説明

レチノイド含有組成物

(a)少なくとも1種のレチノイド、
(b)少なくとも1種の水溶性抗酸化剤、
(c)少なくとも1種の油溶性抗酸化剤、及び
(d)0.01〜10重量%の少なくとも1種のUVフィルター
を含む組成物であって、該組成物において、レチノイド1重量部につき、少なくとも1重量部の1種以上の水溶性抗酸化剤と、0.1〜100重量部の1種以上の油溶性抗酸化剤が存在し、かつ、1種以上の水溶性抗酸化剤の含量が、組成物の全量に対し、0.05〜0.8重量%の範囲にあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レチノイド含有組成物、その製造、並びに、化粧品及び医薬品における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
レチノイド類は、化粧品及び皮膚科学で用いられる最も有効な成分として数えられる。レチノイド類は、中でも、正常な細胞成長に調節効果を有し、上皮細胞の分化に影響を与える。従って、レチノイン酸はニキビの治療に用いられ、レチノールは、抗皺クリームに用いられる。
【0003】
しかし、レチノイド類の使用は極めて制限されており、これは、とりわけ、該化合物の高い不安定性に起因すると考えられる。このため、レチノイド含有組成物の製造に際しては、厳しい安全上の注意を遵守しなければならない。例えば、製造は、完全に保護ガス下で実施し、しかも、完成製品を光及び酸素不透過性包装にパッケージしなければならない。
【0004】
これらの要件は、製造者が複雑な技術設備を有することを要求するものであるため、高い製造コストにつながる。
【0005】
レチノイド類を安定化する多数の方法が記載されている。例えば、EP−A−1055720は、酸素の排除と共に、チオ化合物又は糖タンパク質の使用による酸素感受性化合物の安定化を開示している。
【0006】
WO93/00085号及びEP−A−0440398号では、いずれも、レチノイド類の安定化のために、水及び脂溶性抗酸化剤をキレート形成剤と一緒に用いる。
【0007】
しかし、記載されている方法によって、本発明の目的に対し適切な安定化が常に達成されるとは限らない。それどころか、水溶性抗酸化剤、特に、アスコルビン酸、並びに、脂溶性抗酸化剤、特に、トコフェロールは、特定の濃度範囲のレチノイド類に関して不安定化作用を呈示する。
【0008】
加えて、状況によっては、特定の抗酸化剤をレチノイド類と組み合わせて用いると、望ましくない副作用、例えば、製剤の黄色っぽい変色が起こり、これによって、これらの系を化粧品又は食品部門に使用することが実現不可能になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、安定性及び変色に関する前記の問題点がなく、しかも簡単な方法で製造することができるレチノイド含有製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、
(a)少なくとも1種のレチノイド、
(b)少なくとも1種の水溶性抗酸化剤、
(c)少なくとも1種の油溶性抗酸化剤、及び
(d)0.01〜10重量%の少なくとも1種のUVフィルター
を含む組成物であって、該組成物において、レチノイド1重量部につき、少なくとも1重量部の1種以上の水溶性抗酸化剤と、0.1〜100重量部の1種以上の油溶性抗酸化剤が存在し、かつ、1種以上の水溶性抗酸化剤の含量が、組成物の全量に対し、0.05〜0.8重量%の範囲にある、上記組成物により達成される。
【0011】
本発明に係る組成物は、化粧品及び皮膚科学若しくは医薬組成物である。好ましくは、化粧品組成物、特にスキンケア組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の組成物の有利な実施形態は、レチノイド1重量部につき、1〜100重量部、好ましくは1〜20重量部、特に好ましくは1〜6重量部、極めて好ましくは3〜5重量部の1種以上の水溶性抗酸化剤と、1〜20重量部、好ましくは1〜15重量部、特に好ましくは1〜10重量部、極めて好ましくは3〜5重量部の1種以上の油溶性抗酸化剤を含む。
【0013】
本発明の目的のために、レチノイド類は、ビタミンAアルコール(レチノール)とその誘導体、例えば、ビタミンAアルデヒド(レチナール)、ビタミンA酸(レチノイン酸)、及びビタミンAエステル、例えば、酢酸レチニル及びパルミチン酸レチニルを意味する。本明細書において、用語「レチノイン酸」は、オールトランスレチノイン酸及び13−シスレチノイン酸の両方を含む。用語「レチノール」及び「レチナール」は、好ましくはオールトランス化合物を含む。本発明の組成物に用いられる好ましいレチノイドはオールトランスレチノールである。
【0014】
水溶性抗酸化剤としては、特に、アルコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ亜硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシド、イソアルコルビン酸、チオグリセロール、チオソルビトール、チオ尿素、チオグリコール酸、塩酸システイン、1,4−ジアゾビシクロ(2,2,2)オクタン、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0015】
好ましい水溶性抗酸化剤としては、アスコルビン酸(L−アスコルビン酸)及びイソアスコルビン酸(D−アスコルビン酸)、特に好ましくはL−アスコルビン酸が挙げられる。
【0016】
特に好ましく用いられるL−アスコルビン酸は、遊離酸、又はその塩である。L−アスコルビン酸の塩の例として、L−アスコルビン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、例えば、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸カリウム又はL−アスコルビン酸カルシウムがあるが、また、有機アミン化合物を含むL−アスコルビン酸の塩、例えば、アスコルビン酸コリン又はアスコルビン酸L−カルニチンも挙げられる。遊離L−アスコルビン酸又はL−アスコルビン酸ナトリウムを使用するのが極めて好ましい。D−アスコルビン酸の使用についても同様のことが言える。
【0017】
意図する油溶性抗酸化剤としては、特に、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、α−トコフェロール、フェニル−α−ナフチルアミン又はその混合物が挙げられる。
【0018】
好ましい油溶性抗酸化剤はα−トコフェロールであり、(R,R,R)−又は(オール−rac)−α−トコフェロールのいずれでもよい。
【0019】
本発明の目的のため、UVフィルターは、UV−Aフィルター、UV−Bフィルター及び/又は広帯域フィルターを意味する。
【0020】
有利な広帯域フィルター、UV−A又はUV−Bフィルター物質としては、例えば以下の化合物クラスが代表的である:
下記構造を有するビス−レゾルシニルトリアジン誘導体:
【化1】

