説明

モータ制御装置およびこれを備える電動パワーステアリング装置

【課題】算出するモータの抵抗値と実際のモータの抵抗値との差をより短い期間で小さくすることのできるモータ制御装置、およびこれを備える電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】この電動パワーステアリング装置は、ステアリングの操舵状態が保舵状態のとき、過去に算出したモータ抵抗値Rmに応じて算出されるフィルタ値Rfを用いたフィルタ処理により、モータ抵抗値Rmを算出する。また、前回の保舵状態において算出したフィルタ値Rfである前回フィルタ値Rfoldを今回の保舵状態において算出されるモータ抵抗値Rmに反映する補正係数Gを、回転状態のときの電流積算値に基づいて変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの抵抗値を算出するモータ制御装置およびこれを備える電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のモータ制御装置では、電動パワーステアリング装置が保舵状態(基準動作状態)にあるとき、電流値および電圧値に基づいてモータの抵抗値を所定の演算周期毎に算出し、この抵抗値に基づいてモータの回転速度を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−10379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記モータ制御装置は、モータの動作状態が回転状態から保舵状態に移行したとき、過去に算出した抵抗値の平均値を初期化し、今回の保舵状態の電流値および電圧値に基づいてあらためてモータの抵抗値の平均値を算出する。このため、今回の保舵状態において算出される抵抗値の平均値、すなわちモータの回転速度の推定のために用いる抵抗値と実際の抵抗値との差が小さくなるまでの時間が長くなるおそれがある。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、算出するモータの抵抗値と実際のモータの抵抗値との差をより短い期間で小さくすることのできるモータ制御装置、およびこれを備える電動パワーステアリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための手段を以下に記載する。
(1)第1の手段は、請求項1に記載の発明すなわち、モータの抵抗値を算出するモータ制御装置において、モータの誘起電圧値が所定値以下の動作状態を基準動作状態として、前記モータの動作状態が前記基準動作状態のとき、フィルタ処理を経て前記モータの抵抗値を算出する第1処理と、過去に算出した前記抵抗値に応じて算出される値をフィルタ値として、前回の前記基準動作状態において算出したフィルタ値である前回フィルタ値を用いて今回の前記基準動作状態においての前記抵抗値を算出し、かつ前記前回フィルタ値を前記今回の基準動作状態において算出される前記抵抗値に反映し、かつ反映の度合を所定のパラメータに基づいて変更する第2処理とを行なうことを要旨としている。
【0007】
上記発明では、前回フィルタ値を反映して今回の基準動作状態におけるモータの抵抗値を算出するため、基準動作状態に移行する毎にモータの抵抗値を初期化する構成と比較して、算出するモータの抵抗値と実際のモータの抵抗値との差をより短い期間で小さくすることができる。
【0008】
(2)第2の手段は、請求項2に記載の発明すなわち、請求項1に記載のモータ制御装置において、前記第2処理は、前記モータの誘起電圧値が前記所定値よりも大きい動作状態を変動動作状態として、前記今回の基準動作状態よりも直前の前記変動動作状態における前記モータの状態を示すパラメータを前記所定のパラメータとして用いることを要旨としている。
【0009】
上記発明によれば、直前の変動動作状態におけるモータの状態を示すパラメータに基づいて反映の度合を変更するため、変動動作状態においてのモータの動作にともなう実際の抵抗値の変化をより的確に反映してモータの抵抗値を算出することができる。
【0010】
(3)第3の手段は、請求項3に記載の発明すなわち、請求項2に記載のモータ制御装置において、前記前回の基準動作状態から前記直前の変動動作状態に移行した時期を変動開始時期とし、前記直前の変動動作状態から前記今回の基準動作状態に移行した時期を変動終了時期とし、前記変動開始時期から前記変動終了時期までの期間を変動期間とし、この変動期間において前記モータに供給された電流値の積算値を電流積算値として、前記所定のパラメータとして同電流積算値を用いることを要旨としている。
【0011】
上記発明によれば、モータの抵抗値の変化と相関を有する電流積算値を用いて反映の度合を変更するため、変動動作状態においてのモータの動作にともなう実際の抵抗値の変化をより的確に反映してモータの抵抗値を算出することができる。
