説明

マーク形成方法,マーク計測装置およびマーク計測方法

【課題】スループットを向上する。
【解決手段】スキャッタロメトリによって計測されるマークMとして、第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれを、ウエハWの面において互いに直交する方向であって互いに異なったピッチで繰り返されたライン・アンド・スペース・パターンになるように、ウエハWの面に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーク形成方法,マーク計測装置およびマーク計測方法に関する。特に、スキャッタロメトリによって計測されるマークを形成するマーク形成方法と、そのマークを計測するマーク計測装置およびマーク計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置を製造する際においては、リソグラフィ技術を用いて、微細なパターンを加工している。
【0003】
ここでは、感光性材料からなるレジスト膜をウエハの表面に形成した後に、マスクパターンが形成されたマスクを照明することによって、そのウエハ上に形成されたレジスト膜にマスクパターン像を転写する。そして、そのマスクパターン像が転写されたレジスト膜を現像することによって、レジスト膜をパターン加工してレジストマスクをウエハの表面に形成する。その後、そのレジストマスクを用いて、エッチング処理を実施することによって、ウエハをパターン加工する。
【0004】
このようにリソグラフィ技術を用いて微細なパターンを加工した後には、その加工されたパターンの形状を検査する。たとえば、スキャッタロメトリ(Scattrometry)によって、その検査が実施されている。
【0005】
スキャッタロメトリは、ライン・アンド・スペース・パターンのように、パターンが一定のピッチで繰り返されて形成された繰返しパターンのマークに光を照射し、その繰返しパターンのマークにおいて反射し散乱した回折光を検出することによって、その繰返しパターンのマークの断面プロファイルを求める技術である。
【0006】
このスキャッタロメトリにおいては、垂直入射方式と、斜め入射方式とに大別される。前者の垂直入射方式においては、ライン・アンド・スペース・パターンのマークが形成されたウエハ面の垂線に沿うように、光源からマークへ光を照射し、そのマークから、その垂線方向へ反射される回折光を光センサで検出する。一方、後者の斜め入射方式においては、たとえば、ライン・アンド・スペース・パターンのマークが形成されたウエハ面の垂線に対して傾いた角度になるように、光源からマークへ光を照射し、そのマークから反射される回折光を、光源に対面するように配置された光センサで検出する。
【0007】
そして、スキャッタロメトリでは、その回折光の検出結果に基づいて、そのマークの断面プロファイルを、データ処理を施すことで算出することにより、そのマークが形成された位置や、線幅,テーパー角などを計測することができる。
【0008】
そして、リソグラフィ工程においては、このスキャッタロメトリによって求めたマークの断面プロファイル結果に基づいて、マスクパターンを転写する際の露光量やフォーカスを補正すると共に、アライメントを実施している(たとえば、特許文献1,非特許文献1,2,3参照)。
【0009】
【特許文献1】特開2003−142397号公報
【非特許文献1】Tokihisa Kaneguchi他2名、「Robust lithography process control methodology anticipating CD after etching using scatterometry below 65nm node Metrology, Optical Microlithography XVIII, Brouce W. Smith編、Proceedings of SPIE、2005年、第5754巻(Vol.5754)、p.801−812
【非特許文献2】Hsu−Ting Huang他8名、「Scatterometry−Based Overlay Metrology」、米国、Metrology, Inspection, and Process Control for Microlithography XVII, Daniel J. Herr編、Proceedings of SPIE、2003年、第5038巻(Vol.5038)、p.126ー137
【非特許文献3】Weidong Yang他9名、「A novel diffraction based spectroscopic method for overlay metrology」、米国、Metrology, Inspection, and Process Control for Microlithography XVII, Daniel J. Herr編、Proceedings of SPIE、2003年、第5038巻(Vol.5038)、p.200−207
