説明

上部電極及びプラズマ処理装置

【課題】プラズマの均一性を高める。
【解決手段】平行平板型のプラズマ処理装置用の上部電極105であって、所望の誘電体から形成された基材105aと、前記基材105aの表面のうち、少なくとも前記プラズマ処理装置の下部電極210側の表面の一部に形成された導電体層110と、を含み、前記導電体層110は、前記下部電極210側の表面の外側が内側より密になるように疎密のパターンを有する上部電極105が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平行平板型のプラズマ処理装置用の上部電極及び前記上部電極を備えたプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマの作用により被処理体上にエッチングや成膜等の微細加工を施す装置としては、平行平板型(容量結合型)プラズマ処理装置、誘導結合型プラズマ処理装置、マイクロ波プラズマ処理装置等が実用化されている。このうち、平行平板型プラズマ処理装置では、対向して設けられた上部電極及び下部電極の少なくともいずれかに高周波電力を印加し、その電界エネルギーによりガスを励起させてプラズマを生成し、生成された放電プラズマによって被処理体を微細加工する。
【0003】
近年の更なる微細化の要請に伴い、100MHz程度の比較的高い周波数を持つ電力を供給し、高密度・低イオンエネルギーのプラズマを生成することが不可欠になってきている。供給される電力の周波数が高くなると、高周波の電流が、表皮効果により電極(上部又は下部)のプラズマ側の表面を端部側から中心側に向かって流れる。これによれば、電極の中心側の電界強度が電極の端部側の電界強度より高くなる。このため、電極の中心側にてプラズマの生成に消費される電界エネルギーは、電極の端部側にてプラズマの生成に消費される電界エネルギーよりも大きくなり、電極の端部側よりも電極の中心側にてガスの電離や解離が促進される。この結果、中心側のプラズマの電子密度は、端部側のプラズマの電子密度より高くなる。プラズマの電子密度が高い電極の中心側ではプラズマの抵抗率が低くなるため、対向電極でも電極の中心側に高周波(電磁波)による電流が集中して、プラズマ密度が不均一になる。
【0004】
これに対して、プラズマ密度の均一性を高めるために、電極のプラズマ面の中心部分にセラミックス等の誘電体を埋設することが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−323456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電極にセラミックス等の誘電体を埋設させると、プロセス中には加熱及び冷却が繰り返されるため、熱膨張差により両者の接合部分に応力が加えられ、誘電体にクラックが生じたり、チャンバ内が汚染されたりする場合があった。
【0007】
プラズマの均一性をより高めるために、電極に埋設する誘電体をテーパ状に形成することも提案されている。この場合、誘電体の端部では中心部よりキャパシタンス成分が大きくなるため、フラット構造の誘電体を埋設した場合より誘電体の端部にて電界強度が低下しすぎず、より均一な電界強度が得られる。
【0008】
しかしながら、誘電体がテーパ状であると、機械加工上の精度によりテーパ部分での寸法精度が悪くなる。この結果、誘電体のテーパ部分に熱膨張差や接合界面の寸法公差のバラツキ等により応力集中が生じる。この応力集中により、より電極にクラックが生じ易く、かつチャンバ内がパーティクルや金属等により汚染されやすくなっていた。
【0009】
上記問題に鑑み、本発明は、プラズマの均一性を高めることが可能な上部電極及びプラズマ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある態様によれば、平行平板型のプラズマ処理装置用の上部電極であって、所望の誘電体から形成された基材と、前記基材の表面のうち、少なくとも前記プラズマ処理装置の下部電極側の表面の一部に形成された導電体層と、を備え、前記導電体層は、前記下部電極側の表面の外側領域が内側領域より密になるように疎密のパターンを有することを特徴とする上部電極が提供される。
【0011】
かかる構成によれば、上部電極は、誘電体から形成された基材と、当該基材の下部電極側の表面に形成された導電体層とを有し、導電体層は、前記上部電極の外側が内側より密になるように疎密のパターンを有する。これにより、上部電極と、上部電極とプラズマの間に生成されるシースとの合成キャパシタは、上部電極の外側では内側より大きくなる。これにより、テーパ状に形成された誘電体を上部電極に埋設したことと同様の効果を得ることができ、プラズマの均一性をより高めることができる。
【0012】
前記導電体層は、前記上部電極の外側から内側に向けて突出する櫛歯状のパターン、前記上部電極の外側から内側に向けて突出する三日月状のパターン、前記上部電極の外側から内側に向けて開口するパターンのいずれかの疎密のパターンを有してもよい。
【0013】
前記導電体層の疎密のパターンと当該導電体層との境界は、前記下部電極に載置されるウエハの外端部より内側に位置していてもよい。
【0014】
