説明

レジストパターンの形成方法

【課題】 下層に密パターンを形成し、上層にパターンを形成するレジストパターンの形成方法において、ミキシングを抑制できるレジストパターンの形成方法を提供する。
【解決手段】 次の(i)〜(ii)の工程;(i)基板上にポジ型レジスト組成物を用いて第1のレジスト層を形成し、選択的に露光して、該第1のレジスト層に密パターンの潜像部を形成する工程;(ii)該第1のレジスト層の上にネガ型レジスト組成物を用いて第2のレジスト層を形成し、選択的に露光した後、第1のレジスト層と第2のレジスト層を同時に現像して、前記密パターンの潜像部の一部を露出させる工程;を含むレジストパターンの形成方法であって、前記ネガ型レジスト組成物として、第1のレジスト層を溶解しない有機溶剤に溶解したネガ型レジスト組成物を用いることを特徴とするレジストパターンの形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレジストパターンの形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のFエキシマレーザー、電子線、極紫外線やX線などについても検討が行われている。
また、微細な寸法のパターンを再現可能な高解像性の条件を満たすレジスト材料の1つとして、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化するベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤を含有する化学増幅型レジスト組成物が知られている。化学増幅型レジスト組成物には、アルカリ可溶性樹脂と酸発生剤と架橋剤とを含有するネガ型と、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂と酸発生剤とを含有するポジ型とがある。
【0003】
例えばArFエキシマレーザーリソグラフィー等において使用されるレジストのベース樹脂としては、193nm付近における透明性に優れることから、(メタ)アクリル酸から誘導される構成単位等を有する樹脂(アクリル系樹脂)が主流となっている(特許文献1等)。
【0004】
そして、この様な化学増幅型レジスト組成物を用いてレジストパターンを形成する際には、例えばレジスト組成物を用いて基板上にレジスト層を形成する工程、前記レジスト層を選択的露光する工程、露光後加熱処理(PEB処理)する工程、前記レジスト層を現像してレジストパターンを形成する工程を行う。
また、レジストパターンの形成においては、例えばひとつの基板上にライン状、ホール状などのパターンを形成する際に、隣接するパターンの間隔が狭い密パターンと、隣接するパターンの間隔が広い疎パターンとを形成する場合がある。
【0005】
近年、デバイスの複雑化、高密度化に伴い、この様に異なるパターンをひとつの基板上に精度よく形成することが求められている。
しかし、従来のレジストパターンの形成においては疎パターンを形成する際の焦点深度幅(DOF)が、密パターンを形成する際のDOFに対して、狭くなる傾向があるという問題があった。
【0006】
そこで、特許文献2には、例えば密パターンを形成した第1のレジスト層(下層)の上に、第2のレジスト層(上層)を積層して前記密パターンを埋め込み、ついでこの上層に前記密パターンとは異なるパターンを形成して、下層の密パターンの一部を露出させ、かつ残りの密パターンを埋め込んだ状態とする技術が開示されている。すなわち、上層のパターンは、下層に形成された密パターンの一部を埋め込む様に形成する。
例えば上層のパターンは下層に形成されたパターンよりも大きなサイズで形成する。例えば上下層にホールパターンを形成する場合、上層には、下層の密パターンに形成されるホールの直径より大きいパターンを形成し、かつこれら上下層のホールパターンが連結する様に形成する。すると、上層のホールパターンが形成された範囲においては、下層の密パターンを露出させることができる。そして、上層を除去しない範囲においては、下層の密パターンの一部が埋め込まれた状態となる。
この様にすると、基板の上の一部には、下層に形成されたパターンと、これに連続する上層に形成されたパターンとからなる疎パターンが形成される。すなわち、このパターンにおいては、その下層に形成された密パターンを利用しているため、基板に接触する下層のパターンが所望のサイズで形成され、かつDOF特性を満足した疎パターンが得られる。
この様にしてひとつの基板の上に、密パターンと疎パターンとが混在するレジストパターンを形成できる。
その結果、密パターンと疎パターンのDOF特性のばらつきによる問題を抑制することができる。
【特許文献1】特開2003−167347号公報
【特許文献2】米国公開公報US2003−0104319A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の下層に密パターンを形成し、上層に下層と異なるパターンを形成するレジストパターンの形成方法においては、上下層の界面でミキシングが生じるという問題がある。ミキシングとは、両方のレジスト層が溶解し合う現象をいう。
【0008】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、下層に密パターンを形成し、上層に下層と異なるパターンを形成するレジストパターンの形成方法において、ミキシングを抑制できるレジストパターンの形成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
第1の態様は、下記(i)〜(ii)の工程
(i)基板上に第1のポジ型レジスト組成物を用いて第1のレジスト層を形成し、選択的に露光して、該第1のレジスト層に密パターンの潜像部を形成する工程
(ii)該第1のレジスト層の上に第2のポジ型レジスト組成物を用いて第2のレジスト層を形成し、選択的に露光した後、前記第1のレジスト層と第2のレジスト層を同時に現像して、前記密パターンの潜像部の一部を露出させる工程
を含むレジストパターンの形成方法であって、
前記第2のポジ型レジスト組成物として、第1のレジスト層を溶解しない有機溶剤に溶解したポジ型レジスト組成物を用いることを特徴とするレジストパターンの形成方法である。
第2の態様は、下記(i’)〜(ii’)の工程
(i’)基板上に第1のポジ型レジスト組成物を用いて第1のレジスト層を形成し、選択的に露光した後、現像して該第1のレジスト層に密パターンを形成する工程
(ii’)該第1のレジスト層の密パターン上に第2のポジ型レジスト組成物を用いて第2のレジスト層を形成し、選択的に露光した後、現像して前記密パターンの一部を埋め込む工程
を含むレジストパターンの形成方法であって、
前記第2のポジ型レジスト組成物として、第1のレジスト層を溶解しない有機溶剤に溶解したポジ型レジスト組成物を用いることを特徴とするレジストパターンの形成方法である。
【0010】
なお、「露光」とは光の照射のみならず、電子線の照射等の放射線の照射全体を包括する概念とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、下層に密パターンを形成し、上層にパターンを形成するレジストパターンの形成方法において、ミキシングを抑制できるレジストパターン形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[第1の態様]
