説明

レンジトランスミッション装置

本発明に基づき、フロントマウントレンジトランスミッションユニット(10)と、調整トルクをこのフロントマウントレンジトランスミッションユニット(10)に送るために設けられている少なくとも1つのアクティブな調整ユニット(11)と、フロントマウントレンジトランスミッションユニット(10)に送られた調整トルクを、フロントマウントレンジトランスミッションユニット(10)によって実行される少なくとも1つのシフト動作に適合させるために設けられている制御及び/又は調整ユニット(12)と、を備えるレンジトランスミッション装置が提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に基づくレンジトランスミッション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも1つのアクティブな調整ユニットと、この調整ユニットによって供給される調整トルクをシフト動作に適合させるために設けられている制御及び/又は調整ユニットと、を備えるレンジトランスミッション装置がすでに知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、詳細にはレンジトランスミッション装置の構造を単純化するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、本発明に従って、請求項1の特徴により解決される。その他の実施形態は、従属請求項に示されている。
【0005】
本発明に基づき、フロントマウントレンジトランスミッションユニットと、このフロントマウントレンジトランスミッションユニットに調整トルクを送るために設けられている少なくとも1つのアクティブな調整ユニットと、フロントマウントレンジトランスミッションユニットに送られる調整トルクを、フロントマウントレンジトランスミッションユニットによって実行される少なくとも1つのシフト動作に適合させるために設けられている制御及び/又は調整ユニットと、を備えるレンジトランスミッション装置が提案される。
【0006】
これにより、フロントマウントレンジトランスミッションユニットのシフトが特に簡単に可能となるため、レンジトランスミッション装置全体及びとりわけフロントマウントレンジトランスミッション装置の構造を単純化することができる。「レンジトランスミッション装置」とは、好ましくは、メインギヤを切り替えるための少なくとも1つのメイントランスミッションユニットと、メインギヤを増加するためのフロントマウントレンジトランスミッションユニットと、を備えるトランスミッションを意味するものとする。「シフト動作」とは、この場合、特にシフトアップ動作及び/又はシフトダウン動作を意味するものとする。「シフトアップ動作」とは、特に、レンジトランスミッション装置の全減速比が減少する場合のシフト動作を意味するものとする。好ましくは、「シフトアップ動作」とは、メイントランスミッションユニットの減速比が減少するシフト動作を意味するものとする。「シフトダウン動作」とは、特に、レンジトランスミッション装置の全減速比が上昇する場合のシフト動作を意味するものとする。有利な場合、「シフトダウン動作」とは、メイントランスミッションユニットの減速比が上昇するシフト動作を意味するものとする。さらに、「アクティブな調整ユニット」とは、特に、一次駆動ユニットの駆動トルクとは異なる調整トルクを供給するために設けられているユニットを意味するものとする。「設けられている」とは、特に、特別にプログラムされている、装備及び/又は設計されていることを意味するものとする。
【0007】
有利であるのは、調整ユニットが、少なくとも1つのシフト動作において、フロントマウントレンジトランスミッションユニットを同期するために設けられていることである。これにより、フロントマウントユニットの範囲内で同期プロセスを短縮することができるため、より高いユーザーコンフォートを達成することができる。フロントマウントレンジトランスミッションユニットの同期とは、この場合、特にフロントマウントレンジトランスミッションユニットのシフト手段の同期を意味するものとする。
【0008】
特に有利な実施形態では、調整ユニットが、調整トルクの取込み及び送出しのために設けられている。これにより、フレキシブルに使用可能な調整ユニットを提供することができる。
【0009】
さらに、フロントマウントレンジトランスミッションユニットに送られる調整トルクを、シフト動作中に調整及び/又は変更するために、制御及び/又は調整ユニットを設けることが提案される。これにより、とりわけ迅速な同期を達成することができる。
【0010】
好ましくは、フロントマウントレンジトランスミッションユニットが、同期リングなしで形成されている少なくとも1つのシフト手段を有しており、このシフト手段は少なくとも部分的に調整ユニットに接続されている。これにより、有利には、このシフト手段を調整ユニットによって簡単に同期することができる。「シフト手段」とは、この場合、例えばスライドスリーブとこれに対応する切替え爪など、ギヤを切り替えるために設けられている、特にレンジトランスミッション装置の範囲内でトルク耐性接続を確立するための手段を意味するものとする。「同期する」とは、トルク耐性接続を確立するための回転数の変更及び、とりわけ回転数の同化を意味するものとする。有利であるのは、少なくとも1つのシフト手段が、非同期かみ合いクラッチとして実施されていることである。好ましくは、フロントマウントレンジトランスミッションユニットが、非同期シフト手段だけを有している。特に好ましくは、メイントランスミッションユニットも非同期シフト手段だけを有している。「非同期」とは、この場合、特に、シフト手段の作動時に、シフト手段の連結エレメント間のスリップ接続が省略されることを意味するものとする。
【0011】
さらに、フロントマウントレンジトランスミッションユニットのトゥース・オン・トゥース・ポジションを解除するために、制御及び/又は調整ユニットを設けることが提案される。これにより、レンジトランスミッション装置のシフト快適性をさらに向上させることができる。
【0012】
特に有利な実施形態では、レンジトランスミッション装置が少なくとも1つのカウンタシャフトを有し、調整ユニットが少なくとも1つのカウンタシャフト調整手段を有しており、この調整手段は、カウンタシャフトに作用する調整トルクを供給するために設けられている。これにより、有利に迅速な同期を達成することができる。
【0013】
特に好ましくは、制御及び/又は調整ユニットが、フロントマウントレンジトランスミッションユニットによって実行される少なくとも1つの逆方向のシフト動作において、カウンタシャフトの調整トルクを調節するために設けられている。これにより、とりわけ逆方向のシフト動作を、有利に素早く実施することができる。「逆方向のシフト動作」とは、この場合、特に、フロントマウントレンジトランスミッションユニットの減速比とメイントランスミッションユニットの減速比とが逆に変化する、すなわち反対方向に変化する場合のシフト動作を意味するものとする。