【0021】
〔式中、R、R及びRは、互いに独立して、1〜10個の炭素原子又は1個の水素原子を有する分枝鎖及び非分枝鎖アルキル基の群から選択される〕。特に好ましくは、2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(INCI:アニソトリアジン)であり、これはTinosorb(登録商標)Sの商品名でCIBA−Chemikalien GmbHから入手可能である。
【0022】
下記の構造モチーフ:
【化2】

【0023】
を有する他のUVフィルター物質もまた本発明の意図において有利なUVフィルター物質であり、例えば、以下の一般式:
【化3】

【0024】
〔式中、
Rは、任意により1又はそれ以上のC−C−アルキル基で置換されていてもよい分枝鎖又は非分枝鎖のC−C18−アルキル基、C−C12−シクロアルキル基であり、
Xは、酸素原子又はNH基であり、
は、任意により1又はそれ以上のC−C−アルキル基、又は水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基若しくは下記式:
【化4】

【0025】
(式中、
Aは、任意により1又はそれ以上のC−C−アルキル基で置換されていてもよい分枝鎖又は非分枝鎖のC−C18−アルキル基、C−C12−シクロアルキル基又はアリール基であり、
は、水素原子又はメチル基であり、
nは、1〜10の数である)
の基で置換されていてもよい分枝鎖又は非分枝鎖のC−C18−アルキル基、C−C12−シクロアルキル基であり、
は、XがNH基の場合には、任意により1又はそれ以上のC−C−アルキル基で置換されていてもよい分枝鎖又は非分枝鎖のC−C18−アルキル基、C−C12−シクロアルキル基であり、Xが酸素原子の場合には、任意により1又はそれ以上のC−C−アルキル基、又は水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基若しくは下記式:
【化5】

【0026】
(式中、
Aは、任意により1又はそれ以上のC−C−アルキル基で置換されていてもよい分枝鎖又は非分枝鎖のC−C18−アルキル基、C−C12−シクロアルキル基又はアリール基であり、
は、水素原子又はメチル基であり、
nは、1〜10の数である)
の基で置換されていてもよい分枝鎖又は非分枝鎖のC−C18−アルキル基、C−C12−シクロアルキル基である。〕
により示される化学構造を有するs−トリアジン誘導体(欧州公開明細書EP570838A1に記載されている)がある。
【0027】
本発明の意図に含まれる特に好ましいUVフィルター物質はまた、下記式:
【化6】

【0028】
により示される化学構造を有する、非対称置換型s−トリアジンであり、これは以後ジオクチルブチルアミドトリアゾン(INCI:ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン)とも称し、UVASORB(登録商標)HEBの商品名でSigma 3Vから入手可能である。
【0029】
また本発明の意図においては、非対称置換型s−トリアジンである4,4’,4’’−(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリイルトリイミノ)トリス安息香酸トリス(2−エチルヘキシル)、別名2,4,6−トリス[アニリノ(p−カルボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)]−1,3,5−トリアジン(INCI:エチルヘキシルトリアゾン)も有利であり、これはUVINUL(登録商標)T 150の商品名でBASF Aktiengesellschaftから販売されている。
【0030】
欧州公開明細書775698号はまた、好適に用いることができるビスレゾルシニルトリアジン誘導体を記載しており、その化学構造は下記の一般式:
【化7】

【0031】
〔式中、R及びRは、特にC−C18−アルキル又はC−C18−アルケニルであり、Aは芳香族基である〕
により示される。
【0032】
また本発明の目的のため、2,4−ビス{[4−(3−スルホナート)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンナトリウム塩、2,4−ビス{[4−(3−(2−プロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−[4−(2−メトキシエチルカルボキシル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス{[4−(3−(2−プロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−[4−(2−エチルカルボキシル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(1−メチルピロル−2−イル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス{[4−トリス(トリメチル−シロキシシリルプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス{[4−(2’’−メチルプロペニルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、及び2,4−ビス{[4−(1’,1’,1’,3’,5’,5’,5’−ヘプタメチルシロキシ−2’’−メチルプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンが有利である。
【0033】
本発明の目的に有利なスルホン酸化水溶性UVフィルターは、下記構造:
【化8】

【0034】
を特徴とするフェニレン−1,4−ビス(2−ベンズイミダジル)−3,3’−5,5’−四スルホン酸及びその塩であり、特に対応するナトリウム塩、カリウム塩又はトリエタノールアンモニウム塩であり、具体的には、下記構造:
【化9】

