオイル(4.93g, 78%)として表題化合物を得た。LC/MS:3.63分;z/e 288および290,計算値(M+18)288および290。1H NMR(400 MHz:CDCl3):7.40(2H), 7.15(2H), 3.45(2H), 1.40(9H)。
【0093】
中間体2
4−ベンジル 1−tert−ブチル 2−(4−ブロモフェニル)スクシネート
リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中1.06 M;18.1mL, 19.2mmol)を、窒素雰囲気下、−78℃にて、THF(50mL)に溶解したtert−ブチル(4−ブロモフェニル)アセテート(4.92g, 18.1mmol)の撹拌溶液に10分間かけて滴下して加えた。添加完了後、−78℃にて、30分間、さらに撹拌を継続し、次いでベンジル−2−ブロモアセテート(4.97g, 3.44mL, 21.7mmol)を、5分間かけて滴下して加えた。この反応物を4時間かけて室温まで徐々に加熱し、次いで飽和塩化アンモニウム溶液(50mL)を加え、そして得られた懸濁液を酢酸エチル(3×100mL)を用いて抽出した。この有機相を合わせ、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、そして蒸発乾固させた。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーにかけ(10%ジエチルエーテル:シクロヘキサン)、無色のオイル(6.26g, 82%)として表題化合物を得た。LC/MS:4.02分;z/e 419および421,計算値(M+1)419および421。1H NMR(400 MHz:CDCl3):7.40(2H), 7.30(5H), 7.10(2H), 5.10(2H), 3.90(1H), 3.15(1H), 2.65(1H), 1.35(9H)。
【0094】
中間体3
4−(ベンジルオキシ)−2−(4−ブロモフェニル)−4−オキソブタン酸
トルエン(230mL)に4−ベンジル 1−tert−ブチル 2−(4−ブロモフェニル)スクシネート(3.00g, 7.15mmol)およびシリカゲル(35.7g)を加えた懸濁液を3時間、加熱還流した。この粗製混合物を室温まで冷却し、そして濾過した。この濾過ケーキをジクロロメタン/メタノール(8:2;2×100mL)で洗浄し、次いで有機濾液をまとめて、蒸発乾固させることにより白色固形物(2.25g, 87%)として表題化合物を得た。LC/MS:3.41分;z/e 361および363,計算値(M−1)361および363。1H NMR(400 MHz:CDCl3):7.40(2H), 7.30(5H), 7.15(2H), 5.10(2H), 4.05(1H), 3.15(1H), 2.70(1H)。
【0095】
中間体4
ベンジル 4−アミノ−3−(4−ブロモフェニル)−4−オキソブタノエート
ジ−イソ−プロピルエチルアミン(3.21g, 4.33mL, 24.8mmol)を、窒素雰囲気下、室温にて、ジメチルホルムアミド(40mL)に4−(ベンジルオキシ)−2−(4−ブロモフェニル)−4−オキソブタン酸(2.25g, 6.21mmol)、塩化アンモニウム(0.332g, 6.21mmol)およびN−[(ジメチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメチレン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェート N−オキシド(2.36g, 6.21mmol)を加えた撹拌懸濁液に一度に添加した。2時間の撹拌の後、揮発成分を蒸発させ、残渣について、ジクロロメタン(50mL)と塩酸水溶液(1.0 M;50mL)との間の分配処理を行った。それらの相を分離し、水相をジクロロメタン(2×50mL)で洗浄した。この有機相を合わせ、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、そして蒸発乾固させた。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーにかけ(5% メタノール:ジクロロメタン)、白色固形物(1.14g, 51%)として表題化合物を得た。LC/MS:3.20分;z/e 362および 364,計算値(M+1)362および364。1H NMR(400 MHz:CDCl3):7.45(2H), 7.30(5H), 7.15(2H), 5.45(2H), 5.10(2H), 3.95(1H), 3.30(1H), 2.70(1H)。
【0096】
中間体5
4−アミノ−3−(4−ブロモフェニル)−4−オキソブタン酸
エタノール/酢酸エチル(5:1;120mL)にベンジル 4−アミノ−3−(4−ブロモフェニル)−4−オキソブタノエート(1.14g, 3.16mmol)および酸化白金(IV)(30mg)を加えた懸濁液を、水素雰囲気下、2時間撹拌した。水素を窒素で置換した後、粗製反応混合物をシーライトの薄いパッドを通して濾過し、そしてその濾液を蒸発乾固させることにより白色固形物(671mg, 78%)として表題化合物を得た。LC/MS:2.41分;z/e 271および273,計算値(M+1)271および271。1H NMR(400 MHz:DMSO−d6):7.50(2H), 7.25(2H), 3.95(1H), 2.95(1H), 2.45(1H)。
