リニアアクチュエータ及びこれを用いたサスペンション装置
【課題】単相のリニアアクチュエータにおいて、推力特性を向上させる。
【解決手段】2つのコイル13A、13Bを配置した電機子14に、こられのコイル13A、13Bに対向する2つの永久磁石15A、15Bを配置した可動子16を移動可能に挿入する。2つのコイル13A、13B間のコイルピッチτcよりも2つの永久磁石15A、15B間の磁極ピッチτpを大きくする。コイル13A、13Bに位相が180度異なる電流を通電してコア23を磁化し、永久磁石15A、15Bとの間に引力及び斥力を発生させて、可動子16に推力を発生させる。このとき、コイルピッチτcよりも磁極ピッチτpを大きくすることにより、可動子16のストロークによる推力の低下を抑制することができる。
【解決手段】2つのコイル13A、13Bを配置した電機子14に、こられのコイル13A、13Bに対向する2つの永久磁石15A、15Bを配置した可動子16を移動可能に挿入する。2つのコイル13A、13B間のコイルピッチτcよりも2つの永久磁石15A、15B間の磁極ピッチτpを大きくする。コイル13A、13Bに位相が180度異なる電流を通電してコア23を磁化し、永久磁石15A、15Bとの間に引力及び斥力を発生させて、可動子16に推力を発生させる。このとき、コイルピッチτcよりも磁極ピッチτpを大きくすることにより、可動子16のストロークによる推力の低下を抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、鉄道車両等の車両のサスペンション装置に装着されて電磁力によって振動制御を行なうリニアアクチュエータ及びこれを用いたサスペンション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リニアアクチュエータを利用したサスペンション装置が知られている。前記リニアアクチュエータは推力を発生するためのコイルと永久磁石とを有している。前記サスペンション装置では、サスペンション装置の一方側と他方側とに連結部をそれぞれ有しており、前記一方側の連結部と前記コイルとが機械的に一体として動くように構成されており、前記他方側の連結部と前記永久磁石とが機械的に一体として動くように構成されている。前記サスペンション装置の一方側と他方側との連結部に振動が作用すると、前記前記コイルと前記永久磁石との位置関係が相対的に変移する。前記リニアアクチュエータが発生する推力を制御することによって前記一方側と他方側との連結部に作用する振動を抑制することができる。
前記サスペンション装置を利用すれば、車体の振動を抑制し、乗り心地を改善することができる。例えば、単相リニアモータを使用したサスペンション装置が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−286362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コイルと永久磁石とを備えたリニアアクチュエータ、あるいは前記リニアアクチュエータを利用したサスペンションでは、振動抑制のための制御精度の向上が望まれている。そのためには前記リニアアクチュエータの推力特性を向上することが望ましい。
【0005】
本発明は、単相のリニアアクチュエータの推力特性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、複数のコイルを直線状に配置した電機子と、前記複数のコイルに対向させて該コイルと同数の主磁石を直線状に配置し、前記電機子に対して相対直線移動可能な可動子とを備えた単相のリニアアクチュエータであって、
前記主磁石間のピッチを前記コイル間のピッチ以上としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、単相のリニアアクチュエータの推力特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係るリニアアクチュエータの第1実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示すリニアアクチュエータの要部を拡大し、その作動を示す説明図である。
【図3】図1に示すリニアアクチュエータの第1変形例の要部を拡大して示す説明図である。
【図4】図1に示すリニアアクチュエータの第2変形例の要部を拡大して示す説明図である。
【図5】図1に示すリニアアクチュエータの第3変形例の要部を拡大して示す説明図である。
【図6】図5に示すリニアアクチュエータにおいて、電機子のコアが安定点にある状態を示す説明図である。
【図7】図1に示すリニアアクチュエータの第4変形例の要部を拡大して示す説明図である。
【図8】図1に示すリニアアクチュエータの第5変形例の要部を拡大して示す説明図である。
【図9】図1に示すリニアアクチュエータのストロークと推力との関係を示すグラフ図である。
【図10】図1に示すリニアアクチュエータの各通電電流におけるストロークと推力との関係を示すグラフ図である。
【図11】本発明に係るリニアアクチュエータの第2実施形態の各通電電流におけるストロークと推力との関係を示すグラフ図である。
【図12】図1に示すリニアアクチュエータの第6変形例を示す縦断面図である。
【図13】本発明に係るリニアアクチュエータの第2実施形態を示す縦断面図である。
【図14】図13に示すリニアアクチュエータの変形例を示す縦断面図である。
【図15】本発明に係るサスペンション装置の一実施形態を適用した鉄道車両の概略構成を示すブロック図である。
【図16】図15に示す鉄道車両の台車の平面図である。
【図17】図15に示すコントロールユニットの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する各実施形態では、前述の発明が解決しようとする課題の欄や発明の効果の欄に記載した目的や課題さらには発明の効果に止まらず、以下に記載の課題や目的が解決あるいは達成できると共に、以下に説明する効果が得られる。
【0010】
〔推力特性の安定〕
以下に説明する各実施形態では、例えば上記特許文献記載1に記載の技術に比べ、リニアアクチュエータのコイルと永久磁石との相対変移に基づく推力脈動を小さくすることができ、安定した推力特性が得られる。このことは、延いては振動を抑制するための制御精度の向上につながる。
以下の実施形態では、コギングトルクの変動周期に対応するストローク、すなわちコギングトルクのピーク間の長さが長く、抑制すべき振動の多くが前記コギングトルクのピーク間の範囲内に入ることとなり、上記振動の抑制のための推力に及ぼすコギングトルクの影響を少なくできる。
【0011】
〔リニアアクチュエータの推力の増大〕
以下に説明する各実施形態では、コイルを備える鉄心であるコアが振動により永久磁石に対して相対移動しても、前記コア端部が前記永久磁石の外側の鉄心あるいは次の磁石と対向する構造となっている。このため、永久磁石の位置を越えてさらに移動しても、推力の低下が少なく、総合的に見て、大きな推力が得られる。
さらにまた、永久磁石の内径側に磁石より径方向の厚みが厚い鉄心からなるヨークを備えており、永久磁石が発生する磁束の磁気抵抗を小さくでき、大きな推力を得ることができる。
さらに、コイル間に存在するコアの移動軸方向の長さを長くしており、コイルによって作られる磁束の磁気回路が確保でき、大きな推力が得られる。
以下に説明の実施形態では、各コイルの永久磁石側の開口部が大きく、すなわち移動軸方向の開口幅が大きく、磁束の漏れを抑制でき、推力の低下を抑制できる。
【0012】
〔構成の簡素化、あるいは生産性の向上〕
以下の実施形態では、永久磁石を保持する可動子を積層鉄心ではなく、一体構造の鉄心を使用している。振動の周波数が比較的低いため、渦電流値が少ない。このためあえて積層鉄心を使用しなくても渦電流損が少なく、大きな問題とならない。さらに渦電流が流れたとしても、上記渦電流は振動を抑制する作用を為し、この抑制作用は望ましい作用であり、大きな問題とはならない。
以下の実施形態では、リニアアクチュエータを単相交流電流で駆動しているので、駆動回路の簡素化が可能である。またリニアアクチュエータも3相リニアモータに比べ簡素化でき、小型にできる効果が有る。
【0013】
〔放熱性の向上〕
3相リニアモータを用いて動作ストロークが小さい範囲で使用すると、特定の相(たとえばU相)だけが発熱する場合がある。すると、発熱部分が局在化するので放熱性の問題が生じる。しかしながら、以下の実施形態では、単相のリニアアクチュエータを採用しているので、動作ストロークの大きさに関わらず、すべてのコイルが同程度に発熱する。そのため、発熱部分の表面積が大きくなるので、放熱性が向上する。
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明に係るリニアアクチュエータが組込まれたサスペンション装置である横揺れ制振装置を備えた鉄道車両について図15及び図16を参照して説明する。
【0015】
図15及び図16に示すように、鉄道車両1は、車体2に、輪軸3が装着された台車4が取付けられている。台車4は、車体2に対して、鉛直軸回りに回動可能であり、また、上下方向及び左右方向に一定の変位が可能なように連結されており、空気バネ5によって車体2を支持している。車体2と台車4との間には、リニアアクチュエータ6及び減衰力可変ダンパ7が連結されている。リニアアクチュエータ6及び減衰力可変ダンパ7は、車体2に固定された中心ピン8と台車4に固定された支柱9、10との間にそれぞれ結合されており、車体2と台車4との左右方向の変位に対して、リニアアクチュエータ6の推力及び減衰力可変ダンパ7の減衰力が作用するようになっている。
【0016】
