説明

レジャービィークルの盗難防止装置

【課題】 車両側のバッテリが無用に消耗することのない等のレジャービィークルの盗難防止装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 暗証データを無線送信する携帯可能な携帯機20と、車両に搭載された送受信機3とを有し、携帯機20から受信した暗証データが正規の暗証データであれば車両の使用を可能にするレジャービィークルの盗難防止装置であって、前記送受信機3が、車両側の電源6と、手動スイッチ7を介して接続されており、前記手動スイッチ7がONされると、前記送受信機3が電源6と接続されて前記携帯機20から送信される暗証データを受信し、認証をおこなうように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジャービィークル(原動機付き自転車、自動二輪車や、運転席が外部に開放されているところの、自動三輪車、三輪あるいは四輪作業ビィークル、および小型滑走艇(PWC)等をも含む広い概念で使用する。この明細書および特許請求の範囲において単に「自動二輪車」ともいう。)の盗難防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レジャービィークル、例えば、自動二輪車は、運転席が外部に開放されており、従って、誰でも運転席に乗り込み可能になった形態を有する。
また、所謂キースイッチは、運転席近傍、具体的には運転席前方のインストルメントパネル等の、一般に外部に露出した部分に配置されている。
【0003】
このため、運転席が外部と隔離され使用者(運転者)が進入不能な形態を有する乗用車やトラック等の四輪自動車に比べて、前記自動二輪車の場合、耐盗難性能が劣る。
このような状況に鑑みて、キースイッチに合致したキーでメインスイッチをONにするとともに、所定の暗証データを記憶させている盗難防止装置の車両側の通信機が、携帯している携帯機(カード)から前記記憶している暗証データと一致する暗証データを受信した場合にのみ、エンジンの始動を可能とした盗難防止装置が提供されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3112585号公報。
【0004】
しかしながら、前記盗難防止装置の場合には、車両側の通信機は、常に携帯機側からの暗証データを待ち受け状態にしておかなければならず、旅行等でやや長い期間車両等を使用せずにそのままの状態におかれた場合には、車両のバッテリが消耗してしまう。特に、自動二輪車の場合には、前記四輪自動車に比べてバッテリ容量が少ないことから、このような状況に対して対処することが望ましい。
【0005】
また、別の課題として、自動二輪車の場合、前述のように運転席が外部に開放されているため、基本的に、運転者(ライダー)は、手袋をつけた状態で運転する。このため、乗車時に、運転者(ライダー)は、手袋を脱いでポケット等からキーを出し、該キーをキースイッチに入れて所定位置へ回動等させた後に、再び手袋をつけるという、甚だ煩雑な手順を取らざるを得ないのが、現状である。
【0006】
このような状況に鑑みて、運転者(ライダー)が、携帯機をポケット等に携帯している状態で、車両に対して所定距離まで近づけば、携帯機と車両側の通信機との間で暗証データのやり取りが行われ、暗証データが一致すると、エンジンを始動することが可能になった形態のキーシステム(キーレスシステム)も提供されている。
【0007】
しかし、かかるキーレスシステムの形態の場合には、運転席が外部に開放されている自動二輪車の場合、盗もうとしている者が車両に乗っている状態で、該自動二輪車の所有者が車両に近づくと、その状態で暗証データの認証がおこなわれて、エンジンが始動可能となり、盗まれてしまう可能性が生ずる。あるいは、運転者(ライダー)が車両の傍で点検等をおこなっているときに、既に暗証データの認証が完了しているため、その隙をついて盗まれてしまう可能性もある。
【0008】
自動二輪車について説明したが、自動二輪車以外のレジャービィークルにおいても基本的に同じ課題が存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような現況に鑑みておこなわれたもので、本発明の第1の目的は、車両側又は車両側と携帯機側のバッテリが無用に消耗することのないレジャービィークルの盗難防止装置を提供することであり、第2の目的は、キーレスシステムを採用した場合にも盗難防止性能が低下することのないレジャービィークルの盗難防止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記本発明の第1の目的は、下記のレジャービィークルの盗難防止装置によって解決される。つまり、
本第1の発明にかかるレジャービィークルの盗難防止装置は、暗証データを無線送信する携帯可能な携帯機と、ビィークルに搭載され前記携帯機からの暗証データを受信することができる通信機とを有し、受信した暗証データが正規の暗証データであればビィークルの使用を可能にするレジャービィークルの盗難防止装置において、
前記通信機が、ビィークル側の電源と、手動スイッチを介して接続されており、前記手動スイッチがONされると、前記通信機が前記電源と接続されて前記携帯機から送信される暗証データを受信し、この通信機に接続されている制御装置に記憶されている正規の暗証データと前記受信した暗証データとを照合するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
前述のように構成された本第1の発明にかかるレジャービィークルの盗難防止装置によれば、認証しようとするときにのみ、レジャービィークルに搭載された通信機に電源が投入されるため、無用にレジャービィークル側のバッテリを消耗させるようなことはない。
【0012】
また、前記第2の目的は、下記のレジャービィークルの盗難防止装置によって解決される。つまり、
本第2の発明にかかるレジャービィークルの盗難防止装置は、暗証データを無線送信する携帯可能な携帯機と、ビィークルに搭載され前記携帯機からの暗証データを受信することができる通信機とを有し、受信した暗証データが正規の暗証データであればビィークルの使用を可能にするレジャービィークルの盗難防止装置において、
前記通信機の受信アンテナが、特定方向に対して所定角度範囲に携帯機が存在するときにのみ受信可能な指向性を有するアンテナであり、
この受信アンテナがビィークルの両側に各一つ、両側のアンテナの前記所定角度範囲が重複する領域に、ビィークルの運転席が位置するように、それぞれ配置され、
前記通信機あるいはこの通信機に接続された制御装置が、比較手段を有して、両側のアンテナから受ける受信信号の強さの差がゼロかあるいは所定値内にあるときにのみ、携帯機から送信された暗証データを正規の暗証データと一致するか否か照合することを特徴とする。
【0013】
前述のように構成された本第2の発明にかかるレジャービィークルの盗難防止装置によれば、運転者(ライダー)が運転席に座ったときにのみ、ビィークル両側に設けられた各アンテナで受信する受信信号の強さの差がゼロあるいは所定値内になるため、盗もうとしている者がビィークルに乗っている状態で、所有者が該ビィークルに近づいても、その状態で暗証データの認証がおこなわれない。また、同様に、運転者(ライダー)がビィークルの傍で点検等をおこなっているときに、盗もうとしても、その状態では暗証データの認証がおこなわないため、盗難を未然に防止することができ、高い盗難防止性能を発揮する。
【0014】
前記第1の発明にかかるレジャービィークルの盗難防止装置において、前記通信機が、前記手動スイッチがONにされると、最初に、前記携帯機に対して携帯機検出信号を発信するように要求する信号を送信し、該携帯機はこの要求する信号を受信すると、携帯機がスリープの状態からアクティーブの状態になり、このアクティーブの状態になった後に、前記暗証データを通信機へ送信するよう構成されていると、電力が無用に消費されることのない携帯機を実現することができる。
【0015】
前記第1の発明にかかるレジャービィークルの盗難防止装置において、前記通信機が、前記携帯機から送信された暗証データを受信し、前記制御装置に記憶されている正規の暗証データと前記受信した暗証データとの照合を該制御装置でおこない、照合の結果、一致していれば、この制御装置が、ロックシステムをONにして、少なくともステアリングロックを解除し、