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記のように露光量やフォーカスを補正するためには、互いにピッチが異なった繰返しパターンからなる複数のマークについて、スキャッタロメトリによって断面プロファイルを求める必要がある。つまり、第1のピッチでラインパターンが繰り返されたライン・アンド・スペースパターンの第1マークと、その第1のピッチと異なる第2のピッチでラインパターンが繰り返されたライン・アンド・スペースパターンの第2マークとのそれぞれを、スキャッタロメトリによって別個独立に計測し、それぞれの計測結果を用いて、露光量やフォーカスを補正する処理を実施している。このように複数のマークを独立に計測しているために、このマークの計測に多くの時間が必要になり、スループットが低下する場合がある。また、アライメントを実施する際においても、複数回、マークについての計測を実施する必要がある。このため、上記と同様に、スループットが低下する場合がある。
【0011】
このように、半導体装置を製造する際には、リソグラフィ工程において、マークの計測に時間を要するために、スループットが低下する場合があった。
【0012】
したがって、本発明の目的は、リソグラフィ工程においてスループットを向上可能なマーク形成方法,マーク計測装置およびマーク計測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明のマーク形成方法は、スキャッタロメトリによって計測されるマークとして、第1マークと第2マークとのそれぞれを基板の面に形成するマーク形成方法であって、前記基板の面において第1方向に延在するラインパターンが前記第1方向に直交する第2方向へ第1のピッチで繰り返された第1の繰返しパターンになるように、前記第1マークを形成すると共に、前記基板の面において前記第2方向に延在するラインパターンが、前記第1のピッチと異なる第2のピッチで前記第1方向へ繰り返された第2の繰返しパターンになるように、前記第2マークを前記第1マークに隣接させて形成する。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明のマーク計測装置は、第1方向に延在するラインパターンが前記第1方向に直交する第2方向へ第1のピッチで繰り返された第1の繰返しパターンになるように、基板の面に形成された第1マークと、前記第2方向に延在するラインパターンが、前記第1のピッチと異なる第2のピッチで前記第1方向へ繰り返された第2の繰返しパターンになるように、前記基板の面において前記第1マークに隣接して形成された第2マークとのそれぞれを、スキャッタロメトリによって計測するマーク計測装置であって、前記第1マークと前記第2マークとのそれぞれへ光を照射する光照射部と、前記光照射部によって光が照射された前記第1マークから反射される回折光と、前記第2マークから反射される回折光とのそれぞれを検出する光検出部と、前記光検出部により検出された前記第1マークからの回折光と、前記光検出部により検出された前記第2マークからの回折光とに基づいて、前記第1マークと前記第2マークとのそれぞれの計測データを算出するデータ算出部とを有する。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明のマーク計測方法は、第1方向に延在するラインパターンが前記第1方向に直交する第2方向へ第1のピッチで繰り返された第1の繰返しパターンになるように、基板の面に形成された第1マークと、前記第2方向に延在するラインパターンが、前記第1のピッチと異なる第2のピッチで前記第1方向へ繰り返された第2の繰返しパターンになるように、前記基板の面において前記第1マークに隣接して形成された第2マークとのそれぞれを、スキャッタロメトリによって計測するマーク計測方法であって、前記第1マークと前記第2マークとのそれぞれへ光を照射する第1ステップと、前記第1ステップにおいて光が照射された前記第1マークから反射される回折光と、前記第2マークから反射される回折光とのそれぞれを検出する第2ステップと、前記第2ステップにおいて検出された第1マークからの回折光と、前記第2マークからの回折光とに基づいて、前記第1マークと前記第2マークとのそれぞれの計測データを算出する第3ステップとを有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、リソグラフィ工程においてスループットを向上可能なマーク形成方法,マーク計測装置およびマーク計測方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<実施形態1>
本発明にかかる実施形態1について説明する。
【0018】
(マーク)
図1は、本発明にかかる実施形態1において、ウエハWの面に形成されたマークMを示す平面図である。
【0019】
図1に示すように、ウエハWの面には、スキャッタロメトリによって計測されるマークMとして、第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれがパターン加工により形成されている。たとえば、第1マークM1と第2マークM2との形状に対応するようにマスクパターンが形成されたマスク(図示なし)を露光装置(図示なし)にて露光することによって、ウエハWに形成されたレジスト膜にマスクパターン像を転写した後に、現像処理装置(図示なし)にて現像処理を施し、凹凸形状である第1マークM1と第2マークM2とをウエハWの面にレジストパターンとして形成する。
【0020】