【0035】
のフェニレン−1,4−ビス(2−ベンズイミダジル)−3,3’−5,5’−四スルホン酸ビスナトリウム塩(INCI名:ビスイミダジレート(CAS No:180898−37−7))であり、例えばNeo Heliopan(登録商標)APの商品名でHaarmann&Reimerから入手可能である。
【0036】
本発明の目的に有利な別のスルホン酸化UVフィルターは、下記式:
【化10】

【0037】
の2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸の塩、例えばそのナトリウム塩、カリウム塩又はそのトリエタノールアンモニウム塩、及びスルホン酸そのもの(INCI名:フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(CAS No.27503−81−7))であり、例えば、Eusolex(登録商標)232の商品名でMerckから、又はNeo Heliopan(登録商標)Hydroの商品名でHaarmann&Reimerから入手可能である。
【0038】
さらに有利なスルホン酸化UVフィルターは、下記式:
【化11】

【0039】
の3,3’−(1,4−フェニレンジメチレン)ビス(7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプト−1−イルメタンスルホン酸の、例えばそのナトリウム塩、カリウム塩又はそのトリエタノールアンモニウム塩、及びスルホン酸そのもの(INCI名:テレフタリデンジカンフルスルホン酸(CAS No:90457−82−2))であり、例えば、Mexoryl(登録商標)SXの商品名でChimexから入手可能である。
【0040】
さらに有利な水溶性UV−B及び/又は広帯域フィルター物質としては、例えば3−ベンジリデンカンフルのスルホン酸誘導体、例えば4−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸、2−メチル−5−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)スルホン酸、及びそれらの塩がある。
【0041】
UV−B及び/又は広帯域フィルターは、油溶性であってもよいし又は水溶性であってもよい。有利な油溶性UV−B及び/又は広帯域フィルター物質は、例えば以下のものである:
3−ベンジリデンカンフル誘導体、好ましくは3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、3−ベンジリデンカンフル;
4−アミノ安息香酸誘導体、好ましくは(2−エチルヘキシル)4−(ジメチルアミノ)安息香酸エステル、アミル4−(ジメチルアミノ)安息香酸エステル、ポリエチオキシエチル4−ビス(ポリエトキシ)アミノ安息香酸エステル(Uvinul(登録商標)P25の商品名でBASFから入手可能);
ベンゾフェノンの誘導体、好ましくは2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(Uvinul(登録商標)M40の商品名でBASFから入手可能)、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸(Uvinul(登録商標)MS40の商品名でBASFから入手可能)、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン(Uvinul(登録商標)D 50の商品名でBASFから入手可能);並びに
ポリマーに結合したUVフィルター。
【0042】
本発明の目的のため、特に有利な室温で液体のUVフィルター物質は、サリチル酸ホモメンチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシル、及び桂皮酸のエステル、好ましくは4−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル及び4−メトキシ桂皮酸イソペンチルである。
【0043】
サリチル酸ホモメンチル(INCI:ホモサレート)は、下記構造:
【化12】

【0044】
を特徴とする。
【0045】
2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル(INCI:オクトクリレン)は、Uvinul(登録商標)N 539Tの商品名でBASFから入手可能であり、下記構造:
【化13】

【0046】
を特徴とする。
【0047】
2−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシル(サリチル酸2−エチルヘキシル、サリチル酸オクチル、INCI:サリチル酸エチルヘキシル)は、例えばNeo Heliopan(登録商標)OSの商品名でHaarmann&Reimerから入手可能であり、下記構造:
【化14】

【0048】
を特徴とする。
【0049】
4−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル(INCI:エチルヘキシルメトキシ桂皮酸エステル)は、例えばUvinul(登録商標)MC 80の商品名でBASFから入手可能であり、下記構造:
【化15】

【0050】
を特徴とする。
【0051】
4−メトキシ桂皮酸イソペンチル(INCI:イソアミルp−メトキシ桂皮酸エステル)は、例えばNeo Heliopan(登録商標)E 1000の商品名でHaarmann&Reimerより入手可能であり、下記構造:
【化16】

【0052】
を特徴とする。
【0053】
本発明の目的のため、別の有利な室温で液体のUVフィルター物質は、(3−(4−(2,2−ビスエトキシカルボニルビニル)フェノキシ)プロペニル)−メチルシロキサン/ジメチルシロキサンコポリマーであり、これは例えば、Parsol(登録商標)SLXの商品名でHoffmann−La Rocheから入手可能である。
【0054】
本発明の目的のため、有利なジベンゾイルメタン誘導体は、特に4−(tert−ブチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタン(CAS No.70356−09−1)であり、これはUvinul(登録商標)BMBMのブランドでBASFより、Eusolex(登録商標)9020の商品名でMerckより販売されており、下記構造:
【化17】

【0055】
を特徴とする。
【0056】
さらに有利なジベンゾイルメタン誘導体は、4−イソプロピルジベンゾイルメタン(CAS No.63250−25−9)であり、これはEusolex(登録商標)8020、Eusolex 8020の商品名でMerckより販売されており、下記構造:
【化18】

【0057】
を特徴とする。
【0058】
ベンゾトリアゾール類は、以下の構造式:
【化19】

【0059】
〔式中、
及びRは、互いに独立して、1〜18個の炭素原子及び/又はポリマー基(これ自体は紫外(UV)線を吸収するものではなく、例えばケイ素基、アクリル酸基など)を有する直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和、置換(例えばフェニル基による置換)又は非置換のアルキル基であってよく、Rは、H基又は1〜18個の炭素原子を有するアルキル基から選択される。〕
を特徴とするものである。
【0060】
本発明の目的のため、有利なベンゾトリアゾールは、2,2’−メチレンビス(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)であり、これは、下記構造:
【化20】