【0097】
中間体6
ベンジル(4−ブロモフェニル)アセテート
4−ホルミルモルホリン(50 μL)を、窒素雰囲気下、室温にて、ジクロロメタン(30mL)に溶解した4−ブロモフェニル酢酸(5.00g, 23.3mmol)および塩化オキサリル(5.89g, 4.05mL, 46.6mmol)の撹拌溶液に加えた。ガス放出が止まった時に、揮発成分を蒸発させ、そして残渣をジクロロメタン(30mL)に溶解した。ベンジルアルコール(2.52g, 2.41mL, 23.3mmol)を一度に加え、そして窒素雰囲気下、2時間、撹拌を継続した。揮発成分を蒸発させ、そして残渣を、ジクロロメタン(50mL)と飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50mL)との間に分配した。それらの相を分離し、その水相を、ジクロロメタン(2×50mL)で洗浄した。有機相を合わせ、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、そして溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーにかけ(20%ジエチルエーテル:シクロヘキサン)、白色固形物(6.76g, 95%)として表題化合物を得た。LC/MS:3.57分;z/e 322および324,計算値(M+18)322および324。1H NMR(400 MHz:CDCl3):7.45(2H), 7.30(5H), 7.15(2H), 5.15(2H), 3.60(2H)。
【0098】
中間体7
1−ベンジル 4−tert−ブチル 2−(4−ブロモフェニル)スクシネート
リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中1.06 M;20.6mL, 21.9mmol)を、窒素雰囲気下、−78℃にて、THF(60mL)に溶解したベンジル(4−ブロモフェニル)アセテート(6.07g, 19.9mmol)の撹拌溶液に10分間かけて滴下して加えた。添加が完了したら、−78℃にて、30分間、さらに撹拌を継続した後、次いで、t−ブチルブロモアセテート(4.65g, 3.52mL, 23.9mmol)を、5分間かけて滴下して加えた。この反応物を4時間かけて室温まで徐々に加熱し、次いで、飽和塩化アンモニウム溶液(50mL)を加え、そして得られた懸濁液を、酢酸エチル(3×100mL)を用いて抽出した。この有機相を合わせ、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、そして蒸発乾固させた。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーにかけ(10%ジエチルエーテル:シクロヘキサン)、無色のオイル(6.82g, 82%)として表題化合物を得た。LC/MS:3.90分;z/e 419および421,計算値(M+1)419および421。1H NMR(400 MHz:CDCl3):7.40(2H), 7.30(5H), 7.15(2H), 5.10(2H), 4.05(1H), 3.05(1H), 2.60(1H), 1.35(9H)。
【0099】
中間体8
4−(ベンジルオキシ)−3−(4−ブロモフェニル)−4−オキソブタン酸
トルエン(100mL)に1−ベンジル 4−tert−ブチル 2−(4−ブロモフェニル)スクシネート(2.00g, 4.77mmol)およびシリカゲル(23.8g)を加えた懸濁液を、3時間、加熱還流した。この粗製混合物を、室温まで冷却し、そして濾過した。この濾過ケーキをジクロロメタン/メタノール(8:2;2×100mL)で洗浄し、次いで、有機濾液をまとめて、蒸発乾固させることにより白色固形物(1.53g, 88%)として表題化合物を得た。LC/MS:3.43分;z/e 361および363,計算値(M−1)361および363。1H NMR(400 MHz:DMSO−d6):7.55(2H), 7.30(7H), 5.10(2H), 4.05(1H), 3.05(1H), 2.65(1H)。
【0100】
中間体9
ベンジル 4−アミノ−2−(4−ブロモフェニル)−4−オキソブタノエート
ジ−イソ−プロピルエチルアミン(2.08g, 2.80mL, 16.0mmol)を、窒素雰囲気下、室温にて、ジメチルホルムアミド(20mL)に4−(ベンジルオキシ)−3−(4−ブロモフェニル)−4−オキソブタン酸(1.45g, 4.01mmol)、塩化アンモニウム(0.214g, 4.01mmol)およびN−[(ジメチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメチレン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェート N−オキシド(1.68g, 4.41mmol)を加えた撹拌懸濁液に一度に添加した。2時間の撹拌の後、揮発成分を蒸発させ、そして残渣をジクロロメタン(50mL)と塩酸水溶液(1.0 M;50mL)との間に分配した。それらの相を分離し、水相をジクロロメタン(2×50mL)で洗浄した。この有機相を合わせ、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、そして蒸発乾固させた。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーにかけ(10% メタノール:ジクロロメタン)、白色固形物(1.23g, 85%)として表題化合物を得た。LC/MS:3.14分;z/e 362および364,計算値(M+1)362および364。1H NMR(400 MHz:DMSO−d6):7.55(2H), 7.30(8H), 6.85(1H), 5.05(2H), 4.05(1H), 2.90(1H), 2.50(1H)。