前記導電体層と当該導電体層の疎密のパターンの境界には、前記上部電極の内側から外側に向かって前記導電体層が連続的に密になる、トランジション部が形成されていてもよい。
【0015】
前記導電体層は、グラウンド電位であってもよい。
【0016】
前記導電体層は、前記櫛歯状の歯の本数、当該歯の長さ及び当該歯間の幅の少なくともいずれかにより疎密のパターンを形成してもよい。
【0017】
前記疎密のパターンは、少なくとも異なる3種類の長さの前記櫛歯状の歯により形成され、前記上部電極の中心から最も長い櫛歯の先端までの距離は35〜50mm、前記上部電極の中心から中間の長さの櫛歯の先端までの距離は60〜90mm、前記上部電極の中心から最も短い櫛歯の先端までの距離は100〜125mmであってもよい。
【0018】
前記基材は、アルミナ(Al2O3)又は窒化アルミニウム(AlN)のいずれかから形成されてもよい。
【0019】
前記基材と、前記導電体層とを覆う保護層を更に備えてもよい。
【0020】
前記上部電極の基材は、複数のガス導入管が貫通してもよい。
【0021】
上記課題を解決するために、本発明の別の態様によれば、上部電極と下部電極とが対向して配置された平行平板型のプラズマ処理装置であって、前記上部電極は、所望の誘電体から形成された基材と、前記基材の表面のうち、少なくとも前記下部電極側の表面の一部に形成された導電体層と、を備え、前記導電体層は、前記下部電極側の表面の外側が内側より密になるように疎密のパターンを有することを特徴とするプラズマ処理装置が提供される。
【0022】
前記基材は、アルミナ(Al2O3)又は窒化アルミニウム(AlN)のいずれかから形成されてもよい。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明に係る上部電極及びプラズマ処理装置によれば、プラズマの均一性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係るプラズマエッチング装置の縦断面図である。
【図2】電極を流れる高周波を説明するための図である。
【図3】テーパ状の誘電体を電極に埋設した場合の電界強度を示した図である。
【図4】矩形状の誘電体を電極に埋設した場合と同等の電極における電界強度を示した図である。
【図5】一実施形態に係る上部電極の導電体層に疎密パターンを形成した場合の電界強度を示した図である。
【図6】3種類の疎密パターンの電界強度を示した図である。
【図7】一実施形態に係る上部電極の導電体層に形成された各種疎密パターンである。
【図8】図7の各種疎密パターンの電界強度を示した図である。
【図9】疎密パターンの櫛歯の長さを変化させた場合の電界強度を示した図である。
【図10】疎密パターンの櫛歯の長さを示した図である。
【図11】疎密パターンの櫛歯の形状を変化させた場合の電界強度を示した図である。
【図12】疎密パターンのトランジション部を示した図である。
【図13】一実施形態に係る上部電極の導電体層に疎密パターンを形成した場合のエッチングレートを示した図である。
【図14】上下電極間のギャップと電界強度との関係を示した図である。
【図15】変形例に係る各種疎密パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の各実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、同一の構成及び機能を有する構成要素については、同一符号を付することにより、重複説明を省略する。
【0026】
(プラズマ処理装置の全体構成)
まず、本発明の一実施形態に係る上部電極を有したプラズマ処理装置について説明する。
図1に本実施形態に係るプラズマエッチング装置を示す。プラズマエッチング装置10は、平行平板型のプラズマ処理装置の一例であり、上部電極と下部電極とが対向して配置されている。
【0027】
プラズマエッチング装置10は、減圧可能な処理容器100を有する。処理容器100は、小径の上部チャンバ100aと大径の下部チャンバ100bとから形成されている。処理容器100は、例えばアルミニウム等の金属から形成され、接地されている。
【0028】
処理容器100の内部には、上部電極105と下部電極210とが対向して配置され、これにより、一対の平行平板電極が形成されている。ウエハWは、ゲートバルブVから処理容器100の内部に搬入され、下部電極210に載置される。処理容器100の内部では、処理ガスを導入して高周波電力のパワーによりプラズマが生成される。下部電極210上のウエハWは、そのプラズマによりエッチング処理される。
【0029】
上部電極105は、上部基材105a、及び当該上部基材105aの直上にて上部基材105aとともにシャワーヘッドを形成するガス拡散部(導電体のベースプレート)105bを有している。処理ガスは、ガス供給源215から供給され、ガス拡散部105bにて拡散された後、ガス拡散部105bに連通する複数のガス通路を経て、上部基材105aを貫通する複数のガス導入管を介して複数のガス穴105cから処理容器内に導入される。
【0030】
下部電極210は、アルミニウム等の金属から形成された基材210aが絶縁層210bを介して支持台210cに支持されて構成され、電気的に処理容器100から浮いた状態になっている。支持台210cの下方部分はカバー216にて覆われている。支持台210cの下部外周には、バッフル板220が設けられていてガスの流れを制御する。