【0012】
(4)第4の手段は、請求項4に記載の発明すなわち、請求項2または3に記載のモータ制御装置において、前記所定のパラメータの絶対値が大きくなるにつれて前記反映の度合を小さくすることを要旨としている。
【0013】
直前の変動動作状態におけるモータの状態を示すパラメータが大きいとき、すなわち同変動動作状態においてのモータの運動量が大きいとき、モータの動作にともない抵抗値が前回の基準動作状態から大きく変化している可能性がある。このため、直前の変動動作状態においての所定のパラメータが大きい場合において、今回の基準動作状態に対する前回フィルタ値の反映の度合を大きくしたとき、算出されるモータの抵抗値と実際の抵抗値との差が大きくなるおそれがある。
【0014】
上記発明では、この考えに基づいて、所定のパラメータが大きくなるにつれて前回フィルタ値の反映の度合を小さくしている。このため、算出されるモータの抵抗値と実際の抵抗値との差が大きくなることを抑制することができる。
【0015】
(5)第5の手段は、請求項5に記載の発明すなわち、請求項2〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、前記所定のパラメータが上限値以上のとき、前記反映の度合を最も小さくすることを要旨としている。
【0016】
(6)第6の手段は、請求項6に記載の発明すなわち、請求項2〜5のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、前記所定のパラメータが下限値以下のとき、前記反映の度合を最も大きくすることを要旨としている。
【0017】
(7)第7の手段は、請求項7に記載の発明すなわち、電動パワーステアリング装置において、請求項1〜6のいずれか一項に記載のモータ制御装置を備えることを要旨としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、算出するモータの抵抗値と実際のモータの抵抗値との差をより短い期間で小さくすることのできる電動パワーステアリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態の電動パワーステアリング装置について、その全体構造を模式的に示す模式図。
【図2】同実施形態の電動パワーステアリング装置について、その制御系の構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態の電動パワーステアリング装置について、その電子制御装置により実行される「モータ抵抗値更新処理」の手順を示すフローチャート。
【図4】同実施形態の「モータ抵抗値更新処理」について、同処理に用いられる電流積算値と補正係数との関係を規定したマップ。
【図5】同実施形態の「モータ抵抗値更新処理」について、その実行態様の一例を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1〜図5を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1に、電動パワーステアリング装置1の全体構成を示す。
電動パワーステアリング装置1は、ステアリング2の回転を転舵輪3に伝達する操舵角伝達機構10と、ステアリング2の操作を補助するための力(以下、「アシスト力」)を操舵角伝達機構10に付与するEPSアクチュエータ20と、EPSアクチュエータ20を制御する電子制御装置30と、各装置の動作状態等を検出する複数のセンサとを含む。
【0021】
操舵角伝達機構10は、ステアリング2とともに回転するステアリングシャフト11と、ステアリングシャフト11の回転をラック軸17に伝達するラックアンドピニオン機構16と、タイロッド18を操作するラック軸17と、ナックル(図示略)を操作するタイロッド18とを含む。
【0022】
ステアリングシャフト11は、先端部にステアリング2が固定されるコラムシャフト12と、ラックアンドピニオン機構16を介してラック軸17を軸方向に移動させるピニオンシャフト14と、コラムシャフト12とピニオンシャフト14とを互いに接続するインターミディエイトシャフト13を含む。コラムシャフト12の中間部には、トーションバー15が設けられている。
【0023】
EPSアクチュエータ20は、ステアリングシャフト11(コラムシャフト12)にトルクを付与するモータ21と、モータ21の回転を減速する減速機構22とを含む。モータ21としては、ブラシ付きの直流モータが設けられている。モータ21の回転は減速機構22により減速されてステアリングシャフト11に伝達される。このとき、モータ21からステアリングシャフト11に付与されるトルクがアシスト力として作用する。
【0024】
操舵角伝達機構10は次のように動作する。
