説明

レーザー溶着用樹脂および樹脂組成物ならびにそれらを用いた成形体

【課題】レーザー溶着で強固な接合部を形成することができる樹脂材料および樹脂組成物、その樹脂および樹脂組成物を用いレーザー溶着により接合された成形体を提供する。
【解決手段】表面自由エネルギーが35mN/m以上であるレーザー溶着用樹脂であって、融点が150℃以上であり、ガラス転移温度が20℃以上である。樹脂としては、構造中にイミノ基、アミド基、エステル基、ウレタン基、イミド基、エーテル基、カーボネート基、ウレア基などの結合成分もしくは、カルボン酸、水酸基、スルホン酸金属塩基、アミン基、グリシジル基、シラノール基、カルボジイミド基、イソシアネート基などのイオン性基もしくは反応性基のうちいずれか一つを含むものである。更に、異種樹脂、補強繊維、発泡剤、着色材、フィラー、、安定剤のうちいずれか一つ以上を含んでも良い。以上よりなる、レーザー用樹脂組成物及び接合用成形体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂材料と樹脂材料の接合、樹脂材料と金属材料、樹脂材料とガラス、樹脂材料とセラミック等のレーザー溶着において適した樹脂および樹脂組成物に関する。また、本発明は、これら樹脂および樹脂組成物から得られたレーザー接合用成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の樹脂材料と樹脂材料の接合、および金属材料、ガラス、セラミックと樹脂材料の接合に使用される方法としては、リベット締結や接着剤を用いる方法がある。接着は、金属材料と樹脂材料を接着剤によって物理的吸着力及び化学的吸着力により固定する方法である。一方、リベット締結は、金属材料と樹脂材料を貫通するように、数mmから数十mm程度の直径を有するリベットを打ち込んで固定する物理的な締結方法である。
【0003】
しかしながら、接着剤を用いる方法やリベット締結では、適用分野が限定されるのが現状である。接着は、大型化・質量化することはないが、技術的な面で、接着剤が濡れ広がるために精密なピンポイントの接合が難しい点、平面より凸凹表面の方が接着強度は高くなるなど接着表面の制限、生産面では、硬化時間が長いため生産タクトの低下や接着剤の状態維持・管理が難しいなど課題が存在する。リベット締結では、締結部にある程度の大きさ・質量があるため、部品の大型化・質量化が避けられず、設計の自由度も低下するので、大型あるいは単純な商品あるいは部品に主に適用されている。その反面、樹脂材料と樹脂材料、樹脂材料と異種材料を簡便に接合する要望は非常に強い。その理由としては、必要な部分のみ樹脂材料を使用し、残りを他の樹脂材料または異種材料に置き換えることで、各種材料の特徴を併せ持った新しい複合機能性材料の創出など様々なメリットが挙げられる。例えば、従来の金属材料の一部を樹脂材料に変更した場合、樹脂材料のコストが金属材料に比べて半分以下であることから、大幅なコスト削減が期待できる。一方、樹脂材料の一部を金属材料に変更した場合、放熱等の特性を付与することが可能となる。その際の接合においては、適した場所に適した量を接合できることが好ましい。
【0004】
レーザーを用いた接合では、金属材料同士や同種樹脂同士を溶接または溶着することで接合する方法が実用化されているが、樹脂材料と異なる樹脂材料、または樹脂材料と金属やガラス、セラミックなどとの異種材料の接合は行われていない。ただ、近年、レーザー樹脂接合では,レーザー光の波長に対して透明な材料と不透明な材料を重ね合わせて、レーザー光を透明な材料側から照射し、接合部のみを溶融させ接合する画期的な方法が実用化されている。この方法では、接合面積も広くとれ、さらに加熱時の樹脂の分解に基づくガスの発生を抑えることもできる(特許文献1〜3、非特許文献1参照)。
【0005】
金属材料同士や同種樹脂同士をレーザーを用いた溶接または溶着においては、レーザーは単なる熱源としてしか用いておらず、接合に対しては同種材料間の金属および樹脂の相互の拡散によるものだけであり、溶着には特別な技術を必要としない。一方、樹脂材料と異なる樹脂材料間の接着および、樹脂材料と金属やガラス、セラミックなどの異種材料の接合においては、樹脂および加工の観点で特別な技術が必要になるにも関わらずそのような技術は報告されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み創案されたものであり、その目的は、適用分野に制限がなく、レーザー溶着で強固な接合部を形成することができる樹脂材料および樹脂組成物、その樹脂および樹脂組成物を用いレーザー溶着により接合された成形体を提供することにある。
【0007】
【特許文献1】特開2003−325710号公報
【特許文献2】特開昭60−214931号公報
【特許文献3】特開2002−67165号公報