【0031】
下部電極210には、冷媒室210a1が設けられていて、冷媒導入管210a2のイン側から導入された冷媒が、冷媒室210a1を循環し、冷媒導入管210a2のアウト側から排出される。これにより、下部電極210を所望の温度に制御する。
【0032】
下部電極210の上の静電チャック機構225では、絶縁部材225aに電極部(金属シート部材)225bが埋め込まれている。電極部225bには直流電源235が配線を介して接続され、直流電源235から出力された直流電圧が電極部225bに印加されることにより、ウエハWは下部電極210に静電吸着される。静電チャック機構225の外周には、例えばシリコンにて形成されたフォーカスリング230が設けられていて、プラズマの均一性を維持する役割を果たしている。
【0033】
下部電極210は、整合器245を介して高周波電源250に接続されている。高周波電源250はプラズマ生成用の高周波電源であって、例えば100MHzの高周波が出力される。処理容器100内に供給された処理ガスは、高周波電源250から出力された高周波の電界エネルギーにより励起されて放電型プラズマが生成される。生成されたこのプラズマによってウエハWにエッチング処理が施される。
【0034】
また、下部電極210は、整合器260を介して高周波電源265に接続されている。高周波電源265はバイアス制御用の高周波電源であって、例えば3MHzや13MHzの高周波が出力される。高周波電源265から出力された高周波はバイアス電圧としてウエハWに印加され、下部電極210へのイオンの引き込みに使われる。
【0035】
処理容器100の底面には排気口270が設けられ、排気口270に接続された排気装置275を駆動することにより、処理容器100の内部を排気して所望の真空状態に保つようになっている。
【0036】
上部チャンバ100aの周囲には、マルチポールリング磁石280a、280bが配置されている。マルチポールリング磁石280a、280bは、複数の異方性セグメント柱状磁石がリング状の磁性体のケーシングに取り付けられていて、隣接する複数の異方性セグメント柱状磁石同士の磁極の向きが互いに逆向きになるように配置されている。これにより、磁力線が隣接するセグメント磁石間に形成され、上部電極105と下部電極210との間の処理空間の周辺部のみに磁場が形成され、処理空間にプラズマを閉じこめるように作用する。
【0037】
次に、上部電極105と下部電極210により形成される電界の強度分布について説明する。一般に、平行平板電極に印加された高周波は、下部電極の下方で中央部から端部へ向かってA波が伝搬し、下部電極の上方のプラズマ側では、端部から中央部へ向かってB波が伝搬する。そして、A波とB波が重なる点で定在波が生成されるため、特に電極の中心部の電位(電界)が高くなる分布が形成される。そのため、図2(a)に示したように、高周波電源250から、例えば100MHzの高周波電力が下部電極210に印加されると、表皮効果により高周波の電流は、下部電極210の下部表面を中央部から端部に向かって伝搬し、下部電極210の上部表面を端部から中央部に向けて伝搬する。これによれば、下部電極210の中心側の電界強度が下部電極210の端部側の電界強度より高くなり、下部電極210の中心側では端部側よりガスの電離や解離が促進される。この結果、下部電極210の中心側のプラズマの電子密度は、端部側のプラズマの電子密度より高くなる。プラズマの電子密度が高い下部電極210の中心側ではプラズマの抵抗率が低くなるため、対向する上部電極105においても上部電極105の中心側に高周波による電流が集中して、さらにプラズマ密度の不均一が高まる。その結果、図2(b)に示したように、周波数が高いほどウエハ中心部の電界強度が周辺部より高くなる。特に、100MHzの高周波電力では電界強度の不均一性が高いため、プラズマ密度がより不均一に生成されてしまう。
【0038】
プラズマの均一性を高めるために、図3(a)に本願発明の基本的な構成を示す。誘電体920aに導電体925を覆った構成の電極(上部電極)920にテーパ状の誘電体920bを埋設して形成した構造の場合について説明する。この場合、誘電体920aの中心部を凹上にして、誘電体920a表面を導電体925覆うように形成する、電極920を構成する基材920aのプラズマ面の中心部分(凹部)にテーパ状の誘電体920bを勘合埋設し、その間を金属性接着剤925で接着する。そして、その電極920の表面に耐プラズマ性の高いイットリア(Y2O3)などを溶射して絶縁性の保護層930を形成する。図3(b)の曲線Ea’、Eb’、Ec’は、厚さが同一でテーパ比φA/φBが異なる誘電体920bを基材920aに挿入した場合のウエハ中心からの距離r(mm)に対する電界強度E(a.u.)を示す。曲線Ea’、Eb’、Ec’の誘電体920bのテーパ比φA/φBは、Ea’<Eb’<Ec’の関係にある。ここでは、テーパ状の誘電体920bはアルミナで形成され、下部電極に100MHzのプラズマ励起用の高周波電力が印加される。この場合、誘電体920bの端部では中心部よりキャパシタンス成分が大きくなるため、誘電体920bの端部においてインピーダンスを低下させることができる。その結果、円筒状の誘電体を埋設した場合より誘電体の端部にて電界強度が低下しすぎず、より均一な電界強度が得られていることがわかる。
