モノシラン誘導体またはジシラン誘導体、および、それを用いたシリコン含有膜の低温蒸着法
本発明は、ULSIデバイスおよびデバイス構造の製造のための低温(例えば<550℃)化学蒸着法によりシリコン含有膜を形成するケイ素前駆体組成物に関する。かかるケイ素前駆体組成物は、少なくとも1個のアルキルヒドラジン官能基と置換され、ハロゲン置換がない、少なくとも1種のシラン誘導体またはジシラン誘導体を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に半導体デバイス製造におけるシリコン含有膜の形成に関し、特に、かかる膜(例えばケイ素、窒化ケイ素(Si3N4)、酸窒化ケイ素(SiOxNy)、二酸化ケイ素(SiO2)その他を含む膜、低誘電率(k)シリコン含有薄膜、高誘電率ゲートシリケート膜および低温シリコンエピタキシャル膜等)を形成するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の記載
窒化ケイ素(Si3N4)薄膜は、マイクロエレクトロニクス産業において、拡散障壁、エッチング停止層、側壁スペーサなどとして広範に用いられている。
【0003】
化学蒸着(CVD)法による窒化ケイ素膜の蒸着は、かかる膜を形成するための非常に魅力的な手法である。現在使われているCVD前駆体は、ビス(tert−ブチルアミノ)シラン(BTBAS)またはシラン/アンモニアを含むが、かかる前駆体は高品質のSi3N4膜を形成するためには600℃より高い蒸着温度を通常必要とし、それは、500℃未満、好ましくは約450℃未満の蒸着温度が望ましい次世代ICデバイス製造とは相容れないものである。したがって、低温のシリコン含有CVD前駆体の開発が特に望まれる。
【0004】
現在、ヘキサクロロジシラン、Cl3Si−SiCl3が、アンモニアガスとの反応による窒化ケイ素薄膜の低温CVD形成の前駆体候補として研究されている。ヘキサクロロジシランをCVD法に使用することの欠点は以下を含む:(i)この方法の間に大量のNH4Clが発生し、それは真空システムおよび排気ラインでの粒子汚染および固形物の蓄積につながる、(ii)チップに塩素が混和する可能性があり、それはチップの寿命と長期性能を著しく損ないかねない、および、(iii)その反応副産物は爆発しやすいことが知られている。したがって、窒化ケイ素薄膜の低温CVD形成に用いられることができる新しい塩素を含まない前駆体を開発することが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の概要
本発明は、一般に、半導体デバイス製造におけるケイ素、窒化ケイ素(Si3N4)、酸窒化ケイ素(SiOxNy)、二酸化ケイ素(SiO2)などを含む膜、シリコン含有低誘電率(k)薄膜、高誘電率ゲートシリケート膜およびシリコンエピタキシャル膜等のシリコン含有膜の形成に関し、これらのうちでは窒化ケイ素薄膜が好ましく、さらに、特に、かかるシリコン含有膜を形成するための組成物および方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は1つの態様において、少なくとも1個のアルキルヒドラジン官能基で置換され、シリコン含有薄膜の蒸着のためのCVD前駆体として用いられることができる一群のハロゲンを含まないシラン誘導体またはジシラン誘導体に関する。
【0007】
本発明のシラン誘導体は、以下の一般式
【化1】
(式中、R1とR2は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アリールおよびC3−C6シクロアルキルからなる群から独立して選択されるか、または、R1とR2は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、X、YおよびZは互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノおよびアルキルヒドラジド(例えば、R1R2NNH−(式中、R1とR2は上記に説明したものと同一))からなる群から独立して選択される)によって表すことができる。
【0008】
好ましくは、X、YおよびZはすべて同一の官能基である。さらに好ましくは、X、YおよびZはすべて、メチルまたはエチルなどのC1−C7アルキルである。あるいはまた、同様に好ましくは、X、YおよびZはすべて、N,N’−ジメチルヒドラジドまたはN,N’−ジエチルヒドラジドなどのアルキルヒドラジド(例えば、R1R2NNH−(式中、R1とR2は上記に説明したものと同一))である。
【0009】
本発明のジシラン誘導体は、以下の一般式
【化2】
(式中、R1、R2、R3およびR4は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アリールおよびC3−C6シクロアルキルからなる群から独立して選択されるか、または、R1とR2は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、または、R3とR4は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、X1、X2、Y1およびY2は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノおよびアルキルヒドラジド(例えば、R1R2NNH−(式中、R1とR2は上記に説明したものと同一))からなる群から独立して選択される。)によって表すことができる。
【0010】
好ましくは、本発明のジシラン誘導体化合物は、Si−Si結合に対して対称に分布した官能基を特徴とする。
【0011】
本発明の好適なシラン誘導体またはジシラン誘導体は、Me3Si(HNNMe2)、Si(HNNMe)4、Me2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)Me2および(HNBut)2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)(HNBut)2を含むがそれらに限定されず、BuとMeは以後の文書全体を通じて、それぞれブチルとメチルの略称として一貫して使われる。
【0012】
本発明の別の態様は、550℃未満、好ましくは500℃未満、さらに好ましくは450℃未満の蒸着温度を含む化学蒸着条件下で、基材を、少なくとも1個のアルキルヒドラジン官能基で置換されたシラン誘導体化合物またはジシラン誘導体化合物の気相と接触させることを含む、基材上にシリコン含有膜を形成する方法に関する。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、1個または複数個のハロゲン基を含むシラン化合物またはジシラン化合物(すなわち、ハロシランまたはハロジシラン)を、NEt3の存在下でアルキルヒドラジンと反応させ、かかるシラン化合物またはジシラン化合物の1個または複数個のハロゲン基を、アルキルヒドラジン官能基で置換することにより、かかるシラン誘導体化合物またはジシラン誘導体化合物を製造する方法に関する。
