説明

マルチプレクサ機能と補間機能とが埋め込まれた電圧制御遅延線(VCDL)

電圧制御遅延線(VCDL)である。VCDL(120)は1つ以上のセル(125)を含む。この1つ以上のセルの各々は2つ以上の入力(Va、VaX、Vb、VbX)と出力(Vout、VoutX)とを含む。この1つ以上のセルの各々は、補間機能ならびにマルチプレクサ機能に加えて、遅延をもたらすように構成されている。VCDLは、遅延ロックループ(DLL)にて遅延をもたらすように使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子回路に関し、より詳細には、遅延ロックループ(DLL)技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
遅延ロックループ(DLL)はコンピュータおよび他のデジタルシステムにおいて一般に使用される回路である。DLLを用いて任意に遅延させ、プロセス、電圧、および温度(PVT)のバラつきを補正することができる。
【0003】
図1に、典型的なDLLの一実施形態を例示する。DLLは、基準クロックを受信するように結合され、この基準クロックとフィードバック信号間で位相比較をするように構成された位相検出器を含む。位相検出器の出力はデジタルフィルタが受信する。次いで、デジタルフィルタはデジタル信号のフィルタリングを行い、信号をアップ/ダウンカウンタへと伝達する。アップ/ダウンカウンタが受信したフィルタリング信号は、基準クロック信号とフィードバック信号間の位相関係を表す(ここでは、フィードバックループの目的は、フィードバッククロックの立ち下がりエッジを基準クロックの立ち上がりエッジと位置調整することである)。よって、所望の位相関係を得るように、アップ/ダウンカウンタに、プラス(アップ)またはマイナス(ダウン)のいずれかをカウントさせるようにしてもよい。このアップ/ダウンカウンタの出力は、デジタル・アナログコンバータ(DAC)に送信される。このDACはカウンタによって送られた値に基づいて制御電圧を生成し、供給するように構成されている。制御電圧は電圧制御遅延線(VCDL)によって受信される。このVCDLは、制御電圧が指定する所望の遅延をもたらすように配置される。次いで、遅延出力は、マルチプレクサおよび位相補間回路(PI)(phase interpolator)を通ってクロックツリーへと送られ、このクロックツリーからクロック信号が伝達される。第2マルチプレクサ/PIはフィードバック信号を位相検出器へ伝達する。
【0004】
VCDLによって各マルチプレクサ/PIに送信される出力は、(適切な出力を選択する)マルチプレクサ、および2つの位相分割器間に補間するPIを通って、(VCDLの遅延素子の出力を表す)複数ある線のうちの1つを通過した遅延信号である。したがって、VCDLが16の出力を有し(従って、マルチプレクサは16:1マルチプレクサである)、PIがこの2つの位相分割器間を補間できれば、基準クロックのクロックサイクルを32等分にまで分割することができる。
【0005】
図1に示す実施形態は、ある状況では好ましいが、クロック信号の位相間でフィードバック信号に(および、DLLにわたって)著しいスタティックエラー(static error)を生じさせるおそれがある。さらに、本実施形態はフィードバックパスと出力クロック信号に対して別々のマルチプレクサ/PIを利用しているので、これら2つのユニット間のずれ(mismatch)は不明である。スタティックエラーおよびずれは多くの応用に対して受け入れがたいものであり、特に、コンピュータと他のデジタルシステムのクロック速度を向上させることを考慮した場合は特に困難である。
【発明の開示】
【0006】
電圧制御遅延線(VCDL)が開示されている。一実施形態では、VCDLは1以上のセルを含む。この1以上のセルの各々は、2以上の入力と出力を含む。1以上のセルの各々は、補間機能(interpolation function)およびマルチプレクサ機能(multiplexer function)に加えて、遅延をもたらすように構成されている。VCDLは、遅延ロックループ(DLL)において遅延をもたらすように使用することもできる。
【0007】