【0039】
しかしながら、基材と誘電体とを接合することの難易度は高い。例えば金属の基材とセラミックスの誘電体との接着剤による接合では、接着剤が表面に露出してしまう。露出しないように表面にさらに誘電体を張り合わせると線膨張係数差により隙間が発生する。
【0040】
また、例えば誘電体の基材と金属被膜で覆われた誘電体との接着剤による接合では、接着剤が表面に露出してしまう。例えばロウ付けによる接合では、ロウ材収縮時の応力が蓄積されるため割れの懸念がある。
【0041】
これに対して、誘電体の接合をせずに電界強度の均一性を高める方法の一例として、図4(a)に示す電極905について説明する。電極905は、誘電体からなる基材905aの外周部を導電体で覆った構成を有している。この場合、基材905aの外周部の表面を導電体層910で覆い、さらにその導電体層910の表面に耐プラズマ性の高いイットリア(Y2O3)などを溶射して絶縁性の保護層915を形成する。なお、基材905aの中心部は導電体に覆われていない。即ち、導電体層910は、基材905aのプラズマ面の内側には形成されず、プラズマ面の外周側にドーナッツ状に形成される。図4(b)の曲線Ea、Eb、Ecは、大きさ及び厚さが同一な基材905aに異なる内径のドーナッツ状の導電体層910を形成した場合の電界強度を示す。曲線Ea、Eb、Ecの内径は、Ea<Eb<Ecの関係にある。この場合にも、基材はアルミナで形成され、下部電極に100MHzのプラズマ励起用の高周波電力が印加される。
【0042】
図4(b)に示したように、導電体層が設けられていないフラットな基材(FlatUEL)に比べて、電極905のプラズマ面内の中央にて電界強度が抑えられ、電極905のプラズマ面内での電界強度の均一性が高められている。しかし、その電界強度分布には、導電体層910がある部分とない部分との境目あたりで急峻な変化が見られる。よって、製作が容易な表面処理(形成方法)により、導電体層910がある部分とない部分との境目を、単に、導電体層910をドーナッツ状に形成するのみでは、電界強度の均一性について図3のテーパ状の誘電体を埋め込んだ場合と同様の効果を得ることはできない。
【0043】
(電極構造)
そこで、本実施形態に係る上部電極105では、誘電体の上部基材105aのプラズマ側の面の外周部を導電体層で被膜し、これにより導電体層を形成する。これに加えて、基材105の内側に向けて導電体層の表面に所定のパターンを形成する。図5(a)は、上部電極105のプラズマ側(下部電極側)の面を示した図である。図5(b)は、図5(a)の1−1断面図である。
【0044】
図5(b)を参照すると、上部基材105aの外周部の表面は導電体層110で覆われ、さらにその上部基材105aの表面全体に耐プラズマ性の高いイットリア(Y2O3)などを溶射して保護層115が形成されている。このようにして、保護層115は上部基材105aと導電体層110とを覆う。
【0045】
以下では、上部電極105のプラズマ面を、外周部、内周部及びその間のグラデーション部に分けて説明する。導電体層110は外周部全体を覆っている。一方、導電体層110は内周部(電極中心部)には形成されていない。
【0046】
本実施形態に係る上部電極105の構成では、図5(a)に示した導電体層110の疎密のパターンは、上部電極105の外側から内側に向けて突出する櫛歯状のパターンである。具体的には、3種類の異なる長さの線状の櫛歯が内側に向けて突出している。ここでは、1本の幅が1°の64本の櫛歯が、外周部の内周面側から360°等間隔に内側に向けて放射状に設けられている。3種類の櫛歯の配置位置には対称性があり、ここでは、最も長い櫛歯、最も短い櫛歯、中間の長さの櫛歯、最も短い櫛歯、最も長い櫛歯の順に配置されている。例えば、図5(a)では、外周部では金属の密度が100%、グラデーション部では最も短い櫛歯までの金属の密度が80%、中間の長さの櫛歯までの金属の密度が60%、最も長い櫛歯までの金属の密度が40%、内周部では金属の密度が0%となっている。このように、プラズマ面側の導電体層110は、外側が内側より密になるように疎密のパターンが形成されている。
【0047】
図5(c)は、上記パターンの導電体層110を有する上部電極105を用いた場合のウエハ中心からの距離r(mm)に対する電界強度E(a.u.)を示す。この場合にも、基材はアルミナで形成され、下部電極に100MHzのプラズマ励起用の高周波電力が印加される。これによれば、上部電極105のプラズマ側の中間部(グラデーション部)に長さの異なる突起状の導電体層110を重ねることで、図5(c)の曲線Ep1に示したように、上記テーパ状の誘電体を埋め込んだ場合と同様に、電界強度の分布をなだらかで均一にすることができる。本実施形態に係る上部電極105の効果は、フラットな基材の場合の電界強度の分布を示した曲線Er1と比べても顕著である。これにより、ウエハのエッチングレートを均一にすることができる。また、本実施形態に係る上部電極105の製造では、接合工程が不要となる。これにより、熱膨張差や接合界面の寸法公差のバラツキ等により応力集中して電極にクラックが生じたり、チャンバ内が汚染されたりすることを防止できる。
