リニアガイド装置及びリニアガイド装置用転動体保持器
【課題】転動体保持器の連結部に過大な引張力が繰り返し作用することを防止することのできるリニアガイド装置を提供する。
【解決手段】転動体4の半径をRw、方向転換路7内で転動体保持器の連結部92が円弧状に弾性変形したときの連結部92の曲がり半径をRb、方向転換路7を転動する転動体4の中心軌道半径をRp、連結部92が弾性変形しないときの間座部91の中心間距離をtw、間座部91の両端面に形成された転動体当接面間の最大厚みの1/2をb0としたとき、b0をRp・sin(tw/2Rb)−Rwより小さくする。
【解決手段】転動体4の半径をRw、方向転換路7内で転動体保持器の連結部92が円弧状に弾性変形したときの連結部92の曲がり半径をRb、方向転換路7を転動する転動体4の中心軌道半径をRp、連結部92が弾性変形しないときの間座部91の中心間距離をtw、間座部91の両端面に形成された転動体当接面間の最大厚みの1/2をb0としたとき、b0をRp・sin(tw/2Rb)−Rwより小さくする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直線運動する機械部品をその移動方向に案内するリニアガイド装置及びリニアガイド装置用転動体保持器に関し、特に、案内レールとスライダとの間に組み込まれた多数の球状あるいは円筒状の転動体を収容する転動体保持器を備えたリニアガイド装置及びリニアガイド装置用転動体保持器に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械などの各種産業機械で用いられるリニアガイド装置は、一般に、案内レールとスライダとの間に組み込まれた多数の球状または円筒状の転動体が案内レールに対するスライダの相対的直線運動に伴って循環運動する構成となっている。このため、転動体の循環運動中に転動体同士の競合いが発生することがあり、このような転動体同士の競合いは転動体を早期に摩耗させたり、騒音や振動を増大させたりする原因となるため、特許文献1や特許文献2に記載のリニアガイド装置では、図12に示すように、各転動体4の間に設けられた多数の間座部121と、これらの間座部121を連結するベルト状の連結部122とからなる転動体保持器12で転動体4を保持することによって転動体同士の競合いを抑制するようにしている。
【特許文献1】特許第2607993号公報
【特許文献2】特開平11−247854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、転動体保持器12の間座部121が転動体4を完全に保持する構造となっているため、転動体保持器12の連結部122がエンドキャップ6の方向転換路7内で円弧状に弾性変形すると、転動体保持器12の間座部121と転動体4とが方向転換路7の内周側で干渉し合うことになる。このため、転動体保持器12の連結部122に過大な引張力が繰り返し作用し、転動体保持器12の連結部122が破断してしまうおそれがあった。
【0004】
また、特許文献2に記載のリニアガイド装置では、方向転換路を通過する転動体と間座部の外周側の端部との間に隙間を設けている。しかしながら、間座部と転動体とが互いに押し合った状態、すなわち連結部に力がかかった状態で方向転換路内を転動するのは、特許文献1の場合と同様であり、やはり転動体保持器の連結部が破断してしまうおそれがあった。
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、転動体保持器の連結部に過大な引張力が繰り返し作用することを防止することのできるリニアガイド装置及びリニアガイド装置用転動体保持器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、案内レールとスライダとの間に組み込まれた多数の転動体を収容する転動体保持器を、前記各転動体の間に設けられた多数の間座部と、これらの間座部を一定ピッチで一列に連結する連結部とから構成したリニアガイド装置において、前記転動体の半径をRw、前記転動体を方向転換させる方向転換路内で前記連結部が円弧状に弾性変形したときの前記連結部の曲がり半径をRb、前記方向転換路を転動する前記転動体の中心軌道半径をRp、前記連結部が弾性変形しないときの前記間座部の中心間距離をtw、前記間座部の両端面に形成された転動体当接面間の最大厚みの1/2をb0としたとき、Rp・sin(tw/2Rb)−Rw≧b0であることを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、リニアガイド装置の転動体を収容するものであって、前記各転動体の間に設けられた多数の間座部と、これらの間座部を一定ピッチで一列に連結する連結部とからなるリニアガイド装置用転動体保持器において、前記転動体の半径をRw、前記転動体を方向転換させる方向転換路内で前記連結部が円弧状に弾性変形したときの前記連結部の曲がり半径をRb、前記方向転換路を転動する前記転動体の中心軌道半径をRp、前記連結部が弾性変形しないときの前記間座部の中心間距離をtw、前記間座部の両端面に形成された転動体当接面間の最大厚みの1/2をb0としたとき、Rp・sin(tw/2Rb)−Rw≧b0であることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明は、案内レールとスライダとの間に組み込まれた多数の球状転動体を収容する転動体保持器を、前記各転動体の間に設けられた多数の間座部と、これらの間座部を一定ピッチで一列に連結する連結部とから構成したリニアガイド装置において、前記転動体を方向