説明

モーター及びこれを含む記録ディスク駆動装置

【課題】本発明は、モーター及びこれを含む記録ディスク駆動装置に関する。
【解決手段】本発明の一実施例によるモーターは、シャフトと結合し、上記シャフトと連動して回転する回転部材と、上記シャフトが挿入され、上記シャフトを支持する固定部材と、上記回転部材の一面から突出形成され、上記固定部材との間でオイルがシーリングされるようにする周壁部と、上記周壁部及び上記周壁部と対応する上記固定部材の外部面のうち少なくとも一つに形成され、上記オイルを上記シャフトと上記固定部材との間にポンピングするポンピング溝と、を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーター及びこれを含む記録ディスク駆動装置に関し、より詳細には、流体動圧軸受アセンブリーが備えられるモーター及びこれを含む記録ディスク駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報保存装置の一つであるハードディスクドライブ(HDD;Hard Disk Drive)は、記録再生ヘッド(read/write head)を用いてディスクに保存されているデータを再生したり、ディスクにデータを記録する装置である。
【0003】
このようなハードディスクドライブは、ディスクを駆動させるためのディスク駆動装置を必要とし、上記ディスク駆動装置には小型のスピンドルモーターが用いられる。
【0004】
小型のスピンドルモーターには流体動圧軸受アセンブリーが利用されており、上記流体動圧軸受アセンブリーの回転部材の一つであるシャフトと固定部材の一つであるスリーブとの間にはオイルが介され、上記オイルから生ずる流体圧力でシャフトを支持するようになる。
【0005】
また、スピンドルモーターの回転部材と固定部材との間に充填されるオイルは、毛細管現象とオイルの表面張力を利用してシーリングされている。
【0006】
ここで、オイルのシーリング構造を採択している従来のスピンドルモーターの上記オイルは、回転部材が回転して温度が上昇する場合、オイルの膨張によって正常なオイル界面から外れる問題が発生し、これがスピンドルモーターの性能に致命的な影響を与える。
【0007】
即ち、スピンドルモーターの特性を最大化するためには、オイルの量及びオイル界面の位置などが重要であり、上記オイルが漏出すると、モーターの特性低下につながるようになる。
【0008】
特に、外部から衝撃が加えられる場合、オイル漏出はさらに深刻な問題を引き起こす可能性があり、これはスピンドルモーターの高速回転時、ノイズ、振動及びNRRO(Non−Repeatable Runout)を発生させ、結局、モーターの寿命が低下するという問題点が発生する。
【0009】
従って、温度が上昇したり、外部から衝撃が加えられる場合にも、オイルのシーリングを維持させ、小型化及び薄型化の傾向に応じた小型のスピンドルモーターに対する研究が強く求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、オイル漏出を防止することにより耐衝撃及び耐振動性能を向上させ、低電流によるモーターの駆動を可能にすることにより性能及び寿命を向上させるモーター及びこれを含む記録ディスク駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施例によるモーターは、シャフトと結合し、上記シャフトと連動して回転する回転部材と、上記シャフトが挿入され、上記シャフトを支持する固定部材と、上記回転部材の一面から突出形成され、上記固定部材との間でオイルがシーリングされるようにする周壁部と、上記周壁部及び上記周壁部と対応する上記固定部材の外部面のうち少なくとも一つに形成され、上記オイルを上記シャフトと上記固定部材との間にポンピングするポンピング溝と、を含むことができる。
【0012】
本発明の一実施例によるモーターの上記ポンピング溝は、スパイラル状、ヘリングボーン状及び螺旋状のうち少なくとも一つに形成されることができる。
【0013】
本発明の一実施例によるモーターの上記周壁部は、上記固定部材の上側外部面の間に上記オイルの界面が形成されるように、上記固定部材の外部面に沿って形成されることができる。
【0014】
本発明の一実施例によるモーターの上記周壁部と対応する上記固定部材の外部面はテーパ状に形成され、軸方向下側に向かって直径が減少することができる。
【0015】
本発明の一実施例によるモーターの上記周壁部と対応する上記固定部材の外部面には少なくとも一つの段差部が形成され、軸方向下側に向かって直径が減少することができる。