車体2には、車体2と台車4間の左右方向の変位を検出するストロークセンサ及び車体2の左右方向の加速度を検出する加速度センサ等の車両状態を検出する各種のセンサ手段11が設けられ、センサ手段11からの入力信号に基づいてリニアアクチュエータ6及び減衰力可変ダンパ7を制御するコントローラ12が設けられている。
【0017】
リニアアクチュエータ6は、通電電流に応じて推力を発生する電磁アクチュエータであり、コントローラ12からの駆動信号に応じて推力を発生する。また、減衰力可変ダンパ7は、ソレノイドバルブ等の減衰力切換弁を有し、通電電流によって減衰力を少なくとも2段階に切換可能な油圧ダンパであり、コントローラ12からの制御信号によって減衰力を切換えることができる。なお、減衰力可変ダンパ7を用いることがコスト、性能面から望ましいが、この代わりに、減衰力が可変でなダンパ、油圧ダンパ以外の形式のダンパを用いてもよく、リニアアクチュエータ6を用いてもよい。
【0018】
コントローラ12は、センサ手段11の検出に基づいて、リニアアクチュエータ6及び減衰力可変ダンパ7の作動を制御して車体の制振を行なう。例えば、低速走行時には、いわゆるパッシブ(制御なし)とし、すなわち、リニアアクチュエータ6を作動させず、減衰力可変ダンパ7の減衰力を高減衰力側に切換え、減衰力可変ダンパ7の減衰力によって車体2の左右方向の振動を減衰する。
【0019】
また、高速走行時には、いわゆるアクティブ制御を実行する。すなわち、減衰力可変ダンパ7の減衰力を低減衰力側に切換え、加速度センサが検出する左右方向の加速度に基づいて、台車4の左右方向の振動を吸収し、また、車体2の左右方向の振動を抑制するようにリニアアクチュエータ6の推力を制御する。これにより、軌道の不整による台車4への外乱の入力及び空力加振による車体2への外乱の入力に対して、車体2の左右方向の振動を抑制して、乗り心地及び走行安定性を高め、高速走行を可能にする。
【0020】
次に、リニアアクチュエータ6の第1の実施形態について、図1乃至図12を参照して説明する。
図1に示すように、リニアアクチュエータ6は、略有底円筒状の第1部材Gと、その内部に設けられて、これと相対移動する第2の部材Hとを有している。前記第1部材Gは少なくとも2つのコイル13Aと13Bとを有するコイル13と、円筒形の軟磁性体、例えば鉄からなるコア23とからなる電機子14を備えている。前記第2の部材Hは、少なくとも2つの永久磁石15Aと15Bとを有する主磁石としての永久磁石15(以後、単に「磁石」と記載する場合がある)と、可動子コアと、を備える可動子16を上記電機子14に対応するようにしてその内側に有している。
【0021】
可動子16を備える略有底円筒状の第2の部材Hを摺動可能に第1の部材Gに挿入して、第2の部材Hの底部側を外部に突出させている。前記第1部材F及び前記第2の部材Hの底部の外側端部には、それぞれ車体2の中心ピン8及び台車4の支柱9に連結するための連結部17、18が設けられている。第1の部材Gの底部の内側には、その中心に沿って延びるガイドロッド19の一端部が結合されており、ガイドロッド19は、可動子16内に摺動可能に挿入され、その先端部に、電機子14と可動子16とのストローク範囲を規制するストッパ20が設けられている。電機子14の先端側の内周部には、可動子16の外周面を摺動可能に案内するベアリング21が設けられ、可動子16の開口側の内周部には、ガイドロッド19の外周面を摺動可能に案内するベアリング22が設けられている。可動子16の永久磁石15が摺動するベアリング21は、望ましくは非磁性体とする。
【0022】
可動子16の中間部に形成された外周溝にリング状の永久磁石15が嵌合されている。永久磁石15は、外周側がN極で内周側がS極である磁石15A(図には外周側がS極であることを示す符号Sが付してある。以下同じ)と、外周側がN極で内周側がS極である磁石15B(図には外周側がN極であることを示す符号Nが付してある。以下同じ)とを軸方向に沿って並べて配置したものである。
【0023】
本実施形態では、永久磁石15Aと15Bとは、その間に可動子コア16Dが存在しているが、以下の実施形態では、永久磁石15Aと15Bとが互いに接している。本実施形態では、可動子16に永久磁石15Aと15Bとを固定する為の2つの溝が設けられ、この溝内に、それぞれリング状の永久磁石を形成するための3分割あるいは4分割された磁石片が嵌め込まれている。本実施形態では、磁石片を溝に挿入してリング状の永久磁石を形成しているので、永久磁石に作用する推力を可動子コアに上記溝の側壁を介して伝達することができる。すなわち永久磁石15Aおよび15Bの両端部のコア部分16A、16B(図2参照)は、磁気回路を構成するだけでなく、永久磁石15に作用する推力を支持する。このため、大きな推力が簡単な構造で可動子16に伝達することができ、その結果、可動子16の耐久性や信頼性を向上させることができる。仮に可動子16の溝を利用して磁石を保持する構造を採用しない場合には、永久磁石15に作用する推力が永久磁石15と可動子16との貼り合わせ部に作用するなどにより、永久磁石15が可動子16から剥がれ易くなり、信頼性が著しく低下する問題がある。さらに回転子16に溝を形成しないで永久磁石を固定する構造では、永久磁石15の端部の磁気回路は、磁気空隙を有することとなり、磁気抵抗が著しく増大し、推力の低下につながる。
【0024】
第1の部材Gの開口側に設けられた電機子14には、可動子16の2つの磁石15A、15Bにそれぞれ対向する2つの内周溝を有する強磁性体の内の軟磁性体からなるコア23が形成されている。コア23と、磁石15A、15Bを備える可動子16との間には一定のクリアランスが設けられている。コア23の内周溝には、円周方向に巻装された2つのコイル13A、13Bがそれぞれ収容され、すなわち、磁石15A、15Bとコイル13A、13Bとがそれぞれ対向するように配置されている。これらのコイル13A、13Bは、電流の位相差が180度としてあり、具体的には、例えば、巻線方向を反対方向とし、あるいは、通電方向が反対となるように回路構成されている。そして、コイル13A、13Bへの通電により、磁界が生じてコア23のコイル13A、13B間の中央部23C、コイル13A側の端部23A及びコイル13B側の端部23Bに磁極が生じ、これらの磁極と磁石15A、15Bとの引力及び斥力によって可動子16に軸方向の推力が生じる。
【0025】
そして、2つの磁石15A、15Bの磁極の中心間の軸方向距離である磁極ピッチτpが2つのコイル13A、13Bの中心間の軸方向距離であるコイルピッチτc以上(τp≧τc)となるようにし、好ましくは、コイルピッチτcと磁極ピッチτpとの比τc:τpを1:1.10より大きく、1:1.50より小さい範囲とする。
【0026】
以上のように構成した本実施形態の作用について次に説明する。
図2(A)乃至(C)を参照して電機子14と可動子16の構成および動作を説明する。図2(A)は電機子14と可動子16の構成を示すと共に、電機子14が有するコイル13Aとコイル13Bに電流が供給された場合のコイル13Aとコイル13Bが発生する磁束を示している。ただし、説明のため、先ずは永久磁石15A、15Bが存在しないものと仮定する。コイル13の電流の向きを変えると磁束の向きが反転する。図2(A)に示す状態では、コイル13Aとコイル13Bが作る磁束は、電機子14のコア23の端部23Aおよび端部23Bから磁束が可動子16のコア部分16Aおよびコア部分16Bにそれぞれ入り、永久磁石15Aあるいは永久磁石15Bの径方向における中心側に位置するヨーク16Cを通り、永久磁石15Aと永久磁石15Bの間のコア部分16Dから再び電機子14のコアの中央部23Cに入り込む。したがって、端部23Aおよび端部23BはN極として作用し、中央部23CはS極として作用する。ここで、実際には、永久磁石15A、15Bが存在するので、N極とS極の間には引力が働く。このため電機子14には、図の左方向に移動させようとする力が働き、同時に可動子16には図の右方向に移動させようとする力が働く。コイル13Aと13Bに流れる電流を逆にすると逆の方向の力が発生する。
【0027】
なお、図示のものでは、電機子14のコアの中央部23Cの移動軸に沿った方向の幅が大きくなる構造をなしているので、コイル13Aと13Bにより発生する磁束が増加しても、磁気飽和しない磁気回路の断面積を確保することができ、大きな推力を発生することができる。
【0028】
図2(B)は、永久磁石15Aおよび15Bが発生する磁束を示している。永久磁石15A、15Bが発生する磁束ΦA、ΦB、ΦCはヨーク16Cを介して流れる。ヨーク16Cを流れる磁束が飽和しないようにヨーク16Cの径方向の幅d2を広くしており、永久磁石の径方向の幅d1より幅d2を大きくしている。図2(B)で永久磁石15Aの右側の端部である一方端の外側に強磁性材からなるコア部分16Aが設けられているので、磁束ΦAは大きな値を有する。また、同様にコア部分16Bが設けられているので、磁束ΦBは大きな値を有する。このため、大きな推力が発生する。なお、図2(B)の磁束は模式的に表現しており、電機子14のコア23のコイル挿入溝の形状などにより、実際には、より複雑に変化している。
【0029】
図2(C)は電機子14のコアの組立て時の形状を示す。電機子14のコアは、円筒形状を成しており、内側にスロットを形成する溝を有し、この溝内にコイル13を収容している。生産性を向上する為に、電機子14のコアは、端部23Aと外周部23Dとからなる第1コア部材と、端部23Bと外周部23Eとからなる第2コア部材と、中央部23Cを有する第3コア部材とからなる。第1コア部材と第2コア部材とは、同じ構造であり、共用でき、生産性が向上する。第1コア部材と第2コア部材とに、コイルをそれぞれ嵌めた後、第3部材を介してこれらを一体に固定する。