【0101】
中間体10
4−アミノ−2−(4−ブロモフェニル)−4−オキソブタン酸
エタノール(100mL)にベンジル 4−アミノ−2−(4−ブロモフェニル)−4−オキソブタノエート(1.53g, 4.22mmol)および酸化白金(IV)(30mg)を加えた懸濁液を、水素雰囲気下、2時間、撹拌した。水素を窒素で置換した後、粗製反応混合物をシーライトの薄いパッドを通して濾過し、そしてその濾液を蒸発乾固させることにより、色の付いたクリーム状固形物(1.14g, 100%)として表題化合物を得た。LC/MS:2.36分;z/e 272および274,計算値(M+1)272および274。1H NMR(400 MHz:DMSO−d6):7.50(2H), 7.30(1H), 7.20(2H), 6.80(1H), 3.90(1H), 2.80(1H), 2.40(1H)。
【0102】
中間体11
[4−(イソペンチルオキシ)フェニル]酢酸
水酸化ナトリウム水溶液(2.0 M;32.9mL, 65.8mmol)を、室温にて、エタノール(200mL)に溶解したp−ヒドロキシフェニル酢酸(5.00g, 32.9mmol)の撹拌溶液に一度に添加した。15分間の撹拌の後、1−ブロモ−3−メチルブタン(4.97g, 3.94mL, 32.9mmol)を一度に加え、そして得られた溶液を、12時間加熱還流した。この反応物を室温まで冷却し、次いで、蒸発乾固させた。残渣を、ジクロロメタン(150mL)と塩酸水溶液(1.0 M;150mL)との間に分配した。それらの相を分離し、その水相をジクロロメタン(2×100mL)で洗浄した。この有機抽出物を合わせ、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、そして蒸発乾固させた。生じた白色固体の残渣を、精製することなく、R8782/83/1の調製に用いた。LC/MS:3.30分;z/e 221,計算値(M−1)221。1H NMR(400 MHz:CDCl3):7.25(2H), 6.95(2H), 4.05(2H), 3.65(2H), 1.95(1H), 1.75(2H), 1.05(6H)。生成物の絶対位置化学(absolute regiochemistry)は、HMBC相関実験を用いて明瞭に示された。
【0103】
中間体12
tert−ブチル[4−(イソペンチルオキシ)フェニル]アセテート
三フッ化ホウ素エーテラート(0.65mL)を、窒素雰囲気下、室温にて、THF(70mL)に溶解した、[4−(イソペンチルオキシ)フェニル]酢酸(中間体11の調製に由来する粗製物;7.31g, 32.9mmol)およびt−ブチルトリクロロアセトイミダート(14.4g, 11.8mL, 65.8mmol)の撹拌溶液に一度に添加した。得られた溶液を16時間撹拌し、次いで、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)でクエンチさせた。得られた懸濁液を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、次いで、有機抽出物を合わせ、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、そして蒸発乾固させた。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーにかけ(5〜10%ジエチルエーテル:シクロヘキサン)、無色のオイル(2ステップで3.82g, 42%)として表題化合物を得た。LC/MS:3.94分;z/e 296,計算値(M+18)296。1H NMR(400 MHz:CDCl3):7.25(2H), 6.90(2H), 4.05(2H), 3.55(2H), 1.90(1H), 1.75(2H), 1.50(9H), 1.05(6H)。
【0104】
中間体13
4−ベンジル 1−tert−ブチル 2−[4−(イソペンチルオキシ)フェニル]スクシネート
リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中1.06 M;7.11mL, 7.54mmol)を、窒素雰囲気下、−78℃にて、THF(25mL)にtert−ブチル[4−(イソペンチルオキシ)フェニル]アセテート(2.00g, 7.18mmol)を溶かした撹拌溶液に10分間かけて滴下して加えた。添加終了後、−78℃にて、30分間、さらに撹拌を継続した後、次いで、ベンジル−2−ブロモアセテート(1.97g, 1.36mL, 8.61mmol)を5分間かけて滴下して加えた。この反応物を、4時間かけて室温まで徐々に加熱した。室温になったら、飽和塩化アンモニウム溶液(25mL)を加えて、得られた懸濁液を、酢酸エチル(3×50mL)用いて抽出した。この有機相を合わせ、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、そして蒸発乾固させた。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーにかけ(5〜10%ジエチルエーテル:シクロヘキサン)、無色のオイル(2.00g, 66%)として表題化合物を得た。LC/MS:4.20分;z/e 427,計算値(M+1)427。1H NMR(400 MHz:CDCl3):7.35(5H), 7.2(2H), 6.80(2H), 5.10(2H), 3.95(3H), 3.15(1H), 2.65(1H), 1.85(1H), 1.65(2H), 1.45(9H), 0.95(6H)。
【0105】
中間体14
4−(ベンジルオキシ)−2−[4−(イソペンチルオキシ)フェニル]−4−オキソブタン酸
トルエン(150mL)に4−ベンジル 1−tert−ブチル 2−[4−(イソペンチルオキシ)フェニル]スクシネート(2.00g, 4.69mmol)およびシリカゲル(23.4g)を加えた懸濁液を、3時間、加熱還流した。この粗製混合物を室温まで冷却し、そして濾過した。この濾過ケーキを、ジクロロメタン/メタノール(8:2;2×100mL)で洗浄し、次いで、有機濾液をまとめて、蒸発乾固させることにより、白色固形物(1.41g, 82%)として表題化合物を得た。LC/MS:3.74分;z/e 388,計算値(M+1)388。この鏡像異性体を、Chiralpak ADカラム(20% EtOH:ヘプタン:0.1% TFA)、流速20mL/分、λ=215 nM Ent−1= 12.5分、Ent−2=15.0分で分離した。
【0106】
中間体15
メチル[4−(イソペンチルオキシ)フェニル]アセテート
メチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート(2.00g, 12.0mmol)を、窒素雰囲気下、室温にて、ジメチルホルムアミド(20mL)に水素化ナトリウム(60%鉱油懸濁液;528mg, 13.2mmol)を加えた撹拌溶液に一度に添加した。30分間の撹拌の後、1−ブロモ−3−メチルブタン(1.99g, 1.58mL, 13.2mmol)を、5分間かけて滴下して加えた。次いで、12時間、撹拌を継続した。揮発成分を蒸発させ、次いで、残渣をジクロロメタン(50mL)と水(50mL)との間に分配した。それらの相を分離し、その水相をジクロロメタン(2×50mL)で洗浄した。この有機相を合わせ、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、そして溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーにかけ(20%ジエチルエーテル:シクロヘキサン)、無色のオイル(2.16g, 76%)として表題化合物を得た。LC/MS:3.51分;z/e 254,計算値(M+18)254。1H NMR(400 MHz:CDCl3):7.15(2H), 6.85(2H), 4.00(2H), 3.70(3H), 3.55(2H), 1.85(1H), 1.70(2H), 0.95(6H)。
【0107】
中間体16
4−tert−ブチル 1−メチル2−[4−(イソペンチルオキシ)フェニル]スクシネート
リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中1.06 M;9.43mL, 10.0mmol)を、窒素雰囲気下、−78℃にて、THF(30mL)に溶解したメチル[4−(イソペンチルオキシ)フェニル]アセテート(2.15g, 9.10mmol)の撹拌溶液に10分間かけて滴下して加えた。添加完了後、−78℃にて、 30分間、さらに撹拌を継続した後、次いで、t−ブチルブロモアセテート(2.12g, 1.61mL, 10.9mmol)を、5分間かけて滴下して加えた。この反応物を、4時間かけて、室温まで徐々に加熱し、次いで、飽和塩化アンモニウム溶液(30mL)を加え、そして得られた懸濁液を、酢酸エチル(3×50mL)を用いて抽出した。この有機相を合わせ、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、そして蒸発乾固させた。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーにかけ(20%ジエチルエーテル:シクロヘキサン)、無色のオイル(2.69g, 85%)として表題化合物を得た。LC/MS:3.80分;z/e 351,計算値(M+1)351。1H NMR(400 MHz:CDCl3):7.20(2H), 6.85(2H), 3.95(3H), 3.65(3H), 3.05(1H), 2.55(1H), 1.85(1H), 1.70(2H), 1.40(9H), 0.95(6H)。
【0108】
中間体17
ベンジル(4−ヒドロキシフェニル)アセテート
O. Bruemmer, T. Z. Hoffman, D−W. Chen, K. D. Janda, Chem. Commun. 2001, 19−20に記載の方法を用いて調製した。