【0016】
本発明の一実施例によるモーターは、上記シャフトの下部と結合し、上記シャフトにスラスト動圧を提供するスラストプレートをさらに含むことができる。
【0017】
本発明の一実施例によるモーターの上記スラストプレートは、上面及び下面のうち少なくとも一面に形成され、上記シャフトにスラスト動圧を提供するスラスト動圧溝を備えることができる。
【0018】
本発明の一実施例によるモーターの上記スラストプレートの上面及び下面に形成されたスラスト動圧溝は、夫々スパイラル状及びヘリングボーン状であることができる。
【0019】
本発明の一実施例によるモーターの上記シャフトと上記スラストプレートは、溶接またはボンディングによって結合されることができる。
【0020】
本発明の一実施例によるモーターは、上記固定部材の軸方向下部に、間隙を維持した状態で上記固定部材と結合するカバープレートをさらに含むことができる。
【0021】
本発明の一実施例によるモーターの上記カバープレートは、上記固定部材の外側部に延長形成されることができる。
【0022】
本発明の一実施例によるモーターの上記固定部材と上記カバープレートは、溶接またはボンディングによって結合されることができる。
【0023】
本発明の他の一実施例によるモーターは、シャフトと結合し、上記シャフトと連動して回転するハブと、上記シャフトが挿入され、上記シャフトを支持するスリーブと、上記シャフトの下部と結合し、上記シャフトにスラスト動圧を提供するスラストプレートと、上記スラストプレートの下部に配置され、上記シャフトと間隙を維持した状態で上記スリーブと結合するカバープレートと、上記ハブの一面から突出形成され、上記スリーブの上側外側部との間でオイルがシーリングされるようにする周壁部と、上記周壁部及び上記周壁部と対応する上記スリーブの上側外側部の外部面のうち少なくとも一つに形成され、上記オイルを上記シャフトと上記スリーブとの間にポンピングするポンピング溝と、を含むことができる。
【0024】
本発明の他の一実施例によるモーターのポンピング溝は、スパイラル状、ヘリングボーン状及び螺旋状のうち少なくとも一つに形成されることができる。
【0025】
本発明の他の一実施例によるモーターの上記周壁部と対応する上記スリーブの上側外側部の外部面はテーパ状に形成され、軸方向下側に向かって直径が減少することができる。
【0026】
本発明の他の一実施例によるモーターの上記周壁部と対応する上記スリーブの上側外側部の外部面には少なくとも一つの段差部が形成され、軸方向下側に向かって直径が減少することができる。
【0027】
本発明の他の一実施例によるモーターの上記スラストプレートは、上面及び下面のうち少なくとも一面に形成され、上記シャフトにスラスト動圧を提供するスラスト動圧溝を備えることを特徴とすることができる。
【0028】
本発明の他の一実施例によるモーターの上記スラストプレートの上面及び下面に形成されたスラスト動圧溝は、夫々スパイラル状及びヘリングボーン状であることができる。
【0029】
本発明の他の一実施例によるモーターの上記カバープレートは、上記スリーブの外側部に延長形成されることができる。
【0030】
本発明の他の一実施例によるモーターの上記シャフトと上記スラストプレートは、溶接またはボンディングによって結合されることができる。
【0031】
本発明の他の一実施例によるモーターの上記スリーブと上記カバープレートは、溶接またはボンディングによって結合されることができる。
【0032】
本発明のさらに他の一実施例による記録ディスク駆動装置は、記録ディスクを回転させるモーターと、上記モーターに搭載された記録ディスクの情報を検出するヘッドを、上記記録ディスクに移送するヘッド移送部と、上記モーターと上記ヘッド移送部とを収容するハウジングと、を含むことができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によるモーター及びこれを含む記録ディスク駆動装置によると、温度の上昇及び外部衝撃によるオイルの漏出を防止し、モーターの性能を向上させることができる。
【0034】
また、保存可能なオイル量を確保することができるため、モーターの寿命を最大化することができ、小型化及び薄型化を図ることができ、十分なラジアル動圧を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施例によるモーターを図示した概略断面図である。
【図2】本発明の一実施例によるモーターに提供されるハブを図示した概略切開斜視図である。