【0014】
本発明のさらに別の態様は、以下の反応
【化3】
によりMe3SiClをNEt3の存在下で約1モル比のH2NNMe2と反応させてMe3Si(HNNMe2)を製造する方法に関する。
【0015】
本発明のさらに別の態様は、以下の反応
【化4】
によりSiCl4をNEt3の存在下で約4モル比のH2NNMe2と反応させてSi(HNNMe2)4を製造する方法に関する。
【0016】
本発明のさらに別の態様は、以下の反応
【化5】
によりMe2(Cl)Si−Si(Cl)Me2をNEt3の存在下で約2モル比のH2NNMe2と反応させてMe2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)Me2を製造する方法に関する。
【0017】
本発明のさらに別の態様は、以下の反応
【化6】
により(HNBut)2(Cl)Si−Si(Cl)(HNBut)2をNEt3の存在下で約2モル比のLiHNNMe2と反応させて(HNBut)2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)(HNBut)を製造する方法に関する。
【0018】
本発明の他の態様、特徴および実施形態は、続く開示および添付の特許請求の範囲から、より十分に明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
発明の詳細な記載およびその好ましい実施形態
本発明は、基板上に、低誘電率(k)膜、高誘電率ゲートシリケート、低温シリコンエピタキシャル膜、および、ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素などを含む膜をCVD形成をするためのケイ素前駆体、並びにかかる前駆体でかかる膜を形成する対応する方法に関する。
【0020】
1個または複数個のアルキルヒドラジン官能基を含み、ハロゲン置換が一切ないシラン誘導体またはジシラン誘導体は、ヒドラジン官能基の窒素−窒素単結合の結合強度が比較的弱いため、窒化ケイ素薄膜の低温蒸着に特に適していることが判明している。さらに、かかるハロゲンフリーのケイ素前駆体の使用は、ヘキサクロロジシランを用いる旧来のCVD法プロセスに含まれる種々の問題を回避する。
【0021】
本発明の好適なシラン誘導体は以下の一般式
【化7】
(式中、R1とR2は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アリールおよびC3−C6シクロアルキルからなる群から独立して選択されるか、または、R1とR2は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、X、YおよびZは互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノおよびアルキルヒドラジド(例えば、R1R2NNH−(式中、R1とR2は上記に説明したものと同一である))からなる群から独立して選択される。)で表すことができる。
【0022】
本発明の好適なジシラン誘導体は以下の一般式
【化8】
(式中、R1、R2、R3およびR4は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アリールおよびC3−C6シクロアルキルからなる群から独立して選択されるか、または、R1とR2は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、または、R3とR4は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、X1、X2、Y1およびY2は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノおよびアルキルヒドラジド(例えば、R1R2NNH−(式中、R1とR2は上記に説明したものと同一))からなる群から独立して選択される。)で表すことができる。
【0023】
Si−Si結合に対して構造が実質的に対称であるジシラン誘導体化合物、すなわち、Si−Si結合に対してかかる化合物のすべての官能基が対称に分布していると、本発明を実行するのに特に好適である。例えば、かかるジシラン誘導体化合物は、Me2(HNNMe)Si−Si(HNNMe)Me2などの、Si−Si結合に対して対称に分布した2つの同一のアルキルヒドラジン官能基と4つの同一のC1−C5アルキル官能基を含んでいてよい。
【0024】
上記に説明したシラン誘導体化合物またはジシラン誘導体化合物は、300℃未満の気化温度を有利な特徴とする。さらに、かかる化合物は300℃未満および常圧で、気相にて、残留物質が全くないか、またはほとんどなく(≦2%)輸送されることができる。かかるジシラン前駆体化合物を用いて形成されることができるシリコン含有膜は、Si3N4薄膜、高誘電率(k)ゲートシリケートおよびシリコンエピタキシャル膜を含む。本発明の特に好適な実施形態では、かかるシラン前駆体またはジシラン前駆体を用いて形成された膜は、窒化ケイ素を含む。
【0025】
上述した式の好適なシラン化合物またはジシラン化合物は、Me3Si(HNNMe2)、Si(HNNMe2)4、Me2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)Me2および(HNBut)2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)(HNBut)2を含むがそれらに限定されない。
【実施例】
【0026】
上に列挙した好適な化合物の合成および特性を、以下の実施例にて説明する。
【0027】
実施例1:Me3Si(HNNMe2)の合成および特性
ヘキサン2.5L、NEt354.0グラム(0.53モル)およびH2NNMe230グラム(0.50モル)を含む溶液で3Lのフラスコを満たした。500mLのヘキサンに溶解した58グラム(0.53モル)のMe3SiClが、0℃で3Lのフラスコに徐々に添加された。Me3SiCl添加中に白色の沈殿物が観察された。反応完了後、混合物は室温まで温められ、一晩攪拌され、次いでろ過された。粗収率は80%であった。沸点が約100℃である最終製品を精製するために通常の蒸留手順が用いられた。1HNMR(C6D6):δ0.15(s,9H,−SiCH3)、1.73(br,1H,−NH)、2.22(s,6H,−NCH3)。13C{1H}NMR(C6D6):δ−0.54(−SiCH3)、52.4(−NCH3)。質量スペクトル:m/z132[M+]、117[M+−Me)]、102[M+−2Me)]、88[M+−3Me)]、73[M+−(−HNNMe2)]。
【0028】
Me3Si(HNNMe2)は室温では液体である。
【0029】
実施例2:Si(HNNMe2)4の合成および特性