【0048】
図5(b)に示したように、導電体層110は、上部基材105aの側面や上面を被覆してもよいが、これに限られない。例えば、導電体層110は、上部基材105aの表面のうち、少なくとも前記プラズマ処理装置の下部電極側の表面の一部に形成し、接地された処理容器100に接続されたり、キャパシタンスを介して容量的に結合されたりすることによりグランド電位となれば、上部基材105aの側面や上面を被覆していなくてもよい。
【0049】
(パターン評価1)
次に、導電体層110のパターン評価について説明する。発明者は、導電体層110のグラディエーション層に形成する3種類のパターンについて、その電界強度分布を調べた。その結果を図6に示す。
【0050】
図6は、上記導電体層110を有する上部電極105を用いた場合のウエハ中心からの距離r(mm)に対する電界強度E(a.u.)を示す。この場合にも、基材はアルミナで形成され、下部電極に100MHzのプラズマ励起用の高周波電力が印加される。具体的には、3種類のパターンのいずれも、3種類の異なる長さの線状の櫛歯が内側に向けて突出している。3種類の櫛歯の配置位置には対称性がある。ここでは、最も長い櫛歯、最も短い櫛歯、中間の長さの櫛歯、最も短い櫛歯、最も長い櫛歯の順に配置されている。三角のマークEp1は、図5(c)と同様に、1本の幅が1°で64本の櫛歯パターンの場合の電界強度分布を示している。四角のマークEp2は、1本の幅が2°で32本の櫛歯パターンの場合の電界強度分布を示している。×のマークEp3は、1本の幅が4°で16本の櫛歯パターンの場合の電界強度分布を示している。
【0051】
また、図6には、比較例として、図5(c)に示したフラットな電極の電界強度Er1の分布、及び、図4(a)に示した基材905aに形成した(例えば、溶射或いは表面処理を施した)電極の電界強度Er2の分布が示されている。これによれば、櫛歯のパターンを有する電極の電界強度Ep1,Ep2,Ep3の分布は、フラットな電極の電界強度Er1の分布より電極中央にて電界強度が低下し、均一性が高まっている。また、同電界強度Ep1,Ep2,Ep3の分布は、表面処理を施した電極の電界強度Er2の分布より、なだらかで均一性が高まっている。さらに、櫛歯のパターンの電界強度Ep1,Ep2,Ep3を比較すると、櫛歯の本数はEp1,Ep2,Ep3の順に減少し、櫛歯の本数が少なくなるほど、電界強度が外周から内周へ向かって単調に減少せず、W型に分布する傾向が強くなり、プラズマの均一性が悪くなる。この結果から、径方向でプラズマを均一にし、ばらつきのない良好なエッチングレートを確保するためには、導電体層110に形成するパターンの各櫛歯は2°以下、32本以上であることが好ましい。
【0052】
また、四角のマークEp2及び×のマークEp3の曲線は、周方向でグラフに示すような幅のバラツキを持っている。この結果から、周方向でプラズマを均一にし、ばらつきのない良好なエッチングレートを確保するためには、導電体層110に形成するパターンの各櫛歯は1°以下、本数は64本以上であることがより好ましい。
【0053】
(パターン評価2)
次に、発明者は、導電体層110の他の3種類のパターンについて、その電界強度分布を調べた。パターン形状を図7に示し、その電界強度分布を図8に示す。
【0054】
図7(a)に示した導電体層110の疎密のパターンでは、上部電極105の外側から内側に向けて突出する櫛歯は長短の2種類のみである。図7(a)では、8本の長い櫛歯及び8本の短い櫛歯が、外周部の内周面側から360°等間隔に内側に向けて交互に形成されている。
【0055】
図7(b)及び図7(c)に示した導電体層110の疎密のパターンは、図5(a)で説明したパターンと同様に、3種類の異なる長さの線状の櫛歯が内側に向けて突出している。ここでは、64本の櫛歯が、外周部の内周面側から360°等間隔に内側に向けて形成されている。3種類の櫛歯の配置位置には対称性があり、ここでは、最も長い櫛歯、最も短い櫛歯、中間の長さの櫛歯、最も短い櫛歯、最も長い櫛歯の順に配置されている。図7(c)の最も長い櫛歯の長さは、図7(b)の最も長い櫛歯の長さより長い点で、図7(b)及び図7(c)に示したパターンは異なっている。
【0056】
図8は、上記導電体層110を有する上部電極105を用いた場合のウエハ中心からの距離r(mm)に対する電界強度E(a.u.)を示す。この場合にも、基材はアルミナで形成され、下部電極に100MHzのプラズマ励起用の高周波電力が印加される。これによれば、櫛歯の本数が最も少ない図7(a)のパターンの電極の電界強度Ep4の分布は、ややW型となっていて、プラズマの均一性が悪い。一方、櫛歯の本数が多い図7(b)及び図7(c)のパターンの電極の電界強度Ep5、Ep6の分布は均一であるため、図7(a)のパターンの電極を用いた場合よりプラズマの均一性は高くなる。この結果から、プラズマを均一にし、ばらつきのない良好なエッチングレートを確保するためには、導電体層110に形成するパターンの各櫛歯の本数は16本より多い必要がある。
【0057】
(パターン評価3)