【0014】
さらに有利な実施形態では、レンジトランスミッション装置が少なくとも1つのトランスミッションインプットシャフトを有し、調整ユニットが少なくとも1つのトランスミッションインプットシャフト調整手段を有しており、この調整手段は、トランスミッションインプットシャフトに作用する調整トルクを供給するために設けられている。これにより、レンジトランスミッションユニットの同期をさらに向上させることができる。シフト動作を同期するため、調整ユニットは、基本的に少なくとも1つのカウンタシャフト調整手段又は少なくとも1つのトランスミッションインプットシャフト調整手段のいずれかを有することができる。しかし、特に有利であるのは、調整ユニットが少なくとも1つのカウンタシャフト調整手段と、少なくとも1つのトランスミッションインプットシャフト調整手段と、を有していることである。
【0015】
有利であるのは、フロントマウントレンジトランスミッションユニットによって実行される少なくとも1つの同方向のシフト動作において、トランスミッションインプットシャフトの調整トルクを調節するために、制御及び/又は調整ユニットが設けられていることである。これにより、とりわけ同方向のシフト動作を、有利に素早く実施することができる。「同方向のシフト動作」とは、この場合、特に、フロントマウントレンジトランスミッションユニットの減速比とメイントランスミッションユニットの減速比とが同じに変化する、すなわち同方向に変化する場合のシフト動作を意味するものとする。
【0016】
有利には、さらに、メイントランスミッションユニットを同期するために調整ユニットを設けることができるため、レンジトランスミッション装置が、少なくとも1つの同期リングのないシフト手段を有するメイントランスミッションユニットを含むことがさらに提案される。これにより、メイントランスミッションユニットの構造を簡単にすることができる。
【0017】
特に有利であるのは、制御及び/又は調整ユニットが、メイントランスミッションユニットによって実施される少なくとも1つのシフト動作に調整トルクを適合させるために設けられていることである。これにより、メイントランスミッションユニットの有利に迅速な同期を達成することができ、特に有利であるのは、このメイントランスミッションユニットの同期をフロントマウントレンジトランスミッションユニットの同期に同調させることができることである。
【0018】
有利には、メイントランスミッションユニットの同期のために、及び/又はメイントランスミッションユニットのトゥース・オン・トゥース・ポジションの解消のために、制御及び/又は調整ユニットを設けることがさらに提案される。これにより、レンジトランスミッション装置のシフト快適性をさらに改善することができる。
【0019】
有利な発展形態では、調整ユニットが、少なくとも1つの作動モードにおいて、駆動トルクを供給するために設けられているハイブリッド駆動モジュールとして形成されている。これにより、レンジトランスミッション装置を、駆動及び/又は回復のために有利に使用することが可能となる。
【0020】
その他に、このレンジトランスミッション装置をダブルクラッチトランスミッションとして形成することが提案される。これにより、ダブルクラッチトランスミッションとして形成されているレンジトランスミッション装置の同期を簡単にすることができる。
【0021】
その他の利点は、以下の図から説明される。図には、本発明の実施例が示されている。図、明細書及び請求項には、組合せの形で多数の特徴が含まれている。当業者は、これらの特徴を個々においても有利なものとみなし、その他の有効な組合せにまとめるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】カウンタシャフト調整手段とトランスミッションインプットシャフト調整手段とを有するレンジトランスミッション装置を備える駆動系である。
【図2】トランスミッションインプットシャフト調整手段を使用した状態での、同方向のシフトダウン動作として形成されているシフト動作の経過図である。
【図3】カウンタシャフト調整手段を使用した状態での、同方向のシフトダウン動作として形成されているシフト動作の経過図である。
【図4】カウンタシャフト調整手段を使用した状態での、逆方向のシフトダウン動作として形成されているシフト動作の経過図である。
【図5】トランスミッションインプットシャフト調整手段を使用した状態での、逆方向のシフトダウン動作として形成されているシフト動作の経過図である。
【図6】トランスミッションインプットシャフト調整手段を使用した状態での、同方向のシフトアップ動作として形成されているシフト動作の経過図である。
【図7】カウンタシャフト調整手段を使用した状態での、同方向のシフトアップ動作として形成されているシフト動作の経過図である。
【図8】カウンタシャフト調整手段を使用した状態での、逆方向のシフトアップ動作として形成されているシフト動作の経過図である。
【図9】トランスミッションインプットシャフト調整手段を使用した状態での、逆方向のシフトアップ動作として形成されているシフト動作の経過図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、例としてレンジトランスミッション装置を備える自動車の駆動系を示し、このレンジトランスミッション装置はメイントランスミッションユニット18とフロントマウントレンジトランスミッションユニット10とを有している。メイントランスミッションユニット18によって、メインギヤ数を切り替えることができる。フロントマウントレンジトランスミッションユニット10によって、メイントランスミッションユニット18により切替え可能なメインギヤを、それぞれ、速いスプリッタギヤと遅いスプリッタギヤとに切り替えることができる。さらに、レンジトランスミッション装置は、リヤマウントレンジトランスミッションユニット22を有しており、このユニットにより、メイントランスミッションユニット18とフロントマウントレンジトランスミッションユニット10とによって形成可能なスプリッタギヤが2つのシフトグループに分割されている。この駆動系は、さらに、内燃機関として形成されている一次エンジン23を有している。この一次エンジン23は、力の流れの中において、レンジトランスミッション装置の前に配置されている。
【0024】
このレンジトランスミッション装置は、さらに、発進クラッチ24と、この発進クラッチ24に接続されているトランスミッションインプットシャフト16とを含んでいる。トランスミッションインプットシャフト16は、力の流れの中において、発進クラッチ24とフロントマウントレンジトランスミッションユニット10との間に配置されている。さらに、このトランスミッション装置は中間シャフト25を有しており、このシャフトは、力の流れの中において、メイントランスミッションユニット18とリヤマウントレンジトランスミッションユニット22との間に配置されている。その他に、このレンジトランスミッション装置はトランスミッションアウトプットシャフト26を有しており、このシャフトは、力の流れの中において、リヤマウントレンジトランスミッションユニット22の後に配置されている。
