説明

両面粘着テープ

【課題】高い耐熱性を有し、光を照射することにより被着体を損傷することなく容易に剥がすことができる両面粘着テープを提供する。
【解決手段】基材の両面に粘着剤層が形成された半導体加工用の両面粘着テープであって、前記基材は、23℃における窒素ガス透過性が100×10−17mol・m−1−1Pa−1以上であり、一方の粘着剤層は、アジド化合物を含有し、かつ、反応性二重結合を有する化合物を含有しないものであり、他方の粘着剤層は、刺激によって硬化する粘着剤からなる半導体加工用両面粘着テープである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い耐熱性を有し、光を照射することにより被着体を損傷することなく容易に剥がすことができる両面粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープに求められる性能はその用途により様々であるが、用途によっては、必要な間だけ強固に被着体に接着して固定できる一方で、使用後には容易に剥がせることが要求されることがある。
例えば、ICチップの製造工程において、高純度なシリコン単結晶等から切り出した厚膜ウエハを所定の厚さにまで研削して薄膜ウエハとする場合に、厚膜ウエハを支持板に接着して補強することにより、効率よく作業を進めることが提案されている。このとき厚膜ウエハと支持板とを接着するための両面粘着テープとしては、研削工程中には強固に接着する一方で、研削工程終了後には得られた薄膜ウエハを損傷することなく支持板から剥がせることが求められる。また、同様にICチップの製造方法において、研削済のウエハをダイシングする際に用いるダイシングテープにも、ダイシング工程中には強固に接着する一方で、ダイシング工程終了後には得られたICチップを損傷することなくダイシングテープから剥がせることが求められる。
【0003】
粘着テープを剥がす方法としては、例えば、物理的な力を加えて引き剥がすことが考えられる。しかしながら、この方法では被着体が軟弱な場合には重大な損傷を与えてしまうことがある。また、粘着剤を溶解できる溶剤を用いて粘着テープを剥がす方法も考えられる。しかしながら、この方法も被着体が溶剤によって侵されるものである場合には用いることができない。
このように、いったん接着に用いた粘着テープは、接着力が強固であるほど、被着体を損傷することなく剥がすことが困難であるという問題点があった。
【0004】
これに対して特許文献1には、光硬化型の粘着剤中に光を照射することにより気体を発生する気体発生剤を含有した粘着剤層を有する両面粘着テープを介してウエハを支持板に固定し、この状態でウエハの研削等の工程を行うICチップの製造方法が開示されている。このような両面粘着テープに光を照射すると、光照射により粘着剤が硬化して弾性率が上昇する一方、気体発生剤から気体が発生する。弾性率が上昇した粘着剤層中で発生した気体は、高い効率で粘着剤層から放出されて、接着面の少なくとも一部を剥離する。従って、このような両面粘着テープを用いれば、極めて破損しやすい極薄のICチップを製造する場合であっても、両面粘着テープに光を照射することにより、容易にかつ破損させることなくウエハから両面粘着テープを剥離することができる。
【0005】
特許文献1に記載された両面粘着テープにおいては、気体発生剤として特にアゾ化合物が好ましい旨が記載されている。これは、アゾ化合物は取扱いが極めて容易であること、連鎖反応を起こして爆発的に気体を発生することもないため被着体を損傷する危険性がないこと、紫外線の照射を中断すれば気体の発生も中断できることから用途に合わせた接着性の制御が可能であること等の種々の利点があることによる。しかしながら、アゾ化合物は、150℃程度の熱により分解してしまうことから、耐熱性の面では必ずしも充分ではなかった。例えば、上述のICチップの製造方法においては、近年スパッタリングによる金属薄膜形成工程等を行うこともあり、このような工程においてはウエハの表面温度が150℃を超えることも珍しくない。このような高温工程を経る場合には、従来のアゾ化合物を用いた粘着テープでは所期の剥離性を発揮できないこともあった。
【0006】
これに対して、特許文献1には、気体発生剤としてアジド化合物も記載されている。また、特許文献2にも、アジド化合物を含有する剥離性の高い半導体固定用粘着剤が記載されている。アジド化合物は、アゾ化合物に比べて耐熱性に優れることから、アジド化合物を用いれば高温工程を有する用途に使用しても、充分な剥離性能が得られることが期待された。しかしながら、実際には、アジド化合物を用いても充分な剥離性能が得られないという問題があった。
【特許文献1】特開2003−231872号公報
