ロック機構を有する無段変速機及びそのプーリロック確認方法
【課題】ロック機構を備えた無段変速機において可動シーブがロックされているか否かを、センサ等を追加することなく確認できるようにする。
【解決手段】無段変速機100は、プライマリプーリ1と、セカンダリプーリ11と、これらの間に巻き掛けられる可撓性伝達部材2と、プライマリプーリ1の可動シーブ4の軸方向の移動を機械的にロックするロック機構6と、を備える。コントローラ52は、プライマリプーリ1又はセカンダリプーリ11に供給される油圧を変化させた時に無段変速機100の変速比変化が発生するか否かに基づき、ロック機構6によってプライマリプーリ1の可動シーブ4がロックされているか確認する。
【解決手段】無段変速機100は、プライマリプーリ1と、セカンダリプーリ11と、これらの間に巻き掛けられる可撓性伝達部材2と、プライマリプーリ1の可動シーブ4の軸方向の移動を機械的にロックするロック機構6と、を備える。コントローラ52は、プライマリプーリ1又はセカンダリプーリ11に供給される油圧を変化させた時に無段変速機100の変速比変化が発生するか否かに基づき、ロック機構6によってプライマリプーリ1の可動シーブ4がロックされているか確認する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動シーブを機械的に軸方向にロックするロック機構を備えた無段変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
無段変速機は、プライマリプーリと、セカンダリプーリと、これらプーリの間に巻き掛けられる可撓性伝達部材(ベルト又はチェーン)を備える。各プーリは、固定シーブと、固定シーブに対して軸方向に移動可能な可動シーブとを備える。無段変速機の変速比は、各プーリの可動シーブをそれぞれ軸方向に移動させ、各プーリの溝幅を変更することによって変更される。可動シーブの移動は、オイルポンプから可動シーブの背面に形成される油室に供給される油圧を変化させることで行われる。
【0003】
このような無段変速機において目的とする変速比を維持するためには、可動シーブに油圧を常時供給し続ける必要がある。これは、油圧の供給を停止すると油室やコントロールバルブからのリークによって油圧が低下して、変速比を維持できなくなり、また、ベルト滑りが発生するからである。
【0004】
しかしながら、可動シーブに油圧を常時供給するとなると、オイルポンプを常時駆動する必要があり、しかも、変速比を維持するのに必要な油圧は非常に高い油圧であるので、オイルポンプによるフリクションロスが無段変速機を搭載した車両の燃費を悪化させる原因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−327814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
可動シーブを機械的に軸方向にロックするロック機構を設け、必要に応じて可動シーブをロックするようにすれば、可動シーブに供給される油圧をゼロにする、又は、低減することができ、上記問題を解決することができる。
【0007】
そして、このようなロック機構を設ける場合、ロック機構によって可動シーブがロックされているか否かを確認できるようにするのが好ましい。
【0008】
これは、可動シーブをロックしたつもりがロックされていないと、可動シーブに供給される油圧をゼロに又は低減した時に、変速比が意図しない値に変化してしまうからである。また、可動シーブのロックを解除したつもりがロックされたままであると、変速比を変更しようとして可動シーブに供給される油圧を調整しても、変速比を変更することができないからである。
【0009】
しかしながら、ロック機構によって可動シーブがロックされているか否かを確認するためのセンサを別途設けるとなると、無段変速機の構造が複雑化するとともにコストが増加する。
【0010】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、ロック機構を備えた無段変速機において可動シーブがロックされているか否かを、センサを追加することなく確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある態様によれば、固定シーブと、供給される油圧に応じて前記固定シーブに対して軸方向に変位可能な可動シーブとを有する溝幅可変の第1及び第2のプーリと、前記第1及び第2のプーリの間に巻き掛けられる可撓性伝達部材と、前記第1のプーリの前記可動シーブの軸方向の移動を機械的にロックするロック機構と、前記第1のプーリ又は前記第2のプーリに供給される油圧を変化させた時に前記無段変速機の変速比変化が発生するか否かに基づき、前記ロック機構によって前記第1のプーリの前記可動シーブがロックされているか確認するロック確認手段と、を備えたことを特徴とする無段変速機が提供される。
【0012】
本発明の別の態様によれば、固定シーブと、供給される油圧に応じて前記固定シーブに対して軸方向に変位可能な可動シーブとを有する溝幅可変の第1及び第2のプーリと、前記第1及び第2のプーリの間に巻き掛けられる可撓性伝達部材と、前記第1のプーリの前記可動シーブの軸方向の移動を機械的にロックするロック機構と、を備えた無段変速機におけるプーリロック確認方法であって、前記第1のプーリ又は前記第2のプーリに供給される油圧を変化させる手順と、前記第1のプーリ又は前記第2のプーリに供給される油圧を変化させた時に前記無段変速機の変速比変化が発生するか否かに基づき、前記ロック機構によって前記第1のプーリの前記可動シーブがロックされているか確認する手順と、
を含むことを特徴とするプーリロック確認方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
これらの態様によれば、第1のプーリ又は第2のプーリに供給される油圧を変化させた時に無段変速機の変速比変化が発生するか否か基づき可動シーブがロックされている否かが確認される。当該確認をするためのセンサを別途設ける必要はなく、無段変速機の構造の複雑化、コスト増を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る無段変速機の全体構成図である。
【図2】プライマリプーリの断面図である。
【図3A】ロック機構による可動シーブのロック動作を説明するための図である。
【図3B】ロック機構による可動シーブのロック動作を説明するための図である。
【図3C】ロック機構による可動シーブのロック動作を説明するための図である。
【図3D】ロック機構による可動シーブのロック動作を説明するための図である。
【図4】可動シーブをロックする時のコントローラの処理内容を示したフローチャートである。
【図5A】ロック機構による可動シーブのロック解除動作を説明するための図である。
【図5B】ロック機構による可動シーブのロック解除動作を説明するための図である。
【図5C】ロック機構による可動シーブのロック解除動作を説明するための図である。
【図5D】ロック機構による可動シーブのロック解除動作を説明するための図である。
【図6】可動シーブのロックを解除する時のコントローラの処理内容を示したフローチャートである。
【図7】ロック機構によって可動シーブをロックし、その後ロックを解除する場合のプライマリ圧及びセカンダリ圧の変化を示したタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る無段変速機100の全体構成を示している。無段変速機100は、プライマリプーリ1、セカンダリプーリ11、可撓性伝達部材2、油圧回路51、コントローラ52、及び、オイルポンプ53を備える。