しかる後に、携帯機から再び送信された暗証データを通信機が受信すると、前記制御装置で前記記憶されている正規の暗証データと該受信した暗証データとの照合を再びおこなって、照合の結果、一致していれば、該制御装置は、点火と燃料の供給を司る点火・燃料システムをONにして、エンジンの始動を可能とするべく制御するよう構成されていると、ビィークルが自動二輪車等である場合には押し歩きが可能となり便宜性が増すとともに、高い耐盗難防止機能を備えた盗難防止装置となる。
【0016】
前記第1の発明にかかるレジャービィークルの盗難防止装置において、前記ロックシステム、前記点火・燃料システムを含む盗難防止制御対象機器のうちの少なくとも一つのシステムが、前記暗証データを記憶したCPUを備えるとともに、このCPUが前記制御装置と信号線で接続されて、前記携帯機から送信されてきた暗証データを通信機で受信するとともに制御装置を介して当該CPUへ送信して該CPUに記憶されている正規の暗証データとこの送信されてきた暗証データとを該CPUで照合するよう構成されていると、前記CPUを具備したシステム自体でも照合がなされることから、さらに高い耐盗難防止機能を備えた盗難防止装置となる。
【0017】
前記第1の発明にかかるレジャービィークルの盗難防止装置において、前記盗難防止制御対象機器が、ロックシステム、前記点火・燃料システム、及びメータ類を稼働状態にするメータシステムであると好ましい構成となる。
【0018】
また、前記第1の発明にかかるレジャービィークルの盗難防止装置において、前記照合の結果、受信した暗証データが正規の暗証データと一致した場合に、ビィークルに設けられた表示機器によるアンサーバックがおこなわれるよう構成されていると、運転者は、暗証データが認証されたことを視認(確認)することができる点で、好ましい構成となる。
【0019】
また、前記第1の発明にかかるレジャービィークルの盗難防止装置において、前記手動スイッチが、既にビィークルの既設のキルスイッチや、ラップタイムのスタート/ストップ・スイッチを利用するものであると、部品点数を増やすことなく、この盗難防止装置を実現できる点で、好ましい実施形態となる。
【0020】
また、前記第1の発明にかかるレジャービィークルの盗難防止装置において、前記手動スイッチが、ダイヤル式のスイッチであってもよい。
【0021】
また、前記第1の発明にかかるレジャービィークルの盗難防止装置において、前記通信機で受信した暗証データが正規の暗証データと一致したときに、そのときから所定時間内にスタータスイッチをON操作するとエンジンが始動するとともに、前記携帯機の検出がなく且つ前記所定時間内にスタータスイッチがON操作されないときには、初期状態に戻って盗難防止機能を奏するよう構成されていると、盗難防止性能の高い盗難防止装置となり、またバッテリの無用な消耗を防ぐことができる盗難防止装置を実現できる。
【0022】
また、前記第1の発明にかかるレジャービィークルの盗難防止装置において、前記携帯機は、前記暗証データを送信する際に、該携帯機内のバッテリの残量が少ないとき、前記暗証データとともに、あるいは暗証データに続いて、前記通信機へ携帯機のバッテリの残量が少ない旨の信号を発し、この信号を受信した通信機は、暗証データとともにあるいは暗証データに続いて、前記信号をビィークルの制御装置へ伝達し、該制御装置は、該バッテリの残量が少ない旨の表示をビィークル側の表示手段におこなうよう制御するように構成されていると、携帯機のバッテリ切れを未然に防ぐことができる、好ましいレジャービィークルの盗難防止装置となる。
【0023】
また、前記第2の発明にかかるレジャービィークルの盗難防止装置において、前記所定角度範囲が、約15〜40度であると、現実的に好ましい実施形態となる。
【発明の効果】
【0024】
前述のように構成された本第1の発明にかかる盗難防止装置によると、車両側又は車両側と携帯機側のバッテリが無用に消耗することのないレジャービィークルの盗難防止装置を提供することができる。
【0025】
また、前述のように構成された本第2の発明にかかる盗難防止装置によると、キーレスシステムを採用した場合にも盗難防止性能が低下することのないレジャービィークルの盗難防止装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
【実施例1】
【0027】
以下、本願発明にかかるレジャービィークルの盗難防止装置として、自動二輪車の盗難防止装置を例に挙げて、以下、その実施例を図面を参照しながら具体的に説明する。
【0028】
図1は本実施例(実施例1)にかかる自動二輪車の全体の平面図、図2は図1に示す自動二輪車の盗難防止装置の要部の構成を概念的に示したブロック図、図3は図1,図2に示す盗難防止装置の一部を構成する手動スイッチの一つの具体的な形態を示す概念図である。
【0029】
図1において、1はレジャービィークルの一種である自動二輪車で、この自動二輪車1には、図2に図示するような構成を有する盗難防止装置の通信機(送受信機)を備えた車載装置Aが装備されている。つまり、
図1に図示する自動二輪車のフロントカウリングFkの両側の各バックミラーBmの取付部に、指向性のアンテナ2(2R,2L:図2参照)がそれぞれ配置されている。
このアンテナ2(2R,2L:図2参照)は、図1に二つのアンテナ2R,2L(図示せず)の各受信可能な角度範囲の重複部分を灰色に塗りつぶして表しているように、それぞれ特定の方向(この実施例では、アンテナ2の位置から後方へ車体中心線よりの方向へ約25度の方向)に対して約15度〜40度の角度範囲、この実施例では、約30度の角度範囲で、受信可能になっている。そして、各アンテナ2R,2L(図2参照)のそれぞれの前記角度範囲がライダーズシートRsを共にカバーするような状態で配置されている。しかし、前記角度範囲は、より条件を緩くする場合には、10度〜60度程度であってもよく、実際上は、60度程度に設定する場合もある。
【0030】
そして、前記アンテナ2(2R,2L)は、図2に図示するように、車両に搭載されている送受信機(通信機)3と信号線L1で接続されており、この送受信機3は、信号線L2を介して、制御装置4と接続されている。そして、この制御装置4には比較回路があり、前記左右のアンテナ2R,2Lを介して送受信機3がそれぞれ受信した二つの受信信号の強さの差が、ゼロか又は所定値以下であるか否か判断し、ゼロか所定値以下であるときのみ、後述する受信した暗証データが正規の暗証データと一致するか否かの認証をおこない、一方、前記受信信号の強さの差が所定値以上であると、暗証データの認証をおこなわないよう構成されている。なお、前記比較回路を前記送受信機3に設けて比較するよう構成してもよい。
【0031】
また、前記制御装置4は、メモリ4mを内蔵しており、このメモリ4mには、正規の暗号データが記憶され、前記送受信機3を介して、ライダーのポケット等に携帯されている携帯機Bから送信されてきた暗号データが、この制御装置4で記憶されている正規の暗証データと一致するか否か照合するよう構成されている。
そして、この制御装置4は、電線L3を介して車両のフラッシャ5と接続されており、送信されてきた暗号データが正規の暗号データに一致した場合には、該制御装置4はアンサーバックとして前記フラッシャ5を点滅するように構成されている。
また、前記制御装置4は、電線L7を介して、FIランプ12と接続されており、暗証データが不一致のときには、このFIランプ12を点滅させて、不一致である旨、表示するよう構成されている。
そして、この制御装置4は、車両に搭載されているバッテリ6と、電線L4を介して接続されている。また、制御装置4とバッテリ6を接続している該電線L4の中間には、手動スイッチ7が介装され、この手動スイッチ7が「閉(ON)」側に操作されている間だけ、バッテリ6側から制御装置4側に電気が供給されるよう構成されている。
【0032】
また、前記電線L4の手動スイッチ7のバッテリ6側の部分から分岐した電線L5が、リレー8を介して、FI回路(点火・燃料システム)9、メータ回路(メータシステム)10、ロック回路(ロックシステム)11、スタータ回路にセルモータMを駆動するための電力を供給するためのリレー13と接続されている。
【0033】