ヘキサン200mL、NEt312.2グラム(120.7ミリモル)およびHNNMe27.25グラム(120.7ミリモル)を含む溶液で250mLのフラスコを満たした。5.0グラム(29.4ミリモル)のSiCl4を15mLのヘキサンに溶解したものが、0℃で250mLのフラスコに徐々に添加された。SiCl4添加中に白色の沈殿物が観察された。反応完了後、混合物は一晩攪拌され、次いで室温でろ過された。すべての揮発性材料は真空下でろ液から除去された。粗収率は65%(5.0g、19.0ミリモル)であった。精製された最終製品が、−5℃でのヘキサン中での再結晶化によって得られた。lHNMR(C6D6):δ2.42(s,24H,−CH3)、2.47(br,4H,−HN)。13C{1H}NMR(C6D6):δ52.7(−CH3)。C8H28N8Si:実測値(計算値)C:36.15%(36.34%)、H:11.02%(10.67%)、N:42.66%(42.37%)。
【0030】
Si(HNNMe2)4は、約73℃の溶融温度の固体物質である。溶液中のSi(HNNMe2)4の100℃での熱安定性が、7日間にわたりプロトンNMR調査により監視されたが、顕著な分解は全く検出されなかった。
【0031】
図1は、Si(HNNMe2)4のSTAプロットであり、Si(HNNMe2)4は500℃で、残留物質が非常に少ない状態で(<2%)完全に輸送されることができることを示唆している。
【0032】
図2は、Si(HNNMe2)4のX線結晶構造を示す。
【0033】
実施例3:Me2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)Me2の合成および特性
ヘキサン2.5L、無水NEt357グラム(561ミリモル)およびMe2(Cl)Si−Si(Cl)Me250グラム(267ミリモル)を含む溶液で3Lのフラスコを満たした。100mLのジエチルエーテルに溶解した34グラム(561ミリモル)のH2NNMe2が、室温で3Lのフラスコに徐々に添加された。H2NNMe2の添加中に白色の沈殿物が観察された。H2NNMe2添加完了後、混合物は一晩攪拌され、次いでろ過された。すべての揮発性材料は真空下でろ液から除去された。粗収率は86%(54g、230ミリモル)であった。35mTorrで沸点が約45℃である最終製品を精製するために真空蒸留手順が用いられた。1HNMR(C6D6):δ0.33(s,12H,−CH3Si)、1.90(br,2H,−HN)、2.27(s,12H,−CH3N)。13C{1H}NMR(C6D6):δ−0.68(−SiCH3)、52.6(−NCH3)。質量スペクトル:m/z175[M+−(−HNNMe2)]、132[M+−(−HNNMe2)−(−NMe2)]、116[M+−(−SiMe2(HNNMe2)]。C8H26N4Si2:実測値(計算値)C:40.81%(40.98%)、H:10.99%(11.18%)、N:23.67%(23.89%)。
【0034】
図3は、Me4Si2(HNNMe2)2のSTAプロットを示す。これは室温では液体であり、約350℃で気相で残留物質が非常に少ない(<1%)状態で完全に輸送されることができる。溶液中のMe4Si2(HNNMe2)2の100℃での熱安定性が7日間にわたりプロトンNMR調査により監視されたが、顕著な分解は全く検出されなかった。
【0035】
実施例4:(HNBut)2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)(HNBut)2の合成および特性
ヘキサン120mLおよびメチルリチウムエーテル15.8mL(1.6M、25.3ミリモル)溶液を含む溶液で250mLのフラスコを満たした。1.52グラム(25.3モル)のH2NNMeが、0℃で250mLのフラスコに徐々にバブリングされた。添加完了と同時に、反応フラスコは室温まで温められ、さらに1時間攪拌された。このフラスコに、5グラム(12ミリモル)の(HNBut)2(Cl)Si−Si(Cl)(HNBut)2を含むジエチルエーテル溶液50mLが0℃で徐々に添加された。混合物は一晩攪拌され、次いでさらに4時間還流された。これを室温まで下げた後、ろ過した。すべての揮発性材料は真空下でろ液から除去された。粗収率は72%(4.0g、8.64ミリモル)であった。精製された最終製品が、−20℃でのヘキサン中での再結晶化によって得られた。lHNMR(C6D6):δ1.40(s,36H,−C(CH3)3)、1.55(br,4H,−HHC(CH3)3)、2.13(br,2H,−NHN(CH3)2)、2.43(s,12H,−NHN(CH3)2)。13C{1H}NMR(C6D6):δ34.3(−NHC(CH3)3)、49.5(−NHC(CH3)3)、52.6(−NHN(CH3)2)。C20H54N8Si2:実測値(計算値)C:51.76%(51.90%)、H:12.14%(11.76%)、N:24.28%(24.21%)。
【0036】
図4は、(HNBut)2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)(HNBut)2のSTAプロットを示す。これは室温では固体であり、約500℃で残留物質が非常に少ない(約0.03%)状態で完全に輸送されることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
上記に説明したようなシラン誘導体化合物またはジシラン誘導体化合物は、その全体をすべての目的のために参照することによりその内容を本明細書に援用される、2002年11月14日に出願された米国特許出願第10/294,431号明細書「窒化ケイ素、二酸化ケイ素および/または酸窒化ケイ素を含むシリコン含有膜の低温蒸着のための組成物および方法」(Composition and Method for Low Temperature Deposition of Silicon−Containing Films Including Silicon Nitride,Silicon Dioxide and/or Silicon−Oxynitride)と一致した、窒化ケイ素薄膜を含む種々のシリコン含有膜の低圧CVD蒸着に用いられることができる。
【0038】
本発明を種々の特定の実施形態を参照して説明してきたが、当業者には理解されるように、本発明はそのように限定されるわけではなく、種々の別の変形形態や実施形態へ拡張しそれらを包含することが理解されよう。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲に従って広範に説明され解釈されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図面の簡単な説明
【図1】Si(HNNMe2)4のSTAプロットである。
【図2】化合物Si(HNNMe2)4のX線結晶構造である。