次に、発明者は、導電体層110の疎密のパターンの櫛歯の長さを変化させた場合について、その電界強度分布の変化を調べた。その結果を図9に示す。図9は、図7(b)や図7(c)に示すような3種類の異なる長さの櫛歯を64本設け、図9に示す、上部電極105の中心から各櫛歯の先端までの距離GR1、GR2、GR3を変化させた場合の電界強度E(a.u.)の変化を示すグラフである。
【0058】
図9の曲線Ed1は、図10に示す最も長い櫛歯の先端までの距離GR1を47.5mm、中間の長さの櫛歯の先端までの距離GR2を80mm、最も短い櫛歯の先端までの距離GR3を105mm場合の電界強度分布を示している。曲線Ed2は、最も長い櫛歯の先端までの距離GR1を55mm、中間の長さの櫛歯の先端までの距離GR2を90mm、最も短い櫛歯の先端までの距離GR3を105mm場合の電界強度分布を示している。曲線Ed3は、上部電極105の中心から最も長い櫛歯の先端までの距離GR1と、中間の長さの櫛歯の先端までの距離GR2を共に100mmとし、最も短い櫛歯の先端までの距離GR3を120mmとした場合、即ち櫛歯の長さを2種類とした場合の電界強度分布を示している。なお、いずれの場合も、上部電極105外周部の、導電体層110により完全に覆われている領域までの距離GR0は125mmとした。曲線FlatUEL(Flat状上部電極)は、図4(b)に示したように、導電体層が設けられていないフラットな基材を用いた場合の電界強度分布である。
【0059】
図9に示すように、上部電極105の中心から各櫛歯の先端までの距離を短くすると、換言すれば、櫛歯の長さを長くすると、上記テーパ状の誘電体920bのテーパ比を相対的に大きくし、櫛歯の長さを長くするとテーパ比を相対的に小さくした場合と同じ効果が得られていることがわかる。具体的には、櫛歯の長さを長くするほど上部電極105の中心近傍の電界強度を低下させ、より均一な電界強度が得られていることがわかる。
【0060】
(パターン評価4)
次に、発明者は、導電体層110の疎密のパターンの櫛歯の形状を変化させた場合について、ウエハWに酸化膜を形成する際の電界強度分布の変化を調べた。その結果を図11に示す。その際の処理容器100内の条件は、圧力20mTorr、処理ガスC4F8/Ar/O2=60/400/20sccmとし、プラズマ生成用の高周波電力を100MH/1000W、バイアス制御用の高周波電力を3MHz/5500Wとした。
【0061】
図11の四角◇のマークEf1は、導電体層110の疎密のパターンにおける各櫛歯の先端までの距離GR1、GR2、GR3を、それぞれ40mm、75mm、100mmとした場合の電界強度分布を示している。四角□のマークEf2は、GR1、GR2、GR3を、それぞれ40mm、75mm、100mmとする点でEf1とは同様であるが、導電体層110の疎密のパターンに、導電体層110の面積が連続的に変化するトランジション部を形成した場合の電界強度分布を示している。
【0062】
トランジション部は、例えば図12に示すように、導電体層110と当該導電体層110の疎密のパターンの境界、換言すれば、誘電体の上部基材105aと導電体層110との境界に形成されている。このトランジション部は、上部電極105の内側から外側に向かって導電体層110が連続的に蜜になるように形成されており、例えば図12に示すように、導電体層110の疎密のパターンの最外部の領域Xにおいて導電体層110の櫛歯の幅が徐々に広がるように形成されている。この際、導電体層110の疎密のパターンと導電体層110との境界は、下部電極210に載置されるウエハWの外端部よりも内側に位置している。すなわち、上部電極105の中心から導電体層110の疎密のパターンの外周端部までの距離は、ウエハWの半径よりも小さい。
【0063】
図11に示すように、櫛歯のみのパターンにおける電界強度Ef1の分布は、ウエハWの外周端部近傍において急峻な電界強度のピークが存在する。一方、トランジション部を有する電界強度Ef2の分布は、ウエハWの外周端部近傍での電界強度が低下し、より均一性が高まっている。この結果から、電界強度分布を均一にし、ばらつきのない良好なエッチングレートを確保するためには、導電体層110と当該導電体層110の疎密のパターンの境界にトランジション部を設けることが好ましい。また、トランジション部の外周端部は、ウエハWの外周端部よりも内側に位置していることが好ましい。なお、本実施の形態におけるトランジション部は、疎密のパターンの境界に三角形状に形成したが、導電体層110の比率が連続的に変化するものであれば、その形状は任意に設定が可能であり、本実施の形態に限定されるものではない。
【0064】
(パターン評価5)
次に、発明者は、導電体層110の有無によるエッチングレートへの影響について調べた。エッチングの条件は、処理容器100内の条件が圧力20mTorr、処理ガスO2=200sccmとし、プラズマ生成用の高周波電力を100MH/1000Wとし、ウエハW上に形成されたレジスト膜をエッチングした。その結果を図13に示す。
【0065】
図13の四角のマークFlatUELは、導電体層が設けられていない、既述のフラットな基材の上部電極905を用いた場合のエッチングレートを示し、三角のマークEg1は、トランジション部を有する上部電極105を用いた場合のエッチングレートを示す。トランジション部を有する導電体層110の疎密のパターンにおける各櫛歯の先端までの距離GR1、GR2、GR3は、それぞれ40mm、75mm、100mmとし、図11のEf2の場合と同様に、トランジション部の外周端部をウエハWの外周端部よりも内側に位置させた場合の電界強度分布を示している。