【0017】
プライマリプーリ1は、固定シーブ3と、固定シーブ3に対して軸方向に変位可能な可動シーブ4と、可動シーブ4を軸方向に変位させるための油圧が供給される油室8と、可動シーブ4の軸方向の移動を機械的にロックするロック機構6と、を備える。固定シーブ3と可動シーブ4との間にはV字状の溝が形成され、溝幅は可動シーブ4を軸方向に変位させることによって変更することができる。プライマリプーリ1には入力軸10が接続されており、図示しないエンジン、モータ等の動力源からの回転が入力軸10を介して入力される。
【0018】
セカンダリプーリ11は、固定シーブ12と、固定シーブ12に対して軸方向に変位可能な可動シーブ13と、可動シーブ13を軸方向に変位させるための油圧が供給される油室14と、備える。固定シーブ12と可動シーブ13との間にはV字状の溝が形成され、溝幅は可動シーブ13を軸方向に変位させることによって変更することができる。セカンダリプーリ11には出力軸20が接続されており、セカンダリプーリ11の回転は出力軸20を介して図示しない駆動輪へと伝達される。
【0019】
可撓性伝達部材2は、プライマリプーリ1とセカンダリプーリ11との間に巻き掛けられ、プライマリプーリ1からセカンダリプーリ11に回転を伝達する。可撓性伝達部材2は、本実施形態では複数のリンクをピンで連結したチェーンであるが、後述するようにベルトであってもよい。
【0020】
油圧回路51は、複数の油路、流路切換えバルブ、圧力調整バルブ等を備える。油圧回路51は、コントローラ52からの信号を受けて、オイルポンプ53から供給される油圧を元圧として所望の油圧を生成し、油室8、14に供給する。以下の説明では、油室8に供給される油圧を「プライマリ圧」、油室14に供給される油圧を「セカンダリ圧」と表現する。
【0021】
ロック機構6によってプライマリプーリ1の可動シーブ4がロックされていない状態では、油圧回路51から油室8、14に供給されるプライマリ圧及びセカンダリ圧を調整することで、プライマリプーリ1及びセカンダリプーリ11の溝幅をそれぞれ変更し、可撓性伝達部材2とプライマリプーリ1及びセカンダリプーリ11との接触半径をそれぞれ変更することで、無段変速機100の変速比(入力軸10と出力軸20との間の減速比)が変更される。
【0022】
ロック機構6によってプライマリプーリ1の可動シーブ4がロックされている状態では、油圧回路51から油室8に供給されるプライマリ圧をゼロにする。また、本実施形態では、プライマリプーリ1の可動シーブ4を後述するようにオーバードライブ用変速比(最High変速比、以下、「OD変速比」という。)に対応する位置に固定するので、この状態では油圧回路51から油室14に供給されるセカンダリ圧もゼロにすることができる。
【0023】
コントローラ52には、入力軸10の回転速度を検出するセンサ55、出力軸20の回転速度を検出するセンサ56、アクセル操作量を検出するセンサ(不図示)、セレクターの位置を検出するセンサ(不図示)等の検出信号が入力される。
【0024】
コントローラ52は、上記の通り、プライマリ圧及びセカンダリ圧を調整して、無段変速機100の変速比を変更する。さらに、コントローラ52は、ロック機構6のロック状態の切り換え、可動シーブ4がロックされているか否かの確認、その確認ための無段変速機100の変速比変化の監視を行う。
【0025】
図2はプライマリプーリ1の断面を示している。
【0026】
プライマリプーリ1は、固定シーブ3と、可動シーブ4と、シリンダ部5と、ロック機構6と、背面カバー7とを備える。
【0027】
固定シーブ3は軸方向に延びる軸部31を有する。軸部31の内部には油圧供給通路32とドレーン通路33とが形成されている。油圧供給通路32にはプライマリ圧が供給される。
【0028】
軸部31の外周面には、凹形状のロックキー収容部61が形成されている。ロックキー収容部61には、ロックキー62と、ロックキースプリング63とが収装されている。ロックキー62は内側がくり抜かれたボタン状の可動部材で、ロックキースプリング63によって可動シーブ4に向けて付勢されている。ロックキー収容部61は、ドレーン通路33と連通しており、これにより、ロックキー62の内側に油圧が作用しないようになっている。
【0029】
また、軸部31の外周面には、軸方向に延びるキー溝34が形成されている。可動シーブ4から延出する回り止めピン41がキー溝34に係合することによって、固定シーブ3と可動シーブ4との軸方向の相対変位を許容しつつ、両者の相対回転が阻止される。
【0030】
可動シーブ4は、回転軸方向に延びる筒形状のスリーブ部42を有し、スリーブ部42を介して軸部31に外嵌されている。可動シーブ4の背面の最外周部には、ドラム形状のシリンダ部5が固定されている。シリンダ部5は可動シーブ4と一体となって回転及び軸方向の移動を行う。
【0031】
スリーブ部42の内周面には、ロックキー受け部64が形成されている。ロックキー受け部64はロックキー62の先端が嵌合しうる大きさの凹形状であり、底部にはロックキー受け部64とスリーブ部42の外側とを連通する連通孔65が形成されている。連通孔65には円柱形状のリリースピストン66が摺動自在に収容されている。連通孔65の外周側開口にはキャップ67が固定されている。キャップ67は、内外を連通する開口を有し、専らリリースピストン66が連通孔65から抜け落ちるのを防止するストッパとして機能する。
【0032】
背面カバー7は、可動シーブ4に近づくにつれ径が段階的に大きくなる異形筒形状である。背面カバー7は、可動シーブ4と反対の側の端部が軸部31に固定されており、可動シーブ4側の最外周端はシリンダ部5に摺接している。背面カバー7の最外周端とシリンダ部5との間にはシール部材71が介装される。背面カバー7、可動シーブ4の背面及びシリンダ部5の間には、可動シーブ4が軸方向に変位することで容量が変化する可変容量の油室8が画成される。
【0033】
また、スリーブ部42には内外を連通する油圧導入孔43が形成されている。軸部31とスリーブ部42との間には、軸部31とスリーブ部42との径の差によって、軸方向に延びる隙間9が形成されている。油圧供給通路32と油室8とは、隙間9及び油圧導入孔43を介して常時連通する。
【0034】
油圧供給通路32にプライマリ圧を供給すると、油圧導入孔43を介して油室8にプライマリ圧が導入される。可動シーブ4は、油室8に導入されるプライマリ圧によって軸方向に移動し、これによって可撓性伝達部材2とプライマリプーリ1との接触半径が変化し、無段変速機100の変速比が変化する。
【0035】
ロック機構6は、可動シーブ4の軸方向の移動を機械的にロックする機構である。本実施形態においては、ロック機構6が、ロックキー収容部61と、ロックキー62と、ロックキースプリング63と、ロックキー受け部64と、連通孔65と、リリースピストン66とによって構成される。
【0036】
図2に示される状態は、可動シーブ4がロックされていない状態である。すなわち、ロックキー62はスリーブ部42の内周面に当接しており、ロックキー受け部64に嵌合していないので、可動シーブ4は軸方向に自由に移動することができる。
【0037】
この状態から可動シーブ4が固定シーブ3に向けて移動すると、ロックキー62とロックキー受け部64との距離が縮まる。そして、無段変速機100の変速比がOD変速比に到達すると、ロックキー62とロックキー受け部64との軸方向位置が一致し、ロックキースプリング63の付勢力によってロックキー62が突出してロックキー受け部64に嵌合し、可動シーブ4が軸方向にロックされる。