【図3】Me2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)Me2のSTAプロットである。
【図4】(HNBut)2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)(HNBut)2のSTAプロットである。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に半導体デバイス製造におけるシリコン含有膜の形成に関し、特に、かかる膜(例えばケイ素、窒化ケイ素(Si3N4)、酸窒化ケイ素(SiOxNy)、二酸化ケイ素(SiO2)その他を含む膜、低誘電率(k)シリコン含有薄膜、高誘電率ゲートシリケート膜および低温シリコンエピタキシャル膜等)を形成するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の記載
窒化ケイ素(Si3N4)薄膜は、マイクロエレクトロニクス産業において、拡散障壁、エッチング停止層、側壁スペーサなどとして広範に用いられている。
【0003】
化学蒸着(CVD)法による窒化ケイ素膜の蒸着は、かかる膜を形成するための非常に魅力的な手法である。現在使われているCVD前駆体は、ビス(tert−ブチルアミノ)シラン(BTBAS)またはシラン/アンモニアを含むが、かかる前駆体は高品質のSi3N4膜を形成するためには600℃より高い蒸着温度を通常必要とし、それは、500℃未満、好ましくは約450℃未満の蒸着温度が望ましい次世代ICデバイス製造とは相容れないものである。したがって、低温のシリコン含有CVD前駆体の開発が特に望まれる。
【0004】
現在、ヘキサクロロジシラン、Cl3Si−SiCl3が、アンモニアガスとの反応による窒化ケイ素薄膜の低温CVD形成の前駆体候補として研究されている。ヘキサクロロジシランをCVD法に使用することの欠点は以下を含む:(i)この方法の間に大量のNH4Clが発生し、それは真空システムおよび排気ラインでの粒子汚染および固形物の蓄積につながる、(ii)チップに塩素が混和する可能性があり、それはチップの寿命と長期性能を著しく損ないかねない、および、(iii)その反応副産物は爆発しやすいことが知られている。したがって、窒化ケイ素薄膜の低温CVD形成に用いられることができる新しい塩素を含まない前駆体を開発することが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の概要
本発明は、一般に、半導体デバイス製造におけるケイ素、窒化ケイ素(Si3N4)、酸窒化ケイ素(SiOxNy)、二酸化ケイ素(SiO2)などを含む膜、シリコン含有低誘電率(k)薄膜、高誘電率ゲートシリケート膜およびシリコンエピタキシャル膜等のシリコン含有膜の形成に関し、これらのうちでは窒化ケイ素薄膜が好ましく、さらに、特に、かかるシリコン含有膜を形成するための組成物および方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は1つの態様において、少なくとも1個のアルキルヒドラジン官能基で置換され、シリコン含有薄膜の蒸着のためのCVD前駆体として用いられることができる一群のハロゲンを含まないシラン誘導体またはジシラン誘導体に関する。
【0007】
本発明のシラン誘導体は、以下の一般式
【化1】
(式中、R1とR2は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アリールおよびC3−C6シクロアルキルからなる群から独立して選択されるか、または、R1とR2は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、X、YおよびZは互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノおよびアルキルヒドラジド(例えば、R1R2NNH−(式中、R1とR2は上記に説明したものと同一))からなる群から独立して選択される)によって表すことができる。
【0008】
好ましくは、X、YおよびZはすべて同一の官能基である。さらに好ましくは、X、YおよびZはすべて、メチルまたはエチルなどのC1−C7アルキルである。あるいはまた、同様に好ましくは、X、YおよびZはすべて、N,N’−ジメチルヒドラジドまたはN,N’−ジエチルヒドラジドなどのアルキルヒドラジド(例えば、R1R2NNH−(式中、R1とR2は上記に説明したものと同一))である。
【0009】
本発明のジシラン誘導体は、以下の一般式
【化2】
(式中、R1、R2、R3およびR4は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アリールおよびC3−C6シクロアルキルからなる群から独立して選択されるか、または、R1とR2は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、または、R3とR4は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、X1、X2、Y1およびY2は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノおよびアルキルヒドラジド(例えば、R1R2NNH−(式中、R1とR2は上記に説明したものと同一))からなる群から独立して選択される。)によって表すことができる。
【0010】
好ましくは、本発明のジシラン誘導体化合物は、Si−Si結合に対して対称に分布した官能基を特徴とする。
【0011】
本発明の好適なシラン誘導体またはジシラン誘導体は、Me3Si(HNNMe2)、Si(HNNMe)4、Me2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)Me2および(HNBut)2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)(HNBut)2を含むがそれらに限定されず、BuとMeは以後の文書全体を通じて、それぞれブチルとメチルの略称として一貫して使われる。
【0012】
本発明の別の態様は、550℃未満、好ましくは500℃未満、さらに好ましくは450℃未満の蒸着温度を含む化学蒸着条件下で、基材を、少なくとも1個のアルキルヒドラジン官能基で置換されたシラン誘導体化合物またはジシラン誘導体化合物の気相と接触させることを含む、基材上にシリコン含有膜を形成する方法に関する。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、1個または複数個のハロゲン基を含むシラン化合物またはジシラン化合物(すなわち、ハロシランまたはハロジシラン)を、NEt3の存在下でアルキルヒドラジンと反応させ、かかるシラン化合物またはジシラン化合物の1個または複数個のハロゲン基を、アルキルヒドラジン官能基で置換することにより、かかるシラン誘導体化合物またはジシラン誘導体化合物を製造する方法に関する。