転換させる方向転換路内で前記連結部が略円弧状に弾性変形した際に、前記方向転換路内に位置する前記転動体の1個が、隣接する両側の前記間座部のうち少なくとも一方の間座部とは隙間を持った状態になっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1〜3に係る発明によれば、エンドキャップの方向転換路内で転動体保持器の連結部が円弧状に弾性変形しても方向転換路の内周側で転動体保持器の間座部が転動体と干渉し合うことを抑制できるので、転動体保持器の連結部に過大な引張力が繰り返し作用することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図1〜図3を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
図1において、符号1は本発明の第1の実施形態に係るリニアガイド装置を示し、このリニアガイド装置1は案内レール2、スライダ3および球状転動体4を備えている。ここで、案内レール2はその左右側面部に転動体軌道溝5Rを二条ずつ有しており、これらの転動体軌道溝5Rは案内レール2の長手方向に沿って直線状に形成されている。
【0010】
スライダ3はその幅方向に沿う断面がほぼコ字形をなしており、このスライダ3の相対向する二つの内側側面部に二条ずつ形成された転動体軌道溝5Sは、前述した転動体軌道溝5Rと各々対向している。
転動体4はスライダ3が案内レール2の長手方向に相対移動すると転動体軌道溝5R,5Sの溝面を転動するようになっており、転動体軌道溝5R,5Sの溝面を転動した各転動体4は、エンドキャップ6(図3参照)に形成された方向転換路7で方向転換した後、スライダ3に形成された転動体戻し通路8を通って循環運動するようになっている。
【0011】
また、転動体4は樹脂製の転動体保持器9(図1参照)に収容されており、この転動体保持器9は、図2に示すように、各転動体4の間に設けられた多数の間座部91と、これらの間座部91を一定ピッチで一列に連結する帯状の連結部92とから構成されている。
間座部91は転動体4の直径よりも小さい直径で円板状に形成されており、その両端面には転動体4と摺動自在に接触する球面と円筒面を組み合わせた形状の転動体当接面93が形成されている。一方、連結部92は転動体4の直径よりも幅広に形成されており、エンドキャップ6の方向転換路7内では、図3に示すように、円弧状に弾性変形するようになっている。
【0012】
図3は、エンドキャップ6の方向転換路7内における連結部92の状態を示す図である。同図において、Rbは転動体保持器9の連結部92がエンドキャップ6の方向転換路7内で円弧状に弾性変形したときの連結部92の曲がり半径(mm)、Rpは方向転換路7内を転動する転動体4の中心軌道半径(mm)、twは連結部92が弾性変形しないときの間座部91の中心間距離(mm)、b0は間座部91の両端面に形成された転動体当接面93間の最大厚みの1/2(mm)、θbは方向転換路7内で隣り合う二つの間座部91がなす角度の1/2(rad)を示している。ここで、Rw=2.38mm、Rb=3.5mm、Rp=4mm、tw=5.2mm、θb=tw/2Rb=0.7428radとすると、本発明の第1の実施形態では、b0=0.22mmとなっている。
【0013】
このような構成において、転動体保持器9の連結部92に過大な引張力が作用しないようにするためには、エンドキャップ6の方向転換路7内で連結部92が円弧状に曲がっても連結部92の中心線の長さが曲がる前の長さと同じである必要があり、そのためには次式が成り立つ必要がある。
2・Rb・θb=tw ‥‥(1)
【0014】
また、エンドキャップ6の方向転換路7内で転動体保持器9の連結部92が円弧状に曲がると、隣り合う二つの間座部91間の距離は連結部92の内周側では小さくなり、外周側では大きくなる。このため、転動体保持器9の寸法によっては転動体保持器9の間座部91が転動体4と方向転換路7の内周側で干渉する場合があり、転動体保持器9の間座部91が転動体4と方向転換路7の内周側で干渉しないようにするためには、
Rp・sinθb−Rw≧b0 ‥‥(2)
が成り立つ必要がある。ここで、式(2)の左辺は式(1)より次式のように表すことができる。
Rp・sin(tw/2Rb)−Rw≧b0 (3)
【0015】
式(2)または式(3)が成り立たない場合には、転動体4によって間座部91間の距離が押し広げられる。このため、連結部92に引張力が作用し、連結部92が損傷するおそれがある。また、転動体4が循環路の外周面に押し付けられて、循環抵抗が増大してスムーズな循環が得られない。
Rp、tw、Rb、Rwの各数値を式(3)に代入すると、
4×sin(5.2/(2×3.5))−2.38=0.325≧b0となり、エンドキャップ6の方向転換路7内で転動体保持器9の間座部91と転動体4とが干渉しないようにするためには、b0を0.325mmより小さくする必要がある。
【0016】
本発明の第1の実施形態では、前述したように、b0=0.22mmとなっているので、エンドキャップ6の方向転換路7内で転動体保持器9の連結部92が円弧状に弾性変形しても方向転換路7の内周側で転動体保持器9の間座部91が転動体4と干渉しなくなる。したがって、転動体保持器9の連結部92に過大な引張力が繰り返し作用することを防止することができる。
【0017】
次に、図4〜図6を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。