【0030】
電機子14のコアおよび可動子16のコアは、積層コアではなく、一体の強磁性材である鉄系の金属で作られており、磁束の変化に応じて渦電流が流れるが、振動の周波数が低い為、コア内に発生する渦電流の値が小さく、とくに問題とならない。また、この渦電流は、振動を抑制する方向に作用するので、仮に電流が流れても、振動を抑制する効果を奏することになる。
【0031】
可動子16は、電流の向きにより、推力の方向を変えることができ、また、電流の大きさにより、推力の大きさを調整することができるので、制御が容易であり、コントローラ12の負担を軽減することができる。また、2つのコイル13A、13Bには、常時均等に電流が流れることになるので、コイル13A、13Bの発熱も均一となり、一部のコイルに大きな負荷がかかることがない。
【0032】
上記第1実施形態の第1変形例として、図3に示すように、コイル13を収容するコア23の両側の端部23A、23Bを軸方向に長さAだけ増大して端部コア24A、24Bを設けることにより、コア23の移動によって生じる端部効果といわれる推力の低下及び変動を抑制して安定した推力を得ることができる。
【0033】
また、第2変形例として、図4に示すように、2つの磁石15A、15Bのそれぞれに隣接して、極性の異なる補助磁石115A、115Bを設けることにより、コア23が図4に示す中心位置から左右に移動した場合に、コア23の両側の端部23A、23Bに作用する磁力を補助磁石115A、115Bによって補うことができ、推力を増大させることができる。コイル13に一定の電流を通電した場合の推力比とストロークとの関係を図9に示す。図9において、曲線(1)は、補助磁石なしの場合を示し、曲線(2)は、軸方向長さLが磁極ピッチτpの2分の1(L=1/2・τp)の補助磁石115A、115Bを設けた場合を示している。図9からわかるように、補助磁石115A、115Bを設けることにより、ストローク全域にわたって推力を約1.2倍に増大させることができる。
【0034】
なお、「補助磁石」とは、主磁石の軸方向に沿った延長方向の位置であって、コア23が一方に変位した場合におけるコア23の一方の端部と軸方向位置が重なる位置に設けられた磁力部材(永久磁石などの磁界を発生する部材)である。例えば、図4に示されるように、補助磁石115Aは、主磁石15Aに隣接している。また、コア23が図中右方向に変位した場合(図6参照)における端部23Aと軸方向位置が重なる位置に設けられている。通常の使用状態では、主磁石15A、15Bには常時コイル13A、13Bが対向し続けるが、補助磁石には、コイルが対向するときと、しないときかが生じる点で、主磁石と補助磁石はその役割が異なる。
115A115B
【0035】
次に、コイルピッチτcと磁極ピッチτpとの比τc:τpによるストロークに対する推力の変化について、図9を参照して説明する。図9において、曲線(2)、(3)、(4)、(5)は、補助磁石115A、115Bを設けた状態で、コイルピッチτcと磁極ピッチτpとの比τc:τpをそれぞれ1:1.00、1:1.15、1:1.25、1:0.85とした場合を示している。
【0036】
図9からわかるように、コイルピッチτcと磁極ピッチτpとの比τc:τpを1:1.00とした場合に対して、磁極ピッチτpの比を小さくすると(曲線(5)参照)、ストローク全域にわたってほぼ同様に推力が低下する。これに対して、コイルピッチτcに対する磁極ピッチτpの比を大きくするほど(曲線(2)乃至(4)参照)、推力のピーク値(最大値)は低下するが、ストロークの増大に伴なう推力の低下が小さくなり、1:1.25とした場合には、±15mmのストローク範囲(これは、サスペンションの通常ストローク範囲に対応している)において、ほぼ一定の推力を得ることができる。これは、磁極ピッチτpをコイルピッチτcよりも大きくすると、コア23の端部23A、23Bに推力を打消す方向の引力及び斥力が発生するためである。そして、磁極ピッチτpが1.50を超えると、推力の低下が大きくなるので、コイルピッチτcと磁極ピッチτpとの比τc:τpは、1:1.10〜1:1.50であることが好ましい。このようにして、ストロークに対する推力の変動を小さくすることにより、コイル13への通電による推力の制御を容易に行なうことが可能になる。
【0037】
上記第1実施形態の第3変形例として、図5に示すように、コア23の内周部を軸方向に沿ってコイル13側に延ばして、コイル13の内周面の軸方向両端部を覆う突出部25を設け、突出部25によってコイル13を径方向に保持するようにしてもよい。これにより、突出部25によってコイル13の保持を確実にすると共に、コイル13と永久磁石15との接触を防止して、これらのクリアランスを一定に維持することができる。また、突出部25により、磁石15に対向するコア23の面積を増大させることができ、磁気飽和を緩和して推力を増大させることができる。なお、図8は、図5に示す第3変形例において、磁極ピッチτpをコイルピッチτcよりも大きくした第5変形例を示している。
【0038】
上記第1実施形態の第3変形例においては、永久磁石15とコア23との間に、引力及び斥力が作用する結果、コア23は、図6に示すように、コア23の中央部23Cの中心が一方の磁石15A又は磁石15Bの中心に対向する位置(図6では磁石15Aに対向する場合を示す)である安定点に移動しようとする。コア23がこの安定点にある状態では、コイル13が発生する磁界によってコア23の各部に生じる磁極と永久磁石15の各部の磁極との間に生じる引力及び斥力は、これらの径方向のみに作用し、軸方向に作用しないので、コイル13への通電電流によって推力を発生させることができない。また、コイル13の非通電時には、永久磁石15の引力がコア23の中心部23Cに作用することにより、コア23は、安定点に移動しようとする。
【0039】
そこで、第4変形例として、図7に示すように、コイル13A、13Bのそれぞれの両側に対向する一方の突起部25Aの形状を変えてコア23を磁気的に非対称とした。これにより、非通電時の安定点が、コア23の中央部23Cと磁石15A又は磁石15Bの中心とが重なる位置からずれるため、通電時に推力を発生させることができる。
【0040】
上述の第1実施形態では、コイル13及び永久磁石15は、2つずつ設けられているが、第6変形例として、図12に示すように3つずつ、あるいは、4つ以上ずつ設けてもよく、また、2つずつ設けたものを複数組合わせてもよい。
【0041】
次に、本発明に係るリニアアクチュエータの第2実施形態について、図10、図11、図13及び図14を参照して説明する。なお、以下の説明において、図1に示すものに対して、同様の部分には同一の符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0042】
図13に示す実施形態では、ストッパ20はバネ受を兼ね、ストッパ20と可動子16の底部との間及びベアリング22が取付られた開口部との間に付勢手段としてコイルバネからなるバネ26、27が介装されている。バネ26、27は、そのバネ力をストッパ20に作用させて、コイル13への非通電時において、コア23の中央部23Cの中心が永久磁石15A、15Bの間に配置されるようにしている。
【0043】
ここで、コイル13への通電電流が0A(アンペア)、10A、20A、−10A、−20Aの各電流値において、磁界によって生じる推力とストロークとの関係は図10に示すようになる。なお、本実施形態では、磁極ピッチτp(永久磁石15A、15Bの軸方向長さ)を80mmとしており、推力が0となる安定点は、永久磁石15A、15Bの中心すなわちストローク中心から±40mmの位置にある。この場合、コイル13への非通電時(0A)には、永久磁石15A、15Bの極性が切換るストローク中心では、推力は0となるが、その位置から僅かにずれることにより、推力が発生して安定点へ移動することになる。
【0044】
これに対して、バネ26、27のバネ力によって、コイル13への非通電時の推力を打消すようにバネ力を作用させて、コア23をストローク中心へ付勢することにより、磁界によって生じる推力とストロークとの関係は図11に示すようになる。これにより、非通電時には、可動子16をストローク中心に保持することができ、サスペンション装置への取付けを容易に行うことができる。そして、取付後においては、サスペンション装置を中立位置で安定させることができる。また、通電時においては、各ストローク位置において、通電電流に応じた推力を発生させることができる。なお、バネ26、27は、磁界による推力の特性に応じて、適宜、非線形な特性を持ったバネを用いるとよい。
【0045】
上記第2実施形態の変形例として、図14に示すように、2つのバネ26、27の代わりに、可動子16の底部から開口側のベアリング22まで延びる1つのバネ28を設け、ストッパ20の外周部の形状をバネ28の螺旋形状に合せて、これをバネ28の線材のピッチ間に挿入するようにしてもよい。この場合、ストッパ20は、回転させることによってバネ28の螺旋形状に沿って軸方向に移動させることできるので、容易にストローク中心の位置を調整することができる。なお、図14において、図13のものと同様の部分には同一の符号が付してある。
【0046】
上記第2実施形態では、付勢手段としてコイルバネを内蔵しているが、このバネは、図13、図14に示したバネ設置方法の他に、コイルバネを引張り方向にも用いるようにしてコイルバネの個数を減らしてもよい。また、コイルバネの代わりにねじりバネ、皿バネ、空気バネ、あるいはバネ性を持ったゴム、NBR等を適宜用いてもよい。
【0047】