ステアリング2が操作されたとき、これにともないステアリングシャフト11も回転する。ステアリングシャフト11の回転は、ラックアンドピニオン機構16によりラック軸17の直線運動に変換される。ラック軸17の直線運動は、同軸17の両端に連結されたタイロッド18を介してナックルに伝達される。そして、ナックルの動作にともない転舵輪3の舵角が変更される。
【0025】
ステアリング2の操舵角は、ステアリング2が中立位置にあるときを基準として定められる。すなわち、ステアリング2が中立位置にあるときの操舵角を「0」として、ステアリング2が中立位置から右方向または左方向に回転したとき、中立位置からの回転角度に応じて操舵角が増加する。
【0026】
電動パワーステアリング装置1には、複数のセンサとして、トルクセンサ101および車速センサ102が設けられている。これらのセンサ101,102は、それぞれ次のように監視対象の状態の変化に応じた信号を出力する。
【0027】
トルクセンサ101は、ステアリング2の操作によりステアリングシャフト11に付与されたトルクの大きさに応じた信号(以下、「出力信号SA」)を電子制御装置30に出力する。車速センサ102は、車両の後輪としての転舵輪の回転速度に応じた信号(以下、「出力信号SC」)を電子制御装置30に出力する。
【0028】
トルクセンサ101は、ステアリング2の操作にともないコラムシャフト12にトルクが入力されたときのトルクの大きさに応じて生じるトーションバー15に捻れに基づいて出力信号SAを出力する。
【0029】
車速センサ102は、右側の後輪および左側の後輪のそれぞれに対応して設けられている。そして、対応する後輪が1回転する毎に1パルスを出力信号SCとして出力する。
電子制御装置30は、各センサの出力に基づいて以下の各演算値を算出する。
【0030】
トルクセンサ101の出力信号SAに基づいて、ステアリング2の操作にともないステアリングシャフト11に入力されたトルクの大きさに相当する演算値(以下、「操舵トルクτ」)を算出する。また、各車速センサ102の出力信号SCに基づいて、車両の走行速度に相当する演算値(以下、「車速V」)を算出する。
【0031】
電子制御装置30は、車両の走行状態およびステアリング2の操舵状態に応じてアシスト力を調整するためのパワーアシスト制御と、パワーアシスト制御に用いられる操舵トルクτを補正するための操舵トルクシフト制御とを行う。
【0032】
ステアリング2の操舵状態は、「回転状態」および「中立状態」および「保舵状態」の3つに分類される。「回転状態」は、ステアリング2が回転している最中の状態を示す。「中立状態」は、ステアリング2が中立位置あり、かつその位置に保持されている状態を示す。「保舵状態」は、ステアリング2が中立位置から右方向または左方向に回転した位置にあり、かつその位置に保持されている状態を示す。また「回転状態」は、操舵角が増大する方向への操作である「切り込み状態」と、操舵角が減少する方向への操作である「切り戻し状態」との2つに分類される。
【0033】
ステアリング2の操舵状態が回転状態から保舵状態に移行した時期(以下、「回転終了時期」)からステアリング2の操舵状態が保舵状態から回転状態に移行した時期(以下、「回転終了時期」)までの期間を「回転期間」とする。また、回転終了時期から回転開始時期までの期間を「保舵期間」とする。
【0034】
なお、ステアリング2の操舵状態が保舵状態にあるときのモータ21の動作状態は「基準動作状態」に相当する。また、ステアリング2の操舵状態が回転状態にあるときのモータ21の動作状態は「変動動作状態」に相当する。また、回転開始時期は「変動開始時期」に相当する。また、回転終了時期は「変動終了時期」に相当する。また、回転期間は「変動期間」に相当する。
【0035】
操舵トルクシフト制御では、トルクセンサ101の出力信号SAに基づいて算出された操舵トルクτをステアリング2の操舵状態に基づいて補正し、補正後の操舵トルクτを「補正操舵トルクτa」として出力する。
【0036】
パワーアシスト制御では、操舵トルクシフト制御により算出された補正操舵トルクτaと、車速センサ102の出力信号SCに基づいて算出された車速Vとに基づいて、アシスト力の目標値(以下、「目標アシスト力」)を算出する。そして、この目標アシスト力に対応した駆動電力をモータ21に供給する。これにより、EPSアクチュエータ20は目標アシスト力に対応したトルクをステアリングシャフト11に付与する。
【0037】
図2を参照して、電子制御装置30の詳細な構成について説明する。
電子制御装置30は、モータ21に供給する駆動電力の大きさを指示する信号(以下、「モータ制御信号Sm」)を出力するマイコン40と、モータ制御信号Smに応じた駆動電力をモータ21に供給する駆動回路50とを含む。なお、マイコン40は「モータ制御装置」に相当する。