【0038】
可動シーブ4がロックされた状態では、トルク伝達に必要な可撓性伝達部材2を挟持する力が、可動シーブ4がロックキー62を押す時の反力によって確保される。そして、この状態では、プライマリ圧をゼロにしても、ロックキースプリング63による付勢力に加え、可動シーブ4からロックキー62にスラスト荷重が作用するので、ロックキー62がロックキー受け部64から抜けることはなく、ロック状態が維持される。
【0039】
可動シーブ4のロックを解除するには、まず、油室8へのプライマリ圧の供給を再開し、ロックキー62に作用しているスラスト荷重を低減する。次いで、プライマリ圧を上昇させて、ロックキースプリング63による付勢力に抗してリリースピストン66によってロックキー62を押し、ロックキー受け部64から退出させる。これによって、可動シーブ4のロックが解除される。
【0040】
次に、図3A〜3D、図7を参照しながらロック機構6によって可動シーブ4をロックするときの動作、及び、可動シーブ4がロックされたことの確認処理について説明する。図7は、プライマリ圧及びセカンダリ圧が変化する様子を示したタイムチャートである。
【0041】
図3Aは可動シーブ4が固定シーブ3から最も離れた位置にあり、無段変速機100の変速比が最Lowの状態を示している。この状態では、可動シーブ4はロックされていない。
【0042】
図3Aの状態から油圧供給通路32から油室8に供給されるプライマリ圧を上昇させると、図3Bに示すように、可動シーブ4が固定シーブ3に向けて移動する。これにより、無段変速機100の変速比は最LowからOD変速比に向けて連続的に変化する。図7のタイムチャートでは時刻t1が対応する。
【0043】
可動シーブ4がOD変速比に対応する位置まで移動すると、図3Cに示すように、ロックキー62が、ロックキースプリング63の付勢力によってリリースピストン66を押し除けて突出し、ロックキー受け部64に嵌合する。これにより、可動シーブ4がOD変速比に対応する位置にロックされる。図7のタイムチャートでは時刻t2が対応する。
【0044】
可動シーブ4がロックされたことの確認は、プライマリ圧をOD変速比がぎりぎり維持される圧(以下、「ODバランス圧」という。)まで下げ、さらに、プライマリ圧を一時的にODバランス圧から僅かに下げ、この時の無段変速機100の変速比変化を監視することによって行われる。図7のタイムチャートでは時刻t3が対応する。
【0045】
ODバランス圧がプライマリ圧をOD変速比がぎりぎり維持される圧であるので、可動シーブ4がロックされていない状態でプライマリ圧がODバランス圧よりも低くなると、可動シーブ4が軸方向に変位してプライマリプーリ1の溝幅が増大し、無段変速機100の変速比がOD変速比からロー側に変化する。逆に、可動シーブ4がロックされている状態であれば、プライマリ圧がODバランス圧よりも低くなっても無段変速機100の変速比は変化しない。したがって、無段変速機100の変速比変化が発生するか否かを監視することによって、可動シーブ4がロックされているか否かを確認することができる。
【0046】
可動シーブ4がロックされたことが確認されると、プライマリ圧及びセカンダリ圧がともにゼロまで下げられる。図7のタイムチャートでは時刻t4が対応する。
【0047】
プライマリ圧がゼロにされた状態では、可撓性伝達部材2から可動シーブ4に作用するスラスト荷重が、図3Dに破線矢印で示すようにロックキー62に作用し、可動シーブ4はより強固にロックされる。図7のタイムチャートでは時刻t4が対応する。プライマリ圧及びセカンダリ圧がゼロであるので、オイルポンプを停止させることができ、オイルポンプによるフリクションロスを無くして無段変速機100を搭載した車両の燃費を向上させることができる。
【0048】
図4は、可動シーブ4をロックする時のコントローラ52の処理内容を示したフローチャートである。
【0049】
S11では、コントローラ52は、プライマリ圧を上昇させ、無段変速機100の変速比をOD変速比まで変化させる。ロック機構6が正常に動作していれば、無段変速機100の変速比がOD変速比に到達した時にロック機構6によって可動シーブ4がロックされる。
【0050】
S12では、コントローラ52は、プライマリ圧をODバランス圧まで下げる。
【0051】
S13では、コントローラ52は、プライマリ圧をODバランス圧から僅かに下げる。この時の圧力低下量は、可動シーブ4がロックされていない場合に生じる変速比変化を検出可能な量である。コントローラ52は、入力軸10の回転速度を出力軸20の回転速度で割って無段変速機100の変速比を演算し、プライマリ圧が減少した時の無段変速機100の変速比変化を記憶する。そして、コントローラ52は、プライマリ圧をODバランス圧バランス圧に戻す。
【0052】
S14では、コントローラ52は、S13でプライマリ圧がS13を下げた時に無段変速機100の変速比がOD変速比からロー側に変化したか判断する。無段変速機100の変速比がロー側に変化したと判断された場合は処理がS15に進む。
【0053】
S15では、コントローラ52は、プライマリ圧とセカンダリ圧とをともにゼロまで下げる。
【0054】
S14で変速比がODバランス変速比からロー側に変化したと判断された場合は処理がS11に戻り、可動シーブ4のロックが再試行される。
【0055】
続いて、図5A〜5D、図7を参照しながらロック機構6によって可動シーブ4のロックを解除するときの動作について説明する。
【0056】
可動シーブ4のロックを解除するには、まず、油圧供給通路32から油室8へのプライマリ圧の供給を再開する(図5A)。これにより、可動シーブ4からロックキー62に作用していたスラスト荷重が減少する。図7のタイムチャートでは時刻t5が対応する。
【0057】
次いで、プライマリ圧及びセカンダリ圧を、OD変速比を実現する圧よりも高い解除圧まで上昇させ、リリースピストン66によってロックキー62を押し下げる(図5B)。これにより、ロックキー62はロックキー収容部61内に収容され、可動シーブ4のロックが解除される。図7のタイムチャートでは時刻t6が対応する。
【0058】
可動シーブ4のロックが解除されたことの確認は、セカンダリ圧を一時的に解除圧から僅かに上昇させ、この時に無段変速機100の変速比変化が発生するか否かを監視することによって行われる。図7のタイムチャートでは時刻t7が対応する。
【0059】
可動シーブ4がロックされている状態であればセカンダリ圧を解除圧から上昇させても無段変速機100の変速比は変化しない。しかしながら、可動シーブ4がロックされていないと、セカンダリプーリ11の固定シーブ12と可動シーブ13による可撓性伝達部材2の挟持力が増大した時に、可撓性伝達部材2とセカンダリプーリ11との接触半径の増大を受けて可撓性伝達部材2がセカンダリプーリ11側に引っ張られるとともに可撓性伝達部材2によってプライマリプーリ1の溝幅が押し広げられるので、無段変速機100の変速比がロー側に変化する。したがって、無段変速機100の変速比変化が発生するか否かを監視することによって、可動シーブ4のロックが解除されているか否かを確認することができる。
【0060】
可動シーブ4のロックが解除されたことが確認されると、セカンダリ圧が解除圧よりも増大される。この結果、セカンダリプーリ11の溝幅が狭まり、これに併せてプライマリプーリ1の溝幅が広がり、可動シーブ4が固定シーブ3から離れる方向に移動し、可動シーブ4が再びロックされないようにされる(図5C)。図7のタイムチャートでは時刻t8が対応する。
【0061】