【0014】
本発明のさらに別の態様は、以下の反応
【化3】
によりMe3SiClをNEt3の存在下で約1モル比のH2NNMe2と反応させてMe3Si(HNNMe2)を製造する方法に関する。
【0015】
本発明のさらに別の態様は、以下の反応
【化4】
によりSiCl4をNEt3の存在下で約4モル比のH2NNMe2と反応させてSi(HNNMe2)4を製造する方法に関する。
【0016】
本発明のさらに別の態様は、以下の反応
【化5】
によりMe2(Cl)Si−Si(Cl)Me2をNEt3の存在下で約2モル比のH2NNMe2と反応させてMe2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)Me2を製造する方法に関する。
【0017】
本発明のさらに別の態様は、以下の反応
【化6】
により(HNBut)2(Cl)Si−Si(Cl)(HNBut)2をNEt3の存在下で約2モル比のLiHNNMe2と反応させて(HNBut)2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)(HNBut)を製造する方法に関する。
【0018】
本発明の他の態様、特徴および実施形態は、続く開示および添付の特許請求の範囲から、より十分に明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
発明の詳細な記載およびその好ましい実施形態
本発明は、基板上に、低誘電率(k)膜、高誘電率ゲートシリケート、低温シリコンエピタキシャル膜、および、ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素などを含む膜をCVD形成をするためのケイ素前駆体、並びにかかる前駆体でかかる膜を形成する対応する方法に関する。
【0020】
1個または複数個のアルキルヒドラジン官能基を含み、ハロゲン置換が一切ないシラン誘導体またはジシラン誘導体は、ヒドラジン官能基の窒素−窒素単結合の結合強度が比較的弱いため、窒化ケイ素薄膜の低温蒸着に特に適していることが判明している。さらに、かかるハロゲンフリーのケイ素前駆体の使用は、ヘキサクロロジシランを用いる旧来のCVD法プロセスに含まれる種々の問題を回避する。
【0021】
本発明の好適なシラン誘導体は以下の一般式
【化7】
(式中、R1とR2は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アリールおよびC3−C6シクロアルキルからなる群から独立して選択されるか、または、R1とR2は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、X、YおよびZは互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノおよびアルキルヒドラジド(例えば、R1R2NNH−(式中、R1とR2は上記に説明したものと同一である))からなる群から独立して選択される。)で表すことができる。
【0022】
本発明の好適なジシラン誘導体は以下の一般式
【化8】
(式中、R1、R2、R3およびR4は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アリールおよびC3−C6シクロアルキルからなる群から独立して選択されるか、または、R1とR2は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、または、R3とR4は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、X1、X2、Y1およびY2は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノおよびアルキルヒドラジド(例えば、R1R2NNH−(式中、R1とR2は上記に説明したものと同一))からなる群から独立して選択される。)で表すことができる。
【0023】
Si−Si結合に対して構造が実質的に対称であるジシラン誘導体化合物、すなわち、Si−Si結合に対してかかる化合物のすべての官能基が対称に分布していると、本発明を実行するのに特に好適である。例えば、かかるジシラン誘導体化合物は、Me2(HNNMe)Si−Si(HNNMe)Me2などの、Si−Si結合に対して対称に分布した2つの同一のアルキルヒドラジン官能基と4つの同一のC1−C5アルキル官能基を含んでいてよい。
【0024】
上記に説明したシラン誘導体化合物またはジシラン誘導体化合物は、300℃未満の気化温度を有利な特徴とする。さらに、かかる化合物は300℃未満および常圧で、気相にて、残留物質が全くないか、またはほとんどなく(≦2%)輸送されることができる。かかるジシラン前駆体化合物を用いて形成されることができるシリコン含有膜は、Si3N4薄膜、高誘電率(k)ゲートシリケートおよびシリコンエピタキシャル膜を含む。本発明の特に好適な実施形態では、かかるシラン前駆体またはジシラン前駆体を用いて形成された膜は、窒化ケイ素を含む。
【0025】
上述した式の好適なシラン化合物またはジシラン化合物は、Me3Si(HNNMe2)、Si(HNNMe2)4、Me2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)Me2および(HNBut)2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)(HNBut)2を含むがそれらに限定されない。
【実施例】
【0026】
上に列挙した好適な化合物の合成および特性を、以下の実施例にて説明する。
【0027】
実施例1:Me3Si(HNNMe2)の合成および特性
ヘキサン2.5L、NEt354.0グラム(0.53モル)およびH2NNMe230グラム(0.50モル)を含む溶液で3Lのフラスコを満たした。500mLのヘキサンに溶解した58グラム(0.53モル)のMe3SiClが、0℃で3Lのフラスコに徐々に添加された。Me3SiCl添加中に白色の沈殿物が観察された。反応完了後、混合物は室温まで温められ、一晩攪拌され、次いでろ過された。粗収率は80%であった。沸点が約100℃である最終製品を精製するために通常の蒸留手順が用いられた。1HNMR(C6D6):δ0.15(s,9H,−SiCH3)、1.73(br,1H,−NH)、2.22(s,6H,−NCH3)。13C{1H}NMR(C6D6):δ−0.54(−SiCH3)、52.4(−NCH3)。質量スペクトル:m/z132[M+]、117[M+−Me)]、102[M+−2Me)]、88[M+−3Me)]、73[M+−(−HNNMe2)]。
【0028】
Me3Si(HNNMe2)は室温では液体である。
【0029】
実施例2:Si(HNNMe2)4の合成および特性