【0038】
駆動回路50には、モータ21の端子間電圧値(以下、「モータ電圧値Vm」)を検出する電圧センサ51と、モータ21に供給される電流値(以下、「モータ電流値Im」)を検出する電流センサ52とが設けられている。なお、マイコン40内に設けられる各制御ブロックはコンピュータプログラムにより構成されている。
【0039】
マイコン40は、以下の各制御要素を含む。
すなわち、目標アシスト力に相当するトルクをEPSアクチュエータ20に生じさせるために必要となる電流値(以下、「電流指令値Ia」)、すなわちモータ21に供給する電流値の目標値を算出する電流指令値演算部70と、電流指令値Iaおよびモータ電流値Imに基づいてモータ制御信号Smを生成するモータ制御信号出力部60とを含む。
【0040】
また、モータ21の抵抗値である「モータ抵抗値」に相当する演算値(以下、「モータ抵抗値Rm」)を算出し、これを所定条件に基づいて更新するモータ抵抗値更新部41と、モータ抵抗値Rmに基づいて、モータ21の回転速度である「モータ速度」に相当する演算値(以下、「モータ速度ωm」)を算出するモータ速度推定部42とを含む。
【0041】
さらに、トルクセンサ101の出力信号SAに基づいて操舵トルクτを算出するための操舵トルク検出部と、各種の演算により得られた結果等を記憶するための記憶部とを含む(いずれも図示略)。
【0042】
電流指令値演算部70は、車速Vおよび操舵トルクτに基づいて目標アシスト力の基礎成分(以下、「基本制御量Ias」)を算出する基本アシスト制御部80と、車速Vおよびモータ速度ωmに基づいて操舵トルクτを補正するトルクシフト制御部90とを含む。
【0043】
トルクシフト制御部90は、操舵トルクシフト制御の補償成分(以下、「トルクシフト制御量Etb」)を演算するトルクシフト制御量演算部91と、トルクシフト制御量Etbの急峻な変動を抑制するフィルタ処理を行う急変防止処理部96と、操舵トルクτにトルクシフト制御量Etcを重畳して補正操舵トルクτaを算出する加算器97とを含む。
【0044】
トルクシフト制御量演算部91は、操舵トルクシフト制御の基礎補償成分となる基礎シフト制御量Etaを算出する基礎シフト演算部92と、車速Vに基づいて基礎シフト制御量Etaのゲイン(以下、「車速ゲインKv」)を算出する車速ゲイン演算部93と、ステアリング2の操舵状態を示す遷移係数Kssを算出する遷移係数演算部94とを含む。さらに、基礎シフト制御量Etaと車速ゲインKvと遷移係数Kssとを乗算してトルクシフト制御量Etbを算出する乗算器95を含む。
【0045】
基礎シフト演算部92は、次のように基礎シフト制御量Etaを算出する。
・操舵トルクτが大きくなるにつれて基礎シフト制御量Etaとしてより大きな値を算出する。すなわち、操舵トルクτが大きくなるにつれて目標アシスト力を大きくする。
・操舵トルクτが所定トルク以上のときには、操舵トルクτに対して基礎シフト制御量Etaを一定値に維持する。
【0046】
車速ゲイン演算部93は、次のように車速ゲインKvを算出する。
・車速Vが大きくなるにつれて車速ゲインKvとしてより大きな値を算出する。
・車速Vが所定車速以上のとき、車速Vに対して車速ゲインKvを一定値に維持する。
【0047】
遷移係数演算部94は、操舵トルクτの方向およびモータ速度ωmに基づいて、ステアリング2の操舵状態すなわち、切り込み状態、切り戻し状態、および保舵状態のそれぞれに対応した遷移係数Kssを算出する。
【0048】
急変防止処理部96は、トルクシフト制御量演算部91が出力したトルクシフト制御量Etbをローパスフィルタによりフィルタ処理し、その結果をトルクシフト制御量Etcとして加算器97に出力する。ローパスフィルタは、トルクシフト制御量Etbの急峻な変動を低減するためのフィルタとして構成されている。
【0049】
操舵トルクシフト制御においては、ステアリング2の操舵状態が「保舵状態」または「切り戻し状態」のとき、その補正操舵トルクτaにより基本制御量Iasが増大するようにトルクシフト制御量Etcを算出する。これにより、「保舵状態」を維持するために必要となる運手者の力が軽減されるとともに、「保舵状態」から「切り戻し状態」への移行時に運転者に違和感を与えることが抑制される。また、「切り込み状態」のときにはトルクシフト制御量Etcとして「0」を算出するため、すなわちトルクシフト制御量Etcによる操舵トルクτの補正を行わないため、過度に大きなアシスト力が付与されることに起因して運転者が違和感を覚える現象、すなわち運転者が「ステアリングが軽い」と感じる現象の発生が抑制される。
【0050】
基本アシスト制御部80は、次のように基本制御量Iasを算出する。
・トルクシフト制御部90により算出された補正操舵トルクτaが大きくなるにつれて基本制御量Iasとしてより大きな値を算出する。すなわち、補正操舵トルクτaが大きくなるにつれて目標アシスト力を大きくする。