【非特許文献1】第59回レーザー加工学会論文集,第1〜7頁(2003年9月)
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、以下に示す手段により上記課題を解決できることを見出し本発明に到達した。即ち、本発明は、下記(1)〜(6)の構成からなる。
(1)表面自由エネルギーが35mN/m以上であるレーザー溶着用樹脂
(2)融点が150℃以上である(1)のレーザー溶着用樹脂
(3)ガラス転移温度が20℃以上である(1)のレーザー溶着用樹脂
(4)(1)〜(3)のいずれかの樹脂の主鎖、側鎖及び/又は末端のいずれかにおいて、樹脂構造中にイミノ基、アミド基、エステル基、ウレタン基、イミド基、エーテル基、カーボネート基、ウレア基などの結合成分もしくは、カルボン酸、水酸基、スルホン酸金属塩基、アミン基、グリシジル基、シラノール基、カルボジイミド基、イソシアネート基などのイオン性基もしくは反応性基のうちいずれか一つを含むことを特徴とするレーザー溶着用樹脂。
(5)(1)〜(4)のいずれかの樹脂に、異種樹脂、補強繊維、発泡剤、着色材、フィラー、発泡剤、安定剤強繊維、着色剤、フィラー、発泡剤、安定剤、のうちいずれか一つ以上を含むレーザー用樹脂組成物。
(6)レーザーにより発泡することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかのレーザー溶着用樹脂および樹脂組成物。
(7)(1)〜(6)のレーザー溶着用樹脂または樹脂組成物から得られたレーザー接合用成形体。
【0009】
樹脂材料と異種材料、または樹脂材料と金属材料またはガラス、セラミックとの接合においては、レーザー溶着の際、その界面に特別な相互作用が発生する必要があるため、樹脂材料としては界面に共有結合や水素結合、イオン結合などの強い結合を形成可能な官能基を有することが好ましい。具体的には、樹脂材料の表面自由エネルギーが35mN/m以上有する場合、強固な接合が可能となる。さらに好ましくは、融点が150℃以上もしくはガラス転移温度が20℃以上であることが好ましい。室温において、非晶性かつガラス転移点が20℃未満であると、レーザー溶着時に樹脂が大幅に流れ出し良好な外観を得ることが難しい。さらには、その樹脂材料に、熱膨張係数を調節するためのフィラーやガラス繊維、発泡を促進するための発泡剤、界面の残留応力を緩和するためのゴム成分等がコンパウンドされた樹脂組成物を用いることが好ましい。
接合においては、材料を合わせた状態で、接合部の樹脂材料に対し、樹脂材料内部から気化もしくは熱分解されたガスが膨らみ、樹脂内部に気泡を発生させる程度まで加熱することが最も好ましい。この時、マイクロサイズ領域ではあるが、気泡発生に伴う爆発的な圧力が接合部にかかり、接合部の樹脂材料の温度が高くなっていることと相まって、気泡周辺部の樹脂材料と被着体材料が、アンカー効果などの物理的な接合、共有結合や水素結合、イオン結合を通した化学的な接合を可能にする条件を満たし接合する。さらに、樹脂材料が冷え固まる際には、気泡の温度も減少するため、気泡内部の圧力が低下し、吸着力も発生する。これらの接合力が複合した形で金属などと樹脂との接合が可能になる。さらに、加熱源としてレーザー光を使用することで、局所的な急激な加熱と急激な冷却が可能になり、気泡発生にともなう圧力・吸着力を増加させることができ、材料の接合を促進させることができる。したがって、レーザー照射時に発泡する樹脂もしくは樹脂組成物が好ましい。このような樹脂および樹脂組成物のレーザー溶着により接合された成形体は、優れた接着力、接着耐久性、界面の機密性を示す。
【発明の効果】
【0010】
本発明のレーザー溶着用樹脂は、該樹脂材料を異種樹脂材料、金属材料、ガラス材料、又はセラミック材料と強固な接合を可能にする。具体的には、樹脂材料の表面自由エネルギーが35mN/m以上有する構造を持たせることにより、レーザー溶着時に被着体との界面に共有結合や水素結合、イオン結合などの強い結合が発生させ強固な接合を促進させることができる。さらに、異種樹脂、補強繊維、発泡剤、着色材、フィラー、発泡剤、安定剤長繊維、フィラー、発泡材、安定剤などを添加すること、またはレーザー照射時に樹脂内部で発泡させることによりレーザー溶着による接合がさらに良好となる。本発明の成形体は、自動車用内外装用部品、電気用部品、電子材料用部品、建材用部品、家庭用品、事務用品、医療用部品、産業資材用品、衣料用品等として提供することが出来て、産業上有用なものである。
【0011】