【0066】
図13に示すように、導電体層が設けられていない場合(FlatUEL)は、中心部のエッチングレートが外周部のエッチングレートより高くなる。その一方、疎密のパターンの導電体層110を設けた場合、中心部のエッチングレートがFlatUELの場合と比較して低下し、良好な均一性が得られる。この結果から、上部電極105に櫛歯のパターンを設けることで、エッチングレートの分布についても、上記テーパ状の誘電体を埋め込んだ場合と同様の効果を得られることが確認された。
【0067】
なお、発明者によれば、均一な電界分布及びエッチングレートを得るためには、各櫛歯の先端までの距離は、GR1が35〜50mm、GR2が60〜90mm、GR3が100〜125mmとすることが好ましく、トランジション部を設ける場合は、GR0を140〜145mmとし、領域Xの長さを15〜20mmとすることが好ましい。さらには、トランジション部における導電体層110と上部基材105aとの平均の比率を、40%〜60%のとすることが好ましい。
【0068】
(ギャップによる影響)
次に、発明者は、図5(a)に示したパターンに対して、その電界強度分布のギャップによる影響を調べた。図5(a)に示した疎密のパターンは、1本の幅が1°の64本の櫛歯が、外周部の内周面側から360°等間隔に内側に向けて放射状に設けられているものである。
【0069】
図14は、図5(a)の導電体層110を有する上部電極105を用いた場合のウエハ中心からの距離r(mm)に対する電界強度E(a.u.)を示す。ただし、図14に示した電界強度E/E0は、ウエハ中心の値で規格化されている。また、上部電極105と下部電極210とのギャップは、三角のマークが10(mm)、×のマークが30(mm)、アスタリスクのマークが50(mm)を示す。
【0070】
これによれば、ギャップが30(mm)及び50(mm)の場合、周方向のバラツキが小さい。これに対して、ギャップが10(mm)の場合、周方向にグラフに示すような幅のバラツキを持っている。このようにギャップが10(mm)の場合には、周方向のバラツキが顕著になる。通常のエッチング処理装置では、ギャップは20〜50mm程度であるため、1本の幅が1°の64本の櫛歯のパターンであれば、電界強度分布の均一性は十分得られることが証明された。また、電極間の距離が短くなるほど、電極の更なる細分化が必要となる。
【0071】
(変形例)
図15は、導電体層110の有するパターンの変形例を示す。図15(a)には、上部電極105の外側から内側に向けて三日月状に突出するパターンが示されている。三日月状の突出部分は、同じ方向に向いていても良く、対称性を持って異なる方向に向いていてもよい。ここでは、最も長い櫛歯、最も短い櫛歯、中間の長さの櫛歯、最も短い櫛歯、最も長い櫛歯の順に配置されている。これによっても、上部電極105の外側が内側より密になるように導電体層110の疎密パターンを形成することができる。
【0072】
図15(b)には、上部電極105の外側から内側に向けて突出する櫛歯状に類似するパターンが示されている。このパターンには対称性がある。また、このパターンでも、最も長い櫛歯、最も短い櫛歯、中間の長さの櫛歯、最も短い櫛歯、最も長い櫛歯の順に配置されている。これによっても、上部電極105の外側が内側より密になるように導電体層110の疎密パターンを形成することができる。
【0073】
図15(c)も、図15(b)の更なる変形例である。このパターンにも対称性がある。また、このパターンでも、最も長い櫛歯、最も短い櫛歯、中間の長さの櫛歯、最も短い櫛歯、最も長い櫛歯の順に配置されている。これによっても、上部電極105の外側が内側より密になるように導電体層110の疎密パターンを形成することができる。
【0074】
図15(d)には、上部電極105の外側から内側に向けて開口するパターンが示されている。開口径は、上部電極105の外側から内側に向けて大きくなっている。これによっても、上部電極105の外側が内側より密になるように導電体層110の疎密パターンを形成することができる。また、導体が存在しない開口の数に疎密をもたせることで、導電体層110の疎密パターンを形成することもできる。
【0075】
以上に説明したように、本実施形態及びその変形例によれば、上部電極105は、誘電体から形成された基材105aと、基材105aの下部電極210側の表面に形成された導電体層110とを有する。導電体層110には、上部電極105の外側が内側より密になるように疎密のパターンが形成されている。このため、上部電極105と上部電極105とプラズマの間に生成されるシースとの合成キャパシタは、上部電極105の外側では内側より大きくなる。これにより、テーパ状に形成された誘電体を上部電極105に埋設したこと場合と同様に、プラズマの均一性をより高めることができる。また、テーパ状の誘電体を上部電極105に埋設した場合より高精度に電界(電位)分布の制御が出来き、均一なプラズマを形成することが可能である。
【0076】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0077】
