説明

リニアアクチュエータ

【課題】 構成が非常に単純であるが、依然として伝動装置を避けてアクチュエータに軸力を導くことのできる、より小形のリニアアクチュエータを提供する。
【解決手段】
リニアアクチュエータは、遊星歯車(4)を含む伝動装置(3、4)を介して電動モータ(2)によって駆動されるスピンドル(5)とスピンドルナット(6)を備える。該構造は、スピンドル(5)が伝動装置(3、4)を通って、後部取付け台(10)と接続した玉軸受(20)によって嵌め込まれるように構成され、軸力がスピンドル(5)および玉軸受(20)を介して伝動装置(3、4)を通り抜けて後部取付け台(10)に導かれるようにする。これは、構成がより単純であり、かつあまり嵩張らないこと、さらに、軸力が伝動装置に伝達されないことを意味する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータと、ギヤハウジングと、太陽車を有する遊星歯車、遊星車が太陽車と噛合して成る遊星車保持器、およびギヤハウジング内の歯付きリムを含み、遊星車が歯付きリムと噛合して成る伝動装置と、伝動装置と接続されたスピンドルと、スピンドル上のスピンドルナットと、スピンドルの軸端を嵌め込むための軸受とを備えたリニアアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
リニアアクチュエータは、病院および介護分野で幅広く使用される通り、機械および制御装置用の周知の構成要素であり、そこでリニアアクチュエータは、ベッドのような調節可能な家具に使用されるだけでなく、家具一般にも使用されている。別の用途として調節可能なテーブルがあり、そこではリニアアクチュエータは昇降支柱の構成の一部である。上に示した全ての用途において、リニアアクチュエータは、スピンドルナット内に直接構成されるかあるいはスピンドルナットに接続された管状起動要素の前に構成されるかのいずれかである、アクチュエータの取付け点の間で、典型的には、それぞれキャビネットの後部およびスピンドルナットに接続された後部および前部取付け台の間で、力を伝達する。
【0003】
伝動装置に過負荷を与えることなく、したがって摩耗を生じることなく、2つの取付け点の間で力を伝達することのできるリニアアクチュエータの構成は難しく、結果的にしばしば複雑かつ嵩張る構成になる。これは、遊星歯車を含む伝動装置がリニアアクチュエータに装備される場合に特に当てはまる。
【0004】
Linak A/SのWO98/30816は、伝動装置に遊星歯車が含まれるリニアアクチュエータを開示している。この解決策は、スピンドルから伝動装置を避けて後部取付け台に軸力を導く対策が講じられれば、うまくいく。これは、アクチュエータに特別な金属フレームが装備され、そこでスピンドルのための軸受が伝動装置の前に配置され、かつフレームが金属ロッドによって後部取付け台に接続されることで実現される。金属ロッドは伝動装置の周りに通され、これを取り囲む。さらに、スピンドルは爪クラッチにより伝動装置に接続され、それによって伝動装置は自由に懸架され、したがってアクチュエータが荷重を担持するときに関連して軸力にさらされない。記載の通り、該構造は問題を解決するが、解決の仕方は複雑であり、多くの構成要素を含むので製造が難しい。構成要素が多いということは、材料および製造の経費が大きいことを意味する。さらに、フレームが伝動装置を取り囲む構造は、リニアアクチュエータが嵩張ることを意味し、小形のリニアアクチュエータの方が用途に組み込み易くかつ取り扱い易いので、嵩張る構造は望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO98/30816