そして、前記リレー8は、前記制御装置4からの電気信号によって、ON(閉)−OFF(開)して、前記バッテリ6から前記FI回路9、メータ回路10、ロック回路11および前記リレー13へ電力を供給することができるよう構成されている。つまり、リレー8が閉じると、バッテリ6から、電力が、これらFI回路9、メータ回路10、ロック回路11へ供給されて、自動二輪車の、該FI回路9、メータ回路10がONの状態になり、且つ、自動二輪車のロック回路11が立ち上がって、ステアリングロックやヘルメットを保持しているロック装置が解除され、さらに、後述するリレー13が「閉(ON)」になって、スタータ回路がONの状態となり、該自動二輪車1のエンジンが始動可能で、且つ使用可能な状態となるように構成されている。
【0034】
また、前記電線L5は分岐され、その分岐されたもう一方の電線L5はリレー15を介して、前記制御装置4と接続され、前記手動スイッチ7の操作が終了することによって該手動スイッチ7が「開(OFF)」になっても、このリレー15を介して制御装置4へ電力が供給できるように構成されている。つまり、この構成は、制御装置104への電力の供給に関して、自己保持機能を付与している。
【0035】
また、前記電線L5はさらに分岐されて、この分岐された電線L5は、この回路をON−OFFする前記リレー13を挟んで、スタータ回路を構成する、スタータスイッチ14とその後流側に設けられているスタータ(セルモータ)Mと前記バッテリ6とを接続している。
【0036】
ところで、前記手動スイッチ7として、図1に図示する自動二輪車のハンドルバーHbの右グリップ近傍に配置されているスライド型スイッチからなるキルスイッチを用いることができる。つまり、通常、自動二輪車のエンジンを停止させるときに用いるキルスイッチに、ポジションを1つ余分に設けて、このポジションを前記手動スイッチ7として使用すると、部品点数を増加させることがない点において好ましい。具体的には、図3(b)において実線で図示する、スライドレバー(可動片)7aがホームポジションにある状態から、反時計方向への移動に対して図3(b)の実線で図示する状態を保持しようとするスプリング(図示せず)のばね力に抗して、当該スライドレバー7aを親指等で反時計方向に図3(a)で実線(図3(b)で二点鎖線)で図示する位置まで移動させれば、そのように親指で操作している間だけ、前記制御装置4および受信装置3へ電力を供給することができる。そして、親指での操作を止めると、前記ばね力によって、前記ホームポジションの状態に戻ることになる。前記キルスイッチに代えて、手動スイッチ7として、ハンドルバーの右グリップ近傍に配設されている、既設の車両の「ラップタイムのスタート/ストップ・スイッチ」を利用してもよい。
【0037】
ところで、前記手動スイッチ7であるキルスイッチは、図3(b)において実線で示す位置(ホームポジションの位置)から、図3(c)において実線で示す位置まで、親指でスライドレバー7aを移動させれば、エンジンを停止させるキルスイッチを「ON」の状態を形成することができ、この図3(c)の実線で示す位置へ移動操作することによって、稼働中のエンジンが停止し、また停止中であればエンジンを始動させることができない状態となる。また、図3(c)において実線で示す位置から図3(b)において実線で示す位置(ホームポジションの位置)まで親指でスライドレバー7aを移動させれば、エンジンを停止させるキルスイッチを「OFF」の状態に戻すことができ、この図3(b)において実線で示す位置では、停止中のエンジンを始動することが可能な状態となる。
そして、前記スライドレバー7aは、図3(b)、図3(c)において実線で示す位置においては、デテント機構等により、親指等で意図的に別のポジションに移動させない限り、その位置を保持するように構成されている。
【0038】
また、この実施例にかかる自動二輪車の場合には、前記手動スイッチ7であるキルスイッチのスライドレバー7aを図3(c)において実線で示すキルスイッチを「ON」の位置に移動させて、稼働中のエンジンを停止させた場合でも、所定時間、例えば、給油に必要な時間、具体的な一例としては、10分以内にスライドレバー7aを図3(b)において実線で示す位置に戻せば、エンジンを再始動することが可能に構成されている。しかし、この場合にも、前記盗難防止装置が作動して、暗証データの認証が一致している必要がある。
【0039】
また、この実施例では、図2に図示するように、前記制御装置4が電線L6を介して表示装置18(設置位置としては、例えばメータパネル部分)と接続されて、盗難防止装置の携帯機20の電池の残量が少なくなると、この携帯機20がその旨の信号を前記送受信機3へ送信し、送受信機3(あるいは前記制御装置4)はかかる場合、前記表示装置18に、携帯機20の電池残量が少ない旨の警告を表示させるよう構成されている。かかる場合、ライダーは、この警告を見ることにより、携帯機20の電池を交換すればよい。
【0040】
また、前記構成では、キルスイッチを手動スイッチ7として用いていたが、これに代えて、図4に図示するような、単独のスイッチとして、複数のポジション(この図4に示す実施例では3ポジション)と各ポジションを選択できる可動部7aを有するダイヤル式のスイッチ7を別途設けて、このダイヤル式のスイッチによって前記手動スイッチ7を構成してもよく、あるいは図示しないが他の形態のスイッチで構成することもできる。
【0041】
なお、図2において、各ブロック間を接続する一点鎖線は信号線を、実線は電力線を示す。
【0042】
前述のように構成された本盗難防止装置は、盗難防止に対して、以下のように機能する。以下、前記制御装置4の制御内容ととともに当該盗難防止機能について、図5のフローチャートに沿って、説明する。
【0043】
ライダーが、ポケットの中に前記携帯機20を入れた状態で、自動二輪車1のライダーズシートRsに座り、自動二輪車1の前記手動スイッチ7を操作したとする(ステップ1:S1)と、前記携帯機20から送信されている暗証データが前記アンテナ2(2R、2L)で受信され(ステップ2:S2)、この受信した受信信号が送受信機3を経て前記制御装置4に送られ、該制御装置4は左右の各アンテナ2R、2Lからの受信信号の強さを比較する(ステップ3:S3)。ライダーが前記のようにライダーズシートRsに座っている場合には、この受信信号の強さの差は、ゼロ又は所定値以下になる。前記受信信号の強さの差が、所定以下の場合には、次に、制御装置4において、受信した暗証データがメモリ4mに記憶している正規の暗証データと一致するか否か比較する(ステップ4:S4)。また、前記ステップ3において、受信信号の強さが所定以上ある場合には、ステップ1に戻る。
前記ステップ4において、暗証データが一致した場合には、制御装置4は、自動二輪車1のフラッシャ5を点滅して、ライダーに「暗証データ」が一致した旨を知らせる(ステップ5:S5)とともに、以下に述べるステップ7へ移行する。一方、暗証データが不一致である場合には、制御装置4は、自動二輪車1のFIランプ12を点滅して、ライダーに「暗証データ」が一致しない旨、知らせる(ステップ6:S6)。
そして、前記のように、暗証データが一致した場合には、制御装置4は、前記リレー8を「閉」にして、前記FI回路9、メータ回路10をONの状態(作動状態)にするとともに、前記スタータ用リレー13を「閉」にする(ステップ7:S7)。また、前記のように、暗証データが一致した場合には、前記ロック回路11をONの状態(作動状態)にして、ハンドルロックやヘルメットの保持金具のロックを解除する。さらに、前記のように、暗証データが一致した場合には、制御装置4は、前記リレー15を「閉」にして、当該制御装置4へ継続して電力が供給されるようにする。
そして、前記制御装置4はソフトウエア(プログラム)で構成されているタイマーを作動させる(ステップ8:S8)。ここで、ライダーが、所定時間内(例えば5分以内)に、エンジンのスタータスイッチ14をONにする(ステップ9:S9)と、ONにしている間だけスタータMが回転して、エンジンが始動させられ(ステップ10:S10)、一連の盗難防止に関する制御が終了する。一方、スタータスイッチ14が操作されないままで前記所定時間(例えば5分以内)が経過すると、制御装置4は、初期状態(図5の「スタート」のステップ)に戻す。つまり、所定時間が経過すると、再び前述した一連の暗証データの認証がおこなわれない限り、エンジンの始動をすることはできないことになる。
【0044】
ところで、この実施例にかかる自動二輪車の場合、前記エンジンが稼働中に、前記手動スイッチ7であるキルスイッチのスライドレバー7aが図3(d)において実線で示す位置に移動させられると、前記リレー8が「開(OFF)」になり、エンジンが停止する。
【0045】
