説明

レチノイン酸受容体アゴニスト剤、レチノイン酸受容体アゴニスト剤を含有する食品、生薬又はその抽出物の使用、レチノイドX受容体アゴニスト剤、レチノイドX受容体アゴニスト剤を含有する食品及びコウボク又はその抽出物の使用

【課題】レチノイン酸や、その構造類縁体とはその構造が全く異なり、且つレチノイン酸受容体アゴニストやレチノイドX受容体アゴニストのシード化合物として従来知られていなかった化合物を含む生薬若しくはその抽出物または当該化合物を含むレチノイン酸受容体アゴニスト剤やレチノイドX受容体アゴニスト剤を提供する。
【解決手段】ガイヨウ、キクカ、コウカ、コウブシ、ゴミシ、サイシン、シュクシャ、ソウジュツ、ソヨウ、チョウジ、チンピ、ニンドウ、ハッカ及びマシニンからなる群より選択される一種又は二種以上の生薬又はその抽出物を含有することを特徴とするレチノイン酸受容体アゴニスト剤。コウボク又はその抽出物を含有することを特徴とするレチノイドX受容体アゴニスト剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レチノイン酸受容体アゴニスト剤、レチノイン酸受容体アゴニスト剤を含有する食品、生薬又はその抽出物の使用、レチノイドX受容体アゴニスト剤、レチノイドX受容体アゴニスト剤を含有する食品及びコウボク又はその抽出物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
レチノイン酸受容体は核内レセプターの1つであり、ビタミンAの活性本体として知られるレチノイン酸(all trans retinoic acid、以下「ATRA」という。)は当該レチノイン酸受容体のリガンド結合部位に結合してその活性を示す化合物である。また、Spornの定義によれば、レチノイン酸受容体のリガンド結合部位に結合する化合物はレチノイドと総称され、これらレチノイドはレチノイン酸と同等のアゴニストとしての活性を示す。
【0003】
レチノイン酸は、生体内において細胞の増殖・分化、生体の恒常性維持、形態形成に関わる重要な生体内ホルモンの1つであり(非特許文献1)、臨床上、急性前骨髄球性白血病APLの分化誘導療法剤として用いられている。また、さらにレチノイン酸の誘導体が化学合成され皮膚の炎症性・増殖性疾患の治療に用いられている(非特許文献2、非特許文献3)。
【0004】
ところが、レチノイン酸やその誘導体には、催奇形性、皮膚炎惹起、血中中性脂質上昇などの副作用の問題があり、当該副作用の逓減が図られている(非特許文献4、非特許文献5)。
【0005】
このように、従来は、レチノイン酸をシード化合物として、その誘導体の化学合成が数多くなされ(非特許文献6)、またレチノイン酸受容体と相同の核内レセプターであるレチノイドX受容体に結合するリガンドも広い意味でのレチノイドとして化学合成がなされている(非特許文献4、非特許文献6乃至非特許文献9)。
【0006】
【非特許文献1】Chambon,P., A decade of molecular biology of retinoic acid receptors. Faseb J, 1996.10(9): p. 940-54
【非特許文献2】Altucci, L. and H.Gronemeyer, The promise of retinoids to fight againstcancer. Nat Rev Cancer, 2001. 1(3): p. 181-93
【非特許文献3】Fisher, G.J. and J.J.Voorhees, Molecular mechanisms of retinoidactions in skin. Faseb J, 1996. 10(9): p. 1002-13.
【非特許文献4】Kagechika, H., Novelsynthetic retinoids and separation of the pleiotropicretinoidal activities. Curr Med Chem, 2002. 9(5): p. 591-608.
【非特許文献5】Takahashi, B., et al.,Novel retinoid X receptor antagonists: specificinhibition of retinoid synergism in RXR-RAR heterodimer actions. J Med Chem,2002. 45(16): p. 3327-30.
【非特許文献6】Kagechika, H. and K.Shudo, Synthetic retinoids: recent developmentsconcerning structure and clinical utility. J Med Chem, 2005. 48(19): p.5875-83.
【非特許文献7】Ebisawa, M., et al.,Retinoid X receptor-antagonistic diazepinylbenzoicacids. Chem Pharm Bull (Tokyo), 1999. 47(12): p.1778-86.
【非特許文献8】Umemiya, H., et al.,Regulation of retinoidal actions by diazepinylbenzoicacids. Retinoid synergists which activate the RXR-RAR heterodimers. J Med Chem,1997. 40(26): p. 4222-34.
【非特許文献9】Shinjo, K., et al., Goodprognosis of patients with acute promyelocyticleukemia who achieved second complete remission (CR) with a new retinoid, Am80,after relapse from CR induced by all-trans-retinoic acid. Int J Hematol, 2000.72(4): p. 470-3.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、従来のレチノイン酸受容体アゴニストやレチノイドX受容体アゴニストは、主としてレチノイン酸をシード化合物とするため、レチノイン酸およびその構造に類縁する化合物の範囲に留まらざるを得ず、新たなシード化合物の発見抜きには、レチノイン酸の性質と大きく異なる性質を有するレチノイドを作るのは困難である。
【0008】
本発明は、レチノイン酸や、その構造類縁体とはその構造が全く異なり、且つレチノイン酸受容体アゴニストやレチノイドX受容体アゴニストのシード化合物として従来知られていなかった化合物を含む生薬若しくはその抽出物または当該化合物を含むレチノイン酸受容体アゴニスト剤やレチノイドX受容体アゴニスト剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、生活習慣病や慢性疾患の治療に多く用いられている厚生労働省監修の「一般用漢方処方の手引」に収められている漢方方剤210処方に主に配合される生薬95種類を対象とし、レチノイン酸受容体およびレチノイドX受容体に対する作用を指標として当該受容体のアゴニスト剤となる生薬、その抽出物及びその成分化合物を探索した。
【0010】
その結果、ガイヨウ、キクカ、コウカ、コウブシ、ゴミシ、サイシン、シュクシャ、ソウジュツ、ソヨウ、チョウジ、チンピ、ニンドウ、ハッカ及びマシニンの抽出物が、レチノイン酸受容体のアゴニスト活性を有することを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明のレチノイン酸受容体アゴニスト剤の第1の局面は、ガイヨウ、キクカ、コウカ、コウブシ、ゴミシ、サイシン、シュクシャ、ソウジュツ、ソヨウ、チョウジ、チンピ、ニンドウ、ハッカ及びマシニンからなる群より選択される一種又は二種以上の生薬又はその抽出物を含有することを特徴とする。
【0011】
そして、それらの生薬の中でも、ガイヨウ、コウブシ、ゴミシ、サイシン、ソウジュツ、チョウジ、チンピ、ハッカ及びマシニンの抽出物から、レチノイン酸受容体に対する強いアゴニスト活性を見出した。このため、本発明のレチノイン酸受容体アゴニスト剤の第2の局面は、ガイヨウ、コウブシ、ゴミシ、サイシン、ソウジュツ、チョウジ、チンピ、ハッカ及びマシニンからなる群より選択される一種又は二種以上の生薬又はその抽出物を含有することとした。
【0012】
さらには、ソウジュツ及びサイシンの抽出物から、レチノイン酸受容体に対する特に強いアゴニスト活性を見出した。このため、本発明のレチノイン酸受容体アゴニスト剤の第3の局面は、ソウジュツ及びサイシンからなる生薬、又はその抽出物を含有することとした。
【0013】
また、抽出を行う溶媒としては、アルコール又は含水アルコールが好適であった。このため、本発明のレチノイン酸受容体アゴニスト剤の第4の局面は、抽出物がアルコール抽出物又は含水アルコール抽出物であることとした。
【0014】
さらには、メチルアルコールで抽出する場合には、ガイヨウ、コウブシ、ゴミシ、サイシン、ソウジュツ、チョウジ、チンピ、ハッカ及びマシニンから、レチノイン酸受容体に対する、特に強いアゴニスト活性を見出した。このため、本発明のレチノイン酸受容体アゴニスト剤の第5の局面は、ガイヨウ、コウブシ、ゴミシ、サイシン、ソウジュツ、チョウジ、チンピ、ハッカ及びマシニンからなる群より選択される一種又は二種以上の生薬のメチルアルコール抽出物を含有することとした。
【0015】
また、含水アルコールで抽出する場合には、ガイヨウ、ソウジュツ及びマシニンから、レチノイン酸受容体に対する、特に強いアゴニスト活性を見出した。このため、本発明のレチノイン酸受容体アゴニスト剤の第6の局面は、ガイヨウ、ソウジュツ及びマシニンからなる群より選択される一種又は二種以上の生薬の含水アルコール抽出物であることとした。
【0016】
さらに、ソウジュツ抽出物から単離されたアトラクチロジノールが、レチノイン酸受容体に対する、極めて強いアゴニスト活性を見出した。このため、本発明のレチノイン酸受容体アゴニスト剤の第7の局面は、下記構造式で示される化合物を含有することとした。
【0017】
【化1】