【特許文献2】特開2001−200234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高い耐熱性を有し、光を照射することにより被着体を損傷することなく容易に剥がすことができる両面粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、基材の両面に粘着剤層が形成された半導体加工用の両面粘着テープであって、前記基材は、23℃における窒素ガス透過性が100×10−17mol・m−1−1Pa−1以上であり、一方の粘着剤層は、アジド化合物を含有し、かつ、反応性二重結合を有する化合物を含有しないものであり、他方の粘着剤層は、刺激によって硬化する粘着剤からなる半導体加工用両面粘着テープである。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
気体発生剤を含有する粘着テープにおいて充分な剥離性を発揮させるためには、気体発生時に粘着剤層が硬化しており、発生した気体が高い効率で接着界面に放出されることが重要である。紫外線硬化型粘着剤としては、反応効率に優れることから、(メタ)アクリレート基を重合性反応基とする(メタ)アクリル樹脂が用いられるのが技術常識であった。特許文献1、2においても、少なくとも実施例においては(メタ)アクリル樹脂が用いられている。
本発明者らは、鋭意検討の結果、(メタ)アクリル樹脂にアジド化合物を含有させた場合には、アジド化合物が(メタ)アクリレート基と反応することにより気体発生性能を失ってしまうことを見出した。
【0010】
本発明者らは、鋭意検討の結果、(メタ)アクリレート基を重合性反応基とする(メタ)アクリル樹脂とアジド化合物とを基材によって隔離することによりアジド化合物の気体発生性能の低下を防止できること、及び、基材として窒素ガス透過性に優れるものを選択することによりアジド化合物から発生した気体が基材と(メタ)アクリル樹脂層とを透過して(メタ)アクリル樹脂層の表面に放出されて、接着面の少なくとも一部を剥離できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明の半導体加工用両面粘着テープ(以下、単に「両面粘着テープ」ともいう)は、基材の両面に粘着剤層が形成されたものである。
上記基材は、23℃における窒素ガス透過性の下限が100×10−17mol・m−1−1Pa−1である。100×10−17mol・m−1−1Pa−1未満であると、アジド化合物から発生した窒素ガスが基材を透過できず、充分な剥離性能を発揮することができない。好ましい下限は500×10−17mol・m−1−1Pa−1である。
【0012】
上記基材の窒素ガス透過性の上限については特に限定されないが、上記基材が多孔質な膜である場合、気泡の容積の好ましい上限は90%である。90%を超えると、紫外線照射においての光線通過効率が非常に低く、また(メタ)アクリレート基を重合性反応基とする(メタ)アクリル樹脂とアジド化合物との隔離が不充分となり、長期保存中にアジド化合物の気体発生性能が低下してしまう。より好ましい上限は60%である。
【0013】
上記基材としては、具体的には例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリスチレン等からなるフィルム、網目状の構造を有するメッシュフィルム、多孔性フィルム等が挙げられる。
上記基材としては、また、光を透過又は通過するものであることが好ましい。
【0014】
上記基材の厚さとしては特に限定されないが、好ましい下限は30μm、好ましい上限は200μmである。30μm未満であると、(メタ)アクリレート基を重合性反応基とする(メタ)アクリル樹脂とアジド化合物との隔離が不充分となり、長期保存中にアジド化合物の気体発生性能が低下してしまうことがあり、200μmを超えると、アジド化合物から発生した窒素ガスが基材を透過できず、充分な剥離性能を発揮することができないことがあり、更に紫外線が充分通過しないことがある。より好ましい下限は50μm、より好ましい上限は100μmである。
【0015】
本発明の両面粘着テープは、一方の面にアジド化合物を含有する粘着剤層(以下、「アジド化合物含有層」ともいう)を有する。
上記アジド化合物としては特に限定されず、例えば、3−アジドメチル−3−メチルオキセタン、テレフタルアジド、p−tert−ブチルベンズアジド;3−アジドメチル−3−メチルオキセタンを開環重合することにより得られるグリシジルアジドポリマー(GAP)等のアジド基を有するポリマー等が挙げられる。これらのアジド化合物は、主に波長400nm以下の紫外線領域の光を照射することにより窒素ガスを発生する。
【0016】