また、加熱源としてレーザー光源や電離性放射線源などを使用することで、多くの利点が発生する。第一に、レーザー光源や電離性放射線源などは局所的に加熱することができるので小さな接合部を作り出すことができる。従って、リベット締結におけるリベットサイズの接合部やリベット自体が不要になり、接合部の大型化・質量化を防ぐことができる。第二に、接着剤を使用する接合方法では、接着剤が濡れ広がるために精密なピンポイントの接合が難しいが、例えばレーザー光源はミクロンオーダーまでビーム径を絞れるので、精密で微細な接合部も可能である。第三に、樹脂材料が冷え固まる際に発生する吸着力が平面ほど有利に働くので、接合表面の制限も軽減することができる。第四に、接合のために要するレーザー光照射時間は接着剤の硬化にかかる時間よりも短く、生産を律速させる工程にならない。また、レーザー光で接合する場合は接着剤で接合する場合より酸化・劣化を引き起こすことが抑制できる場合があり、維持・管理が比較的容易である。第五に、樹脂材料を透過するレーザー光の波長や電離性放射線源を選択することで、金属材料、ガラス材料、又はセラミック材料側からも樹脂材料側からも加熱することが可能になり、加熱源の加える方向の制約がなくなる。これは、設計自由度・材料選択の自由度も増え、生産技術的な面でも非常に有効である。事実、レーザー光を用いた樹脂材料同士の接合では、片方からしかレーザー光を照射できないという制約が存在する場合もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の樹脂としては、表面自由エネルギーが35mN/m以上、さらに好ましくは40mN/m以上、最も好ましくは45mN/m以上のものの使用が必要である。表面自由エネルギーが35mN/m未満であると、樹脂中に水素結合やイオン結合をする部位が少なく、異種樹脂被着体と相互作用する部位が無いだけでなく、特に被着体が金属やガラス、セラミックの場合には、濡れ性の大幅な低下により接着不良を起こす。ここで示す表面自由エネルギーは接触角測定から求められた値を指す。接触角測定の液滴成分として水およびヨウ化メチレンを用い、γl(1+COSθ)=2(γsd・γld)0.5 + 2(γsp・γlp)0.5からγsd、γspを求め、γs=γsd+γspから樹脂の表面自由エネルギーを求めることができる。ここで、θは接触角、γsdは樹脂の表面自由エネルギー中の分散成分、γspは樹脂の表面自由エネルギー中の極性成分、γlは液成分の表面自由エネルギー、γldは液成分の表面自由エネルギー中の分散成分、γlpは液成分の表面自由エネルギー中の極性成分である。
【0013】
本発明の樹脂としては、融点が150℃以上、もしくはガラス転移点が20℃以上であることが好ましい。融点が150℃未満でかつガラス転移点が20℃未満であると、レーザー照射時に容易に樹脂が流動してしまい良好な外観を得ることが難しいだけでなく、ヒートシールなどで容易に接着が可能なため、レーザー溶着を用いる利点が低減する。樹脂成分からレーザーを照射する場合には、非晶性樹脂もしくは、低結晶性樹脂、微結晶サイズから構成される結晶性樹脂がレーザーに対する透明性が高く好ましい。ここで記載の融点、およびガラス転移点は、十分に熱処理された樹脂をDSCを用い20℃/分で低温から昇温した際に現れる融解ピーク温度および比熱の変曲点の温度を指す。
【0014】
本発明の樹脂には極性基ないし、被着体である樹脂、金属、ガラス又はセラミックと反応性を有する基を側鎖及び/又は末端に有することが好ましい。そのような官能基としては下記に限定されないが、特に主鎖、側鎖及び/又は末端のいずれかにイミノ基、アミド基、エステル基、ウレタン基、イミド基、エーテル基、チオエーテル基、カーボネート基、ウレア基、もしくは、カルボン酸、水酸基、スルホン酸金属塩基、アミン基、グリシジル基、シラノール基、カルボジイミド基、イソシアネート基などの極性基、イオン性基や反応性基のうちいずれか一つを含むことが好ましい。例えば、ナイロン6やナイロン66に代表されるようなポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートに代表されるようなポリエステル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリメチルメタクリレートやポリアクリル酸に代表されるようなアクリル系樹脂、デュポン(株)製「カプトン」や宇部興産「ユーピレックス」に代表されるようなポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン樹脂の熱可塑性樹脂、またこれら熱可塑性樹脂をエポキシ樹脂やシランカップリング剤などで変性した樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリカルボジイミド樹脂などの熱硬化性樹脂、変性した樹脂を挙げることができる。なかでも、エンジニアリングプラスチックやスーパーエンジニアリングプラスチックとして用いられる、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂が好ましい。