その後は、プライマリ圧及びセカンダリ圧を目標とする変速比を実現する油圧まで下げる(図5D)。ロックキー62はスリーブ部42の内周面に当接しているので、プライマリ圧を下げてもロックキー62はロックキー収容部61内に収容されたままであり、ロック解除状態が維持される。図7のタイムチャートでは時刻t9が対応する。
【0062】
図6は、可動シーブ4のロックを解除する時のコントローラ52の処理内容を示したフローチャートである。
【0063】
S21では、コントローラ52は、プライマリ圧とセカンダリ圧とをそれぞれバランス圧まで上昇させる。
【0064】
S22では、コントローラ52は、プライマリ圧とセカンダリ圧とをそれぞれバランス圧よりも高い圧に設定される解除圧まで上昇させる。
【0065】
S23では、コントローラ52は、セカンダリ圧を解除圧から僅かに上昇させる。この時の圧力上昇量は、可動シーブ4がロックされていない場合に生じる変速比変化を検出可能な量である。コントローラ52は、この時の無段変速機100の変速比変化を記憶し、その後、セカンダリ圧を解除圧に戻す。
【0066】
S24では、コントローラ52は、S23でセカンダリ圧を上昇させた時に無段変速機100の変速比がOD変速比からロー側に変化したか判断する。無段変速機100の変速比がロー側に変化したと判断された場合は処理がS25に進む。
【0067】
S25では、コントローラ52は、セカンダリ圧を上昇させて無段変速機100の変速比をさらにロー側に変更してロックキー62とロックキー受け部64との軸方向位置をずらして可動シーブ4が再びロックしないようにし、次いで、プライマリ圧及びセカンダリ圧をそれぞれ目標とする変速比が実現される圧に調整する。
【0068】
S24で変速比がロー側に変化しなかったと判断された場合は処理がS22に戻り、可動シーブ4のロック解除が再試行される。
【0069】
続いて、本発明の実施形態の作用効果について説明する。
【0070】
本実施形態によれば、ロック機構6によってプライマリプーリ1の可動シーブ4の軸方向の移動が機械的にロックされる、すなわち、可動シーブ4が所定の軸方向位置に固定される。可動シーブ4がロックされた状態では、プライマリ圧を下げることができるので、オイルポンプを停止させてオイルポンプによるフリクションロスを無くし、無段変速機100を搭載した車両の燃費を向上させることができる。
【0071】
プライマリ圧を下げるにあたっては、プライマリ圧を下げる前に可動シーブ4がロックされているかを確認するのが好ましく、本実施形態によればプライマリ圧を減少させた時に無段変速機100の変速比がロー側に変化したか否かに基づき可動シーブ4がロックされているかが確認される。
【0072】
無段変速機100の変速比を算出するのに必要な入力軸10及び出力軸20の回転速度は無段変速機100に元々備えられているセンサによって検出することができるので、上記確認を行うためのセンサを別途設ける必要はなく、本実施形態によれば、無段変速機100の構造の複雑化、コスト増を防止することができる(請求項1、2、4に対応する作用効果)。
【0073】
また、可動シーブ4のロックを解除し、無段変速機100の変速比を目的とする変速比に制御する場合には、プライマリ圧及びセカンダリ圧を目標とする変速比が実現される圧に調整する前に可動シーブ4のロックが解除されていることを確認するのが好ましい。
【0074】
本実施形態によれば、セカンダリ圧を増加させた時に無段変速機100の変速比がロー側に変化したか否かに基づき可動シーブ4のロックが解除されているかが確認される。当該確認を行うためのセンサを別途設ける必要はなく、無段変速機100の構造の複雑化、コスト増を防止することができる(請求項1、3、4に対応する作用効果)。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0076】
例えば、上記実施形態は、可動シーブ4をOD変速比に対応する位置にロックする構成であるが、その他の変速比に対応する位置にロックする構成であってもよい。また、プライマリプーリ1ではなく、セカンダリプーリ11の可動シーブ13をロックする構成であってもよい。
【0077】
また、本実施形態では、ロック状態でプライマリ圧及びセカンダリ圧をゼロにしているが、プライマリ圧及びセカンダリ圧をゼロにすることは必須ではなく、ロック前の油圧よりも低い油圧(>0)まで下げるだけでもよい。このような構成であっても、オイルポンプによるフリクションロスの低減、車両の燃費向上といった作用効果が奏され、加えて、ロック状態を解除する時にはプライマリ圧の供給遅れを小さくし、解除応答性を高めることができるという作用効果が奏される。
【0078】
また、可撓性伝達部材2は、プライマリプーリ1とセカンダリプーリ11との間で回転を伝達することができればよく、チェーン以外の部材、例えば、複数のエレメントをリングで連結したベルトであってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 プライマリプーリ(第1のプーリ)
2 可撓性伝達部材
6 ロック機構
11 セカンダリプーリ(第2のプーリ)
100 無段変速機
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動シーブを機械的に軸方向にロックするロック機構を備えた無段変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
無段変速機は、プライマリプーリと、セカンダリプーリと、これらプーリの間に巻き掛けられる可撓性伝達部材(ベルト又はチェーン)を備える。各プーリは、固定シーブと、固定シーブに対して軸方向に移動可能な可動シーブとを備える。無段変速機の変速比は、各プーリの可動シーブをそれぞれ軸方向に移動させ、各プーリの溝幅を変更することによって変更される。可動シーブの移動は、オイルポンプから可動シーブの背面に形成される油室に供給される油圧を変化させることで行われる。
【0003】
このような無段変速機において目的とする変速比を維持するためには、可動シーブに油圧を常時供給し続ける必要がある。これは、油圧の供給を停止すると油室やコントロールバルブからのリークによって油圧が低下して、変速比を維持できなくなり、また、ベルト滑りが発生するからである。
【0004】
しかしながら、可動シーブに油圧を常時供給するとなると、オイルポンプを常時駆動する必要があり、しかも、変速比を維持するのに必要な油圧は非常に高い油圧であるので、オイルポンプによるフリクションロスが無段変速機を搭載した車両の燃費を悪化させる原因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−327814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
可動シーブを機械的に軸方向にロックするロック機構を設け、必要に応じて可動シーブをロックするようにすれば、可動シーブに供給される油圧をゼロにする、又は、低減することができ、上記問題を解決することができる。
【0007】
そして、このようなロック機構を設ける場合、ロック機構によって可動シーブがロックされているか否かを確認できるようにするのが好ましい。
【0008】
これは、可動シーブをロックしたつもりがロックされていないと、可動シーブに供給される油圧をゼロに又は低減した時に、変速比が意図しない値に変化してしまうからである。また、可動シーブのロックを解除したつもりがロックされたままであると、変速比を変更しようとして可動シーブに供給される油圧を調整しても、変速比を変更することができないからである。