【0061】
を特徴とする広帯域フィルターであり、Tinosorb(登録商標)Mの商品名でCIBA−Chemikalien GmbHから入手可能である。
【0062】
本発明の目的のため、別の有利なベンゾトリアゾールは、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−[2−メチル−3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル]−フェノール(CAS No:155633−54−8)(INCI名:ドロメトリゾールトリシロキサン)であり、これは、Mexoryl(登録商標)XLのブランドでChimexから販売されており、以下の化学構造式:
【化21】

【0063】
を特徴とする。
【0064】
本発明の目的のため、別の有利なベンゾトリアゾール類は、[2,4’−ジヒドロキシ−3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−2’−n−オクトキシ−5’−ベンゾイル]ジフェニル−メタン、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(メチル)フェノール]、2,2’−メチレンビス−[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、2−(2’−ヒドロキシ−5’−オクチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、及び2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールである。
【0065】
本発明の目的のため、さらに有利なUVフィルターは、EP−A−0916335に記載されている、下記式を有するジフェニルブタジエン化合物である:
【化22】

【0066】
本発明の目的のため、別の有利なUV−Aフィルターは、EP−A−0895776に記載されている、下記式を有するジエチル2−(4−エトキシアニリノメチレン)プロパンジカルボキシレートである:
【化23】

【0067】
同様に、本発明の目的に有利なものは、下記式を有するアミノ置換ヒドロキシベンゾフェノン:
【化24】

【0068】
であり、UV−Aフィルターとして、UVINUL(登録商標)A Plusの商品名でBASF Aktiengesellschaftから販売されている。
【0069】
本発明に係る化粧品及び皮膚用製剤はまた、必ずしも必要ではないが、水に難溶性の又は不溶性の金属酸化物及び/又は他の金属化合物に基づく無機顔料、特にチタン(TiO)、亜鉛(ZnO)、鉄(例えばFe)、ジルコニウム(ZrO)、ケイ素(SiO)、マンガン(例えばMnO)、アルミニウム(Al)、セリウム(例えばCe)の酸化物、対応する金属酸化物の混合物、並びにそのような酸化物の混合物を含むことが有利である。これらの顔料は、X線非晶質又は非X線非晶質である。これは、特に好ましくはTiOに基づく顔料である。
【0070】
X線非晶質酸化物顔料は、X線回折実験において結晶構造がないか又は観察されないことが明らかである金属酸化物又は半金属酸化物である。そのような顔料は、炎色反応により、例えば金属ハロゲン化物又は半金属ハロゲン化物を水素及び空気(又は純酸素)と炎中で反応させることにより得られることが多い。
【0071】
化粧品、皮膚用又は医薬製剤において、X線非晶質酸化物顔料は、増粘剤及びチキソトロープ剤、流動補助剤として、乳化及び分散安定化のため、並びに担体物質(例えば、微粉化粉末の容量増大のため)として用いられる。
【0072】
化粧品又は皮膚用生薬に高頻度で使用される公知のX線非晶質酸化物顔料は、DEGUSSAから入手可能なAerosil(登録商標)タイプの酸化ケイ素(CAS No.7631−86−9)である。Aerosils(登録商標)は小さな粒径(例えば5〜40nm)を特徴とし、この粒子は非常に均一な寸法の球形粒子とみなされている。肉眼的には、Aerosils(登録商標)は粘着性のない白色粉末として認識されうる。本発明の目的のため、X線非晶質二酸化ケイ素顔料が特に有利であり、中でもAerosil(登録商標)タイプのものが特に好ましい。
【0073】
有利なAerosil(登録商標)グレードは、例えばAerosil(登録商標)OX50、Aerosil(登録商標)130、Aerosil(登録商標)150、Aerosil(登録商標)200、Aerosil(登録商標)300、Aerosil(登録商標)380、Aerosil(登録商標)MOX 80、Aerosil(登録商標)MOX 170、Aerosil(登録商標)COK 84、Aerosil(登録商標)R 202、Aerosil(登録商標)R 805、Aerosil(登録商標)R 812、Aerosil(登録商標)R 972、Aerosil(登録商標)R 974、Aerosil(登録商標)R976である。
【0074】
本発明においては、非X線非晶質無機顔料は疎水性形態であることが有利であり、すなわち表面処理を行って撥水性とすることが有利である。この表面処理は、自体公知の方法により顔料を疎水性の薄層として提供することを含みうる。
【0075】
そのような方法は、例えば以下の反応:
n TiO+m (RO)3Si−R’→n TiO(表面)
〔式中、n及びmは所望の使用される化学量論パラメータであり、R及びR’は所望の有機基である〕
により疎水性表面層を提供することを含む。例えばDE−A3314742と同様に合成された疎水性化顔料が有利である。
【0076】
本発明の目的のため、有機表面コーティングは、植物性若しくは動物性ステアリン酸アルミニウム、植物性若しくは動物性ステアリン酸、ラウリン酸、ジメチルポリシロキサン(ジメチコンともいう)、メチルポリシロキサン(メチコン)、シメチコン(平均鎖長200〜350のジメチルシロキサン単位を有するジメチルポリシロキサンとシリカゲルとの混合物)、オクチルトリメトキシシラン又はアルギン酸から構成されうる。これらの有機表面コーティングは、それら自体で、それらの組み合わせで、及び/又は無機コーティング物質との組み合わせで存在しうる。
【0077】
本発明において好適な酸化亜鉛粒子及び酸化亜鉛粒子の予備分散液は、列挙した会社から以下の商品名で入手可能である:
【表1】