第1の態様は、下記(i)〜(ii)の工程
(i)基板上に第1のポジ型レジスト組成物を用いて第1のレジスト層を形成し、選択的に露光して、該第1のレジスト層に密パターンの潜像部を形成する工程
(ii)該第1のレジスト層の上に第2のポジ型レジスト組成物を用いて第2のレジスト層を形成し、選択的に露光した後、前記第1のレジスト層と第2のレジスト層を同時に現像して、前記密パターンの潜像部の一部を露出させる工程
を含むレジストパターンの形成方法であって、
前記第2のポジ型レジスト組成物として、第1のレジスト層を溶解しない有機溶剤に溶解したポジ型レジスト組成物を用いることを特徴とするレジストパターンの形成方法である。
【0013】
ここで、密パターンとは、ライン状、ホール状などのパターンを形成する際に、隣接するパターンの間隔が狭いことを示す。具体的には、例えばパターンの断面において、パターンの幅に対する、隣接するパターンまでの間隔の比が、好ましくは1以下、特に好ましくは0.9以下、さらには0.8以下であるものである。下限値は実質的には0.5以上である。なお、ホール状パターンにおけるパターンの幅とは、レジスト層が除去される範囲を示すものとし、例えばホールパターンのホールの直径を示す。ライン状パターンにおけるパターン幅とは、ラインの幅を示す。
疎パターンは、密パターンよりも隣接するパターンの間隔が広いものである。具体的には、例えばパターンの断面において、パターンの幅に対する、隣接するパターンどうしの間隔の比が、好ましくは2以上、特に好ましくは3以上、さらには5以上であるものである。上限値は実質的には10以下である。
なお、パターンの幅や間隔は、基板とレジスト層との界面付近のサイズを示す。
【0014】
図1(a)は第1の態様の手順の例(以下、プロセス1という)のフローを示したものである。図2はプロセス1の説明図(断面図)である。図4はプロセスを経て密パターンと疎パターンを形成した後の状態を示した平面図である。
【0015】
プロセス1においては、以下の工程を順次行う。
(i−1)第1のポジ型レジスト組成物塗布工程
塗布装置を用いて、基板1上に、露光により酸を発生する酸発生剤成分(以下、「酸発生剤」ということがある)を含む化学増幅型のポジ型レジスト組成物(第1のポジ型レジスト組成物)を塗布する(図2(a)参照)。
【0016】
(i−2)PAB(プレベーク)工程
塗布したレジスト膜を加熱処理して、第1のレジスト層2を形成する(図2(a)参照)。
加熱条件は例えば80〜150℃、40〜120秒(好ましくは60〜90秒)程度である。
第1のレジスト層2の厚さは例えば0.05〜1.0μm程度であり、好ましくは0.1〜0.5μmである。
【0017】
(i−3)露光工程
第1のレジスト層2を選択的に露光することにより、該第1のレジスト層に密パターンの潜像部(露光部)2a’を形成する。(図2(a)参照)。なお、「潜像部」とは露光された範囲をいうものとする。
すなわち、密パターン用のマスク(レチクル)3を用いて、第1のレジスト層2を選択的露光する。
なお、図2(a)は、ホールパターンが、パターンの幅Dと間隔Lとが約1:1のサイズで形成された密パターンを形成する露光を施す例である。
すなわち、図4に示す様に、第1のレジスト層2には、パターンの幅Dの複数のホール2aが間隔Lで密に配置された密パターンを形成するように選択的露光が施される。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができるが、ArFエキシマレーザーが好適である(以下の露光工程についても同様である)。
【0018】
(i−4)PEB(露光後加熱処理)工程
選択的露光を行った第1のレジスト層2を加熱処理して、第1のレジスト層2中の酸発生剤から発生する酸成分を適度に拡散させ、ポジ型レジスト組成物の基材成分が有する酸解離性溶解抑制基を脱離させる。ただし、酸解離性溶解抑制基によっては、露光だけで該酸解離性溶解抑制基が脱離するものもある。よって、PEB工程は必ずしも必要ではない。
加熱条件は例えば80〜150℃、40〜120秒(好ましくは60〜90秒)程度である。
【0019】
(ii−1)第2のポジ型レジスト組成物の塗布工程
塗布装置を用いて、第1のレジスト層2の上に酸発生剤を含む化学増幅型のポジ型レジスト組成物(第2のポジ型レジスト組成物)を塗布する(図2(b)参照)。
なお、第1のポジ型レジスト組成物、第2のポジ型レジスト組成物とは、第1のレジスト層2を形成するポジ型レジスト組成物と、第2のレジスト層12を形成するポジ型レジスト組成物とを便宜上区別するために用いる用語である。
【0020】
(ii−2)PAB(プレベーク)工程
塗布したレジスト膜を加熱処理して、第2のレジスト層12を形成する(図2(b)参照)。
加熱条件は例えば80〜150℃、40〜120秒(好ましくは60〜90秒)程度である。
第2のレジスト層12の厚さは例えば0.05〜1.0μm程度であり、好ましくは0.1〜0.5μmである。
【0021】
(ii−3)露光工程
第2のレジスト層12に選択的露光を施す。
すなわち、所望のマスク(レチクル)13を用いて、第2のレジスト層12を選択的露光すると、潜像部(露光部)12a’が形成される(図2(b)参照)。
なお、図2(b)は、ホールパターンが、パターンの幅Dと間隔Lとが約1:2のサイズで形成された疎パターンを形成する露光を施す例である。
すなわち、図4に示す様に、図面中、左右の端部に位置する領域21は、その全体を露光し、かつこれらに挟まれた領域22においては、第2のレジスト層12に、パターンの幅Dのホール12aが、間隔Lで配置される様なマスク13を用いて選択的露光を施す。
なお、図2(b)、図2(c)、図4に示す様に、疎パターンのホール12aの直径(パターンの幅)Dは、第1のレジスト層2に形成されるホール2a(潜像部2a’)の直径(パターンの幅)Dより大きく設計されている。そして、ホール12a(潜像部12a’)はその直下に形成されるホール2a(潜像部2a’)を含む範囲に形成される。
【0022】
(ii−4)PEB(露光後加熱処理)工程
選択的露光を行った第2のレジスト層12を、加熱処理して第2のレジスト層12中の酸発生剤から発生する酸成分を適度に拡散させる(図2(b)参照)。これにより、ポジ型レジスト組成物の基材成分が有する酸解離性溶解抑制基を脱離させる。ただし、酸解離性溶解抑制基によっては、露光だけで該酸解離性溶解抑制基が脱離するものもある。よって、PEB工程は必ずしも必要ではない。
加熱条件は例えば80〜150℃、40〜120秒(好ましくは60〜90秒)程度である。
【0023】
(ii−5)第1のレジスト層と第2のレジスト層の現像工程
第1のレジスト層2と第2のレジスト層12の積層体を現像処理する。現像処理には、例えば0.1〜10質量%(好ましくは2.38質量%)濃度のTMAH水溶液(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)が用いられる。