具体的なポリエステルの構成成分としては、以下に示す多価カルボン酸、もしくはそのアルキルエステル、酸無水物を使用できる。多価カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボンル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホン酸ナトリウムイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族や脂環族ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)等の芳香族多価カルボン酸等があげられる。ポリエステルのポリオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1、4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオ−ル、ネオペンチルヒドロキシピバリン酸エステル、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、1,9−ノナンジオール、2−メチルオクタンジオール、1,10−デカンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ダイマージオール、ポリカーボネートグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸、ポリカーボネートジオール、ポリエーテルグリコール等が上げられる。ポリエーテルグリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、およびそれらの共重合体、さらにはこれらアルキレングリコールにネオペンチルグリコールやビスフェノールAなどのジオール、ジフェノールなどを共重合したものもあてはまる。ポリエーテルグリコールの数平均分子量としては400〜10000のものが望ましい。好ましい下限は600、より好ましくは800である。さらには、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトンなどのラクトン類、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシイソブタン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸およびその環状二量体などが上げられる。なかでも、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどの結晶性ポリエステル、これらにシクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、イソフタル酸などを共重合し、結晶性を低下もしくは非晶化した樹脂が好ましい。
ポリアミドのアミン成分としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ベンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアミン、2,2,4(または2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジアミンのような脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、ビス−(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミンのような脂環式ジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミンなどの芳香族ジアミンのような芳香族ジアミンおよびこれらの水添物等があげられる。ポリアミドの酸成分としては、以下に示す多価カルボン酸、もしくは酸無水物を使用できる。多価カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボンル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホン酸ナトリウムイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族や脂環族ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)等の芳香族多価カルボン酸等があげられる。また、ε−カプロラクタムなどのラクタム、アミノカルボン酸などがあげられる。特に、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン11T)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ナイロン11T(H))、ポリビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタンドデカンアミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタンドデカンアミド(ナイロンPACM12)、Tgが100℃以上の透明ナイロンおよびこれらの共重合ポリアミド、混合ポリアミドなどが好ましい。