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、略述した問題の解決策を提供すること、すなわち、構成が非常に単純であるが、依然として伝動装置を避けてアクチュエータに軸力を導くことのできる、より小形のリニアアクチュエータを達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これは、アクチュエータが請求項1に記載するように構成され、軸力が遊星歯車を避けて軸受に直接送られるように、スピンドルの軸端が伝動装置中を自在に導かれてスピンドルのための軸受に接続されることで、本発明に従って達成される。1実施形態のアクチュエータは後部取付け台を備え、かつ軸受はギヤハウジング内で伝動装置と後部取付け台との間のどこかに、後部取付け台に直接または間接的に当接して配置されるので、軸力は後部取付け台に直接送られる。スピンドルを伝動装置に通すことにより、伝動装置を避けて軸力を導く外部金属フレームを持つ嵩張る構成は回避される。さらに、スピンドルと伝動装置との間の接続は、スピンドルと遊星車保持器との間のスプライン接続として構成されるので、上に示したWO98/30816A2の爪クラッチより単純な仕方で構成することができる。これは遊星車保持器がスピンドルの回転に従動するが、スピンドル上で軸方向に変位することができるので、そのためアクチュエータの軸力が伝動装置に伝達されないことを意味する。軸力は直接スピンドルに導かれ、次いで玉軸受を介して後部取付け台に抜ける。したがって軸力は前部取付け台からスピンドルナットに導かれ、かつさらにスピンドルを介して後部取付け台へと導かれ、したがってアクチュエータの伝動装置にはさらされない。
【0008】
たとえスピンドルが伝動装置中に通されても、それは軸方向に、伝動装置の構成要素のいずれにも固定されない。こうして遊星歯車の太陽車はスピンドル上に嵌め込まれ、それはスピンドルに軸方向の自由可動性をもたらす。
【0009】
特に好都合であるのは、遊星車保持器とスピンドルとの間の接続が、ある長さのスピンドルにわたってスピンドルを包囲するブシュであること、ならびにスピンドルおよびブシュにブシュの長さの少なくとも一部分にわたって、相互に回転しないように相互固定するための手段を設けることで、これが構成されることである。このようにして、ブシュは回転に関してスピンドルにロックされ、スピンドルの回転に加わるが、相互に対して軸方向に変位することはできる。ブシュはさらに、遊星車保持器がブシュに対して回転しないようにそれを固定するための手段を有する。すなわち遊星車保持器は回転に関してブシュにロックされ、したがってスピンドルにもロックされる。
【0010】
ブシュがさらに少なくとも1方向の軸方向の遊星車の移動に対する止め具を形成する場合、それはスピンドルに対する遊星車保持器の軸方向の移動を示唆する。しかし、このクリアランスは通常の動作中に遊星車保持器がこれによって制限されることがないように充分に大きいので、軸力を伝動装置に伝達することはできない。ユニットがこのように構成されることは、スピンドルとブシュとの間のスプライン接続に関連して、生産の観点から好都合である。
【0011】
スピンドルと遊星車保持器との間にスプライン接続を持つブシュは、ブシュに嵌め込まれる太陽車のための滑り軸受として機能するように、外面が少なくともある距離にわたって加工される。太陽車がスピンドルに直接嵌め込まれる場合、スピンドルに固定されたブシュに太陽車が嵌め込まれるときに、ブシュが滑り軸受として太陽車をその位置でセンタリングしかつ支持することが達成される。この構成は、軸方向の太陽車の自由な動きをもたらす。したがって軸力はスピンドルから太陽車に伝達されない。
【0012】
太陽車がキャビネットまたはギヤハウジングの横壁と接続して嵌め込まれ、ブシュが壁に通されかつ壁の反対側で、スプライン接続によってブシュに接続された延長部と接続されるときに、スピンドルは壁を貫通して延びるので、軸力は効率的にスピンドルに導かれ、かつ軸力を伝動装置に伝達することなく、伝動装置全体を通過する。軸受は延長部と接続するので、したがって力はスピンドルから延長部を通して軸受に導かれ、そこから力はさらにキャビネットまたは代替的にギヤハウジングを介して後部取付け台まで進む。
【0013】
自動ロックしているかまたは自動ロックしそうになっているスピンドルがアクチュエータに装備される場合、アクチュエータはさらに制動装置を装備することができ、それは軸受と後部取付け台との間に配置することができる。こうしてスピンドルは、少なくとも1つのブレーキディスク上に支持された状態の軸端を軸方向に備える。制動装置は1方向の回転だけを可能にするニードル軸受に嵌め込まれるので、アクチュエータが荷重の移動に関連して軸力を加えたときに、制動装置が解放されることが達成される。モータを停止させると、制動装置が作動して、摩擦で運動を抑止させ、こうしてスピンドルの回転を防止し、所与の位置に荷重を維持する。荷重を下降させるときに、制動力をモータによって克服することができるように、制動力は平衡される。スピンドルは軸方向変位の可能性を持つスプライン接続によって遊星車保持器に接続され、この変位の可能性は、ブレーキディスクの摩耗がスピンドルを伝動装置に対して軸方向に変位させるだけであり、依然として完全な制動能力を維持することを意味する。これは、伝動装置を介して後部取付け台に軸力を伝達することなく、スピンドルが伝動装置中に通されるアクチュエータの構成のさらなる利点である。