ここでは、第1マークM1は、図1に示すように、ウエハWの面の第1領域A1において、y方向に延在する縦のラインパターンLLが、そのy方向に直交するx方向へ第1のピッチP1で繰り返された第1の繰返しパターンになるように、ウエハWの面に形成される。たとえば、50μm幅の第1領域A1において、0.1μm幅の縦のラインパターンLLが、0.1μm幅のスペースを挟むように繰り返されたライン・アンド・スペース・パターンになるように、第1の繰返しパターンを加工することによって、第1マークM1をウエハWの面に形成する。
【0021】
また、第2マークM2は、図1に示すように、ウエハWの面の第2領域A2において、x方向に延在する横のラインパターンTLが、第1のピッチP1と異なる第2のピッチP2でy方向へ繰り返された第2の繰返しパターンになるように、ウエハWの面に形成される。たとえば、50μm幅の第2領域A2において、0.1μm幅の横のラインパターンTLが、0.7μm幅のスペースを挟むように繰り返されたライン・アンド・スペース・パターンになるように、第2の繰返しパターンに加工することによって、第2マークM2をウエハWの面に形成する。そして、本実施形態においては、図1に示すように、この第2マークM2を、ウエハWの面において第1マークM1に隣接するように形成する。つまり、第1マークM1を形成する第1領域A1と、第2マークM2を形成する第2領域A2とを、ウエハWの面においてy方向に沿って隣接させて並べ、その第1領域A1と第2領域A2とのそれぞれに、第1マークM1と第2マークM2とを形成する。
【0022】
(マーク計測装置)
図2と図3は、本発明にかかる実施形態1において、マーク計測装置1の要部を示す図である。図2は、マーク計測装置1の要部を示す上面図である。また、図3は、マーク計測装置1の要部を示す断面図であり、図3(a)が、図2のX1−X2部分についての断面図であり、図3(b)が、図2のY1−Y2部分についての断面図である。
【0023】
マーク計測装置1は、計測対象になるマークMとして、上記のようにウエハWの面に形成された第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれを、斜め入射方式のスキャッタロメトリによって計測する装置であって、図2および図3に示すように、ウエハステージ11と、光照射部21と、光検出部31と、データ算出部41と、制御部51とを有する。各部について順次説明する。
【0024】
ウエハステージ11は、図2および図3に示すように、マークMが表面に形成されたウエハWを支持する。ウエハステージ11は、ウエハ搬送系(図示なし)によって外部から搬送されたウエハWを、たとえば、真空吸着によって固定する。また、ウエハステージ11は、反射鏡(図示なし)が設けられており、その反射鏡に対応するように設置されたレーザ干渉計(図示なし)によって、位置および傾きが検出される。そして、ウエハステージ11は、駆動モータ(図示なし)を含み、その支持しているウエハWの表面に沿ったx方向と、そのウエハWの表面においてx方向に直交するy方向と、そのウエハWの表面に垂直なz方向とのそれぞれの方向へ駆動モータによって移動する。そして、駆動モータによって、x方向,y方向,z方向の各軸の回転方向へ、その支持しているウエハWを回転移動させて、そのウエハWの表面の傾きが調整される。ここでは、前述のレーザ干渉計によって検出されたウエハステージ11の位置および傾きに基づいて、制御部51が駆動モータを制御して、ウエハステージ11の位置および傾きが調整される。
【0025】
本実施形態においては、ウエハステージ11は、図2に示すように、第1マークM1においてラインパターンLLが延在する方向が、y方向に沿うと共に、第2マークM2においてラインパターンTLが延在する方向が、x方向に沿うように、ウエハWを支持する。
【0026】
光照射部21は、図2および図3に示すように、ウエハステージ11に支持されたウエハWの面にマークMとして形成されている第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれへ光を照射する。ここでは、たとえば、波長が240〜780nmである白色光を照射する。
【0027】
本実施形態においては、図2および図3に示すように、光照射部21は、第1の光照射部21xと第2の光照射部21yとを有する。
【0028】
第1の光照射部21xは、図2および図3に示すように、第1マークM1のラインパターンLLが繰返されて形成されているx方向に沿うように、光源21xaから白色光を、回転偏光板21xbを介して、第1マークMに照射する。そして、図3(a)に示すように、ウエハステージ11が支持しているウエハWの面の垂線に対して傾斜するように白色光を第1マークMに照射する。また、第1の光照射部21xは、駆動アーム(図示なし)で支持されており、制御部51からの制御信号に基づいて、その駆動アームが第1の光照射部21xを回転移動し、光を照射する位置や角度が調整される。
【0029】