図4において、符号10は本発明の第2の実施形態に係るリニアガイド装置を示し、このリニアガイド装置10は案内レール2、スライダ3および球状転動体4を備えている。ここで、案内レール2はその左右側面部に転動体軌道溝5Rを二条ずつ有しており、これらの転動体軌道溝5Rは案内レール2の長手方向に沿って直線状に形成されている。
【0018】
スライダ3はその幅方向に沿う断面がほぼコ字形をなしており、このスライダ3の相対向する二つの内側側面部に二条ずつ形成された転動体軌道溝5Sは、前述した転動体軌道溝5Rと各々対向している。
転動体4はスライダ3が案内レール2の長手方向に相対移動すると転動体軌道溝5R,5Sの溝面を転動するようになっており、転動体軌道溝5R,5Sの溝面を転動した各転動体4は、エンドキャップ6(図6参照)に形成された方向転換路7で方向転換した後、スライダ3に形成された転動体戻し通路8を通って循環運動するようになっている。
【0019】
また、転動体4は樹脂製の転動体保持器11(図4参照)に収容されており、この転動体保持器11は、図5に示すように、各転動体4の間に設けられた多数の間座部111と、これらの間座部111を一定ピッチtwで一列に連結する連結部112とから構成されている。ここで、間座部111は転動体4の直径よりも小さい直径でほぼ円板状に近い形状に形成されており、この間座部111の両端面には平面状の転動体当接面113が形成されている。一方、連結部112は間座部111の一側面部同士を連結しており、連結部112と反対側の間座部111の側面部には、間座部91の厚さ方向に延出する腕部114が一体に形成されている。
【0020】
図6は、エンドキャップ6の方向転換路7内における連結部112の状態を示す図である。同図において、Rbは転動体保持器11の連結部112がエンドキャップ6の方向転換路7内で円弧状に弾性変形したときの連結部112の曲がり半径(mm)、Rpは方向転換路7内を転動する転動体4の中心軌道半径(mm)、twは連結部112が弾性変形しないときの間座部111の中心間距離(mm)、b0は間座部111の両端面に形成された転動体当接面113間の最大厚みの1/2(mm)、θbは方向転換路7内で隣り合う二つの間座部111がなす角度の1/2(rad)を示している。ここで、Rw=2.38mm、Rb=3mm、Rp=4mm、tw=5.2mm、θb=tw/2Rb=0.8666radとすると、本発明の第2の実施形態では、b0=0.22mmとなっている。
【0021】
このような構成において、転動体保持器11の連結部112に過大な引張力が作用しないようにするためには、エンドキャップ6の方向転換路7内で連結部112が円弧状に曲がっても連結部112の中心線の長さが曲がる前の長さと同じである必要があり、そのためには次式が成り立つ必要がある。
2・Rb・θb=tw ‥‥(1)
【0022】
また、エンドキャップ6の方向転換路7内で転動体保持器11の連結部112が円弧状に曲がると、隣り合う二つの間座部111間の距離は連結部112の内周側では小さくなり、外周側では大きくなる。このため、転動体保持器11の寸法によっては転動体保持器11の間座部111が転動体4と方向転換路7の内周側で干渉する場合があり、転動体保持器11の間座部111が転動体4と方向転換路7の内周側で干渉しないようにするためには、
Rp・sinθb−Rw≧b0 ‥‥(2)
が成り立つ必要がある。ここで、式(2)の左辺は式(1)より次式のように表すことができる。
Rp・sin(tw/2Rb)−Rw≧b0 (3)
【0023】
式(2)または式(3)が成り立たない場合には、転動体4によって間座部111間の距離が押し広げられる。このため、連結部112に引張力が作用し、連結部112が損傷するおそれがある。また、転動体4が循環路の外周面に押し付けられて、循環抵抗が増大してスムーズな循環が得られない。
Rp、tw、Rb、Rwの各数値を式(3)に代入すると、
4×sin(5.2/(2×3))−2.38=0.669≧b0となり、エンドキャップ6の方向転換路7内で転動体保持器11の間座部111と転動体4とが干渉しないようにするためには、b0を0.669mmより小さくする必要がある。
【0024】
本発明の第2の実施形態では、前述したように、b0=0.22mmとなっているので、エンドキャップ6の方向転換路7内で転動体保持器11の連結部112が円弧状に弾性変形しても方向転換路7の内周側で転動体保持器11の間座部111が転動体4と干渉しなくなる。したがって、転動体保持器11の連結部112に過大な引張力が繰り返し作用することを防止することができる。
【0025】
次に、図7〜図11を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。
軌道面の構成および転動体の循環運動については、前述した第1及び第2の実施形態と同様の構成である。また、転動体4は転動体保持器13に収容されており、この転動体保持器13は、図8〜図10に示すように、各転動体4の間に設けられた多数の間座部131と、これらの間座部131を一定ピッチtwで一列に連結する連結部132とから構成されている。ここで、間座部131は転動体4の直径よりも小さい直径でほぼ円板状に近い形状に形成されており、この間座部131の両端面には円筒面状の転動体当接面133が形成されている。一方、連結部132は転動体4の直径よりも幅広に形成されており、エンドキャップ6の方向転換路7では、図11に示すように、円弧状に弾性変形するようになっている。連結部132が弾性変形しない直線路においては、連結部132は転動体4の中心軌道と同一の位置にあるが、方向転換路7の中心部付近では、連結部132は転動体4の中心軌道よりも内周側に位置するようになっている。連結部132と転動体4の中心軌道とを、このような関係にするためには、方向転換路7の中央部に近づくに従って、連結部132が内周側に徐々に移動するように、連結部132の案内溝14(図11参照)を形成しておけばよい。本実施例においては、連結部132の案内溝14は方向転換路7の中央部付近で円弧形状となっている。従って、連結部132は、方向転換路7の中央部付近では円弧状に弾性変形する。