【0018】
第1発明の食品は、本発明のレチノイン酸受容体アゴニスト剤の第1〜7の局面のレチノイン酸受容体アゴニスト剤を含有することを特徴とする。この食品にはレチノイン酸受容体アゴニスト剤が含まれるため、レチノイン酸受容体を活性化する効果を有する。
【0019】
第1発明の外用剤は、第1発明の第1〜7の局面のレチノイン酸受容体アゴニスト剤を含有することを特徴とする。この食品にはレチノイン酸受容体アゴニスト剤が含まれるため、レチノイン酸受容体活性化の効果を有する。外用剤としては、化粧品、軟膏等が挙げられる。
【0020】
上述したように、ガイヨウ、キクカ、コウカ、コウブシ、ゴミシ、サイシン、シュクシャ、ソウジュツ、ソヨウ、チョウジ、チンピ、ニンドウ、ハッカ及びマシニンには、レチノイン酸受容体のアゴニスト活性を有する物質が含まれているため、これらの群より選択される一種又は二種以上の生薬又はその抽出物からレチノイン酸受容体アゴニスト剤を製造することができる。
【0021】
また、発明者らは、コウボクの抽出物が、レチノイドX受容体に対するアゴニスト活性を有することを見出した。すなわち、本発明のレチノイドX受容体アゴニスト剤は、コウボク又はその抽出物を含有することを特徴とする。
【0022】
また、抽出を行う溶媒としては、アルコール又は含水アルコールが好適であることを見出した。このため、本発明のレチノイドX受容体アゴニスト剤の第2の局面は、抽出物がアルコール抽出物又は含水アルコール抽出物であることとした。この中でも、含水エチルアルコールで抽出する場合には、特に強いアゴニスト活性を有することを見出した。このため、本発明のレチノイドX受容体アゴニスト剤の第3の局面は、抽出物がアルコール抽出物又は含水アルコール抽出物であることとした。
【0023】
また、含水アルコールで抽出する場合には、レチノイン酸X受容体に対する、特に強いアゴニスト活性を見出した。このため、本発明のレチノイン酸X受容体アゴニスト剤の第3の局面は、抽出物が含水エチルアルコール抽出物であることとした。
【0024】
さらに、コウボクから単離された下記構造式(a)又は(b)で示される化合物が、レチノイドX受容体に対する極めて強いアゴニスト活性を見出した。このため、本発明のレチノイドX受容体の第4の局面は、下記構造式で示される化合物を含有することとした。
【0025】
【化2】