【図3】本発明の他の一実施例によるモーターを図示した概略断面図である。
【図4】本発明の他の一実施例によるモーターに提供されるスラストプレートを図示した平面図及び底面図である。
【図5】本発明のさらに他の一実施例によるモーターを図示した概略断面図である。
【図6】本発明のさらに他の一実施例によるモーターを図示した概略断面図である。
【図7】本発明によるモーターを含む記録ディスク駆動装置を図示した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施例を詳細に説明する。但し、本発明の思想は提示される実施例に制限されず、本発明の思想を理解する当業者は同一の思想の範囲内で他の構成要素を追加、変更、削除等によって、退歩的な他の発明や本発明の思想の範囲内に含まれる他の実施例を容易に提案することができ、これも本発明の思想の範囲内に含まれる。
【0037】
また、各実施例の図面に示す同一の思想範囲内の機能が同一の構成要素は、同一の参照符号を用いて説明する。
【0038】
図1は本発明の一実施例によるモーターを図示した概略断面図であり、図2は本発明の一実施例によるモーターに提供されるハブを図示した概略切開斜視図である。
【0039】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施例によるモーター400は、シャフト110とスリーブ120とを含む流体動圧軸受アセンブリー100と、上記シャフト110と連動して回転するローター200と、コイル320が巻線されるコア310を備えるステーター300と、を含むことができる。
【0040】
まず、方向に対する用語を定義すると、軸方向は図1、3、5及び6において、シャフト110を基準に上下方向を意味し、半径方向外側及び内側方向は上記シャフト110を基準にハブ210の外側端方向、または上記ハブ210の外側端を基準に上記シャフト110の中心方向を意味する。
【0041】
スリーブ120は、後述するコア310が挿入されて固定されるベース部材330と結合され、上記シャフト110を含む回転部材を支持する構成要素であり、固定部材を意味することができる。
【0042】
上記スリーブ120は、上記シャフト110の上端が軸方向上側に突出するように上記シャフト110を支持することができ、CuまたはAlを鍛造したり、Cu−Fe系合金粉末またはSUS系粉末を焼結して形成することができる。
【0043】
ここで、上記シャフト110は上記スリーブ120の軸孔と微小間隙を有するように挿入され、上記微小間隙にはオイルが充電されて、上記シャフト110の外径及び上記スリーブ120の内径のうち少なくとも一つに形成されるラジアル動圧溝127によりローター200の回転をスムーズに支持することができる。
【0044】
上記ラジアル動圧溝127は、上記スリーブ120の軸孔の内部である上記スリーブ120の内側面に形成され、上記シャフト110の回転時に片方に偏向されるように圧力を形成させる。
【0045】
但し、上記ラジアル動圧溝127は、上述したように上記スリーブ120の内側面に形成されるものに限定されず、上記シャフト110の外径部に形成されることも可能であり、その数にも制限がない。
【0046】
上記ラジアル動圧溝127は、ヘリングボーン状、スパイラル状及び螺旋状のうち何れか一つであることができ、ラジアル動圧を発生させる形状であればその形状には制限がない。
【0047】
上記スリーブ120には、スリーブ120の上部と下部を連通するように形成される循環ホール125を備え、流体動圧軸受アセンブリー100の内部のオイルの圧力を分散させて平衡を維持させることができ、上記流体動圧軸受アセンブリー100の内部に存在する気泡などが循環によって排出されるように移動させることができる。
【0048】
ここで、上記スリーブ120の軸方向下部には、間隙を維持した状態で上記スリーブ120と結合し、上記間隙にオイルを収容するカバープレート130が結合されることができる。上記カバープレート130は、上記スリーブ120間の間隙にオイルを収容し、それ自体で上記シャフト110の下面を支持する軸受としての機能をすることができる。
【0049】
また、上記カバープレート130と上記スリーブ120は溶接またはボンディングによって結合Aされることができ、結合力及び追加工程などを考慮して自由に選択可能である。
【0050】
ローター200は、後述するステーター300に対して回転可能に備えられる回転構造物であり、後述するコア310と一定間隔を置いて互いに対応する環状のマグネット220を内周面に備えるハブ210を含むことができる。
【0051】