ヘキサン200mL、NEt312.2グラム(120.7ミリモル)およびHNNMe27.25グラム(120.7ミリモル)を含む溶液で250mLのフラスコを満たした。5.0グラム(29.4ミリモル)のSiCl4を15mLのヘキサンに溶解したものが、0℃で250mLのフラスコに徐々に添加された。SiCl4添加中に白色の沈殿物が観察された。反応完了後、混合物は一晩攪拌され、次いで室温でろ過された。すべての揮発性材料は真空下でろ液から除去された。粗収率は65%(5.0g、19.0ミリモル)であった。精製された最終製品が、−5℃でのヘキサン中での再結晶化によって得られた。lHNMR(C6D6):δ2.42(s,24H,−CH3)、2.47(br,4H,−HN)。13C{1H}NMR(C6D6):δ52.7(−CH3)。C8H28N8Si:実測値(計算値)C:36.15%(36.34%)、H:11.02%(10.67%)、N:42.66%(42.37%)。
【0030】
Si(HNNMe2)4は、約73℃の溶融温度の固体物質である。溶液中のSi(HNNMe2)4の100℃での熱安定性が、7日間にわたりプロトンNMR調査により監視されたが、顕著な分解は全く検出されなかった。
【0031】
図1は、Si(HNNMe2)4のSTAプロットであり、Si(HNNMe2)4は500℃で、残留物質が非常に少ない状態で(<2%)完全に輸送されることができることを示唆している。
【0032】
図2は、Si(HNNMe2)4のX線結晶構造を示す。
【0033】
実施例3:Me2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)Me2の合成および特性
ヘキサン2.5L、無水NEt357グラム(561ミリモル)およびMe2(Cl)Si−Si(Cl)Me250グラム(267ミリモル)を含む溶液で3Lのフラスコを満たした。100mLのジエチルエーテルに溶解した34グラム(561ミリモル)のH2NNMe2が、室温で3Lのフラスコに徐々に添加された。H2NNMe2の添加中に白色の沈殿物が観察された。H2NNMe2添加完了後、混合物は一晩攪拌され、次いでろ過された。すべての揮発性材料は真空下でろ液から除去された。粗収率は86%(54g、230ミリモル)であった。35mTorrで沸点が約45℃である最終製品を精製するために真空蒸留手順が用いられた。1HNMR(C6D6):δ0.33(s,12H,−CH3Si)、1.90(br,2H,−HN)、2.27(s,12H,−CH3N)。13C{1H}NMR(C6D6):δ−0.68(−SiCH3)、52.6(−NCH3)。質量スペクトル:m/z175[M+−(−HNNMe2)]、132[M+−(−HNNMe2)−(−NMe2)]、116[M+−(−SiMe2(HNNMe2)]。C8H26N4Si2:実測値(計算値)C:40.81%(40.98%)、H:10.99%(11.18%)、N:23.67%(23.89%)。
【0034】
図3は、Me4Si2(HNNMe2)2のSTAプロットを示す。これは室温では液体であり、約350℃で気相で残留物質が非常に少ない(<1%)状態で完全に輸送されることができる。溶液中のMe4Si2(HNNMe2)2の100℃での熱安定性が7日間にわたりプロトンNMR調査により監視されたが、顕著な分解は全く検出されなかった。
【0035】
実施例4:(HNBut)2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)(HNBut)2の合成および特性
ヘキサン120mLおよびメチルリチウムエーテル15.8mL(1.6M、25.3ミリモル)溶液を含む溶液で250mLのフラスコを満たした。1.52グラム(25.3モル)のH2NNMeが、0℃で250mLのフラスコに徐々にバブリングされた。添加完了と同時に、反応フラスコは室温まで温められ、さらに1時間攪拌された。このフラスコに、5グラム(12ミリモル)の(HNBut)2(Cl)Si−Si(Cl)(HNBut)2を含むジエチルエーテル溶液50mLが0℃で徐々に添加された。混合物は一晩攪拌され、次いでさらに4時間還流された。これを室温まで下げた後、ろ過した。すべての揮発性材料は真空下でろ液から除去された。粗収率は72%(4.0g、8.64ミリモル)であった。精製された最終製品が、−20℃でのヘキサン中での再結晶化によって得られた。lHNMR(C6D6):δ1.40(s,36H,−C(CH3)3)、1.55(br,4H,−HHC(CH3)3)、2.13(br,2H,−NHN(CH3)2)、2.43(s,12H,−NHN(CH3)2)。13C{1H}NMR(C6D6):δ34.3(−NHC(CH3)3)、49.5(−NHC(CH3)3)、52.6(−NHN(CH3)2)。C20H54N8Si2:実測値(計算値)C:51.76%(51.90%)、H:12.14%(11.76%)、N:24.28%(24.21%)。
【0036】
図4は、(HNBut)2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)(HNBut)2のSTAプロットを示す。これは室温では固体であり、約500℃で残留物質が非常に少ない(約0.03%)状態で完全に輸送されることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
上記に説明したようなシラン誘導体化合物またはジシラン誘導体化合物は、その全体をすべての目的のために参照することによりその内容を本明細書に援用される、2002年11月14日に出願された米国特許出願第10/294,431号明細書「窒化ケイ素、二酸化ケイ素および/または酸窒化ケイ素を含むシリコン含有膜の低温蒸着のための組成物および方法」(Composition and Method for Low Temperature Deposition of Silicon−Containing Films Including Silicon Nitride,Silicon Dioxide and/or Silicon−Oxynitride)と一致した、窒化ケイ素薄膜を含む種々のシリコン含有膜の低圧CVD蒸着に用いられることができる。
【0038】
本発明を種々の特定の実施形態を参照して説明してきたが、当業者には理解されるように、本発明はそのように限定されるわけではなく、種々の別の変形形態や実施形態へ拡張しそれらを包含することが理解されよう。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲に従って広範に説明され解釈されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図面の簡単な説明
【図1】Si(HNNMe2)4のSTAプロットである。
【図2】化合物Si(HNNMe2)4のX線結晶構造である。
【図3】Me2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)Me2のSTAプロットである。