【0026】
図11において、Rbは転動体保持器13の連結部132が方向転換路7の中央部付近で円弧状に弾性変形したときの連結部132の曲がり半径(mm)、Rpは方向転換路7内を転動する転動体4の中心軌道半径(mm)、twは連結部132が弾性変形しないときの間座部131の中心間距離(mm)、b0は間座部131の両端面に形成された転動体当接面133間の最大厚みの1/2(mm)、θbは方向転換路7内で隣り合う二つの間座部131がなす角度の1/2(rad)を示している。ここで、Rw=2.38mm、Rb=3mm、Rp=3.75mm、tw=5.4mm、θb=tw/2Rb=0.9radとすると、本発明の第3の実施形態では、b0=0.32mmとなっている。
【0027】
第1及び第2の実施形態と同様に、転動体保持器13の連結部132に過大な引張力が作用しないようにするためには、式(1)が成り立つ必要がある。また、転動体保持器13の連結部132が転動体4と方向転換路7の内周側で干渉しないようにするためには、式(2)及び式(3)が成り立つ必要がある。
Rp、tw、Rb、Rwの各数値を式(3)に代入すると、3.75×sin(5.4/(2×3))−2.38=0.557≧b0となり、方向転換路7内で転動体保持器13の間座部131と転動体4とが干渉しないようにするためには、b0を0.557mmより小さくする必要がある。
【0028】
本発明の第3の実施形態では、前述したように、b0=0.32mmとなっているので、エンドキャップ6の方向転換路7内で転動体保持器13の連結部132が円弧状に弾性変形しても方向転換路7の内周側で転動体保持器13の間座部131が転動体4と干渉しなくなる。したがって、転動体保持器13の連結部132に過大な引張力が繰り返し作用することを防止することができる。
なお、本実施の形態では転動体が球状の場合について示したが、円筒状の場合でも同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るリニアガイド装置の幅方向に沿う断面図である。
【図2】図1に示す転動体保持器の詳細構成を示す図である。
【図3】図2に示す転動体保持器の連結部がエンドキャップの方向転換路内で円弧状に弾性変形した状態を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るリニアガイド装置の幅方向に沿う断面図である。
【図5】図4に示す転動体保持器の詳細構成を示す図である。
【図6】図5に示す転動体保持器の連結部がエンドキャップの方向転換路内で円弧状に弾性変形した状態を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係るリニアガイド装置の幅方向に沿う断面図である。
【図8】図7に示す転動体保持器の平面図である。
【図9】図8に示す転動体保持器の側面図である。
【図10】図8のX−X断面図である。
【図11】図7に示すリニアガイド装置の要部を示す断面図である。
【図12】従来例を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1,10 リニアガイド装置
2 案内レール
3 スライダ
4 球状転動体
5R,5S 転動体軌道溝
6 エンドキャップ
7 方向転換路
8 転動体戻し通路
9,11,13 転動体保持器
91,111,131 間座部
92,112,132 連結部
93,113,133 転動体当接面
【技術分野】
【0001】
本発明は、直線運動する機械部品をその移動方向に案内するリニアガイド装置及びリニアガイド装置用転動体保持器に関し、特に、案内レールとスライダとの間に組み込まれた多数の球状あるいは円筒状の転動体を収容する転動体保持器を備えたリニアガイド装置及びリニアガイド装置用転動体保持器に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械などの各種産業機械で用いられるリニアガイド装置は、一般に、案内レールとスライダとの間に組み込まれた多数の球状または円筒状の転動体が案内レールに対するスライダの相対的直線運動に伴って循環運動する構成となっている。このため、転動体の循環運動中に転動体同士の競合いが発生することがあり、このような転動体同士の競合いは転動体を早期に摩耗させたり、騒音や振動を増大させたりする原因となるため、特許文献1や特許文献2に記載のリニアガイド装置では、図12に示すように、各転動体4の間に設けられた多数の間座部121と、これらの間座部121を連結するベルト状の連結部122とからなる転動体保持器12で転動体4を保持することによって転動体同士の競合いを抑制するようにしている。
【特許文献1】特許第2607993号公報
【特許文献2】特開平11−247854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、転動体保持器12の間座部121が転動体4を完全に保持する構造となっているため、転動体保持器12の連結部122がエンドキャップ6の方向転換路7内で円弧状に弾性変形すると、転動体保持器12の間座部121と転動体4とが方向転換路7の内周側で干渉し合うことになる。このため、転動体保持器12の連結部122に過大な引張力が繰り返し作用し、転動体保持器12の連結部122が破断してしまうおそれがあった。