【0014】
記載の通り、本発明は、リニアアクチュエータの軸力がいかにして伝動装置を迂回して前部取付け台から後部取付け台に伝達されるかを開示する解決策を提供し、かつさらにより小形のアクチュエータで単純な解決策を達成する。
【0015】
さらなる実施形態では、ギヤハウジングは従動ギヤホイールに接続された壁を有し、壁およびギヤホイールは、壁がギヤホイールのためのセンタリング兼支持体として機能するように構成される。
【0016】
ギヤホイールが力を伝動装置に伝達し、さらに機械的ノイズが最小化され、かつ強制的摩耗が回避されることを確実にするように、従動ギヤホイール、典型的には電動モータのウォームと噛合するウォームホイールが、伝動装置の対応する部品と正確に噛合して固定されることを確実にする解決策が、こうして提供される。さらに、それは単純な解決策であり、直接材料費に関して生産が安価であるだけでなく、工程および時間消費に関しても生産を最適化する。
【0017】
さらに特定的な実施形態では、ギヤハウジングの横断壁には、ギヤホイールを担持しかつセンタリングするように意図されたカラーが構成され、ギヤホイールにはその軸方向中心線上に凹所が設けられ、それはギヤハウジングのカラーの対抗部として機能する。このようにして、ギヤホイールはギヤハウジングのカラーに嵌め込まれ、こうしてセンタリングされその位置に支持される。さらにウォームもまた、ギヤハウジングのモータの取付位置においてのみならず、ウォームの他端がギヤハウジング内の軸受、好ましくは滑り軸受においても、ギヤハウジングに嵌め込まれる。したがって、ギヤハウジングのカラーによって支持されるウォームホイールは、ウォームと正しく噛合して保持され、それにより略述した問題は解消される。さらに、該解決策は生産の実現がより単純かつ安価であり、組立てプロセス中にギヤハウジングの横断壁は支持体として使用することができる。
【0018】
ギヤハウジングの支持構成は、カラーの代わりに凹所とすることができ、従動ギヤホイールの凹所は代わりにカラーとして構成することができる。それらは依然として、ウォームおよびウォームホイールを相互に噛合して保持することのできる相補的な部品であり、該手段は壁に関連して配置される。
【0019】
スピンドルがウォームホイールの軸方向中心線でウォームホイールに通され、したがってウォームホイールをウォームと噛合して保持する支持構成として機能するので、ウォームホイールはさらにその位置に支持される。ウォームホイールがスピンドルに直接取り付けられ、スピンドルに対して回転しないように固定される場合、スピンドルの埋込みは、ウォームホイールがその正しい位置で電動モータのウォームと噛合して支持されかつ保持されることに貢献する。
【0020】
1実施形態では、スピンドルは滑り軸受として機能するブシュを備え、それは、ウォームホイールの中空に適応されるときに、ウォームホイールをウォームと噛合して保持する支持構成として機能する。スピンドルはウォームホイールに直接接続されるのではなく、伝動装置の後続部品に接続されるので、該解決策は遊星歯車に関連して特に好都合である。
【0021】
伝動装置が遊星歯車を含む解決策では、ウォームホイールは太陽車として構成され、すなわち太陽車は、遊星車保持器に位置する遊星車と噛合する外歯付きリムのみならず、電動モータのウォームと噛合する歯をも備えるように設計される。遊星車を持つ遊星車保持器は、太陽車の一部のみならずスピンドルをも取り囲み、スピンドルの回転に関してスピンドルに固定されるので、遊星車保持器はウォームホイールをウォームと噛合して保持する支持構成として機能する。さらに、遊星車は、遊星車を持つ遊星車保持器を取り囲む内歯を持つ歯付きリムと噛合する。歯付きリムはギヤハウジング内に固定されるので、歯付きリムはさらに、ウォームホイールをウォームと噛合して保持する支持構成として機能する。