現像処理を行うと、図4に示す領域22では、図2(c)に示す様に、まず第2のレジスト層12の露光部(潜像部12a’)が除去されて疎パターンのホール12aが形成される。そして、このホール12aから侵入した現像液が、ホール12aの底面を構成している第1のレジスト層2に接触することにより、第1のレジスト層2の露光部(潜像部2a’)が現像され、除去されて露出する。すなわち、第1のレジスト層2の潜像部2a’がパターニングされる。これによりホール12aの直下のホール2aが形成される。そして、その結果、ホール2aとホール12aとが連続する疎のホールパターンが形成される。
一方、領域21では、選択的露光の際に、その全体に光を当てている為、領域21における第2のレジスト層12全体が現像液で現像され、除去される。そして、第1のレジスト層2に形成された密パターンの露光部(潜像部2a’)が現像されて、ホール2aが形成される。
【0024】
すなわち、領域22において、ホール2aは、広いDOF特性を確保できる密パターンで形成されているため、所望のサイズで正確に形成することができる。そして、疎のホール12aにおいては、第1のレジスト層2に形成された密パターンの一部のホール2a上に形成されている。
すなわち、この方法は、現像により下層の第1のレジスト層2で形成した広いDOFの密パターンの一部を露出させてパターニングし、疎のパターンとして利用するものである。
下層の第1のレジスト層2に初めから疎のパターンを形成しても、広いDOF特性を確保することができないが、上述の工程を経ることにより、広いDOF特性を有する疎パターンを得ることができる。
なお、上層の第2のレジスト層12のDOF特性については、下層(第1のレジスト層2)に形成されるパターン程、高い特性は要求されない。これは、ホール2aとホール12aとが連続する疎のホールパターンにおいて重要となるのは、下層2のホール2aであるからである。なぜなら、基板をエッチングする際には、下層2のパターンが転写される為である(基板に転写する際は、下層2のパターンに依存する)。
【0025】
この様にしてひとつの基板上に同じDOF特性を有する密パターンの領域21と疎パターンの領域22とが両方形成されたいわゆる疎密混在パターンが得ることができる。
【0026】
本発明の方法においては、第2のポジ型レジスト組成物として、特定のポジ型レジスト組成物を用いることを特徴とする。レジスト組成物の材料については、第2の態様と共通であるので、第2の態様の工程例を説明した後にまとめて説明する。
【0027】
[第2の態様]
第2の態様は、下記(i’)〜(ii’)の工程
(i’)基板上に第1のポジ型レジスト組成物を用いて第1のレジスト層を形成し、選択的に露光した後、現像して該第1のレジスト層に密パターンを形成する工程
(ii’)該第1のレジスト層の密パターン上に第2のポジ型レジスト組成物を用いて第2のレジスト層を形成し、選択的に露光した後、現像して前記密パターンの一部を埋め込む工程
を含むレジストパターンの形成方法であって、
前記第2のポジ型レジスト組成物として、第1のレジスト層を溶解しない有機溶剤に溶解したポジ型レジスト組成物を用いることを特徴とするレジストパターンの形成方法である。
【0028】
図1(b)は第2の態様の手順の例(以下、プロセス2という)のフローを示したものである。図3はプロセス2の説明図(断面図)である。図4はプロセスを経て密パターンと疎パターンを形成した後の状態を示した平面図である。
【0029】
プロセス2においては、以下の工程を順次行う。
(i’−1)第1のポジ型レジスト組成物塗布工程
第1の態様の(i−1)と同様である(図3(a)参照)。
(i’−2)PAB(プレベーク)工程
第1の態様の(i−2)と同様である(図3(a)参照)。
(i’−3)露光工程
第1の態様の(i−3)と同様である(図3(a)参照)。
(i’−4)PEB(露光後加熱処理)工程
第1の態様の(i−4)と同様である(図3(a)参照)。
【0030】
(i’−5)第1のレジスト層の現像工程
第1のレジスト層2を現像処理する。現像処理には、例えば0.1〜10質量%(好ましくは2.38質量%)濃度のTMAH水溶液(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)が用いられる。
現像処理を行うと、図3(b)に示す様に露光部分が除去されて、第1のレジスト層2には、パターンの幅Dと間隔Lとが約1:1のサイズで設計された複数のホール2aを有する密パターンが得られる。
すなわち、図4に示す様に、第1のレジスト層2の全面に、パターンの幅Dのホール2aが、間隔Lで密に配置された密パターンが形成される。
【0031】
(ii’−1)第2のポジ型レジスト組成物の塗布工程
図3(c)に示す様に、塗布装置を用いて、密パターンが形成された第1のレジスト層2の上に酸発生剤を含む化学増幅型の第2のポジ型レジスト組成物を塗布する。
なお、第1のポジ型レジスト組成物、第2のポジ型レジスト組成物とは、第1のレジスト層2を形成するポジ型レジスト組成物と、第2のレジスト層12を形成するポジ型レジスト組成物とを便宜上区別するために用いる用語である。
すると、ホール2aの中に第2のポジ型レジスト組成物が充填され、ホール2aが埋め込まれ、その上にレジスト膜が形成され、密パターンが形成された第1のレジスト層2はレジスト膜によって被覆される。
【0032】
(ii’−2)PAB(プレベーク)工程
塗布したレジスト膜を加熱処理して、第2のレジスト層12を形成する(図3(c)参照)。
加熱温度は例えば80〜150℃、40〜120秒(好ましくは60〜90秒)程度である。
第2のレジスト層12の厚さ(第1のレジスト層2の表面から第2のレジスト層12の表面までの長さ)は例えば0.05〜1.0μm程度であり、好ましくは0.1〜0.5μm程度である。
【0033】
(ii’−3)露光工程
第2のレジスト層12に選択的露光を施す。
すなわち、所望ののマスク(レチクル)13を用いて、第2のレジスト層12を選択的露光する。
なお、図3(c)は、図3(c)におけるホールパターンが、パターンの幅Dと間隔Lとが約1:2のサイズで形成された疎パターンを形成する露光を施す例である。
すなわち、この例においても、第1の態様と同じマスクを用いて同じ範囲を露光し、図4に示す様に、領域21は、その全体を露光し、領域22において、第2のレジスト層12を、パターンの幅Dのホール12aが間隔Lで配置される様に選択的露光すると、潜像部(露光部)12a’が形成される。
なお、図3(d)、図4に示す様に、疎パターンのホール12aの直径(パターンの幅)Dは、第1のレジスト層2に形成されるホール2aの直径(パターンの幅)Dより大きく設計されている。そして、ホール12aはその直下に形成されているホール2aを含む範囲に形成される。
【0034】
(ii’−4)PEB(露光後加熱処理)工程
選択的露光を行った第2のレジスト層12を、加熱処理して第2のレジスト層12中の酸発生剤から発生する酸成分を適度に拡散させ、ポジ型レジスト組成物の基材成分が有する酸解離性溶解抑制基を脱離させる。(図3(c)参照)。
ただし、酸解離性溶解抑制基によっては、露光だけで該酸解離性溶解抑制基が脱離するものもある。よって、PEB工程は必ずしも必要ではない。