また、付勢手段の搭載位置は、図13、図14に示した実施例では内蔵しているが、電機子14と可動子16との間に設けられていれば外部であっても構わない。例えば、車体2を支持する空気バネ5に、リニアアクチュエータ6の動作方向と平行な方向(図15では左右方向)に上記コイルバネと同様なバネ特性を持たせることにより、コイルバネを省略することができる。
【0048】
また、コイルバネの代わりに、付勢手段としての2つ目のリニアアクチュエータ6を、例えば中心ピン8に対して対向して設置してもよい(図15、図16の減衰力可変ダンパ7の位置に2つ目のリニアアクチュエータ6を設置し、両リニアアクチュエータ6の可動子16をそれぞれ中心ピン8に接続する)。
【0049】
リニアアクチュエータ6単体では図10に示すような特性を持っているが、リニアアクチュエータ6を対向させて平行に設置することにより、各々の非線形なリニアアクチュエータ6の推力特性を打ち消すように作用させることが出来る。
この場合、減衰力可変ダンパ7は別に設置する。または、リニアアクチュエータ6をパッシブに発電機として動作させる際に発生する減衰力が必要十分な場合には、減衰力可変ダンパ7は設置しなくともよい。
【0050】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。例えば図10の特性を持つリニアアクチュエータを鉄道車両の横揺れ制振装置に適用した場合、ストローク中心位置より±40mm以上のストローク領域では発生推力が反転するという課題がある。これは、±40mmを超えた場合、反対方向の推力が発生し、車体を制振するのではなく、加振してしまい、走行時の乗り心地を悪くするおそれがある。
【0051】
そこで、本実施形態では、コイル間のピッチτcを所定の制御領域Lよりも広くなるように構成した。すなわちコイルピッチτcと磁極ピッチτp、所定の制御領域Lの関係は、「所定の制御領域L≦コイルピッチτc≦磁極ピッチτp」となる。
例えば、図10の特性を持つリニアアクチュエータを用いた場合、制御範囲をストローク中心位置から±20mm(合計40mm)とすれば、磁極ピッチτpは、前記の通り80mmであるため、コイルピッチτcは、「所定の制御領域L40mm≦コイルピッチτc≦磁極ピッチτp80mm」である。ここで、所定の制御範囲Lやコイルピッチτc、磁極ピッチτpは任意でよく、「所定の制御領域L≦コイルピッチτc≦磁極ピッチτp」の関係を満足していればよい。
【0052】
本実施形態により所定の制御領域Lとリニアアクチュエータのコイルピッチτc、磁極ピッチτpを定義することにより、所定の制御領域L内においては推力の反転が構造的に防止され、車体が加振するのを防ぎ、乗り心地の悪化を低減することが可能となる。
なお、上記第1乃至第3実施形態では、磁石として永久磁石を用いた場合について説明しているが、磁石として電磁石を用いることもできる。しかしながら、磁石への配線が不要であり、簡単な構造で高出力が得られることから、磁石としては永久磁石を用いることが望ましい。
【0053】
また、上記第1乃至第3実施形態では、本発明のリニアアクチュエータを鉄道車両の横揺れ制振装置に適用した場合について説明しているが、本発明のリニアアクチュエータは、これに限らず、上下方向の振動に対するサスペンション装置、自動車のサスペンション装置等、他のサスペンション装置にも適用することができる。
【0054】
図17は、上述の電機子14が有するコイル13Aおよび13Bへ単相交流電流を供給するためのコントロールユニット12の構成を示している。端子1296および1298は、車両に搭載された直流電源から直流電力を受けるための端子である。リレー1288およびリレー1282が投入状態にある場合に、直流電力は平滑用のコンデンサ1280に供給される。インバータ回路1260は、ブリッジ状に接続されたスイッチング素子1262、1264、1266、1268を有している。これらのスイッチング素子はMOSトランジスタ、あるいはIGBTである。なお、MOSトランジスタを使用する場合には、並列に接続されているダイオードは不要となる。
【0055】
上記スイッチング素子1262と1266は、インバータ回路の上アームを構成し、上記スイッチング素子1264と1268は、インバータ回路の下アームを構成する。ここで、上記端子1296は正極側の端子であり、上記端子1298は負極側端子である。上記上アームと下アームのスイッチング素子のスイッチング動作を制御することにより、単相交流電流が、端子1292と1294とを介して上述のコイル13Aと13Bに供給される。コイル13Aと13Bは、直列に接続されているが、巻回の方向が逆になっている。
【0056】
上記リレーおよびスイッチング素子は、駆動部1210により駆動される。前記駆動部1210は、入出力回路1212と制御回路1214とリレー駆動回路1234と素子駆動回路1232を備えている。また、コントロールユニット12は、センサあるいは他の制御回路と信号の送受信を行う為の端子1202を有している。前記制御回路1214はマイクロプロセッサを備えていて、プログラムを実行することにより動作するが、その動作を機能別に分けると、リレー制御回路1226と振動抑制回路1216と減衰制御回路1218を備えることとなる。
【0057】
鉄道車両1などの制御開始時に、異常の有無が診断され、正常であればリレー1288が投入される。リレー1282を投入すると、充電されていない状態ではコンデンサ1280に大電流が流れ込むので、先ず初めにリレー1284が投入され、抵抗1286を介してコンデンサ1280に充電電流が供給される。コンデンサ1280に所定時間充電電流が供給されると、次にリレー1282が投入され、リレー1284が開放される。このような動作により、コンデンサ1280が直流電源およびインバータ回路1260に対して並列に接続された状態となり、インバータ回路1260には直流電流が供給される。上記一連のリレーの動作は、リレー制御回路1226が制御指令を出し、リレー駆動回路1234が上記制御指令に基づいてリレーを駆動、制御する。なお、もし異常が検出されると、安全のためにリレー1288が開放され、減衰制御回路1281が動作して、上アーム1262と1266とをオフ状態とすると共に、その後、下アーム1264と1268をオン状態とするように素子駆動回路1232から駆動信号を各素子に供給する。この結果、振動に基づいてコイル13Aとコイル13Bとに発生する誘起電圧に基づき、コイル13Aとコイル13Bとに短絡電流が流れ、振動を減衰する方向に電機子14および移動子16との間に力が発生する。下アームの素子をデューティ制御することにより、導通割合を制御することができ、上記減衰状態を制御できる。オンの割合を100%とすると大きな電流が流れ、減衰動作が強くなる。下アームの導通状態であるオンの割合を少なくすることで、減衰割合を少なくできる。このような制御により、異常時の安全性を向上できる。なおこの明細書でオンとは素子が導通する動作を表し、オフとは素子が非導通状態となる動作を表している。
【0058】
鉄道車両1が振動の大きい状態で走行している場合、例えば鉄道車両1が山間の曲がりくねった軌道を走行している場合、振動の状態を検出するセンサから端子1202を介して振動の状態を表す信号が、時々刻々送られてくる。この信号に基づき、振動抑制回路1216が振動抑制の為の推力を発生するようにコイル13Aとコイル13Bとに供給する電流を、短周期で繰り返し演算し、演算結果に基づき、上記コイル13Aとコイル13Bとに供給する単相交流電流を発生する為の制御信号を素子駆動回路1232に供給する。素子駆動回路1232は振動抑制回路1216からの制御信号に基づきスイッチング素子1262乃至1268のスイッチング動作をそれぞれ制御し、単相交流電流を発生し、端子1292および1294を介してコイル13Aとコイル13Bとに供給する。
【0059】
また、鉄道車両1が比較的振動の少ない状態で走行している場合、前記振動抑制回路1216を動作させるのではなく、減衰制御回路1281を動作させ、上アーム1262と1266とをオフ状態とすると共にその後下アーム1264と1268をオン状態とするように素子駆動回路1232から駆動信号を各素子に供給する。この結果、振動に基づいてコイル13Aとコイル13Bとに発生する誘起電圧に基づき、コイル13Aとコイル13Bとに短絡電流が流れ、振動を減衰する方向に電機子14および移動子16との間に力が発生する。上記減衰状態は、下アームの素子をオンデューティの制御により、上記短絡電流の導通割合を制御することで、制御できる。
このように制御することで、運転状態に応じた振動の抑制が可能となる。上記振動の抑制は、鉄道車両だけでなく、自動車の車体の振動抑制にも使用できる。
【符号の説明】
【0060】
6 リニアアクチュエータ、13 コイル、14 電機子、15 永久磁石(主磁石)、16 可動子、τc コイルピッチ、τp 磁極ピッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、鉄道車両等の車両のサスペンション装置に装着されて電磁力によって振動制御を行なうリニアアクチュエータ及びこれを用いたサスペンション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リニアアクチュエータを利用したサスペンション装置が知られている。前記リニアアクチュエータは推力を発生するためのコイルと永久磁石とを有している。前記サスペンション装置では、サスペンション装置の一方側と他方側とに連結部をそれぞれ有しており、前記一方側の連結部と前記コイルとが機械的に一体として動くように構成されており、前記他方側の連結部と前記永久磁石とが機械的に一体として動くように構成されている。前記サスペンション装置の一方側と他方側との連結部に振動が作用すると、前記前記コイルと前記永久磁石との位置関係が相対的に変移する。前記リニアアクチュエータが発生する推力を制御することによって前記一方側と他方側との連結部に作用する振動を抑制することができる。