【0004】
また、特許文献2に記載のリニアガイド装置では、方向転換路を通過する転動体と間座部の外周側の端部との間に隙間を設けている。しかしながら、間座部と転動体とが互いに押し合った状態、すなわち連結部に力がかかった状態で方向転換路内を転動するのは、特許文献1の場合と同様であり、やはり転動体保持器の連結部が破断してしまうおそれがあった。
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、転動体保持器の連結部に過大な引張力が繰り返し作用することを防止することのできるリニアガイド装置及びリニアガイド装置用転動体保持器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、案内レールとスライダとの間に組み込まれた多数の転動体を収容する転動体保持器を、前記各転動体の間に設けられた多数の間座部と、これらの間座部を一定ピッチで一列に連結する連結部とから構成したリニアガイド装置において、前記転動体の半径をRw、前記転動体を方向転換させる方向転換路内で前記連結部が円弧状に弾性変形したときの前記連結部の曲がり半径をRb、前記方向転換路を転動する前記転動体の中心軌道半径をRp、前記連結部が弾性変形しないときの前記間座部の中心間距離をtw、前記間座部の両端面に形成された転動体当接面間の最大厚みの1/2をb0としたとき、Rp・sin(tw/2Rb)−Rw≧b0であることを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、リニアガイド装置の転動体を収容するものであって、前記各転動体の間に設けられた多数の間座部と、これらの間座部を一定ピッチで一列に連結する連結部とからなるリニアガイド装置用転動体保持器において、前記転動体の半径をRw、前記転動体を方向転換させる方向転換路内で前記連結部が円弧状に弾性変形したときの前記連結部の曲がり半径をRb、前記方向転換路を転動する前記転動体の中心軌道半径をRp、前記連結部が弾性変形しないときの前記間座部の中心間距離をtw、前記間座部の両端面に形成された転動体当接面間の最大厚みの1/2をb0としたとき、Rp・sin(tw/2Rb)−Rw≧b0であることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明は、案内レールとスライダとの間に組み込まれた多数の球状転動体を収容する転動体保持器を、前記各転動体の間に設けられた多数の間座部と、これらの間座部を一定ピッチで一列に連結する連結部とから構成したリニアガイド装置において、前記転動体を方向転換させる方向転換路内で前記連結部が略円弧状に弾性変形した際に、前記方向転換路内に位置する前記転動体の1個が、隣接する両側の前記間座部のうち少なくとも一方の間座部とは隙間を持った状態になっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1〜3に係る発明によれば、エンドキャップの方向転換路内で転動体保持器の連結部が円弧状に弾性変形しても方向転換路の内周側で転動体保持器の間座部が転動体と干渉し合うことを抑制できるので、転動体保持器の連結部に過大な引張力が繰り返し作用することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図1〜図3を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
図1において、符号1は本発明の第1の実施形態に係るリニアガイド装置を示し、このリニアガイド装置1は案内レール2、スライダ3および球状転動体4を備えている。ここで、案内レール2はその左右側面部に転動体軌道溝5Rを二条ずつ有しており、これらの転動体軌道溝5Rは案内レール2の長手方向に沿って直線状に形成されている。
【0010】
スライダ3はその幅方向に沿う断面がほぼコ字形をなしており、このスライダ3の相対向する二つの内側側面部に二条ずつ形成された転動体軌道溝5Sは、前述した転動体軌道溝5Rと各々対向している。
転動体4はスライダ3が案内レール2の長手方向に相対移動すると転動体軌道溝5R,5Sの溝面を転動するようになっており、転動体軌道溝5R,5Sの溝面を転動した各転動体4は、エンドキャップ6(図3参照)に形成された方向転換路7で方向転換した後、スライダ3に形成された転動体戻し通路8を通って循環運動するようになっている。
【0011】
また、転動体4は樹脂製の転動体保持器9(図1参照)に収容されており、この転動体保持器9は、図2に示すように、各転動体4の間に設けられた多数の間座部91と、これらの間座部91を一定ピッチで一列に連結する帯状の連結部92とから構成されている。
間座部91は転動体4の直径よりも小さい直径で円板状に形成されており、その両端面には転動体4と摺動自在に接触する球面と円筒面を組み合わせた形状の転動体当接面93が形成されている。一方、連結部92は転動体4の直径よりも幅広に形成されており、エンドキャップ6の方向転換路7内では、図3に示すように、円弧状に弾性変形するようになっている。
【0012】
図3は、エンドキャップ6の方向転換路7内における連結部92の状態を示す図である。同図において、Rbは転動体保持器9の連結部92がエンドキャップ6の方向転換路7内で円弧状に弾性変形したときの連結部92の曲がり半径(mm)、Rpは方向転換路7内を転動する転動体4の中心軌道半径(mm)、twは連結部92が弾性変形しないときの間座部91の中心間距離(mm)、b0は間座部91の両端面に形成された転動体当接面93間の最大厚みの1/2(mm)、θbは方向転換路7内で隣り合う二つの間座部91がなす角度の1/2(rad)を示している。ここで、Rw=2.38mm、Rb=3.5mm、Rp=4mm、tw=5.2mm、θb=tw/2Rb=0.7428radとすると、本発明の第1の実施形態では、b0=0.22mmとなっている。