即ち、上記ハブ210は上記シャフト110の上側に結合され、上記シャフト110と連動して回転する回転部材であることができる。
【0052】
マグネット220は円周方向にN極、S極が交互に着磁され、一定強さの磁気力を発生する永久磁石として備えられることができる。
【0053】
また、上記ハブ210は、シャフト110の上端に固定されるようにする第1円筒状壁部212と、上記第1円筒状壁部212の端部から半径方向外側に延長形成される円板部214と、上記円板部214の半径方向外側の端部から下向きに突出する第2円筒状壁部216とを含むことができ、上記第2円筒状壁部216の内周面には上記マグネット220が結合されることができる。
【0054】
また、上記ハブ210は上記スリーブ120の上側外部面の間でオイルがシーリングされるようにすることができ、オイルがシーリングされるように軸方向下側に延長されて形成される周壁部218を備えることができる。
【0055】
上記周壁部218は、上記スリーブ120の上側外部面、即ち固定部材の上側外部面の間にオイルの界面が形成されるように、上記固定部材であるスリーブ120の外部面に沿って形成されることができる。
【0056】
ここで、固定部材であるスリーブ120と回転部材であるハブ210の周壁部218との間にオイル界面を形成することにより、小型化及び薄型化を図ることができ、十分なラジアル動圧を発生させることができる。
【0057】
また、上記周壁部218と上記スリーブ120間の間隔は、モーター400の駆動時にオイルが外部に漏れることを防止するために、軸方向下側方向に向かって徐々に広がることができ、このために、上記周壁部218に対応する上記スリーブ120の外部面は半径方向内側にテーパ状に形成されることができる。
【0058】
即ち、上記周壁部218と対応する固定部材である上記スリーブ120の外部面は、軸方向下側に向かうほど減少する直径を備えることができる。
【0059】
ここで、上記周壁部218の内周面には、外部衝撃や温度上昇によってオイルが膨張し、上記オイルがオイル界面から離脱する場合、上記オイルを上記オイル界面方向にポンピングするポンピング溝230が形成されることができ、上記ポンピング溝230は、上記周壁部218に対応する上記スリーブ120の上側外部面、即ち固定部材の上側外部面に形成されてもよい。上記ポンピング溝230は、ハブ210が回転することにより、上記ポンピング溝230に上記オイルが充填され、上記ポンピング溝230の下側から上側に上記オイルをポンピングすることができるため、結果的に、シャフト110とスリーブ120の間に上記オイルをポンピングすることができる。
【0060】
ここで、上記ポンピング溝230は図2に図示されたように、半ヘリングボーン状であるスパイラル状であってもよいが、これに限定されず、定常状態のオイル界面を離脱した上記オイルを定常状態のオイル界面方向にポンピングすることができる形状であれば全て可能である。
【0061】
即ち、ヘリングボーン状または螺旋状であってもよい。
【0062】
従って、上記ポンピング溝230は、オイルの量及びオイルの界面位置を重要視する本発明の一実施例によるモーター400において重要な機能をする。即ち、外部衝撃あるいは温度上昇による上記オイルの漏出によって発生する可能性があるノイズ、振動及びNRRO(Non−Repeatable Runout)を最小化することができ、結局本発明の一実施例によるモーター400の寿命を最大化することができる。
【0063】
ステーター300は挿入孔が形成される固定部材であり、回転する構成要素を除いた全ての固定構成要素を意味することができるが、説明の便宜上、コア310と、コイル320と、ベース部材330とを含むものとする。
【0064】
上記ステーター300は、電源の印加時に一定の大きさの電磁気力を発生させるコイル320と、上記コイル320が巻線される複数のコア310とを備える固定構造物であることができる。
【0065】
上記コア310は、パターン回路が印刷された印刷回路基板(不図示)が備えられるベース部材330の上部に固定配置され、上記巻線コイル320と対応するベース部材330の上面には、上記巻線コイル320を下部に露出させるように一定サイズの複数のコイル孔が貫通形成されることができ、上記巻線コイル320は外部電源が供給されるように上記印刷回路基板(不図示)と電気的に連結されることができる。
【0066】
上記ベース部材330は上記スリーブ120の外部面に固定され、上記コイル320が巻線されたコア310が挿入されることができ、上記ベース部材330の内面あるいは上記スリーブ120の外面に接着剤を塗布して組み立てることができる。