【0026】
第2発明の食品は、本発明のレチノイドX受容体アゴニスト剤の第1〜4の局面のレチノイドX受容体アゴニスト剤を含有することを特徴とする。この食品にはレチノイドX受容体アゴニスト剤が含まれるため、レチノイドX受容体を活性化する効果を有する。
【0027】
第2発明の外用剤は、本発明のレチノイドX受容体アゴニスト剤の第1〜4の局面のレチノイドX受容体アゴニスト剤を含有することを特徴とする。この外用剤にはレチノイドX受容体アゴニスト剤が含まれるため、レチノイドX受容体活性化の効果を有する。外用剤としては、化粧品、軟膏等が挙げられる。
【0028】
上述したように、コウボクには、レチノイドX受容体のアゴニスト活性を有する物質が含まれているため、コウボク又はその抽出物からレチノイドX受容体アゴニスト剤を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明において「生薬」とは、草、根、茎、葉、木、皮、花及び果実からなる植物、獣、魚、虫などの天然物を生品のまま又は乾燥、調製、加工して、疾病治療の目的に供する物をいい、「生薬の抽出物」とは、上記天然物から水、有機溶媒などの溶剤を用いてその成分を溶出した溶液若しくは懸濁液、当該溶液若しくは懸濁液から当該溶剤を濃縮、除去、置換などして製した物をいう。
【0030】
本発明において「レチノイン酸受容体アゴニスト剤」とは、レチノイン酸受容体を活性化し、これより標的遺伝子の転写活性に影響を及ぼすものをいう。また、「レチノイドX受容体アゴニスト剤」とは、レチノイドX受容体を活性化し、これより標的遺伝子の転写活性に影響を及ぼすものをいう。ここで、「製剤」とは、散剤、顆粒剤、丸剤、錠剤などの固形剤、舐剤などの半固形剤、懸濁剤、酒精剤、乳剤、浸剤・煎剤などの液剤、その他製剤上許容される剤形をいう。
【0031】
本発明で用いるアッセイ系、酵母two−hybrid systemでは、レチノイン酸受容体α及びγ、並びにレチノイドX受容体αのリガンド結合ドメイン(LBD)とコアクチベーターであるTIF2をGAL4の融合タンパクとして導入した酵母を用いた。
当該酵母two−hybrid systemは、酵母の転写調節因子であるGAL4遺伝子を利用してタンパク質の相互作用を検出する分子生物学の分野で汎用されている手法であり、GAL4遺伝子にコードされているGAL4タンパク質中のDNA結合ドメイン(GAL4DBD)と転写活性化ドメイン(GAL4AD)のそれぞれに、レチノイン酸受容体α若しくはγ、又はレチノイドX受容体αのタンパク質をコードする遺伝子を組み込み、酵母内で発現させたものである。当該アッセイ系においては、組み込んだタンパク質同士が相互作用すれば、GAL4タンパク質が活性化体として遺伝子の発現に正に働き、相互作用の強さは酵母の染色体にあらかじめ組み込んであるレポーター遺伝子のβ−ガラクトシダーゼ活性の強さとして測定できる(Nishikawa, J., et al, 内分泌攪乱物質の核内受容体ファミリーを解する作用発現. J Environmental
Biotechnol., 3(1): p37-42. 参照)。
【0032】
第1発明は、レチノイン酸受容体アゴニスト剤に関するものであり、ガイヨウ、キクカ、コウカ、コウブシ、ゴミシ、サイシン、シュクシャ、ソウジュツ、ソヨウ、チョウジ、チンピ、ニンドウ、ハッカ及びマシニンからなる群より選択される一種又は二種以上の生薬又はその抽出物を含有する。
【0033】
ここで、第1発明において、ガイヨウ、キクカ、コウカ、コウブシ、ゴミシ、サイシン、シュクシャ、ソウジュツ、ソヨウ、チョウジ、チンピ、ニンドウ、ハッカ及びマシニンとは、それぞれ、キク科植物 Artemisia princepts、キク科植物 Chrysanthemum morifolie、キク科植物 Carthamus tinctorius、カヤツリグサ科植物 Cyperus rotundus、マツブサ科植物 Schisandra chinensis、ウマノスズクサ科植物 Asiasirum sieboldii、ショウガ科植物 Amomum xanthioides、キク科植物 Atractylodes lancea、シソ科植物 Perilla frutescens、フトモモ科植物 Syzygium aromaticum、ミカン科植物 Citrus unshiu、スイカズラ科植物 Lonicera japonica、シソ科植物 Mentha arvensis及びアサ科植物 Cannabis sativa由来の生薬をいう。
【0034】
前記の生薬の抽出溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール等の低級アルコール及び含水低級アルコール及びプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール及び含水多価アルコール等のアルコール系有機溶媒及び含水アルコール系有機溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ブチルメチルケトン、アセトニトリル、酢酸エチルエステル、ジエチルエーテル、ジクロルメタン、クロロホルム、トリクロルエチレン、四塩化炭素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の非アルコール系有機溶媒及び含水非アルコール系有機溶媒、並びに水を挙げることができる。これらの有機溶媒のうち、アルコール若しくは含水アルコールが好ましく、低級アルコール若しくは含水低級アルコールがさらに好ましい。
抽出操作は、冷浸、温浸、加熱還流、パーコレーション法などの常法でおこなうことができる。溶媒抽出に代えて、例えば水蒸気蒸留、超臨界抽出法により生薬抽出物を得てもよい。
【0035】
ソウジュツからのアトラクチロジノールの単離は、液―液分配、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーなどの分離精製手段を用いて行うことができる。
【0036】
本発明の食品としては、例えば、パン、米、食肉、食肉加工品、野菜加工品、菓子類、飲料(アルコール飲料を含む。)等を挙げることができる。また、食品には栄養補助食品(サプリメントを含む。)も含まれる。栄養補助食品の場合、粉末、顆粒末、タブレット、ペースト、液体等の形状で提供することができる。食品への添加物として使用する場合、レチノイン酸受容体アゴニスト剤やレチノインX受容体アゴニスト剤の添加量は、食品の用途等により異なる。例えば、治療的又は予防的効果が期待される用途においては、食品を摂取する者の病状、健康状態、年齢、性別、体重などを考慮して適宜決定することができる。
【0037】
レチノイン酸受容体アゴニスト剤に関する製剤化は常法により行うことができる。製剤化においては、製剤上許容される他の成分、例えば、担体、賦形剤、崩壊剤、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤、無痛化剤、安定剤、保存剤、防腐剤、生理食塩水などを必要に応じて含有させることができる。賦形剤としては、乳糖、デンプン、ソルビトール、D−マンニトール、白糖等を用いることができる。崩壊剤としては、デンプン、カルボキシメチルセルロース、炭酸カルシウム等を用いることができる。緩衝剤としては、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等を用いることができる。乳化剤としては、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、トラガント等を用いることができる。懸濁剤としては、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸アルミニウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム等を用いることができる。無痛化剤としては、ベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビトール等を用いることができる。安定剤としては、プロピレングリコール、ジエチリン亜硫酸塩、アスコルビン酸等を用いることができる。保存剤としては、フェノール、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルパラベン等を用いることができる。防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸、クロロブタノール等を用いることができる。
【0038】
レチノイン酸受容体アゴニスト剤中における有効成分、即ち生薬、生薬抽出物又はアトラクチロジノールは、その剤形による制限を受けないが、例えば、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤等の剤形で適宜調製することができ、その含量は、通常これらの剤形により異なるが、所望の効果を達成できるように例えば約0.001重量%〜約100重量%とする。
【0039】
コウボクからのマグノロール及びホノキオールの単離は、液―液分配、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーなどの分離精製手段を用いておこなうことができる。
【実施例】
【0040】
以下実施例により本発明の構成をより詳細に説明する。
(生薬抽出物の調製)
厚生労働省監修の「一般用漢方処方の手引」に収められている漢方方剤210処方に主に配合される生薬95種類(表1参照)を抽出の対象とした。これらは全て株式会社ツムラより購入した。
【表1】