加熱温度は例えば80〜150℃、40〜120秒(好ましくは60〜90秒)程度である。
【0035】
(ii’−5)第2のレジスト層の現像工程
第1のレジスト層2と第2のレジスト層12の積層体を現像処理すると、図4に示す領域22では、図3(d)に示す様に、第2のレジスト層12の露光部(潜像部12a’)が除去されて疎パターンのホール12aが形成される。
これにより、領域22では、ホール12aとその直下のホール2aとが連続する疎のホールパターンが形成される。また、選択的露光の際に、領域21では、その全体に光を当てている為、領域21における第2のレジスト層12は、その全体が現像液で現像され、第1のレジスト層の密パターンを埋め込んでいた第2のポジ型レジスト組成物も同時に除去され、ホール2aが形成される。
【0036】
すなわち、この方法は第1のレジスト層2に形成した広いDOFの密パターンを、第2のレジスト層12で埋め込み、選択的に露光して現像し、第2レジスト層12の一部を除去して、第1のレジスト層2に形成された密パターンの一部を露出させることにより、この密パターンを疎のパターンとして利用するものである。なお、密パターンにおいて、第2のレジスト層12を除去しない部分は、第2のレジスト層12で埋め込まれた状態となる。
下層の第1のレジスト層2に初めから疎のパターンを形成しても広いDOF特性を確保することができないが、上述の工程を経ることにより、広いDOFの疎パターンを得ることができる。
【0037】
なお、上層の第2のレジスト層12のDOF特性については、第1のレジスト層(下層)2に形成されるパターン程、高い特性は要求されない。これは、ホール2aとホール12aとが連続する疎のホールパターンにおいて重要となるのは、下層2のホール2aであるからである。なぜなら、基板をエッチングする際には、下層2のパターンが転写される為である(基板に転写する際は、下層のパターンに依存する)。
この様にして図4に示す様に、ひとつの基板上に密パターンの領域21と疎パターンの領域22とが両方形成されたいわゆる疎密混在パターンが得られる。
【0038】
なお、プロセス2においては、現像後のスカムがより発生しにくいという利点がある。
また、第1のレジスト層を一旦現像処理してから、第2のレジスト層を形成するので、第2のレジスト層が第1のレジスト層中の酸発生剤の影響を受けず、より高精度のパターンを形成できるという利点もある。
【0039】
本発明の方法においては、第2のレジスト層12を形成するために用いる第2のポジ型レジスト組成物として、特定のポジ型レジスト組成物を用いることを特徴とする。レジスト組成物等の材料については、第1の態様と共通であるので、以下にまとめて説明する。
【0040】
[第2のポジ型レジスト組成物]
ポジ型レジスト組成物は、(A’)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有し、かつ酸の作用により、アルカリ可溶性が増大する樹脂成分と、(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分を、有機溶剤に溶解したものが好ましい。
そして、本発明に用いる第2のポジ型レジスト組成物は、これらの成分を特定の有機溶剤に溶解してなることを特徴とする。
【0041】
有機溶剤
第2のポジ型レジスト組成物においては、第1のレジスト層を溶解しない有機溶剤を用いる。これによりミキシングを抑制することができる。
この様な有機溶剤としては、第1のレジスト層と相溶性を有さない溶剤であればいずれも使用可能である。
第1のレジスト層を溶解しないとは、好ましくは、例えば23℃条件下、膜厚0.2μmの第1のレジスト層を形成し、これを有機溶剤に浸漬したときに、60分後においても膜厚の変動が生じないことを示す。
【0042】
このような溶剤としてはアルコール系溶剤、フッ素系溶剤等が挙げられる。これらは1種または2種以上混合して用いることができる。
その中でも、塗布性、樹脂成分などの材料の溶解性の点から、アルコール系溶剤が好ましい。よって、有機溶剤は、アルコール系溶剤を含むことが好ましい。
そして、アルコール系溶剤としては、1価アルコールがさらに好ましく、その中でも、炭素数にもよるが、1級または2級の1価アルコールが好ましく、中でも1級の1価アルコールが最も好ましい。
沸点は80〜160℃であることが好ましく、90〜150℃であることがさらに好ましく、100〜135℃であることが塗布性、保存時の組成の安定性、およびPAB工程やPEB工程の加熱温度の観点から最も好ましい。
ここで1価アルコールとは、アルコール分子に含まれるヒドロキシ基の数が1個の場合を意味するものであり、2価アルコール、又は3価アルコール及びその誘導体は含まれない。
【0043】
アルコール系溶剤の具体例としては、n−アミルアルコール(沸点138.0℃)、s−アミルアルコール(沸点119.3℃)、t−アミルアルコール(101.8℃)、イソアミルアルコール(沸点130.8℃)、イソブタノール(イソブチルアルコール又は2−メチル−1−プロパノールとも呼ぶ)(沸点107.9℃)、イソプロピルアルコール(沸点82.3℃)、2−エチルブタノール(沸点147℃)、ネオペンチルアルコール(沸点114℃)、n−ブタノール(沸点117.7℃)、s−ブタノール(沸点99.5℃)、t−ブタノール(沸点82.5℃)、1−プロパノール(沸点97.2℃)、n−ヘキサノール(沸点157.1℃)、2−ヘプタノール(沸点160.4℃)、3−ヘプタノール(沸点156.2℃)、2−メチル−1−ブタノール(沸点128.0℃)、2−メチル−2−ブタノール(沸点112.0℃)、4−メチル−2−ペンタノール(沸点131.8℃)等が挙げられる。特にはイソブタノール(2−メチル−1−プロパノール)、4−メチル−2−ペンタノール、n−ブタノール等が好適である。中でもイソブタノール、n−ブタノールが好ましい。
【0044】
なお、フッ素系溶剤としてはパーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。
有機溶剤は1種または2種以上混合して用いることができる。
【0045】
有機溶剤は、第1のレジスト層を溶解しない限り、アルコール系溶剤、フッ素系溶剤等以外の有機溶剤を用いてもよいが、アルコール系溶剤、フッ素系溶剤等の好ましい溶剤を80質量%以上、好ましくは100質量%用いることが好ましい。
他の有機溶剤としては、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
【0046】
有機溶剤の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
【0047】
(A’)樹脂成分、(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分、その他添加可能な任意成分などについては、特に限定するものではなく、従来ポジ型レジスト組成物の材料として提案されているものを適宜用いることができる。
なお、第2のポジ型レジスト組成物が第1のレジスト層2に接触することに関する影響を考慮すると、第2のポジ型レジスト組成物としては、感度の高いものが望ましい。