【0015】
なお、本発明における樹脂材料には、異種樹脂、補強繊維、発泡剤、着色材、フィラー、安定剤等を添加したものを用いてもよい。異種樹脂としては、表面自由エネルギーが35mN/m以上の上記に代表される樹脂だけでなく、35mN/m未満の樹脂も使用可能である。35未満の樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、シリコン樹脂、ゴムなどが上げられる。異種樹脂の添加により、界面の残留応力が低減し良好な接合が可能となる。補強繊維としては、カーボンファイバー、ガラスファイバー、金属ファイバー、セラミックファイバー、有機繊維などがあげられる。補強繊維の添加により、接合時の樹脂のそりが低減し、良好な接合を得ることができる。発泡剤としては、加熱時に液体から気化させることにより発泡する炭化水素類を利用した物理発泡剤、化合物の反応や熱分解を利用した化学発泡剤などがあげられる。なかでも、発泡開始温度がシャープであることから、アゾ化合物、ヒドラジン誘導体、セミカルバジド化合物、アジ化合物、ニトロソ化合物、トリアゾール化合物などの熱分解タイプの有機発泡剤が好ましい。また、樹脂中の水分や残溶剤、モノマーやオリゴマーも加熱により発泡することから発泡剤としての利用も可能である。着色剤としては、カーボンブラック、酸化チタンやその他顔料や染料があげられる。フィラーとしては、補強用フィラーや導電性フィラー、磁性フィラー、難燃フィラー、熱伝導フィラーなどがあげられる。具体的にはガラスビーズ、ガラスフレーク、シリカ、タルク、カオリン、ワラストナイト、マイカ、アルミナ、ハイドロタルサイト、モンモリロナイト、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロチューブ、フラーレン、酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、赤燐、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸バリウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウムなどがあげられる。好ましくは、これらフィラーが1μm以下の粒径で分散していることが好ましい。粒径が1μm以上であるとレーザーの透過性が大幅に低下し、接着に大きなエネルギー量が必要となる。安定剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などの酸化防止剤や熱安定剤、ヒンダードアミン系、ベンゾフェノン系、イミダゾール系等の光安定剤、金属不活性化剤などがあげられる。これら添加剤は、1種のみの単独使用ではなく、数種を組み合わせて用いても良い。
本発明の樹脂材料の形態としては、特に限定されないがフィルム、シート、射出成形品、押出成形品、繊維、不織布、膜、積層体、発泡体の形状でも使用が可能である。また、本特許にはこのような形態に加工された樹脂材料を用い、レーザーにより接合された成型品も含まれる。
【0016】
本発明での被着体としては、本発明の樹脂材料とは異なる組成を有する異種樹脂材料、金属材料、ガラス材料、セラミック材料を用いることが可能である。
本発明で被着体として使用する異種樹脂材料としては、特に樹脂は限定されないが、本発明の樹脂材料より、融点もしくはガラス転移点が同等もしくは高いことが好ましい。被着体の異種樹脂材料の融点およびガラス転移点が低い場合、レーザーにより被着体である異種樹脂材料も軟化し、形態を保つことが困難となる。また、異種樹脂材料の表面自由エネルギーは、樹脂の相溶性の観点から、本発明の樹脂材料の表面自由エネルギーに近い樹脂が好ましい。異種樹脂材料として、本発明の樹脂材料と同じものを使用することも可能である。
本発明で使用する金属材料としては、鉄、アルミニウム、チタン、銅等及びそれらの合金が挙げられるが、特に限定されない。但し、マグネシウム、アルミニウム、及びそれらの合金のように融点が低い金属材料は接合部に十分な熱を入力できないおそれがあるので好ましくない。本発明においては、接合部を高い温度まで急速加熱できる、炭素鋼、ステンレス鋼、チタン合金等からなる金属材料が特に好ましい。金属材料は、樹脂材料との接合力を高めるための表面処理を行ったものが好ましい。なお、オーステナイト系ステンレス鋼SUS304の場合、表面未研磨の受入れ材で高強度の接合部が得られ、接合される金属材料の表面の粗さは本発明者等の実験の結果、接合部の接合強度に対してほとんど影響しない場合があることが認められた。金属材料の厚さは特に限定されず、0.1mm以上、さらには1mm以上、さらには3mm以上の厚さの金属材料であっても構わない。
