説明

モータサイクル用ABS液圧ユニット

【課題】 本発明は、着脱が容易であり、熱害を受け難く、部品点数及び配管が少なく、搭載スペースの確保が容易なモータサイクル用ABS液圧ユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】
前輪制動部へ供給されるブレーキ液の液圧を液圧回路50で制御して、アンチロックブレーキ制御を行うモータサイクル用ABS液圧ユニット100において、ブレーキレバー30に連動して前記液圧回路50内の前記ブレーキ液を増圧させるためのマスタシリンダ31と、ハンドルバー1のグリップ2近傍に取り付けるためのブラケット20とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンチロックブレーキ制御を行うモータサイクル用ABS液圧ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前輪制動部へ供給されるブレーキ液の液圧を制御して、アンチロックブレーキ制御を行うモータサイクル用ABS液圧ユニットが知られている。この種のモータサイクル用ABS液圧ユニットは、主に車体のシート下等の限られたスペースに搭載されていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−113179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ABS液圧ユニットがシート下に搭載された上記従来の構成では、ABS液圧ユニットがカウル内の奥まった位置に搭載されてしまうことにより、その着脱が困難であった。
【0005】
また、シート下はエンジンやマフラの位置に近いため、これらが発する熱による悪影響を受け易かった。
【0006】
さらに、ABS液圧ユニットは、ブレーキレバー及び前輪制動部と液圧配管によって接続されるため、シート下に搭載されたものだと配管が長くて複雑であった。
【0007】
さらにまた、特に小型の車両ではスペースの空きが少ないため、ABS液圧ユニットを搭載するスペースの確保が困難であった。
【0008】
本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、着脱が容易であり、熱害を受け難く、部品点数及び配管が少なく、搭載スペースの確保が容易なモータサイクル用ABS液圧ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前輪制動部へ供給されるブレーキ液の液圧を液圧回路で制御して、アンチロックブレーキ制御を行うモータサイクル用ABS液圧ユニットにおいて、ブレーキレバーに連動して前記液圧回路内の前記ブレーキ液を増圧させるためのマスタシリンダと、ハンドルバーのグリップ近傍に取り付けるためのブラケットとを備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、ABS液圧ユニットは、車体からの着脱が容易であり、エンジンやマフラから離れた位置に搭載されることによる熱害を受け難く、メインハウジングやマスタシリンダ等がまとまっていることにより部品点数及び配管が少なくて生産性が向上し、ハンドルバーに取付可能なことにより搭載スペースの確保を容易にすることができる。
【0011】
また、この場合において、アンチロックブレーキ制御を行うための制御弁が取り付けられる制御弁取付穴とポンプを駆動するためのモータが取り付けられるモータ取付穴とが同面に形成されたメインハウジングを備えていてもよい。また、前記制御弁及び前記モータを駆動させるECUユニットが、前記メインハウジングとの間に前記制御弁及び前記モータを挟んで取り付けられていてもよい。
【0012】
これらの構成によれば、ECUユニットによって電気的に制御されるモータ、込め弁及び減圧弁が一つの面にまとめられることにより配線を簡単にできるとともに整備性が向上する。また、ECUユニットをメインハウジングに取り付けるだけで、ECUユニットとモータ、込め弁及び減圧弁とを通電させるようにすることができ、整備性がより向上する。
【0013】
さらに、この場合において、前記マスタシリンダは、前記ブラケットと前記モータの出力部との間に配置されていてもよい。また、前記メインハウジングは、前記ECUユニットが取り付けられる側の裏面側に前記マスタシリンダのリザーバタンクが設けられていてもよい。さらに、前記制御弁は、前記マスタシリンダと前記前輪制動部との間の前記液圧回路を開閉自在な込め弁と、当該込め弁の前記前輪制動部側と前記ポンプとの間の前記液圧回路を開閉自在な減圧弁とであり、前記制御弁取付穴が形成された面に略垂直な面に、前記ポンプが取り付けられるポンプ取付穴が形成され、当該ポンプ取付穴は、隣り合う前記込め弁の前記制御弁取付穴と前記減圧弁の前記制御弁取付穴との間に位置していてもよい。さらにまた、前記込め弁及び前記減圧弁は、前記モータよりも前記ブレーキレバーから離れて配置されていてもよい。また、前記込め弁と、前記減圧弁と、前記アキュムレータとが、一直線上に配置されていてもよい。さらに、前記ブレーキレバーは、前記メインハウジングに取り付けられていてもよい。さらにまた、前記ハンドルバーに取り付けられた状態で、前記ECUユニットは、前記メインハウジングの下側に配置されていてもよい。