抽出条件については、レチノイン酸受容体及びレチノイドX受容体に作用する化合物が脂溶性低分子化合物であること、多糖などの極性の高い物質の抽出を最小限とすること等を考慮し、抽出溶媒としてメチルアルコール又は70%(v/v)エチルアルコールを選択し、抽出操作を冷浸とし、以下のように、それぞれメチルアルコール抽出物及び70%(v/v)エチルアルコール抽出物を調製した。即ち、各生薬10gに対しMeOH100mLを加え、一晩冷浸した。この操作を3回繰り返し、抽出液を濃縮乾固し、メチルアルコール抽出物とした。70%(v/v)エチルアルコール抽出物についても、各生薬10gに対し70%(v/v)エチルアルコール100mLを加え、同様に処理することによりその抽出物を調製した。メタノール抽出物の収量及び70%(v/v)エチルアルコール抽出物の収量をそれぞれ、表2及び表3に示す。
【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
(酵母Two−hybrid−systemによるアゴニスト活性の測定)
1.組み換え酵母の調製
Nishikawa,
J.らの方法(Nishikawa, J., et al, 内分泌攪乱物質の核内受容体ファミリーを解する作用発現. J Environmental
Biotechnol., 3(1): p37-42.)を若干改良した方法を使用し、β−ガラクトシダーゼ発現系レポータープラスミドが組み込まれている酵母(Saccharomyces cerevisiae Y190株)に、それぞれヒトレチノイン酸受容体α遺伝子若しくはヒトレチノイン酸受容体γ遺伝子又はヒトレチノイドX受容体α遺伝子と、コアクチベーター(TIF2)の発現プラスミドを組み込んだ組み換え酵母を使用した。
【0044】
2.組み換え酵母の前培養
(1)ロイシン(Leu)及びトリプトファン(Trp)欠損SD培地の調製
当該SD培地は、オートクレーブ滅菌済みの下記組成のSD合成培地80mL、10X Dropout Solution(ロイシン及びトリプトファン欠損)10mL及び40%D−(+)―Glucose溶液5mLに水を加え、全量100mLとして調製した。
1)SD合成培地
Difco yeast nitrogen base
w/o amino
acids 6.7g
Agar 16g

全量 800mL
2)10X Dropout Solution
Yeast Synthetic Drop−out
Medium Supplement(−Leu、−Trp) 7.7g

全量 500mL
3)40%D−(+)―Glucose溶液
D−(+)―Glucose 40g

全量 100mL
(2)前記組み換え酵母を前記SD培地 ( ロイシン及びトリプトファン欠損不完全培地)により、30°Cで18時間培養した。
【0045】
3.活性測定用サンプルの調製
各生薬抽出物について、最終濃度100mg/mLとなるようにDMSOに溶解し、それぞれレチノイン酸受容体α、γ及びレチノイドX受容体αに対するアゴニスト活性測定用の各サンプルを調製した。なお、当該最終濃度設定においては、DMSOの酵母毒性が1%以上の濃度で発現することを考慮した。
【0046】
4.アゴニスト相対活性値の測定
(1)DMSOの終濃度が1%となるように前記活性測定用サンプルを加え、そこへ前培養を行った酵母(前培養液を3000rpmで5分間遠心し、新しい培地にかえ、OD630=0.1となるように希釈したもの)を加えた(1wellあたり100μgの生薬抽出物が100μLの酵母懸濁液中に存在する。)。この96well丸底plate(100μL/well)を30°Cで18時間インキュベートし、OD630をマイクロプレートリーダーにより測定し、4mg/mLのZymolyase−20Tを含む4倍濃度の下記組成のZ−buffer(pH約7.0、オートクレーブ滅菌済み)を加え30分間30°Cでインキュベートすることにより酵母を破砕した。そこへCPRG液(クロロフェノールレッドーβ−D−ガラクトピラノシド)を加えて約40分間30°Cでインキュベートすることにより、酵母内から出てきたガラクトシダーゼと基質とを反応させ、NaCO溶液を加えて反応を停止させた後マイクロプレートリーダーにより577nm及び630nmの吸光度(A577、A630)を測定した。これらの値を酵母の生育している量で補正をした後、以下の式によって活性値αを求めた。
【0047】
活性値α=(A577−A630)/(OD630)
【0048】
4倍濃度 Z−buffer組成
NaHPO・7HO(268.07) 64.4g
NaHPO・2HO(156.01) 24.8g
KCl(74.44) 3.0g
MgSO・7HO(246.48) 0.984g