【0025】
フロントマウントレンジトランスミッションユニット10は、副軸式構造で実施されている。フロントマウントレンジトランスミッションユニット10は、トランスミッションインプットシャフト16と平行に配置されているカウンタシャフト14を有している。トランスミッションインプットシャフト16とカウンタシャフト14とを接続するため、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10は、2つのギヤホイール面27、28と、これらのギヤホイール面27、28を切り替えるためのシフト手段13と、を有している。2つのギヤホイール面27、28を使って、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10のスプリッタギヤを形成するための2つの異なる変速比が切替え可能である。フロントマウントレンジトランスミッションユニット10のシフト手段13は、非同期かみ合いクラッチとして実施されている。従って、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10は、同期リングのないシフト手段13だけを有している。
【0026】
メイントランスミッションユニット18は、同様に副軸式構造で実施されている。カウンタシャフト14は、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10及びメイントランスミッションユニット18のために、一体形成されている。カウンタシャフト14と中間シャフト25とを接続するため、メイントランスミッションユニット18は、4つのギヤホイール面29、30、31、32と、これらのギヤホイール面29、30、31、32を切り替えるための3つのシフト手段19、20、21と、を有している。3つのギヤホイール面29、30、31を使って、前進ギヤとして形成されている3つのメインギヤが切替え可能である。ギヤホイール面32は、後進ギヤを形成するために設けられている。ダイレクトギヤを形成するため、2つのシフト手段13、19を使って、中間シャフト25をトランスミッションインプットシャフト16とトルク耐性に接続することができる。メイントランスミッションユニット18のシフト手段19、20、21は、非同期かみ合いクラッチとして形成されている。従って、メイントランスミッションユニット18は、同期リングのないシフト手段19、20、21だけを有している。
【0027】
リヤマウントトランスミッションユニット22は、プラネタリ構造で実施されている。このユニットは、中間シャフト25とトルク耐性に接続可能なサンギヤ33を有している。さらに、このユニットは、トランスミッションアウトプットシャフト26とトルク耐性に接続されているプラネタリギヤキャリア34とリングギヤ35とを有している。シフトグループを切り替えるため、リヤマウントレンジトランスミッションユニット22はシフト手段37を有しており、このシフト手段によって、リングギヤ35は、トランスミッションハウジング36又はサンギヤ33と選択的に接続可能である。シフト手段37は、同期かみ合いクラッチとして実施されている。同期のため、このシフト手段37は2つの同期リングを有しており、これらの同期リングによって、シフト動作時には、連結しなければならないシフト手段37のシフトエレメント間で摩擦結合による接続が確立される。
【0028】
レンジトランスミッション装置の全減速比が変更されるシフト動作のために、レンジトランスミッション装置は、アクティブな調整ユニット11を有しており、この調整ユニットにより、調整トルクをメイントランスミッションユニット18とフロントマウントレンジトランスミッションユニット10とに送ることができる。さらに、このレンジトランスミッション装置は制御及び調整ユニット12を有しており、このユニットにより、メイントランスミッションユニット18に送られた調整トルクとフロントマウントレンジトランスミッションユニット10に送られた調整トルクとが、フロントマウントレンジトランスミッション装置によって実行されるレンジトランスミッション装置のシフト動作、特にフロントマウントレンジトランスミッションユニット10によって実行されるシフト動作に適合させられる。
【0029】
調整ユニット11によって調整可能な調整トルクは、少なくとも部分範囲において、下方の限界値と上方の限界値との間で無段階に調整可能である。下方の限界値はゼロよりも小さく、このことは調整トルクの取込みに該当する。上方の限界値はゼロよりも大きく、このことは調整トルクの送出しに該当する。調整ユニット11は、一次エンジン23とは無関係である。
【0030】
調整トルクは、フロントマウントレンジトランスミッションユニットによって実行されるシフト動作において、該当するシフト動作に適合させられる。フロントマウントレンジトランスミッションユニット10により実行されるシフト動作では、フロントマウントレンジトランスミッション装置10のシフト手段13のシフト位置が変更される。メイントランスミッションユニット18のシフト手段19、20、21のシフト位置も、そのようなシフト動作の場合、同様に変更可能である。メイントランスミッションユニット18のシフト手段19、20、21のシフト位置は、この種のシフト動作の場合、基本的に維持することも可能である。
【0031】
調整ユニット11によってフロントマウントレンジトランスミッションユニット10に送られる調整トルクにより、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10が同期される。フロントマウントレンジトランスミッションユニットのシフト手段13は、1つのインプット側連結エレメントと2つのアウトプット側連結エレメントとを有している。インプット側連結エレメントは、軸方向に移動可能なスライドスリーブによって実施されており、このスライドスリーブは、切替え爪によって実施されている2つのアウトプット側連結エレメントと選択的に接続可能である。
【0032】
フロントマウントレンジトランスミッションユニット10の同期中、インプット側連結エレメントと切り替えられるアウトプット側連結エレメントとの間でポジティブ結合による接続が確立できるようになるまで、インプット側連結エレメントの回転数と、切り替えられるアウトプット側連結エレメントの回転数とが互いに近づけられる。このために、調整ユニット11は、シフト手段13のインプット側連結エレメントと2つのアウトプット側連結エレメントとに動作可能なように接続されている。シフト動作の間、制御及び調整ユニット12は、トランスミッションインプットシャフト16の回転数45とカウンタシャフト14の回転数44とに調整トルクを適合させる。トランスミッションインプットシャフト16の回転数45とカウンタシャフト14の回転数44とは、図に示されていないセンサユニットによって互いに無関係に特定可能になっている。シフト動作の間、回転数44、45は、調整ユニット11により、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10を切り替えるための規定回転数又はメイントランスミッションユニット18を切り替えるための規定回転数に調整される。さらに、制御及び調整ユニット11は、一次エンジン23の回転数46を設定することができる。一次エンジン23のために設定される回転数46は、制御及び調整ユニット12に接続されている、図示されていないもう1つの制御及び調整ユニットによって調整される。