【図4】(HNBut)2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)(HNBut)2のSTAプロットである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個のアルキルヒドラジン官能基で置換されたシラン化合物またはジシラン化合物。
【請求項2】
ハロゲン官能基がない、請求項1に記載のシラン化合物またはジシラン化合物。
【請求項3】
(A)式(I)
【化1】
(式中、R1とR2は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アリールおよびC3−C6シクロアルキルからなる群から独立して選択されるか、または、R1とR2は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、X、YおよびZは互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノおよび、R1とR2は上記に説明したものである式R1R2NNH−を有するアルキルヒドラジドからなる群から独立して選択される)で表されるシラン化合物
および、
(B)式(II)
【化2】
(式中、R1、R2、R3およびR4は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アリールおよびC3−C6シクロアルキルからなる群から独立して選択されるか、または、R1とR2は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、または、R3とR4は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、X1、X2、Y1およびY2は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノおよび、R1とR2は上記に説明したものである式R1R2NNH−を有するアルキルヒドラジドからなる群から独立して選択される)で表されるジシラン化合物、からなる群から選択される、請求項1に記載のシラン化合物またはジシラン化合物。
【請求項4】
100℃未満の溶融温度を特徴とする、請求項1に記載のシラン化合物またはジシラン化合物。
【請求項5】
300℃未満の気化温度を特徴とする、請求項1に記載のシラン化合物またはジシラン化合物。
【請求項6】
式(I)
【化3】
(式中、R1とR2は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アリールおよびC3−C6シクロアルキルからなる群から独立して選択されるか、または、R1とR2は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、X、YおよびZは互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノおよび、R1とR2は上記に説明したものである式R1R2NNH−で表されるアルキルヒドラジドからなる群から独立して選択される)で表されるシラン化合物。
【請求項7】
X、YおよびZはすべてC1−C7アルキルである、請求項6に記載のシラン化合物。
【請求項8】
X、YおよびZはすべてメチルまたはエチルである、請求項6に記載のシラン化合物。
【請求項9】
X、YおよびZはすべてアルキルヒドラジドである、請求項6に記載のシラン化合物。
【請求項10】
X、YおよびZはすべてN,N'−ジメチルヒドラジドまたはN,N'−ジエチルヒドラジドである、請求項6に記載のシラン化合物。
【請求項11】
100℃未満の溶融温度を特徴とする、請求項6に記載のケイ素化合物。
【請求項12】
300℃未満の気化温度を特徴とする、請求項6に記載のケイ素化合物。
【請求項13】
式(II)
【化4】
(式中、R1、R2、R3およびR4は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アリールおよびC3−C6シクロアルキルからなる群から独立して選択されるか、または、R1とR2は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、または、R3とR4は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、X1、X2、Y1およびY2は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノおよび、R1とR2は上記に説明したものである式R1R2NNH−を有するアルキルヒドラジドからなる群から独立して選択される)で表されるジシラン化合物。
【請求項14】
Si−Si結合に対して実質的に対称な構造を特徴とする、請求項13に記載のジシラン化合物。
【請求項15】
Si−Si結合に対して対称に分布した官能基を有する、請求項13に記載のジシラン化合物。
【請求項16】
X1、X2、Y1およびY2はすべてC1−C7アルキルである、請求項13に記載のジシラン化合物。
【請求項17】
X1、X2、Y1およびY2はすべてメチルまたはエチルである、請求項13に記載のジシラン化合物。
【請求項18】
100℃未満の溶融温度を特徴とする、請求項13に記載のジシラン化合物。
【請求項19】
300℃未満の気化温度を特徴とする、請求項13に記載のジシラン化合物。
【請求項20】
Me3Si(HNNMe2)、Si(HNNMe2)4、Me2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)Me2および(HNBut)2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)(HNBut)2からなる群から選択されるケイ素化合物。
【請求項21】
以下の反応
【化5】
のうち1つを含む、請求項20に記載のケイ素化合物を形成する方法。
【請求項22】
基材を、化学蒸着条件下で請求項1に記載のシラン化合物またはジシラン化合物の気相に接触させることを含む、基材上にシリコン含有膜を形成する方法。
【請求項23】
基材を、化学蒸着条件下で請求項6に記載のシラン化合物の気相に接触させることを含む、基材上にシリコン含有膜を形成する方法。
【請求項24】
基材を、化学蒸着条件下で請求項13に記載のジシラン化合物の気相に接触させることを含む、基材上にシリコン含有膜を形成する方法。
【請求項1】
少なくとも1個のアルキルヒドラジン官能基で置換されたシラン化合物またはジシラン化合物。
【請求項2】
ハロゲン官能基がない、請求項1に記載のシラン化合物またはジシラン化合物。
【請求項3】
(A)式(I)
【化1】