全量 1.0L
【0049】
(2)ポジティブコントロールの活性測定
1)レチノイン酸受容体α及びγのアゴニストであるATRAを、ポジティブコントロールとして、前記の活性測定用サンプルと同様に、DMSO終濃度1%として、10-6〜10-10Mとなるよう添加した。その結果を図1に示す。
【0050】
2)レチノイドX受容体αのアゴニストである9−cis レチノイン酸を、ポジティブコントロールとして、前記の活性測定用サンプルと同様に、DMSO終濃度1%として、10-6〜10-9Mとなるよう添加した。その結果を図2に示す。
【0051】
(3)各生薬抽出物の相対活性
各生薬抽出物について、上記活性測定の結果得られた各ポジティブコントロールの活性値に対する相対値を求め、これによってアゴニスト活性を評価した。
【0052】
(4)結 果
上記の結果得られたアゴニスト活性について、図3〜図7に示す。
【0053】
レチノイン酸受容体αアゴニスト活性について
レチノイン酸受容体αアゴニスト活性については、図3及び図4に示すように、調査対象となった生薬の中で、ガイヨウ、キクカ、コウカ、サイシン、シュクシャ、ソウジュツ、チョウジ、チンピ、ニンドウ、ハッカ及びマシニンの抽出物が、ポジティブコントロールであるATRA(5.5×10-8M)に対する相対値として0.5以上のアゴニスト活性を示し、優れたレチノイン酸受容体アゴニスト剤となることが分かった。それらのうちでも、ガイヨウ、サイシン、ソウジュツ、チョウジ、チンピ、ハッカ及びマシニンの抽出物は活性の相対値は1.0以上であり、特に優れていることが分かった。
【0054】
レチノイン酸受容体γアゴニスト活性について
また、レチノイン酸受容体γアゴニスト活性については、図5に示すように、ガイヨウ、コウブシ、ゴミシ、サイシン、シュクシャ、ソウジュツ、ソヨウ、チョウジ及びハッカの抽出物が、ATRA(5.5×10-8M)に対する相対値として0.5以上のアゴニスト活性を示し、これらの生薬やその抽出物がレチノイン酸受容体アゴニスト剤として好適であることが分かった。それらのうちでも、コウブシ、ゴミシ、サイシン及びソウジュツの抽出物の活性の相対値は1.0以上であり、特に優れていることが分かった。
【0055】
以上の、レチノイン酸受容体αアゴニスト活性及びレチノイン酸受容体γアゴニスト活性の結果から、ガイヨウ、キクカ、コウカ、コウブシ、ゴミシ、サイシン、シュクシャ、ソウジュツ、ソヨウ、チョウジ、チンピ、ニンドウ、ハッカ及びマシニンからなる群より選択される一種又は二種以上の生薬又はその抽出物は、レチノイン酸受容体アゴニスト剤として好適であることが分かった。
さらに、ガイヨウ、サイシン、シュクシャ、ソウジュツ、チョウジ及びハッカの抽出物は、レチノイン酸受容体αおよびγの双方に作用し、その活性はポジティブコントロールであるATRAに対して0.5以上の相対値を示すことや、レチノイン酸受容体αあるいはレチノイン酸受容体γの一方に選択的に強い活性が認められた生薬も存在することを考慮した結果、ガイヨウ、コウブシ、ゴミシ、サイシン、ソウジュツ、チョウジ、チンピ、ハッカ及びマシニンより選択される一種又は二種以上の生薬又はその抽出物はレチノイン酸受容体アゴニスト剤として、特に好適であることを見出した。また、これらの生薬のうち、ソウジュツ及びサイシンの抽出物のレチノイン酸受容体に対するアゴニスト活性は、ポジティブコントロールであるATRAに対して、α受容体およびγ受容体の双方について相対値で1.0以上という強い活性を示した。一方、マシニン、ニンドウ、チンピ、コウカ及びガイヨウについては、α受容体に対するアゴニスト活性が、γ受容体に対するアゴニスト活性よりも大きく、特にマシニン、ニンドウ及びチンピはその傾向が著しかった。また、コウブシ、ゴミン及びソヨウについては、逆にγ受容体に対するアゴニスト活性が、α受容体に対するアゴニスト活性と比較して著しく大きかった。これらのα受容体あるいはγ受容体の一方に選択的に活性を有する生薬は、受容体が発現する臓器・組織・細胞に対して選択的に作用し、レチノイン酸が有する副作用を示さないことが期待されるため、疾病治療に有用であると考えられる。
【0056】
レチノイドX受容体αアゴニスト活性について
一方、レチノイドX受容体αアゴニスト活性については、図6及び図7に示すように、調査対象となった生薬の中で、コウボクの抽出物は、ポジティブコントロールである9−cis−レチノイン酸に対する相対値として0.5以上のレチノイドX受容体αに対するアゴニスト活性を示した。このことから、コウボクやその抽出物がレチノイドX受容体アゴニスト剤として好適であることが分かった。
【0057】
さらに、コウボクの含水エチルアルコール抽出物は、ポジティブコントロールである9−cis−レチノイン酸に対して相対値で1.0以上のレチノイドX受容体αアゴニスト活性を示すことから、レチノイドX受容体アゴニスト剤として、特に好適であることが分かった。
【0058】
レチノイン酸受容体αアゴニスト活性試験の結果、活性が見られた生薬は用部が全草や葉であるものが多く、その抽出液の色が緑色であるものが多かった。このことより、生薬中に共通に含まれる色素成分にレチノイン酸受容体αのリガンドが存在する可能性が示唆された。また、チョウジ、サイシンなどに活性があることからその主成分であるオイゲノール類の精油成分にも活性があることが示唆され、オイゲノールの標品の活性を測定することにより確認を行った。その結果、図8に示すように、オイゲノール、イソオイゲノールに弱いレチノイン酸受容体αアゴニスト活性が存在した。その他の種々のフェニルプロパノイド化合物についても検討を行ったが、その中に活性を有するものはなく、ベンゼン環にプロピル基の存在とその末端がアルコール、カルボン酸、アルデヒドなどの親水性の構造を有しないことが必要であることが示唆された。
【0059】
また、70%EtOH抽出物に強く活性が見られた生薬にキク科植物を基原とする生薬が多く存在することより、キク科植物に特徴的な比較的極性の高い化合物が活性を有する可能性が考えられた。特に朮類生薬として知られるソウジュツには活性があり、ビャクジュツに活性がないという興味深い結果を得た。
【0060】
また、上述のように、95種類の生薬のMeOH抽出物と70%EtOH抽出エキスを用いてレチノイン酸受容体αアゴニスト活性のスクリーニングを行った結果、いくつかの生薬に活性が見出され、特にMeOH抽出エキスにより多くの活性が見出された。即ち、核内レセプターのリガンドとなる脂溶性化合物の抽出にはMeOHが適しており、核内レセプターのリガンドを網羅的にスクリーニングするためにはMeOH抽出を用いると良いことが示唆された。しかし、脂溶性が高いことによる副作用が懸念されるこれまでのリガンドと異なった性質のリガンドをスクリーニングすれば、より有用なリガンドを見出すことができるという可能性がある。そこで、70%EtOH抽出物において活性の見られたものの中から選択し、以下に示す方法によって活性成分の単離同定を行った。
【0061】
(ソウジュツに含まれるレチノイン酸受容体αアゴニスト活性成分の単離)
1.液−液抽出による分画
ソウジュツ50gに対し70%EtOH500mLを加えて一晩の冷浸抽出を3回繰り返し、抽出液を濃縮乾固し、抽出物15.91gを得た。当該抽出物に対して、80%MeOH500mLとn−hexane300mLで3回、分液ロート(1L)を用いて分配し、それぞれの画分を濃縮乾固し、80%MeOH画分12.46g及びn−hexane画分3.24gを得た。次に、活性を持つ80%MeOH画分についてHO 500mLと酢酸エチルエステル300mLで3回、分液ロート (1L)を用いて分配し、それぞれの画分を濃縮乾固し、酢酸エチルエステル画分870mg及びHO画分11.58gを得た。
【0062】
2.シリカゲルオープンカラムクロマトグラフィーによる分画
活性が認められた酢酸エチルエステル画分について、下記シリカゲルオープンカラムクロマト条件1〜3によりシリカゲルオープンカラムクロマトグラフィーを各条件について1回、合計3回行い、活性を有する2つの画分( fr1−4−3、fr1−4−4)それぞれ43.0mg及び40.9mgを得た。両画分をHPLCにより成分の比較を行ったところ、ほぼ同じであった。
【0063】
シリカゲルオープンカラムクロマト条件1
カラム:シリカゲルFL100D(直径4cm、長さ13cm、フジシリシア化学株式会社製)
溶媒条件(stepwise):ヘキサン/酢酸エチルエステル=7/3により500mL、ヘキサン/酢酸エチルエステル=4/6により500mL、アセトンにより500mL、メタノールにより500mLの順で溶出した。
【0064】
シリカゲルオープンカラムクロマト条件2
カラム:シリカゲルFL100D(直径4cm、長さ15cm、フジシリシア化学株式会社製)
溶媒条件(stepwise):ヘキサンにより400mL、ヘキサン/クロロホルム=7/3により400mL、ヘキサン/クロロホルム=4/6により400mL、クロロホルムにより400mL、クロロホルム/酢酸エチルエステル=9/1により400mL、酢酸エチルエステルにより400mL、メタノールにより200mLの順で溶出した。
【0065】
シリカゲルオープンカラムクロマト条件3
カラム:シリカゲルFL100D(直径2.8cm、長さ20cm、フジシリシア化学株式会社製)
溶媒条件:クロロホルム200mLずつ分画した。
【0066】
シリカゲルオープンカラムクロマトグラフィーによる分画経路図を図9に示す。また、各分画のレチノイン酸受容体αに対するアゴニスト活性を図10に示す。
【0067】
3.HPLCによる分画
fr1−4−3を下記条件によるC8カラムを用いるHPLCにより20のフラクションに分け、それぞれのフラクションについて活性試験を行った。サンプル調製は12mgのfr1−4−3を分画し、各フラクションを濃縮乾固したものに、MeOHを1mL加え、MeOH終濃度が1%となるようにサンプル調製したものに対し活性試験を行い、各フラクションの活性を比較した。図11及び図12に、fr1−4−3のHPLCクロマトグラム及びHPLCによる20の画分のレチノイン酸受容体αに対するアゴニスト活性を示す。
【0068】
活性試験の結果、fr7、fr10、fr12、fr13、fr16に比較的大きな活性が見られた。また、fr8については、高濃度において酵母に対する毒性がみられたが、希釈し低濃度で活性試験を行うことにより、大きな活性が確認された。そこで、これらの中で、単物質で比較的に量が多いと予想されたfr7、fr8についてCDClを溶媒とし、H−NMR、13C−NMR及び二次元NMRを測定した。
HPLC条件
カラム:YMC・Pack C8、250×10mm、S−5μm
流速:4mL/min.
感度:2.56
溶出条件:メタノール濃度60%、75%(30分)、60%(40分)により、順次リニアグラジエントで溶出した。
サンプル量:2mg
分析システム構成:送液ポンプ PU−2080plas(日本分光製)
検出器 MD−1510(日本分光製)
解析ソフトウェア BORWIN―PDA (日本分光製)
【0069】
4.ソウジュツのレチノイン酸受容体αアゴニスト活性成分の構造解析
ソウジュツより分画したfr1−4−3−7、fr1−4−3−8についてNMRにより構造解析を行った。
(1)fr1−4−3−7、fr1−4−3−8について
これらについてCDClを溶媒とし、H−NMRを測定し、13C−NMR及び二次元NMRを測定した結果、H−NMRの積分値の違い以外に顕著な違いがみられなかった。また、これらの積分値の違いというのは、約半数のプロトンがほぼ2倍の積分値になっているという違いであった。そこで、これらのフラクションはひとつの成分で構成されているのではなく、二つの成分が混在している、あるいは二つの化合物が1:1の比率で結合しているフラクションと、1:2で結合しているフラクションである可能性が考えられた。
二つの成分が混在していると仮定し、構造解析を行うこととしたところ、これら二つの成分の13C−NMRはほぼ同じ値を示しており、異なるのはH−NMRのシフトとカップリングコンスタントだけであった。
【0070】
13C−NMRによりメチレン炭素が2本、メチン炭素14本、四級炭素10本ほどの炭素シグナルが観測された。また、H−NMR において、オレフィンを示すシグナル(6.8ppm 1H 16Hz/6.1ppm 1H 16Hz)、 (6.7ppm 1H 12Hz/5.6ppm 1H 12Hz)、(5.9ppm
2H 16Hz/6.4ppm付近)の三組のカップリングが見られた。これらのうち二組はトランスカップリングであると考えられ、その一組は積分値より二つあることが考えられた。また、HPLCでの分取の際に特徴的なUV吸収(259、273、337、356nm)の極大吸収が見られたことや80ppm付近に四級炭素が多く存在することなどから、ソウジュツ中に含まれるアトラクチロジンの構造が連想された。しかし、オレフィンの数が2倍であり、一つはシス体ではないかとも考えられる。そこで、アトラクチロジンのNMR文献データと比較したところ、9位のメチル基を示すシグナルが存在せず、さらにアトラクチロジンに存在しないメチレン炭素が62.8ppm付近に存在することから9位にヒドロキシル基の結合したアトラクチロジノールが考えられた。同様に、文献値と比較したところ、ほぼ全てのシグナルが一致するが、やはりシグナルが二組ずつ存在する。しかし、前に述べたオレフィン(6.8ppm 1H 16Hz/6.1ppm 1H 16Hz)、(6.7ppm 1H 12Hz/5.6ppm 1H 12Hz)についてのみ一組ずつしか存在しなかった。そこで、この部分のみが異なる二つのシス体とトランス体が混在することが予想された。シス体の文献値と比較したところH−NMRのシグナルは一致した。
fr1−4−3−7、fr1−4−3−8のNMRの化学シフト値及びカップリング定数と、文献値との比較を表4に示す。
【表4】