【0022】
さらなる実施形態では、歯付きリムは、内歯を持つ別個のリングとして構成される。これは単純な解決策であり、その結果、依然として所望の強度特性を有する簡単な構成が得られる。該解決策はさらに、簡素化されたユニットのためだけでなく、最小化される生産中の作業手順のためにも、生産が安価である。
【0023】
ギヤハウジングはプラスチック材料製であることが好都合であり、したがって金属のハウジングと同じ強度品質は持たない。しかし、生産に関連して、ハウジングは1つの別個の部品として構成することができ、したがって時間を消費する軽微な組立て作業が排除されるので、大きい利点が存在する。その理由から、ギヤハウジングも単純化され、かつ減嵩する。金属の歯付きリムを構成することによって、それはギヤハウジングの安定化に貢献する。リング形の歯付きリムが分離される結果、生産に関して、製造が安価かつ容易になる。さらに、別個の歯付きリムは単一のステップで、工具を使用することなくギヤハウジングに取り付けることができるので、ギヤハウジング内の遊星歯車の組立ては特に単純である。
【0024】
歯付きリムをギヤハウジングに取り付ける前に、モータがギヤハウジングに取り付けられる。ギヤハウジングは開口を備え、それは、別個の歯付きリムが取り付けられない場合に、ギヤハウジングにモータを取り付けることを可能にする。これは、ねじ回しの刃をギヤハウジングの開口に部分的に挿入することができ、したがってモータおよびギヤハウジングの組立て時に第1ねじを固定するための余裕ができることから、事実上達成可能である。ギヤハウジングのどこか別のところに、ギヤハウジングおよびモータの組立てのために別のねじを固定するためのアクセス用に、ギヤハウジングを貫通することなく、対応する溝が存在する。
【0025】
第1ねじを固定するためのアクセス用の開口に関連して、歯付きリムがギヤハウジングに取り付けられるときに、別個の歯付きリムがこれを完全に覆うように、開口は構成される。これは、ギヤ機構が遮蔽保護されるが、ギヤ機構に塗布される潤滑剤もギヤハウジング内に収容されることを意味する。
【0026】
歯付きリムは、ギヤハウジング内のそのためのガイドに内リムとして挿入され、対応するピンが歯付きリムに構成される。ピンの形のそれらの対抗部品を持つガイドはしたがって、回転しないように固定するための協働手段として機能し、別個の歯付きリムをギヤハウジング内のその位置で回転しないように保持する。さもないと歯付きリムは単純にギヤハウジング内で回転し、ギヤ機構を解放するので、これは重要である。
【0027】
ギヤハウジングはさらに、別個の歯付きリムをその位置でギヤハウジングの長手方向に1方向に固定する止め具を装備する。反対方向には、ハウジングが歯付きリムの移動に対する止め具として働くように構成される。このようにして、歯付きリムは実際は分離しているが、ギヤハウジング内のその位置に完全にロックされ、したがってその位置で遊星歯車にも接続される。
【0028】
ギヤハウジングはプラスチック材料から作られ、ユニットとして成形されるという点で、これはより簡単な仕方で行うことができる。強度をもたらすように金属製の歯付きリムがギヤハウジングのそのためのガイド内に挿入される場合、小形のユニットが達成され、強度および形状の安定性に対する要件も満たされる。生産に関連して、構成要素はより単純かつ安価であり、結果的に特に簡素化された組立て工程がもたらされるので、ユニットは有利である。
【0029】
本発明に係るリニアアクチュエータについて、添付の図面を参照しながら、以下でさらに詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】アクチュエータの縦断面図を示す。
【図2】図1の上から見た、アクチュエータの後端の拡大断面図を示す。
【図3】アクチュエータの後端から見たギヤハウジングおよび遊星歯車の組立て分解図を示す。
【図4】図3と同様の図であるが、ギヤハウジングの側壁の一部を除去してその横断壁が見えるようにした状態を正面から見た図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図面の図1から分かるように、アクチュエータの主要構成要素は、外管8に取り囲まれかつその中を案内された管状起動要素7(内管)が固定されたスピンドルナット6付きのスピンドル5をウォームドライブ3および遊星歯車4上で駆動させる可逆低電圧DCモータ2を含むキャビネット1から構成される。アクチュエータはさらに、起動要素の外端に前部取付け台9を、かつキャビネット1の後端に後部取付け台10を備える。