【0033】
カウンタシャフト14の回転数44を調整するため、調整ユニット11はカウンタシャフト調整手段15を有しており、この手段を用いることにより、カウンタシャフト14の調整トルクが調整可能である。カウンタシャフト調整手段15は、調整トルクを直接カウンタシャフトに送る。このカウンタシャフト14は、2つのギヤホイール面27、28によって、動作可能なようにアウトプット側連結エレメントに接続されている。従って、このカウンタシャフト調整手段15により、アウトプット側連結エレメントの回転数が調整可能となっている。
【0034】
トランスミッションインプットシャフト16の回転数45を調整するため、調整ユニット11はトランスミッションインプットシャフト調整手段17を有しており、この手段を用いることにより、トランスミッションインプットシャフト16の調整トルクが調整可能である。トランスミッションインプットシャフト調整手段17は、調整トルクをトランスミッションインプットシャフト16に送る。トランスミッションインプットシャフト16は、インプット側連結エレメントに接続されている。従って、このトランスミッションインプットシャフト調整手段17により、アウトプット側連結エレメントの回転数が調整可能となっている。
【0035】
カウンタシャフト調整手段15とトランスミッションインプットシャフト調整手段17とは、それぞれ、電気モータ38、39を有しており、この電気モータによって、調整トルクを取り込み、送り出すことができる。調整トルクを取り込むため、電気モータ38、39は、制御及び調整ユニット12によって設定される作動モードに応じて、ジェネレータとして作動するか、もしくは逆電流方向で通電される。カウンタシャフト調整手段15の電気モータ38は、カウンタシャフト14と同軸上に配置されている。トランスミッションインプットシャフト調整手段17の電気モータ39は、トランスミッションインプットシャフト16と同軸上に配置されている。しかし、基本的には、例えばギヤホイールなどを使って、ずらして配置することも考えられる。
【0036】
制御及び調整ユニット12により、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10のシフト手段13の少なくとも全シフト動作が同期される。さらに、制御及び調整ユニット12により、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10のシフト手段13のトゥース・オン・トゥース・ポジションが解消される。さらに、制御及び調整ユニット12により、メイントランスミッションユニット18のシフト手段19、20、21のシフト動作を同期することができる。その他に、制御及び調整ユニット12により、メイントランスミッションユニット18のシフト手段19、20、21のトゥース・オン・トゥース・ポジションを解消することができる。同期及びトゥース・オン・トゥース・ポジション解消のため、カウンタシャフト調整手段15とトランスミッションインプットシャフト調整手段17とは、制御及び調整ユニット12により、互いに無関係に調整可能である。シフト動作が実行されるのか、又はトゥース・オン・トゥース・ポジションが解消されるのかに応じて、カウンタシャフト14又はトランスミッションインプットシャフト16に調整トルクが加えられる。
【0037】
フロントマウントレンジトランスミッションユニット10の減速比とメイントランスミッションユニット18の減速比とが逆方向に変更される逆方向のシフト動作では、カウンタシャフト14に調整トルクが加えられる。フロントマウントレンジトランスミッションユニット10だけが切り替えられるシフト動作では、トランスミッションインプットシャフト16に調整トルクが加えられる。フロントマウントレンジトランスミッションユニット10の減速比とメイントランスミッションユニット18の減速比とが同方向に変更される同方向のシフト動作では、トランスミッションインプットシャフト16に調整トルクが加えられる。代替の方法として、その他の作動モードも考えられる。
【0038】
同方向のシフトダウン動作として形成されているシフト動作は、トランスミッションインプットシャフト調整手段17によって実行されるのが有利である。このシフトダウン動作では、メイントランスミッションユニット18が、高いメインギヤから低いメインギヤに切り替えられる。さらに、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10は、速いスプリッタギヤから遅いスプリッタギヤに切り替えられる。シフト動作を開始するため、制御及び調整ユニット12は、まず、メイントランスミッションユニット18をニュートラルポジションに切り替える。さらに、制御及び調整ユニット12は、発進クラッチ24を開く。
【0039】
このシフト動作の第1の位相40では、制御及び調整ユニット12が、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10を速いスプリッタギヤからニュートラルポジションに切り替える。第2の位相41では、制御及び調整ユニット12が、トランスミッションインプットシャフト調整手段17によって、トランスミッションインプットシャフト16の回転数45を、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10の切替えのための規定回転数まで増加させる。トランスミッションインプットシャフト16が、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10の切替えのための規定回転数に達すると、すぐに制御及び調整ユニット12がフロントマウントレンジトランスミッションユニット10を遅いスプリッタギヤに切り替える。トランスミッションインプットシャフト16の回転数45の上昇と同時に、制御及び調整ユニット12は、一次エンジン23の回転数46の上昇を設定する。第3の位相42では、制御及び調整ユニット12が発進クラッチ24を閉じる。一次エンジン23の回転数46は、この場合、制御及び調整ユニット12により設定された、メイントランスミッションユニット18の切替えのための規定回転数に達するまで、さらに引き上げられる。この場合、発進クラッチ24が閉じられることにより、トランスミッションインプットシャフト16の回転数45は、一次エンジン23の回転数46と同じになるまで上昇する。一次エンジン23の回転数46が、メイントランスミッションユニット18の切替えのための規定回転数に達すると、すぐに第4の位相43においてメイントランスミッションユニット18が低いメインギヤに切り替えられ、これにより、シフト動作が終了する(図2を参照)。