前記サスペンション装置を利用すれば、車体の振動を抑制し、乗り心地を改善することができる。例えば、単相リニアモータを使用したサスペンション装置が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−286362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コイルと永久磁石とを備えたリニアアクチュエータ、あるいは前記リニアアクチュエータを利用したサスペンションでは、振動抑制のための制御精度の向上が望まれている。そのためには前記リニアアクチュエータの推力特性を向上することが望ましい。
【0005】
本発明は、単相のリニアアクチュエータの推力特性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、複数のコイルを直線状に配置した電機子と、前記複数のコイルに対向させて該コイルと同数の主磁石を直線状に配置し、前記電機子に対して相対直線移動可能な可動子とを備えた単相のリニアアクチュエータであって、
前記主磁石間のピッチを前記コイル間のピッチ以上としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、単相のリニアアクチュエータの推力特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係るリニアアクチュエータの第1実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示すリニアアクチュエータの要部を拡大し、その作動を示す説明図である。
【図3】図1に示すリニアアクチュエータの第1変形例の要部を拡大して示す説明図である。
【図4】図1に示すリニアアクチュエータの第2変形例の要部を拡大して示す説明図である。
【図5】図1に示すリニアアクチュエータの第3変形例の要部を拡大して示す説明図である。
【図6】図5に示すリニアアクチュエータにおいて、電機子のコアが安定点にある状態を示す説明図である。
【図7】図1に示すリニアアクチュエータの第4変形例の要部を拡大して示す説明図である。
【図8】図1に示すリニアアクチュエータの第5変形例の要部を拡大して示す説明図である。
【図9】図1に示すリニアアクチュエータのストロークと推力との関係を示すグラフ図である。
【図10】図1に示すリニアアクチュエータの各通電電流におけるストロークと推力との関係を示すグラフ図である。
【図11】本発明に係るリニアアクチュエータの第2実施形態の各通電電流におけるストロークと推力との関係を示すグラフ図である。
【図12】図1に示すリニアアクチュエータの第6変形例を示す縦断面図である。
【図13】本発明に係るリニアアクチュエータの第2実施形態を示す縦断面図である。
【図14】図13に示すリニアアクチュエータの変形例を示す縦断面図である。
【図15】本発明に係るサスペンション装置の一実施形態を適用した鉄道車両の概略構成を示すブロック図である。
【図16】図15に示す鉄道車両の台車の平面図である。
【図17】図15に示すコントロールユニットの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する各実施形態では、前述の発明が解決しようとする課題の欄や発明の効果の欄に記載した目的や課題さらには発明の効果に止まらず、以下に記載の課題や目的が解決あるいは達成できると共に、以下に説明する効果が得られる。
【0010】
〔推力特性の安定〕
以下に説明する各実施形態では、例えば上記特許文献記載1に記載の技術に比べ、リニアアクチュエータのコイルと永久磁石との相対変移に基づく推力脈動を小さくすることができ、安定した推力特性が得られる。このことは、延いては振動を抑制するための制御精度の向上につながる。
以下の実施形態では、コギングトルクの変動周期に対応するストローク、すなわちコギングトルクのピーク間の長さが長く、抑制すべき振動の多くが前記コギングトルクのピーク間の範囲内に入ることとなり、上記振動の抑制のための推力に及ぼすコギングトルクの影響を少なくできる。
【0011】
〔リニアアクチュエータの推力の増大〕
以下に説明する各実施形態では、コイルを備える鉄心であるコアが振動により永久磁石に対して相対移動しても、前記コア端部が前記永久磁石の外側の鉄心あるいは次の磁石と対向する構造となっている。このため、永久磁石の位置を越えてさらに移動しても、推力の低下が少なく、総合的に見て、大きな推力が得られる。
さらにまた、永久磁石の内径側に磁石より径方向の厚みが厚い鉄心からなるヨークを備えており、永久磁石が発生する磁束の磁気抵抗を小さくでき、大きな推力を得ることができる。
さらに、コイル間に存在するコアの移動軸方向の長さを長くしており、コイルによって作られる磁束の磁気回路が確保でき、大きな推力が得られる。
以下に説明の実施形態では、各コイルの永久磁石側の開口部が大きく、すなわち移動軸方向の開口幅が大きく、磁束の漏れを抑制でき、推力の低下を抑制できる。
【0012】
〔構成の簡素化、あるいは生産性の向上〕
以下の実施形態では、永久磁石を保持する可動子を積層鉄心ではなく、一体構造の鉄心を使用している。振動の周波数が比較的低いため、渦電流値が少ない。このためあえて積層鉄心を使用しなくても渦電流損が少なく、大きな問題とならない。さらに渦電流が流れたとしても、上記渦電流は振動を抑制する作用を為し、この抑制作用は望ましい作用であり、大きな問題とはならない。
以下の実施形態では、リニアアクチュエータを単相交流電流で駆動しているので、駆動回路の簡素化が可能である。またリニアアクチュエータも3相リニアモータに比べ簡素化でき、小型にできる効果が有る。
【0013】
〔放熱性の向上〕
3相リニアモータを用いて動作ストロークが小さい範囲で使用すると、特定の相(たとえばU相)だけが発熱する場合がある。すると、発熱部分が局在化するので放熱性の問題が生じる。しかしながら、以下の実施形態では、単相のリニアアクチュエータを採用しているので、動作ストロークの大きさに関わらず、すべてのコイルが同程度に発熱する。そのため、発熱部分の表面積が大きくなるので、放熱性が向上する。
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明に係るリニアアクチュエータが組込まれたサスペンション装置である横揺れ制振装置を備えた鉄道車両について図15及び図16を参照して説明する。
【0015】
図15及び図16に示すように、鉄道車両1は、車体2に、輪軸3が装着された台車4が取付けられている。台車4は、車体2に対して、鉛直軸回りに回動可能であり、また、上下方向及び左右方向に一定の変位が可能なように連結されており、空気バネ5によって車体2を支持している。車体2と台車4との間には、リニアアクチュエータ6及び減衰力可変ダンパ7が連結されている。リニアアクチュエータ6及び減衰力可変ダンパ7は、車体2に固定された中心ピン8と台車4に固定された支柱9、10との間にそれぞれ結合されており、車体2と台車4との左右方向の変位に対して、リニアアクチュエータ6の推力及び減衰力可変ダンパ7の減衰力が作用するようになっている。
【0016】
車体2には、車体2と台車4間の左右方向の変位を検出するストロークセンサ及び車体2の左右方向の加速度を検出する加速度センサ等の車両状態を検出する各種のセンサ手段11が設けられ、センサ手段11からの入力信号に基づいてリニアアクチュエータ6及び減衰力可変ダンパ7を制御するコントローラ12が設けられている。
【0017】
リニアアクチュエータ6は、通電電流に応じて推力を発生する電磁アクチュエータであり、コントローラ12からの駆動信号に応じて推力を発生する。また、減衰力可変ダンパ7は、ソレノイドバルブ等の減衰力切換弁を有し、通電電流によって減衰力を少なくとも2段階に切換可能な油圧ダンパであり、コントローラ12からの制御信号によって減衰力を切換えることができる。なお、減衰力可変ダンパ7を用いることがコスト、性能面から望ましいが、この代わりに、減衰力が可変でなダンパ、油圧ダンパ以外の形式のダンパを用いてもよく、リニアアクチュエータ6を用いてもよい。
【0018】
コントローラ12は、センサ手段11の検出に基づいて、リニアアクチュエータ6及び減衰力可変ダンパ7の作動を制御して車体の制振を行なう。例えば、低速走行時には、いわゆるパッシブ(制御なし)とし、すなわち、リニアアクチュエータ6を作動させず、減衰力可変ダンパ7の減衰力を高減衰力側に切換え、減衰力可変ダンパ7の減衰力によって車体2の左右方向の振動を減衰する。
【0019】
また、高速走行時には、いわゆるアクティブ制御を実行する。すなわち、減衰力可変ダンパ7の減衰力を低減衰力側に切換え、加速度センサが検出する左右方向の加速度に基づいて、台車4の左右方向の振動を吸収し、また、車体2の左右方向の振動を抑制するようにリニアアクチュエータ6の推力を制御する。これにより、軌道の不整による台車4への外乱の入力及び空力加振による車体2への外乱の入力に対して、車体2の左右方向の振動を抑制して、乗り心地及び走行安定性を高め、高速走行を可能にする。
【0020】
次に、リニアアクチュエータ6の第1の実施形態について、図1乃至図12を参照して説明する。
図1に示すように、リニアアクチュエータ6は、略有底円筒状の第1部材Gと、その内部に設けられて、これと相対移動する第2の部材Hとを有している。前記第1部材Gは少なくとも2つのコイル13Aと13Bとを有するコイル13と、円筒形の軟磁性体、例えば鉄からなるコア23とからなる電機子14を備えている。前記第2の部材Hは、少なくとも2つの永久磁石15Aと15Bとを有する主磁石としての永久磁石15(以後、単に「磁石」と記載する場合がある)と、可動子コアと、を備える可動子16を上記電機子14に対応するようにしてその内側に有している。