一方、第2の光照射部21yは、図2および図3に示すように、第2マークM2においてラインパターンTLが繰返されて形成されているy方向に沿うように、光源21yaから白色光を、回転偏光板21ybを介して、第2マークM2に照射する。そして、図3(b)に示すように、ウエハステージ11が支持しているウエハWの面の垂線に対して傾斜するように白色光を第2マークM2に照射する。また、第2の光照射部21yは、駆動アーム(図示なし)で支持されており、制御部51からの制御信号に基づいて、その駆動アームが第2の光照射部21yを回転移動し、光を照射する位置や角度が調整される。この場合においては、第1の光照射部21xと第2の光照射部21yとのそれぞれが互いに干渉することを防止するために、第1の光照射部21xと第2の光照射部21yとのそれぞれをウエハWの面の垂直方向において異なるように配置させ、その位置から互いに異なる方向へ回転移動させることが好ましい。たとえば、第1の光照射部21xをウエハWの上方に配置すると共に、第2の光照射部21yをウエハWの下方に配置した後に、第1の光照射部21xを下方へ回転移動させ、第2の光照射部21yを上方へ回転移動させる。このようにすることによって、第1の光照射部21xと第2の光照射部21yとが、ウエハWの上方または下方において同様な位置に同時に移動されなくなるために、第1の光照射部21xと第2の光照射部21yとが互いに干渉することを防止できる。
【0030】
このように、第1の光照射部21xと第2の光照射部21yとのそれぞれは、ウエハWの面において互いが直交する方向になるように第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれへ光を照射する。ここでは、第1の光照射部21xと第2の光照射部21yとのそれぞれは、制御部51からの制御信号に基づいて、第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれに、同時に光を照射する。
【0031】
光検出部31は、図2および図3に示すように、光照射部21によって光が照射された第1マークM1から反射される回折光と、第2マークM2から反射される回折光とのそれぞれを検出する。
【0032】
本実施形態においては、光検出部31は、図2および図3に示すように、第1の光検出部31xと、第2の光検出部31yとを有する。
【0033】
第1の光検出部31xは、図2および図3に示すように、第1の光照射部21xが光を照射するx方向において、その第1の光照射部21xに対面するように配置されている。そして、その第1の光照射部21xによって光が照射された第1マークM1から反射される回折光を、回転偏光板31xbとプリズム31xcとを順次介して、光センサ31xdで検出する。たとえば、複数のフォトダイオードがマトリクス状に面に配置された光センサ31xdを用いる。また、第1の光検出部31xにおいては、第1の光検出部31xの位置を移動する駆動アーム(図示なし)が設けられており、制御部51からの制御信号に基づいて、その駆動アームが第1の光検出部31xを移動させて、第1の光照射部21xからの光を受光する位置や角度が調整される。
【0034】
一方、第2の光検出部31yは、図2および図3に示すように、第2の光照射部21yが光を照射するy方向において、その第2の光照射部21yに対面するように配置されている。そして、その第2の光照射部21yによって光が照射された第2マークM2から反射される回折光を、回転偏光板31ybとプリズム31ycとを介して、光センサ31ydで検出する。たとえば、複数のフォトダイオードがマトリクス状に面に配置された光センサ31ydを用いる。また、第2の光検出部31yにおいては、第2の光検出部31yの位置を移動する駆動アーム(図示なし)が設けられており、制御部51からの制御信号に基づいて、その駆動アームが第2の光検出部31yを移動させて、第2の光照射部21yからの光を受光する位置や角度が調整される。この場合においては、前述の第1の光照射部21xおよび第2の光照射部21yと同様に、第1の光検出部31xと、第2の光検出部31yのそれぞれが互いに干渉することを防止するために、ウエハWの面の垂直方向において第1の光検出部31xと第2の光検出部31yとのそれぞれを互いに異なるように配置させ、その位置から互いに異なる方向へ回転移動させることが好ましい。たとえば、第1の光検出部31xをウエハWの上方に配置すると共に、第2の光検出部31yをウエハWの下方に配置した後に、第1の光検出部31xを下方へ回転移動させ、第2の光検出部31yを上方へ回転移動させる。このようにすることによって、第1の光検出部31xと第2の光検出部31yとが、ウエハWの上方または下方において同様な位置に同時に移動されなくなるために、第1の光検出部31xと第2の光検出部31yとが互いに干渉することを防止できる。
【0035】
このように、第1の光検出部31xと第2の光検出部31yとのそれぞれは、第1マークM1から反射される回折光と、第2マークM2から反射される回折光とのそれぞれにおいて、各プリズム31xc,31ycで波長ごとに分光された光を受光する。
【0036】
データ算出部41は、第1の光検出部31xにより検出された回折光と、第2の光検出部31yにより検出された回折光とのデータに基づいて、第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれの計測データを算出する。
【0037】