【0017】
本発明の方法で使用するガラス材料としては、化学成分による分類から次のようなものである。即ち、珪酸、ソーダ灰および石灰から作られている「ソーダガラス」、珪酸、炭酸カルシウムおよび酸化鉛からなる「鉛ガラス」、珪酸、硼酸およびソーダ灰からなる「硼珪酸ガラス」などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ガラス材料の厚さは特に限定されず、0.1mm以上、さらには1mm以上、さらには3mm以上の厚さのガラス材料であっても構わない。
【0018】
本発明で使用するセラミック材料としては、組成の面から次のようなものである。即ち、酸化物系としてアルミナやジルコニヤなど、炭化物系として炭化珪素など、窒化物系として窒化珪素など、およびその他 炭酸塩系、リン酸塩系、水酸化物系、ハロゲン化物系および元素系等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。セラミック材料の厚さは特に限定されず、0.1mm以上、さらには1mm以上、さらには3mm以上のセラミック材料であっても構わない。
【0019】
また、本発明の樹脂材料は、レーザー光源や電離性放射線源などによる加熱によって気泡を発生することが好ましい。例えば、吸湿した樹脂材料中の水分が加熱されることによるガス発生や高温において樹脂材料が分解されることによるガス発生、発泡剤によるガス発生によって気泡を発生させることが可能である。
【0020】
本発明の樹脂材料と、被着体(前述したように異種樹脂材料、金属材料、ガラス材料又はセラミック材料等を含む、以下被着体と記す)とを合わせた状態で接合部をレーザー光や電離性放射線などで加熱することにより両材料を強固に接合することができる。接合部の加熱温度は、樹脂材料内部に微細な気泡を発生させる温度であることが必要であり、具体的には樹脂の軟化温度以上で被着体の軟化温度未満であり、接合部において200℃〜1500℃であることが好ましい。また、加熱温度は、樹脂の気泡が接合部付近からの移動を伴うような高い温度にしないことが好ましい。樹脂中の気泡が移動すると、接合部における気泡発生に伴う圧力と熱による接合が期待できなくなるからである。なお、加熱により接合部の樹脂中に発生する気泡の球相当直径の上限は、接合強度や外観の点から5mm以下、好ましくは3mm以下、さら好ましくは1mm以下、特に好ましくは0.5mm以下である。下限は接合強度の点から0.0001mm以上、好ましくは0.001mm以上、さら好ましくは0.01mm以上、特に好ましくは0.05mm以上である。
【0021】
レーザー光源としては、例えば、YAGレーザー、ファイバーレーザー、半導体レーザー、炭酸ガスレーザー等を用いることができる。電離性放射線源としては、例えば、電子線、γ線、X線等を用いることができるが、特に電子線が好ましい。また、これらの加熱源の照射は、連続照射又はパルス照射のいずれでもよい。
なお、レーザー光源を使用する場合は、レーザーのパワー、パワー密度、加工速度(移動速度)や焦点はずし距離等の照射条件は、目的に応じて適宜設定可能である。例えば、レーザーのパワー密度は、1W/mm〜10kW/mmが好ましい。また、金属材料、ガラス材料又はセラミック材料と樹脂材料との接合面付近の樹脂材料のみに微細な気泡を発生させる条件を設定することが好ましい。具体的には、レーザーのパワーを大きくすると接合部が高温になり、その後の冷却も遅くなり樹脂中に発生する気泡も大きくなり、一方、パワーを小さくすると樹脂中に気泡が発生しないか、気泡が極端に少なくなり、接合強度は小さくなる。接合強度は、適切なサイズの気泡を急速に発生させることにより、溶融した状態の樹脂を金属、ガラス又はセラミックの表面に密着するようにすると、高くなる。また、レーザーの焦点はずし距離を大きくすると、パワー密度が小さくなるため、それをカバーする大きなパワーのレーザーを照射することができ、その結果広い条件範囲で良好な接合部が得られ、制御が容易である。また、レーザーの移動速度を大きくすると、好適な接合が得られるレーザーパワーの範囲が広くなるので制御が容易になる。なお、レーザーの照射の方向は、被着体と樹脂材料とを合わせた状態でいずれの材料側から行っても強固な接合部を形成することができる。
【0022】