【0067】
図3は本発明の他の一実施例によるモーターを図示した概略断面図であり、図4は本発明の他の一実施例によるモーターに提供されるスラストプレートを図示した平面図及び底面図である。
【0068】
図3を参照すると、本発明の他の一実施例によるモーター500は、スラストプレート540を除き上述した本発明の一実施例によるモーター400と構成及び効果が同一であるため、上記スラストプレート540以外の説明は省略する。
【0069】
スラストプレート540はスリーブ520の下部に配置され、中央にシャフト110の断面に相応するホールを備え、このホールに上記シャフト110が挿入されて結合されることができる。
【0070】
この際、上記スラストプレート540は別途製造されて上記シャフト110と結合することができ、溶接またはボンディング方式で結合Bされることができる。
【0071】
但し、上記スラストプレート540は製造時から上記シャフト110と一体に形成されることもでき、上記シャフト110の回転運動時に上記シャフト110に沿って回転運動するようになる。
【0072】
上記スラストプレート540の上面及び下面には、上記シャフト110にスラスト動圧を提供するスラスト動圧溝545a、545bが形成されることができ、上面はスパイラル状、下面はヘリングボーン状であることができる。
【0073】
即ち、図3に図示されたように、循環ホール125が形成された場合には、上述したようにスラストプレート540の上面と下面にスラスト動圧溝545a、545bが形成されることができる。
【0074】
即ち、シャフト110の外周面またはスリーブ120の内周面に形成されたラジアル動圧溝127によってラジアル動圧が形成され、上記ラジアル動圧溝127の構造によってオイルの全体的な圧力は軸方向下側に形成される。
【0075】
このような圧力は上記スラストプレート540の半径方向外側に向かうようになり、一部圧力は循環ホール125に沿って軸方向上側に向かうようになり、その他の圧力はスラストプレート540の下面方向に向かうようになる。
【0076】
従って、上記一部圧力が循環ホール125に沿って軸方向上側に向かうようになるため、シャフト110を浮上させて回転させる圧力が自然と弱くなる。
【0077】
従って、シャフト110の浮上力を確保するために、スラスト動圧を補完しなければならないため、上記スラストプレート540の上面だけでなく、下面にもスラスト動圧溝545bを備えることができる。
【0078】
しかし、循環ホール125がない場合には、上記循環ホール125によって損失される圧力がなくなるため、スラストプレート540の上面にのみスラスト動圧溝545aが形成されてもよく、十分な浮上力を確保することができる。
【0079】
但し、上記スラストプレート540の上面に形成されるスラスト動圧溝545aは、上記上面に対応するスリーブ120の下面に形成されてもよく、両方の全てに形成されてもよいということを明らかにしておく。
【0080】
また、上述したように、スラストプレート540の上面及び下面に形成されるスラスト動圧溝545a、545bは、夫々スパイラル状及びヘリングボーン状であることが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではなく、スラスト動圧を提供することができる形状であれば全て適用することができる。
【0081】
図5及び図6は本発明のさらに他の一実施例によるモーターを図示した概略断面図である。
【0082】
図5及び図6に図示された本発明のさらに他の一実施例によるモーター600、700は、夫々スリーブ620及びカバープレート730を除き、上述した本発明の他の一実施例によるモーター500と構成及び効果が同一であるため、上記スリーブ620及び上記カバープレート730以外の説明は省略する。
【0083】
図5に図示された本発明のさらに他の一実施例によるモーター600のスリーブ620は、上側外部面に少なくとも一つの段差部625が形成されることができる。
【0084】
即ち、ハブ210の周壁部218と対応する固定部材であるスリーブ620の上側外部面は段差部625が形成され、軸方向下側に向かって減少する直径を備えることができる。
【0085】
ここで、上記段差部625の数と段差の幅は制限がなく、固定部材である上記スリーブ620の上側外部面が軸方向下側に向かって減少する直径を備えることができれば、自由に変更可能である。
【0086】