【0014】
これらの構成によれば、ABS液圧ユニットをハンドルバーのグリップ近傍に搭載してもその存在にライダーが違和感を覚えることはなく、また、軽量なため、ライダーによるハンドルバーの操作性を阻害しないようにすることができる。
【0015】
この場合において、前記制御弁取付穴が形成された面と前記ポンプ取付穴が形成された面とに垂直な面に、アキュムレータが取り付けられるアキュムレータ取付穴が形成されていてもよい。また、前記込め弁と前記減圧弁とを接続する第1流路は、前記ポンプと前記込め弁とを接続する第2流路よりも前記ECUユニット側に設けられ、前記第1流路と前記第2流路とは前記アキュムレータ取付穴を介して接続されていてもよい。
【0016】
これらの構成によれば、アキュムレータ取付穴を介して第1流路と第2流路とを異なる層に設けることができるため、ABS液圧ユニットをより一層小型軽量化することができる。
【0017】
さらにまた、前記ECUユニットは、カードエッジコネクタを介して外部機器と電気的に接続されていてもよい。
【0018】
この構成によれば、外部機器と電気的に接続されたカードエッジコネクタを差し込むだけでECUユニットと外部機器とを通電させることができるため、コネクタの着脱が容易になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、着脱が容易であり、熱害を受け難く、部品点数及び配管が少なく、搭載スペースの確保を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係るABS液圧ユニットを斜め上方から見た状態を示す斜視図である。
【図2】油圧回路を示す回路図である。
【図3】ABS液圧ユニットを斜め下方から見た状態を示す分解斜視図である。
【図4】ABS液圧ユニットを斜め上方から見た状態を示す拡大斜視図である。
【図5】図4の上下を逆にした状態を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係るABS液圧ユニット100について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るABS液圧ユニット100を斜め上方から見た状態を示す斜視図である。この図では、ABS液圧ユニット100は、二輪車のハンドルバー1のグリップ2近傍に搭載された様子を示している。なお、図1では、理解を容易にするため、メインハウジング10は内部構造が視認可能に示されている。
【0022】
ABS液圧ユニット100は、ライダーがブレーキレバー30を操作したときに、前輪ブレーキ(前輪制動部)3(図2参照)のホイールシリンダ4(図2参照)へ供給されるブレーキ液の液圧を制御し、前輪5(図2参照)がロックしないようにアンチロックブレーキ制御を行うためのものである。このABS液圧ユニット100は、メインハウジング10、ブラケット20、ブレーキレバー30及びECUユニット40を備えている。
【0023】
メインハウジング10は、アルミニウム等の金属で略直方体に形成され、ブレーキ液が流れるための油圧回路(液圧回路)50が切削により設けられている。メインハウジング10は、後述するマスタシリンダ31、込め弁11及び減圧弁12である制御弁、アキュムレータ13、プランジャポンプである液圧ポンプ14及びモータ15等が取り付けられている。このメインハウジング10の上部には、マスタシリンダ31のリザーバタンク32が一体に設けられている。
【0024】
ブラケット20は、メインハウジング10と一体に形成されている。このブラケット20は、ハンドルバー1を内側に挟み込んでボルトで締結されるようになっている。メインハウジング10は、ブラケット20がハンドルバー1を挟み込むことにより、ハンドルバー1のグリップ2近傍に固定される。
【0025】
ブレーキレバー30は、マスタシリンダ31を介してメインハウジング10に揺動自在に取り付けられている。これにより、ライダーによるブレーキレバー30の操作がマスタシリンダ31に連動し、メインハウジング10内でマスタシリンダ31が油圧回路50を増圧するように設けられている。
【0026】
ECUユニット40は、筐体が樹脂材料で形成され、メインハウジング10の下側、すなわち、リザーバタンク32が設けられた面の裏面側に取り付けられている。このECUユニット40は、込め弁11、減圧弁12及びモータ15等を電気的に制御するための制御装置である。
【0027】