【0032】
図2は、伝動装置の詳細図を示す。起動要素7に固定されたスピンドルナット6付きのスピンドル5は、しっくり嵌合するように外管8に適合させたキャビネット1の管状中空1aに固定された外管8に取り付けられる。スピンドル5に対して回転しないように固定されたブシュ12は、キャビネット1内で軸受11に嵌め込まれ、それはしたがって外管8に関連してスピンドル5に対するセンタリング効果を有する。ブシュ12および遊星車保持器は、遊星車保持器13がブシュ12を中心に回転しないように、かつしたがってスピンドルをも中心に回転しないように遊星車保持器13を固定する、スプライン接続12aを備えるように設計される。スピンドル5の回転はこうして、遊星車保持器13の回転に対してロックされる。ブシュ12はスプライン接続を介して回転を伝達するので、スピンドル5は遊星車保持器13に対して軸方向に変位可能であり、それは、前部取付け台9から起動要素7およびスピンドルナット6を介しスピンドル5を通して後部取付け台10に進む軸力が、伝動装置に伝達されないことを意味する。遊星歯車4に関しては、太陽車17、遊星車14付き遊星車保持器13、および歯付きリム15は両方とも、該部品が相互に機能する支持構成として現れるという点において、ギヤハウジング18に対してそれらの位置に固定される。さらに、ブシュ12は、電動モータ2のウォーム16によって駆動されるウォームホイール17a用の滑り軸受として機能するように、ある長さの距離にわたって処理される。ウォームホイールの片側の凹所17bが、スピンドル5が通されるギヤハウジング18の穴の周りのギヤハウジング18内の横断壁19bにカラー18aを嵌合させるように設計されるという意味で、ウォームホイール17aはさらに、ギヤハウジング18に嵌め込まれる。ブシュ形延長部19はブシュ12に接続され、2つの部品の間にスプライン接続19aが構成されるので、ブシュ12に対して回転しないように固定される。延長部19はまた、スラスト軸受である軸受20を担持するように適応される。ディスタンスピース21が軸受20の中間リムと接続して取り付けられる。このディスタンスピース21は、軸端の外端にねじ山25が設けられているので、図示しないナットを用いてスピンドルの軸端に軸方向に固定される。椀状シリンダ22を含むブレーキユニットは、軸受20の外輪に接続して取り付けられる。リング状スロット内のニードル軸受23はディスタンスピース21を椀状シリンダ22に接続する。ニードル軸受23は、1方向の回転だけを可能にするように構成される。モータが遮断され、荷重がスピンドルを回転させようとしたときに、椀状シリンダ22は軸受を介し、ディスタンスピース21を介してスピンドルにロックされ、したがって椀状シリンダ22の底部と後部取付け台10の端壁との間で固定ブレーキディスク24に対して回転移動するようになり、そのようにしてブレーキディスクに対して摩擦を生じ、荷重がスピンドルを回転させようとしたときに制動効果を達成する。それによって起動要素7は、モータが遮断されたときに、その位置に固定される。しかし摩擦力は、起動要素が内側に引き込まれたときに、すなわち荷重が下降されるときに、モータによって克服できないほど大きくない。荷重が上昇されるときに、すなわち起動要素が外側に変位したときに、ニードル軸受23はディスタンスピース21およびしたがってスピンドルを椀状シリンダ22とは独立して回転させ、ブレーキは不作動状態に維持される。ブレーキディスク24は後部取付け台10に接続されているので、軸力がスピンドル5から軸受20およびブレーキユニットの椀状シリンダ22を通してブレーキディスク24に導かれ、その後後部取付け台10に導かれることが確保される。スピンドル5に対するブシュ12の軸方向変位は、軸力が遊星歯車を通してではなく、スピンドル5を通して軸受20および後部取付け台10まで導かれることを確実にし、スピンドル5の軸方向変位のプラス効果はさらに、ブレーキディスク24の摩耗の結果として制動効果が変化しないことである。スピンドル5は軸方向に移動することができるので、それは常に軸受20と良好な接触状態にあり、軸受20はまたその椀内で変位することもできるので、ブレーキディスク24が摩耗しているか否か、またその当初の厚さを有するか否かに関わらず、変位はブレーキディスク24にアクチュエータが受ける荷重を常に掛けさせる。制動効果が不充分である場合、軸受20と椀状シリンダ22との間にさらなるブレーキディスクを配置することができる。