・車速Vが小さくなるにつれて基本制御量Iasとしてより大きな値を算出する。すなわち、車速Vが小さくなるにつれて目標アシスト力を大きくする。
【0051】
モータ制御信号出力部60は、電流指令値Iaおよびモータ電流値Imに基づいて電流指令値Iaのフィードバック制御を実行し、その結果に基づいてモータ制御信号Smを生成する。また、生成したモータ制御信号Smを駆動回路50に出力する。
【0052】
モータ速度推定部42は、モータの電圧方程式としての下記の(1)式に基づいて、モータ速度ωmを算出する。

ωm=(Vm−Im×Rm)/Ke … (1)

「Vm」は、電圧センサ51から入力されるモータ電圧値Vmを示す。
【0053】
「Im」は、電流センサ52から入力されるモータ電流値Imを示す。
「Rm」は、記憶部に記憶されているモータ抵抗値Rmを示す。モータ抵抗値Rmの初期値としては、モータ21に固有の抵抗値に相当する値が用いられる。
【0054】
「Ke」は、記憶部に予め記憶されているモータ21の逆起電力定数Keを示す。逆起電力定数Keとしてはモータ21に固有の逆起電力定数に相当する値が用いられる。
モータ抵抗値更新部41は、ステアリング2の操舵状態および下記(2)式に基づいてモータ抵抗値Rmを算出する。
【0055】

EX=Vm−Rm×Im−L×(dIm/ds) … (2)

「L」は、モータ21のインダクタンスを示す。
【0056】
「dIm/ds」は、モータ電流値Imの変化速度を示す。
「EX」は、モータ21の誘起電圧値EXを示す。
ステアリング2の操舵状態が保舵状態にあるとき、「dIm/ds」および「EX」を「0」とみなすことができるため、(2)式は下記(3)式に変形することができる。
【0057】

Rm=Vm/Im … (3)

モータ抵抗値更新部41は、ステアリング2の操舵状態が保舵状態のときおよび操舵状態が保舵状態に近い状態のとき、モータ電圧値Vmおよびモータ電流値Imに基づいて、新たにモータ抵抗値Rmを算出する。
【0058】
ここで、上記(3)式により算出されたモータ抵抗値Rmをそのままモータ抵抗値Rmとして記憶部に記憶すると、モータ抵抗値Rmが算出される毎にモータ抵抗値Rmが大きく変化するおそれがある。そこで、モータ抵抗値更新部41は、モータ抵抗値Rmの変化を小さくするため、上記(3)式により算出したモータ抵抗値Rmを仮のモータ抵抗値Rm(以下、「仮モータ抵抗値Rx」)として、この仮モータ抵抗値Rxとモータ抵抗値Rmの変動を抑制するためのフィルタ値(以下、「フィルタ値Rf」)とを用いたフィルタ処理を行う。モータ抵抗値更新部41は、下記(4)式に基づいて、フィルタ値Rfを算出する。
【0059】

Rf=Rfold+Rx−Rm … (4)

「Rf」は、フィルタ値Rfを示す。
【0060】
「Rfold」は、前回の演算周期に算出されたフィルタ値Rf(以下、「前回フィルタ値Rfold」)を示す。
「Rx」は、仮モータ抵抗値Rxを示す。
【0061】
モータ抵抗値更新部41は、上記(4)式により算出されたフィルタ値Rfをフィルタ処理の時定数に基づく定数(以下、「フィルタ定数F」)で除算した下記(5)式により、最終的なモータ抵抗値Rmを算出する。
【0062】

Rm=Rf/F … (5)

「F」は、フィルタ処理の時定数に基づいて設定されるフィルタ定数Fを示す。
【0063】
上記(5)式により算出されたモータ抵抗値Rmは、そのときに記憶部に記憶されているモータ抵抗値Rmに代わる新たなモータ抵抗値Rmとして記憶部に記憶される。
ところで、上述のとおり、操舵トルクシフト制御において用いられるモータ速度ωmは、モータ電圧値Vm、モータ電流値Im、およびモータ抵抗値Rmに基づいて算出される。このため、操舵トルクシフト制御を精確に行うためには、モータ速度ωmとしてより実際の値に近いものを算出することが求められる。
【0064】
他方、モータ抵抗値Rmはモータ21の温度やモータ電流値Im等の影響を受けて変化する。このため、電子制御装置30は、誘起電圧値EXの影響の比較的小さい保舵期間において、これらモータ電圧値Vmおよびモータ電流値Imに基づいてモータ抵抗値Rmを更新し、各種の演算に用いるモータ抵抗値Rmと実際のモータ抵抗値との乖離を小さくするための処理として「モータ抵抗値更新処理」を行う。
【0065】
図3に、モータ抵抗値更新処理の手順を示す。
モータ抵抗値更新処理は、マイコン40により所定の演算周期毎に繰り返し行われる。すなわち、最後のステップの処理が終了した後、所定の演算周期が経過するまではモータ抵抗値更新処理の実行が保留される。そして、所定の演算周期が経過したとき、再び最初のステップからモータ抵抗値更新処理が実行される。なお、「モータ抵抗値更新処理」は「第1処理」に相当する。また、「フィルタ値補正処理」は「第2処理」に相当する。