好ましいものとしては、以下の様なものが挙げられる。
【0048】
なお、以下のポジ型レジスト組成物の例の説明において、用語の意義は以下の通りである。「構成単位」とは、重合体(樹脂)を構成するモノマー単位を示す。
「アクリル酸から誘導される構成単位」とは、アクリル酸のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレ性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」は、α位の水素原子がハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたものも含む概念とする。なお、「アクリル酸から誘導される構成単位」、「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」において、「α位(α位の炭素原子)」という場合は、特に断りがない限り、カルボキシ基が結合している炭素原子のことである。
また、「アクリル酸から誘導される構成単位」は、α位の炭素原子に結合する水素原子がハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換された構成単位や、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルから誘導される構成単位等も含む概念とする。
また、「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、環状または分岐鎖状のアルキル基を包含するものとする。
【0049】
(A’)樹脂成分
第2のポジ型レジスト組成物の(A’)成分としては、(A’)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有し、かつ酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分
を用いることが好ましい。
また、(A’)成分が、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1’)とフッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂環式基を含有する構成単位(a2’)とを含むことがより好ましい。
第2のポジ型レジスト組成物において、フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂環式基を含有する構成単位(a2’)を有する樹脂成分を用いることにより、アルコール系有機溶剤への溶解性が良好であることから好適である。
【0050】
・酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1’)
構成単位(a1’)において、α炭素原子に結合しているのは、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン化低級アルキル基、または低級アルキル基である。
低級アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜5の直鎖又は分岐状アルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。工業的にはメチル基が好ましい。
ハロゲン化低級アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜5の直鎖又は分岐状のハロゲン化アルキル基であり、好ましくは炭素数1〜5の直鎖又は分岐状のフッ素化低級アルキル基であり、トリフルオロメチル基であることが最も好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子であることが好ましい。
そして、中でも水素原子またはメチル基が好ましい。
【0051】
構成単位(a1’)の酸解離性溶解抑制基は、露光前の(A’)成分全体をアルカリ不溶とするアルカリ溶解抑制性を有すると同時に、露光後に酸発生剤(B)から発生した酸の作用により解離し、この(A’)成分全体をアルカリ可溶性へ変化させる基である。
酸解離性溶解抑制基としては、例えばArFエキシマレーザーのレジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。一般的には、アクリル酸のカルボキシ基と環状又は鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基、及び環状又は鎖状のアルコキシアルキルを形成する基が広く知られている。
【0052】
環状または鎖状のアルコキシアルキルエステルとは、カルボキシ基の水素原子がアルコキシアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(O)−O―)の末端の酸素原子に前記アルコキシアルキル基が結合している構造を示し、このアルコキシアルキルエステル基は酸が作用すると酸素原子とアルコキシアルキル基との間で結合が切断される。このような環状または鎖状のアルコキシアルキル基としては、1−メトキシメチル基、1−エトキシエチル基、1−イソプロポキシエチル、1−シクロヘキシルオキシエチル基、2−アダマントキシメチル基、1−メチルアダマントキシメチル基、4−オキソ−2−アダマントキシメチル基等が挙げられる。
鎖状の第3級アルキルエステルを形成する酸解離性溶解抑制基としては、例えばt−ブチル基、tert−アミル基等が挙げられる。
なお、構成単位(a1’)としては、環状、特に、「脂環式基を含有する酸解離性溶解抑制基」を含む構成単位が好ましい。脂環式基としては、単環、または多環のいずれでもよく、例えばArFレジスト等において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができるが、エッチング耐性の点からは多環の脂環式基が好ましい。また、脂環式基は炭化水素基が好ましく、飽和であることが好ましい。
単環の脂環式基としては、例えば、シクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が挙げられる。多環の脂環式基としては、例えばビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個の水素原子を除いた基などを例示できる。
具体的には、単環のものとしては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。多環のものとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
これらの中でもアダマンタンから1個の水素原子を除いたアダマンチル基、ノルボルナンから1個の水素原子を除いたノルボルニル基、トリシクロデカンからの1個の水素原子を除いたトリシクロデカニル基、テトラシクロドデカンから1個の水素原子を除いたテトラシクロドデカニル基が工業上好ましい。
【0053】
より具体的には、構成単位(a1’)は、下記一般式(I’)〜(III’)から選ばれる少なくとも1種であると好ましい。
【0054】
【化1】