図2は、油圧回路50を示す回路図である。油圧回路50はブレーキ液が満たされており、ライダーによって操作されるブレーキレバー30と、ブレーキレバー30に接続された前輪ブレーキ3用のマスタシリンダ(M/C)31と、マスタシリンダ31に接続される管路17と、管路17にフィルタを介して接続された常開型の電磁弁である込め弁(EV)11と、込め弁11にフィルタを介して接続される管路18と、管路18に接続されて前輪5の前輪ブレーキ3を制動させるためのホイールシリンダ(W/C)4とから構成されている。さらに、管路18には、フィルタを介して常閉型の電磁弁である減圧弁(AV)12が接続されている。また、減圧弁12には、管路19が接続されており、管路19にはアキュムレータ13が接続されている。さらに、管路19には、逆止弁が接続されている。この逆止弁はフィルタを介して液圧ポンプ14の吸い込みポートが接続されており、液圧ポンプ14の吐き出しポートは、絞りを介して管路17に接続されている。液圧ポンプ14は、DCモータであるモータ15により駆動される。
【0028】
次に、図2を参照してABS液圧ユニット100が作動する様子を説明する。
【0029】
ECUユニット40(図1参照)は、ブレーキレバー30の操作時に、図示せぬ車輪速度センサによりロック傾向を検知すると、アンチロックブレーキ制御を開始する。このとき、ECUユニット40は、込め弁11を閉鎖して、減圧弁12を開き、ホイールシリンダ4の液圧をアキュムレータ13に逃がすことにより、ホイールシリンダ4の液圧を低下させて、前輪5のロックを回避させる。次いで、ECUユニット40は、ホイールシリンダ4に、減圧動作及び増圧動作を複数回行わせる。なお、増圧動作とは、ホイールシリンダ4の圧力の増圧及び保持によって階段状に圧力が上昇する動作を指すものとする。この増圧動作中に、ECUユニット40は、ホイールシリンダ4の圧力の増圧、保持を繰り返させる。増圧時には、ECUユニット40は、込め弁11を開放させて減圧弁12を閉鎖させる。これにより、ECUユニット40は、液圧ポンプ14の駆動によりアキュムレータ13からブレーキ液を吸い出させて、管路17、開いた込め弁11、及び管路18を介して、ホイールシリンダ4にブレーキ液を送らせる。保持時には、ECUユニット40は、込め弁11及び減圧弁12を共に閉鎖状態にさせ、ホイールシリンダ4の液圧を一定に保たせる。
【0030】
図3は、ABS液圧ユニットを斜め下方から見た状態を示す分解斜視図である。また、図4は、ABS液圧ユニットを斜め上方から見た状態を示す拡大斜視図であり、図5は、図4の上下を逆にした状態を示す拡大斜視図である。なお、図3ではマスタシリンダ31が、図4及び図5ではメインハウジング10が、それぞれ理解を容易にするため内部構造が視認可能に示されており、また、図5では、マスタシリンダ31やリザーバタンク32等は図示されていない。
【0031】
ブラケット20は、図3に示すように、ハンドルバー1が取り付けられるためのブラケット孔26が貫通して形成されている。なお、以下の説明で使用する、前方向とは、ブラケット孔26が貫通する方向であって、ABS液圧ユニット100がハンドルバー1に取り付けられた状態で、矢印Fで示すようにグリップ2から離れる方向をいうものとする。したがって、後方向とは、矢印Fで示す方向の反対方向をいうものとする。
【0032】
メインハウジング10の後方側に形成された面には、マスタシリンダ31が取り付けられるためのマスタシリンダ取付穴28(図4参照)がブラケット20側に寄った位置に形成されている。マスタシリンダ取付穴28は、ブラケット孔26と略平行に形成されている。これにより、マスタシリンダ31は、メインハウジング10に対して前方向に挿入されて取り付けられる。
【0033】
メインハウジング10は、ECUユニット40が取り付けられるECUユニット取付面10aに、モータ15を取り付けるためのモータ取付穴25、込め弁11を取り付けるための込め弁取付穴21、及び、減圧弁12を取り付けるための減圧弁取付穴22がそれぞれ形成されている。
【0034】
モータ取付穴25は、マスタシリンダ取付穴28近傍、すなわち、後方向側に形成されている。モータ15は、図3に示すように、コイル等を格納する本体部15aがECUユニット40側に突出し、駆動軸に取り付けられた偏芯カム部(出力部)15b(図4参照)がモータ取付穴25の底部に位置するように取り付けられる。これにより、モータ15の本体部15aとリザーバタンク32との間、かつ、偏芯カム部15bとブラケット20との間の領域にマスタシリンダ31が配置されている。
【0035】
込め弁取付穴21及び減圧弁取付穴22は、モータ取付孔25の前方向側に互いに隣り合って形成されている。すなわち、込め弁11及び減圧弁12は、モータ15よりもブレーキレバー2から離れて配置されている。込め弁取付穴21は、減圧弁取付穴22よりもブラケット20側に形成されており、込め弁11がマスタシリンダ31の前端近傍に位置している。