【0013】
このような構成において、転動体保持器9の連結部92に過大な引張力が作用しないようにするためには、エンドキャップ6の方向転換路7内で連結部92が円弧状に曲がっても連結部92の中心線の長さが曲がる前の長さと同じである必要があり、そのためには次式が成り立つ必要がある。
2・Rb・θb=tw ‥‥(1)
【0014】
また、エンドキャップ6の方向転換路7内で転動体保持器9の連結部92が円弧状に曲がると、隣り合う二つの間座部91間の距離は連結部92の内周側では小さくなり、外周側では大きくなる。このため、転動体保持器9の寸法によっては転動体保持器9の間座部91が転動体4と方向転換路7の内周側で干渉する場合があり、転動体保持器9の間座部91が転動体4と方向転換路7の内周側で干渉しないようにするためには、
Rp・sinθb−Rw≧b0 ‥‥(2)
が成り立つ必要がある。ここで、式(2)の左辺は式(1)より次式のように表すことができる。
Rp・sin(tw/2Rb)−Rw≧b0 (3)
【0015】
式(2)または式(3)が成り立たない場合には、転動体4によって間座部91間の距離が押し広げられる。このため、連結部92に引張力が作用し、連結部92が損傷するおそれがある。また、転動体4が循環路の外周面に押し付けられて、循環抵抗が増大してスムーズな循環が得られない。
Rp、tw、Rb、Rwの各数値を式(3)に代入すると、
4×sin(5.2/(2×3.5))−2.38=0.325≧b0となり、エンドキャップ6の方向転換路7内で転動体保持器9の間座部91と転動体4とが干渉しないようにするためには、b0を0.325mmより小さくする必要がある。
【0016】
本発明の第1の実施形態では、前述したように、b0=0.22mmとなっているので、エンドキャップ6の方向転換路7内で転動体保持器9の連結部92が円弧状に弾性変形しても方向転換路7の内周側で転動体保持器9の間座部91が転動体4と干渉しなくなる。したがって、転動体保持器9の連結部92に過大な引張力が繰り返し作用することを防止することができる。
【0017】
次に、図4〜図6を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。
図4において、符号10は本発明の第2の実施形態に係るリニアガイド装置を示し、このリニアガイド装置10は案内レール2、スライダ3および球状転動体4を備えている。ここで、案内レール2はその左右側面部に転動体軌道溝5Rを二条ずつ有しており、これらの転動体軌道溝5Rは案内レール2の長手方向に沿って直線状に形成されている。
【0018】
スライダ3はその幅方向に沿う断面がほぼコ字形をなしており、このスライダ3の相対向する二つの内側側面部に二条ずつ形成された転動体軌道溝5Sは、前述した転動体軌道溝5Rと各々対向している。
転動体4はスライダ3が案内レール2の長手方向に相対移動すると転動体軌道溝5R,5Sの溝面を転動するようになっており、転動体軌道溝5R,5Sの溝面を転動した各転動体4は、エンドキャップ6(図6参照)に形成された方向転換路7で方向転換した後、スライダ3に形成された転動体戻し通路8を通って循環運動するようになっている。
【0019】
また、転動体4は樹脂製の転動体保持器11(図4参照)に収容されており、この転動体保持器11は、図5に示すように、各転動体4の間に設けられた多数の間座部111と、これらの間座部111を一定ピッチtwで一列に連結する連結部112とから構成されている。ここで、間座部111は転動体4の直径よりも小さい直径でほぼ円板状に近い形状に形成されており、この間座部111の両端面には平面状の転動体当接面113が形成されている。一方、連結部112は間座部111の一側面部同士を連結しており、連結部112と反対側の間座部111の側面部には、間座部91の厚さ方向に延出する腕部114が一体に形成されている。
【0020】
図6は、エンドキャップ6の方向転換路7内における連結部112の状態を示す図である。同図において、Rbは転動体保持器11の連結部112がエンドキャップ6の方向転換路7内で円弧状に弾性変形したときの連結部112の曲がり半径(mm)、Rpは方向転換路7内を転動する転動体4の中心軌道半径(mm)、twは連結部112が弾性変形しないときの間座部111の中心間距離(mm)、b0は間座部111の両端面に形成された転動体当接面113間の最大厚みの1/2(mm)、θbは方向転換路7内で隣り合う二つの間座部111がなす角度の1/2(rad)を示している。ここで、Rw=2.38mm、Rb=3mm、Rp=4mm、tw=5.2mm、θb=tw/2Rb=0.8666radとすると、本発明の第2の実施形態では、b0=0.22mmとなっている。
【0021】
このような構成において、転動体保持器11の連結部112に過大な引張力が作用しないようにするためには、エンドキャップ6の方向転換路7内で連結部112が円弧状に曲がっても連結部112の中心線の長さが曲がる前の長さと同じである必要があり、そのためには次式が成り立つ必要がある。
2・Rb・θb=tw ‥‥(1)
【0022】