【0021】
可動子16を備える略有底円筒状の第2の部材Hを摺動可能に第1の部材Gに挿入して、第2の部材Hの底部側を外部に突出させている。前記第1部材F及び前記第2の部材Hの底部の外側端部には、それぞれ車体2の中心ピン8及び台車4の支柱9に連結するための連結部17、18が設けられている。第1の部材Gの底部の内側には、その中心に沿って延びるガイドロッド19の一端部が結合されており、ガイドロッド19は、可動子16内に摺動可能に挿入され、その先端部に、電機子14と可動子16とのストローク範囲を規制するストッパ20が設けられている。電機子14の先端側の内周部には、可動子16の外周面を摺動可能に案内するベアリング21が設けられ、可動子16の開口側の内周部には、ガイドロッド19の外周面を摺動可能に案内するベアリング22が設けられている。可動子16の永久磁石15が摺動するベアリング21は、望ましくは非磁性体とする。
【0022】
可動子16の中間部に形成された外周溝にリング状の永久磁石15が嵌合されている。永久磁石15は、外周側がN極で内周側がS極である磁石15A(図には外周側がS極であることを示す符号Sが付してある。以下同じ)と、外周側がN極で内周側がS極である磁石15B(図には外周側がN極であることを示す符号Nが付してある。以下同じ)とを軸方向に沿って並べて配置したものである。
【0023】
本実施形態では、永久磁石15Aと15Bとは、その間に可動子コア16Dが存在しているが、以下の実施形態では、永久磁石15Aと15Bとが互いに接している。本実施形態では、可動子16に永久磁石15Aと15Bとを固定する為の2つの溝が設けられ、この溝内に、それぞれリング状の永久磁石を形成するための3分割あるいは4分割された磁石片が嵌め込まれている。本実施形態では、磁石片を溝に挿入してリング状の永久磁石を形成しているので、永久磁石に作用する推力を可動子コアに上記溝の側壁を介して伝達することができる。すなわち永久磁石15Aおよび15Bの両端部のコア部分16A、16B(図2参照)は、磁気回路を構成するだけでなく、永久磁石15に作用する推力を支持する。このため、大きな推力が簡単な構造で可動子16に伝達することができ、その結果、可動子16の耐久性や信頼性を向上させることができる。仮に可動子16の溝を利用して磁石を保持する構造を採用しない場合には、永久磁石15に作用する推力が永久磁石15と可動子16との貼り合わせ部に作用するなどにより、永久磁石15が可動子16から剥がれ易くなり、信頼性が著しく低下する問題がある。さらに回転子16に溝を形成しないで永久磁石を固定する構造では、永久磁石15の端部の磁気回路は、磁気空隙を有することとなり、磁気抵抗が著しく増大し、推力の低下につながる。
【0024】
第1の部材Gの開口側に設けられた電機子14には、可動子16の2つの磁石15A、15Bにそれぞれ対向する2つの内周溝を有する強磁性体の内の軟磁性体からなるコア23が形成されている。コア23と、磁石15A、15Bを備える可動子16との間には一定のクリアランスが設けられている。コア23の内周溝には、円周方向に巻装された2つのコイル13A、13Bがそれぞれ収容され、すなわち、磁石15A、15Bとコイル13A、13Bとがそれぞれ対向するように配置されている。これらのコイル13A、13Bは、電流の位相差が180度としてあり、具体的には、例えば、巻線方向を反対方向とし、あるいは、通電方向が反対となるように回路構成されている。そして、コイル13A、13Bへの通電により、磁界が生じてコア23のコイル13A、13B間の中央部23C、コイル13A側の端部23A及びコイル13B側の端部23Bに磁極が生じ、これらの磁極と磁石15A、15Bとの引力及び斥力によって可動子16に軸方向の推力が生じる。
【0025】
そして、2つの磁石15A、15Bの磁極の中心間の軸方向距離である磁極ピッチτpが2つのコイル13A、13Bの中心間の軸方向距離であるコイルピッチτc以上(τp≧τc)となるようにし、好ましくは、コイルピッチτcと磁極ピッチτpとの比τc:τpを1:1.10より大きく、1:1.50より小さい範囲とする。
【0026】
以上のように構成した本実施形態の作用について次に説明する。
図2(A)乃至(C)を参照して電機子14と可動子16の構成および動作を説明する。図2(A)は電機子14と可動子16の構成を示すと共に、電機子14が有するコイル13Aとコイル13Bに電流が供給された場合のコイル13Aとコイル13Bが発生する磁束を示している。ただし、説明のため、先ずは永久磁石15A、15Bが存在しないものと仮定する。コイル13の電流の向きを変えると磁束の向きが反転する。図2(A)に示す状態では、コイル13Aとコイル13Bが作る磁束は、電機子14のコア23の端部23Aおよび端部23Bから磁束が可動子16のコア部分16Aおよびコア部分16Bにそれぞれ入り、永久磁石15Aあるいは永久磁石15Bの径方向における中心側に位置するヨーク16Cを通り、永久磁石15Aと永久磁石15Bの間のコア部分16Dから再び電機子14のコアの中央部23Cに入り込む。したがって、端部23Aおよび端部23BはN極として作用し、中央部23CはS極として作用する。ここで、実際には、永久磁石15A、15Bが存在するので、N極とS極の間には引力が働く。このため電機子14には、図の左方向に移動させようとする力が働き、同時に可動子16には図の右方向に移動させようとする力が働く。コイル13Aと13Bに流れる電流を逆にすると逆の方向の力が発生する。
【0027】
なお、図示のものでは、電機子14のコアの中央部23Cの移動軸に沿った方向の幅が大きくなる構造をなしているので、コイル13Aと13Bにより発生する磁束が増加しても、磁気飽和しない磁気回路の断面積を確保することができ、大きな推力を発生することができる。
【0028】
図2(B)は、永久磁石15Aおよび15Bが発生する磁束を示している。永久磁石15A、15Bが発生する磁束ΦA、ΦB、ΦCはヨーク16Cを介して流れる。ヨーク16Cを流れる磁束が飽和しないようにヨーク16Cの径方向の幅d2を広くしており、永久磁石の径方向の幅d1より幅d2を大きくしている。図2(B)で永久磁石15Aの右側の端部である一方端の外側に強磁性材からなるコア部分16Aが設けられているので、磁束ΦAは大きな値を有する。また、同様にコア部分16Bが設けられているので、磁束ΦBは大きな値を有する。このため、大きな推力が発生する。なお、図2(B)の磁束は模式的に表現しており、電機子14のコア23のコイル挿入溝の形状などにより、実際には、より複雑に変化している。
【0029】
図2(C)は電機子14のコアの組立て時の形状を示す。電機子14のコアは、円筒形状を成しており、内側にスロットを形成する溝を有し、この溝内にコイル13を収容している。生産性を向上する為に、電機子14のコアは、端部23Aと外周部23Dとからなる第1コア部材と、端部23Bと外周部23Eとからなる第2コア部材と、中央部23Cを有する第3コア部材とからなる。第1コア部材と第2コア部材とは、同じ構造であり、共用でき、生産性が向上する。第1コア部材と第2コア部材とに、コイルをそれぞれ嵌めた後、第3部材を介してこれらを一体に固定する。
【0030】
電機子14のコアおよび可動子16のコアは、積層コアではなく、一体の強磁性材である鉄系の金属で作られており、磁束の変化に応じて渦電流が流れるが、振動の周波数が低い為、コア内に発生する渦電流の値が小さく、とくに問題とならない。また、この渦電流は、振動を抑制する方向に作用するので、仮に電流が流れても、振動を抑制する効果を奏することになる。
【0031】
可動子16は、電流の向きにより、推力の方向を変えることができ、また、電流の大きさにより、推力の大きさを調整することができるので、制御が容易であり、コントローラ12の負担を軽減することができる。また、2つのコイル13A、13Bには、常時均等に電流が流れることになるので、コイル13A、13Bの発熱も均一となり、一部のコイルに大きな負荷がかかることがない。
【0032】
上記第1実施形態の第1変形例として、図3に示すように、コイル13を収容するコア23の両側の端部23A、23Bを軸方向に長さAだけ増大して端部コア24A、24Bを設けることにより、コア23の移動によって生じる端部効果といわれる推力の低下及び変動を抑制して安定した推力を得ることができる。
【0033】
また、第2変形例として、図4に示すように、2つの磁石15A、15Bのそれぞれに隣接して、極性の異なる補助磁石115A、115Bを設けることにより、コア23が図4に示す中心位置から左右に移動した場合に、コア23の両側の端部23A、23Bに作用する磁力を補助磁石115A、115Bによって補うことができ、推力を増大させることができる。コイル13に一定の電流を通電した場合の推力比とストロークとの関係を図9に示す。図9において、曲線(1)は、補助磁石なしの場合を示し、曲線(2)は、軸方向長さLが磁極ピッチτpの2分の1(L=1/2・τp)の補助磁石115A、115Bを設けた場合を示している。図9からわかるように、補助磁石115A、115Bを設けることにより、ストローク全域にわたって推力を約1.2倍に増大させることができる。
【0034】
なお、「補助磁石」とは、主磁石の軸方向に沿った延長方向の位置であって、コア23が一方に変位した場合におけるコア23の一方の端部と軸方向位置が重なる位置に設けられた磁力部材(永久磁石などの磁界を発生する部材)である。例えば、図4に示されるように、補助磁石115Aは、主磁石15Aに隣接している。また、コア23が図中右方向に変位した場合(図6参照)における端部23Aと軸方向位置が重なる位置に設けられている。通常の使用状態では、主磁石15A、15Bには常時コイル13A、13Bが対向し続けるが、補助磁石には、コイルが対向するときと、しないときかが生じる点で、主磁石と補助磁石はその役割が異なる。