たとえば、データ算出部41は、回折光のデータと、その回折光のデータに対応するパターンの線幅や断面形状などのプロファイルデータとを予め関連付けてライブラリとして記憶しており、そのライブラリを用いて、第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれの計測データを算出する。具体的には、パターンの線幅、断面形状などのパラメータに対応する回折光のスペクトルを、光学シミュレーションにより解析し、その解析結果をライブラリとして記憶する。たとえば、厳密電磁波解析(RCWA:Rigious Coupled Wave Analysis)にて解析する。そして、第1の光検出部31xにより検出された回折光と、第2の光検出部31yにより検出された回折光とのデータを、その記憶しているライブラリで照合し、それぞれに対応するように照合されたプロファイルデータを計測データとして算出する。
【0038】
制御部51は、コンピュータと、そのコンピュータに所定の機能を実現させるためのプログラムとを有しており、各部の動作を制御する。ここでは、制御部6は、オペレータによって操作命令が入力される操作コンソール(図示なし)に接続されており、その操作コンソールに入力された操作命令に対応するように各部を制御する制御信号を生成した後に、その生成した制御信号を各部に出力して制御する。
【0039】
以下より、上記の本実施形態のマーク計測装置1の動作について説明する。
【0040】
図4は、本発明にかかる実施形態において、マーク計測装置1がウエハWに形成されたマークMを計測する際の動作を示すフロー図である。
【0041】
まず、図4に示すように、ウエハWを支持する(S11)。
【0042】
ここでは、図2および図3に示すように、ウエハWにおいてマークMが形成された面が上方に向くように、ウエハステージ11がウエハWを、たとえば、真空吸着によって固定する。そして、ウエハステージ11の位置および傾きを調整する。
【0043】
つぎに、図4に示すように、マークMへ光を照射する(S21)。
【0044】
ここでは、ウエハステージ11に支持されたウエハWの面にマークMとして形成されている第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれへ、光照射部21の第1の光照射部21xと第2の光照射部21yとのそれぞれが光を同時に照射する。
【0045】
具体的には、第1の光照射部21xは、図2に示すように、第1マークM1のラインスペースLLが繰返されて形成されているx方向に沿うと共に、図3(a)に示すように、ウエハステージ11が支持しているウエハWの面の垂線に対して傾斜するように、光源21xaからの白色光を、回転偏光板21xbを介して、第1マークM1に照射する。一方で、第2の光照射部21yは、図2に示すように、第2マークM2のラインパターンTLが繰返されて形成されているy方向に沿うと共に、図3(b)に示すように、ウエハステージ11が支持しているウエハWの面の垂線に対して傾斜するように、光源21yaから白色光を、回転偏光板21ybを介して、第2マークM2に照射する。
【0046】
つぎに、図4に示すように、マークMからの回折光を検出する(S31)。
【0047】
ここでは、図2および図3に示すように、光照射部21によって光が照射された第1マークM1から反射される回折光と、第2マークM2から反射される回折光とのそれぞれを、光検出部31の第1の光検出部31xと第2の光検出部31yとのそれぞれが同時に検出する。
【0048】
具体的には、第1の光検出部31xは、図2に示すように、第1の光照射部21xによって光が照射された第1マークM1から反射される回折光を、回転偏光板31xbとプリズム31xcとを順次介して、光センサ31xdで検出する。一方、第2の光検出部31yは、図2に示すように、第2の光照射部21yによって光が照射された第2マークM2から反射される回折光を、回転偏光板31ybとプリズム31ycとを介して、光センサ31ydで検出する。
【0049】
つぎに、図4に示すように、マークMの計測データを算出する(S41)。
【0050】
ここでは、第1の光検出部31xにより検出された回折光と、第2の光検出部31yにより検出された回折光とのデータに基づいて、第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれの計測データをデータ算出部41が算出する。具体的には、データ算出部41は、回折光のデータと、その回折光のデータに対応するパターンの線幅や断面形状などのプロファイルデータとを関連付けて記憶しているライブラリにおいて、第1の光検出部31xにより検出された回折光と、第2の光検出部31yにより検出された回折光とのデータを照合し、それぞれに対応するように照合されたプロファイルデータを、各計測データとして算出する。
【0051】
以上のように、本実施形態は、スキャッタロメトリによって計測されるマークMとして、第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれを、ウエハWの面に形成する。ここでは、ウエハWの面において互いに直交する方向であって互いに異なったピッチで繰り返されたライン・アンド・スペース・パターンになるように、第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれを、ウエハWの面に形成する。
【0052】