【0071】
以上より、fr1−4−3−7、fr1−4−3−8にはアトラクチロジノールのシス体とトランス体が混在しているのではないかと考えられた。fr1−4−3−7はトランス体:シス体=1:1、fr1−4−3−8はトランス体:シス体=2:1となっていると予想された。温度や光などの影響でトランスとシスが変化する不安定な状態と考えられ、これらの分離は困難と思われる。
【0072】
5.構造活性相関
株式会社ツムラ(20)より入手した(1E)−アトラクチロジノール、アトラクチロジン及びアセチルアトラクチロジノール活性試験に添加後の終濃度が10−4 〜10−6MとなるようにDMSOに溶解しレチノイン酸受容体αアゴニスト活性を測定した。測定結果を図13に示す。
【0073】
その結果、アトラクチロジノールにおいて濃度依存的にレチノイン酸受容体αに対するアゴニスト活性がみられた。しかし、アセチルアトラクチロジノールにおいては活性が弱く、さらにアトラクチロジンにおいては活性を持たなかった。図14に(1E)−アトラクチロジノール誘導体の構造を示す。
【0074】
(コウボクに含まれるレチノイドX受容体αアゴニスト活性成分の単離)
1.液−液抽出による分画
コウボク50gに70%EtOH
500mLを加えて一晩の冷浸抽出を3回繰り返し、抽出液を濃縮乾固し、70%EtOH抽出物8.45gを得た。当該70%EtOH抽出物をHO 500mL/酢酸エチルエステル 300mLで3回、分液ロート(1L)を用いて分配し、それぞれの画分を濃縮乾固して水画分5.60g及び酢酸エチルエステル画分2.08gを得た。レチノイドX受容体αアゴニスト活性試験を行ったところ、酢酸エチルエステル画分に活性がみられた。図17に各コウボク画分のレチノイドX受容体αアゴニスト活性を示す。
【0075】
2.酢酸エチルエステル画分のカラムクロマトグラフィーによる分画
酢酸エチルエステル画分のシリカゲルオープンクロマトグラフィーによる分画
酢酸エチルエステル画分についてシリカゲルオープンカラムクロマトグラフィーを2度行った。まず、シリカゲルオープンカラムクロマトグラフィー(シリカゲル BW−200、直径2.8cm、長さ18cm、フジシリシア化学株式会社製)を用いて、クロロホルム/酢酸エチルエステル=7/3により溶出されてくる色の着いたバンドを酢酸エチルエステル画分fr1及び同fr2として分画し、MeOHで溶出されてくる色の着いたバンドを酢酸エチルエステル画分fr3及びfr4として分画した。これらの画分の中で、酢酸エチルエステル画分fr1画分にレチノイドX受容体αアゴニスト活性が認められた。
【0076】
次に、シリカゲルオープンカラムクロマトグラフィー(シリカゲル BW−200、直径2.8cm、長さ22cm、フジシリシア化学株式会社製)を用いて、n−ヘキサン/クロロホルム=2/3、クロロホルム、クロロホルム/酢酸エチルエステル=7/3、クロロホルム/酢酸エチルエステル=1/1、MeOHの順に順次溶出し、n−ヘキサン/クロロホルム=2/3で溶出されてくる画分、クロロホルムで溶出されてくる画分、クロロホルム/酢酸エチルエステル=7/3、クロロホルム/酢酸エチルエステル=1/1及びMeOHで溶出されてくる画分を濃縮乾固して、それぞれ酢酸エチルエステルfr1−1画分965.8mg、酢酸エチルエステルfr1−2画分119.2mg及び酢酸エチルエステルfr1−3画分498mgを得た。これらの画分の中で、酢酸エチルエステルfr1−1画分及び酢酸エチルエステルfr1−2画分にレチノイドX受容体αアゴニスト活性が認められた。
【0077】
酢酸エチルエステルfr1−1画分及び酢酸エチルエステルfr1−2画分についてHPLCを行った。
【0078】
3.HPLCによる分画
1)酢酸エチルエステルfr1−2画分のHPLC分画
そこで、酢酸エチルエステルfr1−2画分について下記条件によりHPLCを用いて各フラクションの単離を行い、活性の存在した酢酸エチルエステルfr1−2−3画分を得た。
を得た。
HPLC条件
カラム:YMC・Pack C8、250×10mm、S−5μm
流 速:4mL/min.

