説明

ロータリエンコーダの回転方向検出装置

【課題】 ロータリエンコーダの回転方向を検出処理する検出処理回路において使用する入力端子の数を少なくする
【解決手段】 ロータリエンコーダ10から位相の異なる複数の2値信号が入力され、この入力された複数の2値信号を3段階以上の電圧レベルを有する1つの信号に変換するレベル変換回路(抵抗40、41によって構成された回路)と、このレベル変換回路によって変換された信号を入力する入力端子P03を有し、この入力端子P03から入力される信号の電圧レベルの変化に基づいてロータリエンコーダ10の回転方向を検出処理する検出処理回路(MPU20)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリエンコーダの回転方向を検出するロータリエンコーダの回転方向検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータリエンコーダを用いた装置として、ダイヤルノブの押圧信号を検出するタクトスイッチとダイヤルノブの回転操作を検出するロータリエンコーダと、ダイヤルノブの内側に配置した表示器と、を備え、ダイヤルノブの押圧操作をタクトスイッチにより検出して複数の操作信号の検出対象を切り替え、表示器により設定対象となった操作信号を表示し、ダイヤルノブの回転量をロータリエンコーダにより検出して設定対象となった操作信号の出力状態を切り替え、その操作信号の出力状態を表示器に表示するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、車両には乗員の操作によってメータの表示輝度の調整が可能となったものがあり、このような調整を行うための操作装置として上述したようなロータリエンコーダを用いたものがある。
【特許文献1】特開2003−54290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図3に、上記したメータの表示輝度を調整するための操作装置の概略構成を示す。ロータリエンコーダ10は、スイッチA、Bを有し、これらのスイッチA、Bは、操作ノブ10aの軸回りの回転に応じてそれぞれオープン、クローズの動作を繰り返す。
【0005】
このロータリエンコーダ10のスイッチAは、第1の入力端子aを介して制御回路をなすMPU20の入力端子P01に接続されており、スイッチBは、第2の入力端子bを介してMPU20の入力端子P02に接続されている。また、第1の入力端子aは、抵抗30を介して電源端子cと接続されており、第2の入力端子bは抵抗31を介して電源端子cと接続されている。
【0006】
このような構成において、MPU20の入力端子P01には、スイッチAの状態の状態に応じたハイレベルまたはローレベルの信号が入力され、MPU20の入力端子P02には、スイッチBの状態に応じたハイレベルまたはローレベルの信号が入力される。
【0007】
乗員がロータリエンコーダ10の操作ノブ10aを時計回り(CW方向)または反時計回り(CCW方向)に回転させると、スイッチA、Bは、図4に示すように、それぞれ位相差をもってオープン、クローズを繰り返す。すなわち、操作ノブ10aを時計回り(CW方向)に回転させると、スイッチBは、スイッチAよりも遅れてオープン、クローズを繰り返し、操作ノブ10aを反時計回り(CCW方向)に回転させると、スイッチAは、スイッチBよりも遅れてオープン、クローズを繰り返す。
【0008】
MPU20は、入力端子P01および入力端子P02から入力される各信号のレベル変化に基づいて、操作ノブ10aが時計回り(CW方向)に操作されたか反時計回り(CCW方向)に操作されたかを判定し、メータの表示輝度を調整する。
【0009】
例えば、入力端子P01と入力端子P02の電位が共にハイレベルの状態から、入力端子P02の電位はハイレベルのままで、入力端子P01の電位がローレベルに変化すると、操作ノブ10aが時計回り(CW方向)に操作されたと判定し、メータの表示輝度が高くなるようにLED(図示せず)に流れる電流を増加させる。反対に、入力端子P01と入力端子P02の電位が共にローレベルの状態から、入力端子P01の電位はローレベルのままで、入力端子P02の電位がハイレベルに変化すると、操作ノブ10aが反時計回り(CCW方向)に操作されたと判定し、メータの表示輝度が低くなるようにLEDに流れる電流を減少させる。
【0010】
つまり、上記したMPU20は、ロータリエンコーダ10の回転方向を検出処理する検出処理回路を構成しており、このMPU20によって操作ノブ10aの回転方向を判定し、メータの表示輝度を調整する。
【0011】
しかしながら、上記したような構成では、ロータリエンコーダ10の回転方向を検出処理する検出処理回路において2つの入力端子を使用する必要がある。
【0012】
本発明は上記点に鑑みたもので、ロータリエンコーダの回転方向を検出処理する検出処理回路において使用する入力端子の数を少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、請求項1および2に記載の発明では、ロータリエンコーダから位相の異なる複数の2値信号が入力され、この入力された複数の2値信号を3段階以上の電圧レベルを有する1つの信号に変換するレベル変換回路と、前記レベル変換回路によって変換された信号を入力する入力端子を有し、当該入力端子から入力される前記信号の電圧レベルの変化に基づいて前記ロータリエンコーダの回転方向を検出処理する検出処理回路と、を備えたことを特徴としている。