しかし、この実施例にかかる自動二輪車の場合には、給油時等の便宜のため、エンジンが停止すると、制御装置4は再び前記リレー8およびリレー15を所定時間(例えば、給油に必要な時間、具体的な一例としては、10分間)だけ「閉(ON)」の状態にして、その状態を維持する。そして、この所定時間内においては、携帯機20と、送受信機3を介して制御装置4との間で、適宜タイミングで暗証データの認証作業が繰り返しおこなわれる。このため、ライダーがライダーズシートRsに跨がっている状態であれば、前記フローチャートのステップ3(S3)からステップ4(S4)に移行してエンジンの始動が可能となる。一方、ライダーがライダーズシートRsに跨がっていない状態では、ステップ3(S3)からステップ1(S1)に移行して前記ステップ4(S4)に移行しないため、前記暗証データの認証が実施されないことから、盗難防止機能は機能した状態となり、従って、仮にライダーがトイレ等に行っている間に、自動二輪車が盗まれるようなことはない。
【0046】
前述のように、キルスイッチによってエンジンを停止させても、携帯機20をポケット等に入れたライダーがライダーズシートRsに跨がったままで、且つ、前記所定時間内であれば、再び、前記スタータスイッチ14を操作すると、エンジンを始動させることが可能となる。
【0047】
ところで、前述したように、本実施例にかかる自動二輪車の盗難防止装置の場合、前記手動スイッチ7を操作するまでは、車両側の電力は全く消費されないため、無駄に電力を消費することがない。
また、前述のように、携帯機20をポケット等に入れた運転者(ライダー)が、所定場所、つまりライダーズシートRsに座ったときにのみ、暗証データの認証がおこなわれ、自動二輪車1の側方にいるような場合には、前記暗証データの認証がおこなわれないため、高い盗難防止性能を発揮する。
【0048】
ところで、前記実施例における制御装置4での制御は、自動二輪車のECU(エンジン・コントロール・ユニット)を前記制御装置として利用してもおこなうこともできるし、実際の場合、ECUを前記制御装置として用いておこなうことが、部品点数を増加させない上で、また製品コストを無用に増加させない点において、好ましい。
【実施例2】
【0049】
次に、別の実施例(実施例2)にかかる盗難防止装置について説明する。
【0050】
図6は本実施例(実施例2)にかかる自動二輪車の盗難防止装置の要部の構成を概念的に示すブロック図、図7は図6に示す盗難防止装置の制御内容等を示すフローチャートである。
【0051】
図6において、A2は自動二輪車101に搭載されている通信機(送受信機103)を備えた盗難防止装置の車載装置で、この車載装置A2は、送受信用のアンテナ102を有し、このアンテナ102は、自動二輪車101の一部に、例えばシートの下方に配置されている。
【0052】
そして、このアンテナ102は、全方向からの信号を受信可能で且つ全方向へ信号を発信可能な形態のもの(全方向性の形態のもの)で、該アンテナ102は、図6に図示するように、車両に搭載されている送受信機(通信機)103と信号線L101で接続されており、この送受信機103は、信号線L102を介して、制御装置104と接続されている。
【0053】
前記制御装置104は、メモリ104mを内蔵しており、このメモリ104mには、正規の暗証データが記憶され、前記送受信機103を介して、ライダーのポケット等に携帯されている携帯型の携帯機120から送信されてきた暗証データが、この制御装置104で、前記記憶されている正規の暗証データと一致するか否か照合(チェック)されるように構成されている。
【0054】
そして、この制御装置104は、電線L103を介して車両のフラッシャ105と接続され、送信されてきた暗証データが正規の暗証データに一致した場合には、選択的に、該制御装置104はアンサーバックとして前記フラッシャ105を点滅することが可能に構成されている。
【0055】
また、この制御装置104は、電線L107を介して、FIランプ112と接続され、暗証データが不一致のときには、選択的に、このFIランプ112を点滅させて、不一致である旨の表示をおこなうことが可能に構成されている。
【0056】
さらに、この制御装置104は、電線L111を介して、ロック回路(ロックシステム)111およびロックアクチュエータ117と接続され、制御装置104の制御動作およびロック回路111の動作制御によって、ロックアクチュエータ117へ電力を供給して、このロックアクチュエータ117を作動させることができるよう構成されている。なお、このロックアクチュエータ117は一つのもの、例えば、ステアリングロックをロックON・ロックOFFするロックアクチュエータに限定されるものでなく、ヘルメットロックやシートロックのロックアクチュエータであったり、あるいは燃料キャップをロックON・ロックOFFするロックアクチュエータであったり、またはサドルバッグのロックをロックON・ロックOFFするアクチュエータであってもよい。
【0057】
この制御装置104は、車両に搭載されているバッテリ106と、電線L104を介して接続されている。また、この電線L104の途中には、手動スイッチ107が介装され、該手動スイッチ107が「閉(ON)」側に操作されると、該制御装置104が後述するリレー115とリレー108を「閉(ON)」にするように制御する。
【0058】
また、この実施例2の場合、制御装置104は、破線で示す電線L104sを介して、バッテリ106側と直接接続され、手動スイッチ107が操作される前の状態においても該バッテリ106から微小電流(微小電力)が供給されるよう構成されている。そして、このように微小電流が供給されることによって、制御装置104は「スリープ」の状態(待機状態)を形成できるように構成されている。
【0059】
そして、前述のように、前記手動スイッチ107を押動操作すると、前記リレー115が「閉」になり、このリレー115を介して、前記電線L104の手動スイッチ107のバッテリ6側(上流側)の部分から分岐した電線L105が制御装置104と接続され、この結果、制御装置104にバッテリ106から電力が供給されるように構成されている。このため、前記手動スイッチ107の押動操作が終了することによって該手動スイッチ107自体が「開(OFF)」の状態になっても、制御装置104へ電力が供給できる。つまり、この構成は、制御装置104への電力の供給に関して、自己保持機能を付与している。
【0060】
前述のように、前記手動スイッチ107を押動操作すると、前記リレー108が「閉」になり、このリレー108を介して、前記電線L104の手動スイッチ107のバッテリ6側(上流側)の部分から分岐した電線L105が、FI回路(点火・燃料システム)109とメータ回路(メータシステム)110に接続される。また、前記電線L105は、リレー113を介して、スタータMおよびスタータスイッチ114を有するスタータ回路(スタータシステム)をONの状態(作動状態)にする、リレー113と接続されている。
【0061】
前記リレー108は、前記制御装置104からの制御信号によって、ON(閉)−OFF(開)して、前記バッテリ106から前記FI回路109、メータ回路110へ電力を供給することができるように構成されている。
【0062】
また、電線L105は、前記リレー113を介して、スタータスイッチ114およびスタータモータMと電線で接続されているとともに、該リレー113は前記制御装置104と信号線L113で接続されている。そして、前記リレー113は、前記制御装置104からの制御信号によって、ON(閉)−OFF(開)して、前記バッテリ106から前記スタータスイッチ114およびスタータモータMへ電力を供給することができるように構成されている。
【0063】
また、前記ロック回路111、前記FI回路109、前記メータ回路110は、それぞれメモリを具備したCPUを内蔵し、該メモリに正規の暗証データを記憶して、これらの回路自体(正確にはこれらのCPU)において、暗証データの認証がさらにおこなわれるように構成されている。
【0064】
また、前記ロック回路111、前記FI回路109、前記メータ回路110は、所謂「CAN( Controller Area Network )」によって、前記制御装置104とそれぞれ接続されており、前述した受信した暗証データを該制御装置104から受け取ることができるよう構成されている。
【0065】