一実施形態では、各セルは、2以上の入力の各々と関連づけられた選択回路を含む。マルチプレクサ機能は、その関連する選択回路がアクティブ状態の場合に所与の入力に対して実現される。これにより、入力が出力に動作可能に結合される。2つの異なる入力に関連する選択回路がアクティブ状態の場合、供給される出力は、2つの異なる入力の各々に送信される信号の補間である。さらに、セルは少なくとも1つのロード回路を含む。各セルがもたらす遅延量は、そのロード回路を通って流れる電流量に基づくものであり、つまり、制御電圧に基づくものである。
【0008】
VCDLは第1の複数のセルと第2の複数のセルとを含む。第1および第2の複数のセルは同一の(構成をした)セルであり、第1の複数のセルは第2の複数のセルに結合されている。しかし、このマルチプレクサおよび補間機能は、第1の複数のセルに対しては無効(ディスエーブル)であるが、第2の複数のセルに対しては有効(イネーブル)である。
【0009】
DLL回路は、VCDLの様々な実施形態を実装してもよい。
さらに、DLL回路は位相検出器、フィルタ、カウンタ、および、デジタル・アナログ変換器を備えたデジタル制御ループを含み得る。VCDLは、(各セルのロード回路が用いた)制御電圧をDACから受信し、さらに、基準クロック信号を受信し得る。DLLのクロック信号出力はVCDLから供給されてもよく、さらにこの信号はフィードバック信号として供給されてもよい。
【0010】
本発明の他の態様は、以下の詳細な説明を読み、添付の図面を参照することで明らかになるであろう。
本発明は、様々な改良を行い、また、他の形態で実施することができるが、ここに説明されている特定の実施例は、例示として示したものであり、以下にその詳細を記載する。しかし当然のことながら、ここに示した特定の実施例は、本発明を開示されている特定の形態に限定するものではなく、むしろ本発明は添付の請求項によって規定されている発明の範疇に属するすべての改良、均等物、および変形例をカバーするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図2を参照すると、電圧制御遅延線(VCDL)の各セルに一体化されたマルチプレクサおよび位相補間機能を有するDLLの1つの実施形態のブロック図が例示されている。図示の実施形態では、遅延ロックループ(DLL)100は、位相検出器102を含み、これは基準クロック信号を受信するように結合されている。さらに、電圧制御遅延線(VCDL)は基準クロック信号を受信するように結合されている。基準クロック信号を受信する他に、位相検出器102はVCDL120からフィードバック信号を受信するように結合されている。位相検出器102は、基準クロック信号とフィードバッククロック信号との間で位相比較を行うように構成されている。位相比較の結果は、位相検出器102から出力として伝達されるエラー信号である。ある実施形態では、基準クロックおよびフィードバック信号は差動信号であり、別の実施形態では、これらの信号は単一端(single-ended)信号である。同様に、図2に示す他のユニット間に伝達される信号は、差動信号か単一端信号のいずれであってもよい。
【0012】
位相検出器102から生成されるエラー信号を受信するようにデジタルフィルタ104が結合されている。一実施形態では、デジタルフィルタ104は、無限インパルス応答(IIR)フィルタであるが、他のフィルタタイプを用いた実施形態も可能であり、検討される。デジタルフィルタ104は、位相検出器102から出力されるエラー信号の高周波部分を取り除くために用いられるので、ローパスフィルタとして実装することができる。
【0013】
デジタルフィルタ104から送信される、フィルタリングされたエラー信号を受信するように、アップ/ダウン(U/D)カウンタ106が結合される。U/Dカウンタ106は、デジタルフィルタ104から受信した、フィルタリングされたエラー信号に応じて増減する。U/Dカウンタ106の増減は、基準クロック信号とフィードバッククロック信号の間の(エラー信号によって示されているような)位相関係に依存する。
【0014】
デジタル・アナログ変換器(DAC)108は、U/Dカウンタ106が生成したカウンタ値を受信するように結合される。各種の実施形態では、カウンタ出力は、複数のバイナリ信号として、U/Dカウンタ106からDAC108に伝達される。カウンタ出力を示すバイナリ信号を受信すると、DAC108はカウント値を制御電圧値に変換する。この制御電圧値は、単一の電圧か、もしくは差動信号を用いた実施形態に対しては、複数の電圧を含むことができる。