また、エンドキャップ6の方向転換路7内で転動体保持器11の連結部112が円弧状に曲がると、隣り合う二つの間座部111間の距離は連結部112の内周側では小さくなり、外周側では大きくなる。このため、転動体保持器11の寸法によっては転動体保持器11の間座部111が転動体4と方向転換路7の内周側で干渉する場合があり、転動体保持器11の間座部111が転動体4と方向転換路7の内周側で干渉しないようにするためには、
Rp・sinθb−Rw≧b0 ‥‥(2)
が成り立つ必要がある。ここで、式(2)の左辺は式(1)より次式のように表すことができる。
Rp・sin(tw/2Rb)−Rw≧b0 (3)
【0023】
式(2)または式(3)が成り立たない場合には、転動体4によって間座部111間の距離が押し広げられる。このため、連結部112に引張力が作用し、連結部112が損傷するおそれがある。また、転動体4が循環路の外周面に押し付けられて、循環抵抗が増大してスムーズな循環が得られない。
Rp、tw、Rb、Rwの各数値を式(3)に代入すると、
4×sin(5.2/(2×3))−2.38=0.669≧b0となり、エンドキャップ6の方向転換路7内で転動体保持器11の間座部111と転動体4とが干渉しないようにするためには、b0を0.669mmより小さくする必要がある。
【0024】
本発明の第2の実施形態では、前述したように、b0=0.22mmとなっているので、エンドキャップ6の方向転換路7内で転動体保持器11の連結部112が円弧状に弾性変形しても方向転換路7の内周側で転動体保持器11の間座部111が転動体4と干渉しなくなる。したがって、転動体保持器11の連結部112に過大な引張力が繰り返し作用することを防止することができる。
【0025】
次に、図7〜図11を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。
軌道面の構成および転動体の循環運動については、前述した第1及び第2の実施形態と同様の構成である。また、転動体4は転動体保持器13に収容されており、この転動体保持器13は、図8〜図10に示すように、各転動体4の間に設けられた多数の間座部131と、これらの間座部131を一定ピッチtwで一列に連結する連結部132とから構成されている。ここで、間座部131は転動体4の直径よりも小さい直径でほぼ円板状に近い形状に形成されており、この間座部131の両端面には円筒面状の転動体当接面133が形成されている。一方、連結部132は転動体4の直径よりも幅広に形成されており、エンドキャップ6の方向転換路7では、図11に示すように、円弧状に弾性変形するようになっている。連結部132が弾性変形しない直線路においては、連結部132は転動体4の中心軌道と同一の位置にあるが、方向転換路7の中心部付近では、連結部132は転動体4の中心軌道よりも内周側に位置するようになっている。連結部132と転動体4の中心軌道とを、このような関係にするためには、方向転換路7の中央部に近づくに従って、連結部132が内周側に徐々に移動するように、連結部132の案内溝14(図11参照)を形成しておけばよい。本実施例においては、連結部132の案内溝14は方向転換路7の中央部付近で円弧形状となっている。従って、連結部132は、方向転換路7の中央部付近では円弧状に弾性変形する。
【0026】
図11において、Rbは転動体保持器13の連結部132が方向転換路7の中央部付近で円弧状に弾性変形したときの連結部132の曲がり半径(mm)、Rpは方向転換路7内を転動する転動体4の中心軌道半径(mm)、twは連結部132が弾性変形しないときの間座部131の中心間距離(mm)、b0は間座部131の両端面に形成された転動体当接面133間の最大厚みの1/2(mm)、θbは方向転換路7内で隣り合う二つの間座部131がなす角度の1/2(rad)を示している。ここで、Rw=2.38mm、Rb=3mm、Rp=3.75mm、tw=5.4mm、θb=tw/2Rb=0.9radとすると、本発明の第3の実施形態では、b0=0.32mmとなっている。
【0027】
第1及び第2の実施形態と同様に、転動体保持器13の連結部132に過大な引張力が作用しないようにするためには、式(1)が成り立つ必要がある。また、転動体保持器13の連結部132が転動体4と方向転換路7の内周側で干渉しないようにするためには、式(2)及び式(3)が成り立つ必要がある。
Rp、tw、Rb、Rwの各数値を式(3)に代入すると、3.75×sin(5.4/(2×3))−2.38=0.557≧b0となり、方向転換路7内で転動体保持器13の間座部131と転動体4とが干渉しないようにするためには、b0を0.557mmより小さくする必要がある。
【0028】
本発明の第3の実施形態では、前述したように、b0=0.32mmとなっているので、エンドキャップ6の方向転換路7内で転動体保持器13の連結部132が円弧状に弾性変形しても方向転換路7の内周側で転動体保持器13の間座部131が転動体4と干渉しなくなる。したがって、転動体保持器13の連結部132に過大な引張力が繰り返し作用することを防止することができる。
なお、本実施の形態では転動体が球状の場合について示したが、円筒状の場合でも同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るリニアガイド装置の幅方向に沿う断面図である。
【図2】図1に示す転動体保持器の詳細構成を示す図である。
【図3】図2に示す転動体保持器の連結部がエンドキャップの方向転換路内で円弧状に弾性変形した状態を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るリニアガイド装置の幅方向に沿う断面図である。
【図5】図4に示す転動体保持器の詳細構成を示す図である。