(式中、R1とR2は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アリールおよびC3−C6シクロアルキルからなる群から独立して選択されるか、または、R1とR2は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、X、YおよびZは互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノおよび、R1とR2は上記に説明したものである式R1R2NNH−を有するアルキルヒドラジドからなる群から独立して選択される)で表されるシラン化合物
および、
(B)式(II)
【化2】
(式中、R1、R2、R3およびR4は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アリールおよびC3−C6シクロアルキルからなる群から独立して選択されるか、または、R1とR2は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、または、R3とR4は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、X1、X2、Y1およびY2は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノおよび、R1とR2は上記に説明したものである式R1R2NNH−を有するアルキルヒドラジドからなる群から独立して選択される)で表されるジシラン化合物、からなる群から選択される、請求項1に記載のシラン化合物またはジシラン化合物。
【請求項4】
100℃未満の溶融温度を特徴とする、請求項1に記載のシラン化合物またはジシラン化合物。
【請求項5】
300℃未満の気化温度を特徴とする、請求項1に記載のシラン化合物またはジシラン化合物。
【請求項6】
式(I)
【化3】
(式中、R1とR2は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アリールおよびC3−C6シクロアルキルからなる群から独立して選択されるか、または、R1とR2は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、X、YおよびZは互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノおよび、R1とR2は上記に説明したものである式R1R2NNH−で表されるアルキルヒドラジドからなる群から独立して選択される)で表されるシラン化合物。
【請求項7】
X、YおよびZはすべてC1−C7アルキルである、請求項6に記載のシラン化合物。
【請求項8】
X、YおよびZはすべてメチルまたはエチルである、請求項6に記載のシラン化合物。
【請求項9】
X、YおよびZはすべてアルキルヒドラジドである、請求項6に記載のシラン化合物。
【請求項10】
X、YおよびZはすべてN,N'−ジメチルヒドラジドまたはN,N'−ジエチルヒドラジドである、請求項6に記載のシラン化合物。
【請求項11】
100℃未満の溶融温度を特徴とする、請求項6に記載のケイ素化合物。
【請求項12】
300℃未満の気化温度を特徴とする、請求項6に記載のケイ素化合物。
【請求項13】
式(II)
【化4】
(式中、R1、R2、R3およびR4は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アリールおよびC3−C6シクロアルキルからなる群から独立して選択されるか、または、R1とR2は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、または、R3とR4は共にNとのC3−C6複素環式官能基を形成してもよく、X1、X2、Y1およびY2は互いに同一または異なっていてよく、H、C1−C7アルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノおよび、R1とR2は上記に説明したものである式R1R2NNH−を有するアルキルヒドラジドからなる群から独立して選択される)で表されるジシラン化合物。
【請求項14】
Si−Si結合に対して実質的に対称な構造を特徴とする、請求項13に記載のジシラン化合物。
【請求項15】
Si−Si結合に対して対称に分布した官能基を有する、請求項13に記載のジシラン化合物。
【請求項16】
X1、X2、Y1およびY2はすべてC1−C7アルキルである、請求項13に記載のジシラン化合物。
【請求項17】
X1、X2、Y1およびY2はすべてメチルまたはエチルである、請求項13に記載のジシラン化合物。
【請求項18】
100℃未満の溶融温度を特徴とする、請求項13に記載のジシラン化合物。
【請求項19】
300℃未満の気化温度を特徴とする、請求項13に記載のジシラン化合物。
【請求項20】
Me3Si(HNNMe2)、Si(HNNMe2)4、Me2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)Me2および(HNBut)2(HNNMe2)Si−Si(HNNMe2)(HNBut)2からなる群から選択されるケイ素化合物。
【請求項21】
以下の反応
【化5】
のうち1つを含む、請求項20に記載のケイ素化合物を形成する方法。
【請求項22】
基材を、化学蒸着条件下で請求項1に記載のシラン化合物またはジシラン化合物の気相に接触させることを含む、基材上にシリコン含有膜を形成する方法。
【請求項23】
基材を、化学蒸着条件下で請求項6に記載のシラン化合物の気相に接触させることを含む、基材上にシリコン含有膜を形成する方法。
【請求項24】
基材を、化学蒸着条件下で請求項13に記載のジシラン化合物の気相に接触させることを含む、基材上にシリコン含有膜を形成する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公表番号】特表2007−508307(P2007−508307A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534267(P2006−534267)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/032843
【国際公開番号】WO2005/038871
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(599006351)アドバンスド テクノロジー マテリアルズ,インコーポレイテッド (141)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/032843
【国際公開番号】WO2005/038871
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(599006351)アドバンスド テクノロジー マテリアルズ,インコーポレイテッド (141)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]