【0015】
DAC108から供給された制御電圧は、電圧制御遅延線(VCDL)120に伝達される。さらこのVCDLは、基準クロック信号を受信するように結合されている。VCDL120は複数のセルを含み、さらに、マルチプレクサ、遅延および補間機能を組み込むように構成される。VCDL120の出力は、(基準クロック信号に対して)多数の、位相の異なるオフセットのインクリメント量のうちの1つである。一実施形態では、VCDL120は、32の異なるインクリメント量のうちの1つの位相オフセットである出力信号を送るように構成される。ここでは、位相オフセットの各インクリメント量は(ロックVCDL120が全体で360度の遅延をもたらすものと想定すると)11.25度である。位相オフセットのインクリメント量(数およびサイズ)は上下してもよく、そのような実施形態が可能であり、検討される。VCDL120を以下にさらに詳細に説明する。
【0016】
VCDL120から送られる出力信号は、フィードバックパスに沿って(位相検出器102へ)フィードバック信号として送られ、さらに、およびクロックツリー112へと送られる。クロックツリー112は、VCDL120から送られたクロック信号を、実装されているシステム内の様々な回路へと分配する。
【0017】
図3に、図2のDLLで使用したVCDLの一実施形態のブロック図を示す。図示の実施形態では、VCDLは複数のセル125を含む。図示しているように、セル125は、第1(上方)のセル行と、第2(下方)のセル行によって2つのグループに分割される。第1グループの第1セル125は基準クロック信号を受信するように結合されており、一方で第2グループの最終セル125は、(フィードバック信号として)位相検出器へ送信されるほかにクロックツリーへも送信される出力クロック信号を供給するように構成されている。
【0018】
第1グループのセル125は、第2グループのセル125とは違った方法で接続されているが、図示している実施形態の第1グループのセル125は第2グループのセル125と同一のセルである点に留意することが重要である。各々の入力は第1グループのセル125に対しては使用されないにもかかわらず、第1グループのセル125を第2グループのセル125と同一(構成)のセルにしておくことで、整合セル(matched cell)とのバラつきをより少なくすることができる。バラつきをより少なくした状態で、各セルがもたらす遅延がさらに予測可能となり、バラつきが少なくなる。したがって、第1グループのセル125はどれもマルチプレクサ機能や補間機能を利用していないが、それでも、これらのセルの各々はそのように構成される。
【0019】
1つを除いて、第2行の各セル125は、3つの異なる入力の少なくとも1つを受信するように結合されている。このサブグループに含まれるセルの各々に対して、入力は、第1グループ(つまり、図示しているように、真上)の対応部の入力ノード、第1グループの対応部の出力ノード、および、直前のセル125の出力ノードを含む。これに対して、第1グループのセル125の各々は、基準クロック入力を受信する第1セル125を除き、前のセルの出力ノードからの入力だけを受信する。第2グループの第1セル(下方行、図面右側)は、最終セル125(上方行、図面右側)の入力および出力ノードの各々から入力を受信するように結合される。
【0020】
すでに述べたように、VCDL120の各セル125は、マルチプレクサ機能を実行するように構成される。複数の入力を受信するように結合されたセル125の各々に対して、マルチプレクサ機能は、出力に動作可能に結合される入力の1つを選択することで実装することができる。ある実施形態では、各セルは(遅延をもたらす)インバータであるので、入力信号を論理的に反転させる。しかし、本発明の目的のために、入力は、選択された入力であれば、反転される、されないに関わらず、出力に動作可能に結合されるものと考えられる。さらに、遅延をもたらす際に反転機能を必要としない、もしくは実装されない実施形態が可能であり、考察される。遅延させるために反転機能を用いる実施形態においては、もたらされる正確な遅延量は、反転遅延および/あるいはチェーン中の反転数を制御することで制御される。
【0021】