【0040】
同方向のシフトダウン動作として形成されているシフト動作は、代替の方法として、カウンタシャフト調整手段15によっても実行することができる。このシフト動作を開始するため、制御及び調整ユニット12は、まず、メイントランスミッションユニット18をニュートラルポジションに切り替える。さらに、制御及び調整ユニット12は、発進クラッチ24を開く。このシフト動作の第1の位相40では、制御及び調整ユニット12が、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10を速いスプリッタギヤからニュートラルポジションに切り替える。第2の位相41では、制御及び調整ユニット12が、カウンタシャフト調整手段15によって、カウンタシャフト14の回転数44を、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10の切替えのための規定回転数まで減少させる。カウンタシャフト14が、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10の切替えのための規定回転数に達すると、すぐに制御及び調整ユニット12がフロントマウントレンジトランスミッションユニット10を遅いスプリッタギヤに切り替える。カウンタシャフト14の回転数44の減少と同時に、制御及び調整ユニット12は、一次エンジン23の回転数46の上昇を設定する。第3の位相42では、制御及び調整ユニット12が発進クラッチ24を閉じる。一次エンジンの回転数46は、この場合、制御及び調整ユニット12により設定された、メイントランスミッションユニット18の切替えのための規定回転数に達するまで、さらに引き上げられる。この場合、発進クラッチ24が閉じられることにより、トランスミッションインプットシャフト16の回転数45は、一次エンジン23の回転数46と同じになるまで上昇する。一次エンジン23の回転数46が、メイントランスミッションユニット18の切替えのための規定回転数に達すると、すぐに第4の位相43においてメイントランスミッションユニット18が低いメインギヤに切り替えられ、これにより、シフト動作が終了する(図3を参照)。
【0041】
逆方向のシフトダウン動作として形成されているシフト動作は、カウンタシャフト調整手段15によって実行されるのが有利である。このシフトダウン動作では、メイントランスミッションユニット18が、高いメインギヤから低いメインギヤに切り替えられる。さらに、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10は、遅いスプリッタギヤから速いスプリッタギヤに切り替えられる。このシフト動作を開始するため、制御及び調整ユニット12は、まず、メイントランスミッションユニット18をニュートラルポジションに切り替える。さらに、制御及び調整ユニット12は、発進クラッチ24を開く。
【0042】
このシフト動作の第1の位相40では、制御及び調整ユニット12が、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10を遅いスプリッタギヤからニュートラルポジションに切り替える。第2の位相41では、制御及び調整ユニット12が、カウンタシャフト調整手段15によって、カウンタシャフト14の回転数44を、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10の切替えのための規定回転数まで増加させる。カウンタシャフト14が、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10の切替えのための規定回転数に達すると、すぐに制御及び調整ユニット12がフロントマウントレンジトランスミッションユニット10を速いスプリッタギヤに切り替える。カウンタシャフト14の回転数44の上昇と同時に、制御及び調整ユニット12は、一次エンジン23の回転数46の上昇を設定する。第3の位相42では、制御及び調整ユニット12が発進クラッチ24を閉じる。一次エンジン23の回転数46は、この場合、制御及び調整ユニット12により設定された、メイントランスミッションユニット18の切替えのための規定回転数に達するまで、さらに引き上げられる。この場合、発進クラッチ24が閉じられることにより、トランスミッションインプットシャフト16の回転数45は、一次エンジン23の回転数46と同じになるまで上昇する。一次エンジン23の回転数46が、メイントランスミッションユニット18の切替えのための規定回転数に達すると、すぐに第4の位相43においてメイントランスミッションユニット18が低いメインギヤに切り替えられ、これにより、シフト動作が終了する(図4を参照)。
【0043】
逆方向のシフトダウン動作として形成されているシフト動作は、代替の方法として、トランスミッションインプットシャフト調整手段17によっても実行することができる。このシフト動作を開始するため、制御及び調整ユニット12は、まず、メイントランスミッションユニット18をニュートラルポジションに切り替える。さらに、制御及び調整ユニット12は、発進クラッチ24を開く。
【0044】
このシフト動作の第1の位相40では、制御及び調整ユニット12が、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10を遅いスプリッタギヤからニュートラルポジションに切り替える。第2の位相41では、制御及び調整ユニット12が、トランスミッションインプットシャフト調整手段17によって、トランスミッションインプットシャフト16の回転数45を、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10の切替えのための規定回転数まで減少させる。トランスミッションインプットシャフト16が、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10の切替えのための規定回転数に達すると、すぐに制御及び調整ユニット12がフロントマウントレンジトランスミッションユニット10を遅いスプリッタギヤに切り替える。トランスミッションインプットシャフト16の回転数45の減少と同時に、制御及び調整ユニット12は、一次エンジン23の回転数46の上昇を設定する。第3の位相42では、制御及び調整ユニット12が発進クラッチを閉じる。一次エンジン23の回転数46は、この場合、制御及び調整ユニット12により設定された、メイントランスミッションユニット18の切替えのための規定回転数に達するまで、さらに引き上げられる。この場合、発進クラッチ24が閉じられることにより、トランスミッションインプットシャフト16の回転数45は、一次エンジン23の回転数46と同じになるまで上昇する。一次エンジン23の回転数46が、メイントランスミッションユニット18の切替えのための規定回転数に達すると、すぐに第4の位相43においてメイントランスミッションユニット18が低いメインギヤに切り替えられ、これにより、シフト動作が終了する(図5を参照)。