【0009】
しかしながら、ロック機構によって可動シーブがロックされているか否かを確認するためのセンサを別途設けるとなると、無段変速機の構造が複雑化するとともにコストが増加する。
【0010】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、ロック機構を備えた無段変速機において可動シーブがロックされているか否かを、センサを追加することなく確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある態様によれば、固定シーブと、供給される油圧に応じて前記固定シーブに対して軸方向に変位可能な可動シーブとを有する溝幅可変の第1及び第2のプーリと、前記第1及び第2のプーリの間に巻き掛けられる可撓性伝達部材と、前記第1のプーリの前記可動シーブの軸方向の移動を機械的にロックするロック機構と、前記第1のプーリ又は前記第2のプーリに供給される油圧を変化させた時に前記無段変速機の変速比変化が発生するか否かに基づき、前記ロック機構によって前記第1のプーリの前記可動シーブがロックされているか確認するロック確認手段と、を備えたことを特徴とする無段変速機が提供される。
【0012】
本発明の別の態様によれば、固定シーブと、供給される油圧に応じて前記固定シーブに対して軸方向に変位可能な可動シーブとを有する溝幅可変の第1及び第2のプーリと、前記第1及び第2のプーリの間に巻き掛けられる可撓性伝達部材と、前記第1のプーリの前記可動シーブの軸方向の移動を機械的にロックするロック機構と、を備えた無段変速機におけるプーリロック確認方法であって、前記第1のプーリ又は前記第2のプーリに供給される油圧を変化させる手順と、前記第1のプーリ又は前記第2のプーリに供給される油圧を変化させた時に前記無段変速機の変速比変化が発生するか否かに基づき、前記ロック機構によって前記第1のプーリの前記可動シーブがロックされているか確認する手順と、
を含むことを特徴とするプーリロック確認方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
これらの態様によれば、第1のプーリ又は第2のプーリに供給される油圧を変化させた時に無段変速機の変速比変化が発生するか否か基づき可動シーブがロックされている否かが確認される。当該確認をするためのセンサを別途設ける必要はなく、無段変速機の構造の複雑化、コスト増を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る無段変速機の全体構成図である。
【図2】プライマリプーリの断面図である。
【図3A】ロック機構による可動シーブのロック動作を説明するための図である。
【図3B】ロック機構による可動シーブのロック動作を説明するための図である。
【図3C】ロック機構による可動シーブのロック動作を説明するための図である。
【図3D】ロック機構による可動シーブのロック動作を説明するための図である。
【図4】可動シーブをロックする時のコントローラの処理内容を示したフローチャートである。
【図5A】ロック機構による可動シーブのロック解除動作を説明するための図である。
【図5B】ロック機構による可動シーブのロック解除動作を説明するための図である。
【図5C】ロック機構による可動シーブのロック解除動作を説明するための図である。
【図5D】ロック機構による可動シーブのロック解除動作を説明するための図である。
【図6】可動シーブのロックを解除する時のコントローラの処理内容を示したフローチャートである。
【図7】ロック機構によって可動シーブをロックし、その後ロックを解除する場合のプライマリ圧及びセカンダリ圧の変化を示したタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る無段変速機100の全体構成を示している。無段変速機100は、プライマリプーリ1、セカンダリプーリ11、可撓性伝達部材2、油圧回路51、コントローラ52、及び、オイルポンプ53を備える。
【0017】
プライマリプーリ1は、固定シーブ3と、固定シーブ3に対して軸方向に変位可能な可動シーブ4と、可動シーブ4を軸方向に変位させるための油圧が供給される油室8と、可動シーブ4の軸方向の移動を機械的にロックするロック機構6と、を備える。固定シーブ3と可動シーブ4との間にはV字状の溝が形成され、溝幅は可動シーブ4を軸方向に変位させることによって変更することができる。プライマリプーリ1には入力軸10が接続されており、図示しないエンジン、モータ等の動力源からの回転が入力軸10を介して入力される。
【0018】
セカンダリプーリ11は、固定シーブ12と、固定シーブ12に対して軸方向に変位可能な可動シーブ13と、可動シーブ13を軸方向に変位させるための油圧が供給される油室14と、備える。固定シーブ12と可動シーブ13との間にはV字状の溝が形成され、溝幅は可動シーブ13を軸方向に変位させることによって変更することができる。セカンダリプーリ11には出力軸20が接続されており、セカンダリプーリ11の回転は出力軸20を介して図示しない駆動輪へと伝達される。
【0019】
可撓性伝達部材2は、プライマリプーリ1とセカンダリプーリ11との間に巻き掛けられ、プライマリプーリ1からセカンダリプーリ11に回転を伝達する。可撓性伝達部材2は、本実施形態では複数のリンクをピンで連結したチェーンであるが、後述するようにベルトであってもよい。
【0020】
油圧回路51は、複数の油路、流路切換えバルブ、圧力調整バルブ等を備える。油圧回路51は、コントローラ52からの信号を受けて、オイルポンプ53から供給される油圧を元圧として所望の油圧を生成し、油室8、14に供給する。以下の説明では、油室8に供給される油圧を「プライマリ圧」、油室14に供給される油圧を「セカンダリ圧」と表現する。
【0021】
ロック機構6によってプライマリプーリ1の可動シーブ4がロックされていない状態では、油圧回路51から油室8、14に供給されるプライマリ圧及びセカンダリ圧を調整することで、プライマリプーリ1及びセカンダリプーリ11の溝幅をそれぞれ変更し、可撓性伝達部材2とプライマリプーリ1及びセカンダリプーリ11との接触半径をそれぞれ変更することで、無段変速機100の変速比(入力軸10と出力軸20との間の減速比)が変更される。
【0022】
ロック機構6によってプライマリプーリ1の可動シーブ4がロックされている状態では、油圧回路51から油室8に供給されるプライマリ圧をゼロにする。また、本実施形態では、プライマリプーリ1の可動シーブ4を後述するようにオーバードライブ用変速比(最High変速比、以下、「OD変速比」という。)に対応する位置に固定するので、この状態では油圧回路51から油室14に供給されるセカンダリ圧もゼロにすることができる。
【0023】
コントローラ52には、入力軸10の回転速度を検出するセンサ55、出力軸20の回転速度を検出するセンサ56、アクセル操作量を検出するセンサ(不図示)、セレクターの位置を検出するセンサ(不図示)等の検出信号が入力される。
【0024】
コントローラ52は、上記の通り、プライマリ圧及びセカンダリ圧を調整して、無段変速機100の変速比を変更する。さらに、コントローラ52は、ロック機構6のロック状態の切り換え、可動シーブ4がロックされているか否かの確認、その確認ための無段変速機100の変速比変化の監視を行う。
【0025】
図2はプライマリプーリ1の断面を示している。
【0026】
プライマリプーリ1は、固定シーブ3と、可動シーブ4と、シリンダ部5と、ロック機構6と、背面カバー7とを備える。
【0027】