マルチプレクサ機能を実行することに加えて、各セル125は、補間機能を実行するようにも構成される。複数の入力を有するセル125に対しては、補間機能は、出力に動作可能に結合された入力のうちのいずれかの2つを選択することで実行される。選択された入力に伝達される信号は、通常は相互に位相が同期していないので、これら2つの信号を同じノードに組み合わせることは、この2つの補間を表すことになる。インバータを含む実施形態では、補間から生じる信号も反転される。
【0022】
図4に、図3のVCDLで使用されるセルの一実施形態の概略図を示す。図示している実施形態では、セル125は複数の差動入力と差動出力とを含む、差動回路である。同様の、単一端(single-ended)の実施形態もまた可能であり、考察される。
【0023】
この特定の実施形態では、セル125は3つの差動入力、Va、Vb,およびVcの他に、これらに対応する相補的差動入力、VaX、VbX、およびVcXを含む。これらの入力の各々に受信することになる信号は事実上、他の入力に対して位相変化を伴うクロック信号である。さらに、各セル125は3つのマルチプレクサ選択入力、MuxA、MuxB、およびMuxCと、これらの相補選択入力を含む。マルチプレクサ選択入力は差動入力ではないが、実際には、それぞれに関連する差動対の両方の信号を供給する重複入力である点に留意されたい。さらに、セル125は、相補信号ノードVout、VoutXを有する差動出力を含む。入力VaX、VbX、およびVcXの各々は、これらに関連するマルチプレクサ入力が選択される場合に、Voutに結合される。入力Va、Vb,およびVcの各々は、これらに関連するマルチプレクサ入力が選択される場合に、VoutXに結合される。したがって、この特定の回路構成に対しては、所与の入力信号に関連づけられる出力信号は入力信号を論理的に反転したものである。よって、反転(インバータ)機能が実装される。
【0024】
図示している実施形態では、セル125は、制御電圧VBPと(複製回路から生成される)VBNとを受信するように結合される。これらの制御電圧は、一般的には、図2に示すようなDAC108などのDACにより生成される。各セル125は、各出力ノードに関連づけられるロード回路を含む。第1ロード回路は、トランジスタQ1とQ2とを含み、これらのトランジスタはそれぞれ、VDDと出力ノードVoutX間に結合されたチャネルを有する。第2ロード回路は、トランジスタQ3とQ4とを含み、これらのトランジスタはVDDとVout間に結合されたチャネルを含む。図4の差動に関する実施形態に対しては、第2制御電圧VBNはトランジスタQ19、Q20、およびQ21を制御するために使用される。従って、(既述のロード回路がVDDにプルアップパスを供給する)接地に対してプルダウンパスを供給する。
【0025】
回路の選択された各区間を流れる電流は、制御電圧レベルに基づいて、従って、ロード回路を流れる電流量に基づいて制御される。この特定の回路構成では、VBPの値が大きくなればなるほど、PMOSトランジスタQ2およびQ3の各々に対するVGSの値が小さくなる。これにより、VDDと、選択されたマルチプレクサ入力により使用可能状態にされた電流パスを介した接地間を流れる電流値が小さくなる。従って、電流値が小さければ、VoutおよびVoutXの切替時間がさらに遅くなり、これにより、セルがもたらす遅延量が増える。逆に、VBPの値が小さければ、VQSの値は大きくなり、VDDと接地間の電流値は大きくなり、よって、VoutおよびVoutXの切り替え時間が速くなる。これにより、セルがもたらす遅延量が減る。従って、各セル125の遅延(および、全体としての遅延線)は、受信した制御電圧に基づいて制御される。
【0026】
マルチプレクサ機能ならびに補間機能は、マルチプレクサの選択入力の状態に基づいて、各セルにより供給される。例えば、マルチプレクサ入力MuxAとMuxAXが選択されれば、入力VaおよびVaX上で受信する差動クロック信号は、出力VoutXおよびVoutにそれぞれ動作可能に結合される。入力VaとVaXだけが選択されることになっていれば、MuxBとMuxC入力は非選択状態にされる。入力VbならびにVcを同様の方法で動作可能に結合するように選択してもよい。概して、セル125のマルチプレクサ機能は、ワンホット (one-hot)マルチプレクサの実装方法と同様の方法で実装される。上記の様々な信号の説明には、明白に記載していない箇所においてでも、図示している実施形態に対しての相補信号を含む。