[式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン化低級アルキル基、または低級アルキル基であり、R21は低級アルキル基である。]
【0055】
【化2】

[式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン化低級アルキル基、または低級アルキル基であり、R22及びR23はそれぞれ独立に低級アルキル基である。]
【0056】
【化3】

[式中、R24は第3級アルキル基である。]
【0057】
は水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン化低級アルキル基、または低級アルキル基である。低級アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜5の直鎖又は分岐状アルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。工業的にはメチル基が好ましい。
ハロゲン化低級アルキル基は、上記低級アルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。ハロゲン化低級アルキル基において、水素原子と置換されているハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
そして、Rとしては、これらの中でも水素原子またはメチル基が好ましい。
前記R21としては、炭素数1〜5の低級の直鎖又は分岐状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。その中でも、メチル基、エチル基であることが工業的に入手が容易であることから好ましい。
【0058】
前記R22及びR23は、それぞれ独立に、好ましくは炭素数1〜5の直鎖または分岐の低級アルキル基である。中でも、R22、R23が共にメチル基である場合が工業的に好ましく、具体的には、2−(1−アダマンチル)−2−プロピルアクリレートから誘導される構成単位を挙げることができる。
【0059】
また、前記R24は鎖状の第3級アルキル基または環状の第3級アルキル基であることが好ましい。鎖状の第3級アルキル基としては、例えばtert−ブチル基やtert−アミル基であり、tert−ブチル基である場合が工業的に好ましい。なお、第3級アルキル基とは、第3級炭素原子を有するアルキル基である。
環状の第3級アルキル基としては、前述の「脂環式基を含有する酸解離性溶解抑制基」で例示したものと同じであり、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、2−(1−アダマンチル)−2−プロピル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチルシクロペンチル基等を挙げることができる。
また、基−COOR24は、式中に示したテトラシクロドデカニル基の3または4の位置に結合していてよいが、結合位置は特定できない。また、アクリレート構成単位のカルボキシ基残基も同様に式中に示した8または9の位置に結合していてよいが、結合位置は特定できない。
【0060】
構成単位(a1’)は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
構成単位(a1’)は、(A’)成分中の全構成単位の合計に対して、20〜60モル%、好ましくは30〜50モル%であり、35〜45モル%であることが最も好ましい。下限値以上とすることによってパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0061】
・フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂環式基を含有する構成単位(a2’)
構成単位(a2’)を有することにより、アルコール系有溶剤に対する溶解性が向上する効果が得られる。
【0062】
・・フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂環式基
構成単位(a2’)において、脂環式基はフッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基は、ヒドロキシ基を有するアルキル基において、当該アルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素によって置換されているものである。当該基においては、フッ素化によって水酸基の水素原子が遊離しやすくなっている。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基において、アルキル基は直鎖または分岐鎖状であり、炭素数は特に限定するものではないが、例えば1〜20、好ましくは4〜16とされる。水酸基の数は特に限定するものではないが、通常は1つとされる。
中でも、当該アルキル基において、ヒドロキシ基が結合したα位の炭素原子(ここではヒドロキシアルキル基のα位の炭素原子を指す)に、フッ素化されたアルキル基及び/またはフッ素原子が結合しているものが好ましい。そして、当該α位に結合するフッ素化されたアルキル基は、アルキル基の水素原子の全部がフッ素で置換されていることが好ましい。
【0063】
脂環式基は単環でも多環でもよいが、多環式基であることが好ましい。また、脂環式炭化水素基が好ましい。また、飽和であることが好ましい。また、脂環式基の炭素数は5〜15であることが好ましい。
【0064】
脂環式基の具体例としては以下のものが挙げられる。
すなわち、単環式基としてはシクロアルカンから1個水素原子を除いた基などが挙げられる。多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個又は2個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
そして、さらに具体的には、単環式基としては、シクロペンタン、シクロヘキサンから1個又は2個の水素原子を除いた基が挙げられ、シクロヘキサンから2個の水素原子を除いたが好ましい。
多環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個又は2個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
なお、この様な多環式基は、例えばArFエキシマレーザープロセス用のポジ型ホトレジスト組成物用樹脂において、酸解離性溶解抑制基を構成するものとして多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
これらの中でもシクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、テトラシクロドデカンから2個の水素原子を除いた基が工業上入手しやすく、好ましい。
これら例示した単環式基、多環式基の中でも、特にノルボルナンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。
【0065】
構成単位(a2’)は、アクリル酸から誘導される構成単位であることが好ましく、アクリル酸エステルのエステル基[−C(O)O−]に上記脂環式基が結合した構造(カルボキシ基の水素原子が上記脂環式基で置換されている構造)が好ましい。
【0066】
構成単位(a2’)として、より具体的には以下の一般式(1)で表されるものが好ましい。
【0067】
【化4】

(式中、Rは水素原子、アルキル基、フッ素化アルキル基またはフッ素原子であり、m、n、pはそれぞれ独立して1〜5の整数である。)
【0068】
Rは、水素原子、アルキル基、フッ素化アルキル基またはフッ素原子である。
アルキル基としては、炭素数5以下の低級アルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、メチル基が好ましい。
フッ素化アルキル基は、好ましくは炭素数5以下の低級アルキル基の水素原子の1つ以上がフッ素原子で置換された基である。アルキル基の具体例は上記の説明と同様である。フッ素原子で置換される水素原子は、アルキル基を構成する水素原子の一部でもよいし、全部でもよい。
Rにおいて、好ましいのは水素原子またはアルキル基であり、特に水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
また、n、m、pはそれぞれ1であることが好ましい。
【0069】
一般式(1)で表されるものの中でも、下記[化14]のmに相当するモノマーから誘導される構成単位は、効果の点、及び合成が容易で、かつ高エッチング耐性が得られる点からも好ましい。
【0070】
構成単位(a2’)は1種または2種以上を混合して用いることができる。
構成単位(a2’)は、(A’)成分中の全構成単位の合計に対して、10〜65モル%、好ましくは20〜60モル%であり、25〜55モル%であることが最も好ましい。下限値以上上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0071】
(A’)成分は、構成単位(a1’)、及び構成単位(a2’)に加えて、さらに、ラクトン含有単環または多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有することが好ましい。
【0072】
・構成単位(a2)
構成単位(a2)のラクトン含有単環または多環式基は、(A’)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、現像液との親水性を高めたりするうえで有効なものである。
ここで、ラクトン含有単環または多環式基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
【0073】
構成単位(a2)としては、このようなラクトンの構造(−O−C(O)−)と環基とを共に持てば、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。特に、以下のような構造式を有するラクトン含有トリシクロアルカンから水素原子を1つを除いた基が、工業上入手し易いなどの点で有利である。
【0074】
【化5】

【0075】
構成単位(a2)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
【0076】
【化6】

[式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン化低級アルキル基、または低級アルキル基であり、R’は水素原子、低級アルキル基、または炭素数1〜5のアルコキシ基であり、m’は0または1の整数である。]
【0077】
一般式(a2−1)〜(a2−5)におけるRおよびR’の低級アルキル基としては、前記構成単位(a1)におけるRの低級アルキル基と同じである。
一般式(a2−1)〜(a2−5)中、R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
【0078】
これらの中でも、一般式(a2−1)〜(a2−5)から選択される少なくとも1種以上を用いることが好ましく、一般式(a2−1)〜(a2−3)から選択される少なくとも1種以上を用いることが好ましい。
【0079】
構成単位(a2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A’)成分中の構成単位(a2)の割合は、(A’)成分を構成する全構成単位の合計に対して、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0080】
・構成単位(a3)
(A’)成分は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含有する(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有していてもよい。構成単位(a3)を有することにより、(A’)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含み、かつ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。この様な多環式基は、ArFエキシマレーザー用レジスト組成物用のポリマー(樹脂成分)において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
【0081】
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐状の炭化水素基のときは、(α−低級アルキル)アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記式(a3−1)で表される構成単位、(a3−2)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
【0082】
【化7】