ところで、図1に図示する自動二輪車のハンドルバーHbの右グリップ近傍に配置されている、この盗難防止装置専用の押しボタン式のスイッチからなるスタート/ストップ・スイッチが、前記手動スイッチ107として用いられている。前記スタート/ストップ・スイッチに代えて、手動スイッチ107としては、ハンドルバーの右グリップ近傍に配設されている、既設の車両の「ラップタイムのスタート/ストップ・スイッチ」を用いてもよく、あるいはキルスイッチに1ポジション増やしてその位置へのシフトがスプリング力に抗しておこなわれるような構成のスイッチによって実施してもよい。
【0066】
また、前記手動スイッチ107としては、図4に図示するような複数のポジション(この図4に示す実施例では3ポジション)と各ポジションを選択できる可動部7aを有するダイヤル式のスイッチ7を別途設けてもよく、あるいは図示しないが他の形態のスイッチで構成することもできる。
【0067】
ところで、前記手動スイッチ107であるスタート/ストップ・スイッチは、押している時間で、つまり、「短押し(例えば、約1秒間の押圧操作)」と「長押し(例えば、2秒〜3秒間の押圧操作)」との二つの異なる操作によって、スタートとストップとの二つの操作をおこなわせることができるように構成されている。具体的には、「短押し」することによってエンジン始動のための制御をスタートさせ、「長押し」することによってエンジン停止のための制御をおこなわせることができる。
【0068】
また、この実施例では、図6に図示するように、前記制御装置104が電線L106を介して表示装置118(設置位置としては、例えばメータパネル部分)と接続されて、盗難防止装置の携帯機120の電池の残量が少なくなると、この携帯機120がその旨の信号を前記制御装置104側の送受信機103へ送信し、該送受信機103がその信号を受けて制御装置104を介して、前記表示装置118に、携帯機120の電池残量が少ない旨の警告を表示させるよう構成されている。かかる場合、ライダーは、この警告を見ることにより、携帯機120の電池を交換すればよい。
【0069】
なお、図6において、各ブロック(構成)間を接続する一点鎖線は信号線を、実線は電力線を、また破線は微小電流を供給するための電力線を示す。
【0070】
また、前記携帯機120は、この実施例2の場合、前記盗難防止装置の車載装置A2から所定の携帯機検出信号を発信するように要求する要求信号がなされると、スリープの状態からアクティーブの状態になり、該車載装置A2へ向けて、携帯機検出信号を発信するよう構成されている。そして、この携帯機120は、前記「スリープ」の状態では、前記要求信号を受信のための微小の電力しか消費しないように構成されている。
【0071】
前述のように構成された本盗難防止装置は、盗難防止に対してまた当該盗難防止機能の解除に際して、以下のように機能する。以下、前記制御装置104等の制御内容ととともに当該盗難防止機能について、図7のフローチャートに沿って、説明する。
【0072】
ライダーが、ポケットの中に前記携帯機120を入れた状態で、自動二輪車から所定距離範囲内(携帯機120と送受信機103間での送・受信が可能な範囲内)において、該自動二輪車101の前記手動スイッチ(スタート/ストップ・スイッチ)107を「短押し」操作したとする(ステップ1:S1)と、制御装置104は「スリープ」の状態から「アクティーブ」の状態になって、該制御装置104は、リレー115を「閉(ON)」にするよう制御し、バッテリ106から制御装置104へ電力が継続して供給されるように制御する(ステップ2:S2)。また、制御装置104は、前記送受信機103を経てアンテナ102から携帯機120へ「携帯機120が携帯機検出信号を発信するよう要求する」要求信号を送信する(ステップ3:S3)。
【0073】
携帯機120は、前記要求信号を受けて、微弱の電力しか消費しない「スリープ」の状態(待ち受け状態)から、「アクティーブ」の状態になって、この要求信号が所定の信号であるか否かチェックし、一致していれば、前記携帯機検出信号を前記制御装置104側へ発信する。一方、不一致であれば、前記携帯機120は、前記携帯機検出信号を前記制御装置104側へ発信しない。このため、制御装置104側では、前記携帯機120からの携帯機検出信号が前記要求信号を送信してから所定時間内にあるか否かチェックし(ステップ4:S4)、該所定時間内に携帯機検出信号を受け取った場合には、次のステップ5へ移行する。一方、所定時間内に携帯機検出信号を受け取らない場合には、後述する所定の暗証データを記憶したトランスポンダー付きのキーが、車両のキースイッチに挿入されている否かチェックし(ステップ30:S30)、当該キーが挿入されていない場合には、FIランプ112の点滅や表示装置118への表示をおこなうことなく、盗難防止の制御は終了する。このように、かかる段階で、FIランプ112の点滅や表示装置118への表示をおこなわないのは、所謂「イタズラ」で自動二輪車の前記手動スイッチ107を操作されることによって前記FIランプ112の点滅や表示装置118が点灯されるのを防止するためである。
また、前記所定の暗証データを記憶したトランスポンダー付きの「キー」が差し込まれている場合には、ステップ5へ移行する。
【0074】
そして、制御装置104は、前記携帯機検出信号を受け取る(ステップ5:S5)と、その信号が対応する1群(グループ)の携帯機120のうちの第1の携帯機120からのものであるか否かを、該携帯機検出信号に含まれている信号コードからチェックし(ステップ6:S6)、所定の信号コードであれば、携帯機120側へ、暗証データを送信するように暗証データ要求信号を発する(ステップ7:S7)。一方、ステップ6において、前記信号コードが第1の携帯機120からのものでない場合には、1群の携帯機120のうちの第2の携帯機120からのものであるか否か信号コードからチェックし(ステップ8:S8)、さらに、前記信号コードが第2の携帯機120からのものでない場合には、同様に1群の携帯機120のうちの第3の携帯機120からのものであるか否か信号コードからチェックする(ステップ9:S9)等、当該1群の携帯機120を構成する携帯機120の数に対応する回数だけ、信号コードが一致するまで、前記信号のチェックをおこなう。本実施例の場合には、対応する1群の携帯機120の数として、第1〜第5の携帯機までの、計5台まで設定されており、従って、前記チェックは5回まで(図7では3回に省略して図示)繰り返されることになる。このように構成されているのは、1台の自動二輪車を1家族(例えば、5人が使用する家族)で共用するような場合の便宜性を配慮している。しかし、この1群の台数については、前記5台に限定されるものでなく、種々の台数であってよく、例えば、2台であっても、3台であっても、あるいは5台以上であってもよく、また、場合によっては、勿論1台であってもよい。
【0075】
そして、最終的に、前記信号に含まれている信号コードがいずれも前記「不一致」である場合には、後述する暗証データを送信する所定の暗証データを記憶したトランスポンダー付きのキーが、自動二輪車のパネル等に設けられた「キースイッチ」に挿入されていないか否かチェックし(ステップ31:S31)、当該キーが挿入されていない場合には、盗難防止を解除する一連の制御は終了する。
【0076】
一方、前記ステップ8〜ステップ9において、信号コードが「一致」した場合、あるいはステップ31において当該キーが挿入されている場合には、前記ステップ7へ移行する。
【0077】
ところで、前記ステップ7における前記制御装置104からの暗証データ要求信号を受けて、携帯機120は、制御装置104側へ向けて暗証データを送信し、当該制御装置104は、自動二輪車101の送受信機103を介して、前記送信された暗証データを受信する(ステップ10:S10)。
【0078】
そして、制御装置104は、前記携帯機120からの前記暗証データを受け取ると、メモリ104m内に記憶している正規の暗証データを呼び出して(ステップ11:S11)、受信した前記暗証データが正規の暗証データと一致するか否かチェックし(ステップ12:S12)、一致する場合には、制御装置104は、前記ロック回路111へ電力を供給する電気回路を「閉(ON)」にするとともに、該ロック回路111へロック解除要求信号(ロックの解除プロセスを進行させる旨の信号)を前記CANを介して発し(ステップ13:S13)、ロック回路111からの、暗証データ送信要求信号を待つ(ステップ14:S14)。
【0079】