【0109】
中間体18
ベンジル(4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}フェニル)アセテート
t−ブチルジメチルシリルクロリド(3.07g, 20.4mmol)を、窒素雰囲気下、室温にて、ジメチルホルムアミド(25mL)に溶解した、ベンジル(4−ヒドロキシフェニル)アセテート(4.70g, 19.4mmol)およびイミダゾール(1.39g, 20.4mmol)の撹拌溶液に一度に添加した。4時間の撹拌の後、揮発成分を蒸発させ、そして残渣を水(100mL)と酢酸エチル(100mL)との間に分配した。それらの相を分離し、その水相を、酢酸エチル(2×100mL)で洗浄した。この有機抽出物を合わせ、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、そして溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーにかけ(10%ジエチルエーテル:シクロヘキサン)、無色のオイル(4.32g, 62%)として表題化合物を得た。LC/MS:4.13分;z/e 374,計算値(M+18)374。1H NMR(400 MHz:CDCl3):7.15(5H), 6.95(2H), 6.60(2H), 4.95(2H), 3.40(2H), 0.8(9H), 0.00(6H)。
【0110】
中間体19
1−ベンジル 4−tert−ブチル 2−(4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}フェニル)スクシネート
リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中1.06M;12.6mL, 13.3mmol)を窒素雰囲気下、−78℃にて、THF(40mL)に溶解した、ベンジル(4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}フェニル)アセテート(4.32g, 12.1mmol)の撹拌溶液に10分間かけて滴下して加えた。添加完了後、−78℃にて、30分間、さらに撹拌を継続した後、次いで、t−ブチルブロモアセテート(2.82g, 2.14mL, 14.5mmol)を、5分間かけて滴下して加えた。この反応物を4時間かけて、室温まで、徐々に加熱し、次いで、飽和塩化アンモニウム溶液(40mL)を加え、そして得られた懸濁液を酢酸エチル(3×50mL)用いて抽出した。この有機相を合わせ、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、そして蒸発乾固させた。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーにかけ(5%ジエチルエーテル:シクロヘキサン)、無色のオイル(5.35g, 94%)として表題化合物を得た。LC/MS:4.35分;z/e 488,計算値(M+18)488。1H NMR(400 MHz:CDCl3):7.10(3H), 7.05(2H), 6.95(2H), 6.60(2H), 4.95(2H), 3.85(1H), 2.90(1H), 2.40(1H)1.20(9H), 0.8(9H), 0.05(6H)。
【0111】
中間体20
4−(ベンジルオキシ)−3−(4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}フェニル)−4−オキソブタン酸
トルエン(50mL)に1−ベンジル 4−tert−ブチル 2−(4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}フェニル)スクシネート(1.00g, 2.12mmol)およびシリカゲル(10.6g)を加えた懸濁液を、3時間、加熱還流した。この粗製混合物を室温まで冷却し、そして濾過した。この濾過ケーキを、ジクロロメタン/メタノール(8:2;2×100mL)で洗浄し、次いで、有機濾液をまとめて、蒸発乾固させることにより白色固形物(0.83g, 94%)として表題化合物を得た。LC/MS:4.03分;z/e 432,計算値(M+18)432。1H NMR(400 MHz:DMSO−d6):7.05(7H), 6.60(2H), 4.95(2H), 3.85(1H), 2.85(1H), 2.40(1H), 0.80(9H), 0.00(6H)。
【0112】
中間体21
ベンジル 4−アミノ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−4−オキソブタノエート