(式中、Rは前記に同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数である。)
【0083】
式(a3−1)中、jは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
【0084】
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基はノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
【0085】
構成単位(a3)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A’)成分が構成単位(a3)を有する場合、(A’)成分中、構成単位(a3)の割合は、当該(A’)成分を構成する全構成単位に対し、5〜50モル%であることが好ましく、さらに好ましくは15〜45モル%、最も好ましくは15〜35モル%がより好ましい。
【0086】
・構成単位(a4)
(A’)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1’)、(a2)’、(a2)、および(a3)からなる群(以下、これらをまとめて「構成単位群」という)に含まれない以外の他の構成単位(a4)を含んでいてもよい。
構成単位(a4)は、上記「構成単位群」に分類されない他の構成単位であれば特に限定するものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFポジエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
構成単位(a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族多環式基を含み、かつアクリル酸エステルから誘導される構成単位などが好ましい。該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1’)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFポジエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種以上であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖又は分岐状のアルキル基で置換されていてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
【0087】
【化8】

(式中、Rは前記と同じである。)
【0088】
かかる構成単位(a4)は、(A’)成分を構成する全構成単位の合計に対して、構成単位(a4)を1〜30モル%、好ましくは10〜20モル%含有させると好ましい。
【0089】
(A’)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A’)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
【0090】
(A’)成分は、例えば各構成単位を誘導するモノマーを常法によりラジカル重合することによって得ることができる。
(A’)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。
【0091】
・質量平均分子量
(A’)成分の質量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算質量平均分子量、以下同様。)は、例えば30000以下であり、20000以下であることが好ましく、12000以下であることがさらに好ましく、最も好ましくは10000以下とされる。
下限値は特に限定するものではないが、パターン倒れの抑制、解像性向上等の点で、好ましくは4000以上、さらに好ましくは5000以上とされる。
【0092】
また、
(A’)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚に応じて調整すればよい。
【0093】
(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分
(B)成分は、従来の化学増幅型レジスト組成物において使用されている公知の酸発生剤から特に限定せずに用いることができる。
このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
【0094】
オニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロンメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネートなどが挙げられる。
【0095】
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。これらの中で、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリルが好ましい。
【0096】
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、以下に示す構造をもつ1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(化合物A)、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン(化合物B)、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(化合物C)、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(化合物D)、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン(化合物E)、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(化合物F、)、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(化合物G)、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(化合物H)などを挙げることができる。
【0097】
【化9】

【0098】
また、(B)成分としては、下記一般式(b−1)または(b−2)
【0099】
【化10】

[式中、Xは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y、Zは、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表し;R11〜R13は、それぞれ独立に、アリール基またはアルキル基を表し、R11〜R13のうち少なくとも1つはアリール基を表す]で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種のスルホニウム化合物も好ましい。
【0100】
式(b−1)、(b−2)中、Xは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は例えば2〜6であり、好ましくは3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
Y、Zは、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は例えば1〜10であり、好ましくは1〜7、より好ましくは1〜3である。
Xのアルキレン基の炭素数またはY、Zのアルキル基の炭素数が小さいほどレジスト溶媒への溶解性も良好であるため好ましい。
また、Xのアルキレン基またはY、Zのアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
【0101】
11〜R13はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。
11〜R13のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R11〜R13のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R11〜R13のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
11〜R13のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもされていなくてもよいフェニル基、ナフチル基が挙げられる。安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
11〜R13のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R11〜R13はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
【0102】
これらのスルホニウム化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0103】
中でも、(B)成分としてフッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩を用いることが好ましい。
なお、後述するポジ型レジスト組成物においても、フッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩を用いることが好ましい。
(B)成分としては、1種の酸発生剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0104】
(B)成分の含有量は、(A’)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜10質量部とされる。上記範囲とすることで、パターン形成が十分に行うことできる。また、均一なレジスト溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
【0105】
(D)含窒素有機化合物
ポジ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良いが、脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)が挙げられる。その具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A’)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。これらの中でも、アルキルアルコールアミン及びトリアルキルアミンが好ましく、アルキルアルコールアミンが最も好ましい。アルキルアルコールアミンの中でもトリエタノールアミンやトリイソプロパノールアミンのようなアルキルアルコールアミンが最も好ましい。
【0106】
(E)成分
前記(D)成分との配合による感度劣化を防ぎ、またレジストパターン形状、引き置き安定性等の向上の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体(E)(以下、(E)成分という)を含有させることができる。なお、(D)成分と(E)成分は併用することもできるし、いずれか1種を用いることもできる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A’)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
【0107】
その他の任意成分
ポジ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
【0108】
[第1のポジ型レジスト組成物]
第1のポジ型レジスト組成物は、例えば第2のポジ型レジスト組成物と同様のものが用いることができる。これらの中でも、(A’)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有し、かつ酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分と、(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分を含むポジ型レジスト組成物であることが好ましく、前記(A’)成分が、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1’)と、ラクトン環を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)とを含むものが最も好ましい。
ただし、第1のポジ型レジスト組成物においては、第2のポジ型レジスト組成物の様に、第1のレジスト層2を溶解しない有機溶剤を用いるという制約がない。
そのため、上記第2のポジ型レジスト組成物にて説明した有機溶剤以外の有機溶剤を用いることも可能である。
例えば、有機溶剤としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
【0109】
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比が好ましくは2:8〜8:2、より好ましくは3:7〜7:3であると好ましい。
また、有機溶剤として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
【0110】
第1のポジ型レジスト組成物の樹脂成分として好ましい(A’)成分は、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1’)と、ラクトン環を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を含むものが好ましい。さらには構成単位(a1’)及び構成単位(a2)に加え極性基含有多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を含むことが最も好ましい。
第2のポジ型レジスト組成物の樹脂成分として好ましい(A’)成分は、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1’)とフッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂環式基を含有する構成単位(a2’)とを含むことが好ましい。
【0111】
また、第1のポジ型レジスト組成物の(A’)成分は、下記化学式(A’−1)で表される共重合体と下記化学式(A’−2)で表される共重合体のどちらかを含むことが好ましく、さらにはこれらの共重合体の混合物であることが特に好ましい。その混合比(質量比)は9:1〜1:9であることが好ましく、8:2〜2:8であることがさらに好ましく、6:4〜4:6であることが最も好ましい。
【0112】
【化11】