固定シーブ3は軸方向に延びる軸部31を有する。軸部31の内部には油圧供給通路32とドレーン通路33とが形成されている。油圧供給通路32にはプライマリ圧が供給される。
【0028】
軸部31の外周面には、凹形状のロックキー収容部61が形成されている。ロックキー収容部61には、ロックキー62と、ロックキースプリング63とが収装されている。ロックキー62は内側がくり抜かれたボタン状の可動部材で、ロックキースプリング63によって可動シーブ4に向けて付勢されている。ロックキー収容部61は、ドレーン通路33と連通しており、これにより、ロックキー62の内側に油圧が作用しないようになっている。
【0029】
また、軸部31の外周面には、軸方向に延びるキー溝34が形成されている。可動シーブ4から延出する回り止めピン41がキー溝34に係合することによって、固定シーブ3と可動シーブ4との軸方向の相対変位を許容しつつ、両者の相対回転が阻止される。
【0030】
可動シーブ4は、回転軸方向に延びる筒形状のスリーブ部42を有し、スリーブ部42を介して軸部31に外嵌されている。可動シーブ4の背面の最外周部には、ドラム形状のシリンダ部5が固定されている。シリンダ部5は可動シーブ4と一体となって回転及び軸方向の移動を行う。
【0031】
スリーブ部42の内周面には、ロックキー受け部64が形成されている。ロックキー受け部64はロックキー62の先端が嵌合しうる大きさの凹形状であり、底部にはロックキー受け部64とスリーブ部42の外側とを連通する連通孔65が形成されている。連通孔65には円柱形状のリリースピストン66が摺動自在に収容されている。連通孔65の外周側開口にはキャップ67が固定されている。キャップ67は、内外を連通する開口を有し、専らリリースピストン66が連通孔65から抜け落ちるのを防止するストッパとして機能する。
【0032】
背面カバー7は、可動シーブ4に近づくにつれ径が段階的に大きくなる異形筒形状である。背面カバー7は、可動シーブ4と反対の側の端部が軸部31に固定されており、可動シーブ4側の最外周端はシリンダ部5に摺接している。背面カバー7の最外周端とシリンダ部5との間にはシール部材71が介装される。背面カバー7、可動シーブ4の背面及びシリンダ部5の間には、可動シーブ4が軸方向に変位することで容量が変化する可変容量の油室8が画成される。
【0033】
また、スリーブ部42には内外を連通する油圧導入孔43が形成されている。軸部31とスリーブ部42との間には、軸部31とスリーブ部42との径の差によって、軸方向に延びる隙間9が形成されている。油圧供給通路32と油室8とは、隙間9及び油圧導入孔43を介して常時連通する。
【0034】
油圧供給通路32にプライマリ圧を供給すると、油圧導入孔43を介して油室8にプライマリ圧が導入される。可動シーブ4は、油室8に導入されるプライマリ圧によって軸方向に移動し、これによって可撓性伝達部材2とプライマリプーリ1との接触半径が変化し、無段変速機100の変速比が変化する。
【0035】
ロック機構6は、可動シーブ4の軸方向の移動を機械的にロックする機構である。本実施形態においては、ロック機構6が、ロックキー収容部61と、ロックキー62と、ロックキースプリング63と、ロックキー受け部64と、連通孔65と、リリースピストン66とによって構成される。
【0036】
図2に示される状態は、可動シーブ4がロックされていない状態である。すなわち、ロックキー62はスリーブ部42の内周面に当接しており、ロックキー受け部64に嵌合していないので、可動シーブ4は軸方向に自由に移動することができる。
【0037】
この状態から可動シーブ4が固定シーブ3に向けて移動すると、ロックキー62とロックキー受け部64との距離が縮まる。そして、無段変速機100の変速比がOD変速比に到達すると、ロックキー62とロックキー受け部64との軸方向位置が一致し、ロックキースプリング63の付勢力によってロックキー62が突出してロックキー受け部64に嵌合し、可動シーブ4が軸方向にロックされる。
【0038】
可動シーブ4がロックされた状態では、トルク伝達に必要な可撓性伝達部材2を挟持する力が、可動シーブ4がロックキー62を押す時の反力によって確保される。そして、この状態では、プライマリ圧をゼロにしても、ロックキースプリング63による付勢力に加え、可動シーブ4からロックキー62にスラスト荷重が作用するので、ロックキー62がロックキー受け部64から抜けることはなく、ロック状態が維持される。
【0039】
可動シーブ4のロックを解除するには、まず、油室8へのプライマリ圧の供給を再開し、ロックキー62に作用しているスラスト荷重を低減する。次いで、プライマリ圧を上昇させて、ロックキースプリング63による付勢力に抗してリリースピストン66によってロックキー62を押し、ロックキー受け部64から退出させる。これによって、可動シーブ4のロックが解除される。
【0040】
次に、図3A〜3D、図7を参照しながらロック機構6によって可動シーブ4をロックするときの動作、及び、可動シーブ4がロックされたことの確認処理について説明する。図7は、プライマリ圧及びセカンダリ圧が変化する様子を示したタイムチャートである。
【0041】
図3Aは可動シーブ4が固定シーブ3から最も離れた位置にあり、無段変速機100の変速比が最Lowの状態を示している。この状態では、可動シーブ4はロックされていない。
【0042】
図3Aの状態から油圧供給通路32から油室8に供給されるプライマリ圧を上昇させると、図3Bに示すように、可動シーブ4が固定シーブ3に向けて移動する。これにより、無段変速機100の変速比は最LowからOD変速比に向けて連続的に変化する。図7のタイムチャートでは時刻t1が対応する。
【0043】
可動シーブ4がOD変速比に対応する位置まで移動すると、図3Cに示すように、ロックキー62が、ロックキースプリング63の付勢力によってリリースピストン66を押し除けて突出し、ロックキー受け部64に嵌合する。これにより、可動シーブ4がOD変速比に対応する位置にロックされる。図7のタイムチャートでは時刻t2が対応する。
【0044】
可動シーブ4がロックされたことの確認は、プライマリ圧をOD変速比がぎりぎり維持される圧(以下、「ODバランス圧」という。)まで下げ、さらに、プライマリ圧を一時的にODバランス圧から僅かに下げ、この時の無段変速機100の変速比変化を監視することによって行われる。図7のタイムチャートでは時刻t3が対応する。
【0045】
ODバランス圧がプライマリ圧をOD変速比がぎりぎり維持される圧であるので、可動シーブ4がロックされていない状態でプライマリ圧がODバランス圧よりも低くなると、可動シーブ4が軸方向に変位してプライマリプーリ1の溝幅が増大し、無段変速機100の変速比がOD変速比からロー側に変化する。逆に、可動シーブ4がロックされている状態であれば、プライマリ圧がODバランス圧よりも低くなっても無段変速機100の変速比は変化しない。したがって、無段変速機100の変速比変化が発生するか否かを監視することによって、可動シーブ4がロックされているか否かを確認することができる。
【0046】
可動シーブ4がロックされたことが確認されると、プライマリ圧及びセカンダリ圧がともにゼロまで下げられる。図7のタイムチャートでは時刻t4が対応する。
【0047】
プライマリ圧がゼロにされた状態では、可撓性伝達部材2から可動シーブ4に作用するスラスト荷重が、図3Dに破線矢印で示すようにロックキー62に作用し、可動シーブ4はより強固にロックされる。図7のタイムチャートでは時刻t4が対応する。プライマリ圧及びセカンダリ圧がゼロであるので、オイルポンプを停止させることができ、オイルポンプによるフリクションロスを無くして無段変速機100を搭載した車両の燃費を向上させることができる。