上記段差部625と上記周壁部218との間には、オイル界面が形成されることができ、上記段差部625によってオイルが保存されることができる空間が確保され、オイルが漏出することを防止することができる。
【0087】
また、上記オイル蒸発によるモーター600の特性低下を防止して、性能及び寿命を最大化することができる。
【0088】
図6に図示された本発明のさらに他の一実施例によるモーター700のカバープレート730は、スリーブ520の外側部に延長形成されることができる。
【0089】
即ち、上記カバープレート730は上記スリーブ520の外側部と結合し、このときボンディングまたは溶接方式が適用されることができる。
【0090】
但し、本発明の他の一実施例によるモーター500に比べて、上記カバープレート730と上記スリーブ520の結合面積が増加することがあるため、ボンディング方式を利用しても十分な抜去力を確保することができる。
【0091】
図7は本発明によるモーターを含む記録ディスク駆動装置を図示した概略断面図である。
【0092】
図7を参照すると、本発明によるモーター400が装着された記録ディスク駆動装置800はハードディスク駆動装置であり、モーター400と、ヘッド移送部810と、ハウジング820とを含むことができる。
【0093】
上記モーター400は上述した本発明のモーターの全ての特徴を有し、記録ディスク830を搭載することができる。
【0094】
また、図7には本発明の一実施例によるモーター400を図示したが、これに限定されず、上述した全てのモーター500、600、700が適用されることができる。
【0095】
上記ヘッド移送部810は、上記モーター400に搭載された記録ディスク830の情報を検出するヘッド815を、検出しようとする記録ディスクの面に移送させることができる。
【0096】
ここで、上記ヘッド815は上記ヘッド移送部810の支持部817上に配置されることができる。
【0097】
上記ハウジング820は、上記モーター400と上記ヘッド移送部810とを収容する内部空間を形成するために、モーター搭載プレート827と、上記モーター搭載プレート827の上部を遮蔽するトップカバー825とを含むことができる。
【0098】
以上の実施例により、本発明によるモーター400、500、600、700は、ハブ210の周壁部218にポンピング溝230を備えることにより温度の上昇及び外部衝撃によるオイルの漏出を防止し、本発明によるモーター400、500、600、700の性能及び寿命を向上させることができる。
【0099】
また、固定部材であるスリーブ120、520の上側外側部の直径が軸方向下側に向かって減少することにより、保存可能なオイル量を十分に確保することができる。
【0100】
また、固定部材であるスリーブ120、520と回転部材であるハブ210の周壁部218との間にオイル界面を形成することにより、小型化及び薄型化を図るとともに、十分なラジアル動圧を発生させることができる。
【符号の説明】
【0101】
100 流体動圧軸受アセンブリー
110 シャフト
120、520 スリーブ
130、730 カバープレート
200 ローター
210 ハブ
218 周壁部
220 マグネット
230 ポンピング溝
300 ステーター
310 コア
320 コイル
330 ベース部材
400、500、600、700 モーター
540 スラストプレート
545a、545 スラスト動圧溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと結合し、前記シャフトと連動して回転する回転部材と、
前記シャフトが挿入され、前記シャフトを支持する固定部材と、
前記回転部材の一面から突出形成され、前記固定部材との間でオイルがシーリングされるようにする周壁部と、
前記周壁部及び前記周壁部と対応する前記固定部材の外部面のうち少なくとも一つに形成され、前記オイルを前記シャフトと前記固定部材との間にポンピングするポンピング溝と
を含むモーター。
【請求項2】
前記ポンピング溝は、スパイラル状、ヘリングボーン状及び螺旋状のうち少なくとも一つに形成されることを特徴とする請求項1に記載のモーター。
【請求項3】
前記周壁部は、前記固定部材の上側外部面の間に前記オイルの界面が形成されるように、前記固定部材の外部面に沿って形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のモーター。
【請求項4】
前記周壁部と対応する前記固定部材の外部面はテーパ状に形成され、軸方向下側に向かって直径が減少することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のモーター。