そして、その第1マークM1と、第2マークM2とのそれぞれをマーク計測装置1がスキャッタロメトリによって計測する。ここでは、ウエハWの面の垂線に対して傾斜するように、第1の光照射部21xと第2の光照射部21yとのそれぞれが、第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれに光を照射する。本実施形態においては、第1の光照射部21xと第2の光照射部21yとのそれぞれは、ウエハWの面において互いが直交する方向になるように、第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれへ光を同時に照射する。具体的には、x方向に沿うように第1の光照射部21xが第1マークM1へ光を照射し、y方向に沿うように第2の光照射部21yが第2マークM2へ光を照射する。そして、その第1の光照射部21xによって光が照射された第1マークM1から反射される回折光を第1の光検出部31xが検出すると共に、その第2の光照射部21yによって光が照射された第2マークM2から反射される回折光を第2の光検出部31yが検出する。そして、その第1の光検出部31xにより検出された回折光と、その第2の光検出部31yにより検出された回折光とに基づいて、第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれの計測データをデータ算出部41が算出する。
【0053】
このように、本実施形態は、第1のピッチP1でラインパターンが繰り返されたライン・アンド・スペースパターンの第1マークM1と、その第1のピッチP1と異なる第2のピッチP2でラインパターンが繰り返されたライン・アンド・スペースパターンの第2マークM2とのそれぞれにおいて、ラインパターンの繰返し方向が互いに直交しているために、マーク計測装置1は、第1の光照射部21xおよび第1の光検出部31xと、第2の光照射部21yおよび第2の光検出部31yとを並列に動作させることによって、スキャッタロメトリにより第1マークM1と第2マークM2とを独立させて、同時に計測することができる。つまり、本実施形態は、第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれから反射する回折光を個別に順次検出する場合に対して、2倍の処理能力で検出することができる。したがって、本実施形態は、マークを計測する時間を短縮化でき、スループットを向上することができる。
【0054】
<実施形態2>
本発明にかかる実施形態2について説明する。
【0055】
図5は、本発明にかかる実施形態2において、マーク計測装置1bの要部を示す側面図である。
【0056】
本実施形態のマーク計測装置1bは、図5に示すように、ウエハステージ11と、光照射部21bと、光検出部31bと、データ算出部41と、制御部51とを有する。本実施形態のマーク計測装置1bは、実施形態1と同様に、ウエハWの面に形成された第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれを、スキャッタロメトリによって計測する装置である。しかし、実施形態1のように、斜め入射方式でマークMを計測するのではなく、本実施形態においては、垂直入射方式によってマークMの計測を行なう。よって、本実施形態のマーク計測装置1bは、図5に示すように、光照射部21bと、光検出部31bとのそれぞれが、実施形態1と異なる。この点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。したがって、重複する個所については、適宜、説明を省略する。
【0057】
光照射部21bは、図5に示すように、ウエハステージ11に支持されたウエハWの面にマークMとして形成されている第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれへ光を照射する。
【0058】
図6は、本発明にかかる実施形態2において、光照射部21bがウエハWの面においてマークMへ光を照射する領域を示す平面図である。図6においては、光照射部21bがウエハWの面においてマークMへ光を照射する領域RAを、点線で囲って示している。
【0059】
本実施形態においては、図6に示すように、光照射部21bは、ウエハWの面において第1マークM1と第2マークM2との両者を含む領域RAへ光を照射する。また、本実施形態では、垂直入射方式でのスキャッタロメトリによってマークを計測するために、図5に示すように、光照射部21bは、ウエハステージ11に支持されたウエハWの面の垂線に沿うように、第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれへ光を照射する。すなわち、光照射部21bは、z方向に向かって光を照射する。
【0060】
これにより、この領域RAの第1マークM1からは、0次項以外の回折光がx方向に沿うように反射される。そして、この領域RAの第2マークM2からは、0次項以外の回折光がy方向に沿うように反射される。すなわち、第1マークM1については、図6において上下方向に回折光が発生し、第2マークM2については、図6において左右方向に回折光が発生する。
【0061】
光検出部31bは、図5に示すように、光照射部21によって光が照射された第1マークM1から反射される回折光と、第2マークM2から反射される回折光とのそれぞれを検出する。
【0062】
本実施形態においては、光検出部31bは、複数のフォトダイオードがウエハWの面に沿うようにマトリクス状に配置された光センサ(図示なし)を含み、第1マークM1からx方向に沿うように反射される0次項以外の回折光と、第2マークM2からy方向に沿うように反射される0次項以外の回折光とのそれぞれを検出する。