感 度:2.56
サンプル量:1mg
溶出条件:50%MeOH、100%MeOH(40min.)リニアグラジエント
分析システム構成:送液ポンプ PU−2080plas(日本分光製)
検出器 MD−1510(日本分光製)
解析ソフトウェア BORWIN−PDA(日本分光製)
【0079】
コウボクから酢酸エチルエステルfr1−1画分およびfr1−2画分に至る精製経路を図15に示す。
【0080】
4.コウボクのレチノイドX受容体αアゴニスト活性成分の構造解析
コウボクより単離した二つの画分、酢酸エチルエステルfr1−2−2画分及び酢酸エチルエステルfr1−2−3画分についてCDClを溶媒としてH−NMRを測定したところ、よく似たNMRチャートであった。
【0081】
(1)酢酸エチルエステル画分の構造解析
酢酸エチルエステルfr1−2−3について、7ppm付近に3置換ベンゼンのオルトカップリング(6.95ppm 1H 8.5Hz/7.1ppm 1H 8.3Hz)とメタカップリング(7.08ppm 1H 2.1Hz/7.1ppm 1H 2.1Hz)と考えられる3つのシグナルが観測された。さらに二重結合が示唆されるシグナル(5.96ppm 1H m/5.075ppm 2H m)が観測された。この構造を推測したところ、コウボクの主成分とされるフェニルプロパノイド2量体(ネオリグナン)マグノロールが考えられた。このため、文献値と比較したところH−NMRにおいて全てのピークが一致し、酢酸エチルエステルfr1−2−3画分は図17に示すマグノロールであることが分かった。
水fr5−1―3画分の化学シフト値、カップリング定数とマグノロールの文献値との比較を表5に示す。
【表5】

【0082】
(2)酢酸エチルエステルfr1−2−2画分の構造解析
酢酸エチルエステルfr1−2−2画分について、H−NMRチャートと比べプロトンのシグナルの数が2倍であり、シグナルの位置は先ほどとほぼ変わらないことより、コウボクの主成分でマグノロールとよく似た構造を有するホノキオールであることが推測された。ホノキオールはマグノロールと水酸基の位置が異なり、二つのフェニルプロパノイドが左右対称とならないため、プロトンのシグナルが重なることはなく、マグノロールの2倍のシグナルが出現したと考えられた。そこで、文献値と比較したところH−NMRは全てほぼ一致したことより、酢酸エチルエステルfr1−2−2画分は図17右のホノキオールであると構造決定した。酢酸エチルエステルfr1−2−2画分の化学シフト値、カップリング定数とホノキオールの文献値との比較を表6に示す。また、マグノロール、ホノキオール活性試験に添加後の終濃度が10−4 〜10−6MとなるようにDMSOに溶解しレチイドX受容体αアゴニスト活性を測定した。測定結果を図18に示す。
【表6】