115A115B
【0035】
次に、コイルピッチτcと磁極ピッチτpとの比τc:τpによるストロークに対する推力の変化について、図9を参照して説明する。図9において、曲線(2)、(3)、(4)、(5)は、補助磁石115A、115Bを設けた状態で、コイルピッチτcと磁極ピッチτpとの比τc:τpをそれぞれ1:1.00、1:1.15、1:1.25、1:0.85とした場合を示している。
【0036】
図9からわかるように、コイルピッチτcと磁極ピッチτpとの比τc:τpを1:1.00とした場合に対して、磁極ピッチτpの比を小さくすると(曲線(5)参照)、ストローク全域にわたってほぼ同様に推力が低下する。これに対して、コイルピッチτcに対する磁極ピッチτpの比を大きくするほど(曲線(2)乃至(4)参照)、推力のピーク値(最大値)は低下するが、ストロークの増大に伴なう推力の低下が小さくなり、1:1.25とした場合には、±15mmのストローク範囲(これは、サスペンションの通常ストローク範囲に対応している)において、ほぼ一定の推力を得ることができる。これは、磁極ピッチτpをコイルピッチτcよりも大きくすると、コア23の端部23A、23Bに推力を打消す方向の引力及び斥力が発生するためである。そして、磁極ピッチτpが1.50を超えると、推力の低下が大きくなるので、コイルピッチτcと磁極ピッチτpとの比τc:τpは、1:1.10〜1:1.50であることが好ましい。このようにして、ストロークに対する推力の変動を小さくすることにより、コイル13への通電による推力の制御を容易に行なうことが可能になる。
【0037】
上記第1実施形態の第3変形例として、図5に示すように、コア23の内周部を軸方向に沿ってコイル13側に延ばして、コイル13の内周面の軸方向両端部を覆う突出部25を設け、突出部25によってコイル13を径方向に保持するようにしてもよい。これにより、突出部25によってコイル13の保持を確実にすると共に、コイル13と永久磁石15との接触を防止して、これらのクリアランスを一定に維持することができる。また、突出部25により、磁石15に対向するコア23の面積を増大させることができ、磁気飽和を緩和して推力を増大させることができる。なお、図8は、図5に示す第3変形例において、磁極ピッチτpをコイルピッチτcよりも大きくした第5変形例を示している。
【0038】
上記第1実施形態の第3変形例においては、永久磁石15とコア23との間に、引力及び斥力が作用する結果、コア23は、図6に示すように、コア23の中央部23Cの中心が一方の磁石15A又は磁石15Bの中心に対向する位置(図6では磁石15Aに対向する場合を示す)である安定点に移動しようとする。コア23がこの安定点にある状態では、コイル13が発生する磁界によってコア23の各部に生じる磁極と永久磁石15の各部の磁極との間に生じる引力及び斥力は、これらの径方向のみに作用し、軸方向に作用しないので、コイル13への通電電流によって推力を発生させることができない。また、コイル13の非通電時には、永久磁石15の引力がコア23の中心部23Cに作用することにより、コア23は、安定点に移動しようとする。
【0039】
そこで、第4変形例として、図7に示すように、コイル13A、13Bのそれぞれの両側に対向する一方の突起部25Aの形状を変えてコア23を磁気的に非対称とした。これにより、非通電時の安定点が、コア23の中央部23Cと磁石15A又は磁石15Bの中心とが重なる位置からずれるため、通電時に推力を発生させることができる。
【0040】
上述の第1実施形態では、コイル13及び永久磁石15は、2つずつ設けられているが、第6変形例として、図12に示すように3つずつ、あるいは、4つ以上ずつ設けてもよく、また、2つずつ設けたものを複数組合わせてもよい。
【0041】
次に、本発明に係るリニアアクチュエータの第2実施形態について、図10、図11、図13及び図14を参照して説明する。なお、以下の説明において、図1に示すものに対して、同様の部分には同一の符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0042】
図13に示す実施形態では、ストッパ20はバネ受を兼ね、ストッパ20と可動子16の底部との間及びベアリング22が取付られた開口部との間に付勢手段としてコイルバネからなるバネ26、27が介装されている。バネ26、27は、そのバネ力をストッパ20に作用させて、コイル13への非通電時において、コア23の中央部23Cの中心が永久磁石15A、15Bの間に配置されるようにしている。
【0043】
ここで、コイル13への通電電流が0A(アンペア)、10A、20A、−10A、−20Aの各電流値において、磁界によって生じる推力とストロークとの関係は図10に示すようになる。なお、本実施形態では、磁極ピッチτp(永久磁石15A、15Bの軸方向長さ)を80mmとしており、推力が0となる安定点は、永久磁石15A、15Bの中心すなわちストローク中心から±40mmの位置にある。この場合、コイル13への非通電時(0A)には、永久磁石15A、15Bの極性が切換るストローク中心では、推力は0となるが、その位置から僅かにずれることにより、推力が発生して安定点へ移動することになる。
【0044】
これに対して、バネ26、27のバネ力によって、コイル13への非通電時の推力を打消すようにバネ力を作用させて、コア23をストローク中心へ付勢することにより、磁界によって生じる推力とストロークとの関係は図11に示すようになる。これにより、非通電時には、可動子16をストローク中心に保持することができ、サスペンション装置への取付けを容易に行うことができる。そして、取付後においては、サスペンション装置を中立位置で安定させることができる。また、通電時においては、各ストローク位置において、通電電流に応じた推力を発生させることができる。なお、バネ26、27は、磁界による推力の特性に応じて、適宜、非線形な特性を持ったバネを用いるとよい。
【0045】
上記第2実施形態の変形例として、図14に示すように、2つのバネ26、27の代わりに、可動子16の底部から開口側のベアリング22まで延びる1つのバネ28を設け、ストッパ20の外周部の形状をバネ28の螺旋形状に合せて、これをバネ28の線材のピッチ間に挿入するようにしてもよい。この場合、ストッパ20は、回転させることによってバネ28の螺旋形状に沿って軸方向に移動させることできるので、容易にストローク中心の位置を調整することができる。なお、図14において、図13のものと同様の部分には同一の符号が付してある。
【0046】
上記第2実施形態では、付勢手段としてコイルバネを内蔵しているが、このバネは、図13、図14に示したバネ設置方法の他に、コイルバネを引張り方向にも用いるようにしてコイルバネの個数を減らしてもよい。また、コイルバネの代わりにねじりバネ、皿バネ、空気バネ、あるいはバネ性を持ったゴム、NBR等を適宜用いてもよい。
【0047】
また、付勢手段の搭載位置は、図13、図14に示した実施例では内蔵しているが、電機子14と可動子16との間に設けられていれば外部であっても構わない。例えば、車体2を支持する空気バネ5に、リニアアクチュエータ6の動作方向と平行な方向(図15では左右方向)に上記コイルバネと同様なバネ特性を持たせることにより、コイルバネを省略することができる。
【0048】
また、コイルバネの代わりに、付勢手段としての2つ目のリニアアクチュエータ6を、例えば中心ピン8に対して対向して設置してもよい(図15、図16の減衰力可変ダンパ7の位置に2つ目のリニアアクチュエータ6を設置し、両リニアアクチュエータ6の可動子16をそれぞれ中心ピン8に接続する)。
【0049】
リニアアクチュエータ6単体では図10に示すような特性を持っているが、リニアアクチュエータ6を対向させて平行に設置することにより、各々の非線形なリニアアクチュエータ6の推力特性を打ち消すように作用させることが出来る。
この場合、減衰力可変ダンパ7は別に設置する。または、リニアアクチュエータ6をパッシブに発電機として動作させる際に発生する減衰力が必要十分な場合には、減衰力可変ダンパ7は設置しなくともよい。
【0050】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。例えば図10の特性を持つリニアアクチュエータを鉄道車両の横揺れ制振装置に適用した場合、ストローク中心位置より±40mm以上のストローク領域では発生推力が反転するという課題がある。これは、±40mmを超えた場合、反対方向の推力が発生し、車体を制振するのではなく、加振してしまい、走行時の乗り心地を悪くするおそれがある。
【0051】
そこで、本実施形態では、コイル間のピッチτcを所定の制御領域Lよりも広くなるように構成した。すなわちコイルピッチτcと磁極ピッチτp、所定の制御領域Lの関係は、「所定の制御領域L≦コイルピッチτc≦磁極ピッチτp」となる。
例えば、図10の特性を持つリニアアクチュエータを用いた場合、制御範囲をストローク中心位置から±20mm(合計40mm)とすれば、磁極ピッチτpは、前記の通り80mmであるため、コイルピッチτcは、「所定の制御領域L40mm≦コイルピッチτc≦磁極ピッチτp80mm」である。ここで、所定の制御範囲Lやコイルピッチτc、磁極ピッチτpは任意でよく、「所定の制御領域L≦コイルピッチτc≦磁極ピッチτp」の関係を満足していればよい。
【0052】