【0027】
セル125の補間機能は、入力のうちの2つを選択することで実行される。入力のうちの2つが選択される場合に、VDDと接地間の電流パスは、(マルチプレクサ機能に対しては1つだけなのに対して)2つの異なる回路区間を介して存在する。従って、各出力ノード、VoutならびにVoutX上では、位相の異なる2つの信号が組み合わせられる。このような信号の組み合わせは、2つの選択された入力信号間の補間を表す。以下の表1に、図4に例示したセル125の実施形態に対する様々な動作モードを列挙する。
【表1】

上の表から明らかなように、いずれか1つの入力を、そのマルチプレクサ入力を選択することによって選択することで、入力を出力に動作可能に結合する。いずれか2つの入力を選択することで、それらを両方とも出力に結合し、従って、入力間を補間する。すべての入力を選択すること、あるいは、どの入力も選択しないことは、不当動作である。
【0028】
従って、表1と上記説明に明らかなように、各セル125はマルチプレクサ機能、補間機能、および遅延機能を統合する。このタイプのセルを利用することで、遅延線の外側にマルチプレクサ機能ならびに補間機能を実装せずに済み、さらに、この結果発生し得るオフセットを回避することができる。
【0029】
ある実施形態では、重み付け補間機能(weighted interpolation function)が与えられる。重み付け補間機能により、補間されている2つの入力に重みを加えることで、細かい補間が可能になる。これは、トランジスタQ7、Q8、Q11、Q12、Q15およびQ16の幅の変調(modulation)を行うことで実現することができる。
【0030】
図5に、単一端シグナリングを利用したVCDLの実装品の実施形態を例示する。図示している実施形態では、VCDL220は複数のセル225を含む。これらのセルは、破線により互いに区別される。本実施形態におけるセル225は、インバータを用いて構成されている。上記の差動の実施形態と同様、インバータの各々は実装されている単一経路に遅延をもたらす。
【0031】
図示している実施形態における各セル225は、選択的に、かつ単独で使用可能(イネーブル)に、あるいは使用禁止(ディスエーブル)にされる2つのインバータを含む、複数のインバータを含む。図示している実施形態の各セル225における第3のインバータは、VCDL225の動作において使用可能(イネーブル)状態を維持するように構成される。
【0032】
構成されたインバータの1つを使用可能にし、残りを使用禁止にすることで、所与のセル225に対してマルチプレクサ機能を実現することができる。インバータの1つを使用可能にし、残りを使用禁止にすることで、所与のセル225に対して、ワンホット・マルチプレクサ機能を実効的に実現することができる。使用可能インバータの出力から伝達される出力信号を、次のセル225へ、(あるいは、最終セルの場合は、VCDL220の出力へ)伝達することができる。
【0033】
使用可能にする、または使用禁止にするように構成された両インバータを使用可能にすることで、所与のセル225に対して補間機能を実現することができる。そのように構成された両インバータを所与のセル225で使用可能にする場合、それぞれの対応の出力は共通ノードに接続される。従って、この共通ノード上にもたらされる信号は、使用可能インバータの各々から送られる個々の信号間の補間を表すことになる。通常、これらの信号は、それぞれ対応する信号パス中のインバータ数が異なることから生じる遅延が異なることに起因して、相互に位相が異なる。したがって、共通ノード上に結果として生じる信号は、それに出力が接続された両方のインバータによって供給される出力信号の補間となる。
【0034】
本発明を特定の実施形態に関して説明してきたが、実施形態は例示的なものであって、発明の範囲を限定しないものであると理解される。説明した実施形態のいずれの変更、変形、追加および改良が可能である。このような変更、変形、追加および改良は、添付の請求項において詳述しているように、本発明の範疇に属するものである。
【産業上の利用可能性】
【0035】