【0036】
ECUユニット40は、メインハウジング10との間にモータ15、込め弁11及び減圧弁12を挟んでメインハウジング10のECUユニット取付面10aに取り付けられる。ECUユニット40は、モータ15、込め弁11及び減圧弁12が取り付けられた状態のメインハウジング10に取り付けられるだけで、モータ15、込め弁11及び減圧弁12と電気的に通電するようになっている。
【0037】
メインハウジング10の前方側に形成された面には、管路18(図2参照)と前輪ブレーキ3(図2参照)のホイールシリンダ4(図2参照)とを接続するための接続部27と、液圧ポンプ14を取り付けるためのポンプ取付穴24とが形成されている。接続部27は、マスタシリンダ31及び込め弁取付穴21の前方に形成されている。一方、ポンプ取付穴24は、リザーバタンク32が設けられた面の側に寄った位置に形成されている。ポンプ取付穴24が形成された面は、ECUユニット取付面10aに対して略垂直に形成されており、ポンプ取付穴24は、隣り合う込め弁取付穴21と減圧弁取付穴22との間に位置するように形成されている。これにより、ポンプ取付穴24の深さ方向は後方向となり、込め弁取付穴21及び減圧弁取付穴22の深さ方向と略直交するようになっている。また、ポンプ取付穴24は、込め弁取付穴21と減圧弁取付穴22との間を通って後方向に延び、モータ取付穴25まで貫通して形成されている。これにより、ポンプ取付穴24に取り付けられた液圧ポンプ14は、モータ15の偏芯カム部15bと連結され、偏芯カム部15bが回転駆動することにより駆動するように設けられている。
【0038】
メインハウジング10は、ブラケット20が形成された面の裏面側に、図4に示すように、アキュムレータ13を取り付けるためのアキュムレータ取付穴23が形成されている。アキュムレータ取付穴23が形成された面は、マスタシリンダ取付穴28が形成された面、ポンプ取付穴24が形成された面、及び、ECUユニット取付面10aに対して略直交して形成されている。これにより、アキュムレータ取付穴23の深さ方向は、マスタシリンダ取付穴28、込め弁取付穴21、減圧弁取付穴22及びポンプ取付穴24の深さ方向に対して略直交するようになっている。アキュムレータ13は、ゴム等の弾性部材で設けられて油圧回路50の液圧を吸収する弾性部13a(図3参照)や、この弾性部13aを覆うカバー部13b(図3参照)等を備えている。
【0039】
アキュムレータ取付穴23の直径は、メインハウジング10の厚さ方向、すなわち、リザーバタンク32が設けられた面とECUユニット取付面10aとの間の幅いっぱいになるように形成されている。アキュムレータ取付穴23は、込め弁取付穴21及び減圧弁取付穴22を直線状に貫通してECUユニット取付面10a側に形成された管路19の延長線上に接続されている。これにより、込め弁11、減圧弁12及びアキュムレータ13は、一直線上に配置される。
【0040】
また、アキュムレータ取付穴23の底部は、図5に示すように、ポンプ取付穴24の底部に貫通して管路18よりもECUユニット取付面10aから離れた位置に形成された管路19(図2参照)に接続されている。管路19は、ポンプ取付穴24を貫通して管路17と接続されている。したがって、管路18の一部であり込め弁11と減圧弁12とを接続する第1流路は、管路17の一部であり液圧ポンプ14と込め弁11とを接続する第2流路よりもECUユニット40側に設けられ、第1流路と第2流路とはアキュムレータ取付穴23を介して接続されている。管路17は、マスタシリンダ取付穴28に貫通するとともに、込め弁取付穴21近傍で略直角に曲がって込め弁取付穴21の底部に貫通して形成されている。
【0041】
メインハウジング10は、図4に示すように、アキュムレータ13が取り付けられる面とマスタシリンダ31が取り付けられる面との境界部分が、ポンプ取付穴24の形状に沿って曲面状に形成されている。
【0042】
ECUユニット40は、外部機器と電気的に接続するための端子部41を備えている。この端子部41は、ECUユニット40がメインハウジング10に取り付けられた状態で、ECUユニット40の前端部に位置するように設けられている。端子部41は、ECUユニット40内の基板42の一部が露出するように開口41aが形成されている。これにより、端子部41は、差し込まれたときにコネクタの端子が基板42を両面側から挟み込むことによって接続されるカードエッジコネクタを介して外部機器と電気的に接続されるようになっている。
【0043】