本実施形態により所定の制御領域Lとリニアアクチュエータのコイルピッチτc、磁極ピッチτpを定義することにより、所定の制御領域L内においては推力の反転が構造的に防止され、車体が加振するのを防ぎ、乗り心地の悪化を低減することが可能となる。
なお、上記第1乃至第3実施形態では、磁石として永久磁石を用いた場合について説明しているが、磁石として電磁石を用いることもできる。しかしながら、磁石への配線が不要であり、簡単な構造で高出力が得られることから、磁石としては永久磁石を用いることが望ましい。
【0053】
また、上記第1乃至第3実施形態では、本発明のリニアアクチュエータを鉄道車両の横揺れ制振装置に適用した場合について説明しているが、本発明のリニアアクチュエータは、これに限らず、上下方向の振動に対するサスペンション装置、自動車のサスペンション装置等、他のサスペンション装置にも適用することができる。
【0054】
図17は、上述の電機子14が有するコイル13Aおよび13Bへ単相交流電流を供給するためのコントロールユニット12の構成を示している。端子1296および1298は、車両に搭載された直流電源から直流電力を受けるための端子である。リレー1288およびリレー1282が投入状態にある場合に、直流電力は平滑用のコンデンサ1280に供給される。インバータ回路1260は、ブリッジ状に接続されたスイッチング素子1262、1264、1266、1268を有している。これらのスイッチング素子はMOSトランジスタ、あるいはIGBTである。なお、MOSトランジスタを使用する場合には、並列に接続されているダイオードは不要となる。
【0055】
上記スイッチング素子1262と1266は、インバータ回路の上アームを構成し、上記スイッチング素子1264と1268は、インバータ回路の下アームを構成する。ここで、上記端子1296は正極側の端子であり、上記端子1298は負極側端子である。上記上アームと下アームのスイッチング素子のスイッチング動作を制御することにより、単相交流電流が、端子1292と1294とを介して上述のコイル13Aと13Bに供給される。コイル13Aと13Bは、直列に接続されているが、巻回の方向が逆になっている。
【0056】
上記リレーおよびスイッチング素子は、駆動部1210により駆動される。前記駆動部1210は、入出力回路1212と制御回路1214とリレー駆動回路1234と素子駆動回路1232を備えている。また、コントロールユニット12は、センサあるいは他の制御回路と信号の送受信を行う為の端子1202を有している。前記制御回路1214はマイクロプロセッサを備えていて、プログラムを実行することにより動作するが、その動作を機能別に分けると、リレー制御回路1226と振動抑制回路1216と減衰制御回路1218を備えることとなる。
【0057】
鉄道車両1などの制御開始時に、異常の有無が診断され、正常であればリレー1288が投入される。リレー1282を投入すると、充電されていない状態ではコンデンサ1280に大電流が流れ込むので、先ず初めにリレー1284が投入され、抵抗1286を介してコンデンサ1280に充電電流が供給される。コンデンサ1280に所定時間充電電流が供給されると、次にリレー1282が投入され、リレー1284が開放される。このような動作により、コンデンサ1280が直流電源およびインバータ回路1260に対して並列に接続された状態となり、インバータ回路1260には直流電流が供給される。上記一連のリレーの動作は、リレー制御回路1226が制御指令を出し、リレー駆動回路1234が上記制御指令に基づいてリレーを駆動、制御する。なお、もし異常が検出されると、安全のためにリレー1288が開放され、減衰制御回路1281が動作して、上アーム1262と1266とをオフ状態とすると共に、その後、下アーム1264と1268をオン状態とするように素子駆動回路1232から駆動信号を各素子に供給する。この結果、振動に基づいてコイル13Aとコイル13Bとに発生する誘起電圧に基づき、コイル13Aとコイル13Bとに短絡電流が流れ、振動を減衰する方向に電機子14および移動子16との間に力が発生する。下アームの素子をデューティ制御することにより、導通割合を制御することができ、上記減衰状態を制御できる。オンの割合を100%とすると大きな電流が流れ、減衰動作が強くなる。下アームの導通状態であるオンの割合を少なくすることで、減衰割合を少なくできる。このような制御により、異常時の安全性を向上できる。なおこの明細書でオンとは素子が導通する動作を表し、オフとは素子が非導通状態となる動作を表している。
【0058】
鉄道車両1が振動の大きい状態で走行している場合、例えば鉄道車両1が山間の曲がりくねった軌道を走行している場合、振動の状態を検出するセンサから端子1202を介して振動の状態を表す信号が、時々刻々送られてくる。この信号に基づき、振動抑制回路1216が振動抑制の為の推力を発生するようにコイル13Aとコイル13Bとに供給する電流を、短周期で繰り返し演算し、演算結果に基づき、上記コイル13Aとコイル13Bとに供給する単相交流電流を発生する為の制御信号を素子駆動回路1232に供給する。素子駆動回路1232は振動抑制回路1216からの制御信号に基づきスイッチング素子1262乃至1268のスイッチング動作をそれぞれ制御し、単相交流電流を発生し、端子1292および1294を介してコイル13Aとコイル13Bとに供給する。
【0059】
また、鉄道車両1が比較的振動の少ない状態で走行している場合、前記振動抑制回路1216を動作させるのではなく、減衰制御回路1281を動作させ、上アーム1262と1266とをオフ状態とすると共にその後下アーム1264と1268をオン状態とするように素子駆動回路1232から駆動信号を各素子に供給する。この結果、振動に基づいてコイル13Aとコイル13Bとに発生する誘起電圧に基づき、コイル13Aとコイル13Bとに短絡電流が流れ、振動を減衰する方向に電機子14および移動子16との間に力が発生する。上記減衰状態は、下アームの素子をオンデューティの制御により、上記短絡電流の導通割合を制御することで、制御できる。
このように制御することで、運転状態に応じた振動の抑制が可能となる。上記振動の抑制は、鉄道車両だけでなく、自動車の車体の振動抑制にも使用できる。
【符号の説明】
【0060】
6 リニアアクチュエータ、13 コイル、14 電機子、15 永久磁石(主磁石)、16 可動子、τc コイルピッチ、τp 磁極ピッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコイルを直線状に配置した電機子と、前記複数のコイルに対向させて該コイルと同数の主磁石を直線状に配置し、前記電機子に対して相対直線移動可能な可動子とを備えた単相のリニアアクチュエータであって、
前記主磁石間のピッチを前記コイル間のピッチ以上としたことを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項2】
前記コイル間のピッチと前記主磁石間のピッチの比は、1:1.10から1:1.50であることを特徴とする請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項3】
前記主磁石の少なくとも一方の端部に補助磁石を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項4】
前記電機子と前記可動子との間に、これらの相対位置を所定位置に付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のリニアアクチュエータ。
【請求項5】
請求項1乃至4にいずれかに記載のリニアアクチュエータが装着されて車体を支持するサスペンション装置であって、
前記リニアアクチュエータの前記コイル間のピッチは、当該サスペンション装置のストロークにおける所定の制御領域よりも広いことを特徴とするサスペンション装置。
【請求項1】
複数のコイルを直線状に配置した電機子と、前記複数のコイルに対向させて該コイルと同数の主磁石を直線状に配置し、前記電機子に対して相対直線移動可能な可動子とを備えた単相のリニアアクチュエータであって、
前記主磁石間のピッチを前記コイル間のピッチ以上としたことを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項2】
前記コイル間のピッチと前記主磁石間のピッチの比は、1:1.10から1:1.50であることを特徴とする請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項3】
前記主磁石の少なくとも一方の端部に補助磁石を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項4】
前記電機子と前記可動子との間に、これらの相対位置を所定位置に付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のリニアアクチュエータ。
【請求項5】
請求項1乃至4にいずれかに記載のリニアアクチュエータが装着されて車体を支持するサスペンション装置であって、
前記リニアアクチュエータの前記コイル間のピッチは、当該サスペンション装置のストロークにおける所定の制御領域よりも広いことを特徴とするサスペンション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−166880(P2011−166880A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24279(P2010−24279)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
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