【0066】
ステップS11では、ステアリング2の操舵状態が保舵状態か否かを判定する。すなわち、誘起電圧値EXの絶対値が所定値EXA以下かつモータ電流値Imの絶対値が所定電流値よりも大きいとき、保舵状態である旨を判定する。また、誘起電圧値EXの絶対値が所定値EXAよりも大きくかつモータ電流値Imの絶対値が所定電流値よりも大きいとき、回転状態である旨を判定する。また、誘起電圧値EXの絶対値が所定値EXA以下かつモータ電流値Imの絶対値が所定電流値以下のとき、中立状態である旨を判定する。
【0067】
なお、所定値EXAは、誘起電圧値EXが「0」または「0」に近い大きさか否かを判定するための値として予め記憶されている。
ステップS11において、保舵状態の旨判定したとき、ステップS12の処理に移行する。ステップS11において、すなわち回転状態または中立状態の旨判定したとき、本処理を終了する。
【0068】
ステップS12では、上記(3)式に基づいて仮モータ抵抗値Rxを算出する。
ステップS13では、上記(4)式に基づいてフィルタ値Rfを算出する。
ステップS14では、直前の回転状態から今回の保舵状態に移行してからモータ抵抗値Rmを更新したか否かを判定する。
【0069】
ステップS14において、直前の回転状態から今回の保舵状態に移行してからモータ抵抗値Rmを更新した旨判定したとき、ステップS15において、上記(5)式に基づいて、今回のモータ抵抗値Rmを算出する。
【0070】
ステップS14において、直前の回転状態から今回の保舵状態に移行してからモータ抵抗値Rmを更新していない旨判定したとき、すなわち今回の保舵状態に移行してから初回のモータ抵抗値Rmの更新処理である旨判定したとき、ステップS17において直前の回転期間のモータ電流値Imの積算値(以下、「電流積算値ΣIm」)に基づいてフィルタ値Rfを補正する「フィルタ値補正処理」を実行し、補正フィルタ値Rfgを算出する。なお、電流積算値ΣImは「所定のパラメータ」に相当する。
【0071】
フィルタ値補正処理は、図4のフィルタ値補正マップに基づいて行われる。すなわち、フィルタ値補正マップおよび電流積算値ΣImを用いてフィルタ値Rfを補正する補正係数(以下、「補正係数G」)を決定する。そして、下記(6)式に基づいて、補正後のフィルタ値Rf(以下、「補正フィルタ値Rfg」)を算出する。なお、補正係数Gは「反映の度合」に相当する。
【0072】

Rfg=Rf×G … (6)

「Rfg」は、補正フィルタ値Rfgを示す。
【0073】
「G」は、補正係数Gを示す。
フィルタ値補正マップの具体的な構成について説明する。電流積算値ΣImが大きいときほど、直前の回転期間における実際のモータ抵抗値の変化が大きいと考えられるため、フィルタ値補正マップにおいては、電流積算値ΣImが大きいときほど前回の保舵期間のフィルタ値Rfを反映する度合を小さくする。
【0074】
具体的には、電流積算値ΣImが下限値としての「0」のとき、補正係数Gとしては「1」が設定されている。また、電流積算値ΣImが上限値ΣIx以上のとき、補正係数Gとしては「0」が設定されている。また、電流積算値ΣImが「0」から上限値ΣIxまでの区間においては、電流積算値ΣImが大きくなるほど補正係数Gが小さくなる。
【0075】
そして、図3のステップS17において、上記(5)式のフィルタ値Rfを補正フィルタ値Rfgに置換した式により、今回のモータ抵抗値Rmを算出する。
ステップS16では、ステップS15またはステップS18において算出されたモータ抵抗値Rmを新しいモータ抵抗値Rmとして記憶する。
【0076】
図5に、モータ抵抗値更新処理の実行態様の一例を示す。なお、図中の白抜きの矢印は、モータ抵抗値更新処理において、フィルタ値補正処理(図3のステップS17)が実行されるタイミングを示している。
【0077】
時刻t11、すなわちステアリング2の操舵状態が保舵状態から回転状態に移行したとき、誘起電圧値EXの絶対値が所定値EXA以下の値から所定値EXAよりも大きい値になる。
【0078】
時刻t12、すなわちステアリング2の操舵状態が回転状態から保舵状態に移行したとき、誘起電圧値EXの絶対値が所定値EXAよりも大きい値から所定値EXA以下の値になる。また、ステアリング2の操舵状態が保舵状態であることに基づいてモータ抵抗値Rmの更新が開始される。また、ステアリング2の操舵状態が回転状態から保舵状態に移行した直後のモータ抵抗値更新処理においては、フィルタ値補正処理が実行される。フィルタ値補正処理においては、直前の回転期間、すなわち時刻t11から時刻t12までの電流積算値ΣIm(図中、斜線部分の面積)に基づいて補正係数Gが決定される。
【0079】
時刻t13、すなわちステアリング2の操舵状態が保舵状態から回転状態に移行したとき、誘起電圧値EXの絶対値が所定値EXA以下の値から所定値EXAよりも大きい値になる。また、ステアリング2の操舵状態が回転状態であることに基づいてモータ抵抗値Rmは更新が終了される。