【0063】
そして、データ算出部41は、光検出部31bによって検出された第1マークM1からの回折光と、光検出部31bによって検出された第2マークM2からの回折光との各データに基づいて、第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれの計測データを算出する。ここでは、実施形態1と同様に、データ算出部41は、回折光のデータと、その回折光のデータに対応するパターンの線幅や断面形状などのプロファイルデータとを予め関連付けて記憶しているライブラリを用いて、第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれの計測データについて算出する。
【0064】
以上のように、本実施形態は、実施形態1と同様に、第1マークM1と、第2マークM2とのそれぞれをマーク計測装置1bがスキャッタロメトリによって計測する。ここでは、上記のように、ウエハWの面において第1マークM1と第2マークM2との両者を含むように、光照射部21bが垂直入射方式で光を同時に照射する。そして、その照射により、第1マークM1においてx方向に沿うように反射された0次項以外の回折光と、第2マークM2においてy方向に沿うように反射された0次項以外の回折光とのそれぞれを、光検出部31bが検出する。そして、その光検出部31bによって検出された第1マークM1からの回折光と、光検出部31bによって検出された第2マークM2からの回折光との各データに基づいて、データ算出部41が第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれの計測データを算出する。
【0065】
このように、本実施形態は、第1のピッチP1でラインパターンが繰り返されたライン・アンド・スペースパターンの第1マークM1と、その第1のピッチと異なる第2のピッチでラインパターンが繰り返されたライン・アンド・スペースパターンの第2マークM2とのそれぞれにおいて、ラインパターンを互いに直交する方向へ延在させると共に、第1マークM1と第2マークM2とを互いに隣接するように形成しているために、垂直入射方式でのスキャッタロメトリによって第1マークM1と第2マークM2との両者へ同時に光を照射させた場合には、第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれからは、0次項以外の回折光が、互いに直交する方向へ反射される。よって、第1マークM1と第2マークM2とのそれぞれにて反射される回折光のそれぞれを、別個独立であって同時に、光検出部31bが検出することができる。したがって、本実施形態のマーク計測装置1bは、第1マークM1と第2マークM2とを独立させて同時に計測することができるために、マークを計測する時間を短縮化でき、スループットを向上することができる。
【0066】
なお、上記の本実施形態において、ウエハWは、本発明の基板に相当する。また、上記の本実施形態において、マークMは、本発明のマークに相当する。また、上記の本実施形態において、第1マークM1は、本発明の第1マークに相当する。また、上記の本実施形態において、第2マークM2は、本発明の第2マークに相当する。また、上記の本実施形態において、マーク計測装置1,1bは、本発明のマーク計測装置に相当する。また、上記の本実施形態において、光照射部21,21bは、本発明の光照射部に相当する。また、上記の本実施形態において、第1の光照射部21xは、本発明の第1の光照射部に相当する。また、上記の本実施形態において、第2の光照射部21yは、本発明の第2の光照射部に相当する。また、上記の本実施形態において、光検出部31,31bは、本発明の光検出部に相当する。また、上記の本実施形態において、第1の光検出部31xは、本発明の第1の光検出部に相当する。また、上記の本実施形態において、第2の光検出部31yは、本発明の第2の光検出部に相当する。また、上記の本実施形態において、データ算出部41は、本発明のデータ算出部に相当する。
【0067】
また、本発明の実施に際しては、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形形態を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は、本発明にかかる実施形態1において、ウエハWの面に形成されたマークMを示す平面図である。
【図2】図2は、本発明にかかる実施形態1において、マーク計測装置1の要部を示す図である。
【図3】図3は、本発明にかかる実施形態1において、マーク計測装置1の要部を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明にかかる実施形態において、マーク計測装置1がウエハWに形成されたマークMを計測する際の動作を示すフロー図である。
【図5】図5は、本発明にかかる実施形態2において、マーク計測装置1bの要部を示す側面図である。
【図6】図6は、本発明にかかる実施形態2において、光照射部21bがウエハWの面においてマークMへ光を照射する領域を示す平面図である。
【符号の説明】
【0069】
W…ウエハ(基板)