このように、前記ロック解除要求信号を受けたロック回路111は、制御装置104へ、前記CANを介して、前記暗証データ送信要求信号(携帯機120から受信した暗証データを送信するよう要求する信号)を発する。そして、この要求を受けて、制御装置104は、ロック回路111へ前記受信した暗証データを送信する(ステップ15:S15)。
【0080】
一方、前記ステップ12において、一致しない場合には、所定の暗証データを記憶したトランスポンダー付きのキーが、キースイッチに挿入されている否かチェックし(ステップ32:S32)、当該キーが挿入されていない場合には、制御装置104は、前記FIランプ112を点滅させて、その旨、携帯機120の保持者に知らせるとともに、表示装置118にその旨の表示を文字あるいは記号で表示し(ステップ33:S33)、制御を終了する。
ここで、前記CANを利用して、ロック回路111で暗証データをさらに確認するのは、制御装置104の基板(制御ボード)を取り替えることによって容易に盗難されないようにするためである。また、ここで、前記FIランプ112を点滅させたり、表示装置118へ表示するのは、この段階では、イタズラで前記手動スイッチ107を操作することがないため、ライダーへの便宜を配慮して、FIランプ112を点滅させたり、表示装置118へ表示させたりするように構成している。
【0081】
そして、前記ロック回路111が、前記暗証データを受信すると、当該ロック回路111内のCPUのメモリに記憶されている正規の暗証データと当該受信した暗証データが一致するか否かチェックし、一致した場合には、該ロック回路111の電気回路を「閉(ON)」にする。つまり、ロック解除ONとなる。
【0082】
一方、ロック回路111での暗証データの照合が、不一致の場合には、後述する暗証データを送信する所定の暗証データを記憶したトランスポンダー付きのキーが、キースイッチに挿入されていない限り、ロック解除をおこなわない。つまり、ロック解除OFFの状態を維持することになる。
【0083】
そして、ロック回路111は、前記制御装置104へ、前記「ロック解除ON」あるいは「ロック解除OFF」の結果を送信し、ロック解除に関する制御を終了する。
【0084】
そして、制御装置104は、前記ロック回路111からの受信内容が「ロック解除ON」あるいは「ロック解除OFF」のいずれであったかをチェックし(ステップ16:S16)、「ロック解除ON」である場合には、表示装置118に表示させる(ステップ17:S17)。そして、前記結果が「ロック解除ON」である場合には、バッテリ106からの電力がリレー115と制御装置104を介して、前記ロック回路111に供給されて、前記ロックアクチュエータ117が作動し、前記ステアリングロック(あるいはヘルメットロックやシートロック等)のロックを解除する。かかる場合、この実施例では、前記ロックアクチュエータ117への電力はさほど大きくないことから、制御装置104を介して電力が供給される。
【0085】
一方、前記ステップ16において「ロック解除OFF」である場合には、制御装置104は、後述する所定の暗証データを記憶したトランスポンダー付きのキーが、キースイッチに挿入されている否かチェックし(ステップ34:S34)、当該キーが挿入されていない場合には、制御装置104は、前記FIランプ112を点滅させ、且つ、その旨、表示装置118に表示させて(ステップ35:S35)、盗難防止装置の解除に関する制御を終了する。かかる場合には、盗難防止機能は維持されたままとなる。
一方、前記ステップ34において、当該キーがキースイッチに挿入されている場合には、ステップ17に移行する。
【0086】
ところで、前述のように、「ロック解除ON」であるか「ロック解除OFF」であるか、その結果を表示装置118に表示するのは、ロック解除がなされた否か、ライダーに知らしめるためであり、かかる段階では、イタズラによる表示がなされる可能性がないためである。
【0087】
また、前述のように、ロック回路(ロックシステム)のみが解除された状態にすることによって、ライダーは、自動二輪車を手押し状態で移動させることが可能となる。
【0088】
また、この実施例の場合、このロック回路111では、前記「ロック解除ON」である場合には、そのときからタイマーを作動させて、所定時間(例えば、10分)内に、次のステップに移行しないとき、つまり、後述する2度目の「短押し」がなされたか否かと前記携帯機120からの信号が届いているか否かとをチェックし(ステップ18:S18)、該携帯機120からの信号が届いておらず且つ「短押し」がなされないときには、ロック回路111をロック解除OFFの状態にし(ステップ19:S19)、ステアリングロック(あるいはシートロック等)をONの状態(作動状態)にし、再び盗難防止機能を付与し、自動二輪車の盗難を防止するよう構成されている。
【0089】
ここで、ロック解除に関するロック回路111および制御装置104の一連の制御が終了する。
【0090】
そして、前記ロック解除が終了した状態において、ロック解除後所定時間内に、ライダーが、前記手動スイッチ107を、再び「短押し」すると、制御装置104は、前記リレー108を「閉(ON)」にして(ステップ20:S20)、前記メータ回路110とFI回路109への電力を供給する(ステップ21:S21)。
【0091】
このように、電力の供給を受けたこのメータ回路110は、制御装置104へ、前記CANを介して、暗証データ送信要求信号(暗証データを送信するよう要求する信号)を送信する。そして、この暗証データ送信要求信号を受けて、制御装置104は、メータ回路110へ前記暗証データを送信する(ステップ22:S22)。
【0092】
一方、制御装置104は、所定時間(例えば30秒程度)内に前記メータ回路110から前記暗証データ送信要求信号を受信したか否かチェックし(ステップ23:S23)、前記暗証データ送信要求信号を受信しない場合は、該制御装置104は、前記FIランプ112を点滅させて、その旨、携帯機120の保持者に知らせるとともに、表示装置118にその旨の表示を文字あるいは記号で表示して(ステップ36:S36)、メータ回路110の一連の制御を終了し、メータ回路110が非作動の状態のままとなり、この結果、盗難防止機能が維持される。一方、前記所定時間内に、前記暗証データ送信要求信号を受信した場合には、制御装置104は前記CANを利用してメータ回路110へ暗証データを送信する(ステップ24:S24)。
ここで、前記CANを利用して、さらにメータ回路110でも暗証データを確認するのは、制御装置104および前記ロック回路111の基板等が取り替えられることによって盗難されないようにするためである。また、ここで、前記FIランプ112を点滅させたり、表示装置118へ表示するのは、前記暗証データ送信要求信号が送信されて来ない旨のことをライダーに知らせるためであり、また、かかる段階では、イタズラによる表示がなされる可能性がないためである。
【0093】
そして、前記メータ回路110が、前記暗証データを制御装置104から受信すると、CPUのメモリに記憶されている正規の暗証データと当該受信した暗証データとが一致するか否かチェックし、一致した場合には、該メータ回路110をONの状態(作動状態)にする。この実施例では、前記メータ回路110がONの状態(作動状態)になると、メータ類が稼働状態となり、またヘッドランプ類が稼働状態あるいは稼働可能な状態になる。
【0094】
一方、不一致の場合には、後述する暗証データを送信する所定の暗証データを記憶したトランスポンダー付きのキーが、キースイッチに挿入されていない限り、メータ回路110はOFF(非作動)状態のままになる。従って、自動二輪車のメータ類が依然非稼働状態を維持し、盗難防止機能が発揮させられる。
【0095】
そして、メータ回路110は、前記制御装置104へ、前記一致あるいは不一致の旨の結果を制御装置104へ送信する。
【0096】
前記制御装置104は、前記メータ回路110からの前記「一致」あるいは「不一致」の結果を受信し、「一致」あるいは「不一致」であったかをチェックする(ステップ25:S25)。そして、制御装置104は、「一致」している場合には、その旨、表示装置118に表示する(ステップ26:S26)。
【0097】