本実施形態では、ABS液圧ユニット100は、ブレーキレバー30に連動して油圧回路50内のブレーキ液を増圧させるためのマスタシリンダ31と、ハンドルバー1のグリップ2近傍に取り付けるためのブラケット20とを備えている。これにより、ABS液圧ユニット100は、二輪車のハンドルバー1のグリップ2近傍に搭載可能になる。このため、ABS液圧ユニット100は、車体からの着脱が容易であり、エンジンやマフラから離れた位置に搭載されることによる熱害を受け難く、メインハウジング10やマスタシリンダ31等がまとまっていることにより部品点数及び配管が少なくて生産性が向上し、ハンドルバー1に取付可能なことにより搭載スペースの確保を容易にすることができる。
【0044】
また、ABS液圧ユニット100のメインハウジング10は、込め弁取付穴21及び減圧弁取付穴22とモータ取付穴25とが同面に形成されている。また、ECUユニット40が、メインハウジング10との間にモータ15、込め弁11及び減圧弁12を挟んで取り付けられている。これらにより、ECUユニット40によって電気的に制御されるモータ15、込め弁11及び減圧弁12が一つの面にまとめられることにより配線を簡単にできるとともに整備性が向上する。また、ECUユニット40をメインハウジング10に取り付けるだけで、ECUユニット40とモータ15、込め弁11及び減圧弁12とを通電させるようにすることができ、整備性がより向上する。
【0045】
さらに、マスタシリンダ31は、ブラケット20とモータ15の偏芯カム部15bとの間に配置されている。また、メインハウジング10は、ECUユニット40が取り付けられた側の裏面側にマスタシリンダ31のリザーバタンク32が設けられている。さらに、ポンプ取付穴24は、込め弁取付穴21と減圧弁取付穴22との間に位置している。さらにまた、込め弁11及び減圧弁12は、モータ15よりもブレーキレバー30から離れて配置されている。また、込め弁11と、減圧弁12と、アキュムレータ13とが、一直線上に配置されている。さらに、ブレーキレバー30は、メインハウジング10に取り付けられている。さらにまた、ECUユニット40は、メインハウジング10の下方に配置されている。これらにより、各部品の近接配置が可能となり、ABS液圧ユニット100をより小型軽量化することができる。このため、ABS液圧ユニット100を二輪車のハンドルバー1のグリップ2近傍に搭載してもその存在にライダーが違和感を覚えることはなく、また、軽量なため、ライダーによるハンドルバー1の操作性を阻害しないようにすることができる。
【0046】
このとき、込め弁取付穴21や減圧弁取付穴22が形成された面とポンプ取付穴24が形成された面とに垂直な面にアキュムレータ取付穴23が形成されている。また、込め弁11と減圧弁12とを接続する第1流路は、液圧ポンプ14と込め弁11とを接続する第2流路よりもECUユニット40側に寄った位置に設けられ、第1流路と第2流路とはアキュムレータ取付穴23を介して接続されている。これらにより、アキュムレータ取付穴23を介して第1流路と第2流路とを異なる層に設けることができるため、ABS液圧ユニット100をより一層小型軽量化することができる。
【0047】
さらにまた、ECUユニット40は、端子部41がカードエッジコネクタを介して外部機器と電気的に接続される。これにより、外部機器と電気的に接続されたカードエッジコネクタを差し込むだけでECUユニット40と外部機器とを通電させることができるため、コネクタの着脱が容易になる。
【0048】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上記実施形態では、ABS液圧ユニット100を二輪車のハンドルバー1に取り付けているが、これに限定されず、ハンドルバー1に取り付けられればATV(不整地走行車両)等の三輪車両に取り付けられていてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 ハンドルバー
2 グリップ
3 前輪ブレーキ
4 ホイールシリンダ
5 前輪
10 メインハウジング
10a ECUユニット取付面
11 込め弁
12 減圧弁
13 アキュムレータ
14 液圧ポンプ
15 モータ
15a 本体部
15b 偏芯カム部(出力部)
17 管路
18 管路
19 管路
20 ブラケット
21 込め弁取付穴
22 減圧弁取付穴
23 アキュムレータ取付穴
24 ポンプ取付穴
25 モータ取付穴
26 ブラケット孔
27 外部接続部
28 マスタシリンダ取付穴
30 ブレーキレバー
31 マスタシリンダ
32 リザーバタンク
40 ECUユニット
41 端子部
41a 開口
42 基板
50 油圧回路(液圧回路)
100 ABS液圧ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪制動部へ供給されるブレーキ液の液圧を液圧回路で制御して、アンチロックブレーキ制御を行うモータサイクル用ABS液圧ユニットにおいて、