【0014】
このように、レベル変換回路によって、ロータリエンコーダから入力される位相の異なる複数の2値信号が3段階以上の電圧レベルを有する1つの信号に変換されるので、ロータリエンコーダの回転方向を検出処理する検出処理回路において使用する入力端子の数を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る操作装置の概略構成を図1に示す。なお、上記した従来技術と同一部分には、同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分を中心に説明する。図3に示した操作装置は、ロータリエンコーダ10から入力された2つの2値信号をMPU20の入力端子P01および入力端子P02にそれぞれ入力するように構成されているが、図1に示す操作装置の構成は、抵抗40、41によってロータリエンコーダ10から入力された2つの2値信号を3段階の電圧レベルを有する1つの信号に変換してMPU20の入力端子P03に入力する構成となっている。また、MPU20は、入力端子P03から入力される信号の電圧レベルの変化に基づいて操作ノブの回転方向を検出するとともに検出した操作ノブの回転方向に基づいてメータ照明用のLEDの表示輝度を調整するための信号を出力する。
【0016】
なお、本実施形態におけるMPU20は、ロータリエンコーダ10の操作ノブ10aの回転方向を検出するロータリエンコーダの回転方向検出装置としての機能と、このロータリエンコーダの回転方向検出装置が検出したロータリエンコーダ10の操作ノブ10aの回転方向に基づいてメータ照明用のLEDに流れる電流を変化させメータの表示輝度を調整する制御回路としての機能を備えている。
【0017】
ロータリエンコーダ10は車両内における乗員による操作の可能な位置に設置され、抵抗40、41、第1、第2の入力端子a、b、電源端子cおよびMPU20はメータの裏側等に設けられる回路基板(図示せず)に搭載される。この回路基板の第1、第2の入力端子a、bとロータリエンコーダ10との間はケーブルを用いて接続される。
【0018】
ロータリエンコーダ10は、上述したように、スイッチA、Bを有し、これらのスイッチA、Bは、操作ノブ10aの軸回りの回転に応じてそれぞれオープン、クローズの動作を繰り返す。
【0019】
第1の入力端子aと定電圧電源(図示せず)から電源電圧が供給される電源端子cとの間には、第1、第2の抵抗40、41が直列接続されている。また、第1、第2の抵抗40、41の接続点および第2の入力端子bは、それぞれMPU20の入力端子P03と接続されている。なお、スイッチAがクローズ状態、スイッチBがオープン状態となった場合に、MPU20の入力端子P03の電位が中間レベルとなるように、抵抗40と抵抗41の各抵抗値は同一となっている。
【0020】
このような構成において、乗員がロータリエンコーダ10の操作ノブ10aを時計回り(CW方向)または反時計回り(CCW方向)に回転させると、スイッチA、Bは、図2に示すように、それぞれ位相差をもってオープン、クローズを繰り返す。すなわち、操作ノブ10aを時計回り(CW方向)に回転させると、スイッチBは、スイッチAよりも遅れてオープン、クローズを繰り返し、操作ノブ10aを反時計回り(CCW方向)に回転させると、スイッチAは、スイッチBよりも遅れてオープン、クローズを繰り返す。
【0021】
このとき、MPU20の入力端子P03には、図2に示すようなハイレベル、中間レベル、ローレベルの3段階の信号が入力される。すなわち、スイッチA、Bが共にオープン状態の場合、ハイレベルの信号がMPU20の入力端子P03に入力される。また、スイッチBはオープン状態のままで、スイッチAがクローズ状態になると、第1の入力端子aの電位はローレベルとなり、電源端子cの電圧を第1、第2の抵抗40、41によって分圧した中間レベルの信号がMPU20の入力端子P03に入力される。また、スイッチBがクローズ状態になると、スイッチAの状態と関係なく第2の入力端子bの電位はローレベルとなり、ローレベルの信号がMPU20の入力端子P03に入力される。
【0022】
すなわち、操作ノブ10aが時計回り(CW方向)に操作された場合、ハイレベル、中間レベル、ローレベル、ハイレベル、…の順番でMPU20の入力端子P03に信号が入力される。反対に、操作ノブ10aが反時計回り(CCW方向)に操作された場合、ハイレベル、ローレベル、中間レベル、ハイレベル、…の順番でMPU20の入力端子P03に信号が入力される。
【0023】
MPU20は、入力端子P03から入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路を有し、このA/D変換回路によって入力端子P03から入力される信号をA/D変換し、このA/D変換した信号のレベル変化に基づいて、操作ノブ10aが時計回り(CW方向)に操作されたか反時計回り(CCW方向)に操作されたかを判定し、メータの表示輝度を調整するためのLED(図示せず)に流れる電流を制御する。
【0024】