一方、前記暗証データが不一致の場合には、制御装置104は、後述する所定の暗証データを記憶したトランスポンダー付きのキーが、キースイッチに挿入されている否かチェックし(ステップ37:S37)、当該キーが挿入されていない場合には、制御装置104は、前記FIランプ112を点滅させ、且つ、その旨、表示装置118に表示させ(ステップ38:S38)、メータ回路110についての一連の制御を終了し、メータ回路110が非作動の状態をままとなる。この結果、盗難防止機能が維持される。また、当該キーがキースイッチに挿入されている場合には、ステップ26に移行する。
【0098】
次に、前記メータ回路110が作動状態になると、制御装置104は、メータ回路110からの暗証データ送信要求信号を待ち受ける待ち受け状態となっている。この状態において、前記FI回路109は、制御装置104に対して、前記CANを介して、暗証データ送信要求信号(暗証データを送信するよう要求する信号)を発する。
そして、この要求を受けて、制御装置104は、前記CANを介して、FI回路109へ前記暗証データを送信する(ステップ27:S27)。
【0099】
一方、所定時間(例えば30秒程度)内に前記FI回路109から暗証データ送信要求信号が送信されて来ない場合、制御装置104は、前記FIランプ112を点滅させて、その旨、携帯機120の保持者に知らせるとともに、表示装置118にその旨の表示を文字あるいは記号で表示する(ステップ28:S28)。
ここで、前記CANを利用して、さらにFI回路109でも暗証データを確認するのは、制御装置104および前記ロック回路111、メータ回路110が取り替えられることによって盗難されないようにするためである。また、ここで、前記FIランプ112を点滅させたり、表示装置118へ表示するのは、前記FI回路109から暗証データ送信要求信号が送信されて来ない旨のことをライダーに知らせるためであり、かかる段階では、イタズラによる表示がなされる可能性がないためである。
【0100】
そして、前記FI回路109が、前記暗証データを受信すると、CPUのメモリに記憶されている正規の暗証データと当該受信した暗証データが一致するか否かチェックし、一致した場合には、FI回路109をONの状態(作動状態)にする。つまり、エンジンの燃料供給システムを稼働状態にするとともに、エンジンの点火システムをONの状態(作動状態)にする。
【0101】
一方、不一致の場合には、後述する暗証データを送信する所定の暗証データを記憶したトランスポンダー付きのキーが、キースイッチに挿入されていない限り、FI回路109はOFFの状態(非作動状態)のままになる。従って、エンジンへ燃料が供給されず、点火システムがOFFの状態で、始動システムもOFFの状態が維持されるため、自動二輪車のエンジンを始動することはできず、盗難防止機能が発揮させられる。
【0102】
そして、FI回路109は、前記制御装置104へ、前記「一致」あるいは「不一致」の旨の結果を送信する。
【0103】
前記制御装置104は、FI回路109からの前記「一致」あるいは「不一致」の結果を受信し、「一致」あるいは「不一致」であったかをチェックする(ステップ29:S29)。そして、制御装置104は、「一致」している場合には、その旨、表示装置118に表示するとともに、前記リレー113を「閉(ON)」にする(ステップ41:S41)。ここで、リレー113が「閉(ON)」になると、前記始動システムがONの状態(作動状態)になる。
【0104】
このように、前記FI回路109も作動状態になると、制御装置104は、この自動二輪車の全ての盗難防止機能が解除されたことを、ライダーに、前記フラッシャ105を 点滅させることによって表示し(ステップ42:S42)、全ての盗難防止制御を終了する。
そして、ライダーは、前記フラッシャの点滅というアンサーバックにより、自動二輪車が使用可能(始動可能)になったことを確認することができる。
【0105】
一方、前記ステップ29において、前記暗証データが不一致である場合には、制御装置104は、後述する所定の暗証データを記憶したトランスポンダー付きのキーが、キースイッチに挿入されているか否かチェックし(ステップ39:S39)、当該キーが挿入されていない場合には、制御装置104は、前記FIランプ112を点滅させ、且つ、その旨、表示装置118に表示させ(ステップ40:S40)、FI回路109についての一連の制御を終了し、FI回路109が非作動の状態をままとなる。この結果、盗難防止機能が維持される。また、当該キーがキースイッチに挿入されている場合には、ステップ41に移行する。
【0106】
ところで、前述した携帯機検出信号が所定の信号であるか否かのチェックにおいて所定の信号でない場合や、暗証データが一致するか否かのチェックにおいて、不一致である場合においても、前述したようにトランスポンダー付きのキーが自動二輪車のキースイッチに挿入され、且つそのトランスポンダーに記憶されている暗証データが正規の暗証データと一致する場合には、次のステップへ進むことができるよう構成されている。この場合のフローチャート上の流れを、図7において破線で示す。
このように、ライダーが、所定の携帯機120を所持していなくとも、所定のトランスポンダー付きのキーを所持している場合には、前記盗難防止機能を具備した自動二輪車を使用することができるように構成されている。このため、ライダーは、所定の携帯機120をポケットやリュックサック等に入れていてもあるいはトランスポンダー付きのキーをキースイッチに差し込んで使用してもよく、この結果、より便宜性が増す。
【0107】
なお、前述した実施例では、メータ回路110で暗証データの認証をした後に、FI回路109において暗証データの認証をおこなっているが、順序的に逆であってもよく、場合によっては同時におこなってもよい。
【0108】
また、暗証データの認証を、盗難防止制御対象機器としての、ロック回路111、前記メータ回路110、FI回路109の他の機器、例えば、カーナビゲーションシステムやオーディオシステム等において、おこなうように構成してもよく、かかる場合には、さらに盗難防止機能を高めることができる。
【0109】
次に、エンジンを停止する場合のこの盗難防止装置の作用について説明すると、以下のとおりである。
【0110】
この盗難防止装置では、前記ステップを経てエンジンが始動した状態において、あるいはエンジンが始動する前において、前記手動スイッチ107を「長押し」することによって、エンジンを停止させ、あるいはエンジンを始動可能な状態にする一連の制御動作中においてもその制御動作を中止し、初期状態に戻すことが可能に構成されている。
そして、前記「長押し」がなされると、制御装置104は、前記携帯機120へ前記ステップ2〜ステップ5と同じチェック、つまり所定の携帯機120を具備しているか否かチェックし、所定の携帯機120を具備しない状態でエンジン停止をおこなって、再始動をすることが不可能になることを、前記表示装置118、FIランプ112等によって予告(警告)した上で、さらに、二度目の、手動スイッチ107の「長押し」がおこなわれると、前記リレー108、リレー115が「開」となって、FI回路109、メータ回路110、ロック回路111がOFFとなるとともに、前記リレー113が「開」となって、エンジンが停止し、再始動が不能な状態となるよう構成されている。従って、ライダーは無意識にエンジン停止操作をおこなおうとしても、エンジンの停止には二度の「長押し」操作が必要となるため、また、かかるエンジン停止プロセスにおいて、前記表示装置118の表示やFIランプ112の表示がおこなわれることから、これらの表示によってもライダーは自己のエンジン停止操作に気づき、無意識下におけるエンジン停止制御操作は未然に防止されることになる。
【0111】
そして、このように構成された本盗難防止装置によれば、暗証データ等の照合を、制御装置104の他にも、ロック回路111、メータ回路110、FI回路109において重複しておこなうことによって、自動二輪車101の盗難をさらに有効に防止することが可能となっている。つまり、これらの各回路全てを交換しないと、盗難を実行することができない。従って、盗難防止機能(性能)が向上する。しかも、携帯機20をポケットに入れたままで、エンジンを容易に始動させることができる。また、携帯機120を紛失した状態でのエンジンの停止を有効に予防することができる。
【0112】
また、実施例1と同様に、本実施例2にかかる盗難防止装置の場合、前記手動スイッチ107を操作するまでは、前記制御装置104を「スリープ」の状態を維持するのに必要な微小電力しか必要とせず、従って、車両側の電力は殆ど消費されないため、無駄に電力を消費することがない。また、本盗難防止装置の携帯機120も、前記車載装置A2から所定の携帯機検出信号を発信するように要求する要求信号がなされるまで、スリープの状態を維持してこの間、微小電力しか消費しないため、無駄に電力を消費することはない。