【請求項5】
前記周壁部と対応する前記固定部材の外部面には少なくとも一つの段差部が形成され、軸方向下側に向かって直径が減少することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のモーター。
【請求項6】
前記シャフトの下部と結合し、前記シャフトにスラスト動圧を提供するスラストプレートをさらに含む請求項1から5の何れか1項に記載のモーター。
【請求項7】
前記スラストプレートは、上面及び下面のうち少なくとも一面に形成され、前記シャフトにスラスト動圧を提供するスラスト動圧溝を備えることを特徴とする請求項6に記載のモーター。
【請求項8】
前記スラストプレートの上面及び下面に形成されたスラスト動圧溝は、夫々スパイラル状及びヘリングボーン状であることを特徴とする請求項7に記載のモーター。
【請求項9】
前記シャフトと前記スラストプレートは、溶接またはボンディングによって結合されることを特徴とする請求項6から8の何れか1項に記載のモーター。
【請求項10】
前記固定部材の軸方向下部に、間隙を維持した状態で前記固定部材と結合するカバープレートをさらに含む請求項1から9の何れか1項に記載のモーター。
【請求項11】
前記カバープレートは、前記固定部材の外側部に延長形成されることを特徴とする請求項10に記載のモーター。
【請求項12】
前記固定部材と前記カバープレートは、溶接またはボンディングによって結合されることを特徴とする請求項10または11に記載のモーター。
【請求項13】
シャフトと結合し、前記シャフトと連動して回転するハブと、
前記シャフトが挿入され、前記シャフトを支持するスリーブと、
前記シャフトの下部と結合し、前記シャフトにスラスト動圧を提供するスラストプレートと、
前記スラストプレートの下部に配置され、前記シャフトと間隙を維持した状態で前記スリーブと結合するカバープレートと、
前記ハブの一面から突出形成され、前記スリーブの上側外側部との間でオイルがシーリングされるようにする周壁部と、
前記周壁部及び前記周壁部と対応する前記スリーブの上側外側部の外部面のうち少なくとも一つに形成され、前記オイルを前記シャフトと前記スリーブとの間にポンピングするポンピング溝と
を含むモーター。
【請求項14】
前記ポンピング溝は、スパイラル状、ヘリングボーン状及び螺旋状のうち少なくとも一つに形成されることを特徴とする請求項13に記載のモーター。
【請求項15】
前記周壁部と対応する前記スリーブの上側外側部の外部面はテーパ状に形成され、軸方向下側に向かって直径が減少することを特徴とする請求項13または14に記載のモーター。
【請求項16】
前記周壁部と対応する前記スリーブの上側外側部の外部面には少なくとも一つの段差部が形成され、軸方向下側に向かって直径が減少することを特徴とする請求項13から15の何れか1項に記載のモーター。
【請求項17】
前記スラストプレートは、上面及び下面のうち少なくとも一面に形成され、前記シャフトにスラスト動圧を提供するスラスト動圧溝を備えることを特徴とする請求項13から16の何れか1項に記載のモーター。
【請求項18】
前記スラストプレートの上面及び下面に形成されたスラスト動圧溝は、夫々スパイラル状及びヘリングボーン状であることを特徴とする請求項17に記載のモーター。
【請求項19】
前記カバープレートは、前記スリーブの外側部に延長形成されることを特徴とする請求項13から18の何れか1項に記載のモーター。
【請求項20】
前記シャフトと前記スラストプレートは、溶接またはボンディングによって結合されることを特徴とする請求項13から19の何れか1項に記載のモーター。
【請求項21】
前記スリーブと前記カバープレートは、溶接またはボンディングによって結合されることを特徴とする請求項13から20の何れか1項に記載のモーター。
【請求項22】
記録ディスクを回転させる請求項1から21の何れか一つに記載のモーターと、
前記モーターに搭載された記録ディスクの情報を検出するヘッドを、前記記録ディスクに移送するヘッド移送部と、
前記モーターと前記ヘッド移送部とを収容するハウジングと
を含む記録ディスク駆動装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−105521(P2012−105521A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24728(P2011−24728)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】