【0080】
(実施形態の効果)
(1)電動パワーステアリング装置1は、ステアリング2の動作状態が保舵状態のとき、フィルタ処理を経てモータ抵抗値Rmを算出するモータ抵抗値更新処理を行う。また、前回フィルタ値Rfoldを用いて今回の保舵状態においてのモータ抵抗値Rmを算出し、かつ前回フィルタ値Rfoldを今回の保舵状態において算出されるモータ抵抗値Rmに反映する度合を電流積算値ΣImに基づいて変更するフィルタ値補正処理を行なう。
【0081】
この構成によれば、前回フィルタ値Rfoldを反映して今回の保舵状態におけるモータ抵抗値Rmを算出するため、保舵状態に移行する毎にモータ抵抗値Rmを初期化する構成と比較して、算出するモータ抵抗値Rmと実際のモータ抵抗値との差をより短い期間で小さくすることができる。また、フィルタ処理を経てモータ抵抗値Rmを算出しているため、ノイズ等の影響によりモータ抵抗値Rmが変動することを抑制することができる。
【0082】
(2)直前の回転状態における電流積算値ΣImが大きいとき、すなわち同回転状態においてのモータの運動量が大きいとき、モータ21の動作にともない実際のモータ抵抗値が前回の保舵状態から大きく変化している可能性がある。このため、直前の回転状態においての電流積算値ΣImが大きい場合において、補正係数Gを大きくしたとき、算出されるモータ抵抗値Rmと実際のモータ抵抗値との差が大きくなるおそれがある。
【0083】
電動パワーステアリング装置1では、電流積算値ΣImが大きくなるにつれて補正係数Gを小さくしているため、算出されるモータ抵抗値Rmと実際の抵抗値との差が大きくなることを抑制することができる。
【0084】
(その他の実施形態)
本発明の実施態様は上記実施形態に限られるものではなく、例えば以下に示すように変更することもできる。また以下の各変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0085】
・上記実施形態(図4)では、電流積算値ΣImにより補正係数Gを決定したが、電流積算値ΣImおよび直前の回転期間における以下の(a)〜(g)のパラメータの少なくとも1つにより補正係数Gを決定することもできる。なお、いずれのパラメータを用いる場合においても、値が大きくなるほど、補正係数Gは小さくなる。
(a)モータ電流値Imの極大値または極小値の絶対値。
(b)電流指令値Iaの積算値。
(c)モータ電流値Imのデューティー比の積算値。
(d)モータ電圧値Vmの積算値。
(e)モータ電圧値Vmの極大値または極小値の絶対値。
(f)目標アシスト力の積算値。
(g)直前の回転期間の長さ。
【0086】
・上記実施形態(図3)では、(4)式により算出されるフィルタ値Rfを用いてフィルタ処理を行ったが、モータ抵抗値Rmの平均値をフィルタ値とすることもできる。この場合、直前の回転状態から保舵状態に移行してからモータ抵抗値Rmを更新した旨判定したときは、複数回の過去のモータ抵抗値Rmおよび仮モータ抵抗値Rxの平均値がモータ抵抗値Rmとして算出される。また、直前の回転状態から保舵状態に移行してからモータ抵抗値Rmを更新していない旨判定したときは、前回の保舵期間において算出されたモータ抵抗値Rmに第1の係数を乗算した値と仮モータ抵抗値Rxに第2の係数を乗算した値との和がモータ抵抗値Rmとして算出される。なお、第1の係数と第2の係数の和は「1」とし、電流積算値ΣImの大きさに応じて第1の係数と第2の係数を変更することが好ましい。また、この場合、前回の保舵期間において算出されたモータ抵抗値Rmは「フィルタ値」に相当する。
【0087】
・上記実施形態(図4)では、電流積算値ΣImの下限値として「0」を採用したが、下限値として、「0」よりも大きくかつ上限値ΣIxよりも小さい値を採用することもできる。
【0088】
・上記実施形態(図4)では、電流積算値ΣImが「0」のとき補正係数Gを「1」としたが、補正係数Gを「1」よりも小さくかつ「0」よりも大きい値に変更することもできる。
【0089】
・上記実施形態(図4)では、電流積算値ΣImが下限値としての「0」から上限値ΣIxまでの区間においては電流積算値ΣImが大きくなるほど補正係数Gを直線的に小さくしたが、電流積算値ΣImが下限値としての「0」から上限値ΣIxまでの区間において、電流積算値ΣImが大きくなるにつれて補正係数Gを段階的に大きくすることもできる。
【0090】
・上記実施形態(図4)では、電流積算値ΣImが大きくなるほど補正係数Gを小さくしたが、電流積算値ΣImと補正係数Gとの関係を以下に変更することもできる。