ところで、前記実施例2における制御装置104での制御は、自動二輪車のECU(エンジン・コントロール・ユニット)を前記制御装置として利用しておこなうこともできるし、実際の場合、ECUを用いておこなうことが、部品点数を増加させない上で、また製品コストを無用に増加させない点において、好ましい。
【0113】
また、前記手動スイッチとしては、前述したスイッチの他に、種々の形態が考えられ、例えば、ハンドルのステアリングヘッド近傍のメータ近くの位置に、別途押し込み式等のスイッチを配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本願発明は、自動二輪車を含むレジャービィークルの盗難防止装置として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本実施例(実施例1)にかかる自動二輪車の全体の平面図である。
【図2】図1に示す自動二輪車の盗難防止装置の要部の構成を概念的に示した図である。
【図3】図1,図2に示す盗難防止装置の一部を構成する手動スイッチの一つの具体的な形態を示す概念図である。
【図4】図3とは別の形態(ダイヤル式スイッチの形態)にかかる手動スイッチを示す概念図である。
【図5】本実施例にかかる盗難防止装置の制御の過程を示すフローチャートである。
【図6】別の実施例にかかる盗難防止装置の自動二輪車の盗難防止装置の要部の構成を概念的に示した図である。
【図7】図6に示す盗難防止装置の制御の過程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0116】
A、A2…盗難防止装置
1、101…自動二輪車
2(2R、2L)、102…アンテナ
3、103…送受信機
4、104…制御装置
6、106…バッテリ(電源)
7、107…手動スイッチ
20、120…携帯機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗証データを無線送信する携帯可能な携帯機と、ビィークルに搭載され前記携帯機からの暗証データを受信することができる通信機とを有し、受信した暗証データが正規の暗証データであればビィークルの使用を可能にするレジャービィークルの盗難防止装置において、
前記通信機が、ビィークル側の電源と、手動スイッチを介して接続されており、前記手動スイッチがONされると、前記通信機が前記電源と接続されて前記携帯機から送信される暗証データを受信し、この通信機に接続されている制御装置に記憶されている正規の暗証データと前記受信した暗証データとを照合するように構成されていることを特徴とする盗難防止装置。
【請求項2】
前記通信機が、前記手動スイッチがONにされると、最初に、前記携帯機に対して携帯機検出信号を発信するように要求する信号を送信し、該携帯機はこの要求する信号を受信すると、携帯機がスリープの状態からアクティーブの状態になり、このアクティーブの状態になった後に、前記暗証データを通信機へ送信することを特徴とする請求項1記載の盗難防止装置。
【請求項3】
前記通信機が、前記携帯機から送信された暗証データを受信し、前記制御装置に記憶されている正規の暗証データと前記受信した暗証データとの照合を該制御装置でおこない、照合の結果、一致していれば、この制御装置が、ロックシステムをONにして、少なくともステアリングロックを解除し、
しかる後に、携帯機から再び送信された暗証データを通信機が受信すると、前記制御装置で前記記憶されている正規の暗証データと該受信した暗証データとの照合を再びおこなって、照合の結果、一致していれば、該制御装置は、点火と燃料の供給を司る点火・燃料システムをONにして、エンジンの始動を可能とするべく制御するよう構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の盗難防止装置。
【請求項4】
前記ロックシステム、前記点火・燃料システムを含む盗難防止制御対象機器のうちの少なくとも一つのシステムが、前記暗証データを記憶したCPUを備えるとともに、このCPUが前記制御装置と信号線で接続されて、前記携帯機から送信されてきた暗証データを通信機で受信するとともに制御装置を介して当該CPUへ送信して該CPUに記憶されている正規の暗証データとこの送信されてきた暗証データとを該CPUで照合するよう構成されていることを特徴とする請求項3記載の盗難防止装置。
【請求項5】
前記盗難防止制御対象機器が、ロックシステム、前記点火・燃料システム、及びメータ類を稼働状態にするメータシステムであることを特徴とする請求項4記載の盗難防止装置。
【請求項6】
前記照合の結果、受信した暗証データが正規の暗証データと一致した場合に、ビィークルに設けられた表示機器によるアンサーバックがおこなわれるよう構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1の項に記載の盗難防止装置。
【請求項7】
前記手動スイッチが、ビィークルの既設のスイッチを利用したものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1の項に記載の盗難防止装置。
【請求項8】
前記既設のスイッチが、ビィークルのキルスイッチであることを特徴とする請求項7記載の盗難防止装置。
【請求項9】
前記既設のスイッチが、ビィークルのラップタイムのスタート/ストップ・スイッチであることを特徴とする請求項7記載の盗難防止装置。
【請求項10】
前記手動スイッチが、ダイヤル式のスイッチであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1の項に記載の盗難防止装置。
【請求項11】
前記通信機で受信した暗証データが正規の暗証データと一致したときに、そのときから所定時間内にスタータスイッチをON操作するとエンジンが始動するとともに、
前記携帯機の検出がなく且つ前記所定時間内にスタータスイッチがON操作されないときには、初期状態に戻って盗難防止機能を奏するよう構成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1の項に記載の盗難防止装置。
【請求項12】
前記携帯機は、前記暗証データを送信する際に、該携帯機内のバッテリの残量が少ないとき、該暗証データとともに、あるいは暗証データに続いて、前記通信機へ携帯機のバッテリの残量が少ない旨の信号を発し、この信号を受信した通信機は、暗証データとともにあるいは暗証データに続いて、その信号をビィークルの制御装置へ伝達し、該制御装置は、該バッテリの残量が少ない旨の表示をビィークル側の表示手段におこなうように制御するよう構成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1の項に記載の盗難防止装置。
【請求項13】
暗証データを無線送信する携帯可能な携帯機と、ビィークルに搭載され前記携帯機からの暗証データを受信することができる通信機とを有し、受信した暗証データが正規の暗証データであればビィークルの使用を可能にするレジャービィークルの盗難防止装置において、
前記通信機の受信アンテナが、特定方向に対して所定角度範囲に携帯機が存在するときにのみ受信可能な指向性を有するアンテナであり、
この受信アンテナがビィークルの両側に各一つ、両側のアンテナの前記所定角度範囲が重複する領域に、ビィークルの運転席が位置するように、それぞれ配置され、
前記通信機あるいはこの通信機に接続された制御装置が、比較手段を有して、両側のアンテナから受ける受信信号の強さの差がゼロかあるいは所定値内にあるときにのみ、携帯機から送信された暗証データを正規の暗証データと一致するか否か照合することを特徴とする盗難防止装置。
【請求項14】
前記所定角度範囲が、約15〜40度であることを特徴とする請求項13記載の盗難防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−199168(P2006−199168A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−13581(P2005−13581)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】