【0033】
ちなみに、ギヤ機構は、種々の構成要素が相互に支持し合うことによって特徴付けられる。この結果、動作が静かになると共に、強度が向上し、摩耗が減少する。
【0034】
先に示した通り、カラー18aはギヤハウジングの横壁18b上に設計され、それはウォームホイール17aの形の従動ギヤホイールのための支持構成として働き、太陽車17はウォームホイール17aの横に一体部品として構成されるので、それは伝動装置の太陽車17をも駆動させる。ウォームホイール17aは、ギヤハウジングの壁18bにおけるカラー18a上に嵌合する側に凹所17bを有する。さらに、電動モータ2上のウォーム16がウォームホイール17aと噛合することが分かる。凹所17bに関係するカラー18aの構成は、カラー18aがウォームホイール17aの支持構成になるように相互に嵌合され、これをウォーム16と噛合した状態で固定する。さらに、壁18bはまた、組立て工程中に支持体としても機能する。
【0035】
スピンドル5はさらにウォームホイール17a中に導かれ、ブシュ12を備え、スピンドル5に固定されたブシュ12は、ウォームホイール17aと接続した状態で滑り軸受として機能するので、ブシュ12の上にウォームホイール13が嵌め込まれる。したがってブシュ12は、ウォームホイール17aがウォーム16と噛合し続けるように、ウォームホイール17aを支持しかつセンタリングする。ブシュ12は前部を軸受11によって支持される。ブシュ12はさらにブシュ形延長部19で延長され、それはウォームホイール17aを支持するためにブシュ12と協働する。支持効果は、ブシュ形延長部19が軸受20によりキャビネットに嵌め込まれることから達成される。
【0036】
複合太陽車/ウォームホイール17、17aは、遊星車14付き遊星車保持器13によってギヤ機構に固定される。遊星車保持器13はさらに、2つの部品の間にスプライン接続を形成するブシュ12を介して、スピンドル5に接続される。ブシュ12はスピンドル5を中心に回転しないように固定され、遊星車保持器13はそれに対応してブシュ12に対して回転しないように固定され、遊星車保持器13は、ウォームホイール17aをウォーム16と噛合して保持する太陽車/ウォームホイール17、17aのための支持構成として機能する。
【0037】
ギヤハウジング18に取り付けられた内歯を持つ歯付きリム15は遊星車14付き遊星車保持器13を包囲し、したがって遊星車保持器13をその位置に固定することに寄与し、それにより歯付きリム15は、ウォームホイール17aをウォーム16と噛合して保持する支持構成としても機能する。
【0038】
さらに、スピンドル5は中間ブシュ21を介してスピンドル5に接続された玉軸受20に嵌め込まれるので、スピンドル5の嵌込みは、ウォームホイール13をウォーム15と噛合して保持する支持構成として機能する。
【0039】
図3は、ギヤハウジング18ならびに太陽車17および遊星車14付き遊星車保持器13のような遊星歯車内の個々の主構成要素を示す。ギヤハウジング18には、工具、典型的にはねじ回しを用いて、ねじによって電動モータ2をギヤハウジング18上のその位置に取り付けることを可能にする、開口26も示される。ちなみに、ギヤハウジング18はその構造が、プラスチック材料、典型的には繊維強化材入りポリアミドの射出成形ユニットとして製造されるように最適化されている。太陽車17および遊星車14付き遊星車保持器13は、同様にプラスチック材料から作製される。
【0040】
図4は、図3と同様にギヤハウジング18および遊星歯車内の個々の主要構成要素を、ただし別の角度から見て示す。さらに、横壁18bが見えるようにハウジングの側壁の断面が提示される。図2の断面図から分かるように、横壁18bは、中央の穴がカラー18aによって取り囲まれた、ドーム状円筒部を有する。ドーム状の部分は、ギヤハウジングの内側に当接して支持される支持リブを持つ。別個の歯付きリム15に関しては、それは金属製、好ましくは焼結金属製であり、内歯27を備える。歯付きリム15は外側に、ギヤハウジング18の内側のトラックの形のガイド29と噛合して、歯付きリム15をギヤハウジング18内のその位置で回転しないようにロックするために働くピン28を備える。