上記アジド化合物含有層を構成する粘着剤(以下、「アジド化合物含有層用粘着剤」ともいう)は、反応性二重結合を有する化合物を含有しないものである。反応性二重結合を有する化合物を含有する場合には、アジド化合物と反応してアジド化合物の気体発生性能が低下してしまう。
【0017】
上記アジド化合物含有層用粘着剤としては、反応性二重結合を有する化合物を含有しないものであれば特に限定されず、例えば、常温で粘着性を有するポリマーとして、一般の(メタ)アクリル系ポリマーの場合と同様に、主モノマーとしてアルキル基の炭素数が通常2〜18の範囲にあるアクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステルと、官能基含有モノマーと、更に必要に応じてこれらと共重合可能な他の改質用モノマーとを、常法により共重合させることにより得られる官能基含有(メタ)アクリル系ポリマー等が挙げられる。なかでも、アルキル基の炭素数が6以上の官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーが好ましい。上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は通常20万〜200万程度である。
【0018】
上記アジド化合物は、上記アジド化合物含有層中に溶解していることが好ましい。上記アジド化合物がアジド化合物含有層中に溶解していることにより、刺激を与えたときにアジド化合物から発生した気体が効率よくアジド化合物含有層の外に放出される。上記アジド化合物がアジド化合物含有層中に粒子として存在すると、アジド化合物含有層が発泡して気体が粘着剤層の外に放出されなかったり、気体を発生させる刺激として光を照射したときに粒子の界面で光が散乱して気体発生効率が低くなってしまったり、アジド化合物含有層の表面平滑性が悪くなったりすることがある。
なお、上記アジド化合物がアジド化合物含有層中に溶解していることは、電子顕微鏡によりアジド化合物含有層を観察したときにアジド化合物の粒子が見あたらないことにより確認することができる。
【0019】
上記アジド化合物をアジド化合物含有層中に溶解させるためには、上記アジド化合物含有層用粘着剤に溶解するアジド化合物を選択すればよい。なお、粘着剤に溶解しないアジド化合物を選択する場合には、例えば、分散機を用いたり、分散剤を併用したりすることにより粘着剤層中にアジド化合物をできるかぎり微分散させることが好ましい。粘着剤層中にアジド化合物を微分散させるためには、気体発生剤は、微小な粒子であることが好ましく、更に、これらの微粒子は、例えば、分散機や混練装置等を用いて必要に応じてより細かい微粒子とすることが好ましい。即ち、電子顕微鏡により上記粘着剤層を観察したときに気体発生剤を確認することができない状態まで分散させることがより好ましい。
【0020】
上記アジド化合物の含有量としては特に限定されないが、上記アジド化合物含有層用粘着剤100重量部に対する好ましい下限が1重量部、好ましい上限は200重量部である。1重量部未満であると、充分な剥離圧力が得られず剥離できないことがあり、200重量部を超えると粘着剤物性に悪影響を及ぼすことがある。より好ましい下限は3重量部、より好ましい上限は100重量部である。
【0021】
上記アジド化合物含有層には、以上の成分のほか、粘着剤としての凝集力の調節を図る目的で、所望によりイソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物等の一般の粘着剤に配合される各種の多官能性化合物を適宜配合してもよい。また、帯電防止剤、可塑剤、樹脂、界面活性剤、ワックス、微粒子充填剤等の公知の添加剤を加えることもできる。
また、樹脂の安定性を高めるために熱安定剤、酸化防止剤を配合させてもよい。このような添加剤としては、例えばフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、有機スズ系安定剤、鉛系安定剤等が挙げられる。これらの添加剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0022】
上記アジド化合物含有層には、更に、アジド化合物への光による刺激を増幅させる目的により光増感剤を配合してもよい。かかる光増感剤を配合することによってより少ない光の照射により気体を放出させることができる。また、光増感剤を配合することによってより広い波長領域の光により気体を放出させることができるので、被着体がポリアミド等のアジド化合物から気体を発生させる波長の光を透過しないものであっても、被着体越しに光を照射して気体を発生させることができ被着体の選択の幅が広がる。
上記光増感剤としては特に限定されないが、例えば、チオキサントン増感剤等が好適である。