【0045】
代替の作動モードでは、制御及び調整ユニット12が、シフトダウン動作での第3の位相42において、発進クラッチ24を閉じることを省略する。その代わり、第3の位相42において、トランスミッションインプットシャフト16の回転数45が、トランスミッションインプットシャフト調整手段17及び/又はカウンタシャフト調整手段15によって、メインギヤユニット18の切替えのための規定回転数に設定される。トランスミッションインプットシャフト16の回転数45が、メイントランスミッションユニット18の切替えのための規定回転数に達すると、すぐに第4の位相43においてメイントランスミッションユニット18が低いメインギヤに切り替えられる。引き続き、発進クラッチ24が閉じられることにより、該当するシフトダウン動作が終了する。
【0046】
同方向のシフトアップ動作として形成されているシフト動作は、トランスミッションインプットシャフト調整手段15によって実行されるのが有利である。このシフトアップ動作では、メイントランスミッションユニット18が、低いメインギヤから高いメインギヤに切り替えられる。さらに、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10は、遅いスプリッタギヤから速いスプリッタギヤに切り替えられる。このシフト動作を開始するため、制御及び調整ユニット12は、まず、メイントランスミッションユニット18をニュートラルポジションに切り替える。さらに、制御及び調整ユニット12は、発進クラッチ24を開く。
【0047】
このシフト動作の第1の位相40では、制御及び調整ユニット12が、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10を遅いスプリッタギヤからニュートラルポジションに切り替える。第2の位相41では、制御及び調整ユニット12が、トランスミッションインプットシャフト調整手段17によって、トランスミッションインプットシャフト16の回転数45を、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10の切替えのための規定回転数まで減少させる。回転数45のために設定された規定回転数は、この場合、カウンタシャフト14が第2の位相41において有している回転数44よりも小さい。トランスミッションインプットシャフト16が、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10の切替えのための規定回転数に達すると、すぐに制御及び調整ユニット12がフロントマウントレンジトランスミッションユニット10を速いスプリッタギヤに切り替える。トランスミッションインプットシャフト16の回転数45の減少と同時に、制御及び調整ユニット12は、一次エンジン23の回転数46の減少を設定する。第3の位相42では、制御及び調整ユニット12が、トランスミッションインプットシャフト16の回転数45をトランスミッションインプットシャフト調整手段17によってさらに減少させる。トランスミッションインプットシャフト16の回転数45のさらなる減少と同時に、一次エンジン23の回転数46がさらに軽減される。トランスミッションインプットシャフト16の回転数45が、メイントランスミッションユニット18の切替えのための規定回転数に達すると、すぐに第4の位相43においてメイントランスミッションユニット18が高いメインギヤに切り替えられる。引き続き、発進クラッチ24が閉じられることにより、このシフト動作は終了する(図6を参照)。
【0048】
同方向のシフトアップ動作として形成されているシフト動作は、代替の方法として、カウンタシャフト調整手段15によっても実行することができる。このシフト動作を開始するため、制御及び調整ユニット12は、まず、メイントランスミッションユニット18をニュートラルポジションに切り替える。さらに、制御及び調整ユニット12は、発進クラッチ24を開く。
【0049】
このシフト動作の第1の位相40では、制御及び調整ユニット12が、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10を遅いスプリッタギヤからニュートラルポジションに切り替える。第2の位相41では、制御及び調整ユニット12が、カウンタシャフト調整手段15によって、カウンタシャフト14の回転数44を、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10の切替えのための規定回転数まで増加させる。カウンタシャフト14が、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10の切替えのための規定回転数に達すると、すぐに制御及び調整ユニット12がフロントマウントレンジトランスミッションユニット10を速いスプリッタギヤに切り替える。カウンタシャフト14の回転数44の上昇と同時に、制御及び調整ユニット12は、一次エンジン23の回転数46の減少を設定する。第3の位相42では、制御及び調整ユニット12が、カウンタシャフト14の回転数44をカウンタシャフト調整手段15によって減少させる。カウンタシャフト14の回転数44の減少と同時に、一次エンジン23の回転数46がさらに軽減される。カウンタシャフト14の回転数44が、メイントランスミッションユニット18の切替えのための規定回転数に達すると、すぐに第4の位相43においてメイントランスミッションユニット18が高いメインギヤに切り替えられる。引き続き、発進クラッチ24が閉じられることにより、このシフト動作は終了する(図7を参照)。
【0050】
逆方向のシフトアップ動作として形成されているシフト動作は、カウンタシャフト調整手段15によって実行されるのが有利である。このシフトアップ動作では、メイントランスミッションユニット18が、低いメインギヤから高いメインギヤに切り替えられる。さらに、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10は、速いスプリッタギヤから遅いスプリッタギヤに切り替えられる。このシフト動作を開始するため、制御及び調整ユニット12は、まず、メイントランスミッションユニット18をニュートラルポジションに切り替える。さらに、制御及び調整ユニット12は、発進クラッチ24を開く。
【0051】