【0041】
ギヤハウジング18の長手方向の歯付きリム15の導入を制限する止め具30がギヤハウジング18に存在するので、別個の歯付きリム15はさらにギヤハウジング18に固定される。
【0042】
図1から分かる通り、他の方向の止め具はキャビネット1の一部分によって構成され、キャビネットがギヤハウジングの周りに組み立てられるときに、ギヤハウジング18の入口にプラグを形成するように構成され、したがって別個の歯付きリム15をその位置でギヤハウジング18の長手方向に固定する。
【0043】
図3から明瞭に分かる詳細は、ウォームホイール17a上に、太陽車17とは反対側に構成された凹所17bである。この凹所17bは椀状フランジ18a上に完全に嵌合する。椀状フランジ18aは、図4に示す通り、ギヤハウジング18の横壁の穴31の周りに構成され、したがってウォームホイール17aのための支持構成として機能する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータ(2)と、
ギヤハウジング(18)と、
太陽車(17)を持つ遊星歯車(4)、遊星車(14)が前記太陽車(17)と噛合して成る遊星車保持器(13)、前記ギヤハウジング(18)内の歯付きリム(15)を含み、前記遊星車(14)が前記歯付きリム(15)と噛合して成る伝動装置と、
前記伝動装置と接続したスピンドル(5)と、
前記スピンドル上のスピンドルナット(6)と、
前記スピンドル(5)の軸端を嵌め込むための軸受(20)と、を備えたリニアアクチュエータであって、
前記スピンドル(5)の前記軸端が前記伝動装置内を自由に案内されて前記軸受(20)に接続され、前記スピンドル(5)の前記軸端と前記伝動装置との間の接続により相互軸方向移動が可能になり、軸力がスピンドルだけを介して、伝動装置を迂回して軸受(20)に直接導かれるようにしたことを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項2】
前記リニアアクチュエータが後部取付け台(10)を備え、前記軸受(20)が前記ギヤハウジング(18)内で前記伝動装置と前記後部取付け台(10)との間に直接または間接的にこれに当接して配置されることを特徴とする、請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項3】
前記遊星車保持器(13)と前記スピンドル(5)との間の接続は、前記遊星車保持器(13)および前記スピンドル(5)が回転しないように相互に固定される一方、前記遊星車保持器(13)が前記スピンドル(5)に対して長手方向に変位することができるように構成されて成る、回転しないように固定された軸方向に変位可能な接続であることを特徴とする、請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項4】
前記遊星歯車の前記太陽車(17)が前記スピンドル(5)の軸端に嵌め込まれることを特徴とする、請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項5】
前記遊星車保持器(13)と前記スピンドル(5)との間の接続が前記スピンドル(5)の軸端のブシュ(12)を含み、かつ前記軸端および前記ブシュ(12)が前記ブシュ(12)の長さの少なくとも一部分に、回転しないように相互に固定するための手段を有し、さらに前記ブシュ(12)が、前記遊星車保持器(13)を前記ブシュ(12)に対して回転しないように固定するための手段を有することを特徴とする、請求項3に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項6】
前記ブシュ(12)が少なくとも1軸方向の前記遊星車保持器(13)の移動に対する止め具を形成することを特徴とする、請求項3に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項7】