【0023】
上記アジド化合物含有層は、ゲル分率の好ましい下限が75%である。75%未満であると、気体発生時に粘着剤層自身が発泡してしまい、発生した気体を高い効率で接着界面に放出することが困難になることがある。
なお、本明細書において、ゲル分率は、ゲル分の含有量のことを意味し、例えば、(メタ)アクリル系樹脂をテトラヒドロフランに浸漬した後、乾燥させたものの重量と、浸漬前の(メタ)アクリル系樹脂の重量との比を測定することにより求めることができる。
【0024】
本発明の両面粘着テープは、他方の面に刺激によって硬化する粘着剤からなる粘着剤層(以下、「硬化性粘着剤層」ともいう)を有する。
上記刺激によって硬化する粘着剤としては、例えば、光硬化型接着剤等が挙げられる。
上記光硬化型粘着剤としては、従来公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、分子内にラジカル重合性の不飽和結合を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系の重合性ポリマーと、ラジカル重合性の多官能オリゴマー又はモノマーとを主成分とし、必要に応じて光重合開始剤を含んでなる光硬化型粘着剤を用いたもの等が挙げられる。
【0025】
本発明の両面粘着テープを製造する方法としては特に限定されず、例えば、上記基材上の一方の面に、上記アジド化合物等を含有する粘着剤等をドクターナイフやスピンコーター等を用いて塗工し、他方の面に上記光硬化型の粘着剤をドクターナイフやスピンコーター等を用いて塗工する等の従来公知の方法を用いることができる。
【0026】
本発明の両面粘着テープは、特に半導体ウエハをスパッタリング等の高温工程を含む加工に供するときに、支持板を貼り合わせてこれを保護する用途に好適である。
この場合、本発明の両面粘着テープの上記アジド化合物含有層を支持板に、上記硬化性粘着剤層をウエハに接着させる。これにより、スパッタリング等の高温工程に供した場合にも剥離性能を失うことがなく、剥離時には刺激を与えることで容易に支持板及び両面粘着テープを半導体ウエハから剥離することができる。
【0027】
図1に、本発明の両面粘着テープを用いた場合の剥離機構を説明する模式図を示した。
図1では、半導体ウエハ3は、両面粘着テープ1を介して支持板2に固定されている。両面粘着テープ1は、基材11と、その両面に形成されたアジド化合物含有層12及び硬化性粘着剤層13とを有する。アジド化合物含有層12は支持板2に、硬化性粘着剤層13は半導体ウエハ3に接着されている(図1(a))。
ここで、支持板2側から紫外線を照射すると、アジド化合物含有層12に含まれるアジド化合物よりNガスが発生する。基材11はNガス透過性に優れることから、アジド化合物含有層12において発生したNガスは基材11を透過し、更に硬化性粘着剤層13も透過して、硬化性粘着剤層13と半導体ウエハ3との界面に放出される(図1(b))。紫外線照射により硬化性粘着剤層13は硬化して粘着力を失っていることから、Nガスによる圧力により硬化性粘着剤層13と半導体ウエハ3との界面において容易に剥離が起こる(図1(c))。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、高い耐熱性を有し、光を照射することにより被着体を損傷することなく容易に剥がすことができる両面粘着テープを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0030】
(実施例1)
(1)アジド化合物含有層用粘着剤の調製
下記の化合物を酢酸エチルに溶解させ、紫外線を照射して重合を行い、重量平均分子量60万のアクリル共重合体を得た。
・2−エチルへキシルアクリレート 97.5重量部
・2−ヒドロキシエチルアクリレート 2.5重量部
・アクリル酸 2.0重量部
・光重合開始剤 0.2重量部
更に、反応後のアクリル共重合体を含む酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、ベンゾフェノン0.5重量部、ポリイソシアネート2重量部、グリシジルアジドポリマー(GAP5003;日本油脂社製)を10重量部、2,4−ジエチルチオキサントン5重量部を混合して、アジド化合物を含有するアジド化合物含有層用粘着剤の酢酸エチル溶液を調製した。
【0031】
(2)硬化性粘着剤層用粘着剤の調製
下記の化合物を酢酸エチルに溶解させ、紫外線を照射して重合を行い、重量平均分子量70万のアクリル共重合体からなる光硬化性粘着剤の酢酸エチル溶液を得た。
・2エチルヘキシルアクリレート 91重量部
・ブチルアクリレート 3重量部
・アクリル酸 2重量部