【0078】
好適な二酸化チタン粒子及び二酸化チタン粒子の予備分散液は、列挙した会社から以下の商品名で入手可能である:
【表2】

【0079】
有利なTiO顔料は、例えば商品名Uvinul(登録商標)TiOの商品名で、また有利なTiO/Fe混合酸化物は商品名Uvinul(登録商標)TiO AでBASFから入手可能である。
【0080】
最終化粧品又は皮膚用組成物に用いられる少なくとも1種のUVフィルターの合計量は、組成物の総重量に基づいて、0.01〜10重量%の範囲、好ましくは0.5〜8重量%の範囲、特に好ましくは1〜7重量%の範囲から選択されることが有利である。
【0081】
本発明に係る組成物中に存在するUVフィルターは、本発明においては、レチノール安定化(製品保護)のため、及び紫外線に対するヒト皮膚の保護(皮膚保護)のために用いられる。
【0082】
製品保護として用いる場合、使用するUVフィルターの必要量は有意に低減し、これらの場合には、組成物の総重量に基づいて、0.01〜0.5重量%の範囲、好ましくは0.05〜0.1重量%の範囲が有利である。
【0083】
本発明に係る組成物において使用するのに好ましいUVフィルターとしては、BASF製の以下のUvinul(登録商標)ブランド:Uvinul(登録商標)A Plus、Uvinul(登録商標)D 50、Uvinul(登録商標)M 40、Uvinul(登録商標)MS 40及びUvinul(登録商標)P 25、Uvinul(登録商標)MC 80、Uvinul(登録商標)N 539、Uvinul(登録商標)T150、並びに無機顔料TiO及びZnOが挙げられる。
【0084】
製品保護として使用するためには、特に以下のUVフィルターを明記する:Uvinul(登録商標)A Plus、Uvinul(登録商標)D 50、Uvinul(登録商標)M 40、Uvinul(登録商標)MS 40及びUvinul(登録商標)P 25。
【0085】
本発明の組成物は、通常、0.015〜0.2重量%、好ましくは0.02〜0.15重量%、特に好ましくは0.03〜0.15重量%、極めて好ましくは0.04〜0.12重量%の1種以上のレチノイド、特に、オールトランスレチノール、0.05〜0.8重量%、好ましくは0.08〜0.7重量%、特に好ましくは0.12〜0.6重量%、非常に特に好ましくは0.16〜0.5重量%の1種以上の水溶性抗酸化剤、特に、L−アスコルビン酸、及び0.0005〜2重量%、好ましくは0.01〜1.8重量%、特に好ましくは0.1〜1.5重量%、極めて好ましくは0.15〜1.2重量%の1種以上の油溶性抗酸化剤、特にα−トコフェロールを含む。
【0086】
本発明の組成物は、特に、その製造、瓶詰め及び保存中に保護ガス(protective gas)を使用する必要がなく、しかも、同時に適切な安定性を確実にすることを特徴とする。
【0087】
本発明の目的のためには、適切な安定性とは、40℃で12週間の保存後、組成物中に少なくとも90%の量のレチノイドが再度観察されることを意味する。加えて、本発明の組成物の保存中に、不要な変色は起こらない。
【0088】
本発明の組成物を酸素不透過性包装に保存すれば有利である。
【0089】
酸素不透過性包装は、本発明の目的に適していれば市販のどんな標準的包装でもよく、例えば、ガラス容器又はアルミニウム包装などが挙げられる。
【0090】
本発明に係る組成物のさらなる利点は、これらの製品をもはや光排除条件下で保存する必要がないことである。
【0091】
従来公知のレチノイド含有化粧品組成物と比較することにより、本発明に係る組成物をスキンケアに使用する場合、レチノイドによって誘発されることがある太陽光に対する皮膚の感受性の増大を修正することが可能となる。
【0092】
化粧品及び皮膚科学若しくは医薬組成物は、一般に少なくとも1種の油相を含む担体を基剤とする。しかし、水だけを基剤とする組成物も可能である。従って、油、クリーム、ペースト、フォーム、スティック状の組成物、若しくは脂肪不含ゲル、又は、好ましくは、エマルジョンが好適である。
【0093】
好適なエマルジョンは、分散形態で存在する本発明の1種以上のレチノイドを含むO/W(水中油型)エマルジョン、W/O(油中水型)エマルジョン、マイクロエマルジョン若しくは複合エマルジョン(例えば、O/W/Oエマルジョン又はW/O/Wエマルジョン)であり、これらのエマルジョンは、例えば、DE−A−19726121号に記載されているような相転位(phase inversion)方法により取得することができる。
【0094】
化粧品又は医薬組成物用の添加剤として適した慣用の化粧品助剤として、例えば、共乳化剤、脂肪及びろう、安定剤、増粘剤、生物有効成分、皮膜形成剤、芳香剤、染料、真珠箔、防腐剤、顔料、電解質(例:硫酸マグネシウム)及びpH調節剤が挙げられる。好適な共乳化剤は、好ましくは公知のW/O及びO/W乳化剤、例えば、ポリグリセロールエステル、ソルビタンエステル若しくは部分的にエステル化したグリセリドである。脂肪の典型例は、グリセリドであり、ろうとしては、特に、蜜ろう、パラフィンろう若しくは微晶質ろうが挙げられ、任意で親水ろうと組み合わせてもよい。用いることができる安定剤は、脂肪酸の金属塩、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム及び/又はステアリン酸亜鉛である。好適な増粘剤としては、例えば、架橋ポリアクリル酸及びその誘導体、多糖、特にキサンタンゴム、グアールゴム、寒天、アルギン酸塩及びチロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース、並びにまた、脂肪アルコール、モノグリセリド及び脂肪酸、ポリクリレート、ポリビニルアルコール並びにポリビニルピロリドンが挙げられる。生物有効成分とは、例えば、植物エキス、タンパク質加水分解産物及びビタミン複合体を意味する。慣用皮膜形成剤は、例えば、親水コロイド、例えば、キトサン、微晶質キトサン若しくは四化キトサン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸系のポリマー、第4セルロース誘導体、並びに類似化合物が挙げられる。好適な防腐剤としては、例えば、ホルムアルデヒド溶液、p−ヒドロキシ安息香酸塩若しくはソルビン酸が挙げられる。好適な真珠箔としては、例えば、グリコールジステアリン酸エステル(例:エチレングリコールジステアレート)、さらにまた、脂肪酸及び脂肪酸モノグリコールエステルが挙げられる。用いることができる染料は、化粧品の用途に適した承認済物質であり、例えば、1984年Verlag Chemie(Weinheim)によりFarbstoffkommission der Deutschen Forschungsgemeinschaft [ドイツ研究学会の染料委員会]から刊行された刊行物“Kosmetische Farbemittel” [化粧品用着色料] に記載されているものがある。これらの染料は、混合物全量に対して、0.001〜0.1重量%の濃度で通常用いられる。