ジ−イソ−プロピルエチルアミン(1.03g, 1.40mL, 8.00mmol)を、窒素雰囲気下、室温にて、ジメチルホルムアミド(15mL)に4−(ベンジルオキシ)−3−(4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}フェニル)−4−オキソブタン酸(0.83g, 2.0mmol)、塩化アンモニウム(0.107g, 2.00mmol)およびN−[(ジメチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメチレン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェート N−オキシド(837mg, 2.20mmol)を加えた撹拌懸濁液に一度に添加した。2時間の撹拌の後、揮発成分を蒸発させ、そして残渣をジクロロメタン(50mL)と塩酸水溶液(1.0 M;50mL)との間に分配した。生じた二相混合物を、室温にて、30分間、撹拌した後、それらの相を分離し、水相をジクロロメタン(2×50mL)で洗浄した。有機相を合わせ、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、そして蒸発乾固させた。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーにかけ(10% メタノール:ジクロロメタン)、白色固形物(0.45g, 60%)として表題化合物を得た。LC/MS:2.55分;z/e 300,計算値(M+1)300。1H NMR(400 MHz:CDCl3):7.25(3H), 7.15(2H), 7.10(2H), 6.75(2H), 6.35(1H), 6.65(1H), 5.45(1H), 5.10(2H), 4.10(1H), 3.05(1H), 2.55(1H)。
【0113】
中間体22
4−アミノ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−4−オキソブタン酸
エタノール(30mL)にベンジル 4−アミノ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−4−オキソブタノエート(327mg, 1.09mmol)およびチャコール担持パラジウム(10%, 50mg)を加えた懸濁液を、水素雰囲気下、2時間、撹拌した。水素を窒素で置換した後、粗製反応混合物をシーライトの薄いパッドを通して濾過し、そしてその濾液を蒸発乾固させることにより白色固形物(229mg, 100%)として表題化合物を得た。LC/MS:0.81分;z/e 210,計算値(M+1)210。1H NMR(400 MHz:DMSO−d6):11.9(1H), 9.10(1H), 7.10(1H), 6.85(2H), 6.55(1H), 6.50(2H), 3.60(1H), 2.60(1H), 2.15(1H)。
【0114】
実施例1
4−アミノ−3−(4'−シアノ−1,1'−ビフェニル−4−イル)−4−オキソブタン酸
ジメトキシエタン(1mL)中に溶解した4−アミノ−3−(4−ブロモフェニル)−4−オキソブタン酸(10mg, 37 μmol)の溶液を、Smithマイクロ波反応バイアルに入れたp−ニトリルベンゼンボロン酸(5.4mg, 36 μmol)およびfibrecat FC1001(2.71% Pd;14mg, 3.7 μmol)の混合物に一度に加えた。炭酸ナトリウム水溶液(1.0 M;73 μL, 73 μmol)を加え、そしてバイアルに蓋をした。この粗製反応混合物を、Smithシンセサイザーマイクロ波リアクターを用いて15分間150℃にて加熱した。冷却してバイアルの蓋を開け、内容物をWhatman 5μM濾過チューブを通して濾過し、メタノール(2×1mL)で濾過ケーキを洗浄した。濾液を蒸発させ、得られた残渣を質量誘導(mass directed)自動分取逆相HPLCにより精製し、白色固形物として表題化合物(1.1mg, 10 %)を得た。LC/MS:2.67分;z/e 295,計算値(M+1)295。1H NMR(400 MHz:DMSO−d6):7.80(4H), 7.60(2H), 7.50(2H), 4.05(1H), 3.10(1H), 2.65(1H)。
【0115】
実施例2
4−アミノ−4−オキソ−3−[4'−(トリフルオロメチル)−1,1'−ビフェニル−4−イル]ブタン酸
反応溶媒としてジメトキシエタン/水(1:1;1mL)を用いたことを除いて、実施例1と類似する反応シークエンスによって調製した。LC/MS:3.12分;z/e 338,計算値(M+1)338。
【0116】
実施例3
3−(3'−アセチル−1,1'−ビフェニル−4−イル)−4−アミノ−4−オキソブタン酸
反応溶媒としてジメトキシエタン/水(1:1;1mL)を用いたことを除いて、実施例1と類似する反応シークエンスによって調製した。LC/MS:2.59分;z/e 312,計算値(M+1)312。
【0117】
実施例4
4−アミノ−3−(1,1'−ビフェニル−4−イル)−4−オキソブタン酸
反応溶媒としてジメトキシエタン/水(1:1;1mL)を用いたことを除いて、実施例1と類似する反応シークエンスによって調製した。LC/MS:2.77分;z/e 270,計算値(M+1)270。
【0118】
実施例5
4−アミノ−3−(3'−シアノ−1,1'−ビフェニル−4−イル)−4−オキソブタン酸
実施例1と類似する反応シークエンスによって調製した。LC/MS:2.67分;z/e 295,計算値(M+1)295。
【0119】
実施例6
4−アミノ−4−オキソ−3−(4−チエン−3−イルフェニル)ブタン酸
反応溶媒としてジメトキシエタン/水(1:1;1mL)を用いたことを除いて、実施例1と類似する反応シークエンスによって調製した。LC/MS:2.68分;z/e 276,計算値(M+1)276。
【0120】
実施例7
4−アミノ−3−[4−(1H−インドール−5−イル)フェニル]−4−オキソブタン酸