ブレーキレバーに連動して前記液圧回路内の前記ブレーキ液を増圧させるためのマスタシリンダと、ハンドルバーのグリップ近傍に取り付けるためのブラケットとを備えたことを特徴とするモータサイクル用ABS液圧ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のモータサイクル用ABS液圧ユニットにおいて、
アンチロックブレーキ制御を行うための制御弁が取り付けられる制御弁取付穴とポンプを駆動するためのモータが取り付けられるモータ取付穴とが同面に形成されたメインハウジングを備えたことを特徴とするモータサイクル用ABS液圧ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のモータサイクル用ABS液圧ユニットにおいて、
前記制御弁及び前記モータを駆動させるECUユニットが、前記メインハウジングとの間に前記制御弁及び前記モータを挟んで取り付けられたことを特徴とするモータサイクル用ABS液圧ユニット。
【請求項4】
請求項2または3に記載のモータサイクル用ABS液圧ユニットにおいて、
前記マスタシリンダは、前記ブラケットと前記モータの出力部との間に配置されたことを特徴とするモータサイクル用ABS液圧ユニット。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか一項に記載のモータサイクル用ABS液圧ユニットにおいて、
前記メインハウジングは、前記ECUユニットが取り付けられる側の裏面側に前記マスタシリンダのリザーバタンクが設けられたことを特徴とするモータサイクル用ABS液圧ユニット。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか一項に記載のモータサイクル用ABS液圧ユニットにおいて、
前記制御弁は、前記マスタシリンダと前記前輪制動部との間の前記液圧回路を開閉自在な込め弁と、当該込め弁の前記前輪制動部側と前記ポンプとの間の前記液圧回路を開閉自在な減圧弁とであり、前記制御弁取付穴が形成された面に略垂直な面に、前記ポンプが取り付けられるポンプ取付穴が形成され、当該ポンプ取付穴は、隣り合う前記込め弁の前記制御弁取付穴と前記減圧弁の前記制御弁取付穴との間に位置することを特徴とするモータサイクル用ABS液圧ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載のモータサイクル用ABS液圧ユニットにおいて、
前記込め弁及び前記減圧弁は、前記モータよりも前記ブレーキレバーから離れて配置されたことを特徴とするモータサイクル用ABS液圧ユニット。
【請求項8】
請求項6または7に記載のモータサイクル用ABS液圧ユニットにおいて、
前記制御弁取付穴が形成された面と前記ポンプ取付穴が形成された面とに垂直な面に、アキュムレータが取り付けられるアキュムレータ取付穴が形成されたことを特徴とするモータサイクル用ABS液圧ユニット。
【請求項9】
請求項8に記載のモータサイクル用ABS液圧ユニットにおいて、
前記込め弁と、前記減圧弁と、前記アキュムレータとが、一直線上に配置されたことを特徴とするモータサイクル用ABS液圧ユニット。
【請求項10】
請求項8または9に記載のモータサイクル用ABS液圧ユニットにおいて、
前記込め弁と前記減圧弁とを接続する第1流路は、前記ポンプと前記込め弁とを接続する第2流路よりも前記ECUユニット側に設けられ、前記第1流路と前記第2流路とは前記アキュムレータ取付穴を介して接続されたことを特徴とするモータサイクル用ABS液圧ユニット。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のモータサイクル用ABS液圧ユニットにおいて、
前記ブレーキレバーは、前記メインハウジングに取り付けられたことを特徴とするモータサイクル用ABS液圧ユニット。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のモータサイクル用ABS液圧ユニットにおいて、
前記ハンドルバーに取り付けられた状態で、前記ECUユニットは、前記メインハウジングの下側に配置されたことを特徴とするモータサイクル用ABS液圧ユニット。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のモータサイクル用ABS液圧ユニットにおいて、
前記ECUユニットは、カードエッジコネクタを介して外部機器と電気的に接続されることを特徴とするモータサイクル用ABSユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−254208(P2010−254208A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108724(P2009−108724)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000003333)ボッシュ株式会社 (510)
【Fターム(参考)】