【0095】
多くの場合、さらなる抗酸化剤の使用が有利である。従って、冒頭に記載した本発明の抗酸化剤以外にも、化粧品及び/又は皮膚科学用途において慣用の又は好適なすべての抗酸化剤を用いることが可能である。
【0096】
抗酸化剤は、以下に挙げるものからなる群より選択するのが有利である:アミノ酸(例:グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)及びその誘導体、イミダゾール(例:ウロカニン酸)及びその誘導体、ペプチド、例えば、D,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシン及びそれらの誘導体(例:アンセリン)、カロチノイド、カロチン(例:βカロチン、リコペン)及びそれらの誘導体、クロロゲン酸及びその誘導体、リポ酸及びその誘導体(例:ジヒドロリポ酸)、オーロチオグルコース、プロピルチオウラシル及びその他のチオール(例:チオロドキシン、グルタチオン、シスチン、シスタミン及びそれらのグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチル及びラウリル、パルミトイル、オレイル、γ−リノレイル、コレステリル及びグリセリルエステル)及びそれらの塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸及びそれらの誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシド及び塩)、並びに、非常に低い許容用量(例:pモル〜μモル/kg)のスルホキシイミン化合物(例:ブチオニンスルホキシイミン、ホモシステインスルホキシイミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタチオニンスルホキシイミン)、さらにまた、(金属)キレート剤(例:α−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α−ヒドロキシ酸(例:クエン酸、乳酸、マレイン酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁エキス、ビリブリン、ビリベルジン、EDTA及びその誘導体、不飽和脂肪酸及びその誘導体(例:γ−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸及びその誘導体、並びにベンゾイン樹脂の安息香酸コニフェリル、ルチン酸及びその誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリルリデングルシトール、カルノシン、ノルジヒドログアヤク酸(nordihydroguaiac acid)、ノルジヒドログアヤレト酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸及びその誘導体、マンノース及びその誘導体、亜鉛及びその誘導体(例:ZnO、ZnSO)、セレニウム及びその誘導体(例:セレノメチオニン)、スチルベン及びその誘導体(例:スチルベン酸化物、トランス−スチルベン酸化物)。
【0097】
組成物中の前記抗酸化剤(1種以上の化合物)の総量は、組成物の総重量に対して、好ましくは0.075〜30重量%、特に好ましくは0.1〜20重量%、特に0.55〜10重量%である。
【0098】
化粧品中の慣用油成分は、例えば、パラフィン油、ステアリン酸グリセロール、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、セチルステアリル2−エチルヘキサノエート、水素添加ポリイソブテン、ワセリン、カプリル/カプリン酸トリグリセリド、微晶質ろう、ラノリン及びステアリン酸である。
【0099】
製造方法:
化粧品組成物を製造する方法は多数ある。例えば、熱間/熱間法、熱間/冷間法又は冷間/冷間法(例えば、“Kosmetik - Entwicklung, Herstellung及びAnwendung kosmetischer Mittel” [Cosmetics - Development, production and use of cosmetic compositions]、編集:Wilfried Umbach, Thieme Verlag, 1995、第511頁に記載されている)を用いる。これらの方法を用いて、水中油型(O/W)エマルジョン、油中水型(W/O)エマルジョン、さらには複合エマルジョン、並びにクリームゲル及びゲルを調製することができる。好ましくは製剤を40℃以下に冷却した後、また、特に感受性が高い場合には、好ましくは室温まで冷却した後、ここに有効成分を組み込む。本発明の根拠となる試験のために、O/Wエマルジョンを熱間/熱間法(hot/hot method)で調製し、完成製剤に有効成分を室温で組み込んだ。
【0100】
用いた組成物:
% 成分 INCI
A相 2.00 クレモフォール A 6 セテアレス-6、ステアリルアルコール
2.00 クレモフォール A 25 セテアレス-25
3.00 ホホバオイル Simmondsia Chinensis
(ホホバ)種油
3.00 セチルステアリルアルコール セテアリルアルコール
10.00 パラフィンオイル、粘性 鉱物油
5.00 ワセリン 鉱油
4.00 Miglyol 812 カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド
0.10 BHT BHT