このシフト動作の第1の位相40では、制御及び調整ユニット12が、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10を速いスプリッタギヤからニュートラルポジションに切り替える。第2の位相41では、制御及び調整ユニット12が、カウンタシャフト調整手段15によって、カウンタシャフト14の回転数44を、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10の切替えのための規定回転数まで減少させる。カウンタシャフト14が、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10の切替えのための規定回転数に達すると、すぐに制御及び調整ユニット12がフロントマウントレンジトランスミッションユニット10を遅いスプリッタギヤに切り替える。カウンタシャフト14の回転数44の減少と同時に、制御及び調整ユニット12は、一次エンジン23の回転数46の減少を設定する。第3の位相42では、制御及び調整ユニット12が、カウンタシャフト14の回転数44をカウンタシャフト調整手段15によってさらに減少させる。カウンタシャフト14の回転数44のさらなる減少と同時に、一次エンジン23の回転数46もさらに軽減される。カウンタシャフト14の回転数44が、メイントランスミッションユニット18の切替えのための規定回転数に達すると、すぐに第4の位相43においてメイントランスミッションユニット18が高いメインギヤに切り替えられる。引き続き、発進クラッチ24が閉じられることにより、このシフト動作は終了する(図8を参照)。
【0052】
逆方向のシフトアップ動作として形成されているシフト動作は、代替の方法として、トランスミッションインプットシャフト調整手段17によっても実行することができる。このシフト動作を開始するため、制御及び調整ユニット12は、まず、メイントランスミッションユニット18をニュートラルポジションに切り替える。さらに、制御及び調整ユニット12は、発進クラッチ24を開く。
【0053】
このシフト動作の第1の位相40では、制御及び調整ユニット12が、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10を速いスプリッタギヤからニュートラルポジションに切り替える。第2の位相41では、制御及び調整ユニット12が、トランスミッションインプットシャフト調整手段17によって、トランスミッションインプットシャフト16の回転数45を、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10の切替えのための規定回転数まで上昇させる。トランスミッションインプットシャフトが、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10の切替えのための規定回転数に達すると、すぐに制御及び調整ユニット12がフロントマウントレンジトランスミッションユニット10を遅いスプリッタギヤに切り替える。トランスミッションインプットシャフト16の回転数45の上昇と同時に、制御及び調整ユニット12は、一次エンジン23の回転数46の減少を設定する。第3の位相42では、制御及び調整ユニット12が、トランスミッションインプットシャフト16の回転数45をトランスミッションインプットシャフト調整手段17によって減少させる。トランスミッションインプットシャフト16の回転数45の減少と同時に、一次エンジン23の回転数46がさらに軽減される。トランスミッションインプットシャフト16の回転数45が、メイントランスミッションユニット18の切替えのための規定回転数に達すると、すぐに第4の位相43においてメイントランスミッションユニット18が高いメインギヤに切り替えられる。引き続き、発進クラッチ24が閉じられることにより、このシフト動作は終了する(図9を参照)。
【0054】
フロントマウントレンジトランスミッションユニット10によってのみ実行されるシフト動作は、トランスミッションインプットシャフト調整手段17によって実行される。このシフト動作では、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10がスプリッタギヤを変更する一方で、メイントランスミッションユニット18のメインギヤは維持される。このシフト動作を開始するため、制御及び調整ユニット12は発進クラッチ24を開く。このメインギヤは、このシフト動作の間、常に作動したままになっている。
【0055】
シフト動作の第1の位相では、制御及び調整ユニット12が、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10を、作動しているスプリッタギヤからニュートラルポジションに切り替える。第2の位相では、制御及び調整ユニット12が、トランスミッションインプットシャフト調整手段17によって、トランスミッションインプットシャフト16の回転数45を、フロントマウントレンジトランスミッションユニット10の切替えのための規定回転数まで変更する。カウンタシャフト14がフロントマウントレンジトランスミッションユニット10の切替えのための規定回転数に達すると、すぐに制御及び調整ユニット12がフロントマウントレンジトランスミッションユニット10を、シフトさせなければならないスプリッタギヤに切り替える。第3の位相において発進クラッチ24が閉じられることにより、このシフト動作が終了する。
【0056】
メイントランスミッションユニット18でのトゥース・オン・トゥース・ポジションを解消するため、発進クラッチ24が開かれる。引き続き、カウンタシャフト調整手段15によって、トゥース・オン・トゥース・ポジションが解消される。スプリッタギヤが作動している場合、トゥース・オン・トゥース・ポジションは、追加的に又は代替の方法として、トランスミッションインプットシャフト調整手段17によって解消することができる。
【0057】
メイントランスミッションユニット18によってのみ実行されるシフト動作の場合、メイントランスミッションユニット18のシフト手段19、20、21は、同様に調整ユニット11によって同期される。発進クラッチ24が開かれている場合、メイントランスミッションユニット18は、カウンタシャフト調整手段15によって同期される。スプリッタギヤが作動している場合、メイントランスミッションユニット18は、追加的に又は代替の方法として、トランスミッションインプットシャフト調整手段17によって同期されることができる。
【0058】
駆動系が摩擦結合により閉じられている作動モードでは、調整ユニット11が、追加の駆動トルクを供給することのできるハイブリッド駆動モジュールとして形成されている。フロントマウントレンジトランスミッションユニット10、メイントランスミッションユニット18及びリヤマウントレンジトランスミッションユニット22が作動しているこの作動モードでは、調整ユニット11によって供給可能な調整トルクが、一次エンジン23の駆動トルクに加えて作用する。この作動モードにおいてハイブリッド駆動モジールとして形成されている調整ユニット11により、ブーストモード及び/又は回復モードが提供される。さらに、この調整ユニット11によって、例えばメイントランスミッションユニット18がニュートラルポジションに切り替わり、発進クラッチ24が閉じることにより、スタータ・ジェネレータ・モジュールとして形成されているハイブリッド駆動モジュールを提供することができる。
【符号の説明】
【0059】
10 フロントマウントレンジトランスミッションユニット
11 調整ユニット
12 制御及び調整ユニット
13 シフト手段
14 カウンタシャフト
15 カウンタシャフト調整手段
16 トランスミッションインプットシャフト