例えば、導電体層110のパターンは上記例に限られず、櫛歯状の歯の本数、当該歯の長さ及び当該歯間の幅の少なくともいずれかにより疎密のパターンを形成することができる。
【0078】
また、上部電極の基材は、アルミナ(Al2O3)又は窒化アルミニウム(AlN)のいずれかから形成されてもよい。導電体層は、アルミニウム(Al)でもよく、タングステン(W)でもよい。
【0079】
また、導電体層及び保護層は、すべて溶射法で形成することにより製造コストを低減することができる。例えば、導電体層は、基材に所定のマスキングを施した後、100μm程度の厚さのアルミニウムのパターンを溶射することにより形成できる。しかしながら、導電体層及び保護層は、これに限らず、CVDやメタライズにより形成してもよい。なお、保護層を5mm厚程度の板材で形成し、同等に機能させることも可能である。
【0080】
また、プラズマ生成用の高周波電源に印加される高周波電力は、最適な設定で用いることが出来、例えば40MHz以上であればよい。
【0081】
また、被処理体は、いずれのサイズのシリコンウエハにも適用できる。
【符号の説明】
【0082】
10 プラズマエッチング装置
100 処理容器
105 上部電極
105a 基材
110 導電体層
115 保護層
210 下部電極
E 電界強度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行平板型のプラズマ処理装置用の上部電極であって、
所望の誘電体から形成された基材と、
前記基材の表面のうち、少なくとも前記プラズマ処理装置の下部電極側の表面の一部に形成された導電体層と、を備え、
前記導電体層は、前記下部電極側の表面の外側領域が内側領域より密になるように疎密のパターンを有することを特徴とする上部電極。
【請求項2】
前記導電体層は、前記上部電極の外側から内側に向けて突出する櫛歯状のパターン、前記上部電極の外側から内側に向けて突出する三日月状のパターン、前記上部電極の外側から内側に向けて開口するパターンのいずれかの疎密のパターンを有することを特徴とする請求項1に記載の上部電極。
【請求項3】
前記導電体層の疎密のパターンと当該導電体層との境界は、前記下部電極に載置されるウエハの外端部より内側に位置していることを特徴とする、請求項1又は2のいずれかに記載の上部電極。
【請求項4】
前記導電体層と当該導電体層の疎密のパターンの境界には、前記上部電極の内側から外側に向かって前記導電体層が連続的に密になる、トランジション部が形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の上部電極。
【請求項5】
前記導電体層は、グラウンド電位であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の上部電極。
【請求項6】
前記導電体層は、前記櫛歯状の歯の本数、当該歯の長さ及び当該歯間の幅の少なくともいずれかにより疎密のパターンを形成することを特徴とする請求項2に記載の上部電極。
【請求項7】
前記疎密のパターンは、少なくとも異なる3種類の長さの前記櫛歯状の歯により形成され、前記上部電極の中心から最も長い櫛歯の先端までの距離は35〜50mm、前記上部電極の中心から中間の長さの櫛歯の先端までの距離は60〜90mm、前記上部電極の中心から最も短い櫛歯の先端までの距離は100〜125mmであることを特徴とする、請求項6に記載の上部電極。
【請求項8】
前記基材は、アルミナ(Al)又は窒化アルミニウム(AlN)のいずれかから形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の上部電極。
【請求項9】
前記基材と、前記導電体層とを覆う保護層を更に備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の上部電極。
【請求項10】
前記上部電極の基材は、複数のガス導入管が貫通することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の上部電極。
【請求項11】
上部電極と下部電極とが対向して配置された平行平板型のプラズマ処理装置であって、
前記上部電極は、
所望の誘電体から形成された基材と、
前記基材の表面のうち、少なくとも前記下部電極側の表面の一部に形成された導電体層と、を備え、
前記導電体層は、前記下部電極側の表面の外側が内側より密になるように疎密のパターンを有することを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記基材は、アルミナ(Al2O3)又は窒化アルミニウム(AlN)のいずれかから形成されていることを特徴とする請求項11に記載の上部電極。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−186457(P2012−186457A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−28429(P2012−28429)
【出願日】平成24年2月13日(2012.2.13)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】