本発明の樹脂材料と被着体とを合わせた状態で、レーザーにより樹脂材料と被着体との接合部を加熱することによって、樹脂材料内部から熱分解されたガスが膨らみ、樹脂内部に微細な気泡を発生させる。原理は明確ではないが、この時マイクロサイズ領域で、気泡発生に伴う爆発的な圧力が接合部にかかり、接合部の樹脂材料と被着体の温度が高くなっていることと相まって、気泡周辺部の樹脂材料と被着体が、アンカー効果などの物理的な接合力及び/又は金属、ガラス又はセラミックの酸化物を通した化学的な接合力で被着体と樹脂材料とが接合できる条件を満たし接合する。さらに、樹脂材料が冷え固まる際には、気泡の温度も減少するため、気泡内部の圧力が低下し、吸着力も発生する。これらの接合力が複合した形で強固な金属、ガラス又はセラミックと樹脂との接合が可能になる。さらに、加熱源としてレーザー光を使用することで、局所的な急激な加熱と急激な冷却が可能になり、気泡発生に伴う圧力・吸着力を増加させることでき、被着体と樹脂材料との接合を促進させることができる。
【実施例】
【0023】
以下に実施例により本発明の方法を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0024】
実施例において測定された樹脂材料と被着体との接合部の各物性について以下にその測定方法を示す。
1.接合部の接合強度(引張剪断強度および破壊状態)
レーザー接合用成形体として、フィルム状、板状の樹脂材料(それぞれ長さ70mm×幅30mm×厚さ(後述参照))および板状の被着体(それぞれ長さ70mm×幅30mm×厚さ(後述参照))を用意し、長さ70mmのうち20mmを引張試験用保持部として残し50mmを重ねて接合したものを引張剪断試験片とした。被着体と樹脂材料の試験用保持部のそれぞれ10mmを引張試験機(最大荷重1トン)の上下のチャックではさみ、速度5mm/分の速度で互いに引っ張り、荷重−伸び曲線を得るとともに、最大破断荷重を計測し、これを引張剪断強度とした。50kg以上の引張剪断接着力、または、破断(破壊)が接合部以外の樹脂材料の母材で起こる(母材破壊)場合に接着力評価を○とした。また、接合直後に自然剥離したもの、または引張剪断試験において50kg未満の接着力の場合に、接着性評価を×とした。
2.接合部の気泡
最大の接合強度が得られた接合体の接合部を実体顕微鏡で観察し、気泡の存在有無を確認した。
【0025】
〔実施例1〕
以下、本発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、実施例1の金属樹脂接合方法の構成を示す図である。図1に示すように、ファイバーレーザー発振器1からファイバー2でレーザー加工ヘッド3に波長1090nmのファイバーレーザー光4を導入し、焦点距離80mmの集光レンズ5で絞り、焦点位置からレンズから遠ざかる方向に20mmはなれた位置(ビーム径は5mm)に、被加工物6の金属材料ステンレス鋼SUS 304板(厚さ2mm)と被加工物7の樹脂材料結晶性ポリアミド板(東洋紡績社製「T−714H」)(厚さ2mm)とを重ね合わせて、クランプ8で固定し、レーザー光4の照射中移動速度10mm/sで移動させた。その際、集光レンズ5側(加熱源側)に被加工物7の結晶性ポリアミドが位置している。レーザー光4が被加工物7に照射されると、図2に示すように、レーザー光4は被加工物7を透過し、レーザー光4の波長に対して吸収率が高い被加工物6のステンレス鋼が主に加熱され、被加工物6から被加工物7への熱輸送9により、被加工物6と被加工物7の境界部10及びその周辺部が熱を持つことになる。その結果、図3に示すように被加工物7の結晶性ポリアミド内部で、熱分解が生じ、ガスが発生することで、気泡11が形成される。この時、気泡11の発生にともなう圧力12が発生し、被加工物6の金属材料の温度が融点温度未満で、被加工物7の樹脂材料の温度が軟化温度以上に加熱されていることと相まって、気泡11の周辺部において、被加工物7の樹脂材料と被加工物6の金属材料とが、アンカー効果などの物理的な接合、又は金属酸化物を通した化学的な接合を可能にする条件を満たし接合する。さらに、レーザー光4の照射を停止すると急激に気泡11が冷却され、圧力12が低下し、図4に示すように被加工物6のステンレス鋼を吸着する力13が発生する。これらの接合力が複合され、図5に示すように金属樹脂接合部14が形成された。
【0026】
実施例1において、レーザーパワーを0〜1000Wで変化した場合の接合部の引張剪断荷重を表すグラフを図6に示す。図6から明らかなように、気泡の発生がほとんどない低いレーザーパワーでは接合部の引張剪断荷重は低いが、レーザーパワーの上昇とともに適度な大きさの気泡が発生すると接合部において極めて高い引張剪断荷重が得られた。しかし、レーザーパワーを高くしすぎると、気泡が肥大化してしまい、逆に引張剪断荷重が低下した。なお、図6に示すように、引張剪断荷重測定試験では適度な大きさの気泡が発生した接合部は母材破壊を示したが、気泡の発生が不十分である接合部又は気泡が肥大化した接合部は接合部破壊を示した。このように接着力の向上には、発泡の有効であることは明らかである。