B相 5.00 1,2-プロピレングリコールUSP プロピレングリコール
0.10 Edeta BD EDTA二ナトリウム
20.00 Carbopol 934(純水中1%) カルボマー
0.30 Chemag 2000
100以下 純水 脱塩水

C相 0.80 水酸化ナトリウム(純水中10%) 水酸化ナトリウム

D相 0.50 ビタミンE酢酸塩 酢酸トコフェロール
0.20 フェノキシエタノール フェノキシエタノール
適量 香油
【0101】
製造:
A及びB相を別々に約80℃まで加熱した。B相をA相に攪拌しながら導入し、均質化した。混合物をC層で中和した後、均質化した。このクリームを攪拌しながら約40℃まで冷却し、D相を攪拌しながら導入し、得られた混合物を再び均質化した。
【0102】
このクリームを室温まで冷却した後、水溶性及び油溶性抗酸化剤、そしてまたUVフィルターを完成エマルジョンに導入した。このために、D,L−α−トコフェロール及びUVフィルターを最初に添加し、次にアスコルビン酸又はアスコルビン酸ナトリウム、続いてレチノール(レチノール15D(登録商標)、BASF;中位鎖トリグリセリドにおけるレチノールの15%濃度溶液)を攪拌しながら導入した。
【0103】
次に、内側保護コーティングを施したアルミニウムチューブ又は光透過性のガラス容器のいずれかに上記クリームを入れた。
【0104】
以上記載した製造方法によって、様々な量のレチノール(オール−rac)−α−トコフェロール及びL−アスコルビン酸、そして少なくとも1種のUVフィルターを含むクリームを製造し、安定性検査のために40℃で12週間保存した。
【0105】
本発明の内容について、以下に挙げる製剤例を参照にしながらさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0106】
スキンローション(O/Wエマルジョン)
重量%
セテアレス-6及びステアリルアルコール 2.50
セテアレス-25 2.50
水素添加ココグリセリド 1.50
PEG-40ドデシルグリコールコポリマー 3.00
ジメチコン 3.00
フェネチルジメチコン 2.00
シクロメチコン 1.00
オクタン酸セテアリル 5.00
アボカド油 1.00
アーモンド油 2.00
コムギ麦芽油 0.80
パンテノールUSP 1.00
フィタントリオール 0.20
ビタミンE酢酸塩 0.30
プロピレングリコール 5.00
香料 適量
防腐剤 適量
アスコルビン酸ナトリウム 0.20
レチノール15D(登録商標) 0.20
トコフェロール 0.10
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 0.06
(Uvinul(登録商標)A Plus)
水 100以下
【実施例2】
【0107】
ハンドクリーム(W/Oエマルジョン)
重量%
セテアリルアルコール 1.00
ステアリン酸グリセリル 1.50
ステアリルアルコール 1.50
パルミチン酸セチル 2.00
ビタミンE酢酸塩 0.50
ジメチコン 8.00
セテアレス-6及びステアリルアルコール 3.00
メトキシ桂皮酸オクチル 5.00
プロピレングリコール 8.00
パンテノール 1.00
マツヨイグサ油 3.00
PEG-7水素添加ヒマシ油 6.00
オレイン酸グリセリル 1.00
フェネチルジメチコン 3.00
蜜ろう 1.50
イナゴマメ種子 0.80
絹粉末 0.80
防腐剤 適量
香料 適量
ホウ砂 0.10
アスコルビン酸ナトリウム 0.30
トコフェロール 0.60
レチノール15D(登録商標) 0.66
ベンゾフェノン−2(Uvinul(登録商標)D 50) 0.05
水 100以下
【実施例3】
【0108】
日焼け止めローション(W/Oエマルジョン)
重量%
PEG-7水素添加ヒマシ油 6.00
PEG-40水素添加ヒマシ油 0.50
パルミチン酸イソプロピル 7.00
PEG-45/ドデシルグリコールコポリマー 2.00
ホホバ油 3.00
ステアリン酸マグネシウム 0.60
メトキシ桂皮酸オクチル 5.00
安息香酸C12-15アルキル 5.00
二酸化チタン 4.00
プロピレングリコール 5.00
EDTA 0.20
防腐剤 適量
レチノール15D(登録商標) 0.33
水 100以下
アスコルビルリン酸ナトリウム 1.00
ビタミンE酢酸塩 0.50
アスコルビン酸ナトリウム 0.20
トコフェロール 1.00
香料 適量
【実施例4】
【0109】
複合エマルジョン(W/O/Wエマルジョン)
重量%
パラフィン油 7.50
オクタン酸セテアリル 2.50
ステアリン酸アルミニウム 0.25
ステアリン酸マグネシウム 0.25
微晶質ろうH 0.50
セテアリルアルコール 1.00
ラノリンアルコール 1.50
羊毛ろうアルコール軟膏 1.50
PEG-7水素添加ヒマシ油 0.75
PEG-45/ドデシルグリコールコポリマー 2.00
セテアレス-6及びステアリルアルコール 2.00
セテアレス-25 2.00
トリラウレス-4ホスフェート 1.00
ヒドロキシエチルセルロース 0.20
プロピレングリコール 7.50
硫酸マグネシウム 0.25
アスコルビン酸ナトリウム 0.30
トコフェロール 0.01
レチノール15D(登録商標) 0.40
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 0.06
(Uvinul(登録商標)A Plus)
水 100以下
【実施例5】
【0110】
マイクロエマルジョン
重量%
セテアレス-25 13.00
PEG-7グリセリルココエート 20.00
オクチルドデカノール 5.00
防腐剤 適量
アスコルビン酸ナトリウム 0.10
トコフェロール 0.10
レチノール15D(登録商標) 0.66
ベンゾフェノン−3(Uvinul(登録商標)M 40) 0.07
水 100以下
【実施例6】
【0111】
リポソームゲル(親水ゲル)
重量%
PEG-40水素添加ヒマシ油 1.00
ビサボロールrac. 0.10
プロピレングリコール 8.00
パンテノール 0.50
水、ビタミンE酢酸塩、ポリソルベート80及びカプリル酸/ 3.00
カプリン酸トリグリセリド、並びにレシチン
防腐剤 適量
香料 適量
カルボマー 0.50
アスコルビン酸ナトリウム 0.15
トコフェロール 0.15
トリエタノールアミン 0.70
レチノール15D(登録商標) 0.33
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 0.06
(Uvinul(登録商標)A Plus)
水 100以下
【実施例7】
【0112】
メーキャップ(化粧品)
重量%
セテアレス-6及びステアリルアルコール 9.00
ジメチコン 5.00
オクタン酸セテアリル 8.00
マカデミアナッツ油 5.00
プロピレングリコール 5.00
レチノール15D(登録商標) 0.66
水 100以下
シコビト(Sicovit)ホワイトE 171 8.00
シコメト(Sicomet)ブラウン70 13E 3717 2.00
アスコルビン酸ナトリウム 0.20
トコフェロール 0.50
香料 適量
ベンゾフェノン-3(Uvinul(登録商標)M 40) 5.00
【実施例8】
【0113】
液体メーキャップ(化粧品)
重量%
セテアレス-6及びステアリルアルコール 7.00
セテアレス-25 5.00
ジメチコン 5.00
オクタン酸セテアリル 8.00
マカデミアナッツ油 5.00
プロピレングリコール 5.00
レチノール15D(登録商標) 0.33
水 100以下
シコビト(Sicovit)ホワイトE 171 8.00
シコメト(Sicomet)ブラウン70 13E 3717 1.00
アスコルビン酸ナトリウム 0.10
トコフェロール 0.01
香料 適量
ベンゾフェノン-3(Uvinul(登録商標)M 40) 5.00
【実施例9】
【0114】
日焼け止めローション(O/Wエマルジョン)
重量%
セテアレス-6及びステアリルアルコール 2.30
セテアレス-25 1.00
セチルステアリルアルコール 4.80
オクタン酸セチルステアリル 10.0
モノステアリン酸グリセリル 3.00
ワセリン 3.00
パンテノールUSP 1.00
EDTA二ナトリウム 0.20
イミダゾリジニル尿素 0.30
プロピレングリコール 5.00
アスコルビル2−一リン酸ナトリウム 0.20
ビタミンE酢酸塩 1.00
ビサボロール 0.10
レチノール 0.05
トコフェロール 0.20
アスコルビン酸ナトリウム 0.20
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2.00
(Uvinul(登録商標)A Plus)
p-メトキシ桂皮酸エチルヘキシル(Uvinul(登録商標)MC 80) 3.00
水 100以下