【0083】
<マウスRAW264.7細胞によるABCA1の誘導試験>
マクロファージは生体内(特に、冠動脈、大動脈の内皮下)で酸化LDLを取り込み、細胞内に大量のコレステロールエステルを蓄積することによって泡沫化し、粥状動脈硬化の初期病変を形成することが知られている。その一方、マクロファージには、ATP-binding cassette
transporter A1(ABCA1)が発現誘導されると、過剰のコレステロールを血中HDL(high density lipoprotein)に引き渡し、泡沫化を防ぐ作用をしていることも知られている。さらには、最近の研究により、このABCA1は、核内受容体liver X receptor (LXR),
pereoxisome proliferators-activated receptor-γ(PPARγ)、あるいは、RARとRXRとのヘテロ複合体(LXR/RXR, PPARγ/RXR, RAR/RXR)により、リガンド依存的に発現誘導されることが知られている。
そこで、アトラクチロジノール、マグノロール及びホーノキオールがRARやRXRを活性化することにより、ABCA1を誘導できるか否かについて、マクロファージ系のマウスRAW264.7細胞を用いて検討した。ただし、RAW264.7細胞はPPARγは殆ど発現しおらず、RARのリガンドはRAR/RXRを介してABCA1 mRNAの転写を活性化すると考えられており、RXRリガンドはRAR/RXRおよびLXR/RXRを介してANBCA1 mRNAの転写を活性化すると考えられている。
【0084】
試験方法
マウスマクロファージ様細胞RAW264.7細胞(1×106
cells/well)をDulbecco’s Modified Eagle Medium/10 fetal bovine
serum/100 units penicillin/100μg/ml streptomycinで24時間培養後、dimethyl
sulfoxideに溶解したアトラクチロジノール(最終濃度5×10-8〜10-6
M)、マゴノロール、ホーノキオール(最終濃度10-8〜10-5
M)を添加した。8時間培養後、細胞を回収し、total
RNAをTrizolを用いて抽出した。なお、ポジティブコントロールとして、RARアゴニストであるall-trans
retinoic acid(10-8 M)とRXRアゴニストであるベキサロテン(10-8
M)を使用した。total
RNAはDNase処理をした後に、River
Tra Aceを用いて逆転写反応を行いcDNAを得た。そして、ABCA1センスプライマー:5’-ATCACTCCTCTCATGTATCCAG-3’,
ABCA1アンチセンスプライマー:GAGAGCTTTCGTTTGTTGCCG-3’を用いてTaq DNA
polymeraseでRT-PCR(35サイクル)を行った。
【0085】
その結果、図19に示すように、アトラクチロジノールはコントロール(DMSO)に比べ、5×10-8Mから濃度依存的にABCA1 mRNAの発現を上昇させることが分かった。また、マグノロール及びホーノキオールについても、10-7Mから用量依存的にABCA1 mRNAの発現を上昇させることが分かった。以上の結果から、アトラクチロジノール、マグノロール及びホーノキオールは、コントロール(DMSO)と比較して、ABCA1 mRNAの発現上昇効果に優れていることが分かった。
以上の試験において観察された、RAW264.7細胞に対するABCA1
mRNAの発現を上昇させる作用は、酵母two hybrid assayの場合と比較して、より低濃度まで効果を奏し、哺乳動物細胞と酵母のアッセイ系の相違を反映するものであった。そして、これらの結果は、アトラクチロジノール、マグノロール及びホーノキオールが、極めて低い濃度でマクロファージの泡沫化を抑制できることを示しており、動脈硬化の予防・治療に有用な化合物となる可能性が強く示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明のレチノイン酸受容体アゴニスト剤又はレチノイドX受容体アゴニスト剤を使用することにより、レチノイン酸受容体又はレチノイドX受容体の活性化を介して、生活習慣病、慢性疾患の改善を図ることが期待できるとともに、本発明が提供する新規なレチノイン酸受容体アゴニストやレチノイドX受容体アゴニストのシード化合物に基づき、従来のシード化合物であるレチノイン酸に基づき合成されてきたその構造類縁体とはその構造が全く異なり、新規な作用効果を有し且つ副作用の少ないレチノイン酸受容体アゴニストやレチノイドX受容体アゴニストの構造類縁体の合成が期待できる。
【0087】
この発明は上記発明の実施形態に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】ATRAのレチノイン酸受容体αアゴニスト活性を示す図である。
【図2】9−cis−レチノイン酸のレチノイドX受容体αアゴニスト活性を示す図である。
【図3】各生薬MeOH抽出物のレチノイン酸受容体αアゴニスト活性を示す図である。
【図4】各生薬70%EtOH抽出物のレチノイン酸受容体αアゴニスト活性を示す図である。
【図5】各生薬MeOH抽出物のレチノイン酸受容体γアゴニスト活性を示す図である。
【図6】各生薬MeOH抽出物のレチノイドX受容体αアゴニスト活性を示す図である。
【図7】各生薬70%EtOH抽出物のレチノイドX受容体αアゴニスト活性を示す図である。
【図8】フェニルプロパノイド系化合物のレチノイン酸受容体αアゴニスト活性比較を示す図である。
【図9】ソウジュツの活性成分単離のフローチャートを示す図である。
【図10】ソウジュツを分画したフラクションのレチノイン酸受容体αに対するアゴニスト活性を示す図である。
【図11】ソウジュツfr1−4−3のHPLCクロマトグラムを示す図である。
【図12】ソウジュツfr1−4−3をHPLCで分画した20フラクションのレチノイン酸受容体αに対するアゴニスト活性を示す図である。
【図13】アトラクチロジノール誘導体のレチノイン酸受容体αに対するアゴニスト活性を示す図である。
【図14】(1E)アトラクチロジノール誘導体の構造を示す図である。
【図15】コウボクの活性成分単離のフローチャートを示す図である。
【図16】コウボク画分のレチノイドX受容体αアゴニスト活性を示す図である。
【図17】マグノロール及びホノキオールの構造式を示す図である。
【図18】コウボクより単離されたマグノロール、ホノキオールのレチノイドX受容体αアゴニスト活性を示す図である。
【図19】マウスRAW264.7細胞によるABCA1の誘導試験の試験方法及びその結果を示す電気泳動の写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイヨウ、キクカ、コウカ、コウブシ、ゴミシ、サイシン、シュクシャ、ソウジュツ、ソヨウ、チョウジ、チンピ、ニンドウ、ハッカ及びマシニンからなる群より選択される一種又は二種以上の生薬又はその抽出物を含有することを特徴とするレチノイン酸受容体アゴニスト剤。
【請求項2】
ガイヨウ、コウブシ、ゴミシ、サイシン、ソウジュツ、チョウジ、チンピ、ハッカ及びマシニンからなる群より選択される一種又は二種以上の生薬又はその抽出物を含有することを特徴とする請求項1記載のレチノイン酸受容体アゴニスト剤。
【請求項3】
ソウジュツ及び/又はサイシンからなる生薬、又はその抽出物を含有することを特徴とする請求項1記載のレチノイン酸受容体アゴニスト剤。
【請求項4】
前記抽出物がアルコール抽出物又は含水アルコール抽出物であることを特徴とする請求項1記載のレチノイン酸受容体アゴニスト剤。
【請求項5】
ガイヨウ、コウブシ、ゴミシ、サイシン、ソウジュツ、チョウジ、チンピ、ハッカ及びマシニンからなる群より選択される一種又は二種以上の生薬のメチルアルコール抽出物を含有することを特徴とする請求項4記載のレチノイン酸受容体アゴニスト剤。
【請求項6】
ガイヨウ、ソウジュツ及びマシニンからなる群より選択される一種又は二種以上の生薬の含水アルコール抽出物であることを特徴とする請求項4記載のレチノイン酸受容体アゴニスト剤。
【請求項7】
下記構造式で示される化合物含有することを特徴とするレチノイン酸受容体アゴニスト剤。
【化1】

【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のレチノイン酸受容体アゴニスト剤を含有する食品。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載のレチノイン酸受容体アゴニスト剤を含有する外用剤。
【請求項10】
レチノイン酸受容体アゴニスト剤を製造するための、ガイヨウ、キクカ、コウカ、コウブシ、ゴミシ、サイシン、シュクシャ、ソウジュツ、ソヨウ、チョウジ、チンピ、ニンドウ、ハッカ及びマシニンからなる群より選択される一種又は二種以上の生薬又はその抽出物の使用。
【請求項11】
コウボク又はその抽出物を含有することを特徴とするレチノイドX受容体アゴニスト剤。
【請求項12】
前記抽出物がアルコール抽出物又は含水アルコール抽出物であることを特徴とする請求項10記載のレチノイドX受容体アゴニスト剤。
【請求項13】
前記抽出物が含水エチルアルコール抽出物であることを特徴とする請求項11記載のレチノイドX受容体アゴニスト剤。
【請求項14】
下記構造式(a)又は(b)で示される化合物を含有することを特徴とするレチノイドX受容体アゴニスト剤。
【化2】

【請求項15】
請求項11〜14のいずれかに記載のレチノイドX受容体アゴニスト剤を含有する食品。
【請求項16】
請求項11〜14のいずれかに記載のレチノイドX受容体アゴニスト剤を含有する外用剤。
【請求項17】
レチノイドX受容体アゴニスト剤を製造するためのコウボク又はその抽出物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−23961(P2009−23961A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189528(P2007−189528)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 掲載アドレス:http://nenkai.pharm.or.jp/127/web/ 掲載日 :平成19年2月1日
【出願人】(507244987)
【Fターム(参考)】