17 トランスミッションインプットシャフト調整手段
18 メイントランスミッションユニット
19、20、21 シフト手段
22 リヤマウントレンジトランスミッションユニット
23 一次エンジン
24 発進クラッチ
25 中間シャフト
26 トランスミッションアウトプットシャフト
27、28 ギヤホイール面
29、30、31、32 ギヤホイール面
33 サンギヤ
34 プラネタリギヤキャリア
35 リングギヤ
36 トランスミッションハウジング
37 シフト手段
38、39 電気モータ
40 第1の位相
41 第2の位相
42 第3の位相
43 第4の位相
44、45、46 回転数


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントマウントレンジトランスミッションユニット(10)と、前記フロントマウントレンジトランスミッションユニット(10)に調整トルクを送るために設けられている少なくとも1つのアクティブな調整ユニット(11)と、前記フロントマウントレンジトランスミッションユニット(10)に送られる前記調整トルクを、前記フロントマウントレンジトランスミッションユニット(10)によって実行される少なくとも1つのシフト動作に適合させるために設けられている制御及び/又は調整ユニット(12)と、を備えるレンジトランスミッション装置。
【請求項2】
前記調整ユニット(11)が、少なくとも1つの前記シフト動作において、前記フロントマウントレンジトランスミッションユニット(10)を同期するために設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のレンジトランスミッション装置。
【請求項3】
前記調整ユニット(11)が、調整トルクの取込み及び送出しのために設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のレンジトランスミッション装置。
【請求項4】
前記制御及び/又は調整ユニット(12)が、前記フロントマウントレンジトランスミッションユニット(10)に送られる前記調整トルクを、前記シフト動作中に調整及び/又は変更するために設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のレンジトランスミッション装置。
【請求項5】
前記フロントマウントレンジトランスミッションユニット(10)が、同期リングなしで形成されている少なくとも1つのシフト手段(13)を有し、該シフト手段は少なくとも部分的に前記調整ユニット(11)に接続されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のレンジトランスミッション装置。
【請求項6】
前記制御及び/又は調整ユニット(12)が、前記フロントマウントレンジトランスミッションユニット(10)のトゥース・オン・トゥース・ポジションを解除するために設けられていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のレンジトランスミッション装置。
【請求項7】
少なくとも1つのカウンタシャフト(14)を有し、前記調整ユニット(11)が、前記カウンタシャフト(14)に作用する調整トルクを供給するために設けられている少なくとも1つのカウンタシャフト調整手段(15)を有していることと、を特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のレンジトランスミッション装置。
【請求項8】
前記制御及び/又は調整ユニット(12)が、前記フロントマウントレンジトランスミッションユニット(10)によって実行される少なくとも1つの逆方向のシフト動作において、前記カウンタシャフト(14)の調整トルクを調節するために設けられていることを特徴とする、請求項7に記載のレンジトランスミッション装置。
【請求項9】
少なくとも1つのトランスミッションインプットシャフト(16)を有し、前記調整ユニット(11)が、前記トランスミッションインプットシャフト(16)に作用する調整トルクを供給するために設けられている少なくとも1つのトランスミッションインプットシャフト設定手段(17)を有していることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のレンジトランスミッション装置。
【請求項10】
前記制御及び/又は調整ユニット(12)が、前記フロントマウントレンジトランスミッションユニット(10)によって実行される少なくとも1つの同方向のシフト動作において、前記トランスミッションインプットシャフト(16)の調整トルクを調節するために設けられていることを特徴とする、請求項9に記載のレンジトランスミッション装置。
【請求項11】
同期リングのない少なくとも1つの前記シフト手段(19、20、21)を有するメイントランスミッションユニット(18)を特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のレンジトランスミッション装置。
【請求項12】
前記制御及び/又は調整ユニット(12)が、前記メイントランスミッションユニット(18)によって実行される少なくとも1つのシフト動作に前記調整トルクを適合させるために設けられていることを特徴とする、請求項11に記載のレンジトランスミッション装置。
【請求項13】
前記制御及び/又は調整ユニット(12)が、前記メイントランスミッションユニットの同期のために、及び/又は前記メイントランスミッションユニット(18)のトゥース・オン・トゥース・ポジションの解消のために設けられていることを特徴とする、請求項11又は12に記載のレンジトランスミッション装置。
【請求項14】
前記調整ユニット(11)が、少なくとも1つの作動モードにおいて、駆動トルクを供給するために設けられているハイブリッド駆動モジュールとして形成されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のレンジトランスミッション装置。
【請求項15】
前記フロントマウントレンジトランスミッションユニット(10)に送られる調整トルクが、前記フロントマウントレンジトランスミッションユニット(10)よって実行される少なくとも1つのシフト動作に適合されることを特徴とする、前記フロントマウントレンジトランスミッション(10)を備えるレンジトランスミッション装置の作動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−519807(P2012−519807A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552341(P2011−552341)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001006
【国際公開番号】WO2010/102711
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】