電圧制御遅延線(VCDL)である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】遅延ロックループ(DLL)の一実施形態のブロック図(従来技術)。
【図2】電圧制御遅延線(VCDL)の各セルに統合されたマルチプレクサおよび位相補間機能を備えたDLLの一実施形態のブロック図。
【図3】図2のDLLにおいて用いられるVCDLの一実施形態のブロック図。
【図4】図3のVCDLにおいて用いられるセルの一実施形態の概略図。
【図5】単一端シグナリングを利用したVCDLの実装品の一実施形態図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が2つ以上の入力(Va、VaX、Vb、VbX)と出力(Vout、VoutX)とを含む複数のセル(125)を含み、前記複数のセルの各々は遅延をもたらし、補間機能ならびにマルチプレクサ機能を供給するように構成されている、電圧制御遅延線(VCDL)(120)。
【請求項2】
前記マルチプレクサ機能は、選択した入力を前記出力に動作可能に結合することができるように、前記2つ以上の入力のうちの1つを選択することによって提供される、請求項1記載のVCDL。
【請求項3】
前記2つ以上の入力の各々は選択回路に関連づけられており、前記選択回路は、使用可能状態のときに、その対応する入力を前記出力に動作可能に結合する、請求項2記載のVCDL。
【請求項4】
前記補間機能は、前記2つ以上の入力のうちの2つを選択することで提供され、それによって、前記選択した入力の各々が前記出力に動作可能に結合される、請求項1記載のVCDL。
【請求項5】
前記複数のセルの各々は、第1入力(Va、VaX)、第2入力(Vb、VbX)および第3入力(Vc、VcX)を含む、請求項4記載のVCDL。
【請求項6】
前記各セルは、前記第1および第2入力が動作可能に前記出力に結合されるように、前記第1および第2入力を選択することで、前記第1および第2入力間を補間するように構成される、請求項5記載のVCDL。
【請求項7】
前記各セルは、前記第2および第3入力が動作可能に前記出力に結合されるように、前記第2および第3入力を選択することで、前記第2および第3入力間を補間するように構成され、前記セルは、前記第1および第3入力の各々が動作可能に前記出力に結合されるように、前記第1および第3入力を選択することで、前記第1および第3入力間を補間するように構成される、請求項5記載のVCDL。
【請求項8】
前記複数のセルの各々は、1つ以上のロード回路を含み、前記複数のセルがもたらす遅延量は、前記1つ以上のロード回路のそれぞれを通って流れる電流の合計によって決定される、請求項1記載のVCDL。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項記載のVCDLを含む、遅延ロックループ(100)。
【請求項10】
基準クロック信号を受信するように構成された位相検出器(102)と、
前記位相検出器からの出力を受信するように結合されたフィルタ(104)と、
前記フィルタからの出力を受信するように結合されたカウンタ(106)と、
前記カウンタからの出力を受信するように結合されたデジタル・アナログ変換器(DAC)(108)とをさらに含み、
前記VCDLは前記デジタル・アナログ変換器からの制御電圧と前記基準クロック信号とを受信するように結合されている、請求項9記載の遅延ロックループ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−510904(P2009−510904A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533358(P2008−533358)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/032918
【国際公開番号】WO2007/040859
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(591016172)アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド (439)
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
【Fターム(参考)】