【0113】
【化12】

(式中、Rについては上記と同じである。)
【0114】
また、第2のポジ型レジスト組成物の(A’)成分は、下記化学式(A’−3)で表される共重合体を含むことが好ましい。
【化13】

(式中、Rについては上記と同じである。)
【0115】
本発明のレジストパターンの形成方法においては、上述の様に第2のポジ型レジスト組成物として、特定のポジ型レジスト組成物を用いることにより、下層に密パターンを形成し、上層にパターンを形成するレジストパターンの形成方法において、ミキシングを抑制でき、良好な形状のレジストパターンの形成方法を提供することができる。
【実施例】
【0116】
[参考例1]
(第2のレジスト層に用いるポジ型レジスト組成物の調整)
樹脂成分として、下記化学式で表される樹脂1を100質量部(質量比1:1)、酸発生剤としてトリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネートを5.0質量部、含窒素有機化合物としてトリエタノールアミンを0.45質量部を有機溶剤としてイソブタノールに溶解して固形分濃度6質量%のポジ型レジスト組成物とした。
【0117】
【化14】

樹脂1(質量平均分子量9800、分散度(質量平均分子量/数平均分子量)1.4、l/m=/48/52(モル比))
【0118】
[参考例2]
(第1のレジスト層に用いるポジ型レジスト組成物の調整)
樹脂成分として、下記化学式で表される樹脂1と樹脂2との混合物100質量部(質量比1:1)、酸発生剤としてトリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネートを3.0質量部、含窒素有機化合物としてトリエタノールアミンを0.15質量部、及びその他の成分として界面活性剤(R−08:大日本インキ化学社製)を0.1質量部を有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと乳酸エチルとの混合溶媒(質量比6:4)に溶解して固形分濃度10質量%のポジ型レジスト組成物とした。
【0119】
【化15】

樹脂1(分子量10000、分散度2.0、l/m/n=4/4/2(モル比))
【0120】
【化16】

樹脂2(分子量10000、分散度2.0、l/m/n=3/5/2(モル比))
【0121】
有機系反射防止膜組成物「ARC−29」(商品名、ブリューワサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で215℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚77nmの有機系反射防止膜を形成した。
そして、前記参考例2で調整した第1のポジ型レジスト組成物を、スピンナーを用いて反射防止膜上に塗布し、ホットプレート上で115℃で60秒間でプレベーク(PAB)し、乾燥することにより、膜厚300nmレジスト層を形成した。
ついで、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,σ=0.75)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。
そして、100℃で60秒間PEB処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像し、その後20秒間水洗して乾燥して140nmの1:1のデンスホールパターンを形成した。
次に、形成した前記デンスホールパターン上に、参考例1で調整した第2のポジ型レジスト組成物をスピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で115℃で60秒間でプレベーク(PAB)し、乾燥することにより、膜厚200nmレジスト層を形成した。その際に、下層のレジスト層とミキシングは発生していなかった。ついで、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,σ=0.75)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。
そして、100℃で60秒間PEB処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像し、その後20秒間水洗して乾燥して140nmの1:1のデンス(密)コンタクトホールパターンと、ホールの幅が140nmの疎パターンとを共に有する疎密混在パターンを形成することができた。
【0122】
この様に、本発明に係る実施例ではミキシングを防ぐことができ、実用的なレジストパターンを形成することができた。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】図1(a)は第1の態様の手順の例(プロセス1)のフローを示した説明図、図1(b)は第2の態様の手順の例(プロセス2)のフローを示した説明図。
【図2】プロセス1の説明図(断面図)。
【図3】プロセス2の説明図(断面図)。
【図4】プロセス1または2を経て密パターンと疎パターンを形成した後の状態を示した平面図。
【符号の説明】
【0124】
1・・・基板、2・・・第1のレジスト層(下層)、2a・・・ホール、2a’・・・潜像部(露光部)、12・・・第2のレジスト層(上層)、12a・・・ホール、12a’・・・潜像部(露光部)、3、13・・・マスク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(i)〜(ii)の工程
(i)基板上に第1のポジ型レジスト組成物を用いて第1のレジスト層を形成し、選択的に露光して、該第1のレジスト層に密パターンの潜像部を形成する工程
(ii)該第1のレジスト層の上に第2のポジ型レジスト組成物を用いて第2のレジスト層を形成し、選択的に露光した後、前記第1のレジスト層と第2のレジスト層を同時に現像して、前記密パターンの潜像部の一部を露出させる工程
を含むレジストパターンの形成方法であって、
前記第2のポジ型レジスト組成物として、第1のレジスト層を溶解しない有機溶剤に溶解したポジ型レジスト組成物を用いることを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項2】
下記(i’)〜(ii’)の工程
(i’)基板上に第1のポジ型レジスト組成物を用いて第1のレジスト層を形成し、選択的に露光した後、現像して該第1のレジスト層に密パターンを形成する工程
(ii’)該第1のレジスト層の密パターン上に第2のポジ型レジスト組成物を用いて第2のレジスト層を形成し、選択的に露光した後、現像して前記密パターンの一部を埋め込む工程
を含むレジストパターンの形成方法であって、
前記第2のポジ型レジスト組成物として、第1のレジスト層を溶解しない有機溶剤に溶解したポジ型レジスト組成物を用いることを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のレジストパターンの形成方法において、第1のレジスト層を溶解しない有機溶剤がアルコール系溶剤を含むレジストパターンの形成方法。
【請求項4】
請求項3に記載のレジストパターンの形成方法において、前記アルコール系溶剤がイソブタノールおよび/またはn−ブタノールであるレジストパターンの形成方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のレジストパターンの形成方法において、
第1のポジ型レジスト組成物と第2のポジ型レジスト組成物の一方あるいは両方が、(A’)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有し、かつ酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分と、(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分を含むポジ型レジスト組成物であるレジストパターンの形成方法。
【請求項6】
前記第1のポジ型レジスト組成物の(A’)成分が、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1’)と、ラクトン環を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)とを含む請求項5記載のレジストパターン形成方法。
【請求項7】
前記第2のポジ型レジスト組成物の(A’)成分が、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1’)とフッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂環式基を含有する構成単位(a2’)とを含む請求項5または6に記載のレジストパターン形成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−171118(P2006−171118A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−360297(P2004−360297)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】