前記ブシュ(12)が少なくともある距離にわたって、前記ブシュ(12)に嵌め込まれた前記太陽車(17)のための滑り軸受として機能することを特徴とする、請求項4又は5に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項8】
前記太陽車(17)が前記ギヤハウジング(18)に壁(18b)と接続して嵌め込まれ、前記ブシュ(12)が壁を通り抜けて壁の反対側で、スプライン接続によってブシュ(12)に接続されブシュ(12)および延長部(19)を相互回転防止状態に固定する延長部(19)と接続することを特徴とする、請求項7に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項9】
前記軸受(20)が前記延長部(19)と接続することを特徴とする、請求項8に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項10】
少なくとも1つのブレーキディスク(24)を有する制動装置(22)が前記軸受(20)および前記後部取付け台(10)と接続して配置され、前記スピンドル(5)の少なくとも1つの回転方向に制動効果を果たすこと、および前記ブレーキディスク(24)が摩耗したときに前記スピンドル(5)が伝動装置内で軸方向に変位可能であるので、制動力が変化せず、あるいは著しく変化しないことを特徴とする、請求項9に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項11】
ギヤハウジング(18)の前記壁(18a)および従動ギヤホイール(17)、好ましくはウォームホイール(17a)は、前記壁(18a)が前記ギヤホイール(17)のためのセンタリング兼支持体として機能するように構成されることを特徴とする、請求項1又は8に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項12】
前記伝動装置がさらにウォームギヤを含み、前記ウォームホイール(17a)がウォームギヤの太陽車(17)と相互接続され、好ましくは一体的に成形されること、前記ウォームホイール(17a)が電動モータ(2)によって駆動されるウォーム(16)と噛合することを特徴とする、請求項11に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項13】
ギヤハウジング(18)の横壁(18b)に対面する側で、前記ウォームホイール(17a)にはその軸方向中心線の周りに凹所またはカラー(17b)が設計され、それはギヤハウジング(18)の横壁(18b)に構成された筒状対抗部(18a)と接続され、あるいはその逆に構成されることを特徴とする、請求項11又は12に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項14】
前記歯付きリム(15)が、ギヤハウジング(18)内で回転しないように固定された好ましくはプラスチックの内歯(27)を有する、好ましくは金属の別個のリングであることを特徴とする、請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項15】
回転しないように固定するための相互手段が、別個の歯付きリム(15)の外側の少なくとも1つのピンまたはリスト(28)と、前記ギヤハウジング(18)の内側で軸方向に走る1つ以上のガイドまたはトラック(29)の形の少なくとも1つの対抗部とから構成されるか、あるいはその逆に構成され、好ましくは前記ギヤハウジング(18)の長手方向に前記別個の歯付きリム(15)の位置を決定する止め具(30)を有することを特徴とする、請求項14に記載のリニアアクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−509381(P2011−509381A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541695(P2010−541695)
【出願日】平成21年1月12日(2009.1.12)
【国際出願番号】PCT/DK2009/000005
【国際公開番号】WO2009/086834
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(594167956)リナック エー/エス (27)
【Fターム(参考)】