実施例2から10、比較例1および2においても同様に、レーザーパワー(0〜1000W)を変更させその際の最も高い接合強度およびその時の気泡の有無を観察した。なお、被着体側の厚みは2mmで統一した。
【0027】
以下に、実施例を示すが、これに限定するものではない。表1には、実施例、比較例で使用した樹脂およびその形状、厚み、接触角から求めた表面自由エネルギー、融点、ガラス転移温度を示した。表2には使用した樹脂もしくは樹脂組成物、被着体の種類、レーザー入射方向、接合強度、接合部の発泡の有無を示した。実施例から示されるように、表面自由エネルギーが35mN/mの樹脂において、被着体との接着は良好である。特に実施例1から4、6、8、10においては、発泡が見られた。実施例、5、7、9においては、発泡している条件においても優れた接着力を示したが、樹脂の強度上、未発泡状態の時にもっとも強い接着力を示した。一方、比較例においては、発泡するものもあったが、樹脂の表面自由エネルギーが35mN/m未満であり、十分な接着力は得られなかった。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の樹脂および樹脂組成物を用いることにより、異種樹脂材料、金属材料、ガラス材料又はセラミック材料と樹脂材料との強固なレーザー接合を可能にする。また、レーザーにより発泡させることでより強固なレーザー接合を可能にする。さらに、これらのレーザー溶着用樹脂または樹脂組成物から得られたレーザー接合用成形体を用いることも特徴とする。また、本発明の成形体は、自動車用内外装用部品、電気用部品、電子材料用部品、建材用部品、家庭用品、事務用品、医療用部品、産業資材用品、衣料用品等として提供することが出来て、産業上有用なものである。

【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施例1の形態に係る金属樹脂接合方法の構成を示す図
【図2】実施例1の形態に係る金属樹脂接合方法におけるレーザ照射初期での接合プロセスの概略図
【図3】実施例1の形態に係る金属樹脂接合方法における空隙発生時での接合プロセスの概略図
【図4】実施例1の形態に係る金属樹脂接合方法におけるレーザ照射直後での接合プロセスの概略図
【図5】実施例1の形態に係る金属樹脂接合方法で生成した金属樹脂接合を示す図
【図6】実施例1の形態に係るレーザーパワー(0〜1000W)を変更させその際の最も高い接合強度およびその時の気泡の有無
【符号の説明】
【0032】
1 ファイバーレーザ発振器
2 ファイバー
3 レーザ加工ヘッド
4 ファイバーレーザ光
5 集光レンズ
6 被加工物
7 被加工物
8 クランプ
9 熱輸送
10 被加工物6と7の境界部
11 空隙
12 空隙11の発生にともなう圧力
13 吸着する力
14 金属樹脂接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面自由エネルギーが35mN/m以上であるレーザー溶着用樹脂。
【請求項2】
融点が150℃以上である請求項1に記載のレーザー溶着用樹脂。
【請求項3】
ガラス転移温度が20℃以上である請求項1に記載のレーザー溶着用樹脂。
【請求項4】
請求項1〜3に記載のいずれかの樹脂の主鎖、側鎖及び/又は末端のいずれかにおいて、樹脂構造中にイミノ基、アミド基、エステル基、ウレタン基、イミド基、エーテル基、カーボネート基、ウレア基などの結合成分もしくは、カルボン酸、水酸基、スルホン酸金属塩基、アミン基、グリシジル基、シラノール基、カルボジイミド基、イソシアネート基などのイオン性基もしくは反応性基のうちいずれか一つを含むことを特徴とするレーザー溶着用樹脂。
【請求項5】
請求項1〜4に記載のいずれかの樹脂に、異種樹脂、補強繊維、発泡剤、着色材、フィラー、発泡剤、安定剤強繊維、着色剤、フィラー、発泡剤、安定剤、のうちいずれか一つ以上を含むレーザー用樹脂組成物。
【請求項6】
レーザーにより発泡することを特徴とする請求項1〜5にいずれか記載のレーザー溶着用樹脂および樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6にいずれか記載のレーザー溶着用樹脂または樹脂組成物から得られたレーザー接合用成形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−208247(P2008−208247A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47331(P2007−47331)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】