例えば、入力端子P03から入力された信号が、ローレベルからハイレベル、ハイレベルから中間レベル、中間レベルからローレベルに変化した場合には操作ノブ10aが時計回り(CW方向)に操作されたと判定し、メータの表示輝度が高くなるようにLED(図示せず)に流れる電流を増加させる。また、入力端子P03から入力された信号が、ローレベルから中間レベル、中間レベルからハイレベル、ハイレベルからローレベルに変化した場合には操作ノブ10aが反時計回り(CCW方向)に操作されたと判定し、メータの表示輝度が低くなるようにLEDに流れる電流を減少させる。
【0025】
上述したように、上記した構成によれば、ロータリエンコーダ10から位相の異なる2つの2値信号が入力され、この入力された2つの2値信号を3段階以上の電圧レベルを有する1つの信号に変換するレベル変換回路(抵抗40、41によって構成された回路)と、このレベル変換回路によって変換された信号を入力する入力端子P03を有し、この入力端子P03から入力される信号の電圧レベルの変化に基づいてロータリエンコーダ10の回転方向を検出処理する検出処理回路(MPU20)と、を備えている。
【0026】
このように、レベル変換回路によって、ロータリエンコーダ10から入力される位相の異なる2つの2値信号が3段階の電圧レベルを有する1つの信号に変換されるので、ロータリエンコーダ10の回転方向を検出処理する検出処理回路において使用する入力端子の数を少なくすることができる。
【0027】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0028】
例えば、本発明に係るロータリエンコーダ10の検出装置は、車両のメータの表示輝度の調整を行うための操作装置に用いられるものに限らず、ロータリエンコーダ10の検出方向を検出する装置であれば、上記した操作装置以外の他の装置に適用されていてもよい。
【0029】
また、上記実施形態では、図1に示したように、抵抗40、41を用いてロータリエンコーダ10から出力される2つの2値信号を3段階の電圧レベルを有する1つの信号に変換する例を示したが、図1に示した構成は一例であり、例えば、図5に示すように、ロータリエンコーダ11から操作ノブの回転に応じて位相の異なる3つの2値信号を出力するように構成し、これらの2値信号を4段階の電圧レベルを有する1つの信号に変換するように構成してもよい。この場合、図5に示すように複数の抵抗50〜52によりレベル変換回路を構成し、このレベル変換回路によってロータリエンコーダ11から入力される3つの2値信号に応じて4段階の電圧レベルを有する1つの信号に変換してMPU20の入力端子に入力するように構成すればよい。また、MPU20は、4段階の電圧レベルの変化に基づいて操作ノブの回転方向を検出するとともに検出した操作ノブの回転方向に基づく信号を出力すればよい。
【0030】
また、上記実施形態では、図1に示したように、抵抗40、41の抵抗値を同一とした構成の例を示したが、必ずしも同一である必要はなく、異なっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る操作装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る操作装置のロータリエンコーダの状態とMPUの入力信号の波形を示すタイミングチャートである。
【図3】従来技術としての操作装置の概略構成を示す図である。
【図4】従来技術としての操作装置のロータリエンコーダの状態とMPUの入力信号の波形を示すタイミングチャートである。
【図5】他の実施形態に係る操作装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
10、11…ロータリエンコーダ、10a…操作ノブ、20…MPU、
40、41、50〜52…抵抗。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリエンコーダから位相の異なる複数の2値信号が入力され、この入力された複数の2値信号を3段階以上の電圧レベルを有する1つの信号に変換するレベル変換回路と、
前記レベル変換回路によって変換された信号を入力する入力端子を有し、当該入力端子から入力される前記信号の電圧レベルの変化に基づいて前記ロータリエンコーダの回転方向を検出処理する検出処理回路と、を備えたことを特徴とするロータリエンコーダの回転方向検出装置。
【請求項2】
前記複数の2値信号は、2つの2値信号であって、前記レベル変換回路は、前記ロータリエンコーダから入力される前記2つの2値信号を入力する第1、第2の入力端子と、前記第1の入力端子と電源端子との間に直列に設けられた第1、第2の抵抗と、を備え、前記第1、第2の抵抗の接続点と第2の入力端子は前記制御回路の入力端子と接続されていることを特徴とする請求項1に記載のロータリエンコーダの回転方向検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−250691(P2006−250691A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−67271(P2005−67271)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】