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のレチノイド、
(b)少なくとも1種の水溶性抗酸化剤、
(c)少なくとも1種の油溶性抗酸化剤、及び
(d)0.01〜10重量%の少なくとも1種のUVフィルター
を含む組成物であって、該組成物において、レチノイド1重量部につき、少なくとも1重量部の1種以上の水溶性抗酸化剤と、0.1〜100重量部の1種以上の油溶性抗酸化剤が存在し、かつ、1種以上の水溶性抗酸化剤の含量が、組成物の全量に対し、0.05〜0.8重量%の範囲にある、上記組成物。
【請求項2】
化粧品又は医薬組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
レチノイド1重量部につき、1〜6重量部の1種以上の水溶性抗酸化剤及び1〜10重量部の1種以上の油溶性抗酸化剤を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
レチノイド1重量部につき、3〜5重量部の1種以上の水溶性抗酸化剤及び3〜5重量部の1種以上の油溶性抗酸化剤を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
水溶性抗酸化剤として、L−アスコルビン酸又はL−アスコルビン酸の塩を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
油溶性抗酸化剤として、α−トコフェロールを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
レチノイドがオールトランスレチノールである、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
0.015〜0.2重量%のオールトランスレチノールを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
UVフィルターがUV−Aフィルター、UV−Bフィルター及び/又は広帯域フィルターである、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
O/W、W/O又は複合エマルジョンの形態をしている、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
保護ガスを添加せずに、酸素不透過性包装に保存される、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
スキンケア組成物である、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。

【公表番号】特表2007−518757(P2007−518757A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549981(P2006−549981)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000312
【国際公開番号】WO2005/070373
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】