すなわち、電流積算値ΣImはモータ21の温度上昇と相関するとみなし、すなわち電流積算値ΣImが大きくなるほど実際のモータ抵抗値が上昇するとして、電流積算値ΣImが大きくなるほど補正係数Gを大きくする。なお、この場合、モータ21の温度特性に応じてフィルタ値補正マップを規定することが好ましい。
【0091】
・上記実施形態(図3)では、誘起電圧値EXの絶対値が所定値EXAかつモータ電流値Imの絶対値が所定電流値よりも大きいとき、ステアリング2の操舵状態が保舵状態である旨を判定したが、これに代えて、モータ速度ωmが所定の値以下であることに基づいてステアリング2の操舵状態が保舵状態である旨を判定することもできる。また、モータ電流値Imの変化速度が所定の値以下であることに基づいてステアリング2の操舵状態が保舵状態である旨を判定することもできる。
【0092】
・上記実施形態(図3)では、モータ速度ωmを正確に推定するためにモータ抵抗値Rmを更新しているが、更新したモータ抵抗値Rmをモータ速度ωmの推定とは別の演算処理に用いることもできる。
【0093】
・上記実施形態(図1)では、ブラシ付きモータのモータ21を備えているが、これに代えて、ブラシレスモータを備えることもできる。
・上記実施形態(図1)では、電動パワーステアリング装置1の電子制御装置30として本発明を実施したが、モータの抵抗値を算出するモータ制御装置であれば、いずれの装置についても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0094】
1…電動パワーステアリング装置、2…ステアリング、21…モータ、30…電子制御装置、40…マイコン、41…モータ抵抗値更新部、42…モータ速度推定部、50…駆動回路、51…電圧センサ、52…電流センサ、80…基本アシスト制御部、90…トルクシフト制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの抵抗値を算出するモータ制御装置において、
前記モータの誘起電圧値が所定値以下の動作状態を基準動作状態として、前記モータの動作状態が前記基準動作状態のとき、フィルタ処理を経て前記モータの抵抗値を算出する第1処理と、
過去に算出した前記抵抗値に応じて算出される値をフィルタ値として、前回の前記基準動作状態において算出したフィルタ値である前回フィルタ値を用いて今回の前記基準動作状態においての前記抵抗値を算出し、かつ前記前回フィルタ値を前記今回の基準動作状態において算出される前記抵抗値に反映し、かつ反映の度合を所定のパラメータに基づいて変更する第2処理とを行なう
ことを特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ制御装置において、
前記第2処理は、前記モータの誘起電圧値が前記所定値よりも大きい動作状態を変動動作状態として、前記今回の基準動作状態の直前に生じた前記変動動作状態における前記モータの状態を示すパラメータを前記所定のパラメータとして用いる
ことを特徴とするモータ制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載のモータ制御装置において、
前記前回の基準動作状態から前記直前の変動動作状態に移行した時期を変動開始時期とし、前記直前の変動動作状態から前記今回の基準動作状態に移行した時期を変動終了時期とし、前記変動開始時期から前記変動終了時期までの期間を変動期間とし、この変動期間において前記モータに供給された電流値の積算値を電流積算値として、前記所定のパラメータとして同電流積算値を用いる
ことを特徴とするモータ制御装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のモータ制御装置において、
前記所定のパラメータの絶対値が大きくなるにつれて前記反映の度合を小さくする
ことを特徴とするモータ制御装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、
前記所定のパラメータが上限値以上のとき、前記反映の度合を最も小さくする
ことを特徴とするモータ制御装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、
前記所定のパラメータが下限値以下のとき、前記反映の度合を最も大きくする
ことを特徴とするモータ制御装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のモータ制御装置を備える電動パワーステアリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−38856(P2013−38856A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171137(P2011−171137)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】