【0048】
図4は、可動シーブ4をロックする時のコントローラ52の処理内容を示したフローチャートである。
【0049】
S11では、コントローラ52は、プライマリ圧を上昇させ、無段変速機100の変速比をOD変速比まで変化させる。ロック機構6が正常に動作していれば、無段変速機100の変速比がOD変速比に到達した時にロック機構6によって可動シーブ4がロックされる。
【0050】
S12では、コントローラ52は、プライマリ圧をODバランス圧まで下げる。
【0051】
S13では、コントローラ52は、プライマリ圧をODバランス圧から僅かに下げる。この時の圧力低下量は、可動シーブ4がロックされていない場合に生じる変速比変化を検出可能な量である。コントローラ52は、入力軸10の回転速度を出力軸20の回転速度で割って無段変速機100の変速比を演算し、プライマリ圧が減少した時の無段変速機100の変速比変化を記憶する。そして、コントローラ52は、プライマリ圧をODバランス圧バランス圧に戻す。
【0052】
S14では、コントローラ52は、S13でプライマリ圧がS13を下げた時に無段変速機100の変速比がOD変速比からロー側に変化したか判断する。無段変速機100の変速比がロー側に変化したと判断された場合は処理がS15に進む。
【0053】
S15では、コントローラ52は、プライマリ圧とセカンダリ圧とをともにゼロまで下げる。
【0054】
S14で変速比がODバランス変速比からロー側に変化したと判断された場合は処理がS11に戻り、可動シーブ4のロックが再試行される。
【0055】
続いて、図5A〜5D、図7を参照しながらロック機構6によって可動シーブ4のロックを解除するときの動作について説明する。
【0056】
可動シーブ4のロックを解除するには、まず、油圧供給通路32から油室8へのプライマリ圧の供給を再開する(図5A)。これにより、可動シーブ4からロックキー62に作用していたスラスト荷重が減少する。図7のタイムチャートでは時刻t5が対応する。
【0057】
次いで、プライマリ圧及びセカンダリ圧を、OD変速比を実現する圧よりも高い解除圧まで上昇させ、リリースピストン66によってロックキー62を押し下げる(図5B)。これにより、ロックキー62はロックキー収容部61内に収容され、可動シーブ4のロックが解除される。図7のタイムチャートでは時刻t6が対応する。
【0058】
可動シーブ4のロックが解除されたことの確認は、セカンダリ圧を一時的に解除圧から僅かに上昇させ、この時に無段変速機100の変速比変化が発生するか否かを監視することによって行われる。図7のタイムチャートでは時刻t7が対応する。
【0059】
可動シーブ4がロックされている状態であればセカンダリ圧を解除圧から上昇させても無段変速機100の変速比は変化しない。しかしながら、可動シーブ4がロックされていないと、セカンダリプーリ11の固定シーブ12と可動シーブ13による可撓性伝達部材2の挟持力が増大した時に、可撓性伝達部材2とセカンダリプーリ11との接触半径の増大を受けて可撓性伝達部材2がセカンダリプーリ11側に引っ張られるとともに可撓性伝達部材2によってプライマリプーリ1の溝幅が押し広げられるので、無段変速機100の変速比がロー側に変化する。したがって、無段変速機100の変速比変化が発生するか否かを監視することによって、可動シーブ4のロックが解除されているか否かを確認することができる。
【0060】
可動シーブ4のロックが解除されたことが確認されると、セカンダリ圧が解除圧よりも増大される。この結果、セカンダリプーリ11の溝幅が狭まり、これに併せてプライマリプーリ1の溝幅が広がり、可動シーブ4が固定シーブ3から離れる方向に移動し、可動シーブ4が再びロックされないようにされる(図5C)。図7のタイムチャートでは時刻t8が対応する。
【0061】
その後は、プライマリ圧及びセカンダリ圧を目標とする変速比を実現する油圧まで下げる(図5D)。ロックキー62はスリーブ部42の内周面に当接しているので、プライマリ圧を下げてもロックキー62はロックキー収容部61内に収容されたままであり、ロック解除状態が維持される。図7のタイムチャートでは時刻t9が対応する。
【0062】
図6は、可動シーブ4のロックを解除する時のコントローラ52の処理内容を示したフローチャートである。
【0063】
S21では、コントローラ52は、プライマリ圧とセカンダリ圧とをそれぞれバランス圧まで上昇させる。
【0064】
S22では、コントローラ52は、プライマリ圧とセカンダリ圧とをそれぞれバランス圧よりも高い圧に設定される解除圧まで上昇させる。
【0065】
S23では、コントローラ52は、セカンダリ圧を解除圧から僅かに上昇させる。この時の圧力上昇量は、可動シーブ4がロックされていない場合に生じる変速比変化を検出可能な量である。コントローラ52は、この時の無段変速機100の変速比変化を記憶し、その後、セカンダリ圧を解除圧に戻す。
【0066】
S24では、コントローラ52は、S23でセカンダリ圧を上昇させた時に無段変速機100の変速比がOD変速比からロー側に変化したか判断する。無段変速機100の変速比がロー側に変化したと判断された場合は処理がS25に進む。
【0067】
S25では、コントローラ52は、セカンダリ圧を上昇させて無段変速機100の変速比をさらにロー側に変更してロックキー62とロックキー受け部64との軸方向位置をずらして可動シーブ4が再びロックしないようにし、次いで、プライマリ圧及びセカンダリ圧をそれぞれ目標とする変速比が実現される圧に調整する。
【0068】
S24で変速比がロー側に変化しなかったと判断された場合は処理がS22に戻り、可動シーブ4のロック解除が再試行される。
【0069】
続いて、本発明の実施形態の作用効果について説明する。
【0070】
本実施形態によれば、ロック機構6によってプライマリプーリ1の可動シーブ4の軸方向の移動が機械的にロックされる、すなわち、可動シーブ4が所定の軸方向位置に固定される。可動シーブ4がロックされた状態では、プライマリ圧を下げることができるので、オイルポンプを停止させてオイルポンプによるフリクションロスを無くし、無段変速機100を搭載した車両の燃費を向上させることができる。
【0071】
プライマリ圧を下げるにあたっては、プライマリ圧を下げる前に可動シーブ4がロックされているかを確認するのが好ましく、本実施形態によればプライマリ圧を減少させた時に無段変速機100の変速比がロー側に変化したか否かに基づき可動シーブ4がロックされているかが確認される。
【0072】
無段変速機100の変速比を算出するのに必要な入力軸10及び出力軸20の回転速度は無段変速機100に元々備えられているセンサによって検出することができるので、上記確認を行うためのセンサを別途設ける必要はなく、本実施形態によれば、無段変速機100の構造の複雑化、コスト増を防止することができる(請求項1、2、4に対応する作用効果)。
【0073】
また、可動シーブ4のロックを解除し、無段変速機100の変速比を目的とする変速比に制御する場合には、プライマリ圧及びセカンダリ圧を目標とする変速比が実現される圧に調整する前に可動シーブ4のロックが解除されていることを確認するのが好ましい。
【0074】
本実施形態によれば、セカンダリ圧を増加させた時に無段変速機100の変速比がロー側に変化したか否かに基づき可動シーブ4のロックが解除されているかが確認される。当該確認を行うためのセンサを別途設ける必要はなく、無段変速機100の構造の複雑化、コスト増を防止することができる(請求項1、3、4に対応する作用効果)。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0076】