反応溶媒としてジメトキシエタン/水(1:1;1mL)を用いたことを除いて、実施例1と類似する反応シークエンスによって調製した。LC/MS:2.71分;z/e 309,計算値(M+1)309。
【0121】
実施例8
4−アミノ−2−(4'−シアノ−1,1'−ビフェニル−4−イル)−4−オキソブタン酸
ジメトキシエタン(1mL)に溶解した4−アミノ−2−(4−ブロモフェニル)−4−オキソブタン酸(10mg, 37 μmol)溶液を、Smithマイクロ波反応バイアル内の4−ニトリルベンゼンボロン酸(5.4mg, 36 μmol)およびfibrecat FC1001(2.71% Pd;14mg, 3.7 μmol)の混合物に一度に加えた。炭酸ナトリウム水溶液(1.0M;73 μL, 73 μmol)を加え、そしてバイアルに蓋をした。粗製反応混合物をSmithシンセサイザーマイクロ波リアクターを用いて、15分間150℃にて加熱した。冷却してバイアルの蓋を開け、内容物をWhatman 5μM濾過チューブを通して濾過し、メタノール(2×1mL)で濾過ケーキを洗浄した。濾液を蒸発させ、得られた残渣を質量誘導(mass directed)自動分取逆相HPLCにより精製し、白色固形物として表題化合物(1.6mg, 15 %)を得た。LC/MS:2.70分;z/e 295,計算値(M+1)295。1H NMR(400 MHz:DMSO−d6):7.80(4H), 7.60(2H), 7.50(2H), 4.10(1H), 3.05(1H), 2.65(1H)。
【0122】
実施例9
4−アミノ−4−オキソ−2−[4'−(トリフルオロメトキシ)−1,1'−ビフェニル−4−イル]ブタン酸
実施例8と類似する反応シークエンスによって調製した。LC/MS:3.16分;z/e 354,計算値(M+1)354。
【0123】
実施例10
2−(4'−アセチル−1,1'−ビフェニル−4−イル)−4−アミノ−4−オキソブタン酸
実施例8と類似する反応シークエンスによって調製した。LC/MS:2.58分;z/e 312,計算値(M+1)312。
【0124】
実施例11
2−(3'−アセチル−1,1'−ビフェニル−4−イル)−4−アミノ−4−オキソブタン酸
実施例8と類似する反応シークエンスによって調製した。LC/MS:2.57分;z/e 312,計算値(M+1)312。
【0125】
実施例12
4−アミノ−2−(4'−メトキシ−1,1'−ビフェニル−4−イル)−4−オキソブタン酸
実施例8と類似する反応シークエンスによって調製した。LC/MS:2.76分;z/e 300,計算値(M+1)300。
【0126】
3.20(1H), 2.70(1H), 1.85(1H), 1.70(2H), 0.95(6H)。この鏡像異性体を、Chiralpak ADカラム(5% EtOH:ヘプタン:0.1% TFA)、流速15mL/分、λ=215 nM Ent−1= 14分、Ent−2=18分で分離した。
【0127】
実施例13
4−アミノ−2−[4−(2−シクロヘキシルエトキシ)フェニル]−4−オキソブタン酸
水酸化ナトリウム水溶液(2.0 M;50 μL, 100 μmol)を、室温にて、エタノール(1mL)に溶解した4−アミノ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−4−オキソブタン酸(10mg, 47 μmol)の撹拌溶液に一度に添加した。10分間の撹拌の後、シクロヘキシルエチルブロミド(9.0mg, 47 μmol)を加え、そして得られた混合物を、12時間、加熱還流した。室温まで冷却させ、揮発成分を蒸発させ、残渣を質量誘導(mass directed)自動分取逆相HPLCにより精製し、白色固形物(2.1mg, 14%)として表題化合物を得た。LC/MS:3.34分;z/e 320,計算値(M+1)320。1H NMR(400 MHz:MeOD):7.20(2H), 6.85(2H), 4.00(3H), 2.95(1H), 2.55(1H), 1.70(6H), 1.50(1H), 1.25(4H), 0.92(2H)。生成物の絶対位置化学はHMBC相関実験を用いて明瞭に示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
R1は、場合により置換されたC4−12アルキル、C2−10アルキルシクロアルキル、C2−6アルキルヘテロシクロアルキル、C2−6アルキルアリール、場合により置換された5員または6員のアリールまたはヘテロアリール(ただしピリジニルを除く)を表し;
Zは、結合、CH2、O、S、SO、SO2、NR4、OCR4R5、CR4R5Oを表すか、あるいは、Z、R1およびQは、一緒になって、場合により置換された縮合三環式基を形成しており;
Qは、場合により置換された5員または6員のアリールまたはヘテロアリール環を表し;
Xは、COR3を表し;
R2は、CONH2、CO2H、CO2R7、SO2R7またはSO2NR8R9,を表し(ただしXがCONH2である場合、R2はCO2R7ではない);
R3は、OR6またはNR8R9を表し;
R4およびR5は、互いに独立して、H、C1−6アルキル、またはC1−4アルキルアリールを表し;
R6は、H、またはC1−6アルキルを表し;
R7は、C1−6アルキルを表し;