M…マーク(マーク)
M1…第1マーク(第1マーク)、
M2…第2マーク(第2マーク)、
1,1b…マーク計測装置(マーク計測装置)、
11…ウエハステージ、
21,21b…光照射部(光照射部)、
21x…第1の光照射部(第1の光照射部)、
21y…第2の光照射部(第2の光照射部)、
31,31b…光検出部(光検出部)、
31x…第1の光検出部(第1の光検出部)、
31y…第2の光検出部(第2の光検出部)、
41…データ算出部(データ算出部)、
51…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャッタロメトリによって計測されるマークとして、第1マークと第2マークとのそれぞれを基板の面に形成するマーク形成方法であって、
前記基板の面において第1方向に延在するラインパターンが前記第1方向に直交する第2方向へ第1のピッチで繰り返された第1の繰返しパターンになるように、前記第1マークを形成すると共に、
前記基板の面において前記第2方向に延在するラインパターンが、前記第1のピッチと異なる第2のピッチで前記第1方向へ繰り返された第2の繰返しパターンになるように、前記第2マークを前記第1マークに隣接させて形成する
マーク形成方法。
【請求項2】
第1方向に延在するラインパターンが前記第1方向に直交する第2方向へ第1のピッチで繰り返された第1の繰返しパターンになるように、基板の面に形成された第1マークと、前記第2方向に延在するラインパターンが、前記第1のピッチと異なる第2のピッチで前記第1方向へ繰り返された第2の繰返しパターンになるように、前記基板の面において前記第1マークに隣接して形成された第2マークとのそれぞれを、スキャッタロメトリによって計測するマーク計測装置であって、
前記第1マークと前記第2マークとのそれぞれへ光を照射する光照射部と、
前記光照射部によって光が照射された前記第1マークから反射される回折光と、前記第2マークから反射される回折光とのそれぞれを検出する光検出部と、
前記光検出部により検出された前記第1マークからの回折光と、前記光検出部により検出された前記第2マークからの回折光とに基づいて、前記第1マークと前記第2マークとのそれぞれの計測データを算出するデータ算出部と
を有する
マーク計測装置。
【請求項3】
前記光照射部は、
前記基板の面の垂線に対して傾斜するように前記第1マークに光を照射する第1の光照射部と、
前記基板の面の垂線に対して傾斜するように前記第2マークに光を照射する第2の光照射部と
を有しており、
前記光検出部は、
前記第1の光照射部によって光が照射された前記第1マークから反射される回折光を検出する第1の光検出部と、
前記第2の光照射部によって光が照射された前記第2マークから反射される回折光を検出する第2の光検出部と
を有しており、
前記第1の光照射部と前記第2の光照射部とのそれぞれは、前記基板の面において互いが直交する方向になるように光を前記第1マークと前記第2マークとのそれぞれへ同時に照射し、
前記第1の光検出部は、前記第1の光照射部が光を照射する方向において、前記第1の光照射部に対面する位置にて前記回折光を検出し、
前記第2の光検出部は、前記第2の光照射部が光を照射する方向において、前記第2の光照射部に対面する位置にて前記回折光を検出する
請求項2に記載のマーク計測装置。
【請求項4】
前記第1の光照射部は、前記第2方向に沿うように、前記第1マークへ光を照射し、
前記第2の光照射部は、前記第1方向に沿うように、前記第2マークへ光を照射する
請求項3に記載のマーク計測装置。
【請求項5】
前記光照射部は、前記基板の面の垂線に沿うように、前記第1マークと前記第2マークとのそれぞれへ光を同時に照射し、
前記光検出部は、前記第1マークから前記第2方向に沿うように反射される回折光と、前記第2マークから前記第1方向に沿うように反射される回折光とのそれぞれを検出する
請求項2に記載のマーク計測装置。
【請求項6】
第1方向に延在するラインパターンが前記第1方向に直交する第2方向へ第1のピッチで繰り返された第1の繰返しパターンになるように、基板の面に形成された第1マークと、前記第2方向に延在するラインパターンが、前記第1のピッチと異なる第2のピッチで前記第1方向へ繰り返された第2の繰返しパターンになるように、前記基板の面において前記第1マークに隣接して形成された第2マークとのそれぞれを、スキャッタロメトリによって計測するマーク計測方法であって、
前記第1マークと前記第2マークとのそれぞれへ光を照射する第1ステップと、
前記第1ステップにおいて光が照射された前記第1マークから反射される回折光と、前記第2マークから反射される回折光とのそれぞれを検出する第2ステップと、
前記第2ステップにおいて検出された第1マークからの回折光と、前記第2マークからの回折光とに基づいて、前記第1マークと前記第2マークとのそれぞれの計測データを算出する第3ステップと
を有する
マーク計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−281384(P2007−281384A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−109336(P2006−109336)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】