例えば、上記実施形態は、可動シーブ4をOD変速比に対応する位置にロックする構成であるが、その他の変速比に対応する位置にロックする構成であってもよい。また、プライマリプーリ1ではなく、セカンダリプーリ11の可動シーブ13をロックする構成であってもよい。
【0077】
また、本実施形態では、ロック状態でプライマリ圧及びセカンダリ圧をゼロにしているが、プライマリ圧及びセカンダリ圧をゼロにすることは必須ではなく、ロック前の油圧よりも低い油圧(>0)まで下げるだけでもよい。このような構成であっても、オイルポンプによるフリクションロスの低減、車両の燃費向上といった作用効果が奏され、加えて、ロック状態を解除する時にはプライマリ圧の供給遅れを小さくし、解除応答性を高めることができるという作用効果が奏される。
【0078】
また、可撓性伝達部材2は、プライマリプーリ1とセカンダリプーリ11との間で回転を伝達することができればよく、チェーン以外の部材、例えば、複数のエレメントをリングで連結したベルトであってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 プライマリプーリ(第1のプーリ)
2 可撓性伝達部材
6 ロック機構
11 セカンダリプーリ(第2のプーリ)
100 無段変速機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定シーブと、供給される油圧に応じて前記固定シーブに対して軸方向に変位可能な可動シーブとを有する溝幅可変の第1及び第2のプーリと、
前記第1及び第2のプーリの間に巻き掛けられる可撓性伝達部材と、
前記第1のプーリの前記可動シーブの軸方向の移動を機械的にロックするロック機構と、
前記第1のプーリ又は前記第2のプーリに供給される油圧を変化させた時に前記無段変速機の変速比変化が発生するか否かに基づき、前記ロック機構によって前記第1のプーリの前記可動シーブがロックされているか確認するロック確認手段と、
を備えたことを特徴とする無段変速機。
【請求項2】
請求項1に記載の無段変速機であって、
前記ロック確認手段は、前記第1のプーリに供給される油圧を減少させても前記無段変速機の変速比が変化しない場合に前記ロック機構によって前記第1のプーリの前記可動シーブがロックされていることを確認し、
前記ロック機構によって前記第1のプーリの前記可動シーブがロックされていることが前記ロック確認手段によって確認された場合に、前記第1のプーリに供給される油圧を減少させる油圧減少手段をさらに備えたことを特徴とする無段変速機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の無段変速機であって、
前記ロック確認手段は、前記第2のプーリに供給される油圧を増大させると前記無段変速機の変速比が変化する場合に前記ロック機構による前記第1のプーリの前記可動シーブのロックが解除されていることを確認し、
前記ロック機構による前記第1のプーリの前記可動シーブのロックが解除されていることが前記ロック確認手段によって確認された場合に、前記第1及び第2のプーリに供給される油圧を調整して前記無段変速機の変速比を変更する変速制御手段をさらに備えたことを特徴とする無段変速機。
【請求項4】
固定シーブと、供給される油圧に応じて前記固定シーブに対して軸方向に変位可能な可動シーブとを有する溝幅可変の第1及び第2のプーリと、前記第1及び第2のプーリの間に巻き掛けられる可撓性伝達部材と、前記第1のプーリの前記可動シーブの軸方向の移動を機械的にロックするロック機構と、を備えた無段変速機におけるプーリロック確認方法であって、
前記第1のプーリ又は前記第2のプーリに供給される油圧を変化させる手順と、
前記第1のプーリ又は前記第2のプーリに供給される油圧を変化させた時に前記無段変速機の変速比変化が発生するか否かに基づき、前記ロック機構によって前記第1のプーリの前記可動シーブがロックされているか確認する手順と、
を含むことを特徴とするプーリロック確認方法。
【請求項1】
固定シーブと、供給される油圧に応じて前記固定シーブに対して軸方向に変位可能な可動シーブとを有する溝幅可変の第1及び第2のプーリと、
前記第1及び第2のプーリの間に巻き掛けられる可撓性伝達部材と、
前記第1のプーリの前記可動シーブの軸方向の移動を機械的にロックするロック機構と、
前記第1のプーリ又は前記第2のプーリに供給される油圧を変化させた時に前記無段変速機の変速比変化が発生するか否かに基づき、前記ロック機構によって前記第1のプーリの前記可動シーブがロックされているか確認するロック確認手段と、
を備えたことを特徴とする無段変速機。
【請求項2】
請求項1に記載の無段変速機であって、
前記ロック確認手段は、前記第1のプーリに供給される油圧を減少させても前記無段変速機の変速比が変化しない場合に前記ロック機構によって前記第1のプーリの前記可動シーブがロックされていることを確認し、
前記ロック機構によって前記第1のプーリの前記可動シーブがロックされていることが前記ロック確認手段によって確認された場合に、前記第1のプーリに供給される油圧を減少させる油圧減少手段をさらに備えたことを特徴とする無段変速機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の無段変速機であって、
前記ロック確認手段は、前記第2のプーリに供給される油圧を増大させると前記無段変速機の変速比が変化する場合に前記ロック機構による前記第1のプーリの前記可動シーブのロックが解除されていることを確認し、
前記ロック機構による前記第1のプーリの前記可動シーブのロックが解除されていることが前記ロック確認手段によって確認された場合に、前記第1及び第2のプーリに供給される油圧を調整して前記無段変速機の変速比を変更する変速制御手段をさらに備えたことを特徴とする無段変速機。
【請求項4】
固定シーブと、供給される油圧に応じて前記固定シーブに対して軸方向に変位可能な可動シーブとを有する溝幅可変の第1及び第2のプーリと、前記第1及び第2のプーリの間に巻き掛けられる可撓性伝達部材と、前記第1のプーリの前記可動シーブの軸方向の移動を機械的にロックするロック機構と、を備えた無段変速機におけるプーリロック確認方法であって、
前記第1のプーリ又は前記第2のプーリに供給される油圧を変化させる手順と、
前記第1のプーリ又は前記第2のプーリに供給される油圧を変化させた時に前記無段変速機の変速比変化が発生するか否かに基づき、前記ロック機構によって前記第1のプーリの前記可動シーブがロックされているか確認する手順と、
を含むことを特徴とするプーリロック確認方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2012−241778(P2012−241778A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111522(P2011−111522)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000231350)ジヤトコ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000231350)ジヤトコ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】
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