【図6】図5に示す転動体保持器の連結部がエンドキャップの方向転換路内で円弧状に弾性変形した状態を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係るリニアガイド装置の幅方向に沿う断面図である。
【図8】図7に示す転動体保持器の平面図である。
【図9】図8に示す転動体保持器の側面図である。
【図10】図8のX−X断面図である。
【図11】図7に示すリニアガイド装置の要部を示す断面図である。
【図12】従来例を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1,10 リニアガイド装置
2 案内レール
3 スライダ
4 球状転動体
5R,5S 転動体軌道溝
6 エンドキャップ
7 方向転換路
8 転動体戻し通路
9,11,13 転動体保持器
91,111,131 間座部
92,112,132 連結部
93,113,133 転動体当接面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内レールとスライダとの間に組み込まれた多数の転動体を収容する転動体保持器を、前記各転動体の間に設けられた多数の間座部と、これらの間座部を一定ピッチで一列に連結する連結部とから構成したリニアガイド装置において、
前記転動体の半径をRw、前記転動体を方向転換させる方向転換路内で前記連結部が円弧状に弾性変形したときの前記連結部の曲がり半径をRb、前記方向転換路を転動する前記転動体の中心軌道半径をRp、前記連結部が弾性変形しないときの前記間座部の中心間距離をtw、前記間座部の両端面に形成された転動体当接面間の最大厚みの1/2をb0としたとき、
Rp・sin(tw/2Rb)−Rw≧b0であることを特徴とするリニアガイド装置。
【請求項2】
リニアガイド装置の転動体を収容するものであって、前記各転動体の間に設けられた多数の間座部と、これらの間座部を一定ピッチで一列に連結する連結部とからなるリニアガイド装置用転動体保持器において、
前記転動体の半径をRw、前記転動体を方向転換させる方向転換路内で前記連結部が円弧状に弾性変形したときの前記連結部の曲がり半径をRb、前記方向転換路を転動する前記転動体の中心軌道半径をRp、前記連結部が弾性変形しないときの前記間座部の中心間距離をtw、前記間座部の両端面に形成された転動体当接面間の最大厚みの1/2をb0としたとき、
Rp・sin(tw/2Rb)−Rw≧b0であることを特徴とするリニアガイド装置用転動体保持器。
【請求項3】
案内レールとスライダとの間に組み込まれた多数の球状転動体を収容する転動体保持器を、前記各転動体の間に設けられた多数の間座部と、これらの間座部を一定ピッチで一列に連結する連結部とから構成したリニアガイド装置において、
前記転動体を方向転換させる方向転換路内で前記連結部が略円弧状に弾性変形した際に、前記方向転換路内に位置する前記転動体の1個が、隣接する両側の前記間座部のうち少なくとも一方の間座部とは隙間を持った状態になっていることを特徴とするリニアガイド装置。
【請求項1】
案内レールとスライダとの間に組み込まれた多数の転動体を収容する転動体保持器を、前記各転動体の間に設けられた多数の間座部と、これらの間座部を一定ピッチで一列に連結する連結部とから構成したリニアガイド装置において、
前記転動体の半径をRw、前記転動体を方向転換させる方向転換路内で前記連結部が円弧状に弾性変形したときの前記連結部の曲がり半径をRb、前記方向転換路を転動する前記転動体の中心軌道半径をRp、前記連結部が弾性変形しないときの前記間座部の中心間距離をtw、前記間座部の両端面に形成された転動体当接面間の最大厚みの1/2をb0としたとき、
Rp・sin(tw/2Rb)−Rw≧b0であることを特徴とするリニアガイド装置。
【請求項2】
リニアガイド装置の転動体を収容するものであって、前記各転動体の間に設けられた多数の間座部と、これらの間座部を一定ピッチで一列に連結する連結部とからなるリニアガイド装置用転動体保持器において、
前記転動体の半径をRw、前記転動体を方向転換させる方向転換路内で前記連結部が円弧状に弾性変形したときの前記連結部の曲がり半径をRb、前記方向転換路を転動する前記転動体の中心軌道半径をRp、前記連結部が弾性変形しないときの前記間座部の中心間距離をtw、前記間座部の両端面に形成された転動体当接面間の最大厚みの1/2をb0としたとき、
Rp・sin(tw/2Rb)−Rw≧b0であることを特徴とするリニアガイド装置用転動体保持器。
【請求項3】
案内レールとスライダとの間に組み込まれた多数の球状転動体を収容する転動体保持器を、前記各転動体の間に設けられた多数の間座部と、これらの間座部を一定ピッチで一列に連結する連結部とから構成したリニアガイド装置において、
前記転動体を方向転換させる方向転換路内で前記連結部が略円弧状に弾性変形した際に、前記方向転換路内に位置する前記転動体の1個が、隣接する両側の前記間座部のうち少なくとも一方の間座部とは隙間を持った状態になっていることを特徴とするリニアガイド装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−300165(P2006−300165A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−120899(P2005−120899)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
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