R8およびR9は互いに独立して、HまたはC1−6アルキルを表すか、あるいは、R8およびR9は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、O、SおよびNから選択される1個または複数のさらなるヘテロ原子を場合により含んでいてもよい5員環または6員環を形成しており;
ただし、R1がC4−12アルキルを表す場合、Zは結合、OまたはCH2以外を表す)
で表される化合物、ならびにその生理学上機能的な誘導体(ただし、[3−(アセチルアミノ)−4−シクロヘキシルフェニル]−ブタン二酸および3−(アセチルアミノ)−4−シクロヘキシルフェニル]−ブタン二酸ジエチルエーテル;ブタン二酸[3−メトキシ−4−(フェニルメトキシ)フェニル];ブタン二酸[4−(フェニルメトキシ)フェニル]およびその生理学上機能的な誘導体を除く)。
【請求項2】
XがCO2Hを表し、かつR2がCONH2を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Qが置換されていないフェニルを表す、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Zが結合またはOを表す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
式(Ia):
【化2】

(式中、
R13は、H、ハロ、CF3、−OCF3、シアノ、ニトロ、OR14、SR15またはCOR16を表し;
R14、R15、R16は独立して、H、C1−6アルキルまたはC1−4アルキルアリールを表す)
で表される請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物、およびその生理学上機能的な誘導体。
【請求項6】
薬剤において使用するための請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
炎症性疾患または自己免疫疾患に罹患しているか、または罹患しやすいヒトまたは動物被験体の治療方法であって、前記ヒトまたは動物被験体に有効量の請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項8】
炎症性疾患または自己免疫疾患の治療用薬剤の製造における請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物および製薬上許容可能な担体、ならびに場合により1種または複数の他の治療薬を含む医薬組成物。
【請求項10】
請求項1に定義した式(I)で表される化合物の調製方法であって、
(A)式(I)(式中、Zは結合を表し、R1は、場合により置換された5員もしくは6員のアリールもしくはヘテロアリールを表す)の化合物を調製するために、式(II):
【化3】

(式中、R2、QおよびXは、式(I)について前に定義したとおりであり、L1は脱離基を表す)
の化合物を、基R1を導入するのに好適な試薬(例えば、化合物R1B(OH)2)と反応させるステップ;あるいは、
(B)(i)式(I)(式中、ZはO、S、SO、SO2、NR4、OCR4R5を表す)の化合物を調製するために、式(III):
【化4】

(式中、R2、QおよびXは、式(I)について前に定義したとおりであり、かつYはOH、SH、NHR4、HOCR4R5を表す)
の化合物を、式(IV):
R1L2 (IV)
(式中、R1は上記式(I)の化合物について上記で定義したとおりであり、かつL2 は脱離基を表す)
の化合物と反応させ;
(ii)Yが−SHである場合、場合によりその後必要に応じて対応するSOまたはSO2に酸化するステップ;あるいは、
(C)式(I)(式中、Zは、−CR4R5O−を表す)の化合物を調製するために、式(III)(式中、Yは、OHである)の化合物を、式(V):
R1CR4R5L3 (V)
(式中、R1、R4、R5は式(I)の化合物について上記で定義したとおりであり、かつL3は脱離基を表す)の化合物と反応させるステップ;あるいは
(D)式(I)(ZはCH2であり、かつR1は場合により置換された5員または6員のアリールまたはヘテロアリールを表す)の化合物を調製するために、
(i)式(VI):
【化5】

(式中、Q、XおよびR2は上記に定義したとおりである)の化合物を、場合により置換された5員または6員のアリールまたはヘテロアリール求核試薬、例えば、式(VII):
【化6】

(式中、Aは5員または6員のアリールまたはヘテロアリールであり、R17はHまたは1個もしくは複数の置換基(本明細書中に記載)であり、かつMは例えば、Mg、LiもしくはMgLiのような金属である)の化合物と反応させ;
(ii)生じたアルコールを還元および除去するステップ、あるいは;
(E)保護形態の式(I)の化合物を脱保護するステップ
を含む、前記方法。

【公表番号】特表2007−502259(P2007−502259A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522996(P2006−522996)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009087
【国際公開番号】WO2005/016868
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】