・2−ヒドロキシエチルアクリレート 4重量部
・光重合開始剤 0.2重量部
(イルガキュア651、50%酢酸エチル溶液)
・ラウリルメルカプタン 0.01重量部
得られた光硬化性粘着剤の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2−イソシアナトエチルメタクリレート3.5重量部を加えて反応させ、更に、反応後の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、光重合開始剤(イルガキュア651)5重量部、ポリイソシアネート1.0重量部を混合し硬化性粘着剤層用粘着剤の酢酸エチル溶液を調製した。
【0032】
(3)両面粘着テープの作製
アジド化合物含有層用粘着剤の酢酸エチル溶液を、厚さ100μmの多孔性オレフィン基材(23℃における窒素ガス透過性が100×10−17mol・m−1−1Pa−1)の一方の面上に乾燥皮膜の厚さが約30μmとなるようにドクターナイフで塗工し、110℃、5分間加熱して溶剤を揮発させ塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。乾燥後の支持板側粘着剤層の表面に離型処理が施されたPETフィルムをラミネートした。
次に、硬化性粘着剤層用粘着剤の酢酸エチル溶液を、表面に離型処理が施されたPETフィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約30μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して溶剤を揮発させ塗工溶液を乾燥させた。乾燥後のウエハ側粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。
次いで、アジド化合物含有層を設けた多孔性オレフィン基材のアジド化合物含有層のない面と、硬化性粘着剤層を設けた離型処理が施されたPETフィルムの硬化性粘着剤層の面とを貼り合わせた。その後、40℃、3日間静置して養生を行った。これにより両面に粘着剤層が設けられ、その表面が離型処理が施されたPETフィルムで保護された両面粘着テープを得た。
【0033】
(4)熱処理後の剥離性の評価
両面粘着テープの硬化性粘着剤層を保護するPETフィルムを剥がし、直径20cm、厚さ約750μmであって、高さ15μm、幅100μmの溝を有する回路が形成されたシリコンウエハに貼り付け、一方、アジド化合物含有層を保護するPETフィルムを剥がし、直径20.4cmのガラス板を真空プレス機を用いて粘着剤層に貼り付けてサンプルを作製した。
【0034】
得られたサンプルを、180℃のオーブン中で20分間加熱した。
熱処理後のサンプルをシリコンウエハ側が下になるように設置した後、ガラス板側から超高圧水銀灯を用いて、波長365nmの紫外線をガラス板表面への照射強度が40mW/cmとなるよう照度を調節して照射した。
ガラス側から目視により観察したところ、シリコンウエハと両面粘着テープとが完全に剥離していた。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によれば、高い耐熱性を有し、光を照射することにより被着体を損傷することなく容易に剥がすことができる両面粘着テープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の両面粘着テープを用いた場合の剥離機構を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0037】
1 両面粘着テープ
11 基材
12 アジド化合物含有層
13 硬化性粘着剤層
2 支持板
3 半導体ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の両面に粘着剤層が形成された半導体加工用の両面粘着テープであって、
前記基材は、23℃における窒素ガス透過性が100×10−17mol・m−1−1Pa−1以上であり、
一方の粘着剤層は、アジド化合物を含有し、かつ、反応性二重結合を有する化合物を含有しないものであり、
他方の粘着剤層は、刺激によって硬化する粘着剤からなる
ことを特徴とする半導体加工用両面粘着テープ。

【図1】
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【公開番号】特開2009−246011(P2009−246011A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88229(P2008−88229)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】